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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1361964 |
審判番号 | 不服2019-3022 |
総通号数 | 246 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-03-05 |
確定日 | 2020-05-15 |
事件の表示 | 特願2017-166635「情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月 7日出願公開、特開2017-216014、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,平成23年9月30日(以下,「優先日」という。)に出願した特願2011-216145号の一部を,平成27年9月30日に新たな特許出願とした特願2015-194161号の一部を,平成29年8月31日に新たな特許出願としたものであって,同年9月26日付けで審査請求がされるとともに,同日付けで手続補正がなされ,平成30年6月12日付けで拒絶理由通知(同年6月19日発送)がなされ,同年8月9日付けで意見書が提出されるとともに,同日付けで手続補正がなされたが,平成31年1月8日付けで拒絶査定(同年1月15日謄本送達)がなされた。 これに対して,「原査定を取り消す、本願は特許をすべきものであるとの審決を求める」ことを請求の趣旨として,平成31年3月5日付けで審判請求がなされるとともに,同日付けで手続補正がなされ,令和元年5月28日付けで審査官により特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成31年1月8日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願の請求項1ないし8に係る発明は,以下の引用文献1ないし5に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.坂本俊之、出村成和、渡邊昌之, 基礎から学ぶ組み込みAndroid,日本, 株式会社シーアンドアール研究所,2011年 1月 5日, 第1版,p.63-65,68,ISBN978-4-86354-076-7 2.特開平08-234991号公報 3.特開平04-195652号公報 4.特開2007-251522号公報 5.特開2009-147924号公報 第3 審判請求時の補正について ア 審判請求時の補正は,特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。 イ 審判請求時の補正によって,補正前の請求項1及び補正前の請求項8に「前記ボタン表示手段は、前記記憶部に記憶されている前記識別情報または前記識別情報に対応する情報を前記第1ボタンの表示領域内に表示させる」という事項を追加する補正は,補正前の請求項2に記載されている事項及び本願の詳細な説明の段落【0101】等に記載されている事項を追加するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 ウ そして,「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように,補正後の請求項1ないし8に係る発明は,独立特許要件を満たすものである。 第4 本願発明 本願請求項1ないし8に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明8」という。)は,平成31年3月5日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 共有元アプリケーションが指定した共有先アプリケーションに、前記共有元アプリケーションが指定したデータを処理させる共有機能を提供するオペレーティングシステムが記憶された記憶部と、 操作部と、 表示部と、 を備えた携帯端末のコンピュータによって実行されるプログラムであって、 画像データを取得する画像データ取得手段と、 複数のデータ形式のうちのいずれかのデータ形式の選択を、前記操作部を介して受け付けるデータ形式受付手段と、 前記データ形式受付手段が選択を受け付けたデータ形式のデータを処理可能であるアプリケーションの検索を前記オペレーティングシステムに要求する検索要求手段と、 前記検索要求手段の要求に従って、前記オペレーティングシステムに検索されたアプリケーションの一覧を前記表示部に表示させる一覧表示手段と、 前記一覧表示手段が前記表示部に表示させた前記アプリケーションの一覧の中から第1アプリケーションの選択を、前記操作部を介して受け付けるアプリケーション受付手段と、 前記第1アプリケーションを識別する識別情報を前記記憶部に記憶する記憶手段と、 前記オペレーティングシステムが提供する共有機能を利用して、前記第1アプリケーションに、前記データ形式受付手段が受け付けたデータ形式の前記画像データを処理させる処理手段と、 