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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B62D
管理番号 1362211
審判番号 不服2019-5233  
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-19 
確定日 2020-05-14 
事件の表示 特願2015-243307号「ステアリングホイール」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月22日出願公開、特開2017-109521号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年12月14日の出願であって、平成30年11月12日付けで拒絶理由が通知され、同年12月26日に意見書及び手続補正書が提出され、平成31年1月15日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、平成31年4月19日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 平成31年4月19日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成31年4月19日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成31年4月19日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲を補正するものであって、請求項1について補正前後の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。

(1)補正前の請求項1
「【請求項1】
表示器が配設されたステアリングホイールであって、
前記表示器は、
光源と、
前記ステアリングホイールの周方向に沿って延びるとともに自身の端部を前記光源に対向させた状態で配置され、前記端部から入射された光の一部を外周面から出射する導光体と、
前記光源及び前記導光体を保持する保持部材と、を備え、
前記表示器は、前記光源、前記導光体、及び前記保持部材がユニット化されて構成されていることを特徴とするステアリングホイール。」

(2)補正後の請求項1
「【請求項1】
表示器が配設されたステアリングホイールであって、
前記表示器は、
光源と、
前記ステアリングホイールの周方向に沿って延びるとともに自身の端部を前記光源に対向させた状態で配置され、前記端部から入射された光の一部を外周面から出射する導光体と、
前記光源及び前記導光体を保持する保持部材と、を備え、
前記表示器は、前記光源、前記導光体、及び前記保持部材がユニット化されて構成されており、
前記導光体の外周面からの光の出射領域は、運転席に適正な姿勢で着座した際の運転者の目と前記導光体の中心とを結ぶ仮想線を基準にして設定されていることを特徴とするステアリングホイール。」

2 補正の適否
2-1 補正の目的
本件補正に係る請求項1の補正は、補正前の請求項1に記載された「導光体」に関し、「前記導光体の外周面からの光の出射領域は、運転席に適正な姿勢で着座した際の運転者の目と前記導光体の中心とを結ぶ仮想線を基準にして設定されている」との限定を付すものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下「本願補正発明」という。)が、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。

