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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F23D
管理番号 1363703
審判番号 不服2018-9706  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-07-13 
確定日 2020-07-01 
事件の表示 特願2016- 73094「噴霧器の改良」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月24日出願公開、特開2016-197001〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年3月31日(パリ条約による優先権主張2015年4月2日、英国)の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
平成29年9月25日に手続補正書及び上申書の提出
平成29年10月2日付け拒絶理由通知
平成29年12月8日に意見書及び手続補正書の提出
平成29年12月19日付け拒絶理由通知(最後)
平成30年2月23日に意見書及び手続補正書の提出
平成30年3月5日付けで平成30年2月23日提出の手続補正書による補正について補正の却下の決定及び拒絶査定
平成30年7月13日に拒絶査定不服審判の請求及びその請求と同時に手続補正書の提出
令和元年9月11日付け当審における拒絶理由通知
令和元年12月17日に意見書及び手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和元年12月17日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認める。
「燃焼器用の噴霧器であって:
霧化領域;
燃料が前記霧化領域へ入り込むことを可能にするように構成される少なくとも1つの第1流入口、及び、霧化媒体が前記霧化領域へ入り込むことを可能にするように構成される少なくとも1つの第2流入口を有する近端部;並びに、
霧化された燃料が前記霧化領域を飛び出すことを可能にするように構成される複数の流出口を有して、外側表面は、空気流が前記複数の流出口の周り及び前記複数の流出口の間を流れることを可能にする形状をとる遠端部、を有し、
前記複数の流出口は、非円形断面を有する孔を有し、
前記複数の流出口は、非円形内側断面を画定する孔又は口径及び非円形外側断面を画定する管を有し、
前記複数の流出口の孔の内側断面は、正方形、長方形、又は曲率を有するスロット形状で、
前記複数の流出口は、各々が異なる方位で前記遠端部の外側表面から突出する、
噴霧器。」

第3 拒絶理由の概要
令和元年9月11日付けで当審が通知した拒絶理由のうちの理由1は、概ね次のとおりのものである。

本願の請求項1?14に係る発明は、本願の出願前(優先日前)に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前(優先日前)にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記(刊行物については引用文献一覧を参照)
・請求項1
・引用文献1、3?5
・備考
本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術(引用文献3?5を参照。)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

・請求項2、3
・引用文献1?5
・備考
本願の請求項2及び3に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(請求項4?14については省略)

<引用文献一覧>
1.実願昭55-133466号(実開昭57-61330号)のマイクロフィルム
2.特公昭45-25064号公報
3.実願昭48-73134号(実開昭50-21742号)のマイクロフィルム
4.実願昭52-97052号(実開昭54-24127号)のマイクロフィルム
5.国際公開第2014/142305号

第4 引用文献について
1 引用文献1について
ア 引用文献1の記載
当審における拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である実願昭55-133466号(実開昭57-61330号)のマイクロフィルム(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(促音は小文字とした。また、下線は当審で付したものである。以下同様。)。
(ア)「本考案は無機塩類を含む廃液を焼却炉に噴霧焼却する際に使用する噴霧ノズルに関し、更に詳しくは噴霧ノズルの先端における無機塩結晶の析出を抑止するための廃液焼却用噴霧ノズルの構造に関する。」(明細書1ページ11?15行)

(イ)「従来の噴霧ノズルは一般に円筒や角筒からなるノズルボディの先端に設けたスプレーノズルキャップに直接噴霧口が穿設され、この噴霧口は比較的広い平面上に開口し、スプレーノズルキャップ全体は焼却炉の高温ガスに接してかなり高温に加熱されている。被処理廃液はスプレーノズルキャップ内の混合室で空気又は水蒸気等の噴霧媒体と混合し、微細な噴霧液滴となって噴霧口から音速に近い高速で燃焼室内の高温ガス中に噴射、焼却される。この際噴霧口の出口の周囲のノズルキャップ表面に廃液中の無機塩を主とする結晶が次第に析出、堆積し遂には良好な噴霧が不能となり、運転に支障を来たし結果的に公害物質が未分解のまま排出されるという問題があった。
本考案の目的は上記欠点を改良しノズルキャップの噴霧口の廻りに結晶が析出、堆積するのを防止し、良好な噴霧状態を長時間維持できる噴射ノズルを提供することにある。」(明細書1ページ16行?2ページ14行)

(ウ)「本考案者は噴霧口をノズルキャップの表面より燃焼室方向に向けてつの状に突出させてこのつの状噴霧口の先端をノズルキャップ表面から離し、且つ突出させたつの状の噴霧口の先端に於ける管の肉厚を薄くすることによって、噴霧口廻りに発生する渦流を弱めて液滴の渦流による同伴が少くなり噴霧口の周囲への付着を回避出来ること、又ノズルキャップ表面に燃焼室の高温ガスが廻り込むようになり、ノズル先端に液滴が当りにくくなってその結果として噴霧口の周囲に結晶の析出及び堆積が防止されることを発見し本考案に到達した。
本考案によれば噴霧口の周囲に結晶塊が付着することなく良好な噴霧を長時間維持することが出来て廃液の燃焼を有利に行うことが出来る。」(明細書2ページ15行?3ページ9行)

