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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06Q
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G06Q
管理番号 1362308
異議申立番号 異議2019-700814  
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-10-10 
確定日 2020-03-19 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6499812号発明「配送管理システム、配送管理方法、及びプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6499812号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔16、17〕について訂正することを認める。 特許第6499812号の請求項1ないし15に係る特許を維持する。 特許第6499812号の請求項16及び17に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
ア 経緯
特許第6499812号の請求項1ないし17に係る特許についての出願は、平成30年6月26日を国際出願日とする国際特許出願であって、平成31年3月22日にその特許権の設定登録がされ、平成31年4月10日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許に対して2件の特許異議の申立てがあり、次のとおりに手続が行われた。

令和元年10月10日 :特許異議申立人池田憲保による請求項1ないし5、16、17に係る特許に対する異議の申し立て(以下、「申立01」という。)
令和元年10月10日 :特許異議申立人星野裕司による請求項1ないし17に係る特許に対する異議の申し立て(同「申立02」)
令和元年12月10日付け:取消理由通知書
令和2年 1月15日 :特許権者による意見書の提出及び訂正請求

(なお、各特許異議申立人に対し意見書提出の機会を与えたが、訂正の請求に対して意見書は提出されていない。)

イ 申立の概要
(イ-1)異議申立人池田憲保による異議申立の理由は、おおむね以下のとおりである。
主たる証拠として以下の甲第1号証を提出し、請求項1ないし5、16、17に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるから、上記請求項に係る特許を取り消すべきものである(以下、申立理由1-1という)、および、主たる証拠として以下の甲第1号証及び従たる証拠として以下の甲第2号証を提出し、請求項1ないし5、16、17に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである、から上記請求項に係る特許を取り消すべきものである(以下、申立理由1-2という)。(以下、異議申立人池田憲保の提出した甲第1号証、甲第2号証は他の異議申立人の提出した証拠と区別するため、それぞれ、1甲1、1甲2と記載する。)
1甲1:PHARM TECH JAPAN ONLINE、製剤技術とGMPの最先端技術情報サイト、-AD企画-世界最高水準のGDP手順書に基づき-196℃以上の全温度帯で品質保証、メディパルホールディングス、2018年4月2日(URL、https://ptj.jiho.jp/article/129499)(甲第1号証)
1甲2:再生医療等製品の最適物流の実現を目指して?事例紹介と課題説明?、東芝テック東京支社、2018年6月5日(URL、https://www.toshibatec.co.jp/tokyo/solution/article-41.html)(甲第2号証)

(イ-2)異議申立人星野裕司による異議申立の理由は、おおむね以下のとおりである。
主たる証拠として以下の甲第1号証及び従たる証拠として以下の甲第2号証?甲第11号証を提出し、請求項1ないし17に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、上記請求項に係る特許を取り消すべきものである(以下、申立理由2-1という。)、および、本件の請求項16、17に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしていないから、上記請求項に係る特許を取り消すべきものである(以下、申立理由2-2という。)。(以下、異議申立人星野裕司の提出した甲第1号証ないし甲11号証は他の異議申立人の提出した証拠と区別するため、それぞれ、2甲1、2甲2等と記載する。)
2甲1:特開2009-288234号公報(甲第1号証)
2甲2:特開2018-92434号公報(甲第2号証)
2甲3:特許第6108508号公報(甲第3号証)
2甲4:特開2003-144524号公報(甲第4号証)
2甲5:特開2017-212323号公報(甲第5号証)
2甲6:特許第5084199号公報(甲第6号証)
2甲7:特開2011-255942号公報(甲第7号証)
2甲8:特表2008-545587号公報(甲第8号証)
2甲9:特開2004-336611号公報(甲第9号証)
2甲10:特許第5848191号公報(甲第10号証)
2甲11:特開2005-201554号公報(甲第11号証)

第2 訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
令和2年1月15日の訂正請求による訂正(以下、本件訂正という。)の内容は以下のア、イのとおりである。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項16を削除する。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項17を削除する。
なお、訂正前の請求項16、17は、請求項17が、訂正の請求の対象である請求項16の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項〔16、17〕について請求されている。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1、訂正事項2について
訂正事項1及び訂正事項2に係る訂正は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項16及び請求項17を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)小括
上記のとおり、訂正事項1、訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項16、17について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1-17に係る発明(以下「本件発明1」、「本件発明2」等という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1-17に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

【請求項1】(本件発明1)
収容した物品を冷媒により冷却する容器を配送する為の配送用ユニットと、通信ネットワークを介して運搬中の前記配送用ユニットと通信する物品管理サーバと、を備えた配送管理システムであって、
前記配送用ユニットは、
複数のGPS衛星から夫々のGPS信号を受信するとともに、夫々のGPS信号に基づいて配送用ユニットの位置データを算出して、前記位置データに固有の機器コードを付加して物品管理サーバに送信するGPS受信手段と、
前記容器内の温度を測定する温度測定手段と、
前記温度測定手段により測定された温度データを時系列に沿って記憶する第1記憶手段と、
前記第1記憶手段から取得した温度データに前記配送用ユニットに係わるユニット番号を付加して定期的、又は/及び、不定期に前記通信ネットワークを介して前記物品管理サーバに送信する第1送信手段と、を備え、
前記物品管理サーバは、
前記GPS受信手段から受信した前記位置データと前記機器コードを関連付けて記憶する第2記憶手段と、
前記配送用ユニットから定期的、又は/及び、不定期に受信した前記温度データを前記ユニット番号毎に関連付けて記憶する第3記憶手段と、
前記ユニット番号と前記物品に係わるシリアル番号を関連付けて記憶する第4記憶手段と、
あるユニット番号と機器コードの一組をキーとして、前記機器コードに対応して前記第2記憶手段から取得した位置データ、及び前記ユニット番号に対応して前記第3記憶手段から取得した温度データ、前記ユニット番号に対応して第4記憶手段から取得したシリアル番号に基づいて、運搬中の前記物品のシリアル番号、位置データ及び温度データを表す運搬状況データを生成する運搬状況データ生成手段と、
を備えたことを特徴とする配送管理システム。
【請求項2】(本件発明2)
前記配送用ユニットは、
前記冷媒の残量に係わる残量データを測定する残量検出手段、
路面から前記容器に加わる振動に係わる振動データを測定する振動測定手段、
前記容器内の湿度に係わる湿度データを測定する湿度測定手段、
又は、前記容器に設けられた蓋の開閉回数データを計数する開閉回数計数手段の少なくとも1つを備え、
前記第1記憶手段は、前記温度データに、前記残量データ、前記振動データ、前記湿度データ、又は前記開閉回数データの少なくとも1つと、日時データを付加して記憶することを特徴とする請求項1記載の配送管理システム。
【請求項3】(本件発明3)
前記配送用ユニットは、
前記第1記憶手段から取得した前記温度データ、及び日時データに加えて、前記残量データ、前記振動データ、前記湿度データ、又は前記開閉回数データの少なくとも1つに基づいて、当該物品に係わる品質データを生成する品質データ生成手段と、
前記シリアル番号、及び前記品質データを含む画像を記録媒体に印刷することにより品質証明書を作成する印刷手段と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の配送管理システム。
【請求項4】(本件発明4)
前記配送用ユニットは、
前記温度データ、前記残量データ、前記振動データ、前記湿度データ、前記開閉回数データのそれぞれに係わる閾値を設定する第1閾値設定手段と、
前記第1閾値設定手段により設定された閾値よりも、前記温度データ、前記残量データ、前記振動データ、前記湿度データ、前記開閉回数データの少なくとも1つが危険値側に移行している場合に、警報音を発生する第1発報手段と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の配送管理システム。
【請求項5】(本件発明5)
前記配送用ユニットは、
前記第1発報手段が警報音を発生した場合に、前記警報音を発生した旨のメッセージを含む電子メールを関係者の端末に送信することを特徴とする請求項4記載の配送管理システム。
【請求項6】(本件発明6)
前記配送用ユニットは、
前記第1発報手段が警報音を発生した場合に、前記警報音を発生した旨の情報を前記物品管理サーバに送信することを特徴とする請求項4記載の配送管理システム。
【請求項7】(本件発明7)
前記物品管理サーバは、
前記配送用ユニットから定期的、又は/及び、不定期に受信している前記温度データ及び位置データに係わる受信済データが通信エラーになったか否かを判定する通信エラー判定手段と、
前記通信エラー判定手段により前記通信済みデータが通信エラーであると判定された場合に、前記通信エラーが発生した旨のメッセージを含む電子メールを端末に送信する第4送信手段と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の配送管理システム。
【請求項8】(本件発明8)
前記物品管理サーバは、
前記物品に係わるシリアル番号を入力するための入力画面データを生成する第1入力画面データ生成手段と、
前記第1入力画面データ生成手段により生成された入力画面データをユーザ端末に配信する第1配信手段と、を備え、
前記運搬状況データ生成手段は、前記ユーザ端末から受信したシリアル番号をキーとして、前記運搬状況データを生成し、
前記第1配信手段は、前記運搬状況データ生成手段により生成された運搬状況データを前記ユーザ端末に配信することを特徴とする請求項1記載の配送管理システム。
【請求項9】(本件発明9)
前記物品管理サーバは、
前記第2記憶手段から取得した位置データに基づいて、当該物品に係わる運搬経路を地図データ上に合成した運搬経路地図データを生成する運搬経路データ生成手段を備え、
前記第1配信手段は、前記運搬経路データ生成手段により生成された運搬経路地図データを前記ユーザ端末に配信することを特徴とする請求項8記載の配送管理システム。
【請求項10】(本件発明10)
前記物品管理サーバは、
前記運搬状況データ生成手段により生成された運搬状況データを記憶する第5記憶手段と、
前記物品に係わる温度状況についての確認を促す入力領域を付加した入力画面データを生成する第2入力画面データ生成手段と、
前記第2入力画面データ生成手段により生成された入力画面データを前記ユーザ端末に配信する第2配信手段と、
前記ユーザ端末において入力画面データに付加された入力領域への操作データを前記ユーザ端末から受信する第1受信手段と、
前記第1受信手段により受信した操作データに応じて、シリアル番号をキーとして、前記第5記憶手段から取得した物品に係わる温度データに基づいて、温度状況を表す温度状況データを生成する温度状況データ生成手段と、
前記温度状況データ生成手段により生成された温度状況データを前記ユーザ端末に配信する第3配信手段と、を備えたことを特徴とする請求項6記載の配送管理システム。
【請求項11】(本件発明11)
ユーザ端末を備え、
前記ユーザ端末は、
前記物品管理サーバから入力画面データを受信する第1ユーザ受信手段と、
前記第1ユーザ受信手段により受信した入力画面データに物品に係わるシリアル番号を入力する第1ユーザ入力手段と、
前記第1ユーザ入力手段により入力されたシリアル番号を前記物品管理サーバに送信する第1ユーザ送信手段と、
前記物品管理サーバから前記物品に係わる運搬状況データを受信する第2ユーザ受信手段と、
前記第2ユーザ受信手段により受信した運搬状況データを表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする請求項7乃至請求項10の何れか一項に記載の配送管理システム。
【請求項12】(本件発明12)
前記ユーザ端末は、
前記物品管理サーバから運搬経路地図データを受信する第3ユーザ受信手段と、を備え、
前記表示手段は、前記第3ユーザ受信手段により受信した運搬経路地図データを表示することを特徴とする請求項11記載の配送管理システム。
【請求項13】(本件発明13)
前記ユーザ端末は、
前記物品管理サーバから前記物品に係わる最新の温度データが付加された運搬状況データを受信する第4ユーザ受信手段と、
前記表示手段は、前記第4ユーザ受信手段により受信した運搬状況データを表示することを特徴とする請求項11記載の配送管理システム。
【請求項14】(本件発明14)
前記ユーザ端末は、
前記物品管理サーバから前記物品に係わる温度状況についての確認を促す入力領域を付加した入力画面データを受信する第5ユーザ受信手段と、
前記第5ユーザ受信手段により受信した入力画面データに付加された入力領域への操作データを入力する第2入力手段と、
前記第2ユーザ入力手段により入力された操作データを前記物品管理サーバに送信する第2ユーザ送信手段と、
前記物品管理サーバから前記物品に係わる温度状況を表す温度状況データを受信する第6ユーザ受信手段と、を備え、
前記表示手段は、前記受信した前記物品に係わる温度状況を表す温度状況データを表示することを特徴とする請求項10記載の配送管理システム。
【請求項15】(本件発明15)
前記物品管理サーバは、
前記物品の配送に係わる出発地点から到着地点に至る全経路を配送に係わる業務毎の区間に分割する経路分割手段と、
前記経路分割手段により分割された各区間に対して、前記温度データ、前記残量データ、前記振動データ、前記湿度データ、前記開閉回数データのそれぞれに係わる閾値をマスタテーブルに設定する第2閾値設定手段と、
前記位置算出手段により算出された位置データに基づいて、前記マスタテーブルから当該位置に対応した各閾値を取得する閾値取得手段と、
前記閾値取得手段により取得した各閾値よりも、前記温度データ、前記残量データ、前記振動データ、前記湿度データ、前記開閉状態データの少なくとも1つが危険領域にある場合には、警報音を発生する第2発報手段と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の配送管理システム。
【請求項16】
(削除)
【請求項17】
(削除)

