現在、審決メルマガは配信を一時停止させていただいております。再開まで今暫くお待ち下さい。

  • ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B32B
管理番号 1363807
審判番号 不服2019-13397  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-07 
確定日 2020-07-02 
事件の表示 特願2015-172719「多層シート、トレイ、及び包装体」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月 9日出願公開、特開2017- 47609〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年9月2日の出願であって、平成31年4月17日付けで拒絶理由が通知され、令和元年6月20日に手続補正書及び意見書が提出され、令和元年7月4日付けで拒絶査定がされた。これに対し、令和元年10月7日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。


第2 本願発明について
1 本願発明
特許請求の範囲の請求項1?11に係る発明は、令和元年6月20日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定されるものであるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は以下のとおりのものであると認める。

「水蒸気バリア層と、酸素バリア層と、表面層と、を有し、両側の最表層に前記表面層が積層された多層シートであって、
前記表面層が樹脂のみからなり、
40℃、90%RHでの水蒸気透過量が0.3g/m^(2)・day以下であり、
一方の前記表面層側の表面の光沢度が、60°において10以上、40以下であり、
他方の前記表面層側の表面の光沢度が、60°において70以上、98以下である、多層シート。」

2 引用例
(1)引用例1
平成31年4月17日付けで通知した拒絶理由に引用され、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2015-24556号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】
少なくとも水蒸気バリア層と酸素バリア層とを有するシートであって、
40℃、90%RHでの水蒸気透過量が0.15g/m^(2)・day以下であり、
25℃、60%RHでの酸素透過量が0.2cc/m^(2)・day以下であることを特徴とするシート。」

(イ)「【技術分野】
【0001】
本発明は、シートおよび包装体に関する。」

(ウ)「【0006】
本発明の目的は、水蒸気、酸素の透過性が極めて小さく、容器への成形が可能であり、レトルト、滅菌処理後にも高度なバリア性を発現するシートおよび包装体を提供することである。」

(エ)「【0029】
(外層4)
また、本発明に係るシート100は、最外層に、外層4を有しても良い。外層4に用いられる樹脂としては水蒸気バリア層1に使用されているベース樹脂と同じものでも異なるものでも構わない。一般的な蓋材との組み合わせを考慮するとポリオレフィン系の樹脂が好ましく、とりわけポリプロピレンおよびポリエチレンが好ましい。
尚、シート100は、図2に示すように、シート100の両面の最外層に外層4を有していることが好ましい。
【0030】
シート100の厚さは、特に限定されないが、500μm以上、1500μm以下であることが好ましく、800μm以上、1200μm以下であることがより好ましい。シート100の厚さが、前記下限値以上であることにより、水蒸気バリア性、酸素バリア性共に十分に発現することができる。また、重量が重い内容物を包装する際にも良好な容器形状を維持できる。また、シート100の厚さが、前記上限値以下であることにより、容器形状への成形サイクルを短くすることができる。
【0031】
また、シート100は、基本的な性能を損なわない範囲で結晶核剤、石油樹脂、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、酸化防止剤、光安定剤、アンチブロッキング剤、界面活性剤、染料、顔料、難燃剤、消臭剤、可塑剤、メヤニ防止剤、分散剤等の添加剤をシート100に含まれる1つ以上の層に添加したものでもよい。このような層を含むことで、シート100および包装体の生産性の向上や劣化を防ぐことが可能となる。
【0032】
また、本発明に係るシート100は、図3に例示するように、成形し、蓋材5とシールすることにより、包装体200の構成部材として用いることができる。本発明に係るシート100から、包装体200を製作する方法してしては、各種方法が挙げられ特に限定されないが、例えば、真空成形、圧空成形、圧空真空成形、プラグアシスト圧空成形、プラグアシスト真空成形、プラグアシスト圧空真空成形、プラグ成形などが挙げられる。」

