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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61B
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61B
管理番号 1362353
異議申立番号 異議2019-700372  
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-05-07 
確定日 2020-04-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6413534号発明「放射線画像撮影システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6413534号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。 特許第6413534号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6413534号の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、平成26年9月17日に出願され、平成30年10月12日にその特許権の設定登録がされ、同月31日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和元年 5月 7日 :特許異議申立人 木村 靖 (以下、単に「申
立人」という。)による請求項1ないし7に係
る特許に対する特許異議の申立て
同年 6月24日付け:取消理由通知
同年 8月26日 :特許権者による意見書の提出及び訂正の請求
同年10月 7日 :申立人による意見書の提出
同年11月 7日付け:取消理由通知(決定の予告)
令和2年 1月14日 :特許権者による意見書の提出及び訂正の請求
同年 2月25日 :申立人による意見書の提出


第2 訂正の適否

1 訂正の内容

(1)特許権者が令和2年1月14日にした訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、請求項1ないし7を一群の請求項として訂正することを求めるものであり、その具体的内容は、以下の訂正事項1及び2のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す(訂正事項に係る記載において以下同様。)。

(訂正事項1)
訂正事項1は、以下の訂正事項1-Aないし1-Eからなる。

(訂正事項1-A)
特許請求の範囲の請求項1に「複数の放射線画像撮影装置と、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置と、を備え、複数の前記放射線画像撮影装置を用いる長尺撮影と、1つの前記放射線画像撮影装置を用いる単純撮影の両方の撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムであって、」と記載されているのを、「複数の放射線画像撮影装置と、複数の前記放射線画像撮影装置を装填可能な装填手段と、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置と、を備え、複数の前記放射線画像撮影装置を用いる長尺撮影と、1つの前記放射線画像撮影装置を用いる単純撮影の両方の撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムであって、」と訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項2?7も同様に訂正する。)

(訂正事項1-B)
特許請求の範囲の請求項1に「前記制御装置は、
これから行う撮影が」と記載されているのを、「前記制御装置は、
前記装填手段における前記放射線画像撮影装置の装填状況を認識し、
これから行う撮影が」と訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項2?7も同様に訂正する。)

(訂正事項1-C)
特許請求の範囲の請求項1に「これから行う撮影が前記長尺撮影である場合には、」と記載されているのを、「これから行う撮影が、前記長尺撮影である場合には、」と訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項2?7も同様に訂正する。)

(訂正事項1-D)
特許請求の範囲の請求項1に「前記長尺撮影である場合には、複数の前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態へと遷移させ、」と記載されているのを、「前記長尺撮影である場合には、前記装填状況に基づき、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が同一方向に3つ連続していると判断した場合、または、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が2つ連続していると判断した場合のみ、前記装填手段に装填されている複数の前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態へと遷移させ、」と訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項2?7も同様に訂正する。)

(訂正事項1-E)
特許請求の範囲の請求項1に「これから行う撮影が前記単純撮影である場合には、」と記載されているのを、「これから行う撮影が、前記単純撮影である場合には、」と訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項2?7も同様に訂正する。)

(訂正事項2)
明細書の段落【0012】に「前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影システムは、
複数の放射線画像撮影装置と、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置と、を備え、複数の前記放射線画像撮影装置を用いる長尺撮影と、1つの前記放射線画像撮影装置を用いる単純撮影の両方の撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムであって、
前記制御装置は、
これから行う撮影が前記長尺撮影である場合には、複数の前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態へと遷移させ、
これから行う撮影が前記単純撮影である場合には、複数の前記放射線画像撮影装置のうちの一の前記放射線画像撮影装置のみを撮影可能な状態へと遷移させることを特徴とする。」と記載されているのを、「前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影システムは、
複数の放射線画像撮影装置と、複数の前記放射線画像撮影装置を装填可能な装填手段と、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置と、を備え、複数の前記放射線画像撮影装置を用いる長尺撮影と、1つの前記放射線画像撮影装置を用いる単純撮影の両方の撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムであって、
前記制御装置は、
前記装填手段における前記放射線画像撮影装置の装填状況を認識し、
これから行う撮影が、前記長尺撮影である場合には、前記装填状況に基づき、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が同一方向に3つ連続していると判断した場合、または、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が2つ連続していると判断した場合のみ、前記装填手段に装填されている複数の前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態へと遷移させ、
これから行う撮影が、前記単純撮影である場合には、複数の前記放射線画像撮影装置のうちの一の前記放射線画像撮影装置のみを撮影可能な状態へと遷移させることを特徴とする。」と訂正する。

(2)訂正の単位について

訂正前の請求項1ないし7について、請求項2ないし7はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
訂正事項2は、請求項1の記載に対応する明細書の段落【0012】の記載に係るものであり、訂正前に引用関係を有する請求項1ないし7に関係するものである。
したがって、訂正事項1及び2は、訂正前に引用関係を有する請求項1ないし7に対して請求されたものである。
よって、本件訂正は、一群の請求項〔1-7〕に対して請求されたものであり、特許法第120条の5第4項、及び、同条第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1について

ア 訂正の目的の適否

(ア)訂正事項1-Aについて
訂正事項1-Aは、「放射線画像撮影システム」について、「複数の前記放射線画像撮影装置を装填可能な装填手段」を備えることを発明特定事項として追加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)訂正事項1-Bについて
訂正事項1-Bは、「制御装置」について、「前記装填手段における前記放射線画像撮影装置の装填状況を認識」するものであることを発明特定事項として追加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(ウ)訂正事項1-Cについて
訂正事項1-Cは、「これから行う撮影が前記長尺撮影である場合には、」との記載について、「これから行う撮影が、前記長尺撮影である場合には、」と読点を追加して「これから行う撮影」についてのことであることを明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(エ)訂正事項1-Dについて
訂正事項1-Dは、
a 「長尺撮影である場合」に「複数の前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態へと遷移させ」ることについて、「前記装填状況に基づき、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が同一方向に3つ連続していると判断した場合、または、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が2つ連続していると判断した場合のみ、前記装填手段に装填されている複数の前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態へと遷移させ」ることに限定して特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(オ)訂正事項1-Eについて
訂正事項1-Eは、「これから行う撮影が前記単純撮影である場合には、」との記載について、「これから行う撮影が、前記単純撮影である場合には、」と読点を追加して「これから行う撮影」についてのことであることを明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無

(ア)訂正事項1-Aについて

訂正事項1-Aは、本件特許に係る出願の願書に添付した明細書の「【0021】
[放射線画像撮影システムの基本的な構成等について]
図1に示すように、本実施形態では、撮影室Ra(複数の撮影室Raを備える場合には少なくとも1つの撮影室Ra)には、長尺撮影を行うために複数の放射線画像撮影装置1を装填可能なブッキー装置51Aが配置されており、長尺撮影用のブッキー装置51Aは、そのカセッテホルダー51a内に、複数の放射線画像撮影装置1が被写体Hの体軸A方向に並ぶように装填することができるようになっている。
【0022】
なお、図1では、長尺撮影用のブッキー装置51Aのカセッテホルダー51aに、放射線画像撮影装置1を3個装填する場合が示されているが、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填される放射線画像撮影装置1の個数が3個の場合に限定されない。また、長尺撮影用のブッキー装置51Aや放射線画像撮影装置1の構成等については後で説明する。」との記載に基づくものである。
よって、訂正事項1-Aは、本件特許に係る出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件特許明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。

(イ)訂正事項1-Bについて

訂正事項1-Bは、本件特許明細書等の「【0144】
[コンソールによる長尺撮影の可、不可の判断等について]
一方、上記のように、長尺撮影用のブッキー装置51Aに複数の放射線画像撮影装置1を装填する際にブッキー装置51Aのコネクター51bを放射線画像撮影装置1のコネクター27に接続して放射線画像撮影装置1の識別情報であるカセッテIDをコンソールCに送信したり、或いは、前述したタグリーダーやバーコードリーダーで装填された放射線画像撮影装置1のカセッテIDを読み取ってコンソールCに送信することで、コンソールCは、長尺撮影用のブッキー装置51Aのどの装填位置にどの放射線画像撮影装置1が装填されたかを判断することが可能となり、その状態で長尺撮影を行うことができるか否かを判断することができるようになる。
【0145】
すなわち、コンソールCは、長尺撮影用のブッキー装置51Aのコネクター51bやタグリーダー、バーコードリーダー等の読取手段で読み取った、装填された放射線画像撮影装置1のカセッテIDに基づいて長尺撮影が可能であるか否かを判断することが可能となる。
【0146】
なお、以下では、読取手段がブッキー装置51Aのコネクター51bである場合について説明するが、ブッキー装置51Aの各装填位置にタグリーダーやバーコードリーダー等の読取手段を設けても、コネクター51bの場合と全く同様に機能させることが可能である。また、以下では、例えば図20(A)等に示すように、長尺撮影用のブッキー装置51Aに放射線画像撮影装置1を3個まで装填することができる場合について説明するが、放射線画像撮影装置1を2個装填することができるように構成されている場合や4個以上装填することができるように構成されている場合も同様に説明することができる。
【0147】
具体的には、例えば図20(A)の略図に示すように、長尺撮影用のブッキー装置51Aに例えば3つの装填位置α、β、γが設けられており、それぞれに1個ずつ計3個の放射線画像撮影装置1を装填することが可能であるとする。この場合は、ブッキー装置51Aの各装填位置α、β、γにそれぞれコネクター51bα、51bβ、51bγが設けられており、コネクター51bα、51bβ、51bγは、放射線画像撮影装置1が装填されるとそのコネクター27(図20(A)等では図示省略)にそれぞれ接続される。
【0148】
そして、長尺撮影用のブッキー装置51Aは、装填される放射線画像撮影装置1のコネクター27と、各装填位置α、β、γのコネクター51bα、51bβ、51bγのいずれかが接続されると、放射線画像撮影装置1のカセッテIDを読み取り、読み取ったカセッテIDを、放射線画像撮影装置1に接続されたコネクター51bの識別情報(以下、コネクターIDという。)とともにコンソールCに送信する。
【0149】
コンソールCは、長尺撮影用のブッキー装置51Aから送信されてきたカセッテIDと
コネクターIDとを対応付けて記憶手段Cbに保存して管理するとともに、長尺撮影用のブッキー装置51Aのどの装填位置α、β、γにどの放射線画像撮影装置1が装填されたかを認識する。」との記載に基づくものである。
よって、訂正事項1-Bは、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。

(ウ)訂正事項1-C及び1-Eについて

訂正事項1-C及び1-Eによる読点の追加により、技術的事項が追加又は変更されるものではない。
よって、訂正事項1-C及び1-Eは、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。

(エ)訂正事項1-Dについて

訂正事項1-Bは、本件特許明細書等の「【0150】
そして、例えば図20(A)に示すように、長尺撮影用のブッキー装置51Aの各装填位置α、β、γに放射線画像撮影装置1がそれぞれ装填されていれば、長尺撮影を行うことができる。そして、コンソールCが長尺撮影が可能であると判断した場合には、その長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている複数の放射線画像撮影装置の電力消費モードを省電力モードから撮影可能モードに切り替える等して撮影可能な状態に遷移させるように構成される。
【0151】
このように構成すれば、長尺撮影が可能な状況では、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている複数の放射線画像撮影装置1が的確に撮影可能な状態に遷移されるため、長尺撮影を的確に行うことが可能となる。
【0152】
また、コンソールCは、図示を省略するが、例えば、長尺撮影用のブッキー装置51Aの装填位置α、β、γのいずれかに1個の放射線画像撮影装置1のみが装填されている場合には、長尺撮影が可能ではない(すなわち長尺撮影を行うことができない)と判断するように構成される。
【0153】
さらに、例えば図20(B)に示すように、長尺撮影用のブッキー装置51Aに複数の放射線画像撮影装置1が装填されているが、複数の放射線画像撮影装置1が装填されている装填位置が連続していない場合、すなわち装填位置α、γには放射線画像撮影装置1がそれぞれ装填されているが、その間の装填位置βには放射線画像撮影装置1が装填されていないような場合には、長尺撮影を行うことができない。
【0154】
そのため、コンソールCは、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている複数の放射線画像撮影装置1の装填位置α、β、γが連続していない場合にも長尺撮影が可能ではないと判断するように構成される。
【0155】
そして、コンソールCは、長尺撮影用のブッキー装置51Aが使用されている(すなわち放射線画像撮影装置1が装填されている)にもかかわらず、長尺撮影が可能ではないと判断した場合には、長尺撮影ができない旨を、例えばコンソールCの表示部Ca上に表示したり音声を発したり、或いは撮影室Ra内に設けた音声や表示等による報知手段を介して放射線技師等の操作者に報知するように構成される。
【0156】
このように構成すれば、長尺撮影が可能ではない状況で、放射線技師等の操作者が放射線照射装置52から放射線を照射させる前に、現在の状況では長尺撮影を行うことができないことを的確に報知することが可能となり、長尺撮影ができない状況で放射線を照射させてしまうことを的確に防止することが可能となる。
【0157】
なお、図示を省略するが、例えば図20(B)に示した状態から、装填位置αの放射線画像撮影装置1を装填位置βに装填し直したり、装填位置γの放射線画像撮影装置1を装填位置βに装填し直せば、長尺撮影用のブッキー装置51A内において複数の放射線画像撮影装置1の装填位置が連続した状態になる。そして、このように複数の放射線画像撮影装置1の装填位置が連続していればコンソールCが長尺撮影可能であると判断するように構成することが可能である。」との記載に基づくものである。
よって、訂正事項1-Dは、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について

ア 訂正の目的の適否

訂正事項2は、訂正事項1により特許請求の範囲の請求項1が訂正されるのに伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無

訂正事項2により訂正される内容は、訂正事項1により訂正される内容と実質的に同じであり、訂正事項2は、訂正事項1と同じ理由により、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3 小括

上記のとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
また、訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、明細書及び特許請求の範囲を、本件訂正請求に係る訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。


第3 訂正後の本件発明

上記のとおり本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1ないし7に係る発明(以下、それぞれ請求項の番号に応じて「本件発明1」などという。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

(本件発明1)
「【請求項1】
複数の放射線画像撮影装置と、複数の前記放射線画像撮影装置を装填可能な装填手段と、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置と、を備え、複数の前記放射線画像撮影装置を用いる長尺撮影と、1つの前記放射線画像撮影装置を用いる単純撮影の両方の撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムであって、
前記制御装置は、
前記装填手段における前記放射線画像撮影装置の装填状況を認識し、
これから行う撮影が、前記長尺撮影である場合には、前記装填状況に基づき、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が同一方向に3つ連続していると判断した場合、または、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が2つ連続していると判断した場合のみ、前記装填手段に装填されている複数の前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態へと遷移させ、
これから行う撮影が、前記単純撮影である場合には、複数の前記放射線画像撮影装置のうちの一の前記放射線画像撮影装置のみを撮影可能な状態へと遷移させることを特徴とする放射線画像撮影システム。」

(本件発明2)
「【請求項2】
前記制御装置は、撮影オーダー情報に基づいて、これから行う撮影が前記長尺撮影であるか前記単純撮影であるかを判断することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影システム。」

(本件発明3)
「【請求項3】
前記制御装置によるこれから行う撮影の判断結果を表示する表示装置を備えることを特徴とする請求項2に記載の放射線画像撮影システム。」

(本件発明4)
「【請求項4】
前記制御装置は、前記放射線画像撮影装置に切り替え信号を送信することにより、前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態へと遷移させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。」

(本件発明5)
「【請求項5】
前記放射線画像撮影装置は、撮影することが可能な撮影可能モードと、前記撮影可能モードよりも消費電力量が少ない省電力モードとを有し、
前記制御装置は、切り替え信号を送信することによって、前記放射線画像撮影装置を前記省電力モードから前記撮影可能モードへと切り替えることを特徴とする請求項4に記載の放射線画像撮影システム。」

(本件発明6)
「【請求項6】
前記放射線画像撮影装置は、撮影に使用する放射線照射装置との間で信号のやり取りを行わず自ら放射線の照射開始を検出する非連携方式用の放射線画像撮影装置であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。」

(本件発明7)
「【請求項7】
複数の前記放射線画像撮影装置に同時に放射線照射可能な放射線照射装置を備えることと特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。」


第4 取消理由の概要

本件訂正前の請求項1ないし7に係る特許に対して、当審が令和元年11月7日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。

1 請求項1に係る特許について

(1)請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第6号証に記載された技術事項又は甲第9号証に記載された発明、並びに、甲第6号証及び甲第8号証に記載された周知技術1(以下、単に「周知技術1」という。)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)請求項1に係る発明は、甲第9号証に記載された発明、周知技術1、並びに、甲第1号証及び甲第2号証に記載された周知技術2(以下、単に「周知技術2」という。)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

2 請求項2及び3に係る特許について

(1)請求項2及び3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第6号証に記載された技術事項又は甲第9号証に記載された発明、甲第3号証に記載された技術事項、及び、周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項2及び3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)請求項2及び3に係る発明は、甲第9号証に記載された発明、甲第3号証に記載された技術事項、周知技術1、及び、周知技術2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項2及び3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

3 請求項4に係る特許について

(1)請求項4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第6号証に記載された技術事項又は甲第9号証に記載された発明、甲第3号証に記載された技術事項、及び、周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)請求項4に係る発明は、甲第9号証に記載された発明、甲第3号証に記載された技術事項、周知技術1、周知技術2、並びに、甲第1号証及び甲第2号証に記載された周知技術3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

4 請求項5に係る特許について

(1)請求項5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第6号証に記載された技術事項又は甲第9号証に記載された発明、甲第3号証に記載された技術事項、及び、周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)請求項5に係る発明は、甲第9号証に記載された発明、甲第3号証に記載された技術事項、周知技術1、周知技術2、並びに、甲第1号証及び甲第2号証に記載された周知技術4(以下、単に「周知技術4」という。)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

5 請求項6及び7に係る特許について

(1)請求項6及び7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第6号証に記載された技術事項又は甲第9号証に記載された発明、甲第3号証に記載された技術事項、甲第4号証に記載された技術事項、及び、周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項6及び7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)請求項6及び7に係る発明は、甲第9号証に記載された発明、甲第3号証に記載された技術事項、甲第4号証に記載された技術事項、周知技術1、周知技術2、及び、周知技術4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項6及び7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。


第5 甲号証の記載

甲第1号証:特開2009-45150号公報(以下「甲1」という。)
甲第2号証:特開2002-200064号公報(以下「甲2」という。)
甲第3号証:特開2013-154146号公報(以下「甲3」という。)
甲第4号証:特開2012-85794号公報(以下「甲4」という。)
甲第5号証:特開2000-292546号公報(以下「甲5」という。)
甲第6号証:特開2011-224337号公報(以下「甲6」という。)
甲第7号証:特開2011-72775号公報(以下「甲7」という。)
甲第8号証:特開2012-45172号公報(以下「甲8」という。)
甲第9号証:特開2005-261666号公報(以下「甲9」という。)
甲第10号証:特開2010-148673号公報(以下「甲10」という。)
甲第11号証:特開2009-291277号公報(以下「甲11」という。)

なお、甲8及び甲9は、申立人が令和元年10月7日に提出した意見書に添付されたものであり、令和元年11月7日付け取消理由通知(決定の予告)で採用したものであり、また、甲10及び甲11は、申立人が令和2年2月25日に提出した意見書に添付されたものであり、本件訂正により追加することが必要となった証拠であると認められることから、当審において新たな証拠として採用した。

1 甲1について

(1)甲1には、以下の記載がある(下線は当審で付加した。以下同様。)。

(甲1-ア)「【技術分野】
【0001】
この発明は、被写体を透過した放射線を検出し放射線画像情報に変換する放射線変換パネルを有するカセッテと、このカセッテから送信される前記放射線画像情報を受信する外部制御装置とを備える放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、被写体に放射線を照射し、被写体を透過した放射線を放射線変換パネルに導いて放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置が広汎に使用されている。この場合、放射線変換パネルとしては、放射線画像が露光記録される従来からの放射線フイルムや、蛍光体に放射線画像としての放射線エネルギを蓄積し、励起光を照射することで放射線画像を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネルが知られている。これらの放射線変換パネルは、放射線画像が記録された放射線フイルムを現像装置に供給して現像処理を行い、あるいは、蓄積性蛍光体パネルを読取装置に供給して読取処理を行うことで、可視画像としての放射線画像が得られる。
【0003】
一方、手術室等の医療現場においては、患者に対して迅速且つ的確な処置を施すため、放射線変換パネルから直ちに放射線画像を読み出して表示できることが要求される。このような要求に対応可能な放射線変換パネルとして、放射線を直接電気信号に変換し、あるいは、放射線をシンチレータで可視光に変換した後、電気信号に変換して読み出す固体検出素子を用いた放射線検出器が開発されている。
【0004】
このような放射線検出器を用いた放射線画像撮影システムとして、特許文献1?4に開示されたものがある。
【0005】
特許文献1では、放射線検出器によって検出した放射線画像情報を無線通信によって処理装置に送信し、処理装置において画像処理等の信号処理を行うようにしている。
【0006】
特許文献2では、全脊柱のような長い被写体の撮影と読取を行う際、2つの短い蓄積性蛍光体パネルを一部分重複して並べ、2つの放射線画像を画像処理により精度よく位置合わせを行うようにしている。
【0007】
特許文献3には、放射線画像情報の通信を1[GHz]超の高周波により行う第1電波通信手段により大容量の画像データの高速通信を可能にする一方1[GHz]以下の周波数の第2電波通信手段により制御信号の通信を行う無線通信可能な電子カセッテが開示されている。
【0008】
特許文献4には、電子カセッテと撮影装置のそれぞれに、光通信手段(無線通信手段)と電波通信手段(無線通信手段)とを設け、どちらか一方の無線通信手段により制御信号の通信を行い、他方の無線通信手段により画像データの通信を行う放射線画像撮影システムが開示されている。
【0009】
【特許文献1】特許第3494683号公報
【特許文献2】特開2000-275760号公報
【特許文献3】特開2006-263339号公報
【特許文献4】特開2005-13310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、撮影部位・用途に応じて使い分けられる大きさの異なる複数のカセッテがカセッテ収納ボックスに収納されている場合、撮影装置によりこれから撮影に供しようとする所望のカセッテのみを選択して通信したいという場合がある。
【0011】
また、撮影部位に応じて使い分けられる放射線検出感度の異なる複数のカセッテが存在する場合でも同様の要望がある。
【0012】
さらには、移植手術等の際、撮影装置により複数のカセッテから同時に画像データを得たいという要求もある。
【0013】
しかしながら、特許文献3、4に係る従来技術では、電子カセッテの制御信号と画像データの通信周波数とを異ならせているに過ぎず、電子カセッテ相互間では、制御信号の通信が混信し、また画像データの通信が混信するという問題がある。
【0014】
しかも、特許文献4のように、電子カセッテに光通信手段と電波通信手段の両方を設けると、構成が複雑になりコストも高い。また、光通信手段は、通信領域に、患者等不透明な物体が存在すると通信ができないという欠点がある。
【0015】
この発明は、このような種々の課題を考慮してなされたものであり、外部制御装置により、複数のカセッテ中、所望のカセッテと無線通信を行うことを可能とする放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【0016】
また、この発明は、外部制御装置と複数のカセッテとの間での同時無線通信を行うことを可能とする放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。」

(甲1-イ)「【0020】
また、前記複数のカセッテは、さらに、電源スイッチと、スリープ・ウェイクアップ機能を有し、前記電源スイッチがオフ状態であるときにスリープ状態となり、スリープ状態にあるとき、自己の搬送周波数による起動信号を受信するとウェイクアップして前記電源スイッチをオン状態にするように構成することで、カッセテの待機時の消費電力を抑制することができる。
【0021】
ここで、前記電源スイッチがオン状態とされている場合に、前記カセッテから前記外部制御装置に対して前記放射線画像情報の送信が終了したとき、前記カセッテが、前記電源スイッチをオフ状態にしてスリープ状態に切り替えることで、一層、消費電力を抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、カセッテに搭載される第1送受信機の搬送周波数を異なる周波数としているので、外部制御装置の第2送受信機の搬送周波数を選択することで、外部制御装置により複数のカセッテ中、所望のカセッテと無線通信を行うことができる。
【0023】
また、外部制御装置と複数のカセッテとの間で周波数分割多重方式により同時無線通信を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、この発明の一実施形態に係る放射線画像撮影システム10が設置された手術室12の説明図である。手術室12には、放射線画像撮影システム10に加えて、患者14が横臥する手術台16が配置されるとともに、医師18が手術に使用する各種器具が載置される器具台20が手術台16の側部に配置される。また、手術台16の周りには、麻酔器、吸引器、心電計、血圧計等、手術に必要な様々な機器が配置される。
【0025】
放射線画像撮影システム10は、撮影条件に従った線量からなる放射線Xを患者14に照射するための撮影装置22と、患者14を透過した放射線Xを検出する放射線検出器(後述)を内蔵したカセッテ(放射線検出カセッテ)24と、放射線検出器によって検出された放射線Xに基づく放射線画像を表示する表示装置26と、複数のカセッテ(24a?24e)24を収納するカセッテ収納ボックス27と、撮影装置22、カセッテ24及び表示装置26を制御するコンソール(カセッテ24の外部制御装置)28とを備える。コンソール28と、撮影装置22、カセッテ24、及び表示装置26との間では、無線通信による信号の送受信が行われる。
【0026】
カセッテ収納ボックス27に収納されている複数のカセッテ24は、撮影部位・目的等に応じて選択される大きさ(この実施形態では長さ)の異なるものとされている。なお、同一の大きさのカセッテ24が複数存在していてもこの発明を適用することができる。
【0027】
図1例では、手術台16と患者14との間に長尺なカセッテ24eが配置されている。ここでは、理解の便宜のため、カセッテ24a?24eの表面には、それぞれ、医師18等により識別するための識別表示であるアルファベットA?Eが描かれているものとする。
【0028】
撮影装置22は、自在アーム30に連結され、患者14の撮影部位に応じた所望の位置に移動可能であるとともに、医師18による手術の邪魔とならない位置に待避可能である。同様に、表示装置26は、自在アーム32に連結され、撮影された放射線画像を医師18が容易に確認できる位置に移動可能である。
【0029】
図2は、カセッテ24の内部構成図である。カセッテ24は、放射線Xを透過させる材料からなるケーシング34を備える。ケーシング34の内部には、放射線Xが照射されるケーシング34の照射面36側から、患者14による放射線Xの散乱線を除去するグリッド38、患者14を透過した放射線Xを検出する放射線検出器40(放射線変換パネル)、及び放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板42が順に配設される。なお、ケーシング34の照射面36をグリッド38として構成してもよい。
【0030】
また、ケーシング34の内部には、カセッテ24の電源であり電圧Vccのバッテリ44と、バッテリ44から供給される電力により放射線検出器40を駆動制御するカセッテ制御部46と、放射線検出器40によって検出した放射線Xの情報を含む信号をコンソール28との間で送受信するカセッテ送受信機(第1送受信機)48とが収容される。なお、カセッテ制御部46及びカセッテ送受信機48には、放射線Xが照射されることによる損傷を回避するため、ケーシング34の照射面36側に鉛板等を配設しておくことが好ましい。」

