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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C11D
管理番号 1363460
審判番号 不服2018-16386  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-07 
確定日 2020-06-17 
事件の表示 特願2017-504734「洗濯洗剤組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月11日国際公開、WO2016/022782、平成29年 8月31日国内公表、特表2017-524782〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年8月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2014年8月7日 (EP)欧州特許庁、2015年7月9日 (EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成30年1月5日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内である同年4月12日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月2日付けで拒絶査定され、これに対し、同年12月7日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、平成31年4月12日に上申書が提出され、令和元年9月11日付けで当審から拒絶理由が通知され、その指定期間内である同年12月12日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし7に係る発明は、令和元年12月12日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、単に「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「 【請求項1】
水溶性フィルムと液体洗濯洗剤組成物と、を含む水溶性単位用量物品であって、
前記液体洗濯洗剤組成物は、
線状アルキルベンゼンスルホネートを含む、アニオン性界面活性剤と、
エトキシ化アルコール非イオン性界面活性剤と、
前記組成物の5重量%を超える水と、
を含み、
全アニオン性界面活性剤:エトキシ化アルコール非イオン性界面活性剤の重量比が、11:1?23:1であり、
線状アルキルベンゼンスルホネート:エトキシ化アルコール非イオン性界面活性剤の重量比が、11:1?15:1であり、
全界面活性剤の水に対する重量比が、3:1?20:1であり(ただし、前記液体洗濯洗剤組成物に対する全界面活性剤の量は100重量%を超えるものではない)、
前記液体洗濯洗剤組成物は、20?42重量%の前記アニオン性界面活性剤を含み、かつ、15重量%?25重量%の前記線状アルキルベンゼンスルホネートを含み、
前記液体洗濯洗剤組成物は、0.5重量%?7.5重量%の前記エトキシ化アルコール非イオン性界面活性剤を含み、
ここで、「全アニオン性界面活性剤」とは、前記液体洗濯洗剤組成物中に存在する全てのアニオン性界面活性剤の合計を意味し、「全界面活性剤」とは、全てのアニオン性、非イオン性及びカチオン性界面活性剤を含むがこれらに限定されない、前記液体洗濯洗剤組成物中に存在する全ての界面活性剤の濃度を意味し、「界面活性剤」は、脂肪酸又はその中和された等価物を含まず、
前記水溶性単位用量物品は、少なくとも2つの区画を含み、
前記アニオン性界面活性剤が、アルキルエトキシレートサルフェートを含むことを特徴とする、水溶性単位用量物品。」

第3 令和元年9月11日付けの当審拒絶理由の内容
当審において通知した拒絶理由のうち、理由1、2は次のとおりである。
1 (明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
2 (サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

第4 当審の判断
1 理由1(明確性)について
(1)本願発明の明確性についての検討
本願発明は、「組成物の5重量%を超える水と、
を含み、
・・・