(オ)「【0038】
(実施例1)
水蒸気バリア層1としてポリプロピレン80重量部とタルク20重量部からなる樹脂層を、酸素バリア層2としてエチレン-ビニルアルコール共重合体を、両層の接着性樹脂として無水マレイン酸で変性したポリプロピレンをそれぞれ用いて、シートを共押出にて作成した。
シートの総厚みは1mmで外層側から水蒸気バリア層1/接着層3/酸素バリア層2/接着層3/水蒸気バリア層1の構成であり、各層の厚さ比率はそれぞれ42.5/2.5/10/2.5/42.5であった。」

(カ)「【0044】
(実施例7)
実施例1の両外層にポリプロピレンからなる外層4を追加した以外は実施例1と同様にシートを作成した。なお、各層の厚さ比率は、外層4/水蒸気バリア層1/接着層3/酸素バリア層2/接着層3/水蒸気バリア層1/外層4の構成で5/37.5/2.5/10/2.5/37.5/5であった。」

(キ)「【0048】
(水蒸気バリア性の評価)
得られたシートの水蒸気バリア性を、JIS Z 0208:40℃/90%RHに準拠し測定した。結果を表1に示す。」

(ク)「【0052】
【表1】



(ケ)「【図2】



(2)引用例1に記載された発明
上記(1)の(実施例7)に着目すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「外層4/水蒸気バリア層1/接着層3/酸素バリア層2/接着層3/水蒸気バリア層1/外層4の構成であるシートであって、
水蒸気透過量(シート状態)が0.06g/m^(2)・dayであり、
両外層4がポリプロピレンからなるシート。」

3 本願発明と引用発明の対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「水蒸気バリア層1」、「酸素バリア層2」、「外層4」は、その作用及び構造から、それぞれ本願発明の「水蒸気バリア層」、「酸素バリア層」、「表面層」に相当する。

(イ)引用発明の「外層4/水蒸気バリア層1/接着層3/酸素バリア層2/接着層3/水蒸気バリア層1/外層4の構成である」「シート」は、外層4が両側の最表層に積層されているといえるから、本願発明の「水蒸気バリア層と、酸素バリア層と、表面層と、を有し、両側の最表層に前記表面層が積層された多層シート」に相当する。

(ウ)引用発明の「水蒸気透過量(シート状態)が0.06g/m^(2)・dayであ」ることは、引用例1の【0048】を参照すると、40℃/90%RHで測定したものであるから、本願発明の「40℃、90%RHでの水蒸気透過量が0.3g/m^(2)・day以下であ」ることに相当する。

(エ)引用発明の「両外層4がポリプロピレンからなる」ことは、引用例1の【0029】の「外層」に用いられる樹脂に係る記載を参照すると、水蒸気バリア層に使用されるベース樹脂や一般的な蓋材との組合せから、一例としてポリプロピレンが好ましいとされており、水蒸気バリア層のように無機充填剤を含有させて、水蒸気バリア性を向上させようとするものではないから、その文言どおり、ポリプロピレン以外の成分を含んでいないものと理解され、本願発明の「前記表面層が樹脂のみからな」ることに相当する。

したがって、本願発明と引用発明とは、
「水蒸気バリア層と、酸素バリア層と、表面層と、を有し、両側の最表層に前記表面層が積層された多層シートであって、
前記表面層が樹脂のみからなり、
40℃、90%RHでの水蒸気透過量が0.3g/m^(2)・day以下である、多層シート。」

の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点>
本願発明は、「一方の前記表面層側の表面の光沢度が、60°において10以上、40以下であり、他方の前記表面層側の表面の光沢度が、60°において70以上、98以下である」のに対して、引用発明は、それぞれの外層4側の表面の光沢度が不明である点。