(甲1-ウ)「【0036】
撮影装置22は、撮影スイッチ72と、放射線Xを出力する放射線源74と、コンソール28から無線通信により撮影条件を受信する一方、コンソール28に対して無線通信による撮影完了信号等を送信する送受信機76と、撮影スイッチ72から供給される撮影開始信号及び送受信機76から供給される撮影条件に基づいて放射線源74を制御する線源制御部78とを備える。
【0037】
カセッテ24には、放射線検出器40、バッテリ44、カセッテ制御部46、カセッテ送受信機48、及び電源スイッチ45が収容される。電源スイッチ45は、手動あるいはカセッテ送受信機48からの制御信号Ssによりオンオフが切り替えられバッテリ44から放射線検出器40、カセッテ制御部46、及びカセッテ送受信機48への電力の供給を切り替える。
【0038】
なお、バッテリ44は、スリープ・ウェイクアップ機能を司るカセッテ送受信機48に直接的にも接続され、カセッテ24がスリープ状態のときに、カセッテ送受信機48を構成する後述するカセッテ送受信制御部202とシンセサイザ212と受信部208にカセッテ送受信機48を待機させておくための待機電力(小電力)を供給する。
【0039】
カセッテ制御部46は、放射線検出器40を構成するライン走査駆動部58のアドレスデコーダ60及びマルチプレクサ66のアドレスデコーダ68に対してアドレス信号を供給するアドレス信号発生部80と、放射線検出器40によって検出された放射線画像情報を記憶する画像メモリ82と、当該カセッテ24を特定するためのカセッテID情報を記憶するカセッテIDメモリ84とを備える。
【0040】
カセッテ送受信機48は、コンソール28から後述する選択信号(起動信号)を無線通信により受信する一方、コンソール28に対して、カセッテIDメモリ84に記憶されたカセッテID情報、画像メモリ82に記憶された放射線画像情報を無線通信により送信する。
【0041】
表示装置26は、コンソール28から放射線画像情報を受信する受信機90と、受信した放射線画像情報の表示制御を行う表示制御部92と、表示制御部92によって処理された放射線画像情報を表示する表示部94とを備える。
【0042】
コンソール28は、撮影装置22、カセッテ24及び表示装置26に対して、放射線画像情報を含む必要な情報を無線通信により送受信するコンソール送受信機96と、撮影装置22による撮影に必要な撮影条件を管理する撮影条件管理部98と、カセッテ24から送信された放射線画像情報に対する画像処理を行う画像処理部100(画像処理手段)と、処理した放射線画像情報を記憶する画像メモリ101と、撮影対象である患者14の患者情報を管理する患者情報管理部102と、カセッテ情報を管理するカセッテ情報管理部104とを備える。コンソール28は、撮影装置22、カセッテ24及び表示装置26に対して無線通信による信号の送受信を行うことができるのであれば、手術室12の外に設置してもよい。
【0043】
なお、撮影条件とは、患者14の撮影部位に対して、適切な線量からなる放射線Xを照射するための管電圧、管電流、照射時間等を決定するための条件であり、例えば、撮影部位、撮影方法等の条件を挙げることができる。患者情報とは、患者14の氏名、性別、患者ID番号等、患者14を特定するための情報である。これらの撮影条件及び患者情報を含む撮影のオーダリング情報は、コンソール28で直接設定し、あるいは、RIS29を介してコンソール28に外部から供給することができる。また、カセッテ情報とは、カセッテ24を特定するためのカセッテID情報である。
【0044】
図5は、コンソール送受信機96とカセッテ送受信機48(48a?48e)の内部構成の一部を示す、放射線画像情報送受信システム110のブロック図である。
【0045】
コンソール送受信機96は、マイクロコンピュータを備えるコンソール送受信制御部220と、このコンソール送受信制御部220により制御され同時通信可能な5台のコンソール送受信機96a?96eとから構成される。
【0046】
コンソール送受信機96は、共通のアンテナ224と、アンテナ共用器226a?226eと、受信部228と、送信部230と、搬送周波数f1?f5とするためのシンセサイザ231a?231eとを備える。
【0047】
コンソール送受信制御部220は、カセッテ選択部232とカセッテ選択表234とを備える。
【0048】
図6は、コンソール送受信制御部220のメモリにテーブルとして記憶されているカセッテ選択表(送受信機選択表又は搬送周波数選択表)234の内容を説明する表図である。
【0049】
図6から分かるように、カセッテ24a?24eに対し、それぞれ搬送周波数fx(fx=f1?f5)が割り当てられ、さらに、上り(カセッテ送受信機48からコンソール送受信機96への通信方向)と、下り(コンソール送受信機96からカセッテ送受信機48への通信方向)とで微小周波数±Δf分、周波数が変更されるように設定されている。このように設定すれば、各搬送周波数fx(fx=f1?f5)でいわゆる周波数多重分割方式による同時通信が可能となり、かつ各搬送周波数fxの上りと下りとで、図1に示した5つのカセッテ24a?24eとの同時通信及び個別通信が可能になる。
【0050】
図5において、コンソール送受信機96の受信部228は、アンテナ224により受波した電波(RF信号)をアンテナ共用器226を介して受信し中間周波信号(IF信号)にした後復調し受信データとしてコンソール送受信制御部220に出力する。復調された受信データには、放射線画像情報が含まれる。
【0051】
コンソール送受信制御部220からの情報は、送信部230、アンテナ共用器226、及びアンテナ224を介してカセッテ24に送信される。
【0052】
カセッテ送受信機48(48a?48e)は、それぞれ、マイクロコンピュータを備えるカセッテ送受信制御部202と、アンテナ203と、アンテナ共用器205と、受信部208と、送信部210と、シンセサイザ212とを備える。
【0053】
カセッテ送受信機48a?48eのシンセサイザ212a?212eには、それぞれ搬送周波数f1?f5が予め設定されている。
【0054】
受信部208は、アンテナ203により受波した電波(RF信号)をアンテナ共用器205を介して受信し中間周波信号(IF信号)にした後復調し受信データとしてカセッテ送受信制御部202に出力する。送信部210は、画像メモリ82(図4参照)から読み出されたデータ(放射線画像情報)を変調しIF信号からRF信号の送信信号に変換する。変換された送信信号は、アンテナ共用器205及びアンテナ203を介し送信電波(放射線画像情報を含む電波)として送信される。
【0055】
なお、カセッテ送受信機48a?48eの各アンテナ共用器205には、それぞれ送信側(上り方向)に中心周波数f1+Δf?f5+Δfの帯域通過フィルタ(BPF)が組み込まれ、受信側(下り方向)に中心周波数f1-Δf?f5-Δfの帯域通過フィルタ(BPF)が組み込まれている。一方、コンソール送受信機96a?96eの各アンテナ共用器205には、それぞれ受信側(上り方向)に中心周波数f1+Δf?f5+Δfの帯域通過フィルタ(BPF)が組み込まれ、送信側(下り方向)に中心周波数f1-Δf?f5-Δfの帯域通過フィルタ(BPF)が組み込まれている。
【0056】
放射線画像撮影システム110が適用されたこの実施形態に係る放射線画像情報撮影システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について図7に示すフローチャートをも参照して説明する。
【0057】
放射線画像撮影システム10は、手術室12に設置されており、例えば、医師18による患者14の手術中において、放射線画像の撮影が必要となった際に使用される。そのため、撮影対象である患者14の患者情報は、撮影に先立ち、コンソール28の患者情報管理部102に予め登録しておく。また、撮影部位や撮影方法が予め決まっている場合には、これらの撮影条件を撮影条件管理部98に予め登録しておく。
【0058】
以上の準備作業が終了した状態において、患者14に対する手術が実施される。
【0059】
手術中において放射線画像の撮影を行う場合、医師18又は担当する放射線技師は、患者14と手術台16との間の所定位置に、照射面36を撮影装置22側とした状態で選択したカセッテ24(ここでは、長尺なカセッテ24e)を設置する。
【0060】
次いで、医師18又は担当する放射線技師は、選択したカセッテ24eのコンソール28への入力(登録)操作を行う。
【0061】
カセッテ24eを選択する入力操作が行われたとき、カセッテ24eを選択する入力操作が行われたことがコンソール28のカセッテ情報管理部104からコンソール送受信制御部220のカセッテ選択部232に伝えられる。
【0062】
このようにしてステップS11において所望のカセッテ24eが選択されたことをカセッテ選択部232が認識すると、ステップS12において、カセッテ選択表234を参照し、使用するコンソール送受信機96、ここではコンソール送受信機96eを選択し、コンソール送受信機96eにのみ電力を供給する。
【0063】
次いで、カセッテ選択部232は、ウェイクアップ信号(起動信号)をコンソール送受信機96eから搬送周波数f5-Δfの無線電波で送信する。
【0064】
この搬送周波数f5-Δfの無線電波は、カセッテ送受信機48a?48e中、カセッテ送受信機48eのアンテナ203、アンテナ共用器205を通じてのみ受信され、カセッテ送受信機48eの受信部208で復調され、ステップS1において、カセッテ送受信制御部202で自己のウェイクアップ信号を受信したことを認識する。
【0065】
ウェイクアップ信号を認識したカセッテ送受信制御部202は、ステップS2において、切替信号Ssにより電源スイッチ45をオフ状態からオン状態に切り替える。
【0066】
これにより、バッテリ44からの電力がカセッテ送受信機48の送信部210の他、放射線検出器40、及びカセッテ制御部46に供給されカセッテ24eの電源がオン状態とされる。
【0067】
次いで、ステップS3において、電源スイッチ45がオフ状態からオン状態に切り替えられたことをカセッテ送受信機48eからコンソール送受信機96eに搬送周波数f5+Δfの無線電波で通知する。
【0068】
ステップS14において、カセッテ24eの電源がオン状態となったことを検出したコンソール送受信機96eからの情報によりコンソール28は、カセッテ24eがスタンバイ状態(放射線画像の検出可能状態)になったことを認識する。
【0069】
次いで、撮影装置22をカセッテ24eに対向する位置に移動させた後、撮影スイッチ72を操作して撮影を行う。
【0070】
撮影装置22の線源制御部78は、コンソール送受信機96、送受信機76を介して、コンソール28の撮影条件管理部98より当該患者14の撮影部位に係る撮影条件を無線通信により取得し、取得した撮影条件に従って放射線源74を制御することにより、所定の線量からなる放射線Xを患者14に照射する。
【0071】
患者14を透過した放射線Xは、カセッテ24eのグリッド38によって散乱線が除去された後、放射線検出器40に照射され、放射線検出器40を構成する各画素50の光電変換層51によって電気信号に変換され、蓄積容量53に電荷として保持される(図3参照)。次いで、各蓄積容量53に保持された患者14の放射線画像情報である電荷情報は、カセッテ制御部46を構成するアドレス信号発生部80からライン走査駆動部58及びマルチプレクサ66に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
【0072】
すなわち、ライン走査駆動部58のアドレスデコーダ60は、アドレス信号発生部80から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW1の1つを選択し、対応するゲート線54に接続されたTFT52のゲートに制御信号Vonを供給する。一方、マルチプレクサ66のアドレスデコーダ68は、アドレス信号発生部80から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW2を順次切り替え、ライン走査駆動部58によって選択されたゲート線54に接続された各画素50の蓄積容量53に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線56を介して順次読み出す。
【0073】
放射線検出器40の選択されたゲート線54に接続された各画素50の蓄積容量53から読み出された放射線画像情報は、各増幅器62によって増幅された後、各サンプルホールド回路64によってサンプリングされ、マルチプレクサ66を介してA/D変換器70に供給され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された放射線画像情報は、カセッテ制御部46の画像メモリ82に一旦記憶される。
【0074】
同様にして、ライン走査駆動部58のアドレスデコーダ60は、アドレス信号発生部80から供給されるアドレス信号に従ってスイッチSW1を順次切り替え、各ゲート線54に接続されている各画素50の蓄積容量53に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線56を介して読み出し、マルチプレクサ66及びA/D変換器70を介してカセッテ制御部46の画像メモリ82に記憶させる。
【0075】
画像メモリ82に記憶された放射線画像情報は、ステップS4において、画像メモリ82から読み出され、カセッテ送受信機48eを介して搬送周波数f5+Δfでの無線通信によりコンソール28に送信される。
【0076】
コンソール28に送信された放射線画像情報は、ステップS15において、搬送周波数f5+Δfが受信部228に設定されているコンソール送受信機96eによって受信され、画像処理部100において所定の画像処理が施された後、患者情報管理部102に登録されている患者14の患者情報と関連付けられた状態で画像メモリ101に記憶される。
【0077】
次いで、画像処理の施された放射線画像情報は、コンソール送受信機96から表示装置26に送信される。受信機90によって放射線画像情報を受信した表示装置26は、表示制御部92によって表示部94を制御し、放射線画像を表示部94に表示する。
【0078】
なお、放射線画像情報の送信が終了したことがステップS4において確認されると、カセッテ送受信制御部202は、スイッチ制御信号Ssにより電源スイッチ45をオン状態からオフ状態に切り替える。この操作により、カセッテ24eが、電源スイッチ45がオン状態である待機状態(一定電力を消費している状態)で放置されることが防止され、バッテリ44の一層の省電力化を促進することができる。
【0079】
以上のようにこの発明の一実施形態に係る放射線画像撮影システム10は、患者14を透過した放射線Xを検出し、放射線画像情報に変換する放射線検出器40、変換された前記放射線画像情報を記憶する画像メモリ82、及び画像メモリ82に記憶された前記放射線画像情報を無線通信によって外部に送信しそれぞれが異なる搬送周波数f1?f5を有するカセッテ送受信機48a?48eを備える複数のカセッテ24a?24eと、複数のカセッテ24a?24e中、所望のカセッテ24eと無線通信を行うための搬送周波数f5を選択可能なコンソール送受信機96a?96eを有するコンソール28と、を備える。
【0080】
この実施形態によれば、カセッテ24a?24eに搭載されるカセッテ送受信機48a?48eの搬送周波数fxを異なる周波数f1?f5としているので、コンソール送受信機96の搬送周波数fxを所望のカセッテ24eの搬送周波数f5に選択することにより、複数のカセッテ24a?24e中、所望のカセッテ24のみと無線通信を行うことができる。
【0081】
この場合、複数のカセッテ24a?24eは、電源スイッチ45と、スリープ・ウェイクアップ機能を有し、電源スイッチ45がオフ状態であるときにスリープ状態となり、スリープ状態にあるとき、自己の搬送周波数fxによるウェイクアップ信号(起動信号)を受信するとウェイクアップして電源スイッチ45をオン状態にするように構成しているので、カセッテ24a?24eの待機時の消費電力を抑制することができる。
【0082】
また、電源スイッチ45がオン状態とされている場合に、カセッテ24eからコンソール28に対して前記放射線画像情報の送信が終了したとき、カセッテ24eが、電源スイッチ45をオフ状態にしてスリープ状態に切り替えるようにしているので、一層、消費電力を抑制することができる。
【0083】
このように、この実施形態によれば、カセッテ24に搭載されるカセッテ送受信機48a?48eの搬送周波数fxを異なる周波数f1?f5としているので、コンソール28のコンソール送受信機96の搬送周波数fxを搬送周波数fx=f5に選択することで、コンソール28により複数のカセッテ24a?24e中、所望のカセッテ34eと無線通信を行うことができる。
【0084】
図8は、他の実施形態の構成を示している。この図8例では、長尺なカセッテ24eが何らかの理由で使用できない場合、短尺のカセッテ24a、24bを特許文献2に示したように、一部分重複して並べて使用に供している。
【0085】
この場合、コンソール28の操作によりカセッテ24a、24bを使用することが選択されると、カセッテ選択部232は、カセッテ選択表234を参照して、コンソール送受信機96aとコンソール送受信機96bに電源を供給してスタンバイさせる。
【0086】
そうすると、ステップS13で説明したように、コンソール送受信機96a、96bから搬送周波数f1-Δf、f2-Δfで略同時に(同期している必要はない。すなわち相互に非同期で)送信されたウェイクアップ信号が、カセッテ送受信機48a、48bで略同時に受信され、それぞれの電源スイッチ45をオン状態とする。
【0087】
以下、放射線画像が撮影され、それぞれの画像メモリ82に放射線画像が記憶されると、画像メモリ82に記憶された放射線画像情報は、ステップS4で示したように、画像メモリ82から読み出され、カセッテ送受信機48a、48bを介して搬送周波数f1+Δf、f2+Δfでの無線通信(周波数分割多重通信)によりコンソール28に同時に(同期している必要はない。すなわち相互に非同期で)送信される。
【0088】
コンソール28に送信された放射線画像情報は、ステップS15と同様に、搬送周波数f1+Δf、f2+Δfが受信部228に設定されているコンソール送受信機96a、96bによって同時に受信され、画像処理部100において2つの放射線画像が画像処理により精度よく位置合わせされる。そして、さらに所定の画像処理が施された後、患者情報管理部102に登録されている患者14の患者情報と関連付けられた状態で画像メモリ101に記憶される。
【0089】
次いで、画像処理の施された放射線画像情報は、コンソール送受信機96から表示装置26に送信される。受信機90によって放射線画像情報を受信した表示装置26は、表示制御部92によって表示部94を制御し、放射線画像を表示部94に表示する。
【0090】
なお、放射線画像情報の送信が終了したことがステップS6と同様に確認されると、カセッテ送受信制御部202は、スイッチ制御信号Ssにより電源スイッチ45をオフ状態に切り替える。この操作により、カセッテ24a、24bが電源スイッチ45がオン状態である待機状態(一定電力を消費している状態)で放置されることが防止されるので、バッテリ44の一層の省電力化が促進される。」

(甲1-エ)【図1】




(甲1-オ)【図8】




(2)甲1に記載された発明

(甲1-エ)の【図1】及び(甲1-オ)の【図8】の記載から、撮影装置22から患者14に向かって引かれた2本の一点鎖線により挟まれる領域にカセッテ24e、又は、カセッテ24a及び24bが存在していることが見て取れる。そして、当該一点鎖線には、符号「X」が付されていることから、撮影装置22は、カセッテ24e、並びに、カセッテ24a及び24bが存在している範囲全体に、一度に放射線Xを照射することができるものと認められる。

そうすると、(甲1-ア)ないし(甲1-オ)の記載から、甲1には、

「 撮影条件に従った線量からなる放射線Xを患者14に照射するための撮影装置22と、患者14を透過した放射線Xを検出する放射線検出器を内蔵したカセッテ(放射線検出カセッテ)24と、放射線検出器によって検出された放射線Xに基づく放射線画像を表示する表示装置26と、複数のカセッテ(24a?24e)24を収納するカセッテ収納ボックス27と、撮影装置22、カセッテ24及び表示装置26を制御するコンソール(カセッテ24の外部制御装置)28とを備える放射線画像撮影システム10であって、
カセッテ24は、放射線Xを透過させる材料からなるケーシング34を備え、
ケーシング34の内部には、患者14を透過した放射線Xを検出する放射線検出器40(放射線変換パネル)が配設され、
また、ケーシング34の内部には、放射線検出器40によって検出した放射線Xの情報を含む信号をコンソール28との間で送受信するカセッテ送受信機48が収容され、カセッテ送受信機48は、コンソール28から選択信号(起動信号)を無線通信により受信し、
カセッテ24には、電源スイッチ45が収容され、電源スイッチ45は、手動あるいはカセッテ送受信機48からの制御信号Ssによりオンオフが切り替えられ、
コンソール28は、撮影装置22、カセッテ24及び表示装置26に対して、放射線画像情報を含む必要な情報を無線通信により送受信するコンソール送受信機96と、撮影装置22による撮影に必要な撮影条件を管理する撮影条件管理部98と、カセッテ24から送信された放射線画像情報に対する画像処理を行う画像処理部100(画像処理手段)と、処理した放射線画像情報を記憶する画像メモリ101と、撮影対象である患者14の患者情報を管理する患者情報管理部102と、カセッテ情報を管理するカセッテ情報管理部104とを備え、
コンソール送受信機96は、マイクロコンピュータを備えるコンソール送受信制御部220と、このコンソール送受信制御部220により制御され同時通信可能な5台のコンソール送受信機96a?96eとから構成され、
カセッテ24a?24eに対し、それぞれ搬送周波数fx(fx=f1?f5)が割り当てられ、さらに、上り(カセッテ送受信機48からコンソール送受信機96への通信方向)と、下り(コンソール送受信機96からカセッテ送受信機48への通信方向)とで微小周波数±Δf分、周波数が変更されるように設定されており、
カセッテ送受信機48(48a?48e)は、それぞれ、マイクロコンピュータを備えるカセッテ送受信制御部202と、アンテナ203と、アンテナ共用器205と、受信部208と、送信部210と、シンセサイザ212とを備え、カセッテ送受信機48a?48eのシンセサイザ212a?212eには、それぞれ搬送周波数f1?f5が予め設定されており、
放射線画像の撮影を行う場合、医師18又は担当する放射線技師は、患者14と手術台16との間の所定位置に選択したカセッテ24を設置し、
例えば、長尺なカセッテ24eを選択した場合、医師18又は担当する放射線技師は、選択したカセッテ24eのコンソール28への入力(登録)操作を行い、
カセッテ24eを選択する入力操作が行われたとき、カセッテ24eを選択する入力操作が行われたことがコンソール28のカセッテ情報管理部104からコンソール送受信制御部220のカセッテ選択部232に伝えられ、カセッテ24eが選択されたことをカセッテ選択部232が認識すると、使用するコンソール送受信機96eを選択し、コンソール送受信機96eにのみ電力を供給し、
次いで、カセッテ選択部232は、ウェイクアップ信号(起動信号)をコンソール送受信機96eから搬送周波数f5-Δfの無線電波で送信し、この搬送周波数f5-Δfの無線電波は、カセッテ送受信機48a?48e中、カセッテ送受信機48eのアンテナ203、アンテナ共用器205を通じてのみ受信され、カセッテ送受信機48eの受信部208で復調され、カセッテ送受信制御部202で自己のウェイクアップ信号を受信したことを認識し、
ウェイクアップ信号を認識したカセッテ送受信制御部202は、切替信号Ssにより電源スイッチ45をオフ状態からオン状態に切り替え、カセッテ24eがスタンバイ状態(放射線画像の検出可能状態)になり、
次いで、撮影装置22をカセッテ24eに対向する位置に移動させた後、撮影スイッチ72を操作して撮影を行い、
また、短尺のカセッテ24a、24bを一部分重複して並べて使用に供する場合、コンソール28の操作によりカセッテ24a、24bを使用することが選択されると、カセッテ選択部232は、コンソール送受信機96aとコンソール送受信機96bに電源を供給してスタンバイさせ、コンソール送受信機96a、96bから搬送周波数f1-Δf、f2-Δfで略同時に送信されたウェイクアップ信号が、カセッテ送受信機48a、48bで略同時に受信され、それぞれの電源スイッチ45をオン状態とし、放射線画像が撮影されるものであり、
撮影装置22は、カセッテ24e、並びに、カセッテ24a及び24bが存在している範囲全体に、一度に放射線Xを照射することができるものである、放射線画像撮影システム10。」

の発明(以下「甲1発明」又は「甲1技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

2 甲2について

(1)甲2には、以下の記載がある。

(甲2-ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、X線等の放射線撮影して撮影画像を取得するための装置或いはシステムに用いられる、撮影装置、撮影システム、撮影方法、及びそれを実施するための処理ステップをコンピュータが読出可能に格納した記憶媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より例えば、医療診断を目的とするX線撮影システムとしては、増感紙とX線写真フィルムを組み合わせたフィルムスクリーンシステムがある。このようなシステムは、被写体を透過したX線、すなわち被写体の内部情報を含んだX線を増感紙によってX線の強度に比例した可視光へ変換し、その可視光によってX線写真フィルムを感光させることで、X線写真フィルム上へ被写体のX線画像を形成するようになされている。
【0003】また、近年では、被写体のX線画像をディジタル画像として取得するディジタルX線撮影装置が普及してきており、医療診断で用いる胸部等のX線画像をディジタル画像として取得することが可能となってきた。
【0004】ディジタルX線撮影装置としては、例えば、図13に示すような、センサ部のみを携帯型とした可搬可能な撮影装置800がある。このような撮影装置800は、一般的に「カセッテ」或は「電子カセッテ」と呼ばれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記図13に示した電子カセッテ800のような従来の撮影装置では、次のような問題があった。すなわち、上記図13に示したような電子カセッテ800は、可搬性に優れているという反面、撮影範囲が非常に狭い。このため、所望する撮影部位が当該撮影範囲に収まらない場合が多く、このような場合、撮影を複数回に分けて行う必要があった。
【0006】具体的には例えば、X線画像を用いた診断方法としては様々な方法があるが、左手と右手のX線画像を比較して、その差異により診断を行う方法の場合において、電子カセッテ800により左手及び右手のX線画像を取得するための撮影を行う際、左手と右手が電子カセッテ800の撮影範囲に収まらないことが多い。したがって、左手の撮影と、右手の撮影との2回の撮影に分ける必要がある。これは、撮影作業に手間がかかるうえ、さらに、2回の撮影、すなわち2回のX線曝射を被写体(被検者)に対して行うことになるため、被検者は2回被爆し、、その分、人体への負担も大きくなる。
【0007】そこで、本発明は、上記の欠点を除去するために成されたもので、複数の撮影部位を同時に撮影可能に構成することで、作業性に優れ、且つ被写体への負担をも軽減することが可能な、撮影装置、撮影システム、撮影方法、及びそれを実施するための処理ステップをコンピュータが読出可能に格納した記憶媒体を提供することを目的とする。また、本発明は、撮影範囲を広くすることが可能なように構成することで、作業性に優れ、且つ被写体への負担をも軽減することが可能な、撮影装置、撮影システム、撮影方法、及びそれを実施するための処理ステップをコンピュータが読出可能に格納した記憶媒体を提供することを目的とする。」

(甲2-イ)「【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0023】(第1の実施の形態)本発明は、例えば、図1に示すようなX線撮影システム100に適用される。
【0024】<X線撮影システム100の全体構成>X線撮影システム100は、X線発生部117、センサ接続部103へ接続された電子カセッテ101a,101b、及びシステム制御部106を含んでいる。そして、X線発生部117及び電子カセッテ101a,101bはX線室104へ設置されており、システム制御部106はX線制御室105へ設置されている。
【0025】X線発生部117は、X線ビームを発生するX線管球119、X線管球119を駆動する高圧発生源118、及びX線管球119により発生されたX線ビームを所望の撮像領域に絞り込むX線絞り120を含んでいる。
【0026】システム制御部106は、ホストコンピュータ装置等からなり、撮像制御部107、画像処理部108、ハードディスクやRAM等を含むメモリ109、外部記憶装置110、メイン制御部111、モニタ115が接続されたインターフェース112、及びユーザインターフェース114が接続されたセンサ切替部112(当審注:「センサ切替部112」は、【図1】の「センサ切替部」に付された符号が「113」であること、及び、段落【0032】に「センサ切替部113」と記載(2箇所)されていることから、「センサ切替部113」の誤記と認める。)がバス160を介して互いに通信可能なように接続された構成としている。
【0027】メイン制御部111は、X線撮影システム100全体の動作制御を司る。メモリ109には、メイン制御部111での動作制御のための処理プログラム及びデータや、電子カセッテ101a,101bによる撮影で得られた画像データ等が格納される。したがって、メイン制御部111は、メモリ109から所定の処理プログラムを読み出して実行することで、X線撮影システム100全体の動作を制御する。
【0028】センサ接続部103は、複数の電子カセッテが接続可能なように構成されている。ここでは説明の簡単のため、その一例として、2つの電子カセッテ101a,101bがセンサ接続部103へ接続されているものとする。
【0029】撮像制御部107は、X線発生部117の高圧発生源118及びX線絞り120の動作制御と共に、センサ接続部103を介した電子カセッテ101a,101bの動作制御等を行う。
【0030】画像処理部108は、センサ接続部103を介して電子カセッテ101a,101bから供給された画像データに対して、オフセット補正やゲイン補正等の適切な画像処理を施す。
【0031】ユーザインターフェース114は、キーボード等の操作部を含み、ユーザ116から各種動作指示が入力される。これにより、例えば、モニタ115は、ユーザ116からの指示に従って、メモリ109内の画像データを表示する。また、ユーザ116からの指示に従って、メモリ109内の画像データが、ハードディスク109或いは外部記憶装置110へ保存される。
【0032】センサ切替部113は、ユーザインターフェース114を用いたユーザ116からの動作指示、特に、電子カセッテ101a,101bの切替指示を受けると、当該指示情報(センサ切替情報)を撮像制御部107へ供給する。したがって、撮像制御部107は、センサ切替部113からのセンサ切替情報を受け取ると、当該情報に基づき、電子カセッテ101a,101bのうち撮影に使用する電子カセッテを切り替える。
【0033】電子カセッテ101a,101bは、詳細は後述するが、それぞれが同様の構成としており、その電源は、システム制御部106のメイン制御部111によって供給される。また、電子カセッテ101a,101bのうち、どの電子カセッテの電源をオンとするかの制御、すなわち何れの電子力セッテを使用して撮影を行うか、或は両方の電子カセッテ101a,101bを同時に使用して撮影を行なうかの制御は、ユーザ116からの動作指示に基づいて、メイン制御部111により行なわれる。尚、電子カセッテ101a,101bに対して、選択電子カセッテが確認できるように、選択時にはLEDランプが点灯する構成を設けるようにしてもよい。」

(甲2-ウ)「【0053】<X線撮影システム100の動作>図5は、上記図1のX線撮影システム100において、被検体170のX線撮影が行われてから、被検体170のX線画像を得るまでの、動作タイミングを示したものである。
【0054】ここで、以下の説明では、説明の簡単のため、電子カセッテ101aを「カセッテA」とし、電子カセッテ101bを「カセッテB」とし、これらの2台のカセッテA,Bを同時に駆動してX線撮影を行なうものとする。この指示、すなわち2台のカセッテA、Bを同時に使用した撮影を行なう指示は、ユーザ116がユーザインターフェース114により入力され、センサ切替部103を介して、撮像制御部107等へ供給されることになる。
【0055】上記図5において、“501”は、ユーザインターフェース114による撮像要求信号(曝射要求SW信号)を示す。“502”は、X線発生器117のレディ信号(撮影要求指示信号)を示す。“503”は、実X線曝射状態を示す。“504”は、ユーザ116の指示に基づいた撮像制御器107からカセッテA,Bへの撮影要求信号(X線撮像要求信号)を示す。“505”は、カセッテA,Bの撮影レディ信号(X線検出器レディ信号)を示す。“506”は、カセッテA,B内のパワー制御信号を示す。“507”及び“509”はそれぞれ、カセッテA,Bに対するデータ転送要求信号を示す。“508”及び“510”はそれぞれ、力セッテA,Bの画像転送及び画像処理のタイミングを示す。
【0056】そこで、先ず、カセッテA,Bは、ユーザ116からの検出器準備要求又は撮影要求が発行されるまで、“506”に示すように、パワー制御信号が0FFとなった状態で待機する。具体的には、上記図3に示した構成において、行選択線Lr、列信号線Lc、及びバイアス配線Lbの電位を、不図示のスイッチにより同電位(特に、信号GNDレベル)に保ち、光検出器アレー401に対してバイアスを印加しない。尚、信号読出回路402、ゲート駆動回路403、及びバイアス電源404又はそれを含む電源を遮断することにより、行選択線Lr、列信号線Lc、及びバイアス配線Lbの電位をGND電位に保つようにしてもよい。
【0057】次に、ユーザ116からユーザインターフェース114の曝射要求SW1が操作されると(“501”の1stSW参照)、撮像制御器107は、X線発生器117を撮影レディ状態に遷移させる共に、カセッテA,Bを撮影準備状態へ移行させる制御指示を出す。これを受けた力セッテA、Bは、光検出器アレー401へバイアスを印加すると共に、例えば、撮影準備のために所定時間(数秒以上)を要する場合等には、その準備のための動作を開始する。
【0058】次に、ユーザ116からユーザインターフェース114の曝射要求SW2が操作されると(“501”の2ndSW参照)、撮像制御部107は、カセッテA,BとX線発生器117との同期を取りながら撮影動作を制御する。具体的には例えば、撮像制御部107は、曝射要求SW2の操作による指示(撮影要求指示)に従って、“504”に示すX線撮像要求信号のタイミングでカセッテA,Bに対して撮像要求信号をアサートする。
【0059】カセッテA,Bは、撮像準備が整った時点で、撮像制御器107に対し、X線検出器レディ信号(“505”参照)を返送する。撮像制御器107は、2台のカセッテA,BからのX線検出器レディ信号の遷移に基づいて、X線発生器117に対してX線曝射を要求(X線発生要求)する(“503”参照)。X線発生器117は、撮像制御器107からX線発生要求がなされている間(X線発生要求信号が供給されている間)、X線を発生する。
【0060】撮像制御器107は、X線発生器117が所定X線量を発生したことを認識すると、X線発生器117に対するX線発生要求信号(“503”参照)をネゲートすると共に、カセッテA,Bに対するX線撮像要求信号(“504”参照)をネゲートすることで、力セッテA,Bに対して画像取得タイミングを通知する。
【0061】力セッテA,Bは、撮像制御器107からの画像取得タイミングに基づいて、この時点まで待機状態であった信号読出回路402(上記図3参照)の動作を開始させる。信号読出回路402の制定のための所定ウェイト時間後、タイミング制御回路404の制御により、X線検出器アレー401からは、画像データが読み出され、X線撮影画像が取得される。」

(甲2-エ)「【0079】上述のように、本実施の形態では、2台の電子カセッテ101a,101bを同時に駆動して一度に撮影を行う構成としたので、従来では2回に分けていた撮影が1回で完了することができる。例えば、右手と左手の各撮影画像により診断を行なう場合であっても、右手と左手の撮影を個別に行なう必要なく、1回の撮影で、右手と左手の各撮影画像を得ることができる。したがって、撮影作業の効率も上がり、また、被検者170の被爆が1回でよいため、被検者170への負担も軽くなる。
【0080】尚、第1の実施の形態において、上記図5に示したカセッテBの画像転送(“509”、“510”参照)について、次のような構成とするようにしてもよい。例えば、図8に示すように、システム制御部106は、カセッテAからオフセット補正用画像データ(A2)を受け取った後に、続いて、カセッテBに対してデータ転送要求信号を送信する(“509´”参照)。カセッテBは、X線撮影画像データ(B1)と共に、オフセット補正用画像データ(B2)を順次、システム制御部106へ転送する。但し、この場合、カセッテBの通信用メモリ150は、少なくとも2枚分の画像データを記憶できる容量が必要となる。
【0081】また、第1の実施の形態では、2台のカセッテA,Bを同時に駆動させて撮影を行なうことが可能なように構成したが、2台のカセッテA,Bに限られることはなく、任意の複数のカセッテを同時に駆動させて撮影を行なうようにしてもよい。
【0082】(第2の実施の形態)本発明は、例えば、図9に示すようなX線撮影システム700に適用される。尚、上記図9のX線撮影システム700において、上記図1のX線撮影システム100と同様に動作する箇所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。ここでは、第1の実施の形態と異なる構成についてのみ、具体的に説明する。
【0083】X線撮影システム700において、2台の電子カセッテ101a,101bはそれぞれ、上記図2?図4を用いて説明したような、二次元配列された光電変換素子を含む構成としている。
【0084】本実施の形態での電子カセッテ101a,101bについて具体的に説明すると、まず、図10(a),(b)は、電子カセッテ101a,101bの構造を示したものである。上記図10(a)に示すように、例えば、電子カセッテ101aにおいて、光検出アレー401(上記図3参照)は、電子力セッテ101aの任意の一辺に接する形で配置されている。そして、電子力セッテ101aの筐体内の空スペースに対して、ゲート駆動回路403、信号読出回路402、タイミング制御回路404、及び通信用フレームメモリ150等が配置される。
【0085】光検出アレー401はガラス基板上に形成されるが、その形成の際に、図11(a)に示すように、2台の電子力セッテ101a,101bを、光検出アレー401が接している辺同士で近接させた場合、それぞれの電子力セッテ101a,101bの光検出アレー401が画素ピッチと同等以下で近接することが可能な構造となるよう、ガラス基板の端面まで画素が存在するようにカッティングされ端面処理される。尚、上記図11(b)についての詳細は後述する。
【0086】電子力セッテ101a,101bにおいて、光検出アレー401が接する辺は、光検出アレー401を保護するために、カバーにより外部から接触できない構造となっている。そたがって、2台の電子力セッテ101a,101bを合体させる際には、当該カバーを外して、上記図11(a)に示したように、2台の電子力セッテ101a,101bを合体できる構造となっている。尚、2台の電子力セッテ101a,101bを合体させる際に、自動的に当該カバーが開くような構造としてもよい。
【0087】また、上記図10(b)に示すように、例えば、電子力セッテ101aにおいて、他の電子カセッテとの接続辺に電極801が設けられている。したがって、2台の電子力セッテ101a,101bを合体した状態において、それぞれの光検出アレー401が正確に接している状態にあるか否かは、電極801が接しているか否かによって判定可能となる。尚、2台の電子力セッテ101a,101bを合体した際に、カセッテ同士が固定されるようなアタッチメント構造としてもよい。
【0088】上述のような電子力セッテ101a,101bを備える本実施の形態のX線撮影システム700の動作については、第1の実施の形態のX線撮影システム100の動作(上記図5、上記図8参照)と同様であるが、電子力セッテ101a,101bの配置関係に基づいた画像処理部108での処理が若干異なる。
【0089】すなわち、本実施の形態では、特に、2台の電子力セッテ101a,101bの光検出アレー401を画素ピッチと同等以下に近接させるように構成しているため、画像処理分108は、上記図10(b)に示した電極801の接触状態により示される電子カセッテ101a,101bの配置関係が、図12(a)に示すような配置関係(カセッテAが左、カセッテBが右として、それぞれの光検出アレー401が接続された配置関係)である場合、同図(b)に示すような1枚の画像(カセッテAで得られたX線撮影画像Aが左、カセッテBで得られたX線撮影画像Bが右として接続された画像)が得られるような画像処理を行なう。また、カセッテA,Bが、上記図12(c)に示すような配置関係(カセッテAが右、カセッテBが左として、それぞれの光検出アレー401が接続された配置関係)である場合、画像処理部108は、同図(d)に示すような1枚の画像(カセッテAで得られたX線撮影画像Aが右、カセッテBで得られたX線撮影画像Bが左として接続された画像)が得られるような画像処理を行なう。
【0090】また、画像処理部108は、第1の実施の形態で述べた補正処理として、2枚のX線撮影画像の接続部分の濃度が連続的に変化するように、空間周波数的に低周波の補正処理等を含めた処理を行なう。
【0091】上述のように、本実施の形態では、2台の電子力セッテ101a,101bの光検出アレー401を画素ピッチと同等以下に近接させ、2台の電子カセッテ101a,101bを同時に駆動して一度に撮影を行うように構成したので、撮影範囲を広くすることができる。このため、従来では2回に分けていた撮影を1回で完了することできる。したがって、撮影作業の効率も上がり、また、被検者170の被爆が1回でよいため、被検者170への負担も軽くなる。
【0092】尚、第2の実施の形態では、2台の電子力セッテ101a,101bの光検出アレー401を近接させるように構成したが、近接させる電子カセッテの台数は2台に限られることはない。近接させる電子カセッテの台数を増やすほど、その撮影可能範囲をさらに広げることができる。具体的には例えば、まず、上記図3に示したように、光検出アレー401はマトリックス構造をしており、少なくともその2辺に信号読出回路402及びゲート駆動回路403の接続が必要である。したがって、上記図11(a)に示したように、2台の電子力セッテ101a,101bを近接させる場合、信号読出回路402及びゲート駆動回路703が接続されていない残りの2辺を使用して近接させることになるが、上記図11(b)に示すように、4台の電子カセッテ101a?101dを近接させるように構成してもよい。2台の電子力セッテ101a,101bを近接可能なように構成にした場合には、光検出アレー401の端面処理や保護カバーをつけたりする等の処理を、上記図10(a)に示したように1辺に対して実行し、一方、4台の電子力セッテ101a?101dを近接可能なように構成にした場合には、当該処理を2辺に対して実行することになる。
【0093】また、第1及び第2の実施の形態では、2台の電子力セッテ101a,101bの電源を外部から供給するように構成したが、これに限られることはなく、例えば、それぞれの電子力セッテ101a,101bに対してバッテリーが搭載されている構成としてもよい。」

