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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A01F
管理番号 1363951
審判番号 不服2019-14115  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-23 
確定日 2020-07-28 
事件の表示 特願2015-135498「作業車連携システム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月19日出願公開、特開2017- 12134、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年7月6日の出願であって、平成31年1月11日付けで拒絶理由通知がされ、平成31年3月12日付けで手続補正がされ、令和1年7月11日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、令和1年10月23日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

理由2.本願請求項1-3に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本願請求項4及び5に係る発明は、以下の引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2011-239693号公報
2.飼料用イネ生産利用マニュアル,山口県農林水産部,2013年 2月,URL,http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a17201/nougyou/kikaku/manyuaru
.html

第3 本願発明
本願請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、令和1年10月23日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
収穫物を放出した複数の放出位置を示す放出位置情報を送信する第1作業車と、前記放出位置情報を第1作業車から直接又は管理サーバを介して受信する第2作業車とを含む作業車連携システムであって、
第2作業車は、前記放出位置情報に含まれる収穫物の各放出位置と、予め定められた集積場所とに基づいて移動経路を算出し、前記移動経路に応じて前記各放出位置と前記集積場所とを自動的に往復しながら収穫物を回収する
ことを特徴とする作業車連携システム。
【請求項2】
第2作業車は、前記複数の放出位置の内、前記集積場所に近い放出位置から順に収穫物を回収し、前記集積場所に集積する
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車連携システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、前記放出位置情報及び第2作業車により回収された収穫物の集積数に基づいて作業日報を作成可能に構成される
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作業車連携システム。
【請求項4】
第1作業車が飼料コンバインベーラであり、第2作業車がラッピングマシンである
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の作業車連携システム。
【請求項5】
第1作業車がラッピングマシンであり、第2作業車がベールグラブである
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の作業車連携システム。」

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、自動耕作方法、及び自動耕作システムに関し、とくに農地における農作業を効率よく行うための技術に関する。」

(2)
「【0019】
自走耕作システム1は、農地4の畝(うね)、畦道(あぜみち)、農道等の農地4の近辺に設けられる一つ以上の基地局200、サーバ装置100、及び耕作を行う農機300を含む。
【0020】
このうちサーバ装置100は、自動耕作システム1を管理している耕作者3の住居などに設けられる。農機300は、例えば、耕運機、播種機(種苗・植え付け機、田植機、野菜移植機等)、収穫機(野菜収穫機、コンバイン等)、回収機などである。
【0021】
サーバ装置100と基地局200とは、有線又は無線の通信方式により通信可能に接続されている。またサーバ装置100と農機300とは、有線又は無線の通信方式で通信可能に接続されている。尚、本実施形態では、サーバ装置100と農機300とは、基地局200を介して有線又は無線の通信方式により通信可能に接続されているものとする。
【0022】
図2にサーバ装置100のハードウエア構成を示している。同図に示すように、サーバ装置100は、CPU111、メモリ112、ハードディスク113、入力装置114、表示装置115、及び基地局200と通信するための通信インタフェース116を備える。」

(3)
「【0024】 図3にサーバ装置100が備える主な機能を示している。サーバ装置100は、農地情報管理部121、耕作情報管理部122、及び情報送受信部123を備える。
【0025】
農地情報管理部121は、農地4に関する地理的な情報(地図情報、地形情報、地勢情報等)を農地情報131として管理している。
【0026】
耕作情報管理部122は、コース設定部1221、履歴管理部1222、及び土性情報管理部1223を含む。
【0027】
このうちコース設定部1221は、ユーザから、農機300の走行経路(以下、コースと称する。)の設定と、そのコースの走行中に農機300が行う農作業の設定を受け付け、受け付けた走行経路及び農作業をコース情報132として管理(記憶)する。
【0028】 履歴管理部1222は、農機300の過去の走行履歴を走行履歴133として管理する。また履歴管理部1222は、過去の走行において行った農作業の履歴を農作業履歴134として管理する。
【0029】 情報送受信部123は、コース情報送信部1231、農機現在位置受信部1232、農作業情報受信部1233、土性情報管理部1234、及び監視制御部1235を含む。
【0030】
このうちコース情報送信部1231は、コース設定部1221がユーザから受け付けて記憶したコース情報132を農機300に随時送信する。
【0031】
農機現在位置受信部1232は、後述する位置標定の機能によって取得される、農機300の現在位置を示す情報(以下、農機現在位置と称する。)を、農機300から随時受信する。農機現在位置受信部1232は、受信した農機現在位置を走行履歴133として管理する。
【0032】
農作業情報受信部1233は、農作業に関する情報(以下、農作業情報と称する。)を農機300から随時受信する。受信した農作業情報を農作業履歴134として管理する。」