前記第1アプリケーションに前記処理手段が前記画像データを処理させた後に、再度前記画像データ取得手段が画像データを取得した場合、第1ボタンと第2ボタンとを前記表示部に表示させるボタン表示手段として、前記プログラムは前記携帯端末を機能させ、 前記ボタン表示手段が前記表示部に表示させた前記第1ボタンに対する操作を、前記操作部を介して受け付けた場合、前記処理手段は、前記記憶部に記憶されている前記識別情報により識別される前記第1アプリケーションに再度前記画像データ取得手段が取得した前記画像データを処理させ、 前記ボタン表示手段が前記表示部に表示させた前記第2ボタンに対する操作を、前記操作部を介して受け付けた場合、前記検索要求手段は、再度前記データ形式受付手段が受け付けたデータ形式のデータを処理可能であるアプリケーションの検索を、前記オペレーティングシステムに要求し、前記一覧表示手段は、前記オペレーティングシステムに再度検索されたアプリケーションの一覧を前記表示部に表示させ、前記アプリケーション受付手段は、再度前記一覧表示手段が前記表示部に表示させた前記アプリケーションの一覧の中から第2アプリケーションの選択を受け付け、前記処理手段は、前記第2アプリケーションに再度前記画像データ取得手段が取得した画像データを処理させ、 前記ボタン表示手段は、前記記憶部に記憶されている前記識別情報または前記識別情報に対応する情報を前記第1ボタンの表示領域内に表示させることを特徴とするプログラム。 【請求項2】 前記ボタン表示手段は、前記記憶部に記憶されている前記識別情報を前記第1ボタンの表示領域内に表示することを特徴とする請求項1に記載のプログラム。 【請求項3】 前記画像データ取得手段が取得した前記画像データに対応したプレビュー画像を前記表示部に表示させるプレビュー画像表示手段として前記プログラムは前記コンピュータを更に機能させ、 前記ボタン表示手段は、前記プレビュー画像表示手段が前記表示部に表示させた前記プレビュー画像の表示領域と第1の方向にずれている表示領域に前記第1ボタンを表示することを特徴とする請求項1または2に記載のプログラム。 【請求項4】 前記一覧表示手段は、前記プレビュー画像表示手段が前記表示部に表示させた前記プレビュー画像の表示領域に重畳させて、前記アプリケーションの一覧を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項3に記載のプログラム。 【請求項5】 前記携帯端末は、画像読取装置と通信可能な通信部を更に備え、 前記画像データ取得手段は、前記画像読取装置が読み取った画像データを取得することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のプログラム。 【請求項6】 前記画像データ取得手段が取得した画像データの形式と、前記データ形式受付手段が受け付けた前記データ形式と、が同一であるか否かを判断するデータ形式判断手段と、 前記画像データ取得手段が取得した画像データの形式を、前記データ形式受付手段が受け付けた前記データ形式に変換する変換手段として、 前記プログラムは前記コンピュータを更に機能させ、 前記処理手段は、前記画像データ取得手段が取得した前記画像データの形式と前記データ形式受付手段が受け付けたデータ形式とが同一であると前記データ形式受付手段が判断した場合には、前記データ形式受付手段が受け付けたデータ形式の前記画像データを前記第1アプリケーションに処理させ、前記画像データ取得手段が取得した前記画像データの形式と前記データ形式受付手段が受け付けたデータ形式とが同一でないと前記データ形式受付手段が判断した場合には、前記変換手段が変換した前記画像データを前記第1アプリケーションに処理させることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載のプログラム。 【請求項7】 前記複数のデータ形式は、PDF形式とJPEG形式とを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のプログラム。 【請求項8】 共有元アプリケーションが指定した共有先アプリケーションに、前記共有元アプリケーションが指定したデータを処理させる共有機能を提供するオペレーティングシステムが記憶された記憶部と、 操作部と、 表示部と、 を備えた携帯端末であって、 画像データを取得する画像データ取得手段と、 複数のデータ形式のうちのいずれかのデータ形式の選択を、前記操作部を介して受け付けるデータ形式受付手段と、 前記データ形式受付手段が選択を受け付けたデータ形式のデータを処理可能であるアプリケーションの検索を前記オペレーティングシステムに要求する検索要求手段と、 前記検索要求手段の要求に従って、前記オペレーティングシステムに検索されたアプリケーションの一覧を前記表示部に表示させる一覧表示手段と、 前記一覧表示手段が前記表示部に表示させた前記アプリケーションの一覧の中から第1アプリケーションの選択を、前記操作部を介して受け付けるアプリケーション受付手段と、 