全界面活性剤の水に対する重量比が、3:1?20:1であり(ただし、前記液体洗濯洗剤組成物に対する全界面活性剤の量は100重量%を超えるものではない)・・・」と特定されており、請求人は、令和元年12月12日に提出した意見書において、「全界面活性剤」の量が100重量%を超えるものではないことを請求項1に明記することによって、技術的意味は明確になったと主張している。
しかし、全界面活性剤の水に対する重量比が約20:1の場合、水は組成物に対し5重量%超であるから、組成物に対する全界面活性剤の量が100重量%となり得るところ、その場合、全界面活性剤の量と水とを合わせると組成物に対し100重量%を超えることとなる。そして、そのような液体洗濯洗剤組成物は技術的に意味が不明であり、その結果、本願発明は不明確となっている。

(2)まとめ
したがって、請求項1に記載された液体洗濯洗剤組成物は不明確であって、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

2 理由2(サポート要件)について
(1)サポート要件について
特許法第36条第6項は、「第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。」と規定し、その第1号において「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」と規定している。同号は、明細書のいわゆるサポート要件を規定したものであって、特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものとされている。
以下、この観点に立って、判断する。

(2)特許請求の範囲の記載
請求項1の記載は、上記第2に記載したとおりである。

(3)発明の詳細な説明の記載
発明の詳細な説明には、本願発明に関連して、以下の事項が記載されている。
ア「【0005】
したがって、優れた洗浄を確保すると同時に、更に、新しい成分の組み込みを可能にするように界面活性剤濃度が最適化されたコンパクトな洗濯洗剤組成物が当該技術分野にて依然として必要とされている。」

イ「【0023】
水溶性単位用量物品
本発明はまた、水溶性フィルムと、本発明による液体洗濯洗剤組成物と、を含む、水溶性単位用量物品である。
【0024】
本発明の単位用量パウチは、少なくとも1つの区画に液体組成物を完全に封入する水溶性フィルムを含む。
【0025】
本明細書の単位用量物品は、典型的には、閉鎖構造であり、液体洗濯洗剤組成物を含む内容量を封入している水溶性フィルム製である。パウチは、例えば、パウチが水に接触する前にパウチから組成物を放出することなく、組成物を保持し、保護するために好適な、任意の形態及び形状であってよい。正確な実施は、例えば、パウチ内の組成物の種類及び量、パウチ内の区画の数、組成物を保持、保護、並びに放出するために水溶性フィルムに必要とされる特性などの要素に依存する。単位用量物品は、実質的に、正方形、長方形、長円形、楕円形、超楕円形、又は円形の形状を有してよい。形状は、2つ以上のフィルムが互いに封止される位置にフランジ又はスカートとして存在する任意の余剰の材料を含んでもよいし、含まなくてもよい。「実質的に」とは、本明細書において、形状が、例えば、正方形であるという全体的な印象を有することを意味する。例えば、丸みのある角及び/又は直線ではない辺を有してよいが、全体として正方形であるという印象を与えるものである。
【0026】
液体組成物は、好ましくは、存在する場合、いかなる固形添加物も除外するが、任意の気泡を含み、0.9?1.3グラム/立方センチメートル、より好ましくは1.0?1.1グラム/立方センチメートルの範囲の密度を有する。
【0027】
単位用量物品は、少なくとも1つの区画に液体組成物を完全に封入する水溶性フィルムを含む。単位用量物品は、所望により更なる区画を含んでよく、この更なる区画は、追加の組成物を含んでよい。この追加の組成物は、液体、固体又はこれらの混合物であってよい。あるいは、任意の追加の固体成分を液体入り区画に懸濁させてもよい。各区画は、同一又は異なる組成物を有してもよい。多区画単位用量形態は、化学的に非相溶性の成分を分ける場合、又は成分の一部を先に若しくは後に洗液に放出するのが望ましい場合などの理由から、望ましいことがある。単位用量物品は、少なくとも1つ、又は更に少なくとも2つ、又は更に少なくとも3つ、又は更に少なくとも4つ、又は更に少なくとも5つの区画を含み得る。単位用量物品は、2つの区画を有してよく、この場合、第1の区画は、区画の5重量%?20重量%のキレート剤を含み、好ましくは、キレート剤は固形である。
【0028】
