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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1363008
審判番号 不服2019-10857  
総通号数 247 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-08-16 
確定日 2020-06-11 
事件の表示 特願2015-103130「発光装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月22日出願公開、特開2016-219604〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2015年5月20日の出願であって,手続の経緯は次のとおりである。

平成31年 1月17日付 拒絶理由通知(同年同月22日発送)
同年 3月 1日 手続補正・意見書提出
令和 元年 6月 3日付 拒絶査定(同年同月11日謄本送達)
同年 8月16日 審判請求・手続補正
同年11月14日 上申書提出

第2 補正の却下の決定
令和元年8月16日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は,特許請求の範囲を補正するものであり,本件補正の前後で特許請求の範囲の請求項1は以下のとおりである(下線は当審で付加。以下同様。)。
〈補正前〉
「【請求項1】
対角に貫通穴が形成された基板と、
それぞれが前記基板の前記貫通穴が形成されていない対向する2つの角部に配置された2つの端子で構成される第1および第2の組の端子と、
前記2つの角部を結ぶ対角線により2分される前記基板上の実装領域の一方の側に実装され、前記第1の組の端子に接続された第1の複数の発光素子と、
前記実装領域の他方の側に実装され、前記第2の組の端子に接続された第2の複数の発光素子と、
前記第1の組の端子との間を接続するように、前記基板上の実装領域の一方の周囲に沿って配置されると共に、前記第1の複数の発光素子に接続された第1の配線パターンと、
前記第2の組の端子との間を接続するように、前記基板上の実装領域の他方の周囲に沿って配置されると共に、前記第2の複数の発光素子に接続された第2の配線パターンと、
を有し、
前記第1および第2の複数の発光素子は、前記対角線に沿う方向に配列し、かつ前記基板の辺に対して斜めに実装されている、
ことを特徴とする発光装置。」
〈補正後〉
「【請求項1】
矩形状の平面形状を有し、対角に貫通穴が形成された基板と、
それぞれが対角線に平行な方向が長手方向となる平面形状を有し、かつぞれぞれが前記基板の前記貫通穴が形成されていない対向する2つの角部に配置された2つの端子で構成される第1および第2の組の端子であって、前記第1の組の端子は第1のドライバに接続され、前記第2の組の端子は前記第1のドライバとは異なる第2のドライバに接続され、前記第1および第2の複数の発光素子の総数は、前記第1のドライバまたは前記第2のドライバで駆動可能な発光素子の個数より多い第1および第2の組の端子と、
前記2つの角部を結ぶ対角線により2分される前記基板上の実装領域の一方の側に実装され、前記第1の組の端子に接続された第1の複数の発光素子と、
前記実装領域の他方の側に実装され、前記第2の組の端子に接続された第2の複数の発光素子と、
前記第1の組の端子との間を接続するように、前記基板上の実装領域の一方の周囲に沿い且つ前記基板の辺に他のパターンを介さずに隣接して配置されると共に、前記第1の複数の発光素子に接続された第1の配線パターンと、
前記第2の組の端子との間を接続するように、前記基板上の実装領域の他方の周囲に沿い且つ前記基板の辺に他のパターンを介さずに隣接して配置されると共に、前記第2の複数の発光素子に接続された第2の配線パターンと、
を有し、
前記第1および第2の複数の発光素子は、前記対角線に沿う方向に配列し、かつ前記基板の辺に対して斜めに実装されている、
ことを特徴とする発光装置。」

2 補正事項の整理
本件補正の,請求項1についての補正事項は以下のとおりである。
〈補正事項1〉
補正前の請求項1の「対角に貫通穴が形成された基板と、」を,補正後の請求項1の「矩形状の平面形状を有し、対角に貫通穴が形成された基板と、」と補正すること。

〈補正事項2〉
補正前の請求項1の「それぞれが前記基板の前記貫通穴が形成されていない対向する2つの角部に配置された2つの端子で構成される第1および第2の組の端子と、」を補正後の請求項1の「それぞれが対角線に平行な方向が長手方向となる平面形状を有し、かつぞれぞれが前記基板の前記貫通穴が形成されていない対向する2つの角部に配置された2つの端子で構成される第1および第2の組の端子であって、前記第1の組の端子は第1のドライバに接続され、前記第2の組の端子は前記第1のドライバとは異なる第2のドライバに接続され、前記第1および第2の複数の発光素子の総数は、前記第1のドライバまたは前記第2のドライバで駆動可能な発光素子の個数より多い第1および第2の組の端子と、」と補正すること。

〈補正事項3〉
補正前の請求項1の「前記第1の組の端子との間を接続するように、前記基板上の実装領域の一方の周囲に沿って配置されると共に、前記第1の複数の発光素子に接続された第1の配線パターンと、前記第2の組の端子との間を接続するように、前記基板上の実装領域の他方の周囲に沿って配置されると共に、前記第2の複数の発光素子に接続された第2の配線パターンと、」を、補正後の請求項1の「前記第1の組の端子との間を接続するように、前記基板上の実装領域の一方の周囲に沿い且つ前記基板の辺に他のパターンを介さずに隣接して配置されると共に、前記第1の複数の発光素子に接続された第1の配線パターンと、前記第2の組の端子との間を接続するように、前記基板上の実装領域の他方の周囲に沿い且つ前記基板の辺に他のパターンを介さずに隣接して配置されると共に、前記第2の複数の発光素子に接続された第2の配線パターンと、」と補正すること。

3 補正の目的の適否及び新規事項の追加の有無についての検討
(1)補正の目的について
補正事項1は,補正前の「基板」について,「矩形状の平面形状を有」するものとして,技術的に限定するものである。
また,補正事項2は,補正前の「第1および第2の組の端子」について,「それぞれが対角線に平行な方向が長手方向となる平面形状を有し」、また、「前記第1の組の端子は第1のドライバに接続され、前記第2の組の端子は前記第1のドライバとは異なる第2のドライバに接続され、前記第1および第2の複数の発光素子の総数は、前記第1のドライバまたは前記第2のドライバで駆動可能な発光素子の個数より多い」ものとして技術的に限定するものである。
また、補正事項3は、「第1の配線パターン」及び「第2の配線パターン」について、いずれも「実装領域の一方の周囲に沿い且つ前記基板の辺に他のパターンを介さずに隣接して」配置されるもの技術的に限定するものである。
よって,補正事項1ないし補正事項3は,いずれも特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項の追加の有無について
補正事項1および2に係る事項は,本願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の段落【0031】及び図2に記載されているといえる。
また,補正事項3に係る事項は,当初明細書等の図2及び3に記載されているといえる。
よって,補正事項1ないし補正事項3は,いずれも当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
よって,前記補正事項1及び補正事項2は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。

(3)小括
上記のとおり,本件補正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むから,以下においては,本件補正後の特許請求の範囲に記載された発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項に規定する独立特許要件を満たすか)どうかについて検討する。