(甲2-オ)【図1】




(甲2-カ)【図9】




(4)甲2に記載された技術事項

(甲2-ア)ないし(甲2-カ)の記載から、甲2には、

「 X線撮影システム700は、X線発生部117、センサ接続部103へ接続された電子カセッテ101a,101b、及びシステム制御部106を含んでおり、
X線発生部117は、X線ビームを発生するX線管球119、X線管球119を駆動する高圧発生源118、及びX線管球119により発生されたX線ビームを所望の撮像領域に絞り込むX線絞り120を含んでおり、
センサ接続部103は、複数の電子カセッテが接続可能なように構成されており、
システム制御部106は、ホストコンピュータ装置等からなり、撮像制御部107、画像処理部108、ハードディスクやRAM等を含むメモリ109、外部記憶装置110、メイン制御部111、モニタ115が接続されたインターフェース112、及びユーザインターフェース114が接続されたセンサ切替部113がバス160を介して互いに通信可能なように接続された構成としてあり、
撮像制御部107は、X線発生部117の高圧発生源118及びX線絞り120の動作制御と共に、センサ接続部103を介した電子カセッテ101a,101bの動作制御等を行い、
センサ切替部113は、ユーザインターフェース114を用いたユーザ116からの動作指示、特に、電子カセッテ101a,101bの切替指示を受けると、当該指示情報(センサ切替情報)を撮像制御部107へ供給し、撮像制御部107は、センサ切替部113からのセンサ切替情報を受け取ると、当該情報に基づき、電子カセッテ101a,101bのうち撮影に使用する電子カセッテを切り替え、
電子カセッテ101a,101bのうち、どの電子カセッテの電源をオンとするかの制御、すなわち何れの電子カセッテを使用して撮影を行うか、或は両方の電子カセッテ101a,101bを同時に使用して撮影を行なうかの制御は、ユーザ116からの動作指示に基づいて、メイン制御部111により行なわれるものであり、
2台のカセッテ101a,101bを同時に駆動してX線撮影を行なう場合、2台のカセッテ101a,101bを同時に使用した撮影を行なう指示は、ユーザ116がユーザインターフェース114により入力し、センサ切替部103を介して、撮像制御部107等へ供給され、
カセッテ101a,101bは、ユーザ116からの検出器準備要求又は撮影要求が発行されるまで、パワー制御信号が0FFとなった状態で待機し、
ユーザ116からユーザインターフェース114の曝射要求SW1が操作されると、撮像制御器107は、X線発生器117を撮影レディ状態に遷移させる共に、カセッテ101a,101bを撮影準備状態へ移行させる制御指示を出し、これを受けたカセッテ101a,101bは、光検出器アレー401へバイアスを印加すると共に、撮影準備のための動作を開始し、
次に、ユーザ116からユーザインターフェース114の曝射要求SW2が操作されると、撮像制御部107は、カセッテ101a,101bとX線発生器117との同期を取りながら撮影動作を制御し、
カセッテ101a,101bは、撮像準備が整った時点で、撮像制御器107に対し、X線検出器レディ信号を返送し、撮像制御器107は、2台のカセッテ101a,101bからのX線検出器レディ信号の遷移に基づいて、X線発生器117に対してX線曝射を要求(X線発生要求)し、
X線発生器117は、撮像制御器107からX線発生要求がなされている間(X線発生要求信号が供給されている間)、X線を発生し、
撮像制御器107は、X線発生器117が所定X線量を発生したことを認識すると、X線発生器117に対するX線発生要求信号をネゲートすると共に、カセッテ101a,101bに対するX線撮像要求信号をネゲートすることで、カセッテ101a,101bに対して画像取得タイミングを通知するものであり、
電子カセッテ101a,101bにおいて、光検出アレー401は、電子カセッテ101a,101bの任意の一辺に接する形で配置され、2台の電子カセッテ101a,101bを、光検出アレー401が接している辺同士で近接させた場合、それぞれの電子カセッテ101a,101bの光検出アレー401が画素ピッチと同等以下で近接することが可能な構造となるよう、ガラス基板の端面まで画素が存在するようにカッティングされ端面処理されており、
2台の電子カセッテ101a,101bの光検出アレー401を画素ピッチと同等以下に近接させ、2台の電子カセッテ101a,101bを同時に駆動して一度に撮影を行うように構成したので、撮影範囲を広くすることができる、X線撮影システム700。」(以下「甲2技術事項」又は「甲2発明」という。)

が記載されているものと認められる。

3 甲3について

(1)甲3には、以下の記載がある。

(甲3-ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システムに係り、患者の脊椎全体や全下肢等に対して複数回放射線を照射し、一連の撮影で得られた画像データを合成して長尺の画像データを生成する長尺撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムに関する。」

(甲3-イ)「【0065】
[本実施形態における長尺撮影の仕方等について]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影システム100における長尺撮影の仕方や、長尺撮影における本発明特有の構成等について説明する。また、本実施形態に係る放射線画像撮影システム100の作用についてもあわせて説明する。
【0066】
放射線技師等の操作者は、撮影台50の装着部51に放射線画像撮影装置1が装着されていなければ、撮影室101aに行き、図5に示したように、放射線画像撮影装置1のコネクター39に撮影台50に備えられたコネクターCを接続して、放射線画像撮影装置1を撮影台50の装着部51に装着する。
【0067】
続いて、操作者は、コンソール90の所に移動し、コンソール90の入力手段92(図1参照)を操作して、ネットワークN1に接続されているHISやRISから、例えばその日に行う放射線画像撮影に関する撮影オーダー情報を入手する。
【0068】
本実施形態では、撮影オーダー情報は、例えば図6に例示するように、患者情報としての「患者ID」P2、「患者氏名」P3、「性別」P4、「年齢」P5、「診療科」P6および撮影条件としての「撮影部位」P7、「撮影方向」P8等で構成されるようになっている。そして、撮影オーダーを受け付けた順に、各撮影オーダー情報に対して「撮影オーダーID」P1が自動的に割り当てられるようになっている。
【0069】
コンソール90は、撮影オーダー情報を入手すると、表示部91に、図7に示すように、リスト形式で各撮影オーダー情報の一覧を選択画面H1上に表示するようになっている。
【0070】
本実施形態では、選択画面H1には、各撮影オーダー情報の一覧を表示するための撮影オーダー情報表示欄h11が設けられており、撮影オーダー情報表示欄h11の左側には、これから撮影を行う予定の撮影オーダー情報を選択するための選択ボタンh12が設けられている。また、撮影オーダー情報表示欄h11の下側には、決定ボタンh13及び戻るボタンh14が設けられている。
【0071】
そして、操作者は、選択ボタンh12をクリックして撮影オーダー情報を単数または複数選択し、決定ボタンh13をクリックする。なお、最初に一のオーダー情報を選択し、続いて当該オーダー情報と同一の患者に対する残る撮影オーダー情報全てを自動的に選択することができるように構成することも可能である。そして、決定ボタンh13がクリックされると、選択された撮影オーダー情報が、コンソール90の記憶手段に記憶されるとともに、前室101b内の放射線照射装置70の操作部72に送信される。
【0072】
その際、例えば、図7の撮影オーダー情報の中から「A」という患者に関する4つの撮影オーダー情報が選択されたものとする。この場合、患者「A」に対する最初の撮影オーダー情報では、撮影部位P7として「全下肢」が指定されている。
【0073】
本実施形態では、このように、撮影オーダー情報の撮影部位P7に「全下肢」が指定されていると、長尺撮影の一種である下肢全長撮影が行われるようになっている。また、図示を省略するが、撮影オーダー情報の撮影部位P7に「全脊椎」が指定されていると、長尺撮影の一種である全脊椎撮影が行われるようになっている。
【0074】
すなわち、本実施形態では、コンソール90の入力手段92(図1参照)が、長尺撮影(すなわち上記の場合は下肢全長撮影)の対象となる被写体の領域(すなわち上記の場合は全下肢)を入力する入力手段として機能するようになっている。
・・・
【0077】
なお、上記のように、コンソール90の表示部91の選択画面H1(図7参照)上で撮影部位P7に「全下肢」が指定されている撮影オーダー情報が選択されると、例えば図8に示すように、表示部91上に仮設定画面H2を表示して、放射線技師等の操作者が仮設定画面H2上で操作して撮影回数の仮設定を行うように構成することも可能である。
【0078】
すなわち、後者の場合、選択画面H1(図7参照)上で撮影部位P7に「全下肢」が指定されている撮影オーダー情報が選択されると、コンソール90の表示部91上に、例えば図8に示すような仮設定画面H2が表示される。デフォルトの状態では、仮設定画面H2上には、例えば撮影回数が3回分のボタンアイコン(すなわち図中の「正面上」、「正面中」、「正面下」の3つのボタンアイコン)h21が表示される。
【0079】
そして、この状態から、例えばボタンアイコンh21の1つを取り除く操作を行うと、ボタンアイコンh21が2つだけになり、それらの表示が「正面上」、「正面下」に切り替わる。すなわち、この場合、操作者により撮影回数を2回とする仮設定が行われたことになる。また、逆に、図8の状態から、例えばボタンアイコンh21を1つ付け加える操作を行うと、ボタンアイコンh21が4つになり、それらの表示が「正面1」?「正面4」に切り替わる。すなわち、この場合、操作者により撮影回数を4回とする仮設定が行われたことになる。」

(甲3-ウ)「【0148】
[画像処理装置における処理について]
本実施形態では、コンソール90(図1参照)が、長尺撮影におけるいて複数回の放射線画像撮影で放射線画像撮影装置1がそれぞれ取得した画像データDを、1枚の画像データに合成して1枚の長尺画像データDlongを生成する画像処理装置として機能するようになっている。なお、画像処理装置を、コンソール90とは別体の装置として構成することも可能である。
【0149】
画像処理装置としてのコンソール90における長尺画像データDlongの生成処理について説明する前に、コンソール90におけるプレビュー画像の表示処理等について説明する。
【0150】
コンソール90では、前述したように、選択画面H1上で長尺撮影を指定する撮影オーダー情報が選択されると(すなわち例えば図7では「全下肢」が指定されている撮影オーダー情報)が選択されると、或いは仮設定画面H2(図8参照)上で撮影回数が仮設定されたり放射線照射装置70の操作部72が設定した撮影回数の操作者による変更が行われる等すると、表示部91上の表示が図14に示すような長尺撮影用の画面H3に切り替わる。
【0151】
なお、以下では、撮影回数が3回に設定された場合を例示して説明する。そのため、放射線画像撮影装置1から送信されてくる画像データDやプレビュー画像用データDtはそれぞれ3枚分になるが、撮影回数がn回の場合には、放射線画像撮影装置1から送信されてくる画像データDやプレビュー画像用データDtはそれぞれn枚分になる。
【0152】
長尺撮影用の画面H3では、図14に示すように、例えば画面H3の左側の部分に、選択画面H1(図7参照)上で選択した各撮影オーダー情報に対応するアイコンIAが表示される。図14では、選択画面H1上で患者「A」に関する各撮影オーダー情報が選択された場合が示されており、各アイコンIAのうち上側の3つのアイコンIAlongが「全下肢」が指定された長尺撮影(すなわちこの場合は下肢全長撮影)に関する撮影オーダー情報に対応するアイコンである。
【0153】
そして、「全下肢」が指定された長尺撮影における3回の放射線画像撮影がそれぞれ単独ではなく、3回の撮影が行われることで1回の長尺撮影に関する1個の撮影オーダー情報が完了することを表すために、上側の3つのアイコンIAlongが枠線で一括りにグループ化されて、現在撮影中であることを示すフォーカスされた状態で表示されるようになっている。また、それらの下側には、図7に示した選択画面H1における下側の3つのそれぞれ独立した(すなわち長尺撮影ではない通常の単独の撮影の)撮影オーダー情報に対応するアイコンIAがそれぞれ表示されている。」

(甲3-エ)「【0193】
[変形例4]
一方、例えば、長尺撮影を行っている間に患者が立っていられなくなる等して、長尺撮影自体が行えなくなる場合もある。そして、このような場合、上記のように設定された撮影回数の放射線画像撮影が行われないと当該長尺撮影が終了せず、いつまで経っても他の放射線画像撮影(すなわち例えば図7に示した選択画面H1における下側の3つの独立した撮影オーダー情報に対応する単独の放射線画像撮影)に移ることができないという事態に陥る。
【0194】
そこで、このような場合には、長尺撮影を強制的に終了させることができるように構成されていることが望ましい。
【0195】
長尺撮影を強制的に終了させる方法としては、例えば例えば、長尺撮影用の画面H3上に図示しない「中止」ボタンを設けておき、操作者が「中止」ボタンをクリックすることで長尺撮影を中止するように構成することが可能である。
【0196】
この長尺撮影の「中止」の処理は、例えば、当該長尺撮影を一時的に中止する(すなわち後回しにする)レベルとするか、当該長尺撮影に関する撮影オーダー情報が選択画面H1で選択されなかった状態にする(撮影オーダーのリスト中には残す)レベルとするか、或いは、当該長尺撮影に関する撮影オーダー情報をそもそもHISにおける撮影オーダーのリストの中から削除してしまうレベルとするかは、種々に設定可能である。また、これらのいずれのレベルとするかを操作者に選択させるように構成することも可能である。
【0197】
いずれの場合においても、操作者により例えば「中止」ボタンがクリックされて当該長尺撮影が中止されると、本実施形態では、コンソール90の表示部91上の表示が、長尺撮影用の画面H3(図14参照)から図16に示すような通常撮影用の画面H4に切り替わるようになっている。なお、図16では、長尺撮影が中止され、次の撮影オーダー情報(立位による胸部正面撮影)にフォーカス遷移した場合が示されている。長尺撮影が行われて終了した場合には、アイコンI1の部分に上記のようにして合成されて生成された放射線画像pが表示される。
【0198】
図16に示すように、通常撮影用の画面H4には、選択画面H1(図7参照)で選択された各撮影オーダー情報に対応する各アイコンI(この場合は患者「A」に対応するアイコン)が表示される。また、画面H4の右側に表示されている照射条件の設定用の表示Ia上の各項目の「+」ボタンや「-」ボタンをクリックすると、放射線照射装置70の放射線源71の管電圧や管電流、照射時間等の照射条件を変更して設定することができるようになっている。
【0199】
一方、本実施形態の通常撮影用の画面H4では、各アイコンI1?I4は、何れか1つのアイコンI(図16の場合はアイコンI2)が目立つようにフォーカスされて表示されるようになっており、フォーカスされているアイコンIに対応する撮影オーダー情報に基づく撮影が行われるようになっている。そして、プレビュー画像p_preや生成された放射線画像pはフォーカスされているアイコンIの部分に表示されるようになっている。なお、アイコンIのフォーカス表示等については、本願出願人が先に提出した国際公開第2011/142157号パンフレットに詳しく説明されているので参照されたい。
【0200】
また、本実施形態では、ある放射線画像撮影が終了(上記の中止の場合を含む。)すると、その時点における放射線画像撮影装置1や放射線源71等の現状から最も変化量が少ない状態(或いは放射線技師等の操作者の次の撮影に向けた作業量の少ない状態)で撮影を行うことができる放射線画像撮影に対応するアイコンIの位置にフォーカスが遷移するようになっている。
【0201】
すなわち、例えば上記のようにして長尺撮影が終了した時点では、放射線画像撮影装置1は、放射線画像撮影装置1は撮影台50の装着部51(図1参照)に装着された状態で、図11や図12に示したいずれかの位置にある。本実施形態では、長尺撮影が中止されずに終了した場合には、放射線画像撮影装置1は図11や図12に示した最上段の位置にある。
【0202】
そして、長尺撮影の終了後(中止された場合を含む。)に、放射線画像撮影装置1をそのまま上方に移動させれば、患者Aに対する「胸部正面」の放射線画像撮影を行うことができる。これは、放射線画像撮影装置1をさらに上昇させて「頚椎側面」の撮影を行ったり、当該放射線画像撮影装置1或いは別の放射線画像撮影装置1を臥位撮影用の撮影台(図示省略。図16のアイコンI4中のイメージ図参照)に装着して「腹部正面」の撮影を行う場合に比べて、長尺撮影の終了時点からの各装置等の変化量が最も少ない。
【0203】
そこで、本実施形態では、コンソール90は、図16にアイコンI1で示される長尺撮影が終了或いは中止されると、その状態から最も少ない変化量で放射線画像撮影を行うことができる「胸部正面」の放射線画像撮影に対応するアイコンI2にフォーカスを遷移させる。
【0204】
なお、本実施形態では、上記のようにコンソール90が自動的にフォーカスを遷移させて次の放射線画像撮影を設定するが、放射線技師等の操作者が、別の撮影オーダー情報に基づく撮影を行いたい場合には、その撮影オーダー情報に対応する他のアイコンIをクリックする等して操作することによって操作者がフォーカスを遷移させることができるようになっている。
【0205】
また、本実施形態では、通常撮影用の画面H4の左側には、フォーカスして表示されているアイコンIに対応する撮影オーダー情報で指定された撮影部位が、操作者が一目で分かるように表した人体モデルIb上に表示されるようになっている。【0206】
[変形例5]
上記の変形例4では、長尺撮影用の撮影台50(図1参照)を用いて、例えば全下肢を撮影部位とした長尺撮影だけでなく、単独の撮影である「胸部正面」の撮影をも行う場合について説明した。しかし、病院等の施設によっては、長尺撮影用の撮影台50だけでなく、前述した臥位撮影用の撮影台や、立位撮影用の撮影台(図示省略。図16のアイコンI2、I3中のイメージ図参照)が備えられている場合も少なくない。
【0207】
このように、施設内に種々の撮影台が存在するような状況で、図7の下側に示したように通常の単独の放射線画像撮影に対応する撮影オーダー情報と、複数回の放射線画像撮影を行って1回の撮影が完了する長尺撮影に対応する撮影オーダー情報とが選択されると、長尺撮影を構成する複数の放射線画像撮影で取得された各画像データD等の中に、別の単独の放射線画像撮影で取得された画像データD等が混入してしまう虞れがある。
【0208】
そのため、本実施形態では、上記のように、長尺撮影用の画面H3(図14参照)において長尺撮影に関するアイコンIAlongが枠線で一括りにして表示したり、サムネイル用表示スペースSbを設けて長尺撮影以外の撮影で得られた画像データDが混入していないことを操作者が視認できるように構成している。
【0209】
また、上記のように、変形例1では、設定された撮影回数に応じて長尺撮影用に一括りの枠線で表示するアイコンIAlongの数やサムネイル用表示スペースSbを分割する数を可変させる。これも、例えば、操作者が、設定された撮影回数が2回であるのに3回であると勘違いして、長尺撮影とは関係ない他の単独の撮影で取得された画像データD等を長尺画像データDlongに混入させてしまうことを防止することにもつながっている。
【0210】
しかし、上記のように、病院等の施設内に種々の撮影台が存在するような状況では、長尺撮影を構成する複数の放射線画像撮影で取得された各画像データD等の中に、別の単独の放射線画像撮影で取得された画像データD等が混入してしまう虞れがより強くなる。まして、種々の撮影台が、同一の撮影室内に設けられているとは限らず、複数の撮影室に跨って設置されている場合もある。
【0211】
このような場合には、変形例4で説明したコンソール90におけるアイコンのフォーカス機能を用いて整理しながら放射線画像撮影を行うことで、上記のような画像データDの混入の問題を回避することができる。
【0212】
すなわち、例えば、放射線技師等の操作者は、図7に示したように、患者「A」に関する「全下肢」を撮影部位とする長尺撮影に関する撮影オーダー情報と、同じ患者「A」に関する3つの単独の放射線画像撮影に関する撮影オーダー情報とを選択したものとする。その際、上記の実施形態では、コンソール90の表示部91上の表示が、すぐに図14に示した長尺撮影用の画面H3や図8に示した仮設定画面H2に切り替わって長尺撮影を行う場合を示した。
【0213】
しかし、ここで、上記のようにアイコンのフォーカス機能を作動させると、例えば放射線画像撮影装置1が長尺撮影用の撮影台50(図1参照)ではなく、それとは別の立位撮影用の撮影台に装着されていたとすると、放射線画像撮影装置1を立位撮影用の撮影台から取り出して長尺撮影用の撮影台50の装着部51に装着して長尺撮影を行うよりも、そのまま立位撮影用の撮影台を用いて、例えば「胸部正面」の撮影を行う方が、装置等の現状から最も少ない変化量で放射線画像撮影を行うことができる。
【0214】
そのため、この場合は、操作者が選択画面H1上で例えば患者「A」に関する撮影オーダー情報を選択すると(図7参照)、コンソール90の表示部91上の表示は、長尺撮影用の画面H3(図14参照)や仮設定画面H2(図8参照)ではなく、図16に示した通常撮影用の画面H4に切り替わる。そして、長尺撮影ではなく、「胸部正面」の放射線画像撮影に対応するアイコンI2がフォーカスされて表示される。
【0215】
すなわち、この状態では、次に行われる放射線画像撮影は、「胸部正面」の撮影が行われることを意味する。そして、この状態で放射線画像撮影が行われれば、患者「A」の「胸部正面」の放射線画像撮影が行われ、取得された画像データD等に基づいて放射線画像pが生成され、生成された放射線画像pが当該撮影オーダー情報に対応付けられて撮影が完了する。そのため、「胸部正面」の撮影で取得された画像データDが、長尺撮影で取得された画像データDや合成された長尺画像データDlongに混入することを的確に防止することが可能となる。
【0216】
この場合、操作者がコンソール90を操作して表示部91上に長尺撮影用の画面H3(図14参照)や仮設定画面H2(図8参照)を表示させた場合には(すなわち長尺撮影を行うための操作を行った場合には)、「長尺撮影用の撮影台に放射線画像撮影装置を装着してください」等の表示を行ったり音声を発声する等して、操作者に告知するように構成することが望ましい。
【0217】
[変形例6]
また、上記の実施形態や各変形例では、撮影室内に備えられた放射線画像撮影装置1は1機のみであることを前提として説明した。しかし、撮影室内に複数の放射線画像撮影装置1が備えられていたり持ち込まれたりする場合もある。
【0218】
また、例えば、放射線照射装置70(図1参照)の放射線源71が、立位撮影用や臥位撮影用等の撮影台で共用されている場合がある。すなわち、例えば、撮影室内に長尺撮影用の撮影台50と立位撮影用の撮影台と臥位撮影用の撮影台が設けられている場合に、各撮影台に放射線源71がそれぞれ設けられているのではなく、例えば1つの放射線源71が設けられており、その位置や放射線の照射方向等を変えることで、共用して用いるように構成されている場合がある。
【0219】
このような場合には、通常撮影用の画面H4(図16参照)で最初にフォーカスされるアイコンI、すなわち装置等の現状から最も少ない変化量で放射線画像撮影を行うことができる撮影オーダー情報に対応するアイコンIは、上記のような放射線画像撮影装置1が装着されている撮影台というよりも、寧ろ放射線照射装置70の放射線源71の位置や向きを変えずに、或いは放射線源71の位置や向きを変える変化量が最も少ない状態で撮影を行うことができる状態にある撮影オーダー情報に対応するアイコンIが選択される。
【0220】
すなわち、例えば、長尺撮影用の撮影台50の装着部51と立位撮影用の撮影台のいずれにもそれぞれ放射線画像撮影装置1が装着されている場合、共用の放射線源71が立位撮影用の撮影台の方向を向いており、すぐに放射線を照射することができる状態にあるのであれば、長尺撮影を行うよりも立位撮影用の撮影台を用いた例えば「胸部正面」の撮影を行う方が、速やかに放射線画像撮影を行うことができる。
【0221】
そのため、本実施形態のコンソール90では、このような場合、図16に示したように、長尺撮影に対応するアイコンI1よりも先に「胸部正面」を撮影する単独の撮影に対応するアイコンI2がフォーカスして表示される。
【0222】
このように、撮影室内に複数の放射線画像撮影装置1が存在する場合でも、上記のようにアイコンIをフォーカスして撮影順を適切に設定して順番に撮影を行うことで、通常の単独の撮影で取得された画像データDが長尺撮影で取得された画像データDや合成された長尺画像データDlongに混入することを的確に防止することができる。
【0223】
なお、この場合も、操作者がコンソール90を操作して長尺撮影を行うための操作を行った場合には、表示や音声等で長尺撮影用の撮影台50の装着部51に放射線画像撮影装置1を装着するように、操作者に告知するように構成することが望ましい。
【0224】
また、上記のように撮影室内に複数の放射線画像撮影装置1が存在する場合、撮影に用いない放射線画像撮影装置1が撮影を行うことが可能な状態になっていると、撮影に用いられる他の放射線画像撮影装置1に対して照射された放射線が当該撮影に用いない放射線画像撮影装置1に届いてしまい、当該撮影に用いない放射線画像撮影装置1から異常な画像データDがコンソール90に送信される等して混乱を招く虞れがある。
【0225】
そこで、上記のように撮影室内に複数の放射線画像撮影装置1が存在する場合には、例えばコンソール90から撮影に用いない放射線画像撮影装置1に対して、撮影を行うことができない省電力状態(すなわちいわゆるスリープ状態)に遷移するように信号を送るように構成することが望ましい。」

(甲3-オ)【図7】




(甲3-カ)【図8】




(甲3-キ)【図14】




(甲3-ク)【図16】




(2)甲3に記載された技術事項

(甲3-ウ)に「・・・【0153】・・・図7に示した選択画面H1における下側の3つのそれぞれ独立した(すなわち長尺撮影ではない通常の単独の撮影の)撮影オーダー情報に対応するアイコンIAがそれぞれ表示されている。」と記載されているところ、(甲3-エ)の【図7】には、下側の3つの「撮影オーダーID」である「004」、「005」及び「006」に対応する「撮影部位」「P7」が、それぞれ「胸部」、「頚部」及び「腹部」であることが記載されている。
そして、(甲3-イ)に「・・・【0071】・・・操作者は、選択ボタンh12をクリックして撮影オーダー情報を単数または複数選択し、決定ボタンh13をクリックする」と記載されていることから、撮影オーダー情報の撮影部位P7に「胸部」、「頚部」又は「腹部」が指定されていると、長尺撮影ではない通常の単独の撮影が行われるようになっているものと認められる。

そうすると、(甲3-ア)ないし(甲3-ク)の記載から、甲3には、

「 長尺撮影用の撮影台50、臥位撮影用の撮影台及び立位撮影用の撮影台を備え、患者の脊椎全体や全下肢等に対して複数回放射線を照射し、一連の撮影で得られた画像データを合成して長尺の画像データを生成する長尺撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムであって、
コンソール90は、撮影オーダー情報を入手すると、表示部91に、リスト形式で各撮影オーダー情報の一覧を選択画面H1上に表示し、
操作者が、選択ボタンh12をクリックして撮影オーダー情報を単数または複数選択し、決定ボタンh13をクリックすると、
撮影オーダー情報の撮影部位P7に「全下肢」が指定されていると、長尺撮影の一種である下肢全長撮影が行われるようになっており、
撮影オーダー情報の撮影部位P7に「胸部」、「頚部」又は「腹部」が指定されていると、長尺撮影ではない通常の単独の撮影が行われるようになっており、
コンソール90の表示部91の選択画面H1上で撮影部位P7に「全下肢」が指定されている撮影オーダー情報が選択されると、表示部91上に仮設定画面H2を表示して、放射線技師等の操作者が仮設定画面H2上で操作して撮影回数の仮設定を行うように構成され、
通常撮影用の画面H4には、選択画面H1で選択された各撮影オーダー情報に対応する各アイコンIが表示され、各アイコンI1?I4は、何れか1つのアイコンIが目立つようにフォーカスされて表示され、フォーカスされているアイコンIに対応する撮影オーダー情報に基づく撮影が行われるようになっており、ある放射線画像撮影が終了すると、その時点における放射線画像撮影装置1や放射線源71等の現状から最も変化量が少ない状態で撮影を行うことができる放射線画像撮影に対応するアイコンIの位置にフォーカスが遷移し、放射線技師等の操作者が、別の撮影オーダー情報に基づく撮影を行いたい場合には、その撮影オーダー情報に対応する他のアイコンIをクリック操作することによって操作者がフォーカスを遷移させることができるようになっており、
患者「A」に関する「全下肢」を撮影部位とする長尺撮影に関する撮影オーダー情報と、同じ患者「A」に関する「胸部正面」、「頚椎側面」及び「腹部正面」の3つの単独の放射線画像撮影に関する撮影オーダー情報とを選択した場合に、放射線画像撮影装置1が長尺撮影用の撮影台50ではなく、それとは別の立位撮影用の撮影台に装着されていると、コンソール90の表示部91上の表示は、長尺撮影用の画面H3や仮設定画面H2ではなく、通常撮影用の画面H4に切り替わり、長尺撮影ではなく「胸部正面」の放射線画像撮影に対応するアイコンI2がフォーカスされて表示され、操作者がコンソール90を操作して表示部91上に長尺撮影用の画面H3や仮設定画面H2を表示させる長尺撮影を行うための操作を行った場合には、「長尺撮影用の撮影台に放射線画像撮影装置を装着してください」等の表示を行ったり音声を発声する等して、操作者に告知するように構成されており、
撮影室内に複数の放射線画像撮影装置1が存在する場合には、コンソール90から撮影に用いない放射線画像撮影装置1に対して、撮影を行うことができない省電力状態、すなわちいわゆるスリープ状態に遷移するように信号を送るように構成されている、
放射線画像撮影システム。」(以下「甲3技術事項」という。)

が記載されているものと認められる。

4 甲4について

(1)甲4には、以下の記載がある。

(甲4-ア)「【0024】
以下、各図面を参照して本発明の実施の形態の一例について説明する。図1及び図2に本実施の形態の放射線画像撮影システムの概略構成を示す。放射線画像撮影システム10は、放射線(例えばエックス線(X線)等)を被検体19に照射する放射線発生装置と、放射線発生装置16から照射され、被検体19を透過した放射線を検出する放射線検出器14と、放射線画像の撮影を指示すると共に、放射線検出器14から画像情報を取得して各種の処理を行う制御装置(コンソール)12と、を備えて構成されている。放射線発生装置16から照射され撮影位置に位置している被検体19を透過することで画像情報を担持した放射線は放射線検出器14に照射される。
【0025】
なお、本実施の形態の放射線画像撮影システム10は、図2に示すように複数(図2ではn個)の放射線検出器14(141?14n)を備えている。なお、以下の説明において個々を区別する場合は、数字の後に個々を区別するための符号(1?n)を付して説明し、個々を区別せずに総称する場合は、符号(1?n)の記載を省略する。
【0026】
制御装置12は、放射線検出器14と無線により接続されており、通信I/F26を介して無線によるコマンド・データ伝送により放射線検出器14に対して各種制御を実行する機能を有している。また、制御装置12は、放射線発生装置16と無線により接続されており、放射線(例えばエックス線(X線)等)を発生するタイミングを制御する機能を有している。制御装置12は、CPU(Central Processing Unit)20、メモリ22、処理部24、表示部25及び通信I/F26を備えて構成されており、CPU20、メモリ22、処理部24、表示部25及び通信I/F26は、CPUバス等のバス28により、互いに信号の授受が可能に接続されている。CPU20は、メモリ22に予め記憶されている各種プログラムを実行することにより、制御装置12全体の動作を制御する機能を有するものである。処理部24は、放射線検出器14から画像データを取得して各種の処理を行う機能を有するものである。また、表示部25は、放射線検出器14から通信I/F26を介して受信した放射線画像等を表示する機能を有するものである。
【0027】
放射線発生装置16は、放射線源17及び通信I/F18を備えて構成されている。放射線発生装置16は、通信I/F18を介して制御装置12と無線により接続されており、制御装置12の制御に基づいたタイミングで、放射線源17から放射線を被験体19に照射する。
【0028】
本実施の形態の放射線画像撮影システム10では、上述のように複数の放射線検出器14を備えて構成されている。このように複数の放射線検出器14を備えた放射線画像撮影システム10としては、例えば、立位の撮影用や臥位の撮影用、被験体19の正面用、側面用と撮影用途に応じて複数備えられている場合や、いわゆる長尺撮影用に被験体19の身長方向に沿って複数備えられている場合等が挙げられるがこれに限らず、複数の放射線検出器14の各々種類等は特に限定されるものではない。」

(甲4-イ)「【0060】
本実施の形態の放射線画像撮影システム10は、放射線検出器14が放射線発生装置16の放射線照射動作と同期をとることなく、放射線画像の撮影を行う。このように撮影を行う方法としては、TFT部30で電荷蓄積を開始する条件を予め定めておき、当該条件が成立したことをトリガとして撮影タイミングを判断して撮影(電荷蓄積)を行う方法や、予め定められた画素または専用の画素に蓄積された電荷を読み出し、読み出した電荷の値が予め定められた閾値を越えた場合に撮影タイミングと判断して撮影を行う方法等が挙げられるが、特に限定されない。なおいずれの方法においても、放射線画像の撮影のための電荷蓄積を開始する直前でそれまでに蓄積された電荷をリセットするリセット動作を行うことが好ましい。そこで、ステップ114では、リセット動作を行う。」

(2)甲4に記載された技術事項

(甲4-ア)及び(甲4-イ)の記載から、甲4には、

「 複数の放射線検出器14が、いわゆる長尺撮影用に被験体19の身長方向に沿って複数備えられて構成されている放射線画像撮影システム10で使用される放射線検出器14であって、放射線発生装置16の放射線照射動作と同期をとることなく、放射線画像の撮影を行う放射線検出器14。」(以下「甲4技術事項」という。)

が記載されているものと認められる。

5 甲5について

(1)甲5には、以下の記載がある。

(甲5-ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医科、歯科などにおいて用いられるX線撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のX線撮影装置としては、医科で用いられる手、足などの関節部、胸部などを撮影する一般X線撮影装置、歯科で用いられるパノラマX線撮影装置などが知られており、その画像表示方法としては、X線画像を白黒写真としてフィルム上に焼き付けて使用されるものが一般的であった。
【0003】しかしながら、近年になって種々のデジタル技術を用いたX線撮影装置が出現し、X線を可視光に変換する蛍光材料とCCD( Charge Coupling Device )との組み合わせによってビデオ撮影のように直接デジタル画像として読み出す技術,そしてCCDの代わりに液晶表示装置などに用いられるTFT(Thin Film Transistor)パネルとフォトダイオードを組み合わせた技術、あるいは蛍光材料の代わりにX線を電荷に変換する光導電材料を用いて直接TFTパネルで読み出す技術などによって撮影直後にリアルタイムにX線画像を表示できるものが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらのデジタル技術を用いたX線撮影装置は、フィルムの場合と異なり、X線撮影画像を画素単位で正確に読み出し、これによって得られた個別の画素データを表示器上に整列しなおすことで1枚の画像とする表現方法をとっているが、いずれの場合も加工上の理由でセンサユニットの大きさが制約を受けるものであった。
【0005】このため、胸部X線撮影などの広い範囲にわたる撮影を行おうとする場合、画像検出手段上にX線検知手段載せて構成したセンサユニット複数個を一列に組合せて長尺型のセンサとし、これをスライドさせて広範囲の撮影を行ったり、あるいは縦横2次元方向にセンサユニットをマトリクス状に組合せてひとつの面センサとして撮影する方法が用いられており、いずれの場合も複数のセンサユニットの一部、特にセンサユニットの端部、を重複させて組合せることによって、組合せ部分に画像の欠落が生じないようにしている。」

