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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1362788
審判番号 不服2018-14084  
総通号数 247 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-24 
確定日 2020-06-16 
事件の表示 特願2013-171359「情報処理装置、情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月 2日出願公開、特開2015- 39482、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年8月21日の出願であって、平成29年6月6日付けで拒絶理由が通知され、同年8月1日に意見書が提出され、平成30年1月25日付けで拒絶理由が通知され、同年3月15日に意見書が提出され、同年7月30日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して同年10月24日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、その後、当審において令和1年9月27日付けで拒絶理由が通知され、同年11月20日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年2月26日付けで拒絶理由が通知され、同年3月3日に手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の概要
願書に最初に添付された特許請求の範囲における請求項1ないし18に係る発明は、以下の引用文献AないしCに基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献A 特開2003-325973号公報
引用文献B 特開平11-95650号公報(周知技術を示す文献)
引用文献C 特開2011-255119号公報(周知技術を示す文献)

第3 当審が通知した拒絶理由の概要
1.令和1年9月27日付けで通知した拒絶理由について
(1)平成30年10月24日に提出された手続補正書における、請求項1ないし17についての特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(2)平成30年10月24日に提出された手続補正書における請求項1ないし3、10及び15ないし17に係る発明は、以下の刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(3)平成30年10月24日に提出された手続補正書における請求項1ないし5、10ないし13及び15ないし17に係る発明は、以下の刊行物1に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
刊行物1 特開2011-211685号公報(当審において新たに引用したもの)

2.令和2年2月26日付けで通知した拒絶理由について
令和1年11月20日に提出された手続補正書における、請求項1ないし15についての特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

なお、1.(1)及び2.の拒絶理由については、後の第8で詳述する。

第4 本願発明
本願請求項1ないし16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明16」という。)は、令和2年3月3日に提出された手続補正書における特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
選択対象の少なくとも1つの第1オブジェクトを含む選択画面を表示する第1表示部と、
前記第1オブジェクトが選択されたかどうかを判断する第1判断部と、
前記第1判断部によって前記第1オブジェクトが選択されたと判断されたときに、当該第1オブジェクトに対応する第2オブジェクトを、前記選択画面とは異なり、少なくとも当該第1オブジェクトを使用する様子を表現可能な情報処理画面に重ねて表示する第2表示部を備え、
前記第1表示部は、前記第1オブジェクトの移動先である第1移動先オブジェクトを前記選択画面にさらに表示し、
前記第2表示部は、前記第1判断部によって前記第1オブジェクトが選択されたと判断されたときに、前記第1移動先オブジェクトに対応する第2移動先オブジェクトをさらに前記情報処理画面に重ねて表示する、情報処理装置。
【請求項2】
選択された前記第1オブジェクトの移動操作を受け付ける第1受付部と、
前記第1受付部によって前記移動操作を受け付けたとき、当該移動操作に従って、前記第1オブジェクトを移動させるとともに、前記第2オブジェクトを当該第1オブジェクトと同様に移動させる移動部をさらに備える、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記移動操作はスライドを含む、請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1判断部は、前記第1オブジェクトの選択が解除されたかどうかをさらに判断し、
前記第2表示部は、前記第1判断部によって前記第1オブジェクトの選択が解除されたと判断されたときに、前記第2オブジェクトを前記情報処理画面から消去する、請求項1ないし3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1判断部によって前記第1オブジェクトの選択が解除されたことが判断された場合に、当該第1オブジェクトが静止したかどうかを判断する第2判断部をさらに備え、
前記第2表示部は、前記第2判断部によって前記第1オブジェクトが静止したことが判断されたときに、前記第2オブジェクトを前記情報処理画面から消去する、請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2表示部は、前記選択画面に表示される前記第1オブジェクトと前記第1移動先オブジェクトの位置関係に応じた位置関係で、前記第2オブジェクトと前記第2移動先オブジェクトを前記情報処理画面に重ねて表示する、請求項1ないし5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
選択された前記第1オブジェクトを前記第1移動先オブジェクトまで移動させたとき、前記第2表示部は、前記第2オブジェクトおよび前記第2移動先オブジェクトを前記情報処理画面から消去する、請求項1ないし6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第2表示部は、前記第2オブジェクトおよび前記第2移動先オブジェクトを半透明で前記情報処理画面に表示する、請求項1ないし7のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記選択画面および前記情報処理画面は異なる空間を描画した画面である、請求項1ないし8のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記情報処理画面に対する操作入力を受け付ける第2受付部と、
前記第2受付部によって受け付けられた操作入力に従って情報処理を実行する実行部をさらに備える、請求項2または3記載の情報処理装置。
【請求項11】
ポインティングデバイスとポインティングデバイスとは異なる種類の入力装置を備え、
前記第1受付部は前記ポインティングデバイスを用いた移動操作を受け付け、前記第2受付部は前記入力装置を用いた操作入力を受け付ける、請求項10記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記ポインティングデバイスはタッチパネルであり、
前記入力装置はボタン入力装置である、請求項11記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記選択画面は可搬型表示装置に表示され、
前記情報処理画面は前記可搬型表示装置とは別の表示装置に表示される、請求項1ないし12のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項14】
選択対象の少なくとも1つの第1オブジェクトを含む選択画面を表示する第1表示部と、
前記第1オブジェクトが選択されたかどうかを判断する第1判断部と、
前記第1判断部によって前記第1オブジェクトが選択されたと判断されたときに、当該第1オブジェクトに対応する第2オブジェクトを、前記選択画面とは異なり、少なくとも当該第1オブジェクトを使用する様子を表現可能な情報処理画面に重ねて表示する第2表示部を備え、
前記第1表示部は、前記第1オブジェクトの移動先である第1移動先オブジェクトを前記選択画面にさらに表示し、
前記第2表示部は、前記第1判断部によって前記第1オブジェクトが選択されたと判断されたときに、前記第1移動先オブジェクトに対応する第2移動先オブジェクトをさらに前記情報処理画面に重ねて表示する、情報処理システム。
【請求項15】
第1表示手段と第2表示手段を備えるコンピュータの情報処理プログラムであって、
前記情報処理プログラムは、前記コンピュータを、
選択対象の少なくとも1つの第1オブジェクトを含む選択画面を前記第1表示手段に表示する第1表示制御部と、
前記第1オブジェクトが選択されたかどうかを判断する第1判断部と、
前記第1判断部において前記第1オブジェクトが選択されたと判断したときに、当該第1オブジェクトに対応する第2オブジェクトを、前記選択画面とは異なり、少なくとも当該第1オブジェクトを使用する様子を表現可能な情報処理画面に重ねて前記第2表示手段に表示する第2表示制御部として機能させ、
前記第1表示制御部は、前記第1オブジェクトの移動先である第1移動先オブジェクトを前記選択画面にさらに表示し、
前記第2表示制御部は、前記第1判断部において前記第1オブジェクトが選択されたと判断したときに、前記第1移動先オブジェクトに対応する第2移動先オブジェクトをさらに前記情報処理画面に重ねて表示する、情報処理プログラム。
【請求項16】
第1表示手段と第2表示手段を備えるコンピュータの情報処理方法であって、
前記コンピュータは、
(a)選択対象の少なくとも1つの第1オブジェクトを含む選択画面を前記第1表示手段に表示するステップ、
(b)前記第1オブジェクトが選択されたかどうかを判断するステップ、および
(c)前記ステップ(b)において前記第1オブジェクトが選択されたと判断したときに、当該第1オブジェクトに対応する第2オブジェクトを、前記選択画面とは異なり、少なくとも当該第1オブジェクトを使用する様子を表現可能な情報処理画面に重ねて前記第2表示手段に表示するステップを含み
前記ステップ(a)は、前記第1オブジェクトの移動先である第1移動先オブジェクトを前記選択画面にさらに表示し、
前記ステップ(c)は、前記第1移動先オブジェクトに対応する第2移動先オブジェクトをさらに前記情報処理画面に重ねて表示する、情報処理方法。」

