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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1363381 |
審判番号 | 不服2018-9652 |
総通号数 | 248 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-08-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-07-12 |
確定日 | 2020-07-07 |
事件の表示 | 特願2016-153868「ローカライズされたデータアフィニティシステム及びハイブリッド法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月15日出願公開、特開2016-212910、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,2011年5月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年4月8日,米国,2010年5月17日(以下,「優先日」という。),米国)を国際出願日とする特願2013-511265号の一部を平成28年8月4日に新たな特許出願としたものであって,同年8月25日付けで審査請求がなされ,平成29年7月18日付けで拒絶理由通知(同年7月25日発送)がなされ,同年10月24日付けで意見書が提出されるとともに,同日付けで手続補正がなされたが,平成30年3月6日付けで拒絶査定(原査定)(同年3月13日発送)がなされ,これに対し,同年7月12日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに,同日付けで手続補正がなされ,同年9月26日付けで特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がされ,令和元年8月27日付けで当審より拒絶理由通知がなされ(令和元年9月3日発送),令和2年2月25日付けで意見書が提出されるとともに,同日付けで手続補正がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成30年3月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.本願の請求項1,5,6,10,11,19,23に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物A及びBに記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて, また,本願の請求項16?18に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物A?Dに記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて, その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> A.特開2003-6021号公報 B.特開平6-314299号公報(周知技術を示す文献) C.特開2004-153398号公報(周知技術を示す文献) D.特開平6-83913号公報(周知技術を示す文献) 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 1.令和元年8月27日付けの当審拒絶理由について (1)(進歩性)本願請求項1,5,6,10,11,16?19,23に係る発明は,以下の引用文献1?3に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (2)(明確性)本件出願は,特許請求の範囲の記載が,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 [引用文献等一覧] 1.伊藤 大輔 他,「クラスタDBMSに適したインデックス構成法」,情報処理学会研究報告,社団法人情報処理学会,2005年 7月15日,Vol.2005 No.68,【ISSN】0919-6072,p.523?530 2.特開2003-6021号公報(上記刊行物Aと同一) 3.特開平6-83913号公報(上記刊行物Dと同一) 第4 本願発明 本願の請求項1?16に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」?「本願発明16」という。)は,令和2年2月25日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?16に記載された事項により特定される,以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 複数のプロセッサ上でデータベース内の記録を処理する方法であって、前記複数のプロセッサは前記データベースに結合されており、各々が少なくとも1つのプロセッサを含む複数の物理的に分離されたプロセッサセットにグループ化されており、 前記方法は、 前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサ上で、各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに、各記録を、各記録に含まれる識別記録数および予め定められた前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの数に基づいて関連付けるステップであって、各記録が、前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を1よりも大きいすべての数についての前記予め定められた数で除した余りに等しい記録セット識別子、を有する記録セットの一つに関連付けられている、ステップと、 前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサ上で、前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの1つに、前記複数の記録セットの各々を関連付けるステップと、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの対応するプロセッサセットに、各記録を、その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて、電子的にルーティングするステップと、 前記記録を前記プロセッサセットで処理するステップと、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの各プロセッサセットのためのロギングキャッシュ又は前記複数のプロセッサのための単一のロギングキャッシュを作成するステップと、 各ロギングキャッシュと関連プロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップと、 データベーストランザクションをログするように、各プロセッサセット内の単一のプロセッサを割り当てるステップと、 を備え、 各プロセッサセットが複数のプロセッサを備える、 方法。 【請求項2】 複数のプロセッサ上でデータベース内の記録を処理する方法であって、前記複数のプロセッサは前記データベースに結合されており、各々が少なくとも1つのプロセッサを含む複数の物理的に分離されたプロセッサセットにグループ化されており、 前記方法は、 前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサ上で、各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに、各記録を、各記録に含まれる識別記録数および予め定められた前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの数に基づいて関連付けるステップであって、各記録が、前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を1よりも大きいすべての数についての前記予め定められた数で除した余りに等しい記録セット識別子、を有する記録セットの一つに関連付けられている、ステップと、 前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサ上で、前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの1つに、前記複数の記録セットの各々を関連付けるステップと、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの対応するプロセッサセットに、各記録を、その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて、電子的にルーティングするステップと、 前記記録を前記プロセッサセットで処理するステップと、 複数のサーバプロセスを作成するステップであって、各サーバプロセスが前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの1つのプロセッサセットに関連付けられる、当該ステップと、 各サーバプロセスと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップと、 各サーバプロセスを1つの記録セットに関連付けるステップと、 を備え、 各サーバプロセスが、前記関連付けられた記録セット内の記録を処理する、 方法。 【請求項3】 複数のプロセッサ上でデータベース内の記録を処理する方法であって、前記複数のプロセッサは前記データベースに結合されており、各々が少なくとも1つのプロセッサを含む複数の物理的に分離されたプロセッサセットにグループ化されており、 前記方法は、 前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサ上で、各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに、各記録を、各記録に含まれる識別記録数および予め定められた前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの数に基づいて関連付けるステップであって、各記録が、前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を1よりも大きいすべての数についての前記予め定められた数で除した余りに等しい記録セット識別子、を有する記録セットの一つに関連付けられている、ステップと、 前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサ上で、前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの1つに、前記複数の記録セットの各々を関連付けるステップと、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの対応するプロセッサセットに、各記録を、その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて、電子的にルーティングするステップと、 前記記録を前記プロセッサセットで処理するステップと、 前記データベースを複数のサブデータベースに分割するステップと、 各サブデータベースを1つのプロセッサセットに関連付けるステップと、 1つのプロセッサセットに関連付けられた各サブデータベースのためのデータベースキャッシュを作成するステップと、 各データベースキャッシュと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップと、 を備える方法。 【請求項4】 前記各記録を関連付けるステップは、 記録を処理する場合に記録セット間にデータ依存関係がないように、記録を記録セットに関連付けるサブステップ、 を含む、請求項1に記載の方法。 【請求項5】 データベースに結合され、各々が少なくとも1つのプロセッサを含む複数の物理的に分離されたプロセッサセットにグループ化され、前記データベース内の記録を処理するように構成されている複数のプロセッサを備える装置であって、 各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに、各記録を、各記録に含まれる識別記録数および予め定められた前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの数に基づいて関連付け、ここで各記録が、前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を1よりも大きいすべての数についての前記予め定められた数によって除した余りに等しい記録セット識別子、を有する記録セットの一つに関連付けられており、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットに、前記複数の記録セットの各々を関連付け、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの対応するプロセッサセットに、各記録を、その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて、電子的にルーティングし、 前記記録を処理し、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの各プロセッサセットのためのロギングキャッシュ又は前記複数のプロセッサのための単一のロギングキャッシュを作成し、 各ロギングキャッシュと関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成し、 データベーストランザクションをログするように、各プロセッサセット内の単一のプロセッサを割り当てる、 ように構成され、 各プロセッサセットが複数のプロセッサを備える、 装置。 