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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01K
管理番号 1363397
審判番号 不服2019-392  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-01-11 
確定日 2020-06-18 
事件の表示 特願2015- 66023「測温プローブ」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月27日出願公開、特開2016-186432〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

特許出願: 平成27年3月27日
拒絶査定: 平成30年10月10日付け(送達日:同年同月16日)
拒絶査定不服審判の請求: 平成31年1月11日
手続補正: 平成31年1月11日
拒絶理由通知: 令和元年12月13日付け
(以下、「当審拒絶理由」という。発送日:同年同月17日)
手続補正: 令和2年2月14日(以下、「本件補正」という。)
意見書 : 令和2年2月14日
なお、本件補正により、特許請求の範囲の請求項の数は3から2へ補正されている。


第2 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。

「【請求項1】
軸状の中空室(40)を区画する筒部(42)と、該筒部の先端を閉塞する先端部(43)と、を備えた有底筒状を有し、金属とセラミックスとを含有する伝熱材料で形成されたサーメット管(4)と、
該サーメット管の該中空室に挿入され、測温対象物の温度を測定する測温接点(54)をもつ熱電対(5)と、
該サーメット管の外周壁面(4a)を露出することなく被覆する、カーボンを含有するセラミックス系の保護材料で形成された保護スリーブ(6,8)と、
該サーメット管と該保護スリーブとの間に設けられた、該保護スリーブのカーボンが該サーメット管に拡散して形成された金属炭化物層と、
を有し、
該保護スリーブは、該サーメット管の該筒部の該外周壁面を被覆する筒部被覆部(62)と、該サーメット管の前記先端部の該外周壁面を被覆する先端部被覆部(63)と、を備え、
該筒部被覆部は、該サーメット管の該筒部を軸心に配した円柱状の外形をなすように形成され、
該サーメット管の該先端部は、該筒部被覆部の先端面から突出しており、
該先端部被覆部は、該サーメット管の該先端部の外周形状に沿って形成された外形状を有するとともに、該筒部被覆部の該先端面から突出した略半球状の外形をなすように形成され、
該先端部被覆部の厚さが、該筒部被覆部の厚さよりも薄く形成されており、
該サーメット管の該外周壁面と該保護スリーブの内周壁面(6b)との境界には目地層が介在しておらず、該サーメット管の該外周壁面と該保護スリーブの該内周壁面とが金属炭化物層で一体に接合されていることを特徴とする測温プローブ。」(以下「本願発明」という。)


第3 当審拒絶理由の概要
本願の請求項1-3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された、下記の引用文献2に記載された引用発明、引用文献1に記載された技術、及び引用文献3,4に記載の周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献
1.特開2011-99840号公報(引用文献1)
2.特開2011-169798号公報(引用文献2)
3.特開平8-271347号公報(引用文献3)
4.登録実用新案第3014093号公報(引用文献4)


第4 引用文献の記載事項・引用発明
1 引用文献2の記載事項・引用発明
引用文献2には、次の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は測温対象物の温度を測定する測温プローブに関する。」

「【0004】
・・・測定対象物Wである溶鋼の温度が高温であるときには、溶鋼が目地層50Xを劣化させる。このため測温プローブの長寿命化には限界があった。」

「【0012】
(実施形態1
図1および図2は実施形態1の概念を示す。本実施形態に係る測温プローブは、本体1と、本体1の先端部に設けられたプローブ部2とをもつ。測温プローブのプローブ部2は、軸状の中空室30を形成するサーメット管3と、サーメット管3の中空室30に挿入され測温接点44をもつ熱電対要素4と、サーメット管3のうち筒部33の外周壁面3pを被覆する保護スリーブ5とを有する。サーメット管3は、高温状態の測温対象物Wに接触する有底状の先端部32と、先端部32に連設された筒部33とを有する。」(下線は当審による。以下同様。)

「【0013】
サーメット管3は、金属であるモリブデンとセラミックスであるジルコニアとで形成されている伝熱材料(サーメット材)で構成されており、有底状をなしている。・・・」

「【0014】
保護スリーブ5は、セラミックスであるアルミナとカーボンとを混合させた混合材料である保護材料で形成されている。・・・」

「【0016】
本実施形態によれば、・・・従って、サーメット管3の円筒形状をなす外周壁面3pと、保護スリーブ5の円筒形状をなす内周壁面5iとの境界には、目地層が介在されていない。
【0017】
なお本実施形態によれば、・・・保護スリーブ5およびサーメット管3を一体的に形成しても良い。・・・」