(2) 当審の判断
上記相違点について検討する。
平成31年4月17日付けで通知した拒絶理由に引用され、本願の出願日前に頒布された刊行物である下記ア?ウの文献には、以下の記載がある。
ア 特開昭63-60748号公報(以下「引用例2」という。)
(ア)「しかし、このプリントラミネート用フィルムはすべり性、耐ブロッキング性に劣るため、フィルム生産時にシワが入ったり、また使用の際ロールからの巻出しでフィルム面同志がくっつき平面性が悪化したり、またブロッキングが著しいときにはフィルムが破断されたりする等の問題がある。
このため、すべり性、耐ブロッキング性を付与するために有様性の滑剤および態様粒子を多量に添加すると印刷紙との熱接着性(接着力と均一な密着性)に劣ったり、透明性、光沢性が著しく悪化するという重大な欠点を有していた。また、熱圧着プリントラミネートしたとき、プリントラミネート紙がカールし外観が悪くなるという欠点をも有していた。
本発明は上記欠点のないもの、すなわち、プリントラミネート紙がカールすることなく印刷紙と強力な熱接着性(接着力と均一密着性)および光沢性を有し、かつ、すべり性、耐ブロッキング性に優れたプリントラミネート用フィルムを提供することを目的とする。」(1頁右欄16行?2頁左上欄9行)

(イ)「なお、本発明においてB層として配合される、bEPC、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体および石油樹脂は必ず共存していることが必要で、樹脂単独あるいは2成分系のみでは強固な熱接着性とブロッキング性、すべり性、光沢性を満足させることができない。
B層の厚み1は特に限定されないが通常1.5?6μmが好ましい。1.5μm未満では熱接着性(印刷紙との均一密着性)が悪くなり、また6μmを越えるとフィルム製造工程やスリット工程で発生するフィルム層をポリプロピレン層に回収した場合、透明性、光沢性が悪化するので好ましくない。なおB層には公知の添加剤、例えば結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、すべり剤、ブロッキング防止剤などを含有させてもよいことは勿論である。」(3頁右下欄14行?4頁左上欄9行)

イ 特開2005-205786号公報(以下「引用例3」という。)
(ア)「【0001】
本発明は、表面平滑性、隠蔽性、表面光沢、耐ブロッキング性ならびにラミネート適性に優れた二軸延伸積層ポリプロピレンフィルム及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、「OPPフィルム」と呼ぶことがある)は、その優れた透明性、機械的強度、剛性等の特性を活かして包装材料をはじめ広い分野で使用されている。また、OPPフィルムの隠蔽性を改良するとともに、表面光沢性を付与する方法として、芯材となるポリプロピレンにナイロン等の有機質材料、あるいはガラスビード等の無機材料等の非相溶性材料を添加し、表面層は無添加のポリプロピレン層とした二軸延伸フィルム(特許文献1)が提案されている。」

(イ)「【0004】
かかる要求に対して、断熱性を持たせるために空隙を有し、また高画素化するために、表面の中心線粗さが0.7μm以下の熱可塑性樹脂層を有する二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた熱転写シートが提案されている(特許文献2ないし4)。また、炭酸カルシウム等の無機微細粉末を含有する二軸延伸フォルム基材の少なくとも片面に、三次元中心面粗さが0.3μm以下で、表面光沢度が80%以上の表面層を有する二軸延伸フィルム(特許文献5)等が提案されている。
しかしながら、上記特許文献に具体的に記載された表面粗さは0.08ないし0.6μmであり、近年急速に技術開発が進む高画素化したデジタル画像をプリントするには不十分であり、画像が粗くなり易いという問題がある。また、熱転写受容シートを用い、印画した場合、サーマルヘッドからの熱により、熱転写受容シートの印画部が凹み、見栄えが悪くなるという欠点を有している。特に印画する濃度が濃ければ濃い程に凹みは大きく、コントラストが高い画像は凹凸が著しく、非常に見栄えが悪いという問題がある。また、隠蔽性を保ちながら、さらに表面平滑性を向上させることは製造上も困難である。」

(ウ)「【0006】
そこで、本発明の目的は、表面平滑性、隠蔽性、表面光沢、耐ブロッキング性ならびにラミネート適性に優れる画像受容体の支持体として特に優れた二軸延伸積層ポリプロピレンフィルム及びかかる二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムを支持体とした画像受容体を提供することにある。」

