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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1363942
審判番号 不服2019-11309  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-08-28 
確定日 2020-07-08 
事件の表示 特願2017- 2829「画像処理システム、画像処理システムの制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 4月13日出願公開、特開2017- 73825〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成13年3月29日に出願した特願2001-97033号の一部を数次の分割を経て平成29年1月11日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 3月23日付け:拒絶理由通知
同年 5月17日 :意見書の提出、手続補正
同年11月 2日付け:拒絶理由通知
同年12月27日 :意見書の提出、手続補正
令和 1年 5月31日付け:拒絶査定、補正却下
同年 8月28日 :審判請求、手続補正

第2 令和1年8月28日付け手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
令和1年8月28日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正により、特許請求の範囲の補正前の請求項1は、次のとおり補正された(下線は、補正箇所である。)。

符号A?Cは説明のため当審で付与したものであり、以下、構成A?構成Cと称する。各請求項において同じ記載内容の構成には同じ符号を付し、本件補正により補正された構成の符号には「’」を付した。

(補正前の請求項1)
「【請求項1】
(A1)入力された画像を第1の種類の指定の宛先へ送信する送信処理を実行する第1の送信処理手段と、
(A2)入力された画像を第2の種類の指定の宛先へ送信する送信処理を実行する第2の送信処理手段と、
(B)前記第1の送信処理手段または前記第2の送信処理手段により少なくとも正常に実行された送信処理についての履歴を対応する画像に関連づけて記憶する記憶手段と、
(C)前記履歴の一覧をWebブラウザで表示する表示手段と、
(D)前記表示手段に表示された前記一覧から所望の履歴をユーザに選択させるとともに、選択された履歴に対応する送信処理を再び実行させるための再実行指示を前記ユーザに指示させるための入力手段と、を有し、
(E1)前記一覧から前記第1の送信処理手段による送信処理の履歴が選択され前記再実行指示がなされたことに従って、前記第1の送信処理手段は選択された履歴に関連づけられた画像を前記第1の種類の指定の宛先へ送信する送信処理を実行し、
(E2)前記一覧から前記第2の送信処理手段による送信処理の履歴が選択され前記再実行指示がなされたことに従って、前記第2の送信処理手段は選択された履歴に関連づけられた画像を前記第2の種類の指定の宛先へ送信する送信処理を実行することを特徴とする
(F)画像処理システム。」

(補正後の請求項1)
「【請求項1】
(A1’)入力された画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行する第1の送信処理手段であって、電子メール、リモートプリンタ、ファックス、ファイル転送(FTP)、データベースへの転送のうちのいずれかの送信処理を、有線を用いて実行可能な第1の送信処理手段と、
(A2’)入力された画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行する第2の送信処理手段であって、電子メール、リモートプリンタ、ファックス、ファイル転送(FTP)、データベースへの転送のうちのいずれかの送信処理であって前記第1の送信処理手段で実行される送信処理とは異なる送信処理を有線を用いて実行可能な第2の送信処理手段と、
(B1’)前記第1の送信処理手段により実行された送信処理のうち少なくとも正常に実行された送信処理についての第1の履歴を対応する画像に関連づけて記憶する記憶手段であって、
(B2’)前記第2の送信処理手段により実行された送信処理のうち少なくとも正常に実行された送信処理についての第2の履歴を対応する画像に関連づけて記憶する記憶手段と、
(C’)前記第1の履歴と前記第2の履歴を少なくとも含む履歴の一覧をWebブラウザで表示する表示手段と、
(D)前記表示手段に表示された前記一覧から所望の履歴をユーザに選択させるとともに、選択された履歴に対応する送信処理を再び実行させるための再実行指示を前記ユーザに指示させるための入力手段と、を有し、
(E1’)前記一覧から前記第1の履歴が選択され前記再実行指示がなされたことに従って、前記第1の送信処理手段は第1の履歴に関連づけられた画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行し、
(E2’)前記一覧から前記第2の履歴が選択され前記再実行指示がなされたことに従って、前記第2の送信処理手段は前記第2の履歴に関連づけられた画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行することを特徴とする
(F)画像処理システム。」

2 本件補正の適否(1)本件補正の補正事項
本件補正における請求項1に係る補正事項は、以下のとおりである(以下、「補正事項ア」、「補正事項イ」等という。)。

(補正事項ア)
構成A1の第1の送信処理手段の送信処理が、「電子メール、リモートプリンタ、ファックス、ファイル転送(FTP)、データベースへの転送のうちのいずれかの送信処理」であることを追加する補正

(補正事項イ)
構成A1の第1の送信処理手段が、「有線を用いて実行可能」であることを追加する補正

(補正事項ウ)
構成A2の第2の送信処理手段の送信処理が、「電子メール、リモートプリンタ、ファックス、ファイル転送(FTP)、データベースへの転送のうちのいずれかの送信処理」であって、「第1の送信処理手段で実行される送信処理とは異なる送信処理」であることを追加する補正

(補正事項エ)
構成A2の第2の送信処理手段が、「有線を用いて実行可能」であることを追加する補正

(補正事項オ)
構成Bの「第1の送信処理手段」または「第2の送信処理手段」により実行された「送信処理についての履歴を対応する画像に関連づけて記憶する」記憶手段が、「第1の送信処理手段により実行された」「送信処理についての第1の履歴を対応する画像に関連づけて記憶する記憶手段」と、「第2の送信処理手段により実行された」「送信処理についての第2の履歴を対応する画像に関連づけて記憶する記憶手段」であることを特定する補正

(補正事項カ)
構成Cの表示手段に表示する履歴の一覧が、「前記第1の履歴と前記第2の履歴を少なくとも含む」ことを追加する補正

(補正事項キ)
構成E1で選択される「第1の送信処理手段による送信処理の履歴」を、補正事項オに合わせて、「第1の履歴」とする補正

(補正事項ク)
構成E2で選択される「第2の送信処理手段による送信処理の履歴」を、補正事項オに合わせて、「第2の履歴」とする補正

(2)補正の目的
補正事項ア、ウの補正は、第1の送信処理手段及び第2の送信処理手段の送信処理の種類を、それぞれ限定するものである。

補正事項イ、エの補正は、第1の送信処理手段及び第2の送信処理手段が、有線を用いることを限定するものである。

補正事項オは、記憶手段が記憶するものを、第1の送信処理手段により実行された送信処理についての第1の履歴、第2の送信処理手段により実行された送信処理についての第2の履歴、及びこれらの履歴に対応する画像に限定するものである。

補正事項カは、表示手段に表示する履歴の内容を、第1の履歴と第2の履歴を少なくとも含むものに限定するものである。

補正事項キ及びクは、補正事項オに合わせるための補正である。

よって、補正事項ア乃至クは、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正といえ、特許法第17条の2第5項第2号の規定に該当する。

(3)新規事項、発明の特別な技術的特徴の変更
補正事項ア乃至クは、願書に最初に添付した明細書の図27等に記載されているから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、新たな技術事項を導入するものでないといえるから、特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に適合するものである。

(4)独立特許要件
上記(2)のとおり本件補正のうち請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、補正後の請求項1に係る発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。

(4-1)本件補正発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)は、上記1(補正後の請求項1)に記載されたとおりのものである。