【請求項6】 データベースに結合され、各々が少なくとも1つのプロセッサを含む複数の物理的に分離されたプロセッサセットにグループ化され、前記データベース内の記録を処理するように構成されている複数のプロセッサを備える装置であって、 各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに、各記録を、各記録に含まれる識別記録数および予め定められた前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの数に基づいて関連付け、ここで各記録が、前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を1よりも大きいすべての数についての前記予め定められた数によって除した余りに等しい記録セット識別子、を有する記録セットの一つに関連付けられており、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットに、前記複数の記録セットの各々を関連付け、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの対応するプロセッサセットに、各記録を、その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて、電子的にルーティングし、 前記記録を処理し、 各サーバプロセスが前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの1つのプロセッサセットに関連付けられる複数のサーバプロセスを作成し、 各サーバプロセスと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成し、 各サーバプロセスを記録セットに関連付ける、 ように構成され、 各サーバプロセスが前記関連付けられた記録セット内の記録を処理する、 装置。 【請求項7】 データベースに結合され、各々が少なくとも1つのプロセッサを含む複数の物理的に分離されたプロセッサセットにグループ化され、前記データベース内の記録を処理するように構成されている複数のプロセッサを備える装置であって、 各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに、各記録を、各記録に含まれる識別記録数および予め定められた前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの数に基づいて関連付け、ここで各記録が、前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を1よりも大きいすべての数についての前記予め定められた数によって除した余りに等しい記録セット識別子、を有する記録セットの一つに関連付けられており、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットに、前記複数の記録セットの各々を関連付け、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの対応するプロセッサセットに、各記録を、その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて、電子的にルーティングし、 前記記録を処理し、 前記データベースを複数のサブデータベースに分割し、 各サブデータベースを1つのプロセッサセットに関連付け、 1つのプロセッサセットに関連付けられた各サブデータベースのためのデータキャッシュを作成し、 各データベースキャッシュと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成する、 ように構成される装置。 【請求項8】 前記装置は、 記録を処理する場合に記録セット間にデータ依存関係がないように記録を記録セットに関連付ける、 ように、さらに構成される請求項5に記載の装置。 【請求項9】 コンピュータに、 各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに、データベース内の各記録を、各記録に含まれる識別記録数および予め定められた複数の物理的に分離されたプロセッサセットの数に基づいて関連付けさせる手順、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの1つに、前記複数の記録セットの各々を関連付けさせる手順であって各記録が、前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を1よりも大きいすべての数についての前記予め定められた数によって除した余りに等しい記録セット識別子、を有する記録セットの一つに関連付けられている、手順、 各々が少なくとも1つのプロセッサを含む前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの対応するプロセッサセットに、各記録を、その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて、電子的にルーティングさせる手順、 前記記録を処理させる手順、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの各プロセッサセットのためのロギングキャッシュ又は複数のプロセッサのための単一のロギングキャッシュを作成させる手順、 各ロギングキャッシュと関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成させる手順、および、 データベーストランザクションをログするように各プロセッサセット内の単一のプロセッサを割り当てる手順、 を実行させることができるコード、を備え、 各プロセッサセットが複数のプロセッサを備える、 コンピュータ可読非一時的記憶媒体。 【請求項10】 コンピュータに、 各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに、データベース内の各記録を、各記録に含まれる識別記録数および予め定められた複数の物理的に分離されたプロセッサセットの数に基づいて関連付けさせる手順、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの1つに、前記複数の記録セットの各々を関連付けさせる手順であって各記録が、前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を1よりも大きいすべての数についての前記予め定められた数によって除した余りに等しい記録セット識別子、を有する記録セットの一つに関連付けられている、手順、 各々が少なくとも1つのプロセッサを含む前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの対応するプロセッサセットに、各記録を、その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて、電子的にルーティングさせる手順、 前記記録を処理させる手順、 各サーバプロセスが前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの1つのプロセッサセットに関連付けられる複数のサーバプロセスを作成させる手順、 各サーバプロセスと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成させる手順、および、 各サーバプロセスを1つの記録セットに関連付けさせる手順、 を実行させることができるコード、を備え、 各サーバプロセスが、前記関連付けられた記録セット内の記録を処理する、 コンピュータ可読非一時的記憶媒体。 【請求項11】 コンピュータに、 各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに、データベース内の各記録を、各記録に含まれる識別記録数および予め定められた複数の物理的に分離されたプロセッサセットの数に基づいて関連付けさせる手順、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの1つに、前記複数の記録セットの各々を関連付けさせる手順であって各記録が、前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を1よりも大きいすべての数についての前記予め定められた数によって除した余りに等しい記録セット識別子、を有する記録セットの一つに関連付けられている、手順、 各々が少なくとも1つのプロセッサを含む前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの対応するプロセッサセットに、各記録を、その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて、電子的にルーティングさせる手順、 前記記録を処理させる手順、 前記データベースを複数のサブデータベースに分割させる手順、 各サブデータベースを1つのプロセッサセットに関連付けさせる手順、 1つのプロセッサセットに関連付けられた各サブデータベースのためのデータベースキャッシュを作成させる手順、および、 各データベースキャッシュと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成させる手順、 を実行させることができるコード、を備えるコンピュータ可読非一時的記憶媒体。 【請求項12】 前記コンピュータ可読非一時的記憶媒体は、 コンピュータに、 記録を処理する場合に記録セット間にデータ依存関係がないように記録を記録セットに関連付けさせる手順、 を実行させることができるコード、をさらに備える請求項9に記載のコンピュータ可読非一時的記憶媒体。 【請求項13】 複数のプロセッサセット上でデータベース内の記録を処理するためのシステムであって、複数のプロセッサは前記データベースに結合されており、各々が少なくとも1つのプロセッサを含む複数の物理的に分離されたプロセッサセットにグループ化されており、 前記システムは、 前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサにおいて、各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに、各記録を、各記録に含まれる識別記録数および予め定められた複数の物理的に分離されたプロセッサセットの数に基づいて関連付けるための手段と、 前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサにおいて、前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの1つに、前記複数の記録セットの各々を関連付けるための手段であって、各記録が、前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を1よりも大きいすべての数についての前記予め定められた数によって除した余りに等しい記録セット識別子、を有する記録セットの一つに関連付けられている、手段と、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの対応するプロセッサセットに、各記録を、その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて、電子的にルーティングするための手段と、 前記記録を前記プロセッサセットで処理するための手段と、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの各プロセッサセットのためのロギングキャッシュ又は前記複数のプロセッサのための単一のロギングキャッシュを作成するための手段と、 各ロギングキャッシュと関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成するための手段と、 データベーストランザクションをログするように各プロセッサセット内の単一のプロセッサを割り当てるための手段と、 を備え、 各プロセッサセットが複数のプロセッサを備える、 システム。 