(エ)「【0008】
また、本発明によれば、プロピレン系重合体(a1)に無機化合物粉末(a2)を添加してなるプロピレン系重合体組成物(A)から得られる二軸延伸ポリプロピレンフィルム基材層(B)の片面に、プロピレン系重合体(a1)からなる表面層を具備してなり、表面粗さ(三次元中心面平均粗さSRa)が0.08μm未満及び光沢度が100%以上及び最大幅が50μm以上の表面凸部の数50(個/A4サイズ)がである表面層を有し、他の片面に表面粗さが0.3ないし0.7μm、光沢度が15%以下のポリオレフィン系重合体組成物(C)からなる裏面層を具備してなる全光線透過率が20%以下であることを特徴とする二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムが提供される。」

(オ)「【0016】
プロピレン系重合体(a1)を、二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムの表面層若しくは裏面層として用いる場合は、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、核剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、顔量、染料等の通常ポリオレフィンに添加される各種配合剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加しておいてもよい。中でも、ブロッキング防止剤を0.01ないし3.0質量%、好ましくは0.05ないし1.0質量%添加しておくと、ブロッキング防止性を有する二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムとすることが出来る。ブロッキング防止剤の配合量が0.01質量%未満では得られる二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムのブロッキング防止効果が充分でなく、一方、3.0質量%を越えると、得られる二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムの表面状態が悪化するとともに表面の光沢が損なわれる傾向にある。かかるブロッキング防止剤としては、シリカ、タルク、雲母、ゼオライトや、金属アルコキシドを焼成して得た金属酸化物等の無機化合物粒子、ポリメタクリル酸メチル、メラミンホルマリン樹脂、メラミン尿素樹脂、ポリエステル樹脂等の有機化合物粒子等の自体公知のものが使用され、中でも、シリカ、ポリメタクリル酸メチルがアンチブロッキング性の点から特に好ましく用いられる。」

(カ)「【0035】
上記二軸延伸積層ポリプロピレンフィルム(a-2)は、表面粗さ(三次元中心面平均粗さSRa)が0.3ないし0.7μm、好ましくは0.4ないし0.6μm及び光沢度が15%以下、好ましくは7ないし14%の範囲の裏面層を有することにより、耐ブロッキング性、ラミネート適性等に優れたフィルムとなる。本発明の二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムの裏面層を上記のポリオレフィン系重合体組成物で構成することにより、耐ブロッキング性、ならびにラミネート適性に優れた二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムが得られる。」

(キ)「【0073】
【表1】



ウ 特開2013-226838号公報(以下「引用例4」という。)
(ア)「【技術分野】
【0001】
この発明は、絞り成形あるいは張出し成形によってトレー状に成形して使用に供される積層型の成形用包装材に関する。更に詳しくは、例えばノートパソコン用、携帯電話用、車載用、定置型電源用のリチウムイオン電池等の二次電池のケース用材料として好適に用いられるほか、食品類、医薬品等の包装材としても好適に用いられるラミネート包装材に関する。」

(イ)「【0030】
前記[1]の発明では耐熱性樹脂からなる外側基材層の外面に、無機および/または有機の固体微粒子が分散含有された耐熱性樹脂組成物からなるマットコート層が形成され、その表面のグロス値が30%以下にコントロールされたものであることにより、包装材の表面に良好な滑り性が付与される。即ち、グロス値が30%を超えると表面祖度が小さくなり表面の滑り性を低下させてしまうことから、それ以下の値に設定されることにより、本発明の所期目的とする成形性に優れた包装材を提供することができる。尚、グロス値とはJISK7105に準拠して入射角60°で測定した値である。」