(4-2)引用文献、引用発明ア 引用文献3の記載事項、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2000-36885号公報)には、図面と共に次の事項(ア)?(オ)が記載されている。なお、下線は当審で付したものである。

(ア)(段落0010?0014、図1)
「【0010】図1は、本発明の一実施例にかかるネットワークシステムを示している。
【0011】同図において、ローカルエリアネットワークLANには、複数のワークステーション装置WS1?WSn、メールサーバ装置SM、および、ネットワークファクシミリ装置FXが接続されている。
【0012】ここで、メールサーバ装置SMは、ローカルエリアネットワークLANに接続されているワークステーション装置WS1?WSnを利用するユーザ、および、ネットワークネットワークファクシミリ装置FXに対して、周知の電子メールの収集および配布のサービスを提供するものである。
【0013】また、ワークステーション装置WS1?WSnには、グループ3ファクシミリ伝送手順処理を実行するとともに、ファクシミリ画情報を作成および表示出力するファクシミリアプリケーションソフトウェア(ファクシミリ通信手段)、および、ローカルエリアネットワークLANを介して種々のデータのやりとりを行うための種々のソフトウェアなどの種々のプログラムが導入されており、特定のユーザにより使用されるものである。ここで、特定のユーザは、一人または複数人のユーザであってよい。
【0014】また、ネットワークファクシミリ装置FXは、ローカルエリアネットワークLANに接続したワークステーション装置WS1?WSnに対して、ファクシミリモデム機能等を提供するためのサーバ機能、画情報を電子メールとしてやりとりするための電子メール処理機能、および、公衆網(PSTN)に接続し、この公衆網を伝送路として用いてグループ3ファクシミリ伝送手順による画情報伝送を行う伝送機能を備えている。





(イ)(段落0015?0027)
「【0015】図2は、ネットワークファクシミリ装置FXの構成例を示している。
【0016】同図において、システム制御部1は、このネットワークファクシミリ装置FXの各部の制御処理、および、ファクシミリ伝送制御手順処理などの各種制御処理を行うものであり、システムメモリ2は、システム制御部1が実行する制御処理プログラム、および、処理プログラムを実行するときに必要な各種データなどを記憶するとともに、システム制御部1のワークエリアを構成するものであり、パラメータメモリ3は、このネットワークファクシミリ装置FXに固有な各種の情報を記憶するためのものであり、時計回路4は、現在時刻情報を出力するものである。
【0017】スキャナ5は、所定の解像度で原稿画像を読み取るためのものであり、プロッタ6は、所定の解像度で画像を記録出力するためのものであり、操作表示部7は、このネットワークファクシミリ装置FXを操作するためのもので、各種の操作キー、および、各種の表示器からなる。
【0018】符号化復号化部8は、画信号を符号化圧縮するとともに、符号化圧縮されている画情報を元の画信号に復号化するためのものであり、画像蓄積装置9は、符号化圧縮された状態の画情報を多数記憶するためのものである。
【0019】グループ3ファクシミリモデム10は、グループ3ファクシミリのモデム機能を実現するためのものであり、伝送手順信号をやりとりするための低速モデム機能(V.21モデム)、および、おもに画情報をやりとりするための高速モデム機能(V.17モデム、V.34モデム、V.29モデム、V.27terモデムなど)を備えている。
【0020】網制御装置11は、このファクシミリ装置を公衆網(PSTN)に接続するためのものであり、自動発着信機能を備えている。
【0021】ローカルエリアネットワークインターフェース回路12は、このネットワークファクシミリ装置FXをローカルエリアネットワークLANに接続するためのものであり、ローカルエリアネットワーク伝送制御部13は、ローカルエリアネットワークLANを介して、他のデータ端末装置との間で種々のデータをやりとりするための各種所定のプロトコルスイートの通信制御処理を実行するためのものである。
【0022】これらの、システム制御部1、システムメモリ2、パラメータメモリ3、時計回路4、スキャナ5、プロッタ6、操作表示部7、符号化復号化部8、画像蓄積装置9、グループ3ファクシミリモデム10、網制御装置11、および、ローカルエリアネットワーク伝送制御部13は、内部バス14に接続されており、これらの各要素間でのデータのやりとりは、主としてこの内部バス14を介して行われている。
【0023】また、網制御装置11とグループ3ファクシミリモデム10との間のデータのやりとりは、直接行なわれている。
【0024】さて、本実施例において、基本的には、ローカルエリアネットワークLANに接続されている端末相互間でのデータのやりとりは、いわゆるTCP/IPと呼ばれるトランスポートレイヤまでの伝送プロトコルと、それ以上の上位レイヤの通信プロトコルとの組み合わせ(いわゆるプロトコルスイート)が適用して行われる。例えば、電子メールのデータのやりとりでは上位レイヤの通信プロトコルとしてSMTP(SimpleMailTransferProtocol)という通信プロトコルが適用される。
【0025】また、各端末がメールサーバ装置SMに対して、ユーザ宛の電子メールの受信確認や送信要求などのために適用するプロトコルとしては、いわゆるPOP(PostOfficeProtocol)などを適用することができる。
【0026】また、TCP/IP,SMTP,POPなどの通信プロトコル、および、電子メールのデータ形式やデータ構造などについては、それぞれIETF(InternetEngineeringTaskForce)というインターネットに関する技術内容をまとめている組織から発行されているRFC(RequestForComments)文書により規定されている。例えば、TCPはRFC793、IPはRFC793、SMTPはRFC821、電子メールの形式は、RFC822,RFC1521,RFC1522(MIME(MultiPurposeMailExtension)形式)などでそれぞれ規定されている。
【0027】そして、ネットワークファクシミリ装置FXは、読み取った原稿画像を公衆網PSTNを介して他のグループ3ファクシミリ装置へ、または、ローカルエリアネットワークLAN(さらには、インターネット)を介してワークステーション装置WS1?WSnのユーザへ送信するとともに、公衆網PSTNを介して他のグループ3ファクシミリ装置より受信した画情報を、そのときに指定されたサブアドレスに対応したユーザに対して、電子メールを用いて転送したり、あるいは、ローカルエリアネットワークLANのワークステーションWSより受信した画情報を、指定された短縮ダイアルに対応した公衆網PSTNのグループ3ファクシミリ装置へ転送する転送サービス機能等を備えている。」

(ウ)(段落0030?0033、図3(a))、(段落0054?0056、図9)
「【0030】また、本実施例では、ユーザにより操作表示部7が操作され、画情報送信が指令されると、そのときにセットされた送信原稿をスキャナ5で読み取り、それによって得た画像データを符号化複号化部8で符号化圧縮し、それによって得た画情報を画像蓄積装置9に蓄積し、指定された宛先へ発呼して、蓄積した送信画情報を送信する。
【0031】そして、その画情報送信について、図3(a)に示すような履歴情報を作成する。また、蓄積した画情報を管理するために、同図(b)に示すような蓄積管理情報を作成して保存する。
【0032】履歴情報は、ワークステーション装置WS(WS1?WSn)から履歴情報を取り出す際に参照される送信履歴用パスワード、送信日時、送信時の伝送モード、宛先の電話番号をあらわす宛先番号、その送信動作の結果をあらわす送信結果、および、送信する画情報のファイル番号をあらわす送信画情報ファイル番号からなる。
【0033】また、蓄積管理情報は、それぞれの蓄積画情報を識別するためのファイル番号、蓄積画情報の画像モード(解像度、符号化方式など)、および、対応する蓄積画情報が、画像蓄積装置9に記憶されている態様を記憶するための画像マッピング情報からなる。