(4)
「【0042】
図7は履歴管理部1222が管理する農作業履歴134の一例である。同図に示すように、農作業履歴134は、農地ID1341、農機ID1342、作業内容1343、作業位置1344、作業開始日時1345、及び作業終了日時1346の各項目を有する一つ以上のレコードで構成される。
【0043】
このうち農地ID1341には、前述した農地IDが設定される。農機ID1342には、前述した農機IDが設定される。作業内容1343には、農機300が実際に行った農作業を示す情報が設定される。作業位置1344には、農機300が実際に農作業を行った位置を示す情報(例えば、農機300が農作業を行った領域を示す情報)が設定される。作業開始日時1345には、農機300が作業を開始した日時が設定される。作業終了日時1346には、農機300が作業を終了した日時が設定される。」

(5)
「【0050】
図11に農機300の構成を示している。同図に示すように、農機300は、位置標定装置411、情報送受信部412、コース情報記憶部413、土性情報取得部415、自律走行制御装置416、操舵機構417、動力機構418、耕作機構419、及びセンサ420を備える。
【0051】
位置標定装置411は、後述する位置標定を行う装置である。情報送受信部412は、サーバ装置100と各種情報の送受信を行う。例えば情報送受信部412は、前述した農機現在位置、農作業情報、土性情報などを随時(例えばリアルタイムに)サーバ装置100に送信する。また情報送受信部412は、サーバ装置100から送られてくるコース情報132、及び、農機300の操舵機構417や動力機構418、耕作機構419を制御するための情報を随時受信する。
・・・(中略)・・・
【0054】
耕作機構419は具体的な農作業を行うための装置である。例えば農機300が耕運機であれば、農機300は耕作機構419としてロータリーを備える。また農機300が播種機であれば、農機300は耕作機構419として播種作業を行う装置(植付装置)を含む。また農機300が収穫装置であれば、耕作機構419は、収穫物の刈り取り、刈り取った収穫物の脱穀、脱穀した収穫物の集積、運搬可能な量を超えた収穫物の農地4への放置等を行う装置を含む。また農機300が回収機であれば、耕作機構419は、農地4に放置された収穫物を回収する装置(例えばクレーン装置)を含む。」

(6)
「【0075】
図19はサーバ装置100が表示装置115に表示するメニュー画面1900の一例である。同図に示すように、メニュー画面1900は、農地情報管理1911、コース情報設定1912、及び農機監視制御1913の各項目を有する。
【0076】
このうち農地情報管理1911は、農地情報131の内容を設定する場合に選択される項目である。ユーザはこの項目を選択することにより提供される設定機能を利用して、農地情報131を設定する。
【0077】
コース情報設定1912は、コース情報132の内容を設定する場合に選択される項目である。ユーザはこの項目を選択することにより提供される設定機能を利用して、コース情報132を設定する。農機監視制御1913は、各農地4における農機300の現在の作業状態を把握する場合に選択される項目である。
【0078】 図20は、メニュー画面1900のコース情報設定1912が選択された場合にサーバ装置100の表示装置115に表示される画面(以下、コース情報設定画面2000と称する。)である。
【0079】
同図に示すように、コース情報設定画面2000には、農地4の指定欄2011、農機300の指定欄2012、コース編集欄2013、コース設定ツール2014、農作業設定ツール2015、走行履歴表示ボタン2021、農作業履歴表示ボタン2022、土壌表示ボタン2023、土質表示ボタン2024、及びコース登録ボタン2031などが設けられている。
【0080】
農地4の指定欄2011には、コース情報132の設定対象となる農地4の農地IDを指定する。農機300の指定欄2012には、コース情報132の設定対象となる農機300の農機IDを指定する。
【0081】
コース編集欄2013には、農地4の指定欄2011で指定された農地4の地図や地形等が表示される。ユーザは、コース設定ツール2014や農作業設定ツール2015を利用してコース編集欄2013にコース情報132の内容を設定する。
【0082】
コース設定ツール2014は、コース編集欄2013に農機300のコースを設定するためのツールである。農作業設定ツール2015は、農機300が行う農作業を設定するためのツールである。
【0083】
走行履歴表示ボタン2021は、コース編集欄2013に、その農地4における農機300の走行履歴(走行履歴133の内容)を表示させる際に選択する。また農作業履歴表示ボタン2022は、コース編集欄2013に、その農地4における農作業の履歴(農作業履歴134の内容)を表示させる際に選択する。
【0084】
走行履歴表示ボタン2021や農作業履歴表示ボタン2022の機能を利用することで、ユーザは、走行履歴や農作業の履歴を参考にしつつ、コース情報132を設定することができる。例えば、植え付けの際の走行履歴を参考にすることで、施肥を行うべき位置や刈り取りを行うべき位置を容易かつ正確に把握した上でコース編集欄2013に農作業を設定することができる。図21にコース編集欄2013に走行履歴及び農作業の履歴が表示されている様子を示す。」