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
訂正前の請求項16及び17に係る特許に対して、当審は、申立02の申立理由2-2をふまえ、令和元年8月1日付けで下記の取消理由1.、2.を特許権者に通知した。

1.(明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
2.(サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(2)判断
令和2年1月15日の訂正請求による訂正により、上記取消理由を通知した請求項(請求項16、請求項17)は削除されたから、取消理由1.、2.はいずれも解消した。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
ア 申立理由の概要
異議申立人池田憲保及び星野裕司による異議申立の理由(申立理由1-1、1-2、2-1、2-2)は、上記第1イのとおりであり、このうち、申立理由2-2は第4で検討したとおり、解消した。
当審が採用しなかった異議申立の理由(申立理由1-1、1-2、2-1)は、何れも各申立人が提出した証拠に基づき、本件特許(請求項1ないし5、16、17に係る特許、あるいは、請求項1ないし17に係る特許)は、新規性あるいは進歩性を満たさない発明に対してなされたものであり、特許法第29条第1項、あるいは、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるという主張であるから、上記提出された証拠を総合して、以下で、訂正後の本件特許に係る発明の新規性進歩性について判断する。

イ 各証拠の記載事項
(ア)1甲1には、以下の記載がある。
「 ■超低温域の保管・輸送を実現
展示会場で特に注目を集めたのはSDDU(Speciality Drug Distribution Unit)。液体窒素を用いた超低温保管・輸送カートで、-196?-150℃での温度管理を保証する。液体窒素の充填時間が15分と、従来の同荷室サイズドライシッパーの24時間から大幅に短縮された。さらに、保持日数も14日と長期化を実現。国内初の他家由来再生医療等製品テムセルHS注(JCRファーマ株式会社)の2016年2月の上市後から現在まで確かな品質保証の実績を持つ。

SDDUの優れた機能は温度管理能力だけではない。輸送カートにはWifiルーター、温度ロガーが内蔵され、温度、液体窒素の残量、位置情報などの情報が同社の物流情報管理システムSDNS(Speciality Drug Network System)に随時保存され、同社の管理者から輸送者、製薬企業、医療従事者などの関係者で情報がリアルタイムで共有される。同社の担当者はスマートフォンで常に情報を確認可能で、仮に逸脱が起こった際には、関係各位にアラートメールが発信される。これら出荷から患者への投与までの環境情報、移動軌跡はログが残され、製薬企業に提供されるため、トレーサビリティも万全である。

医療施設からの注文は投与日を指定することで、規定日時に届けられ、配達状況を確認可能である。このような流通の明確さも医療現場からの製品に対する信頼につながるであろう。」
以上の記載からみて、上記1甲1には、以下のとおりの発明(1甲1発明という。)が記載されている。
「SDDU(Speciality Drug Distribution Unit)は液体窒素を用いた超低温保管・輸送カートで、
Wifiルーター、温度ロガーが内蔵され、
SDDUの温度、液体窒素の残量、位置情報などの情報は、同社の物流情報管理システムSDNS(Speciality Drug Network System)に随時保存可能であり、
同社の担当者はスマートフォンで常に情報を確認可能で、仮に逸脱が起こった際には、関係各位にアラートメールが発信され、
出荷から患者への投与までの環境情報、移動軌跡はログが残され、製薬企業に提供される、
輸送システム。」

(イ)1甲2には、以下の記載がある。
「再生医療等製品の最適物流の実現を目指して?事例研究と課題説明」
「台車ユニット「SDDU(Speciality Drug Distribution Unit)」
約40kgの保存容器のスムーズな移動には、台車ユニット「SDDU(Speciality Drug Distribution Unit)」を開発しました。ユニットには、容器保護の防振サスペンションに加え、タブレットPC、プリンター、Wi-Fiルーターなどの機能を搭載。シリアル単位の温度情報や移動軌跡などのトレーサビリティ情報を格納時にプリントアウトして提供するほか、医療機関内の保管容器としても利用されます。」



以上の記載からみて、上記1甲2には、以下の事項が記載されている。
「SDDUは、厳密な温度管理が必要な細胞製品・医薬品の保管・輸送専用の台車ユニットであって、
容器保護の防振サスペンション、
温度と液体窒素残量確認のためのタブレットPC、
お得意様先納品時に、温度トレースレシートを発行するためのプリンタ、
ネット上に情報共有をするためのWi-Fiルーター、
異常時に警報を発する警報装置、
コンセント無しでも24時間稼働する電源、
等を備える台車ユニットである。」

(ウ)2甲1には、以下の記載がある。
【0001】
本発明は、試料の低温輸送や低温貯蔵に用いられる試料低温保存容器、および、これを用いた生体輸送支援システムに関する。

【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
《第1実施形態》
<試料低温保存容器の全体構造>
図1に本発明の一実施形態に係る試料低温保存容器(以下「保存容器」という)100の概略構造を表した断面図を示す。この保存容器100は、概略、被冷却体(試料)が収納された試料容器Sを格納する格納容器11(格納手段)と、格納容器11に取り付けられ、試料容器Sを格納容器11に対して出し入れするための開口12を備えた導入容器13(試料導入手段)と、導入容器13の開口12を閉塞する蓋部材14(閉塞手段)と、格納容器11に格納された試料容器Sを冷却するスターリング冷凍機15(寒冷発生手段)と、格納容器11とスターリング冷凍機15とを収容すると共に、格納容器11とスターリング冷凍機15への外部からの熱の伝達を抑制する断熱容器16(断熱手段)と、を備えている。