第5 当審が通知した拒絶理由で引用された引用文献、引用発明等
1.刊行物1について
(1)令和1年9月27日付け拒絶理由において引用された刊行物1(特開2011-211685号公報)には、次の事項が記載されている。(下線は、認定箇所を強調するために、当審において付した。以下同様。)

(記載事項1)
「【0021】
(画像表示装置の説明)
図1において、画像表示装置10は、立体表示可能な立体画像表示装置11、および、2次元の平面画像を表示可能な平面画像表示装置12を含む。
・・・」

(記載事項2)
「【0151】
(第3実施形態)
(ゲームの概要)
次に、図23から図29を参照して、第3実施形態に係るゲームの概要について説明する。第3実施形態では、上記画像表示装置10はゲーム装置として機能する。図23は、第3実施形態に係るゲームの実行中において、立体画像表示装置11および平面画像表示装置12の画面に表示されるゲーム画像の一例を示した図である。
【0152】
図23に示すように、立体画像表示装置11の画面には、仮想空間に存在する子供を模した子供オブジェクト101および家具オブジェクト104が立体表示(立体視可能に表示)された子供オブジェクト画像111および家具オブジェクト画像114が表示されている。立体画像表示装置11の画面に表示される子供オブジェクト画像111および家具オブジェクト画像114は、例えば、32bitカラーで表示される。また、立体画像表示装置11の画面には、カーソル160が表示されている。カーソル160は、ユーザによるタッチパネル15(平面画像表示装置12の画面)へのタッチ位置に対応した仮想空間上の位置に配置され、立体画像表示装置11の画面上に表示される。
・・・
【0154】
一方、平面画像表示装置12の画面の中央部には、平面画像表示領域161が設けられる。平面画像表示装置12の画面の上部には操作ボタン162、下部にはアイテム選択ボタン163が表示されている。操作ボタン162は、ゲームの中断や終了等に用いられる
。ゲームを終了する際に、ユーザはスティック16を用いて操作ボタン162をタッチすることにより、ゲームを中断したり終了したりする。アイテム選択ボタン163は、後述するアイテムを選択するために用いられる。
【0155】
平面画像表示領域161には、子供オブジェクト画像121が表示されている。子供オブジェクト画像121は、子供オブジェクト101を平面表示した画像であり、立体画像表示装置11の画面に表示される子供オブジェクト101を単色(灰色)で表示した画像である。具体的には、子供オブジェクト画像121は、上記左目用仮想カメラ100aと右目用仮想カメラ100bとの中間に位置する仮想カメラ108を用いて、仮想空間に存在する子供オブジェクト101を撮像し、シルエット表示したものである。この場合において、仮想カメラ108の撮像方向は、上記仮想ステレオカメラ100の撮像方向と同じである(図24の撮像方向C)。また、仮想カメラ108の画角は、上記仮想ステレオカメラ100の画角と同じである。従って、平面画像表示領域161に表示される画像(子供オブジェクト101を含む仮想空間を撮像した画像)は、立体画像表示装置11に表示される画像(子供オブジェクト101と家具オブジェクト104とを含む仮想空間を撮像した画像)と略同じ大きさの画像であって、略同じ仮想空間の範囲を撮像した画像である。すなわち、平面画像表示装置12に表示される画像は、立体画像表示装置11の画面と平面画像表示領域161との大きさの比率に応じて、立体画像表示装置11に表示される画像を縮尺した画像(ここでは、画面の縦方向に所定比率だけ縮尺した画像)である。また、平面画像表示装置12に表示される画像の撮像範囲(当該画像に表示される仮想空間の範囲)は、立体画像表示装置11に表示される画像の撮像範囲と略同じである。」