2-2 独立特許要件
(1)引用文献の記載事項等
(1-1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用文献1として示され、本願の出願前に頒布された米国特許出願公開第2014/0109719号明細書(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。
なお、日本語訳は、引用文献1のパテントファミリー文献である特表2016-500606号公報(以下「公表公報」という。)を参考にして当審が作成した。
(1a)「[0002]This invention generally relates to a steering apparatus including alight element. More specifically, the invention relates to a vehicle steeringwheel including a light element providing indication and warning signals to theuser.」
「[0002]本発明は、概して光学部材を含むステアリング装置に関する。より詳細には、本発明は、ユーザに表示信号および警告信号を提供する光学部材を含む車両ステアリングホイールに関する。」(公表公報【0002】)
(1b)「[0030]Certain exemplary implementations of the invention will now bedescribed with reference to the drawings. In general, such implementationsrelate to a steering apparatus for a vehicle.FIG. 1 is a partial plan view ofan exemplary steering apparatus 100 having a steering grip 102 . The steering grip 102can be configured for gripping to facilitate control of the vehicle. Forexample, the steering grip 102 may be mounted on a fixed component (notshown) such that it is rotationally movable about a steering axis. An exemplaryfixed component can include, for example, a steering column, which receives asteering spindle that extends along the steering axis and serves to transmitthe rotational movement of the steering grip102 to the wheels of the motorvehicle. Rotational movement of the steering grip 102may be transmitted to the wheels by mechanical and/or electrical means.In an exemplary implementation, the steering grip 102can include a single continuous grip portion or any number of uniquegrip sections. For example, the steering grip102 can include an annular ringshape with an outer contour that is essentially circular in shape. In analternate implementation, the steering grip102 can define any suitable shapeincluding, for example, circular, elliptical, square, rectangular, or any otherregular or irregular shape.
[0031]In an exemplary implementation, the steering apparatus 100also includes a light element104 for providing indicationand/or warning light signals to the driver of the vehicle. The lightelement 104 can include, for example, a liquid crystaldisplay (LCD), thin-film-transistor display, active-matrix display, a segmenteddisplay (e.g., improved black nematic (INB), super twisted nematic (STN),etc.), a light-emitting diode (LED), a liquid crystal display, laser, halogen,fluorescent, an infra-red (IR) LED illuminator, or any other suitable lightemitting element. In an alternate implementation, the light element can includea light pipe (not shown) having a start and end LEDs located at opposite endsof a (solid or hollow) molded plastic rod. The steering apparatus 100can also include a reflective material or surface for recycling lightemitted from the light element 104 and can be used to direct light to thedriver. In an exemplary implementation, when the light element 104comprises an IR LED illuminator, illumination of the IR LED may alsoprovide a desirable heat effect to the steering grip 102and may direct heat towards the driver's hands. For example, a steeringgrip 102may include a heat element, usually a heater mesh, used to provide aheat effect on the steering grip 102 .The heat mesh may be wrapped around the steering grip 102and/or incorporated into the grip cover material. In an example steeringapparatus 100 , the heat mesh does notcover over the portion of the steering grip102 including the lightelement 104 thereby resulting in a gap in the heat effect.IR LEDs may be used as the light element104 to provide the heat effect inthe area of the light element 104 ,thereby providing a full heat effect at the surface of the steering grip 102 . In another example steeringapparatus 100 , the heat mesh covers,partially or entirely, the portion of the steering grip 102including the light element 104 ,thereby reducing and/or eliminating any gap in the heat effect.」
「[0030]ここで、本発明の特定の例示的な実装例が図面を参照して説明される。一般に、係る実装例は車両用のステアリング装置に関する。図1は、ステアリンググリップ102を有する例示的なステアリング装置100の部分平面図である。ステアリンググリップ102は、車両の制御を容易にするために把持用に構成できる。たとえば、ステアリンググリップ102は、ステアリング軸の回りで回転可動となるように固定構成部品(不図示)に取り付けられてよい。例示的な固定構成部品は、たとえば、ステアリング軸に沿って伸長し、ステアリンググリップ102の回転移動を自動車のホイールに伝達するために働くステアリングスピンドルを受け取るステアリングコラムを含むことがある。ステアリググリップ102の回転移動は、機械的な手段および/または電気的な手段によってホイールに伝達されてよい。例示的な実装例では、ステアリンググリップ102は、単一の連続グリップ部分または任意の数の固有のグリップセクションを含むことがある。たとえば、ステアリンググリップ102は、本来形状が円形である外面形状の環状のリング形状を含むことがある。代替実装例では、ステアリンググリップ102は、たとえば円形形状、楕円形状、正方形形状、矩形形状、または他の規則正しい形状もしくは不規則な形状を含む任意の適切な形状を画定することがある。
[0031]例示的な実装例では、ステアリング装置100は、車両の運転者に表示光信号および警告光信号を提供するための光学部材104も含む。光学部材104は、たとえば、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜トランジスタディスプレイ、アクティブマトリクスディスプレイ、セグメント化ディスプレイ(たとえば、改善型ブラックネマチック(INB)、スーパーツイステッドネマチック(STN)等)、発光ダイオード(LED)、液晶ディスプレイ、レーザーハロゲン蛍光赤外線(IR)LED照明器、または任意の他の適切な発光素子を含むことがある。代替実施例では、光学部材は、(中実または中空の)成形プラスチックロッドの対向する端部に位置する開始端部LEDおよび終了端部LEDを有するライトパイプ(不図示)を含むことがある。また、ステアリング装置100は光学部材104から発せられる光をリサイクルするための反射材または反射面を含むことがあり、運転者に光を向けるために使用できる。例示的な実装例では、光学部材104はIR LED照明器を含むとき、IR LEDの照明はステアリンググリップ102に所望される熱効果を提供してもよく、運転者の手に向かって熱を向けてよい。たとえば、ステアリンググリップ102は、ステアリンググリップ102に対する熱効果を提供するために使用される熱素子、通常は加熱器メッシュを含んでよい。熱メッシュは、ステアリンググリップ102の回りに巻き付けられてよい、および/またはグリップカバー材の中に組み込まれてよい。例のステアリング装置100では、熱メッシュは、光学部材104を含むステアリンググリップ102の部分を覆わず、それによって熱効果でギャップを生じさせる。IR LEDは、光学部材104の領域内で熱効果を提供するために光学部材104として使用されてよく、それによってステアリンググリップ102の表面で完全な熱効果を提供する。別の例のステアリング装置100では、熱メッシュは、部分的にまたは全体的に、光学部材104を含むステアリンググリップ102の部分を覆い、それによって熱効果のどのようなギャップも削減および/または排除する。」(公表公報【0010】?【0011】)
(1c)引用文献1には、以下の図が示されている。