【0021】
格納容器11には温度計測素子67が取り付けられている。この温度計測素子67はバッテリ電源(図示せず)により動作し、例えば、保存容器100の輸送中における格納容器11の温度履歴(試料容器Sの温度履歴)が、温度記録装置68に記録されるようになっている。温度記録装置68は、温度計測素子67により計測された温度をデータ化するデータ処理部(図示せず)と、データ処理部によって作成された温度データを記憶するデータ記憶部(図示せず)を備えている。

【0072】
図8に、本発明の第4実施形態に係る生体輸送支援システム9の構成図を示す。生体輸送支援システム9は、生体(試料)の輸送において、発送元4、輸送業者2、発送先5の取引のマッチングを行い、良好に生体の授受を行うサーバ7と、生体の輸送を依頼する病院等の複数の発送元4で使用される複数の発送元端末4aと、生体を輸送する複数の輸送業者2が使用する複数の輸送業者端末2aと、生体を例えば加工する培養センタ3等の複数の発送先5で使用される複数の発送先端末5aとを有し、それらのサーバ7と端末2a、4a、5aが、インターネットや電話回線(固定電話と携帯電話の両方の電話回線を含む)等の公衆の用に供されている電気通信回線6を介して、相互に通信可能に接続されて構成されている。また、生体輸送支援システム9は、複数の試料低温保存容器100と、試料低温保存容器100毎に設けられる専用端末8と、試料低温保存容器100に対して前記検査を行う検査装置30を有している。なお、保存容器100には、運送中の衝撃や落下を検出可能な加速度センサが取り付けられ、加速度センサで計測された加速度データが前記温度記録装置68に前記温度データと共に記録されるようになっている。また、保存容器100と専用端末8の少なくともどちらか一方には、GPSが取り付けられ、GPSで計測される位置データが前記温度記録装置68に前記温度データと共に記録されるようになっている。
【0073】
専用端末8は、保存容器100(温度記録装置68)から、保存容器100の識別情報と温度データと加速度データと位置データを短距離間の無線方式により受信する受信手段8aを有している。さらに、専用端末8は、送信手段8bと記憶手段8cとを有し、記憶手段8cは、受信した保存容器100の識別情報と温度データと加速度データと位置データを記憶し、送信手段8bは、電気通信回線6を介してサーバ7に接続し、記憶されている保存容器100の識別情報と温度データと加速度データと位置データを、電気通信回線6を介してサーバ7に送信する。
【0074】
検査装置30は、保存容器100に対して前記検査を行うので、複数の保存容器100の近くに複数置かれることになるが、保存容器100は、輸送に伴って移動するので、検査装置30aのように発送元4に置かれてもよいし、検査装置30bのように輸送業者2に携帯させてもよいし、検査装置30cのように発送先5に置かれてもよい。検査装置30、30a、30b、30cは、電気通信回線6を介してサーバ7に接続し、前記検査によって取得した検査結果を、電気通信回線6を介してサーバ7に送信する。
【0075】
サーバ7は、詳細は後記するが、受信手段113と送信手段114とを有する通信手段106と、記憶手段115とを有している。受信手段113は、前記検査結果と、保存容器100の識別情報と、温度データと、加速度データと、位置データとを受信し、記憶手段115はこれらを記憶する。送信手段114は、電気通信回線6を介して、発送元端末4a、輸送業者端末2a、発送先端末5aの内の少なくとも2つの端末に接続し、前記検査結果と、保存容器100の識別情報と、温度データと、加速度データと、位置データとを、接続している端末4a、2a、5aに送信する。前記検査結果と、保存容器100の識別情報と、温度データと、加速度データと、位置データとは、発送元端末4a、輸送業者端末2a、発送先端末5aを経由することなく、サーバ7(記憶手段115)に記憶されるので、輸送業者2等によって、検査結果等が改ざんされ難い。また、検査結果等が、少なくとも2つの端末4a、2a、5aへ送信されて、発送元4、輸送業者2、発送先5の少なくとも2者が取得できるので、検査結果等に基づいた汚染が無いこと(健全性)に対する意見の合意形成を2者間以上で容易に行うことができる。そして、汚染が無いという健全性の2者間、さらには、3者間の合意により、健全性を相互に保証し合うことになる。

【0078】
さらに、サーバ7内の記憶手段115は、生体輸送支援システム9に参加する病院1、輸送業者2および培養センタ3に関する情報であるユーザ情報を登録したユーザ情報DB108と、発送元端末4aから送られる生体の輸送、生体の培養等の生体加工条件に関する輸送・培養情報を登録した発送元情報DB109と、輸送業者端末2aと発送先端末5aから送られる輸送・加工請負に関する請負情報を登録した請負情報DB110と、マッチング手段102のマッチング処理の結果であるマッチング情報を登録したマッチング情報DB111と、検査装置30、30a、30b、30cから送られる検査結果(品質情報)や、専用端末8から送られてくる輸送中の温度(データ)、加速度(データ)、位置(データ)等の輸送環境情報や、発送元端末4a(発送先端末5a)から送られる生体の発送直前の状況や加工終了体の品質情報等を登録し品質情報DB112を含んで構成される。これらの各種手段101?106と各DB108?112とは内部バス107により相互に接続されている。

【0098】
そして、検査結果は、制御手段101によって、送信手段114を用いて、発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aへ送信する。発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aは、検査結果を、荷受時品質情報及び輸送受託情報一覧画面上の「試料品質」において、品質グレードと細菌の質量として表示する。品質グレードと細菌の質量のそれぞれに対応する「確認」ボタンを、発送元4、輸送業者2、発送先5が、発送元端末4a、輸送業者端末2a、発送先端末5aのそれぞれにおいてクリックすることによって、品質保証信号がサーバ7に送信される。サーバ7における品質保証信号の受信記録によって、発送元4、輸送業者2、発送先5は相互に、生体の品質を保証しあうことができる。サーバ7の制御手段101は、前記品質保証信号の受信記録に基づいて、荷受時品質情報及び輸送受託情報一覧画面に、「保証済」の表示をする。「保証済」の表示がされると、輸送業者2は、保存容器100を輸送することが可能になり、「受託」ボタンをクリックし、保存容器100を、発送元4から受け取り、輸送をスタート(S121)させる。なお、「受託」ボタンのクリックの前後で、試料低温保存輸送容器IDの入力が可能になる。入力は、テキストボックスへの入力や、バーコードリーダによる入力を行うことができる。試料低温保存輸送容器IDは、発送元端末4a又は輸送業者端末2aから入力され、サーバ7に送信され、マッチング情報DB111に、生体のIDである試料詳細と対応付けて登録される。
【0099】
(輸送環境情報処理)
輸送がスタート(S121)すると、保存容器100の専用端末8は、内蔵するタイマで日時(月・日・時・分)を計測し、内蔵するGPSで移動地点(位置)を計測し、内蔵する温度計で輸送時の気温を計測し、保存容器100の温度計測素子67で計測された容器温度を受信手段8aを用いて受信し、保存容器100の加速度計で計測された加速度を受信手段8aを用いて受信し、保存容器100のIDを保存容器100から受信する。そして、日時(月・日・時・分)、移動地点(位置)、気温、容器温度、加速度、保存容器100のIDを、輸送環境情報として、専用端末8は、記憶手段8cに記憶し、送信手段8bを用いてサーバ7へ送信する(S122)。計測、受信、送信は、所定の時間間隔で繰り返し実施される。また、容器温度等の計測値が所定の閾値を超えた場合に、同時に計測した日時と共にその計測値を受信、送信してもよい。

【0100】
サーバ7は、輸送環境情報を、受信手段113を用いて受信する。サーバ7の登録手段103は、輸送環境情報を、品質情報DB112に登録する(S123)。
サーバ7の表示作成手段104は、輸送環境情報に基づいて、図20に示すような輸送環境情報一覧画面を構成・作成する。発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aからの求めに応じて、制御手段101は、送信手段114を用いて、輸送環境情報一覧画面を、発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aへ送信する。送信の結果、発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aには、図20に示すような、輸送環境情報一覧画面が表示され、発送元4、輸送業者2、発送先5は、「輸送環境情報を表示します。試料詳細(ID)を入力してください」の表示に促されて、試料詳細のテキストボックスに、見たい生体の試料詳細(ID)を入力することにより、試料詳細は、発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aから、サーバ7へ送信される。サーバ7の制御手段101は、受信した試料詳細に対応付けられ、実際に生体の収められた保存容器100のIDを、マッチング情報DB111を用いて抽出し、抽出した保存容器100のIDに対応付けられた輸送環境情報(日時(月・日・時・分)、移動地点(位置)、気温、容器温度、加速度)を抽出し、試料詳細(ID)の入力のあった発送元端末4a、輸送業者端末2a、発送先端末5aへ送信する(S124)。発送元端末4a、輸送業者端末2a、発送先端末5aは、輸送環境情報を受信し、図20に示すような輸送環境情報一覧画面上に表示する。発送元4、輸送業者2、発送先5は、それぞれの端末4a、2a、5aで輸送環境情報を閲覧でき、いわゆる情報の共有化ができ、後記する輸送業者2から発送先5への生体の引渡しに際の、生体の品質の保証の合意形成をスムーズに行うことができる。

