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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C07D |
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管理番号 | 1362904 |
審判番号 | 不服2019-5169 |
総通号数 | 247 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-07-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-04-18 |
確定日 | 2020-06-23 |
事件の表示 | 特願2017- 74477「複素環式化合物およびそれらの使用」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月17日出願公開、特開2017-141271、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2010年(平成22年)8月17日(パリ条約による優先権主張2009年8月17日 (US)米国)に出願した特願2012-525651号の一部を、特許法第44条第1項の規定により、平成27年10月1日に特願2015-196033号として新たに特許出願し、さらにその一部を、同規定により、平成29年4月4日に新たに特許出願したものであって、その後の手続の経緯は、以下のとおりである。 平成29年 5月 2日付け:手続補正書の提出 同年12月27日付け:拒絶理由通知 平成30年 7月 6日 :意見書、手続補正書の提出 同年12月 7日付け:拒絶査定 平成31年 4月18日 :審判請求書の提出 令和 1年 5月28日 :手続補正書(方式)の提出 第2 原査定の概要 原査定(平成30年12月7日付け)の概要は次のとおりである。 この出願の請求項1?7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献A(原査定における引用文献2)に記載された発明及び技術的事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 A.国際公開第2009/055418号 第3 本願発明 本願請求項1?7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明7」という。)は、平成30年7月6日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 式VI: 【化1】 の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、式中 W^(1)は、CR^(3)であり、 W^(2)は、CR^(4)であり、 W^(a)は、CHまたはNであり、 R^(1)は、水素であり、 R^(3)は、モルホリン-4-イルカルボニルであり、 R^(4)は、水素であり、ならびに R^(10)およびR^(11)は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシまたはニトロである、化合物またはその薬学的に許容される塩。」 なお、本願発明2-7の概要は以下のとおりである。 本願発明2は、本願発明1と、少なくとも式VIにおけるR^(10)及びR^(11)以外の構造が共通する具体的化合物を列挙した発明である。 本願発明3?7は、本願発明1の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する薬学的組成物の発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献Aの記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Aには、次の事項が記載されている。(原文は英語のため、特表2011-500823号公報の翻訳文を参考にして示す。) (A1)「技術分野 本発明は、ホスホイノシチド3'OHキナーゼファミリー(以後、PI3キナーゼという)、適当には、PI3Kα、PI3Kδ、PI3KβまたはPI3Kγの調節、特に、活性または機能の阻害のためのピリドスルホンアミド誘導体の使用に関する。好適には、本発明は、自己免疫障害、炎症性疾患、心血管疾患、神経変性疾患、アレルギー、喘息、膵炎、多臓器不全、腎疾患、血小板凝集、癌、精子運動能、移植拒絶反応、移植片拒絶反応および肺損傷から選択される1以上の病態の治療における、ピリドスルホンアミド類の使用に関する。」(1頁5?15行) (A2)「発明の概要 本発明は、癌の治療を必要とする哺乳動物における癌の治療方法であって、該哺乳動物に式(I): [式中、 R1は、C3?12シクロアルキル、置換C3?12シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される環であり; R2は、・・・・・・から選択され; R3、R4およびR5は、独立して、・・・・・・から選択され; Xは、NまたはCである; ただし、R1は、置換キノリニル、置換キノキサリニル、置換キナゾリニル、置換ナフチリジニル、ピリドプリミジニルまたは置換ピリドプリミジニルではない; また、ただし、XがCである場合、R3は、置換されていてもよいピリジン環である] で示される化合物またはその医薬上許容される塩の有効量を投与することを含む方法に関する。」