(2)甲5に記載された技術事項

(甲5-ア)の記載から、甲5には、

「画像検出手段上にX線検知手段を載せて構成した複数個のセンサユニットを、センサユニットの端部を重複させて一列に組合せて長尺型のセンサとし、これをスライドさせて胸部X線撮影などの広い範囲にわたる撮影を行うこと。」(以下「甲5技術事項」という。)

が記載されているものと認められる。

6 甲6について

(1)甲6には、以下の記載がある。

(甲6-ア)「【0050】
先ず、第1実施形態に係る放射線画像撮影システム10Aについて、図1?図18Bを参照しながら説明する。
【0051】
図1に示すように、放射線画像撮影システム10Aは、ベッド等の撮影台12に横臥した患者等の被写体14に対して、撮影条件に従った線量からなる放射線16を照射する放射線照射装置18と、被写体14を透過した放射線16を検出して放射線画像に変換する放射線画像撮影装置20Aと、放射線照射装置18及び放射線画像撮影装置20Aを制御するコンソール(制御装置)22と、放射線画像を表示する表示装置24とを備える。なお、撮影台12は、放射線画像撮影装置20Aを収容するので、放射線16を透過可能に構成されていることが望ましい。
【0052】
コンソール22と、放射線照射装置18、放射線画像撮影装置20A及び表示装置24との間は、例えば、UWB(Ultra Wide Band)、IEEE802.11.a/g/n等の無線LAN(Local Area Network)又はミリ波等を用いた無線通信により信号の送受信が行われる。なお、ケーブルを用いた有線通信により信号の送受信を行ってもよいことは勿論である。
【0053】
また、コンソール22には、病院内の放射線科において取り扱われる放射線画像やその他の情報を統括的に管理する放射線科情報システム(RIS)26が接続され、また、RIS26には、病院内の医事情報を統括的に管理する医事情報システム(HIS)28が接続される。
【0054】
放射線画像撮影装置20Aは、撮影台12の内部に配置され、1種類且つ同一形状の3つの放射線検出ユニット30a?30cと、該放射線検出ユニット30a?30c間を電気的に且つ機械的に接続する2つのコネクタ(接続部)32とを有する。
【0055】
すなわち、1種類且つ同一形状の電子カセッテである放射線検出ユニット30a?30cについて、図1?図6Bに示すように、放射線検出ユニット30aの一部と放射線検出ユニット30bの一部とを重ね合わせて連結すると共に、放射線検出ユニット30bの一部と放射線検出ユニット30cの一部とを重ね合わせて連結することにより、放射線検出ユニット30a→放射線検出ユニット30b→放射線検出ユニット30cの順に連結され、さらに、2つのコネクタ32によって電気的に且つ機械的に接続することにより1台の放射線画像撮影装置20Aが構成される。」

(甲6-イ)「【0168】
以上説明したように、第1実施形態に係る放射線画像撮影システム10A及び放射線画像撮影装置20Aによれば、各放射線変換パネル172a?172cの一部が重なり合うと共に、各制御部196a?196cが重ならないように、各筐体34a?34cを順次連結する。すなわち、撮影領域40a?40cの一部は重なり合っても、放射線16の検出(放射線画像への変換)に寄与しない制御部196a?196cと、各放射線検出ユニット30a?30cの撮影領域40a?40cとが重ならないようにしている。これにより、制御部196a?196cを撮影領域40a?40c(撮影面156)に重ねることなく、放射線16の照射による制御部196a?196cの劣化や、放射線画像への制御部196a?196cの写り込みを防止して長尺撮影を行うことが可能となる。また、凸部410a?410c及び凹部412a?412cを用いて各筐体34a?34cを連結して1台の放射線画像撮影装置20Aを構成するので、被写体14に対する1回の放射線16の照射で長尺撮影を行うことが可能となり、撮影時間の短縮化も実現することができる。
【0169】
また、第1実施形態では、例えば、一方の筐体と他方の筐体とを凸部410a?410c及び凹部412a?412cにより連結する場合に、一方の筐体に収容された放射線変換パネルにおける他方の筐体側の一部と、他方の筐体に収容された放射線変換パネルにおける一方の筐体側の一部とが重なり合うと共に、各制御部196a?196cが重ならないように、一方の筐体と他方の筐体とを連結させれば(図1?図3及び図6B参照)、各放射線変換パネル172a?172cでそれぞれ得られた各放射線画像を画像合成して、1枚の長尺な被写体14の放射線画像を得る際に、各放射線画像の連結箇所における画像が欠落することを防止することも可能となる。
【0170】
また、各筐体34a?34cの連結時における各制御部196a?196cの横幅を、平面視又は側面視で、各筐体34a?34cの横幅よりも短く設定すれば、各筐体34a?34cを確実に連結することができる。
【0171】
なお、上述した各放射線検出ユニット30a?30cは、それぞれが単独でも通常撮影を行うことが可能な電子カセッテであり、第1実施形態では、このような複数の電子カセッテを凸部410a?410c及び凹部412a?412cで連結することにより上述した各効果が得られる。」

(甲6-ウ)【図1】




(2)甲6に記載された技術事項

(甲6-ア)ないし(甲6-ウ)の記載から、甲6には、

「 ベッド等の撮影台12に横臥した患者等の被写体14に対して、撮影条件に従った線量からなる放射線16を照射する放射線照射装置18と、被写体14を透過した放射線16を検出して放射線画像に変換する放射線画像撮影装置20Aと、放射線照射装置18及び放射線画像撮影装置20Aを制御するコンソール(制御装置)22と、放射線画像を表示する表示装置24とを備える放射線画像撮影システム10Aであって、
撮影台12は、放射線画像撮影装置20Aを収容し、
放射線画像撮影装置20Aは、撮影台12の内部に配置され、1種類且つ同一形状の3つの放射線検出ユニット30a?30cと、該放射線検出ユニット30a?30c間を電気的に且つ機械的に接続する2つのコネクタ(接続部)32とを有し、
各放射線検出ユニット30a?30cは、それぞれが単独でも通常撮影を行うことが可能な電子カセッテであり、
長尺撮影を行うことが可能な、放射線画像撮影システム10A。」(以下「甲6技術事項」という。)

が記載されているものと認められる。

7 甲7について

(1)甲7には、以下の記載がある。

(甲7-ア)「【0032】
図2及び図3には、本実施の形態に係る撮影システム18の放射線撮影室44における配置状態の一例が示されている。
【0033】
図3に示すように、放射線撮影室44には、立位での放射線撮影を行う際に電子カセッテ32を保持するための撮影台45が設置されており、撮影台45の前方空間は立位での放射線撮影を行う際の患者の撮影位置とされている。
【0034】
撮影台45は、撮影部46が昇降可能とされており、撮影部46の昇降を行うための操作パネル47が設けられている。撮影部46には、電子カセッテ32を収容可能な収容部46Aが設けられている。
【0035】
電子カセッテ32は、撮影部46の収容部46Aに収容されることにより、図3に示すように、放射線画像の撮影時に放射線発生装置34と間隔を空けて配置される。このときの放射線発生装置34と電子カセッテ32との間は、患者30が位置するための撮影位置とされており、放射線画像の撮影が指示される。放射線発生装置34は予め与えられた撮影条件等に応じた放射線量の放射線を射出する。放射線発生装置34から射出された放射線Xは、撮影位置に位置している患者30を透過することで画像情報を担持した後に電子カセッテ32に照射される。
【0036】
また、本実施の形態に係る撮影システム18は、2つの電子カセッテ32を用いて長尺な画像を撮影することが可能とされている。撮影部46には、図2に示すように、長尺な画像を撮影する際に電子カセッテ32を保持するための一対のフック46Bが設けられている。長尺な画像を撮影する場合、収容部46Aに電子カセッテ32が収容される共に、フック46Bに電子カセッテ32が系合される。フック46Bは、図4に示すように、収容部46Aに収容された電子カセッテ32の下側の一部とフック46Bに系合された電子カセッテ32の上側の一部が重なるような位置に配置されている。これにより、収容部46Aに収容された電子カセッテ32により撮影された画像とフック46Bに系合された電子カセッテ32により撮影された画像は、一部が重複する。」

(甲7-イ)「【0104】
〔第2の実施の形態〕
次に本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0105】
第2の実施の形態に係る放射線情報システム10の構成は、上記第1の実施の形態(図1?4,図6、7参照)と同一であるので、ここでの説明は省略する。
【0106】
図13には、第2の実施の形態に係る電子カセッテ32の構成が示されている。なお、上記第1の実施形態(図5)と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0107】
第2の実施の形態に係る電子カセッテ32は、筐体54の放射線が照射される照射面56の一方側の端部に光通信部200が設けられ、照射面56の裏面57の他方側の端部に光通信部202が設けられている。
【0108】
光通信部200は、赤外光を発光する発光部200Aと赤外光を受光する受光部200Bが設けられており、発光部200Aが受光部200Bよりも外側に設けている。光通信部202は、赤外光を発光する発光部202Aと赤外光を受光する受光部202Bが設けられており、発光部202Aが受光部202Bよりも外側に設けている。
【0109】
図14には、第2の実施の形態に係る撮影システム18の電気系の要部構成について説明する。なお、上記第1の実施形態(図7)と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0110】
光通信部200及び光通信部202は、光通信制御部204に接続されている。光通信制御部204は、光通信部200及び光通信部202をそれぞれ制御して光通信を行う。光通信制御部204はカセッテ制御部92に接続されている。カセッテ制御部92は、光通信制御部204を介して他の電子カセッテ32と光通信が可能とされている。
【0111】
また、カセッテ制御部92は、無線通信部94が接続されている。この無線通信部94は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g等に代表される無線LAN(Local Area Network)規格に対応しており、無線通信による外部機器との間で各種情報の伝送を制御する。カセッテ制御部92は、無線通信部94を介してコンソール42と無線通信が可能とされており、コンソール42との間で各種情報の送受信が可能とされている。
【0112】
一方、コンソール42は、各電子カセッテ32との間で無線通信により撮影制御情報や画像情報等の各種情報の送受信を行う無線通信部119を備えている。無線通信部119は、システムバスBUSに接続されている。従って、CPU104は、無線通信部119を介した各電子カセッテ32との各種情報の送受信の制御を行うことができる。
【0113】
すなわち、本実施の形態に係る撮影システム18は、電子カセッテ32とコンソール42との間で無線通信によって各種情報の送受信を行う。
【0114】
本実施の形態に係る撮影システム18は、長尺な画像の撮影を行う場合、図15に示すように、照射面56の光通信部200が裏面57の光通信部202と対向させて電子カセッテ32を重ね合わせる。なお、図15は、3つの電子カセッテ32(32A?32C)を用いて長尺な画像の撮影を行う場合を示している。
【0115】
この際、図16に示すように、光通信部200の発光部200Aの光が光通信部202の受光部202Bで受光され、光通信部202の発光部202Aの光が光通信部200の受光部200Bで受光されるように各電子カセッテ32を重ね合わせる。
【0116】
このように、電子カセッテ32を重ね合わせることにより、重なり合った電子カセッテ32間で光通信が可能となる。
【0117】
また、本実施の形態に係る電子カセッテ32では、光通信部200及び光通信部202の発光部200A及び発光部202Aを受光部200B及び受光部202Bよりも外側に設けている。これにより、受光部200B及び受光部202Bでの外部ノイズの影響を小さくすることができる。
【0118】
なお、電子カセッテ32を重ね合わせた場合、衝撃などにより重ね合わせた位置にずれが発生しやすいため、連結部材により電子カセッテ32を固定するようにしてもよい。
【0119】
コンソール42は、長尺な画像の撮影を行う場合、図9に示したように、各電子カセッテ32に対して指示情報C1、撮影制御情報C3、要求情報C7を無線通信により送信して画像の撮影を行う。」

(甲7-ウ)【図2】




(甲7-エ)【図4】




(甲7-オ)【図15】




(2)甲7に記載された技術事項

(甲7-ア)ないし(甲7-オ)の記載から、甲7には、

「 電子カセッテ32を保持するための撮影台45は、撮影部46が昇降可能とされており、撮影部46には、電子カセッテ32を収容可能な収容部46Aと電子カセッテ32を保持するための一対のフック46Bが設けられており、
長尺な画像を撮影する場合、収容部46Aに電子カセッテ32が収容される共に、フック46Bに電子カセッテ32が系合されて、放射線撮影を行うこと、
又は、
筐体54の放射線が照射される照射面56の一方側の端部に光通信部200が設けられ、照射面56の裏面57の他方側の端部に光通信部202が設けられている3つの電子カセッテ32(32A?32C)を、照射面56の光通信部200が裏面57の光通信部202と対向するように重ね合わせ、連結部材により電子カセッテ32を固定して長尺な画像の撮影を行うこと。」(以下「甲7技術事項」という。)

が記載されているものと認められる。

8 甲8について

(1)甲8には、以下の記載がある。

(甲8-ア)「【0026】
撮影システム18は、RISサーバ14からの指示に応じて医師や放射線技師の操作により放射線画像の撮影を行う。撮影システム18は、放射線源130(図4も参照。)から曝射条件に従った線量とされた放射線(例えばX線)を被写体に照射する放射線発生装置34(図2も参照。)と、被写体の撮影対象部位を透過した放射線を検出して電荷を発生し、発生した電荷量に基づいて放射線画像を示す画像情報を生成する放射線検出器60(図3も参照。)を内蔵する可搬型放射線撮影装置(以下、電子カセッテ)32と、電子カセッテ32に内蔵されているバッテリを充電するクレードル40と、電子カセッテ32,放射線発生装置34,及びクレードル40を制御するコンソール42と、を備えている。」

(甲8-イ)「【0041】
そして、本実施の形態では、図2に示されるように、3個の電子カセッテ32を用いて長尺状の撮影を行う場合には、第1電子カセッテ32Aの第1筐体58Aの下端側の表面側(放射線の入射側)に、第2電子カセッテ32Bの第2筐体58Bの上端側が重ねられるようになっている。更に、第2電子カセッテ32Bの第2筐体58Bの下端側の表面側に、第3電子カセッテ32Cの第3筐体58Cの上端側が重ねられるようになっている。このように本実施の形態では、隣り合う電子カセッテ32の各々の端部を重ねた状態で、被写体50の体軸方向に沿って3つの電子カセッテ32を並べることにより、長尺撮影を行うようにしている。本実施の形態では、このように電子カセッテ32を配置してなる放射線画像撮影手段を、可搬型電子カセッテセット64と呼称する。」

(甲8-ウ)「【0083】
例えば、図11(A)に示されるように、第1電子カセッテ32Aの第1筐体18Aの下端側の裏面側(放射線の入射側に対して反対側)に、第2電子カセッテ32Bの第2筐体18Bの上端側を重ね、第2電子カセッテ32Bの第2筐体18Bの下端側の裏面側に、第3電子カセッテ32Cの第3筐体18Cの上端側を重ねるようにしてもよい。
【0084】
また、例えば、図11(B)に示されるように、第1電子カセッテ32Aの第1筐体18Aの下端側の表面側(放射線の入射側)に、第2電子カセッテ32Bの第2筐体18Bの上端側を重ね、第2電子カセッテ32Bの第2筐体18Bの下端側の裏面側に、第3電子カセッテ32Cの第3筐体18Cの上端側を重ねるようにしてもよい。
【0085】
また、例えば、図11(C)に示されるように、電子カセッテ32の各々が鉛直方向に対して、予め定められた角度傾けた状態で且つ隣り合う電子カセッテ32の端部が、放射線の入射方向から見て重なるようにして配置するようにしてもよい。
【0086】
また、上記実施の形態では各電子カセッテ32において、筐体58の一辺19の内壁端部から予め決められた範囲Xには、放射線撮像層20以外の部材(制御基板62等)が配置されていない例について説明したが、図12(A)に示すように、上記一辺19に対向する辺の内壁端部から予め決められた範囲に、放射線撮像層20以外の部材が配置されていない構成としてもよいし、図12(B)に示すように、上記一辺19及び一辺19に対向する辺の双方の内壁端部から予め決められた範囲に、放射線撮像層20以外の部材が配置されていない構成としてもよい。
【0087】
また、例えば、上記実施形態では、3個の電子カセッテ32を用いて説明したが、特に3個に限定されることなく、2個であってもよく、また、4個以上であってもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、放射線としてX線を用いて説明したが、特にこれに限定されるものではなく、γ線等であってもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、立位状態での長尺撮影に撮影システム18を用いたが、臥位状態での長尺撮影に撮影システムを用いてもよい。この場合には、各電子カセッテ32を水平方向に延びるように配置することで、長尺撮影が可能となる。また、上記実施形態では、電子カセッテ32を可搬型としたが、可搬型ではなく、撮影システム18に固定的に配置された電子カセッテ32であってもよい。」

(甲8-エ)【図11】




(2)甲8に記載された技術事項

(甲8-ア)ないし(甲8-エ)の記載から、甲8には、

「 RISサーバ14からの指示に応じて医師や放射線技師の操作により放射線画像の撮影を行う撮影システム18であって、
放射線源130から曝射条件に従った線量とされた放射線(例えばX線)を被写体に照射する放射線発生装置34と、被写体の撮影対象部位を透過した放射線を検出して電荷を発生し、発生した電荷量に基づいて放射線画像を示す画像情報を生成する放射線検出器60を内蔵する可搬型放射線撮影装置(以下、電子カセッテ)32と、電子カセッテ32に内蔵されているバッテリを充電するクレードル40と、電子カセッテ32,放射線発生装置34,及びクレードル40を制御するコンソール42と、を備えており、
隣り合う電子カセッテ32の各々の端部を重ねた状態で、被写体50の体軸方向に沿って3つの電子カセッテ32を並べることにより、長尺撮影を行う、撮影システム18。」(以下「甲8技術事項」という。)

が記載されているものと認められる。

9 甲9について

(1)甲9には、以下の記載がある。

(甲9-ア)「【実施例1】
【0022】
図1は実施例1におけるX線画像撮影装置の斜視図、図2は横断面図を示しており、撮影室には昇降式のフローティングテーブルである寝台21が設けられている。寝台21は基台22によりその上面が床に対して上下動自在の構造とされ、基台22の側面は例えば3枚のカバー23a?23cにより覆われている。基台22の上部には、長方形の枠体24が矢印Aの短手方向の2対のレール25a、25b及び枠体24の長辺部分とレール25bの結合部に設けられた図示しないレールを介して短手方向及び長手方向に水平動自在に設置されている。また枠体24上には、被検者を横臥させるための天板26が構設され、この天板26はアクリル、ポリカーボネート、カーボン又は木材等のX線透過率の高い材料から構成されている。
【0023】
天板26の下部には、X線画像検出器27が移動自在に配置されている。このX線画像検出器27はフラットパネルセンサと呼ばれる大判の固体撮像素子から成り、例えば43cm×43cm程度の大きさの検出面を有する画像検出部を内蔵している。この画像検出部は例えば半導体製造プロセス技術を用いて製造され、複数の光電変換素子又はX線検出素子等が二次元のマトリックス状に配列されている。
【0024】
X線画像検出器27はその上面に配置されX線透過率の高い材料から構成されるカバー部材28と、このカバー部材28と共働して上述の画像検出部を光密に内包するための筐体29とを有している。X線画像検出器27は天板26の下面に接するように付勢されており、天板26との接触部に発生する摩擦力を極力低減させるように上面は平滑に仕上げられている。なお、X線画像検出器27と天板26との間に転がり部材を介在させることにより、この摩擦力を低減させることもできる。
【0025】
また、X線画像検出器27と天板26の間に、必要に応じて図示しない散乱線除去用のグリッドを挿入することができる。このグリッドは図示しない機構を介して挿入、退避が可能で、被検体に応じて挿入・退避を選択することが好ましい。
【0026】
X線画像検出器27はキャリッジ30とこのキャリッジ30を支持する短手方向を向く2対のレール31とから成る保持機構32により枠体24に保持されている。キャリッジ30はX線画像検出器27を着脱可能に支持するトレイ30aとキャリッジ下部30bから成り、通常の撮影時にはトレイ30aとキャリッジ下部30b同士は固定されていて一体となっている。なお、トレイ30aはキャリッジ下部30bに対して短手方向に摺動自在に支持されていて、後述するX線画像検出器27の取り出し時には、キャリッジ下部30bに対して移動することができるようにされ、この取り出し時にX線画像検出器27とトレイ30aが通過可能な開口部33が、枠体24の側部に設けられている。
【0027】
キャリッジ30は上述のようにレール31により支持され、短手方向に摺動自在とされている。また、レール31のそれぞれの端部は、枠体24の長手方向内側に設けられた案内溝34に沿って長手方向に摺動自在に支持されている。
【0028】
このように、X線画像検出器27は保持機構32により、天板26の下面のほぼ全域に渡り移動自在に支持されているため、天板26のほぼ全域に渡って撮影することができ、機能を損うことなく、従来例のキャリッジ移動機構を簡素化することができる。」

(甲9-イ)「【0037】
図4はX線画像検出器27、X線管球41を含む撮影システムのブロック回路構成図である。X線画像検出器27は制御部71が接続され、制御部71には制御手段72、画像処理手段73、通信手段74等が内蔵され、制御手段72は各種の設定パラメータ記憶手段75を有している。制御手段72には操作手段76、モニタ77、X線発生手段78が接続され、X線発生手段78の出力側にX線管球41が接続されている。また、通信手段74にはネットワーク79を介して画像データベース80、読影用ワークステーション81が接続されている。」

(甲9-ウ)「【0039】
本実施例は上述の構成において、X線画像検出器27を天板26の下部に配置して、被検者のX線画像を撮像することができるが、特殊な使い方として、X線画像検出器27を天板26の下から取り出して、天板26の上などの任意の位置に配置することができる。
【0040】
図5はこの場合の取り出し動作についてのフローチャート図である。操作者はX線画像検出器27を取り出して撮影を行う際に、操作手段76からその取り出し指令を入力する(ステップS501)。この指令は制御手段72を介して、寝台21のキャリッジ位置制御手段に伝達され、キャリッジ30の長手方向の位置が検出される(ステップS502)。キャリッジ30は長手方向の特定の位置、例えば中心においてX線画像検出器27の排出が行えるため、予め記憶されているその排出位置の情報と、検出された長手方向の現在の位置との比較が行われ差が算出される(ステップS503)。
【0041】
差が0でない場合、つまりキャリッジ30が排出位置である長手方向の中央部に位置しない場合に、長手方向の所望の方向、距離をコントローラ58で演算し、キャリッジ30を移動させる(ステップS504)。長手方向の排出位置とキャリッジ30の位置が一致すると、長手方向の移動を停止する(ステップS505、S506)。
【0042】
続いて、キャリッジ30を短手方向の手前側に移動させる(ステップS507)。キャリッジ30の下部が移動範囲の最前部まで到達すると、トレイ30aはこれまで一体に移動してきたキャリッジ30に対する拘束を解除し、キャリッジ30は停止したままで、トレイ30aのみ更に前方に移動する。トレイ30aを載置したX線画像検出器27(当審注:前後の記載及び図7の記載から、「トレイ30aを載置したX線画像検出器27」は、「トレイ30aに載置されたX線画像検出器27」又は「X線画像検出器27を載置したトレイ30a」の誤記と認める。)の一部は、前方の枠体24の開口部33を通過して、枠体24の外部に露出した状態で停止する(ステップS508、S509)。
【0043】
図6はこの状態の斜視図、図7は横断面図を示し、操作者は図7の一点鎖線で示すようにX線画像検出器27を斜め上方にトレイ30aから引き出すことで、取り出すことができる(ステップS510)。取り出されたX線画像検出器27は、被検者に対して所望の位置に適宜の固定具等を用いて固定され、所望の方向からX線を照射することで、枠体24の下では撮影することのできない部位の撮影を行うことができる(ステップS511)。」

(甲9-エ)「【実施例2】
【0046】
図9は実施例2の斜視図である。寝台21’において、実施例1の寝台21と異なることは、X線画像検出器27の代りに2個のX線画像検出器27a、27bがキャリッジ30上に搭載されていることである。
【0047】
X線画像検出器27a、27bは実施例1のX線画像検出器27を2個隣接して配置されており、双方同時に使用して撮影することもできるし、何れか一方を選択して単独で撮影することができる。また、一方を撮影した後に双方の検出領域の間に存在する撮影できない部分に相当する距離だけ瞬時に移動し、先に撮影した領域に接する又は重なる領域を他方で撮影することもできる。
【0048】
更に、X線画像検出器27a、27bは実施例1と同様な手順でトレイ30aを所定の位置に移動することで、寝台21’の外部に取り出すことができる。X線画像検出器27a、27bを外部に取り出す場合には、2個のX線画像検出器27a、27bを結合して取り出すこともできるし、一方だけ単独で取り出して撮影することもできる。このようにすることで、実施例1と同様の効果を得られるだけでなく、更に実施例1では実現できなかった長尺の撮影範囲を撮影することも可能になる。
【0049】
なお、2個のX線画像検出器27a、27bを隣接した例を述べたが、他の分割数であってもよく、また異なる仕様の複数のX線画像検出器を組み合わせることもできる。」

(甲9-オ)【図4】




(甲9-カ)【図6】




(甲9-キ)【図7】




(甲9-ク)【図9】




(2)甲9に記載された発明

(甲9-ア)ないし(甲9-ク)の記載から、甲9には、

「 撮影室には昇降式のフローティングテーブルである寝台21’が設けられており、寝台21’は基台22によりその上面が床に対して上下動自在の構造とされ、基台22の上部には、長方形の枠体24が短手方向及び長手方向に水平動自在に設置されており、枠体24上には、被検者を横臥させるための天板26が構設されており、
天板26の下部には、フラットパネルセンサと呼ばれる大判の固体撮像素子から成る2個のX線画像検出器27a、27bが移動自在に配置されており、
2個のX線画像検出器27a、27bはキャリッジ30とこのキャリッジ30を支持する短手方向を向く2対のレール31とから成る保持機構32により枠体24に保持されていて、キャリッジ30は2個のX線画像検出器27a、27bを着脱可能に支持するトレイ30aとキャリッジ下部30bから成り、通常の撮影時にはトレイ30aとキャリッジ下部30b同士は固定されていて一体となっており、トレイ30aはキャリッジ下部30bに対して短手方向に摺動自在に支持されていて、2個のX線画像検出器27a、27bの取り出し時には、キャリッジ下部30bに対して移動することができるようにされ、この取り出し時に2個のX線画像検出器27a、27bとトレイ30aが通過可能な開口部33が、枠体24の側部に設けられており、
キャリッジ30はレール31により支持されて短手方向に摺動自在とされ、レール31のそれぞれの端部は、枠体24の長手方向内側に設けられた案内溝34に沿って長手方向に摺動自在に支持されており、
2個のX線画像検出器27a、27bは制御部71に接続され、制御部71には制御手段72、画像処理手段73、通信手段74等が内蔵され、制御手段72には操作手段76、モニタ77、X線発生手段78が接続され、X線発生手段78の出力側にX線管球41が接続されており、
操作者は2個のX線画像検出器27a、27bを取り出して撮影を行う際に、操作手段76からその取り出し指令を入力すると、キャリッジ30が排出位置である長手方向の中央部に位置しない場合、キャリッジ30を移動させ、長手方向の排出位置とキャリッジ30の位置が一致すると、長手方向の移動を停止し、続いて、キャリッジ30を短手方向の手前側に移動させ、キャリッジ30の下部が移動範囲の最前部まで到達すると、トレイ30aはこれまで一体に移動してきたキャリッジ30に対する拘束を解除し、キャリッジ30は停止したままで、トレイ30aのみ更に前方に移動し、トレイ30aに載置された2個のX線画像検出器27a、27bの一部は、前方の枠体24の開口部33を通過して、枠体24の外部に露出した状態で停止し、X線画像検出器27を斜め上方にトレイ30aから引き出すことで、取り出すことができ、
2個のX線画像検出器27a、27bは2個隣接して配置されており、双方同時に使用して撮影することもできるし、何れか一方を選択して単独で撮影することができ、X線画像検出器27a、27bを外部に取り出す場合には、2個のX線画像検出器27a、27bを結合して取り出すこともできるし、一方だけ単独で取り出して撮影することもできる、
長尺の撮影範囲を撮影することも可能な、X線画像撮影装置。」

の発明(以下「甲9発明」又は「甲9技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

10 甲10について

(1)甲10には、以下の記載がある。

(甲10-ア)「【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ところで、移動型のX線診断装置に搭載される従来の平面検出器は、X線フィルムカセッテと同様に、上述のX線検出部を鉛製のカセッテに収納して一体的に構成されている。そのため平面検出器は5kg程度とかなりの重さになり、移動型のX線診断装置から取り外したり、他の移動型のX線診断装置へ装着したりする作業は、女性看護師や力の弱い人にとっては非常に負担になるものであった。
【0021】
本発明は、このような課題を解決することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上述の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、X線発生部から被検体へ向けてX線を照射し、前記被検体を透過したX線を平面検出器で検出するX線画像診断装置において、前記平面検出器を、X線遮蔽部材で形成される支持体とこの支持体に着脱可能に支持されるX線検出部とで構成し、前記支持体は前記X線画像診断装置側に固定されるとともに、前記X線検出部が前記支持体に装着されているときのみ、前記X線発生部からX線の照射を可能とするX線制御手段を具備することを特徴とする。」

(甲10-イ)「【0029】
請求項1に記載の発明によれば、平面検出器を、X線遮蔽部材で形成される支持体とX線検出部とに分離して構成し、X線画像診断装置側に固定しておく支持体に、X線検出部
を適宜着脱可能に装着できるようにしたので、X線検出部が軽量化されて着脱時の作業負担が軽減される。従って、1つのX線検出部を多数のX線画像診断装置で利用することが可能となり、高価なX線検出部の利用効率を向上することができる。さらに、X線検出部が支持体に装着されているときのみ、X線画像診断装置におけるX線の照射を可能とするので、安全性が確保されるとともに、無駄なX線の照射を防止して被検体のX線被爆を軽減することができる。」

(甲10-ウ)「【0036】
この安全装置は、支持体21に可搬型平面検出器10が正しく装着されているときのみ、X線画像診断装置のX線管からX線を照射できるようにするためのものであり、可搬型平面検出器10が支持体21に装着されていなければ、X線画像データを収集することができないので、このような場合にX線が照射されないようにして、被検体の無用なX線被爆を阻止するためのものである。よって、この安全装置は、X線の照射を許可したり不許可にしたりするX線制御器として機能するものである。
【0037】
図3は、本発明に係るX線画像診断装置で使用される、上述のX線制御器としての安全装置の一例を示したものである。ここでは、支持体21に可搬型平面検出器10を固定するとともに、可搬型平面検出器10が正しく装着されていることを検出するために、支持体21側にフック22を設け、可搬型平面検出器10の保持体12に係合用の爪12aを設けたものである。従って、フック22を爪12aに係合させることによって、可搬型平面検出器10が支持体21にしっかり固定されるとともに、フック22が爪12aに係合したことを電気的または磁気的に検出し、その検出信号に基づきX線画像診断装置のX線管からX線を照射できるようにする。
【0038】
図4は、本発明に係るX線画像診断装置の機能を説明するために示したブロック図である。図4において符号30を付したものは、図3に示したフック22が爪12aに係合したことを電気的または磁気的に検出する手段によって構成される安全装置としてのX線制御器を示している。X線制御器30の出力は、制御部40に供給される。制御部40は、X線画像診断装置全体を有機的に制御するものであり、可搬型平面検出器10への駆動用電源供給や可搬型平面検出器10からの信号の収集は勿論のこと、X線管を有するX線発生部50、可搬型平面検出器10によって取得されたX線検出信号に基づきX線画像を再構成する画像処理部60、X線発生部50へ高電圧を供給する電源部70などの制御を行うものである。
【0039】
従って、X線画像診断装置によってX線撮影を実施するに当たって、支持体21に可搬型平面検出器10が正しく装着されていることを示す所定の出力信号が、X線制御器30から制御部40へ供給されていれば、オペレータがX線画像診断装置の図示しないX線照射ボタンを押すことによって、制御部40はX線発生部50や電源部70に対してX線の照射を可能にする照射信号を供給し、これを受けてX線発生部50から被検体へ向けてX線が照射される。しかし、X線制御器30から所定の信号が制御部40へ供給されていなければ、オペレータがX線照射ボタンを押しても、X線発生部50は動作せず、X線は照射されることはない。」

(甲10-エ)「【0045】
なお、本発明は上述の一実施例に限定されることなく、種々の形態での実施が可能である。例えば、支持体21に可搬型平面検出器10を装着したり、正しく装着されていることを検出したりする手段として、図3にフック22と爪12aを用いるものを示したが、これは単なる例示であり、幾多の公知の手段が適宜採用可能であることは言うまでもない。」

(2)甲10に記載された技術事項

(甲10-ア)ないし(甲10-エ)の記載から、甲10には、

「 支持体21に可搬型平面検出器10を固定するとともに、可搬型平面検出器10が正しく装着されていることを検出する安全装置としてのX線制御器30を備え、
X線撮影を実施するに当たって、支持体21に可搬型平面検出器10が正しく装着されていることを示す所定の出力信号が、X線制御器30から制御部40へ供給されていれば、オペレータがX線照射ボタンを押すことによって、制御部40はX線発生部50や電源部70に対してX線の照射を可能にする照射信号を供給し、X線制御器30から所定の信号が制御部40へ供給されていなければ、オペレータがX線照射ボタンを押しても、X線発生部50は動作せず、X線は照射されることはない、X線画像診断装置。」(以下「甲10技術事項」という。)