(エ)「以下に本考案の噴霧ノズルを図面にもとづいて説明する。第1図はノズルキヤッブ1に本考案によるつの3を設けた噴霧ノズルであり、第2図は従来のノズルキャップ1を有する噴霧ノズルの一例を示す。又第3?4図は本考案の他の実施例を示す。
第2図に於いて従来の廃液噴霧ノズルは通常ノズルボデー2の先端に、噴霧口4を穿設したノズルキャップ1を螺合して構成され、廃液通路7に処理すべき廃液を導き、噴霧媒体通路6には高圧空気又は水蒸気を通じてこの両者を混合室5で混合したのちノズルキャップ1の噴霧口4より燃焼室(図示せず)の高温ガス中に噴射させる。この際噴霧流体は通常音速近くの高速で噴射され、しかも噴射後急速に拡大されるのでこの噴射拡大流の基部には渦流9が発生する。噴霧口4は比較的広いキャップ表面8に開口しているので渦流9はキャップ表面8に衝突する。この際渦流9は微量の噴霧流体を捲き込み、又この渦流9は高温ガスの噴霧口先端への廻り込みを阻止する傾向を有する。
このようにして、キャップ表面8は廃液によって濡れ、この液膜はノズルキャップ1と共に焼却炉の熱風及び熱輻射によって加熱される。通常廃液は有機物とともに無機物を含有しているのでキャップ表面8に付着する廃液のうち有機物の大部分は熱分解し、残余の無機成分は無機塩を主成分とする結晶となって、噴射口4廻りのキャップ表面8に付着し、これが次第にブロック状に成長して噴射口4からの正常な噴霧を阻害するようになる。この傾向はある限度を越えると急速に加速されて廃液の良好な噴霧を不可能とし、その結果廃液の焼却、熱分解は不完全となり、又噴霧廃液が液滴となって落下する。この廃液は高濃度のCOD分を含むので廃液のわずかの落下によっても、又不完全燃焼によっても焼却設備から公害物質を含んだ排ガス或は排液が排出されることになり、この結果焼却設備は運転停止の止むなきに至る。
この問題解決のために本考案では従来の噴射口4の先につの3を設けた。即ち本考案の特徴は第1図に示すようにノズルキャップ1の噴霧口4’の先端に設けたつの3にある。つの3はノズルキャップ1と一体に工作してもよいが第1図のように噴霧口4’の先に螺合する型式が好ましい。この型式は噴射口4、4’の閉塞や腐食による損傷に際し交換に便利であり、又高価な耐食性金属やセラミック等で製作する場合につの3の部分のみをこれら耐食材料で製作すればよくコスト的に有利である。本考案のつの3の機能は、つの3の先端をキャップ表面8から適正に隔て、つの3の先端に於ける管の肉厚tを薄くして、渦流9がキャップ表面8及びつの3の先端の廻りに触れるのを回避することである。このため本考案のつの3は第1図のように截頭円錘又は角錘状、或いは円筒又は角筒(図示せず)に構成し、その断面に於ける母線lを延長してなる頂角θは円筒の場合を0°とみれぱ0゜?略90°でよく、90°以上では効果が薄い。即ち90°以上になるとつの3の先端に渦流9を受け易くなるので、頂角θは60°以下が好ましい。又つの3の先端肉厚tが厚くなるとつの3の先端面積が広くなり渦流9による液滴を受け易くなり、又極端に薄いと強度が低下することがある。従って肉厚は0.5?3mmが望ましい。第1図に示したつの3は上記の截頭円錘又は角錘の特徴を逸脱しない範囲内でその断面の母線lを曲線とした第3図に示す擬宝珠型や内径が外径と共に連続して縮小する一般的なレデューサー型(図示せず)で構成してもよい。第4図はつのが円筒(あるいは角筒)の例である。
以上のように本考案のつのを備える噴射ノズルは噴霧口出口廻りの結晶析出を抑止し、長時間良好な噴霧を継続でき焼却処理設備から公害物質を排出することなく、又材質も適宜選定でき装置の運転管理上、又コスト的に極めて有利である。」(明細書3ページ10行?7ページ6行)

(オ)「



イ 上記アから認められる事項
上記アから、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
(ア)上記ア(ア)?(オ)によれば、引用文献1には、廃液焼却用噴霧ノズルが記載されている。
なお、廃液焼却用噴霧ノズルは、上記ア(オ)の第2図に示された従来の噴霧ノズルの欠点を改良するものであり、従来の噴霧ノズルを前提構成とするものであるから、従来の噴霧ノズルの構成も以下参酌する。