(記載事項3)
「【0170】
次に、図28および図29を参照して、アイテムを使用したゲームについて説明する。図28は、第3実施形態に係るゲームにおいて、ユーザがアイテムを使用する場合について示す図である。平面画像表示装置12の画面において、ユーザがスティック16を用いてアイテム選択ボタン163をタッチしたまま画面上を移動させると、立体画像表示装置11にはアイテム105(立体表示されたアイテム画像115)が出現し、アイテム105がカーソル160(手)で把持された様子が表示される。アイテム105は、ユーザによって操作可能なオブジェクトである。一方、平面画像表示装置12にも、アイテム画像125が表示される。アイテム画像125は、仮想空間に存在するアイテム105をシルエット表示した画像である。図28に示すように、アイテム画像125(アイテム105のシルエット)は、子供オブジェクト101の子供オブジェクト画像121とは異なる表示態様で表示される。例えば、アイテム画像125は、青色で表示され、子供オブジェクト画像121(子供オブジェクト101のシルエット)は灰色で表示される。
【0171】
図29は、子供オブジェクト101にアイテム105を持たせた場合に立体画像表示装置11および平面画像表示装置12に表示される画像が変化する様子を示す図である。ユーザがアイテム画像125をタッチしたまま子供オブジェクト画像121の手の位置まで移動させると、立体画像表示装置11に表示される子供オブジェクト101はアイテム105を把持する。この場合において、立体画像表示装置11に表示される子供オブジェクト101の表情が変化し、子供オブジェクト101は両手を挙げるように変化する。同様に、平面画像表示装置12に表示される子供オブジェクト画像121も変化する。このように、ユーザは、アイテム選択ボタン163をタッチしてアイテム105を子供オブジェクト101に手渡すことで、子供オブジェクト101にアイテム105を使用して遊ばせる。これにより、子供オブジェクト101が喜ぶ様子が立体画像表示装置11に表示される。なお、ユーザにアイテム選択ボタン163をタッチさせて複数のアイテムの中から使用するアイテムを選択させてもよい。また、アイテム105は立体画像表示装置11の画面上の所定位置(仮想空間上の所定位置)に予め存在し、ユーザが、平面画像表示装置12に表示されたアイテム画像125をタッチして、子供オブジェクト101に手渡すようにしてもよい。」

(2)刊行物1に記載された発明
ア.記載事項1及び2によれば、刊行物1には、「子供オブジェクト101が立体表示された子供オブジェクト画像111が画面に表示されている立体画像表示装置11、および、前記子供オブジェクト101が平面表示された子供オブジェクト画像121が画面に表示されている平面画像表示装置12を含む画像表示装置10」が記載されている。

イ.記載事項2によれば、刊行物1には、「ユーザによる平面画像表示装置12の画面へのタッチ位置に対応した仮想空間上の位置にカーソル160が配置され、立体画像表示装置11の画面上にカーソル160が表示される」ことが記載されている。

ウ.記載事項3によれば、刊行物1には、「平面画像表示装置12の画面において、ユーザがスティック16を用いてアイテム選択ボタン163をタッチしたまま画面上を移動させると、平面画像表示装置12には、アイテム105のシルエットであるアイテム画像125が表示されると共に、立体画像表示装置11には、アイテム105が立体表示されたアイテム画像115が出現し、アイテム105がカーソル160で把持された様子が表示される」こと(以下、「処理1」という。)、また、「ユーザは、アイテム105を子供オブジェクト101に手渡すことで、子供オブジェクト101にアイテム105を使用して遊ばせる」ことが記載されている。
また、記載事項3には、「なお、ユーザにアイテム選択ボタン163をタッチさせて複数のアイテムの中から使用するアイテムを選択させてもよい。」と記載されており、かかる処理は、処理1のアイテム選択ボタン163をタッチすることにより、一つのアイテム105が出現することに代えての処理であるものと認められる。
よって、記載事項3によれば、刊行物1には、「アイテム選択ボタン163をタッチすることにより、一つのアイテム105が出現することに代えて、ユーザにアイテム選択ボタン163をタッチさせて複数のアイテムの中から使用するアイテムを選択させる」ことが記載されているものと認められる。

エ.記載事項3の「ユーザがアイテム画像125をタッチしたまま子供オブジェクト画像121の手の位置まで移動させると、立体画像表示装置11に表示される子供オブジェクト101はアイテム105を把持する。」との記載における「立体画像表示装置11に表示される子供オブジェクト101」が、記載事項1の「子供オブジェクト101が立体表示された子供オブジェクト画像111が表示されている立体画像表示装置11」との記載における「子供オブジェクト画像111」と同じ画像であることは自明である。
よって、記載事項3によれば、刊行物1には、「ユーザがアイテム画像125をタッチしたまま子供オブジェクト画像121の手の位置まで移動させると、子供オブジェクト画像111はアイテム105を把持する」ことが記載されているものと認められる。