以上の記載からみて、上記2甲1には、以下のとおりの発明(2甲1発明という。)が記載されている。
「生体輸送支援システム9は、生体(試料)の輸送において、
発送元4、輸送業者2、発送先5の取引のマッチングを行い、良好に生体の授受を行うサーバ7と、
複数の試料低温保存容器(以下、単に保存容器という。)100と、
保存容器100毎に設けられる専用端末8と、
を備え、(【0072】)
保存容器100は、
被冷却体(試料)が収納された試料容器Sを格納する格納容器11(格納手段)と(【0015】)、
格納容器11に取り付けられた、温度計測素子67と(【0021】)、
保存容器100の輸送中における格納容器11の温度履歴(試料容器Sの温度履歴)が記録される温度記録装置68と(【0021】)、
保存容器100と専用端末8の少なくともどちらか一方に取り付けられ、計測した位置データを前記温度記録装置68に前記温度データと共に記録する、GPSと(【0072】)、
を備え、
専用端末8は、
保存容器100から、保存容器100の識別情報と温度データと位置データを短距離間の無線方式により受信する受信手段8aと、
受信した保存容器100の識別情報と温度データと位置データを記憶する記憶手段8cと、
電気通信回線6を介してサーバ7に接続し、記憶されている保存容器100の識別情報と温度データと位置データを、電気通信回線6を介してサーバ7に送信する送信手段8bと、
を備え、(【0073】)
サーバ7は、
保存容器100の識別情報と、温度データと、位置データとを受信する受信手段113と、
上記受信したデータを記憶する記憶手段115と、
を備え、(【0075】)
輸送がスタート(S121)すると、
保存容器100の専用端末8は、
内蔵するタイマで日時(月・日・時・分)を計測し、
内蔵するGPSで移動地点(位置)を計測し、
保存容器100の温度計測素子67で計測された容器温度を受信手段8aを用いて受信し、
保存容器100のIDを保存容器100から受信し、
日時(月・日・時・分)、移動地点(位置)、容器温度、保存容器100のIDを、輸送環境情報として、記憶手段8cに記憶し、
送信手段8bを用いてサーバ7へ送信し、
計測、受信、送信は、所定の時間間隔で繰り返し実施され、(【0099】)
サーバ7は、
輸送環境情報を、受信手段113を用いて受信し、
輸送環境情報を、品質情報DB112に登録し、
サーバ7の表示作成手段104は、輸送環境情報に基づいて、輸送環境情報一覧画面を構成・作成する、(【0100】)
生体輸送支援システム9。」

(エ)2甲2には、以下の記載がある。
【0001】
本発明は、管理システム、情報処理装置、プログラム及び管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や食品等の配送物の中には温度や湿度などの環境により品質が変化することが知られている。このため、これらの配送物の流通過程では、品質が一定水準に維持されるように配送物の環境が適性に管理されていることが要請される。例えば、医薬品業界では、PIC/S GDP:PharmaceuticalInspection Convention and Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme GDP(医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキーム) と呼ばれる品質管理に関するスキーム(枠組み)が知られている。
【0003】
このような要請に対し、配送物を積載したトラック等の配送車に温度センサやGPS(GlobalPositioning System)受信装置を設置し、配送車が荷室の温度データや配送中のトラックの現在位置を示す位置情報などの各種データを、車載機からインターネット通信網を通じて物流センタに送信する管理システムが知られている。
【0004】
また、配送物の流通過程における品質管理のディスクロージャーの観点から、配送物の関係者が温度などの配送物の環境に関する情報をリアルタイムに閲覧したいという要請がある。このような要請に対し、インターネットを介して環境に関する情報をサーバが提供する技術が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、配送車の荷室の温度データ、配送車の位置情報、及び、流通過程における作業状況を示す作業識別データを、配送車がサーバに送信し、端末機器の表示部に温度等をリアルタイムに表示させる温度管理システムが開示されている。

【0012】
<管理主体の管理の概略>
図1は、管理主体の管理の概略を説明する図の一例である。
(1)まず、工場8で生産された配送物が専用定温箱9に梱包される。専用定温箱9には配送物のロット番号と専用定温箱9を識別するための専用定温箱IDが識別用バーコード9aとして貼付又は印刷されている。また、専用定温箱9には温度、湿度、位置情報及び計測時刻を検出するセンサ6が取り付けられる。このセンサ6にはシリアル番号がコード化されたセンサ用バーコード6aが貼付されている。センサ6は温度、湿度、位置情報、計測時刻及びシリアル番号(以下、環境情報という)を定期的に環境管理サーバ10に送信する。
(2)工場8の担当者Tは、スキャナ40で識別用バーコード9aとセンサ用バーコード6aを連続して読み取り、これらの情報を進捗管理サーバ20に送信することで配送物の管理を開始する。工場8では、センサ6のシリアル番号、ロット番号、専用定温箱ID、スキャナID(スキャナ40が記憶している)、及び担当者IDが進捗管理サーバ20に送信される。スキャナ40が送信する情報を主体管理情報という。識別用バーコード9aとセンサ用バーコード6aは同一の専用定温箱9に取り付けられたものとして進捗管理サーバ20で紐付けられる。
(3)運送業者が配送物の運送のため配送物をトラック等に積み込む際、運送業者の担当者Tは、担当者IDが含まれ名札などに記載されている名札バーコードをスキャナ40で読み取っておく。

【0014】
工場以外では、センサ6のシリアル番号、ステータス変更フラグ、スキャナID(スキャナ40が記憶している)及び担当者ID(工場と違ってロット番号、専用定温箱IDが含まれないが進捗管理サーバ20でロット番号と専用定温箱IDが紐付けられている)が進捗管理サーバ20に送信される。クラウド側ではスキャナIDと管理主体の対応が保持されているためスキャナIDにより環境情報の管理主体が特定される。担当者IDがあれば担当者レベルの管理主体の特定が可能になる。進捗管理サーバ20は、スキャナ40から主体管理情報を受信した時の受信時刻を記録する。この受信時刻は、運送業者に配送物が引き渡された時刻であり、配送物の管理主体が工場8から運送業者に移った時刻となる。
(4)配送中のセンサ6は定期的に環境情報を検出し、自機のシリアル番号を含んで環境管理サーバ10に送信する。環境管理サーバ10は環境情報を受信時刻と対応付けて記録する。したがって、配送物の環境情報がリアルタイムに記録される。シリアル番号が送信されるのでどの専用定温箱9の環境情報か特定可能である。
(5)トラックが卸売業者8bに到着すると、卸売業者8bの担当者Tはスキャナ40でセンサ用バーコード6aを連続して読み取る。
(6)(3)と同様に、主体管理情報が進捗管理サーバ20に送信される。スキャナIDにより管理主体が特定されるので、主体管理情報が進捗管理サーバ20に送信された時刻(受信時刻)が、管理主体が切り替わった時刻である。

【0029】
例えば、同日に製造された医薬品が10、000個の場合は、10、000個の医薬品が同一の条件下で製造されたものとして同じロット番号が付与される。10、000個のうちの10個をひとつの専用定温箱9に梱包させる場合、10個の医薬品が梱包された専用定温箱9が1000個できる。これら1000個の専用定温箱9には同じロット番号を含む識別用バーコード9aが添付される。一般には、ロット番号だけでなく企業名、製品名、個数など、関係者が識別用バーコード9aをスキャンすることで専用定温箱9の中身を確認できるように、企業名、製品名及び個数がバーコードに含まれる。企業名、製品名、個数及びロット番号は1000個の専用定温箱9で全て同じであるので1000個の専用定温箱9に同じ識別用バーコード9aが貼付又は印刷される。本実施形態では、更に個別の専用定温箱9を識別できるように専用定温箱IDが識別用バーコード9aに含まれることが好ましい。しかしながら、専用定温箱IDは必須ではない。
【0030】
また、配送物が梱包され識別用バーコード9aが貼付又は印刷された専用定温箱9には、環境情報(温度、湿度及び位置情報)を取得できるセンサ6が外付けされる。より具体的には、センサ6のうちプローブが専用定温箱9内に挿入され、センサ6の本体部分は専用定温箱9に外付けされる。これは、主にGPS衛星の電波及び基地局Naの電波の受信感度を高くするためである。また、センサ6は1回の配送が終わると何回も繰り返し利用されるが、流通の終端に当たる薬局等8cの担当者Tがセンサ6を取り外しやすくするためである。更に、センサ6が外付けされていれば、センサ6が取り付けられていることを工場8から薬局等8cの担当者Tが容易に確認できる。
【0031】
センサ6は関係者の電源ONで起動し、環境情報の検出を開始する。また、センサ6は通信機能を有し基地局Naを介して環境管理サーバ10に環境情報を送信する。基地局Naは携帯電話網、PHS網、又はWiMAX網など無線公衆回線を、施設に敷設された有線のネットワークに接続する。
【0032】
センサ6は少なくとも専用定温箱9の数だけ予め用意されている。説明のため、本実施形態の品質管理を行う会社をA、配送物の製造等を行う会社をB、センサ6の販売を行う会社をCとする。会社Aは会社Cから必要数のセンサ6を購入又はレンタルして会社Bの工場8に準備しておく。会社A及び会社Cは購入又はレンタルしたセンサ6のシリアル番号などを記録しているので、会社A及び会社Cは購入又はレンタルしたセンサ6が送信した環境情報を取得することができる。会社Cは原則的に会社Aが購入又はレンタルしたセンサ6が送信した環境情報のみを提供し、例外的にそれ以外のセンサ6が送信した環境情報を提供する。