(イ)上記ア(イ)及び(オ)(特に、明細書2ページ1?5行及び第1図)によれば、廃液焼却用噴霧ノズルは、被処理廃液と空気又は水蒸気等の噴霧媒体とを混合する混合室を有している。

(ウ)上記ア(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)(特に、明細書2ページ1?5行、明細書3ページ7?9行、明細書3ページ16行?4ページ3行、明細書4ページ14?16行及び第1図)によれば、廃液焼却用噴霧ノズルは、有機物を含有し、燃焼可能な被処理廃液が混合室5へ入り込むことを可能にするように構成される廃液通路7、及び、噴霧媒体が混合室へ入り込むことを可能にするように構成される噴霧媒体通路6を有するノズルボデー2を有している。

(エ)上記ア(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)(特に、明細書2ページ1?5行、明細書2ページ15行?3ページ9行、明細書3ページ16行?4ページ4行及び第1図)によれば、廃液焼却用噴霧ノズルは、複数のつの3を有して、キャップ表面8に燃焼室の高温ガスが廻り込むようにされたノズルキャップ1を有している。

(オ)上記ア(ウ)、(エ)及び(オ)(特に、明細書2ページ15行?3ページ9行、明細書5ページ9行?6ページ8行及び第1図)によれば、複数のつの3は、ノズルキャップ1の噴霧口4’の先端に設けられて噴霧口4’に接続された噴霧口4”を有し、角錐状又は角筒に構成され、互いに離れる方向でノズルキャップ1のキャップ表面8から突出している。

ウ 引用発明
上記ア及びイから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「廃液焼却用噴霧ノズルであって:
被処理廃液と空気又は水蒸気等の噴霧媒体とを混合する混合室5;
有機物を含有し、燃焼可能な前記被処理廃液が前記混合室5へ入り込むことを可能にするように構成される廃液通路7、及び、前記噴霧媒体が前記混合室5へ入り込むことを可能にするように構成される噴霧媒体通路6を有するノズルボデー2;並びに、
複数のつの3を有して、キャップ表面8に燃焼室の高温ガスが廻り込むようにされたノズルキャップ1、を有し、
前記複数のつの3は、前記ノズルキャップ1の噴霧口4’の先端に設けられて前記噴霧口4’に接続された噴霧口4”を有し、
前記複数のつの3は、角錐状又は角筒に構成され、
前記複数のつの3は、互いに離れる方向で前記ノズルキャップ1の前記キャップ表面8から突出する、
廃液焼却用噴霧ノズル。」

2 引用文献3について
当審における拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である実願昭48-73134号(実開昭50-21742号)のマイクロフィルム(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。
「本考案は,1つの燃料噴出器において,燃焼域に通じる複数個の円形断面の噴孔を有する燃料噴出器に関するものである。」(明細書1ページ10?12行)

「第1図ないし第4図に示す第1の実施例において,1は,燃料ノズル2と気体ノズル3とが交じわる,ノズル部であり,間隔片4とスプレイノズル部5とには,燃料ノズル2と気体ノズル3と連通した混合室6が形成され,スプレイノズル部5には,さらに混合室6と,燃焼域とを連通する噴孔7と噴孔7の燃焼域側の出口先端部には,噴孔7の径よりも小さい門の溝8が設けられていて,これらは内部混合式噴霧器を構成している。
なお,溝8は第2図に示すように,噴霧器の中心方向,つまり半径方向を溝8の長手方向としてもよく又,第4図図示のように,中心方向から少しずれた方向,つまり半径方向からある角度θだけずれた方向を溝8の長手方向としてもよい。
燃料Fおよび気体Sは各々燃料ノズル2,気体ノズル3から混合室6へ噴霧され,混合室6内の混合燃料は,噴孔7を通って溝8に至り,ここで流れが円周方向では絞られ同時に半径方向に膨張して燃焼域へ噴霧される。この現象は複数個の各噴孔7で起きるので霧化される燃料の分布は,円周方向には非常に薄い膜となり半径方向に広がった複数個の放射状薄膜燃料噴霧群が形成される。
従って考案は上記した半径方向に広がった放射状薄膜燃料噴霧群ができるので燃料と燃焼空気の接触面積が広く燃焼が促進され,この為未燃分(ばいじん)が低減する。
又火炎の冷却面が増え,かつ炎の高温域滞面時間が滅少する為NOx発生が抑制される。
更に又,付随的に,噴霧の最外周の噴務角が拡がる為,着火安定性がよい等の効果が得られるものである。」(明細書2ページ10行?4ページ3行)





3 引用文献4について
当審における拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である実願昭52-97052号(実開昭54-24127号)のマイクロフィルム(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある(なお、○で囲まれた数字については、○の後に数字を付したものに記載を改めた。)。
「本考案は,燃焼炉内に液体燃料を噴霧する液体燃料噴射弁に関する。」(明細書1ページ15?16行)