「【0018】
・・・このように測温プローブが高温雰囲気に晒されるため、測定時間が長期にわたり継続されたり、測定回数が多数回繰り返されたりすると、保護スリーブ5を構成する保護材料に含有されているカーボンがサーメット管3の外周壁面3p側に拡散する。拡散速度は基本的には温度に比例する。この場合、サーメット管3の外周壁面3p側において、サーメット管3に含有されている金属がカーボンと反応して金属炭化物を形成する。このように保護スリーブ5を構成する成分(カーボン)とサーメット管3を構成する成分(モリブデン)とが化合物である炭化モリブデンを、サーメット管3の外周壁面3pと保護スリーブ5の内周壁面5iとの境界域37において形成するため、当該境界域37における接合性が向上される。」

また、図1,2から、保護スリーブ5は、円筒形状をなすサーメット管3を軸心に配した円柱状の外形をなすこと、及びサーメット管3の先端部は保護スリーブ5の先端面から突出して略半径状の外形をなしていること、が見て取れる。
そうすると、引用文献2には、次の発明が記載されていると認められる。

「測定対象物Wである溶鋼の温度を測定する測温プローブであって、(【0001】、【0004】)
有底状の先端部32と、先端部32に連設された筒部33とを有し、金属であるモリブデンとセラミックスであるジルコニアとで形成されている伝熱材料(サーメット材)で構成され、軸状の中空室30を形成するサーメット管3と、(【0012】、【0013】)
サーメット管3の中空室30に挿入され測温接点44をもつ熱電対要素4と、(【0012】)
サーメット管3のうち筒部33の外周壁面3pを被覆し、セラミックスであるアルミナとカーボンとを混合させた混合材料である保護材料で形成されている保護スリーブ5と、(【0012】、【0014】)
を有し、
保護スリーブ5およびサーメット管3は一体的に形成され(【0017】)、保護スリーブ5を構成する保護材料に含有されているカーボンがサーメット管3の外周壁面3p側に拡散して、金属炭化物である炭化モリブデンを、サーメット管3の外周壁面3pと保護スリーブ5の内周壁面5iとの境界域37において形成し(【0018】)、
保護スリーブ5は、円筒形状をなすサーメット管3を軸心に配した円柱状の外形をなし、(図1,2)
サーメット管3の先端部は保護スリーブ5の先端面から突出して略半径状の外形をなし、(図1,2)
サーメット管3の円筒形状をなす外周壁面3pと、保護スリーブ5の円筒形状をなす内周壁面5iとの境界には、目地層が介在されていない(【0016】)測温プローブ。」(以下「引用発明」という。)

2 引用文献1の記載事項
引用文献1には、次の事項が記載されている。

「【0021】
以下に、本発明の実施例を説明する。図1は、本発明に係る溶融金属の温度を連続的に測定する連続測温プローブを取鍋に取り付けた実施例である。なお、実施例はあくまで、発明の理解を容易にするためであり、この実施例の条件に制限されない。図2は、図1の拡大図であり、図2が示すように、アルミナ製一端封管3で保護され、熱電対が内蔵されたサーメット製保護管1を一端封の耐火物成形材製の保護スリーブ2で覆い、センサからの電気的な信号を、コネクタ5を介して、データロガー9に接続されている。データロガー9は、これに代えて温度を直読できる記録計または、信号を無線搬送する装置に代えも良い。」

「【0024】
サーメット製保護管1は、一端封管の形状で、モリブデン73%、カルシア安定化ジルコニア27%のサーメットである。・・・溶鋼に接した状態と大気に曝された状態が繰り返される場合、サーメット表面部からモリブデン成分が気化減耗し、機械的強度が極度に低下する。このサーメットの弱点を補うため、・・・一端封の耐火物成形材製保護スリーブ2との二重構造として、大気からの酸化を防止する。
【0025】
サーメット製保護管1の組成のうち酸化物成分であるカルシア安定化ジルコニアは、溶鋼のように高温で低酸素の環境では還元されて金属ジルコンに変化し、サーメット表面部から脱離して、サーメット製保護管1の機械的強度を低下させる。一端封の耐火物成形材製保護スリーブ2は、この様な還元性の環境にも耐え得る組成で製造され、サーメット製保護管1と耐火物成形材製保護スリーブ2との二重構造によって、溶鋼に直接接することを回避してサーメット製保護管1の還元を防止する。
【0026】
耐火物成形材製保護スリーブ2は、アルミナ7%、マグネシア66%、炭化ケイ素3%及び、炭素22%の焼成品であり、・・・」