(7)
「【0097】
同図に示すように、まずサーバ装置100は、ユーザがコース情報設定画面2000を利用して設定したコース情報132を該当の農機300に送信し(S2601)、農機300がコース情報132を受信する(S2602)。
【0098】
次にサーバ装置100の監視制御部1235が農機300に走行開始指示を送信し(S2603)、農機300が走行開始指示を受信する(S2604)。これにより農機300はS2601にて受信したコース情報132に従って自律走行及び農作業を開始する(S2605)。自立走行中(当審注:「自律走行中」の明らかな誤記と認められる)、農機300は前述した位置標定の仕組みによって取得される自身の現在位置(農機現在位置)をサーバ装置100に随時送信し、サーバ装置100は受信した農機現在位置を走行履歴133として記憶する。尚、S2605の自律走行及び農作業の具体的な内容については図27とともに後述する。
【0099】
コース情報132に従った自立走行(当審注:「自律走行」の明らかな誤記と認められる)及び農作業が終了すると、農機300から農作業情報及び土性情報がサーバ装置100に送信され(S2607)、サーバ装置100は農作業情報及び土性情報を受信すると、それらを農作業履歴134、及び土性情報135として記憶する(S2608)。」

(8)
「【0102】
次に農機300は、S2701にて取得した自身の現在位置とS2602にて受信したコース情報132とに基づき農機300の走行方向の目標値及び走行速度の目標値を決定し(S2703)、決定した目標値に基づき動力機構418及び操舵機構417の制御量を求め(S2704)、求めた制御量に応じて動力機構418及び操舵機構417を制御する(S2705)。
【0103】
次に農機300は、S2701にて取得した自身の現在位置とS2602にて受信したコース情報132とに基づき耕作機構419の制御量を求め(S2706)、求めた制御量に応じて耕作機構419を制御する(S2707)。」

(9)
「【0109】
ところで、以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0110】
・・・(中略)・・・
【0111】
また農機300が備える耕作機構419が、例えば余剰の収穫物を農地に放置する機能、及び放置した収穫物を回収する機能を備えた収穫装置である場合には、自律走行に際し農機300(又はサーバ装置100)にて余剰の収穫物を放置した位置を記憶しておくようにすることで、次回の自律走行に際し放置位置を正確に特定して収穫物を確実かつ迅速に回収することができる。」

(10) 図7は、以下のものである。

図7からは、農機1?6という「複数の農機による、」耕運、植え付け、収穫、袋放置、回収等の「異なる農作業について履歴を管理する点」が看て取れる。
また、図7からは、袋放置作業の作業位置を(X9,Y9)という1か所の座標によって特定するのに対し、「回収作業の作業位置を、」(X10,Y10)-(X11,Y11)という、「領域を示す複数の座標によって特定する点」が看て取れる。