オ.上記ア.ないしエ.によれば,刊行物1には,次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「子供オブジェクト101が立体表示された子供オブジェクト画像111が表示されている立体画像表示装置11、および、子供オブジェクト101が平面表示された子供オブジェクト画像121が表示されている平面画像表示装置12を含む画像表示装置10であって、
ユーザによる平面画像表示装置12の画面へのタッチ位置に対応した仮想空間上の位置にカーソル160が配置され、立体画像表示装置11の画面上にカーソル160が表示され、
平面画像表示装置12の画面において、ユーザがスティック16を用いてアイテム選択ボタン163をタッチしたまま画面上を移動させると、平面画像表示装置12には、アイテム105のシルエットであるアイテム画像125が表示されると共に、立体画像表示装置11には、アイテム105が立体表示されたアイテム画像115が出現し、アイテム105がカーソル160で把持された様子が表示され、
または、アイテム選択ボタン163をタッチすることにより、一つのアイテム105が出現することに代えて、ユーザにアイテム選択ボタン163をタッチさせて複数のアイテムの中から使用するアイテムを選択させ、
ユーザがアイテム画像125をタッチしたまま子供オブジェクト画像121の手の位置まで移動させると、子供オブジェクト画像111はアイテム105を把持し、ユーザはアイテム105を子供オブジェクト101に手渡すことで、子供オブジェクト101にアイテム105を使用して遊ばせる、
画像表示装置10。」

第6 対比、判断
1.本願発明1について
(1)本願発明1と引用発明1の対比
ア.引用発明1の「画像表示装置10」は、本願発明1の「情報処理装置」に相当し、以下同様に、「平面画像表示装置12」は「第1表示部」に、「立体画像表示装置11」は「第2表示部」に相当する。

イ.引用発明1において、ユーザがスティック16を用いてアイテム選択ボタン163をタッチしたまま画面上を移動させると、平面画像表示装置12には、アイテム105のシルエットであるアイテム画像125が表示されるのであるから、引用発明1において、アイテム選択ボタン163をスティック16を用いてタッチすることは、アイテム105、及び、そのシルエットであるアイテム画像125を選択することに他ならない。
よって、引用発明1の「アイテム画像125」は、本願発明1の「第1のオブジェクト」に相当する。
したがって、本願発明1の「選択対象の少なくとも1つの第1オブジェクトを含む選択画面を表示する第1表示部」と、引用発明1の、アイテム105のシルエットであるアイテム画像125を表示する、「平面画像表示装置12」とは、「第1オブジェクトを含む画面を表示する第1表示部」との概念で共通する。

ウ.そして、引用発明1において、「ユーザがスティック16を用いてアイテム選択ボタン163をタッチしたまま画面上を移動させる」との事象が発生すると、「平面画像表示装置12には、・・・アイテム画像125が表示されると共に」、「立体画像表示装置11には、アイテム105が立体表示されたアイテム画像115が出現する」のであるから、引用発明1は、平面画像表示装置12の画面において、アイテム選択ボタン163をスティック16を用いてタッチするというアイテム105(アイテム画像125)の選択が行われたか否かを判断しており、アイテム105(アイテム画像125)の選択が行われたと判断されたときに、立体画像表示装置11の画面に、アイテム105が立体表示されたアイテム画像115を表示するものといえる。
ここで、引用発明1において、アイテム105が立体表示されたアイテム画像115は、アイテム105のシルエットであるアイテム画像125に対応するものといえるから、引用発明1は、アイテム画像125の選択が行われたか否かを判断しており、アイテム画像125の選択が行われたと判断されたときに、アイテム画像125に対応するアイテム画像115を、立体画像表示装置11の画面上に重ねて表示するものといえる。
よって、引用発明1の「アイテム画像115」は、本願発明1の「第2のオブジェクト」に相当し、引用発明1の「立体画像表示装置11の画面」は、本願発明1の「情報処理画面」に相当する。
したがって、引用発明1の「平面画像表示装置12の画面において、ユーザがスティック16を用いてアイテム選択ボタン163をタッチしたまま画面上を移動させると、平面画像表示装置12には、アイテム105のシルエットであるアイテム画像125が表示されると共に、立体画像表示装置11には、アイテム105が立体表示されたアイテム画像115が出現する」ことは、本願発明1の「前記第1オブジェクトが選択されたかどうかを判断する第1判断部と、前記第1判断部によって前記第1オブジェクトが選択されたと判断されたことに応じて、当該第1オブジェクトに対応する第2オブジェクトを、・・・情報処理画面に重ねて表示する第2表示部を備える」ことに相当する。