【0038】
集計サーバ60は管理主体管理システム120に属するものとして説明される。集計サーバ60は、環境管理サーバ10から環境情報を取得し、進捗管理サーバ20から主体管理情報を取得し、センサ6のシリアル番号をキーにして、専用定温箱9の環境情報と主体管理情報を対応付ける。また、時間帯ごとの専用定温箱9の管理主体を判別する。集計サーバ60は会社Aが運営するものとして説明する。

【0050】
進捗管理サーバ20は更に本社サーバ5aから配送物の出荷情報又はこれと同等の出荷に関する指示を取得して、識別用バーコード9aを作成する。出荷情報により、企業名、製品名、専用定温箱9の数、及びロット番号等が判明するため、これらをエンコードして識別用バーコード9aを作成できる。進捗管理サーバ20はプリンタ4と接続されており、プリンタ4に識別用バーコード9aを送信することでシール状の識別用バーコード9aが印刷される。プリンタ4は本社5の施設内又は工場8に配置されていることが好ましい。しかし、プリンタ4が本社5又は工場8の外部に配置されていてもよく、この場合は識別用バーコード9aが工場8に配送される。このように工場からの出荷に伴って、工場8から出荷される専用定温箱9に識別用バーコード9aが貼付される。なお、プリンタ4が直接、専用定温箱9に印刷したり、担当者Tが識別用バーコード9aをスタンプなどで押印したりしてもよい。

【0052】
<センサ6について>
図4は、センサ6と専用定温箱9の概略斜視図の一例を示す。図4(a)は専用定温箱9の概略斜視図を、図4(b)はセンサ6の概略斜視図を示す。センサ6は本体部分6b、及び温度と湿度を検出するセンサ部分6cを有する。センサ部分6cは本体部分6bとコードで接続されており、センサ部分6cが専用定温箱9の内部に挿入されることで専用定温箱9の内部の温度、湿度を検出することができる。センサ部分6cと本体部分6bがBluetooth(登録商標)などの無線で通信してもよい。
【0053】
本体部分6bは更にGPS機能を有しており、GPS機能により緯度・経度・標高による位置情報を取得する。また、本体部分6bはPHS(登録商標:PersonalHandy-Phone System)、携帯電話又はWiMAXなどの無線通信機能を有しており、この無線通信機能によりリアルタイムに環境情報を環境管理サーバ10に送信することができる。本体部分はまた時計機能も有しており、環境情報と共に計測時刻も送信する。

以上の記載からみて、上記2甲2には、以下の事項が記載されている。
「医薬品や食品等の配送物を積載したトラック等の配送車に温度センサやGPS(GlobalPositioning System)受信装置を設置し、配送車が荷室の温度データや配送中のトラックの現在位置を示す位置情報などの各種データを、車載機からインターネット通信網を通じて物流センタに送信する管理システムにおいて、(【0002】、【0003】)
工場8で生産された配送物が梱包される専用定温箱9には、
配送物のロット番号と専用定温箱9を識別するための専用定温箱IDが識別用バーコード9aとして貼付又は印刷され、
温度、湿度、位置情報及び計測時刻を検出するセンサ6が取り付けられ、
上記センサ6にはシリアル番号がコード化されたセンサ用バーコード6aが貼付され、
上記センサ6は温度、湿度、位置情報、計測時刻及びシリアル番号(以下、環境情報という)を定期的に環境管理サーバ10に送信し、
工場8では、センサ6のシリアル番号、ロット番号、専用定温箱ID、スキャナID(スキャナ40が記憶している)、及び担当者IDが進捗管理サーバ20に送信され、
識別用バーコード9aとセンサ用バーコード6aは同一の専用定温箱9に取り付けられたものとして進捗管理サーバ20で紐付けられ、(【0012】)
配送中のセンサ6は定期的に環境情報を検出し、自機のシリアル番号を含んで環境管理サーバ10に送信し、環境管理サーバ10は環境情報を受信時刻と対応付けて記録し(【0014】)、
ロット番号だけでなく企業名、製品名、個数など、関係者が識別用バーコード9aをスキャンすることで専用定温箱9の中身を確認できるように、企業名、製品名及び個数がバーコードに含まれ(【0029】)、
配送物が梱包され識別用バーコード9aが貼付又は印刷された専用定温箱9には、環境情報(温度、湿度及び位置情報)を取得できるセンサ6が外付けされ、センサ6のうちプローブが専用定温箱9内に挿入され、センサ6の本体部分は専用定温箱9に外付けされることで、主にGPS衛星の電波及び基地局Naの電波の受信感度を高くし(【0030】)、
集計サーバ60は、環境管理サーバ10から環境情報を取得し、進捗管理サーバ20から主体管理情報を取得し、センサ6のシリアル番号をキーにして、専用定温箱9の環境情報と主体管理情報を対応付け、時間帯ごとの専用定温箱9の管理主体を判別し(【0038】)、
センサ6は本体部分6b、及び温度と湿度を検出するセンサ部分6cを有し、センサ部分6cは本体部分6bとコードで接続されており、センサ部分6cが専用定温箱9の内部に挿入されることで専用定温箱9の内部の温度、湿度を検出することができ(【0052】)、
本体部分6bは更にGPS機能を有しており、GPS機能により緯度・経度・標高による位置情報を取得する(【0053】)、
管理システム。」

(オ)2甲3には、以下の事項が記載されている。
「液面検出器10は、容器42内に貯蔵される低温液体52の液面の高さを検出し、検出した検出結果をコントローラー20に出力する(【0024】)」こと。

(カ)2甲4には、以下の事項が記載されている。
「薬剤を収納する収納部と収納部を開閉する開閉部を有する薬剤保管容器において、開閉を検知する開閉検知センサーと開閉情報を記憶する記憶部と薬剤を服用した時間などの情報を表示できる表示部と記憶部が重複服用や未服用等の異常を検知したときに警報音を発するブザーやスピーカ等の発振部を備えたことを特徴とする薬剤保管容器である。前記表示内容としては製造年月日(日本の場合は製造ロット番号)、封印時の日時、初回の開封日時、繰り返し開閉時の日時、開閉回数などの情報が表示される(【0012】)」こと。

(キ)2甲5には、以下の事項が記載されている。
「蓋体の開閉回数を検出する光電センサ(【0011】)」。

(ク)2甲6には、以下の事項が記載されている。
「印刷機40は集計サーバ20が取得したデータを出力するためのものであり、血液の輸送先に送付する所定の帳票を作成するものであって(【0014】)、
制御部22は当該保管箱10の温度履歴31を記憶装置30から読み込んで印刷機40に出力して帳票を作成し(ステップS206)、FAX等で輸送先に送付し(【0056】)、
制御部22は温度データAの温度1?温度6の全てが所定範囲内の温度、例えば血液を保存するのに適した範囲の温度か否かを判定し(【0053】)、
判定の結果、温度データAの温度1?温度6の何れかが血液を保存するのに適した範囲の温度でない場合、制御部22は図示しない警報器等から警報を出力する(【0054】)、
内部の温度を検出する温度検出手段を備えた断熱性の保管箱に定温保存物を収納し、保管箱の輸送をサーバで管理する輸送管理システム(【請求項1】)。」

(ケ)2甲7には、以下の事項が記載されている。
「温度管理部121では、被運搬物P毎に定められた適正な温度範囲を記憶しており、温度測定器122からの温度情報が適正な温度範囲を逸脱している場合には、アラーム(警告音や発光素子の点滅)により作業者に知らせるとともに、所定の温度警告情報を付加して送信部125に入力し(【0019】)、
容器本体111内の温度管理部112を起動する。これにより、容器本体111内の温度測定、筐体101の位置測定部124により位置測定が開始され、所定のタイミング(例えば1分毎)に送信部125から端末ID、時間情報、温度警告情報とともに温度管理情報Kが送信されるとともに、記録部123により各種情報の記録が行われ、温度管理情報Kが送信されると、基地局50及び通信回線20を介して温度管理情報Kがサーバ30で受信される(【0021】)」こと。

(コ)2甲8には、以下の事項が記載されている。
「データロギング装置91による記録温度が所要範囲から逸脱した時点で、警告を発する警告システムを備えることができる。警告システムは、容器10の運搬人に聞取り可能な警報音を備えること、又は運搬物の破損をユーザーに電話、ページ、電子メール又は他の種類の通信方法により警告を与える通信装置に接続することが可能である(【0058】)」こと。

(サ)2甲9には、以下の事項が記載されている。
「図3のステップS1において、まず、ファクシミリ受信エラーが発生したか否かが判断され、YESとなったときに、ステップS2において発信元電話番号を受信したか否かが判断され、YESのときはステップS3に進む一方、NOのときは図4のステップS11に進み、ステップS3において受信した発信元電話番号による転送設定モードAが転送先情報テーブル7aにおいて設定されているか否かが判断され、YESのときはステップS4に進む一方、NOのときはステップS5に進み、ステップS4において、受信した発信元電話番号を転送先情報テーブル7aを参照して対応する転送先の電子メールアドレスを検索し、検索した転送先の電子メールアドレスに対して、受信した発信元電話番号とエラー情報(受信エラーが発生した旨と、エラー番号などを含み、以下同様である。)を含む電子メールをインターネット40を介して送信して、ステップS1に戻る(【0027】)」こと。