複数の区画を任意の好適な配列に配置することができる。例えば、単位用量物品は、下部区画と少なくとも第1の上部区画とを含み得、上部区画は下部区画の上に置かれる。単位用量物品は、下部区画と、少なくとも第1及び第2の上部区画と、を含み得、これらの上部区画は、並んで配置され、下部区画の上に置かれる。好ましくは、この物品は、下部区画と、少なくとも第1、第2及び第3の上部区画と、を含み、これらの上部区画は、並んで配置され、下部区画の上に置かれる。
【0029】
あるいは、これらの区画は、全てが並んだ向きで配置されてもよい。このような配置において、区画は、互いに連結され、隔壁を共有してもよいし、又は実質的に分離され、単にコネクタ若しくはブリッジによって結合されてもよい。あるいは、区画は、「タイヤ・リム」配列、すなわち、第1の区画が第2の区画の隣に位置し、第1の区画は少なくとも部分的に第2の区画を囲むが、完全には第2の区画を包んでいない配列に配置されてもよい。
【0030】
単位用量物品のフィルムは、水に可溶性であるか、又は分散性であり、20マイクロメートルの最大孔径を有するガラスフィルターを用いた後に本明細書で示される方法によって測定する場合に、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更に少なくとも95%の水溶性を有する:
予め秤量した400mLビーカーに、50グラム±0.1グラムのフィルム材料を入れ、245mL±1mLの蒸留水を添加する。これを、600rpmに設定した磁気撹拌機上で30分間激しく撹拌する。その後、混合物を、上記で定義した孔径(最大20マイクロメートル)の折り畳んだ定性分析用焼結ガラス濾紙で濾過する。回収した濾液から任意の従来の方法によって水を乾燥させ、残った材料の重量を測定する(これが溶解又は分散画分である)。その後、溶解度(%)又は分散度(%)を計算することができる。
【0031】
好ましいフィルム材料は、好ましくはポリマー材料である。フィルム材料は、例えば、当分野において公知の、ポリマー材料のキャスティング、吹込み成形、押出成形又は吹込押出成形により得ることができる。
【0032】
パウチ材料としての使用に好適な好ましいポリマー、コポリマー又はそれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸及び塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプンなどのポリサッカライド及びゼラチン、キサンタン及びカラガムなどの天然ガムから選択される。より好ましいポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組合せから選択される。好ましくは、パウチ材料中のポリマー、例えばPVAポリマーの濃度は、少なくとも60%である。ポリマーは、任意の重量平均分子量、好ましくは、約1000?1,000,000、より好ましくは、約10,000?300,000、更により好ましくは、約20,000?150,000を有することができる。
【0033】
ポリマーの混合物は、フィルム材としても使用可能である。これは、区画又はパウチの機械的特性及び/又は溶解特性を、これらの用途及び必要とされるニーズに応じて、調節するのに有用であり得る。好適な混合物には、例えば、あるポリマーが他のポリマーよりもより高い水溶性を有する混合物、及び/又はあるポリマーが他のポリマーよりもより高い機械的強度を有する、混合物が含まれる。異なる重量平均分子量を有するポリマーの混合物、例えば、重量平均分子量が約10,000?40,000、好ましくは20,000前後のPVA又はそのコポリマーと、重量平均分子量が約100,000?300,000、好ましくは150,000前後のPVA又はそのコポリマーとの混合物も、好適である。ポリマーブレンド組成物、例えば、加水分解で分解可能で水溶性のポリマーブレンド(ポリラクチド及びポリビニルアルコールを混合することにより得られ、典型的に約1?35重量%のポリラクチド、及び約65?99重量%のポリビニルアルコールを含む、ポリラクチドとポリビニルアルコールのポリマーブレンドなど)を含むポリマーブレンド組成物も、本明細書において好適である。本明細書での使用に好ましいポリマーは、材料の溶解特性を改善するために約60%?約98%加水分解された、好ましくは約80%?約90%加水分解されたポリマーである。
【0034】
好ましいフィルムは、冷水(蛇口から直接得た加熱していない水を意味する)中で、良好な溶解を示す。好ましくは、このようなフィルムは、25℃未満、より好ましくは21℃未満、より好ましくは15℃未満の温度で、良好な溶解を示す。良好な溶解とは、上述した最大孔径20マイクロメートルのガラスフィルターを用いて、以降に記載する方法によって測定した場合、フィルムが少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更に少なくとも95%の水溶性を示すことを意味する。
