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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1363033
審判番号 不服2019-4865  
総通号数 247 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-11 
確定日 2020-06-08 
事件の表示 特願2017-233891「ゲーム制御装置,プログラム,ゲームシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 4月12日出願公開,特開2018- 57901〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成25年11月15日(以下,「原出願日」という。)に出願された特願2013-236720号の一部を,平成28年6月24日に新たな特許出願とした特願2016-125222号の一部を,平成29年12月6日に新たな特許出願としたものであって,同月26日に手続補正書が提出され,平成30年10月5日付けで拒絶理由が通知され,同年12月13日に意見書が提出され,同月26日付けで拒絶査定(以下,「原査定」という。)がされ,それに対して,平成31年4月11日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 平成31年4月11日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成31年4月11日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は,平成29年12月26に補正された,以下のア及びイのとおりの特許請求の請求項1及び7を,以下のウ及びエに補正する補正事項を含むものである(下線は補正箇所を示す。)。

ア 本件補正前の請求項1
「複数のオブジェクトの中からユーザが選択した2以上のオブジェクトからなるオブジェクトグループを利用するゲームのゲーム制御装置であって,
2以上のオブジェクトの組合せと,当該組合せに対応する前記ゲーム上の効果をユーザに識別可能にさせる情報である効果に関する情報とを関連付けている関連付け手段と,
前記2以上のオブジェクトの組合せを複数示す画像を表示する表示手段と,
前記表示手段により表示した画像が示す複数の組合せのうちいずれかの選択をユーザから受け付けた場合,当該選択された組合せに対応するオブジェクトが含まれるように,前記オブジェクトグループを更新する手段と
を備えるゲーム制御装置。」

イ 本件補正前の請求項7
「通信端末と,当該通信端末からアクセスされ,前記通信端末によるゲームの実行を制御するサーバと,を含み,複数のオブジェクトの中から選択した2以上のオブジェクトからなるオブジェクトグループを利用するゲームについてのゲームシステムであって,
2以上のオブジェクトの組合せと,当該組合せに対応する前記ゲーム上の効果をユーザに識別可能にさせる情報である効果に関する情報とを関連付けている関連付け手段と,
前記2以上のオブジェクトの組合せを複数示す画像を表示する表示手段と,
前記表示手段により表示した画像が示す複数の組合せのうちいずれかの選択をユーザから受け付けた場合,当該選択された組合せに対応するオブジェクトが含まれるように,前記オブジェクトグループを更新する手段と
の各手段を,前記通信端末又は前記サーバの少なくともいずれか一方が備えた,ゲームシステム。」

ウ 本件補正後の請求項1
「複数のオブジェクトの中からユーザが選択した2以上のオブジェクトからなるオブジェクトグループを利用するゲームのゲーム制御装置であって,
2以上のオブジェクトの組合せと,当該組合せに対応する前記ゲーム上の効果をユーザに識別可能にさせる情報である効果に関する情報とを関連付けている関連付け手段と,
前記2以上のオブジェクトの組合せを複数示す画像を表示する表示手段と,
前記表示手段により表示した画像が示す複数の組合せのうちいずれかの選択をユーザから受け付けた場合,当該選択された組合せに対応するオブジェクトのうち複数のオブジェクトが含まれるように,前記オブジェクトグループを更新する手段と
を備えるゲーム制御装置。」

エ 本件補正後の請求項7
「通信端末と,当該通信端末からアクセスされ,前記通信端末によるゲームの実行を制御するサーバと,を含み,複数のオブジェクトの中から選択した2以上のオブジェクトからなるオブジェクトグループを利用するゲームについてのゲームシステムであって,
2以上のオブジェクトの組合せと,当該組合せに対応する前記ゲーム上の効果をユーザに識別可能にさせる情報である効果に関する情報とを関連付けている関連付け手段と,
前記2以上のオブジェクトの組合せを複数示す画像を表示する表示手段と,
前記表示手段により表示した画像が示す複数の組合せのうちいずれかの選択をユーザから受け付けた場合,当該選択された組合せに対応するオブジェクトの全てが含まれるように,前記オブジェクトグループを更新する手段と
の各手段を,前記通信端末又は前記サーバの少なくともいずれか一方が備えた,ゲームシステム。」

2 補正の適否
(1) 新規事項について
以下,本件補正が,新規事項を追加するものであるか否かを検討する。

ア 本件補正後の請求項1に含まれる技術的事項
本件補正後の請求項1の「当該選択された組合せに対応するオブジェクトのうち複数のオブジェクト」という記載は,選択された組合せに対応するオブジェクトのうち,全てのオブジェクトだけでなく,全てではない一部のみの複数のオブジェクト(例えば,A,B及びCの3つのオブジェクトからなる組合せに対応するオブジェクトのうち,A及びBのみのオブジェクト)を含むものであることは明らかである。
そうすると,本件補正後の請求項1には,表示手段に表示した画像が示す複数の組合せから選択された組合せに対応するオブジェクトのうち,全てではない一部のみの複数のオブジェクトが含まれるように,オブジェクトグループを更新するという態様が包含されるものと解される。

イ 当初明細書等の記載事項
本願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「当初明細書等」という。)には,オブジェクトグループの更新について,以下の記載がある。なお,下線は強調のために付したものである。

(ア) 「【0050】
(1-6)ゲーム制御装置が備える機能の概要
次に,上述した本実施形態のゲームを実現するためにゲーム制御装置が備える機能について説明する。
本実施形態では,ゲームサーバ20によってゲーム制御装置50が構成されている。以下では,上述した実施形態のゲームが適用される場合を例として,本実施形態のゲーム制御装置50で実現される機能について,図11を参照して説明する。図11は,本実施形態のゲーム制御装置50で主要な役割を果たす機能を説明するための機能ブロック図である。図11に示す機能ブロック図において,変更手段54,更新手段55,制限手段56,及び対戦実行手段57は,本発明に必ずしも必須の構成要素ではない。なお,本実施形態において,カードはオブジェクトの一例であり,カードグループはオブジェクトグループの一例であり,編集用カードグループは編集用オブジェクトグループの一例である。」