4 独立特許要件についての検討
(1)本願補正発明
本件補正後の請求項1に係る発明は,以下のとおりのものである(再掲。以下「本願補正発明」という。)。
「【請求項1】
矩形状の平面形状を有し、対角に貫通穴が形成された基板と、
それぞれが対角線に平行な方向が長手方向となる平面形状を有し、かつぞれぞれが前記基板の前記貫通穴が形成されていない対向する2つの角部に配置された2つの端子で構成される第1および第2の組の端子であって、前記第1の組の端子は第1のドライバに接続され、前記第2の組の端子は前記第1のドライバとは異なる第2のドライバに接続され、前記第1および第2の複数の発光素子の総数は、前記第1のドライバまたは前記第2のドライバで駆動可能な発光素子の個数より多い第1および第2の組の端子と、
前記2つの角部を結ぶ対角線により2分される前記基板上の実装領域の一方の側に実装され、前記第1の組の端子に接続された第1の複数の発光素子と、
前記実装領域の他方の側に実装され、前記第2の組の端子に接続された第2の複数の発光素子と、
前記第1の組の端子との間を接続するように、前記基板上の実装領域の一方の周囲に沿い且つ前記基板の辺に他のパターンを介さずに隣接して配置されると共に、前記第1の複数の発光素子に接続された第1の配線パターンと、
前記第2の組の端子との間を接続するように、前記基板上の実装領域の他方の周囲に沿い且つ前記基板の辺に他のパターンを介さずに隣接して配置されると共に、前記第2の複数の発光素子に接続された第2の配線パターンと、
を有し、
前記第1および第2の複数の発光素子は、前記対角線に沿う方向に配列し、かつ前記基板の辺に対して斜めに実装されている、
ことを特徴とする発光装置。」

(2)刊行物等に記載された発明
ア 引用例1: 特開2015-53160号公報
(ア)原査定の理由に引用され,本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2015-53160号公報(以下「引用例1」という。)には,図とともに,以下の記載がある。
a
「【0001】
本発明は、半導体発光素子(LED)を利用した照明器具に関する。」

b
「【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の説明中の前後、左右、及び上下の方向は、図中の矢印の方向を基準としている。
本実施形態はLEDモジュール10を照明器具66(図24?図30参照)の光源として利用したものである。
LEDモジュール10(半導体発光素子モジュール)は、LED用ホルダ15(半導体発光素子用ホルダ)にLED62、ワイヤーボンディング64、及び封止剤(さらに場合によっては後述するワイヤーボンディング90)を取り付けて一体化したものである。まずはLED用ホルダ15の詳しい構造及び製造要領について説明する。
【0017】
図1はLED用ホルダ15の基材となる導通板17を示している。導通板17は、例えば黄銅、ベリリウム銅、コルソン系銅合金等の導電性と熱伝導性と剛性に優れる金属製の平板をスタンピング成形したものである。導通板17の全体形状は、前後方向に延びる長尺状(図1は導通板17の一部のみを図示している)の平板状である。導通板17の左右両側部は前後方向に延びるキャリア部18A、18Bにより構成してあり、キャリア部18Aとキャリア部18Bの複数箇所どうしを前後方向に等間隔で設けたキャリア接続部19が接続している。キャリア部18A及びキャリア部18Bには等間隔で搬送用孔18Cが穿設してある。キャリア部18A、18B、及び隣接する2つのキャリア接続部19によって囲まれた各部分には、第一導電部材20及び第二導電部材21が共に2つずつ形成してある。さらに2つの第一導電部材20は共に2本の第一切断ブリッジ22によってキャリア部18A、18B及びキャリア接続部19とそれぞれ一体化しており、2つの第二導電部材21は共に1本の第二切断ブリッジ23によってキャリア接続部19と一体化している。さらに隣接する第一導電部材20と第二導電部材21は1本の第三切断ブリッジ24によって互いに接続している。第一導電部材20の内周縁部には円弧状のワイヤー接続部20Aが形成してある。第一導電部材20のワイヤー接続部20Aとは別の部位にはキャリア部18A、18Bと平行な方向に直線的に延びるケーブル接続部20Bが突設してあり、さらに別の部位には非円形形状の係合孔20Cが穿設してある。一方、第二導電部材21の内周縁部には円弧状(ワイヤー接続部20Aと同じ形状)のワイヤー接続部21Aが形成してある。さらに第二導電部材21のワイヤー接続部21Aとは別の部位にはケーブル接続部20Bと平行な方向に直線的に延びるケーブル接続部21Bが突設してあり、さらに別の部位には非円形形状の係合孔21Cが穿設してある。
【0018】
・・・(中略)・・・
そして絶縁性かつ耐熱性が高い樹脂材料(例えば液晶ポリマー等)を用いた射出成形(一次成形。インサート成形)を一次成形型内で行う。そして樹脂材料が硬化した後に一次成形型の各金型を導通板17から上下に分離すると、導通板17の表面に複数の一次樹脂成形部30が一体的に成形された複数の一体物(以下、一次一体物と呼ぶ)が現れる(図2?図4等に一つのみ図示)。
・・・(中略)・・・
【0021】
一次一体物(導通板17及び一次樹脂成形部30)とヒートシンク45の一体物は上記搬送装置によってさらに前方の所定位置まで搬送される。
すると当該一体物の上下に位置する一対の金型からなる二次成形型(図示略)が閉じて、該一体物を二次成形型内に収納する。このとき上記位置決め孔に対して二次成形型に設けた多数の支持用ピン(図示略)が嵌合することにより、当該一体物が二次成形型内で固定される。そして二次成形型内で絶縁性及び耐熱性が高い樹脂材料(例えば液晶ポリマー等)を射出成形(インサート成形。二次成形)する。そして樹脂材料が硬化した後に二次成形型を上下に分離すると、一次一体物(導通板17及び一次樹脂成形部30)とヒートシンク45の一体物の表面に二次樹脂成形部54(ベース部材)が成形された一体物(二次一体物)が現れる(図10及び図11を参照)。図示するように二次樹脂成形部54は一次樹脂成形部30とヒートシンク45に跨って成形してあるので(係合爪42及び係止凹部47を被覆している)、二次樹脂成形部54が硬化することにより一次樹脂成形部30とヒートシンク45が完全に固定される。
・・・(中略)・・・
【0023】
次いで、二次一体物は搬送装置によって前方の所定位置まで移送され、当該所定位置に配設した二次切断装置(図子略)によって各接続アーム43が切断される(二次カットが行われる)。具体的には各接続アーム43を対応する被覆突部57の端面に沿って直線的に切断し、二次一体物をキャリア接続部19(及びキャリア部18A、18B)から切り離す(図13参照)。その結果、キャリア部18A、18B及びキャリア接続部19との接続部(破断面。不要な金属部)が露出しない複数のLED用ホルダ15の完成品が得られる。」

c
「【0024】
続いてLED用ホルダ15からLEDモジュール10を製造する要領について説明する。
LED用ホルダ15の各LED支持部49に対して略直方体形状のLED62(半導体発光素子)を固定する。
・・・(中略)・・・
次いで図15に示すように、各LED固定部59に固定した隣り合うLED62の上面に露出させて形成した端子どうしをワイヤーボンディング64(図15に示した太線)によって接続し、かつ、ワイヤー接続部20Aと対向する位置に位置するLED62の端子とワイヤー接続部20Aをワイヤーボンディング64によって接続すると共にワイヤー接続部21Aと対向する位置に位置するLED62の端子とワイヤー接続部21Aをワイヤーボンディング64によって接続する(さらに必要に応じて後述するワイヤーボンディング90を施す)。
最後に二次樹脂成形部54の上面(環状壁55の上縁部の内周側に形成された円形孔)に透光性及び絶縁性を有する熱硬化性樹脂材料や紫外線硬化性樹脂材料等からなる封止剤(図示略)を被せる。すると、封止剤によりワイヤー接続部20A、ワイヤー接続部21A、内側突部33、反射膜58、LED62、及びワイヤーボンディング64(90)が覆われたLEDモジュール10が完成する。」

