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審決分類 |
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 H02S 審判 全部申し立て ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 H02S 審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 H02S 審判 全部申し立て 2項進歩性 H02S |
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管理番号 | 1361478 |
異議申立番号 | 異議2018-700757 |
総通号数 | 245 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-05-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-09-19 |
確定日 | 2020-02-25 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6297554号発明「ソーラーパネルをコーティングする方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6297554号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕、11について訂正することを認める。 特許第6297554号の請求項1、3ないし5、8ないし11に係る特許を取り消す。 特許第6297554号の請求項2、6、7に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6297554号の請求項1?11に係る特許についての出願は、2013年(平成25年)2月21日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2012年7月23日(以下「優先日」という。) 豪州(AU))を国際出願日とする出願であって、平成30年3月2日にその特許権の設定登録がされ、平成30年3月20日に特許掲載公報が発行された。その後の経緯は、次のとおりである。 平成30年 9月19日 : 特許異議申立人石田祥子(以下「申立人」という。)による請求項1?11に係る特許に対する特許異議の申立て 平成30年11月15日付け: 取消理由通知 平成31年 2月18日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 平成31年 4月 2日 : 申立人による意見書の提出 令和 元年 5月14日 : 取消理由通知(決定の予告) 令和 元年 8月14日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 特許権者は、特許請求の範囲の請求項1?10からなる一群の請求項及び請求項11について、以下の訂正事項1?19のとおりに訂正することを請求している(下線は訂正箇所を示す。)。 [訂正事項1] 訂正前の請求項1の「コーティング組成物」との記載を「硬化可能なコーティング組成物」と訂正する。 [訂正事項2] 訂正前の請求項1の「結合剤」との記載を「膜形成結合剤」と訂正する。 [訂正事項3] 訂正前の請求項1の「十分な量の」との記載を「5重量%?20重量%の」と訂正する。 [訂正事項4] 訂正前の請求項1の記載に「黒色の」との記載を追加する。 [訂正事項5] 訂正前の請求項1の「乳白剤」との記載を「不透明化剤」と訂正する。 [訂正事項6] 訂正前の請求項1の記載に「前記ソーラーパネルの電気出力の前記所定レベルは、生理学的影響を及ぼすレベルであり、電気出力の前記所定レベルは、知覚閾直または反応の閾直でのDC電流であり、又は、前記所定レベルは、オーストラリア規格60479.1またはその同等値であり、」との記載を追加する。 [訂正事項7] 訂正前の請求項1の記載に「前記コーティングの厚みは、50?2000ミクロンであり、これにより、光透過を入射光の0.1%より小さくなるまで低減し、」との記載を追加する。 [訂正事項8] 請求項2を削除する。 [訂正事項9] 請求項3の従属先を「請求項1」と訂正する。 [訂正事項10] 請求項6を削除する。 [訂正事項11] 請求項7を削除する。 [訂正事項12] 訂正前の請求項8の記載を「前記膜形成結合剤が、水溶性ポリマー、分散液、エマルジョン、及び、ラテックスから成る群から選ばれる水性結合剤である」と訂正する。 [訂正事項13] 明細書の段落【0018】、【0028】、【0029】、【0030】、及び【0060】における「乳白剤」との記載を「不透明化剤」と訂正する。 [訂正事項14] 訂正前の請求項11の「コーティング組成物」との記載を「硬化可能なコーティング組成物」と訂正する。 [訂正事項15] 訂正前の請求項11の「結合剤」との記載を「膜形成結合剤」と訂正する。 [訂正事項16] 訂正前の請求項11の記載に「5重量%?20重量%の」と追加する。 [訂正事項17] 訂正前の請求項11の記載に「黒色の」との記載を追加する。 [訂正事項18] 訂正前の請求項11の「乳白剤」との記載を「不透明化剤」と訂正する。 [訂正事項19] 訂正前の請求項11の「前記コーティングするステップは、修理前または修理中、洪水状況前または洪水状況中、電気事故前または電気事故中、あるいは、火災状況前または火災状況中、又は火災の状況後になされる」との記載を「前記コーティングするステップは、修理前または修理中、洪水状況前または洪水状況中、電気事故前または電気事故中、あるいは、火災状況前または火災状況中、又は火災の状況後になされ、前記ソーラーパネルの電気出力の前記所定レベルは、生理学的影響を及ぼすレベルであり、電気出力の前記所定レベルは、知覚閾値または反応の閾直でのDC電流であり、又は、前記所定レベルは、オーストラリア規格60479.1またはその同等値であり、前記コーティングの厚みは、50?2000ミクロンであり、これにより、光透過を入射光の0.1%より小さくなるまで低減する」に訂正する。 そして、訂正前の請求項1?10は、請求項2?10が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を直接又は間接に引用している関係にあるから、訂正後の請求項1?10は、一群の請求項である。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1に係る請求項1についての訂正は、明細書の段落【0037】の「ポリマーの硬化で、連続した膜を形成することができる」等の記載に基づいて、「コーティング組成物」を「硬化可能なコーティング組成物」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2に係る請求項1についての訂正は、明細書の段落【0037】の「膜形成ポリマー」等の記載に基づいて、「結合剤」との記載を「膜形成結合剤」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)訂正事項3?5について ア 訂正事項5に係る請求項1についての訂正は、本件の願書に添付した国際出願の特許請求の範囲及び明細書に記載された「opacifier」の日本語訳について、「乳白剤」は誤訳であって、正しくは「不透明化剤」であることを根拠としているものである。 一般に、「opacifier」は、「乳白剤」、「乳濁剤」及び「不透明化剤」等に訳される場合がある。このうち、「乳白剤」の色については、通常「白色」を意味すると理解されるところ、本件明細書の段落【0061】や訂正前の請求項7の記載によれば、「乳白剤」の色は、白、黒、グレーに限らず、明るいオレンジ色等の場合があり、通常の理解と異なる。 上記のことに鑑みると、本件の特許請求の範囲及び明細書においては、「opacifier」の日本語訳として「乳白剤」は誤訳であり、正しくは「不透明化剤」であると認められる。 よって、上記訂正は、誤訳の訂正を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 イ 訂正事項3に係る請求項1についての訂正は、上記のとおり、正しくは「不透明化剤」である「乳白剤」について、平成30年11月15日付けの取消理由通知で不明瞭であると指摘した「十分な量の」との記載について、訂正前の請求項6および明細書の段落【0029】の記載に基づいて、「5重量%?20重量%の」と具体的に限定するものであるから、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 ウ 訂正事項4に係る請求項1についての訂正は、上記のとおり、正しくは「不透明化剤」である「乳白剤」について、明細書の段落【0061】等の記載に基づいて「黒色の不透明化剤」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 エ 上記訂正事項に対する特許異議申立人の意見について 特許異議申立人は、平成31年4月2日の意見書において、「乳白剤」はその語が意味する通り「白」色系であって、「白の不透明化剤」を「黒の不透明化剤」に訂正することは、色の範囲の限定ではなく、色の変更であり、特許請求の範囲の変更になる旨を主張している。 しかし、上記アで検討したとおりであるので、色の変更とはいえないから、上記意見は採用できない。 (4)訂正事項6について 訂正事項6に係る請求項1についての訂正は、平成30年11月15日付けの取消理由通知で不明瞭であると指摘した「所定レベル」について、明細書の段落【0034】等の記載に基づいて、「前記ソーラーパネルの電気出力の前記所定レベルは、生理学的影響を及ぼすレベルであり、電気出力の前記所定レベルは、知覚閾直または反応の閾直でのDC電流であり、又は、前記所定レベルは、オーストラリア規格60479.1またはその同等値であり、」との記載を追加して具体的に限定するものであるから、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (5)訂正事項7について 訂正事項7に係る請求項1についての訂正は、明細書の段落【0029】等の記載に基づいて、「前記コーティングの厚みは、50?2000ミクロンであり、これにより、光透過を入射光の0.1%より小さくなるまで低減し」との記載を追加して具体的に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (6)訂正事項8、10、11について 訂正事項8、10、11は、それぞれ請求項2、6、7を削除するというものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (7)訂正事項9について 訂正事項9に係る請求項3についての訂正は、上記訂正事項8の訂正に伴って、引用する請求項を整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (8)訂正事項12について 訂正事項12に係る請求項8についての訂正は、「結合剤」との記載を「膜形成結合剤」と限定するものであるから、上記(2)と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (9)訂正事項13について 訂正事項13に係る明細書の訂正は、上記訂正事項5における「乳白剤」との記載を「不透明化剤」とする訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であって、誤訳の訂正又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、上記(3)で検討したように、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 また、訂正事項13に係る明細書の訂正は、訂正後の請求項[1?10]及び請求項11についてのものである。 (10)訂正事項14?19について 訂正事項14?19に係る請求項11についての訂正は、それぞれ訂正事項1?7と同様であるから、その訂正の目的は、それぞれ上記(1)?(5)で検討したとおりであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (11)小括 上記のとおり、訂正事項1?19に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号?