(イ) 「【0089】
画像P20(図16A)において,ユーザXYZの現在のカードグループ(5枚のカードC1,C3,C9,C15,C20からなるカードグループ)の中から複数のカードを選択することもできる。図17Aの画像P30では,カードC1,C3,C9が選択され,それによってカードC1,C3,C9の各々と変更可能な複数のカードからなる3個のカード列がプルダウン形式で表示される場合を例示している。画像P21と同様に,画像P30においても各カード列の1?5番目の5枚のカード(C2,C7,C18,C22,C31)が表示されている。なお,ユーザに選択されなかったカードグループ内のカードC15,C20は,選択されたカードC1,C3,C9と変更可能なカードではないため,カードC1,C3,C9に対応するカード列には含まれない。
【0090】
画像P30において,表示画面に表示されている3つのカード列の中から1つずつカードを選択したときにコンボとなるカードの組合せが存在する場合には,その組合せがわかるように表示される。画像P30の例では,カードC1,C7,C18がコンボであり,カードC18,C31,C22がコンボであることが表示されている。画像P30には,好ましい例として,各コンボに対応付けてボタンb11,b12が表示される。すなわち,カードC1,C7,C18からなるコンボに対応付けてボタンb11が表示され,カードC18,C31,C22からなるコンボに対応付けてボタンb12が表示される。画像P30には,カード同士の連結する態様で2組のコンボが表示されているが,各コンボと,各コンボに対応するボタンとを認識しやすいように,コンボごとに異なる態様(例えば,異なる色,異なる模様,あるいは異なる輝度等)で表示させることが好ましい。
【0091】
画像P30においてスクロール操作が行われると,P31(図17B)に示すように画像が更新される。画像P31では,例えば各カード列の6?10番目の5枚ずつのカード(C32,C35,C42,C44,C50)が表示される。画像P31においても,表示画面に表示されている3つのカード列の中から1つずつカードを選択したときにコンボとなるカードの組合せが存在する場合には,その組合せがわかるように表示される。画像P31の例では,カードC32,C44,C50がコンボであり,カードC42,C35,C32がコンボであることが表示されている。画像P31には,好ましい例として,各コンボに対応付けてボタンb13,b14が表示される。すなわち,カードC32,C44,C50からなるコンボに対応付けてボタンb13が表示され,カードC42,C35,C32からなるコンボに対応付けてボタンb14が表示される。
【0092】
画像P31において例えばボタンb14が指定されると,P32(図17C)に示すように画像が更新される。画像P32では,ボタンb14に対応するコンボ(カードC42,C35,C32の組合せ)の効果が表示される。ここで,さらにボタンb14が指定されると,P33(図17D)に示すように画像が更新される。なお,画像P33において効果が表示された時点では,カードの変更は行われていないため,表示された効果をユーザが望まない場合には,ユーザは,他のボタン(この場合,ボタンb13)を指定することもできる。
画像P33において,ユーザXYZのカードグループは,P31でユーザに選択されたカードC1,C3,C9を,ボタンb14に対応するコンボであるC42,C35,C32に変更した状態で表示されるとともに,カードグループの変更を確定させるためのボタンb30(「変更する」)と,カードグループの変更を中止するためボタンb31(「変更しない」)とが表示される。ここでボタンb30(「変更する」)が指定されると,P34に示すように画像が更新されて,カードグループの変更が確定する。これによって,コンボとなるカードを組み入れるカードグループの編集が完了したことになる。」

(ウ) 「【0142】
図21B及び図22では,編集用カードグループに含まれるカードを1枚のカード単位で変更する場合について説明したが,この場合に限られず,複数枚のカードを変更してもよい。例えば図23の画像P41(図21BのP41と同じ)において各特技を選択可能に構成し,ユーザがいずれかの特技を選択することによって,選択された特技を発生させるコンボが編集用カードグループに組み込まれるようにしてもよい。図23の例において,画像P41で特技W3が選択されると,P42bに示すように,特技W3を発生させるために必要であって,かつ編集用カードグループに含まれていないカードC8,C23が,編集用カードグループに組み込まれる。それによって,編集用カードグループには特技W3を発生させるためのコンボである,カードC1,C8,C23が含まれるようになる。」

(エ) 【図17A】ないし【図17D】


(オ) 【図23】


(カ) 上記(イ)及び(ウ)の記載事項を踏まえると,上記(エ)及び(オ)の図面からは,コンボ(特技)が選択されて変更された後の編集用グループには,当該コンボ(特技)に含まれる全てのカードが含まれることが看取できる。

ウ 当初明細書等に記載された技術的事項
上記アで摘記した事項を総合すると,当初明細書等には,ユーザが選択した特技を発生させるコンボに含まれる全てのカードが,編集用カードグループに組み込まれることは記載されていると把握できるものの,当該コンボに含まれるカードのうちの一部である複数のカードのみ(例えば,上記ア(イ)で摘記した【0091】において,ボタンb14に対応付けられたコンボに含まれるカードC42,C35及びC32のうちの,C42及びC35のみ)が,編集用カードグループに組み込まれることについては記載されているとはいえない。

エ 本件補正後の請求項1と当初明細書との関係
上記アで説示した態様は,ユーザが選択した特技を発生させるコンボに含まれる全てのカードを,編集用カードグループに組み込むものではないので,本件補正後の請求項1に包含される技術的事項は,当初明細書等に記載されていない技術的事項を含んでいる。
したがって,本件補正は,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるから,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものとはいえない。

(2) 独立特許要件について

ア 補正の目的
本件補正は,上記(1)のとおり,新規事項を追加するものであるが,さらに補正の目的について検討すると,本件補正は,オブジェクトグループが更新される際に,ユーザが選択した組合せに対応するオブジェクトのうち,いくつのオブジェクトが含まれるのか限定されていなかった記載を,当該選択された組合せに対応するオブジェクトのうち複数のオブジェクトが含まれるように限定するものであるから,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる限定的減縮を目的とするものに該当するものと認められる。
そうすると,補正後の請求項1に係る発明は,特許出願の際独立して特許することが可能でなければならないので,検討する。

イ 本願補正発明1
本件補正後の請求項1に係る発明(以下,「本願補正発明1」という。)は,上記1ウに記載したとおりである。

ウ 引用文献,引用発明等
(ア) 引用文献1について
a 引用文献1の記載事項
本願の原出願日前に発行された特許第5118261号公報(以下,「引用文献1」という。)には,以下の記載がある。

