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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1362018 |
審判番号 | 不服2019-11678 |
総通号数 | 246 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-09-05 |
確定日 | 2020-04-30 |
事件の表示 | 特願2018-29669号「遊技台」拒絶査定不服審判事件〔平成30年6月7日出願公開、特開2018-86404号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯の概要 本願は、平成25年10月4日に出願した特願2013-209286号の一部を平成28年2月2日に新たな特許出願(特願2016-17898号)とし、さらにその一部を平成30年2月22日に新たな特許出願(特願2018-29669号)としたものであって、同年11月22日付けで拒絶の理由が通知され、平成31年1月23日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和1年6月11日付け(送達日:同年6月18日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して同年9月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 令和1年9月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和1年9月5日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1?6を補正する内容を含むものであり、そのうちの請求項1について、平成31年1月23日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における 「表示手段と、 操作手段と、 を備えた遊技台であって、 前記表示手段は、複数種類の表示を表示可能な手段であり、 前記表示手段は、複数の表示領域を有する手段であり、 前記複数の表示領域のうちの一の領域(以下、「第一の表示領域」という。)は、前記複数種類の表示のうちの一の表示(以下、「第一の表示」という。)を表示可能であり、 前記複数の表示領域のうちの一の領域(以下、「第二の表示領域」という。)は、前記複数種類の表示のうちの一の表示(以下、「第二の表示」という。)を表示可能であり、 前記複数の表示領域のうちの一の領域(以下、「第三の表示領域」という。)は、前記複数種類の表示のうちの一の表示(以下、「第三の表示」という。)を表示可能であり、 前記第一の表示は、皿満タンエラー表示であり、 前記第二の表示は、第一の予告表示であり、 前記第三の表示は、第二の予告表示であり、 前記第一の表示領域は、前記第三の表示領域と重ならない領域であり、 前記第一の表示領域の少なくとも一部の領域は、前記第二の表示領域の少なくとも一部の領域と重なる領域であり、 前記第一の予告表示は、前記操作手段への操作があった場合に表示開始可能な表示である、 ことを特徴とする遊技台。」は、 審判請求時に提出された手続補正書(令和1年9月5日付け)の特許請求の範囲の請求項1における 「表示手段と、 操作手段と、 可動手段と、 を備えた遊技台であって、 前記表示手段は、複数種類の表示を表示可能な手段であり、 前記表示手段は、複数の表示領域を有する手段であり、 前記複数の表示領域のうちの一の領域(以下、「第一の表示領域」という。)は、前記複数種類の表示のうちの一の表示(以下、「第一の表示」という。)を表示可能であり、 前記複数の表示領域のうちの一の領域(以下、「第二の表示領域」という。)は、前記複数種類の表示のうちの一の表示(以下、「第二の表示」という。)を表示可能であり、 前記複数の表示領域のうちの一の領域(以下、「第三の表示領域」という。)は、前記複数種類の表示のうちの一の表示(以下、「第三の表示」という。)を表示可能であり、 前記第一の表示は、皿満タンエラー表示であり、 前記第二の表示は、第一の予告表示であり、 前記第三の表示は、第二の予告表示であり、 前記第一の表示領域は、前記第三の表示領域と重ならない領域であり、 前記第一の表示領域の少なくとも一部の領域は、前記第二の表示領域の少なくとも一部の領域と重なる領域であり、 前記第一の予告表示は、前記操作手段への操作があった場合に表示開始可能な表示であり、 前記可動手段は、前記第一の表示の少なくとも一部にオーバーラップする位置に移動可能な手段である、 ことを特徴とする遊技台。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審判合議体にて付した。)。 2 補正の適否 2-1 補正の目的及び新規事項について 本件補正は、補正前の請求項1について、「可動手段」を備えること、および、「前記可動手段は、前記第一の表示の少なくとも一部にオーバーラップする位置に移動可能な手段である」ことを限定することを含むものである。 そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正に係る特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の【2053】、【2085】、【2483】等の記載、および、【図233】(e)、(f)の図示内容からみて、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 2-2 独立特許要件について そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A?Mは、分説するため審決にて付した。)。 「A 表示手段と、 B 操作手段と、 C 可動手段と、 を備えた遊技台であって、 D 前記表示手段は、複数種類の表示を表示可能な手段であり、 E 前記表示手段は、複数の表示領域を有する手段であり、 F1 前記複数の表示領域のうちの一の領域(以下、「第一の表示領域」という。)は、前記複数種類の表示のうちの一の表示(以下、「第一の表示」という。)を表示可能であり、 G1 前記複数の表示領域のうちの一の領域(以下、「第二の表示領域」という。)は、前記複数種類の表示のうちの一の表示(以下、「第二の表示」という。)を表示可能であり、 H1 前記複数の表示領域のうちの一の領域(以下、「第三の表示領域」という。)は、前記複数種類の表示のうちの一の表示(以下、「第三の表示」という。)を表示可能であり、 F2 前記第一の表示は、皿満タンエラー表示であり、 G2 前記第二の表示は、第一の予告表示であり、 H2 前記第三の表示は、第二の予告表示であり、 I 前記第一の表示領域は、前記第三の表示領域と重ならない領域であり、 J 前記第一の表示領域の少なくとも一部の領域は、前記第二の表示領域の少なくとも一部の領域と重なる領域であり、 K 前記第一の予告表示は、前記操作手段への操作があった場合に表示開始可能な表示であり、 L 前記可動手段は、前記第一の表示の少なくとも一部にオーバーラップする位置に移動可能な手段である M ことを特徴とする遊技台。」 (2)引用文献 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の遡及日前に頒布された刊行物である特開2012-205703号公報(以下「引用文献1」という。)には、遊技機に関して、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は審決にて付した。以下同じ。)。 ア 記載事項 (ア)「【発明が解決しようとする課題】 ・・・ 【0006】 本願発明は上記課題に鑑みたもので、エラー報知による演出効果の低減防止を図る遊技機を提供することを目的とする。」 (イ)「【0011】 図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。 ・・・ 【0013】 遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。 ・・・ 【0017】 遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する。以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という。 ・・・ 【0019】 演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイで構成される表示装置である。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄を変動させる動画像を画面の中央領域に表示する。本実施例においては、「0」?「9」の数字で構成される図柄を3列に表示して変動させ、最終的に停止表示される3個の図柄組合せによって当りまたは外れを示す。装飾図柄190を構成する複数図柄のそれぞれは、色彩や模様の装飾が施された数字、文字、または記号で構成されるが、これら数字、文字、記号に対して全図柄に共通する絵柄または図柄ごとに異なる絵柄を加えて一体化させる形で構成されてもよい。この絵柄は、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連するモチーフが描かれた絵柄であり、例えば人物や動物のキャラクターが描かれた絵柄であってもよい。装飾図柄190は、絵柄が一体的に含まれる図柄が変動表示される場合と、絵柄が分離して数字、文字、記号の部分のみが変動表示される場合とが、演出の展開に沿って切り替えられる構成であってもよい。装飾図柄190の変動表示の背景には、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連する演出的効果を有する動画像が図柄変動と連動して表示される。 ・・・ 【0025】 演出表示装置60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作する操作入力手段であり、その操作入力の内容に応じて演出内容等に変化が加えられる。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。本実施例における操作ボタン82は一つのボタンで構成されるが、複数のボタンや十字キーなどの方向指示ボタンで構成されてもよい。可動役物140は、演出に連動して動作が制御される可動物であり、その動作によって演出的役割を果たす。例えば可動役物140は、遊技者による操作ボタン82を介した操作入力に応じて動作する。 ・・・ 【0027】 遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された変動表示時間の経過後に停止される。特別図柄192は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動パターンにしたがって変動表示される。装飾図柄190は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動演出パターンにしたがって変動表示される。変動パターンおよび変動演出パターンはそれぞれ複数種ずつ用意され、それぞれが長短様々な変動時間をもつ。変動パターンにしたがって特別図柄192が変動表示される間、同じ変動時間をもつ変動演出パターンにしたがって装飾図柄190が変動表示される。変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄192および装飾図柄190の変動が停止される。」 ・・・ 【0036】 エラー信号を受け取った内部の制御装置は、エラーに対処するための種々の制御を実行する。例えば、遊技球の発射を一時的に停止させたり、各入球口の開閉や賞球を停止させたりといった制御である。また、演出表示装置60の画面にエラーが発生した旨を示す文字列や絵などを用いてエラー報知するとともに、エラーの発生を示す音声によるエラー報知や、遊技効果ランプ90などの電飾品を点灯させることによるエラー報知を実行する。このとき、演出表示装置60の画面表示や音声出力、遊技効果ランプ90の点灯を用いた演出が通常どおり実行されているが、そうした演出に優先してエラー報知がなされる。そのため、一部の演出がエラー報知によって妨げられたり、遊技者による視聴が困難となったりし得る。そこで、本実施例においては、エラー報知により妨げられた演出が相対的に重要度を持つ演出であった場合に、その演出の趣旨を補完するために、妨げられた演出の種類に対応する新たな演出を実行する。これにより、エラー報知によって遊技者が重要な演出を視聴できなかった場合の不快感を緩和できる。また、エラー報知によって遊技者が視聴できなかった演出の目的を新たな演出によって果たすことで、その演出による情報性の損失を低減できる。」 (ウ)「【0055】 図3に戻り、変動パターン決定手段115は、当否抽選の結果に応じて複数種の変動パターンからいずれかの変動パターンを選択する。変動パターン決定手段115は、変動パターンを決定するために参照すべき変動パターンテーブルを保持する。変動パターン決定手段115は、決定した変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。変動パターン決定手段115は、複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつとともに、その変動時間にて複数の図柄で構成される装飾図柄による図柄変動も実行されることを前提として規定される。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄および装飾図柄の変動が停止される。 ・・・ 【0061】 第1欄212には、保留制御手段116による当否抽選の結果保留数が1の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。同様に、第2欄214、第3欄216、第4欄218に、保留制御手段116による当否抽選の結果保留数がそれぞれ2、3、4の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。すなわち、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218が保留数ごとの変動パターンテーブルを示すと考えることができる。本図では、外れのときに選択され得る複数の変動パターンを変動時間別に5種類に分類した例を説明するが、実際にはそれらの分類ごとに複数の変動演出パターンが用意されており、全体で数十種類の変動演出パターンがその分類ごとの抽選値範囲に対応付けられていることに等しい。なお、本図の第2欄214、第3欄216、第4欄218の各パターン抽選値範囲の割合と第1欄212におけるパターン抽選値範囲の割合を比較するために、第1欄212のパターン抽選値範囲の割合を示す破線を第2欄214、第3欄216、第4欄218に描いている。」 (エ)「【0080】 演出決定手段132は、当否抽選の結果に応じて演出表示装置60に予告演出を表示させるか否かを所定の予告抽選により決定するとともに、表示させるべき予告演出パターンを決定する。演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否かを決定するために参照すべき予告決定テーブルと、予告演出パターンの種類を選択するときに参照すべき予告種類テーブルとを保持する。予告決定テーブルは、当否抽選の結果に応じて異なる欄が参照されるように設定されており、例えば当否抽選が当りの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を表示させるよう、当否抽選の結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより、予告演出が表示されること自体で大当りへの期待度の高さを示唆することができる。 ・・・ 【0084】 演出表示制御手段134は、予告演出を表示させる旨が演出決定手段132により決定された場合、選択された予告演出パターンにしたがった予告演出を図柄変動の演出に重畳させる形で演出表示装置60へ表示させ、スピーカ18から音声を出力させる。予告演出パターンによっては、可動役物140を動作させたり、遊技効果ランプ90を点滅させたりする。 ・・・ 【0087】 エラー報知手段138は、エラー受信手段137からエラー信号を受け取った場合に不具合が発生した旨を、演出表示装置60への画面表示、スピーカ18からの音声出力、遊技効果ランプ90の点灯のうち少なくともいずれかによりエラー報知として出力する。このとき、演出表示装置60への画面表示、スピーカ18からの音声出力、遊技効果ランプ90の点灯のうち少なくともいずれかを用いた演出が実行されていたとしても、その演出に優先してエラー報知を実行する。本実施例においては、演出表示装置60への画面表示、スピーカ18からの音声出力、遊技効果ランプ90の点灯をすべて用いた演出とするが、変形例においては、これらの手法のうちいずれか一つまたは二つを用いたエラー報知としてもよい。 【0088】 エラー報知の方法は、エラー信号に示されるエラーの種類によって異なる。例えば、球詰まりエラーの場合、遊技者が上球皿15または下球皿16から遊技球を除去して所定量未満へ減らすまではエラーを解除できないため、エラー解除までに要する時間も推測できず、実際に不具合が解消されるまではエラー報知を継続する必要がある。一方、振動エラーのように、発生した不具合自体はごく短時間であるため、エラー報知の時間は例えば「40秒間」のようにあらかじめ定められる。このように、エラー報知の時間が定められているエラーと、定められていないエラーとに分けられ、報知時間が定められているエラーについてもエラーの種類ごとにその重要性に沿って異なる報知時間が定められていてもよい。エラー報知手段138は、エラー信号に示されるエラーの種類に対応する報知時間および報知方法を用いてエラー報知を実行する。 【0089】 図9は、演出表示装置60の画面に表示させるエラー報知の例を模式的に示す図である。演出表示装置60の画面表示を用いたエラー報知としては、本図のエラー表示260のように「!!球詰まりエラー!! 球皿を確認してください。」といった文字列を画面に表示するとともに、エラーを示す警告音をスピーカ18から出力し、遊技効果ランプ90を点灯させる。このとき、画面では装飾図柄190が右下に小さく変動表示されているとともに、画面中央に予告表示262として「敵は○○○○○だ」といったセリフ予告演出が表示されていた場合を想定する。エラー表示260は、予告表示262より優先して表示されるため、予告表示262より上位のレイヤーに表示されて予告表示262の一部がエラー表示260に覆われて隠れる形となる。したがって、予告表示262のセリフ予告に示される文字列のうち、肝心なキャラクタ名である「○○○○○」がエラー表示260に覆われて遊技者から視認できなくなっている。このセリフ予告が図8にいう「予告B」に相当するとして、文字列に含まれるキャラクタ名が「B1」?「B5」のそれぞれで異なる場合、遊技者はキャラクタ名を視認することでそのセリフ予告による大当りの期待度を推測することとなる。しかし、エラー表示260に妨げられることで、大当りの期待度を推測できなくなる。」 (オ) 【図9】 イ 認定事項 (ア)引用文献1には、【0089】に「図9は、演出表示装置60の画面に表示させるエラー報知の例を模式的に示す図である。演出表示装置60の画面表示を用いたエラー報知としては、本図のエラー表示260のように「!!球詰まりエラー!! 球皿を確認してください。」といった文字列を画面に表示する・・・このとき、画面では装飾図柄190が右下に小さく変動表示されているとともに、画面中央に予告表示262として「敵は○○○○○だ」といったセリフ予告演出が表示されていた場合を想定する。エラー表示260は、予告表示262より優先して表示されるため、・・・予告表示262の一部がエラー表示260に覆われて隠れる形となる。」