が記載されているものと認められる。

11 甲11について

(1)甲11には、以下の記載がある。

(甲11-ア)「【0039】
本実施形態では、ブッキー装置3として、前述したCR装置としてのCRカセッテ用のブッキー装置が用いられている。図示を省略するが、CRカセッテは、前述した従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS規格に準拠する寸法で構成されることが多く、ブッキー装置3は、その寸法のCRカセッテを装填することができるように構成されている。
【0040】
そのため、前述したように、放射線画像検出器2を同じJIS規格に準拠する寸法で構成することにより、同一のブッキー装置3に放射線画像検出器2とCRカセッテのいずれをも装填することができるようになっている。従って、本実施形態では、放射線画像検出器2のみならず、CRカセッテを撮影室R1内に持ち込んで放射線画像撮影を行うこともできるようになっている。
【0041】
図示を省略するが、ブッキー装置3のカセッテ保持部31には、放射線画像検出器2が装填されたことを物理的に検出するマイクロスイッチ等の装填検出装置や、放射線画像検出器2が正常に装填された場合に放射線画像検出器2の端子と接続する電極等が設けられている。また、前述したようにCRカセッテが装填される場合もあるため、カセッテ保持部31にはCRカセッテの図示しないバーコードを光学的に読み取るバーコードリーダ等も設けられている。
【0042】
また、ブッキー装置3には、それぞれCRT(Cathode RayTube)やLCD(Liquid Crystal Display)等の図示しないモニタや、キーボードやタッチパネル等の操作入力部、発声部、CPU(Central Processing Unit)等を備えた操作部32が設けられている。操作部32のモニタにはコンソール8から送信されてきた患者情報や撮影条件等の情報が表示されるようになっており、操作者がその表示を見て患者や撮影部位等を確認できるようになっている。
【0043】
そして、装填検出装置がカセッテ保持部31への放射線画像検出器2やCRカセッテの装填を検出したにもかかわらず、電極を介した放射線画像検出器2との通信が成立しない場合や、バーコードリーダによるCRカセッテのバーコードの読み取りができない場合には、操作部32の発声部から音声を発声して操作者に注意を喚起するようになっている。
【0044】
これは、ブッキー装置3のカセッテ保持部31に装填された放射線画像検出器2が撮影可能状態になっていなかったり(電源スイッチが入れ忘れられていたり)、放射線画像検出器2の端子が設けられていない側の側面部分、すなわちアンテナ装置24が設けられた側の側面部分から放射線画像検出器2をカセッテ保持部31に装填したり、或いは放射線画像検出器2やCRカセッテの表裏を逆にして装填したりした場合であり、いずれも装填をしなおす必要があるためである。
【0045】
ブッキー装置3は、装填検出装置や電極等からの信号に基づいて放射線画像検出器2が正常に装填されたことを検知すると、コンソール8に対して放射線画像検出器2が装填されたことを表す信号(以下、装填信号という。)およびカセッテID等の情報を通知するようになっている。
【0046】
また、ブッキー装置3は、装填検出装置や電極等からの信号に基づいて、装填されていた放射線画像検出器2が引き出されたことを検知すると、コンソール8に対して放射線画像検出器2の装填が解除されたことを表す信号(以下、解除信号という。)等を通知するようになっている。
【0047】
なお、本実施形態では、ブッキー装置3は、カセッテ2が正常に装填されたことを検知した時点で初めて操作者による操作入力部を介した操作部32の操作を可能とするようになっている。すなわち、操作部32は、ブッキー装置3にカセッテ2が正常に装填されない限り、操作を受け付けないようになっている。また、立位撮影用のブッキー装置3aや臥位撮影用のブッキー装置3bにおいて、例えばそれら自体の位置調整や装置本体に対するカセッテ保持部31の高さ調整等を適宜行うこと等が可能とされていることは、公知のブッキー装置と同様である。」

(2)甲11に記載された技術事項

(甲11-ア)ないし(甲11-ク)の記載から、甲11には、

「 ブッキー装置3には、操作部32が設けられており、
ブッキー装置3のカセッテ保持部31には、放射線画像検出器2が装填されたことを物理的に検出するマイクロスイッチ等の装填検出装置や、放射線画像検出器2が正常に装填された場合に放射線画像検出器2の端子と接続する電極等が設けられており、
装填検出装置や電極等からの信号に基づいて放射線画像検出器2が正常に装填されたことを検知すると、コンソール8に対して放射線画像検出器2が装填されたことを表す信号及びカセッテID等の情報を通知し、装填検出装置や電極等からの信号に基づいて、装填されていた放射線画像検出器2が引き出されたことを検知すると、コンソール8に対して放射線画像検出器2の装填が解除されたことを表す信号等を通知するようになっており、
放射線画像検出器2が正常に装填されたことを検知した時点で初めて操作者による操作入力部を介した操作部32の操作を可能とするようになっている、ブッキー装置3。」(以下「甲11技術事項」という。)

が記載されているものと認められる。


第6 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由についての当審の判断

1 本件発明1について

(1)甲1発明を主引用発明とした場合について

ア 本件発明1と甲1発明とを対比する。

(ア)甲1発明の「患者14を透過した放射線Xを検出する放射線検出器を内蔵したカセッテ(放射線検出カセッテ)24」は、本件発明1の「放射線画像撮影装置」に相当する。

(イ)甲1発明の「複数のカセッテ(24a?24e)24」は、本件発明1の「複数の放射線画像撮影装置」に相当する。

(ウ)甲1発明の「患者14と」「の間の所定位置に選択したカセッテ24を設置」することができる「手術台16」と、本件発明1の「複数の前記放射線画像撮影装置を装填可能な装填手段」とは、「複数の前記放射線画像撮影装置を支持可能な支持手段」で共通する。

(エ)甲1発明の「撮影装置22、カセッテ24及び表示装置26を制御するコンソール(カセッテ24の外部制御装置)28」は、本件発明1の「前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置」に相当する。

(オ)甲1発明の「短尺のカセッテ24a、24bを一部分重複して並べて使用に供する場合」の「放射線画像の撮影」は、本件発明1の「複数の前記放射線画像撮影装置を用いる長尺撮影」に相当する。

(カ)甲1発明の「長尺なカセッテ24eを選択した場合」の「放射線画像の撮影」は、本件発明1の「1つの前記放射線画像撮影装置を用いる単純撮影」に相当する。

(キ)上記(ア)ないし(カ)を踏まえると、甲1発明の「患者14を透過した放射線Xを検出する放射線検出器を内蔵したカセッテ(放射線検出カセッテ)24と」、「患者14と手術台16との間の所定位置に選択したカセッテ24を設置」でき、「複数のカセッテ(24a?24e)24を収納するカセッテ収納ボックス27と、撮影装置22、カセッテ24及び表示装置26を制御するコンソール(カセッテ24の外部制御装置)28とを備え」、「医師18又は担当する放射線技師」の「選択」により「短尺のカセッテ24a、24bを一部分重複して並べて使用に供する場合」の「放射線画像の撮影」と、「医師18又は担当する放射線技師」が「長尺なカセッテ24eを選択した場合」の「放射線画像の撮影」とを行うことができる「放射線画像撮影システム10」と、本件発明1の「複数の放射線画像撮影装置と、複数の前記放射線画像撮影装置を装填可能な装填手段と、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置と、を備え、複数の前記放射線画像撮影装置を用いる長尺撮影と、1つの前記放射線画像撮影装置を用いる単純撮影の両方の撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システム」とは、「複数の放射線画像撮影装置と、複数の前記放射線画像撮影装置を支持可能な支持手段と、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置と、を備え、複数の前記放射線画像撮影装置を用いる長尺撮影と、1つの前記放射線画像撮影装置を用いる単純撮影の両方の撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システム」で共通する。

(ク)甲1発明は、「放射線画像の撮影を行う場合、医師18又は担当する放射線技師は、患者14と手術台16との間の所定位置に選択したカセッテ24を設置し、
例えば、長尺なカセッテ24eを選択した場合、医師18又は担当する放射線技師は、選択したカセッテ24eのコンソール28への入力(登録)操作を行い、
カセッテ24eを選択する入力操作が行われたとき、カセッテ24eを選択する入力操作が行われたことがコンソール28のカセッテ情報管理部104からコンソール送受信制御部220のカセッテ選択部232に伝えられ、カセッテ24eが選択されたことをカセッテ選択部232が認識すると、使用するコンソール送受信機96eを選択し、コンソール送受信機96eにのみ電力を供給」するものであるところ、「短尺のカセッテ24a、24bを一部分重複して並べて使用に供する場合、コンソール28の操作によりカセッテ24a、24bを使用することが選択されると、カセッテ選択部232は、コンソール送受信機96aとコンソール送受信機96bに電源を供給してスタンバイさせ」るときにも、「コンソール28の操作によりカセッテ24a、24bを使用することが選択されると、カセッテ選択部232は」、「カセッテ24a、24bが選択されたことを認識する」ことは明らかである。
ここで、甲1発明の「コンソール28は、・・・コンソール送受信機96・・・を備え、コンソール送受信機96は、・・・コンソール送受信制御部220と、・・・から構成され」ることから、「コンソール送受信制御部220のカセッテ選択部232」は、「コンソール28」が備えるものである。

(ケ)上記(ウ)、(エ)及び(ク)を踏まえると、甲1発明の「コンソール28」の「カセッテ選択部232」は「カセッテ24eが選択されたことを」「認識する」こと及び「カセッテ24a、24bが選択されたことを認識する」ことは、本件発明1の「前記制御装置は」、「前記装填手段における前記放射線画像撮影装置の装填状況を認識し」と、「前記制御装置は、前記支持手段における前記放射線画像撮影装置の設置状況を認識し」で共通する。

(コ)上記(オ)を踏まえると、甲1発明の「短尺のカセッテ24a、24bを一部分重複して並べて使用に供する場合」、「患者14と手術台16との間の所定位置に選択したカセッテ24を設置し」、「コンソール28の操作によりカセッテ24a、24bを使用することが選択される」ときは、本件発明1の「これから行う撮影が、前記長尺撮影である場合」に相当する。

(サ)甲1発明は、「ウェイクアップ信号を認識したカセッテ送受信制御部202は、切替信号Ssにより電源スイッチ45をオフ状態からオン状態に切り替え、カセッテ24eがスタンバイ状態(放射線画像の検出可能状態)にな」るものであるところ、「コンソール28の操作によりカセッテ24a、24bを使用することが選択され」、「ウェイクアップ信号が、カセッテ送受信機48a、48bで略同時に受信され、それぞれの電源スイッチ45をオン状態とし」た場合にも、「カセッテ24a、24b」が「スタンバイ状態(放射線画像の検出可能状態)」になることは明らかである。
そして、甲1発明の各「カセッテ2424a、24b」及び「カセッテ24e」の「電源スイッチ45をオフ状態からオン状態に切り替え」た各「カセッテ2424a、24b」及び「カセッテ24e」の「スタンバイ状態(放射線画像の検出可能状態)」は、本件発明1の「前記放射線画像撮影装置」の「撮影可能な状態」に相当する。

(シ)上記(ク)ないし(サ)を踏まえると、甲1発明の「放射線画像の撮影を行う場合、医師18又は担当する放射線技師は、患者14と手術台16との間の所定位置に選択したカセッテ24を設置し」、「短尺のカセッテ24a、24bを一部分重複して並べて使用に供する場合、コンソール28の操作によりカセッテ24a、24bを使用することが選択されると、カセッテ選択部232は、コンソール送受信機96aとコンソール送受信機96bに電源を供給してスタンバイさせ、コンソール送受信機96a、96bから搬送周波数f1-Δf、f2-Δfで略同時に送信されたウェイクアップ信号が、カセッテ送受信機48a、48bで略同時に受信され、それぞれの電源スイッチ45をオン状態とし」と、本件発明1の「前記制御装置は」、「前記装填手段における前記放射線画像撮影装置の装填状況を認識し」、「これから行う撮影が、前記長尺撮影である場合には、前記装填状況に基づき、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が同一方向に3つ連続していると判断した場合、または、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が2つ連続していると判断した場合のみ、前記装填手段に装填されている複数の前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態へと遷移させ」とは、「前記制御装置は、前記支持手段における前記放射線画像撮影装置の設置状況を認識し、これから行う撮影が、前記長尺撮影である場合には、前記設置状況に基づき、前記支持手段に設置されている複数の前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態へと遷移させ」で共通する。

(ス)上記(カ)を踏まえると、甲1発明の「長尺なカセッテ24eを選択した場合」、「患者14と手術台16との間の所定位置に選択したカセッテ24を設置し」、「医師18又は担当する放射線技師は、選択したカセッテ24eのコンソール28への入力(登録)操作を行い」、「カセッテ24eを選択する入力操作が行われたとき」は、本件発明1の「これから行う撮影が、前記単純撮影である場合」に相当する。

(セ)甲1発明において、使用しないカセッテ24を選択する必要がないことは自明であるから、「長尺なカセッテ24eを選択した場合」、他のカセッテ24a?24dを選択する入力操作は行われず、カセッテ24a?24dに対してウェイクアップ信号(起動信号)は送信されない。

(ソ)上記(サ)、(ス)及び(セ)を踏まえると、甲1発明の「長尺なカセッテ24eを選択した場合」、「患者14と手術台16との間の所定位置に選択したカセッテ24を設置し」、「医師18又は担当する放射線技師は、選択したカセッテ24eのコンソール28への入力(登録)操作を行い」、「カセッテ24eを選択する入力操作が行われたとき、カセッテ24eを選択する入力操作が行われたことがコンソール28のカセッテ情報管理部104からコンソール送受信制御部220のカセッテ選択部232に伝えられ、カセッテ24eが選択されたことをカセッテ選択部232が認識すると、使用するコンソール送受信機96eを選択し、コンソール送受信機96eにのみ電力を供給し」、「次いで、カセッテ選択部232は、ウェイクアップ信号(起動信号)をコンソール送受信機96eから搬送周波数f5-Δfの無線電波で送信し、この搬送周波数f5-Δfの無線電波は、カセッテ送受信機48a?48e中、カセッテ送受信機48eのアンテナ203、アンテナ共用器205を通じてのみ受信され、カセッテ送受信機48eの受信部208で復調され、カセッテ送受信制御部202で自己のウェイクアップ信号を受信したことを認識し」、「ウェイクアップ信号を認識したカセッテ送受信制御部202は、切替信号Ssにより電源スイッチ45をオフ状態からオン状態に切り替え、カセッテ24eがスタンバイ状態(放射線画像の検出可能状態)にな」ることは、本件発明1の「前記制御装置は」、「これから行う撮影が、前記単純撮影である場合には、複数の前記放射線画像撮影装置のうちの一の前記放射線画像撮影装置のみを撮影可能な状態へと遷移させること」に相当する。

イ そうすると、本件発明1と甲1発明とは、

「 複数の放射線画像撮影装置と、複数の前記放射線画像撮影装置を支持可能な支持手段と、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置と、を備え、複数の前記放射線画像撮影装置を用いる長尺撮影と、1つの前記放射線画像撮影装置を用いる単純撮影の両方の撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムであって、
前記制御装置は、
前記支持手段における前記放射線画像撮影装置の設置状況を認識し、
これから行う撮影が、前記長尺撮影である場合には、前記設置状況に基づき、前記支持手段に設置されている複数の前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態へと遷移させ、
これから行う撮影が、前記単純撮影である場合には、複数の前記放射線画像撮影装置のうちの一の前記放射線画像撮影装置のみを撮影可能な状態へと遷移させることを特徴とする放射線画像撮影システム。」

の発明である点において一致し、次の相違点1及び2において相違する。

(相違点1)
複数の前記放射線画像撮影装置を支持可能な支持手段が、本件発明1においては、「複数の前記放射線画像撮影装置を装填可能な装填手段」であり、それに伴い、「制御手段」が「前記装填手段における前記放射線画像撮影装置の装填状況を認識」するのに対し、甲1発明においては、「患者14と」「の間の所定位置に選択したカセッテ24を設置」することができる「手術台16」であり、「コンソール28」の「カセッテ選択部232」が、「選択」されて「患者14と手術台16との間の所定位置に」「設置」された「カセッテ24」を「認識」する点。

(相違点2)
「これから行う撮影が、前記長尺撮影である場合」の「制御手段」が「前記設置状況に基づき、前記支持手段に設置されている複数の前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態へと遷移させ」る制御について、本件発明1においては、「前記装填状況に基づき、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が同一方向に3つ連続していると判断した場合、または、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が2つ連続していると判断した場合のみ」行うことが特定されているのに対し、甲1発明においては、「患者14と手術台16との間の」「短尺のカセッテ24a、24b」の「設置」位置を判断して行うものではない点。

ウ 事案に鑑み、最初に上記相違点2について検討する。

(ア)甲3技術事項の「患者「A」に関する「全下肢」を撮影部位とする長尺撮影に関する撮影オーダー情報と、同じ患者「A」に関する「胸部正面」、「頚椎側面」及び「腹部正面」の3つの単独の放射線画像撮影に関する撮影オーダー情報とを選択した場合に、放射線画像撮影装置1が長尺撮影用の撮影台50ではなく、それとは別の立位撮影用の撮影台に装着されていると、コンソール90の表示部91上の表示は、長尺撮影用の画面H3や仮設定画面H2ではなく、通常撮影用の画面H4に切り替わり、長尺撮影ではなく「胸部正面」の放射線画像撮影に対応するアイコンI2がフォーカスされて表示され、操作者がコンソール90を操作して表示部91上に長尺撮影用の画面H3や仮設定画面H2を表示させる長尺撮影を行うための操作を行った場合には、「長尺撮影用の撮影台に放射線画像撮影装置を装着してください」等の表示を行ったり音声を発声する等して、操作者に告知するように構成されており」から、長尺撮影用の撮影台50ではなく立位撮影用の撮影台に放射線画像撮影装置1が装着されている状態で操作者がコンソール90を操作して長尺撮影を行うための操作を行うと、長尺撮影用の撮影台50に放射線画像撮影装置1を装着するよう操作者に告知することが読み取れる。
しかしながら、甲3技術事項は、複数の放射線画像撮影装置1を用いて長尺撮影を行うものではないし、各撮影台への放射線画像撮影装置1の装着の有無を判断して放射線画像撮影装置1のスリープ状態から撮影可能状態への切替えを制御するものでもない。

(イ)甲6技術事項の「撮影台12は、放射線画像撮影装置20Aを収容し、
放射線画像撮影装置20Aは、撮影台12の内部に配置され、1種類且つ同一形状の3つの放射線検出ユニット30a?30cと、該放射線検出ユニット30a?30c間を電気的に且つ機械的に接続する2つのコネクタ(接続部)32とを有し、
各放射線検出ユニット30a?30cは、それぞれが単独でも通常撮影を行うことが可能な電子カセッテであり、
長尺撮影を行うことが可能な、放射線画像撮影システム10A」から、撮影台12の内部に3つの放射線検出ユニット30a?30cを配置して長尺撮影を行うことが読み取れる。
しかしながら、甲6技術事項は、3つの放射線検出ユニット30a?30cの撮影台12内部における配置の連続性を判断して放射線検出ユニット30a?30cのスリープ状態から撮影可能状態への切替えを制御するものではない。

(ウ)甲9技術事項の「2個のX線画像検出器27a、27bはキャリッジ30とこのキャリッジ30を支持する短手方向を向く2対のレール31とから成る保持機構32により枠体24に保持されていて、・・・2個のX線画像検出器27a、27bは2個隣接して配置されており、双方同時に使用して撮影することもでき・・・長尺の撮影範囲を撮影することも可能」から、キャリッジ30に保持された2個のX線画像検出器27a、27bを使用して長尺の撮影範囲を撮影することが読み取れる。
しかしながら、甲9技術事項は、2個のX線画像検出器27a、27bのキャリッジ30への配置を判断して、X線画像検出器27a、27bのスリープ状態から撮影可能状態への切替えを制御するものではない。

(エ)甲10技術事項の「可搬型平面検出器10が正しく装着されていることを検出する安全装置としてのX線制御器30を備え、
支持体21に可搬型平面検出器10が正しく装着されていることを示す所定の出力信号が、X線制御器30から制御部40へ供給されていれば、オペレータがX線照射ボタンを押すことによって、制御部40はX線発生部50や電源部70に対してX線の照射を可能にする照射信号を供給し、X線制御器30から所定の信号が制御部40へ供給されていなければ、オペレータがX線照射ボタンを押しても、X線発生部50は動作せず、X線は照射されることはない」から、支持体21への可搬型平面検出器10の装着を検出して、可搬型平面検出器10が支持体21へ装着されている場合のみ、X線照射ボタンによるX線の照射を可能にすることが読み取れる。
しかしながら、甲10技術事項は、複数の可搬型平面検出器10を用いて長尺撮影を行うものではないし、支持体21への可搬型平面検出器10の装着を検出して可搬型平面検出器10のスリープ状態から撮影可能状態への切替えを制御するものでもない。

(オ)甲11技術事項の「ブッキー装置3のカセッテ保持部31には、放射線画像検出器2が装填されたことを物理的に検出するマイクロスイッチ等の装填検出装置や、放射線画像検出器2が正常に装填された場合に放射線画像検出器2の端子と接続する電極等が設けられており、
装填検出装置や電極等からの信号に基づいて放射線画像検出器2が正常に装填されたことを検知すると、コンソール8に対して放射線画像検出器2が装填されたことを表す信号及びカセッテID等の情報を通知し、・・・放射線画像検出器2が正常に装填されたことを検知した時点で初めて操作者による操作入力部を介した操作部32の操作を可能とするようになっている」から、ブッキー装置3のカセッテ保持部31への放射線画像検出器2の装填を検出して、操作者による操作入力部を介した操作部32の操作を可能とすることが読み取れる。
しかしながら、甲11技術事項は、複数の可搬型平面検出器10を用いて長尺撮影を行うものではないし、ブッキー装置3のカセッテ保持部31への放射線画像検出器2の装填を検出して可搬型平面検出器10のスリープ状態から撮影可能状態への切替えを制御するものでもない。

(カ)また、甲2技術事項ないし甲5技術事項、甲7技術事項及び甲8技術事項も、上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を開示又は示唆するものではない。

(キ)そうすると、甲1ないし11に触れた当業者といえども、上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を容易に想起し得たとはいえない。

エ したがって、上記相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2技術事項ないし甲11技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)甲9発明を主引用発明とした場合について

ア 本件発明1と甲9発明とを対比する。

(ア)甲9発明の「2個のX線画像検出器27a、27b」は、本件発明1の「複数の放射線画像撮影装置」に相当する。

(イ)甲9発明の「2個のX線画像検出器27a、27bを着脱可能に支持するトレイ30aとキャリッジ下部30bから成」る「キャリッジ30」により「天板26の下部に」「2個のX線画像検出器27a、27bが移動自在に配置され」る「寝台21’」は、本件発明1の「複数の前記放射線画像撮影装置を装填可能な装填手段」に相当する。

(ウ)甲9発明の「2個のX線画像検出器27a、27b」が「接続され」る「制御部71」は、本件発明1の「前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置」に相当する。

(エ)甲9発明の「2個のX線画像検出器27a、27bは2個隣接して配置されており、双方同時に使用して撮影すること」である「長尺の撮影範囲を撮影すること」は、本件発明1の「複数の前記放射線画像撮影装置を用いる長尺撮影」に相当する。

(オ)甲9発明の「2個のX線画像検出器27a、27bは2個隣接して配置されており」、「何れか一方を選択して単独で撮影すること」は、本件発明1の「1つの前記放射線画像撮影装置を用いる単純撮影」に相当する。

(カ)甲9発明の「X線画像撮影装置」は、本件発明1の「放射線画像撮影システム」に相当する。

(キ)上記(ア)ないし(カ)を踏まえると、甲9発明の「寝台21’は基台22によりその上面が床に対して上下動自在の構造とされ、基台22の上部に」「設置され」た「枠体24上には、被検者を横臥させるための天板26が構設されており」、「天板26の下部には、フラットパネルセンサと呼ばれる大判の固体撮像素子から成る2個のX線画像検出器27a、27bが移動自在に配置されており」、「2個のX線画像検出器27a、27bはキャリッジ30とこのキャリッジ30を支持する短手方向を向く2対のレール31とから成る保持機構32により枠体24に保持されていて、キャリッジ30は2個のX線画像検出器27a、27bを着脱可能に支持するトレイ30aとキャリッジ下部30bから成り」、「2個のX線画像検出器27a、27bは制御部71に接続され」、「2個のX線画像検出器27a、27bは2個隣接して配置されており、双方同時に使用して撮影することもできるし、何れか一方を選択して単独で撮影することができ」、「長尺の撮影範囲を撮影することも可能な、X線画像撮影装置」は、本件発明1の「複数の放射線画像撮影装置と、複数の前記放射線画像撮影装置を装填可能な装填手段と、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置と、を備え、複数の前記放射線画像撮影装置を用いる長尺撮影と、1つの前記放射線画像撮影装置を用いる単純撮影の両方の撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システム」に相当する。

(ク)上記(イ)を踏まえると、甲9発明の「2個のX線画像検出器27a、27bはキャリッジ30とこのキャリッジ30を支持する短手方向を向く2対のレール31とから成る保持機構32により枠体24に保持されていて、キャリッジ30は2個のX線画像検出器27a、27bを着脱可能に支持するトレイ30aとキャリッジ下部30bから成り、通常の撮影時にはトレイ30aとキャリッジ下部30b同士は固定されていて一体となっており」、「2個のX線画像検出器27a、27bは2個隣接して配置されており、双方同時に使用して撮影すること」である「長尺の撮影範囲を撮影する」ときは、本件発明1の「これから行う撮影が、前記長尺撮影である場合」に相当する。

(ケ)甲9発明の「2個のX線画像検出器27a、27bは2個隣接して配置されており」、「何れか一方を選択して単独で撮影する」ときは、本件発明1の「これから行う撮影が、前記単純撮影である場合」に相当する。

(コ)甲9発明において、「2個のX線画像検出器27a、27b」の「双方同時に使用して撮影する」とき、それらが撮影可能な状態にあり、「2個のX線画像検出器27a、27b」の「何れか一方を選択して単独で撮影する」とき、選択された一方のみが撮影可能な状態にあることは、明らかである。

(サ)上記(ク)ないし(コ)を踏まえると、甲9発明の「2個のX線画像検出器27a、27bはキャリッジ30とこのキャリッジ30を支持する短手方向を向く2対のレール31とから成る保持機構32により枠体24に保持されていて、キャリッジ30は2個のX線画像検出器27a、27bを着脱可能に支持するトレイ30aとキャリッジ下部30bから成り、通常の撮影時にはトレイ30aとキャリッジ下部30b同士は固定されていて一体となっており」、「2個のX線画像検出器27a、27bは2個隣接して配置されており、双方同時に使用して撮影すること」である「長尺の撮影範囲を撮影する」ときもあれば、「何れか一方を選択して単独で撮影する」ときもあることと、本件発明1の「前記制御装置は、
前記装填手段における前記放射線画像撮影装置の装填状況を認識し、
これから行う撮影が、前記長尺撮影である場合には、前記装填状況に基づき、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が同一方向に3つ連続していると判断した場合、または、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が2つ連続していると判断した場合のみ、前記装填手段に装填されている複数の前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態へと遷移させ、
これから行う撮影が、前記単純撮影である場合には、複数の前記放射線画像撮影装置のうちの一の前記放射線画像撮影装置のみを撮影可能な状態へと遷移させること」とは、「これから行う撮影が、前記長尺撮影である場合には、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が連続している、前記装填手段に装填されている複数の前記放射線画像撮影装置は撮影可能な状態であり、
これから行う撮影が、前記単純撮影である場合には、複数の前記放射線画像撮影装置のうちの一の前記放射線画像撮影装置のみが撮影可能な状態であること」で共通する。

イ そうすると、本件発明1と甲9発明とは、

「 複数の放射線画像撮影装置と、複数の前記放射線画像撮影装置を装填可能な装填手段と、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置と、を備え、複数の前記放射線画像撮影装置を用いる長尺撮影と、1つの前記放射線画像撮影装置を用いる単純撮影の両方の撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムであって、
これから行う撮影が、前記長尺撮影である場合には、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が連続している、前記装填手段に装填されている複数の前記放射線画像撮影装置は撮影可能な状態であり、
これから行う撮影が、前記単純撮影である場合には、複数の前記放射線画像撮影装置のうちの一の前記放射線画像撮影装置のみが撮影可能な状態である、
放射線画像撮影システム。」

の発明である点において一致し、次の相違点3及び4において相違する。

(相違点3)
これから行う撮影が、前記長尺撮影である場合には、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が連続している、前記装填手段に装填されている複数の前記放射線画像撮影装置は撮影可能な状態であることについて、本件発明1においては、「制御装置」が「前記装填手段における前記放射線画像撮影装置の装填状況を認識し」、「前記装填状況に基づき、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が同一方向に3つ連続していると判断した場合、または、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が2つ連続していると判断した場合のみ、前記装填手段に装填されている複数の前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態へと遷移させ」るのに対し、甲9発明においては、3個の「X線画像検出器27」を隣接して配置して長尺の撮影範囲を撮影することは特定されていないとともに、「制御部71」が「寝台21’」の「キャリッジ30」による「2個のX線画像検出器27a、27b」の配置状態を認識し、当該配置状態に基づいて2個のX線画像検出器27a、27bの配置位置が連続していると判断したことにより2個のX線画像検出器27a、27bを撮影可能な状態へと遷移させることも特定されていない点。

(相違点4)
これから行う撮影が、前記単純撮影である場合には、複数の前記放射線画像撮影装置のうちの一の前記放射線画像撮影装置のみが撮影可能な状態であるについて、本件発明1においては、「制御装置」が「複数の前記放射線画像撮影装置のうちの一の前記放射線画像撮影装置のみを撮影可能な状態へと遷移させる」のに対し、甲9発明においては、「制御部71」が「2個のX線画像検出器27a、27b」のうち一方のみをを撮影可能な状態へと遷移させることは特定されていない点。

ウ 上記相違点3について検討する。

(ア)甲1技術事項の「カセッテ24eを選択する入力操作が行われたとき、カセッテ24eを選択する入力操作が行われたことがコンソール28のカセッテ情報管理部104からコンソール送受信制御部220のカセッテ選択部232に伝えられ、カセッテ24eが選択されたことをカセッテ選択部232が認識すると、・・・、ウェイクアップ信号(起動信号)をコンソール送受信機96eから搬送周波数f5-Δfの無線電波で送信し、・・・カセッテ送受信機48eのアンテナ203、アンテナ共用器205を通じてのみ受信され、切替信号Ssにより電源スイッチ45をオフ状態からオン状態に切り替え、カセッテ24eがスタンバイ状態(放射線画像の検出可能状態)になり、・・・コンソール28の操作によりカセッテ24a、24bを使用することが選択されると、・・・送信されたウェイクアップ信号が、カセッテ送受信機48a、48bで略同時に受信され、それぞれの電源スイッチ45をオン状態とし」から、コンソール28に対して使用するカセッテ24を選択する入力操作を行うと、選択されたカセッテ24のみが放射線画像の検出可能状態になることが読み取れる。
しかしながら、甲1技術事項は、装填手段にカセッテ24a、24bを装填するものではなく、24a、24bの連続配置を判断して放射線画像の検出可能状態に制御するものでもない。

(イ)甲2技術事項の「センサ切替部113は、ユーザインターフェース114を用いたユーザ116からの動作指示、特に、電子カセッテ101a,101bの切替指示を受けると、当該指示情報(センサ切替情報)を撮像制御部107へ供給し、撮像制御部107は、センサ切替部113からのセンサ切替情報を受け取ると、当該情報に基づき、電子カセッテ101a,101bのうち撮影に使用する電子カセッテを切り替え、・・・カセッテ101a,101bは、ユーザ116からの検出器準備要求又は撮影要求が発行されるまで、パワー制御信号が0FFとなった状態で待機し、・・・撮像制御器107は、X線発生器117を撮影レディ状態に遷移させる共に、カセッテ101a,101bを撮影準備状態へ移行させる制御指示を出し、これを受けたカセッテ101a,101bは、光検出器アレー401へバイアスを印加すると共に、撮影準備のための動作を開始し」から、撮像制御部107は、ユーザ116からの電子カセッテ101a,101bの切替指示に従って、パワー制御信号が0FFとなった状態で待機していたカセッテ101a,101bを撮影準備状態へ移行させることが読み取れる。
しかしながら、甲2技術事項は、装填手段にカセッテ101a,101bを装填するものではなく、カセッテ101a,101bの連続配置を判断して撮影準備状態へ移行させるように制御するものでもない。

(ウ)甲3技術事項の「患者「A」に関する「全下肢」を撮影部位とする長尺撮影に関する撮影オーダー情報と、同じ患者「A」に関する「胸部正面」、「頚椎側面」及び「腹部正面」の3つの単独の放射線画像撮影に関する撮影オーダー情報とを選択した場合に、放射線画像撮影装置1が長尺撮影用の撮影台50ではなく、それとは別の立位撮影用の撮影台に装着されていると、コンソール90の表示部91上の表示は、長尺撮影用の画面H3や仮設定画面H2ではなく、通常撮影用の画面H4に切り替わり、長尺撮影ではなく「胸部正面」の放射線画像撮影に対応するアイコンI2がフォーカスされて表示され、操作者がコンソール90を操作して表示部91上に長尺撮影用の画面H3や仮設定画面H2を表示させる長尺撮影を行うための操作を行った場合には、「長尺撮影用の撮影台に放射線画像撮影装置を装着してください」等の表示を行ったり音声を発声する等して、操作者に告知するように構成されており」から、長尺撮影用の撮影台50ではなく立位撮影用の撮影台に放射線画像撮影装置1が装着されている状態で操作者がコンソール90を操作して長尺撮影を行うための操作を行うと、長尺撮影用の撮影台50に放射線画像撮影装置1を装着するよう操作者に告知することが読み取れる。
しかしながら、甲3技術事項は、複数の放射線画像撮影装置1を用いて長尺撮影を行うものではないし、各撮影台への放射線画像撮影装置1の装着の有無を判断して放射線画像撮影装置1のスリープ状態から撮影可能状態への切替えを制御するものでもない。

(エ)甲10技術事項の「可搬型平面検出器10が正しく装着されていることを検出する安全装置としてのX線制御器30を備え、
支持体21に可搬型平面検出器10が正しく装着されていることを示す所定の出力信号が、X線制御器30から制御部40へ供給されていれば、オペレータがX線照射ボタンを押すことによって、制御部40はX線発生部50や電源部70に対してX線の照射を可能にする照射信号を供給し、X線制御器30から所定の信号が制御部40へ供給されていなければ、オペレータがX線照射ボタンを押しても、X線発生部50は動作せず、X線は照射されることはない」から、支持体21への可搬型平面検出器10の装着を検出して、可搬型平面検出器10が支持体21へ装着されている場合のみ、X線照射ボタンによるX線の照射を可能にすることが読み取れる。
しかしながら、甲10技術事項は、複数の可搬型平面検出器10を用いて長尺撮影を行うものではないし、支持体21への可搬型平面検出器10の装着を検出して可搬型平面検出器10のスリープ状態から撮影可能状態への切替えを制御するものでもない。

