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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A41D
管理番号 1363653
審判番号 不服2019-9726  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-07-23 
確定日 2020-06-24 
事件の表示 特願2017-546017「一体化されたポケットを含む衣服」拒絶査定不服審判事件〔平成28年6月2日国際公開、WO2016/083231、平成29年11月30日国内公表、特表2017-535691〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年11月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2014年11月24日 ドイツ国)を国際出願日とする出願であって、平成30年8月9日付けで拒絶理由が通知され、平成30年11月9日に意見書および手続補正書が提出され、平成31年4月12日付けで拒絶査定がされた。これに対し、令和元年7月23日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。


第2 令和元年7月23日付けの手続補正の補正却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和元年7月23日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
本件補正は、平成30年11月9日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の
「一体化されたポケット(12)を含む衣服(10)であって、
前記ポケット(12)は、
第1スライダ(16)と、第1ファスナ第1端部(18)と、第1ファスナ第2端部(20)とを含む第1ファスナ(14)と、
第2スライダ(24)と、第2ファスナ第1端部(26)と、第2ファスナ第2端部(28)とを含む第2ファスナ(22)とを含み、
前記第1ファスナ(14)及び前記第2ファスナ(22)は平行に配置されず、前記第1ファスナ第1端部(18)、及び前記第2ファスナ第1端部(26)は相互に隣接し、前記第1ファスナ第2端部(20)、及び前記第2ファスナ第2端部(28)は相互に隣接せず、
前記ポケット(12)は、前記第1ファスナ(14)及び前記第2ファスナ(22)によって開閉可能であり、前記ポケット(12)が完全に閉じられた状態のとき、前記第1スライダ(16)は、前記第1ファスナ第1端部(18)に配置され、前記第2スライダ(24)は、前記第2ファスナ第1端部(26)に配置され、前記第1スライダ(16)及び前記第2スライダ(24)は相互に隣接し、
前記ポケット(12)は、前記第1ファスナ(14)及び前記第2ファスナ(22)を合わせた全体の長さにわたる単一の開口領域を有し、
前記ポケット(12)の外側を構成するポケット外側部(42)は、前記衣服(10)の外側を構成する衣服外側部(44)の少なくとも一部と一体的に形成されたことを特徴とする衣服。」を
「一体化されたポケット(12)を含む衣服(10)であって、
前記ポケット(12)は、
第1スライダ(16)と、第1ファスナ第1端部(18)と、第1ファスナ第2端部(20)とを含む第1ファスナ(14)と、
第2スライダ(24)と、第2ファスナ第1端部(26)と、第2ファスナ第2端部(28)とを含む第2ファスナ(22)とを含み、
前記第1ファスナ(14)及び前記第2ファスナ(22)は平行に配置されず、前記第1ファスナ第1端部(18)、及び前記第2ファスナ第1端部(26)は相互に隣接し、前記第1ファスナ第2端部(20)、及び前記第2ファスナ第2端部(28)は相互に隣接せず、
前記ポケット(12)は、前記第1ファスナ(14)及び前記第2ファスナ(22)によって開閉可能であり、前記ポケット(12)が完全に閉じられた状態のとき、前記第1スライダ(16)は、前記第1ファスナ第1端部(18)に配置され、前記第2スライダ(24)は、前記第2ファスナ第1端部(26)に配置され、前記第1スライダ(16)及び前記第2スライダ(24)は相互に隣接し、
前記ポケット(12)は、前記第1ファスナ(14)及び前記第2ファスナ(22)を合わせた全体の長さにわたる単一の開口領域を有し、
前記ポケット(12)の外側を構成するポケット外側部(42)は、前記衣服(10)の外側を構成する衣服外側部(44)の少なくとも一部と一体的に形成され、
相互に隣接する前記第1ファスナ第1端部(18)及び前記第2ファスナ第1端部(26)の間に中間スペース(32)が設けられており、前記中間スペース(32)は、前記第1ファスナ(14)における前記第1スライダ(16)によって開閉される第1及び第2構成要素(14a,14b)と、前記第2ファスナ(22)における前記第2スライダ(24)によって開閉される第1及び第2構成要素(22a,22b)との間に設けられた第1及び第2中間スペース(32a,32b)を含み、前記第1及び第2ファスナ(14,22)の閉じられた状態において、前記ポケット(12)は、前記中間スペース(32)の近傍においては完全には閉じられていないことを特徴とする衣服。」とする補正を含むものである。
そして、上記補正は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「第1ファスナ(14)」及び「第2ファスナ(22)」について、「相互に隣接する前記第1ファスナ第1端部(18)及び前記第2ファスナ第1端部(26)の間に中間スペース(32)が設けられており、前記中間スペース(32)は、前記第1ファスナ(14)における前記第1スライダ(16)によって開閉される第1及び第2構成要素(14a,14b)と、前記第2ファスナ(22)における前記第2スライダ(24)によって開閉される第1及び第2構成要素(22a,22b)との間に設けられた第1及び第2中間スペース(32a,32b)を含み、前記第1及び第2ファスナ(14,22)の閉じられた状態において、前記ポケット(12)は、前記中間スペース(32)の近傍においては完全には閉じられていない」という限定を付加するものであり、この補正により、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものでもないことは明らかである。
よって、本件補正における請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。