(8頁22行?9頁27行) (A3)「本明細書で用いる場合、「ヘテロシクロアルキル」なる用語は、少なくとも1個の炭素および少なくとも1個のヘテロ原子を含有する非芳香族の不飽和または飽和の単環式または多環式複素環を意味する。単環式複素環の例としては、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジンおよびモルホリンが挙げられる。多環式複素環の例としては、キヌクリジンが挙げられる。 本明細書で用いる場合、「置換されている」なる用語は、特に定義しない限り、対象となる化学基が、・・・・・・および-CONR_(55)R_(60)からなる群から選択される1?5個の置換基、好適には1?3個の置換基を有することを意味し、ここで、・・・・・・R55およびR60は、ヘテロシクロアルキル環を形成していてもよく・・・・・・」(22頁10?24行) (A4)「実施例28bに記載の方法に従って、純粋なN-[2-クロロ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-ピリジニル]ベンゼンスルホンアミドとカップリングしたアリールまたはヘテロアリールブロミドまたはクロリドから以下の実施例を製造した。結晶化、または移動相として水(0.1%ギ酸):アセトニトリル(0.1%ギ酸)を用いる分取HPLCによる精製によって生成物を単離した。 ・・・・・・ 」(61頁14行?63頁) 2 引用文献Aに記載された発明 上記記載事項(A2)、(A4)から、引用文献Aには、以下の化合物またはその薬学上許容される塩が製造可能に記載されているといえるので、次の発明(以下、「引用発明A」という。)が記載されているといえる。 「以下の式で示される化合物またはその医薬上許容される塩。 [式中、Arは または、 である]」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 引用発明Aの式における「-NSO_(2)Ph」基及び「-Cl」基は、本願発明1の式VIにおいてR^(10)として定義された「スルホンアミド」及びR^(11)として定義された「ハロ」にそれぞれ相当する。 そうすると、本願発明1と引用発明Aとは、 「6-(5-R^(10)-6-R^(11)-ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン」構造を有する点において共通し、以下の点で相違する。 (相違点)本願発明1は、式VIにおける置換基R^(3)が「モルホリン-4-イルカルボニル」基であるのに対し、引用発明Aは、当該置換基に相当する置換基がピリジル基である点。 (2)相違点についての判断 引用文献Aには、引用発明Aにおいて、ピリジル基をモルホリノカルボニル基に換えることを示唆する記載はない。また、引用文献Aには、モルホリノカルボニル基を有する具体的な化合物の記載はないし、記載事項(A3)を参酌しても、モルホリノカルボニル基は多数列挙された選択肢の一つにすぎない。 そして、引用発明Aの化合物の用途がPI3キナーゼ阻害活性であるところ(記載事項(A1))、同用途の化合物において、ピリジル基とモルホリノカルボニル基を同等に導入し得るという技術常識もない。 そうすると、引用発明Aにおいて、多数の選択肢の中からモルホリノカルボニル基に着目して、ピリジル基をモルホリノカルボニル基に換えることを、当業者が容易に想到し得たものとは認められない したがって、上記相違点は当業者が容易に想到し得たものではない。 (3)よって、本願発明1は、引用文献Aに記載された発明及び技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 2 本願発明2について 本願発明2におけるいずれの化合物も、イミダゾ[1,2-a]ピリジンの本願発明1と同じ位置にモルホリン-4-イルカルボニル基を有するから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献Aに記載された発明及び技術的事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。 3 本願発明3?7について 本願発明3?7は、本願発明1の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する薬学的組成物の発明であり、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献Aに記載された発明及び技術的事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1?7は、当業者が引用文献Aに記載された発明及び技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2020-06-08 |
出願番号 | 特願2017-74477(P2017-74477) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(C07D)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 谷尾 忍 |
特許庁審判長 |
瀬良 聡機 |
特許庁審判官 |
関 美祝 櫛引 智子 |
発明の名称 | 複素環式化合物およびそれらの使用 |
代理人 | 赤井 厚子 |
代理人 | 高島 一 |
代理人 | 當麻 博文 |
代理人 | 土井 京子 |
代理人 | 田村 弥栄子 |
代理人 | 鎌田 光宜 |
代理人 | 戸崎 富哉 |