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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B
管理番号 1361835
審判番号 不服2019-10968  
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-08-20 
確定日 2020-05-12 
事件の表示 特願2015-129624「光学シート及びエッジライト型のバックライトユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月25日出願公開、特開2016- 28272、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
特願2015-129624号(先の出願に基づく優先権主張 平成26年7月9日)は、平成27年6月29日にされた特許出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
平成31年 3月13日付け:拒絶理由通知書
令和 元年 5月 8日付け:意見書
令和 元年 5月 8日付け:手続補正書
令和 元年 6月27日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 元年 8月20日付け:審判請求書
令和 元年 8月20日付け:手続補正書
(この手続補正書による補正を、以下「本件補正」という。)


第2 原査定の概要
原査定の拒絶の理由は、概略、本件出願の請求項1?16に係る発明(本件補正前のもの)は、先の出願前に日本国内において頒布された刊行物である引用文献1に記載された発明及び下記の引用文献2?7に記載された事項に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
1.特開2007-178792号公報
2.特開平11-30708号公報
3.特開2011-126274号公報
4.特開2006-98899号公報
5.特開2009-87824号公報
6.特開2011-100724号公報
7.特開2010-205417号公報
(当合議体注:
1)引用文献1は、請求項1?16に係る発明を当業者が容易に発明をすることができたことの論理付けにおける主引用発明が記載されたものである。2)引用文献2?3は、請求項1?16に係る発明を当業者が容易に発明をすることができたことの論理付けにおける副引用発明が記載されたものである。
3)引用文献4は、請求項5?6に係る発明を当業者が容易に発明をすることができたことの論理付けにおける副引用発明が記載されたものである。
4)引用文献5?7は、周知技術を示す文献である。)


第3 本件発明
本件出願の請求項1?請求項10に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」?「本件発明10」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1?請求項10に記載された事項によって特定されるとおりの、以下のものである。
「【請求項1】
透明な基材シートと、この基材シートの裏面に配設されるスティッキング防止部とを備え、
上記スティッキング防止部として複数の印刷ドットを有し、
上記印刷ドットが、平均高さの平均径に対する高さ比が1/2以下の半球状又は扁平半球状であり、
上記印刷ドットが、裏面側に配設される他の部材と湾曲した状態で当接する湾曲面を有し、
上記基材シートの表面側に積層される光拡散層をさらに備え、この光拡散層が光拡散剤とそのバインダーとを有し、
上記印刷ドットの平均高さが上記光拡散剤の平均粒子径より大きい光学シート。
【請求項2】
上記印刷ドットの平均径が1μm以上200μm以下である請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
上記基材シートの裏面における上記印刷ドットの存在密度が10個/mm^(2)以上2500個/mm^(2)以下である請求項1又は請求項2に記載の光学シート。
【請求項4】
上記印刷ドットの主成分が、アクリル系、ウレタン系又はアクリルウレタン系樹脂である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項5】
上記基材シートが、基材層と、この基材層の裏面に配設される他の機能層とを有し、上記印刷ドットが上記機能層裏面に形成される請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項6】
上記機能層が帯電防止層である請求項5に記載の光学シート。
【請求項7】
上記印刷ドットの平均径が上記光拡散剤の平均粒子径の2倍以上20倍以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光学シートと、
この光学シートの裏面側に配設される導光板と
を備えるエッジライト型のバックライトユニット。
【請求項9】
上記導光板が、表面に略平行に配設される複数の凹条部を有する請求項8に記載のバックライトユニット。
【請求項10】
上記印刷ドットの平均径が上記凹条部の平均幅以上である請求項9に記載のバックライトユニット。」


第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用された前記引用文献1(特開2007-178792号公報)は、先の出願前に日本国内において、頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定及び判断等に活用した箇所を示す。