3 引用文献3の記載事項
引用文献3には、次の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属等の溶湯の温度を連続的に測定する溶湯用温度センサ-に関し、特に該センサ-を保護する測温保護管を有する溶湯用温度センサ-に関する。」

「【0036】また、高融点複合保護管の外側のコ-ティング(図1,図2,図5の"外側コ-ティング6b"に相当する)厚さとしては、0.1?3.0mmが好ましく、より好ましくは0.7?1.5mmである。これにより高融点複合保護管の外側表面の"雰囲気中の酸素による酸化"及び"溶鋼、スラグによる侵食"を抑制することができる。このコ-ティング厚さが3.0mmを超えると、乾燥時にクラックの発生が多くなり、しかも熱伝導率が低いため、応答性が悪くなるので好ましくない。なお、高融点複合保護管の外側先端部のみコ-ティング厚さを薄くして熱伝導率の低下を抑制することもでき、これも本発明に包含されるものである。」

4 引用文献4の記載事項
引用文献4には、次の事項が記載されている。
「【0014】
測温接点の位置は、前述の如く測温精度の観点から保護管の先端付近になければならないが、更に、応答性の観点から測温接点と保護管最先端までの厚さを出来るだけ薄く制御するのが良い。これはセラミックスの材質や使用目的にもよるが、概ね1?4mm程度が好ましく、これ以上では耐熱衝撃性の観点からも好ましくない。」


第5 対比
本願発明と引用発明とを、主たる構成要件毎に、順次対比する。
まず、引用発明における「有底状の先端部32と、先端部32に連設された筒部33とを有し、金属であるモリブデンとセラミックスであるジルコニアとで形成されている伝熱材料(サーメット材)で構成され、軸状の中空室30を形成するサーメット管3」は、本願発明における「軸状の中空室(40)を区画する筒部(42)と、該筒部の先端を閉塞する先端部(43)と、を備えた有底筒状を有し、金属とセラミックスとを含有する伝熱材料で形成されたサーメット管(4)」に相当する。
また、引用発明における「サーメット管3の中空室30に挿入され測温接点44をもつ熱電対要素4」は、本願発明における「該サーメット管の該中空室に挿入され、測温対象物の温度を測定する測温接点(54)をもつ熱電対(5)」に相当する。
次に、引用発明の「サーメット管3のうち筒部33の外周壁面3pを被覆し、セラミックスであるアルミナとカーボンとを混合させた混合材料である保護材料で形成されている保護スリーブ5」と、本願発明の「該サーメット管の外周壁面(4a)を露出することなく被覆する、カーボンを含有するセラミックス系の保護材料で形成された保護スリーブ(6,8)」とは、「該サーメット管の外周壁面を被覆する、カーボンを含有するセラミックス系の保護材料で形成された保護スリーブ」である点で共通するといえる。
さらに、引用発明において「保護スリーブ5を構成する保護材料に含有されているカーボンがサーメット管3の外周壁面3p側に拡散して、金属炭化物である炭化モリブデンを、サーメット管3の外周壁面3pと保護スリーブ5の内周壁面5iとの境界域37において形成し」てなる層が、本願発明における「該サーメット管と該保護スリーブとの間に設けられた、該保護スリーブのカーボンが該サーメット管に拡散して形成された金属炭化物層」に相当する。
また、引用発明において「保護スリーブ5」は「サーメット管3のうち筒部33の外周壁面3pを被覆し」ており、これは本願発明において「該保護スリーブは、該サーメット管の該筒部の該外周壁面を被覆する筒部被覆部(62)を備え」ていることに相当する。
また、引用発明において「保護スリーブ5は、円筒形状をなすサーメット管3を軸心に配した円柱状の外形をなし」ていることは、本願発明において「該筒部被覆部は、該サーメット管の該筒部を軸心に配した円柱状の外形をなすように形成され」ていることに相当する。
また、引用発明において「サーメット管3の先端部は保護スリーブ5の先端面から突出して略半径状の外形をなし」ていることは、本願発明において「該サーメット管の該先端部は、該筒部被覆部の先端面から突出して」いることに相当する。
そして、引用発明において「保護スリーブ5およびサーメット管3は一体的に形成され」、「保護スリーブ5を構成する保護材料に含有されているカーボンがサーメット管3の外周壁面3p側に拡散して、金属炭化物である炭化モリブデンを、サーメット管3の外周壁面3pと保護スリーブ5の内周壁面5iとの境界域37において形成し」ており、かつ「サーメット管3の円筒形状をなす外周壁面3pと、保護スリーブ5の円筒形状をなす内周壁面5iとの境界には、目地層が介在されていない」ことは、本願発明において「該サーメット管の該外周壁面と該保護スリーブの内周壁面(6b)との境界には目地層が介在しておらず、該サーメット管の該外周壁面と該保護スリーブの該内周壁面とが金属炭化物層で一体に接合されていること」に相当する。
また、引用発明の「測温プローブ」は、本願発明の「測温プローブ」に相当する。