「【0054】さて、ワークステーション装置WSのユーザは、ファクシミリビューワーソフトを起動することで、自分がネットワークファクシミリ装置FXに対して既に蓄積させた送信画情報を、他の宛先に配信させるすることを指定できる。
【0055】この場合でも、他のユーザの送信動作にかかる送信画情報を参照できるようにすることは、通信の秘匿性の上でも、また、必要な送信画情報を選択する際の手間の上でも好ましくない。
【0056】そこで、図9に示すように、履歴情報に、図3(a)の送信履歴用パスワードに代えて、送信宛先情報用パスワードを設定し、同一ユーザが履歴情報を参照して、蓄積送信画情報の配信を指定できるようにすると、上述した不都合を解消することができる。





(エ)(段落0057?0060)
「【0057】このときに、ネットワークファクシミリ装置FXを用いて、ユーザが画情報送信動作するときのネットワークファクシミリ装置FXの処理の一例を、図10に示す。
【0058】ユーザにより送信原稿がスキャナ5にセットされると(処理501)、ネットワークファクシミリ装置FXは、ユーザに宛先の入力を要求して、ユーザに操作表示部7を操作させて宛先を入力させ(処理502)、次いで、送信宛先情報用パスワードの入力を要求し、ユーザに操作表示部7を適宜に操作させて送信宛先情報用パスワードを入力させる(処理303)。
【0059】そして、ネットワークファクシミリ装置FXは、そのときにセットされた送信原稿をスキャナ5で読み取り、それによって得た画像データを符号化複号化部8で符号化圧縮し、それによって得た画情報を画像蓄積装置9に蓄積(処理304)。なお、この場合には、図3(b)と同様な蓄積管理情報を作成して保存する。
【0060】このようにして、送信画情報の蓄積が終了すると、指定された宛先へ発呼して、蓄積した送信画情報を送信する(処理505)。そして、そのときの送信動作について、上述したような送信宛先情報用パスワードが付加された履歴情報情報を作成して保存する(処理506)。」

(オ)(段落0061?0066)
「【0061】一方、ワークステーション装置WSでは、ネットワークファクシミリ装置FXの送信画情報を参照して配信させる場合には、図11に示すような処理を実行する。
【0062】まず、ユーザにより、ファクシミリビューワが起動されると(処理601)、ユーザに対して送信宛先情報用パスワードの入力を要求して、ユーザに送信宛先情報用パスワードを入力させ(処理602)、次いで、ネットワークファクシミリ装置FXに対し、処理602で入力された送信宛先情報用パスワードを指定した状態で、履歴情報の取得要求を発行する(処理603)。
【0063】これにより、ネットワークファクシミリ装置FXでは、ワークステーション装置WSから指定された送信宛先情報用パスワードと同じ値が、送信宛先情報用パスワードにセットされている履歴情報が検索され、それによって得られた1つ以上の履歴情報が、ネットワークファクシミリ装置FXからその送信画情報の取得要求元のワークステーション装置WSへと送信される。なお、この場合におけるワークステーション装置WSとネットワークファクシミリ装置FXとの間のデータのやりとりは、適宜なポイント・ツー・ポイントの伝送プロトコルに従ってなされる。
【0064】したがって、ワークステーション装置WSでは、ネットワークファクシミリ装置FXから1つ以上の送信履歴情報を受信し(処理604)、その受信した1つ以上の送信履歴情報の内容を一覧表示して(処理605)、ユーザに対して、宛先を変更するか否かを問い合わせて、それぞれの送信履歴情報に関して宛先を変更操作させる宛先変更操作処理(処理606)を実行する。
【0065】これにより、ユーザが1つ以上の送信履歴情報について、宛先を変更した場合には(判断607の結果がYES)、その宛先が変更されたそれぞれの送信履歴情報について、その送信履歴情報に記憶されていた送信画情報ファイル番号と、変更された宛先の内容を指定した状態で、ネットワークファクシミリ装置FXへ送信要求を発行する(処理608)。」
【0066】これにより、ネットワークファクシミリ装置FXは、ワークステーション装置WSから通知された送信画情報ファイル番号の蓄積画情報を、指定された送信宛先へ送信する送信動作を行う。」

(カ)引用発明
a.上記(ウ)の記載事項は、段落【0030】の「ユーザにより操作表示部7が操作され」、「セットされた送信原稿をスキャナ5で読み取り」、「画情報を画像蓄積装置9に蓄積し」及び「指定された宛先へ発呼して、蓄積した送信画情報を送信する」の記載は、上記(イ)に記載の「ネットワークファクシミリ装置FX」の構成要素を含んでいることから、「ネットワークファクシミリ装置FX」の制御処理であることは明らかである。
よって、上記(ウ)の記載事項を、「ネットワークファクシミリ装置FX」が履歴情報及び蓄積管理情報を作成して保存する処理であるとして認定する。

b.また、上記(ウ)の段落【0054】及び【0056】の記載から、「ネットワークファクシミリ装置FX」が作成して保存する履歴情報及び蓄積管理情報については、段落【0056】及び図9に記載された実施形態に係る事項を、引用文献1に記載の発明として認定する。

c.よって、上記(ア)?(オ)に摘記した記載事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
符号a?eは説明のため当審で付与したものであり、以下、構成a?構成eと称する。

(引用発明)
(a)ローカルエリアネットワークLANに、複数のワークステーション装置WS1?WSn、および、ネットワークファクシミリ装置FXが接続されているネットワークシステムにおいて、
(a1)ワークステーション装置WS1?WSnには、グループ3ファクシミリ伝送手順処理を実行するとともに、ファクシミリ画情報を作成および表示出力するファクシミリアプリケーションソフトウェア(ファクシミリ通信手段)、および、ローカルエリアネットワークLANを介して種々のデータのやりとりを行うための種々のソフトウェアなどの種々のプログラムが導入されており、
(a2)ネットワークファクシミリ装置FXは、ローカルエリアネットワークLANに接続したワークステーション装置WS1?WSnに対して、ファクシミリモデム機能等を提供するためのサーバ機能、画情報を電子メールとしてやりとりするための電子メール処理機能、および、公衆網(PSTN)に接続し、この公衆網を伝送路として用いてグループ3ファクシミリ伝送手順による画情報伝送を行う伝送機能を備え、

(b)ネットワークファクシミリ装置FXの構成は、
(b1)システム制御部1は、このネットワークファクシミリ装置FXの各部の制御処理、および、ファクシミリ伝送制御手順処理などの各種制御処理を行うものであり、
(b2)システムメモリ2は、システム制御部1が実行する制御処理プログラム、および、処理プログラムを実行するときに必要な各種データなどを記憶するとともに、システム制御部1のワークエリアを構成するものであり、
(b3)スキャナ5は、所定の解像度で原稿画像を読み取るためのものであり、
(b4)操作表示部7は、このネットワークファクシミリ装置FXを操作するためのもので、各種の操作キー、および、各種の表示器からなり、
(b5)画像蓄積装置9は、符号化圧縮された状態の画情報を多数記憶するためのものであり、
(b6)グループ3ファクシミリモデム10は、グループ3ファクシミリのモデム機能を実現するためのものであり、
(b7)網制御装置11は、このファクシミリ装置を公衆網(PSTN)に接続するためのものであり、自動発着信機能を備え、
(b8)ローカルエリアネットワークインターフェース回路12は、このネットワークファクシミリ装置FXをローカルエリアネットワークLANに接続するためのものであり、
(b9)ローカルエリアネットワーク伝送制御部13は、ローカルエリアネットワークLANを介して、他のデータ端末装置との間で種々のデータをやりとりするための各種所定のプロトコルスイートの通信制御処理を実行するためのものであり、
を備え、