第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第4項?第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲及び明細書を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1?10]及び請求項11について訂正することを認める。 第3 取消理由の概要 訂正前の請求項1?11に係る特許に対して、当審が令和元年5月14日に特許権者に通知した取消理由通知(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。 理由1(進歩性) 本件特許発明1?11は、本件特許の優先日前に日本国内または外国において頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 <引用文献等一覧> 引用例1:“Secured Solar Panel Protection for Fire Department”,[online],2011年, SE Corp,[2018年8月27日検索],インターネット<URL:http://securedsolar.com>(甲第1号証) 引用例2:特開平4-225284号公報(甲第4号証) 引用例3:特開2006-25697号公報(甲第6号証) 引用例4:特開2011-210835号公報(甲第8号証) 理由2(実施可能要件) 本件特許は、発明の詳細な説明の記載が不備のため、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 理由3(サポート要件) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 理由4(明確性) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 第4 当審の判断 1 理由1(進歩性)について (1)訂正後の請求項1、3?5、8?11に係る発明 訂正後の請求項1、3?5、8?11に係る発明は、上記訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1、3?5、8?11に記載された事項により特定されるとおりのものである(以下、請求項の項番に従い「本件特許発明1」等という。下線は、特許権者が訂正箇所に付したとおりである。)。 「【請求項1】 ソーラーパネルの光電池によって受容されている光量を低減するために設置された前記ソーラーパネルをコーティングする方法であって、当該方法は、前記ソーラーパネルの受光領域を十分な厚みの硬化可能なコーティング組成物でコーティングするステップであって、前記硬化可能なコーティング組成物が、前記ソーラーパネルの受光領域を透過する光を低減させるように膜形成結合剤及び5重量?20重量%の黒色の不透明化剤を備え、結果として前記ソーラーパネルの電気出力が所定レベルより小さくなるまで低減される、コーティングするステップを備え、 前記ソーラーパネルの電気出力の前記所定レベルは、生理学的影響を及ぼすレベルであり、電気出力の前記所定レベルは、 知覚閾値または反応の閾値でのDC電流であり、又は、前記所定レベルは、オーストラリア規格60479.1またはその同等値であり、 前記コーティングの厚みは、50?2000 ミクロンであり、これにより、光透過を入射光の0.1%より小さくなるまで低減し、 前記コーティングするステップは、修理前または修理中、洪水状況前または洪水状況中、電気事故前または電気事故中、あるいは、火災状況前、火災状況中、又は火災の状況後になされる、方法。 【請求項3】 結果として生じる電気出力は、コーティングを塗布しないソーラーパネルの電気出力と比較して電気出力の1%より小さくなるまで低減されることを特徴とする請求項1に記載の方法。 【請求項4】 、 結果として生じる電気出力は、電流で測定され、コートされていないパネルの電流の0.20%より小さくなるまで低減される;または、 結果として生じる電気出力は、電圧で測定され、コートされていないパネルの電圧の20%より小さくなるまで低減される;または、 結果として生じる電気出力は、ワット数で測定され、コートされていないパネルのワット数の0.10%より小さくなるまで低減される; ことを特徴とする請求項3に記載の方法。 【請求項5】 コーティングが硬化した場合に、コーティング組成物が塗布されたソーラーパネル及び任意の周辺の構造物から安易にコーティングが剥がされるように、前記コーティング組成物が離型剤を含む;または、 前記コーティング組成物は、難燃添加剤を含むように配合される;または、 コーティングが日光において6週間に亘って劣化しないように、前記コーティング組成物がUV安定剤を含むように配合される; ことを特徴とする請求項1に記載の方法。 【請求項8】 前記膜形成結合剤が、水溶性ポリマー、分散液、エマルジョン、及び、ラテックスから成る群から選ばれる水性結合剤であることを特徴とする請求項1に記載の方法。 【請求項9】 前記コーティング組成物は、UV抑制剤を含まないことを特徴とする請求項1に記載の方法。 【請求項10】 前記コーティング組成物は、付着性シートとして前記ソーラーパネルから除去されることを特徴とする請求項1に記載の方法。 【請求項11】 設置されたソーラーパネルを電気無効化する方法であって、当該方法は、 a)前記ソーラーパネルの光電池に届く光量を低減するように硬化可能なコーティング組成物で前記ソーラーパネルの受光領域をコーティングするステップであって、前記硬化可能なコーティング組成物が膜形成結合剤及び5重量%?20重量%の黒色の不透明化剤を備え、これにより、前記コーティング組成物の膜が前記ソーラーパネルの受光領域を透過する光を低減させる、ステップ、及び、 b)前記ソーラーパネルの電気出力を測定するステップ、 を備え、 結果として生じる前記ソーラーパネルの前記電気出力が、所定レベルより小さくなるまで低減されてない場合は、次いで、a)及びb)が、前記電気出力が前記所定レベルより小さくなるまで繰り返され、 前記コーティングするステップは、修理前または修理中、洪水状況前または洪水状況中、電気事故前または電気事故中、あるいは、火災状況前または火災状況中、又は火災の状況後になされ、 前記ソーラーパネルの電気出力の前記所定レベルは、生理学的影響を及ぼすレベルであり、電気出力の前記所定レベルは、 知覚閾値または反応の閾値でのDC電流であり、又は、前記所定レベルは、オーストラリア規格60479.1またはその同等値であり、 前記コーティングの厚みは、50?2000ミクロンであり、これにより、光透渦を入射光の0.1%より小さくなるまで低減することを特徴とする方法。」 (2)引用例の記載 ア 引用例1の記載及び引用発明 引用例1の”Home”、”Why Do You Need SecuredSolarTM?”、及び、”SecuredSolarTM Starter Kit”のタグで表示されるページの末尾には、それぞれ”Copyright c SE Corp 2010-2011. All Right Reserved.”(”Copyright”のあとの”c”は○にc)の表示がある。 したがって、上記各ページの記載は、本件特許の優先日前には、公知であったと認められる。 更に、上記”SecuredSolarTM Starter Kit”のタグで表示されるページにおいて、YouTubeへのリンクとともに掲載された映像について、YouTubeのサイトに掲載された該当の映像を確認すると(https://www.youtube.com/watch?v=s8q94ZTsS-Eを参照。)、当該映像が2011年11月20日(本件特許の優先日前)に公開されたことが記載されている。 そして、引用例1には、以下の事項が記載されている。 (ア)引用例1の”Home”のタグで表示されるページには、以下の事項が記載されている。 ・ソーラーパネルは、インバーターから切り離されても、太陽光によって発電していること。 ・ソーラーパネルは、消防士にとって危険であること。 ・SecuredSolarTMをスプレーすると、パネルが被覆されて、ソーラーパネルの電圧が数分で600ボルトから0ボルトになること。 ・SecuredSolarTMの使用後は剥がすだけであること。 (イ)引用例1の”Why Do You Need SecuredSolarTM?”のタグで表示されるページには、以下の事項が記載されている。 ・SecuredSolarTMの「クイックスプレー」システムを用いると、素早く確実に致死的な電圧の発生を防ぐができること。 ・SecuredSolarTMは、風雨では剥がれないこと。 ・再建を始めるときは、SecuredSolarTMを剥がすだけでソーラーパネルが機能するようになること。 (ウ)引用例1の”SecuredSolarTM Starter Kit”のタグで表示されるページには、SecuredSolarTMのフィルムの特徴として、以下の事項が記載されている。 ・不透明であって、太陽光を完全に遮光すること。 ・耐火性があり、燃えないこと。 ・危険がなくなれば、簡単に剥がせること。 ・再建時まで、安全な「遮光」状態に維持できること。 (エ)上記”SecuredSolarTM Starter Kit”のタグで表示されるページに、YouTubeへのリンクとともに掲載された映像(https://www.youtube.com/watch?v=s8q94ZTsS-E)からは、スプレーされる液体は、乳白色若しくは乳白色に近い灰色であることが把握できる。 (オ)したがって、上記(ア)?(エ)の記載から、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「火災時に、乳白色若しくは乳白色に近い灰色であるSecuredSolarTMをソーラーパネルにスプレーし、不透明かつ耐火性のフィルムでソーラーパネル被覆して遮光することにより、致死的な電圧の発生を防ぎ、再建時には、前記フィルムを剥がすだけで、ソーラーパネルが機能するようになる方法。」 イ 引用例2の記載 引用例2には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0006】 【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題に鑑みて為されたものであって、太陽電池パネルの受光面に遮光手段を設けた状態でそのパネルを屋外に設置すると共に、該パネルにて発生した光起電力を負荷側に導く配線を行った後、上記遮光手段を排除するものである。 【0007】 【作用】太陽電池パネルを屋外に設置し、負荷側への配線を行った後に、遮光手段を排除しているので、パネルの接続作業時の感電事故を防止することができる。」 (イ)「【0012】またこの不透明塗布膜7としては、ポリビニルエーテル、ポバール、ポリエチレンオキサイド、水溶性ポリウレタンなどの水溶性樹脂に、カーボンブラック、酸化クロムなどの不透明粉末を混合して塗料としたものを用いてもよい。」 ウ 引用例3の記載 引用例3には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0008】 したがって本発明は、その基本的態様としては、塩化ビニル系農業用フィルムの少なくとも一方の面に、水酸基含有モノマーを共重合したアクリル系樹脂をコーティングして塗膜を形成し、白色顔料と樹脂エマルジョンからなり、該塗膜面に塗布され遮光層を形成し、形成された遮光層がアルカリ性除去剤にて除去可能であることを特徴とする農業用遮光剤である。」 (イ)「【0012】 本発明が提供する遮光剤中に含有される、遮光性を確保するために添加される白色顔料としては、チタン白、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、マイカ、硫酸バリウム等をあげることができる。本発明にあってはそのなかでも特に、炭酸カルシウムまたは酸化チタンが効果的なものであることが判明した。なお、これらの白色顔料は、2種類を組合せ配合することもできる。」 (ウ)「【0022】 本発明の農業用遮光剤には、上記した白色顔料、特に炭酸カルシウムの他に、必要に応じて、さらに硬化剤、防腐剤、増粘剤、減粘剤、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、アルコール類等を添加することができる。」 