(オ)甲11技術事項の「ブッキー装置3のカセッテ保持部31には、放射線画像検出器2が装填されたことを物理的に検出するマイクロスイッチ等の装填検出装置や、放射線画像検出器2が正常に装填された場合に放射線画像検出器2の端子と接続する電極等が設けられており、
装填検出装置や電極等からの信号に基づいて放射線画像検出器2が正常に装填されたことを検知すると、コンソール8に対して放射線画像検出器2が装填されたことを表す信号及びカセッテID等の情報を通知し、・・・放射線画像検出器2が正常に装填されたことを検知した時点で初めて操作者による操作入力部を介した操作部32の操作を可能とするようになっている」から、ブッキー装置3のカセッテ保持部31への放射線画像検出器2の装填を検出して、操作者による操作入力部を介した操作部32の操作を可能とすることが読み取れる。
しかしながら、甲11技術事項は、複数の可搬型平面検出器10を用いて長尺撮影を行うものではないし、ブッキー装置3のカセッテ保持部31への放射線画像検出器2の装填を検出して可搬型平面検出器10のスリープ状態から撮影可能状態への切替えを制御するものでもない。

(カ)また、甲4技術事項ないし甲8技術事項も、上記相違点3に係る本件発明1の発明特定事項を開示又は示唆するものではない。

(キ)そうすると、甲1ないし11に触れた当業者といえども、上記相違点3に係る本件発明1の発明特定事項を容易に想起し得たとはいえない。

エ したがって、上記相違点4について検討するまでもなく、本件発明1は、甲9発明、甲1技術事項ないし甲8技術事項、甲10技術事項及び甲11技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 本件発明2ないし7について

本件発明2ないし7は、本件発明1の発明特定事項を全て含むものであるところ、本件発明1が甲1発明及び甲2技術事項ないし甲11技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないことは、上記1(1)で検討したとおりであり、また、本件発明1が甲9発明、甲1技術事項ないし甲8技術事項、甲10技術事項及び甲11技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないことは、上記1(2)で検討したとおりであるから、本件発明2ないし7も本件発明1と同じ理由により、甲1発明及び甲2技術事項ないし甲11技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないし、甲9発明、甲1技術事項ないし甲8技術事項、甲10技術事項及び甲11技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

3 小括

以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由によっては、本件請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。


第7 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について

1 特許法第29条第1項第3号に係る特許異議申立理由について

(1)申立人は、特許異議申立書において、本件の請求項1、4、5及び7に係る発明は、甲1に記載された発明であるから特許法第29条第1項第3号に該当し、その特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである旨主張している。
しかしながら、上記第6の1(1)イで示したように、本件発明1と甲1発明とは、上記相違点1及び2において相違するから、本件発明1は、甲1発明でない。
そして、本件発明4、5及び7は、本件発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本件発明1と同じ理由により、甲1発明でない。

(2)申立人は、特許異議申立書において、本件の請求項1、4、5及び7に係る発明は、甲2に記載された発明であるから特許法第29条第1項第3号に該当し、その特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである旨主張している。
しかしながら、上記第6の1(1)ウ(カ)で述べたように、甲2技術事項(甲2発明)は上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を開示するものではないから、本件発明1は、甲2発明でない。
そして、本件発明4、5及び7は、本件発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本件発明1と同じ理由により、甲2発明でない。

2 特許法第29条第2項に係る特許異議申立理由について

(1)申立人は、特許異議申立書において、本件の請求項1ないし7に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲3ないし甲7に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである旨主張し、令和2年2月25日提出の意見書において、本件の請求項1ないし7に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲3ないし甲11に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである旨主張している。
しかしながら、上記第6の1(1)で検討したように、本件発明1は、甲1発明及び甲2技術事項ないし甲11技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
そして、上記第6の2で示したように、本件発明2ないし7は、甲1発明及び甲2技術事項ないし甲11技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)申立人は、特許異議申立書において、本件の請求項1ないし7に係る発明は、甲2に記載された発明及び甲3ないし甲7に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである旨主張し、令和2年2月25日提出の意見書において、本件の請求項1ないし7に係る発明は、甲2に記載された発明及び甲3ないし甲11に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである旨主張している。
しかしながら、上記第6の1(1)で検討したように、甲2技術事項(甲2発明)を考慮しても、当業者が上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を容易に想起し得たとはいえないことから、甲2発明を主引用発明とした場合であっても、本件発明1は、甲2発明及び甲3技術事項ないし甲11技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
そして、本件発明2ないし7は、本件発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、甲2発明及び甲3技術事項ないし甲11技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 小括