【0035】
好適なフィルムは、Monosolが商品照会名M8630、M8900、M8779、M8310で供給するもの、米国特許第6 166 117号及び米国特許第6 787 512号に記載のフィルム、並びに対応する溶解度及び変形特性を有するPVAフィルムである。更に好ましいフィルムは、米国特許出願公開第2006/0213801号、国際公開第2010/119022号、米国特許出願公開第2011/0188784号及び米国特許第6787512号に記載されている。
【0036】
好ましい水溶性フィルムは、1種類以上のPVAポリマーを含む樹脂であり、好ましくは、当該水溶性フィルム樹脂は、PVAポリマーのブレンドを含む。例えば、PVA樹脂は、少なくとも2種類のPVAポリマーを含むことができ、本明細書で使用するとき、第1のPVAポリマーは第2のPVAポリマーより小さい粘度を有する。第1のPVAポリマーは、少なくとも約8cP(cPは、センチポアズを意味する)、10cP、12cP、又は13cP、多くとも40cP、20cP、15cP、又は13cP、例えば、約8cP?約40cP、又は10cP?約20cP、又は約10cP?約15cP、又は約12cP?約14cPの範囲、又は13cPの粘度を有していてもよい。更に、第2のPVAポリマーは、少なくとも約10cP、20cP、又は22cP、多くとも約40cP、30cP、25cP、又は24cP、例えば、約10cP?約40cP、又は20?約30cP、又は約20?約25cP、又は約22?約24cPの範囲、又は約23cPの粘度を有していてもよい。PVAポリマーの粘度は、British Standard EN ISO 15023-2:2006 Annex E Brookfield Test methodに記載されるように、ULアダプタを備えたBrookfield LV型粘度計を使用して、新たに作製した溶液を測定することにより決定される。4%水性ポリビニルアルコール溶液の20℃における粘度を指定することが国際的な慣行である。本明細書においてcPで明記されている全ての粘度は、特に指定のない限り、20℃における4%のポリビニルアルコール水溶液の粘度を指すと理解すべきである。同様に、樹脂が特定の粘度を有する(又は有しない)と記載されるとき、特に言及しない限り、指定された粘度は、対応する分子量分布を固有に有する、樹脂の平均粘度であることが意図されている。
【0037】
PVA樹脂の加水分解度が本明細書に記載の範囲内にある限り、個々のPVAポリマーは、任意の好適な加水分解度を有し得る。任意選択的に、PVA樹脂は、追加的又は代替的に、約50,000?約300,000ダルトン、又は約60,000?約150,000ダルトンの範囲のMwを有する第1のPVAポリマーと、約60,000?約300,000ダルトン、又は約80,000?約250,000ダルトンの範囲のMwを有する第2のPVAポリマーと、を含み得る。
【0038】
PVA樹脂は、約10?約40cPの範囲の粘度及び約84%?約92%の範囲の加水分解度を有する、1種類以上の追加のPVAポリマーを更に含むことができる。
【0039】
PVA樹脂が約11cP未満の平均粘度及び約1.8?約2.3の範囲内の多分散度を有する第1のPVAポリマーを含む場合、ある種の実施形態では、このPVA樹脂は、約30重量%未満の第1のPVAポリマーを含有する。同様に、PVA樹脂が約11cP未満の平均粘度及び約1.8?約2.3の範囲内の多分散度を有する第1のPVAポリマーを含む場合、別の非限定的な種類の実施形態では、このPVA樹脂は、約70,000ダルトン未満のMwを有するPVAポリマーを約30重量%未満含有する。
【0040】
本明細書に記載するフィルム中のPVA樹脂の総含有量のうち、PVA樹脂は、約30?約85重量%の第1のPVAポリマー、又は約45?約55重量%の第1のPVAポリマーを含み得る。例えば、PVA樹脂は、各PVAポリマーを約50重量%ずつ含有することができ、その場合、第1のPVAポリマーの粘度は約13cPであり、第2のPVAポリマーの粘度は約23cPである。
【0041】