ことが記載されている。 そして、【図9】には、中央画面に表示されるエラー表示260と、右下画面に小さく変動表示される装飾図柄190とが重ならないで表示されることが図示されている。 したがって、引用文献1には、球詰まりエラーが発生した場合、画面中央に表示されるエラー表示260は、画面右下に小さく変動表示される装飾図柄190とは重ならないことが示されている。 ウ 上記アの記載事項、及び、上記イの認定事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?mは、本件補正発明のA?Mに対応させて当審判合議体にて付した。)。 「a 演出表示装置60(【0013】)と、 b 操作ボタン82(【0025】)と、 c 可動役物140(【0025】)と を備えたぱちんこ遊技機10(【0011】)であって、 d 演出表示装置60は、装飾図柄190を含む演出画像の変動や、セリフ予告演出としての予告表示262や、エラー報知としてのエラー表示260を表示し(【0017】、【0080】、【0089】)、 e 演出表示装置60は、装飾図柄190を変動させる動画像や、エラー表示260や、セリフ予告演出としての予告表示262が表示される画面中央と、装飾図柄190を小さく変動表示される画面右下(【0019】、【0089】)とを有し、 f1、f2 球詰まりエラーの場合、エラー表示260として、画面中央に「!!球詰まりエラー!! 球皿を確認してください。」といった文字列を表示可能であり(【0088】、【0089】)、 g1、g2 予告表示262として、画面中央に「敵は○○○○○だ」といったセリフ予告演出を表示可能であり(【0089】)、 h1、h2 画面中央に予告表示262として「敵は○○○○○だ」といったセリフ予告演出が表示されるとともに、装飾図柄190を画面右下に小さく変動表示可能であり(【0089】)、 当否抽選の結果に応じて複数種の変動パターンからいずれかの変動パターンが選択され、変動時間別に分類された1つの変動パターンには、複数の変動演出パターンが用意され(【0055】、【0061】)、 装飾図柄190は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動演出パターンにしたがって変動表示され(【0027】)、 i 球詰まりエラーが発生した場合、画面中央に表示されるエラー表示260は、画面右下に小さく変動表示される装飾図柄190とは重ならず(認定事項(ア))、 j セリフ予告演出が表示されていた場合に球詰まりエラーが発生した場合、画面中央に表示されるエラー表示260と予告表示262とは、予告表示262の一部がエラー表示260に覆われて隠れる形で表示され(【0089】)、 k’操作ボタン82の操作入力の内容に応じて演出内容等に変化が加えられ(【0025】)、 l’可動役物140は、遊技者による操作ボタン82を介した操作入力に応じて動作し(【0025】)、 予告演出パターンによっては、可動役物140を動作させたり、遊技効果ランプ90を点滅させたりし(【0084】)、 エラー信号を受け取った場合に不具合が発生した旨を、演出表示装置60への画面表示、スピーカ18からの音声出力、遊技効果ランプ90の点灯のうち少なくともいずれかによりエラー報知として出力するエラー報知手段138を備え、エラー報知手段138がエラー報知を行うとき、演出表示装置60の画面表示や音声出力、遊技効果ランプ90の点灯を用いた演出が通常どおり行われているが、演出表示装置60への画面表示、スピーカ18からの音声出力、遊技効果ランプ90の点灯のうち少なくともいずれかを用いた演出が実行されていたとしても、その演出に優先してエラー報知を行い(【0036】、【0087】)、 球詰まりエラーの場合、遊技者が上球皿15または下球皿16から遊技球を除去して所定量未満へ減らすまではエラーを解除できず(【0088】)、 エラー表示260は、予告表示262より優先して表示される(【0089】)、 m ぱちんこ遊技機10。」 (3)対比 本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。 (a)、(b)、(c)、(m) 引用発明における構成aの「演出表示装置60」は、本件補正発明における構成Aの「表示手段」に相当する。 そして、引用発明における構成bの「操作ボタン82」は、本件補正発明における構成Bの「操作手段」に相当する。 また、引用発明における構成cの「可動役物140」は、本件補正発明における構成Cの「可動手段」に相当する。 さらに、引用発明における構成c、mの「ぱちんこ遊技機10」は、本件補正発明における構成C、Mの「遊技台」に相当する。 したがって、引用発明の構成a?c、mの「演出表示装置60と、操作ボタン82と、可動役物140とを備えた」「ぱちんこ遊技機10」は、本件補正発明における構成A?C、Mの「表示手段と、操作手段と、可動手段と、を備えた」「遊技台」に相当する。 (d) 引用発明における「装飾図柄190を含む演出画像の変動や、セリフ予告演出としての予告表示262や、エラー報知としてのエラー表示260」は、本件補正発明における「複数種類の表示」に相当する。 