d「【0025】
以上構成のLEDモジュール10は図24?図32に示した照明器具66の構成物品として利用可能である。
照明器具66は金属板からなるシャシー68(放熱部材)を具備している。LEDモジュール10は、そのヒートシンク45の当接面48をシャシー68の上面に接触させた状態でシャシー68に対して固定してある。
さらに照明器具66は、LEDモジュール10に対して着脱可能な配光レンズ70(光学素子)及びコネクタ付ケーブル75を具備している。
【0026】
・・・(中略)・・・
【0027】
コネクタ付ケーブル75は、2本のケーブル77と、コネクタ80とを一体化したものである。可撓性を有するケーブル77は、多数の金属線を束ねたものである電線78と、電線78の表面を被覆する絶縁材料からなる被覆チューブ79と、を具備しており、各ケーブル77の両端は被覆チューブ79を除去することにより電線78を露出させてある。
・・・(中略)・・・
図26に示すようにコネクタ付ケーブル75は、LEDモジュール10のコネクタ接続用突部37及びコネクタ接続溝38(ケーブル接続部20B及びケーブル接続部21B)に対して着脱可能である。即ち、コネクタ80をコネクタ接続溝38に対して挿入し、左右の係止突条82をコネクタ接続溝38の左右両側部に嵌合する。すると左右の抜止突起83が左右の係合凹部39と係合するので、コネクタ80を意図的に引き抜かない限りコネクタ接続用突部37及びコネクタ接続溝38とコネクタ80の接続状態が保持される。そしてコネクタ80をコネクタ接続用突部37及びコネクタ接続溝38に接続すると、第一コンタクト85の第一接触片86と第二コンタクト87の第二接触片88が弾性変形しながらケーブル接続部20Bとケーブル接続部21Bに対してそれぞれ接触する。
【0028】
本実施形態の照明器具66(LEDモジュール10)は様々な態様で実施可能である。
図26?図30は照明器具66を一つのLEDモジュール10により構成したものである。
図26及び図27に示したLEDモジュール10(LED用ホルダ15)の前側のワイヤー接続部20Aとワイヤー接続部21A及び後側のワイヤー接続部20Aとワイヤー接続部21Aはいずれもワイヤーボンディング90により接続してある。さらにLEDモジュール10の一方のコネクタ接続用突部37及びコネクタ接続溝38に対してコネクタ付ケーブル75のコネクタ80が接続してあり、当該コネクタ付ケーブル75の2本のケーブル77は電源の陽極と陰極にそれぞれ接続している。
図示を省略したスイッチをOFFからONに切り換えると、電源で発生した電流がケーブル77を介して、ワイヤー接続部20A、ワイヤー接続部21A、LED62、ワイヤーボンディング64、及びワイヤーボンディング90によって構成された並列回路に流れるので各LED62(図27ではLEDモジュール10の中心部より左側に位置する全てのLEDをまとめてLED62Aと表示してあり、該中心部より右側に位置する全てのLED62をまとめてLED62Bと表示している)が発光する。
一方、上記スイッチをONからOFFに切り換えれば、電流のLED62への供給が遮断されるので各LED62は消灯する。
【0029】
図28に示す照明器具66を構成するLEDモジュール10(LED用ホルダ15)の右側のワイヤー接続部20Aとワイヤー接続部21Aはワイヤーボンディング90により接続してある。またLEDモジュール10の一方のコネクタ接続用突部37及びコネクタ接続溝38に対してコネクタ付ケーブル75のコネクタ80が接続してあり、当該コネクタ付ケーブル75の2本のケーブル77は電源の陽極と陰極にそれぞれ接続している。さらに各LED62のワイヤーボンディング64を介したワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21Aに対する接続態様を上記のものから変更している。即ち、LEDモジュール10の中心部より前側に位置する全てのLED62(図28ではこれらのLED62をまとめてLED62Cと表示している)をワイヤーボンディング64により前側のワイヤー接続部20Aとワイヤー接続部21Aに接続し、LEDモジュール10の中心部より後側に位置する全てのLED62(図28ではこれらのLED62をまとめてLED62Dと表示している)をワイヤーボンディング64により後側のワイヤー接続部20Aとワイヤー接続部21Aに接続している。この照明器具66はワイヤー接続部20A、ワイヤー接続部21A、LED62、ワイヤーボンディング64、及びワイヤーボンディング90によって構成された直列回路を有している。
なお図28に示す照明器具66は、LEDモジュール10(LED用ホルダ15)の右側のワイヤー接続部20Aとワイヤー接続部21Aの間をワイヤーボンディング90により接続する代わりに、もう一方のコネクタ接続用突部37及びコネクタ接続溝38に対して短絡用コネクタ92を接続することによっても構成可能である。この短絡用コネクタ92は、インシュレータ81に相当するインシュレータと、第一コンタクト85と第二コンタクト87に相当する二つのコンタクトとを具備しており、この二つのコンタクトはインシュレータの内部で互いに短絡している。
【0030】
図29に示す照明器具66は、LEDモジュール10(LED用ホルダ15)に設けた2つのコネクタ接続用突部37及びコネクタ接続溝38に対して2つのコネクタ付ケーブル75のコネクタ80をそれぞれ接続してあり、各コネクタ付ケーブル75のコネクタ80と反対側の端部は互いに別個の電源の陽極と陰極にそれぞれ接続している。
図30に示す照明器具66は、LED62のワイヤーボンディング64を介したワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21Aに対する接続態様が図29とは異なる(図28と同じ)点を除いて図29と同じ構成である。

e ここで,図26及び図29は以下のものである。
【図26】

【図29】


(イ)前記(ア)bの記載から、「LEDモジュール10(半導体発光素子モジュール)は、LED用ホルダ15(半導体発光素子用ホルダ)にLED62、ワイヤーボンディング64、及び封止剤(さらに場合によっては後述するワイヤーボンディング90)を取り付けて一体化したものである」ところ、LED用ホルダ15は、「一次一体物(導通板17及び一次樹脂成形部30)とヒートシンク45の一体物の表面に二次樹脂成形部54(ベース部材)が成形された一体物(二次一体物)」、すなわち、導通板17、一次樹脂成形部30、ヒートシンク45、及び二次樹脂成形部54が一体となっているものであることがわかる。
また、前記(ア)eの図29も参照すると、LED用ホルダ15の外形、すなわちLEDモジュール10の外形は、平面視略矩形となっていることが見て取れる。