(シ)2甲10には、以下の事項が記載されている。
「操作端末20を利用するユーザは、ログデータ検索用画像91を用いたログデータの閲覧要求を行い(【0164】)、
この閲覧要求が管理サーバ19に受信されると、ステップS126において、検索部79は、閲覧要求内容に応じて端末別ログデータDB74を検索し、検索したログデータを操作端末20に送信し(【0165】)、
次に、ステップS127において、操作端末20は、管理サーバ19から受けたログデータの一覧画像92を画面表示し(【0166」】)、
図17に示すように、ログデータ一覧画像92にあるグラフ表示指示ボタン95を押下することにより、ログデータにもとづくグラフ94を表示する(【0170】)」こと。

(ス)2甲11には、以下の事項が記載されている。
「本発明によると、搬送対象の物資を輸送中の車両等が中継地に立ち寄った際、温度記録装置が通信ユニットに接続されることにより、運行管理者側から輸送基準のデータ変更があったとき、その輸送基準のデータが通信ユニットを通して温度記録装置のメモリに記憶される。従って、新たな輸送基準に基づいて物資等の輸送状態を監視できるようになり、物資の輸送品質を適切な状態で維持することができるものであって(【0010】)、
温度記録装置4A,4BのCPU51は、高温閾値あるいは低温閾値から外れて警報状態にあった時間を計算し(S103)、温度警報履歴データに基づいて輸送品質を判定する(S104)。制御部20は、警報時間の積算値が設定値、例えば、60分を超えないときは緑色の「OK」ランプを点灯させる(S106)。この計算時に用いる設定値は、通信ユニット2のメモリ61に設定されているものを用いる。また、積算値が基準値を越えた場合には赤色の「NG」ランプを点灯させる(S105)。更に、評価が「OK」と「NG」の間に或る場合には、黄色の「注意」ランプを点灯させ【0044】、
次に、温度記録装置4A,4Bに対する設定の変更が生じているか否かを判定する(S108)。設定の変更は、コンピュータ7から通信ユニット2に指示が有った場合に行われるものであって、通常、出発地Aで設定された内容のまま到着地Cまで運行するが、輸送品質に変更が生じたり、行き先(地域)に応じて変更が望ましい場合や、運用上の都合から設定変更が必要になることがあり(【0045】)、
例えば、生ものでは、寒い地方から暑い地方へ移動する場合には監視時間間隔を短くするのが好ましく、精密機器では衝撃や振動が問題になるので、道路状態が悪い道路を通行することが予想される場合には、監視項目に衝撃や振動の設定を追加するのが好ましく、また、干物の輸送では、湿度が問題になるので、雨が降っている地方へ行く場合には湿度の管理を設定項目に加えるのが望ましく、年末等のために中継地での積み替えに時間を要することが考えられる場合には、予め温度を低くしておくことが望ましい、というような状況に応じて、随時設定内容を変更できるようにしたところに特徴があり(【0046】)、
図5においては、センサとして温度センサ52が1個のみ接続されている構成としたが、温度センサのほか、気圧センサ、湿度センサ、振動センサ、ガスセンサ、降雨センサ、大気汚染センサ等を必要に応じて追加した複数のセンサによる構成であってもよい(【0051】)」こと。

ウ 本件発明1と主たる証拠に記載された発明との対比・判断
(ア)本件発明1と1甲1発明との対比・判断
本件発明1と上記イ(ア)で認定した1甲1発明とを対比すると、以下の一致点で一致し相違点で相違するといえる。

一致点
収容した物品を冷媒により冷却する容器を配送する為の配送用ユニットと、通信ネットワークを介して運搬中の前記配送用ユニットと通信する物品管理サーバと、を備えた配送管理システムであって、
前記配送用ユニットは、
複数のGPS衛星から夫々のGPS信号を受信するとともに、夫々のGPS信号に基づいて配送用ユニットの位置データを算出するGPS受信手段と、
前記容器内の温度を測定する温度測定手段と、
前記温度測定手段により測定された温度データを時系列に沿って記憶する第1記憶手段と、
前記第1記憶手段から取得した温度データを、定期的又は不定期に前記通信ネットワークを介して前記物品管理サーバに送信する第1送信手段と、を備え、
前記物品管理サーバは、
受信した前記位置データを記憶する第2記憶手段と、
前記配送用ユニットから受信した前記温度データを記憶する第3記憶手段と、
前記第2記憶手段から取得した位置データ、前記第3記憶手段から取得した温度データ、に基づいて、位置データ及び温度データを表す運搬状況データを生成する運搬状況データ生成手段と、
を備えたことを特徴とする配送管理システム。

相違点1
GPS受信手段が、本件発明1では「複数のGPS衛星から夫々のGPS信号を受信するとともに、夫々のGPS信号に基づいて配送用ユニットの位置データを算出して、前記位置データに固有の機器コードを付加して物品管理サーバに送信するGPS受信手段」であるのに対し、1甲1発明では「複数のGPS衛星から夫々のGPS信号を受信するとともに、夫々のGPS信号に基づいて配送用ユニットの位置データを算出して」いるものの、「算出した位置データを(物品管理サーバに相当する)物流情報管理システムSDNSに送信」しているか特定されておらず、また、上記送信するデータに「前記位置データに固有の機器コードを付加」しておらず、したがって、前記物品管理サーバでは、本件発明1が「前記GPS受信手段から受信した前記位置データと前記機器コードを関連付けて記憶」するのに対して、1甲1発明では上記「前記GPS受信手段から受信した前記位置データと前記機器コードを関連付けて記憶」する構成を有していない点

相違点2
第1送信手段が、本件発明1では「前記第1記憶手段から取得した温度データに前記配送用ユニットに係わるユニット番号を付加して定期的、又は/及び、不定期に前記通信ネットワークを介して前記物品管理サーバに送信する第1送信手段」であるのに対して、1甲1発明では「前記第1記憶手段から取得した温度データを、定期的又は不定期に前記通信ネットワークを介して前記物品管理サーバに送信する第1送信手段」であるものの、「前記第1記憶手段から取得した温度データに前記配送用ユニットに係わるユニット番号を付加して」送信する構成を有さず、したがって、前記物品管理サーバでは、本件発明1が「前記配送用ユニットから定期的、又は/及び、不定期に受信した前記温度データを前記ユニット番号毎に関連付けて記憶する」のに対して、1甲1発明では「前記温度データを前記ユニット番号毎に関連付けて記憶する」構成を有していない点

相違点3
本件発明1は「前記ユニット番号と前記物品に係わるシリアル番号を関連付けて記憶する第4記憶手段」を有しているのに対し、1甲1発明は、当該構成を有していない点

相違点4
上記相違点1ないし相違点3を有するため、運搬状況データ生成手段が、本件発明1では「あるユニット番号と機器コードの一組をキーとして、前記機器コードに対応して前記第2記憶手段から取得した位置データ、及び前記ユニット番号に対応して前記第3記憶手段から取得した温度データ、前記ユニット番号に対応して第4記憶手段から取得したシリアル番号に基づいて、運搬中の前記物品のシリアル番号、位置データ及び温度データを表す運搬状況データを生成する運搬状況データ生成手段」であるのに対し、1甲1発明では、これらのデータの関係が特定されていない点

上記相違点について検討すると、1甲1には、配送用ユニットに、(GPS等の)位置を検知する手段及び温度測定手段とを設け、これらの時系列データをサーバに送信し管理するシステムという点で、本件発明1と共通する構成は開示されているものの、上記システムを実現するために本件発明1が有している、「位置データに固有の機器コードを付加して物品管理サーバに送信」する「GPS受信手段」、及び、「温度データに前記配送用ユニットに係わるユニット番号を付加して」、「物品管理サーバに送信する第1送信手段」、及び、「前記ユニット番号と前記物品に係わるシリアル番号を関連付けて記憶する第4記憶手段」については、1甲1に何ら開示はなく、したがって、上記「位置データ」、「温度データ」から運搬状況データを生成するに際して、本件発明1では「あるユニット番号と機器コードの一組をキーとして、前記機器コードに対応して前記第2記憶手段から取得した位置データ、及び前記ユニット番号に対応して前記第3記憶手段から取得した温度データ、前記ユニット番号に対応して第4記憶手段から取得したシリアル番号に基づいて、運搬中の前記物品のシリアル番号、位置データ及び温度データを表す運搬状況データを生成する運搬状況データ生成手段」の構成を採用しているのに対し、1甲1発明では上記「運搬状況データ生成手段」の具体的な構成は特定されていない点で相違するといえる。
上記のとおり相違点が存在するのであるから、本件発明1は1甲1に記載された発明であるということはできない。
また、上記相違点に関する構成について、異議申立人池田憲保が提出した1甲2のみならず、異議申立人星野裕司が提出した2甲1ないし2甲11にも開示がない。また、当該相違点は、1甲1の記載から当業者が容易に為し得たものであるということもできない。
異議申立人池田憲保は、上記相違点について「ただし、甲第1号証は、(c1)において位置データに固有の機器コードを付加すること(以下、構成アという。)、(f1)において温度データに配送用ユニットに係わるユニット番号を付加すること(以下、構成イという。)、(h1)において位置データと機器コードを関連付けること(以下、構成ウという。)、(i1)において温度データとユニット番号毎に関連付けること(以下、構成エという。)、(k1)においてあるユニット番号と機器コードの一組をキーとして物品に係わるシリアル番号に基づいて運搬状況データを生成すること(以下、構成オという。)、について開示していない、しかしながら、物品に関する情報をその物品のIDと紐付けることは、一般的に行われることである。」(構成ア?構成オは、当審で付与した。)と述べているが、仮に、上記構成アないし構成オが個別によく知られてことであっても、これらを総合して本件発明1とすることは、当業者が容易に為し得たことであるということはできず、異議申立人池田憲保の主張は採用することができない。