したがって、引用発明における構成dの「演出表示装置60は、装飾図柄190を含む演出画像の変動や、セリフ予告演出としての予告表示262や、エラー報知としてのエラー表示260を表示」することは、本件補正発明における構成Dの「表示手段は、複数種類の表示を表示可能な手段であ」ることに相当する。 (e) 引用発明の「演出表示装置60」は、「画面中央」領域と「画面右下」領域からなる複数の表示領域を有するものである。 そうすると、引用発明における構成eの「画面中央」と「画面右下」を含む「演出表示装置60」は、本件補正発明における構成Eの「複数の表示領域を有する手段であ」る「表示手段」に相当する。 (f1、f2) 引用発明の「画面中央」は、本件補正発明の「複数の表示領域のうちの一の領域(「第一の表示領域」)」に相当する。 そして、引用発明の「「!!球詰まりエラー!! 球皿を確認してください。」といった文字列を表示」する「エラー表示260」は、本件補正発明の「複数種類の表示のうちの一の表示(「第一の表示」)」および「皿満タンエラー表示」に相当する。 したがって、引用発明における構成f1、f2の「球詰まりエラーの場合、エラー表示260として、画面中央に「!!球詰まりエラー!! 球皿を確認してください。」といった文字列を表示可能であ」ることは、本件補正発明における構成F1の「複数の表示領域のうちの一の領域(「第一の表示領域」)は、複数種類の表示のうちの一の表示(「第一の表示」)を表示可能であ」ること、および、構成F2の「第一の表示は、皿満タンエラー表示であ」ることに相当する。 (g1、g2) 引用発明の「画面中央」は、本件補正発明の「複数の表示領域のうちの一の領域(「第二の表示領域」)」にも相当する。 そして、引用発明の「画面中央に「敵は○○○○○だ」といったセリフ予告演出を表示」する「予告表示262」は、本件補正発明の「複数種類の表示のうちの一の表示(「第二の表示」)」および「第一の予告表示」に相当する。 したがって、引用発明における構成g1、g2の「予告表示262として、画面中央に「敵は○○○○○だ」といったセリフ予告演出を表示可能であ」ることは、本件補正発明における構成G1の「複数の表示領域のうちの一の領域は、複数種類の表示のうちの一の表示(「第二の表示」)を表示可能であ」ること、および、構成G2の「第二の表示は、第一の予告表示であ」ることに相当する。 (h1、h2) 引用発明の「画面右下」は、本件補正発明の「複数の表示領域のうちの一の領域(「第三の表示領域」)」に相当する。 そして、引用発明の「変動パターン」は、「当否抽選の結果に応じて」「変動時間別に」「選択され」ることから、「変動パターン」の「変動時間」により大当りとなる可能性を示唆し、予告するものであるといえる。 そうすると、引用発明の「変動パターン」に基づく「変動演出パターン」によって「変動表示」する「装飾図柄190」は、本件補正発明の「複数種類の表示のうちの一の表示(「第三の表示」)」および「第二の予告表示」に相当する。 したがって、引用発明における構成h1、h2の「画面中央に予告表示262として「敵は○○○○○だ」といったセリフ予告演出が表示されるとともに、装飾図柄190を画面右下に小さく変動表示可能であ」ることは、本件補正発明における構成H1の「複数の表示領域のうちの一の領域(「第三の表示領域」)は、複数種類の表示のうちの一の表示(「第三の表示」)を表示可能であ」ること、および、構成H2の「第三の表示は、第二の予告表示であ」ることに相当する。 (i) 上記(f1、f2)、(h1、h2)より、引用発明における構成iの「球詰まりエラーが発生した場合、画面中央に表示されるエラー表示260は、画面右下に小さく変動表示される装飾図柄190とは重なら」ないことは、本件補正発明における構成Iの「第一の表示領域は、第三の表示領域と重ならない領域であ」ることに相当する。 (j) 上記(f1、f2)、(g1、g2)より、引用発明における構成jの「セリフ予告演出が表示されていた場合に球詰まりエラーが発生した場合、画面中央に表示されるエラー表示260と予告表示262とは、予告表示262の一部がエラー表示260に覆われて隠れる形で表示され」ることは、本件補正発明における構成Jの「第一の表示領域の少なくとも一部の領域は、第二の表示領域の少なくとも一部の領域と重なる領域であ」ることに相当する。 よって、上記(a)?(m)によれば、本件補正発明と引用発明は、 「A 表示手段と、 B 操作手段と、 C 可動手段と、 を備えた遊技台であって、 D 前記表示手段は、複数種類の表示を表示可能な手段であり、 E 前記表示手段は、複数の表示領域を有する手段であり、 F1 前記複数の表示領域のうちの一の領域(以下、「第一の表示領域」という。)は、前記複数種類の表示のうちの一の表示(以下、「第一の表示」という。)を表示可能であり、 G1 前記複数の表示領域のうちの一の領域(以下、「第二の表示領域」という。)は、前記複数種類の表示のうちの一の表示(以下、「第二の表示」という。)