前記第1アプリケーションを識別する識別情報を前記記憶部に記憶する記憶手段と、前記オペレーティングシステムが提供する共有機能を利用して、前記第1アプリケーションに、前記データ形式受付手段が受け付けたデータ形式の前記画像データを処理させる処理手段と、 前記第1アプリケーションに前記処理手段が前記画像データを処理させた後に、再度前記画像データ取得手段が画像データを取得した場合、第1ボタンと第2ボタンとを前記表示部に表示させるボタン表示手段とを前記携帯端末は更に備え、 前記ボタン表示手段が前記表示部に表示させた前記第1ボタンに対する操作を、前記操作部を介して受け付けた場合、前記処理手段は、前記記憶部に記憶されている前記識別情報により識別される前記第1アプリケーションに再度前記画像データ取得手段が取得した前記画像データを処理させ、 前記ボタン表示手段が前記表示部に表示させた前記第2ボタンに対する操作を、前記操作部を介して受け付けた場合、前記検索要求手段は、再度前記データ形式受付手段が受け付けたデータ形式のデータを処理可能であるアプリケーションの検索を、前記オペレーティングシステムに要求し、前記一覧表示手段は、前記オペレーティングシステムに再度検索されたアプリケーションの一覧を前記表示部に表示させ、前記アプリケーション受付手段は、再度前記一覧表示手段が前記表示部に表示させた前記アプリケーションの一覧の中から第2アプリケーションの選択を受け付け、前記処理手段は、前記第2アプリケーションに再度前記画像データ取得手段が取得した画像データを処理させ、 前記ボタン表示手段は、前記記憶部に記憶されている前記識別情報または前記識別情報に対応する情報を前記第1ボタンの表示領域内に表示させることを特徴とする携帯端末。」 第5 引用文献,引用発明等 1 引用文献1について ア 本願の優先日前に頒布され(又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である),原審の拒絶の査定の理由である上記平成30年6月12日付けの拒絶理由通知において引用された上記引用文献1には,図面とともに,以下の技術的事項が記載されている。 (当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。) A 「コンポーネント間の連携を行う「Intent」 AndroidアプリケーションのコンポーネントであるActivity、Service、ContentProvider、BroadcastReceiverは、そのコンポーネントが含まれるAndroidアプリケーション専用に作成されることもありますが、別のAndroidアプリケーション(Androidのシステムそのものも含む)の要素として使用されることを前提に作成されることもあります。 Androidのシステムは、OSの持っている主要な機能もそれらのコンポーネントとして実装しており、抽象化された機能として互いにコンポーネントを連携させるようにすることで、1つのユーザー環境を構築しています。 Androidのシステム上に存在するすべてのコンポーネントは、起動されるシチュエーションや扱うデータ型などの定義によって1つの機能要素として抽象化されており、Androidは何かしらの処理が必要になると、その条件にもっとも合致するコンポーネントをシステム上から探し出し、起動します。起動されたコンポーネントは、責任を持ってそのリクエストを実行しなければなりません。 アプリケーションがAndroidシステムに存在する機能を呼び出すとき(ブラウザを開きユーザーをWebページヘと誘導するなど)や、逆にAndroidシステムが特定の機能を持つアプリケーションを起動しようとしたとき(ブラウザからファイルをダウンロードした際に、そのファイルを開くことのできるアプリケーションを起動するなど)、どのコンポーネントを起動するかの選択は、「Intent」という仕組みで実現されています。」(63頁1?18行) B 「Intentの仕組み IntentはAndroidアプリケーションのコンポーネント間で処理を受け渡しするほとんどの場面で登場します。Intentで設定される条件には、「ユーザーに情報を表示する(ACTION_VIEW)」や「データの中からユーザーに選択させる(ACTION_PICK)」というコンポーネントが行う動作を設定するアクションと、「ランチャーアプリから起動できる(CATEGORY_LAUNCHER)」や「ブラウザから起動できる(CATEGORY_BROWSABLE)」などコンポーネントの起動されるシチュエーションを定義するカテゴリがあり、それによってコンポーネントの機能が抽象化されます。 Intentには、その他にも扱うデータの形式(MimeType)とデータの場所(URI)を設定することができます。AndroidのシステムはIntentが発行されると、その条件に合致するコンポーネントをシステム上から探して起動しますが、もし複数のコンポーネントが条件に合致した場合は、画面にダイアログボックスを表示してユーザーに起動するコンポーネントを選択させます。」