【請求項14】 複数のプロセッサセット上でデータベース内の記録を処理するためのシステムであって、複数のプロセッサは前記データベースに結合されており、各々が少なくとも1つのプロセッサを含む複数の物理的に分離されたプロセッサセットにグループ化されており、 前記システムは、 前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサにおいて、各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに、各記録を、各記録に含まれる識別記録数および予め定められた複数の物理的に分離されたプロセッサセットの数に基づいて 関連付けるための手段と、 前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサにおいて、前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの1つに、前記複数の記録セットの各々を関連付けるための手段であって、各記録が、前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を1よりも大きいすべての数についての前記予め定められた数によって除した余りに等しい記録セット識別子、を有する記録セットの一つに関連付けられている、手段と、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの対応するプロセッサセットに、各記録を、その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて、電子的にルーティングするための手段と、 前記記録を前記プロセッサセットで処理するための手段と、 複数のサーバプロセスを作成するための手段であって、各サーバプロセスが前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの1つのプロセッサセットに関連付けられる、当該手段と、 各サーバプロセスと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成するための手段と、 各サーバプロセスを1つの記録セットに関連付ける手段と、 を備え、 各サーバプロセスが、前記関連付けられた記録セット内の記録を処理する、 システム。 【請求項15】 複数のプロセッサセット上でデータベース内の記録を処理するためのシステムであって、複数のプロセッサは前記データベースに結合されており、各々が少なくとも1つのプロセッサを含む複数の物理的に分離されたプロセッサセットにグループ化されており、 前記システムは、 前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサにおいて、各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに、各記録を、各記録に含まれる識別記録数および予め定められた複数の物理的に分離されたプロセッサセットの数に基づいて関連付けるための手段と、 前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサにおいて、前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの1つに、前記複数の記録セットの各々を関連付けるための手段であって、各記録が、前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を1よりも大きいすべての数についての前記予め定められた数によって除した余りに等しい記録セット識別子、を有する記録セットの一つに関連付けられている、手段と、 前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの対応するプロセッサセットに、各記録を、その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて、電子的にルーティングするための手段と、 前記記録を前記プロセッサセットで処理するための手段と、 前記データベースを複数のサブデータベースに分割するための手段と、 各サブデータベースを1つのプロセッサセットに関連付けるための手段と、 1つのプロセッサセットに関連付けられた各サブデータベースのためのデータベースキャッシュを作成するための手段と、 各データベースキャッシュと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成するための手段と、 を備えるシステム。 【請求項16】 前記記録を関連付けるための手段が、 記録を処理する場合に記録セット間にデータ依存関係がないように、記録を記録セットに関連付けるための手段、を含む、請求項13に記載のシステム。」 第5 引用文献,引用発明等 1.引用文献1について 令和元年8月27日付けの拒絶の理由に引用された引用文献1(伊藤 大輔 他,「クラスタDBMSに適したインデックス構成法」,情報処理学会研究報告,社団法人情報処理学会,2005年 7月15日,Vol.2005 No.68,【ISSN】0919-6072,p.523?530)には,図とともに次の事項が記載されている。 (当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。) A 「1.はじめに ・・・(略)・・・ DB層を構成するミドルウエアの一種であり、数百台規模の高いスケーラビリティを持つことで知られている無共有型データベース管理システム(DBMS)に着目すると、DBMSを構成するサーバごとに個別に割り当てられるストレージ上にデータが重複なく配置されるためスケーラビリティが高い反面、構成変更時にはストレージ間でデータの移動が生じ、高速な構成変更を行えない。」(第523頁左下欄第1行?右下欄第18行) B 「2.データ領域リマッピング機能 2.1.従来手法によるクラスタDBMSの課題 近年、大規模なデータを扱う場合に、従来のメインフレームに代表される高価な大型サーバの代わりに複数の安価な小型サーバからなるクラスタDBMSを用いる運用が、TCO削減の観点から注目されている。・・・(略)・・・無共有型DBMSにはサーバごとに個別に割り当てられるストレージをデータ領域として用いるためデータが重複なく配置され、データアクセスの際に複数サーバにまたがる排他制御が必要ないという特長がある。また、無共有型DBMSでは、少なくとも1台のユーザからのクエリを受け付けるフロントエンドサーバと、複数台の実際にデータ処理を行うバックエンドサーバを用いる。 無共有型のクラスタDBMSでは、単一の表を複数のバックエンドサーバに対し行ごとに分割して格納する。このとき、表を構成するある列を分割キー列と指定し、その分割キー列の値を用いて分割先を決定する。ここで、バックエンドサーバ間の格納行数に偏りが生じると処理速度が劣化するため、行数を均等に分割する必要がある。分割先を決定する方式として一般的なものに、ハッシュ分割方式とキーレンジ分割方式が挙げられる。このうち、分割キー列の値の分布によらずデータを均等に分割可能な方式はハッシュ分割方式である。ハッシュ分割方式では、分割キー列にハッシュ関数を適用し、その剰余を用いて各行を各サーバに均等に分配する。図1にハッシュ分割方式を用いて3分割した、フロントエンドサーバ1台 / バックエンドサーバ3台からなる無共有型クラスタDBMSの構成例を示す。」(第524頁左欄第26行?右欄第23行) C 「 」(第524頁図1) 複数台のバックエンドサーバは物理的に分離されている点,ハッシュ値とバックエンドサーバの台数の剰余を求めて前記剰余が等しい行を検出し,前記剰余が等しい各行を複数のバックエンドサーバに分配し,複数の前記バックエンドサーバに前記剰余が等しい各行を格納する点が記載されている。 イ 上記AないしCに記載された事項を踏まえると,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「少なくとも1台のユーザからのクエリを受け付けるフロントエンドサーバと,複数台の,物理的に分離し,ストレージをデータ領域として用い,実際にデータ処理を行うバックエンドサーバを用いる無共有型クラスタデータベース管理システム(DBMS)の運用方法であって, 単一の表を複数台の前記バックエンドサーバに対し行ごとに分割して格納し, 前記表を構成するある列を分割キー列と指定し,前記分割キー列を用いて分割先を決定する際,前記分割キー列の値の分布によらずデータを均等に分割可能なハッシュ分割方式を用い,前記分割キー列にハッシュ関数を適用し,ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求めて前記剰余が等しい行を検出し,前記剰余が等しい各行を複数の前記バックエンドサーバに均等に分配し,複数の前記バックエンドサーバに前記剰余が等しい各行を格納する方法。」 2.引用文献2について ア 刊行物Aと同一であって,令和元年8月27日付けの拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2003-6021号公報)には,図面とともに以下の技術的事項が記載されている。 (当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。) D 「【0017】図2に示すように、本例のデータベースシステムを構成するデータベース管理システム(図中、「DBMS」と記載)300は、それぞれCPU(Central Processing Unit)や入力装置および表示装置等を具備してコンピュータ機能を有する複数のユーザ端末300a?300cからの要求に基づき、データの検索、更新、削除、挿入(追加)等のデータベース処理を行うものであり、ネットワーク301で相互結合されたそれぞれコンピュータ機能を有するDBMS受付けノード400とDBMS実行ノード410a?410cにより構成される。 【0018】DBMS受付けノード400は、CPU401と主記憶装置(図中「主記憶」と記載)402およびHDD(Hard Disk Drive)等からなる外部記憶装置318を具備し、メモリ402に格納されたDBMS受付部プログラム(図中「DBMS受付部PGM」と記載)310aをCPU401が実行することにより、図1のDBMS受付部310における各処理部の機能を構成し、DBMSの受け付け処理を行う。 【0019】DBMS実行ノード410a?410cのそれぞれは、CPU411a?CPU411cと主記憶装置(図中「主記憶」と記載)412a?412cおよびHDD等からなる外部記憶装置325a?325cを具備し、主記憶装置412a?412cに格納されたDBMS実行部プログラム(図中「DBMS実行部PGM」と記載)320a?320cをCPU411a?411cが実行することにより、図1のDBMS実行部320a?320cにおける各処理部の機能を構成し、DBMSの実行処理を行う。」 E 「【0028】処理手順実行時には、外部記憶装置325a?325cに格納された表データ326をアクセスする。」 F 「【0178】このことにより、本例のデータベースシステムとデータベース管理方法では、複数の記憶装置に分割して格納するリレーショナルデータベース管理システムの表データに、記憶装置を追加して既存の記憶装置内に格納されたデータを再均等分割する最中に、検索、更新、削除、挿入等のデータベースのサービスを並行して実行させることが可能となる。 【0179】尚、本発明は、図1?図22を用いて説明した例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、本例では、3台の記憶装置を用いたデータベースシステムおよびデータベース管理システム構成で説明したが、2台、もしくは、4台以上の記憶装置を用いた構成としても良い。また、各記憶装置へのデータの分割規則(方法)に関しても、本例のようにハッシュ関数を用いるものではなく、キーレンジ分割方法や、ラウンド・ロビン分割方法を用いることでも良い。」 イ 上記DないしFに記載された事項を踏まえると,引用文献2には,以下の発明が記載されているものと認められる。 「データベース管理方法であって,ネットワーク301で相互結合されたそれぞれコンピュータ機能を有するDBMS受付けノード400とDBMS実行ノード410a?410cにより構成されるデータベース管理システム(DBMS)300において,データの検索,更新,削除,挿入(追加)等のデータベース処理を行い,前記DBMS受付けノード400は,CPU401を具備して処理を実行するとともに,前記DBMS実行ノード410a?410cのそれぞれは,CPU411a?CPU411c及び外部記憶装置325a?325cを具備し,前記CPU411a?CPU411cが処理を実行し,前記外部記憶装置325a?325cに表データを格納するものであって,前記外部記憶装置325a?325cは,2台以上とすることが可能である,データベース管理方法。」 3.引用文献3について ア 刊行物Dと同一であって,令和元年8月27日付けの拒絶の理由に引用された引用文献3(特開平6-83913号公報)には,図面とともに以下の技術的事項が記載されている。 (当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。) G 「【0019】 【実施例】以下、本発明の一実施例につき、図面に沿って詳述する。