を表示可能であり、 H1 前記複数の表示領域のうちの一の領域(以下、「第三の表示領域」という。)は、前記複数種類の表示のうちの一の表示(以下、「第三の表示」という。)を表示可能であり、 F2 前記第一の表示は、皿満タンエラー表示であり、 G2 前記第二の表示は、第一の予告表示であり、 H2 前記第三の表示は、第二の予告表示であり、 I 前記第一の表示領域は、前記第三の表示領域と重ならない領域であり、 J 前記第一の表示領域の少なくとも一部の領域は、前記第二の表示領域の少なくとも一部の領域と重なる領域である M 遊技台。」の点で一致し、次の点で相違する。 [相違点1](構成K) 第一の予告表示に関して、 本件補正発明は、「操作手段への操作があった場合に表示開始可能な表示であ」るのに対して、 引用発明は、「操作ボタン82の操作入力の内容に応じて演出内容等に変化が加えられ」るが、「操作ボタン82の操作入力の内容に応じて」、「セリフ予告演出」を開始可能であるか否か明らかでない点。 [相違点2](構成L) 可動手段に関して、 本件補正発明は、「第一の表示の少なくとも一部にオーバーラップする位置に移動可能」であるのに対して、 引用発明は、「遊技者による操作ボタン82を介した操作入力に応じて動作」することが可能であるが、その動作範囲が、「第一の表示の少なくとも一部にオーバーラップする位置に移動可能」なものであるのか否か明らかでない点。 (4)判断 ア 相違点について (ア)相違点1(構成K)について 遊技機の技術分野において、遊技の興趣を向上させるために、セリフ予告演出をボタン操作に基づいて開始させることは、本願の遡及日前に周知の技術事項である(例えば、特開2010-259481号公報の【0007】、【0095】?【0096】、【0100】、【図10】には、演出ボタン113の操作時、あるいは、自動ボタン114の操作時に「セリフ演出」を行うことが記載され、 特開2013-78509号公報の【0320】、【図40】には、プッシュボタン516の操作が検出された場合、または、操作レバー600の操作が検出された場合にキャラクタがセリフを喋る演出が実行されることが記載され、 特開2013-198612号公報の【0075】、【図7】には、演出ボタン9の操作の有無に応じて、人物のセリフを異なるセリフに展開させることが記載されている。以下「周知の技術事項」という。)。 そして、引用発明においても、演出を通して遊技の興趣を向上させるという自明の課題を内在するものである。 したがって、引用発明の「操作ボタン82の操作入力の内容に応じて」「変化が加えられ」る「演出内容等」として、上記周知の技術事項の「セリフ予告演出」を採用して、「操作ボタン82の操作入力の内容に応じて」「セリフ予告演出」を開始させ、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。 (イ)相違点2(構成L)について 引用発明は、「予告演出パターンによっては、可動役物140を動作させ」ること(構成l’)が可能である。 また、引用発明は、「エラー信号を受け取った場合に不具合が発生した旨を、演出表示装置60への画面表示、スピーカ18からの音声出力、遊技効果ランプ90の点灯のうち少なくともいずれかによりエラー報知として出力するエラー報知手段138を備え、エラー報知手段138がエラー報知を行うとき、演出表示装置60の画面表示や音声出力、遊技効果ランプ90の点灯を用いた演出が通常どおり行われているが、演出表示装置60への画面表示、スピーカ18からの音声出力、遊技効果ランプ90の点灯のうち少なくともいずれかを用いた演出が実行されていたとしても、その演出に優先してエラー報知を行い、球詰まりエラーの場合、遊技者が上球皿15または下球皿16から遊技球を除去して所定量未満へ減らすまではエラーを解除できず、エラー表示260は、予告表示262より優先して表示される」ものである(構成l’)から、「ぱちんこ遊技機10」が、「エラー信号を受け取った場合」でも、「可動役物140」の動作を「通常どおり行」うことが可能なものである。 したがって、引用発明は、「エラー信号を受け取った場合」でも、「予告演出パターンによっては、可動役物140」の動作を、「通常どおり行」うことが可能なものである。 そして、引用発明において、「可動役物140」は、「遊技者による操作ボタン82を介した操作入力に応じて動作」する(構成l’)ものであるが、「可動役物140」のパチンコ遊技機における動作可能な範囲は不明である。 ところで、遊技機の技術分野において、可動役物を退避位置から画面中央手前の動作位置まで移動可能な構成とすることは、本願の遡及日前に広く行われていた技術事項である(必要ならば、特開2010-110415号公報の【図11】 【図11】 や、【0063】?【0064】に、可動演出体24、26が、予告演出パターンに従って、退避位置Xから中央手前の演出位置Yへと下降することが示され、 特開2012-105891号公報の【図2】 【図2】 や、【0019】に、可動演出体80が、上方待機位置と、中央手前の下方待機位置との間を上下方向に往復移動するように構成されることが示されている。