(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、光拡散フィルム及びそれを用いた複合光学素子に関するものである。本発明の光拡散フィルム及び複合光学素子は、面光源装置を構成するのに好適に使用される。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル等のディスプレイパネルの照明用バックライト(面光源装置)としては、エッジライト方式のものや直下方式のもの等がある。エッジライト方式では、冷陰極管(CCFL)や発光ダイオード(LED)アレイ等の線状の一次光源を導光板の光入射端面に対向させ、一次光源から発せられる光を光入射端面を介して導光板に導入し、該導光板の主面である光出射面から光を出射させる。直下方式では、複数の冷陰極管(CCFL)や発光ダイオード(LED)アレイ等の線状の一次光源群を光拡散板(光拡散シート)の直下にアレイ状に配列し、一次光源から発せられる光を光拡散板によって拡散出射させる。
【0003】
このようなバックライトでは、液晶表示素子等の表示素子を均一に照らすために、板状(シート状)またはフィルム状の光学素子が複数枚使用される。この板状またはフィルム状の光学素子としては、エッジライト方式において、プリズムシートによる光の屈折を利用する場合(即ち、プリズム列形成面が光出射側となるように配置された屈折型プリズムシートを用いたエッジライト方式の場合)には、線状一次光源側から、導光板、光拡散フィルム、プリズム列方向が互いに直交するように配列された2枚のプリズムシート、及び光拡散フィルムが順に配置されるのが一般的である。光入射側の光拡散フィルムは、導光板に施される印刷等のドットが視認されるのを防止する機能や、プリズムシートにより画面の法線方向が最も明るくなるようにするための光偏向機能及び面内輝度の均一化の機能を担っている。また、光出射側の光拡散フィルムは、プリズムシートの保護機能や、視野角調整機能及び品位向上機能を担っている。一方、エッジライト方式において、プリズムシートによる光の全反射を利用する場合(即ち、プリズム列形成面が光入射側となるように配置された全反射型プリズムシートを用いたエッジライト方式の場合)には、線状一次光源側から、導光板、プリズムシート、及び光拡散フィルムが順に配置されるのが一般的である。また、板状またはフィルム状の光学素子としては、直下方式では、線状一次光源側から、光拡散板、光拡散フィルム、及びプリズムシートが順に配置されるのが一般的である。この時の光拡散フィルムは、輝度均一化機能及び視野角を調整するための等方性光偏向機能を有する。
【0004】
ところで、導光板、光拡散板、光拡散フィルム及びプリズムシートは、別々のシートまたはフィルムとして供給され、重畳配置される。このため、次のような問題がある。即ち、これらの素子の個別の打ち抜き加工及び物流が必要となること、これらの素子を組み立てる作業が必要になること、これらによってコストが高くなること、組み立て時にこれら素子の間に混入する塵埃のため歩留まりが低下すること、熱によるたわみを防止するため各素子の厚さを厚くする必要があること等の問題がある。特に、光拡散フィルムは、他のフィルムやシートとのスティキング(貼り付き)により、ニュートンリングと呼ばれる干渉縞が見えることがあり、その場合には光学性能が損なわれることがある。そこで、スティキング防止のために、光拡散機能を発揮する樹脂被覆層が形成されている側とは反対側の裏面に、微粒子を含んだ樹脂層(バックコーティング層)を形成する必要がある。
【0005】
そこで、板状またはフィルム状の複数の光学素子を1枚ものとするために、これらを貼り合わせることが考えられる。しかし、接着剤により単純に貼り合わせただけでは、それらの中間に空気層が確保できないために、所望の光学的性能が得られないことが多い。
【0006】
できる限り少ない枚数の板状またはフィルム状の光学素子で所望の光拡散機能や光偏向機能等を実現するために、間に空気層を確保した形で、プリズムシートの裏面と光拡散シートの表面とを微粒子粘着剤(感圧接着剤)を用いて貼り合わせることが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1には、光拡散シートとして、シート基材中に透明マイクロビーズを分散含有させたものや、シート基材の表面にマイクロビーズ含有光拡散層を形成したものが例示されている。
【特許文献1】特開平8-184704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の光拡散シートでは、光拡散シートの表面とプリズムシートの裏面とを貼り合わせており、しかもこれらの間に形成される空気層の厚さを均一にすることを目的としている。そのため、シート基材の表面にマイクロビーズ含有光拡散層を形成した光拡散シートの場合には、光拡散層の表面(露出面)をできるだけ平滑にしておくことが必要である。そのような光拡散層を有する光拡散シートでは、光拡散性を十分に高めることができないという問題点があった。
【0008】
本発明は、所望の光拡散機能や光偏向機能等を実現するために板状またはフィルム状の光学素子と間に空気層を確保した形で貼り合わせるのに使用され、貼り合わせの際の空気層の厚さを容易に均一にでき且つ光拡散性の十分に高い光拡散フィルムを提供することを目的とするものである。更に、本発明は、そのような光拡散フィルムと板状またはフィルム状の光学素子とを貼り合わせてなる複合光学素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、上記目的を達成するものとして、
透光性フィルム基材と、該透光性フィルム基材の第1面上に形成された微細凹凸構造層と、前記透光性フィルム基材の第2面上に離散的に形成された感圧型接着剤からなる凸部とを備えていることを特徴とする光拡散フィルム、
が提供される。
【0010】
本発明の一態様においては、前記凸部は前記透光性フィルム基材の第2面上にて異方性パターンにて離散的に形成されている。本発明の一態様においては、前記凸部は前記透光性フィルム基材の第2面上にて互いに略平行な線状または線分状のパターンにて形成されている。本発明の一態様においては、前記凸部は透光性を持ち且つ内部に光拡散剤を含有する。本発明の一態様においては、前記微細凹凸構造層は透光性バインダ樹脂と該透光性バインダ樹脂により保持され上部が前記透光性バインダ樹脂から突出している透光性微粒子とを含んでなる。本発明の一態様においては、前記透光性微粒子と前記透光性バインダ樹脂とは互いに屈折率が異なる。
【0011】
また、本発明によれば、上記目的を達成するものとして、
直下方式面光源装置において一次光源を覆うように配置される光拡散板の光出射側の表面に、上記の光拡散フィルムを前記凸部の感圧型接着剤により接着してなることを特徴とする複合光学素子、
エッジライト方式面光源装置において一次光源からの光が導入される導光板の光出射面に、上記の光拡散フィルムを前記凸部の感圧型接着剤により接着してなることを特徴とする複合光学素子、
エッジライト方式面光源装置において一次光源からの光が導入される導光板と組み合わせて使用されるプリズムシートのプリズム列形成面に、上記の光拡散フィルムを前記凸部の感圧型接着剤により接着してなることを特徴とする複合光学素子、及び、
エッジライト方式面光源装置において一次光源からの光が導入される導光板と組み合わせて使用されるプリズムシートのプリズム列形成面と反対側の面に、上記の光拡散フィルムを前記凸部の感圧型接着剤により接着してなることを特徴とする複合光学素子、が提供される。
【発明の効果】
【0012】
以上のような本発明の光拡散フィルムによれば、透光性フィルム基材の光拡散機能を実現する微細凹凸構造層の形成された側とは反対側の面に感圧型接着剤からなる凸部を離散的に形成しているので、間に空気層を確保した形で板状またはフィルム状の光学素子と貼り合わせる際の空気層の厚さを容易に均一にでき且つ光拡散性を十分に高めることができる。更に、本発明によれば、そのような光拡散フィルムと板状またはフィルム状の光学素子とを貼り合わせてなる複合光学素子が提供される。」