「次に本考案を第5図ないし第9図に示す1実施例に基づいて具体的に説明する。図において,○21は噴射ノズル,○22は2次混合室補助金物,○23は1次混合室補助金物,○24は混合気噴射金物,○25は噴射弁取付金物,○26は締付金物,○27は噴射弁外管,○28は噴射弁内管である。
2次混合室補助金物○22,1次混合室補助金物○23,混合気噴射金物○24は締付金物○26によって噴射弁取付金物○25に取付けられており,噴射ノズル○21は取替えが容易なように締付金物○26の先端部にねじ取付けされている。
噴射弁取付金物○25の他端には噴射弁外管○27と噴射弁内管○28が取付けられ,噴射弁外管○27と噴射弁内管○28とで構成される環状通路が液体燃料通路○29,噴射弁内管○28内の円形通路が噴霧媒体通路○30である。噴射弁取付金物○25にはその中心部に噴霧媒体通路○32とその外周に複数個の液体燃料通路○31が穿孔されており,それぞれ噴霧媒体通路○30及び液体燃料通路○29と連絡するようになっている。
混合気噴射金物○24には中心部に噴霧媒体室○34が穿孔されており,同噴霧媒体室○34先端の同心円上に複数個の噴霧媒体噴射孔○35と補助噴霧媒体通路○37が交互に穿孔されている。このうち補助噴霧媒体通路○37は噴霧媒体室○34から混合気噴射金物○24を貫通して穿孔してあるが,噴霧媒体噴射孔○35はその先端部により広径の混合気噴射孔○36が混合気噴射金物○24を貫通して穿孔してある。
また混合気噴射金物○24には噴霧媒体室○34の外周に噴霧媒体噴射孔○35と同数の液体燃料噴射孔○33が混合気噴射孔○36に連結するよう穿孔してある。
これら混合気噴射金物○24の液体燃料噴射孔○33は噴射弁取付金物○25の液体燃料通路○31と連絡し,噴霧媒体室○34は噴射弁取付金物○25の噴霧媒体通路○32と連絡している。
1次混合室補助金物○23には中心部に広径の1次混合室○40が穿孔されており,更にその外周に混合気噴射金物○24内の補助噴霧媒体通路○37と連絡するよう複数個の補助噴霧媒体通路○38が1次混合室補助金物○23を貫通して穿孔してある。
2次混合室補助金物○22にはその中心部に1次混合室補助金物○23内の1次混合室○40と連結するよう2次混合室○41が穿孔してある。この2次混合室○41に対してその周囲から補助噴霧媒体を噴射するための補助噴霧媒体噴射孔○39が1次混合室金物○23内の補助噴霧媒体通路○38と連絡して設けてある。
噴射ノズル○21先端形状については第9図に示したものは単なる1例にすぎないが,複数個の2次混合気噴射孔○42が穿孔してある。
液体燃料○43は液体燃料通路○29,○31を通って混合気噴射金物○24内の液体燃料噴射孔○33から混合気噴射孔○36へ噴射される。
一方,噴霧媒体○44は噴霧媒体通路○30,○32を通って混合気噴射金物○23内の噴霧媒体室○34へ達し,噴霧媒体噴射孔○35から混合気噴射孔○36へ噴射されるものと,補助噴霧媒体通路○37から1次混合室補助金物○23へ送り込まれるものとに分れる。
噴霧媒体噴射孔○35から混合気噴射孔○36へ噴射された噴霧媒体○44は液体燃料○43と混合して1次混合室補助金物○23内の1次混合室○40へ噴射される。このとき噴霧媒体○44は急激な膨脹を起し,液体燃料○43を微粒化して混合気を形成する。
補助噴霧媒体通路○37から1次混合室補助金物○23へ送り込まれた噴霧媒体○44は補助噴霧媒体通路○38を通って2次混合室補助金物○22へ送り込まれる。
1次混合室○40内で微粒化した液体燃料○43と噴霧媒体○44の混合気は2次混合室補助金物○22内の2次混合室○41へ達する。一方,補助噴霧媒体通路○38から2次混合室補助金物○22内へ送り込まれた噴霧媒体○44は2次混合室○41の外周囲に設けられた補助噴霧媒体噴射孔○39から2次混合室○41内へ噴射され,混合気を再微粒化する。
2次混合室○41内で再微粒化された混合気○45は噴射ノズル○21の2次混合気噴射孔○42から噴射され燃焼に供される。
本液体燃料噴射弁は内部に2ケ所の1次,2次混合室○40,○41を設け,いったん1次混合室○40で微粒化された液体燃料を更に2次混合室○41で再微粒化することにより従来の液体燃料噴射弁では得られない液体燃料の超微粒化が達成でき,液体燃料の超微粒化が達成できることにより2次混合気噴射孔○42の大きさ及び形状を自由に選択することが可能となり,いかなる形式のエアレジスタと組合せた場合でもその時に応じて窒素酸化物抑制に効果のある火炎形状を確保することができる。」(明細書7ページ15行?12ページ8行)