(b10)そして、ネットワークファクシミリ装置FXは、
(b11)読み取った原稿画像を公衆網PSTNを介して他のグループ3ファクシミリ装置へ、または、
(b12)ローカルエリアネットワークLAN(さらには、インターネット)を介してワークステーション装置WS1?WSnのユーザへ送信するとともに、
(b13)公衆網PSTNを介して他のグループ3ファクシミリ装置より受信した画情報を、そのときに指定されたサブアドレスに対応したユーザに対して、電子メールを用いて転送したり、あるいは、
(b14)ローカルエリアネットワークLANのワークステーションWSより受信した画情報を、指定された短縮ダイアルに対応した公衆網PSTNのグループ3ファクシミリ装置へ転送する転送サービス機能等
を備え、

(c)ネットワークファクシミリ装置FXは、
(c1)ユーザにより操作表示部7が操作され、画情報送信が指令されると、そのときにセットされた送信原稿をスキャナ5で読み取り、それによって得た画情報を画像蓄積装置9に蓄積し、指定された宛先へ発呼して、蓄積した送信画情報を送信し、
(c2)その画情報送信について、履歴情報を作成し、また、蓄積した画情報を管理するために、蓄積管理情報を作成して保存し、
(c3)ワークステーション装置WSのユーザは、ファクシミリビューワーソフトを起動することで、自分がネットワークファクシミリ装置FXに対して既に蓄積させた送信画情報を、他の宛先に配信することを指定でき、
(c4)履歴情報は、ワークステーション装置WS(WS1?WSn)から履歴情報を取り出す際に参照される送信宛先情報用パスワード、送信日時、送信時の伝送モード、宛先の電話番号をあらわす宛先番号、その送信動作の結果をあらわす送信結果、および、送信する画情報のファイル番号をあらわす送信画情報ファイル番号からなり、
(c5)蓄積管理情報は、それぞれの蓄積画情報を識別するためのファイル番号、蓄積画情報の画像モード(解像度、符号化方式など)、および、対応する蓄積画情報が、画像蓄積装置9に記憶されている態様を記憶するための画像マッピング情報からなり、

(d)ネットワークファクシミリ装置FXを用いて、ユーザが画情報送信動作するときのネットワークファクシミリ装置FXの処理は、
(d1)ユーザにより送信原稿がスキャナ5にセットされると(処理501)、
(d2)ユーザに宛先の入力を要求して、ユーザに操作表示部7を操作させて宛先を入力させ(処理502)、
(d3)送信宛先情報用パスワードの入力を要求し、ユーザに操作表示部7を適宜に操作させて送信宛先情報用パスワードを入力させ(処理303)、
(d4)そのときにセットされた送信原稿をスキャナ5で読み取り、それによって得た画情報を画像蓄積装置9に蓄積(処理304)し、この場合には、蓄積管理情報を作成して保存し、
(d5)送信画情報の蓄積が終了すると、指定された宛先へ発呼して、蓄積した送信画情報を送信し(処理505)、
(d6)そのときの送信動作について、送信宛先情報用パスワードが付加された履歴情報を作成して保存し(処理506)、

(e)ワークステーション装置WSでは、ネットワークファクシミリ装置FXの送信画情報を参照して配信させる場合には、
(e1)ユーザにより、ファクシミリビューワが起動されると(処理601)、
(e2)ユーザに対して送信宛先情報用パスワードの入力を要求して、ユーザに送信宛先情報用パスワードを入力させ(処理602)、
(e3)ネットワークファクシミリ装置FXに対し、処理602で入力された送信宛先情報用パスワードを指定した状態で、履歴情報の取得要求を発行し(処理603)、
(e4)ネットワークファクシミリ装置FXから1つ以上の送信履歴情報を受信し(処理604)、
(e5)その受信した1つ以上の送信履歴情報の内容を一覧表示して(処理605)、
(e6)ユーザに対して、宛先を変更するか否かを問い合わせて、それぞれの送信履歴情報に関して宛先を変更操作させる宛先変更操作処理(処理606)を実行し、
(e7)ユーザが1つ以上の送信履歴情報について、宛先を変更した場合には(判断607の結果がYES)、その宛先が変更されたそれぞれの送信履歴情報について、その送信履歴情報に記憶されていた送信画情報ファイル番号と、変更された宛先の内容を指定した状態で、ネットワークファクシミリ装置FXへ送信要求を発行し(処理608)、
(e8)これにより、ネットワークファクシミリ装置FXは、ワークステーション装置WSから通知された送信画情報ファイル番号の蓄積画情報を、指定された送信宛先へ送信する送信動作を行う

(a)ネットワークシステム。」

イ 引用文献5の記載事項、周知技術
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5(特開平11-177614号公報)には、図面と共に次の記載がある。なお、下線は当審で付したものである。

(ア)引用文献5の記載事項
「【0015】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、配信依頼データのネットワーク端末への転送に要する処理負荷を軽減することができ、通信管理レポートのネットワーク端末への転送に要する処理負荷を軽減することができ、また、ネットワーク端末から転送された送信依頼データの処理機能を容易に拡張することができるネットワーク対応通信装置を提供することを目的とする。」

「【0022】先ず、図1に、本発明の実施の形態に係るネットワーク対応通信装置としてのネットワークファクシミリ装置2が接続されたネットワーク1を含む、通信システムの構成を示す。
【0023】同図において、ネットワーク1は、ネットワークファクシミリ装置2、サーバ装置3、パーソナルコンピュータ等のクライアント端末4a、4b、及び、ネットワークプリンタ6をネットワーク端末として相互接続するLAN(ローカルエリアネットワーク)5と、そのLAN5とルータ10を介して接続されたインターネット12とにより構成されている。
【0024】(略)また、クライアント端末4a、4bは、HTTP(HiperTextTransferProtocol)のプロトコルに対応したホームページ閲覧アプリケーションがインストールされていて、HTTPクライアントとしても動作し、ネットワーク1上のHTTPサーバに蓄積されたページ情報(Webページ)を、TCP上でのHTTPに基づく要求と応答のやりとりにより、取得する。」

「【0025】
次に、ネットワーク1上のHTTPサーバでもある、本発明に係るネットワークファクシミリ装置2の構成を図2に示す。
【0026】
同図において、ネットワークファクシミリ装置2は、CPU20、ROM21、RAM22、タイマ制御部23、操作表示部24、画像メモリ25、URL付メール作成部26、リスト/レポート作成部27、HTML作成部28、アドレス変換テーブル29、LAN通信制御部30、プロッタ部31、スキャナ部32、符号化復号化部33、通信制御部34、モデム35、網制御部36、及び、システムバス37により構成されている。
(略)
【0030】
URL付メール作成部26は、所在を通知したいWebページのURL(Universal Resource Locator)情報を添付した電子メールを作成するものである。リスト/レポート作成部27は、システムに登録された内容に基づいて所定のフォーマットのリストやレポートを作成するためのものである。HTML作成部28は、リスト/レポート作成部27で作成されたキャラクタ情報を基にHTML文書を生成するものである。」