ある種の実施形態は、約10?約15cPの範囲の粘度及び約84%?約92%の範囲の加水分解度を有する第1のPVAポリマーを約40?約85重量%含むPVA樹脂によって特徴付けられる。別の種類の実施形態は、約10?約15cPの範囲の粘度及び約84%?約92%の範囲の加水分解度を有する第1のPVAポリマーを約45?約55重量%含むPVA樹脂によって特徴付けられる。PVA樹脂は、約20?約25cPの範囲の粘度及び約84%?約92%の範囲の加水分解度を有する第2のPVAポリマーを約15?約60重量%含み得る。1つの考えられる種類の実施形態は、約45?約55重量%の第2のPVAポリマーを含むPVA樹脂によって特徴付けられる。PVA樹脂が複数のPVAポリマーを含む場合、PVA樹脂のPDI値は、含まれている、いずれの個々のPVAポリマーのPDI値よりも大きい。任意選択で、PVA樹脂のPDI値は、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.5、又は5.0より大きい。
【0042】
本明細書のフィルム材料は、1種類以上の添加剤成分を含むことができる。例えば、可塑剤、例えば、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、及びそれらの混合物を添加することが有益となり得る。他の添加剤としては、水及び洗浄水に送達される水を含めた機能性洗剤添加剤、例えば有機ポリマー分散剤などが挙げられる。
【0043】
フィルムは、不透明、半透明又は透明であってよい。フィルムは、印刷領域を含み得る。印刷領域は、フィルムの表面の10?80%、又は区画の内部空間に接触するフィルムの表面の10?80%、又はフィルムの表面の10?80%及び区画の表面の10?80%の範囲であってよい。
【0044】
印刷領域は、フィルムの連続した部分に広がるものであってもよいし、フィルムの複数の部分に広がるものであってもよく、すなわち、より小さい印刷領域を含み、その合計は、フィルムの表面若しくは区画の内部空間に接触するフィルムの表面又はその両方の10?80%である。
【0045】
印刷領域は、インク、顔料、染料、青味剤又はこれらの混合物を含み得る。印刷領域は、不透明、半透明又は透明であってよい。
【0046】
印刷領域は、単一の色を含み得、又は複数の色、更に3つの色を含み得る。印刷領域は、白、黒、青、赤の各色又はこれらの組み合わせを含み得る。印刷は、フィルム表面上の層として存在してもよいし、フィルム中に少なくとも部分的に浸透していてもよい。フィルムは、第1の側と、第2の側と、を含むことになる。印刷領域は、フィルムのいずれの側にあってもよく、フィルムの両側にあってもよい。あるいは、印刷領域は、少なくとも部分的にフィルム自体の内部に含まれ得る。
【0047】
印刷領域はインクを含み得、インクは顔料を含む。フィルム上に印刷するためのインクは、好ましくは、所望の水中分散グレードを有する。インクは、白、赤及び黒など、いかなる色であってもよい。インクは、10重量%?80重量%又は20重量%?60重量%又は25重量%?45重量%の水を含む水性インクであってよい。インクは、20重量%?90重量%又は40重量%?80重量%又は50重量%?75重量%の固体を含み得る。
【0048】
インクは、1000s-1のせん断速度で20℃にて測定した場合、1?600cPs又は50?350cPs又は100?300cPs又は150?250cPsの粘度を有し得る。測定値は、TA instrumentsのAR-550レオメーターでコーンプレート形状を用いて得ることができる。
【0049】
印刷領域は、フレキソ印刷又はインクジェット印刷などの標準的な技術を用いて行うことができる。好ましくは、印刷領域は、フレキソ印刷により行われ、フィルムに印刷がなされた後、開口した区画の形状に成形される。次いで、この区画に洗剤組成物が充填され、この区画の上に第2のフィルムが配置され、第1のフィルムに対して封止される。印刷領域は、フィルムのいずれかの側又は両側にあってよい。
【0050】
あるいは、フィルムの全て又は少なくとも一部が着色されるように、フィルムの製造中にインク又は顔料を添加してもよい。
【0051】
フィルムは、嫌悪剤、例えば、苦味剤を含み得る。好適な苦味剤には、ナリンジン、オクタアセチルスクロース、塩酸キニーネ、安息香酸デナトニウム、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。任意の好適な濃度の嫌悪剤をフィルムに用いることができる。好適な濃度は、1?5000ppm、又は更に100?2500ppm、又は更に250?2000rpmが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
アニオン性界面活性剤
アニオン性界面活性剤は、線状アルキルベンゼンスルホネート、アルキルエトキシレートサルフェート及びこれらの組み合わせから選択され得る。
【0053】
本明細書で有用である好適なアニオン性界面活性剤は、液体洗剤製品で典型的に使用される従来のアニオン性界面活性剤のいかなる種類をも含むことができる。これらには、アルキルベンゼンスルホン酸及びこれらの塩、並びにアルコキシル化又は非アルコキシル化アルキルサルフェート物質が挙げられる。