4 引用文献5について
(1)引用文献5の記載
当審における拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である国際公開第2014/142305号(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある(なお、「・・・」は記載の省略を示す。)。
「[0039] 図1及び図2に示した本発明の第1実施例である噴霧ノズル1は、液体燃料の噴霧流体を噴霧用媒体で微粒化させる噴霧ノズル1であり、噴霧ノズル1の構造は、該噴霧ノズル1の上流側に噴霧流体となる液体燃料2aを供給する液体燃料流路2と、噴霧用媒体3bを供給する噴霧用媒体流路3との2つの流路を備えており、該噴霧ノズル1の下流側の先端部に液体燃料2aと噴霧用媒体3bを合流した混合流体を衝突させて微細化した混合流体を扇型噴霧として噴出する複数の下側出口孔4及び上側出口孔5をそれぞれ備えている。
・・・
[0045] 前記下側出口孔4及び上側出口孔5近傍で噴霧ノズル1内の対向流路18、19及び20、21内で前記混合流体は衝突するため、出口孔4、5から噴出する噴霧は前記対向流路の流れ方向と直交する方向に拡大する扇型噴霧33、34となる。
・・・
[0055] 本実施例の噴霧ノズル1において、液体燃料2aを供給する液体燃料流路2及び噴霧用媒体3bを供給する前記噴霧用媒体流路3は、前述したように噴霧ノズル1の内部の下流側で複数の流路にそれぞれ分岐し、これらの液体燃料流路2の分岐した流路と噴霧用媒体流路3の分岐した流路とが噴霧ノズル1の下流側で接続して液体燃料2aと噴霧用媒体3bとが合流した混合流体を微細化し、最終的に噴霧ノズル1の下流側に位置する噴霧ノズル1の先端部の傾斜面25の上部に設けられた上側出口孔5と、噴霧ノズル1の先端部の傾斜面25の下部に設けられた下側出口孔4とから、この微細化した混合流体を扇型噴霧33、34として外部にそれぞれ噴出するように構成している。
[0056] 次に本実施例の噴霧ノズル1の内部に配設された各流路の接続状態について説明する。なお、本実施例の噴霧ノズル1では、説明のため前記下側出口孔4及び上側出口孔5はそれぞれ1個で合計2個設けた場合を示すが、前記下側出口孔4及び上側出口孔5はそれぞれ2個以上の複数個設けるようにしても良い。
[0057] 図1に示すように本実施例の噴霧ノズル1では、後述する第3実施例である噴霧ノズルを備えたバーナの実施例と同様に図6に示したように、液体燃料2aを液体燃料流路2に供給する液体燃料供給系統44及び噴霧用媒体3bを該霧用媒体流路3に供給する噴霧用媒体供給系統45に設けた流量調節弁54、55等をそれぞれ操作して、前記噴霧ノズル1や、この噴霧ノズル1を設置したバーナや、噴霧ノズルを有するバーナを備えた燃焼装置の負荷が低負荷時の場合には、液体燃料2a及び噴霧用媒体3bの流量を調節して、液体燃料2aと噴霧用媒体3bの双方を噴霧用媒体流路3に供給できるように構成している。
[0058] 即ち、負荷Lに応じて制御装置100から出力された制御信号に基づいて、液体燃料2aを供給する液体燃料供給系統44及び噴霧用媒体3bを供給する噴霧用媒体供給系統45に設けた流量調節弁54、55(図示せず)を操作して、前記噴霧ノズル1や、該噴霧ノズル1を設置したバーナや、噴霧ノズルを有するバーナを備えた燃焼装置の負荷が高負荷時の場合には、液体燃料2aを液体燃料供給系統44を通じて噴霧ノズル1の液体燃料流路2に供給すると共に、噴霧用媒体供給系統45を通じて噴霧用媒体3bを該噴霧ノズル1の噴霧用媒体流路3にそれぞれ供給できるように構成している。
・・・
[0072] (高負荷運用時)最初に、噴霧ノズル1に投入する液体燃料2aの流量が多い、いわゆる噴霧ノズル1や、該噴霧ノズル1を設置したバーナや燃焼装置の負荷を高負荷で運用する場合における本実施例の噴霧ノズル1の運転状態について説明する。
・・・
[0080] 即ち、上記した構成の本実施例の噴霧ノズル1は、高負荷で噴霧ノズル1を運転する場合に液体燃料2aと噴霧用媒体3bとの混合流体の微粒化を促進することが可能となる。
[0081] 上記した本実施例の噴霧ノズル1では、噴霧ノズル1の先端部の傾斜面25に沿って配設した対向流路20、21及び対向流路18、19を流下する液体燃料2aと噴霧用媒体3bとの混合流体は、相互の衝突によって対向流路の流れ方向(混合流体が流れる対向流路の配設方向)に対して直角方向(図2のB-B線の方向)に噴霧ノズル1の先端部の傾斜面25に開口した下側出口孔4及び上側出口孔5から微細化された混合流体の液滴となった扇型噴霧33、34をそれぞれ形成して外部に噴出する。
[0082] この扇型噴霧33、34の形状から本実施例に示す噴霧ノズル1は、一般にファンスプレー型噴霧ノズルと呼ばれる。ファンスプレー型噴霧ノズルは液体燃料2aと噴霧用媒体3bとの混合が、出口孔4、5の近傍となる噴霧ノズル1の先端部の傾斜面25に沿って配設した対向流路20、21及び対向流路18、19の内部での混合流体同士の衝突によって促進されるので、噴霧用媒体3bの低い噴霧圧や少ない噴霧用媒体流量でも液体燃料2aを微細化する微粒化性能が高い。
[0083] (低負荷運用時)次に、図1に示した構成の第1実施例の噴霧ノズル1に、点火時のように投入する液体燃料2aの流量が少ない、いわゆる噴霧ノズル1や、該噴霧ノズル1を設置したバーナや、噴霧ノズルを有するバーナを備えた燃焼装置の負荷が低負荷で運用する場合における本実施例の噴霧ノズル1の運転状態について説明する。
・・・
[0093] 即ち、上記した構成の本実施例の噴霧ノズル1は、低負荷で噴霧ノズル1を運転する場合にも液体燃料2aと噴霧用媒体3bとの混合流体の微粒化を促進することが可能となる。
[0094] 上述した本実施例の噴霧ノズル1においては、噴霧ノズル1に配設した屈曲流路9、11、直進流路10、12、傾斜流路14?16及び対向流路18?21の流路断面積は、それらの上流側となる前記噴霧用媒体流路3の内部の気液分離機構6aを構成する空間部の流路断面積と比べて流路断面積がそれぞれ小さくなるように形成されている。
[0095] このため、本実施例の噴霧ノズル1では、液体燃料2aは屈曲流路9、直進流路10、傾斜流路14?16、対向流路18?21を流下する流速は高くなり、これらの流路を流れる過程やその途中の屈曲流路、噴霧ノズル1の出口孔4、5の近傍となる噴霧ノズル1の先端部の傾斜面25に沿って配設された対向流路18、19及び20、21を流れる液体燃料2aが前記対向流路18、19及び20、21内で相互に衝突することで、前記対向流路18、19及び20、21を流下する液体燃料2aの混合が更に進み、液体燃料2aの微粒化に寄与することができる。」