以上のとおりであるから、申立人の上記特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。


第8 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
放射線画像撮影システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システムに係り、特に、いわゆる長尺撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の上半身や下半身等の比較的広い範囲を撮影する方法として、放射線画像撮影装置(Flat Panel Detector)を、撮影される被写体の体軸に沿って位置を変えながら放射線照射装置から放射線を照射して複数枚の放射線画像を撮影する、いわゆる長尺撮影が知られている。そして、通常、長尺撮影で得られた複数枚の放射線画像が画像処理でつなぎ合わされて1枚の放射線画像とされる。このような長尺撮影を行う放射線画像撮影システムの構成としては、種々の構成が知られているが、その中の1つとして、例えば図22に示すような放射線画像撮影システムが知られている。
【0003】
すなわち、この場合の放射線画像撮影システムは、放射線照射装置100と放射線画像撮影装置101との間に、図示しない開口を有するコリメーター(collimator)102を配置し、放射線照射装置Sからの放射線の照射方向や照射領域を変えずに、放射線画像撮影装置101の位置を被写体Hの体軸Aに沿って移動させるのにあわせてコリメーター102を被写体Hの体軸方向に移動させて開口の位置等を変える。そして、このようにしてコリメーター102の開口で放射線照射装置Sから照射される放射線の照射野を放射線画像撮影装置101を含む必要な範囲のみに放射が照射されるように制限した状態で、放射線画像撮影装置101が位置を変えるごとに放射線照射装置Sから放射線を照射して、すなわち複数回の放射線照射を行って複数枚の放射線画像を撮影する。そして、図示しないコンソールで複数枚の放射線画像をつなぎ合わせて1枚の長尺撮影の放射線画像を生成するように構成される(例えば特許文献1等参照)。
【0004】
なお、図22では、放射線画像撮影装置101を上下2箇所の位置に移動させて撮影を行う場合が示されているが、放射線画像撮影装置101を何箇所の位置に移動させるかは使用される放射線画像撮影装置101の大きさや撮影部位等に応じて適宜決められる。また、図示を省略するが、図22に示したように被写体Hが起立した状態すなわち立位の撮影の場合だけでなく、被写体Hが横臥した状態すなわち臥位で撮影を行う場合にも、同様にして長尺撮影を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-226243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図22に示したコリメーター102を用いる放射線画像撮影システムのみならず、少なくとも放射線画像撮影装置101を被写体Hの体軸A方向に移動させながら複数枚の放射線画像を撮影して長尺撮影を行う従来の放射線画像撮影システムの場合、放射線画像撮影装置101が移動する間に被写体Hが動くという問題(すなわちいわゆる体動の問題)が少なからず発生する。そして、複数枚の放射線画像のうち1枚でも体動が発生していると、当該放射線画像のみを再撮影して画像合成処理を行っても適切な長尺画像を得ることは困難であり、複数枚の放射線画像全部を再撮影しなければならなくなり、患者の被曝線量が増大してしまうという問題があった。
【0007】
このような問題を解決するためには、後述する本発明の放射線画像撮影システムのように(後述する図1等参照)、複数の放射線画像撮影装置を被写体の体軸(図1中のA参照)の方向に並べて配置しておき、それらの放射線画像撮影装置に対して放射線照射装置から1回だけ(すなわち1ショットで)放射線を照射して複数枚の放射線画像を撮影するように構成することが効果的である。
【0008】
しかし、予め複数の放射線画像撮影装置が被写体の体軸方向に配置された長尺撮影専用の撮影台を、病院等の施設に新たに導入することは、このような撮影台が高価であることや、1つの放射線画像撮影装置に対して放射線照射装置から放射線を1回照射して行う通常の撮影(以下、単純撮影という。)の撮影頻度に比べて長尺撮影の撮影頻度が高くないことから、費用対効果等の点からも必ずしも容易に実施できることではない。
【0009】
そのため、施設に既に設置されている、複数のCR(Computed Radiography)カセッテを装填する長尺撮影用のブッキー装置を用い、或いは長尺撮影用のブッキー装置を安価に製造し、それに、可搬型(カセッテ型等ともいう。)の放射線画像撮影装置を必要な個数だけ装填して長尺撮影を行うことができるように放射線画像撮影システムを構成することが望ましい。このように構成すれば、放射線科内での主流業務である単純撮影に使用できる可搬型放射線画像撮影装置を用いて長尺撮影も行うことが可能となり、放射線科の放射線画像撮影システム全体のコストパフォーマンスや撮影効率等をより向上させることが可能となる。
【0010】
しかし、このように構成すると、同じ可搬型放射線画像撮影装置を用いて単純撮影と長尺撮影のいずれの撮影も行うことが可能としたことに伴って、放射線画像撮影システムに種々の不具合が発生する虞れがある。
【0011】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、可搬型放射線画像撮影装置を用いて単純撮影と長尺撮影のいずれの撮影も的確に行うことが可能な放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影システムは、
複数の放射線画像撮影装置と、複数の前記放射線画像撮影装置を装填可能な装填手段と、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置と、を備え、複数の前記放射線画像撮影装置を用いる長尺撮影と、1つの前記放射線画像撮影装置を用いる単純撮影の両方の撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムであって、
前記制御装置は、
前記装填手段における前記放射線画像撮影装置の装填状況を認識し、
これから行う撮影が、前記長尺撮影である場合には、前記装填状況に基づき、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が同一方向に3つ連続していると判断した場合、または、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が2つ連続していると判断した場合のみ、前記装填手段に装填されている複数の前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態へと遷移させ、
これから行う撮影が、前記単純撮影である場合には、複数の前記放射線画像撮影装置のうちの一の前記放射線画像撮影装置のみを撮影可能な状態へと遷移させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のような方式の放射線画像撮影システムによれば、可搬型放射線画像撮影装置を用いて単純撮影と長尺撮影のいずれの撮影も的確に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成を示す図である。
【図2】複数の撮影室と単数または複数のコンソールとが対応付けられて構成された放射線画像撮影システムの構成例を表す図である。
【図3】放射線画像撮影装置がクレードルに挿入され、コネクター同士が接続された状態を表す断面図である。
【図4】検知手段としてタグリーダーを備える構成例を示す図である。
【図5】(A)放射線発生装置の曝射スイッチを表す図であり、(B)ボタンを半押しした状態、(C)ボタンを全押しした状態を表す図である。
【図6】可搬型放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図7】可搬型放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
【図8】連携方式で撮影を行う場合に各走査線にオン電圧を印加するタイミング等を説明するタイミングチャートである。
【図9】リークデータに基づいて放射線の照射開始を検出する非連携方式の場合に各走査線にオン電圧を印加するタイミング等を説明するタイミングチャートである。
【図10】図8に示した処理シーケンスが繰り返されてオフセットデータの読み出し処理が行われることを表すタイミングチャートである。
【図11】撮影オーダー情報の一例を示す図である。
【図12】撮影オーダー情報を表示する選択画面の一例を示す図である。
【図13】各撮影オーダー情報に対応する各アイコン等を表示する画面の一例を示す図である。
【図14】撮影室内に存在する放射線画像撮影装置に対応するアイコンが表示された選択画面の一例を示す図である。
【図15】図14の選択画面で放射線画像撮影装置が装填されたブッキー装置に対応するアイコンの表示例を示す図である。
【図16】図14の選択画面で放射線画像撮影装置に対応するアイコンが選択された場合の表示例を表す図である。
【図17】図13の画面上のフォーカス表示されたアイコン上にプレビュー画像や放射線画像が表示されることを表す図である。
【図18】(A)長尺撮影において放射線画像撮影装置ごとに算出された真の画像データ、および(B)真の画像データを合成して長尺画像データを生成することを説明する図である。
【図19】放射線画像撮影装置のコネクターにブッキー装置のコネクターが接続された状態を表す図である。
【図20】(A)長尺撮影用のブッキー装置に3個の放射線画像撮影装置を装填した状態を表す図であり、(B)中央の装填位置に放射線画像撮影装置が装填されていない状態を表す図である。
【図21】長尺撮影用のブッキー装置に3個の放射線画像撮影装置が(A)中央揃えに装填された状態とその際の照射野、(B)右揃えに装填された状態とその際の照射野を説明する図である。
【図22】長尺撮影を行う放射線画像撮影システムの従来の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る放射線画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成を示す図である。
【0018】
なお、以下の本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の基本的な構成等の説明においては、図1に示すように撮影室RaとコンソールCとが1:1に対応付けられている場合について説明するが、図2に示すように、複数の撮影室Ra(Ra1?Ra3)と単数または複数のコンソールC(C1、C2)とがネットワークN等を介して対応付けられている場合も同様に説明することが可能である。
【0019】
また、図1には、撮影室Ra内に長尺撮影用のブッキー装置51Aのみが設置されているように記載されているが、単純撮影に使用する立位撮影用のブッキー装置51Bや臥位撮影用のブッキー装置51C(図2参照)等が撮影室Ra内に設置されていてもよい。すなわち、撮影室Raが1つの場合は、当該撮影室Ra内に長尺撮影用のブッキー装置51Aが設置されていればよく、その他にどのようなモダリティーを撮影室Ra内に設置するかは適宜決められる。また、図2に示すように撮影室Raが複数の場合は、少なくともいずれかの1つの撮影室Raに長尺撮影用のブッキー装置51Aが設置されていればよく、当該撮影室Raや他の撮影室Raにどのようなモダリティーを撮影室Ra内に設置するかは適宜決められる。全ての撮影室Raに長尺撮影用のブッキー装置51Aが設置されていてもよい。
【0020】
さらに、長尺撮影用のブッキー装置51Aは、前述したように、CRカセッテやフィルムカセッテを複数個装填可能な1ショット長尺用のブッキー装置であったり、通電や通信機能等を有するブッキー装置であったりするが、それぞれの使用方法については後で詳しく説明する。また、図1や図2では、長尺撮影用のブッキー装置51Aとして、撮影室Ra内に立位の長尺撮影用のブッキー装置51Aが設置されている場合が記載されているが、図示を省略するが、撮影室Ra内に臥位の長尺撮影用のブッキー装置を設置することも可能であり、放射線画像撮影システム50が、長尺撮影用のブッキー装置51Aとして臥位の長尺撮影用のブッキー装置のみを備える場合にも、本発明を適用することが可能である。
【0021】
[放射線画像撮影システムの基本的な構成等について]
図1に示すように、本実施形態では、撮影室Ra(複数の撮影室Raを備える場合には少なくとも1つの撮影室Ra)には、長尺撮影を行うために複数の放射線画像撮影装置1を装填可能なブッキー装置51Aが配置されており、長尺撮影用のブッキー装置51Aは、そのカセッテホルダー51a内に、複数の放射線画像撮影装置1が被写体Hの体軸A方向に並ぶように装填することができるようになっている。
【0022】
なお、図1では、長尺撮影用のブッキー装置51Aのカセッテホルダー51aに、放射線画像撮影装置1を3個装填する場合が示されているが、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填される放射線画像撮影装置1の個数が3個の場合に限定されない。また、長尺撮影用のブッキー装置51Aや放射線画像撮影装置1の構成等については後で説明する。
【0023】
撮影室Raには、放射線照射装置52が設けられており、図1に示すように、長尺撮影に用いる放射線照射装置52は、被写体Hを介して、ブッキー装置52Aに装填された複数の放射線画像撮影装置1に同時に(すなわち1回の放射線の照射(いわゆる1ショット)で)放射線を照射することができるようにいわゆる広角照射タイプになっている。なお、長尺撮影用の放射線照射装置52を単純撮影を行う立位撮影用や臥位撮影用の放射線照射装置52と兼用とすることも可能であり、その場合、単純撮影を行う場合は、長尺撮影用の放射線照射装置52から照射される放射線の照射野をコリメーターで制限して照射するように構成することも可能である。
【0024】
また、撮影室Raには、撮影室Ra内の各装置等や撮影室Ra外の各装置等の間の通信等を中継するための中継器54が設けられている。なお、本実施形態では、中継器54には、放射線画像撮影装置1が無線方式で画像データDや信号等の送受信を行うことができるように、アクセスポイント53が設けられている。また、中継器54は、放射線照射装置55やコンソールCと接続されている。そして、中継器54には、放射線画像撮影装置1やコンソールC等から放射線照射装置55に送信するLAN(Local Area Network)通信用の信号等を放射線照射装置55用の信号等に変換し、また、その逆の変換も行う図示しない変換器が内蔵されている。
【0025】
本実施形態では、中継器54には、クレードル55が接続されている。図3に示すように、撮影室Raに持ち込まれた放射線画像撮影装置1がクレードル55に挿入されて、放射線画像撮影装置1の後述するコネクター27(後述する図6参照)とクレードル55のコネクター55aとが接続されると、放射線画像撮影装置1の識別情報であるカセッテID等が中継器54に通知されるようになっている。そして、中継器54は、クレードル55から放射線画像撮影装置1のカセッテIDが送信されてくると、カセッテIDをコンソールCや後述する管理装置S(図2参照)等に通知するようになっている。
【0026】
なお、クレードル55は、本来、放射線画像撮影装置1等を保管したり充電するために用いられるものであり、本実施形態においても、クレードル55が充電等の機能を有するように構成することも可能である。また、放射線画像撮影装置1がクレードル55に挿入された時点で、例えばクレードル55やコンソールC等から放射線画像撮影装置1に対して当該撮影室Rに設置されたアクセスポイント53のSSIDを通知するように構成することも可能である。さらに、図3では、放射線画像撮影装置1を挿入する挿入口が2個設けられたクレードル55が示されているが、挿入口は1個でもよく、或いは3個以上設けられていてもよい。また、クレードル55は撮影室Raと前室Rbのいずれに設置されてもよく、撮影室Raに設置される場合には、放射線照射装置52から照射される放射線が到達しない位置、すなわち、例えば撮影室Raのコーナーの位置等に設置される。
【0027】
放射線画像撮影装置1の撮影室Raや前室Rbへの進入を検知する検知手段として、本実施形態のようにクレードル55を用いる代わりに、例えば図4に示すように、例えば前室Rbや撮影室Raの扉付近にタグリーダー60を設けるように構成することも可能である。
【0028】
この場合、予め、放射線画像撮影装置1内に、いわゆるRFID(Radio Frequency IDentification)タグ等の図示しないタグを内蔵させておき、タグに放射線画像撮影装置1のカセッテID等の固有情報を記憶させておく。そして、放射線画像撮影装置1がタグリーダー60の近傍を通過して前室Rbや撮影室Raに持ち込まれたり持ち出されたりする際に、タグリーダー60が放射線画像撮影装置1のタグからカセッテID等の情報を読み取り、そのカセッテIDをコンソールCに通知したり、中継器54を介して管理装置S(図2参照)に通知したりするように構成することも可能である。
【0029】
図1に示すように、前室(操作室等ともいう。)Rbには、放射線照射装置の操作卓57が設けられており、操作卓57には、放射線技師等の操作者が操作して放射線照射装置52に対して放射線の照射開始等を指示するための曝射スイッチ56が設けられている。操作卓57では、放射線照射装置52に対して管電流や照射時間等を設定することができるようになっているが、本実施形態では、管電流等の設定をコンソールC上でも行うことができるようになっている。
【0030】
図5(A)に示すように、曝射スイッチ56にはボタン56aが設けられており、図5(B)に示すように、放射線技師等の操作者が曝射スイッチ56のボタン56aに対して1段目の操作(いわゆる半押し操作)を行うと、放射線照射装置52が起動する。そして、図5(C)に示すように、操作者が曝射スイッチ56のボタン56aに対して2段目の操作(いわゆる全押し操作)を行うと、放射線照射装置52から放射線が照射されるようになっている。なお、この放射線照射装置52からの放射線の照射等については後で説明する。
【0031】
[可搬型放射線画像撮影装置について]
ここで、コンソールCの説明を行う前に、放射線画像撮影システムで用いられる可搬型放射線画像撮影装置1について説明する。なお、以下では、可搬型放射線画像撮影装置を単に放射線画像撮影装置という。図6は、放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【0032】
本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、後述する放射線検出素子7等が筐体2内に収納されて構成されており、筐体2の一方の側面には、電源スイッチ25や切替スイッチ26、前述したコネクター27、インジケーター28等が配置されている。また、図示を省略するが、本実施形態では、筐体2の例えば反対側の側面等に、外部と無線通信を行うためのアンテナ29(後述する図7参照)が設けられている。なお、放射線画像撮影装置1は、外部と無線方式で通信を行う場合にはアンテナ29を用い、外部と有線方式で通信を行う場合にはコネクター27に図示しないケーブルを接続させて通信するようになっている。
【0033】
図7は、放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。図7に示すように、放射線画像撮影装置1には、図示しないセンサー基板上に複数の放射線検出素子7が二次元状(マトリクス状)に配列されている。各放射線検出素子7は、照射された放射線の量に応じた電荷を発生させるようになっている。各放射線検出素子7には、バイアス線9が接続されており、バイアス線9は結線10に接続されている。そして、結線10はバイアス電源14に接続されており、バイアス電源14からバイアス線9等を介して各放射線検出素子7に逆バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0034】
各放射線検出素子7には、スイッチ素子として薄膜トランジスター(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8が接続されており、TFT8は信号線6に接続されている。また、走査駆動手段15では、配線15cを介して電源回路15aから供給されたオン電圧とオフ電圧がゲートドライバー15bで切り替えられて走査線5の各ラインL1?Lxに印加されるようになっている。そして、各TFT8は、走査線5を介してオン電圧が印加されるとオン状態になって、放射線検出素子7内に蓄積された電荷を信号線6に放出させ、また、走査線5を介してオフ電圧が印加されるとオフ状態になって、放射線検出素子7と信号線6との導通を遮断して、放射線検出素子7内で発生した電荷を放射線検出素子7内に蓄積させるようになっている。
【0035】
読み出しIC16内には複数の読み出し回路17が設けられており、読み出し回路17にはそれぞれ信号線6が接続されている。そして、画像データDの生成処理の際には、放射線検出素子7から電荷が放出されると、電荷は信号線6を介して読み出し回路17に流れ込み、増幅回路18では流れ込んだ電荷の量に応じた電圧値が出力される。そして、相関二重サンプリング回路(図7では「CDS」と記載されている。)19は、増幅回路18から出力された電圧値をアナログ値の画像データDとして読み出して下流側に出力する。そして、出力された画像データDはアナログマルチプレクサー21を介してA/D変換器20に順次送信され、A/D変換器20でデジタル値の画像データDに順次変換され、記憶手段23に出力されて順次保存されるようになっている。
【0036】
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段23が接続されており、また、アンテナ29やコネクター27を介して外部と無線方式や有線方式で通信を行う通信部30が接続されている。さらに、制御手段22には、走査駆動手段15や読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各機能部に必要な電力を供給するバッテリー24等が接続されている。
【0037】
なお、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、ブッキー装置51に装填して撮影に用いることも可能であるが、図示を省略するが、ブッキー装置51に装填せずに、いわば単独の状態で、例えば被写体である患者の身体にあてがったり、或いは例えば患者とベッドとの間に挿入する等して撮影に用いることもできるようになっている。
【0038】
また、本実施形態では、前述したように、放射線画像撮影装置1を、施設に既に設置されているCRカセッテを装填するブッキー装置51に装填して撮影に用いることが想定されている。そのため、放射線画像撮影装置1は、CRカセッテが準拠する、従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズ(JISZ 4905。対応する国際規格はIEC 60406)に準拠するサイズで形成されているが、本発明は、放射線画像撮影装置1がこのようなサイズに形成されていない場合にも適用される。
【0039】
[放射線画像撮影装置の電力消費モードについて]
また、本実施形態では、後述するように、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の電力消費モードを、少なくとも、走査駆動手段15や読み出し回路17を含む各機能部に電力を供給し、撮影を行うことが可能な撮影可能モード(覚醒モードやwake upモード等ともいう。)と、撮影可能モードよりも消費電力量が少ないが撮影を行うことができない省電力モード(sleepモード等ともいう。)との間で切り替えることができるようになっている。
【0040】
そして、本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、例えば撮影が終了した後、所定時間が経過しても次の撮影が行われない場合に電力消費モードを撮影可能モードから省電力モードに切り替える等の自動的な切り替え処理を行うほか、コンソールCから後述する切り替え信号が送信されてきた場合や、放射線技師等の操作者が切替スイッチ26(図6参照)を操作する等した場合に電力消費モードを撮影可能モードと省電力モードとの間で切り替えるようになっている。
【0041】
[放射線画像撮影装置で行われる処理について]
次に、撮影(単純撮影や長尺撮影を含む。)において放射線画像撮影装置1で行われる処理について説明する。その際、放射線画像撮影装置1と放射線照射装置52との間で信号の送受信等を行って連携を取りながら撮影を行う場合(以下、この場合の撮影方式を連携方式という。)と、放射線画像撮影装置1と放射線照射装置52との間で信号の送受信等を行わずに撮影を行う場合(以下、この場合の撮影方式を非連携方式という。)とで、放射線画像撮影装置1で行われる処理が異なる。以下、各方式の場合についてそれぞれ簡単に説明する。
【0042】
[連携方式における処理について]
連携方式の場合、例えば図8の左側の部分に示すように、放射線画像撮影装置1は、ゲートドライバー15b(図7参照)から走査線5の各ラインL1?Lxにオン電圧を順次印加し、各TFT8を順次オン状態にして各放射線検出素子7内に残存する電荷を除去する各放射線検出素子7のリセット処理を行わせる。
【0043】
そして、前述したように、放射線技師等の操作者により曝射スイッチ56(図1参照)が操作され、曝射スイッチ56に対する2段目の操作すなわち全押し操作がなされると、放射線照射装置52から放射線画像撮影装置1に対して照射開始信号が送信される。そして、放射線画像撮影装置1は、照射開始信号を受信すると、図8に示すように、走査線5の最終ラインLxまでオン電圧を印加させて各放射線検出素子7のリセット処理を行った時点でリセット処理を終了させる。
【0044】
そして、放射線画像撮影装置1は、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1?Lxにオフ電圧を印加させて各TFT8をオフ状態にさせて、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させ、それと同時に、放射線照射装置52にインターロック解除信号を送信する。そして、放射線照射装置52は、インターロック解除信号を受信した時点で初めて放射線を照射する。なお、図8における斜線部分は、放射線照射装置52から放射線が照射されている期間を表す。
【0045】
放射線画像撮影装置1は、電荷蓄積状態に移行した後、予め設定された蓄積時間τが経過すると、図8の右側の部分に示すように、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1?Lxにオン電圧を順次印加して、上記のようにして各放射線検出素子7から画像データDを読み出して画像データDの生成処理を行うように構成される。
【0046】
[非連携方式における処理について]
一方、非連携方式の場合には、上記のように、放射線画像撮影装置1と放射線照射装置52との間で信号の送受信等は行われない。そのため、放射線画像撮影装置1が自ら放射線照射装置52から放射線が照射されたことを検出するように構成されることが必要となる。このように放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射を検出する方法としては、例えば特開2009-219538号公報や国際公開第2011/135917号パンフレット、国際公開第2011/152093号パンフレット等に記載された方法を用いることが可能であり、詳しくはそれらの公報等を参照されたい。
【0047】
なお、以下では、非連携方式において放射線画像撮影装置1で行われる処理として、上記の国際公開第2011/135917号パンフレットに記載されているリークデータdleakやそれから算出される値に基づいて放射線の照射開始を検出するように放射線画像撮影装置1が構成されている場合について説明する。また、リークデータdleakとは、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1?Lxにオフ電圧を印加し、オフ状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から信号線6にリークする電荷を読み出し回路17で読み出したデータである。そして、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されると、読み出されるリークデータdleakの値が増加することを利用して放射線の照射開始を検出することができる。
【0048】
リークデータdleakは、上記のように、各TFT8をオフ状態とした状態で読み出されるデータであり、各TFT8をオフ状態としたままでは各放射線検出素子7内に暗電荷(暗電流等ともいう。)が蓄積され続ける状態になるため、図9の左側の部分に示すように、リークデータdleakの読み出し処理(図9のL参照)を行う際には、それと交互にゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1?Lxにオン電圧を順次印加して各放射線検出素子7のリセット処理(図9のR参照)が行われる。
【0049】
そして、上記のように放射線技師等の操作者が曝射スイッチ56を操作して放射線照射装置52から放射線を照射させると、放射線画像撮影装置1は、ある回のリークデータdleakの読み出し処理で読み出されたリークデータdleak等に基づいて放射線の照射開始を検出する(図9の「検出」参照)。
【0050】
そして、放射線画像撮影装置1は、このようにして放射線の照射開始を検出すると、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1?Lxにオフ電圧を印加させて電荷蓄積状態に移行させる。そして、電荷蓄積状態に移行した後、予め設定された蓄積時間τが経過すると、図9の右側の部分に示すように、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1?Lxにオン電圧を順次印加して、上記のようにして各放射線検出素子7から画像データDを読み出して画像データDの生成処理を行うように構成される。
【0051】
なお、図9では、画像データDの生成処理の際、放射線の照射開始を検出したリークデータdleakの読み出し処理(L)の直前にリセット処理(R)のためにオン電圧を印加した走査線5(図9の場合は走査線5のラインL4)の次にオン電圧を印加すべき走査線5(図9の場合は走査線5のラインL5)からオン電圧の印加を開始して画像データDの生成処理を行う場合が示されているが、例えば連携方式(図8参照)と同様に、走査線5の最初のラインL1からオン電圧を順次印加して画像データDの生成処理を行うように構成することも可能である。
【0052】
[画像データの生成処理後の各処理について]
連携方式の場合も非連携方式の場合も同様に、本実施形態では、上記のようにして画像データDの生成処理を行うと、放射線画像撮影装置1は、読み出した画像データDの中から所定の割合でプレビュー画像用データDpを抽出し、抽出したプレビュー画像用データDpをコンソールCに転送する。なお、コンソールCでは、後述するように、放射線画像撮影装置1から転送されてきたプレビュー画像用データDpに基づいてプレビュー画像が生成され、表示部Ca上にプレビュー画像が表示される。
【0053】
また、放射線画像撮影装置1は、上記のようにしてプレビュー画像用データDpを抽出してコンソールCに転送すると同時に、例えば図10に示すようにしてオフセットデータOの読み出し処理を開始する。なお、図10では、図8に示した連携方式の場合のオフセットデータOの読み出し処理が記載されている。
【0054】
すなわち、放射線画像撮影装置1は、上記のようにして画像データDの生成処理(図8や図9参照)やプレビュー画像用データDpの抽出、転送処理を行うと、続いて、図10の左側の部分に示すように、1フレーム分或いは所定フレーム分の各放射線検出素子7のリセット処理を行った後、電荷蓄積状態に移行する。そして、今度は放射線画像撮影装置1に放射線が照射されない状態で、上記の蓄積時間τと同じ時間に設定された蓄積時間τが経過した時点で、図10の右側の部分に示すように、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1?Lxにオン電圧を順次印加して、上記の画像データDの生成処理と同様にして各放射線検出素子7からオフセットデータOを読み出す。
【0055】
このように、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されないことを除けば、画像データDの生成処理までの処理シーケンスと同じ処理シーケンスを繰り返してオフセットデータOの読み出し処理が行われるように構成される。なお、図示を省略するが、図9に示した非連携方式の場合も同様に、図9に示した処理シーケンスが繰り返されてオフセットデータOの読み出し処理が行われる。また、オフセットデータOの読み出し処理を、撮影前に行うように構成することも可能である。
【0056】
放射線画像撮影装置1は、このようにしてオフセットデータOを読み出すと、本実施形態では、コンソールCからの転送要求があった時点で、上記のプレビュー画像用データDp以外の画像データDや、上記のようにして各放射線検出素子7から読み出したオフセットデータOをコンソールCに転送するように構成されている。なお、オフセットデータOの読み出し処理が終了すると、すぐに自動的に画像データDやオフセットデータOをコンソールCに転送するように構成することも可能である。
【0057】
[コンソールの構成等について]
図1や図2に示すように、本実施形態では、コンピューター等で構成されたコンソールCが前室Rb(図1の場合)や撮影室外(図2の場合)に設けられている。なお、コンソールCは適宜の場所に設置可能である。
【0058】
コンソールCには、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等で構成される表示部Caが設けられており、また、図示しないマウスやキーボード等の入力手段を備えている。また、コンソールCには、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶手段Cbが接続され、或いは内蔵されている。また、図示を省略するが、コンソールCには、ネットワークN等を介してHIS(Hospital Information System;病院情報システム)やRIS(Radiology Information System;放射線科情報システム)、PACS(Picture Archiving and Communication System)等が接続されている。
【0059】
[コンソールと撮影室との対応付けについて]
図1に示したように撮影室RaとコンソールCとが予め1:1に対応付けられている放射線画像撮影システム50では特に問題はないが、図2に示したように、図2に示すように、複数の撮影室Ra(Ra1?Ra3)と複数のコンソールCとがネットワークN等を介して対応付けられている場合には、放射線技師等の操作者が例えば撮影室Ra1で撮影した画像データDに対してあるコンソールC上で後述する確定処理等を行おうとしても、画像データDが他のコンソールCに転送される等して処理を確実に行うことができなくなる可能性がある。
【0060】
そこで、図2に示したように、複数の撮影室Raと複数のコンソールCとが対応付けられている放射線画像撮影システム50においては、撮影前に、放射線技師等の操作者が、1つのコンソールC上で、使用する撮影室Raを指定(或いは宣言)する処理を行うように構成される場合が多い。そして、このようにしてあるコンソールC上で撮影室Raが指定されると、指定された撮影室Raからは、他のコンソールCには画像データD等は転送されず、当該コンソールCにのみ画像データD等が転送されるようになる。このようにして、コンソールCと撮影室Raとの対応付けが行われるように構成される。
【0061】
なお、この場合、例えば、コンソールC1上で、撮影室Ra1を使用する撮影室として指定した場合、撮影室Ra1内に存在していた放射線画像撮影装置1が持ち出されて撮影室Ra2のクレードル55に挿入される等すると、撮影室Ra2はコンソールC1と対応付けられていないため、コンソールC1では当該放射線画像撮影装置1を制御することができなくなる。また、他の撮影室Raや保管庫等から放射線画像撮影装置1が撮影室Ra1に持ち込まれてクレードル55に挿入される等すると、コンソールC1で当該放射線画像撮影装置1を制御することができるようになる。
【0062】
[コンソールでの処理について]
次に、コンソールCにおける撮影時の処理について説明する。また、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の作用についてもあわせて説明する。
【0063】
コンソールCは、放射線技師等の操作者による操作が行われると、HISやRISからこれから行う放射線画像撮影に関する撮影オーダー情報を入手する。本実施形態では、撮影オーダー情報は、例えば図11に例示するように、患者情報としての「患者ID」P2、「患者氏名」P3、「性別」P4、「年齢」P5、「診療科」P6および撮影条件としての「撮影部位」P7、「撮影方向」P8、「体位」P9等で構成されるようになっている。そして、撮影オーダーを受け付けた順に、各撮影オーダー情報に対して「撮影オーダーID」P1が自動的に割り当てられるようになっている。
【0064】
コンソールCは、撮影オーダー情報を入手すると、図12に示すように、表示部Ca上にリスト形式で各撮影オーダー情報の一覧を選択画面H1上に表示する。選択画面H1には、各撮影オーダー情報の一覧を表示するための撮影オーダー情報表示欄h11が設けられており、撮影オーダー情報表示欄h11の左側には、撮影オーダー情報を選択するための選択ボタンh12が設けられている。また、撮影オーダー情報表示欄h11の下側には、決定ボタンh13及び戻るボタンh14が設けられている。
【0065】
そして、操作者が選択ボタンh12をクリックして撮影オーダー情報を選択し、決定ボタンh13をクリックすると、コンソールCは、表示部Ca上に、例えば図13に示すような画面H2を表示する。図13では、図12に示した撮影オーダー情報の中から患者「A」に関する4つの撮影オーダー情報が選択された場合が示されている。そして、図13に示した画面H2の例では、画面右側の照射条件の設定用の表示Ia上で各項目の「+」ボタンや「-」ボタンをクリックすることで、放射線照射装置52に対して管電圧や管電流、照射時間等の照射条件を変更して設定することができるようになっている。
【0066】
また、画面H2の左側には、後述するようにフォーカスして表示されているアイコンIに対応する撮影オーダー情報で指定された撮影部位P7(図11や図12参照)が、放射線技師等の操作者に一目で分かるように表した人体モデルIb上に表示されている。
【0067】
画面H2の中央部分には、選択された各撮影オーダー情報に対応する各アイコンIが表示される。そして、これから行われる撮影に対応するアイコンI(図13の場合はアイコンI2)が目立つようにフォーカスして表示されるようになっている。なお、操作者が、フォーカス表示されているアイコンIに対応する撮影オーダー情報とは別の撮影オーダー情報に基づく撮影を行いたい場合には、当該別の撮影オーダー情報に対応する他のアイコンIをクリックする等して選択することによってアイコンIのフォーカス表示を遷移させることができるようになっている。
【0068】
また、図13に示した例では、各アイコンIには、それぞれ長尺撮影用のブッキー装置51Aや単純撮影に使用する立位撮影用或いは臥位撮影用のブッキー装置51B、51C等のモダリティーを表す略図や、設定されている管電圧や管電流、照射時間等が表示されるようになっている。
【0069】
なお、撮影オーダー情報で、撮影条件として撮影を長尺撮影で行うか単純撮影で行うかを予め指定するように構成することが可能であり、その場合は、コンソールCは、撮影オーダー情報に指定されている撮影方式すなわち長尺撮影が指定されているか単純撮影が指定されているかに応じて各アイコンIに表示する略図を決定するように構成される。
【0070】
[コンソールによる長尺撮影か単純撮影かの判断について]
また、本実施形態のように、撮影オーダー情報(図11参照)では、撮影を長尺撮影で行うか単純撮影で行うかを指定しないように構成することも可能である。これは、例えば図11に示したように、撮影部位P7として「全下肢」が指定されている場合であっても、被写体が成人であれば長尺撮影を行うことが必要になるが、被写体が乳幼児であれば、1個の放射線画像撮影装置1を用いた単純撮影で「全下肢」を撮影することができる。すなわち、撮影オーダー情報上で撮影部位P7として「全下肢」が指定されていても、必ずしも長尺撮影が行われるとは限らないためである。
【0071】
そして、このように、撮影オーダー情報上で長尺撮影か単純撮影かを指定しないように構成する場合は、コンソールCが、撮影オーダー情報に基づいて当該撮影を長尺撮影で行うか単純撮影で行うかを判断するように構成される。そして、その場合、コンソールCは、被写体である患者の年齢P5や撮影部位P7等に基づいて撮影を長尺撮影で行うか単純撮影で行うかを判断するように構成される。
【0072】
しかし、コンソールCの判断と、放射線技師等の操作者の判断とが合致しない場合もあり得る。そのため、例えば、コンソールCが、上記のように撮影オーダー情報に指定された患者の年齢P5や撮影部位P7等に基づいて撮影を長尺撮影で行うと判断した場合に、表示部Ca上にその旨を表示し、図示しない「YES」或いは「NO」のボタンアイコンを表示する等して、操作者の判断を仰ぐように構成することも可能である。
【0073】
[使用する放射線画像撮影装置の選択について]
また、コンソールCは、放射線技師等の操作者の操作により、表示部Ca上に、図14に例示するような放射線画像撮影装置1の選択画面H3を表示するようになっている。選択画面H3には、撮影室Ra内に存在する放射線画像撮影装置1に対応するアイコンI(図14の例ではI-1a、I-1b、I-1c)が表示される。
【0074】
なお、本実施形態では、上記のように、放射線画像撮影装置1が撮影室Raに持ち込まれて、クレードル55に挿入されたりタグリーダー60で放射線画像撮影装置1のタグが読まれたりすると、それらの検知手段から放射線画像撮影装置1の識別情報であるカセッテIDが中継器54を介してコンソールCに送信されてくるため、コンソールCはそれらを記憶手段Cbの所定の記憶領域に記憶させておくことで、撮影室Ra内にどの放射線画像撮影装置1が存在するかを認識して管理することが可能となる。
【0075】
そして、上記のように操作者により画面H2上で所定の操作が行われると、記憶手段Cbの記憶領域から撮影室Ra内に存在する放射線画像撮影装置1のカセッテIDを読み出して、選択画面H3上に、撮影室Ra内に存在する放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIを表示するようになっている。
【0076】
本実施形態では、コンソールCは、放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIを表示する際、例えば図14に示すように、アイコンIに、当該放射線画像撮影装置1が前述した連携方式と非連携方式のいずれの撮影方式で撮影を行う装置であるかを表示する。連携方式と非連携方式のいずれでも撮影を行うことができる場合には例えば「連携/非連携」等と表示してその旨を通知する。また、アイコンIに、放射線画像撮影装置1のサイズ(14×17インチ等)も表示するようになっている。
【0077】
なお、以下、連携方式で撮影を行うタイプの放射線画像撮影装置1を連携方式用の放射線画像撮影装置1といい、非連携方式で撮影を行うタイプの放射線画像撮影装置1を非連携方式用の放射線画像撮影装置1という。また、上記のように、アイコンIに、撮影方式(連携方式用か非連携方式用か)やサイズだけでなく、例えばその放射線画像撮影装置1の解像度やシンチレーター種等をも表示してもよく、表示する内容は適宜決められる。
【0078】
また、図示を省略するが、このように、放射線画像撮影装置1の撮影方式やサイズ等を、図14に示したようにアイコンI中に文字等で表示する代わりに、或いはそれとともに、色や模様等で表示するように構成することも可能である。すなわち、例えば、連携方式用の放射線画像撮影装置1は青、非連携方式用の放射線画像撮影装置1は赤で表示し、14×17インチ、14×14インチ、17×17インチ等の各サイズをそれぞれ例えば四角(ベタ塗り)、ストライプ、水玉等の各模様で表示する。
【0079】
このように、放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIに、当該放射線画像撮影装置1の撮影方式やサイズ等を表す色や模様等を表示すると、それらを文字のみで表示する場合に比べて、放射線技師等の操作者が一目で放射線画像撮影装置1の撮影方式やサイズ等を把握することが可能となり、操作者が放射線画像撮影装置1の撮影方式やサイズ等を誤って選択する可能性をより低くすることが可能となる。また、同じ色や模様等を、放射線画像撮影装置1(図6参照)自体の側面等の所定の位置に表示するように構成することで、放射線技師等の操作者が、放射線画像撮影装置1の撮影方式やサイズ等を色や模様等で把握することが可能となり、放射線画像撮影装置1の撮影方式やサイズ等を誤って使用する可能性をより低くすることも可能となる。
【0080】
また、本実施形態では、コンソールCは、撮影室Ra内に存在するモダリティーに対応するアイコンIも選択画面H3上に表示するようになっている。なお、図14では、モダリティーとして、撮影室Ra内に長尺撮影用、単純撮影用、および臥位撮影用のブッキー装置51A、51B、51Cが設置されている場合が示されているが、例えば、長尺撮影用のブッキー装置51Aのみが設置されている場合は、長尺撮影用のブッキー装置51Aに対応するアイコンI-51Aのみが表示される。
【0081】
その際、各ブッキー装置51に対応するアイコンIは、放射線画像撮影装置1が装填されていない状態では、図14に示すように例えば枠線が破線状に表示され、放射線画像撮影装置1が装填されている状態では、例えば図15に示すように枠線が実線状に表示されるとともに、装填されている放射線画像撮影装置1の撮影方式やサイズ等が近傍に表示される。
【0082】
そして、本実施形態では、放射線技師等の操作者は、この選択画面H3上で放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIをクリックすることで、これから行う撮影で使用する放射線画像撮影装置1、すなわち図13に示したようにフォーカス表示されているアイコンI(図13ではアイコンI2)に対応する撮影で使用する放射線画像撮影装置1を選択することができるようになっている。
【0083】
そして、選択画面H3上で放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIが選択されると、例えば図16に示すように、選択されたアイコンIが着色される等して他のアイコンIの表示態様とは異なる態様で表示されるようになっており(図16で斜線を付して示されているアイコンI-1c参照)、このようにして当該アイコンIが選択されたことを表示するようになっている。
【0084】
一方、コンソールCは、前述した放射線画像撮影装置1の電力消費モードを切り替えるように制御することが可能とされている。すなわち、コンソールCは、上記のように選択画面H3上でアイコンIが選択され、放射線画像撮影装置1が選択されると、選択された放射線画像撮影装置1に切り替え信号を送信して、当該放射線画像撮影装置1の電力消費モードを省電力モードから撮影可能モードに切り替えさせるようになっている。
【0085】
つまり、本実施形態では、コンソールCは、選択画面H3上で放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIが選択されると、上記のように当該アイコンIの表示態様を、選択されたことを表す表示態様に変えてアイコンIを表示するとともに、選択されたアイコンIに対応する放射線画像撮影装置1に切り替え信号を送信して、当該放射線画像撮影装置1の電力消費モードを省電力モードから撮影可能モードに切り替えさせる。
【0086】
その際、本実施形態では、コンソールCは、上記のようにしてこれから行われる撮影に関する撮影オーダー情報に基づいて当該撮影が単純撮影であると判断した場合には、撮影室Ra内に存在する各放射線画像撮影装置1のうち、1つの放射線画像撮影装置1のみを撮影可能モードにするように制御するようになっている。
【0087】
すなわち、これから行われる撮影が単純撮影であると判断した場合に、上記のようにして放射線技師等の操作者により選択画面H3上である放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIが選択されると、上記のように当該放射線画像撮影装置1に切り替え信号を送信して電力消費モードを撮影可能モードに切り替えさせるが、その際、電力消費モードが撮影可能モードになっている他の放射線画像撮影装置1が存在する場合には、当該他の放射線画像撮影装置1には電力消費モードを省電力モードに切り替えることを指示する信号を送信して、当該他の放射線画像撮影装置1の電力消費モードを撮影可能モードから省電力モードに切り替えさせるようになっている。
【0088】
また、前述したように、放射線技師等の操作者が放射線画像撮影装置1の切替スイッチ26(図6参照)を操作する等した場合にも当該放射線画像撮影装置1の電力消費モードを省電力モードから撮影可能モードに切り替えることができる。そして、操作者が放射線画像撮影装置1の電力消費モードを撮影可能モードに切り替えたということは、その放射線画像撮影装置1を用いて撮影を行うことを意図していると考えられる。
【0089】
そのため、コンソールCは、例えば、放射線技師等の操作者が、例えば撮影室Ra内である放射線画像撮影装置1の切替スイッチ26を操作する等して電力消費モードを撮影可能モードに切り替えた場合にも、上記の選択画面H3上で当該放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIが選択された場合と同様に処理するようになっている。そして、他の放射線画像撮影装置1の電力消費モードが撮影可能モードになっている場合は、上記と同様に当該他の放射線画像撮影装置1の電力消費モードを省電力モードに切り替えさせる。
【0090】
本実施形態では、コンソールCは、このようにして、これから行われる撮影が単純撮影であると判断した場合には、撮影室Ra内に存在する一の放射線画像撮影装置1のみの撮影可能な状態(すなわち撮影可能モード)への遷移を許容するように構成されている。
【0091】
そして、以上のように構成して、これから行われる撮影が単純撮影である場合に、撮影室Ra内に存在する一の放射線画像撮影装置1のみの撮影可能な状態(撮影可能モード)への遷移を許容し、他の放射線画像撮影装置1の電力消費モードを省電力モードとすることで、以下のような有益な効果を得ることが可能となる。
【0092】
すなわち、他の連携方式用の放射線画像撮影装置1の電力消費モードが撮影可能モードになっていると、撮影時に照射開始信号を送信してきた放射線照射装置52に対して、撮影に使用しない当該他の放射線画像撮影装置1がインターロック解除信号を返してしまい、撮影に使用する放射線画像撮影装置1がまだ電荷蓄積状態に移行していないにもかかわらず放射線照射装置52から放射線が照射されてしまうような事態が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0093】
また、他の非連携方式用の放射線画像撮影装置1の電力消費モードが撮影可能モードになっていると、放射線照射装置52からの放射線の照射が開始された時点で当該他の放射線画像撮影装置1が放射線の照射開始を検出してしまい、電荷蓄積状態に移行した後、画像データDの生成処理を行って、プレビュー画像用データDpや画像データD等をコンソールCに転送してしまうため、撮影後、撮影に使用した放射線画像撮影装置1と撮影に使用しない放射線画像撮影装置1の複数の放射線画像撮影装置1からプレビュー画像用データDpや画像データD等がコンソールCに転送されてしまうような事態が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0094】
そのため、上記のように構成することで、単純撮影を行う場合に、上記のような混乱が生じることを的確に防止して、単純撮影を的確に行うことが可能となる。また、連携方式用の放射線画像撮影装置1の場合も、非連携方式用の放射線画像撮影装置1の場合も、撮影に使用しない放射線画像撮影装置1の電力消費モードを省電力モードに切り替えることで、放射線画像撮影装置1で電力が無駄に消費されてしまうことを的確に防止することが可能となるといったメリットもある。
【0095】
一方、これから行われる撮影が長尺撮影である場合には、長尺撮影に用いる複数の放射線画像撮影装置1の電力消費モードが同時に撮影可能モードになっていることが必要になる。そのため、コンソールCは、これから行われる撮影が長尺撮影であると判断した場合には、選択画面H3上で、撮影室Ra内に存在する複数の放射線画像撮影装置1に対応する各アイコンIを選択することを可能とし、複数の放射線画像撮影装置1の撮影可能な状態(すなわち撮影可能モード)への遷移を許容するようになっている。
【0096】
このように構成することで、これから行われる撮影が長尺撮影である場合には、撮影室Ra内に存在する複数の放射線画像撮影装置1の撮影可能な状態(撮影可能モード)への遷移を許容して、長尺撮影を的確に行うことが可能となる。
【0097】
[効果]
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、コンソールCが、撮影オーダー情報に基づいて、撮影が長尺撮影であると判断した場合には、撮影室Ra内に存在する複数の放射線画像撮影装置1の撮影可能な状態(すなわち撮影可能モード)への遷移を許容し、撮影が長尺撮影ではない(すなわち単純撮影である)と判断した場合には、撮影室Ra内に存在する一の放射線画像撮影装置1のみの撮影可能な状態への遷移を許容するように構成することで、これから行われる撮影が単純撮影の場合も長尺撮影の場合も、それぞれの撮影を的確に行うことが可能となる。
【0098】
なお、図2に示したように、放射線画像撮影システム50が、複数の撮影室Ra(Ra1?Ra3)と単数または複数のコンソールCとが対応付けられて構成されている場合も、同様に、コンソールCが、撮影オーダー情報に基づいて、撮影が長尺撮影であると判断した場合には、上記のようにしてコンソールCと対応付けられた撮影室Ra内に存在する複数の放射線画像撮影装置1の撮影可能な状態への遷移を許容し、撮影が長尺撮影ではないと判断した場合には、対応付けられた撮影室Ra内に存在する一の放射線画像撮影装置1のみの撮影可能な状態への遷移を許容するように構成することで、これから行われる撮影が単純撮影の場合も長尺撮影の場合も、それぞれの撮影を的確に行うことが可能となる。
【0099】
また、これから行われる撮影が単純撮影である場合も長尺撮影である場合も同様であるが、使用する放射線画像撮影装置1が選択されたにもかかわらず、適切なブッキー装置51に装填されていない場合に、コンソールCや、撮影室Ra内に設けた図示しない警報装置等からビープ音を発声させる等して、放射線画像撮影装置1がブッキー装置51に装填されていない旨を放射線技師等の操作者に警告する等の必要な措置が適宜取られる。
【0100】
さらに、上記では、放射線画像撮影装置1の撮影可能な状態として、放射線画像撮影装置1の電力消費モードが撮影可能モードである状態である場合を例示して説明したが、この他にも、例えば、電源がオフの状態の放射線画像撮影装置1の電源をオンすることで放射線画像撮影装置1を撮影可能な状態にするように構成することも可能であり、放射線画像撮影装置1の撮影可能な状態は、放射線画像撮影装置1の電力消費モードが撮影可能モードである状態である場合に限定されない。