(ウ)前記(ア)eの図29とともに、前記(ア)bに摘記した段落【0017】及び前記(ア)cに摘記した段落【0028】?【0030】の記載を参照すると,図示上側のLED62Aに接続されるワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21A、並びに図示下側のLED62Bに接続されるワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21Aは、いずれもLEDが固定される領域の周囲に円弧上に形成されることがわかる。また、同図示上側のLED62Aに接続されるワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21Aがそれぞれ接続されるケーブル接続部20B及びケーブル接続部21Bと、並びに同図示下側のLED62Bに接続されるワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21Aがそれぞれ接続されるケーブル接続部20B及びケーブル接続部21Bとは、互いに別個の電源の陽極と陰極にそれぞれ接続されることがわかる。
また、図29から、2組あるケーブル接続部20B及びケーブル接続部21Bが、それぞれLEDモジュール10の対向する角部に設けられていることが見て取れる。
さらに、図29から、ワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21A、ワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21Aがそれぞれ接続されるケーブル接続部20B及びケーブル接続部21B、並びに当該それぞれの接続のための配線部からなる組が2組あり、その1組は、LED用ホルダ15の平面視略矩形の1辺側のみにあり、別の1組は、同平面視略矩形の対向する他辺側のみに配置されていることがわかる。

(エ)前記(ア)eの図26を前記cの段落【0024】の記載とともに参照すると、LED62が、LED用ホルダ15の平面視略矩形の1辺に平行な方向に配列され、各LED62は、その一辺がLED用ホルダ15の平面視略矩形の1辺に平行となるように実装されていることが見て取れる。

(オ)引用発明
以上を総合すると,引用例1には,図29に示されるものについて,以下の発明が記載されているものと認められる(以下「引用発明」という。)。
「LEDモジュール10を光源として利用した照明器具66であって、
照明器具66は金属板からなるシャシー68(放熱部材)を具備し、LEDモジュール10は、そのヒートシンク45の当接面48をシャシー68の上面に接触させた状態でシャシー68に対して固定してあり、
さらに照明器具66は、LEDモジュール10に対して着脱可能な配光レンズ70及びコネクタ付ケーブル75を具備しており、
LEDモジュール10は、LED用ホルダ15にLED62、ワイヤーボンディング64、及び封止剤を取り付けて一体化したものであり、
LED用ホルダ15は、導通板17、一次樹脂成形部30、ヒートシンク45、及び二次樹脂成形部54が一体となっているものであり、平面視略矩形状であり、
導通板17は、第一導電部材20及び第二導電部材21を共に2つずつ備え、
第一導電部材20の内周縁部には円弧状のワイヤー接続部20Aが形成してあり、第一導電部材20のワイヤー接続部20Aとは別の部位には平行な方向に直線的に延びるケーブル接続部20Bが突設してあり、
第二導電部材21の内周縁部には円弧状(ワイヤー接続部20Aと同じ形状)のワイヤー接続部21Aが形成してあり、第二導電部材21のワイヤー接続部21Aとは別の部位にはケーブル接続部20Bと平行な方向に直線的に延びるケーブル接続部21Bが突設してあり、
ワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21A、ワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21Aがそれぞれ接続されるケーブル接続部20B及びケーブル接続部21B、並びに当該それぞれの接続のための配線部からなる組が2組あり、その1組は、LED用ホルダ15の平面視略矩形の1辺側のみにあり、別の1組は、同平面視略矩形の対向する他辺側のみに配置され、
ワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21Aは、いずれもLEDが固定される領域の周囲に円弧上に形成されており、
LEDが固定される領域には、固定した隣り合うLED62の上面に露出させて形成した端子どうしがワイヤーボンディング64によって接続され、かつ、ワイヤー接続部20Aと対向する位置に位置するLED62の端子とワイヤー接続部20Aがワイヤーボンディング64によって接続されると共にワイヤー接続部21Aと対向する位置に位置するLED62の端子とワイヤー接続部21Aがワイヤーボンディング64によって接続され、
LED62は、LED用ホルダ15の平面視略矩形の1辺に平行な方向に配列され、各LED62は、その一辺がLED用ホルダ15の平面視略矩形の1辺に平行となるように実装されて
2組あるケーブル接続部20B及びケーブル接続部21Bは、それぞれLEDモジュール10の角部に設けられており、
LED62のまとまりの一方であるLED62Aに接続されるワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21A、並びにそれらがそれぞれ接続されるケーブル接続部20B及びケーブル接続部21Bと、もう一方のLED62のまとまりであるLED62Bに接続されるワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21A、並びにそれらがそれぞれ接続されるケーブル接続部20B及びケーブル接続部21Bとは、互いに別個の電源の陽極と陰極にそれぞれ接続されるものである、
照明器具66。」

イ 引用例2:国際公開第2013/183693号
(ア)原査定の理由に引用され,本願の出願日前に外国において頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものである,国際公開第2013/183693号(以下「引用例2」という。)には,図とともに,以下の記載がある。
a 段落[0065]
「[第12の構成例]
図21は、本発明の第12の構成例に係るLED照明モジュール1の上面図である。本構成例のLED照明モジュール1は、実装基板2の上面に設けられた反射領域に81個のLEDチップ3が高密度実装されている。
81個のLEDチップ3は全て同一の仕様であり、9直列×9並列の配線パターンで接続されている。別の言い方をすれば、一対の端部電極に接続された9個のLEDチップ3により単位LEDチップ群を構成し、9つの単位LEDチップ群を並列に接続して発光部を構成している。一対の端部電極は、反射領域の上下端部に設けられた一対の配線部を備えてなる電極ユニット17a、17bにより外部電極端子18a、18bと電気的に接続される。各単位LEDチップ群を構成する9個のLEDチップは同一直線上に実質的に等間隔に配置され、隣り合うLEDチップは金ワイヤでワイヤボンディング接続されている。LEDチップ3の個数および単位LEDチップ群の数は例示の個数に限定されず、直列に接続されたn個のLEDチップからなる単位LEDチップ群をn並列にする改良例も本構成例の技術思想には含まれる。すなわち、本構成例では、階乗個のLEDチップをn×nに配列することにより、実質的に正方形の反射領域を構成することを可能としている。LEDチップ3の個数は、本構成例とは異なり、100個以上とすることが好ましく、300個以上とすることがより好ましく、500個以上搭載することが更に好ましく、700個以上とすることが一層好ましい。この際、実装基板2の形状は、矩形状、多角形状または円形状である。」

b ここで,図21は以下のものである。
【図21】


(イ)上記図21を上記段落[0065]の記載とともに参照すると,実装基板2は略矩形状であって、LEDチップ3が実装されている反射領域も略矩形であるところ、反射領域の矩形は、実装基板2の矩形の対角線と平行な辺を有するようにして配置され、また、LEDチップ3は、前記対角線に沿う方向に配列され、かつ、各LEDチップ3は、いずれも前記対角線に沿う辺を有するように実装され、さらに、外部電極端子18a、18bは、実装基板2の対角付近に対角線と平行な辺を有するようにして設けられていることが見て取れる。

(ウ)以上を総合すると,引用例2には,以下の事項が記載されているといえる。
「矩形状の実装基板上に、該実装基板の対角線と平行な辺を有するようにLEDチップの実装領域を配置し、該実装領域において、LEDチップを前記対角線に沿う方向に配列するとともに、各LEDチップが、いずれも前記対角線に沿う辺を有するように実装し、また、一対の外部電極端子を、実装基板2の対角付近に、対角線と平行な辺を有するようにして設けること。」