「【0047】次に、以上のように構成されるネットワークファクシミリ装置2における配信依頼データ転送処理手順について、図6を参照して説明する。
(略)
【0053】処理108または処理109の後は、処理110に移行し、処理110では、処理103のファクシミリ受信処理、または、処理109のファクシミリ送信処理のいずれかの通信に関連して得られた情報(通信管理情報)を収集して、通信管理テーブル(データベース)に登録する(処理110)。なお、通信管理テーブルは、RAM22に記憶される。
【0054】そして、処理110で新たな通信管理情報が登録された通信管理テーブルの内容に基づいて、リスト/レポート作成部27により、通信管理レポートを作成し、HTML作成部28によりHTML文化することで、通信管理Webページを作成してネットワーク1に公開する(処理111)。
【0055】
図7に、処理110で通信管理情報が登録される通信管理テーブルを示す。同図において、各通信に係る通信管理情報にはそれぞれ番号が付されていて、通信日付、通信開始時刻、通信相手先、交信モード、通信時間、通信枚数、通信結果等の通信に関連して得られる情報の各フィールドにより構成されている。」

「【0056】次に、ネットワークファクシミリ装置2におけるWebページ転送処理手順について、図8を参照して説明する。
(中略)
【0063】さて、通信管理Webページの転送要求があった場合は(判断202のYes)、その転送要求された通信管理Webページを転送要求元のクライアント端末(のIPアドレス)宛に転送する(処理205)。
【0064】これにより、転送要求元のクライアント端末においてはWWWブラウザにより通信管理Webページが表示され、汎用的なWWWサービスを利用して通信管理レポートをネットワーク1上の各ユーザに参照させることができる。図9に処理205で転送され表示される通信管理Webページの内容例示す。」

「【図9】




(イ)文献5周知技術
上記(ア)の記載から、引用文献5には、次の周知技術(文献5周知技術)が記載されている。

(文献5周知技術)
通信管理レポートのネットワーク端末への転送に要する処理負荷を軽減することができるネットワーク対応通信装置を提供することを目的として、
ネットワークファクシミリ装置、クライアント端末を相互接続するLANより構成されているネットワークにおいて、
クライアント端末は、HTTPのプロトコルに対応したホームページ閲覧アプリケーションがインストールされていて、HTTPクライアントとしても動作し、
ネットワークファクシミリ装置は、リスト/レポート作成部、HTML作成部より構成され、
通信管理情報が登録された通信管理テーブルの内容に基づいて、リスト/レポート作成部により、通信管理レポートを作成し、HTML作成部によりHTML文化することで、通信管理Webページを作成し
通信管理Webページの転送要求があった場合は、その転送要求された通信管理Webページを転送要求元のクライアント端末宛に転送し、
転送要求元のクライアント端末においてはWWWブラウザにより通信管理Webページが表示され、汎用的なWWWサービスを利用して通信管理レポートをネットワーク1上の各ユーザに参照させることができ、
各通信に係る通信管理情報にはそれぞれ番号が付されていて、通信日付、通信開始時刻、通信相手先、交信モード、通信時間、通信枚数、通信結果等の通信に関連して得られる情報の各フィールドにより構成される技術。

ウ 引用文献9及び10の記載事項、周知技術
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献9(特開平10-301863号公報)及び10(特開平11-168614号公報)には、図面と共に次の記載がある。下線は当審で付したものである。

(ア)引用文献9の記載事項
「【0026】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕本発明の実施の第1の形態について、図1ないし図3を用いて説明すれば、以下の通りである。図2(a)は、本実施の形態にかかる情報通信装置(以下、本情報通信装置とする)の構成を示すブロック図である。この図に示すように、本情報通信装置は、中央処理部(制御手段・受信者分類手段)1と、送信情報記憶部2と、電話帳データ記憶部3と、宛先リストデータ記憶部4と、送信制御部(情報変換手段・送信手段)5と、電子メール制御部(送信手段)6と、ファクシミリ制御部(送信手段)7と、電話制御部(送信手段)8とから構成されている。
【0027】中央処理部1は、本情報通信装置における情報通信に関する全ての演算を行う、本情報通信装置の中枢部である。送信情報記憶部2は、本情報通信装置に備えられた図示しない入力装置によって入力されたオリジナル情報を、送信情報として記憶するためのものである。
(中略)
【0034】送信制御部5は、電子メール、ファクシミリ、および電話の各受信形態によって受信可能な情報となるように、上記の送信情報を各受信形態に対応した変換情報に変換するためのものである。さらに、送信制御部5は、後述する電子メール制御部6、ファクシミリ制御部7、電話制御部8を介して、各受信者に上記の変換情報を送信するためのものである。」

「【0055】本実施の形態にかかる情報通信装置(以下、本情報通信装置とする)では、中央処理部1が送信用宛先リストデータ16を作成すると共に、後述する送信管理データ21を作成する。送信管理データ21は、各受信者が保持している受信形態と、この受信形態への送信の記録を記載するためのものである。」

「【0102】図9は、本実施の形態にかかる情報通信装置(以下、本情報通信装置とする)の構成を示すブロック図である。この図に示すように、本情報通信装置は、図2に示した構成において、送信管理データ制御部(表示手段)41を付加した構成である。
【0103】送信管理データ制御部41は、図7に示した送信管理データ21を、ユーザにとって確認しやすいように変換して、後述する送信管理表示用データ(履歴情報)42を作成し、図示しないメモリに記憶すると共に、本情報通信装置に備えられた図示しないモニタ等の表示画面に表示するためのものである。
【0104】図10は、送信管理表示用データ42の例を示す説明図である。この図に示すように、送信管理表示用データ42は、送信管理データ21によって示される送信履歴を、ユーザに確認し易いように表示するためのもので、文字コードを用いて構成されたデータである。」

「【図10】



(イ)引用文献10の記載事項
「【0011】図1は、本発明の一実施例にかかるネットワークシステムを示している。
【0012】同図において、ローカルエリアネットワークLANには、複数のワークステーション装置WS1?WSn、メールサーバ装置SM、および、ネットワークファクシミリ装置FXが接続されている。また、ローカルエリアネットワークLANは、ルータ装置RTを介して、インターネットへと接続され、他のローカルエリアネットワーク等に接続されているホスト装置等との間で種々のデータのやりとりが可能である。
(略)
【0019】そして、ネットワークファクシミリ装置FXは、読み取った原稿画像を公衆網PSTNを介して他のグループ3ファクシミリ装置へ、または、ローカルエリアネットワークLAN(さらには、インターネット)を介してワークステーション装置WS1?WSnのユーザへ送信するとともに、公衆網PSTNを介して他のグループ3ファクシミリ装置より受信した画情報を、そのときに指定されたサブアドレスに対応したユーザに対して、電子メールを用いて転送したり、あるいは、ローカルエリアネットワークLANのワークステーションWSより受信した画情報を、指定された短縮ダイアルに対応した公衆網PSTNのグループ3ファクシミリ装置へ転送する転送サービス機能等を備えている。」