(2)「【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の光拡散フィルム及びそれを用いた複合光学素子の実施形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明による光拡散フィルム1の構造を表す模式的断面図である。透光性フィルム基材2の平滑な上面(第1面)上に、微細凹凸構造層34が形成されている。透光性フィルム基材2は、例えば、厚さ50?200μm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリメタクリルイミド系樹脂等からなるシートである。微細凹凸構造層34は、透光性バインダ樹脂4及び多数の透光性微粒子3を含んでなる。透光性バインダ樹脂4としては、たとえばウレタンアクリレート樹脂等のアクリル系樹脂を使用することができる。透光性微粒子3としては、例えば、シリコーンや、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレ-ト、フッ素化メタクリレ-ト等の単独重合体あるいは共重合体等からなる微粒子若しくはシリカ等の無機微粒子が例示される。透光性微粒子3の平均粒径は、例えば3?50μm特に5?30μmである。微細凹凸構造層34の上面(露出面)は、透光性微粒子3の形状に応じた微細凹凸面とされている。即ち、透光性微粒子3の大半は、その下部がバインダ樹脂4と接合されて該バインダ樹脂により保持されているが、上部がバインダ樹脂4から上方へと突出している。透光性フィルム基材2を通過する光は、透光性微粒子3の形状に応じた微細凹凸面からなる微細凹凸構造層34の上面において屈折し、これにより光拡散作用が発現される。拡散性を強くしたい場合には、透光性微粒子3とバインダ樹脂4とは、屈折率が互いに異なるのが好ましい。その理由は、透光性フィルム基材2を通過する光が微細凹凸構造層34内において透光性微粒子3とバインダ樹脂4との界面で屈折し、光拡散作用が一層高められるからである。これに対して、集光作用(光偏向作用)を強くする場合には、透光性微粒子3とバインダ樹脂4とは、互いに近い屈折率のものが選ばれる。微細凹凸構造層34は、バインダ樹脂及び溶剤などに多数の透光性微粒子3を分散してなる塗布溶液を透光性フィルム基材2の上面にコーティングし、乾燥・硬化させることで、形成することができる。その際、バインダ樹脂に対する透光性微粒子3の量比を調整することで、微細凹凸面の凹凸形状を調節することができる。本実施形態では、微細凹凸構造層34の上面が多数の透光性微粒子3の形状に応じた微細凹凸面からなるので、微細凹凸構造層34による光拡散作用は大略等方的である。
【0015】
一方、透光性フィルム基材2の平滑な下面(第2面)上には、感圧型接着剤からなる複数の凸部5が離散的に形成されている。感圧型接着剤としては、例えば、アルキルアクリレート系モノマーを主成分とするビニル系モノマーに光重合開始剤を0.1?3重量部の割合添加したものを用いることができる。その他にアルキルアクリレートと共重合可能な極性基含有モノマーを2?10wt%程度含んでも良い。この接着剤の樹脂に要求される特性は、塗工しやすく球形状が保持されること及び接着剤としての性能(凝集力)が得られることである。塗工しやすく球形状を維持するためには、チクソ性の高い材料とすることが好ましい。そのため、ロータリースクリーン印刷機での塗工においては、上記モノマーにコロイダルシリカを1?5wt%添加することができる。また、凝集力を高めるためには生成物の分子量を制御することが好ましく、これは光重合開始剤の量及び紫外線の照度を調整することで行うことができる。
【0016】
感圧型接着剤としては、透光性を持ち且つ内部に光拡散剤を含有するものを使用することができる。これによれば、凸部5による光拡散作用を得ることができる。光拡散剤としては、たとえば粒径が数μm以下の無機粒子を使用することができる。感圧型接着剤からなる凸部5とくにその先端部は、透光性フィルム基材2の法線を含む断面において、略円弧形状に形成されている。この略円弧形状の曲率半径は透光性フィルム基材2の表面状態や感圧型接着剤の粘度等で決まる。
【0017】
透光性フィルム基材2の下面上における凸部5のパターンとしては、図2に示されるものが例示される。図2(a)は、凸部5がドット状のパターンにて離散的に形成されている例を示す。図2(b)は、凸部5が特定方向に細長く適宜の長さ(たとえば短径に対する長径の比率が3以上10以下)に延びた線分状の異方性パターンにて形成されている例を示す。図2(c)は、凸部5が特定方向に細長く且つ十分に長く延びた(たとえば短径に対する長径の比率が10を越える)線状の異方性パターンにて形成されている例を示す。
【0018】
凸部5の感圧型接着剤として透光性を持ち且つ内部に光拡散剤を含有するものを使用した場合には、凸部5による光拡散は、図2(a)のパターンのものでは等方的であり、図2(b),(c)のパターンのものでは異方的である。
【0019】
図2(a)のパターンのものは、貼り合わせの相手となる光学素子の表面が平滑である等の等方的である場合に好適である。これに対して、図2(b),(c)のパターンのものは、貼り合わせの相手となる光学素子の表面がプリズム列形成面である等の異方性パターンを持つ場合に好適であり、この場合には、貼り合わせ面と平行な面内において、光拡散フィルム1の凸部5の延在方向と貼り合わせ相手の光学素子の異方性パターンの延在方向とが互いに略直交するように位置決めするのが好ましい。このようにすることで、後述のように、凸部5の感圧型接着剤が光学素子の異方性パターンの先端部とマトリックス状分布の複数の位置にて接合され、全体として接着が平均的になされる。そして、凸部5の感圧型接着剤として透光性を持ち且つ内部に光拡散剤を含有するものを使用した場合には、異方性光拡散の作用を光拡散フィルム1により実現することができる。この場合には、凸部5の延在方向を適宜設定することで、所望の面内での視野角調整が可能になる。」