「[0163] 次に本発明の第3実施例である噴霧ノズルについて図6?図7を用いて説明する。
[0164] 図6及び図7に示した本発明の第3実施例である噴霧ノズル1は、図1?図2に示した本発明の第1実施例である噴霧ノズル1と基本的な構成は類似しているので、両者に共通した構成の説明は省略し、相違する部分についてのみ、以下に説明する。
[0165] 図6及び図7に示した本実施例の噴霧ノズル1においても、該噴霧ノズル1によって液体燃料の噴霧流体を噴霧用媒体で微粒化させる。
[0166] 図6及び図7に示した本実施例の噴霧ノズル1の構造は、該噴霧ノズル1の上流側に噴霧流体となる液体燃料2aを供給する液体燃料流路2と、噴霧用媒体3bを供給する噴霧用媒体流路3との2つの流路を備えており、該噴霧ノズル1の下流側の噴霧ノズル1先端部に液体燃料2aと噴霧用媒体3bを合流した混合流体を高速で外部に噴出させる複数の下側出口孔4及び上側出口孔5をそれぞれ備えている。
・・・
[0176] 前記液体燃料流路2を流れる液体燃料2aと噴霧用媒体流路3を流れる噴霧用媒体3bは、混合流路19a、21aにて混合して高速で下側出口孔4及び上側出口孔5から噴霧ノズル1の外部に扇型噴霧33、34として噴出することで液体燃料2aが微粒化した噴霧として噴出する。
・・・
[0188] (高負荷運用時)最初に、噴霧ノズル1に投入する液体燃料2aの流量が多い、いわゆる噴霧ノズル1や、該噴霧ノズル1を設置したバーナや燃焼装置の負荷を高負荷で運用する場合における本実施例の噴霧ノズル1の運転状態について説明する。
[0189] 高負荷運用で本実施例の噴霧ノズル1を運転する場合は、負荷Lに対応して制御装置100から出力される制御信号に基づいて、液体燃料2aを液体燃料流路2に供給する液体燃料供給系統44及び噴霧用媒体3bを該霧用媒体流路3に供給する噴霧用媒体供給系統3に設けた流量調節弁54、55を操作して、液体燃料供給系統44を通じて噴霧ノズル1の液体燃料流路2に液体燃料2aを供給し、噴霧用媒体供給系統45を通じて噴霧ノズル1の噴霧用媒体流路3に空気や蒸気等の気体の噴霧用媒体3bを供給する。
・・・
[0194] (低負荷運用時)次に、点火時のように噴霧ノズル1に投入する液体燃料2aの流量が少ない、いわゆる噴霧ノズル1や、該噴霧ノズル1を設置したバーナや、噴霧ノズルを有するバーナを備えた燃焼装置の負荷が、低負荷で運用する場合における本実施例の噴霧ノズル1の運転状態について説明する。
[0195] 低負荷運用で本実施例の噴霧ノズル1を運転する場合は、負荷Lに対応して制御装置100から出力される制御信号に基づいて、流量制御弁54を閉止して液体燃料流路2への液体燃料2aの供給を止め、噴霧ノズル1の噴霧用媒体流路3には、流量制御弁52及び55を介して液体燃料2a及び噴霧用媒体3bの双方を噴霧用媒体流路3に供給する。
・・・
[0212] また、図6及び図7に示す本実施例の噴霧ノズル1では、説明を容易にするため、噴霧ノズル1の先端に出口孔4、5を合計2個設けた場合を示したが、出口孔を2個以上の複数個に増やしても良い。この場合、1つの出口孔の寸法が小さくなることで、液体燃料2aの微粒化が更に促進される。
・・・
[0215] 本実施例によれば、低負荷から高負荷までの広い負荷範囲に亘って噴霧ノズルの周囲にまで液体燃料と噴霧用媒体が混合した微細化した混合流体と燃焼用気体とを十分に混合させることを可能にして、煤塵やCO(一酸化炭素)の燃焼排出物の生成を抑制する噴霧ノズルが実現できる。」