してみると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(一致点)
「軸状の中空室を区画する筒部と、該筒部の先端を閉塞する先端部と、を備えた有底筒状を有し、金属とセラミックスとを含有する伝熱材料で形成されたサーメット管と、
該サーメット管の該中空室に挿入され、測温対象物の温度を測定する測温接点をもつ熱電対と、
該サーメット管の外周壁面を被覆する、カーボンを含有するセラミックス系の保護材料で形成された保護スリーブと、
該サーメット管と該保護スリーブとの間に設けられた、該保護スリーブのカーボンが該サーメット管に拡散して形成された金属炭化物層と、
を有し、
該保護スリーブは、該サーメット管の該筒部の該外周壁面を被覆する筒部被覆部を備え、
該筒部被覆部は、該サーメット管の該筒部を軸心に配した円柱状の外形をなすように形成され、
該サーメット管の該先端部は、該筒部被覆部の先端面から突出しており、
該サーメット管の該外周壁面と該保護スリーブの内周壁面(6b)との境界には目地層が介在しておらず、該サーメット管の該外周壁面と該保護スリーブの該内周壁面とが金属炭化物層で一体に接合されていることを特徴とする測温プローブ。」

(相違点)
本願発明においては、「保護スリーブ(6,8)」が「該サーメット管の前記先端部の該外周壁面を被覆する先端部被覆部(63)」を備えて、「該サーメット管の外周壁面(4a)を露出することなく被覆」しており、また「該先端部被覆部は、該サーメット管の該先端部の外周形状に沿って形成された外形状を有するとともに、該筒部被覆部の該先端面から突出した略半球状の外形をなすように形成され、該先端部被覆部の厚さが、該筒部被覆部の厚さよりも薄く形成されて」いるのに対し、引用発明においては、「保護スリーブ5」は「サーメット管3」の先端部を被覆する先端部被覆部を備えておらず、保護スリーブはサーメット管の先端部を露出する形で被覆している点。