(3)【図1】



(4)【図2】(a)?(c)








2 引用発明
引用文献1の【0015】の記載により、引用文献1でいう「本発明」の「光拡散フィルム」の「凸部5」は、「ロータリースクリーン印刷機での塗工」により形成することができるものである。また、引用文献1の図1、図2(a)の「凸部5」の形状から、図2(a)の「凸部5」は、半球状であることが、看取できる。
そうしてみると、上記「1」に基づけば、引用文献1には、「凸部5」が図2(a)に例示された、「ドット状のパターンにて離散的に形成され」た「光拡散フィルム」として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 透光性フィルム基材の平滑な上面(第1面)上に、微細凹凸構造層が形成され、
微細凹凸構造層は、透光性バインダ樹脂及び多数の透光性微粒子を含んでなり、
透光性微粒子の平均粒径は、例えば3?50μm特に5?30μmであり、
透光性フィルム基材を通過する光は、透光性微粒子の形状に応じた微細凹凸面からなる微細凹凸構造層の上面において屈折し、これにより光拡散作用が発現され、
透光性フィルム基材の平滑な下面(第2面)上には、感圧型接着剤からなる複数の凸部がドット状のパターンにて離散的に形成され、
凸部は、半球状であり、
凸部は、ロータリースクリーン印刷機での塗工により形成される、
光拡散フィルム。」

3 引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由で引用された前記引用文献2(特開平11-30708号公報)は、先の出願前に日本国内において、頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、判断等に活用した箇所を示す。

(1)「【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明を詳説する。
【0014】図1(a)は本発明の一実施形態にかかる光拡散シートの一部が省略された部分断面図であり、図1(b)はその部分拡大図であり、図2はその底面図である。図1(a)及び図1(b)において上側が表側(すなわち液晶表示装置の画面側)であり、下側が裏側である。この光拡散シート1は、基材シート2とその基材シート2の表側に設けられた拡散層3とからなる。基材シート2の裏側面には、多数個の突起4が設けられている。拡散層3は、ビーズ5とバインダー6とからなる。
・・・(省略)・・・
【0017】突起4を略半球状とする場合、その突起4の上端外縁直径(図1(b)及び図2において符号Dで示される)は1マイクロメーター以上100マイクロメーター以下が好ましい。突起4の上端外縁直径Dが上記範囲未満であると、スティッキングを充分には防止できなくなってしまうことがある。逆に突起4の上端外縁直径Dが上記範囲を越えると、液晶パネルの画面上で欠点として見えてしまったり、突起4自体がスティッキングを起こしてしまったりすることがある。
【0018】突起4を略半球状とする場合、その突起4の高さ(図1(b)において符号Hで示される)は1マイクロメーター以上50マイクロメーター以下が好ましい。突起4の高さHが上記範囲未満であると、スティッキングを充分には防止できなくなってしまうことがある。逆に突起4の高さHが上記範囲を越えると、突起4の下端7の近傍が傷つき、液晶パネルの画面上で欠点として見えてしまうことがある。
・・・(省略)・・・
【0022】拡散層3は、前述のようにビーズ5をバインダー6中に分散させて形成される。ビーズ5の上端は、一部はバインダー6から突出している。ビーズ5の材質としては、例えばウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。ビーズ5の平均粒径は、1マイクロメーター以上50マイクロメーター以下程度である。バインダー6としては、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の2液硬化タイプの合成樹脂が好適に用いられる。拡散層3におけるビーズ5の配合量は、バインダー6の100重量部に対して10重量部以上500重量部以下程度である。拡散層3の厚み(ビーズ5を除いたバインダー6部分の厚み)は、15マイクロメーター以上20マイクロメーター以下程度とされる。この拡散層3を設けることにより、光拡散シート1を透過する光線をより拡散させることができる。なお、このような拡散層3は、例えば前述の実用新案登録第2529650号公報等に開示されている。」