第5 対比
本願発明(以下「前者」ともいう。)と引用発明(以下「後者」ともいう。)とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・後者の「廃液焼却用噴霧ノズル」は、前者における「燃焼器用の噴霧器」に相当する。

・後者の「被処理廃液と空気又は水蒸気等の噴霧媒体とを混合する混合室5」は、被処理廃液が噴霧媒体と混合することで微細な噴霧液滴となるものといえる(引用文献1の明細書2ページ1?5行)から、前者の「霧化領域」に相当する。

・後者の「有機物を含有し、燃焼可能な前記被処理廃液」は、前者の「燃料」に相当する。
そして、後者の「有機物を含有し、燃焼可能な前記被処理廃液が前記混合室5へ入り込むことを可能にするように構成される廃液通路7」は、前者の「燃料が前記霧化領域へ入り込むことを可能にするように構成される少なくとも1つの第1流入口」に相当する。
また、後者の「前記噴霧媒体が前記混合室5へ入り込むことを可能にするように構成される噴霧媒体通路6」は、前者の「霧化媒体が前記霧化領域へ入り込むことを可能にするように構成される少なくとも1つの第2流入口」に相当する。
そうすると、後者の「ノズルボデー2」は、前者の「少なくとも1つの第1流入口」及び「少なくとも1つの第2流入口」を有するものといえるから、前者の「近端部」に相当する。

・後者の「複数のつの3」は、引用文献1の第2図に記載された従来技術の噴霧口4と同様に、微細な噴霧液滴となった被処理廃液が噴射されるもの(引用文献1の明細書2ページ1?5行)といえるから、前者の「霧化された燃料が前記霧化領域を飛び出すことを可能にするように構成される複数の流出口」に相当する。
そうすると、後者の「ノズルキャップ1」は、前者の「複数の流出口」を有しているものといえるから、前者の「遠端部」に相当する。
また、後者の「キャップ表面8に燃焼室の高温ガスが廻り込むようにされた」との態様は、それにより複数のつの3の周り及び複数のつの3の間を燃焼室の高温ガスと共に空気が流れることは明らかであるから、前者の「外側表面は、空気流が前記複数の流出口の周り及び前記複数の流出口の間を流れることを可能にする形状をとる」との態様に相当する。

・後者の「前記複数のつの3は、前記ノズルキャップ1の噴霧口4’の先端に設けられて前記噴霧口4’に接続された噴霧口4”を有し」との態様は、前者の「前記複数の流出口は、非円形断面を有する孔を有し」との態様に、「前記複数の流出口は、孔を有し」という限りにおいて一致する。

・後者の「前記複数のつの3は、角錐状又は角筒に構成され」という態様は、つの3が、被処理廃液を噴射するものであって、角錐状又は角筒に構成されることによって非円形外側断面を画定する管を構成しているものといえるから、前者の「前記複数の流出口は、非円形内側断面を画定する孔又は口径及び非円形外側断面を画定する管を有し」という態様に、「前記複数の流出口は、非円形外側断面を画定する管を有し」いう限りにおいて一致する。