【0054】
代表的なアニオン性界面活性剤は、C_(10)?C_(16)のアルキルベンゼンスルホン酸、又はC_(11)?C_(14)のアルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩である。一態様では、アルキル基は直鎖であり、そのような線状アルキルベンゼンスルホネートは「LAS」として知られている。アルキルベンゼンスルホネート(特にLAS)は、当該技術分野において周知である。このような界面活性剤及びその作製の説明が、例えば、米国特許第2,220,099号及び第2,477,383号になされている。特に有用なものは、アルキル基の炭素原子の平均数が約11?14である、線状の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、カリウム及びアミンである。ナトリウムC_(11)?C_(14)、例えば、C_(12)、LASは、このような界面活性剤の具体例である。
【0055】
具体的には、本明細書で有用なアニオン性界面活性剤の非限定的な例としては:a)C11?C18アルキルベンゼンスルホネート(LAS);b)C_(10)?C_(20)第1級分枝鎖及びランダムアルキルサルフェート(AS)(主にC12アルキルサルフェートを含む);c)C_(10)?C_(18)第2級(2,3)アルキルサルフェート(好適なカチオンの非限定的な例は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、アミン及びこれらの組み合わせが挙げられる);d)C_(10)?C_(18)アルキルアルコキシサルフェート(AE_(x)S)(式中、xは、1?30である);e)C_(10)?C_(18)アルキルアルコキシカルボキシレート(一態様では1?5個のエトキシ単位を含む);f)米国特許第6,020,303号及び米国特許第6,060,443号で議論されるような中鎖分枝アルキルサルフェート;g)米国特許第6,008,181号及び米国特許第6,020,303号で議論されるような中鎖分枝アルキルアルコキシサルフェート;h)国際公開第99/05243号、同99/05242号、同99/05244号、同99/05082号、同99/05084号、同99/05241号、同99/07656号、同00/23549号、及び同00/23548号で述べられているような変性アルキルベンゼンスルホネート(MLAS)、i)メチルエステルスルホネート(MES);及びj)α-オレフィンスルホネート(AOS)の酸又は塩の形態が挙げられる。
【0056】
好適なアニオン性洗浄界面活性剤は、アルキルC16が主であるアルキル中鎖分枝型サルフェートである。アルキルC_(16)が主であるアルキル中鎖分枝型サルフェートに好適な原料(feedstock)はBioFene(商標)(Amyris(Emeryville,California)により供給)などのβ-ファルネセンである。
【0057】
エトキシ化アルコール非イオン性界面活性剤
エトキシ化非イオン性界面活性剤は、例えば、一級及び二級アルコールエトキシレート、特にアルコール1モル当たり平均1?50モル又は更に20モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたC_(8)?C_(20)脂肪族アルコール、より特にアルコール1モル当たり平均1?10モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたC_(10)?C_(15)一級及び二級脂肪族アルコールであってよい。非エトキシ化アルコール非イオン性界面活性剤としては、アルキルポリグリコシド、グリセロールモノエーテル、及びポリヒドロキシアミド(グルカミド)が挙げられる。
【0058】
エトキシ化アルコール非イオン性界面活性剤は、例えば、3?8モルのエチレンオキシドと、9?15個の炭素原子を有する1モルの一級アルコールとの縮合生成物であり得る。
【0059】
非イオン性界面活性剤は、式R(EO)_(n)の脂肪アルコールエトキシレートを含み得、式中、Rは、4?30個の炭素原子のアルキル鎖を表し、(EO)は、1単位のエチレンオキシドモノマーを表し、nは、0.5?20の平均値を有する。」

ウ「【0082】
水:液体洗濯洗剤組成物は、組成物の5重量%を超える水を含む。液体洗濯洗剤組成物は、組成物の6重量%超、又は更に7重量%超、又は更に8重量%超の水を含み得る。
【0083】