エ 引用例4の記載 引用例4には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0019】 [遮光シート] 本実施形態である遮光シートについて説明する。本実施形態の遮光シートは、基材の片面側の表面に遮光層を有する。この遮光層には、樹脂と白色顔料とが少なくとも含まれ、遮光層中、樹脂の100質量部に対して白色顔料が70質量部以上分散されている。このような遮光層は、複数の架橋性置換基を有する樹脂化合物及びポリイソシアネート化合物の100質量部に対して白色顔料を70質量部以上分散させたコーティング液を基材の表面に塗布し、塗布されたコーティング液から被膜を形成させることにより作製される。」 (イ)「【0034】 白色顔料としては、酸化チタン、タルク、シリカ、硫酸バリウム、水酸化カルシウム等が例示される。これらの中でも、白色顔料として、酸化チタンが好ましく使用される。なお、酸化チタンには、その結晶構造がルチル型のものと、アナターゼ型のものとが存在するが、アナターゼ型の酸化チタンには酸化触媒作用を呈するものもあるので、ルチル型の酸化チタンを使用することが好ましい。」 (ウ)「【0044】 次に、コーティング液に使用される添加剤について説明する。添加剤は、遮光層に対して、耐候性、耐光性、耐熱性、耐湿性、難燃性等を付与するために必要に応じて添加される。また、添加剤は、コーティング液の安定性、塗工性、乾燥性、ブロッキング性等を向上させるためにも必要に応じて添加される。 【0045】 添加剤としては、分散剤、消泡剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤等が例示される。これらは、公知のものを特に制限なく使用することができ、コーティング液や遮光層に求められる性能に応じて、適宜選択される。」 (3)本件特許発明1について ア 対比・一致点・相違点について 本件特許発明1と引用発明とを対比する。 (ア)本件特許発明1の「ソーラーパネルの光電池によって受容されている光量を低減するために設置された前記ソーラーパネルをコーティングする方法であって、」との発明特定事項について 引用発明は、「不透明かつ耐火性のフィルムでソーラーパネル被覆して遮光することにより、致死的な電圧の発生を防」ぐ方法であるので、上記本件特許発明1の発明特定事項と一致する。 (イ)本件特許発明1の「前記ソーラーパネルの受光領域を十分な厚みの硬化可能なコーティング組成物でコーティングするステップであって、」との発明特定事項について 引用発明の「SecuredSolarTM」は、本件特許発明1の「コーティング組成物」に相当する。 また、引用発明の「SecuredSolarTM」は、スプレーされた後フィルムとなるものであるから、引用発明の「SecuredSolarTM」は、本件特許発明1の「コーティング組成物」と「硬化可能な」ものである点で共通する。 また、引用発明は、火災時に、SecuredSolarTMがソーラーパネルにスプレーされ、該ソーラーパネルを不透明かつ耐火性のフィルムで被覆することによって、致死的な電圧の発生を防ぐ方法であるから、引用発明も本件特許発明1と同様の「十分な厚み」でコーティングすることは明らかである。 したがって、引用発明は、本件特許発明1の上記発明特定事項を備える。 (ウ)本件特許発明1の「前記硬化可能なコーティング組成物が、前記ソーラーパネルの受光領域を透過する光を低減させるように膜形成結合剤及び5重量%?20重量%の黒色の不透明化剤を備え、」との発明特定事項について 上記(イ)のとおり、引用発明の「SecuredSolarTM」は、本件特許発明1の「コーティング組成物」と「硬化可能な」ものである点で共通し、また、引用発明は、火災時に、SecuredSolarTMがソーラーパネルにスプレーされ、該ソーラーパネルを不透明かつ耐火性のフィルムで被覆することによって、致死的な電圧の発生を防ぐのであるから、本件特許発明1の「前記硬化可能なコーティング組成物が、前記ソーラーパネルの受光領域を透過する光を低減させるように膜形成結合剤」を備えているといえる。 他方で、SecuredSolarTMは不透明なフィルムとなるとはいえるものの、「5重量%?20重量%の黒色の不透明化剤」を備えているか否かは不明である。 (エ)本件特許発明1の「結果として前記ソーラーパネルの電気出力が所定レベルより小さくなるまで低減される、コーティングするステップを備え、」との発明特定事項について 上記(ア)?(ウ)のとおりであるので、引用発明は、本件特許発明1の上記発明特定事項を備える。 (オ)本件特許発明1の「前記ソーラーパネルの電気出力の前記所定レベルは、生理学的影響を及ぼすレベルであり、電気出力の前記所定レベルは、知覚閾値または反応の閾値でのDC電流であり、又は、前記所定レベルは、オーストラリア規格60479.1またはその同等値であり、」との発明特定事項について 引用発明は、「致死的な電圧の発生を防」ぐので、当該「致死的な電圧」は、本件特許発明1の「生理学的影響を及ぼすレベル」、「知覚閾値または反応の閾値でのDC電流」を生じるようなレベル、又は、「オーストラリア規格60479.1またはその同等値」であるようなレベルに包含されるものであるは明らかである。 したがって、引用発明と本件特許発明1の上記発明特定事項を備える。 (カ)本件特許発明1の「前記コーティングするステップは、修理前または修理中、洪水状況前または洪水状況中、電気事故前または電気事故中、あるいは、火災状況前、火災状況中、又は火災の状況後になされる、方法。」との発明特定事項について 引用発明は、「火災時に」おける方法であるので、本件特許発明1と「前記コーティングするステップは、火災状況中になされる、方法。」である点で共通するものの、「修理前または修理中、洪水状況前または洪水状況中、電気事故前または電気事故中、あるいは、火災状況前又は火災の状況後」において用いられるものであるか否かは不明である。 (キ)したがって、本件特許発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点がある。 <一致点> 「ソーラーパネルの光電池によって受容されている光量を低減するために設置された前記ソーラーパネルをコーティングする方法であって、当該方法は、前記ソーラーパネルの受光領域を十分な厚みの硬化可能なコーティング組成物でコーティングするステップであって、前記硬化可能なコーティング組成物が、前記ソーラーパネルの受光領域を透過する光を低減させるように膜形成結合剤を備え、結果として前記ソーラーパネルの電気出力が所定レベルより小さくなるまで低減される、コーティングするステップを備え、 前記ソーラーパネルの電気出力の前記所定レベルは生理学的影響を及ぼすレベルであり、電気出力の前記所定レベルは、知覚閾値または反応の閾値でのDC電流であり、又は、前記所定レベルは、オーストラリア規格60479.1またはその同等値であり、 前記コーティングするステップは、火災状況中になされる、方法。」 <相違点1> ソーラーパネルの受光領域を透過する光を低減させる、コーティング組成物が、本件特許発明1では、5重量%?20重量%の黒色の不透明化剤を備えるのに対し、引用発明では、そのような量の不透明化剤を備えるものであるのか否か不明である点。 <相違点2> コーティングの厚みについて、本件特許発明1では、50?2000ミクロンであり、これにより、光透過を入射光の0.1%より小さくなるまで低減しているのに対し、引用発明では、そのような特定がなされていない点。 <相違点3> コーティングするステップが、本件特許発明1では、「火災状況中」だけでなく、「修理前または修理中、洪水状況前または洪水状況中、電気事故前または電気事故中、あるいは、火災状況前又は火災の状況後になされる」のに対し、引用発明が、そのような状況においても用いられるものであるのか否か不明である点。 イ 当審の判断 (ア)相違点1について 引用例2には、上記(2)イのとおり、太陽電池パネルの受光面を遮光するための不透明粉末として、カーボンブラックを用いる技術が記載されている。 ここで、カーボンブラックは、本件特許の発明の詳細な説明においても、不透明化剤の例として上げられているものであり(段落【0030】を参照。)、通常黒色のものであることは明らかである。 また、引用例2には、カーボンブラックを混合した不透明化膜により、太陽光を遮光することによって、太陽電池パネルの感電事故を防止するものであるから、引用発明と引用例2に記載された技術とは、不透明の膜により太陽光を遮光することによって太陽電池の感電事故を防止する点で共通する。 そうすると、引用発明において、ソーラーパネルの受光領域を透過する光を低減させるようための不透明化剤として、引用例2に記載された「カーボンブラック」を採用することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。 また、その際、「ソーラーパネルの受光領域を透過する光を低減させるように」するために必要十分な「カーボンブラック」の量となる数値範囲を規定することは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎず、本件特許発明1の「5重量%?20重量%」との数値限定についても、上記「受光領域を透過する光を低減させる」こと以上の作用効果を奏するものでもない。 (イ)相違点2について 引用発明も、本件特許発明1と同様、「前記ソーラーパネルの電気出力が所定レベルより小さくなるまで低減される、コーティングするステップを備え」るから、そのために必要なコーティングの厚みをどの程度とするか、また、その結果、入射光をどの程度まで低減するかは当業者が必要に応じて適宜設定しうる設計事項にすぎない。 そして、本件特許の発明の詳細な説明を参酌しても、その数値限定自体について格別の臨界的意義はなく、特段の作用効果を認めることができない。 (ウ)相違点3について 修理前または修理中、洪水状況前または洪水状況中、電気事故前または電気事故中、あるいは、火災状況前又は火災の状況後においても、引用発明の火災時と同様に、ソーラーパネルの致死的な電圧の発生を防ぐ必要があることは、当業者であれば当然に予測し得ることであるから、引用発明の方法を上記の状況においても適用しようとすることは、当業者であれば容易になし得ることである。 ウ 小括 したがって、本件特許発明1は、引用発明及び引用例2に記載された技術に基づいて、当業者が容易になし得たものである。 また、本件特許発明1の作用効果についても、引用発明及び引用例2に記載された技術から、当業者が予測し得るものである。 (4)本件特許発明3、4について ア 対比・一致点・相違点について 本件特許発明3、4と引用発明とを対比すると、上記(3)の一致点、相違点に加え、本件特許発明3、4が、コーティングしたソーラーパネルの電気出力(電流、電圧、ワット数)の上限値が規定されているのに対し、引用発明では、そのような特定がなされていない点で相違する。 イ 当審の判断 引用発明も、本件特許発明3、4と同様、「前記ソーラーパネルの電気出力が所定レベルより小さくなるまで低減される、コーティングするステップを備え」るから、そのために必要なコーティングしたソーラーパネルの電気出力(電流、電圧、ワット数)の上限値を規定することは、当業者が適宜なし得る設計事項である。 そして、本件特許の発明の詳細な説明を参酌しても、その数値限定自体について特段の作用効果を認めることができない。 ウ 小括 したがって、本件特許発明3、4は、引用発明及び引用例2に記載された技術に基づいて、当業者が容易になし得たものである。 (5)本件特許発明5について ア 対比・一致点・相違点について 本件特許発明5と引用発明とを対比すると、上記(3)の一致点、相違点に加え、本件特許発明5のコーティング組成物が離型剤、難燃添加剤、または、コーティングが日光において6週間に亘って劣化しないように、UV安定剤を含むのに対し、引用発明では、そのような特定がなされていない点で相違する。 イ 当審の判断 引用例1には、(2)アのとおり、耐火性があり、燃えないこと、危険がなくなれば、簡単に剥がせること、及び、再建時まで、安全な「遮光」状態に維持できることが記載されている。 また、引用例3及び4に記載されているように(上記(2)ウ及びエを参照。)、結合材にさらに各種添加剤を混合して、耐候性、耐熱性、耐湿性、難燃性等の機能を付加する技術も、本願の優先日前に周知である。 