図1に示す如く本発明の自動設計システムにおいては、オペレータが自動設計支援手段(1)を操作して新規部品の設計を行なう過程で、自動設計支援手段(1)から出力されるソリッドモデルの3次元CADデータは、CADデータベース(82)へ供給され、部品毎に登録される。 ・・・(略)・・・ 【0025】形状パラメータ生成手段(4)には検索・判定手段(5)が接続されている。検索・判定手段(5)は、自動設計支援手段(1)による自動設計過程において、パラメータデータベース(8)を探索して、形状パラメータ生成手段(4)によって新たに生成された部品の形状パラメータと、パラメータデータベース(8)内に設定されている既設計部品の形状パラメータとを比較し、両部品についての形状パラメータの一致、不一致を判定する。 【0026】前記判定結果は登録手段(6)へ出力され、判定結果が不一致の場合は、新たに生成された部品の形状パラメータがパラメータデータベース(8)に追加登録される。 【0027】一方、前記判定結果が一致の場合、登録手段(6)は、新たに生成された部品の形状パラメータの重複登録を回避する。」 イ 上記Gに記載された事項を踏まえると,引用文献3には,以下の発明が記載されているものと認められる。 「自動設計システムが備える検索・判定手段(5)において,パラメータデータベース(8)を探索して,形状パラメータ生成手段(4)によって新たに生成された部品の形状パラメータと,パラメータデータベース(8)内に設定されている既設計部品の形状パラメータとを比較し,両部品についての形状パラメータの一致,不一致を判定し,判定結果が不一致の場合は,新たに生成された部品の形状パラメータがパラメータデータベース(8)に追加登録される技術。」 4.刊行物Bについて ア 平成30年3月6日付けの拒絶査定に引用された刊行物B(特開平6-314299号公報)には,図面とともに以下の技術的事項が記載されている。 (当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。) H 「【0025】 【実施例】本発明に係るデータベース管理システムは、ネットワークに接続した複数のプロセッサにより、各プロセッサに接続された外部記憶装置に、表のデータを分割する。 【0026】本実施例に係るデータベース管理システムのハードウエアを図2ないし図4に示す。 【0027】図2において、本発明に係るデータベース管理システムの最小構成単位は、プロセッサ12,プロセッサ12に接続された外部記憶装置14からなり、これをノード15と呼ぶ。ノードを構成するプロセッサは1台だけでなく、密結合された複数プロセッサであることもある。また、プロセッサ12に接続される外部記憶装置14も複数台接続されることがある。ノードは、ネットワーク10に接続される。ノードを最小構成単位とする処理装置を複数ノードの集合としてみなしたものをクラスタ16とする。さらに、図3及び図4では、クラスタ16を複数まとめたものをクラスタグループ18とする。クラスタ16およびクラスタグループ18は、論理的なシステムの構成単位であり、特別なハードウエアを指し示すものではない。本発明に係るデータベース管理システムは、ノード15,クラスタ16およびクラスタグループを単位としたシステムの構成変更を可能とする。」 イ 上記Hに記載された事項を踏まえると,刊行物Bには,以下の発明が記載されているものと認められる。 「ネットワークに接続した複数のプロセッサにより,各プロセッサに接続された外部記憶装置に,表のデータを分割するデータベース管理システムであって, データベース管理システムの最小構成単位は,プロセッサ12,プロセッサ12に接続された外部記憶装置14からなり,これをノード15と呼び, ノードを最小構成単位とする処理装置を複数ノードの集合としてみなしたものをクラスタ16とし, クラスタ16を複数まとめたものをクラスタグループ18とし, クラスタ16およびクラスタグループ18は、論理的なシステムの構成単位である, データベース管理システム。」 5.刊行物Cについて ア 平成30年3月6日付けの拒絶査定に引用された刊行物C(特開2004-153398号公報)には,図面とともに以下の技術的事項が記載されている。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。) J 「【0100】 [実施態様4] 前記移動端末において入力する情報が決定された場合、前記移動端末が前記移動端末に入力された情報を位置情報と共に前記情報サーバに送信する入力情報・位置情報送信手段と、前記情報サーバが前記情報サーバに入力された情報が前記データベース上に既に存在するか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により前記データベース上に前記入力された情報と同一の情報が存在すると判断された場合に前記データベースの対応する位置関連情報の参照回数や参照時間等の参照履歴情報を更新する参照履歴情報更新手段と、前記判断手段により前記データベース上に前記入力された情報と同一の情報が存在しないと判断された場合に新しく入力された情報を位置関連情報として追加する位置関連情報追加手段と、を備えたことを特徴とする実施態様1乃至3のいずれかに記載の情報入力システム。」 イ 上記Jに記載された事項を踏まえると,刊行物Cには,以下の発明が記載されているものと認められる。 「情報サーバが情報サーバに入力された情報がデータベース上に既に存在するか否かを判断する判断手段と, 判断手段によりデータベース上に入力された情報と同一の情報が存在すると判断された場合にデータベースの対応する位置関連情報の参照回数や参照時間等の参照履歴情報を更新する参照履歴情報更新手段と, 判断手段によりデータベース上に入力された情報と同一の情報が存在しないと判断された場合に新しく入力された情報を位置関連情報として追加する位置関連情報追加手段と, を備えたことを特徴とする情報入力システム。」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。 ア 引用発明は「実際にデータ処理を行うバックエンドサーバを用いる無共有型クラスタデータベース管理システム(DBMS)の運用方法」であるところ,引用発明の「クラスタデータベース」は本願発明1の「データベース」に相当する。 そして,引用発明は,「単一の表を複数台の前記バックエンドサーバに対し行ごとに分割して格納」する点で,記録としての「単一の表」を,分割して格納することで「処理する」ものであるから,「記録を処理する」といえる。 よって,引用発明と本願発明1とは,後記の点で相違するものの,「データベース内の記録を処理する方法」である点で一致する。 イ 上記アでの認定に加え,引用発明の「複数台の,物理的に分離し,ストレージをデータ領域として用い,実際にデータ処理を行うバックエンドサーバ」は,「実際にデータ処理を行う」ものとしてグループ化されているといえる。 よって,引用発明の「複数台の,物理的に分離し,ストレージをデータ領域として用い,実際にデータ処理を行うバックエンドサーバ」と,本願発明1の「前記複数のプロセッサは前記データベースに結合されており、各々が少なくとも1つのプロセッサを含む複数の物理的に分離されたプロセッサセットにグループ化されて」いることは,後記の点で相違するものの,「記録を処理するものは,各々が複数の物理的に分離されたものにグループ化されて」いる点で一致する。 ウ 引用発明の「単一の表」は,引用発明において「単一の表を複数台の前記バックエンドサーバに対し行ごとに分割して格納」と行ごとに分割されるものであって,複数の行が含まれることは明らかであるので,後記の点で相違するものの,本願発明1の「各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セット」を備える点で一致する。 エ 上記ウでの認定に加え,引用発明の「ハッシュ値」は,「前記表を構成するある列を分割キー列と指定し」,「前記分割キー列にハッシュ関数を適用」して求める値であって,当該「分割キー列」は,引用発明の「単一の表」における各「行」に含まれる「ある列」と認められる。 そして,引用発明の「ハッシュ値」は,ハッシュ関数の適用を介するものの,「単一の表」における各「行」に含まれる「ある列」をもとに求められるものといえるから,引用発明の「ハッシュ値」は,本願発明1の「各記録に含まれる識別記録数」に相当するといえる。 オ 上記イでの認定に加え,引用発明の「前記バックエンドサーバの台数」は,実施に際して所定の台数を予め定められるものと認められるから,引用発明の「前記バックエンドサーバの台数」と,本願発明1の「予め定められた前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの数」とは,後記の点で相違するものの,「予め定められた前記複数の物理的に分離された」「数」である点で一致する。 カ 引用発明の「前記表を構成するある列を分割キー列と指定し,前記分割キー列を用いて分割先を決定する際」における「分割キー列」は,引用発明の「単一の表」を構成するものといえるから,上記ウでの認定から,後記の点で相違するものの,本願発明1の「各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つ」に一致する。 加えて,引用発明の「前記分割キー列にハッシュ関数を適用し,ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求め」ることは,上記エでの認定から,引用発明の「ハッシュ値」が,本願発明1の「各記録に含まれる識別記録数」に相当するといえるから,後記の点で相違するものの,本願発明1の「各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに,各記録を,各記録に含まれる識別記録数」「に基づいて関連付ける」点で一致する。 キ 引用発明の「ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求め」ることは,「前記剰余が等しい各行を複数の前記バックエンドサーバに均等に分配」することから,「ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余」が等しい各行を「複数の前記バックエンドサーバ」の1つに関連付けると認められる。 また,上記ウでの認定から,引用発明の「単一の表」は,後記の点で相違するものの,本願発明1の「各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セット」を備える点で一致するところ, 上記エでの認定と同じく,引用発明の「ハッシュ値」は,ハッシュ関数の適用を介するものの,「単一の表」における各「行」に含まれる「ある列」をもとに求められるものであったことに加え, 上記オでの認定から,引用発明の「前記バックエンドサーバの台数」が,後記の点で相違するものの,本願発明1と「予め定められた前記複数の物理的に分離された」「数」である点で一致するといえるから, 引用発明の「ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求め」ることは,後記の点で相違するものの,本願発明1の「各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに,各記録を,」「予め定められた前記複数の物理的に分離された」「数に基づいて関連付ける」点で一致する。 ク 上記カ及びキでの認定から,引用発明の「前記表を構成するある列を分割キー列と指定し,前記分割キー列を用いて分割先を決定する際」,「ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求め」ることは,後記の点で相違するものの,本願発明1と「各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに,各記録を,各記録に含まれる識別記録数および予め定められた前記複数の物理的に分離された」「数に基づいて関連付ける」点で一致する。 ケ 上記カでの認定に加え,引用発明の「前記分割キー列を用いて分割先を決定する際,」「ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求めて前記剰余が等しい行を検出」することは, 上記エでの認定から,引用発明の「ハッシュ値」が,本願発明1の「前記複数の記録セットのうち前記識別記録数」に相当し, 上記オでの認定から,引用発明の「前記バックエンドサーバの台数」は,後記の点で相違するものの,本願発明1の「予め定められた前記複数の物理的に分離された」「数」に相当するところ, 引用発明の上記「剰余」とは,本願発明1の「余り」に他ならず,本願発明1の「記録セット識別子」に相当すること, 引用発明の上記「分割先を決定する」とは,本願発明1の「関連付ける」ことに他ならないから, 後記の点で相違するものの,本願発明1の「各記録が,前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を」「前記予め定められた数で除した余りに等しい記録セット識別子,を有する記録セットの一つに関連付けられている」点及び本願発明1の「前記複数の記録セットの各々を関連付ける」点で一致する。 