【0101】
[コンソールにおけるその後の処理について]
前述したように、撮影が連携方式で行われる場合も非連携方式で行われる場合も、撮影が終了すると、放射線画像撮影装置1からプレビュー画像用データDpがコンソールCに転送されてくる。そのため、コンソールCは、転送されてきたプレビュー画像用データDpに対して所定の画像処理を施してプレビュー画像p_preを生成し、例えば図17に示すように、画面H2上でフォーカス表示されているアイコンI、すなわち当該撮影に関する撮影オーダー情報に対応するアイコンI(図13のアイコンI2参照)の位置に、プレビュー画像p_preを表示する。なお、プレビュー画像p_preを画面H2上に拡大表示してもよい。
【0102】
なお、単純撮影の場合も長尺撮影の場合も同様であるが、前述したように、放射線画像撮影装置1がJIS規格サイズに準拠するサイズで形成されている場合、放射線画像撮影装置1をブッキー装置51に装填する際の放射線画像撮影装置1の上下や左右の向きが正しい向きではなく、逆になっている(すなわち180°回転してしまっている)可能性がある。そのため、各放射線画像撮影装置1から読み取られた画像をそのまま表示すると、プレビュー画像p_preや後述する放射線画像pが正しくない向きで表示されてしまう虞れがある。そのため、そのような場合には、特許3731400号公報や特開2000-157519号公報に記載されている被写体部位認識処理や表示回転処理を用いて、各画像を正しい向き(すなわち読影に相応しい向き)に表示したり、合成された長尺画像を正しい向きに表示することが可能である。
【0103】
そして、プレビュー画像p_preを見た放射線技師等の操作者が、再撮影が必要であると判断して例えば当該アイコンIの「NG」ボタンアイコンをクリックする等した場合には、コンソールCは、当該プレビュー画像p_pre等の情報を破棄するとともに、放射線画像撮影装置1に再撮影を行う旨を指示する。そして、当該指示を受けた放射線画像撮影装置1は、その時点で行っているオフセットデータOの読み出し処理等を停止し、各放射線検出素子7のリセット処理を再開する等して再撮影に向けた準備を行う。
【0104】
また、プレビュー画像p_preを見た放射線技師等の操作者が、当該アイコンIの「OK」ボタンアイコンをクリックした場合や、コンソールCがプレビュー画像p_preを表示してから所定時間の間に「NG」ボタンアイコンがクリックされない場合には、操作者によりプレビュー画像p_preが承認され、再撮影は不要と判断されたものと判断して、当該放射線画像撮影装置1に対して転送要求を行う。
【0105】
放射線画像撮影装置1は、転送要求を受けると、プレビュー画像用データDp以外の画像データDやオフセットデータOをコンソールCに転送する。そして、コンソールCは、上記のように放射線画像撮影装置1から画像データDやオフセットデータO等が転送されてくると、下記(1)式に従って各放射線検出素子7ごとに画像データDからオフセットデータOを減算して真の画像データD*を算出する。
D*=D-O …(1)
【0106】
そして、算出した真の画像データD*に対してゲイン補正や欠陥画素補正、撮影部位に応じた階調処理等の画像処理を行って放射線画像を生成し、生成した放射線画像pをプレビュー画像p_pre上に上書き表示する。
【0107】
そして、放射線画像pを見た操作者により、必要に応じて画像の微調整等が行われた後、アイコンIの「OK」ボタンアイコンがクリックされる等して確定処理が行われると、コンソールCは、生成した放射線画像pのデータ等を当該撮影に関する撮影オーダー情報に対応付けて確定させ、確定した撮影オーダー情報および放射線画像p等を、必要に応じてPACS等の外部システムに送信するように構成される。
【0108】
一方、長尺撮影の場合には、例えば図1に示した3個の放射線画像撮影装置1から画像データDとオフセットデータOとがそれぞれコンソールCに転送されてくる。そこで、コンソールCは、上記の単純撮影の場合と同様にして、各放射線画像撮影装置1から転送されてきた画像データDとオフセットデータOに基づいて、図18(A)に示すように真の画像データD*(すなわち図中のD*1?D*3)をそれぞれ算出する。なお、以下、真の画像データD*を単に画像データD*という。
【0109】
そして、コンソールCは、各画像データD*1?D*3の端部同士の位置合わせを行い、複数の画像データD*1?D*3を合成して、1枚の長尺画像データD*longを生成するように構成される。その際、前述したように(図1参照)、本実施形態では、放射線照射装置52から1回だけ放射線を照射して(すなわち1ショットで)撮影を行うことができるため、被写体Hの体動の問題が生じることがない。そのため、各画像データD*1?D*3を的確に合成して長尺画像データD*longを生成することが可能となる。
【0110】
なお、各画像データD*1?D*3の位置合わせや合成処理等については、例えば特開2013-154146号公報等に記載された公知の方法を用いることが可能である。また、長尺撮影においても、画像データD等が転送されてくる前に、各放射線画像撮影装置1からそれぞれプレビュー画像用データDpがコンソールCに転送されてくる。そのため、コンソールCは、各放射線画像撮影装置1から転送されてきたプレビュー画像用データDpに対して所定の画像処理を施して各プレビュー画像p_preを生成し、それらを合成したプレビュー画像p_preを画面H2上に表示する。
【0111】
また、複数の放射線画像撮影装置1からプレビュー画像用データDpや画像データD等がほぼ同時に無線通信で転送されると、無線通信がそれぞれ干渉を生じる可能性があるため、例えば、各放射線画像撮影装置1からコンソールCに異なるチャンネルを介してデータの転送を行うように構成することが可能である。
【0112】
さらに、上記と同様に、複数の放射線画像撮影装置1が長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填される際に正しい向きに装填されていないと、各画像データD*1?D*3の端部同士の位置合わせや合成処理を短時間で適切に行うことができない。そのため、このような場合には、長尺撮影においても、通常、放射線照射装置52から放射線が被写体Hに照射野が絞られた状態で照射されることを利用して位置合わせや合成処理を行うことが可能である。
【0113】
具体的には、このように照射野が絞られた状態で放射線が照射されるため、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填された例えば3個の放射線画像撮影装置1(図1参照)のうち、下端に配置された放射線画像撮影装置1で生成された画像データD*1の下端部分(図18(A)参照)には放射線が照射されず、被写体Hが撮影されていない場合が多い。また、上端に配置された放射線画像撮影装置1で生成された画像データD*3の上端部分にも放射線が照射されず、被写体Hが撮影されていない場合が多い。それに対し、中央に配置された放射線画像撮影装置1で生成された画像データD*2では、上端部分にも下端部分にも放射線が到達しており、被写体Hが撮影されている。
【0114】
そのため、例えば、コンソールCは、生成した3枚の画像データD*1?D*3についてそれぞれ上端部分と下端部分の画像データのプロファイル(すなわちエッジの有無等)を見て、上端部分と下端部分にいずれも被写体Hが撮影されてできる濃淡がある画像データD*2を、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填された3個の放射線画像撮影装置1のうちの中央に配置された放射線画像撮影装置1で生成された画像データであると判別する。
【0115】
そして、例えば、各画像データD*1?D*3の端部部分のパターンマッチングを行う等して、中央に配置された放射線画像撮影装置1で生成された画像データD*2を基準として、下側に配置された放射線画像撮影装置1で生成された画像データD*1と上側に配置された放射線画像撮影装置1で生成された画像データD*3とを判別して、位置合わせや合成処理を行うように構成することができる。なお、この場合も、合成して生成された長尺画像データD*longが、全体的に上下が反転してしまっている可能性があるが、この場合は、例えば、合成して生成された1枚の長尺画像データD*longに対して、上記の表示回転処理等を適用して正しい向きに表示することが可能である。
【0116】
なお、長尺撮影を行う際に、複数の放射線画像撮影装置1で、前述した蓄積時間τ(図8や図9等参照)が異なる時間に設定されていると、撮影後、各放射線画像撮影装置1から異なるタイミングでプレビュー画像用データDpや画像データD等が転送されてくる状態になり、コンソールCでの処理が行い難くなる。
【0117】
そのため、例えば、コンソールCから、長尺撮影に用いられる複数の放射線画像撮影装置1に対して、特定の蓄積時間τの情報を送信し、少なくとも長尺撮影を行う間は、この特定の蓄積時間τに基づいて各放射線画像撮影装置1で処理を行うように制御するように構成することが可能である。或いは、省電力モードにある他の放射線画像撮影装置1も含めて、コンソールCから全ての放射線画像撮影装置1に対して、特定の蓄積時間τの情報を送信して、少なくとも長尺撮影を行う間、この特定の蓄積時間τを全ての放射線画像撮影装置1に設定するように構成することも可能である。なお、これらの場合、長尺撮影後、各放射線画像撮影装置1の蓄積時間τは、元の蓄積時間τに戻される。
【0118】
そして、長尺撮影の場合も、単純撮影の場合と同様に、コンソールCが生成して表示した長尺撮影の放射線画像pを見た操作者により、必要に応じて画像の微調整等が行われた後、アイコンIの「OK」ボタンアイコンがクリックされる等して確定処理が行われると、コンソールCは、生成した長尺撮影の放射線画像pのデータ等を当該撮影に関する撮影オーダー情報に対応付けて確定させ、確定した撮影オーダー情報および長尺撮影の放射線画像p等を、必要に応じてPACS等の外部システムに送信するように構成される。
【0119】
[具体的なケースについて]
次に、上記の放射線画像撮影システム50を適用する際に生じ得る具体的なケースについて説明する。
【0120】
[放射線照射装置がインターロック制御を受ける場合について]
前述したように、放射線照射装置52がインターロック制御を受ける場合、すなわち、曝射スイッチ56が全押し操作されると(図5(C)参照)、放射線画像撮影装置1に対して照射開始信号を送信し、放射線画像撮影装置1からのインターロック解除信号を受信した時点で初めて放射線を照射するタイプの放射線照射装置52である場合について説明する。
【0121】
連携方式用の放射線画像撮影装置1を用いて単純撮影を行う場合には、上記のように、放射線画像撮影装置1と放射線照射装置52との間で信号(照射開始信号やインターロック解除信号等)のやり取りを行って放射線画像撮影を行うことができる。
【0122】
また、複数の連携方式用の放射線画像撮影装置1を用いて長尺撮影を行う場合には、放射線照射装置52からの照射開始信号に対して、複数の放射線画像撮影装置1がそれぞれ独自にインターロック解除信号を送信すると、放射線照射装置52は最初のインターロック解除信号を受信した時点で放射線を照射してしまい、まだ電荷蓄積状態に移行していない放射線画像撮影装置1に放射線が照射されてしまう虞れがある。
【0123】
そのため、このような場合は、全ての放射線画像撮影装置1からインターロック解除信号が送信されてきた時点で放射線を照射するように放射線照射装置52を構成することが可能である。しかし、この場合、放射線照射装置52のプログラムの書き換え等が必要になる。そのため、例えば、放射線照射装置52と各放射線画像撮影装置1との間の信号のやり取りを、中継器54(図1や図2参照)やコンソールCを中継して行うように構成し、中継器54やコンソールCが、全ての放射線画像撮影装置1からのインターロック解除信号が出揃うまで放射線照射装置52にインターロック解除信号を送信せず、全ての放射線画像撮影装置1からのインターロック解除信号が出揃った時点で放射線照射装置52にインターロック解除信号を送信するように構成することが可能である。
【0124】
一方、非連携方式用の放射線画像撮影装置1を用いて単純撮影や長尺撮影を行う場合、非連携方式では、上記のように放射線画像撮影装置1と放射線照射装置52との間で信号(照射開始信号やインターロック解除信号等)のやり取りを行わないため、放射線照射装置52が照射開始信号を送信しても、放射線画像撮影装置1からはいつまで経ってもインターロック解除信号が送信されず、放射線照射装置52は放射線を照射することができない。
【0125】
そのため、このような場合は、放射線照射装置52と、コンソールCや中継器54とを結び、放射線照射装置52から照射開始信号が送信されると、コンソールCや中継器54からインターロック解除信号に相当するダミーの信号を送信して、放射線照射装置52から放射線を照射させるように構成することができる。そして、放射線照射装置52から放射線が照射されると、放射線画像撮影装置1は自ら放射線の照射開始を検出して電荷蓄積状態に移行して的確に撮影を行うことができる。
【0126】
なお、長尺撮影を行う際、長尺撮影用のブッキー装置51Aに、連携方式用の放射線画像撮影装置1と非連携方式用の放射線画像撮影装置1とが混在する状態で装填された場合には、例えば、コンソールCが、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている連携方式用の放射線画像撮影装置1を把握し、放射線照射装置52と放射線画像撮影装置1との間の信号等のやり取りを中継するように構成する。そして、コンソールCが、放射線照射装置52から送信された照射開始信号を連携方式の放射線画像撮影装置1に送信し、それらの放射線画像撮影装置1からのインターロック解除信号が出揃った時点で、放射線照射装置52にインターロック解除信号を送信するように構成することで、上記のような場合でも長尺撮影を的確に行うことが可能となる。
【0127】
[放射線照射装置がインターロック制御を受けない場合について]
しかし、放射線照射装置52の中には、上記のようなインターロック制御を受けず、曝射スイッチ56が全押し操作されると(図5(C)参照)、すぐに放射線を照射するタイプの放射線照射装置52もある。そして、このような放射線照射装置52が設置されている撮影室Raで、連携方式用の放射線画像撮影装置1を用いて単純撮影や長尺撮影を行うと、放射線照射装置52から照射開始信号が送信されないまま放射線が照射される。
【0128】
そのため、放射線画像撮影装置1が、撮影前の各放射線検出素子7のリセット処理を行っている最中に放射線が照射される状態になり、撮影を的確に行うことができない。このように、放射線照射装置52がインターロック制御を受けないタイプの装置である場合には、撮影に連携方式用の放射線画像撮影装置1を使用することはできない。
【0129】
そこで、撮影室Raに設置されている放射線照射装置52がインターロック制御を受けない装置である場合に、撮影に使用する放射線画像撮影装置1として連携方式用の放射線画像撮影装置1が選択された場合には、コンソールCが、或いはコンソールCから指示を受けた撮影室Ra内の警報装置が、選択された放射線画像撮影装置1は撮影に使用することができない旨を、音や表示等により、放射線技師等の操作者に警告するように構成することが可能である。
【0130】
[ブッキー装置の構成等について]
また、以上の説明においては、例えばブッキー装置51に装填された放射線画像撮影装置1が連携方式用であるか非連携方式用であるかやそのサイズ等を、コンソールCが認識することができることを前提として説明した(例えば図15等参照)。
【0131】
そして、これは、ブッキー装置51に放射線画像撮影装置1を装填する際に、例えば図19に示すように、放射線画像撮影装置1のコネクター27(図6参照)とブッキー装置51のコネクター51bとを接続した時点で、ケーブル51cを介してブッキー装置51からコンソールCに、装填された放射線画像撮影装置1の識別情報であるカセッテIDと、当該ブッキー装置51の識別情報(以下、ブッキーIDという。)を送信する。そして、コンソールCは、病院等の施設内に存在する放射線画像撮影装置1の識別情報と、撮影方式(連携方式用か非連携方式用か)やサイズ等とを対応付けたリストを有しておき、ブッキー装置51からカセッテIDやブッキーID等が送信されてくると、そのリストを参照するように構成することで、どのブッキー装置51にどの放射線画像撮影装置1が装填されたかをコンソールCが認識することができる。
【0132】
また、ブッキー装置51に、前述したRFIDタグを読み取るタグリーダーを取り付けたり、或いは、バーコードリーダーを取り付けておき放射線画像撮影装置1が装填される際に装置に貼付されたバーコードをバーコードリーダーで読むようにして、タグリーダーやバーコードリーダー等の読取手段で放射線画像撮影装置1のカセッテID等を読み取るように構成することも可能である。
【0133】
[コネクターを備えないブッキー装置を用いて長尺撮影を行う場合について]
ところで、ブッキー装置51の中には、従来のスクリーンフィルムを内蔵するカセッテや輝尽性蛍光体シート等を内蔵するCRカセッテ等を装填するように構成されたブッキー装置51もある。そして、このようなブッキー装置51には、上記のようなコネクター51bが設けられていない場合も少なくない。
【0134】
そのため、このようなブッキー装置51を用いて撮影を行う場合は、放射線画像撮影装置1がコネクター27(図6参照)を介した有線通信で放射線照射装置52と信号のやり取りを行えないため、撮影を連携方式で行うことが必ずしも容易ではない。そのため、このようにコネクター51bを備えないブッキー装置51を用いて撮影を行う場合には、非連携方式用の放射線画像撮影装置1をブッキー装置51に装填して撮影を行うように構成することが好ましい。
【0135】
一方、上記のように、本実施形態では、コンソールCは、上記のように被写体である患者の年齢P5や撮影部位P7等(図11や図12参照)に基づいて撮影を長尺撮影で行うか単純撮影で行うかを判断し、これから行われる撮影が長尺撮影であると判断すると、撮影室Ra内に存在する複数の放射線画像撮影装置1の電力消費モードを省電力モードから撮影可能モードに切り替えたり、放射線技師等の操作者が放射線画像撮影装置1の切替スイッチ26(図6参照)を操作して放射線画像撮影装置1の電力消費モードを撮影可能モードに切り替えることを許容する。
【0136】
しかし、長尺撮影の場合、放射線技師等の操作者は、上記のようにコネクター51bを備えない長尺撮影用のブッキー装置51Aに例えば3個の非連携方式用の放射線画像撮影装置1を装填しなければならず、装填すべき非連携方式用の放射線画像撮影装置1を取り違える可能性がある。そして、その場合、電力消費モードが省電力モードのままの放射線画像撮影装置1を誤って装填してしまうと、その放射線画像撮影装置1では放射線の照射開始を検出できず、その放射線画像撮影装置1の部分の画像データDが得られないため、結局、再撮影を行わなければならなくなる。
【0137】
そこで、このような事態が生じることを防止するため、例えば、上記のようにコネクター51bを備えない長尺撮影用のブッキー装置51Aに複数の非連携方式用の放射線画像撮影装置1を装填して長尺撮影を行う場合、コンソールCは、撮影室Ra内に存在する全ての非連携方式用の放射線画像撮影装置1の電力消費モードを省電力モードから撮影可能モードに切り替えるように構成することが可能である。また、上記の場合に、放射線技師等の操作者が撮影室Ra内の非連携方式用の放射線画像撮影装置1の切替スイッチ26を操作して電力消費モードを撮影可能モードに切り替えることを許容するようにコンソールCを構成することが可能である。
【0138】
このように構成して、撮影室Ra内の全ての非連携方式用の放射線画像撮影装置1の電力消費モードを撮影可能モードに切り替えるように構成すれば、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填され、放射線が照射された非連携方式用の放射線画像撮影装置1は、放射線の照射開始を検出して電荷蓄積状態に移行した後、画像データDを的確に生成してプレビュー画像用データDpや画像データD等をコンソールCに転送してくる。また、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されていない非連携方式用の放射線画像撮影装置1には放射線が照射されないため、画像データDの生成処理も転送処理も行わない。
【0139】
そのため、上記のように構成すれば、仮に長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填する非連携方式用の放射線画像撮影装置1を操作者が取り違えて装填しても、長尺撮影で放射線が照射された例えば3個の非連携方式用の放射線画像撮影装置1のみからコンソールCに画像データD等が転送されてくる状態になる。そのため、コンソールCは、これらの放射線画像撮影装置1から転送されてきた画像データD等に基づいて複数の画像データD*1?D*3を合成して1枚の長尺画像データD*longを的確に生成することが可能となり(図18(A)、(B)参照)、長尺撮影を的確に行うことが可能となるため、上記のように再撮影を行わなければならなくなるような事態が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0140】
なお、この場合も、コネクター51bを備えない長尺撮影用のブッキー装置51AにRFIDタグを読み取るタグリーダーや、バーコードを読み取るバーコードリーダーを取り付けて、タグリーダーやバーコードリーダー等の読取手段で装填された放射線画像撮影装置1のカセッテID等を読み取り、装填された放射線画像撮影装置1がコンソールC上で選択された放射線画像撮影装置1と異なる場合に音声や表示等で警告する等の構成を設けることが可能であることは言うまでもない。
【0141】
[コネクターを備えるブッキー装置を用いて長尺撮影を行う場合について]
一方、コネクター51bを備える長尺撮影用のブッキー装置51Aに複数の放射線画像撮影装置1を装填して長尺撮影を行う場合は、図19に示したように、ブッキー装置51のコネクター51bと放射線画像撮影装置1のコネクター27とを接続し、ケーブル51cを介して放射線画像撮影装置1と放射線照射装置52とが信号のやり取りを行うことが可能となるため、撮影を連携方式で行うことができる。そのため、この場合は、コネクター51bを備える長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填する放射線画像撮影装置1として、連携方式用の放射線画像撮影装置1を用いることができる。
【0142】
また、長尺撮影用のブッキー装置51Aがコネクター51bを備える場合であっても、上記と同様に、ブッキー装置51Aに複数の非連携方式用の放射線画像撮影装置1を装填して撮影を行うことも可能である。この場合、複数の非連携方式用の放射線画像撮影装置1は、それぞれコネクター27がブッキー装置51Aのコネクター51bと接続された状態で装填され、ケーブル51c(図19参照)を介した放射線照射装置52と信号のやり取りは行わないが、ケーブル51cを介して外部から電力の供給を受けることが可能となる。
【0143】
なお、長尺撮影用のブッキー装置51Aがコネクター51bを備える場合であっても、上記のように放射線照射装置52がインターロック制御を受けないタイプの装置である場合には、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填される放射線画像撮影装置1は非連携方式用の放射線画像撮影装置でなければならないことは前述した通りである。
【0144】
[コンソールによる長尺撮影の可、不可の判断等について]
一方、上記のように、長尺撮影用のブッキー装置51Aに複数の放射線画像撮影装置1を装填する際にブッキー装置51Aのコネクター51bを放射線画像撮影装置1のコネクター27に接続して放射線画像撮影装置1の識別情報であるカセッテIDをコンソールCに送信したり、或いは、前述したタグリーダーやバーコードリーダーで装填された放射線画像撮影装置1のカセッテIDを読み取ってコンソールCに送信することで、コンソールCは、長尺撮影用のブッキー装置51Aのどの装填位置にどの放射線画像撮影装置1が装填されたかを判断することが可能となり、その状態で長尺撮影を行うことができるか否かを判断することができるようになる。
【0145】
すなわち、コンソールCは、長尺撮影用のブッキー装置51Aのコネクター51bやタグリーダー、バーコードリーダー等の読取手段で読み取った、装填された放射線画像撮影装置1のカセッテIDに基づいて長尺撮影が可能であるか否かを判断することが可能となる。
【0146】
なお、以下では、読取手段がブッキー装置51Aのコネクター51bである場合について説明するが、ブッキー装置51Aの各装填位置にタグリーダーやバーコードリーダー等の読取手段を設けても、コネクター51bの場合と全く同様に機能させることが可能である。また、以下では、例えば図20(A)等に示すように、長尺撮影用のブッキー装置51Aに放射線画像撮影装置1を3個まで装填することができる場合について説明するが、放射線画像撮影装置1を2個装填することができるように構成されている場合や4個以上装填することができるように構成されている場合も同様に説明することができる。
【0147】
具体的には、例えば図20(A)の略図に示すように、長尺撮影用のブッキー装置51Aに例えば3つの装填位置α、β、γが設けられており、それぞれに1個ずつ計3個の放射線画像撮影装置1を装填することが可能であるとする。この場合は、ブッキー装置51Aの各装填位置α、β、γにそれぞれコネクター51bα、51bβ、51bγが設けられており、コネクター51bα、51bβ、51bγは、放射線画像撮影装置1が装填されるとそのコネクター27(図20(A)等では図示省略)にそれぞれ接続される。
【0148】
そして、長尺撮影用のブッキー装置51Aは、装填される放射線画像撮影装置1のコネクター27と、各装填位置α、β、γのコネクター51bα、51bβ、51bγのいずれかが接続されると、放射線画像撮影装置1のカセッテIDを読み取り、読み取ったカセッテIDを、放射線画像撮影装置1に接続されたコネクター51bの識別情報(以下、コネクターIDという。)とともにコンソールCに送信する。
【0149】
コンソールCは、長尺撮影用のブッキー装置51Aから送信されてきたカセッテIDとコネクターIDとを対応付けて記憶手段Cbに保存して管理するとともに、長尺撮影用のブッキー装置51Aのどの装填位置α、β、γにどの放射線画像撮影装置1が装填されたかを認識する。
【0150】
そして、例えば図20(A)に示すように、長尺撮影用のブッキー装置51Aの各装填位置α、β、γに放射線画像撮影装置1がそれぞれ装填されていれば、長尺撮影を行うことができる。そして、コンソールCが長尺撮影が可能であると判断した場合には、その長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている複数の放射線画像撮影装置の電力消費モードを省電力モードから撮影可能モードに切り替える等して撮影可能な状態に遷移させるように構成される。
【0151】
このように構成すれば、長尺撮影が可能な状況では、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている複数の放射線画像撮影装置1が的確に撮影可能な状態に遷移されるため、長尺撮影を的確に行うことが可能となる。
【0152】
また、コンソールCは、図示を省略するが、例えば、長尺撮影用のブッキー装置51Aの装填位置α、β、γのいずれかに1個の放射線画像撮影装置1のみが装填されている場合には、長尺撮影が可能ではない(すなわち長尺撮影を行うことができない)と判断するように構成される。
【0153】
さらに、例えば図20(B)に示すように、長尺撮影用のブッキー装置51Aに複数の放射線画像撮影装置1が装填されているが、複数の放射線画像撮影装置1が装填されている装填位置が連続していない場合、すなわち装填位置α、γには放射線画像撮影装置1がそれぞれ装填されているが、その間の装填位置βには放射線画像撮影装置1が装填されていないような場合には、長尺撮影を行うことができない。
【0154】
そのため、コンソールCは、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている複数の放射線画像撮影装置1の装填位置α、β、γが連続していない場合にも長尺撮影が可能ではないと判断するように構成される。
【0155】
そして、コンソールCは、長尺撮影用のブッキー装置51Aが使用されている(すなわち放射線画像撮影装置1が装填されている)にもかかわらず、長尺撮影が可能ではないと判断した場合には、長尺撮影ができない旨を、例えばコンソールCの表示部Ca上に表示したり音声を発したり、或いは撮影室Ra内に設けた音声や表示等による報知手段を介して放射線技師等の操作者に報知するように構成される。
【0156】
このように構成すれば、長尺撮影が可能ではない状況で、放射線技師等の操作者が放射線照射装置52から放射線を照射させる前に、現在の状況では長尺撮影を行うことができないことを的確に報知することが可能となり、長尺撮影ができない状況で放射線を照射させてしまうことを的確に防止することが可能となる。
【0157】
なお、図示を省略するが、例えば図20(B)に示した状態から、装填位置αの放射線画像撮影装置1を装填位置βに装填し直したり、装填位置γの放射線画像撮影装置1を装填位置βに装填し直せば、長尺撮影用のブッキー装置51A内において複数の放射線画像撮影装置1の装填位置が連続した状態になる。そして、このように複数の放射線画像撮影装置1の装填位置が連続していればコンソールCが長尺撮影可能であると判断するように構成することが可能である。
【0158】
また、図示を省略するが、上記のように、長尺撮影が行われるにもかかわらず、長尺撮影用のブッキー装置51Aに1個の放射線画像撮影装置1しか装填されていなかったり、或いは複数の放射線画像撮影装置1の装填位置α、β、γが連続していない状態(図20(B)参照)を、コンソールCの表示部Ca上に拡大表示して放射線技師等の操作者の注意を喚起するように構成することも可能である。
【0159】
さらに、図20(B)に示した状態から装填位置αの放射線画像撮影装置1を装填位置βに装填し直したり装填位置γの放射線画像撮影装置1を装填位置βに装填し直した状態をコンソールCの表示部Ca上に表示し、2個の放射線画像撮影装置1で長尺撮影を行うことができるか否か等を操作者に判断させるように構成することも可能である。
【0160】
また、例えば図20(A)に示したように、長尺撮影用のブッキー装置51Aに3個の放射線画像撮影装置1が装填された場合であっても、例えば、前述したように、放射線照射装置52がインターロック制御を受けないタイプの装置である場合に、連携方式用の放射線画像撮影装置1が装填されていると撮影を行うことができない。そのため、このような場合に、送信されてきたカセッテIDに基づいて装填されている放射線画像撮影装置1が連携方式用の放射線画像撮影装置1であることが判明した場合には、コンソールCは、長尺撮影が可能ではないと判断するように構成される。そして、この場合は、例えば、コンソールCが、非連携方式用の放射線画像撮影装置1に装填し直すように報知するように構成することが好ましい。
【0161】
[装填されている複数の放射線画像撮影装置のサイズや配置について]
一方、図21(A)に示すように、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている複数の放射線画像撮影装置1のサイズが異なっている場合があり得る。なお、図21(A)では装填位置α、γに例えば14×17インチ、装填位置βに14×14インチのサイズの放射線画像撮影装置1がそれぞれ装填されている場合が示されている。
【0162】
そして、このように、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている複数の放射線画像撮影装置1のサイズが異なっている場合、照射される放射線が、最も横幅が狭い放射線画像撮影装置1(図21(A)の場合は装填位置βの14×14インチの放射線画像撮影装置1)の左右にはみ出さないようにするために、例えば同図に1点鎖線で示すように照射野を絞って放射線を照射することが必要になる。
【0163】
そこで、例えば、長尺撮影用のブッキー装置51Aから送信されてきた各放射線画像撮影装置1のカセッテIDに基づいて、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている複数の放射線画像撮影装置1のサイズが異なっていると判断される場合には、コンソールCが、表示部Ca上に表示したり音声を発する等して、放射線技師等の操作者に照射する放射線の照射野の設定に注意することを報知するように構成することが可能である。
【0164】
また、上記のように長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている複数の放射線画像撮影装置1のサイズが異なっている場合、図21(A)、(B)に示すように、例えば複数の放射線画像撮影装置1の中央の位置を揃えるか(図21(A)の場合)、ブッキー装置51Aに向かって右側に揃えるか(図21(B)の場合)、或いは向かって左側に揃えるか(図示省略)によって、照射すべき放射線の照射野の左右方向の位置が変わる。
【0165】
そのため、図示を省略するが、例えば、長尺撮影用のブッキー装置51A内に各装填位置α、β、γにそれぞれ装填された各放射線画像撮影装置1の左右方向の位置を検出する検出手段を設け、検出手段が検出した各放射線画像撮影装置1の左右方向の位置を、コンソールCの表示部Ca上に表示するように構成することが可能である。或いは、単に中央揃え、右揃え、左揃えのいずれであるかを表示するように構成することも可能である。また、各放射線画像撮影装置1の位置の表示や中央揃え等の表示を、コンソールCの表示部Ca上で行う代わりに、或いはそれとともに、長尺撮影用のブッキー装置51Aに表示手段を設けてそれに表示させるように構成することも可能である。
【0166】
このように構成すれば、放射線技師等の操作者は、その表示を見て、長尺撮影用のブッキー装置51Aに照射する放射線の照射野の位置をそれに合わせるように調整することが可能となり、長尺撮影を的確に行うことが可能となる。また、コンソールCが、各放射線画像撮影装置1の位置や中央揃え等の情報を認識した上で、前述した長尺撮影における各画像データD*1?D*3の合成処理や長尺画像データD*longの生成処理(図18(A)、(B)参照)を行うことが可能となり、この点においても長尺撮影を的確に行うことが可能となる。
【0167】
[非連携方式用の放射線画像撮影装置同士の同期について]
一方、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填した各放射線画像撮影装置1に、放射線照射装置52から1ショットで放射線を照射して長尺撮影を行う場合、各放射線画像撮影装置1に照射される放射線量には差異がある。中央の装填位置β(図20(A)等参照)に装填された放射線画像撮影装置1に対し、上下の装填位置α、γに装填された放射線画像撮影装置1は、照射される放射線の照射野が絞られているため、到達する放射線の線量が少なくなる。そのため、照射開始の判断性能が劣ることが想定される。
【0168】
そして、このような場合に、長尺撮影用のブッキー装置51Aに非連携方式の放射線画像撮影装置1が装填されていると、例えば、到達する放射線の線量が多い、装填位置βに装填された放射線画像撮影装置1では放射線の照射が開始されると速やかにそれを検出することができるが、装填位置α、γに装填された放射線画像撮影装置1では放射線の照射開始の検出タイミングが遅れるという事態が生じる可能性がある。そして、各放射線画像撮影装置1で放射線の照射開始の検出タイミングがずれると、各放射線画像撮影装置1からコンソールCに画像データD等を転送するタイミングが各放射線画像撮影装置1ごとに異なるタイミングになり、コンソールCでの処理が行い難くなる。
【0169】
そこで、例えば、長尺撮影用のブッキー装置51Aに複数の非連携方式用の放射線画像撮影装置1が装填された場合、各放射線画像撮影装置1は、放射線の照射開始を検出すると、上記のようにその時点で検出処理を停止して電荷蓄積状態に移行するとともに(図9参照)、コンソールCにその旨を表す信号を送信するように構成する。そして、コンソールCは、最初の放射線の照射開始を検出した放射線画像撮影装置1からその信号を受信すると、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている他の放射線画像撮影装置1に移行信号を送信する。そして、他の放射線画像撮影装置1は、コンソールCから移行信号を受信すると、自らは放射線の照射開始を検出していなくても、その時点で検出処理を停止して電荷蓄積状態に移行するように構成する。
【0170】
このように構成することで、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填された複数の非連携方式の放射線画像撮影装置1が電荷蓄積状態に移行し、画像データDの生成処理等のその後の各処理を行うタイミングを揃えることが可能となり、コンソールCでプレビュー画像p_preの表示処理や長尺画像データD*longの生成処理等を行い易くなる。また、このように構成すれば、各放射線画像撮影装置1から異なるタイミングで放射線の照射開始を検出してその後の処理を行う場合に比べて長尺撮影全体に要する時間をより短くすることが可能となり、被写体である患者にかかる負担をより軽減することが可能となる。
【0171】
[撮影室が複数設けられている場合の放射線画像撮影装置の所在管理等について]
ところで、本発明の目的である、放射線画像撮影装置1を用いて単純撮影と長尺撮影のいずれの撮影も的確に行うことを実現し、また、撮影を効率良く行うことを実現するためには、撮影に用いる放射線画像撮影装置1の取り違え等が発生したり、放射線技師等の操作者が放射線画像撮影装置1を探すような事態が生じたりすることがないように構成することが必要となる。
【0172】
そして、このような事態は、特に、放射線画像撮影システム50が、複数の撮影室Ra(Ra1?Ra3)と単数または複数のコンソールC(C1、C2)とが対応付けられて構成されている場合(図2参照)において生じ易い。そこで、上記のような事態が生じないようにするために、例えば、図2に示したように、放射線画像撮影システム50に管理装置Sを設けるように構成することが可能である。
【0173】
具体的には、前述したように、放射線画像撮影装置1が撮影室Raに持ち込まれてクレードル55(図2や図3参照)に挿入されたり、或いはタグリーダー60(図4参照)で放射線画像撮影装置1のタグが読み取られる等して、放射線画像撮影装置1の識別情報であるカセッテIDが読み出されると、中継器54を介してカセッテIDをコンソールCとともに管理装置Sにも送信して通知する。その際、例えばカセッテIDに中継器の識別情報(以下、中継器IDという。)を付帯させて通知する。
【0174】
そして、管理装置Sは、カセッテIDに付帯されている中継器IDに基づいてどの撮影室Raから送信されてきたかを判断し、当該カセッテIDを有する放射線画像撮影装置1が中継器IDに対応する撮影室Ra内に存在することを認識するとともに、その情報を記憶手段Cbに保存する等して管理するように構成することが可能である。なお、中継器IDの代わりに、或いはそれとともに、クレードル55の識別情報やタグリーダー60の識別情報を読み取ったカセッテIDに付帯させて管理装置Sに送信するように構成することも可能であり、カセッテIDがどの撮影室Raから送信されてきたものであるかを確実に識別することができる情報であれば、カセッテIDに付帯させる情報はどのような情報であってもよい。
【0175】
また、管理装置Sは、コンソールCからの要求に応じて、各撮影室Ra内に存在する放射線画像撮影装置1の情報を当該コンソールCに送信し、コンソールCは、例えば特開2012-105787号公報や特開2013-126604号公報等に記載されているように、各撮影室Raごとに存在する放射線画像撮影装置1を例えば一覧表の形で表示部Ca上に表示するように構成することが可能である。
【0176】
このように構成することで、放射線技師等の操作者は、その一覧表を見て、どの放射線画像撮影装置1がどの撮影室Ra内に存在するかを認識することができる。その際、前述したように、各放射線画像撮影装置1の情報の近傍に、例えば、当該放射線画像撮影装置1が、連携方式用の放射線画像撮影装置1は青、非連携方式用の放射線画像撮影装置1は赤で表示し、14×17インチ、14×14インチ、17×17インチ等の各サイズをそれぞれ例えば四角(ベタ塗り)、ストライプ、水玉等の各模様を表示するように構成すれば、放射線技師等の操作者が一目で放射線画像撮影装置1の撮影方式やサイズ等を把握することが可能となり、好ましい。
【0177】
一方、長尺撮影をさらに的確に行うことを実現するために、例えば、以下のように構成することが可能である。なお、複数の撮影室Raのうち、いずれかの撮影室Ra或いは全ての撮影室Raに、長尺撮影用のブッキー装置51Aが設置されているものとする。
【0178】
そして、上記のようにして撮影オーダー情報に基づいてコンソールCがこれから行われる撮影が長尺撮影であると判断し、コンソールCから管理装置Sにどの撮影室Raで長尺撮影が可能かの回答を求める要求信号を送信すると、管理装置Sは、それに応じて、各撮影室Ra内に存在する放射線画像撮影装置1の情報や、撮影室Ra内に長尺撮影用のブッキー装置51Aがあるか否かの情報に基づいて、いずれの撮影室Raで長尺撮影を行うことが可能であるかを判断し、長尺撮影が可能な撮影室RaをコンソールCに通知する。そして、コンソールCは、管理装置Sから通知された撮影室Raの情報を、例えば表示部Ca上に表示する等して放射線技師等の操作者に報知するように構成することが可能である。
【0179】
具体的に言えば、上記のように、放射線照射装置52がインターロック制御を受けるタイプであったり受けないタイプであったりすることで、長尺撮影に使用することができる放射線画像撮影装置1の種類(すなわち連携方式用か非連携方式用か)等が制限される場合がある。また、長尺撮影用のブッキー装置51Aにコネクター51bが設けられているか否か等によっても、長尺撮影に使用することができる放射線画像撮影装置1の種類等を考慮しなければならない場合がある。
【0180】
そして、長尺撮影用のブッキー装置51Aが設けられている撮影室Ra内に、上記のようにその長尺撮影用のブッキー装置51Aや放射線照射装置52を用いた長尺撮影に使用することができる複数の放射線画像撮影装置1が存在すれば、当該撮影室Raで長尺撮影を行うことができるが、そのような複数の放射線画像撮影装置1が存在しない場合には、当該撮影室Raではすぐには長尺撮影を行うことができない。
【0181】
そのため、上記のように各撮影室Ra内に存在する放射線画像撮影装置1の情報や長尺撮影用のブッキー装置51A等の情報に基づいて、管理装置Sがいずれの撮影室Raで長尺撮影を行うことが可能かを判断し、長尺撮影が可能な撮影室Raを、コンソールCを介して放射線技師等の操作者に通知することで、操作者は、通知された撮影室Raで長尺撮影を的確に行うことが可能となる。
【0182】
また、管理装置Sが、いずれの撮影室Raにおいても長尺撮影を行うことが可能ではないと判断した場合には、例えば、長尺撮影に使用可能な放射線画像撮影装置1がどの撮影室Ra内に存在するかの情報をコンソールCに通知し、コンソールCは、管理装置Sから通知された上記の情報を、例えば上記のように一覧表等の形で表示部Ca上に表示する等して報知するように構成することが可能である。
【0183】
このように構成すれば、放射線技師等の操作者は、その報知に基づいて、必要な放射線画像撮影装置1を各撮影室Raに行って的確かつ速やかに集めることが可能となり、長尺撮影用のブッキー装置51Aが設けられている撮影室Raにそれらを持ち込んで長尺撮影用のブッキー装置51Aにそれらを装填して、長尺撮影を的確に行うことが可能となる。
【0184】
[変形例について]
[変形例1]
なお、前述したように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50のコンソールCの表示部Caには、撮影室Ra内に存在する放射線画像撮影装置1をアイコンIで表示する選択画面H3(図14?図16参照)が表示される。しかし、その際、これから行われる撮影(すなわち画面H2(図13参照)上でフォーカス表示されているアイコンI(図13の場合はアイコンI2)に対応する撮影)に用いることができない放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIは、選択画面H3上で選択することができないようにするために、例えば、これから行われる撮影に用いることができない放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIを、当該放射線画像撮影装置1が撮影室Ra内に存在する場合であっても、そもそも選択画面H3上に表示しないように構成することも可能である。
【0185】
このように構成すれば、撮影に使用することができない放射線画像撮影装置1を、放射線技師等の操作者が誤って選択画面H3上で選択してしまうことを的確に防止することが可能となり、単純撮影や長尺撮影を的確に行うことが可能となる。
【0186】
[変形例2]
また、前述したように、放射線画像撮影装置1の中には、連携方式と非連携方式のいずれでも撮影を行うことができる装置がある。そして、このような放射線画像撮影装置1を用いる場合には、例えば上記のように放射線照射装置52がインターロック制御を受けないタイプの装置であり、撮影に非連携方式用の放射線画像撮影装置1を使用しなければならない場合には、コンソールCから放射線画像撮影装置1に信号を送信して、放射線画像撮影装置1の撮影方式を非連携方式に切り替えるように構成することも可能である。
【0187】
すなわち、撮影室Raに設けられている放射線照射装置52のタイプ(すなわち例えばインターロック制御を受けるか否か等)やブッキー装置51のタイプ(すなわちコネクター51bが設けられているか否か等)等に応じて、コンソールCが、当該撮影室Ra内に存在する放射線画像撮影装置1の撮影方式を、連携方式或いは非連携方式の、当該撮影室Raの状況に応じた撮影方式に切り替えるように構成することが可能である。
【0188】
このように構成すれば、撮影室Raの状況、すなわち上記のような放射線照射装置52やブッキー装置51のタイプ等に応じて、放射線画像撮影装置1の撮影方式を連携方式と非連携方式との間で適切に切り替えて撮影を行うことが可能となり、単純撮影や長尺撮影を的確に行うことが可能となる。
【0189】
[変形例3]
一方、上記の実施形態や変形例では、主に、長尺撮影用のブッキー装置51Aを用いる際、そのカセッテホルダー51a(図1等参照)内に複数の放射線画像撮影装置1を装填して長尺撮影を行う場合について説明したが、この他にも、例えば、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填した放射線画像撮影装置1を用いて単純撮影を行うことができるように構成することも可能である。
【0190】
具体的には、図示を省略するが、例えば、長尺撮影用のブッキー装置51Aのカセッテホルダー51a内に、装填された放射線画像撮影装置1を移動させるための移動装置を設けておき、長尺撮影用のブッキー装置51Aのカセッテホルダー51a内に装填した放射線画像撮影装置1を、カセッテホルダー51a内で、被写体Hの体軸A方向(図1参照)の任意の位置に移動させることができるように構成することが可能である。
【0191】
この場合、長尺撮影用のブッキー装置51Aが立位撮影用であれば、装填された放射線画像撮影装置1がカセッテホルダー51a内を上下方向に移動することができるように構成され、また、長尺撮影用のブッキー装置51Aが臥位撮影用であれば、装填された放射線画像撮影装置1がカセッテホルダー51a内を水平方向に移動することができるように構成される。
【0192】
そして、このように構成すれば、長尺撮影用のブッキー装置51Aのカセッテホルダー51a内で放射線画像撮影装置1を移動させることで、被写体Hの撮影部位に放射線画像撮影装置1を配置することが可能となる。そのため、被写体Hの撮影部位に応じて被写体Hの体位を移動させたりカセッテホルダー51aの位置を変えたりする必要がなくなり、放射線技師等の操作者にとって使い勝手がよいものとなる。
【0193】
なお、長尺撮影用のブッキー装置51Aのカセッテホルダー51a内に複数の放射線画像撮影装置1を装填した状態で上記のようにカセッテホルダー51a内で放射線画像撮影装置1を移動させて単純撮影を行う場合には、撮影に使用しない放射線画像撮影装置1をカセッテホルダー51a内で例えば被写体Hから離れる方向に退避させることができるように構成することが好ましい。このように構成すれば、長尺撮影用のブッキー装置51Aのカセッテホルダー51a内で、撮影に使用しない放射線画像撮影装置1によって邪魔されない状態で、撮影に使用する放射線画像撮影装置1を的確に移動させて撮影を行うことが可能となる。
【0194】
また、上記の実施形態では、図1等に示したように、放射線照射装置52として、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填された複数の放射線画像撮影装置1に同時に(すなわち1ショットで)放射線を照射することができる、いわゆる広角照射タイプの放射線照射装置が用いられている。そのため、長尺撮影用のブッキー装置51Aのカセッテホルダー51a内で放射線画像撮影装置1を移動させて単純撮影を行う場合も、放射線照射装置52の位置や照射方向を必ずしも変える必要はない(なお、その場合も、被写体Hの被曝線量が増えないようにするために、放射線の照射野は必要な範囲に絞られる。)。
【0195】
しかし、単純撮影の場合には、カセッテホルダー51a内での放射線画像撮影装置1の移動に同期するように放射線照射装置52を移動させて放射線を照射するように構成することが好ましい。
【0196】
すなわち、例えば、長尺撮影用のブッキー装置51Aが立位撮影用であり、仮に放射線画像撮影装置1をカセッテホルダー51a内の上端の位置に移動させた場合、広角照射タイプの放射線照射装置52であれば、放射線照射装置52の位置(高さ)や照射方向を変えなくても、カセッテホルダー51a内の上端の位置の放射線画像撮影装置1に放射線を照射することが可能である。しかし、この場合、放射線画像撮影装置1に下側から放射線を照射して撮影を行った状態になり、生成された放射線画像pを見た読影医が違和感を感じる画像になる虞れがある。
【0197】
そのため、上記のように、長尺撮影用のブッキー装置51Aのカセッテホルダー51a内で放射線画像撮影装置1を移動させて単純撮影を行う場合には、カセッテホルダー51a内での放射線画像撮影装置1の移動に同期させて、放射線照射装置52の位置(高さ)が放射線画像撮影装置1と同じ位置(高さ)になるように放射線照射装置52を移動させて撮影を行うように構成することが好ましい。
【0198】
なお、本発明が上記の実施形態や変形例等に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0199】
1 放射線画像撮影装置(可搬型放射線画像撮影装置)
27 コネクター
50 放射線画像撮影システム
51、51A 長尺撮影用のブッキー装置
51b コネクター(読取手段)
52 放射線照射装置
55 クレードル(検知手段)
60 タグリーダー(検知手段、読取手段)
C コンソール
D 画像データ
p 放射線画像
Ra、Ra1?Ra3 撮影室
S 管理装置
α、β、γ 装填位置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の放射線画像撮影装置と、複数の前記放射線画像撮影装置を装填可能な装填手段と、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置と、を備え、複数の前記放射線画像撮影装置を用いる長尺撮影と、1つの前記放射線画像撮影装置を用いる単純撮影の両方の撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムであって、
前記制御装置は、
前記装填手段における前記放射線画像撮影装置の装填状況を認識し、
これから行う撮影が、前記長尺撮影である場合には、前記装填状況に基づき、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が同一方向に3つ連続していると判断した場合、または、前記装填手段への複数の前記放射線画像撮影装置の装填位置が2つ連続していると判断した場合のみ、前記装填手段に装填されている複数の前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態へと遷移させ、
これから行う撮影が、前記単純撮影である場合には、複数の前記放射線画像撮影装置のうちの一の前記放射線画像撮影装置のみを撮影可能な状態へと遷移させることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記制御装置は、撮影オーダー情報に基づいて、これから行う撮影が前記長尺撮影であるか前記単純撮影であるかを判断することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記制御装置によるこれから行う撮影の判断結果を表示する表示装置を備えることを特徴とする請求項2に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記放射線画像撮影装置に切り替え信号を送信することにより、前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態へと遷移させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記放射線画像撮影装置は、撮影することが可能な撮影可能モードと、前記撮影可能モードよりも消費電力量が少ない省電力モードとを有し、
前記制御装置は、切り替え信号を送信することによって、前記放射線画像撮影装置を前記省電力モードから前記撮影可能モードへと切り替えることを特徴とする請求項4に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
前記放射線画像撮影装置は、撮影に使用する放射線照射装置との間で信号のやり取りを行わず自ら放射線の照射開始を検出する非連携方式用の放射線画像撮影装置であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項7】
複数の前記放射線画像撮影装置に同時に放射線照射可能な放射線照射装置を備えることと特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-03-26 
出願番号 特願2014-188391(P2014-188391)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A61B)
P 1 651・ 113- YAA (A61B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松岡 智也  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 ▲高▼見 重雄
渡戸 正義
登録日 2018-10-12 
登録番号 特許第6413534号(P6413534)
権利者 コニカミノルタ株式会社
発明の名称 放射線画像撮影システム  
代理人 特許業務法人光陽国際特許事務所  
代理人 特許業務法人光陽国際特許事務所  
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