(11)
ここで、上記(9)に示した段落【0111】の記載に着目すると、引用文献1には、1台の農機によって、余剰の収穫物を農地に放置する作業、及び、放置した収穫物を回収する作業を行う発明が記載されているものと認められる。一方で、上記(5)に示した段落【0054】の記載及び(10)に示した図7の記載に着目すると、引用文献1には、運搬可能な量を超えた収穫物の農地への放置と、農地に放置された収穫物の回収とを、それぞれ別の農機によって行う技術的事項も記載されているものと認められる。したがって、上記引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)及び技術的事項(以下「引用技術的事項」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明)
「サーバ装置100と農機300とは、有線又は無線の通信方式で通信可能に接続されており、
サーバ装置100は、入力装置114及び表示装置115を備え、
サーバ装置100は、農地情報管理部121、耕作情報管理部122、及び情報送受信部123を備え、
農地情報管理部121は、農地4に関する地理的な情報(地図情報、地形情報、地勢情報等)を農地情報131として管理し、
耕作情報管理部122は、コース設定部1221、履歴管理部1222を含み、
コース設定部1221は、ユーザから、農機300の走行経路(以下、コースと称する。)の設定と、そのコースの走行中に農機300が行う農作業の設定を受け付け、受け付けた走行経路及び農作業をコース情報132として管理(記憶)し、
履歴管理部1222は、農機300の過去の走行履歴を走行履歴133として管理するとともに、過去の走行において行った農作業の履歴を農作業履歴134として管理し、
情報送受信部123は、コース情報送信部1231、農機現在位置受信部1232、農作業情報受信部1233、及び監視制御部1235を含み、
コース情報送信部1231は、コース設定部1221がユーザから受け付けて記憶したコース情報132を農機300に随時送信し、
農機現在位置受信部1232は、農機300の現在位置を示す情報(以下、農機現在位置と称する。)を、農機300から随時受信し、受信した農機現在位置を走行履歴133として管理し、
農作業情報受信部1233は、農作業に関する情報(以下、農作業情報と称する。)を農機300から随時受信し、受信した農作業情報を農作業履歴134として管理し、
農作業履歴134は、農機ID1342、作業内容1343、作業位置1344、の各項目を有する一つ以上のレコードで構成され、農機ID1342には、農機IDが設定され、作業内容1343には、農機300が実際に行った農作業を示す情報が設定され、作業位置1344には、農機300が実際に農作業を行った位置を示す情報(例えば、農機300が農作業を行った領域を示す情報)が設定され、
農機300は、情報送受信部412、操舵機構417、動力機構418及び耕作機構419を備え、
情報送受信部412は、農機現在位置、農作業情報、などを随時(例えばリアルタイムに)サーバ装置100に送信し、また、サーバ装置100から送られてくるコース情報132を随時受信し、
サーバ装置100が表示装置115に表示するメニュー画面1900は、コース情報設定1912を有し、
コース情報設定1912は、コース情報132の内容を設定する場合に選択される項目であり、
コース情報設定1912が選択された場合にサーバ装置100の表示装置115に表示される画面(以下、コース情報設定画面2000と称する。)には、コース編集欄2013、コース設定ツール2014、農作業設定ツール2015、走行履歴表示ボタン2021及び農作業履歴表示ボタン2022、などが設けられており、
ユーザは、コース設定ツール2014や農作業設定ツール2015を利用してコース編集欄2013にコース情報132の内容を設定し、
コース設定ツール2014は、コース編集欄2013に農機300のコースを設定するためのツールであり、農作業設定ツール2015は、農機300が行う農作業を設定するためのツールであり、
走行履歴表示ボタン2021は、コース編集欄2013に、その農地4における農機300の走行履歴(走行履歴133の内容)を表示させる際に選択するものであり、農作業履歴表示ボタン2022は、コース編集欄2013に、その農地4における農作業の履歴(農作業履歴134の内容)を表示させる際に選択するものであり、走行履歴表示ボタン2021や農作業履歴表示ボタン2022の機能を利用することで、ユーザは、走行履歴や農作業の履歴を参考にしつつ、コース情報132を設定することができ、例えば、植え付けの際の走行履歴を参考にすることで、施肥を行うべき位置や刈り取りを行うべき位置を容易かつ正確に把握した上でコース編集欄2013に農作業を設定することができ、
サーバ装置100は、ユーザがコース情報設定画面2000を利用して設定したコース情報132を該当の農機300に送信し(S2601)、農機300がコース情報132を受信し(S2602)、次にサーバ装置100の監視制御部1235が農機300に走行開始指示を送信し(S2603)、農機300が走行開始指示を受信する(S2604)ことにより農機300はS2601にて受信したコース情報132に従って自律走行及び農作業を開始し、
自律走行中、農機300は自身の現在位置(農機現在位置)をサーバ装置100に随時送信し、サーバ装置100は受信した農機現在位置を走行履歴133として記憶し、
コース情報132に従った自律走行及び農作業が終了すると、農機300から農作業情報がサーバ装置100に送信され(S2607)、サーバ装置100は農作業情報を受信すると、それを農作業履歴134として記憶し、
農機300は、取得した自身の現在位置とS2602にて受信したコース情報132とに基づき動力機構418及び操舵機構417を制御し、次に農機300は、取得した自身の現在位置とS2602にて受信したコース情報132とに基づき耕作機構419を制御(S2707)し、
農機300が備える耕作機構419が、余剰の収穫物を農地に放置する機能、及び放置した収穫物を回収する機能を備えた収穫装置であり、自律走行に際し農機300(又はサーバ装置100)にて余剰の収穫物を放置した位置を記憶しておくようにすることで、次回の自律走行に際し放置位置を正確に特定して収穫物を確実かつ迅速に回収し、
回収作業の作業位置については、領域を示す複数の座標によって特定する、
自動耕作システム。」