以下「慣用手段」という。)。 また、引用発明は、構成f1、f2より、「球詰まりエラーの場合、エラー表示260として、画面中央に「!!球詰まりエラー!! 球皿を確認してください。」といった文字列を表示可能」である。 これらのことからみて、引用発明において、「エラー信号を受け取っ」て、「画面中央に「!!球詰まりエラー!! 球皿を確認してください。」といった文字列を表示」している場合であっても、「予告演出パターンによっては、可動役物140」の動作を、「通常どおり行」うことが可能である。 そして、上記慣用手段を引用発明に適用することで、「可動役物140」を退避位置から画面中央手前の動作位置まで移動可能とすれば、「!!球詰まりエラー!!」の表示上に可動役物140がオーバーラップするのは当然であるので、上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。 イ 効果について 本件補正発明により奏される効果は、引用発明、上記周知の技術事項、および、上記慣用手段から当業者が予測し得た効果の範囲内のものであって、格別なものではない。 ウ 小括 よって、本件補正発明は、引用発明、上記周知の技術事項、および、上記慣用手段に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。 (5)まとめ 上記(1)?(4)より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成31年1月23日付け手続補正書の請求項1に記載された、次のとおりのものと認める。 「A 表示手段と、 B 操作手段と、 を備えた遊技台であって、 D 前記表示手段は、複数種類の表示を表示可能な手段であり、 E 前記表示手段は、複数の表示領域を有する手段であり、 F1 前記複数の表示領域のうちの一の領域(以下、「第一の表示領域」という。)は、前記複数種類の表示のうちの一の表示(以下、「第一の表示」という。)を表示可能であり、 G1 前記複数の表示領域のうちの一の領域(以下、「第二の表示領域」という。)は、前記複数種類の表示のうちの一の表示(以下、「第二の表示」という。)を表示可能であり、 H1 前記複数の表示領域のうちの一の領域(以下、「第三の表示領域」という。)は、前記複数種類の表示のうちの一の表示(以下、「第三の表示」という。)を表示可能であり、 F2 前記第一の表示は、皿満タンエラー表示であり、 G2 前記第二の表示は、第一の予告表示であり、 H2 前記第三の表示は、第二の予告表示であり、 I 前記第一の表示領域は、前記第三の表示領域と重ならない領域であり、 J 前記第一の表示領域の少なくとも一部の領域は、前記第二の表示領域の少なくとも一部の領域と重なる領域であり、 K 前記第一の予告表示は、前記操作手段への操作があった場合に表示開始可能な表示である M ことを特徴とする遊技台。」 2 拒絶の理由(平成30年11月22日付け) 原査定の拒絶の理由は、次のとおりである。 1.(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2012-205703号公報 3 引用文献に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1である特開2012-205703号公報(前記「第2 2-2(2)」における「引用文献1」に対応する。)の記載事項及び引用発明の認定については、前記「第2 2-3(2)引用文献1」に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記「第2[理由]」で検討した本件補正発明における「可動手段」および「前記可動手段は、前記第一の表示の少なくとも一部にオーバーラップする位置に移動可能な手段である」との発明特定事項を削除することで、その限定を省くものである。 そうすると、本願発明と引用発明とは、前記相違点1において相違し、その余の点で一致する。 そして、相違点1についての判断は、前記「第2 2-2(4)判断」において検討したように、引用発明に前記周知の技術事項を適用することにより、当業者が容易になし得たものである。 5 むすび 上記1?4より、本願発明は、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができないものである。 したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2020-02-28 |
結審通知日 | 2020-03-03 |
審決日 | 2020-03-16 |
出願番号 | 特願2018-29669(P2018-29669) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中野 直行 |
特許庁審判長 |
安久 司郎 |
特許庁審判官 |
長崎 洋一 赤坂 祐樹 |
発明の名称 | 遊技台 |
代理人 | 横田 一樹 |
代理人 | 佐原 雅史 |