液体洗濯洗剤組成物は、50重量%未満、又は更に40重量%未満、又は更に30重量%未満の水を含み得る。液体洗濯洗剤組成物は、組成物の5.5重量%?30重量%、又は更に5.5重量%?20重量%又は更に6重量%?15重量%の水を含み得る。
【0084】
製造プロセス:
任意の好適なプロセスを使用して、本発明の組成物を製造することができる。当業者であれば、当該技術分野にて既知の好適なプロセスを知っているであろう。
【0085】
使用方法
本発明の組成物又は単位用量物品は、洗濯物が既に存在しているか、又は洗濯物が加えられる洗浄液に加えることができる。自動洗濯機操作にて使用し、ドラム又は投入引き出しに直接添加してもよい。柔軟仕上げ剤又は染み除去剤などの他の洗濯洗剤組成物と組み合わせて使用してもよい。洗浄液に加える前の染み前処理組成物として使用してもよい。」

(4)本願発明の課題
本願発明の課題は、本願明細書の【0005】の記載からみて、優れた洗浄を確保すると同時に、更に、新しい成分の組み込みを可能にするように界面活性剤濃度が最適化されたコンパクトな洗濯洗剤組成物を提供することであると認められる。

(5) 対比・判断
ア 前提
上記(4)で述べたとおり、本願発明の課題は、優れた洗浄を確保すると同時に、更に、新しい成分の組み込みを可能にするように界面活性剤濃度が最適化されたコンパクトな洗濯洗剤組成物を提供することにあるから、本願発明に係る記載がサポート要件に適合するには、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、本願発明に係る洗濯洗剤組成物が、優れた洗浄を確保すると同時に、更に、新しい成分の組み込みを可能にするように界面活性剤濃度が最適化されたコンパクトな洗濯洗剤組成物を提供できることを当業者が理解できることが必要である。
以下、この点について検討する。

イ 判断
本願発明は本願発明1で特定されるあらゆる水溶性単位用量物品を包含する。
しかしながら、発明の詳細な説明には、当該水溶性単位用量物品、あるいはそれに含まれる液体洗濯洗剤組成物がどのような原理によって前記課題を解決することになるのかといった作用機序が記載されていない。また、実施例等において、本願発明の規定を満たす水溶性単位用量物品、あるいはそれに含まれる液体洗濯洗剤組成物を用いて洗濯を行った例は記載されていないため、本願発明の課題が解決できたことは把握できない。
さらに、本願発明の規定を満たす水溶性単位用量物品、あるいはそれに含まれる液体洗濯洗剤組成物であれば前記課題を解決できることが、本願出願時の技術常識からみて自明なものともいえない。すなわち、本願発明の水溶性単位用量物品に含まれる液体洗濯洗剤組成物は、洗浄成分の量について、界面活性剤を21重量%以上(アニオン性界面活性剤が20重量%以上であり、線状アルキルベンゼンスルホネートが15重量%以上であり、線状アルキルベンゼンスルホネート:エトキシ化アルコール非イオン性界面活性剤の重量比が15:1以下であるから、エトキシ化アルコール非イオン性界面活性剤が1重量%以上である)含むことしか規定されていないが、そのような少量の洗浄成分で「優れた洗浄を確保」できるとの技術常識が存在するとは認められない。
この点、審判請求書において実験成績証明書を提出しているものの、発明の詳細な説明に基づき、本願出願時の技術常識に照らせば、本願発明が課題を解決できることを裏付けるためのものではなく、全く新しい実施例を提出して、本願発明の効果を説明するものであるから、参酌すべきものではない。
仮に、審判請求書における実験成績証明書を参酌するとしても、特定の組成を有する液体洗濯洗剤組成物が優れた洗浄力を有することが記載されており、ここで、当該液体洗濯洗剤組成物は、線状アルキルベンゼンスルホネートを33重量%含有し、それを含めてアニオン性界面活性剤を30重量%以上含有しており、十分な量の洗浄成分を含むものである。
一方、本願発明は線状アルキルベンゼンスルホネートを25重量%以下含有するものであるから、当該実験成績証明書に記載の液体洗濯洗剤組成物は、本願発明に規定する液体洗濯洗剤組成物の範囲外のものであるから、そのような実験成績証明書により本願発明の課題が解決できたことは理解できない。
また、そのように十分な量の洗浄成分を含む当該実験成績証明書の液体洗濯洗剤組成物から、界面活性剤を21重量%以上含むことしか規定されていない本願発明が本願発明の課題が解決できたことは理解できない。
さらに、実験成績証明書の実験は、非イオン性界面活性剤に対する線状アルキルベンゼンスルホネートの量が少なかったり、アルキルエトキシレートサルフェートを含まなかったりする場合に比べて優れた洗浄力を有することは示しているものの、それ以外の比較がなされていないから、本願発明の界面活性剤の濃度が最適化され、コンパクトな洗濯洗剤組成物を提供するものであるかも明らかでない。そうすると、当該実験成績証明書の内容を参酌しても、本願発明が、前記課題を解決できるとは認められない。