(2)「【0026】
【実施例】ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製の商品名「ユーピロン」)を摂氏300度に加熱して溶融後、厚み110マイクロメーターとなるようにTダイから押し出し、表面に多数個の凹部が設けられたポリシングロールで引き取った。主剤(大日精化工業株式会社製の商品名「RUBメヂウム」)100重量部と硬化剤(大日精化工業株式会社製の商品名「PTC LN硬化剤」)5重量部とを配合してバインダーとし、これにアクリル樹脂製のビーズ(積水化成品工業株式会社製の商品名「MBX-15」)30重量部を混合し、15g/m^(2)の塗工量となるようにロールコート法にて塗工・硬化して、拡散層を形成した。これを長尺方向が21センチメートル、短尺方向が15センチメートルの長方形に裁断し、実施例1の光拡散シートを得た。この光拡散シートの突起の上端外縁直径Dは平均で約20マイクロメーターであり、高さHは平均で約10マイクロメーターであり、突起間のピッチPは平均で約30マイクロメーターであった。また、裏側面のうち突起が設けられる部分の面積の総和の、裏側面の全面積に占める比率は約35%であった。
【0027】用いられるポリシングロールを凹部の個数が少ないものとした他は実施例1と同様にして、実施例2の光拡散シートを得た。この光拡散シートの突起の上端外縁直径Dは平均で約20マイクロメーターであり、高さHは平均で約10マイクロメーターであり、突起間のピッチPは平均で約50マイクロメーターであった。また、裏側面のうち突起が設けられる部分の面積の総和の、裏側面の全面積に占める比率は約15%であった。
【0028】一方、前述のポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製の商品名「ユーピロン」)を、厚みが100マイクロメーターであり、表側面及び裏側面が平滑面であるシート状としたものを用意し、この表側面に実施例1と同様にして拡散層を設けた。さらに裏側面に、前述のバインダーにアクリル樹脂製のビーズ(積水化成品工業株式会社製の商品名MBX-5)10重量部を混合し、3g/m^(2)の塗工量となるように、ロールコート法にて塗工・硬化して、比較例の光拡散シートを得た。」

(3)【図1】(a)?(b)






(4)【図2】




(5)上記(1)の実施の形態及び上記(2)の実施例により、引用文献2には、「光拡散シート」に関し、「実施の形態においては、光拡散シートの突起の高さHは1?50μmであること及びビーズの平均粒径は1?50μmであること、実施例においては、ビーズの平均粒径は15μmであり、突起の平均高さHは平均で約10μmであること」(以下「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されている(当合議体注:実施例におけるビーズの平均粒径は15μmであることは、用いられているアクリル樹脂製のビーズ(積水化成品工業株式会社製の商品名「MBX-15」)の平均粒径が、引用文献3の【0102】に記載されていることから確認できる。)。
これらの記載以外に引用文献2には、突起の高さHとビーズの平均粒径との関係は記載されていない。

4 引用文献3
原査定の拒絶の理由で引用された前記引用文献3(特開2011-126274号公報)は、先の出願前に日本国内において、頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、判断等に活用した箇所を示す。