(a) 「【0014】
===実施の形態===
<<<ゲームシステム1の構成について>>>
図1は,本実施形態に係るゲームシステム1の全体構成の一例を示す図である。本実施形態のゲームシステム1は,会員登録を行ったユーザー(「プレイヤー」とも呼ぶ)に対して,ゲームに関する各種サービスを,ネットワーク2を介して提供するものである。ユーザーは,ゲームシステム1にアクセスすることにより,ネットワーク2を介して送信されたゲームをプレイすることができる。また,ユーザーは,ゲームシステム1にアクセスすることにより,他のユーザーを友達としてフレンドリストに登録することができる。そのため,ユーザーは,友達になったユーザーと共にゲームをプレイしたり,メッセージを交換したりすることによって,複数のユーザー間でコミュニケーションを図ることができる。
【0015】
本実施形態に係るゲームシステム1は,サーバー装置10と,複数のユーザー端末20(「プレイヤー端末」とも呼ぶ)と,を含んで構成される。サーバー装置10及びユーザー端末20は,それぞれネットワーク2に接続されており,互いに通信可能となっている。ネットワーク2は,たとえば,イーサネット(登録商標)や公衆電話回線網,無線通信網,携帯電話回線網などにより構築される,インターネットやLAN(Local Area Network),VAN(Value Added Network)などである。
【0016】
サーバー装置10は,システム管理者等がゲームサービスを運営・管理する際に利用する情報処理装置である。このサーバー装置10は,たとえば,ワークステーションやパーソナルコンピューターであって,ユーザー端末20から送信された各種のコマンド(リクエスト)に応じて,当該ユーザー端末20に対して各種情報を配信することができる。本実施形態におけるサーバー装置10は,ゲームを行うユーザーが利用するユーザー端末20から,ゲームコンテンツの配信要求があった場合には,それに応じたゲームコンテンツ,たとえば,ユーザー端末20上で動作可能なゲームプログラムや,ユーザー端末の規格に合わせたマークアップ言語(HTML等)で作成されたWebページ等を配信することができる。
【0017】
ユーザー端末20は,ゲームを行う際にユーザーが利用する情報処理装置である。このユーザー端末20は,たとえば,携帯電話端末,スマートフォン,パーソナルコンピューター,ゲーム機などであって,ネットワーク2を介してアクセス可能なサーバー装置10に対して,ゲームに関する各種情報(ゲームプログラムやWebページ等のゲームコンテンツ等)の配信要求を行うことができる。また,ユーザー端末20は,ユーザーにWebページを閲覧させるためのWebブラウザ機能を有している。そのため,例えば,ゲームに関する画像データがリンクされたWebページ(ゲーム画像等)がサーバー装置10から配信されると,ユーザー端末20は前記Webページを画面表示することができる。
【0018】
<<<サーバー装置10の構成について>>>
図2は,サーバー装置10の機能上の構成を示すブロック図である。本実施形態に係るサーバー装置10は,制御部11と,データ記憶部12と,入力部13と,表示部14と,通信部15と,を有している。
【0019】
制御部11は,各部間のデータの受け渡しを行うととともに,サーバー装置10全体の制御を行うものであり,CPU(Central Processing Unit)が所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。すなわち,制御部11は,ゲームサービスを提供するための各種処理,ユーザー端末20からのリクエストに対する各種処理など,ゲームシステム1に関する各種制御,情報処理を実行する機能を有している。具体的には,本実施形態の制御部11は,図2に示すように,付与部111,記憶部112,受付部113,対戦処理部114,デッキ編成部115,画像生成部116を備えている。
【0020】
付与部111は,ゲームで用いられるゲーム媒体をユーザーに付与する処理を実行する機能を有している。ゲーム媒体とは,デジタルコンテンツのことをいい,たとえば,キャラクターが対応付けられたゲームカードやフィギユア等である。
【0021】
記録部112は,バスを介してデータ記憶部12に接続され,制御部11からの指令に応じてデータ記憶部12にデータを記録する処理を実行する機能を有している。
【0022】
受付部113は,プレイヤーによる操作入力を受け付ける処理を実行する機能を有している。具体的には,受付部113は,プレイヤーがプレイヤー端末20を利用して入力した操作情報(操作コマンド等)をサーバー装置10がネットワークを介して受信することにより,プレイヤーによる操作入力を受け付けることができる。例えば,受付部113は,複数のキャラクターを組み合せたキャラクター群(以下,「デッキ」とも呼ぶ)の編成を要求する編成要求をプレイヤー端末20から受け付ける処理を実行する。
【0023】
対戦処理部114は,敵キャラクターとの対戦について勝敗を決定する処理を実行する機能を有している。また,対戦処理部114は,プレイヤーが敵キャラクターに対して攻撃した際に,当該敵キャラクターの体力パラメーターの値を減少させる攻撃処理を実行する機能等を有している。
【0024】
デッキ編成部115は,プレイヤー端末20から送信されたデッキの編成を要求する編成要求に応答して,プレイヤーによって選択された複数のキャラクターを組み合わせることによって,当該プレイヤーのデッキを編成する処理を実行する機能を有している。
【0025】
画像生成部116は,プレイヤーにゲームプレイさせるための操作画像や,敵キャラクター等を含むゲーム画像等の各種画像データを生成する処理を実行する機能を有している。本実施形態における画像生成部116は,プレイヤーがデッキを編成する際にプレイヤー端末20の端末表示部24に表示させるための編成用ゲーム画像や,プレイヤーがこれまでに編成したデッキの履歴を含む履歴用ゲーム画像を生成する処理を実行する。
【0026】
データ記憶部12は,サーバー装置10におけるシステムプログラムが記憶された読み取り専用の記憶領域であるROM(Read Only Memory)と,制御部11で生成される各種データ(システムプログラムで使用するフラグや演算した値)が記憶されるとともに,制御部11の演算処理のワーク領域として使用される書き換え可能な記憶領域であるRAM(Random Access Memory)とを有しており,たとえば,フラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性記憶装置によって実現される。本実施形態のデータ記憶部12は,ユーザーがゲームで利用するゲームカードに関する情報であるカード情報,ユーザー(プレイヤー)に関する情報であるユーザー情報,ゲームカードに対応付けられたキャラクターのセリフに関する情報であるセリフ情報,デッキに対して発生させる特殊効果に関する情報である特殊効果情報を記憶する。なお,これら各情報については,追って詳述する。
【0027】
入力部13は,システム管理者等が各種データ(後述するカード情報など)を入力する
ためのものであり,たとえば,キーボードやマウス等によって実現される。
【0028】
表示部14は,制御部11からの指令に基づいてシステム管理者用の操作画面を表示するためのものであり,たとえば,液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等によって実現される。
【0029】
通信部15は,ユーザー端末20と通信を行うためのものであり,ユーザー端末20から送信される各種データや信号を受信する受信部としての機能と,制御部11の指令に応じて各種データや信号をユーザー端末20へ送信する送信部として機能とを有している。通信部15は,たとえば,NIC(Network Interface Card)等によって実現される。

(b) 「【0036】
<<<ゲームの概要について>>>
ここでは,ゲームシステム1によって提供されるゲームの概要について説明する。
本実施形態のゲームシステム1は,ゲーム媒体を用いて行う対戦ゲームをユーザー(プレイヤー)に提供することができる。以下では,ゲーム媒体の一例としてゲームカードを用いて行う対戦型カードゲームについて説明する。なお,このゲームカードは,デジタルコンテンツとしてのゲームカードであるため,ゲーム上の仮想空間において使用される仮想カードとなる。
【0037】
<対戦型カードゲーム>
本実施形態に係るゲームシステム1は,プレイヤーによって選択されたキャラクターを対戦相手となる敵キャラクターと戦わせることにより勝敗を決定する対戦型カードゲームを提供することができる。
【0038】
(デッキの編成)
この対戦型カードゲームでは,まず,プレイヤーは敵キャラクターと対戦する複数のキャラクターを選択することによって当該複数のキャラクターを組み合せたデッキを設定する。本実施形態においては,プレイヤーは複数のゲームカード(ゲーム上の仮想空間において使用される仮想カード)を所有することができ,このゲームカードのそれぞれにはゲームキャラクターが対応付けられている。プレイヤーは,自らが所有する複数のゲームカードのうちからデッキの編成に用いる複数のゲームカードを選択すると,選択された複数のゲームカードのそれぞれに対応するキャラクターが組み合わされてデッキが設定される。本実施形態では,プレイヤーが選択した3枚のゲームカード(キャラクター)を組み合せることによって1つのデッキが形成される。そして,このデッキを構成する各キャラクターは,敵キャラクターと対戦するキャラクター(以下,「プレイヤーキャラクター」という)として設定されることになる。
【0039】
また,ゲームカードに対応付けられているキャラクターに,特性の一例としてのスキルが設定されている。そして,デッキを構成する複数のプレイヤーキャラクターそれぞれに設定されるスキルが互いに関連している場合には,そのデッキに対して特殊効果を発生させるようになっている。本実施形態では,デッキを構成する3つのプレイヤーキャラクターそれぞれに設定されるスキルが共通する場合に,対戦ゲームにおいて必殺攻撃が発動できるように設定される。」