コ 上記クでの認定から,引用発明の「前記剰余が等しい各行を前記複数のバックエンドサーバに均等に分配する」ことは, 上記ウでの認定から,引用発明の「各行」が本願発明1の「各記録」に相当し, 上記クでの認定から,引用発明の「前記表を構成するある列を分割キー列と指定し,前記分割キー列を用いて分割先を決定する際」,「ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求め」ることは,本願発明1の「その記録が属する前記関連付けられた記録セット」を決定することに相当するところ, 引用発明の「前記複数のバックエンドサーバに均等に分配する」ことは,通信手段を用いて電子的にルーティングすることに他ならないから, 後記の点で相違するものの,本願発明1と「各記録を,その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて,電子的にルーティングする」点で一致する。 サ 引用発明の「前記剰余が等しい各行を格納する」ことは,上記アでの認定から,後記の点で相違するものの,本願発明1と「前記記録を」「処理する」点で一致する。 シ 以上から,本願発明1と引用発明とは,以下の点で一致し,及び相違する。 (一致点) データベース内の記録を処理する方法であって, 記録を処理するものは,各々が複数の物理的に分離されたものにグループ化されており, 各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに,各記録を,各記録に含まれる識別記録数および予め定められた前記複数の物理的に分離された物の数に基づいて関連付けるステップであって,各記録が,前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を前記予め定められた数で除した余りに等しい記録セット識別子,を有する記録セットの一つに関連付けられている,ステップと, 前記複数の記録セットの各々を関連付けるステップと, 各記録を,その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて,電子的にルーティングするステップと, 前記記録を処理するステップと, を備える方法。 (相違点1) 本願発明1は,「複数のプロセッサ上でデータベース内の記録を処理する」ことが特定されているのに対して,引用発明は,「ユーザからのクエリを受け付けるフロントエンドサーバと,複数台の,物理的に分離し,ストレージをデータ領域として用い,実際にデータ処理を行うバックエンドサーバを用い」る点は特定されているものの,複数のプロセッサ上で処理していることは特定されていない点。 (相違点2) 本願発明1は,「前記複数のプロセッサは前記データベースに結合されて」いることが特定されているのに対して,引用発明は,「単一の表を複数のバックエンドサーバに対し行ごとに分割して格納」する点は特定されているものの,複数のプロセッサと表の関係については特定されていない点。 (相違点3) 本願発明1は,「各々が少なくとも1つのプロセッサを含む複数の物理的に分離されたプロセッサセットにグループ化されて」いるのに対して,引用発明は,フロントエンドサーバ及び複数台のバックエンドサーバのうち,複数台のバックエンドサーバについて,「各々が複数の物理的に分離されたものにグループ化されて」いるものの,各々が少なくとも1つのプロセッサを含むプロセッサセットにグループ化されていることは特定されていない点。 (相違点4) 本願発明1は,「前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサ上で」,「各記録に含まれる識別記録数および予め定められた前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの数に基づいて関連付ける」のに対して,引用発明は,「各記録を,各記録に含まれる識別記録数および予め定められた前記複数の物理的に分離された物の数に基づいて」いるものの,「前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサ上で,」「プロセッサセットの数」に基づいていることは特定されていない点。 (相違点5) 本願発明1は,「各記録が,前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を1よりも大きいすべての数についての前記予め定められた数で除した余りに等しい記録セット識別子,を有する記録セットの一つに関連付けられている」のに対して,引用発明は,「各記録が,前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を」「前記予め定められた数で除した余りに等しい記録セット識別子,を有する記録セットの一つに関連付けられている」ものの,「予め定められた数」が「1よりも大きいすべての数」といえることは特定されていない点。 (相違点6) 本願発明1は,「前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサ上で,前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの1つに,前記複数の記録セットの各々を関連付ける」のに対して,引用発明は,「前記複数の記録セットの各々を関連付ける」ものの,「前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサ上で,前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの1つに」対して行っていることは特定されていない点。 (相違点7) 本願発明1は,「前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの対応するプロセッサセットに,各記録を,その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて,電子的にルーティングする」のに対して,引用発明は,「各記録を,その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて,電子的にルーティングする」ものの,「前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの対応するプロセッサセット」に対して行っていることは特定されていない点。 (相違点8) 本願発明1は,「前記記録を前記プロセッサセットで処理する」のに対して,引用発明は,「前記記録を処理する」ものの,「前記プロセッサセットで」処理することは特定されていない点。 (相違点9) 本願発明1は,「前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの各プロセッサセットのためのロギングキャッシュ又は前記複数のプロセッサのための単一のロギングキャッシュを作成するステップと、各ロギングキャッシュと関連プロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップと、データベーストランザクションをログするように、各プロセッサセット内の単一のプロセッサを割り当てるステップと、を備え、各プロセッサセットが複数のプロセッサを備える」のに対して,引用発明は,これらを備えることが特に明記されていない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み,先に相違点9について検討する。 相違点9に係る本願発明1の「前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの各プロセッサセットのためのロギングキャッシュ又は前記複数のプロセッサのための単一のロギングキャッシュを作成するステップと、各ロギングキャッシュと関連プロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップと、データベーストランザクションをログするように、各プロセッサセット内の単一のプロセッサを割り当てるステップと、を備え、各プロセッサセットが複数のプロセッサを備える」点は,上記引用文献1?3,上記刊行物B及びCには記載されておらず,本願優先日前において周知技術または技術常識であるともいえない。 したがって,他の相違点について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても引用発明,引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項,刊行物B及び刊行物Cに記載された技術的事項及び当業者の周知技術または技術常識に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2について (1)対比 本願発明2と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。 ア 引用発明は「実際にデータ処理を行うバックエンドサーバを用いる無共有型クラスタデータベース管理システム(DBMS)の運用方法」であるところ,引用発明の「クラスタデータベース」は本願発明2の「データベース」に相当する。 そして,引用発明は,「単一の表を複数台の前記バックエンドサーバに対し行ごとに分割して格納」する点で,記録としての「単一の表」を,分割して格納することで「処理する」ものであるから,「記録を処理する」といえる。 よって,引用発明と本願発明2とは,後記の点で相違するものの,「データベース内の記録を処理する方法」である点で一致する。 イ 上記アでの認定に加え,引用発明の「複数台の,物理的に分離し,ストレージをデータ領域として用い,実際にデータ処理を行うバックエンドサーバ」は,「実際にデータ処理を行う」ものとしてグループ化されているといえる。 よって,引用発明の「複数台の,物理的に分離し,ストレージをデータ領域として用い,実際にデータ処理を行うバックエンドサーバ」と,本願発明2の「前記複数のプロセッサは前記データベースに結合されており、各々が少なくとも1つのプロセッサを含む複数の物理的に分離されたプロセッサセットにグループ化されて」いることは,後記の点で相違するものの,「記録を処理するものは,各々が複数の物理的に分離されたものにグループ化されて」いる点で一致する。 ウ 引用発明の「単一の表」は,引用発明において「単一の表を複数台の前記バックエンドサーバに対し行ごとに分割して格納」と行ごとに分割されるものであって,複数の行が含まれることは明らかであるので,後記の点で相違するものの,本願発明2の「各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セット」を備える点で一致する。 エ 上記ウでの認定に加え,引用発明の「ハッシュ値」は,「前記表を構成するある列を分割キー列と指定し」,「前記分割キー列にハッシュ関数を適用」して求める値であって,当該「分割キー列」は,引用発明の「単一の表」における各「行」に含まれる「ある列」と認められる。 そして,引用発明の「ハッシュ値」は,ハッシュ関数の適用を介するものの,「単一の表」における各「行」に含まれる「ある列」をもとに求められるものといえるから,引用発明の「ハッシュ値」は,本願発明2の「各記録に含まれる識別記録数」に相当するといえる。 オ 上記イでの認定に加え,引用発明の「前記バックエンドサーバの台数」は,実施に際して所定の台数を予め定められるものと認められるから,引用発明の「前記バックエンドサーバの台数」と,本願発明2の「予め定められた前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの数」とは,後記の点で相違するものの,「予め定められた前記複数の物理的に分離された」「数」である点で一致する。 カ 引用発明の「前記表を構成するある列を分割キー列と指定し,前記分割キー列を用いて分割先を決定する際」における「分割キー列」は,引用発明の「単一の表」を構成するものといえるから,上記ウでの認定から,後記の点で相違するものの,本願発明2の「各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つ」に一致する。 加えて,引用発明の「前記分割キー列にハッシュ関数を適用し,ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求め」ることは,上記エでの認定から,引用発明の「ハッシュ値」が,本願発明2の「各記録に含まれる識別記録数」に相当するといえるから,後記の点で相違するものの,本願発明2の「各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに,各記録を,各記録に含まれる識別記録数」「に基づいて関連付ける」点で一致する。 キ 引用発明の「ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求め」ることは,「前記剰余が等しい各行を複数の前記バックエンドサーバに均等に分配」することから,「ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余」が等しい各行を「複数の前記バックエンドサーバ」の1つに関連付けると認められる。 