(イ)本件発明1と2甲1発明との対比・判断

本件発明1と上記イ(ウ)で認定した2甲1発明とを対比すると、以下の一致点で一致し相違点で相違するといえる。

一致点
収容した物品を冷媒により冷却する容器を配送する為の配送用ユニットと、通信ネットワークを介して運搬中の前記配送用ユニットと通信する物品管理サーバと、を備えた配送管理システムであって、
前記配送用ユニットは、
複数のGPS衛星から夫々のGPS信号を受信するとともに、夫々のGPS信号に基づいて配送用ユニットの位置データを算出するGPS受信手段と、
前記容器内の温度を測定する温度測定手段と、
前記温度測定手段により測定された温度データを時系列に沿って記憶する第1記憶手段と、
前記第1記憶手段から取得した温度データを定期的に前記通信ネットワークを介して前記物品管理サーバに送信する送信手段と、を備え、また、算出された位置データは物品管理サーバに送信さるものであり、
前記物品管理サーバは、
前記GPS受信手段から得た前記位置データを記憶する第2記憶手段と、
前記配送用ユニットから定期的に受信した前記温度データを記憶する第3記憶手段と、
前記第2記憶手段から取得した位置データ、及び前記第3記憶手段から取得した温度データに基づいて、運搬中の前記物品の位置データ及び温度データを表す運搬状況データを生成する運搬状況データ生成手段と、
を備えたことを特徴とする配送管理システム。

相違点1
GPS受信手段が、本件発明1では、「夫々のGPS信号に基づいて配送用ユニットの位置データを算出して、前記位置データに固有の機器コードを付加して物品管理サーバに送信する」のに対し、2甲1発明では「(算出した)位置データに固有の機器コードを付加して物品管理サーバに送信する」構成を有しておらず、したがって、第2記憶手段において、本件発明1では「前記GPS受信手段から受信した前記位置データと前記機器コードを関連付けて記憶する」のに対し、2甲1発明では「前記GPS受信手段から得た前記位置データ」であって、また、前記位置データに対して機器コードとの関連付けをしていない点

相違点2
第1送信手段が、本件発明1では「温度データに前記配送用ユニットに係わるユニット番号を付加して」送信するのに対し、2甲1発明では、「前記配送用ユニットに係わるユニット番号を付加」する構成を有していない点

相違点3
本件発明1は「前記ユニット番号と前記物品に係わるシリアル番号を関連付けて記憶する第4記憶手段」を有しているのに対し、2甲1発明は、当該構成を有していない点

相違点4
運搬状況データ生成手段が、本件発明1では、「あるユニット番号と機器コードの一組をキーとして、前記機器コードに対応して前記第2記憶手段から取得した位置データ、及び前記ユニット番号に対応して前記第3記憶手段から取得した温度データ、前記ユニット番号に対応して第4記憶手段から取得したシリアル番号に基づいて、運搬中の前記物品のシリアル番号、位置データ及び温度データを表す運搬状況データを生成する」のに対し、2甲1発明では、「保存容器100の識別情報」をキーとして、「位置データ」、「温度データ」を表す運搬状況データを生成している点

上記相違点について検討すると、本件発明1は、GPS受信手段が「前記位置データに固有の機器コードを付加して物品管理サーバに送信」し、第1送信手段が「温度データに前記配送用ユニットに係わるユニット番号を付加し」、「前記物品管理サーバに送信」し、「前記ユニット番号と前記物品に係わるシリアル番号を関連付け」、「ユニット番号と機器コードの一組をキー」とする構成を組み合わせることで、運搬状況データ生成手段において、運搬中の前記物品のシリアル番号、位置データ及び温度データを表す運搬状況データを生成しているのに対し、2甲1発明では、専用端末が、「保存容器100から、保存容器100の識別情報と温度データと位置データを短距離間の無線方式により受信」し、「電気通信回線6を介してサーバ7に接続し、記憶されている保存容器100の識別情報と温度データと位置データを、(輸送環境情報として)電気通信回線6を介してサーバ7に送信」し、サーバは「(受信した)輸送環境情報に基づいて、輸送環境情報一覧画面を構成・作成する」構成である点で相違しているのである。
上記構成上の相違は、本件異議申立において提出された他の証拠(1甲1、1甲2、2甲2?2甲11)に記載がなく、2甲1発明から当業者が容易に発明することができたということはできない。
異議申立人星野裕司は上記相違点について、「配送ユニットを特定できる識別情報であれば、GPS受信手段の機器コードでなくとも同様の効果をなし得る。甲第1号証に記載の発明において、保存容器100のIDを位置データに付加してサーバ7に送信している(段落0099)。この技術的な意義は、保存容器100のIDに基づいて、配送ユニットを構成する保存容器100の位置を特定するためであり、さらには配送ユニットを構成する保存容器100に収納された物品である資料の位置を特定するためである。すなわち、本件特許発明1と同様の効果をなし得る。したがって、位置データに付加する識別情報をGPS受信手段の機器コードとするか、配送ユニットを構成する保存容器100のIDとするかは実質的な相違点ではなく、設計的事項に過ぎない。(合議体注:以上、主張1という。)・・・さらに、「GPS受信手段の機器コードを位置データに付加して管理サーバに送信する」点は甲第2号証に記載されている。・・・甲第2号証の段落0014の記載によれば、センサ6のシリアル番号を位置データに付加してサーバに送信している。ここで、センサ6は、GPS機能を有しており、センサ6のシリアル番号は、GPS受信手段の機器コードといい得る。さらに、段落0038の記載によれば、センサ6のシリアル番号をキーとしてシリアル番号に対応してサーバから位置データを取得している。加えて、段落0012の記載によれば、配送ユニットのユニット番号に相当する箱IDとセンサ6のシリアル番号は関連付けてサーバに記憶されている。したがって、甲第2号証に記載の発明の上記構成を甲第1号証に記載の発明の相違点に適用して本件特許発明1と同様の構成とすることは、当業者であれば、容易になし得たことである(合議体注:以上、主張2という。)。」と主張している。
上記主張1について、本件発明1は「複数のGPS衛星から夫々のGPS信号を受信するとともに、夫々のGPS信号に基づいて配送用ユニットの位置データを算出して、前記位置データに固有の機器コードを付加して物品管理サーバに送信するGPS受信手段」と「前記第1記憶手段から取得した温度データに前記配送用ユニットに係わるユニット番号を付加して定期的、又は/及び、不定期に前記通信ネットワークを介して前記物品管理サーバに送信する第1送信手段」とを備えて、それぞれで「前記位置データに固有の機器コードを付加し」たデータ、及び「前記第1記憶手段から取得した温度データに前記配送用ユニットに係わるユニット番号を付加し」たデータを送信しているのに対し、2甲1発明では、専用端末8が、「保存容器100から、保存容器100の識別情報と温度データと位置データを短距離間の無線方式により受信する受信手段8a」と「電気通信回線6を介してサーバ7に接続し、記憶されている保存容器100の識別情報と温度データと位置データを、電気通信回線6を介してサーバ7に送信する送信手段8b」とを備えることで、保存容器100の識別情報と温度データと位置データを送信する構成であるから、データ送信の構成がそもそも異なるのであるから、単に「位置データに付加する識別情報をGPS受信手段の機器コードとするか、配送ユニットを構成する保存容器100のIDとする」ということのみが異なるわけではなく、上記異議申立人星野裕司の主張1は採用することはできない。
また、主張2について検討すると、2甲2には、確かに(i)「専用定温箱9には、配送物のロット番号と専用定温箱9を識別するための専用定温箱IDが識別用バーコード9aとして貼付又は印刷され」ること、及び(ii)「温度、湿度、位置情報及び計測時刻を検出するセンサ6には、シリアル番号がコード化されたセンサ用バーコード6aが貼付され、温度、湿度、位置情報、計測時刻及びシリアル番号(以下、環境情報という)を定期的に環境管理サーバ10に送信」する構成が開示されているが、センサに貼付されるセンサ用バーコード6aは、温度、湿度、位置情報及び計測時刻を検出するセンサ6に貼付されるものであるから、「温度、湿度、位置情報」の各センサ共通のバーコードである。
これに対して、本件発明1の「固有の機器コード」はGPS受信手段に固有の機器コードであって、温度センサとは関係が無く、温度センサを識別する情報は、第1送信手段で付加される前記配送用ユニットに係わるユニット番号であるから、2甲1発明に2甲2に記載された事項を適用しても本件発明1とはならないから、上記異議申立人星野裕司の主張2は採用することはできない。

エ 本件発明2ないし15に係る発明ついて
本件発明2ないし15に係る特許は、いずれも、請求項1の記載を直接あるいは間接的に引用し、更に限定する構成を付加したものである。よって、上記ウに示した理由と同様の理由により、請求項2ないし15に係る発明は、1甲1に記載された発明ではなく、もしくは、1甲1に記載された発明又は2甲1に記載された発明及び1甲2、2甲2ないし2甲11に記載された技術的事項に基いて当業者が容易になし得るものではない。
以上のとおり、請求項1?15に係る発明は、1甲1に記載された発明ではなく、もしくは、1甲1に記載された発明又は2甲1に記載された発明及び1甲2、2甲2ないし2甲11に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第5 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?15に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