2 独立特許要件についての検討
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反しないか)について検討する。
(1)本願補正発明
本願補正発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。

(2)引用例
(2-1)引用例1
平成30年8月9日付けで通知した拒絶理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である登録実用新案第3121497号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本考案は、作業用ズボンの改良に関するものであり、特に、腿脇線上に設けたサイドポケットの開閉を容易に行うことができる作業用ズボンに関するものである。」
(イ)「【考案を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、この考案の実施するための最良の形態を図面を参照しつつ説明する。
ここで、図1は本考案に係る作業用ズボンの側面図、図2は図1の正面図、図3はサイドポケットの拡大図である。 符号1は本考案に係る作業ズボン1であって、この作業ズボン1には、その腿脇線1a上の両側に方形の1枚の布からなるサイドポケット2が縫着されている。
【0012】
このサイドポケット2には、その上辺近傍に上側ファスナーチャック3、前面側の前側辺近傍に前側ファスナーチャック4が設けられている。
【0013】
この上側ファスナーチャック3と前側ファスナーチャック4は、閉鎖時を始端点とすると、いずれも始端点が作業用ズボン1の側面視上、左上端近傍に設けられている。即ち、上側ファスナーチャック3はサイドポケット2の前面側近傍に始端点、後面側近傍に終端点を有し、前側ファスナーチャック4はサイドポケット2の下端側近傍に始端点、上端側近傍に終端点を有している。
【0014】
なお、それぞれのファスナーチャック3,4は、摘み部3b,4bが取り付けられたチャック3a,4aを有し、このチャック3a,4aにより開閉操作を行うことができる。
【0015】
また、サイドポケット2の開放時端部2aの近傍と、これに対応するズボン部分1bには、止具5が設けられている。この止具5は、端部2aをこれに対応するズボン部分1bに仮止めするためのものである。」
(ウ)「【図3】



(2-2)引用例1に記載された発明
上記(2-1)の摘記事項を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「腿脇線1a上の両側に方形の1枚の布からなるサイドポケット2が縫着されている作業ズボン1であって、
サイドポケット2には、その上辺近傍に上側ファスナーチャック3、前面側の前側辺近傍に前側ファスナーチャック4が設けられ、
それぞれのファスナーチャック3,4は、摘み部3b,4bが取り付けられたチャック3a,4aを有し、
上側ファスナーチャック3はサイドポケット2の前面側近傍に始端点、後面側近傍に終端点を有し、前側ファスナーチャック4はサイドポケット2の下端側近傍に始端点、上端側近傍に終端点を有しており、
閉鎖時を始端点とすると、いずれも始端点が作業用ズボン1の側面視上、左上端近傍に設けられている作業ズボン1。」