また、本願発明が前記課題を解決できるという技術常識も見あたらない。
したがって、本願発明は、発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを当業者が理解できるように記載された範囲を超えていると認められる。
よって、本願は、サポート要件に適合するものではない。

(6)審判請求人の主張について
請求人は、令和元年12月12日付けの意見書において、「すなわち、上記請求項1記載の構成要件であります、アニオン性界面活性剤の規定、非イオン性界面活性剤の規定、全アニオン性界面活性剤:エトキシ化アルコール非イオン性界面活性剤の重量比、線状アルキルベンゼンスルホネート:エトキシ化アルコール非イオン性界面活性剤の重量比、全界面活性剤の水に対する重量比、アニオン性界面活性剤の濃度、線状アルキルベンゼンスルホネート(LAS)の濃度、アニオン性界面活性剤がアルキルエトキシレートサルフェート(AES)を必須成分として含むこと、ならびにエトキシ化アルコール非イオン性界面活性剤の濃度等を含む構成要件は、本願明細書の記載において上記課題を解決するための望ましい要件を規定したものであり、したがいまして、明細書の記載に十分サポートされているものと思料いたします。
さらにまた、従来の液体洗濯洗剤組成物との効果の比較につきましては、平成30年12月7日付けで提出した審判請求書に添付させていただきました「実験成績証明書」の結果においても補強的に示されているものと思料いたします。
すなわち、低濃度のLASを有する比較例1ならびにAESを含有しない比較例2と比較すると、補正後の請求項1の要件を具備する本願発明に係る液体洗濯洗剤組成物である実施例は、これらいずれの比較例に対しても良好な染み除去能を発揮しております。さらにまた、より少ない容量であったとしても、実施例は比較例に対して有意な染み除去能ならびに洗浄能を有することが示されており、このことは、明細書に記載されておりますように、新しい有用成分の組み込みを可能にするような、界面活性剤濃度が最適化されたコンパクトな液体洗濯洗剤組成物を本願発明によって提供することができることを意味します。
これらの実験例は、ご指摘のように、請求項1記載のすべての構成要件についてくまなく比較実験を行ったものではありませんが、課題解決についての本願明細書に記載に関し、これを十分補強するものであり、この点からも本願発明のサポート要件を十分裏付けるものと思料いたします。」と主張する。
しかし、本願発明が明細書の記載に十分サポートされていないのは、上記(5)イのとおりである。
そして、出願後にデータを提出してサポート要件に適合させることは原則として認められない上に、仮に、その内容をみても、本願発明が明細書の記載に十分サポートされていないのは、上記(5)イのとおりである。

(7)サポート要件についてのまとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、この出願の明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではなく、この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、また、本願は、同法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、同法第49条の規定により、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2020-01-22 
結審通知日 2020-01-24 
審決日 2020-02-04 
出願番号 特願2017-504734(P2017-504734)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (C11D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 古妻 泰一安川 聡吉岡 沙織山本 悦司  
特許庁審判長 冨士 良宏
特許庁審判官 瀬下 浩一
牟田 博一
発明の名称 洗濯洗剤組成物  
代理人 永井 浩之  
代理人 村田 卓久  
代理人 中村 行孝  
代理人 出口 智也  
代理人 小島 一真  
代理人 朝倉 悟  
代理人 佐藤 泰和  
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