(64頁1行?65頁2行) C 「 」(65頁) イ 上記Bの記載内容(特に,下線部を参照)及び上記Cから,「AndroidのシステムはIntentが発行されると,その条件に合致するコンポーネントをシステム上から探し,もし複数のコンポーネントが条件に合致した場合,画面に複数のコンポーネントの一覧を表示させるダイアログボックスを表示する」態様が読み取れる。 ウ 上記A,Bの記載内容(特に,下線部を参照),及び上記イの認定からすると,上記引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 Androidアプリケーションのコンポーネント間で処理を受け渡しする連携を行うIntentであって, 起動されるシチュエーションや扱うデータ型などの定義によって1つの機能要素として抽象化されているAndroidシステム上に存在するすべてのコンポーネントに対して,何かしらの処理が必要になりアプリケーションがAndroidシステムに存在する機能を呼び出すとき,どのコンポーネントを起動するかの選択は,Intentという仕組みで実現されているところ,AndroidシステムはIntentが発行されると,その条件に合致するコンポーネントをシステム上から探して起動するが,もし複数のコンポーネントが条件に合致した場合は,画面に複数のコンポーネントの一覧を表示させるダイアログボックスを表示してユーザーに起動するコンポーネントを選択させる ことを特徴とするIntent。 2 引用文献2について ア 本願の優先日前に頒布され(又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である),原審の拒絶の査定の理由である上記平成30年6月12日付けの拒絶理由通知において引用された上記引用文献2には,図面とともに,以下の技術的事項が記載されている。 (当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。) D 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、実行可能なプログラムが格納されているPCカード等の記憶媒体に格納されている制御プログラム等を起動することが可能な情報処理装置及びその方法に関するものである。」 E 「【0034】一方、プログラムが複数格納されている場合、前回選択したプログラムがプログラム名登録部206によって登録されているかどうかを判断する(ステップS7)。プログラムが登録されていない場合、起動可能なプログラムの一覧をプログラム一覧表示部204により表示装置105に表示する(ステップS9)。表示されたプログラム一覧の中から起動したいプログラムをプログラム選択部205により選択する(ステップS10)。そして、選択したプログラムをプログラム実行部207により起動する(ステップS11)。 【0035】また、ステップS7において登録されているプログラムが存在した場合は、登録済みのプログラムを実行するかプログラムの一覧表示を行うかを問い合わせる(ステップS8)。ここで、プログラムの一覧表示を行うか、あるいはプログラムの一覧表示を行わずに登録されているプログラムを実行するかどうかを選択するかをユーザに問い合わせる例が図5である。図5は、登録されているプログラムを実行するかプログラムの一覧を表示するかを問い合わせるための表示例を表す図である。尚、表示は表示装置105に行われる。図5において、401はプログラムが複数ある場合に表示されるパネルの例であり、402はプログラムの一覧表示を行うよう指示するためのスイッチであり、403はプログラムの一覧表示を行わずに登録されているプログラムを実行するよう指示するためのスイッチである。」 F 「 」 イ 上記D,E,Fの記載内容(特に,下線部参照)からすると,上記引用文献2には,次の技術(以下,「引用文献2記載の技術」という。)が記載されているものと認められる。 記憶媒体に格納されている制御プログラム等を起動することが可能な情報処理装置において, プログラムが複数格納されている場合,前回選択したプログラムがプログラム名登録部によって登録されているかどうかを判断し, 登録されているプログラムが存在した場合は, プログラムの一覧表示を行うか,あるいは登録されているプログラムを実行するかどうかを問い合わせるパネル401をユーザに表示し, プログラムの一覧表示を行うよう指示するためのスイッチ402,または,プログラムの一覧表示を行わずに登録されているプログラムを実行するよう指示するためのスイッチ403を,ユーザに選択させる技術。 3 引用文献3について ア 本願の優先日前に頒布され(又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である),原審の拒絶の査定の理由である上記平成30年6月12日付けの拒絶理由通知において引用された上記引用文献3には,図面とともに,以下の技術的事項が記載されている。 (当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。) G 「今、第2図に示すように、1番目のデータファイルdata1について第1のアプリケーションapp1がカレントアプリケーションとされていれば、アイコン表示部104には第3図(a)に示すように、1番目のデータファイルdata1について第1のアプリケーションapp1を起動することを表す第1アイコンicon1が表示される。ここで、オペレータが1番目のデータファイルdata1について第3のアプリケーションapp3を起動したいとすると、オペレータはカレントアプリケーションの切替えのため第1アイコンicon1上にポインティングデバイスを持って行きクリックを行う。これにより、要求制御部101がアプリケーション切替え部103に対してdata1のカレントアプリケーションの切替え要求を出力し、この要求を受けたアプリケーション切替え部103はアプリケーション登録テーブル102の1番目のデータファイルdata1に対応するエントリ中のカレントアプリケーションフラグをapp1infoから次候補であるapp2 infoに切替え、アイコン表示部104を起動する。アイコン表示部104はアプリケーション登録テーブル102を参照し、3図(b)に示すように、第1アイコンicon1を1番目のデータファイルdata1に対応するエントリ内でカレントアプリケーションフラグがONとなっているicon2infoが指す第2アイコンicon2に更新表示する。 オペレータが更に第2アイコンicon2上でクリックを行うと、同様にして第2アイコンicon2の表示が、第3図(c)に示すように、第3のアプリケーションapp3に対応するicon3infoが指すアイコンに更新される。」(第3頁左下欄20行?第4頁左上欄11行) H 「第3図 」 4 引用文献4について ア 本願の優先日前に頒布され(又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である),原審の拒絶の査定の理由である上記平成30年6月12日付けの拒絶理由通知において引用された上記引用文献4には,図面とともに,以下の技術的事項が記載されている。 (当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。) J 「【0015】 画像読取装置とは別体の装置として構成された情報処理装置としては、例えば、パーソナルコンピュータのような情報処理装置を挙げることができ、この場合、情報処理装置と画像読取装置は、通信ケーブルを介して直結したり、ネットワークを介して通信可能に構成したりすることができる。」 K 「【0056】 図2に例示した複合機3の場合、読取部42において読み取った画像のデータは、JPEG形式でPC1へと伝送される。また、画像データの伝送先がアプリケーション#1である場合、アプリケーション#1ではJPEGで画像データを処理可能であることが、データ形式記憶部52に記憶されている。したがって、複合機3から画像データを取得した画像処理部51のデータ形式判別部53では、複合機3から取得した画像データと、伝送先となるアプリケーション#1で処理可能な画像データとで、データ形式が一致すると判断し、複合機3から取得した画像データをそのままアプリケーション#1へと伝送する。 【0057】 一方、画像データの伝送先がアプリケーション#2である場合、アプリケーション#2ではBMPで画像データを処理可能であることが、データ形式記憶部52に記憶されている。したがって、複合機3から画像データを取得した画像処理部51のデータ形式判別部53では、複合機3から取得した画像データと、伝送先となるアプリケーション#1で処理可能な画像データとで、データ形式が一致しないと判断し、複合機3から取得した画像データのデータ形式を、データ形式変換部54においてJPEGからBMPへと変換し、変換後の画像データをアプリケーション#2へと伝送する。」 L 「 」 上記図7から,プレビューウィンドウの表示領域と第1の方向にずれている表示領域にボタンを表示させた構成,及び,プレビューウインドウの表示領域に重畳させてアプリケーションの一覧を表示させた構成,が読み取れる。 5 引用文献5について ア 本願の優先日前に頒布され(又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である),原審の拒絶の査定の理由である上記平成30年6月12日付けの拒絶理由通知において引用された上記引用文献5には,図面とともに,以下の技術的事項が記載されている。 (当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。) M 「 」 上記図9には,PDF形式とJPEG形式を選択肢として含む複数のデータ形式が記載されている。 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 ア 本願発明1と引用発明とを対比する。 (ア)一般的な携帯端末等のコンピュータが,記憶部と操作部と表示部を備えるものであることは,当業者にとって自明の事項である。また,引用発明の「Intent」は,Androidシステムによって実現される仕組みであるところ,Androidシステムが,携帯端末等のコンピュータの記憶部に記憶され,当該携帯端末等のコンピュータによって実行されるプログラム(オペレーティングシステム)であることも,当業者にとって自明の事項である。そして,引用発明の「画面」は,本願発明1の「表示部」に相当する。 (イ)引用発明の「コンポーネント」は,本願発明1の「アプリケーション」に相当する。また,引用発明の「Intent」は,「起動されるシチュエーションや扱うデータ型などの定義によって1つの機能要素として抽象化されているAndroidシステム上に存在するすべてのコンポーネントに対して,何かしらの処理が必要にな」った場合に呼び出されるAndroidシステムの機能であり,「Androidアプリケーションのコンポーネント間で処理を受け渡しする連携を行う」ものであることから,共有元コンポーネントから共有先コンポーネントに,前記共有元コンポーネントが定義したデータを処理させる共用機能を提供するプログラムと言いえるものである。 そうすると,上記(ア)の検討内容を踏まえると,本願発明1と引用発明とは, “共有元アプリケーションが指定した共有先アプリケーションに,前記共有元アプリケーションが指定したデータを処理させる共有機能を提供するオペレーティングシステムが記憶された記憶部と, 操作部と, 表示部と, を備えた携帯端末のコンピュータによって実行されるプログラム” である点で共通する。 (ウ)引用発明の「起動されるシチュエーションや扱うデータ型などの定義によって1つの機能要素として抽象化されているAndroidシステム上に存在するすべてのコンポーネントに対して,何かしらの処理が必要になりアプリケーションがAndroidシステムに存在する機能を呼び出す」,「AndroidシステムはIntentが発行されると,その条件に合致するコンポーネントをシステム上から探して起動する」との記載からすると,引用発明は,何かしらの処理が必要になり受け付けたデータ形式のデータを処理可能であるコンポーネントの検索をAndroidシステムに要求する手段を備えているといえる。 してみると,本願発明1のプログラムと引用発明のAndroidシステムとは,“受け付けたデータ形式のデータを処理可能であるアプリケーションの検索をオペレーティングシステムに要求する検索要求手段”を備える点で共通する。 (エ)引用発明の「AndroidシステムはIntentが発行されると,その条件に合致するコンポーネントをシステム上から探して起動するが,もし複数のコンポーネントが条件に合致した場合は,画面に複数のコンポーネントの一覧を表示させるダイアログボックスを表示してユーザーに起動するコンポーネントを選択させる」との記載からすると,引用発明は,検索要求に従って,Androidシステムに検索されたコンポーネントの一覧を画面に表示させる手段,及び,画面に表示させたコンポーネントの一覧から,ユーザーによるコンポーネントの選択を,何らかのインタフェースを介して受け付ける手段を備えているといえる。 してみると,本願発明1のプログラムと引用発明のAndroidシステムとは,“検索要求手段の要求に従って、オペレーティングシステムに検索されたアプリケーションの一覧を前記表示部に表示させる一覧表示手段”及び“一覧表示手段が表示部に表示させたアプリケーションの一覧の中から第1アプリケーションの選択を,操作部を介して受け付けるアプリケーション受付手段”を備える点で共通する。 (オ)上記(イ)及び(ウ)の検討内容,及び引用発明の「AndroidシステムはIntentが発行されると,その条件に合致するコンポーネントをシステム上から探して起動する」との記載からすると,引用発明は,Androidシステムが提供する共有機能であるintentを利用して,共有元コンポーネントから共有先コンポーネントに,前記共有元コンポーネントが定義したデータを処理させる手段を備えているといえる。 してみると,本願発明1のプログラムと引用発明のAndroidシステムとは,“オペレーティングシステムが提供する共有機能を利用して,第1アプリケーションに,受け付けたデータ形式のデータを処理させる処理手段”を備える点で共通する。 イ 以上(ア)ないし(オ)から,本願発明1と引用発明とは,以下の点で一致し,また,以下の点で相違する。 (一致点) 共有元アプリケーションが指定した共有先アプリケーションに,前記共有元アプリケーションが指定したデータを処理させる共有機能を提供するオペレーティングシステムが記憶された記憶部と, 操作部と, 表示部と, を備えた携帯端末のコンピュータによって実行されるプログラムであって, 受け付けたデータ形式のデータを処理可能であるアプリケーションの検索を前記オペレーティングシステムに要求する検索要求手段と, 前記検索要求手段の要求に従って、前記オペレーティングシステムに検索されたアプリケーションの一覧を前記表示部に表示させる一覧表示手段と, 前記一覧表示手段が前記表示部に表示させた前記アプリケーションの一覧の中から第1アプリケーションの選択を,前記操作部を介して受け付けるアプリケーション受付手段と, 前記オペレーティングシステムが提供する共有機能を利用して,前記第1アプリケーションに,前記受け付けたデータ形式のデータを処理させる処理手段と を備えたことを特徴とするプログラム。 (相違点1) 本願発明1が,「画像データを取得する画像データ取得手段」と「複数のデータ形式のうちのいずれかのデータ形式の選択を、前記操作部を介して受け付けるデータ形式受付手段」を備えるものであるのに対し,引用発明は,そのようなものを備えていない点。 (相違点2) 「検索要求手段」が受け付けるデータ形式に関して,本願発明1が「データ形式受付手段」が操作部を介して受け付けるものであるのに対し,引用発明は,どのように受け付けるのか明記されていない点。 (相違点3) 本願発明1が,「前記第1アプリケーションを識別する識別情報を前記記憶部に記憶する記憶手段」を備えるものであるのに対し,引用発明は,そのようなものを備えるものであるか不明である点。 (相違点4) 本願発明1の「処理手段」が,「画像データを処理させる」ものであるのに対し,引用発明は,画像データを処理させることについて明記されていない点。 (相違点5) 本願発明1が,「前記第1アプリケーションに前記処理手段が前記画像データを処理させた後に、再度前記画像データ取得手段が画像データを取得した場合、第1ボタンと第2ボタンとを前記表示部に表示させるボタン表示手段として、前記プログラムは前記携帯端末を機能させ」「前記ボタン表示手段が前記表示部に表示させた前記第1ボタンに対する操作を、前記操作部を介して受け付けた場合、前記処理手段は、前記記憶部に記憶されている前記識別情報により識別される前記第1アプリケーションに再度前記画像データ取得手段が取得した前記画像データを処理させ」「前記ボタン表示手段が前記表示部に表示させた前記第2ボタンに対する操作を、前記操作部を介して受け付けた場合、前記検索要求手段は、再度前記データ形式受付手段が受け付けたデータ形式のデータを処理可能であるアプリケーションの検索を、前記オペレーティングシステムに要求し、前記一覧表示手段は、前記オペレーティングシステムに再度検索されたアプリケーションの一覧を前記表示部に表示させ、前記アプリケーション受付手段は、再度前記一覧表示手段が前記表示部に表示させた前記アプリケーションの一覧の中から第2アプリケーションの選択を受け付け、前記処理手段は、前記第2アプリケーションに再度前記画像データ取得手段が取得した画像データを処理させ」るものであるのに対し,引用発明は,そのようなものではない点。 (相違点6) 本願発明1の「ボタン表示手段」は,「前記記憶部に記憶されている前記識別情報または前記識別情報に対応する情報を前記第1ボタンの表示領域内に表示させる」ものであるのに対し,引用発明は,そのようなものではない点。 (2)相違点についての判断 事例に鑑み,先に相違点5及び相違点6について検討する。 上記引用文献2の,上記D,上記E,及び上記Fに記載される,引用文献2記載の技術,すなわち, 「記憶媒体に格納されている制御プログラム等を起動することが可能な情報処理装置において, プログラムが複数格納されている場合,前回選択したプログラムがプログラム名登録部によって登録されているかどうかを判断し, 登録されているプログラムが存在した場合は, プログラムの一覧表示を行うか,あるいは登録されているプログラムを実行するかどうかを問い合わせるパネル401をユーザに表示し, プログラムの一覧表示を行うよう指示するためのスイッチ402,または,プログラムの一覧表示を行わずに登録されているプログラムを実行するよう指示するためのスイッチ403を,ユーザに選択させる技術」 については,本願の優先日前において周知技術であったといえる。 しかしながら,プログラムの一覧表示を行うか,あるいは登録されているプログラムを実行するかどうかを問い合わせるパネルをユーザに表示し,プログラムの一覧表示を行うよう指示するためのスイッチ(本願発明1の「第2ボタンに相当」),または,プログラムの一覧表示を行わずに登録されているプログラムを実行するよう指示するためのスイッチ(本願発明1の「第1ボタンに相当」)を,ユーザに選択させる技術が周知技術であったとしても,引用発明のIntentにおいて,当該周知技術を適用する動機づけがあったとは言えず,引用発明に引用文献2記載の技術を適用して上記相違点5に係る構成を採用することが,当業者にとって容易であったとは言えない。 加えて,上記引用文献3の,上記G及び上記Hに記載される,特定のアプリケーションを識別可能な情報をアイコンの領域内に表示する技術(以下,「引用文献3記載の技術」という。)についても,本願の優先日前において周知技術であったといえる。 そうすると,上記で検討したように,引用発明に引用文献2記載の技術を適用して上記相違点5に係る構成を採用することが,当業者にとって容易であったとは言えないものであるところ,引用発明に引用文献2記載の技術を適用したものに対してさらに,引用文献3記載の技術を適用して上記相違点6に係る構成を採用することは,当業者にとって想到し得ないものである。 