以上のとおり、引用文献1には、「光学部材を含むステアリング装置」に関する技術について開示されており(摘示(1a)))、かかるステアリング装置の実施の態様について、以下の事項が認定できる。
・ステアリング装置100は、車両の運転者に表示光信号および警告光信号を提供するための光学部材104を含むこと(摘示(1b)(1c))
・光学部材は、成形プラスチックロッドの対向する端部に位置する開始端部LEDおよび終了端部LEDを有するライトパイプを含むこと、
・ステアリング装置100は光学部材104から発せられる光をリサイクルするための反射材または反射面を含むことがあり、運転者に光を向けるために使用できること(摘示(1b))
また、引用文献1の図1(摘示(1c))より、光学部材104は、ステアリング装置100の周方向に沿って延びるように配置されていることが見て取れる。

以上によれば、引用文献1には、
「光学部材104を含むステアリング装置100において、
ステアリング装置100は、車両の運転者に表示光信号および警告光信号を提供するための光学部材104を含み、
光学部材104は、成形プラスチックロッドの対向する端部に位置する開始端部LEDおよび終了端部LEDを有するライトパイプを含み、
ステアリング装置100は光学部材104から発せられる光をリサイクルするための反射材または反射面を含むことがあり、運転者に光を向けるために使用でき、
光学部材104は、ステアリング装置100の周方向に沿って延びるように配置されている、
光学部材104を含むステアリング装置100」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(1-2)引用文献6
原査定の拒絶の理由に引用文献6として示され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2014/192797号(以下「引用文献6」という。)には、以下の事項が記載されている。
(6a)「[0001]本発明は、車両用発光部品に係り、特に、均一に発光する曲板状の発光部を備えて発光部品として意匠性を具備する車両用発光部品に関する。
・・・
[0028]光源ユニット20は、光源としての後述するランプ21と、ランプ21からの光を出射する出射面22aを備えた導光体22とを有し、ランプ21及び導光体22とが後述のホルダ23に保持されていることで、ユニット化している。光源ユニット20は、ドアライニング本体2と後述するオーナメント10との間に挟まれる位置に配置されている。」

(6b)引用文献6には、以下の図が示されている。

(1-3)引用文献7
原査定の拒絶の理由に引用文献7として示され、本願の出願前に頒布された特開2010-182526号公報(以下「引用文献7」という。)には、以下の事項が記載されている。
(7a)「【0017】
図2は、加熱状態表示器20の全体構成を示す斜視図であり、図3は、加熱状態表示器20の構成部品を示す分解斜視図である。図2及び図3に示すように、加熱状態表示器20は、円弧型長尺状のケース21と、ケース21内に収容される導光体40と、ケース21の長手方向の一端21aに取り付けられる光源ユニット(光源部品)41とを備えて構成されている。ケース21は、白色の合成樹脂材からなる成型品であり、その全体が白色に構成されている。該ケース12は、略矩形の断面形状を有し、誘導加熱コイル13の外周に沿う長尺円弧状であり、その長手方向の略全体に渡って上面が開口する断面略矩形の凹部からなる導光体収納部22が設けられている。また、円弧状のケース21の内側の側壁21cの内面には、該側壁21cの上端から円弧中心に向かって突出する平板状の固定片23が一体形成されている。固定片23は、ケース21の上面と平行に延びる略矩形の平板状に形成されている。そして、固定片23には、その下面から下方に突出する円柱軸状の固定ピン24が一体形成されている。固定片23及び固定ピン24は、側壁21cの長手方向に沿う複数箇所に設けられており、本実施形態では、側壁21cの長手方向の両端近傍と中央付近の合計3箇所に等間隔に設けられている。」
(7b)引用文献7には、以下の図が示されている。