ウ 引用例3:特開2013-12557号公報
(ア)原査定の理由に引用され,本願の出願日前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2013-12557号公報(以下「引用例3」という。)には,図とともに,以下の記載がある。
a
「【0044】
<第2実施形態>
図3?図6に示すように、第2実施形態の発光装置100は、基板11、接着層12、放熱層13、接着層14、配線層15(配線領域15a?15g)、絶縁層16、反射層17、保護膜18、封止枠19、スリット20、壁部21、外部電極22a,22b、ハンダ23、LEDチップ24、バンプ25、電極パッド26、封止体27、封止領域28、発光部29、配線パターン30、絶縁層16と反射層17と保護膜18の開口部H、配線パターン30の間隙Sa,Sb、絶縁層16と反射層17と保護膜18の間隙(スリット)101などから構成されている。
【0045】
第2実施形態において、第1実施形態と異なるのは以下の点だけである。
[ア]図5に示すように、発光部29は円形の扁平状であり、基板11と発光部29とはそれぞれの中心軸Oを一致させて重ね合わされている。
尚、図5では、外部電極22a,22bにハンダ付けされたハンダ23(図3参照)の図示を省略してある。
【0046】
[イ]図5に示すように、発光部29において、LEDチップ24は、間隙を空けて縦横方向に7個×8個ずつ碁盤目状に並べられた状態から、四隅部分の合計4個のLEDチップ24を取り除き、その取り除いたLEDチップ24をLEDチップ群の縦方向の両側にて横方向の中央部に2個ずつ並置した状態に並べられ、LEDチップ群は発光部29の中央に配置されている。
【0047】
[ウ]図5に示すように、発光部29の外周縁に配置形成された封止枠19は円形枠状(ドーナツ状)である。図5および図6(A)に示すように、発光部29の外周縁に沿って外側に配置形成されたスリット20も円形枠状であり、スリット20の外周縁に沿って外側に配置形成された壁部21も円形枠状である。
従って、外部電極22a,22bの面積を確保しつつ、発光部29が円形になるため見栄えを良くすることができる。
【0048】
[エ]図6に示すように、発光部29内に積層形成された絶縁層16と反射層17と保護膜18には、配線パターン30に合致した間隙101が形成されている。
【0049】
間隙101が形成されていない場合には、配線パターン30を通してLEDチップ24に流れるべき電流が反射層17を介してリークするおそれがあり、配線パターン30の耐電圧が低下するという問題がある。
それに対して、第2実施形態によれば、配線パターン30を通してLEDチップ24に流れるべき電流が反射層17を介してリークするのを防止して、配線パターン30の耐電圧を高めることが可能になるため、発光装置100の信頼性を向上できる。」

b ここで,図6は以下のものである。
【図6】


(イ)上記図6を前記aの段落【0044】?【0048】の記載とともに参照すると、基板11は矩形状であり、発光部29は円形の扁平状であり、基板11と発光部29とはそれぞれの中心軸Oを一致させて重ね合わされており、発光部29において、LEDチップ24は、間隙を空けて縦横方向に碁盤目状に並べられ、当該並べられた方向は、基板11の対角線と略平行となっており、各LEDチップ24は、いずれも前記対角線に沿う辺を有するように実装されていることが見て取れる。

(ウ)以上を総合すると,引用例3には,以下の事項が記載されているといえる。
「矩形状の実装基板上に、円形のLEDチップ実装領域を配置し、該実装領域において、LEDチップを実装基板の対角線に沿う方向に配列するとともに、各LEDチップが、いずれも前記対角線に沿う辺を有するように実装すること。」

エ 引用例4:特開2012-79855号公報
(ア))原査定の理由に引用され,本願の出願日前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2012-79855号公報(以下「引用例4」という。)には,図とともに,以下の記載がある。
a
「【0027】
図1は、本実施形態の発光装置の一例を示す概略構造図である。図1に示すように、本実施形態の発光装置1は、セラミック基板3、配線パターン7(7a,7k)、蛍光体含有樹脂層9、LEDチップ11、ワイヤー13,印刷抵抗素子15,はんだ付け用電極ランド17(17a,17k)、コネクタ接続用電極ランド19(19a,19k)、樹脂ダム21、位置決め用の開口部25を備える。なお、(a)は上面図、(b)は一部断面図である。(a)においては、接続関係を明瞭にするために、内部を透明化して図示している。
【0028】
また、図2は、図1(a)の状態を形成する前段階の状態を示す概略図であり、(a)は、LEDチップ11を搭載する前の概略構造、(b)はLEDチップ11を搭載後、蛍光体含有樹脂層9及び樹脂ダム21を形成する前の概略構造を示した図である。
【0029】
配線パターン7a、電極ランド17a,19aは、何れもアノード端子と電気的に接続され、配線パターン7k、電極ランド17k,19kは、何れもカソード端子と電気的に接続される。
【0030】
セラミック基板3は、長方形状で形成されている。一例として、外形を24mm×20mm、厚みを1mmとする。
【0031】
そして、アノード接続用の電極ランド17a,19aと、カソード接続用の電極ランド17k,19kとは、セラミック基板3の対角線上で対向する角部に夫々配置されている。
【0032】
・・・(中略)・・・
【0037】
配線パターン7a,7kは、相互に対向するようにセラミック基板3上に形成される。夫々は、発光装置1の上面から見て円環から一部切り出された円弧形状を構成している。また、はんだ付け用電極ランド17aは配線パターン7aの一端と引き出し用配線を介して接続され、はんだ付け用電極ランド17kは配線パターン7kの一端と引き出し用配線を介して接続されている。コネクタ接続用電極ランド19aは、はんだ付け用電極ランド17aと引き出し用配線又は接触電極を介して電気的に接続しており、コネクタ接続用電極ランド19kもはんだ付け用電極ランド17kと同様に電気的に接続している。
【0038】
・・・(中略)・・・
【0039】
セラミック基板3上には、複数のLEDチップ11が実装されている。本実施形態では、12個のLEDチップ11からなる直列回路が12列並列に接続された回路で構成されている。
【0040】
なお、LEDチップ11は、基板の一辺にほぼ平行になるように直線状に複数列配置されている。そして、配線パターン7で囲まれたエリア内で高密度に配置できるよう、配線パターン7と印刷抵抗素子15とで形成される円環形状の中心付近において列内のチップ数を最も多くし、中心から基板の周辺に向かうに連れて列内のチップ数が少なくなるように配置されている。
【0041】
・・・(中略)・・・
【0045】
本実施形態では、図1(a)に示すように、セラミック基板3の対角線上で対向する角部に、位置決め用の開口部25を2箇所設けている。この開口部25は、発光装置1を後述のコネクタ用治具を固定して利用する場合のネジ留めに利用される。
【0046】
・・・(中略)・・・
【0050】
このようにコネクタ用治具31をセッティングし、コネクタ46をコネクタ端子用開口部35に嵌め込むことで、図4に示すように、コネクタに附属されているリード線(コネクタ内リード線)41とコネクタ接続用電極ランド19a,19kとの電気的接続が形成される。そして、開口部25,33を貫通するようにネジ43(例えばM5ネジ)を嵌め込んでケース部51に固定する。その後、レンズドーム55を嵌め込むことでLED照明装置50が形成される(図5参照)。なお、図5において、53は口金であり、ケース部51と一体化されているものとしても良い。」