そうすると、上記引用例1の記載及び上記周知技術を踏まえ、引用発明において、コーティング組成物に、離型剤、難燃添加剤またはUV安定剤を含有させることは、当業者が必要に応じて適宜なし得ることである。 ウ 小括 したがって、本件特許発明5は、引用発明、引用例2に記載された技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たものである。 (6)本件特許発明8について ア 対比・一致点・相違点について 本件特許発明8と引用発明とを対比すると、上記(3)の一致点、相違点に加え、本件特許発明8で特定される点でも相違する。 イ 当審の判断 一般的にコーティング材料として、水溶性ポリマー、分散液、エマルジョン、ラテックスなどは、広く用いられている材料であるので、引用発明において、ソーラーパネルにスプレーし膜形成するための膜形成結合剤の成分として、水溶性ポリマー、分散液、エマルジョン、及び、ラテックスから成る群から選ばれる水性結合剤を採用することは、当業者であれば適宜なし得ることである。 また、本件特許の発明の詳細な説明を参酌しても、水溶性ポリマー、分散液、エマルジョン、及び、ラテックスから成る群から選ばれる水性結合剤を採用することに、特段の作用効果を認めることができない。 ウ 小括 したがって、本件特許発明8は、引用発明、引用例2に記載された技術に基づいて、当業者が容易になし得たものである。 (7)本件特許発明9について ア 対比・一致点・相違点について 本件特許発明9と引用発明とを対比すると、上記(3)の一致点、相違点に加え、本件特許発明9で特定される点でも相違する。 イ 当審の判断 上記(2)アのとおり、引用発明は、再建時まで安全な「遮光」状態に維持できるようにするものであるところ、そのために必要な期間は使用状況等により適宜変更されうるものであるから、コーティング組成物にUV抑制剤を含有させるか否かは、当業者が必要に応じて適宜決定し得ることである。 ウ 小括 したがって、本件特許発明9は、引用発明、引用例2に記載された技術に基づいて、当業者が容易になし得たものである。 (8)本件特許発明10について ア 対比・一致点・相違点について 本件特許発明10と引用発明とを対比すると、上記(3)の一致点、相違点に加え、本件特許発明10で特定される点で一致する。 イ 当審の判断 したがって、上記(3)で検討したとおり、本件特許発明10は、引用発明、引用例2に記載された技術に基づいて、当業者が容易になし得たものである。 (9)本件特許発明11について ア 対比・一致点・相違点について 上記(3)アの本件特許発明1と引用発明との対比を踏まえつつ、本件特許発明11と引用発明とを対比すると、両者の間には、以下の一致点、相違点がある。 <一致点> 「設置されたソーラーパネルを電気無効化する方法であって、当該方法は、 a)前記ソーラーパネルの光電池に届く光量を低減するように硬化可能なコーティング組成物で前記ソーラーパネルの受光領域をコーティングするステップであって、前記硬化可能なコーティング組成物が膜形成結合剤を備え、これにより、前記コーティング組成物の膜が前記ソーラーパネルの受光領域を透過する光を低減させる、ステップ、 を備え、 前記コーティングするステップは、火災状況中になされ、 前記ソーラーパネルの電気出力の前記所定レベルは、生理学的影響を及ぼすレベルであり、電気出力の前記所定レベルは、知覚閾値または反応の閾値でのDC電流であり、又は、前記所定値レベルは、オーストラリア60479.1またはその同等値である方法。」 <相違点4> ソーラーパネルの受光領域を透過する光を低減させる、コーティング組成物が、本件特許発明11では、5重量%?20重量%の黒色の不透明化剤を備えるのに対し、引用発明では、そのような量の不透明化剤を備えるものであるのか否か不明である点。 <相違点5> コーティングするステップが、本件特許発明11では、「火災状況中」だけでなく、「修理前または修理中、洪水状況前または洪水状況中、電気事故前または電気事故中、あるいは、火災状況前又は火災の状況後になされる」のに対し、引用発明が、そのような状況においても用いられるものであるのか否か不明である点。 <相違点6> 本件特許発明11が、「b)前記ソーラーパネルの電気出力を測定するステップ、を備え、結果として生じる前記ソーラーパネルの前記電気出力が、所定レベルより小さくなるまで低減されてない場合は、次いで、a)及びb)が、前記電気出力が前記所定レベルより小さくなるまで繰り返され」るのに対し、引用発明では、そのような特定がなされていない点。 <相違点7> コーティングの厚みについて、本件特許発明11では、50?2000ミクロンであり、これにより、光透過を入射光の0.1%より小さくなるまで低減しているのに対し、引用発明では、そのような特定がなされていない点。 イ 当審の判断 (ア)相違点4、5、7について 上記(3)イで検討した相違点1、3、2についてとそれぞれ同様である。 (イ)相違点6について 引用発明において、ソーラーパネルの致死的な電圧の発生を防ぐ必要があることを踏まえれば、十分に塗布が行われたか否か確認する必要があることは明らかであって、通常、ソーラーパネルに電圧が発生しているか否かを目視で確認することは困難であることを考慮すれば、電気出力を測定しつつ、ソーラーパネルの前記電気出力が、所定レベルより小さくなるまで、塗布の作業を継続することは、当業者であれば適宜なし得ることである。 (ウ)小括 したがって、本件特許発明11は、引用発明及び引用例2に記載された技術に基づいて、当業者が容易になし得たものである。 また、本件特許発明11の作用効果についても、引用発明及び引用例2に記載された技術から、当業者が予測し得るものである。 (10)特許権者の意見について ア 平成31年2月18日、令和元年8月14日の意見書において、特許権者は、概ね以下の(ア)及び(イ)のような主張をしている。 (ア)特許権者は、以下の点を挙げて、引用例1には、引用発明を実施することができるのに十分な記載がないことから、発明として引用すべきではない旨を主張している。 a 引用例1のウェブサイトに記載された写真や映像は、編集ソフト等で加工されたものであったり、ソーラーパネル以外のものにスプレーしているものであったりするため、引用発明が実施可能なものとしては確認できないこと。 b 引用発明のSecuredSolarTMは速乾性(硬化)コーティング組成物ではなく、迅速に電圧を除去させるようなコーティング組成物の開示はないこと。 c 引用例1のウェブサイトには、実際に電圧が「0V」となることを示す、実証実験のデータが提供されていないし、特許権者による試験では、白色の不透明化剤を含む薄いコーティングでは、電圧は所定のレベル以下に低下しないこと。 d SecuredSolarTMは、引用例1の6ページ目には、「One Gallon more than covers one large-size 230 Watt panel」と記載している。1ガロンは3.785リットル(3785cm^(3))であり、230ワットパネルは1.65×1m=1.65m^(2)(16500cm^(2))である。それ故に、引用例1は、2300ミクロンのコーティング厚さ(つまり、3785cm^(3)/16500cm^(2)=0.23cm=2300ミクロン)を記載している。従って、本願請求項1に記載されたコーティングの厚さが、引用文献1に記載されたコーティングの厚さより小さくなっていることは明らかである。 e SecuredSolarTMが、「風雨では剥がれないこと」、「耐火性があり、燃えないこと」及び「簡単に剥がせること」等についても実施不可能な「アイデア」に過ぎないこと。 (イ)引用例2には、水溶性樹脂に、カーボンブラックなどの不透明粉末を混合した塗料が記載されており、水溶性樹脂は、膜形成結合剤を備える硬化可能なコーティング組成物とはいえないから、引用発明に引用例2に記載された技術を適用することができない旨を主張している。 イ 上記主張について検討する。 (ア)上記ア(ア)の主張については、以下の(a)?(e)で検討したとおり理由がない。 (a)上記aの主張について 一般に、ウェブサイトにおいて、その掲載内容をわかり易くするために、写真や映像を用いることは広く行われていることであって、その際、当該写真や映像に加工や演出等を付加することも良くあることである。 そして、このウェブサイトにおいても、技術や施工方法をわかり易く説明するために、写真を加工したり、実際とは異なる状況で模擬的に施工するような演出がなされていると理解される。 また、ウェブサイトの掲載内容を総合的に見れば、ソーラーパネルに、映像と同様の方法により、SecuredSolarTMをスプレーすることが可能であることは、当業者であれば、容易に理解できるのであるから、引用発明は実施可能であることが理解できる。 よって、主張aは採用できない。 (b)上記bの主張について 引用例1の記載では、SecuredSolarTMはスプレーした後にフィルムとなるのであるから、「速乾性」の有無にかかわらず、引用発明は実施可能であることが理解できる。 なお、本件特許発明1?11において、コーティング組成物は硬化可能であるものの、「速乾性」については特定されていない。また、本件特許の発明の詳細な説明を参酌しても、「速乾性」に関連した記載は見当たらなし、どのような速さで硬化が進むのかについての記載もない。 よって、主張bは採用できない。 (c)上記cの主張について、 白色顔料を含む樹脂を塗布する等により被膜を形成し遮光する技術は、例えば、引用例3又は引用例4に記載されているように、本願の優先日前に周知であるから、引用発明のSecuredSolarTMが仮に白色だとしても、引用発明は実施可能なものと理解できる。 また、上記意見書で主張された、特許権者による試験では、試験で用いたコーティング組成物の内容、コーティングの厚み、具体的な試験方法は明らかではないし、また、本件特許明細書の段落【0080】に記載された「黒色色素を足したSpraylat International Protectapeel Multisurface」がどのようなものかも不明であるし、そもそも、その色が黒色であるか否かも不明であるのだから、引用発明のSecuredSolarTMの色との違いも理解できない。 したがって、特許権者の行った当該試験結果を適切に評価し、引用発明と比較することは、当業者であっても困難である。 さらに言えば、第2の2(3)エ(イ)のとおり、特許権者の上記cの主張は新たな技術的事項を導入しようとするものである。 よって、主張cは採用できない。 (d)上記dの主張について 特許権者の主張は、SecuredSolarTMを1.65m×1mのパネルに対して塗布した場合には、2300ミクロンと主張するものであるが、当該算定値は仮定に基づく理論値であり、蒸発や吸収などの要因も考慮すると、必ずしもこのような値になるとは限らないし、仮にこのような値であったとしても、引用例1は当該値に限定されるものではないから、上記(3)イ(イ)で説示した判断に影響を与えるものとはいえない。 よって、主張dは採用できない。 (e)上記eの主張について 特許権者の上記主張には、引用例1に記載された「風雨では剥がれないこと」、「耐火性があり、燃えないこと」及び「簡単に剥がせること」等がアイデアにとどまるという根拠がない。 また、仮に、上記の記載がアイデアにとどまるものだとしても、当該記載を示唆として、上記(5)で検討したとおり、引用例3及び4に記載されているような周知技術を踏まえ、引用発明において、コーティング組成物に、離型剤、難燃添加剤またはUV安定剤を含有させることは、当業者が必要に応じて適宜なし得ることであるのだから、引用発明が実施できないものであったとはいえない。 よって、主張eは採用できない。 (イ)上記ア(イ)の主張について カーボンブラック自体が遮光性を持つものであって、カーボンブラックを含有する樹脂が水溶性であるか否かと直接の関係はないから、樹脂が水溶性であるか否かが、引用発明に引用例2に記載された技術を適用することができないとする理由とはならない。 そして、上記(3)イ(ア)に記載したとおり、引用発明と引用例2に記載された技術とは、不透明の膜により太陽光を遮光することによって太陽電池の感電事故を防止する点で共通するのであるから、引用発明において、引用例2に記載されたカーボンブラックにより、遮光を行うようにすることは当業者であれば容易に想到できたものである。 したがって、上記主張は採用できない。 (11)請求項2、6、7に対する特許異議の申立てについて 上記第2のとおり、請求項2、6、7を削除する本件訂正が認められたので、請求項2、6、7に対する本件特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなった。 したがって、請求項2、6、7に対する本件特許異議の申立ては、不適法な特許異議の申立てであるから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定によって却下すべきである。 第5 むすび 以上のとおり、請求項1、3ないし5及び8ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内または外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 したがって、請求項1、3ないし5及び8ないし11に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 また、請求項2、6、7に対する本件特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ソーラーパネルをコーティングする方法 【技術分野】 【0001】 〔関連出願〕 本願発明は、2012年7月23日に出願された豪州出願公開第2012903137号の優先権を主張するものであり、その開示事項は参照物として本願に組み込まれる。 【0002】 本願発明は、ソーラーパネルによって製造される電力を切ってパネルを電気的に安全にする方法に関する。特に、本発明は、スプレーできる、注ぐことができる、または、ブラシで塗ることができる構成物と、火災または洪水の状況においてソーラーパネルをコーティングするための構成物の使用とに関し、或いは、メンテナンス目的でパネルを電気的に無効化することにも関し、この出願を参照に説明されるだろう。しかしながら、本発明は、これらの特定の分野の使用に限定されるものではないことが理解されるだろう。 【背景技術】 【0003】 先行技術の以下の説明は、本発明を適切な技術内容に位置づけるように、かつ、その利点がより完全に理解されるように提供される。しかしながら、明細書に亘る先行技術のいかなる説明も、このような先行技術が公知である、または、当分野における一般常識の一部を形成するような黙示的な承認であると受け止められるべきではない。 【0004】 エネルギーコストは急速に上がり、社会は、必死に温室効果ガス排出を低減する方法を必死に探し求めている。ソーラーパネルは、代替エネルギー源として考慮されている選択肢の最も広く採用されている1つになった。太陽電池(光電池または光電管とも呼ばれる)は、光のエネルギーを光起電力効果によって直接電気に変換する固体電気装置である。セルの組立体は、日光からエネルギーを受け取るために使用されるソーラーモジュールを作るために使用され、ソーラーパネルとして公知である。 【0005】 太陽エネルギー技術への関心は、急速に高まっている。多くの政府機関省庁及び産業が毎年大金をつぎ込み、より効率的なセルの調査をしている。光電池製造が、2年毎にエネルギーを倍にしてきており、世界の最速成長エネルギー技術であることが推定されている。また、豪州の家の2%がソーラーパネルシステムを設置していると推定されており、ここ数十年に亘りかなり広まることが予想されている。他の国々は、この技術を既により多く採用しており、いくつかの国々は、住居の5%以上がソーラーパネルシステムを設置している。ソーラー技術は、市街地の建物に適応可能なだけでなく、主要電力に繋ぐことがコスト的にも難しい商業的、遠隔的、または、田舎での適用においても、商業的かつ産業的な用途における効率性において有利なため際立った実用性が見出される。 【0006】 建物の屋根に設置されたソーラーパネルは、日中に太陽光を吸収し、すぐにそれを直流電流の電気エネルギーに変換する。次いで電気は、インバーターに流れ、家での使用のためにDC電力を標準的な交流に変換する。ソーラーグリッドが発電しているときはいつでもこの電気は、商用電源と同期され、電気パネルが太陽エネルギー及び商用電力を家中に分配する。ある場合では、太陽光のピークの時間帯は、発電される太陽電気が家の必要電力を超え、商用メーターが反対に回ることも珍しくない。この場合、余分の電力は、電気会社に売り戻すことができる。商用電力は、夜と、家での需要が太陽発電を超えるときに自動的に供給される。あるシステムは、太陽が照っていない際に使用するための電気エネルギーを貯蔵するバッテリーも含む。 【0007】 しかしながら、ソーラーパネルシステムに関連するいくつかの問題があり、特に、消防士及び救急作業員に与える安全性の課題がある。例えば、2002年にスイスの消防士が、彼がソーラーパネルからの感電によって負傷したし、2007年には、アリゾナの消防士が、消防活動中に二次的に感電した。この場合、家の電気は、ユーティリティボックスに保護されていたが、この事件で作業中の消防士は、ソーラーパネルシステムがまだ活きていることに気付かなかった。従って、消防士及び救急作業員は、今では、ソーラーパネルシステムを有する建物上で火災の地上作業を指揮する際は、ソーラーパネルシステムは、常に活性しているとみなされないといけないことを略例外なく訓練される。言い換えると、建物の電気がパネルで切られていたとしても、ユーティリティボックスの電気的に下流にあるもの全ては、まだ通電しているとみなす必要がある。例えば、雲がかかっている、霧、及び気温などの環境的要因がソーラーパネルシステムの性能に影響し得ることが知られているが、消防士及び救急作業員は、常に、通電している電気器具であるようにシステムを扱うように訓練される。 【0008】 この問題を避けることを試みる上で、ある消防士は、救助用カバーで太陽光を遮蔽することによってソーラーパネルシステムを塞ぐことを試みた。これらの場合では、システムによって発電されるエネルギーは減らすことができるが、この解決策は、太陽を完全に遮蔽せず、システムは、犠牲者候補を感電させるのに十分な電気をまだ発電できる。また、これは、消防士及び救急作業員が屋根の上に登ってカバーを設置しないといけないことを意味し、それ自体が危険である。さらに、風が強い状況では、風でカバーが飛ばされること、または、不注意で外れたり、消防器具からの高圧水流で部分的に動かされたりすることもありがちである。 【0009】 別の解決策では、ある消防士は、太陽光を遮蔽するために標準的な消防断熱材でソーラーパネルを覆うことを試みたが、似たような結果、すなわち、太陽光がまだ断熱材を貫通して、ソーラーパネルシステムが発電を継続する結果に至ることが分かった。この特定の例では、断熱材がパネルから滑り落ちる傾向があることがわかった。 【0010】 ソーラーパネルがもたらす別の電気的な危険がある。例えば、消防士または救急作業員がソーラーセルを保護するガラスを割ってしまった場合、これは、システム内の内在するすべての電力が放電される可能性があり、致命的になり得る。また、消防士及び救急作業員は、露出した電線が屋根を通って空洞内に落ち、救助隊員を感電させ得ることから、屋根に太陽電池システムを有する構造物の屋根裏または屋根の下の空洞に入る際に極めて気を付ける必要がある。 【0011】 別の危険は、多くの有害化学物質の使用を含む太陽電池そのものに関する。説明のために、火災または爆発の際、太陽電池は、これらの有害化学物質を放出し得え、それらの周辺で働く消防士及び救急作業員と、風下にいる任意の一般人に吸入する危険を与える。小さな住居システムの場合、危険に身をさらすことは比較的少ない。しかしながら、商業施設に見られるようなより大きなアレイは、消防士、救急作業員及び公衆が危険に身をさらすことになり易い。 【0012】 火災が消されると、ソーラーパネルは、現場を片付けるために雇われた人たちに本当の危険を及ぼし続ける。構造物が破壊され、ソーラーパネルががれきの下に埋没されたとしても、依然としてパネルが電流を作ることが可能である。別の問題は、洪水中に引き起こされ得る。例えば、主電源配電盤が水位線より下にあり、かつ、屋根が水位線より上にある場合でも、パネルはまだ発電可能だろう。 【0013】 ソーラーパネルが与える別の問題は、多くの消防署が消防自動車及び梯子車に備える「ホットスティック(hot stick)」は、交流のみを検知し、太陽電池及びインバーターは直流のため、ホットスティックを使ってソーラーパネルシステムが作動するかを判断することは、消防士を間違った安心感に誤らせる。電流がなかったとしても、アレイからの電線は、非接触の手段では検出されない電位差を有するだろう。 【0014】 消防士の安全は最重要であり、典型的な近代の消火活動団は「動態的リスクアセスメント」に携わり、それは消防士が消防署から出発したときから始まる。言い換えると、火災になる前及びその過程で、火災自体の情報、火災の建物のタイプ、その可能性のある内容物、及び、建物の周囲の情報さえ消防士にフィードバックされる。これにより、消防士は、完全に情報を得た上で火災現場に到着することができ、従って、迅速で教育された決定を下すことができる。しかしながら、リスクが確認され、最小化されるまで消防士は作業に携わらないだろうし、ソーラーパネルがある場合、従来の方法でパネルの安全性を確認するのに貴重な時間が無駄になる。生命及び財産がこの遅れのせいで危険にさらされる。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0015】 【特許文献1】米国特許第3,615,972号 【特許文献2】米国特許第4,427,836号 【特許文献3】米国特許第4,735,995号 【特許文献4】米国特許第5,104,737号 【特許文献5】米国特許第5,310,780号 【特許文献6】米国特許第5,912,299号 【特許文献7】国際公開00/22016号(PCT/US99/23428) 【特許文献8】米国特許第5,739,196号 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0016】 本願発明の課題は、先行技術の1つ以上のデメリットを克服または改善する、または、少なくとも役立つ代わりの方法を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0017】 第1の態様によると、本発明は、ソーラーパネルによって受光されている光量を低減し、かつ、その電気出力を低減するようにソーラーパネルをコーティングする方法を提供し、この方法は: 前記ソーラーパネルの受光領域を十分な厚みのコーティング組成物でコーティングするステップであって、コーティング組成物は、結果として前記ソーラーパネルの電気出力が所定レベルより小さくなるまで低減されるように光電池に届く光量を低減するように適合された、ステップを備える。 【0018】 関連する態様によると、本発明は、ソーラーパネルの光電池によって受光される光量を低減するために前記ソーラーパネルの受光領域をコーティングする組成物を提供し、この組成物は: 結合剤;及び、 不透明化剤; を備え、 不透明化剤は、ソーラーパネルの結果と生じる電気出力が所定レベルより小さくなるまで低減されるように、組成物の所定の膜厚が組成物を通過する光透過を低減するのに十分な量含まれる。 【0019】 また、さらなる態様によると、本発明は、ソーラーパネルの受光領域上にコーティング組成物を送り出す装置であって、この装置は、 大量のコーティング組成物を保持するための容器; コーティング組成物のスプレーまたは噴流を送り出すための送出しノズル;及び、 送出しノズルを介して容器からコーティング組成物をくみ上げるためのポンプ; を備え、 ポンプ及び送出しノズルは、コーティング組成物が、比較的拘束された噴流またはスプレーの集中射撃として、かつ、少なくとも2mの距離まで送り出し可能なように構成される、装置を提供する。容器、送出しノズル、及びポンプは、流体連通する。 【0020】 関連する態様によると、本発明は、ソーラーパネルの受光領域上にコーティング組成物を送り出すシステムであって、このシステムは、 受光領域上にコートされる際にソーラーパネルへの光透過を低減するように適合されたコーティング組成物; 大量のコーティング組成物を保持するための容器; コーティング組成物のスプレーまたは噴流を送り出すための送出しノズル;及び、 容器からコーティング組成物をくみ上げ、送出しノズルを介して出すためのポンプ; を備え、 ポンプ及び送出しノズルは、コーティング組成物が、比較的拘束された噴流またはスプレーの集中射撃として、かつ、少なくとも2mの距離まで送り出し可能なように構成される、システムを提供する。 