また,上記ウでの認定から,引用発明の「単一の表」は,後記の点で相違するものの,本願発明2の「各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セット」を備える点で一致するところ, 上記エでの認定と同じく,引用発明の「ハッシュ値」は,ハッシュ関数の適用を介するものの,「単一の表」における各「行」に含まれる「ある列」をもとに求められるものであったことに加え, 上記オでの認定から,引用発明の「前記バックエンドサーバの台数」が,後記の点で相違するものの,本願発明2と「予め定められた前記複数の物理的に分離された」「数」である点で一致するといえるから, 引用発明の「ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求め」ることは,後記の点で相違するものの,本願発明2の「各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに,各記録を,」「予め定められた前記複数の物理的に分離された」「数に基づいて関連付ける」点で一致する。 ク 上記カ及びキでの認定から,引用発明の「前記表を構成するある列を分割キー列と指定し,前記分割キー列を用いて分割先を決定する際」,「ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求め」ることは,後記の点で相違するものの,本願発明2と「各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに,各記録を,各記録に含まれる識別記録数および予め定められた前記複数の物理的に分離された」「数に基づいて関連付ける」点で一致する。 ケ 上記カでの認定に加え,引用発明の「前記分割キー列を用いて分割先を決定する際,」「ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求めて前記剰余が等しい行を検出」することは, 上記エでの認定から,引用発明の「ハッシュ値」が,本願発明2の「前記複数の記録セットのうち前記識別記録数」に相当し, 上記オでの認定から,引用発明の「前記バックエンドサーバの台数」は,後記の点で相違するものの,本願発明2の「予め定められた前記複数の物理的に分離された」「数」に相当するところ, 引用発明の上記「剰余」とは,本願発明2の「余り」に他ならず,本願発明2の「記録セット識別子」に相当すること, 引用発明の上記「分割先を決定する」とは,本願発明2の「関連付ける」ことに他ならないから, 後記の点で相違するものの,本願発明2の「各記録が,前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を」「前記予め定められた数で除した余りに等しい記録セット識別子,を有する記録セットの一つに関連付けられている」点及び本願発明2の「前記複数の記録セットの各々を関連付ける」点で一致する。 コ 上記クでの認定から,引用発明の「前記剰余が等しい各行を前記複数のバックエンドサーバに均等に分配する」ことは, 上記ウでの認定から,引用発明の「各行」が本願発明2の「各記録」に相当し, 上記クでの認定から,引用発明の「前記表を構成するある列を分割キー列と指定し,前記分割キー列を用いて分割先を決定する際」,「ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求め」ることは,本願発明2の「その記録が属する前記関連付けられた記録セット」を決定することに相当するところ, 引用発明の「前記複数のバックエンドサーバに均等に分配する」ことは,通信手段を用いて電子的にルーティングすることに他ならないから, 後記の点で相違するものの,本願発明2と「各記録を,その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて,電子的にルーティングする」点で一致する。 サ 引用発明の「前記剰余が等しい各行を格納する」ことは,上記アでの認定から,後記の点で相違するものの,本願発明2と「前記記録を」「処理する」点で一致する。 シ 以上から,本願発明2と引用発明とは,以下の点で一致し,及び相違する。 (一致点) データベース内の記録を処理する方法であって, 記録を処理するものは,各々が複数の物理的に分離されたものにグループ化されており, 各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに,各記録を,各記録に含まれる識別記録数および予め定められた前記複数の物理的に分離された物の数に基づいて関連付けるステップであって,各記録が,前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を前記予め定められた数で除した余りに等しい記録セット識別子,を有する記録セットの一つに関連付けられている,ステップと, 前記複数の記録セットの各々を関連付けるステップと, 各記録を,その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて,電子的にルーティングするステップと, 前記記録を処理するステップと, を備える方法。 (相違点1) 本願発明2は,「複数のプロセッサ上でデータベース内の記録を処理する」ことが特定されているのに対して,引用発明は,「ユーザからのクエリを受け付けるフロントエンドサーバと,複数台の,物理的に分離し,ストレージをデータ領域として用い,実際にデータ処理を行うバックエンドサーバを用い」る点は特定されているものの,複数のプロセッサ上で処理していることは特定されていない点。 (相違点2) 本願発明2は,「前記複数のプロセッサは前記データベースに結合されて」いることが特定されているのに対して,引用発明は,「単一の表を複数のバックエンドサーバに対し行ごとに分割して格納」する点は特定されているものの,複数のプロセッサと表の関係については特定されていない点。 (相違点3) 本願発明2は,「各々が少なくとも1つのプロセッサを含む複数の物理的に分離されたプロセッサセットにグループ化されて」いるのに対して,引用発明は,フロントエンドサーバ及び複数台のバックエンドサーバのうち,複数台のバックエンドサーバについて,「各々が複数の物理的に分離されたものにグループ化されて」いるものの,各々が少なくとも1つのプロセッサを含むプロセッサセットにグループ化されていることは特定されていない点。 (相違点4) 本願発明2は,「前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサ上で」,「各記録に含まれる識別記録数および予め定められた前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの数に基づいて関連付ける」のに対して,引用発明は,「各記録を,各記録に含まれる識別記録数および予め定められた前記複数の物理的に分離された物の数に基づいて」いるものの,「前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサ上で,」「プロセッサセットの数」に基づいていることは特定されていない点。 (相違点5) 本願発明2は,「各記録が,前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を1よりも大きいすべての数についての前記予め定められた数で除した余りに等しい記録セット識別子,を有する記録セットの一つに関連付けられている」のに対して,引用発明は,「各記録が,前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を」「前記予め定められた数で除した余りに等しい記録セット識別子,を有する記録セットの一つに関連付けられている」ものの,「予め定められた数」が「1よりも大きいすべての数」といえることは特定されていない点。 (相違点6) 本願発明2は,「前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサ上で,前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの1つに,前記複数の記録セットの各々を関連付ける」のに対して,引用発明は,「前記複数の記録セットの各々を関連付ける」ものの,「前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサ上で,前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの1つに」対して行っていることは特定されていない点。 (相違点7) 本願発明2は,「前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの対応するプロセッサセットに,各記録を,その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて,電子的にルーティングする」のに対して,引用発明は,「各記録を,その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて,電子的にルーティングする」ものの,「前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの対応するプロセッサセット」に対して行っていることは特定されていない点。 (相違点8) 本願発明2は,「前記記録を前記プロセッサセットで処理する」のに対して,引用発明は,「前記記録を処理する」ものの,「前記プロセッサセットで」処理することは特定されていない点。 (相違点9) 本願発明2は,「複数のサーバプロセスを作成するステップであって、各サーバプロセスが前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの1つのプロセッサセットに関連付けられる、当該ステップと、各サーバプロセスと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップと、各サーバプロセスを1つの記録セットに関連付けるステップと、を備え、各サーバプロセスが、前記関連付けられた記録セット内の記録を処理する」のに対して,引用発明は,これらを備えることが特に明記されていない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み,先に相違点9について検討する。 相違点9に係る本願発明2の「複数のサーバプロセスを作成するステップであって、各サーバプロセスが前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの1つのプロセッサセットに関連付けられる、当該ステップと、各サーバプロセスと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップと、各サーバプロセスを1つの記録セットに関連付けるステップと、を備え、各サーバプロセスが、前記関連付けられた記録セット内の記録を処理する」点は,上記引用文献1?3,上記刊行物B及びCには記載されておらず,本願優先日前において周知技術または技術常識であるともいえない。 したがって,他の相違点について判断するまでもなく,本願発明2は,当業者であっても引用発明,引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項,刊行物B及び刊行物Cに記載された技術的事項及び当業者の周知技術または技術常識に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 3 本願発明3について (1)対比 本願発明3と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。 ア 引用発明は「実際にデータ処理を行うバックエンドサーバを用いる無共有型クラスタデータベース管理システム(DBMS)の運用方法」であるところ,引用発明の「クラスタデータベース」は本願発明3の「データベース」に相当する。 そして,引用発明は,「単一の表を複数台の前記バックエンドサーバに対し行ごとに分割して格納」する点で,記録としての「単一の表」を,分割して格納することで「処理する」ものであるから,「記録を処理する」といえる。 よって,引用発明と本願発明3とは,後記の点で相違するものの,「データベース内の記録を処理する方法」である点で一致する。 イ 上記アでの認定に加え,引用発明の「複数台の,物理的に分離し,ストレージをデータ領域として用い,実際にデータ処理を行うバックエンドサーバ」は,「実際にデータ処理を行う」ものとしてグループ化されているといえる。 よって,引用発明の「複数台の,物理的に分離し,ストレージをデータ領域として用い,実際にデータ処理を行うバックエンドサーバ」と,本願発明3の「前記複数のプロセッサは前記データベースに結合されており、各々が少なくとも1つのプロセッサを含む複数の物理的に分離されたプロセッサセットにグループ化されて」いることは,後記の点で相違するものの,「記録を処理するものは,各々が複数の物理的に分離されたものにグループ化されて」いる点で一致する。 ウ 引用発明の「単一の表」は,引用発明において「単一の表を複数台の前記バックエンドサーバに対し行ごとに分割して格納」と行ごとに分割されるものであって,複数の行が含まれることは明らかであるので,後記の点で相違するものの,本願発明3の「各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セット」を備える点で一致する。 