(1-4)引用文献8
原査定の拒絶の理由に引用文献8として示され、本願の出願前に頒布された特開2015-54564号公報(以下「引用文献8」という。)には、以下の事項が記載されている。
(8a)「【0001】
本発明は車両の操舵ハンドルに関し、特に車両乗員に対する注意喚起機能を備えた照明装置を備えた車両用操舵ハンドルに関するものである。
・・・
【0023】
図4はステアリングホイールのさらに異なる変形例の正面図とその一部の拡大断面図であり、実施形態1と等価な部分には同一符号を付してある。この変形例では、ステアリングホイール1の下部に1つの照明ユニット2Cを配置し、この照明ユニット2Cの左右にリム部11に沿ってそれぞれ円弧状の導光体25を配設している。照明ユニット2Cはケーシング21内にLED22が配設され、レンズ24が装着されている構成は実施形態1と同じであるが、LED22はレンズ24に向けられた主LED22とは別に左右方向に向けられた副LED22aが内装されており、これらのLED22,22aは車両ECu100によってそれぞれ選択的に発光するように構成されている。そして、前記各導光体25の対向する側の端部を照明ユニット2Cにまで延長配置し、前記副LED22aと光学的に連結した構成とされている。
(8b)引用文献8には、以下の図が示されている。

(2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「ステアリング装置100」は、本願補正発明の「ステアリングホイール」に相当する。
また、引用発明の「光学部材104」は、「車両の運転者に表示光信号および警告光信号を提供する」という機能を有することから、かかる機能に照らして、表示器ということもできる。
したがって、引用発明の「光学部材104を含むステアリング装置100」は、本願補正発明の「表示器が配設されたステアリングホイール」に相当するものといえる。
イ 引用発明の「開始端部LED」及び「終了端部LED」は、本願補正発明の「光源」に相当する。
ウ 引用発明の「光学部材104」は、「成形プラスチックロッドの対向する端部に位置する開始端部LEDおよび終了端部LEDを有するライトパイプを含み」構成されていることから、上記「成形プラスチックロッド」は、それ自身の端部を「開始端部LED」及び「終了端部LED」に対向させた状態で配置していることが明らかである。
また、引用発明の「光学部材104」は、「車両の運転者に表示光信号および警告光信号を提供する」という機能を有するものであって、「運転者に光を向けるために使用できる」ことから、「成形プラスチックロッドの対向する端部」から入射された「開始端部LED」及び「終了端部LED」の光の一部は、「成形プラスチックロッド」の外周面から出射することも技術的に明らかである。
さらに、引用発明の「光学部材104」は、「ステアリング装置100の周方向に沿って延びるように配置されている」から、上記「光学部材104」を構成する「成形プラスチックロッド」も、ステアリング装置100の周方向に沿って延びるように配置されていることが技術的に明らかである。
したがって、引用発明の上記「成形プラスチックロッド」は、上記ア、イをも踏まえると、本願補正発明の「前記ステアリングホイールの周方向に沿って延びるとともに自身の端部を前記光源に対向させた状態で配置され、前記端部から入射された光の一部を外周面から出射する導光体」に相当するものといえる。
エ 引用発明における「光学部材104は、成形プラスチックロッドの対向する端部に位置する開始端部LEDおよび終了端部LEDを有するライトパイプを含み」という構成と、本願補正発明における「前記表示器は、光源と、前記ステアリングホイールの周方向に沿って延びるとともに自身の端部を前記光源に対向させた状態で配置され、前記端部から入射された光の一部を外周面から出射する導光体と、前記光源及び前記導光体を保持する保持部材と、を備え」という構成とは、上記ア?ウをも踏まえると「前記表示器は、光源と、前記ステアリングホイールの周方向に沿って延びるとともに自身の端部を前記光源に対向させた状態で配置され、前記端部から入射された光の一部を外周面から出射する導光体と、を備え」という構成の点で共通するものといえる。