請求項16及び17に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人池田憲保、星野裕司による特許異議の申立てについて、請求項16及び17に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。

よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容した物品を冷媒により冷却する容器を配送する為の配送用ユニットと、通信ネットワークを介して運搬中の前記配送用ユニットと通信する物品管理サーバと、を備えた配送管理システムであって、
前記配送用ユニットは、
複数のGPS衛星から夫々のGPS信号を受信するとともに、夫々のGPS信号に基づいて配送用ユニットの位置データを算出して、前記位置データに固有の機器コードを付加して物品管理サーバに送信するGPS受信手段と、
前記容器内の温度を測定する温度測定手段と、
前記温度測定手段により測定された温度データを時系列に沿って記憶する第1記憶手段と、
前記第1記憶手段から取得した温度データに前記配送用ユニットに係わるユニット番号を付加して定期的、又は/及び、不定期に前記通信ネットワークを介して前記物品管理サーバに送信する第1送信手段と、を備え、
前記物品管理サーバは、
前記GPS受信手段から受信した前記位置データと前記機器コードを関連付けて記憶する第2記憶手段と、
前記配送用ユニットから定期的、又は/及び、不定期に受信した前記温度データを前記ユニット番号毎に関連付けて記憶する第3記憶手段と、
前記ユニット番号と前記物品に係わるシリアル番号を関連付けて記憶する第4記憶手段と、
あるユニット番号と機器コードの一組をキーとして、前記機器コードに対応して前記第2記憶手段から取得した位置データ、及び前記ユニット番号に対応して前記第3記憶手段から取得した温度データ、前記ユニット番号に対応して第4記憶手段から取得したシリアル番号に基づいて、運搬中の前記物品のシリアル番号、位置データ及び温度データを表す運搬状況データを生成する運搬状況データ生成手段と、
を備えたことを特徴とする配送管理システム。
【請求項2】
前記配送用ユニットは、
前記冷媒の残量に係わる残量データを測定する残量検出手段、
路面から前記容器に加わる振動に係わる振動データを測定する振動測定手段、
前記容器内の湿度に係わる湿度データを測定する湿度測定手段、
又は、前記容器に設けられた蓋の開閉回数データを計数する開閉回数計数手段の少なくとも1つを備え、
前記第1記憶手段は、前記温度データに、前記残量データ、前記振動データ、前記湿度データ、又は前記開閉回数データの少なくとも1つと、日時データを付加して記憶することを特徴とする請求項1記載の配送管理システム。
【請求項3】
前記配送用ユニットは、
前記第1記憶手段から取得した前記温度データ、及び日時データに加えて、前記残量データ、前記振動データ、前記湿度データ、又は前記開閉回数データの少なくとも1つに基づいて、当該物品に係わる品質データを生成する品質データ生成手段と、
前記シリアル番号、及び前記品質データを含む画像を記録媒体に印刷することにより品質証明書を作成する印刷手段と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の配送管理システム。
【請求項4】
前記配送用ユニットは、
前記温度データ、前記残量データ、前記振動データ、前記湿度データ、前記開閉回数データのそれぞれに係わる閾値を設定する第1閾値設定手段と、
前記第1閾値設定手段により設定された閾値よりも、前記温度データ、前記残量データ、前記振動データ、前記湿度データ、前記開閉回数データの少なくとも1つが危険値側に移行している場合に、警報音を発生する第1発報手段と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の配送管理システム。
【請求項5】
前記配送用ユニットは、
前記第1発報手段が警報音を発生した場合に、前記警報音を発生した旨のメッセージを含む電子メールを関係者の端末に送信することを特徴とする請求項4記載の配送管理システム。
【請求項6】
前記配送用ユニットは、
前記第1発報手段が警報音を発生した場合に、前記警報音を発生した旨の情報を前記物品管理サーバに送信することを特徴とする請求項4記載の配送管理システム。
【請求項7】
前記物品管理サーバは、
前記配送用ユニットから定期的、又は/及び、不定期に受信している前記温度データ及び位置データに係わる受信済データが通信エラーになったか否かを判定する通信エラー判定手段と、
前記通信エラー判定手段により前記通信済みデータが通信エラーであると判定された場合に、前記通信エラーが発生した旨のメッセージを含む電子メールを端末に送信する第4送信手段と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の配送管理システム。
【請求項8】
前記物品管理サーバは、
前記物品に係わるシリアル番号を入力するための入力画面データを生成する第1入力画面データ生成手段と、
前記第1入力画面データ生成手段により生成された入力画面データをユーザ端末に配信する第1配信手段と、を備え、
前記運搬状況データ生成手段は、前記ユーザ端末から受信したシリアル番号をキーとして、前記運搬状況データを生成し、
前記第1配信手段は、前記運搬状況データ生成手段により生成された運搬状況データを前記ユーザ端末に配信することを特徴とする請求項1記載の配送管理システム。
【請求項9】
前記物品管理サーバは、
前記第2記憶手段から取得した位置データに基づいて、当該物品に係わる運搬経路を地図データ上に合成した運搬経路地図データを生成する運搬経路データ生成手段を備え、
前記第1配信手段は、前記運搬経路データ生成手段により生成された運搬経路地図データを前記ユーザ端末に配信することを特徴とする請求項8記載の配送管理システム。
【請求項10】
前記物品管理サーバは、
前記運搬状況データ生成手段により生成された運搬状況データを記憶する第5記憶手段と、
前記物品に係わる温度状況についての確認を促す入力領域を付加した入力画面データを生成する第2入力画面データ生成手段と、
前記第2入力画面データ生成手段により生成された入力画面データを前記ユーザ端末に配信する第2配信手段と、
前記ユーザ端末において入力画面データに付加された入力領域への操作データを前記ユーザ端末から受信する第1受信手段と、
前記第1受信手段により受信した操作データに応じて、シリアル番号をキーとして、前記第5記憶手段から取得した物品に係わる温度データに基づいて、温度状況を表す温度状況データを生成する温度状況データ生成手段と、
前記温度状況データ生成手段により生成された温度状況データを前記ユーザ端末に配信する第3配信手段と、を備えたことを特徴とする請求項6記載の配送管理システム。
【請求項11】
ユーザ端末を備え、
前記ユーザ端末は、
前記物品管理サーバから入力画面データを受信する第1ユーザ受信手段と、
前記第1ユーザ受信手段により受信した入力画面データに物品に係わるシリアル番号を入力する第1ユーザ入力手段と、
前記第1ユーザ入力手段により入力されたシリアル番号を前記物品管理サーバに送信する第1ユーザ送信手段と、
前記物品管理サーバから前記物品に係わる運搬状況データを受信する第2ユーザ受信手段と、
前記第2ユーザ受信手段により受信した運搬状況データを表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする請求項7乃至請求項10の何れか一項に記載の配送管理システム。
【請求項12】
前記ユーザ端末は、
前記物品管理サーバから運搬経路地図データを受信する第3ユーザ受信手段と、を備え、
前記表示手段は、前記第3ユーザ受信手段により受信した運搬経路地図データを表示することを特徴とする請求項11記載の配送管理システム。
【請求項13】
前記ユーザ端末は、
前記物品管理サーバから前記物品に係わる最新の温度データが付加された運搬状況データを受信する第4ユーザ受信手段と、
前記表示手段は、前記第4ユーザ受信手段により受信した運搬状況データを表示することを特徴とする請求項11記載の配送管理システム。
【請求項14】
前記ユーザ端末は、
前記物品管理サーバから前記物品に係わる温度状況についての確認を促す入力領域を付加した入力画面データを受信する第5ユーザ受信手段と、
前記第5ユーザ受信手段により受信した入力画面データに付加された入力領域への操作データを入力する第2入力手段と、
前記第2ユーザ入力手段により入力された操作データを前記物品管理サーバに送信する第2ユーザ送信手段と、
前記物品管理サーバから前記物品に係わる温度状況を表す温度状況データを受信する第6ユーザ受信手段と、を備え、
前記表示手段は、前記受信した前記物品に係わる温度状況を表す温度状況データを表示することを特徴とする請求項10記載の配送管理システム。
【請求項15】
前記物品管理サーバは、
前記物品の配送に係わる出発地点から到着地点に至る全経路を配送に係わる業務毎の区間に分割する経路分割手段と、
前記経路分割手段により分割された各区間に対して、前記温度データ、前記残量データ、前記振動データ、前記湿度データ、前記開閉回数データのそれぞれに係わる閾値をマスタテーブルに設定する第2閾値設定手段と、
前記位置算出手段により算出された位置データに基づいて、前記マスタテーブルから当該位置に対応した各閾値を取得する閾値取得手段と、
前記閾値取得手段により取得した各閾値よりも、前記温度データ、前記残量データ、前記振動データ、前記湿度データ、前記開閉状態データの少なくとも1つが危険領域にある場合には、警報音を発生する第2発報手段と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の配送管理システム。
【請求項16】(削除)
【請求項17】(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-03-11 
出願番号 特願2018-563538(P2018-563538)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (G06Q)
P 1 651・ 537- YAA (G06Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 衣川 裕史  
特許庁審判長 佐藤 聡史
特許庁審判官 渡邊 聡
松田 直也
登録日 2019-03-22 
登録番号 特許第6499812号(P6499812)
権利者 株式会社メディパルホールディングス
発明の名称 配送管理システム、配送管理方法、及びプログラム  
代理人 鈴木 均  
代理人 鈴木 均  

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