(c) 「【0043】
(対戦ゲームの勝敗)
次に,デッキを構成する各プレイヤーキャラクターが敵キャラクターと対戦する対戦ゲームを開始する。具体的には,プレイヤーが攻撃のためのコマンド入力を行うと,各プレイヤーキャラクターがこのコマンド入力に応じた攻撃を敵キャラクターに対して行い,この攻撃に対抗して敵キャラクターが反撃を行う。この対戦ゲームにおける勝敗の決定は,各キャラクターに設定された生命力パラメーター(体力パラメーター)に基づいて判定される。本実施形態においては,相手方の攻撃力に応じて生命力パラメーター(体力パラメーター)の値を減少させて行き,その値が先にゼロに達した方のキャラクターが敗者となるようにプログラミングされている。このようにして対戦ゲームが進行し,デッキを構成する全てのプレイヤーキャラクターが敗者となったときに,プレイヤーの負けが確定することになる。」

(d) 「【0049】
<<<データの構成について>>>
本実施形態のゲームシステム1において利用される各種情報について,図4乃至図11を用いて説明する。図4は,カード情報のデータ構造例を示す図である。図5は,ユーザー情報のデータ構造例を示す図である。図6は,所有カード情報のデータ構造例を示す図である。図7は,デッキ情報のデータ構造例を示す図である。図8は,特殊効果の決定条件を説明する図である。図9は,図鑑情報のデータ構造例を示す図である。図10は,セリフ情報のデータ構造例を示す図である。図11は,特殊効果情報のデータ構造例を示す図である。本実施形態においては,サーバー装置10のデータ記憶部12に,カード情報,ユーザー情報,セリフ情報,及び,特殊効果情報等が記憶されている。
【0050】
カード情報は,ゲームカードを識別する識別情報の一例としてのカードIDと,このカードIDに関連付けられた当該ゲームカードに関する各種情報と,を含んで構成されている。たとえば,図4に示すように,ゲームカードに対応付けられたキャラクターの名前,キャラクター画像,セリフID,スキル,初期攻撃力,初期防御力,初期体力などの各種初期パラメーター等が,カード情報に含まれている。
【0051】
キャラクターの名前は,戦士,魔法使いなど,キャラクターの種類に応じて名付けられたものであり,キャラクターの種類をユーザーに認識させることができる。キャラクター画像は,キャラクターに関連付けられた画像データである。
【0052】
セリフIDは,キャラクターに関連付けられたセリフを特定するための情報である。後述するセリフ情報(図10参照)を参照することにより,セリフIDに対応付けられたセリフ(テキスト)が特定される。このようにして特定されたセリフは,キャラクターに関連付けられ,プレイヤーがデッキを編成するための編成用画面に表示されることになる。これにより,キャラクターのセリフを手掛かりとして当該キャラクターのスキルをプレイヤーに推測させることができる。
【0053】
スキルは,キャラクターに設定された特性を示す情報である。スキルが共通するキャラクターを組み合わせてデッキを編成することにより,デッキに対して特殊効果を発生させることが可能となる。各キャラクターのスキルは,このカード情報を参照することによって特定することができる。
【0054】
初期攻撃力などの各種初期パラメーターは,キャラクターに設定された初期能力値を示すデータである。本実施形態では,対戦ゲームの結果やゲームの進行具合等に応じて初期値に対して所定値が加算されて行き,キャラクターの能力値が上昇するように設定されている。
【0055】
ユーザー情報は,ユーザー(プレイヤー)を識別する識別情報の一例としてのユーザーIDと,このユーザーIDに関連付けられた当該ユーザーに関する各種情報と,を含んで構成されている。たとえば,図5に示すように,所有カード情報,デッキ情報,図鑑情報等が,ユーザー情報に含まれている。
【0056】
所有カード情報は,ユーザー(プレイヤー)が所有する所有カードを示す情報である。所有カード情報は,ユーザーの所有カードを示す所有カードIDと,この所有カードIDに関連付けられた当該所有カードに関する各種情報と,を含んで構成されている。たとえば,図6に示すように,所有カードIDのゲームカードに対応するキャラクターのセリフIDと,レベルと,攻撃力や防御力などの各種パラメーター等が,所有カード情報に含まれている。
【0057】
セリフIDは,所有カードIDのゲームカードに対応付けられたキャラクターのセリフを特定するための情報である。後述するセリフ情報(図10参照)を参照することにより,セリフIDに対応付けられたセリフ(テキスト)が特定される。このセリフIDは,ゲームカードの合成によって変化し,更新される。
【0058】
レベルは,所有カードIDのゲームカードに対応付けられたキャラクターのレベルを示す情報である。攻撃力や防御力などの各種パラメーターは,キャラクターに設定された能力値を示すデータである。このレベルや攻撃力や防御力などの各種パラメーターは,対戦型カードゲームの結果に応じて変化し,更新される。
【0059】
デッキ情報は,プレイヤーが編成したデッキを示す情報である。デッキ情報は,プレイヤーが編成したデッキを識別するためのデッキIDと,このデッキIDに関連付けられた当該デッキに関する各種情報と,を含んで構成されている。たとえば,図7に示すように,ゲームカード(キャラクター)のカードID,必殺技ID等が,デッキ情報に含まれている。
【0060】
ゲームカード(キャラクター)のカードIDは,デッキIDに対応するデッキを構成するキャラクター(ゲームカード)を特定するための情報である。本実施形態では,プレイヤーが選択した3枚のゲームカード(キャラクター)を組み合せることによって1つのデッキが形成されるため,デッキIDに対して3つのカードIDが関連付けられデッキ情報に格納されている。
【0061】
必殺技IDは,デッキに対して発動可能な必殺攻撃を識別するための情報である。デッキIDに関連付けられる必殺技IDは,図8に示す特殊効果の決定条件に基づき決定される。すなわち,デッキ毎の必殺攻撃は,デッキを構成するキャラクターに共通するスキルの種類によって決定される。例えば,図8に示すように,デッキを構成するキャラクターに共通するスキルが「A」である場合,必殺技IDは「1」?「3」のうちのいずれかに決定される。決定された必殺技IDに対応付けられた必殺攻撃は,後述する特殊効果情報(図11参照)によって特定される。この特殊効果情報には,複数種類の必殺攻撃が設定されている。そのため,プレイヤーは,デッキ編成の際,様々な必殺攻撃が発動するように,デッキを構成するキャラクターの組合せをいろいろと試すことができる。
【0062】
図鑑情報は,プレイヤーによって編成されたデッキがこれまでに発動したことのある必殺攻撃の履歴を示す履歴情報である。この図鑑情報は,図9に示すように,これまでに発動したことのある必殺攻撃の必殺技IDと,この必殺技IDに関連付けられたフラグ情報等を含んで構成されている。本実施形態では,これまでに発動したことのある必殺攻撃の必殺技IDには「TRUE」が設定され,これまでに発動したことのない必殺攻撃の必殺技IDには「FALSE」が設定される。
【0063】
セリフ情報は,キャラクターのセリフを識別する識別情報の一例としてのセリフIDと,このセリフIDに関連付けられた当該セリフに関する各種情報と,を含んで構成されている。たとえば,図10に示すように,キャラクターに設定されたスキルをプレイヤーに推測させる文字列が含まれたテキスト(セリフ)等に含まれている。なお,このセリフは,キャラクターに設定されたスキルをプレイヤーに推測させる文字列が含まれたテキストデータである。そのため,画像データである場合に比べて,データ記憶部12における記録容量を少なくすることができる。
【0064】
特殊効果情報は,必殺攻撃を識別する識別情報の一例としての必殺技IDと,この必殺技IDに関連付けられた当該必殺技に関する各種情報と,を含んで構成されている。たとえば,図11に示すように,必殺技の名前,発動率,攻撃力,ヒント等が,特殊効果情報に含まれている。
【0065】
必殺技の名前は,必殺技A,必殺技B,必殺技Cなど,技の種類に応じて名付けられたものであり,デッキに対して発動させる必殺攻撃の種類をプレイヤーに認識させることができる。」