以上によれば、本願補正発明と引用発明とは、
「表示器が配設されたステアリングホイールであって、
前記表示器は、
光源と、
前記ステアリングホイールの周方向に沿って延びるとともに自身の端部を前記光源に対向させた状態で配置され、前記端部から入射された光の一部を外周面から出射する導光体と、
を備える、ステアリングホイール。」の点で一致し、以下の各点で相違している。
<相違点1>
「表示器」について、本願補正発明は、光源と導光体に加え、「前記光源及び前記導光体を保持する保持部材」を備えるものであり、「前記表示器は、前記光源、前記導光体、及び前記保持部材がユニット化されて構成されて」いるのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。
<相違点2>
本願補正発明は、「前記導光体の外周面からの光の出射領域は、運転席に適正な姿勢で着座した際の運転者の目と前記導光体の中心とを結ぶ仮想線を基準にして設定されている」のに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。

(3)判断
ア 相違点1について
引用発明の「光学部材104」は、「成形プラスチックロッドの対向する端部に位置する開始端部LEDおよび終了端部LEDを有するライトパイプを含み」構成されるものであるから、上記「光学部材104(表示器)」は、少なくとも、「開始端部LEDおよび終了端部LED(光源)」と「成形プラスチックロッド(導光体)」とを含み構成されることが明らかである。
そこで、光源と導光体とを含み構成される表示器の類について検討するに、
引用文献6には、車両用発光部品に関し、光源としてのランプ21と、ランプ21からの光を出射する出射面22aを備えた導光体22とを有し、ランプ21及び導光体22とをホルダ23に保持して光源ユニット20を構成することが記載され(摘示(6a)(6b))、
引用文献7には、円弧型長尺状のケース21と、ケース21内に収容される導光体40と、ケース21の長手方向の一端21aに取り付けられる、発光体43を有する光源ユニット(光源部品)41とを備えて加熱状態表示器20を構成することが記載され(摘示(7a)(7b))、
引用文献8には、車両乗員に対する注意喚起機能を備えた照明装置を備えた車両用操舵ハンドルに関し、ケーシング21内にLED22及び副LED22aを配設して照明ユニット2Cを構成し、かかる照明ユニット2Cの左右にそれぞれ導光体25を配設し、各導光体25の対向する側の端部を照明ユニット2Cにまで延長配置し、副LED22aと光学的に連結することで、上記照明装置を構成することが記載されているように(摘示(8a)(8b))、
光源(ランプ21、発光体43、副LED22a)及び導光体(導光体22、導光体40、導光体25)を、保持部材(ホルダ23、ケース21、ケーシング21)で保持して、それら光源、導光体及び保持部材をユニット化して表示器(光源ユニット20、加熱状態表示器20、照明装置)を構成することは、表示器構成上の周知・慣用技術ということができる。
してみると、引用発明において、上記表示器構成上の周知・慣用技術をも参考とすれば、引用発明の「開始端部LEDおよび終了端部LED(光源)」及び「成形プラスチックロッド(導光体)」を保持部材で保持し、それら各構成部材をユニット化したものとして構成すること、すなわち、上記相違点1に係る本願補正発明の構成は、当業者が容易になし得たものといえる。

イ 相違点2について
引用発明において、「ステアリング装置100は光学部材104から発せられる光をリサイクルするための反射材または反射面を含むことがあり、運転者に光を向けるために使用でき」るものであるから、上記「光学部材104から発せられる光」は、「運転者に光を向ける」ように構成すべきことが明らかである。
また、上記「運転者」とは、運転席に適正な姿勢で着座している者を対象としているというべきであるから、上記「光学部材104から発せられる光」は、運転席に適正な姿勢で着座している者の目に向かうように設定されるべきことも明らかである。
そして、上記「(2)ウ」で述べたとおり、引用発明における上記「光学部材104から発せられる光」は、「光学部材104」を構成する「成形プラスチックロッド」の外周面から出射されことが明らかであるから、そのように出射された光を、運転席に適正な姿勢で着座している者の目に向かうように設定することは当業者にとって格別困難なことではなく、そのように光の向きを設定するに際し、光の出射領域を、運転席に適正な姿勢で着座した際の運転者の目と成形プラスチックロッドの中心とを結ぶ仮想線を基準にして設定することは、当業者が、技術の具体的適用に伴う設計事項として行うべきこと、というべきである。