(引用技術的事項)
「複数の農機による、異なる農作業について履歴を管理し、
農機300が収穫装置であれば、耕作機構419は、運搬可能な量を超えた収穫物の農地4への放置等を行う装置を含み、農機300が回収機であれば、耕作機構419は、農地4に放置された収穫物を回収する装置(例えばクレーン装置)を含む点。」

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア.上記第4 1.(9)に示したように段落【0111】には余剰の収穫物を放置した位置を記憶しておく点について記載されており、この点に関して上記第4 1.(10)に示したように袋放置作業の作業位置を(X9,Y9)という1か所の座標によって特定し得ることに鑑みれば、引用発明における「回収作業の作業位置については、領域を示す複数の座標によって特定する」点は、当該領域内において複数回の回収作業が行われることを意味していると認められる。
してみれば、引用発明における「備える耕作機構419が、余剰の収穫物を農地に放置する機能」「を備えた収穫装置であり、自律走行に際し」「サーバ装置100」「にて余剰の収穫物を放置した位置を記憶しておくようにする」ものであって、「情報送受信部412」「を備え、情報送受信部412は、農機現在位置、農作業情報、などを随時(例えばリアルタイムに)サーバ装置100に送信」する農機300と、本願発明1における「収穫物を放出した複数の放出位置を示す放出位置情報を送信する第1作業車」とは、「収穫物を放出した複数の放出位置を示す放出位置情報を送信する作業車」で共通する。

イ.引用発明において、「コース情報132」とは、「自律走行に際し農機300(又はサーバ装置100)にて余剰の収穫物を放置した位置」そのものを保持したものであるか、それとも、「ユーザ」が「走行履歴や農作業の履歴を参考にしつつ、」「設定する」ものであって当該参考として「自律走行に際し農機300(又はサーバ装置100)にて余剰の収穫物を放置した位置」を活用するだけのものであるのか明らかではないが、いずれの態様であるにせよ、引用発明における「コース情報132」は、放出位置情報に関連する情報と認められる。
してみれば、引用発明における「備える耕作機構419が、」「放置した収穫物を回収する機能を備えた収穫装置であり、」「情報送受信部412」「を備え、情報送受信部412は」「サーバ装置100から送られてくるコース情報132を随時受信し、」「サーバ装置100が表示装置115に表示するメニュー画面1900は、コース情報設定1912を有し、コース情報設定1912は、コース情報132の内容を設定する場合に選択される項目であり、コース情報設定1912が選択された場合にサーバ装置100の表示装置115に表示される画面(以下、コース情報設定画面2000と称する。)には、コース編集欄2013、コース設定ツール2014、農作業設定ツール2015、走行履歴表示ボタン2021及び農作業履歴表示ボタン2022、などが設けられており、ユーザは、コース設定ツール2014や農作業設定ツール2015を利用してコース編集欄2013にコース情報132の内容を設定し、コース設定ツール2014は、コース編集欄2013に農機300のコースを設定するためのツールであり、農作業設定ツール2015は、農機300が行う農作業を設定するためのツールであり、走行履歴表示ボタン2021は、コース編集欄2013に、その農地4における農機300の走行履歴(走行履歴133の内容)を表示させる際に選択するものであり、農作業履歴表示ボタン2022は、コース編集欄2013に、その農地4における農作業の履歴(農作業履歴134の内容)を表示させる際に選択するものであり、走行履歴表示ボタン2021や農作業履歴表示ボタン2022の機能を利用することで、ユーザは、走行履歴や農作業の履歴を参考にしつつ、コース情報132を設定することができ、例えば、植え付けの際の走行履歴を参考にすることで、施肥を行うべき位置や刈り取りを行うべき位置を容易かつ正確に把握した上でコース編集欄2013に農作業を設定することができ、サーバ装置100は、ユーザがコース情報設定画面2000を利用して設定したコース情報132を」「送信し(S2601)」、当該「コース情報132を受信」する農機300と、本願発明1における「前記放出位置情報を第1作業車から直接又は管理サーバを介して受信する第2作業車」とは、「前記放出位置情報に関連する情報を管理サーバから受信する作業車」で共通する。