第6 検討
上記相違点について検討する。
引用文献1には、溶融金属の温度を連続的に測定する連続測温プローブにおいて、モリブデン73%、カルシア安定化ジルコニア27%のサーメットからなるサーメット製保護管1が溶鋼に接した場合に、モリブデン成分が気化減耗することや金属ジルコンの脱離による機械的強度の低下という課題を解決するために、熱電対が内蔵されたサーメット製保護管1を一端封の耐火物成形材製の保護スリーブ2で覆うようにした測温プローブの保護スリーブの技術(以下、「引用文献1の技術」という。)が記載されている。
ここで引用発明は、「溶鋼の温度を測定する測温プローブ」であって、「金属であるモリブデンとセラミックスであるジルコニアとで形成されている伝熱材料(サーメット材)で構成され」た「サーメット管3」を有するものであるから、上記引用文献1の技術の課題を共有するものであることは明らかといえる。
また、上記引用文献3,4にも記載されているように、測温プローブにおいて、熱伝導を考慮して、温度測定点である先端部のみの保護被覆厚さを薄くすることは周知(以下、「周知技術」という。)である。
そうすると、引用発明に引用文献1の技術及び上記周知技術を適用し、引用発明の「保護スリーブ5」が「サーメット管3」の先端部を被覆する、筒部被覆部の厚さよりも薄く形成された先端部被覆部を備えるようにして、サーメット管の外周壁面を露出することなく被覆するようになすことは、当業者が容易になし得たものである。
また、引用発明において、「サーメット管の先端部は保護スリーブ5の先端面から突出して略半径状の外形をなし」ており、「サーメット管3の円筒形状をなす外周壁面3pと、保護スリーブ5の円筒形状をなす内周壁面5iとの境界には、目地層が介在されていない」ことを考慮すれば、上記のような薄く形成された先端部被覆部を備えるようにした場合に、その先端部被覆部が、サーメット管の先端部の外周形状に沿って形成された外形状を有するとともに、保護スリーブの先端面から突出した略半球状の外形をなすように形成されることは当然といえる。
そして、上記引用文献1の技術及び上記周知技術の適用により奏される作用効果も、引用発明、引用文献1の技術、及び上記周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものに過ぎず、格別顕著なものということはできない。

よって、本願発明は、引用発明、引用文献1の技術、及び上記周知技術に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


第7 請求人の主張について
請求人は令和2年2月14日付け意見書において、以下のように主張している。

「引用文献3は、熱電対を内蔵する高融点複合保護管(本願のサーメット管に相当)を有し、高融点複合保護管の内外表面が被覆材で被覆されている溶湯用温度センサーを開示しています(特許請求の範囲参照)。そして、高融点複合保護管の外側先端部のみコーティング厚さを薄くして熱伝導率の低下を抑制することも開示しています([0036]段落参照)。
引用文献4は、熱電対と保護管が一体となった測温センサーを開示しています(特許請求の範囲参照)。そして、応答性の観点から測温接点と保護管最先端までの厚さをできるだけ薄く制御するのが良いことも開示しています([0014]段落参照)。
審判長殿は、引用文献3?4の記載から、「測温プローブにおいて、熱伝導を考慮して、温度測定点である先端部の保護被覆厚さを薄くすることは周知(以下、「周知技術」という。)である。」と認定しています。
引用文献3?4から、温度測定点である(サーメット管の)先端部の保護被覆厚さ(すなわち、保護スリーブの厚さ)を薄くすることは想起できます。しかし、温度測定点である(サーメット管の)先端部の保護被覆厚さ(すなわち、保護スリーブの厚さ)を薄くすることのみが想起され、それ以外の部分(すなわち、本願発明の保護スリーブの筒部被覆部に相当する部分)の厚さを薄くせずに端面(すなわち、筒部被覆部の先端面)を有する構造とすることは想起できません。本願発明のサーメット管の先端部が保護スリーブの筒部被覆部の先端面から突出する構成については、引用文献3?4に記載も示唆もされていません。
以上のように、この引用文献3?4の周知技術を引用文献1?2に組み合わせたとしても、本願発明に特有の技術的構成が容易に想起できません。
すなわち、引用文献1?4から、本願発明の測温プローブが容易に想起できないことが明らかであります。」

しかしながら、請求人も上記主張において認めているように、引用文献3には「高融点複合保護管の外側先端部のみコーティング厚さを薄くして熱伝導率の低下を抑制すること」が明示されており、請求人の「引用文献3?4から、・・・温度測定点である(サーメット管の)先端部の保護被覆厚さ(すなわち、保護スリーブの厚さ)を薄くすることのみが想起され、それ以外の部分(すなわち、本願発明の保護スリーブの筒部被覆部に相当する部分)の厚さを薄くせずに端面(すなわち、筒部被覆部の先端面)を有する構造とすることは想起できません。」という主張を採用することはできない。
また、「サーメット管の先端部が保護スリーブの筒部被覆部の先端面から突出する構成」は、引用発明が備える構成である。


第8 むすび
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献1の技術、及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
以上のとおりであるから、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-03-26 
結審通知日 2020-03-31 
審決日 2020-04-30 
出願番号 特願2015-66023(P2015-66023)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉田 久  
特許庁審判長 小林 紀史
特許庁審判官 中塚 直樹
梶田 真也
発明の名称 測温プローブ  
代理人 大川 宏  
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