エ 上記ウでの認定に加え,引用発明の「ハッシュ値」は,「前記表を構成するある列を分割キー列と指定し」,「前記分割キー列にハッシュ関数を適用」して求める値であって,当該「分割キー列」は,引用発明の「単一の表」における各「行」に含まれる「ある列」と認められる。 そして,引用発明の「ハッシュ値」は,ハッシュ関数の適用を介するものの,「単一の表」における各「行」に含まれる「ある列」をもとに求められるものといえるから,引用発明の「ハッシュ値」は,本願発明3の「各記録に含まれる識別記録数」に相当するといえる。 オ 上記イでの認定に加え,引用発明の「前記バックエンドサーバの台数」は,実施に際して所定の台数を予め定められるものと認められるから,引用発明の「前記バックエンドサーバの台数」と,本願発明3の「予め定められた前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの数」とは,後記の点で相違するものの,「予め定められた前記複数の物理的に分離された」「数」である点で一致する。 カ 引用発明の「前記表を構成するある列を分割キー列と指定し,前記分割キー列を用いて分割先を決定する際」における「分割キー列」は,引用発明の「単一の表」を構成するものといえるから,上記ウでの認定から,後記の点で相違するものの,本願発明3の「各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つ」に一致する。 加えて,引用発明の「前記分割キー列にハッシュ関数を適用し,ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求め」ることは,上記エでの認定から,引用発明の「ハッシュ値」が,本願発明3の「各記録に含まれる識別記録数」に相当するといえるから,後記の点で相違するものの,本願発明3の「各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに,各記録を,各記録に含まれる識別記録数」「に基づいて関連付ける」点で一致する。 キ 引用発明の「ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求め」ることは,「前記剰余が等しい各行を複数の前記バックエンドサーバに均等に分配」することから,「ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余」が等しい各行を「複数の前記バックエンドサーバ」の1つに関連付けると認められる。 また,上記ウでの認定から,引用発明の「単一の表」は,後記の点で相違するものの,本願発明3の「各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セット」を備える点で一致するところ, 上記エでの認定と同じく,引用発明の「ハッシュ値」は,ハッシュ関数の適用を介するものの,「単一の表」における各「行」に含まれる「ある列」をもとに求められるものであったことに加え, 上記オでの認定から,引用発明の「前記バックエンドサーバの台数」が,後記の点で相違するものの,本願発明3と「予め定められた前記複数の物理的に分離された」「数」である点で一致するといえるから, 引用発明の「ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求め」ることは,後記の点で相違するものの,本願発明3の「各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに,各記録を,」「予め定められた前記複数の物理的に分離された」「数に基づいて関連付ける」点で一致する。 ク 上記カ及びキでの認定から,引用発明の「前記表を構成するある列を分割キー列と指定し,前記分割キー列を用いて分割先を決定する際」,「ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求め」ることは,後記の点で相違するものの,本願発明3と「各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに,各記録を,各記録に含まれる識別記録数および予め定められた前記複数の物理的に分離された」「数に基づいて関連付ける」点で一致する。 ケ 上記カでの認定に加え,引用発明の「前記分割キー列を用いて分割先を決定する際,」「ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求めて前記剰余が等しい行を検出」することは, 上記エでの認定から,引用発明の「ハッシュ値」が,本願発明3の「前記複数の記録セットのうち前記識別記録数」に相当し, 上記オでの認定から,引用発明の「前記バックエンドサーバの台数」は,後記の点で相違するものの,本願発明3の「予め定められた前記複数の物理的に分離された」「数」に相当するところ, 引用発明の上記「剰余」とは,本願発明3の「余り」に他ならず,本願発明3の「記録セット識別子」に相当すること, 引用発明の上記「分割先を決定する」とは,本願発明3の「関連付ける」ことに他ならないから, 後記の点で相違するものの,本願発明3の「各記録が,前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を」「前記予め定められた数で除した余りに等しい記録セット識別子,を有する記録セットの一つに関連付けられている」点及び本願発明3の「前記複数の記録セットの各々を関連付ける」点で一致する。 コ 上記クでの認定から,引用発明の「前記剰余が等しい各行を前記複数のバックエンドサーバに均等に分配する」ことは, 上記ウでの認定から,引用発明の「各行」が本願発明3の「各記録」に相当し, 上記クでの認定から,引用発明の「前記表を構成するある列を分割キー列と指定し,前記分割キー列を用いて分割先を決定する際」,「ハッシュ値と前記バックエンドサーバの台数の剰余を求め」ることは,本願発明3の「その記録が属する前記関連付けられた記録セット」を決定することに相当するところ, 引用発明の「前記複数のバックエンドサーバに均等に分配する」ことは,通信手段を用いて電子的にルーティングすることに他ならないから, 後記の点で相違するものの,本願発明3と「各記録を,その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて,電子的にルーティングする」点で一致する。 サ 引用発明の「前記剰余が等しい各行を格納する」ことは,上記アでの認定から,後記の点で相違するものの,本願発明3と「前記記録を」「処理する」点で一致する。 シ 以上から,本願発明3と引用発明とは,以下の点で一致し,及び相違する。 (一致点) データベース内の記録を処理する方法であって, 記録を処理するものは,各々が複数の物理的に分離されたものにグループ化されており, 各々が少なくとも1つの記録を含む複数の記録セットのうちの1つに,各記録を,各記録に含まれる識別記録数および予め定められた前記複数の物理的に分離された物の数に基づいて関連付けるステップであって,各記録が,前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を前記予め定められた数で除した余りに等しい記録セット識別子,を有する記録セットの一つに関連付けられている,ステップと, 前記複数の記録セットの各々を関連付けるステップと, 各記録を,その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて,電子的にルーティングするステップと, 前記記録を処理するステップと, を備える方法。 (相違点1) 本願発明3は,「複数のプロセッサ上でデータベース内の記録を処理する」ことが特定されているのに対して,引用発明は,「ユーザからのクエリを受け付けるフロントエンドサーバと,複数台の,物理的に分離し,ストレージをデータ領域として用い,実際にデータ処理を行うバックエンドサーバを用い」る点は特定されているものの,複数のプロセッサ上で処理していることは特定されていない点。 (相違点2) 本願発明3は,「前記複数のプロセッサは前記データベースに結合されて」いることが特定されているのに対して,引用発明は,「単一の表を複数のバックエンドサーバに対し行ごとに分割して格納」する点は特定されているものの,複数のプロセッサと表の関係については特定されていない点。 (相違点3) 本願発明3は,「各々が少なくとも1つのプロセッサを含む複数の物理的に分離されたプロセッサセットにグループ化されて」いるのに対して,引用発明は,フロントエンドサーバ及び複数台のバックエンドサーバのうち,複数台のバックエンドサーバについて,「各々が複数の物理的に分離されたものにグループ化されて」いるものの,各々が少なくとも1つのプロセッサを含むプロセッサセットにグループ化されていることは特定されていない点。 (相違点4) 本願発明3は,「前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサ上で」,「各記録に含まれる識別記録数および予め定められた前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの数に基づいて関連付ける」のに対して,引用発明は,「各記録を,各記録に含まれる識別記録数および予め定められた前記複数の物理的に分離された物の数に基づいて」いるものの,「前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサ上で,」「プロセッサセットの数」に基づいていることは特定されていない点。 (相違点5) 本願発明3は,「各記録が,前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を1よりも大きいすべての数についての前記予め定められた数で除した余りに等しい記録セット識別子,を有する記録セットの一つに関連付けられている」のに対して,引用発明は,「各記録が,前記複数の記録セットのうち前記識別記録数を」「前記予め定められた数で除した余りに等しい記録セット識別子,を有する記録セットの一つに関連付けられている」ものの,「予め定められた数」が「1よりも大きいすべての数」といえることは特定されていない点。 (相違点6) 本願発明3は,「前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサ上で,前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの1つに,前記複数の記録セットの各々を関連付ける」のに対して,引用発明は,「前記複数の記録セットの各々を関連付ける」ものの,「前記複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサ上で,前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの1つに」対して行っていることは特定されていない点。 (相違点7) 本願発明3は,「前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの対応するプロセッサセットに,各記録を,その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて,電子的にルーティングする」のに対して,引用発明は,「各記録を,その記録が属する前記関連付けられた記録セットに基づいて,電子的にルーティングする」ものの,「前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの対応するプロセッサセット」に対して行っていることは特定されていない点。 (相違点8) 本願発明3は,「前記記録を前記プロセッサセットで処理する」のに対して,引用発明は,「前記記録を処理する」ものの,「前記プロセッサセットで」処理することは特定されていない点。 (相違点9) 本願発明3は,「前記データベースを複数のサブデータベースに分割するステップと、各サブデータベースを1つのプロセッサセットに関連付けるステップと、1つのプロセッサセットに関連付けられた各サブデータベースのためのデータベースキャッシュを作成するステップと、各データベースキャッシュと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップ」を含むのに対して,引用発明は,これらを備えることが特に明記されていない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み,先に相違点9について検討する。 相違点9に係る本願発明3の「前記データベースを複数のサブデータベースに分割するステップと、各サブデータベースを1つのプロセッサセットに関連付けるステップと、1つのプロセッサセットに関連付けられた各サブデータベースのためのデータベースキャッシュを作成するステップと、各データベースキャッシュと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップ」を含む点は,上記引用文献1?3,上記刊行物B及びCには記載されておらず,本願優先日前において周知技術または技術常識であるともいえない。 