【0021】 好ましくは、さらに下記で説明されるように、ソーラーパネルの所定の電気出力レベルは、生理学的影響を及ぼすレベルより小さい。 【0022】 好ましくは、ポンプ及び送出しノズルは、コーティング組成物が、比較的拘束された噴流またはスプレーの集中射撃として、かつ、約2m、5m、10m、15m、20m、30m、40m、または、50mの距離まで送り出し可能なように構成される。 【0023】 さらなる態様によると、本発明は、ソーラーパネルの結果と生じる電気出力が所定レベルより小さくなるまで低減されるようにソーラーパネルの受光領域をコートするコーティング組成物の使用を提供する。好ましくは、ソーラーパネルの結果と生じる電気出力が所定レベルより小さくなるまで低減されるのに十分な厚みのコーティング組成物が、ソーラーパネルの光電池に届く光量を低減するように塗布される。 【0024】 本発明は、ソーラーパネルシステムの迅速かつ効果的な電気無効化を可能にすることが理解されるだろう。有利に、パネルは、パネル自体から安全な距離から無効化され得、従って、消防士及び/または救急作業員が、パネルを電気無効化するためにパネルを支持する構造の上に物理的に登る必要を避けられる。本発明の方法は、特に火災及び洪水の状況における、設置されたソーラーパネルの使用周辺の安全性を向上させることを目的としている。しかしながら、本発明は、発送及び配達する前にソーラーパネルを事前コートするためにも利用され得、これにより、ソーラーパネルは、電気無効化された状態でその意図される設置場所に到着し、電気接続されてから、コーティングを取り除き、光電池を活性化し、発電を始められる。 【0025】 本発明は、また、電気的に欠陥があるパネルを電気無効化するために利用され得る。過去に、火災の原因となる電気接続不良を有するソーラーパネルが売られていた。屋根の上にこの危険なソーラーパネルを有する人々は、ソーラーパネルを本職の電気技師を必要とする「安全な方法」で接続を外すように助言された。電気技師は、接続を外す前にパネルを電気無効化でき、最後に正常な電線を再接続することが望ましい。また、電気接続不良は、屋根の上にジャンプするスパークし、火災を引き起こし得る。これらのスパークは、本発明におけるコーティングを塗布することによってソーラーパネルを電気無効化することによって排除できる。 【0026】 好ましくは、ソーラーパネルの電気出力が、0まで、または、少なくとも生理学的影響を及ぼすレベルより小さくなるまで低減される。また、本発明は、火災の消防活動している人、または、火災の後の片づけをする人にさえ、感電の可能性を最少化するように火災の前、間、または、後で、ソーラーパネルを電気無効化するために特に役立つ。また、本発明は、メンテナンスまたは検査目的のために、パネルを迅速、効果的、かつ、コスト効率よく電気無効化できるところに有効性を見出す。 【0027】 本発明は、ソーラーパネルを破壊することなくソーラーパネルの電気無効化を可能にすることが理解されるだろう。さらにまた、本発明の組成物は、好ましくは、強風状態でも除去されず、または、水/雨で流されず、かつ、パネル及びコーティング組成物が塗布された周辺の構造物(例えば屋根タイルなど)から比較的容易に外される。本発明のコーティングは、塗布され、必要な際には好ましくは、ソーラーパネルまたは周辺の構造に跡をつけることのない単一の付着性シートとして除去されるように設計されている点において犠牲的であることが理解できるだろう。本発明のコーティングは、あるコーティングが何カ月も、または、延長された期間入居者がいないままである建物の場合は何年も、依然として有効であることが必要であるため、好ましくは、難燃添加剤、及び/または、コーティングが強力な日光で劣化しないようにUV安定剤を含むように配合されることがさらに理解されるだろう。しかしながら、別の実施形態では、時間と共に劣化し、かつ、崩れ落ちるように、コーティング組成物がUV安定剤を含なくてもよい。好ましくは、コーティング膜が水溶性ではない。 【0028】 コーティング組成物に関連して、膜厚と不透明化剤濃度との間に日光透過率における決定的または所定の低減を達成する関係が存在し、これにより、結果として生じるソーラーパネルの電気出力が、所定レベルより小さくなるまで低減されることが理解されるだろう。説明すると、体積したコーティング膜の厚みが厚いほど、光透過率の所定の低減をもたらすために比較的低減された量の不透明化剤が必要とされ、その逆の場合も同じである。本発明は、特定の量の不透明化剤または特定の膜厚に限定するものではない。日光の透過率の必要な低減をもたらす、膜厚と不透明化剤濃度の全ての組み合わせが本発明の範囲内に含まれることが考えられる。しかしながら、コーティング組成物は、好ましくは、光透過率の低減を最大化するため、かつ、塗布される必要があるコーティング組成物の量を最少化するために高い不透明化剤充填量を有する。 【0029】 可能な組成物の膜厚は、1ミクロン?2000ミクロンである。しかしながら、好ましい膜厚は、約5、10、25、50、75、100、150、200、250、及び、500ミクロンである。5%?50%の不透明化剤濃度が可能であるが、不透明化剤は、通常、約5重量%?20重量%組み込まれる。 【0030】 当業者は、不透明化剤が、通常、コーティングシステムを不透明にするため、かつ、入射光の透過率を低減するためにコーティングシステム(この場合結合剤)に足される不活性物質であることに気付くだろう。不透明化剤は、通常、結合剤とはかなり異なる屈折率を有し、二酸化チタン(鋭錐石とルチルの両方の形おける)及び/または炭酸カルシウムが、表面コーティングにおける不透明化剤として使用される。しかしながら、酸化亜鉛、タルカムパウダー、カーボンブラック、拡張された、または拡張可能な熱可塑性微小球体(特許文献1参照)、Rohm and Haas社で製造される「ROPAQUE OP-62」(特許文献2参照)、及び、同類材料などの、別の不透明化剤が当業者には既知ある。 【0031】 好ましくは、日光の透過率は、本発明の組成物なしでの受光量、すなわち入射光の0%まで、または、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75%より小さくなるまで低減される。好ましくは、受光領域の100%がコーティングされる。 【0032】 組成物が、光電池によって受光される日光量を低減し、それによりソーラーパネルの電気出力を低減することが理解されるだろう。 【0033】 1つの好ましい実施形態では、単一のコーティングが塗布されて所定または決定的な光透過率の低減を達成する。しかしながら、複数のコーティングが必要であってもよい。 【0034】 本願は、光電池に透過する日光を遮蔽するためにソーラーパネルの表面をコーティングするためのコーティング材及びコーティング材の使用を提供し、これにより、効果的にパネルを無効化する。好ましくは、コーティングは、電流を0まで、または、少なくとも本願明細書に参照によって組み込まれるオーストラリア規格60479.1:2003のページ22のb行に記載されているような生理学的影響を及ぼすレベルより小さくなるような所定または閾値レベルより小さくなるまで低減する。好ましくは、ソーラーパネルは電気無効化される。本発明は、ソーラーパネルによって作られるDC電流を、上記のオーストラリア規格で規定されたような知覚閾値、及び/または、反応の閾値より小さくなるまで低減することを目的にしている。さらに、本発明の利点は、心室細動の可能性を50%より小さく、好ましくは5%より小さく、さらに好ましくは1%より小さくなるまで低減することである。 【0035】 コーティング組成物は、好ましくは、導電性でないように配合される。 【0036】 本発明のために適切な結合剤は、コーティング組成物がおそらく火災にまたは火災の近くに向けられることから、水性のものである。しかしながら、少量の揮発性有機化合物(VOC)が、組成物に組み入れられ得る。好ましいコーティング組成物の1つでは、水が組成物の約20重量%?約95重量%の割合を占め、かつ、ブラシ、ローラー、または、スプレーでの塗布を容易にするため、組成物は、通常、約50重量%?90重量%、最も好ましくは60重量%?85重量%の水を最終的な組成物内に含む。本発明の水希釈性の膜成形コーティング組成物の組み合わされた不揮発性部分は、通常約5重量%のみの割合を占めるだろう。 【0037】 本発明のコーティング組成物の結合剤は、少なくとも1つの水希釈性の膜成形ポリマーを備える。本願明細書で使用されているように、「膜形成ポリマー」との用語は、ポリマーが、全ての溶剤またはキャリアの蒸発で、かつ/または、ポリマーの硬化で、連続した膜を形成することができることを意味する。本願明細書で使用されているように、「水希釈性」との用語は、水に安定して分散され得るすべてのポリマーを含むことを意味し、かつ、水溶性ポリマー、分散液、エマルジョン、及び、ラテックスを含むことを意味する。揮発性成分は、主に水である、または、あり得る。 【0038】 水溶性ポリマーは、通常、水溶性をもたらすポリマー上に十分な親水性及び/またはイオン・グループ(例えば酸またはアミン・グループ)を有する材料として、業界では理解される。多くの用途のために、少なくとも約2000の数平均分子量を有するポリマーを利用することが好ましい。 【0039】 水溶性ポリマーを生成する1つの一般的なアプローチは、水溶性をもたらすように後で中和され得る酸またはアミン・グループなどの、化学量論の過剰イオン・グループを有する反応物の縮合反応による。水溶性ポリエステル類、ポリ尿素、ポリウレタン、及び、他のポリマーが、このように用意され得る。 【0040】 例えば、水酸基、アミン、及び/またはエポキシ官能性を有する反応物をもつ化学量論の過剰酸性基または過剰無水物基を有する反応物の結露重合反応は、水溶性をもたらすアミンなどの、ベースで中和されることができる酸性機能的なポリマーを生産することができる。同様に、水溶性ポリマーは、ポリカルボン酸、ポリエポキシド、ポリイソシアネート、及び、水溶性をもたらすように酸と中和され得るアミン機能ポリマーを生成するための他の材料などの共反応物を有する化学量論の余剰アミン官能性を有する反応物の反応によって生成され得る。 【0041】 水溶性ポリマーを生成するための当業界で公知の別の方法は、水溶性をもたらすイオン基の中和が次いでなされる他の不飽和単量体を有する、アクリル酸、メタクリル酸ジメチルアミノエチル・アクリル酸塩などの酸またはアミン官能性を有する不飽和基の遊離ラジカル重合による。 【0042】 代表例は、特許文献3に教示されるような水希釈性のアクリル改質ポリエステル;特許文献4に教示されるような酸官能空気乾燥ポリウレタン;及び、特許文献5及び6に教示されるようなポリウレタン分散液を含む。 【0043】 水溶性ポリマーを生成する多くの他の方法も当業界で既知である。代表的な工業用水溶性樹脂は、Kelsol DV-5862、Reichhold Chemicals and Rezimac WR 73-7331の水希釈性のアルキド樹脂、Eastman Chemicalの水希釈性のエポキシ樹脂を含む。 【0044】 他の水希釈性の膜形成ポリマーは、ラテックス樹脂を含む。代表例は、スチレン・ブタジエン・ラテックス、ポリ酢酸ビニル・ラテックス、アクリルラテックス、及びその多数を含む。これらのタイプのポリマーは、よく、エマルション重合によって用意され、反応性モノマー及び適切な開始剤は、乳化剤の存在下で水の中で乳化にされて水の中でポリマー粒子の安定した分散を提供する。本発明のある用途にとって、より疎水性であるラテックス樹脂を利用することは特に役立つ。これらのタイプのラテックスは、さらに疎水性であるモノマーを利用することによって、かつ、より感水性でない、または、ラテックス・ポリマー自体に直接組み入れられ得る界面活性剤または乳化剤を使用することによって典型的に用意される。 【0045】 本発明の実施に便利なラテックスの代表例は、特許文献7及び8に教示されるラテックス・ポリマーを含む。