(3)本願補正発明と引用発明の対比・判断
ア 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「サイドポケット2」は、その機能及び構造から、本願補正発明の「ポケット(12)」に相当し、同様に、「作業ズボン1」は「衣服(10)」に相当する。
(イ)引用発明の「サイドポケット2が縫着されている作業ズボン1」は、本願補正発明の「ポケット(12)を含む衣服(10)」に相当する。
(ウ)引用発明の「サイドポケット2の前面側近傍に始端点、後面側近傍に終端点を有」し、「摘み部3b」「が取り付けられたチャック3a」「を有」する「上側ファスナーチャック3」は、「チャック3a」がスライダであるから、本願補正発明の「第1スライダ(16)と、第1ファスナ第1端部(18)と、第1ファスナ第2端部(20)とを含む第1ファスナ(14)」に相当する。
(エ)引用発明の「サイドポケット2の下端側近傍に始端点、上端側近傍に終端点を有」し、「摘み部4b」「が取り付けられたチャック4a」「を有」する「前側ファスナーチャック4」は、「チャック4a」がスライダであるから、本願補正発明の「第2スライダ(24)と、第2ファスナ第1端部(26)と、第2ファスナ第2端部(28)とを含む第2ファスナ(22)」に相当する。
(オ)引用発明の「その上辺近傍に上側ファスナーチャック3、前面側の前側辺近傍に前側ファスナーチャック4が設けられ」る態様は、図3も参照すると、上側ファスナーチャック3と前側ファスナーチャック4とは略90°に配置されており、上側ファスナーチャック3の「前面側近傍に始端点」、及び前側ファスナーチャック4の「上端側近傍に終端点」は相互に隣接し、上側ファスナーチャック3の「後面側近傍に終端点」、及び前側ファスナーチャック4の「下端側近傍に始端点」は相互に隣接していないから、本願補正発明の「前記第1ファスナ(14)及び前記第2ファスナ(22)は平行に配置されず、前記第1ファスナ第1端部(18)、及び前記第2ファスナ第1端部(26)は相互に隣接し、前記第1ファスナ第2端部(20)、及び前記第2ファスナ第2端部(28)は相互に隣接」しない態様に相当する。
(カ)引用発明の「閉鎖時を始端点とすると、いずれも始端点が作業用ズボン1の側面視上、左上端近傍に設けられている」「サイドポケット2」は、図3を参照すると、上側ファスナーチャック3及び前側ファスナーチャック4を開放すると、上側ファスナーチャック3及び前側ファスナーチャック4を合わせた1つの開口が形成されることとなるから、本願補正発明の「前記第1ファスナ(14)及び前記第2ファスナ(22)を合わせた全体の長さにわたる単一の開口領域を有」する「ポケット(12)」に相当する。

したがって、本願補正発明と引用発明とは、
「一体化されたポケット(12)を含む衣服(10)であって、
前記ポケット(12)は、
第1スライダ(16)と、第1ファスナ第1端部(18)と、第1ファスナ第2端部(20)とを含む第1ファスナ(14)と、
第2スライダ(24)と、第2ファスナ第1端部(26)と、第2ファスナ第2端部(28)とを含む第2ファスナ(22)とを含み、
前記第1ファスナ(14)及び前記第2ファスナ(22)は平行に配置されず、前記第1ファスナ第1端部(18)、及び前記第2ファスナ第1端部(26)は相互に隣接し、前記第1ファスナ第2端部(20)、及び前記第2ファスナ第2端部(28)は相互に隣接せず、
前記ポケット(12)は、前記第1ファスナ(14)及び前記第2ファスナ(22)によって開閉可能であり、前記ポケット(12)が完全に閉じられた状態のとき、前記第1スライダ(16)は、前記第1ファスナ第1端部(18)に配置され、前記第2スライダ(24)は、前記第2ファスナ第1端部(26)に配置され、前記第1スライダ(16)及び前記第2スライダ(24)は相互に隣接し、
前記ポケット(12)は、前記第1ファスナ(14)及び前記第2ファスナ(22)を合わせた全体の長さにわたる単一の開口領域を有する衣服。」の点で一致し、以下の点で一応相違する。

<相違点1>
本願補正発明では、「前記ポケット(12)の外側を構成するポケット外側部(42)は、前記衣服(10)の外側を構成する衣服外側部(44)の少なくとも一部と一体的に形成され」るのに対して、引用発明では、サイドポケット2が方形の1枚の布を作業ズボン1に縫着して形成している点。
<相違点2>
本願補正発明では、「相互に隣接する前記第1ファスナ第1端部(18)及び前記第2ファスナ第1端部(26)の間に中間スペース(32)が設けられており、前記中間スペース(32)は、前記第1ファスナ(14)における前記第1スライダ(16)によって開閉される第1及び第2構成要素(14a,14b)と、前記第2ファスナ(22)における前記第2スライダ(24)によって開閉される第1及び第2構成要素(22a,22b)との間に設けられた第1及び第2中間スペース(32a,32b)を含み、前記第1及び第2ファスナ(14,22)の閉じられた状態において、前記ポケット(12)は、前記中間スペース(32)の近傍においては完全には閉じられていない」のに対して、引用発明では、上側ファスナーチャック3及び前側ファスナーチャック4がそのように特定されていない点。

イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
<相違点1について>
衣類に設けるポケットにおいて、ポケットの外側を構成するポケット外側部を、衣服の外側を構成する衣服外側部の少なくとも一部と一体的に形成することは、周知(例えば、原査定の拒絶理由に引用した実願昭58-91277号(実開昭60-312号)のマイクロフィルムの明細書3頁7?17行、第1図及び第3図等、米国特許第05138717号明細書の第8欄51?66行及びFIG8等参照。)である。
そして、本願補正発明は、サイドポケット2を作業ズボン1とは別体の布を縫着して形成したものであるところ、衣類の用途等を考慮して、上記周知の事項であるポケットの外側を構成するポケット外側部を、衣服の外側を構成する衣服外側部の少なくとも一部と一体的に形成することを適用し、上記相違点1に係る本願補正発明の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
<相違点2について>
引用発明は、図3の上側ファスナーチャック3及び前側ファスナーチャック4のそれぞれの始端点及び終端点を参照すると、上側ファスナーチャック3は、前面側近傍に始端点、後面側近傍に終端点を有している1つのファスナーチャックといえる構造であり、前側ファスナーチャック4は、下端側近傍に始端点、上端側近傍に終端点を有している1つのファスナーチャックといえる構造であると理解される。
そうすると、相互に隣接する上側ファスナーチャック3の前面側近傍に始端点と前側ファスナーチャック4の上端側近傍に終端点との間には、当然にスペースが存在し、上側ファスナーチャック3及び前側ファスナーチャック4の閉じられた状態において、サイドポケット2は、前記スペースにおいては完全には閉じられていないこととなる。
また、上側ファスナーチャック3及び前側ファスナーチャック4は、それぞれスライダによって開閉される第1及び第2構成要素を有することは明らかである。
そして、引用発明は、それぞれ1つのファスナーチャックである上側ファスナーチャック3及び前側ファスナーチャック4を設けるものであって、上側ファスナーチャック3及び前側ファスナーチャック4の閉じられた状態において、サイドポケット2は、前記スペースにおいては完全には閉じられていないものであるから、前記スペースを、上側ファスナーチャック3におけるスライダによって開閉される第1及び第2構成要素と、前側ファスナーチャック4におけるスライダによって開閉される第1及び第2構成要素との間に設けられたスペースをそれぞれ含むことで形成する程度のことは、引用発明の上側ファスナーチャック3及び前側ファスナーチャック4を具体化する際に当業者が通常なし得たことである。
ゆえに、引用発明において、上記相違点2に係る本願補正発明の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
<本願発明の効果について>
そして、本願補正発明の奏する効果は、引用発明及び周知の事項から、予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

ウ まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)小括
ゆえに、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件補正発明は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定により違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和元年7月23日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成30年11月9日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記「第2 令和元年7月23日付けの手続補正の補正却下の決定」の「1 本件補正について」の記載参照。)

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1及び引用発明については、上記「第2 令和元年7月23日付けの手続補正の補正却下の決定」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(2)引用例」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、本願補正発明から、「相互に隣接する前記第1ファスナ第1端部(18)及び前記第2ファスナ第1端部(26)の間に中間スペース(32)が設けられており、前記中間スペース(32)は、前記第1ファスナ(14)における前記第1スライダ(16)によって開閉される第1及び第2構成要素(14a,14b)と、前記第2ファスナ(22)における前記第2スライダ(24)によって開閉される第1及び第2構成要素(22a,22b)との間に設けられた第1及び第2中間スペース(32a,32b)を含み、前記第1及び第2ファスナ(14,22)の閉じられた状態において、前記ポケット(12)は、前記中間スペース(32)の近傍においては完全には閉じられていない」という限定を省いたものである。
そうすると、本願発明を特定するための事項をすべて含み、更に他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 令和元年7月23日付けの手続補正の補正却下の決定」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(3)本願補正発明と引用発明の対比・判断」に記載したとおりの引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第4 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定より特許を受けることができない。
ゆえに、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2020-01-16 
結審通知日 2020-01-21 
審決日 2020-02-12 
出願番号 特願2017-546017(P2017-546017)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A41D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼辻 将人長尾 裕貴  
特許庁審判長 石井 孝明
特許庁審判官 杉山 悟史
佐々木 正章
発明の名称 一体化されたポケットを含む衣服  
代理人 特許業務法人 大島特許事務所  

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