「【0022】図2は、ネットワークファクシミリ装置FXの構成例を示している。
【0023】同図において、システム制御部1は、このネットワークファクシミリ装置の各部の制御処理、および、ファクシミリ伝送制御手順処理などの各種制御処理を行うものであり、システムメモリ2は、システム制御部1が実行する制御処理プログラム、および、処理プログラムを実行するときに必要な各種データなどを記憶するとともに、システム制御部1のワークエリアを構成するものであり、パラメータメモリ3は、このネットワークファクシミリ装置に固有な各種の情報を記憶するためのものであり、時計回路4は、現在時刻情報を出力するものである。
【0024】スキャナ5は、所定の解像度で原稿画像を読み取るためのものであり、プロッタ6は、所定の解像度で画像を記録出力するためのものであり、操作表示部7は、このネットワークファクシミリ装置を操作するためのもので、各種の操作キー、および、各種の表示器からなる。
(略)
【0026】グループ3ファクシミリモデム10は、グループ3ファクシミリのモデム機能を実現するためのものであり、伝送手順信号をやりとりするための低速モデム機能(V.21モデム)、および、おもに画情報をやりとりするための高速モデム機能(V.17モデム、V.34モデム、V.29モデム、V.27terモデムなど)を備えている。
【0027】網制御装置11は、このファクシミリ装置を公衆網(PSTN)に接続するためのものであり、自動発着信機能を備えている。
【0028】ローカルエリアネットワークインターフェース回路12は、このインターネットファクシミリ装置をローカルエリアネットワークLANに接続するためのものであり、ローカルエリアネットワーク伝送制御部13は、ローカルエリアネットワークLANを介して、他のデータ端末装置との間で種々のデータをやりとりするための各種所定のプロトコルスイートの通信制御処理(電子メール送受信処理やポイント・ツー・ポイント通信処理等)を実行するためのものである。」

「【0031】また、ネットワークファクシミリ装置FXは、送受信動作を行う度に、図3に示すような通信履歴情報を作成し、パラメータメモリ3に形成する通信履歴テーブル(図示略)に保存する。
【0032】この通信履歴情報は、通信日時、通信モード(G3またはMailの別;G3の場合には、送受信/列信/親展/中継/ポーリング/蓄積送受信/時刻指定送信/メモリー転送/ECM/線密度(解像度)/縮小/リモート中継/情報サービス/内線のそれぞれの情報など)、通信に要した時間をあらわす通信時間、送受信した画像の枚数、通信結果、通信料金、送信時に指定されたユーザの部門名、送受信した画情報ファイルに有り当てられたファイル番号、宛先数、および、それぞれの宛先の相手先名称からなる。
(中略)
【0036】また、通信履歴テーブルに所定数の通信履歴情報が保存された場合、あるいは、ユーザにより通信管理レポートの出力が要求された場合には、ネットワークファクシミリ装置FXは、通信履歴テーブルに保存されている複数の通信管理情報に基づいて、図5に示すような通信管理レポートを作成して、プロッタ6より記録出力する。」

「【図5】




(ウ)文献9及び10周知技術
a.上記(ア)の記載から、引用文献9には次の技術が記載されている。

中央処理部(制御手段・受信者分類手段)1、送信制御部(情報変換手段・送信手段)5、電子メール制御部(送信手段)6、ファクシミリ制御部(送信手段)7、電話制御部(送信手段)8とから構成される情報通信装置において、
送信制御部5は、電子メール、ファクシミリ、および電話の各受信形態によって受信可能な情報となるように、送信情報を各受信形態に対応した変換情報に変換し、電子メール制御部6、ファクシミリ制御部7、電話制御部8を介して、各受信者に上記の変換情報を送信し、
中央処理部1は、送信管理データ21を作成し、送信管理データ21は、各受信者が保持している受信形態と、この受信形態への送信の記録を記載し、
送信管理データ制御部41をさらに備え、
送信管理データ制御部41は、送信管理データ21を、ユーザにとって確認しやすいように変換して、送信管理表示用データ(履歴情報)42を作成し、メモリに記憶すると共に、本情報通信装置に備えられたモニタ等の表示画面に表示する
情報通信装置。

b.上記(イ)の記載から、引用文献10には、次の技術が記載されている。

読み取った原稿画像を公衆網PSTNを介して他のグループ3ファクシミリ装置へ、または、ローカルエリアネットワークLAN(さらには、インターネット)を介してワークステーション装置WS1?WSnのユーザへ送信するネットワークファクシミリ装置FXであって、
パラメータメモリ3は、このネットワークファクシミリ装置に固有な各種の情報を記憶し、
プロッタ6は、所定の解像度で画像を記録出力し、
グループ3ファクシミリモデム10は、グループ3ファクシミリのモデム機能を実現し、
ローカルエリアネットワーク伝送制御部13は、ローカルエリアネットワークLANを介して、他のデータ端末装置との間で種々のデータをやりとりするための各種所定のプロトコルスイートの通信制御処理(電子メール送受信処理やポイント・ツー・ポイント通信処理等)を実行し、
ネットワークファクシミリ装置FXは、
送受信動作を行う度に、通信履歴情報を作成し、パラメータメモリ3に形成する通信履歴テーブルに保存し、
通信履歴情報は、通信日時、通信モード(G3またはMailの別)、通信に要した時間をあらわす通信時間、送受信した画像の枚数、通信結果、通信料金、送信時に指定されたユーザの部門名、送受信した画情報ファイルに有り当てられたファイル番号、宛先数、および、それぞれの宛先の相手先名称からなり、
通信履歴テーブルに保存されている複数の通信管理情報に基づいて、通信管理レポートを作成して、プロッタ6より記録出力する
ネットワークファクシミリ装置。

c.以上から、引用文献9及び引用文献10には、次の周知技術(文献9及び10周知技術)が記載されている。
(文献9及び10周知技術)
ファクシミリ送信手段及び電子メール送信手段を少なくとも備える情報処理装置において、ファクシミリ送信手段による送信処理の履歴及び電子メール送信手段による送信処理の履歴を記憶し、ファクシミリ送信手段による送信処理の履歴及び電子メール送信手段による送信処理の履歴を少なくとも含む履歴の一覧を表示ないし記録出力する技術。

(4-3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。

ア 構成A1’及びA2’について

構成b10の「読み取った原稿画像」は、構成A1’及びA2’の「入力された画像」に相当する。

構成b11の「他のグループ3ファクシミリ装置」及びb12「ワークステーション装置WS1?WSnのユーザ」は、構成d2によれば、入力させた「宛先」であって、「指定の宛先」といえるから、構成A1’及びA2’の「指定の宛先」に相当する。

構成b11の「他のグループ3ファクシミリ装置へ」送信する「転送サービス機能」及び構成b12の「ワークステーション装置WS1?WSnのユーザへ送信する」「転送サービス機能」は、構成A1’及びA2’の「入力された画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行する送信処理手段」に相当する。