(1)「【0023】
図1の光学シート1は、基材層2と、この基材層2の一方の面側に積層される光学層3と、この基材層2の他方の面側に積層されるスティッキング防止層4とを備えている。
【0024】
基材層2は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明のガラス又は合成樹脂から形成されている。かかる基材層2に用いられる合成樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等が挙げられる。中でも、透明性に優れ、強度が高いポリエチレンテレフタレートが好ましく、撓み性能が改善されたポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0025】
基材層2の厚み(平均厚み)は、特には限定されないが、例えば10μm以上500μm以下、好ましくは35μm以上250μm以下、特に好ましくは50μm以上188μm以下とされる。基材層2の厚みが上記範囲未満であると、光学層3を形成するための樹脂組成物を塗工した際にカールが発生しやすくなってしまう、取扱いが困難になる等の不都合が発生する。逆に、基材層2の厚みが上記範囲を超えると、液晶表示装置の輝度が低下してしまうことがあり、またバックライトユニットの厚みが大きくなって液晶表示装置の薄型化の要求に反することにもなる。
【0026】
光学層3は、バインダー5と、このバインダー5中に分散する光拡散剤6とを有している。このように光学層3に光拡散剤6を分散させることにより、この光学層3を裏側から表側に透過する光線を均一に拡散させることができる。また、光拡散剤6によって光学層3の表面に微細凹凸が略均一に形成され、この微細凹凸の各凹部及び凸部がレンズ状に形成されている。かかる微細凹凸のレンズ的作用によって、当該光学シート1は、優れた光拡散機能を発揮し、この光拡散機能に起因して透過光線を法線方向側へ屈折させる屈折機能及び透過光線を法線方向に巨視的に集光させる集光機能をも有している。なお、光学層3の厚み(光拡散剤6を除いたバインダー5部分の厚みを意味する)は特には限定されないが、例えば10μm以上30μm以下程度とされている。また、バインダー5は光線を透過させる必要があるので透明とされており、特に無色透明が好ましい。
【0027】
光拡散剤6は、光線を拡散させる性質を有する粒子であり、無機フィラーと有機フィラーに大別される。無機フィラーとしては、具体的には、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、マグネシウムシリケート、又はこれらの混合物を用いることができる。有機フィラーの具体的な材料としては、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル等を用いることができる。中でも、透明性が高いアクリル樹脂が好ましく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が特に好ましい。
【0028】
光拡散剤6の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、立方状、針状、棒状、紡錘形状、板状、鱗片状、繊維状などが挙げられ、中でも光拡散性に優れる球状のビーズが好ましい。
【0029】
光拡散剤6の平均粒子径の下限としては、1μm、特に2μm、さらに5μmが好ましく、光拡散剤6の平均粒子径の上限としては、50μm、特に20μm、さらに15μmが好ましい。これは、光拡散剤6の平均粒子径が上記範囲未満であると、光拡散剤6によって形成される光学層3表面の凹凸が小さくなり、光学シートとして必要な光拡散性を満たさないおそれがあり、逆に、光拡散剤6の平均粒子径が上記範囲を越えると、光学シート1の厚さが増大し、かつ、均一な拡散が困難になることからである。
・・・(省略)・・・
【0065】
スティッキング防止層4は、表面全面に微細凹凸形状7を有している。このため、この光学シート1をプリズムシート等の他の光学シートや導光板等の表面に重ねて配設すると微細凹凸形状7の凸部部分が他の光学シート等の表面に当接し、光学シート1の裏面(スティッキング防止層4側の面)全面が他の光学シート表面等と当接することがない。これにより、光学シート1と他の光学シート等とのスティッキングが防止され、液晶表示装置の画面の輝度ムラが抑えられる。
・・・(省略)・・・
【0074】
スティッキング防止層4表面の各凸部分の平均高さ(h)の下限としては、0.5μmが好ましく、0.7μmが特に好ましく、1μmがさらに特に好ましい。また、この平均高さ(h)の上限としては、3μmが好ましく、2.5μmがさらに好ましく、2μmがさらに特に好ましい。当該光学シートによれば、このようにスティッキング防止層4表面の各凸部分の平均高さ(h)を上記のように比較的小さくすることで、他の光学シート等表面の傷付けを低減することができ、また傷付けが生じた際の、傷の深さを浅くすることができる。各凸部分の平均高さ(h)が上記下限より小さいと、十分なスティッキング防止機能を発揮することができない。逆に、この平均高さ(h)が上記上限を超えると、他の光学シート表面の傷付けを生じさせ、また、この生じる傷が深いものとなるおそれがある。なお、この平均高さ(h)は、レーザー顕微鏡で所定面積中を観察し、観察される複数の凸部分中、高さが高い上位16個の凸部分の平均高さによって算出される。」

(2)「【実施例】
【0101】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0102】
[実施例1]
ポリエステルポリオールを基材ポリマーとするバインダー樹脂配合物(東洋紡績(株)の「バイロン」)100部、平均粒子径が20nmのコロイダルシリカ(扶桑化学工業(株)の「PL-1」)50部、硬化剤(日本ポリウレタン(株)の「コロネートHX」)5部及び光安定化剤(大塚化学(株)の「PUVA-1033」)5部を含むポリマー組成物中に、平均粒子径15μmのアクリル系樹脂ビーズ(積水化成品工業(株)の「MBX-15」)50部を混合して塗工液を作製し、この塗工液をロールコート法によって厚さ100μmの透明ポリエステル製の基材層(東洋紡績(株)の「A-4300」)の表面に15g/m^(2)(固形分換算)塗工し、硬化させることで光学層を形成した。
【0103】 また、スティッキング防止層用塗工液として、アクリル樹脂0.6質量部、多官能不飽和二重結合含有モノマーであるペンタエリスリトールトリアクリレート41.9質量部、ウレタンアクリレート57.7質量部、重合開始剤である2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(チバガイギー社製「IRGACURE907」)7質量部及び1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン(チバガイギー社製「IRGACURE184」)3質量部をメチルエチルケトン(MEK)とメチルイソブチルケトン(MIBK)の混合溶媒(混合比:MEK/MIBK=1:1質量比)に混合させ、不揮発成分率を50質量%となるように調製した。この塗工液を上記基材層の裏面に、バーコーターを用いて、コート厚み2g/m^(2)でバーコート塗布した。これを80℃で1分間乾燥して溶剤を除去乾燥し、得られた塗膜を超高圧水銀灯で、紫外線400mJ/cm^(2)の照射エネルギーとなるように露光して硬化させることで平均厚さが2.8μmのスティッキング防止層を形成した。これにより実施例1の光学シートを得た。」