ウ そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び上記周知技術から当業者が予測し得る範囲のものであって、格別なものとはいえない。

エ 請求人の主張について
(ア)請求人は、平成31年4月19日付けの審判請求書(「3.(4)」の項)で、
「本願発明では、『前記表示器は、前記光源、前記導光体、及び前記保持部材がユニット化されて構成』されていることを規定しているのに対し、引用文献1に記載されるステアリングホイールに係る発明では、・・・本願発明の表示器に相当するthe light element104が、保持部材に保持されているとの構成を開示しません。・・・この点を相違点1とします。
また、本願発明では、『前記導光体の外周面からの光の出射領域は、運転席に適正な姿勢で着座した際の運転者の目と前記導光体の中心とを結ぶ仮想線を基準にして設定されている』のに対し、引用文献1に記載されるステアリングホイールに係る発明では、the light element104をthe steering grip102の内縁部、外縁部、前面又は後面等に配置することが記載されているものの、運転者との位置関係、中でも運転席に適正な姿勢で着座した際の運転者の目の位置を基準として設定するとの技術思想を何ら開示乃至示唆しません。この点を相違点2とします。
これら相違点のうち、・・・相違点1は、引用文献6?8によって容易に想到することができると言えます。
しかし、その一方で相違点2に関する事項は、いずれの引用文献にも開示乃至示唆されません。いずれの引用文献も表示器をどのように構成するかといった事項を開示するに留まり、運転者との位置関係において表示器の表示部をどのように配置するかといった構成を開示しません。そもそもいずれの引用文献も、運転者の目の位置を基準として導光体の外周面からの光の出射領域を設定するとの技術思想自体、何ら開示するものではないのです。
したがって、いかに当業者であっても、引用文献1に記載された発明に引用文献2?8に記載された発明を適用して、本願発明と引用文献1に記載された発明との相違点2を容易に想到することはできないと思料します。」
と主張するので、以下相違点2に係る主張について検討する。
(イ)検討
上記イで述べたとおり、引用発明は、「光学部材104から発せられる光」を「運転者に光を向ける」ように構成すべきことが明らかであるから、「成形プラスチックロッド」の外周面から出射され光を、運転席に適正な姿勢で着座している者の目に向かうように設定することは当業者にとって格別困難なことではなく、また、そのように光の向きを設定するに際し、光の出射領域を、運転席に適正な姿勢で着座した際の運転者の目と成形プラスチックロッドの中心とを結ぶ仮想線を基準にして設定することは、技術の具体的適用に伴う設計事項というべきである。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。

エ まとめ
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易になし得たものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成30年12月26日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2 1(1)補正前の請求項1」に記載されたとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、次の理由を含むものである。
本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術(引用文献6?8等)に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
なお、上記引用文献1、6?8は、上記「第2 2 2-2 (1)」に示す引用文献1、6?8である。

3 当審の判断
本願発明は、上記「第2 1(1)補正前の請求項1」に記載されたとおりのものであり、本願補正発明から、上記相違点2に係る「前記導光体の外周面からの光の出射領域は、運転席に適正な姿勢で着座した際の運転者の目と前記導光体の中心とを結ぶ仮想線を基準にして設定されている」とする事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 2 2-2(3)」で述べたとおり、引用発明及び引用文献6?8等に記載された周知技術に基いて当業者が容易になし得たものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえる。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献6?8等に記載された周知技術に基いて当業者が容易になし得たものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-03-12 
結審通知日 2020-03-17 
審決日 2020-03-30 
出願番号 特願2015-243307(P2015-243307)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B62D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小野田 達志  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 藤井 昇
氏原 康宏
発明の名称 ステアリングホイール  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 誠  
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