また、引用発明1は、ユーザが、アイテム105を子供オブジェクト101に手渡すことで、子供オブジェクト101にアイテム105を使用して遊ばせるものであるところ、子供オブジェクト101は、子供オブジェクト画像111として立体画像表示装置11の画面に表示されるものであるから、子供オブジェクト101がアイテム105を使用して遊ぶ様子が表示されるのは、立体画像表示装置11の画面である。
よって、本願発明1の「当該第1オブジェクトに対応する第2オブジェクトを、前記選択画面とは異なり、少なくとも当該第1オブジェクトを使用する様子を表現可能な情報処理画面」と、引用発明1の、アイテム画像125に対応するアイテム画像115を、平面画像表示装置12の画面とは異なり、子供オブジェクト101がアイテム105を使用して遊ぶ様子が表示される、「立体画像表示装置11の画面」とは、「当該第1オブジェクトに対応する第2オブジェクトを、前記画面とは異なり、少なくとも当該第1オブジェクトを使用する様子を表現可能な情報処理画面」との概念で共通する。
したがって、本願発明1の「前記第1オブジェクトが選択されたかどうかを判断する第1判断部と、前記第1判断部によって前記第1オブジェクトが選択されたと判断されたときに、当該第1オブジェクトに対応する第2オブジェクトを、前記選択画面とは異なり、少なくとも当該第1オブジェクトを使用する様子を表現可能な情報処理画面に重ねて表示する第2表示部を備える」ことと、引用発明1の「子供オブジェクト101が立体表示された子供オブジェクト画像111が表示されている立体画像表示装置11」を含み、「平面画像表示装置12の画面において、ユーザがスティック16を用いてアイテム選択ボタン163をタッチしたまま画面上を移動させると、平面画像表示装置12には、アイテム105のシルエットであるアイテム画像125が表示されると共に、立体画像表示装置11には、アイテム105が立体表示されたアイテム画像115が出現し、アイテム105がカーソル160で把持された様子が表示され」、「ユーザは、アイテム105を子供オブジェクト101に手渡すことで、子供オブジェクト101にアイテム105を使用して遊ばせる」こととは、「前記第1オブジェクトが選択されたかどうかを判断する第1判断部と、前記第1判断部によって前記第1オブジェクトが選択されたと判断されたときに、当該第1オブジェクトに対応する第2オブジェクトを、前記画面とは異なり、少なくとも当該第1オブジェクトを使用する様子を表現可能な情報処理画面に重ねて表示する第2表示部を備える」との概念で共通する。

エ.したがって、本願発明1と引用発明1とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点1ないし3で相違する。
<一致点>
「第1オブジェクトを含む画面を表示する第1表示部と、
前記第1オブジェクトが選択されたかどうかを判断する第1判断部と、
前記第1判断部によって前記第1オブジェクトが選択されたと判断されたときに、当該第1オブジェクトに対応する第2オブジェクトを、前記画面とは異なり、少なくとも当該第1オブジェクトを使用する様子を表現可能な情報処理画面に重ねて表示する第2表示部を備える、情報処理装置。」

<相違点1>
第1表示部で表示される画面が、本願発明1では「選択対象の少なくとも1つの第1オブジェクトを含む選択画面」であるのに対し、引用発明1では、アイテム画像125(第1オブジェクト)を含む画面は、アイテム選択ボタン163がタッチされた後に表示されるものであって、アイテム画像125が選択対象として表示されるものではない点。

<相違点2>
本願発明1の第1表示部は、前記第1オブジェクトの移動先である第1移動先オブジェクトを前記選択画面にさらに表示する動作をするのに対し、引用発明1の「平面画像表示装置12」は、そのような動作をしない点。

<相違点3>
本願発明1の第2表示部は、前記第1判断部によって前記第1オブジェクトが選択されたと判断されたときに、前記第1移動先オブジェクトに対応する第2移動先オブジェクトをさらに前記情報処理画面に重ねて表示する動作をするのに対し、引用発明1の「立体画像表示装置11」は、そのような動作をしない点。

(2)判断
事案に鑑みて、相違点3について判断する。

引用発明1の「アイテム画像125」の移動先は、「子供オブジェクト画像121の手の位置」であるため、引用発明1の「子供オブジェクト画像121」自体は、本願発明1の「(第1オブジェクトの移動先である)第1移動先オブジェクト」に相当するものではない。してみると、引用発明1は、上記相違点3に係る本願発明1の「第1移動先オブジェクト」及び「(前記第1移動先オブジェクトに対応する)第2移動先オブジェクト」に相当する構成を備えるものではないから、引用発明1は上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項を有するといえない。
したがって、上記相違点3は実質的な相違点であり、かつ、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項を導き出すことが、当業者にとって容易に想到し得ることともいえないから、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明1でなく、かつ、当業者であっても引用発明1に基づいて容易に発明をすることができたものであるともいえない。

なお、引用発明1の「子供オブジェクト画像121」は、その一部が「アイテム画像125」の移動先ではあるため、念のため、以下では引用発明1の「子供オブジェクト画像121」が本願発明1の「第1移動先オブジェクト」に相当すると仮定したうえでの検討をしておく。
上記仮定に基づけば、引用発明1の「子供オブジェクト画像111」は、「子供オブジェクト画像121」と同様に「子供オブジェクト101」を示す画像であることから「子供オブジェクト画像121」に「対応する」画像であるといえる。してみると、引用発明1の「子供オブジェクト画像111」は、本願発明1の「前記第1移動先オブジェクトに対応する第2移動先オブジェクト」に相当する。
そして、引用発明1の「立体画像表示装置11」は、「子供オブジェクト画像111」を「画面」に表示するものであるから、本願発明1の「第2表示部」と、「第1移動先オブジェクトに対応する第2移動先オブジェクトを情報処理画面に表示する第2表示部」との概念で共通するものといえる。
しかしながら、引用発明1の「立体画像表示装置11」が画面に表示する「子供オブジェクト画像111」は、引用発明1において「ユーザがスティック16を用いてアイテム選択ボタン163をタッチしたまま画面上を移動させる」との事象が発生したときに画面に表示されるものではない、すなわち、「前記第1判断部によって前記第1オブジェクトが選択されたと判断されたときに」、「さらに前記情報処理画面に重ねて表示」されるものではない。
したがって、上記仮定を前提としても、引用発明1は、本願発明1の「前記第1判断部によって前記第1オブジェクトが選択されたと判断されたときに、前記第1移動先オブジェクトに対応する第2移動先オブジェクトをさらに前記情報処理画面に重ねて表示する」に相当する構成を有しない。また、「前記第1判断部によって前記第1オブジェクトが選択されたと判断されたときに、前記第1移動先オブジェクトに対応する第2移動先オブジェクトをさらに前記情報処理画面に重ねて表示する」ことが、本願出願日前において周知技術であるともいえない。
したがって、上記仮定に基づいて検討しても、本願発明1の発明特定事項を導き出すことが、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。