(e) 「【0071】
<カード付与処理>
カード付与処理は,プレイヤーに対してゲームカードを付与するための処理である。本実施形態では,対戦型カードゲームを実行することにより,プレイヤーに対してゲームカードが付与される。具体的には,サーバー装置10における対戦処理部114が,対戦型カードゲームのゲーム処理を実行することにより対戦結果や対戦内容を決定し,サーバー装置10における付与部111が,その対戦結果や対戦内容に基づいて,図4に示すカード情報に含まれる複数のゲームカードのうちからプレイヤーに付与するゲームカードを選択する。その結果,選択された付与カードは,プレイヤーの所有カードとなる。
【0072】
<カード記録処理>
カード記録処理は,カード付与処理によりプレイヤーに付与された付与カードを,当該プレイヤーが所有する所有カードとして記録する処理である。サーバー装置10における記録部112は,カード付与処理によりプレイヤーに付与された付与カードを,図6に示す所有カード情報に追加して記録する。このようにして,プレイヤーは,自らが所有するゲームカードの所有数を増加させることができる。
【0073】
<プレイヤーにデッキを編成させるための処理>
デッキを編成させる処理は,プレイヤー端末20からのリクエストに応答して,プレイヤーによって選択された複数のキャラクターを組み合せたデッキを編成させる処理である。以下では,デッキを編成するための動作例について,図12及び図13を用いて具体的に説明する。図12は,デッキを編成するための動作例を説明するためのフローチャートである。図13は,デッキを編成する際のゲーム画像の一例を示す図である。
【0074】
先ず,図12に示すように,プレイヤーは,プレイヤー端末20において,デッキの編成を開始するためにアクセスしたWebページを端末表示部24に表示させ,端末入力部23を操作することによってデッキ編成の開始を要求する。すなわち,端末制御部21は,端末入力部23からデッキ編成開始の入力信号を受け取ると,デッキの編成を要求するコマンド(編成要求)をサーバー装置10に送信する(S101)。
【0075】
次いで,サーバー装置10は,プレイヤー端末20からネットワーク2を介してその編成要求を受け付ける受付処理を行う(S102)。そして,サーバー装置10における受付部113が,プレイヤー端末20から送信された編成要求を受け付けると,サーバー装置10における画像生成部116が,図13に示すような編成用ゲーム画像50を生成する処理を行う(S103)。この編成用ゲーム画像50には,プレイヤーが所有するゲームカード60の一覧(キャラクターの一覧)が表示される。プレイヤーは,デッキを構成するキャラクターをこの一覧から選択することができる。
【0076】
具体的には,サーバー装置10におけるデッキ編成部115は,図5及び図6に示す所有カード情報を参照することにより,プレイヤーが所有する所有カードを抽出する。そして,デッキ編成部115は,抽出した所有カードそれぞれについて,図13に示すゲームカード60の画像を画像生成部116に生成させる。このゲームカード60は,キャラクターのセリフ61と,キャラクターの画像62と,キャラクターの名前63が含まれる。
【0077】
さらに具体的には,デッキ編成部115は,図6に示す所有カード情報を参照することにより,所有カードに関連付けられたセリフIDを抽出した後,図10に示すセリフ情報を参照することにより,セリフIDに対応するキャラクターのセリフを抽出する。そして,デッキ編成部115は,このようにして抽出されたセリフに基づいて,キャラクターのセリフ61を含むゲームカード60を画像生成部116に生成させる。また,デッキ編成部115は,図4に示すカード情報を参照することにより,所有カードのカードIDに関連付けられたキャラクター画像を抽出する。そして,デッキ編成部115は,このようにして抽出されたキャラクター画像に基づいて,キャラクターの画像62を含むゲームカード60を画像生成部116に生成させる。また,デッキ編成部115は,図4に示すカード情報を参照することにより,所有カードのカードIDに関連付けられたキャラクター名を抽出する。そして,デッキ編成部115は,このようにして抽出されたキャラクター名に基づいて,キャラクターの名前63を含むゲームカード60を画像生成部116に生成させる。以上のとおり,画像生成部116は,キャラクターのセリフ61,名前63(テキストデータ)とキャラクター画像62(画像データ)とを組合せてゲームカード60を生成しているため,例えば,セリフを他のセリフに変更したり,キャラクターの画像とセリフとの対応関係を変更したりすることができる。
【0078】
このようにして,プレイヤーが所有するゲームカード60の一覧を含む編成用ゲーム画像50が画像生成部116によって生成されると,生成された編成用ゲーム画像50が通信部15によってプレイヤー端末20に送信される。
【0079】
次いで,プレイヤー端末20は,サーバー装置10から送信された編成用ゲーム画像50を受信すると,端末表示部24にその編成用ゲーム画像50を表示させ,プレイヤーからの操作入力を受け付ける(S105)。この編成用ゲーム画像50には,図13に示すように,デッキを決定するためのデッキ決定ボタン51と,ゲームカード60(キャラクター)ごとに対応付けられたチェックボックス52と,が含まれている。プレイヤーは,端末入力部23を操作してチェックボックス52にチェックマークを入れることにより,デッキを構成する複数のキャラクターを選択することができる。この際,プレイヤーは,必殺攻撃(特殊効果)が発生するようにデッキを編成する方が(キャラクターを選択する方が),ゲーム進行上においてプレイヤーにとって有利となる。この必殺攻撃を発生させるためには,デッキを構成する各キャラクターのスキルが互いに特定の関係性を持つように,キャラクターを選択しなければならない(本実施形態では,デッキを構成する各キャラクターのスキルが共通しなければ必殺攻撃が発動しない)。しかし,本実施形態においては,キャラクター画像62に対応するキャラクターのセリフ61しか編成用ゲーム画像50に含まれておらず,プレイヤーは,キャラクターのセリフ61を見てもキャラクターのスキルを即座に特定することができない。その結果,プレイヤーは,そのセリフを手掛りとしてキャラクターのスキルを推測しながら様々なキャラクターを組み合せるようになるため,デッキの編成に利用されるキャラクターの画一化を抑えることが可能となる。このようにして,プレイヤーがキャラクターのスキルを推測しながらデッキを構成するキャラクターを選択してデッキ決定ボタン51を押すと,プレイヤーに選択された複数のキャラクターが組み合わされて当該プレイヤーのデッキが形成されることになる。
なお,デッキを構成する複数のキャラクターをプレイヤーに選択させる際に,デッキ編成部115が予め決定したキャラクターの組合せを編成用ゲーム画像50に表示させ,その中から選択させるようにしても良い。また,この際,すでに必殺攻撃を発動させたことのあるデッキについては,当該デッキを構成するキャラクターの組合せを編成用ゲーム画像50に表示させるようにしてもよい。
【0080】
次いで,プレイヤー端末20は,プレイヤーによって編成用ゲーム画像50に含まれるチェックボックス52がマークされ,デッキ決定ボタン51が押されると,プレイヤーによって選択された複数のキャラクターそれぞれのカードID,及び,選択された複数のキャラクターを組み合せたデッキの登録を要求するコマンドをサーバー装置10へ送信する。
【0081】
次いで,サーバー装置10は,そのコマンドを受付部113により受け付けると,デッキ編成処理を行う(S106)。すなわち,デッキ編成部115は,受信した複数のキャラクターそれぞれのカードIDを,プレイヤーのデッキ情報(図7参照)にデッキIDに関連付けて格納する。この際,デッキ編成部115は,図4に示すカード情報を参照することにより,複数のキャラクターそれぞれのカードIDに対応付けられたスキルを特定する。そして,デッキ編成部115は,特定したそれぞれのスキルが共通するか否かを判定し,スキルが共通すると判定した場合には,図8に示す特殊効果の決定条件に基づき,デッキを構成するキャラクターに共通するスキルの種類に応じた必殺技IDを決定する。そして,デッキ編成部115は,決定した必殺技IDを,プレイヤーのデッキ情報(図7参照)にデッキIDに関連付けて格納する。また,デッキ編成部115は,このようにして必殺技IDを決定することにより,デッキに対して必殺攻撃を発動させたことになるため,決定した必殺技IDに対して「TRUE」を設定し,プレイヤーの図鑑情報(図9参照)を更新する。
【0082】
次いで,デッキ編成部115は,プレイヤーによって選択されたキャラクターを組み合せたデッキを登録したことを示すゲーム画像を画像生成部116に生成させ,当該ゲーム画像をプレイヤー端末20に送信する(S107)。」