本発明の実施に便利な代表的な工業用ラテックス樹脂は、Rohm and Haas社のRhoplex(登録商標)Multilobe 200 (アクリルラテックス)、Rohm and Haas社のRhoplex(登録商標) AC-264 (アクリルラテックス)、Union Carbide社からすべて入手可能なNeocar(登録商標)2300(バーサティック酸ビニルベースのラテックス)、UCAR(登録商標)651(アクリル共重合体)、Ultracryl(登録商標)701(アクリルラテックス)、Neocar(登録商標)820(アクリルラテックス)、及び、Neocar(登録商標)7657及び7658(疎水性のアクリルラテックス)を含む。 【0046】 好ましくは、結合剤は、室温より低いTgを有し、これにより、ゴム状である。 【0047】 好ましくは、組成物は、それを付着させられるために、かつ。組成物が塗布される表面を湿潤するために、低い表面張力を有するように配合される。これらの材料は、組成物の表面張力を低くし、これにより、組成物が、基材を「湿潤」し、これにより、塗布工程を促進する。 便利な表面張力変更剤は、Air Products and Chemicals社から入手可能なSurfynol(登録商標)104及びSurfynol(登録商標)TGとの商品名で取引されるこれらのものを含む。 【0048】 好ましくは、組成物は、ソーラーパネル上に離れたところかスプレー可能なように適合される。好ましい実施形態では、組成物は組成物が、適切なスプレー装置から放出される際に散布というより「噴流」または細流のままであるようにレオロジープロファイルを有するように配合される。好ましくは、組成物は、2m、4m、6m、8m、10mまたは15mまでの距離を略噴流の形のままである。別の実施形態では、組成物は、ブラシまたはローラーで塗布可能であり、あるいは、ソーラーパネルの上に直接注ぎかけることによってでさえ塗布される。 【0049】 好ましくは、組成物は、所定のレオロジープロファイルを有するように配合され、すなわち、組成物は、ソーラーパネル上にスプレーされるなどの高せん状況下で低い粘度を示し、パネル上に一度堆積されるなどの低せん状況下では高い粘度を示す。組成物は、好ましくは、パネル上に留まり、かつ、垂れたり、流れたりしないように適合されることが理解されるだろう。一度堆積された組成物の著しい流れが、最終的な膜の厚みの低減に終わり、これにより、ソーラーパネルの受光領域に透過する光を多くする。 【0050】 好ましくは、組成物は、使用待ちの際または長時間略浮遊状態であるようにも適合される。これは、救急作業員が事件に到着する際に、材料を混ぜて浮遊状態に戻す時間がないときに好ましい。 【0051】 好ましくは、組成物は素早く乾くように適合され、例えば、1分?5分以内に粘々になり、5分?10分で略乾く。所定時間内に粘々になるように、好ましくは、結合剤が。1つまたは2つの架橋剤を含む。当業者であれば、適切な架橋剤を知っているだろう。 【0052】 好ましくは、結果として起こる乾燥した膜は、単一の膜として無孔表面から比較的容易に剥がすことができる粘着性を有する。この特徴により、ソーラーパネルが、それを電気無効化するように処理/コーティングされた後で、比較的容易に膜を除去できる。ましくは、「離型剤」は組成物に組み入れらない。このような離型剤は、当業者には周知であり、シリコーン含有化合物などの材料を含む。好ましくは、組成物は、コーティング組成物の耐火性を向上させる添加剤を含む。このような添加剤は、当業者には周知であり、陶製微小球体またはモノフォニックのリン酸アンモニウムなどの材料を含む。 【0053】 ある好ましい実施形態では、組成物はUV抑制剤を含まず、または、結果として起こる膜のUV破壊を拡大する、または、促進する添加物を含む。この実施形態は、パネルへのアクセスが困難であり、かつ、ソーラーパネルは電源を切りたいが、短期間の後、発電を再び始めさせたい際に特に便利である。好ましくは、コーティング組成物の膜が、約2週間?6週間以内に日光でかなり劣化するように組成物が適合される。この実施形態では、結果として生じた層が、その便利な寿命で役割を果たしたのち、もう必要でなくなると、太陽の作用が膜を劣化し、それが壊れやすくなり、風及び雨で落ち去る。ンクリートタイルなどの多孔性基材の上に堆積される任意のスプレーのかけ過ぎが、そこにいくらか吸収されやすく、剥がれ落ちにくくなることで、これは特に便利である。従って、UV抑制剤を含まない、または、分解触媒を含むと、時間に伴いスプレーをかけ過ぎた領域を「修正」する。しかしながら、ある実施形態では、比較的多い量のUV抑制剤が含まれ、これにより、膜が日光によって劣化せず、ソーラーパネルが延長された期間電気無効化されたままになる。 【0054】 ある好ましい実施形態では、組成物は、離型剤を含み、これにより、それが塗布された表面からコーティング膜が比較的容易に剥がされる。このような添加剤は、当業者には周知である。 【0055】 ある場合では、コーティング組成物は、単にソーラーパネル状に注ぎかけられ得る。Hしかしながら、多くの場合、ソーラーパネルは、5m、10m、15m、20m、またはそれ以上の距離であり得る安全な距離からコーティングされる必要がある。このような場合、ソーラーパネル上にコーティング組成物を送り出すために特化された送出し装置が必要である。好ましくは、送出し装置は、大量の本発明のコーティング組成物を含むことができ、高圧下でコーティング組成物の短い集中射撃を送り出すことができ、かつ、比較的拘束された細流または噴流でその分量を送り出すことができる。こうすると、コーティング組成物のパルスが、最小限の過剰スプレー及び無駄で比較的正確にソーラーパネルに送り出され得る。言い換えると、コーティング組成物は、ノズルを介して送り出される際の噴霧化を避けるように適合される。これは、コーティング組成物のレオロジープロファイルを制御することで達成され得る。 【0056】 1つの適切な送出し装置は、コーティング組成物のための容器またはタンクと、送出しノズルとを含む。送出しノズルは、操縦性をよくするためにホースでポンプに接続され得る。適切なポンプは、当業者には周知であり、例えば、遠心ポンプ、ピストン・ポンプ、螺旋形のポンプ、及び、ねじポンプである。別の実施形態では、容器/タンク内のコーティング組成物を加圧するために空気圧縮機が使用される。好ましいガスは、窒素、アルゴン及び二酸化炭素などの難燃性のものである。他の難燃性ガスは当業者には既知であろう 【0057】 上述にように、組成物は、代替的にブラシ、ローラー、またはバケツによって塗布され得る。 【0058】 好ましくは、組成物は、それ自体は燃えていないソーラーパネル上に堆積される。しかしながら、状況次第では、ソーラーパネルも引火し得る。このような場合、感電のリスクを最小化するためだけでなく、火を消すためにもソーラーパネルをコーティングすることが有利である。十分な量の水がコーティング組成物内に利用される場合、電気的にオフにされるのと同時にソーラーパネルの火が消され得る。 【0059】 火災が夜あった場合、ソーラーパネルから感電するリスクはあまりないことが理解されるだろう。しかしながら、日光が照ると、パネルが再び「活発」になり、現場を片付けるため誰かのリスクを引き起こし得る。従って、日光の出る時間に感電を防止する手段として夜の火災でもパネルをコーティングすることは有利である。 【0060】 多くの種類及びタイプの先行技術の表面コーティングが業界で既知である。あるコーティングは、装飾目的で使用され、本発明用、すなわち、電気的にパネルをオフにするために透過光の量を最少化するためには適切ではないだろう。別のコーティングは、例えば、表面への損傷を防止するように配合され、従って、無孔性表面から比較的容易に剥がすことができる頑強で丈夫な膜を提供することなどを考えて、特定の機能的な目的で配合される。本発明のコーティングは、その乾いた膜を通る光の透過を防ぐように適合されるが、好ましくは、基材から比較的容易に剥がすことができる頑強で丈夫な膜も提供する。従って、組成物は、膜を通過する光透過率を低減、抑止するように選択される、または、高い光反射率を有すように選択される、比較的多くの不透明化剤の充填量を有するように配合される。 【0061】 組成物は任意の色でよく、好ましくは、組成物は、例えば明るいオレンジのような典型的な屋根の色に対して容易に気付く色をもたらす色素で着色される。このことは、消防士が、組成物が塗布されたところが比較的簡単に分かり、ソーラーパネルが良好に覆われていることを確認できるようにする。このことは、パネルが覆われており、その住居が電気的に安全(少なくともソーラーパネルからは)であることの、他の人への明確に可視できる合図も提供する。しかしながら、ある実施形態では、組成物は白、黒、またはグレーで着色されてもよい。 【0062】 また本発明は、光電池の電気出力のリアルタイム表示を提供することにおいて特に有利である。説明すると、住居の主電源がオフにされると、住居の電力出力は、消防士がパネルをコーティングする一方で、別の消防士によって(メイン/ユーティリティボックスで)測定され得る。光電池の電気反応は、略即時であり、電気出力ボックスをモニターしている人が、電力が0まで、または、有害な生理学的影響を及ぼすレベルより小さくなるまで低減されたことを報告するまで、コーティング組成物が連続的に塗布され得る。これにより、消防士は、十分なコーティングが塗布されたこと、及び、電力レベルが本当に低減されたことについてある程度自信を持てる。それなしでは、単なる予想、または、分からないままであろう。 【0063】 光電池の電気出力は、電圧(V)、電流(A)、及び、電力出力(W)で表されることが理解できるだろう。好ましくは、ソーラーパネル上の100ミクロンのコーティングは、0.9kW/m^(2)?1kW/m^(2)の日射を受容するコーティングされていないパネルの0.05%?0.15%まで電流を低減する。好ましくは、ソーラーパネル上の100ミクロンのコーティングは、0.9kW/m^(2)?1kW/m^(2)の日射を受容するコーティングされていないパネルの5%?15%まで電圧を低減する。好ましくは、ソーラーパネル上の100ミクロンのコーティングは、0.9kW/m^(2)?1kW/m^(2)の日射を受容するコーティングされていないパネルの0.005%?0.05%まで電力出力を低減する。電力出力の似たような低減が、コーティング組成物の正しい配合によって、より薄い、または、より厚いコーティングで達成され得ることが当業者には理解できるだろう。 【0064】 本発明のコーティング組成物は、好ましくは、創造力は、ポリマーと、活性剤、難燃剤、及び、除去可能な消火剤として作用する粘着力調整剤を有する色素と、の均質化混合物を備える。コーティングは、光を遮蔽してソーラーパネルの電気出力を停止させる、個体のブランケットを形成する。塗布は、消火器などの圧力容器によって、または、手作業でのブラシ、ローラー、または、柔らかいはけによって、後で取り除ける個体のブランケットを形成する。 【0065】 あるこの好ましい実施形態では、大量のコーティング組成物含む、1回使用の事前に充填された容器が提供される。コーティング組成物は、そこにコーティングされた際に、ソーラーパネルを電気的にオフにするように適合され、容器は、十分な量の高圧不活性ガスで事前に充填され、これにより、容器がコーティングを噴流として2m、5m、10m、または、より長い距離送り出すことができる。この実施形態では、容器は、消火器と類似したものだが、消火媒体が本発明のコーティング組成物を入れ替えられている。別の実施形態では、容器は、新しいコーティング組成物を足すことができ、かつ、容器を再度加圧し、再度使用することができるような手動ポンプを含む。 【0066】 別の態様によると、本発明は、ソーラーパネルの受光領域上にコーティング組成物を送り出す装置であって、当該装置は、 大量のコーティング組成物を保持するための加圧可能容器;及び、 コーティング組成物のスプレーまたは噴流を送り出すための、容器と流体連通する送出しノズル;を備え、 容器は加圧可能であり、これにより、コーティング組成物が、比較的拘束された噴流またはスプレーの集中射撃として、かつ、少なくとも2mの距離まで送り出し可能であることを特徴とする装置を提供する。 【0067】 好ましくは、装置は、高圧不活性ガスで十分に加圧され、これにより、コーティング組成物が比較的拘束された噴流またはスプレーの集中射撃として、かつ、約5mの距離まで送り出し可能である。好ましくは、装置は、ソーラーパネルの現場に使用できる状態で配達され、つまり、それがすでに大量のコーティング組成物を含み、かつ、すでに十分に加圧されている。好ましくは、送出しノズルは、要求に応じて費用がかかる組成物を分配するための手動トリガーを含む。 