2.本願発明2ないし13について
本願発明2ないし13は、本願発明1を直接または間接的に引用する発明であるため、本願発明1と同じ理由により、引用発明1でなく、当業者であっても引用発明1に基づいて容易に発明をすることができたものであるともいえない。

3.本願発明14について
本願発明14は、「情報処理装置」の発明である本願発明1が備える「第1表示部」、「第1判断部」及び「第2表示部」を備えた「情報処理システム」の発明であり、本願発明1と実質的に同一の発明である。
したがって、本願発明14は、本願発明1と同じ理由により、引用発明1でなく、当業者であっても引用発明1に基づいて容易に発明をすることができたものであるともいえない。

4.本願発明15について
本願発明15は、「コンピュータ」を、「情報処理装置」の発明である本願発明1が備える「第1表示部」、「第1判断部」及び「第2表示部」のそれぞれの機能に対応する機能を有する「第1表示制御部」、「第1判断部」及び「第2制御表示部」として機能させる「情報処理プログラム」の発明であり、本願発明1と実質的に同一の発明である。
したがって、本願発明15は、本願発明1と同じ理由により、引用発明1でなく、当業者であっても引用発明1に基づいて容易に発明をすることができたものであるともいえない。

5.本願発明16について
本願発明16は、「情報処理装置」の発明である本願発明1が備える「第1表示部」、「第1判断部」及び「第2表示部」のそれぞれの動作に対応する「ステップ(a)」、「ステップ(b)」及び「ステップ(c)」を含む「情報処理方法」の発明であり、本願発明1とカテゴリーが相違するのみであって、実質的に同一の発明である。
したがって、本願発明16は、本願発明1と同じ理由により、引用発明1でなく、当業者であっても引用発明1に基づいて容易に発明をすることができたものであるともいえない。

第7 原査定についての判断
1.原査定の拒絶の理由で引用された引用文献等
(1)引用文献Aについて
ア.原査定の拒絶の理由において引用された引用文献Aには、次の事項が記載されている。
(ア)「【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の一実施例を説明する。図1は本発明の一実施例を示すゲームシステムの外観図である。図1に示すように、ゲームシステム1は、家庭用テレビ(以下、単に「テレビ」という)2に接続されるビデオゲーム機3と、そのビデオゲーム機3に通信可能に接続される携帯ゲーム機4とによって構成される。ビデオゲーム機3は、コントローラ31およびDVD-ROM32を含む。また、ビデオゲーム機3には、セーブデータ等を固定的に記憶するフラッシュメモリ等を搭載するメモリカード30が必要に応じて着脱自在に装着される。ここで、ゲームシステム1は、3次元の仮想空間であるゲーム空間内の所与の視点に基づくゲーム空間内の様子を3次元ゲーム画面としてテレビ2に表示し、ゲーム空間を上方から平面視したマップである2次元フィールドマップを2次元マップ画面として携帯ゲーム機4に表示するものである。なお、後述で明らかになるが、本実施例の2次元マップ画面には第1カーソルが表示され、3次元ゲーム画面には第2カーソルが表示される。」

(イ)「【0034】まず、本実施例のゲームシステム1では、3次元のゲーム空間が表示される3次元ゲーム画面がテレビ2に表示され、2次元のフィールドマップが携帯ゲーム機4の液晶モニタ41に表示される。このゲームシステム1は、1人のプレイヤに利用されることも可能であるが、2人のプレイヤが協力してゲームを攻略するように利用されることが好ましい。例えば、第1のプレイヤがビデオゲーム機3を使用して、テレビ2に表示される3次元ゲーム画面を見ながらプレイヤオブジェクトを操作し、第2のプレイヤが携帯ゲーム機4を使用して、液晶モニタ41に表示される2次元マップ画面を見ながら第1カーソルを操作する。このとき、第1カーソルの移動等が第2カーソルに反映されるので、3次元のゲーム空間内の位置を3次元ゲーム画面上で正確に把握させることができる。つまり、第1のプレイヤは第2カーソルを指標としてプレイヤオブジェクトを動作等させることが可能になる。この機能を利用することにより、2人のプレイヤが協力しながらゲームを進めることができる。
・・・
【0036】また、本実施例では、携帯ゲーム機4によって特定現象を指示する(図12参照)。そうすると、ゲーム空間の第2カーソルの場所において特定現象を起こさせることができる(図11参照)。特定現象とは、プレイヤオブジェクトや敵オブジェクト等に影響を及ぼす現象であって、例えばゲーム空間における爆発であったり、プレイヤオブジェクトに対する呼掛け等である。具体的には、携帯ゲーム機4側で爆発を指示してやることによって、ゲーム空間の第2カーソルの場所で爆発を起こさせたり、携帯ゲーム機4側でプレイヤオブジェクトに対する呼掛けを指示することによって、ゲーム空間のプレイヤオブジェクトを第2カーソルの場所の方向に振り向かせたり、また仮想カメラを第2カーソルの場所に向けたりする。このようにすることで、2人のプレイヤをさらに協力させることができる。」