したがって,他の相違点について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても,引用発明,引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2ないし本願発明7について 本願発明2ないし本願発明7は,いずれも本願発明1を,直接・間接に減縮した発明であり,本願発明1と同様に,「前記第1アプリケーションに前記処理手段が前記画像データを処理させた後に、再度前記画像データ取得手段が画像データを取得した場合、第1ボタンと第2ボタンとを前記表示部に表示させるボタン表示手段として、前記プログラムは前記携帯端末を機能させ」「前記ボタン表示手段が前記表示部に表示させた前記第1ボタンに対する操作を、前記操作部を介して受け付けた場合、前記処理手段は、前記記憶部に記憶されている前記識別情報により識別される前記第1アプリケーションに再度前記画像データ取得手段が取得した前記画像データを処理させ」「前記ボタン表示手段が前記表示部に表示させた前記第2ボタンに対する操作を、前記操作部を介して受け付けた場合、前記検索要求手段は、再度前記データ形式受付手段が受け付けたデータ形式のデータを処理可能であるアプリケーションの検索を、前記オペレーティングシステムに要求し、前記一覧表示手段は、前記オペレーティングシステムに再度検索されたアプリケーションの一覧を前記表示部に表示させ、前記アプリケーション受付手段は、再度前記一覧表示手段が前記表示部に表示させた前記アプリケーションの一覧の中から第2アプリケーションの選択を受け付け、前記処理手段は、前記第2アプリケーションに再度前記画像データ取得手段が取得した画像データを処理させ」る構成を備え,該「ボタン表示手段」が「前記記憶部に記憶されている前記識別情報または前記識別情報に対応する情報を前記第1ボタンの表示領域内に表示させる」構成を有するものであるから,上記1(2)と同じ理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3 本願発明8について 本願発明8は,本願発明1に対する携帯端末という装置の発明であり,本願発明1と同様に,「前記第1アプリケーションに前記処理手段が前記画像データを処理させた後に、再度前記画像データ取得手段が画像データを取得した場合、第1ボタンと第2ボタンとを前記表示部に表示させるボタン表示手段として、前記プログラムは前記携帯端末を機能させ」「前記ボタン表示手段が前記表示部に表示させた前記第1ボタンに対する操作を、前記操作部を介して受け付けた場合、前記処理手段は、前記記憶部に記憶されている前記識別情報により識別される前記第1アプリケーションに再度前記画像データ取得手段が取得した前記画像データを処理させ」「前記ボタン表示手段が前記表示部に表示させた前記第2ボタンに対する操作を、前記操作部を介して受け付けた場合、前記検索要求手段は、再度前記データ形式受付手段が受け付けたデータ形式のデータを処理可能であるアプリケーションの検索を、前記オペレーティングシステムに要求し、前記一覧表示手段は、前記オペレーティングシステムに再度検索されたアプリケーションの一覧を前記表示部に表示させ、前記アプリケーション受付手段は、再度前記一覧表示手段が前記表示部に表示させた前記アプリケーションの一覧の中から第2アプリケーションの選択を受け付け、前記処理手段は、前記第2アプリケーションに再度前記画像データ取得手段が取得した画像データを処理させ」る構成を備え,該「ボタン表示手段」が「前記記憶部に記憶されている前記識別情報または前記識別情報に対応する情報を前記第1ボタンの表示領域内に表示させる」構成を有するものであるから,上記1(2)と同じ理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定について 審判請求時の補正により,本願発明1ないし本願発明8が備える「ボタン表示手段」が,「前記記憶部に記憶されている前記識別情報または前記識別情報に対応する情報を前記第1ボタンの表示領域内に表示させる」構成を有するものとなっており,当業者であっても,拒絶査定において引用された引用文献1ないし引用文献5に基づいて,容易に発明できたものとはいえない。 したがって,原査定の理由を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2020-05-01 |
出願番号 | 特願2017-166635(P2017-166635) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 坂庭 剛史 |
特許庁審判長 |
仲間 晃 |
特許庁審判官 |
山崎 慎一 田中 秀人 |
発明の名称 | 情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法 |