【0068】 さらなる態様によると、本発明は、ソーラーパネルを電気的無効化する方法であって、方法は、 a)光電池に届く光量を低減するように適合されたコーティング組成物で前記ソーラーパネルの受光領域をコーティングするステップ、及び、 b)ソーラーパネルの電気出力を測定するステップ、 を備え、 結果とし生じるソーラーパネルの電気出力が、所定レベルより小さくなるまで低減されてない場合は、次いで、a)及びb)が、電気出力が所定レベルより小さくなるまで繰り返されることを特徴とする方法を提供する。 【0069】 本発明が、本願明細書に開示される実施形態及び特徴を備えるのと同時に、開示された実施形態及び特徴のすべての組み合わせ及び/または派生を含むことが理解するだろう。 【0070】 下記の添付図を参照に、例示目的のみの好ましい実施形態が下記に説明されるだとう。 【図面の簡単な説明】 【0071】 【図1】 地上レベルからコートされる建物の屋根上に位置するソーラーパネルの図である。 【図2】 約1kW/m^(2)の太陽光を受光する、コーティングなしのソーラーパネルの電流-電圧出力グラフのスクリーンショットである。 【図3】 約1kW/m^(2)の太陽光を受光する、コーティングが表面に施されてから約2分後の、黒色色素を含む表面コーティングを有するソーラーパネルの電流-電圧出力グラフのスクリーンショットである。 【図4】約1kW/m^(2)の太陽光を受光する、コーティングが表面に施されてから約62分後の、黒色色素を含む表面コーティングを有するソーラーパネルの電流-電圧出力グラフのスクリーンショットである。 【発明を実施するための形態】 【0072】 [定義] 本願発明を説明し、請求する中で、以下の用語が、下記に記載される定義に従って使用されるだろう。本願で使用される用語は、本発明の特定の実施形態を説明する目的のみのためであり、限定する意向はないことが理解されるべきである。定義されてない限り、本願で使われる全ての技術的かつ科学的用語は、本発明に関係する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。 【0073】 内容が明確に要求しない限り、明細書及び請求の範囲に亘って、「備える」「備えている」及び同義語は、除外とは反対に包含する、または包括する意味で解釈されるべきであり、つまり、「含んでいるが、限定しない」という意味である。 【0074】 作動例の他に、または、記されているところでは、本願明細書で使用される含有物の量または反応条件を表す全ての数字は、用語「約」によってすべてのケースにおいて変更されるように理解されるべきである。例は、発明の範囲を限定するものではない。下記おいて、または、記されているところでは、「%」は、「重量%」を意味し、「比率」は「重量配分比」を意味し、かつ、「部」は、「重量部」を意味する。 【0075】 本願明細書で使用される用語「大部分」及び「十分に」は、記されていない限り、重さで50%より多くを備えることを意味する。 【0076】 終点を使用する数値範囲の記載は、その範囲内に包含されるすべての数字を含む(例えば、1?5は、1、1.5、2.2.75、3、3.80、4、5等を含む)。 【0077】 用語「好ましい」及び「好ましくは」は、所定の環境下で一定の利点を提供し得る発明の実施形態に言及する。しかしながら、別の実施形態も、同一または別の環境下において好ましいこともある。さらには、1つまたは複数の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が役に立たないとの意味を含まず、本発明の範囲から別の実施形態を除外する意図はない。 【0078】 ここで本発明は、例示的であり、制限するものではないようにすべての局面において考慮されるべきである次の例を参照に説明される。 【0079】 図1は、ソーラーパネルアレイ3上にコーティング組成物2をスプレーする人物1を示す。ソーラーパネルアレイ3は、建物5の屋根構造4上に配置され、十分なコーティング2が、ソーラーパネルアレイ3を十分に覆うように塗布され、ソーラーパネルの光電池への光透過率を低減し、ソーラーパネルアレイ3の電気出力を0まで低減し、それを電気的に安全な状態にする。コーティング組成物2は、地上レベルからスプレーされ、送出し装置6からくみ上げられる。送出し装置6は、大量のコーティング組成物を保持する容器7と、送出しノズル9を介して容器7からコーティング組成物をくみ上げるポンプ8とを備える。ポンプ8及び送出しノズル9は、コーティング組成物2が、比較的拘束された噴流またはスプレーの集中射撃として送り出し可能なように構成される。ソーラーパネルアレイ3が、地上レベルに位置してもよく、または、2階または3回建て建物の上に位置し得ることが理解されるべきである。 【0080】 ソーラーパネル(ET Solarから提供される;ET-M53620;20ワットユニット;299mmx662mm)は、おおむね直立位置に配置され、約6秒間に亘る表面コーティングでコートして、コートされたパネルにした。パネルをコートするのに使用されるコーティング材は、黒色色素を足したSpraylat International Protectapeel Multisurfaceであった。足された色素の濃度は、約5重量%である。送出しシステムは、送出しノズル及びトリガーを有する加圧可能容器である。コーティング材が充填された際に、約4m離れたところからソーラーパネルにスプレーできるように、容器は十分に加圧された。太陽電池の電流及び電圧出力は、コーティング作業中及びコーティング作業後に測定された。測定は、Prova 200 Solar Module AnalyserをI-V曲線のために、及び、TES 1333R Datalogging Solar Power Meterを日射測定のために使用して行われた。日射は約0.9?1kW/m^(2)であった。 【0081】 図2を参照すると、コートされていないパネルが、1.051Aの最大電流、17.02Vの最大電圧、及び、17.9Wの最大電力出力を発電したことがわかる。図3を参照すると、パネルがコートされて2分後には電圧が2.372Vに落ち、電流が0.9mAに落ち、電力出力が2.09mWに落ちた。コーティングが塗布されて約1時間後には、パネルの電力出力が再度測定され、その結果は、コーティングが塗布された2分後のものと略同一であった(図4参照)。コートされたパネル電気出力は、上述の関連するオーストラリア規格について説明された、有害な生理学的影響を及ぼし得る値を下回る。 【0082】 本発明が特定の例を参照して説明されたが、本発明が多くの別の形に変更され得ることが当業者には理解されるだろう。特に、種々の説明された例の任意のものの特徴は、任意の別の説明された例との任意の組み合わせで提供され得る。 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ソーラーパネルの光電池によって受容されている光量を低減するために設置された前記ソーラーパネルをコーティングする方法であって、当該方法は、前記ソーラーパネルの受光領域を十分な厚みの硬化可能なコーティング組成物でコーティングするステップであって、前記硬化可能なコーティング組成物が、前記ソーラーパネルの受光領域を透過する光を低減させるように膜形成結合剤及び5重量%?20重量%の黒色の不透明化剤を備え、結果として前記ソーラーパネルの電気出力が所定レベルより小さくなるまで低減される、コーティングするステップを備え、 前記ソーラーパネルの電気出力の前記所定レベルは、生理学的影響を及ぼすレベルであり、電気出力の前記所定レベルは、知覚閾値または反応の閾値でのDC電流であり、又は、前記所定レベルは、オーストラリア規格60479.1またはその同等値であり、 前記コーティングの厚みは、50?2000ミクロンであり、これにより、光透過を入射光の0.1%より小さくなるまで低減し、 前記コーティングするステップは、修理前または修理中、洪水状況前または洪水状況中、電気事故前または電気事故中、あるいは、火災状況前、火災状況中、又は火災の状況後になされる、方法。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 結果として生じる電気出力は、コーティングを塗布しないソーラーパネルの電気出力と比較して電気出力の1%より小さくなるまで低減されることを特徴とする請求項1に記載の方法。 【請求項4】 結果として生じる電気出力は、電流で測定され、コートされていないパネルの電流の0.20%より小さくなるまで低減される;または、 結果として生じる電気出力は、電圧で測定され、コートされていないパネルの電圧の20%より小さくなるまで低減される;または、 結果として生じる電気出力は、ワット数で測定され、コートされていないパネルのワット数の0.10%より小さくなるまで低減される; ことを特徴とする請求項3に記載の方法。 【請求項5】 コーティングが硬化した場合に、コーティング組成物が塗布されたソーラーパネル及び任意の周辺の構造物から安易にコーティングが剥がされるように、前記コーティング組成物が離型剤を含む;または、 前記コーティング組成物は、難燃添加剤を含むように配合される;または、 コーティングが日光において6週間に亘って劣化しないように、前記コーティング組成物がUV安定剤を含むように配合される; ことを特徴とする請求項1に記載の方法。 【請求項6】 (削除) 【請求項7】 (削除) 【請求項8】 前記膜形成結合剤が、水溶性ポリマー、分散液、エマルジョン、及び、ラテックスから成る群から選ばれる水性結合剤であることを特徴とする請求項1に記載の方法。 【請求項9】 前記コーティング組成物は、UV抑制剤を含まないことを特徴とする請求項1に記載の方法。 【請求項10】 前記コーティング組成物は、付着性シートとして前記ソーラーパネルから除去されることを特徴とする請求項1に記載の方法。 【請求項11】 設置されたソーラーパネルを電気無効化する方法であって、当該方法は、 a)前記ソーラーパネルの光電池に届く光量を低減するように硬化可能なコーティング組成物で前記ソーラーパネルの受光領域をコーティングするステップであって、前記硬化可能なコーティング組成物が膜形成結合剤及び5重量%?20重量%の黒色の不透明化剤を備え、これにより、前記コーティング組成物の膜が前記ソーラーパネルの受光領域を透過する光を低減させる、ステップ、及び、 b)前記ソーラーパネルの電気出力を測定するステップ、 を備え、 結果として生じる前記ソーラーパネルの前記電気出力が、所定レベルより小さくなるまで低減されてない場合は、次いで、a)及びb)が、前記電気出力が前記所定レベルより小さくなるまで繰り返され、 前記コーティングするステップは、修理前または修理中、洪水状況前または洪水状況中、電気事故前または電気事故中、あるいは、火災状況前または火災状況中、又は火災の状況後になされ、 前記ソーラーパネルの電気出力の前記所定レベルは、生理学的影響を及ぼすレベルであり、電気出力の前記所定レベルは、知覚閾値または反応の閾値でのDC電流であり、又は、前記所定レベルは、オーストラリア規格60479.1またはその同等値であり、 前記コーティングの厚みは、50?2000ミクロンであり、これにより、光透過を入射光の0.1%より小さくなるまで低減することを特徴とする方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-10-16 |
出願番号 | 特願2015-523338(P2015-523338) |
審決分類 |
P
1
651・
852-
ZAA
(H02S)
P 1 651・ 853- ZAA (H02S) P 1 651・ 851- ZAA (H02S) P 1 651・ 121- ZAA (H02S) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 佐竹 政彦 |
特許庁審判長 |
瀬川 勝久 |
特許庁審判官 |
星野 浩一 井上 博之 |
登録日 | 2018-03-02 |
登録番号 | 特許第6297554号(P6297554) |
権利者 | ソーラー・デヴェロップメンツ・ピーティーワイ・リミテッド |
発明の名称 | ソーラーパネルをコーティングする方法 |
代理人 | 木村 一貴 |
代理人 | 阿部 達彦 |
代理人 | 実広 信哉 |
代理人 | 村山 靖彦 |
代理人 | 木村 一貴 |
代理人 | 村山 靖彦 |
代理人 | 阿部 達彦 |
代理人 | 実広 信哉 |