b ここで、図1は以下のものである。
【図1】


(イ)上記図1を前記aの段落【0027】?【0050】の記載とともに参照すると、長方形状のセラミック基板3の対角線上で対向する角部にアノード接続用の電極ランド17a,19aと、カソード接続用の電極ランド17k,19kとがそれぞれ配置され、セラミック基板3上に配線パターン7a,7kが相互に対向するように形成され、各配線パターン7a,7kは、発光装置1の上面から見て円環から一部切り出された円弧形状を構成しており、配線パターン7aは、アノード接続用の電極ランド17a,19aと接続され、配線パターン7kは、カソード接続用の電極ランド17k,19kと接続され、配線パターン7a,7kで囲まれた円形領域にLEDチップが直並列に接続して配置され、セラミック基板3の対角線上で対向する角部であって、アノード接続用の電極ランド17a,19a及びカソード接続用の電極ランド17k,19kが配置されていない各角部に、位置決め及び固定用の開口部25が設られること。

(ウ)以上を総合すると,引用例4には,以下の事項が記載されているといえる。
「長方形上の基板上に配置された、円形状のLEDチップ配置領域を囲む各円弧形状の正負の配線パターンと、当該正負の配線パターンに接続され、基板の対角線上で対抗する各角部に設けられた正電極ランド及び負電極ランドと、セラミック基板3の対角線上で対向する角部であって、正電極ランド及び負電極ランドが配置されていない各角部に位置決め及び固定用の開口部を設けること。」

オ 引用文献5:特開2014-75429号公報
(ア)本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2014-75429号公報(以下「引用例5」という。)には,図とともに,以下の記載がある。
a
「【0049】
ヒートシンク50は、基板41に対してネジ(図示せず)によって固定されるが、本実施の形態に係る発光装置40では、ネジ穴は放熱性グリース層42の領域内には配置されていない。すなわち、ネジ穴は、基板41の裏面における、対角線上の各隅付近(図3(a)中の左下および右上)に配置されている。このネジ穴の配置箇所は、放熱性グリース層42の領域外、すなわち、発光素子12の搭載領域外にあるため、少なくとも発光素子12の搭載領域内ではネジと基板との隙間による放熱性の低下が生じることはない。このため、発光素子12の搭載領域内において基板の放熱性を均一化できる。無論、ネジ穴の内部をも充填するように放熱性グリース層を形成しておけば、基板全体での放熱性を均一化することができる。」

b ここで、図3は以下のものである。
【図3】


(イ)上記(ア)a、bの記載から、引用文献5には以下の事項が記載されているといえる。
「基板の対角線上であって、電極が設けられていない各隅付近に固定用のねじ穴を設けること。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを比較する。
ア 引用発明において、「LED用ホルダ15は、導通板17、一次樹脂成形部30、ヒートシンク45、及び二次樹脂成形部54が一体となっているものであり、平面視略矩形状であ」るところ,当該「LED用ホルダ15」のうち「導通板17」を除いて、一体となっている「一次樹脂成形部30、ヒートシンク45、及び二次樹脂成形部54」であって、「平面視略矩形状であ」るものは,本願補正発明の「矩形状の平面形状を有し、対角に貫通穴が形成された基板」とは、「矩形状の平面形状を有する基板」である点で一致する。

イ 引用発明において、「導通板17は、第一導電部材20及び第二導電部材21を共に2つずつ備え、」「第一導電部材20」「には平行な方向に直線的に延びるケーブル接続部20Bが突設してあり、第二導電部材21」「にはケーブル接続部20Bと平行な方向に直線的に延びるケーブル接続部21Bが突設してあ」り、「2組あるケーブル接続部20B及びケーブル接続部21Bは、それぞれLEDモジュール10の対向する角部に設けられて」いる構成と、本願補正発明の「それぞれが対角線に平行な方向が長手方向となる平面形状を有し、かつぞれぞれが前記基板の前記貫通穴が形成されていない対向する2つの角部に配置された2つの端子で構成される第1および第2の組の端子」とは、「それぞれが長手方向を有する平面形状を有し、かつそれぞれが対向する2つの角部に配置された2つの端子で構成される第1および第2の組の端子」である点で一致する。

ウ 引用発明の「電源」は本願補正発明の「ドライバ」に相当するから、引用発明の「LED62のまとまりの一方であるLED62Aに接続されるワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21A、並びにそれらがそれぞれ接続されるケーブル接続部20B及びケーブル接続部21Bと、もう一方のLED62のまとまりであるLED62Bに接続されるワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21A、並びにそれらがそれぞれ接続されるケーブル接続部20B及びケーブル接続部21Bとは、互いに別個の電源の陽極と陰極にそれぞれ接続されるものである」ことは、本願補正発明の「前記第1の組の端子は第1のドライバに接続され、前記第2の組の端子は前記第1のドライバとは異なる第2のドライバに接続され」ることに相当する。

エ 引用発明においては、「LEDが固定される領域には、固定した隣り合うLED62の上面に露出させて形成した端子どうしがワイヤーボンディング64によって接続され、かつ、ワイヤー接続部20Aと対向する位置に位置するLED62の端子とワイヤー接続部20Aがワイヤーボンディング64によって接続されると共にワイヤー接続部21Aと対向する位置に位置するLED62の端子とワイヤー接続部21Aがワイヤーボンディング64によって接続され」るところ、「LED62のまとまりの一方であるLED62Aに接続されるワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21A」と「もう一方のLED62のまとまりであるLED62Bに接続されるワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21A」を備えるから、当該「LED62のまとまりの一方であるLED62A」及び「もう一方のLED62のまとまりであるLED62B」と、本願補正発明の「前記2つの角部を結ぶ対角線により2分される前記基板上の実装領域の一方の側に実装され、前記第1の組の端子に接続された第1の複数の発光素子と、前記実装領域の他方の側に実装され、前記第2の組の端子に接続された第2の複数の発光素子」とは、「2分される前記基板上の実装領域の一方の側に実装され、前記第1の組の端子に接続された第1の複数の発光素子と、前記実装領域の他方の側に実装され、前記第2の組の端子に接続された第2の複数の発光素子」である点で一致する。