(ウ)「【0043】また、図11に示すようなゲームの状況も起こりうる。図11は、プレイヤオブジェクトが複数の敵オブジェクトに囲まれている様子を示す。図11(A)に示すように、3次元ゲーム画面21には、プレイヤオブジェクトPを取り囲む複数の敵オブジェクトE1?E4が表示される。このような場合、第2のプレイヤは、第1のプレイヤすなわちプレイヤオブジェクトPを助けるために、携帯ゲーム機4のBボタン4eを操作する。すると、例えば図8に示した2次元マップ画面42のマップウィンドウMWが、図12に示す2次元マップ画面42のアイテムウィンドウIWに切り替わる。アイテムウィンドウIWには、ゲーム空間の第2カーソルC1の場所で特定現象を起こすためのアイテムに対応するアイコンが表示される。アイテムは、ゲーム空間に起こさせる複数種類の現象を各々指示するために複数種類ある。
【0044】さらに、アイテムウィンドウIWには、アイテムを使用するために必要なルピー数と、現時点でプレイヤオブジェクトPが所有するルピー数が表示される。ここで、ルピーとは、ゲーム空間における仮想の通貨である。例えば、十字ボタン4aによって「爆弾小」のアイコンを選び、Aボタン4dを操作すると、使用アイテムとして「爆弾小」が選択される。その後、アイテムウィンドウIWがマップウィンドウMPに切り替わりる。マップウィンドウMPにおいて第1カーソルc1を例えば敵オブジェクトe3に重ねあわせる。このとき、3次元のゲーム画面21では、第2カーソルC1が敵オブジェクトE3の足元にまで移動するように表示される(図11(B)の2点鎖線矢印を参照)。第2のプレイヤは所望のタイミングで、Aボタン4dを操作する。すると、3次元のゲーム空間の第2カーソルC1の場所で爆発が発生し、この爆発により第2カーソルC1近傍の敵キャラクタE3がダメージをうける(図11(B)参照)。同様に、各敵オブジェクトにダメージを与えることで、プレイヤオブジェクトPをより有利な立場にすることができる。
【0045】なお、図11に示す3次元ゲーム画面には、従来のような縮小マップ22が表示される。この縮小マップ22の表示/非表示は第1のプレイヤの任意に決めることができる。また、アイテムを指定し、そのアイテムに応じた現象を起こさせる手順は適宜のものであり、本実施例の順番に限定されるものではない。」

イ.上記ア.の事項から、引用文献Aには、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
「テレビ2に接続されるビデオゲーム機3と、そのビデオゲーム機3に通信可能に接続される携帯ゲーム機4とによって構成され、3次元の仮想空間であるゲーム空間内の所与の視点に基づくゲーム空間内の様子を3次元ゲーム画面21としてテレビ2に表示し、ゲーム空間を上方から平面視したマップである2次元フィールドマップを2次元マップ画面42として携帯ゲーム機4に表示するものであり、2次元マップ画面42には第1カーソルc1が表示され、3次元ゲーム画面21には第2カーソルC1が表示される、ゲームシステム1において、
2次元マップ画面42のアイテムウィンドウIWには、ゲーム空間の第2カーソルC1の場所で特定現象を起こすためのアイテムに対応する複数種類のアイコンが表示され、
第2のプレイヤが携帯ゲーム機4のボタンによって前記アイコンとして「爆弾小」のアイコンを選択することで、使用するアイテムとして「爆弾小」が選択され、その後、アイテムウィンドウIWがマップウィンドウMPに切り替わり、
第2のプレイヤが、第1カーソルc1を操作して、マップウィンドウMPにおいて第1カーソルc1を敵オブジェクトe3に重ねあわせると、3次元のゲーム画面21では、第2カーソルC1が敵オブジェクトE3の足元にまで移動するように表示され、
第2のプレイヤが所望のタイミングで、携帯ゲーム機4のボタンを操作すると、3次元のゲーム空間の第2カーソルC1の場所で前記特定現象として爆発が発生する。」
との技術的事項。

(2)引用文献B
引用文献Bの【0026】ないし【0028】、図7(B)の記載からみて、引用文献Bには、「画面に表示された複数のアイコン群から所望のアイコンをタッチ入力により選択して移動操作するとき、当該アイコンが移動されて表示される」という技術的事項が記載されているものと認められる。

(3)引用文献C
引用文献Cの【0020】、【0076】、図3及び6の記載からみて、引用文献Cには、「敵キャラクタへの攻撃の際に使用する照準オブジェクトの表示について、タッチ操作入力が一定時間ないときは、照準オブジェクトを消去し、タッチ操作入力を受け付けたときに再度表示する」との技術的事項が記載されているものと認められる。

2.判断
引用発明Aに記載された技術的事項が、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項を有するものであるかを検討する。