(3)表2(【0121】)


(4)【図1】(a)?(b)






(5)引用文献3の【0029】には、「光拡散剤6の平均粒子径」の好ましい下限及び上限として、それぞれ、1μm及び50μmが記載されている。また、引用文献3の【0074】には、「スティッキング防止層4表面の各凸部分の平均高さ(h)」の好ましい下限及び上限として、それぞれ、0.5μm及び3μmが記載されている。
引用文献3の【0102】には、実施例として、「平均粒子径15μmのアクリル系樹脂ビーズ」、また、【0121】の表2には、「スティッキング防止層」の「高さh」が0.60?2.80μmの範囲内であることが、記載されている。
そうすると、引用文献3には、「光拡散剤の平均粒子径の好ましい下限及び上限は、それぞれ、1μm及び50μmであり、スティッキング防止層表面の各凸部分の平均高さ(h)の好ましい下限及び上限は、それぞれ、0.5μm及び3μmであることと、実施例においては、光拡散剤の平均粒子径は15μmであり、スティッキング防止層表面の各凸部分の平均高さ(h)は0.60?2.80μmであること」(以下「引用文献3に記載された事項」という。)が記載されている。
これらの記載以外に引用文献3には、スティッキング防止層の高さhと光拡散剤の平均粒子径との関係は記載されていない。


第5 対比・判断
1 本件発明1
(1)対比
本件発明1と引用発明とを対比する。

ア 基材シート
引用発明の「光拡散フィルム」は、「透光性フィルム基材」を含む。
引用発明の「透光性フィルム基材」の「フィルム基材」は「シート」であることは明らかであるから、引用発明の「透光性フィルム基材」は、本件発明1の「透明な基材シート」に相当する。また、引用発明の「光拡散フィルム」は、本件発明1の「光学シート」における、「透明な基材シート」「を備え」という要件を満たす。

イ 表面、裏面
引用発明は、「透光性フィルム基材の平滑な上面(第1面)上に、微細凹凸構造層が形成され、」「透光性フィルム基材を通過する光は、透光性微粒子の形状に応じた微細凹凸面からなる微細凹凸構造層の上面において屈折し、これにより光拡散作用が発現され、」「透光性フィルム基材の平滑な下面(第2面)上には、感圧型接着剤からなる複数の凸部がドット状のパターンにて離散的に形成され」るものである。
上記の「透光性フィルム基材を通過する光」と「光拡散フィルム」の関係からみて、引用発明でいう「上面(第1面)」は視認者側の面であり、「下面(第2面)」はその逆の面と理解される。
これに対して、本件明細書の【0026】には、「本発明において「表面側」とは液晶表示装置における視認者側を意味し、「裏面側」とはその逆を意味する。」と記載されている。
そうしてみると、引用発明の「上面」及び「下面」は、それぞれ、本件発明1の「表面」及び「裏面」に相当する。

ウ スティッキング防止部、印刷ドット
引用発明において、「透光性フィルム基材の平滑な下面(第2面)上には、感圧型接着剤からなる複数の凸部がドット状のパターンにて離散的に形成さ」れているところ、「凸部は、半球状であ」り、また、「凸部は、ロータリースクリーン印刷機での塗工により形成される」。
ここで、引用発明の「凸部」は、その形状や配置から、「光拡散フィルム
」の「下面(第2面)」が、これと対向する部材とスティッキングすることによるニュートンリングの発生当を防止する、スティッキング防止部として機能することは明らかである(当合議体注:このことは、引用文献1の【0004】の背景技術、【0007】?【0008】の発明が解決しようとする課題、【0012】の発明の効果についての記載からも確認できる。)。また、引用発明の「凸部」は、「ロータリースクリーン印刷機での塗工により形成される」ものであるから、引用発明の「凸部」は、本件発明1の「印刷ドット」に相当する。そして、引用発明の「凸部」は、「透光性フィルム基材」の「下面(第2面)上」に形成されるものである。
そうしてみると、引用発明の「光拡散フィルム」は、本件発明1の「光学シート」における、「この基材シートの裏面に配設されるスティッキング防止部とを備え」という要件、及び「上記スティッキング防止部として複数の印刷ドットを有し」という要件を満たす。また、引用発明の「凸部」と本件発明1の「印刷ドット」とは、「半球状又は扁平半球状であり」という点で共通する。