(ウ)「【0032】
[3]の発明では、前記マットコート層の形成による包装材の外側表面のグロス値が1?15%に設定されているので、これが1%未満である場合に懸念される外観上の問題点、即ち表面の凹凸が大きくなり過ぎて外観上いささか見苦しいものとなる欠点を回避しながら、15%以下であることによって成形性の改善効果を最も良好かつ安定的に享受しうる。」

(エ)「【0054】
(マットコート層)
マットコート層(6)は、本発明において成形性の向上、電解液等の付着による外観棄損の防止のための主たる役割を担うものであり、耐熱性樹脂成分中に無機および/または有機の固体微粒子が分散含有された樹脂組成物からなる処理液を塗布し、乾燥することによって形成されるものである。このマットコート層(6)の形成により、包装材(1)の外側表面のグロス値が30%以下、とくに好ましくは1?15%、更に好ましくは2?10%程度に制御される。
【0055】
グロス値が30%を超えると、成形性の改善効果に乏しい。しかし1%未満に設定しても同効果の向上によるメリットはなく、むしろ表面外観の劣化、コストの増大等のデメリットの方が大きい。」

上記記載から、ラミネートに用いるシートは、すべり性、耐ブロッキング性熱、接着性(接着力と均一な密着性)、透明性、光沢性が求められ(ア(ア)(イ)、イ(ア)(ウ)、ウ(イ))、表面層の表面光沢度として、80%以上(イ(イ))とすること、耐ブロッキング性、ラミネート適性等の観点から、他方(裏面)の光沢度として、15%以下、好ましくは7ないし14%(イ(エ)(カ))、具体的には、11.4?13.6(イ(キ)の実施例1?4)とすること、表面の滑り性の観点から、グロス値が30%以下(ウ(イ))とすることが、周知であったといえる。
そうすると、引用発明のシートにおいて、表面となる一方の外層4を光沢性が十分なものとし、裏面となる他方の外層4を耐ブロッキング性、ラミネート適性等十分なものとすることは、当業者が容易に想到し得たことであり、その際に具体的な光沢度として、上記通常採用されていた光沢度を参照して、上記相違点に係る本願発明の程度とすることは、適宜なし得たことである。

ここで、請求人は、審判請求書において、引用例1と引用例2?4とを組み合わせたとしても、無機充填剤を含有する表面層が得られるにすぎない旨主張する。
しかし、引用例2の「なおB層には公知の添加剤、例えば結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、すべり剤、ブロッキング防止剤などを含有させてもよいことは勿論である。」(4頁左上欄6?9行)、引用例3の「プロピレン系重合体(a1)を、二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムの表面層若しくは裏面層として用いる場合は、・・・、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、顔量、染料等の通常ポリオレフィンに添加される各種配合剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加しておいてもよい。」(【0016】、「・・・」は省略を意味する。以下同じ。)、引用例4の「マットコート層(6)の樹脂成分中に分散含有させる固体微粒子としては、無機微粒子のほか有機微粒子も使用可能である。・・・。また、有機微粒子としては、アクリル酸エステル系化合物、ポリスチレン系化合物、エポキシ系樹脂、ポリアミド系化合物、またはそれらの架橋物等の微粒子を使用しうる。」の記載からみて、引用例2及び3は、「よい」と記載されていることから、用いることが必須であるものでなく、引用文献4には、有機微粒子を用いる点も記載されているから、請求人の当該主張は採用できない。

<本願発明の奏する効果について>
そして、本願発明の効果は、引用発明及び引用例2?4記載の事項から、当業者が容易に想到し得る範囲のものであって、格別なものでない。

4 むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び引用例2?4記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。


第3 まとめ
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定より特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-04-22 
結審通知日 2020-04-28 
審決日 2020-05-13 
出願番号 特願2015-172719(P2015-172719)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B32B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高崎 久子  
特許庁審判長 井上 茂夫
特許庁審判官 佐々木 正章
高山 芳之
発明の名称 多層シート、トレイ、及び包装体  
代理人 飯田 雅人  
代理人 福原 直志  
代理人 棚井 澄雄  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