b 引用文献1の記載事項から認定できる事項
(a) 上記aの摘記事項において,「ゲームカード」及び「ゲームカード60」は同じものを示していることは明らかである。
(b) 上記aの摘記事項から,「デッキ」は,複数の「キャラクター」からなるものであることが把握できるが,「キャラクター」は「ゲームカード」に対応するものであるから,「デッキ」は,複数の「ゲームカード」からなるものであり,さらに,「プレイヤーキャラクター」が,「敵キャラクターと対戦するキャラクター」の言い換えであることも踏まえると,上記aで摘記した記載において,「キャラクター」及び「プレイヤーキャラクター」は,「ゲームカード60」と言い換えることができるものと認められる。

c 引用発明について
上記a及びbの事項から,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「複数のユーザー端末20と,ゲームシステム1を構成するサーバー装置10であって,
制御部11と,データ記憶部12と,入力部13と,表示部14と,通信部15と,を有し,
制御部11は,付与部111,記憶部112,受付部113,対戦処理部114,デッキ編成部115,画像生成部116を備え,
前記対戦処理部114は,プレイヤーが,自らが所有する複数のゲームカードのうちから選択した複数のゲームカード60が組み合わされたデッキを構成する各ゲームカード60が敵キャラクターと対戦する対戦型カードゲームのゲーム処理を実行することにより対戦結果や対戦内容を決定し,
データ記憶部12は,カード情報,ユーザー情報,セリフ情報,及び,特殊効果情報等を記憶し,
ユーザー情報には,所有カード情報,デッキ情報,図鑑情報等が含まれ,
デッキ情報は,プレイヤーが編成したデッキを識別するためのデッキIDと,このデッキIDに関連付けられた当該デッキに関する各種情報と,を含んで構成され,
ゲームカード60に,特性の一例としてのスキルが設定され,デッキ毎の必殺攻撃が,デッキを構成するゲームカード60に共通するスキルの種類によって決定され,
特殊効果情報は,デッキに対して発動可能な必殺攻撃を識別するための情報であり,デッキIDに関連付けられる必殺技IDと,この必殺技IDに関連付けられた当該必殺技に関する各種情報と,を含んで構成され,特殊効果情報には,必殺技の名前,発動率,攻撃力,ヒント等が含まれ,
必殺技の名前は,技の種類に応じて名付けられたものであり,デッキに対して発動させる必殺攻撃の種類をプレイヤーに認識させることができ,
画像生成部116は,受付部113が,プレイヤー端末20から送信された編成要求を受け付けると編成用ゲーム画像50を生成する処理を行い,この編成用ゲーム画像50には,プレイヤーが所有するゲームカード60の一覧が表示され,プレイヤーは,デッキを構成するゲームカード60をこの一覧から選択することができ,
プレイヤー端末20は,プレイヤーによって編成用ゲーム画像50に含まれるチェックボックス52がマークされ,デッキ決定ボタン51が押されると,プレイヤーによって選択された複数のゲームカード60それぞれのカードID,及び,選択された複数のゲームカード60を組み合せたデッキの登録を要求するコマンドをサーバー装置10へ送信し,
デッキ編成部115は,受信した複数のゲームカード60それぞれのカードIDを,プレイヤーのデッキ情報にデッキIDに関連付けて格納し,プレイヤーによって選択されたゲームカード60を組み合せたデッキを登録したことを示すゲーム画像を画像生成部116に生成させ,当該ゲーム画像をプレイヤー端末20に送信する,
サーバー装置10。」

(イ) 引用文献2について,
a 引用文献2の記載事項
本願の原出願日前に,電気通信回線を通じて公開されたウェブサイトである,「“きたぞ大型アップデート!『拡散性ミリオンアーサー』新しいカード選択画面と大きく変わったバトルを解説!”,[online],2012年6月20日,[2018年10月4日検索],インターネット,<URL:https://app.famitsu.com/20120620_72466/>」(以下,「引用文献2」という。)には,以下の記載がある。

(a) 「右側のコンボ確認ボタンを押すと,このデッキでバトル中に使われる可能性のあるコンボとその効果を表示。
さらに[ATK↑]などと表示されている黄色のアイコンをタッチすることでそのコンボに必要なキャラクターが青く光ります。これによって“コンボ”を考えてカードを選べるようになりました。」(2/7ページ 1?5行)