・後者の「前記ノズルキャップ1の前記キャップ表面8」は、前者の「前記遠端部の外側表面」に相当する。
そして、後者の「前記複数のつの3は、互いに離れる方向で前記ノズルキャップ1の前記キャップ表面8から突出する」との態様は、複数のつの3の各々が異なる方位に突出しているといえるから、前者の「前記複数の流出口は、各々が異なる方位で前記遠端部の外側表面から突出する」との態様に相当する。

したがって、本願発明と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
「燃焼器用の噴霧器であって:
霧化領域;
燃料が前記霧化領域へ入り込むことを可能にするように構成される少なくとも1つの第1流入口、及び、霧化媒体が前記霧化領域へ入り込むことを可能にするように構成される少なくとも1つの第2流入口を有する近端部;並びに、
霧化された燃料が前記霧化領域を飛び出すことを可能にするように構成される複数の流出口を有して、外側表面は、空気流が前記複数の流出口の周り及び前記複数の流出口の間を流れることを可能にする形状をとる遠端部、を有し、
前記複数の流出口は、孔を有し、
前記複数の流出口は、非円形外側断面を画定する管を有し、
前記複数の流出口は、各々が異なる方位で前記遠端部の外側表面から突出する、
噴霧器。」

[相違点]
本願発明は、「複数の流出口」が「非円形断面を有する孔」を有し、「前記複数の流出口」が「非円形内側断面を画定する孔又は口径」を有し、「前記複数の流出口の孔の内側断面」が「正方形、長方形、又は曲率を有するスロット形状」であるのに対して、引用発明は、複数のつの3(流出口)の噴霧口4”(孔)の形状が不明である点。

第6 判断
上記相違点について検討する。
噴霧器において、流出口の孔の内側断面を、正方形、長方形、又は曲率を有するスロット形状といった非円形内側断面とすることは、上記第4の2?4で摘記した引用文献3?5の記載(特に、引用文献3の噴孔7及び溝8についての記載、引用文献4の2次混合気噴射孔42についての記載並びに引用文献5の下側出口孔4及び上側出口孔5についての記載)にみられるように、本願の優先日前に周知の技術である(以下「周知技術」という。)。
噴霧器において、流出口の孔の内側断面が流出する霧化された流体の拡散に影響するのであるから、その形状を好適化しようとすることは通常の設計的事項であり、そうすると、引用発明において、霧化された被処理廃液をより効率的に燃焼させるべく、上記周知技術を適用し、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって格別困難ではない。

そして、本願発明の全体構成により奏される作用効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものである。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、請求人は、令和元年12月17日提出の意見書において、「引用文献3は、噴孔7及び溝8を開示していますが、噴孔7は円形であり、溝8は貫通していないため孔ではありません。よって引用文献3は、本願発明の『前記複数の流出口は、非円形断面を有する孔を有し』を開示していません。
引用文献4は、非円形である2次混合気噴射孔42を開示していますが、2次混合気噴射孔42が設けられているのは、滑らかなノズルの外側表面であります(図5,9をご参照ください。)。すなわち引用文献4は、本願発明の『前記複数の流出口は、各々が異なる方位で前記遠端部の外側表面から突出する』を開示していません。
引用文献5は、下側出口孔4と上側出口孔5を開示していますが、これらもノズルの平坦な斜面に設けられています。すなわち引用文献5は、本願発明の『前記複数の流出口は、各々が異なる方位で前記遠端部の外側表面から突出する』を開示していません。」(【意見の内容】3.(3))と主張する。
しかしながら、引用文献3の第2図を見て理解できるように、噴孔7の開口は長方形の非円形となっており、実質的に非円形内側断面を有する孔ということができる。
また、本願発明の「前記複数の流出口は、各々が異なる方位で前記遠端部の外側表面から突出する」という構成は引用発明との一致点であり、引用文献4及び5は、流出口の孔の内側断面が非円形である周知例として示したものであって、引用発明の流出口を非円形とできない理由もない。
よって、上記出願人の主張は採用することができない。
また、請求人は、同意見書において、参考資料1及び2を引用し、「本願出願時点の技術水準では燃焼器の流出口の孔の断面形状を円形にすることが不可避であるため、当業者は、引用文献1,3乃至5を組み合わせることで本願発明に容易に想到し得るという論理付けを構成することはできないと思料いたします。」(【意見の内容】3.(3))と主張する。
しかしながら、参考資料1及び2の燃焼器の流出口の孔の断面形状が円形であることは、引用発明の噴霧口4”の断面形状を円形にすることが不可避であるとする根拠にはならないから、請求人の上記主張は採用できない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について判断するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2020-01-28 
結審通知日 2020-02-04 
審決日 2020-02-18 
出願番号 特願2016-73094(P2016-73094)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F23D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大谷 光司  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 槙原 進
山崎 勝司
発明の名称 噴霧器の改良  
代理人 特許業務法人はるか国際特許事務所  

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