オ 引用発明においては、「第一導電部材20の内周縁部には円弧状のワイヤー接続部20Aが形成してあり、第一導電部材20のワイヤー接続部20Aとは別の部位には平行な方向に直線的に延びるケーブル接続部20Bが突設してあり、第二導電部材21の内周縁部には円弧状(ワイヤー接続部20Aと同じ形状)のワイヤー接続部21Aが形成してあり、第二導電部材21のワイヤー接続部21Aとは別の部位にはケーブル接続部20Bと平行な方向に直線的に延びるケーブル接続部21Bが突設してあ」るところ、「ワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21A、ワイヤー接続部20A及びワイヤー接続部21Aがそれぞれ接続されるケーブル接続部20B及びケーブル接続部21B、並びに当該それぞれの接続のための配線部からなる組が2組あり、その1組は、LED用ホルダ15の平面視略矩形の1辺側のみにあり、別の1組は、同平面視略矩形の対向する他辺側のみに配置され」ており、前記(2)ア(ア)eの図29から明らかなとおり、LED用ホルダ15の平面視略矩形の1辺側には前記「その1組」のみが、他辺側には「別の1組」のみが設けられていることから、各「辺」と各「1組」の間にはなんら介在する配線等はない。つまり、当該構成は、本願補正発明の「他のパターンを介さずに」との構成を有しているといえる。
それゆえ、前記「その1組」のうち、当該ワイヤー接続部20A、ワイヤー接続部21A、及びそれらをそれぞれケーブル接続部20B、ケーブル接続部21Bに接続するための配線部からなる導電部材の1組のまとまりは、本願補正発明の「前記第1の組の端子との間を接続するように、前記基板上の実装領域の一方の周囲に沿い且つ前記基板の辺に他のパターンを介さずに隣接して配置されると共に、前記第1の複数の発光素子に接続された第1の配線パターン」に相当する。

カ 引用発明は「導通板17は、第一導電部材20及び第二導電部材21を共に2つずつ備え」るから、上記オにおいて本願補正発明の「第1の配線パターン」に対応する引用発明の「第一導電部材20及び第二導電部材21」とは別の1組の「第一導電部材20及び第二導電部材21」に係るワイヤー接続部20A、ワイヤー接続部21A、及びそれらをそれぞれケーブル接続部20B、ケーブル接続部21Bに接続するための配線部からなる導電部材の1組のまとまりは、上記オと同様に、本願補正発明の「前記第2の組の端子との間を接続するように、前記基板上の実装領域の他方の周囲に沿い且つ前記基板の辺に他のパターンを介さずに隣接して配置されると共に、前記第2の複数の発光素子に接続された第2の配線パターン」に相当する。

キ 引用発明の「LED62は、LED用ホルダ15の平面視略矩形の1辺に平行な方向に配列され、各LED62は、その一辺がLED用ホルダ15の平面視略矩形の1辺に平行となるように実装されて」いることと、本願補正発明の「前記第1および第2の複数の発光素子は、前記対角線に沿う方向に配列し、かつ前記基板の辺に対して斜めに実装されている」こととは、「前記第1および第2の複数の発光素子は、一方向に配列し、かつ前記基板の辺に対して一定方向に実装されている」点で一致する。

ク 引用発明の「照明器具66」は,本願補正発明の「発光装置」に相当する。

ケ 一致点
したがって,引用発明と本願補正発明とは,次の点で一致する。
「矩形状の平面形状を有する基板と、
それぞれが長手方向を有する平面形状を有し、かつそれぞれが対向する2つの角部に配置された2つの端子で構成される第1および第2の組の端子であって、前記第1の組の端子は第1のドライバに接続され、前記第2の組の端子は前記第1のドライバとは異なる第2のドライバに接続される、第1および第2の組の端子と、
2分される前記基板上の実装領域の一方の側に実装され、前記第1の組の端子に接続された第1の複数の発光素子と、前記実装領域の他方の側に実装され、前記第2の組の端子に接続された第2の複数の発光素子と、
前記第1の組の端子との間を接続するように、前記基板上の実装領域の一方の周囲に沿い且つ前記基板の辺に他のパターンを介さずに隣接して配置されると共に、前記第1の複数の発光素子に接続された第1の配線パターンと、
前記第2の組の端子との間を接続するように、前記基板上の実装領域の他方の周囲に沿い且つ前記基板の辺に他のパターンを介さずに隣接して配置されると共に、前記第2の複数の発光素子に接続された第2の配線パターンと、
を有し、
前記第1および第2の複数の発光素子は、前記基板の辺に対して一定方向に配列し、かつ前記基板の辺に対して一定方向に実装されている、
発光装置。」

コ 相違点
一方両者は,次の各点で相違する。
《相違点1》
本願補正発明は,「矩形状の平面形状を有し、対角に貫通穴が形成された基板」を備えるのに対して,引用発明は,「矩形状の平面形状を有する基板」は備えるものの,「対角に貫通穴が形成された」ものではない点。

《相違点2》
本願補正発明は、「それぞれが対角線に平行な方向が長手方向となる平面形状を有し、かつぞれぞれが前記基板の前記貫通穴が形成されていない対向する2つの角部に配置された2つの端子で構成される第1および第2の組の端子であって、前記第1の組の端子は第1のドライバに接続され、前記第2の組の端子は前記第1のドライバとは異なる第2のドライバに接続され、前記第1および第2の複数の発光素子の総数は、前記第1のドライバまたは前記第2のドライバで駆動可能な発光素子の個数より多い第1および第2の組の端子」を備えるのに対して、引用発明は、「それぞれが長手方向を有する平面形状を有し、かつそれぞれが対向する2つの角部に配置された2つの端子で構成される第1および第2の組の端子であって、前記第1の組の端子は第1のドライバに接続され、前記第2の組の端子は前記第1のドライバとは異なる第2のドライバに接続される、第1および第2の組の端子」は備えるものの、「第1および第2の組の端子」が「それぞれが対角線に平行な方向が長手方向となる平面形状を有」するものではなく、また、「前記第1および第2の複数の発光素子の総数は、前記第1のドライバまたは前記第2のドライバで駆動可能な発光素子の個数より多い」ものではない点。

《相違点3》
本願補正発明は、「2つの角部に配置された2つの端子」を備えるところ、当該「2つの角部を結ぶ対角線により2分される前記基板上の実装領域の一方の側に実装され、前記第1の組の端子に接続された第1の複数の発光素子と」を備えるのに対し、引用発明は、「2つの角部に配置された2つの端子」とともに「2分される前記基板上の実装領域の一方の側に実装され、前記第1の組の端子に接続された第1の複数の発光素子と、前記実装領域の他方の側に実装され、前記第2の組の端子に接続された第2の複数の発光素子と」は備えるものの、「2分される前記基板上の実装領域」が「2つの角部を結ぶ対角線により2分される」ものではない点。

《相違点4》
本願補正発明は、「前記第1および第2の複数の発光素子は、前記対角線に沿う方向に配列し、かつ前記基板の辺に対して斜めに実装されている」構成を備えるのに対して、引用発明は、「前記第1および第2の複数の発光素子は、前記基板の辺に対して一定方向に配列し、かつ前記基板の辺に対して一定方向に実装されている」構成は備えるものの、「記対角線に沿う方向に配列」されておらず、また、「前記基板の辺に対して斜めに実装されている」ものでもない点。

(4)判断
上記各相違点について、まず相違点3及び相違点4を併せて検討する
ア 相違点3及び相違点4について
前記(2)イ(ウ)及び同ウ(ウ)に記載したように、LEDチップを配列した発光装置において、LEDチップの配列方向を、矩形状の基板の対角線に沿う方向にすることは、周知の配列であって、引用発明においても当該配列方向を採用することは、単なる設計上の変更であって、本願明細書を見ても、当該配列方向の採用により格別な効果が奏されるとは認められない。
よって、引用発明において、当該周知の配列方向を採用して、引用発明において2分されている基板上の実装領域が、「2つの角部を結ぶ対角線により2分される」ものとなり、相違点3に係る構成を備えるとともに、引用発明の「前記基板の辺に対して一定方向に配列し、かつ前記基板の辺に対して一定方向に実装されている」「前記第1および第2の複数の発光素子」が、「前記対角線に沿う方向に配列し、かつ前記基板の辺に対して斜めに実装され」て相違点4に係る構成を備えることに何ら困難はない。