(b) 上記(a)の記載直後の画像


(c) 上記(b)の図からは,「コンボ確認」という文字列の下に,「[HP↑]プリンセスコンボ/最大HPを小アップ」,「[ATK↑]アサルトフォース/攻撃力を小アップ」,「[ATK↑]マジックフォース/攻撃力を小アップ」及び「[HP↑]アサルトコンボ/最大HPを小アップ」という記載があることが看取でき(なお,例えば,[HP↑]という記載は,四角の中の下側に「HP」の文字列が,その上側に「^」の記号が書かれていることを表し,「/」は改行されていることを表す。)。

b 引用文献2の記載事項から認定できる事項
上記aの記載を総合すると,以下のことがいえるものと認められる。
(a) 上記a(b)の図中の「プリンセスコンボ」,「アサルトフォース」,「マジックフォース」及び「アサルトコンボ」は,「コンボ」の名称である。
(b) 上記a(b)の図中の「最大HPを小アップ」及び「攻撃力を小アップ」は,「コンボ」の効果である。
(c) 上記a(b)の図中の「[HP↑]」「[ATK↑]」の四角は,上記a(a)の記載にある「黄色のアイコン」である。

c 引用文献2記載の技術的事項
上記a及びbの事項から,引用文献2には,複数のコンボと,当該コンボの名称,効果,必要なキャラクターを表示するという技術的事項が開示されているものと認められる。

エ 当審における判断
(ア) 対比
本願補正発明1と,引用発明とを対比すると,以下のことがいえる。

a 引用発明の「プレイヤー」及び「ゲームカード60」は,それぞれ,本願補正発明1の「ユーザ」及び「オブジェクト」に相当する。

b 引用発明の「デッキ」は,「プレイヤーが,自らが所有する複数のゲームカード60のうちから選択した複数のゲームカード60のそれぞれに対応するゲームカード60が組み合わされた」ものであるから,引用発明の「デッキ」は,本願補正発明1の「複数のオブジェクトの中からユーザが選択した2以上のオブジェクトからなるオブジェクトグループ」に相当する。

c 引用発明の「対戦型カードゲーム」は,「デッキを構成する各ゲームカード60が敵キャラクターと対戦する」ものであるから,「デッキ」を利用するものである。
そうすると,引用発明の「対戦型カードゲーム」は,本願補正発明1の「オブジェクトグループを利用するゲーム」に相当する。

d 引用発明においては,「サーバー装置10」が有する「制御部11」の「対戦処理部114」が,「対戦型カードゲームのゲーム処理を実行することにより対戦結果や対戦内容を決定」するから,引用発明の「サーバー装置10」は,本願補正発明1の「ゲーム制御装置」に相当する。

e 引用発明の「必殺攻撃」は,「デッキを構成するゲームカード60に共通するスキルの種類によって決定され」るものであるから,「デッキ」と対応するものである。そして,「デッキ」が,「複数のゲームカード60」で構成されるものであることに照らせば,引用発明の「必殺攻撃」は,本願補正発明1の「2以上のオブジェクトの組合せ」「に対応する前記ゲーム上の効果」に相当する。

f 引用発明の「必殺技の名前」は,「デッキに対して発動させる必殺攻撃の種類をプレイヤーに認識させることができ」るものであるから,上記eの検討を踏まえると,引用発明の「必殺技の名前」は,「当該組合せに対応する前記ゲーム上の効果をユーザに識別可能にさせる情報である効果に関する情報」に相当する。

g 引用発明の「データ記憶部12」には,「特殊効果情報」を記憶し,「特殊効果情報は,デッキに対して発動可能な必殺攻撃を識別するための情報であり,デッキIDに関連付けられる必殺技IDと,この必殺技IDに関連付けられた当該必殺技に関する各種情報と,を含んで構成され,特殊効果情報には,必殺技の名前,発動率,攻撃力,ヒント等が含まれ」るから,デッキIDと必殺技の名前が関連付けられているといえる。
そうすると,上記e及びfの検討も踏まえると,引用発明の「データ記憶部12」は,本願補正発明1の「2以上のオブジェクトの組合せと,当該組合せに対応する前記ゲーム上の効果をユーザに識別可能にさせる情報である効果に関する情報とを関連付けている関連付け手段」に相当する。

h 引用発明の「画像生成部116」は,「編成用ゲーム画像50を生成する処理を行い,この編成用ゲーム画像50に」,「プレイヤーが所有するゲームカード60の一覧」を表示させるものであり,「ゲームカード60の一覧」という記載から,ゲームカード60が2以上表示できることは明らかである。
したがって,本願補正発明1の「前記2以上のオブジェクトの組合せを複数示す画像」と,引用発明の「編集用ゲーム画像50」とは,複数の「オブジェクト」「を示す画像」という限りにおいて共通し,本願補正発明1の「表示手段」と,引用発明の「画像生成部116」とは,複数の「オブジェクト」「を示す画像を表示する」という限りにおいて共通する。

i 引用発明の「デッキ編成部115」は,「プレイヤーによって選択された複数のゲームカード60」「それぞれのカードIDを,プレイヤーのデッキ情報にデッキIDに関連付けて格納し,プレイヤーによって選択されたゲームカード60を組み合せたデッキを登録」するものであるから,上記hで説示したとおり,引用発明においては,「画像生成部116」によって表示された「編成用ゲーム画像50」において,「プレイヤー」が,「デッキを構成するゲームカード60」を選択していることに照らせば,本願補正発明1と引用発明とは,「前記表示手段により表示した」オブジェクトに対するユーザの選択によって,「前記オブジェクトグループを更新する手段」を備える点において共通する。

j 上記aないしiから,本願補正発明1と引用発明とは,以下の点で一致する。

[一致点]
「複数のオブジェクトの中からユーザが選択した2以上のオブジェクトからなるオブジェクトグループを利用するゲームのゲーム制御装置であって,
2以上のオブジェクトの組合せと,当該組合せに対応する前記ゲーム上の効果をユーザに識別可能にさせる情報である効果に関する情報とを関連付けている関連付け手段と,
複数のオブジェクトを示す画像を表示する表示手段と,
前記表示手段により表示したオブジェクトに対するユーザの選択によって,前記オブジェクトグループを更新する手段と
を備えるゲーム制御装置。」

k そして,両者の発明は,以下の点で相違する。

[相違点1]
本願補正発明1においては,「表示手段」が,「前記2以上のオブジェクトの組合せを複数示す画像を表示する」のに対して,引用発明においては,画像生成部116は,複数のゲームカード60を表示するが,2以上のゲームカード60の組合せを複数示すものではない点。

[相違点2]
本願補正発明1においては,「オブジェクトグループを更新する」際に,「前記表示手段により表示した画像が示す複数の組合せのうちいずれかの選択をユーザから受け付けた場合,当該選択された組合せに対応するオブジェクトのうち複数のオブジェクトが含まれるように」更新するのに対して,引用発明においては,そのように特定されない点。