エ 光拡散層、光拡散剤、バインダー
引用発明の「微細凹凸構造層」は、「透光性フィルム基材の平滑な上面(第1面)上に」「形成され、」「透光性バインダ樹脂及び多数の透光性微粒子を含んでなり、」「透光性微粒子の平均粒径は、例えば3?50μm特に5?30μmであり、透光性フィルム基材を通過する光は、透光性微粒子の形状に応じた微細凹凸面からなる微細凹凸構造層の上面において屈折し、これにより光拡散作用が発現され」るものである。
上記の「微細凹凸構造層」の材料及び機能からみて、引用発明の「透光性微粒子」及び「透光性バインダ樹脂」は、それぞれ、本件発明1の「光拡散層」、「光拡散剤」及び「バインダー」に相当する。そして、引用発明の「微細凹凸構造層」は、「透光性フィルム基材」の「上面(第1面)上」に形成されるものである。
そうしてみると、引用発明の「光拡散フィルム」は、本件発明1の「光学シート」における、「上記基材シートの表面側に積層される光拡散層をさらに備え、この光拡散層が光拡散剤とそのバインダーとを有」するという要件を満たす。

オ 光学シート
上記ア?エを勘案すると、引用発明の「光拡散フィルム」は、本件発明1の「光学シート」に相当する。

(2)一致点及び相違点
上記(1)から、本件発明1と引用発明とは、
「 透明な基材シートと、この基材シートの裏面に配設されるスティッキング防止部とを備え、
上記スティッキング防止部として複数の印刷ドットを有し、
上記印刷ドットが、半球状又は扁平半球状であり、
上記基材シートの表面側に積層される光拡散層をさらに備え、この光拡散層が光拡散剤とそのバインダーとを有する、光学シート。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
「印刷ドット」が、本件発明1は、「裏面側に配設される他の部材と湾曲した状態で当接する湾曲面を有」するのに対して、引用発明の「凸部」は、そのような特定がなされていない点。

(相違点2)
「印刷ドット」が、本件発明1は、「平均高さの平均径に対する高さ比が1/2以下」であるのに対して、引用発明の「凸部」は、そのような特定がなされていない点。

(相違点3)
「印刷ドット」が、本件発明1は、「平均高さが上記光拡散剤の平均粒子径より大きい」のに対して、引用発明の「凸部」の平均高さは、そのような特定がなされていない点。

(3)判断
事案に鑑み、上記相違点3について検討する。

ア 前記「第4」3より、引用文献2には、「実施の形態においては、光拡散シートの突起の高さHは1?50μmであること及びビーズの平均粒径は1?50μmであること、実施例においては、ビーズの平均粒径は15μmであり、突起の高さHは平均で約10μmであることが記載されている。

イ 前記「第4」4より、引用文献3には、「光拡散剤の平均粒子径の好ましい下限及び上限は、それぞれ、1μm及び50μmであり、スティッキング防止層表面の各凸部分の平均高さ(h)の好ましい下限及び上限は、それぞれ、0.5μm及び3μmであることと、実施例においては、光拡散剤の平均粒子径は15μmであり、スティッキング防止層表面の各凸部分の平均高さ(h)は0.60?2.80μmであること」が記載されている。

ウ 前記ア及びイより、引用文献2及び3には、上記相違点3に係る本件発明1の構成である、「印刷ドットの平均高さ」を「光拡散剤の平均粒子径より大き」くすることは、記載されていない。

エ そして、上記相違点3に係る本件発明1の構成により、本件発明1は、本件明細書の【0017】に記載された 、「裏面からの光を効果的に取り入れ、取り入れた光を光拡散層で拡散して、表面側から出射することができる。」という効果を奏するものである(当合議体注:審判請求人も、審判請求書の4.(4-2)(i)において、同旨の主張をしている。)。

オ 以上から、引用発明の「凸部」として、引用文献2及び3に記載された事項を適用したとしても、上記相違点3に係る本件発明1の構成に至るということはできない。

(4)むすび
以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び3に記載された事項に基づいて容易に発明できたものということはできない。
したがって、本件発明1が、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。

2 本件発明2?10
本件発明2?10は、本件発明1と同じ、「印刷ドットの平均高さが上記光拡散剤の平均粒子径より大きい」との構成を有している。そうすると、本件発明2?10も、本件発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明並び引用文献2及び3に記載された事項に基づいて容易に発明できたものということはできない。


第6 むすび
以上のとおり、本件発明1?10は、当業者が引用発明並びに引用文献2及び3に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたということはできない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-04-24 
出願番号 特願2015-129624(P2015-129624)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 後藤 大思清水 督史  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 河原 正
井口 猶二
発明の名称 光学シート及びエッジライト型のバックライトユニット  
代理人 天野 一規  
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