構成b11の「公衆網PSTNを介して他のグループ3ファクシミリ装置へ」送信する「転送サービス機能」は、ファックスの送信処理といえるから、構成A1’及びA2’の「ファックスの送信処理を、有線を用いて実行可能な送信処理手段」に相当する。
また、構成b12の「ローカルエリアネットワークLAN(さらには、インターネット)を介してワークステーション装置WS1?WSnのユーザへ送信する」「転送サービス機能」は、電子メールとしてやりとりする(構成a2)から、構成A1’及びA2’の「電子メールの送信処理を、有線を用いて実行可能な送信処理手段」に相当する。
ここで、構成A1’及びA2’の「電子メール、リモートプリンタ、ファックス、ファイル転送(FTP)、データベースへの転送のうちのいずれかの送信処理」の発明特定事項については、選択肢によって発明を特定するものであり、
さらに、構成A1’及びA2’の「第1の送信処理手段」と「前記第1の送信処理手段で実行される送信処理とは異なる送信処理を有線を用いて実行可能な第2の送信処理手段」の発明特定事項については、「第2の送信処理手段」は「第1の送信処理手段」とは異なることのみを特定するものであることから、
構成b11の「転送サービス機能」を第1の転送サービス機能と称し、構成b12の「転送サービス機能」を第2の転送サービス機能と称して対比する。

そうすると、構成b11の「第1の転送サービス機能」は、以上のことから、構成A1’の「第1の送信処理手段」に相当し、構成b12の「第2の転送サービス機能」は構成b11の「第1の転送サービス機能」とは異なるから、構成A2’の「第2の送信処理手段」に相当する。

したがって、引用発明は本件補正発明と構成A1’及びA2’を有している点で、一致する。

イ 構成B1’及びB2’について

構成cの「履歴情報」は、構成c1の「送信画情報を送信」の「画情報送信」について作成したものであり、「実行された送信処理についての履歴」といえる。
また、構成cの「履歴情報」は、構成c4よれば、「その送信動作の結果をあらわす送信結果」を含むから、「少なくとも正常に実行された送信処理についての履歴」といえる。

構成c2は、「履歴情報」を保存するから、ネットワークファクシミリ装置に保存されること、すなわちネットワークファクシミリ装置が備える記憶手段に記憶することは明らかである。
ただし、構成bのネットワークファクシミリ装置は、構成b2のシステムメモリ2と構成b5の画像蓄積装置9を備えるが、構成cの「履歴情報」をいずれの記憶手段に記憶するかは明記がない。
また、構成cの「履歴情報」は、構成c4によれば、「送信する画情報のファイル番号をあらわす送信画情報ファイル番号」を含むから、構成c2は、「送信処理についての履歴を対応する画像に関連づけて記憶する」といえる。

ここで、構成cの「履歴情報」は、構成b11の「他のグループ3ファクシミリ装置へ」送信する「転送サービス機能」と、構成b12の「ワークステーション装置WS1?WSnのユーザへ送信する」「転送サービス機能」とのいずれかあるいは両方の履歴であるか、明記されていないが、構成c4によれば、「宛先の電話番号をあらわす宛先番号」を含むから、構成b11の「転送サービス機能」の履歴は少なくとも含んでいるといえる。

以上のことから、構成cの「ネットワークファクシミリ装置」は、「第1の送信処理手段により実行された送信処理のうち少なくとも正常に実行された送信処理についての第1の履歴を対応する画像に関連づけて記憶する記憶手段」を備えるといえる。

よって、本件補正発明と引用発明は、構成B1’を備える点で一致する。
しかしながら、記憶手段が記憶する履歴について、本件補正発明は、「第2の履歴」を含むのに対して、引用発明は、「第2の履歴」を記憶するか明記がない点で相違する(相違点1)。

ウ 構成C’について

構成e5の「送信履歴情報」は、構成e4でネットワークファクシミリ装置から受信した情報であって、構成c2の「履歴情報」であるから、上記イで検討したとおり、ファックスの送信処理である第1の送信処理手段の履歴は少なくとも含んでいるといえる。

構成e1の「ファクシミリビューワ」は、構成e5の「送信履歴情報の内容を一覧表示」するから、履歴の一覧を表示する表示手段といえる。

以上のことから、構成e1の「ファクシミリビューワ」は、「第1の履歴を少なくとも含む履歴の一覧を表示する表示手段」といえる。

よって、本件補正発明と引用発明は、第1の履歴を少なくとも含む履歴の一覧を表示する表示手段を備える点で共通する。
しかしながら、表示手段が表示する履歴について、本件補正発明は「第2の履歴」を含むのに対して、引用発明は「第2の履歴」を含むのか明記がない点で相違する(相違点1)。

エ 構成Dについて

構成e6の「宛先変更操作処理」は、構成e5の「送信履歴情報の内容を一覧表示」した上で行うことから、構成Dの「表示手段に表示された一覧から所望の履歴をユーザに選択させる」ことに相当する。

構成e7の「送信要求」は、構成e8の「通知された送信画情報ファイル番号の蓄積画情報を、指定された送信宛先へ送信する送信動作」を行うことになるから、構成Dの「選択された履歴に対応する送信処理を再び実行させるための再実行指示」に相当する。

また、構成e7の「ユーザが1つ以上の送信履歴情報について、宛先を変更した場合には、その宛先が変更されたそれぞれの送信履歴情報について」、「送信要求を発行」することは、ユーザに選択させるとともに、ユーザに指示させることといえる。

そして、構成eの「ファクシミリビューワ」は、ユーザに対して宛先変更操作処理の問い合わせ(構成e6)を実行するから、入力手段といえる。

以上のことから、構成eの「ファクシミリビューワ」は、「前記表示手段に表示された前記一覧から所望の履歴をユーザに選択させるとともに、選択された履歴に対応する送信処理を再び実行させるための再実行指示を前記ユーザに指示させるための入力手段」といえる。

よって、本件補正発明と引用発明は、構成Dを有する点で一致する。

オ 構成E1’及びE2’について

また、構成e8の「送信動作」は、構成e7の発行された「送信要求」により行われるから、構成E1’及び構成E2’の「前記一覧から履歴が選択され前記再実行指示がなされたことに従って」、「指定の宛先へ送信する送信処理」に相当する。

構成e8の「送信画情報ファイル番号」は、構成e7の「送信履歴情報に記憶されていた送信画情報ファイル番号」であることから、構成E1’及び構成E2’の「履歴に関連づけられた画像」に相当する。

ここで、上記イで検討したとおり、構成e6及び構成e7の「送信履歴情報」は、ファックスの送信処理である第1の送信処理手段の履歴は少なくとも含んでいるといえる。

以上のことから、構成e8の「ネットワークファクシミリ装置FX」は、「前記一覧から前記第1の送信処理手段による送信処理の履歴が選択され前記再実行指示がなされたことに従って、前記第1の送信処理手段は選択された履歴に関連づけられた画像を前記第1の種類の指定の宛先へ送信する送信処理を実行」するといえる。

よって、本件補正発明と引用発明は、構成E1’を備える点で一致する。
しかしながら、履歴が選択され再実行指示がなされたことに従って、履歴に関連付けられた画像を指定の宛先へ送信する送信処理について、本件補正発明は、「第2の履歴」が選択され、「第2の送信処理手段」が「第2の履歴に関連付けられた画像」を送信する処理を含むのに対して、引用発明は、そのような処理を含むのか明記がない点で相違する(相違点2)。