(イ) 相違点についての判断
上記ウ(ア)a(e)で摘記した【0079】の「なお,デッキを構成する複数のキャラクターをプレイヤーに選択させる際に,デッキ編成部115が予め決定したキャラクターの組合せを編成用ゲーム画像50に表示させ,その中から選択させるようにしても良い。また,この際,すでに必殺攻撃を発動させたことのあるデッキについては,当該デッキを構成するキャラクターの組合せを編成用ゲーム画像50に表示させるようにしてもよい。」という記載から,上記ウ(ア)b(a)及び同(b)の検討と,プレイヤーが「選択」をするためには,選択肢が複数存在する必要があることが明らかであることとを踏まえると,引用文献1には,編成用ゲーム画像50において,ゲームカード60の組合せを複数表示し,プレイヤーにその複数の組合せの中から選択できるようにしたものが開示されているものといえる。また,ここでの,ゲームカード60の複数の組合せには,必殺攻撃を発動させたことのあるデッキを構成するカードゲーム60の組合せが含まれるという技術的事項についても開示がされているものと認められる。
そうすると,引用発明に対して,引用文献1記載の技術的事項を適用して,編集用ゲーム画像50にゲームカード60の組合せを複数表示させ,その際に,複数の組合せの中に,必殺攻撃を発動させたことのあるデッキを複数設定するようにし,本願補正発明1の相違点1に係る発明特定事項をなすことは,当業者にとって容易である。
また,引用発明に対して,引用文献1記載の技術的事項を適用して,編集用ゲーム画像50にゲームカード60の組合せを複数表示させ,プレイヤーにその複数の組合せの中から選択させるようにすれば,選択された組合せに対応する複数のゲームカード60の全てが含まれるように,デッキが登録されることになり,「全て」には,当然,「複数」が包含されるから,本願補正発明1の相違点2に係る発明特定事項をなすことも,当業者にとって容易である。
そして,引用文献2には,上記ウ(イ)cで説示したとおりの技術的事項が開示されていることに照らせば,引用発明において,編集用ゲーム画像50に,必殺攻撃についての,必殺技の名前や,効果,発動に必要なゲームカード60を表示するようにすることも,当業者が適宜なし得る程度のことである。

オ 本願補正発明1の独立特許要件について
以上のとおり,本願補正発明1は,引用発明,引用文献1及び2記載の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

カ 本件補正後の請求項7について
請求項7についての補正事項は,選択された組合せに対応するオブジェクトの全てが含まれるように,オブジェクトグループを更新するものであるから,上記(1)の検討に照らせば,新規事項を追加するものではない。
そして,請求項7についての補正も,請求項1についての補正と同様に,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる限定的減縮を目的とするものに該当するものと認められるから,本件補正後の請求項7に係る発明(以下,「本願補正発明7」という。)についても,独立特許要件について検討する。

(ア) 本願補正発明7と引用発明とを対比すると,引用発明の「ユーザー端末20」,「サーバー装置10」及び「ゲームシステム1」が,それぞれ,本願補正発明7の「通信端末」,「サーバ」及び「ゲームシステム」に相当する。
そして,上記エ(ア)aないしc,eないしiと同じことがいえる。
さらに,引用発明の「サーバー装置」10が,「データ記憶部12」,「画像生成部116」及び「デッキ編成部115」を有するから,本願補正発明7と,引用発明とは,「各手段を,」「前記サーバ」「が備えた」点において共通する。

(イ) そうすると,両者の発明は,以下の点で相違する。

[相違点3]
本願補正発明7においては,「表示手段」が,「前記2以上のオブジェクトの組合せを複数示す画像を表示する」のに対して,引用発明においては,画像生成部116は,複数のゲームカード60を表示するが,2以上のゲームカード60の組合せを複数示すものではない点。

[相違点4]
本願補正発明7においては,「オブジェクトグループを更新する」際に,「前記表示手段により表示した画像が示す複数の組合せのうちいずれかの選択をユーザから受け付けた場合,当該選択された組合せに対応するオブジェクトの全てが含まれるように」更新するのに対して,引用発明においては,そのように特定されない点。

(ウ) 上記相違点3は,上記相違点1と同じものであるから,本願補正発明7の上記相違点3に係る発明特定事項をなすことが容易であることは,上記エ(イ)で説示したとおりである。
また,上記相違点2において,「複数のオブジェクト」を「全てのオブジェクト」と言い換えたものであるが,引用発明において,選択された組合せに対応する複数のゲームカード60の全てが含まれるように,デッキが登録されるようにすることが,当業者にとって容易であることも,上記エ(イ)で説示したとおりである。

(エ) したがって,本願補正発明7も,引用発明,引用文献1及び2記載の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 小括
上記2(1)で検討したとおり,本件補正は,特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるし,上記2(2)で検討したとおり,本件補正は,同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものでもあるので,本件補正は,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
1 本願発明
本件補正は,上記第2のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成29年12月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される以下のとおりのものである。

「複数のオブジェクトの中からユーザが選択した2以上のオブジェクトからなるオブジェクトグループを利用するゲームのゲーム制御装置であって,
2以上のオブジェクトの組合せと,当該組合せに対応する前記ゲーム上の効果をユーザに識別可能にさせる情報である効果に関する情報とを関連付けている関連付け手段と,
前記2以上のオブジェクトの組合せを複数示す画像を表示する表示手段と,
前記表示手段により表示した画像が示す複数の組合せのうちいずれかの選択をユーザから受け付けた場合,当該選択された組合せに対応するオブジェクトが含まれるように,前記オブジェクトグループを更新する手段と
を備えるゲーム制御装置。」

2 原査定の概要
原査定の拒絶の理由は,本願発明は,上記引用文献1及び2に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないという理由を含むものである。

3 引用発明等
引用文献1には,上記第2の2(2)ウ(ア)cに記載したとおりの引用発明,及び上記第2の2エ(イ)に記載したとおりの技術的事項が記載され,引用文献2には,上記第2の2(2)ウ(イ)cに記載したとおりの技術的事項が記載されている。

4 対比・判断
(1) 本願発明と引用発明とを対比すると,上記第2の2(2)エ(ア)aないし同jと同じことがいえるので,両者の発明は,上記相違点1と,以下の相違点5において相違する。

[相違点5]
本願発明においては,「オブジェクトグループを更新する」際に,「前記表示手段により表示した画像が示す複数の組合せのうちいずれかの選択をユーザから受け付けた場合,当該選択された組合せに対応するオブジェクトが含まれるように」更新するのに対して,引用発明においては,そのような更新をするものではない点。

(2) 上記相違点5は,選択された組合せに対応するオブジェクトのうちの全てのオブジェクトが含まれるように,オブジェクトグループを更新する態様を包含しているから,上記第2の2(2)エ(イ)で検討したとおり,当業者が容易に想到できたものである。

5 小括
以上のとおりであるから,本願発明は,引用発明に対して,引用文献1及び2記載の技術的事項を適用することで,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり,本件補正は,却下されるべきものであり,本願発明は,引用発明に対して,引用文献1及び2記載の技術的事項を適用することで,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-03-12 
結審通知日 2020-03-17 
審決日 2020-03-31 
出願番号 特願2017-233891(P2017-233891)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 561- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大山 栄成瀬戸 息吹  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 藤本 義仁
塚本 丈二
発明の名称 ゲーム制御装置、プログラム、ゲームシステム  

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