引用文献Aに記載された技術的事項において、「(アイテムとしての)『爆弾小』」は、複数種類ある「特定現象を起こすためのアイテム」のうちの一つであるから、本願発明1の「選択対象の少なくとも一つの第1オブジェクト」に相当する。
また、引用文献Aにおいて、「(特定現象としての)爆発」は、「第1カーソルc1の場所」で発生するものであるから、特定現象としての爆発が発生したときの「第1カーソルc1の場所」が、「(特定現象を起こすためのアイテムとしての)『爆弾小』」の移動先を示すものであることは自明である。
しかし、引用文献Aにおいて、「(特定現象としての)爆発」は、「第2のプレイヤが所望のタイミングで、携帯ゲーム機4のボタンを操作」したときの、「第1カーソルc1」の位置で発生するものであり、「第1カーソルc1」の移動先は、「敵オブジェクトe3」の場所には限られない。
よって、引用文献Aに記載された技術的事項における「敵オブジェクトe3」は、「移動先」のオブジェクトとはいえず、本願発明1の「第1移動先オブジェクト」には相当しない。
したがって、引用文献Aに記載された技術的事項における「敵オブジェクトE3」は、「敵オブジェクトe3」に対応するものではあるけれども、本願発明1の「第2移動先オブジェクト」には相当しないことになるから、引用文献Aに記載された技術的事項は、引用発明1と同様に、上記相違点3に係る請求項1に係る発明の発明特定事項を有するものでない。

さらに、仮に、引用文献Aに記載された技術的事項における「敵オブジェクトE3」が本願発明1の「第2移動先オブジェクト」に相当するものだとしても、「敵オブジェクトE3」は「爆弾小」が選択されたときに表示されるものではないから、「前記第1判断部によって前記第1オブジェクトが選択されたと判断されたときに」、「さらに前記情報処理画面に重ねて表示」されるものではない。
以上検討したとおり、引用発明Aに記載された技術的事項は、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項を有しない。また、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項は、引用文献B及びCにも記載されておらず、本願出願日前における周知技術でもないので、本願発明1ないし16は、当業者であっても、原査定における引用文献AないしCに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の拒絶の理由において引用された文献を考慮しても、本願発明1ないし16が当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第8 当審が通知した拒絶理由における記載不備について
1.令和1年9月27日付けで通知したもの
当審においては,平成30年10月24日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲に対して、次の拒絶の理由を通知している。
(1)平成30年10月24日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲(以下、「特許請求の範囲」という。)の請求項1には、「前記第1判断部によって前記第1オブジェクトが選択されたと判断されたことに応じて、当該第1オブジェクトに対応する第2オブジェクトを、前記選択画面とは異なり、少なくとも当該第1オブジェクトを使用する様子を表現可能な情報処理画面に重ねて表示する」と記載されている。
しかしながら、「・・・と判断されたことに応じて、・・・表示する」との記載では、第2オブジェクトを情報処理画面に重ねて表示するタイミングが、どのようなタイミングであるのか不明である。(単に「応じて」との記載では、判断された後に、その後の何らかの事象(選択された後に、使用することが決定される、等)に応じて、表示されるものも含むものである。)
よって、請求項1に係る発明は明確でない。
請求項15ないし17にも同様の不備がある。
請求項1を引用する請求項2ないし14についても同様である。

2.令和2年2月26日付けで通知したもの
当審においては,令和1年11月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲に対して、次の拒絶の理由を通知している。
(1)請求項1において、「第2表示部」が「第2移動先オブジェクト」を「前記情報処理画面に重ねて表示する」タイミングが不明である。請求項14及び15についても同様の点が指摘される。
(2)請求項4には、「前記第2表示部は、前記第1判断部によって前記第1オブジェクトの選択が解除されたと判断されたことに応じて、前記第2オブジェクトを前記情報処理画面から消去する」と記載されているが、「応じて」との記載では、「第2表示部」が「前記第2オブジェクトを前記情報処理画面から消去する」タイミングが不明である。請求項5の「前記第2表示部は、前記第2判断部によって前記第1オブジェクトが静止したことが判断されたことに応じて、前記第2オブジェクトを前記情報処理画面から消去する」との記載にも同様の点が指摘される。
(3)請求項5の「当該第1オブジェク」との記載は誤記であり、正しくは「当該第1オブジェクト」ではないか。

よって、請求項1、4、5、14及び15並びにこれらの請求項を引用する請求項2、3及び6ないし13に係る発明は明確でない。

3.当審で通知した拒絶理由に対する手続補正

(1)令和1年11月20日に提出された手続補正書による補正によって、請求項1及び請求項14ないし16(平成30年10月24日付け手続補正書の請求項15ないし17)において、第2オブジェクトを情報処理画面に重ねて表示するタイミングが、第1オブジェクトが選択されたと判断されたときであることが明確にされ、

(2)令和2年3月3日に提出された手続補正書による補正によって、請求項1、14及び15において、第2移動先オブジェクトを情報処理画面に重ねて表示するタイミングが、第1オブジェクトが選択されたと判断されたときであることが明確にされ、請求項4において、第2オブジェクトを情報処理画面から消去するタイミングが、第1オブジェクトの選択が解除されたと判断されたときであることが明確にされ、請求項5において、第2オブジェクトを情報処理画面から消去するタイミングが、第1オブジェクトが静止したことが判断されたときであることが明確にされるとともに「当該第1オブジェク」との誤記が「当該第1オブジェクト」と補正されたため、

拒絶理由は解消した。(なお、第8 3.において、下線は、補正によって明確となった記載箇所を強調するために付したものである。)

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2020-06-01 
出願番号 特願2013-171359(P2013-171359)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (A63F)
P 1 8・ 537- WY (A63F)
P 1 8・ 121- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宇佐田 健二  
特許庁審判長 吉村 尚
特許庁審判官 尾崎 淳史
河内 悠
発明の名称 情報処理装置、情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法  
代理人 山田 義人  
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