カ 構成Fについて
構成aの「ネットワークシステム」は、構成Fの「画像処理システム」に相当する。

キ まとめ
以上によると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

[一致点]
(A1’)入力された画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行する第1の送信処理手段であって、電子メール、リモートプリンタ、ファックス、ファイル転送(FTP)、データベースへの転送のうちのいずれかの送信処理を、有線を用いて実行可能な第1の送信処理手段と、
(A2’)入力された画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行する第2の送信処理手段であって、電子メール、リモートプリンタ、ファックス、ファイル転送(FTP)、データベースへの転送のうちのいずれかの送信処理であって前記第1の送信処理手段で実行される送信処理とは異なる送信処理を有線を用いて実行可能な第2の送信処理手段と、
(B1’)前記第1の送信処理手段により実行された送信処理のうち少なくとも正常に実行された送信処理についての第1の履歴を対応する画像に関連づけて記憶する記憶手段と、
(C’’)第1の履歴を少なくとも含む履歴の一覧を表示する表示手段と、
(D)前記表示手段に表示された前記一覧から所望の履歴をユーザに選択させるとともに、選択された履歴に対応する送信処理を再び実行させるための再実行指示を前記ユーザに指示させるための入力手段と、を有し、
(E1’)前記一覧から前記第1の履歴が選択され前記再実行指示がなされたことに従って、前記第1の送信処理手段は第1の履歴に関連づけられた画像を指定の宛先へ送信する送信処理を実行することを特徴とする
(F)画像処理システム。

他方で、本件補正発明と引用発明は、以下の点で相違する。

[相違点]
(相違点1)
記憶手段が記憶する履歴及び表示手段が表示する履歴の一覧について、本件補正発明は「第2の履歴」を含むのに対して、引用発明は「第2の履歴」を含むのか明記がない点。

(相違点2)
一覧から履歴が選択され再実行指示がなされたことに従って、履歴に関連付けられた画像を指定の宛先へ送信する送信処理について、本件補正発明は「第2の履歴」が選択され、「第2の送信処理手段」が「第2の履歴に関連付けられた画像」を送信する処理を含むのに対して、引用発明はそのような処理を含むのか明記がない点。

(相違点3)
表示手段について、本件補正発明は「Webブラウザで表示する」のに対して、引用発明はそのような構成を有していない点。

(4-4)判断
上記相違点について検討する。

ア 相違点1について
上記(4-2)ウ(ウ)のとおり、文献9及び10周知技術は、当業者における周知技術である。

ここで、文献9及び10周知技術の「ファクシミリ送信手段」、「電子メール送信手段」は、本件補正発明の「第1の送信処理手段」、「第2の送信処理手段」に相当し、さらに、文献9及び10周知技術の「電子メール送信手段による送信処理の履歴」は、本件補正発明の「第2の履歴」に相当する。

引用発明と文献9及び10周知技術は、ファクシミリ送信機能及び電子メール送信機能を有する情報処理装置において、送信履歴を記憶して表示するという点で共通の技術分野に属することから、引用発明に文献9及び10周知技術を適用することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。

よって、引用発明に文献9及び10周知技術を適用して、第1の送信処理手段により実行された送信処理の履歴に加えて、第2の送信処理手段により実行された送信処理について第2の履歴を、記憶手段が記憶する履歴及び表示手段が表示する履歴の一覧とすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。

イ 相違点2について
上記アのとおり、引用発明に文献9及び10周知技術を適用することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。

上記アで検討した、引用発明に文献9及び10周知技術を適用して構成される発明において、ユーザが履歴の一覧から第1の送信処理手段による送信処理の履歴を選択した場合のみならず、第2の送信処理手段による送信処理の履歴を選択した場合についても、送信処理を行うこととし、その場合に第2の送信処理手段が送信処理を実行する構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。

ウ 相違点3について
上記(4-2)イ(イ)のとおり、文献5周知技術は、当業者における周知技術である。

ここで、文献5周知技術の「ホームページ閲覧アプリケーション」及び「WWWブラウザ」は、本件補正発明の構成C’の「Webブラウザ」に相当し、さらに、文献5周知技術の「通信管理レポート」をHTML文化した「通信管理Webページ」は、本件補正発明の「履歴の一覧」に相当する。

引用発明と文献5周知技術は、ネットワークファクシミリ装置の通信の履歴情報を、当該ネットワークファクシミリ装置とネットワークで接続された別の端末に表示させるという点で共通の技術分野に属することから、引用発明に文献5周知技術を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。

よって、引用発明の表示手段に文献5周知技術を適用し、履歴の一覧をWebブラウザで表示する表示手段とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

エ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明、文献5周知技術、及び文献9及び10周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(4-5)まとめ
以上のように、本件補正発明は、引用文献3に記載された発明、引用文献5に記載された周知技術、及び引用文献9、10に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和1年8月28日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成30年5月17日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1において、「補正前の請求項1」として記載したとおりのものである。

2 引用文献、引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献の記載事項及び引用発明は、上記第2[理由]2(4-2)に記載したとおりである。

3 対比
本願発明は、上記第2[理由]2(1)で摘記した本件補正発明に追加された限定事項を省いたものである。
そうすると、上記第2[理由]2(4-3)の「対比」における検討を援用すると、本願発明と引用発明との[一致点]と[相違点]は以下のとおりである。

[一致点]
入力された画像を第1の種類の指定の宛先へ送信する送信処理を実行する第1の送信処理手段と、
入力された画像を第2の種類の指定の宛先へ送信する送信処理を実行する第2の送信処理手段と、
前記第1の送信処理手段により少なくとも正常に実行された送信処理についての履歴を対応する画像に関連づけて記憶する記憶手段と、
前記履歴の一覧を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示された前記一覧から所望の履歴をユーザに選択させるとともに、選択された履歴に対応する送信処理を再び実行させるための再実行指示を前記ユーザに指示させるための入力手段と、を有し、
前記一覧から前記第1の送信処理手段による送信処理の履歴が選択され前記再実行指示がなされたことに従って、前記第1の送信処理手段は選択された履歴に関連づけられた画像を前記第1の種類の指定の宛先へ送信する送信処理を実行することを特徴とする
画像処理システム。

[相違点]
(相違点1)
記憶手段が記憶する履歴及び表示手段が表示する履歴の一覧について、本願発明は「第2の送信処理手段」により実行された送信処理についての履歴を含むのに対して、引用発明は「第2の送信処理手段」により実行された送信処理についての履歴を含むのか明記がない点。

(相違点2)
一覧から履歴が選択され再実行指示がなされたことに従って、履歴に関連付けられた画像を指定の宛先へ送信する送信処理について、本願発明は「第2の送信処理手段による送信処理の履歴」が選択され、「第2の送信処理手段」が「第2の種類の指定の宛先」へ送信する処理を含むのに対して、引用発明はそのような処理を含むのか明記がない点。

(相違点3)
表示手段について、本願発明は「Webブラウザで表示する」のに対して、引用発明はそのような構成を有していない点。

4 判断
上記第2[理由]2(4-4)における検討を援用すると、相違点1ないし相違点3は、引用文献3に記載された発明、引用文献5に記載された周知技術、及び引用文献9、10に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-04-30 
結審通知日 2020-05-08 
審決日 2020-05-21 
出願番号 特願2017-2829(P2017-2829)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮島 潤  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 小池 正彦
曽我 亮司
発明の名称 画像処理システム、画像処理システムの制御方法  
代理人 大塚 康弘  
代理人 永川 行光  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康徳  
代理人 下山 治  
代理人 木村 秀二  
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