したがって,他の相違点について判断するまでもなく,本願発明3は,当業者であっても引用発明,引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項,刊行物B及び刊行物Cに記載された技術的事項及び当業者の周知技術または技術常識に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 4 本願発明4,5,8,9,12,13,16について 本願発明4,5,8,9,12,13,16も,本願発明1の「前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの各プロセッサセットのためのロギングキャッシュ又は前記複数のプロセッサのための単一のロギングキャッシュを作成するステップと、各ロギングキャッシュと関連プロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップと、データベーストランザクションをログするように、各プロセッサセット内の単一のプロセッサを割り当てるステップと、を備え、各プロセッサセットが複数のプロセッサを備える」に相当する構成を備えるものであるから,上記「1 本願発明1について」と同じ理由により,当業者であっても引用発明,引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項,刊行物B及び刊行物Cに記載された技術的事項及び当業者の周知技術または技術常識に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 5 本願発明6,10,14について 本願発明6,10,14も,本願発明2の「複数のサーバプロセスを作成するステップであって、各サーバプロセスが前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの1つのプロセッサセットに関連付けられる、当該ステップと、各サーバプロセスと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップと、各サーバプロセスを1つの記録セットに関連付けるステップと、を備え、各サーバプロセスが、前記関連付けられた記録セット内の記録を処理する」に相当する構成を備えるものであるから,上記「2 本願発明2について」と同じ理由により,当業者であっても引用発明,引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項,刊行物B及び刊行物Cに記載された技術的事項及び当業者の周知技術または技術常識に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 6 本願発明7,11,15について 本願発明7,11,15も,本願発明3の「前記データベースを複数のサブデータベースに分割するステップと、各サブデータベースを1つのプロセッサセットに関連付けるステップと、1つのプロセッサセットに関連付けられた各サブデータベースのためのデータベースキャッシュを作成するステップと、各データベースキャッシュと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップ」に相当する構成を備えるものであるから,上記「3 本願発明3について」と同じ理由により,当業者であっても引用発明,引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項,刊行物B及び刊行物Cに記載された技術的事項及び当業者の周知技術または技術常識に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定について 1 理由1(特許法第29条第2項)について 令和2年2月25日付けの補正により,本願発明1,4,5,8,9,12,13,16は,「前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの各プロセッサセットのためのロギングキャッシュ又は前記複数のプロセッサのための単一のロギングキャッシュを作成するステップと、各ロギングキャッシュと関連プロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップと、データベーストランザクションをログするように、各プロセッサセット内の単一のプロセッサを割り当てるステップと、を備え、各プロセッサセットが複数のプロセッサを備える」に相当する技術的事項を有するものとなった。 上記「前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの各プロセッサセットのためのロギングキャッシュ又は前記複数のプロセッサのための単一のロギングキャッシュを作成するステップと、各ロギングキャッシュと関連プロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップと、データベーストランザクションをログするように、各プロセッサセット内の単一のプロセッサを割り当てるステップと、を備え、各プロセッサセットが複数のプロセッサを備える」点は,原査定における刊行物A?Dには記載されておらず,本願優先日前における周知技術または技術常識ともいえないので,本願発明1,4,5,8,9,12,13,16は,当業者であっても,原査定において引用された刊行物A?Dに基づいて,容易に発明できたものとはいえない。 次に,令和2年2月25日付けの補正により,本願発明2,6,10,14は,「複数のサーバプロセスを作成するステップであって、各サーバプロセスが前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの1つのプロセッサセットに関連付けられる、当該ステップと、各サーバプロセスと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップと、各サーバプロセスを1つの記録セットに関連付けるステップと、を備え、各サーバプロセスが、前記関連付けられた記録セット内の記録を処理する」に相当する技術的事項を有するものとなった。 上記「複数のサーバプロセスを作成するステップであって、各サーバプロセスが前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの1つのプロセッサセットに関連付けられる、当該ステップと、各サーバプロセスと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップと、各サーバプロセスを1つの記録セットに関連付けるステップと、を備え、各サーバプロセスが、前記関連付けられた記録セット内の記録を処理する」点は,原査定における刊行物A?Dには記載されておらず,本願優先日前における周知技術または技術常識ともいえないので,本願発明2,6,10,14は,当業者であっても,原査定において引用された刊行物A?Dに基づいて,容易に発明できたものとはいえない。 また,令和2年2月25日付けの補正により,本願発明3,7,11,15は,「前記データベースを複数のサブデータベースに分割するステップと、各サブデータベースを1つのプロセッサセットに関連付けるステップと、1つのプロセッサセットに関連付けられた各サブデータベースのためのデータベースキャッシュを作成するステップと、各データベースキャッシュと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップ」に相当する技術的事項を有するものとなった。 上記「前記データベースを複数のサブデータベースに分割するステップと、各サブデータベースを1つのプロセッサセットに関連付けるステップと、1つのプロセッサセットに関連付けられた各サブデータベースのためのデータベースキャッシュを作成するステップと、各データベースキャッシュと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップ」は,原査定における刊行物A?Dには記載されておらず,本願優先日前における周知技術または技術常識ともいえないので,本願発明3,7,11,15は,当業者であっても,原査定において引用された刊行物A?Dに基づいて,容易に発明できたものとはいえない。 したがって,原査定の理由1を維持することはできない。 第8 当審拒絶理由について 当審では,平成30年7月12日付けの手続補正に係る請求項1,5,6,10,11,16?19,23に係る発明について,令和元年8月27日付けの拒絶の理由で引用された引用発明,引用文献2に記載された発明,引用文献3に記載された記載された周知技術に基づき,当業者ならば容易に発明をすることができたとの拒絶理由を通知したが,令和2年2月25日付けの補正により, 本願発明1,4,5,8,9,12,13,16は,「前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットの各プロセッサセットのためのロギングキャッシュ又は前記複数のプロセッサのための単一のロギングキャッシュを作成するステップと、各ロギングキャッシュと関連プロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップと、データベーストランザクションをログするように、各プロセッサセット内の単一のプロセッサを割り当てるステップと、を備え、各プロセッサセットが複数のプロセッサを備える」に相当する技術的事項を, 本願発明2,6,10,14は,「複数のサーバプロセスを作成するステップであって、各サーバプロセスが前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットのうちの1つのプロセッサセットに関連付けられる、当該ステップと、各サーバプロセスと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップと、各サーバプロセスを1つの記録セットに関連付けるステップと、を備え、各サーバプロセスが、前記関連付けられた記録セット内の記録を処理する」に相当する技術的事項を, 本願発明3,7,11,15は,「前記データベースを複数のサブデータベースに分割するステップと、各サブデータベースを1つのプロセッサセットに関連付けるステップと、1つのプロセッサセットに関連付けられた各サブデータベースのためのデータベースキャッシュを作成するステップと、各データベースキャッシュと前記関連付けられたプロセッサセットとの間のアフィニティを作成するステップ」に相当する技術的事項を有するものとなった。 そして,これらの技術的事項は,上記「1 本願発明1について」ないし「3 本願発明3について」と同じ理由により,当業者であっても引用発明,引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項,刊行物B及び刊行物Cに記載された技術的事項及び当業者の周知技術または技術常識に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 次に,当審では,令和元年8月27日付けの拒絶の理由において, 平成30年7月12日付けの手続補正に係る請求項6の「前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットに、前記複数の記録セッの各々を関連付け」における「記録セッ」の記載は,「記録セット」が正しい記載と認められ,上記請求項6を引用する平成30年7月12日付けの手続補正に係る請求項7?10についても同様であるとの拒絶理由を通知したが,令和2年2月25日付けの手続補正の請求項5において,「前記複数の物理的に分離されたプロセッサセットに、前記複数の記録セットの各々を関連付け」と補正された結果,この拒絶理由は解消された。 また,平成30年7月12日付けの手続補正に係る請求項19の「前記複数のプロセッサは前記データベースに結合されており、各々が少なくとも1つのプロセッサを含む複数の物理的に分離されたプロセッサセットにグループ化されており」における「前記複数のプロセッサ」の記載について,独立請求項である請求項19の上記記載以前に,「複数のプロセッサ」に係る記載は認められず,「前記複数のプロセッサ」とは,いかなるものを指しているのかが不明確であり,上記請求項19を引用する平成30年7月12日付けの手続補正に係る請求項20?23についても同様であるとの拒絶理由を通知したが,令和2年2月25日付けの手続補正の請求項13?15において,「複数のプロセッサは前記データベースに結合されており、各々が少なくとも1つのプロセッサを含む複数の物理的に分離されたプロセッサセットにグループ化されており」と補正された結果,この拒絶理由は解消された。 第9 むすび 以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2020-06-17 |
出願番号 | 特願2016-153868(P2016-153868) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 漆原 孝治 |
特許庁審判長 |
田中 秀人 |
特許庁審判官 |
松平 英 仲間 晃 |
発明の名称 | ローカライズされたデータアフィニティシステム及びハイブリッド法 |
代理人 | 池田 成人 |
代理人 | 阿部 寛 |
代理人 | 酒巻 順一郎 |
代理人 | 野田 雅一 |
代理人 | 久村 吉伸 |