イ 相違点1について
前記(2)エ(ウ)及び同オ(イ)に記載したように、LEDチップを配列した発光装置において、固定用の孔を、基板の対角線上であって、電極が設けられていない角部に設けることは周知の技術であって、引用発明において、「LEDモジュール10は、そのヒートシンク45の当接面48をシャシー68の上面に接触させた状態でシャシー68に対して固定」するに際して、当該周知技術を採用することは当業者が適宜になし得たことである。

ウ 相違点2について
前記(2)イ(ウ)に記載したように、実装基板2の対角付近に、対角線と平行な辺を有するようにして設けることは、外部電極端子の配設方向として何ら格別なものではないから、引用発明が、「それぞれが長手方向を有する平面形状を有」する「第1および第2の組の端子」を備えるところ、上記アのとおり、引用発明において2分されている前記基板上の実装領域を「2つの角部を結ぶ対角線により2分される」ことに伴い、前記「長手方向」が当該「対角線」に平行な方向となるようにすることは、単なる設計上の変更である。
また、引用発明においては、「前記第1の組の端子は第1のドライバに接続され、前記第2の組の端子は前記第1のドライバとは異なる第2のドライバに接続される」ところ、一般に、ドライバ(電源)は、接続される負荷を過不足なく駆動できる程度の能力のものが選択されるから、第1の複数の発光素子、あるいは、第2の複数の発光素子のいずれかを駆動できる程度のドライバが、第1の複数の発光素子及び第2の複数の発光素子を合わせたものを駆動するには足りないものとなることは、通常に生じうることと認められるから、相違点2に係る「前記第1および第2の複数の発光素子の総数は、前記第1のドライバまたは前記第2のドライバで駆動可能な発光素子の個数より多い」点は、実質的な相違点ではなく、仮にそうでないとしても、当業者が適宜になし得たことである。

エ 上記アないしウのとおりであるから,引用発明において相違点1ないし4に係る構成を備えることは当業者が適宜になし得たことである。

オ なお、請求人は、本願補正発明の「第1の配線パターン」及び「第2の配線パターン」の双方に係る「前記基板の辺に他のパターンを介さずに隣接して配置される」との構成は、引用発明が備えるものではない旨主張する。
しかしながら、前記(3)オ、カのとおり、引用発明は、当該「前記基板の辺に他のパターンを介さずに隣接して配置される」ことに相当する構成を備えるものである。
また、仮に、引用発明における、それぞれ円弧状の各「ワイヤー接続部20A」及び「ワイヤー接続部21A」のみが、本願補正発明の「第1の配線パターン」及び「第2の配線パターン」に対応するものであるとしても、前記アのとおり、引用発明が相違点3,4の構成を備えることに伴い、引用発明の各「ワイヤー接続部20A」及び「ワイヤー接続部21A」の境界部分を、LED用ホルダ15の平面視略矩形の角部付近に配置して、引用発明の各「ワイヤー接続部20A」及び「ワイヤー接続部21A」と、当該角部に配される「ケーブル接続部20B及びケーブル接続部21B」との間の接続パターンが、当該「ワイヤー接続部20A」及び「ワイヤー接続部21A」と基板の辺に介在しないように、「第一導電部材20」及び「第二導電部材21」のパターンを構成して、各「ワイヤー接続部20A」及び「ワイヤー接続部20A」が「前記基板の辺に他のパターンを介さずに隣接して配置される」ものとすることは当業者が適宜になし得たことである。

カ また、請求人は、上申書において、引用文献1に係るLEDモジュールは複数個連鎖して接続するものであるから、二対の端子を「それぞれが対角線に平行な方向が長手方向となる平面形状を有」するように配置することにより、隣接するLEDモジュールを辺が対向するように配置することができなくなるという技術的阻害要因がある旨主張する。
しかしながら、当該各LEDモジュールの接続は、前記第2 4(2)アdに摘記した引用文献1の段落【0027】の記載のとおり、可撓性を有するケーブル77を用いたコネクタ付ケーブル75によりなされるのであるから、二対の端子を「それぞれが対角線に平行な方向が長手方向となる平面形状を有」するように配置した状態にあっても、ケーブル77の可撓性により、隣接するLEDモジュールを辺が対向するように配置することに支障はないものといえる。

(5)小括
よって,本願補正発明は,引用発明及び引用例2ないし5に記載された事項、ならびに周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
よって,本願補正発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができない。

5 まとめ
以上のとおりであるから,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
令和元年8月16日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成31年3月1日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1により特定される以下のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。
「【請求項1】
対角に貫通穴が形成された基板と、
それぞれが前記基板の前記貫通穴が形成されていない対向する2つの角部に配置された2つの端子で構成される第1および第2の組の端子と、
前記2つの角部を結ぶ対角線により2分される前記基板上の実装領域の一方の側に実装され、前記第1の組の端子に接続された第1の複数の発光素子と、
前記実装領域の他方の側に実装され、前記第2の組の端子に接続された第2の複数の発光素子と、
前記第1の組の端子との間を接続するように、前記基板上の実装領域の一方の周囲に沿って配置されると共に、前記第1の複数の発光素子に接続された第1の配線パターンと、
前記第2の組の端子との間を接続するように、前記基板上の実装領域の他方の周囲に沿って配置されると共に、前記第2の複数の発光素子に接続された第2の配線パターンと、
を有し、
前記第1および第2の複数の発光素子は、前記対角線に沿う方向に配列し、かつ前記基板の辺に対して斜めに実装されている、
ことを特徴とする発光装置。」

2 刊行物等に記載された発明
引用発明は,前記第2の4「(2)刊行物等に記載された発明」アに記載したとおりのものである。また、引用例2?5に記載された事項は、同イ?オに記載したとおりである。

3 対比・判断
前記第2「1 本件補正の内容」?第2「3 補正の目的の適否及び新規事項の追加の有無についての検討」において記したように,本願補正発明は,本件補正前の請求項1の「対角に貫通穴が形成された基板」、「第1および第2の組の端子」、「第1の配線パターン」及び「第2の配線パターン」について,それぞれ技術的に限定するものである。言い換えると,本願発明は,本願補正発明から上記限定する各事項を省いたものである。
そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,これをより限定したものである本願補正発明が,前記第2 4「(3)対比」?第2 4「(5)小括」において検討したとおり,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も同様の理由により,当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおりであるから,本願は,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-04-06 
結審通知日 2020-04-07 
審決日 2020-04-24 
出願番号 特願2015-103130(P2015-103130)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小濱 健太  
特許庁審判長 井上 博之
特許庁審判官 星野 浩一
近藤 幸浩
発明の名称 発光装置  
代理人 青木 篤  
代理人 南山 知広  
代理人 遠藤 力  
代理人 三橋 真二  
代理人 三橋 真二  
代理人 青木 篤  
代理人 遠藤 力  
代理人 南山 知広  

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