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審決分類 |
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 取り消して特許、登録 A61K 審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 A61K 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61K |
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管理番号 | 1363116 |
審判番号 | 不服2019-10564 |
総通号数 | 247 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-07-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-08-08 |
確定日 | 2020-06-29 |
事件の表示 | 特願2015- 26651「サイトグロビンを含有することを特徴とする皮膚外用剤」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 8月18日出願公開、特開2016-147837、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年2月13日を出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年 10月17日付け:拒絶理由通知書 平成30年 12月26日 :意見書、手続補正書の提出 令和 1年 5月27日付け:拒絶査定 令和 1年 8月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 補正の却下の決定 [結論] 令和1年8月8日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正は、平成30年12月26日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の、「サイトグロビンを含有することを特徴とする美白用皮膚外用剤。」を 「サイトグロビンを0.0001?0.00025%含有することを特徴とするメラニン生成抑制剤。」と補正するものである(下線部は、補正箇所である。)。 2 補正の適否 (1) サイトグロビンの含有量として、「0.0001?0.00025%」との範囲を規定する補正(以下、「補正事項1」という。)について 補正事項1が特許法第17条の2第3項の規定に適合するかについて検討する。 なお、補正事項1の「0.0001?0.00025%」における「%」が「重量%」の意味であることは当業者に自明である。 本件の願書に最初に添付された明細書の発明の詳細な説明には、サイトグロビンの含有量について、以下の記載がある。 ア 【0022】 「本発明に用いるサイトグロビンの含有量は、特に限定されないが、0.00001?10重量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.0001?1重量%である。また、添加の方法については、予め加えておいても製造途中で添加しても良く、作業性を考えて適宜選択すればよい。」 イ 【0024】 「ヒト正常メラノサイトNHEM 1.25×10^(6)個にサイトグロビン(フナコシ株式会社、RPR-842)を0.1、1及び10μg/mL添加し、48時間培養後、総RNAの抽出を行った。」 ウ 【0028】 「ヒト線維芽細胞NB1RGBを35mm dishに5×10^(4)個播種し、セミコンフルエントになった時点でサイトグロビンを0.1、1及び10μg/mL添加し、48時間培養後、総RNAの抽出を行った。」 エ 【0032】 「ヒト悪性黒色腫由来G-361細胞を96wellプレートに1wellあたり5×10^(3)個播種し、サイトグロビン(最終濃度0.1、1及び10μg/mL)を添加した0.1%FBSを含むMcCoy5A培養液にて、37℃、5%CO_(2)条件下で6日間培養した。」 オ 【0035】?【0043】 「処方例1 化粧水 処方 含有量(%) 1.サイトグロビン 0.0001 (中略) [製造方法]成分1?6及び11と、成分7?10をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合し濾過して製品とする。」(【0035】)、 「処方例2 乳液 処方 含有量(%) 1.サイトグロビン 0.001 (中略) [製造方法]成分2?8を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分10?13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分9を加え、更に30℃まで冷却後、成分1を加え、製品とする。」(【0036】)、 「処方例3 クリーム 処方 含有量(%) 1.サイトグロビン 0.1 (中略) [製造方法]成分2?9を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分11?13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、更に30℃まで冷却後、成分1を加え、製品とする。」(【0037】)、 「処方例4 パック 処方 含有量(%) 1.サイトグロビン 0.001 (中略) [製造方法]成分1?10を均一に溶解し製品とする。」(【0039】)、 「処方例5 ファンデーション 処方 含有量(%) 1.サイトグロビン 0.0001 (中略) [製造方法]成分2?8を加熱溶解し、80℃に保ち油相とする。成分19に成分9をよく膨潤させ、続いて、成分10?13を加えて均一に混合する。これに粉砕機で粉砕混合した成分14?17を加え、ホモミキサーで撹拌し75℃に保ち水相とする。この油相に水相をかき混ぜながら加え、乳化する。その後かき混ぜながら冷却し、45℃で成分18を加え、更に30℃まで冷却後、成分1を加え、製品とする。」(【0040】)、 「処方例6 浴用剤 処方 含有量(%) 1.サイトグロビン 0.0001 (中略) [製造方法]成分1?5を均一に混合し製品とする。」(【0041】)、 「処方例7 ゲル剤 処方 含有量(%) 1.サイトグロビン 0.001 (中略) [製造方法]成分2?5と、成分1及び6?11をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合して製品とする。」(【0042】)、 「処方例8 軟膏 処方 含有量(%) 1.サイトグロビン 1.0 (中略) [製造方法]成分2?5を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分6?8を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら30℃まで冷却後、成分1を加え、製品とする。」(【0043】) しかしながら、本件の願書に最初に添付した明細書又は特許請求の範囲(以下、「当初明細書等」という。)には、「0.0001?0.00025%」との範囲についての明示的な記載はない。 また、摘記事項アのとおり、当初明細書等には「0.0001?1重量%」との範囲が記載されており、当該記載から、「0.0001重量%」を下限値とする範囲が記載されているとは一応いえるものの、当該範囲の上限値を「0.00025%」とすることを示唆する記載を当初明細書等に見いだすことはできないし、補正事項1の「0.0001?0.00025%」との範囲が摘記事項アの「0.0001?1重量%」との範囲よりも遙かに狭く限定された範囲であることにも鑑みれば、「0.0001?0.00025%」との範囲が摘記事項ア又はその他の当初明細書等の記載から当業者に自明なものとは認められない。 したがって、補正事項1は、当初明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、特許法第17条の2第3項の規定に適合しない。 (2)「美白用皮膚外用剤」を「メラニン生成抑制剤」とする補正(以下、「補正事項2」という。)について 本件補正は、特許法第17条の2第1項第4号の規定に該当するものであり、かつ、特許請求の範囲についてするものであるから、同条第5項の規定に適合するものでなければならない。 そこでまず、補正事項2が特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」(限定的減縮)を目的とするものであるかを検討する。 本件補正後の「メラニン生成抑制剤」と本件補正前の「美白用皮膚外用剤」は、いずれも特定の用途に使用される「剤」である点で共通するものであり、技術的にも関連するものではあるが、「メラニン生成抑制剤」なる用途は「美白用皮膚外用剤」なる用途の下位概念に相当するものではないから、補正事項2は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」(限定的減縮)を目的とするものではない。 また、本件補正前の「美白用皮膚外用剤」については、それが明確でないとの拒絶の理由は通知されていないから、補正事項2は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものでもない。 そして、補正事項2が、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる「請求項の削除」及び同項第3号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものでないことは明らかである。 したがって、補正事項2は、特許法第17条の2第5項第1?4号に掲げるいずれの事項を目的とするものではない。 3 本件補正の却下の決定のむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第5項の規定に適合しないから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明及び当審の判断 令和1年8月8日にされた手続補正は、上記第2のとおり、決定をもって却下された。 したがって、本願請求項1に係る発明は、平成30年12月26日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものであると認める。 「【請求項1】 サイトグロビンを含有することを特徴とする美白用皮膚外用剤。」 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2020-06-01 |
出願番号 | 特願2015-26651(P2015-26651) |
審決分類 |
P
1
8・
57-
WY
(A61K)
P 1 8・ 121- WY (A61K) P 1 8・ 55- WY (A61K) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 辰己 雅夫、向井 佑 |
特許庁審判長 |
關 政立 |
特許庁審判官 |
岡崎 美穂 西村 亜希子 |
発明の名称 | サイトグロビンを含有することを特徴とする皮膚外用剤 |