ウ.引用発明の、「農機300」の「自律走行に際し放置位置を正確に特定して収穫物を確実かつ迅速に回収」する「自動耕作システムであ」る点と、本願発明1の「作業車連携システムであ」る点とは、「作業車を制御するシステム」である点で共通する。

エ.上記イに示したとおり、引用発明は、「自律走行に際し農機300(又はサーバ装置100)にて余剰の収穫物を放置した位置」を、そのまま用いるか、あるいは「ユーザ」が「参考にしつつ、コース情報132を設定する」ことにより、「自律走行に際し放置位置を正確に特定して収穫物を確実かつ迅速に回収」するものである。そして、引用発明において、「農機300は、情報送受信部412、操舵機構417、動力機構418及び耕作機構419を備え、情報送受信部412は、」「サーバ装置100から送られてくるコース情報132を随時受信し、」「農機300は、取得した自身の現在位置とS2602にて受信したコース情報132とに基づき動力機構418及び操舵機構417を制御」するから、「コース情報132」とは、「移動経路」を規定するものであると認められる。
してみれば、引用発明における「農機300が備える耕作機構419が、余剰の収穫物を農地に放置する機能、及び放置した収穫物を回収する機能を備えた収穫装置であり、自律走行に際し農機300(又はサーバ装置100)にて余剰の収穫物を放置した位置を記憶しておくようにすることで、次回の自律走行に際し放置位置を正確に特定して収穫物を確実かつ迅速に回収」する点と、本願発明1の「第2作業車は、前記放出位置情報に含まれる収穫物の各放出位置と、予め定められた集積場所とに基づいて移動経路を算出し、前記移動経路に応じて前記各放出位置と前記集積場所とを自動的に往復しながら収穫物を回収する」点とは、「放出位置情報に含まれる収穫物の各放出位置に基づいて移動経路を設定する」点において共通する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「収穫物を放出した複数の放出位置を示す放出位置情報を送信し、前記放出位置情報に関連する情報を管理サーバから受信する作業車を含み、
前記放出位置情報に含まれる収穫物の各放出位置に基づいて移動経路を設定する、
作業車を制御するシステム。」である点。

(相違点)
(相違点1)本願発明1は、収穫物を放出する「第1作業車」と、放置された収穫物を回収する「第2作業車」とが、それぞれ別の作業車であり、両作業車を連携させる「作業車連携システム」であるのに対し、引用発明は、1台の「農機300」により放置と回収の両方を行う「自動耕作システム」である点。
(相違点2)本願発明1は、第2作業車が管理サーバを介して受信する情報が、「収穫物を放出した複数の放出位置を示す放出位置情報」そのものであるのに対し、引用発明1は、農機300が受信する「コース情報132」が、「余剰の収穫物を放置した位置」そのものを保持したものであるか否か明らかでない点。
(相違点3)本願発明1は、移動経路の「算出」を「第2作業車」が行うものであり、当該移動経路は「予め定められた集積場所」に基いて決定されるものであり、第2作業車は「前記各放出位置と前記集積場所とを自動的に往復」するものであるのに対し、引用発明1は、コース情報132の「設定」を「ユーザ」が行うものであり、当該移動経路は「農地4に関する地理的な情報(地図情報、地形情報、地勢情報等)」に基いて設定はされるが収穫物の集積場所が予め定められたものではなく、農機は「余剰の収穫物を放置した位置」と別の地点とを往復するものではない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み上記相違点3から検討すると、本願発明1の上記相違点3に係る構成である、移動経路を「集積場所」に基いて算出する点、及び、作業車を「前記放出位置と前記集積場所とを」「往復」させる点については、引用文献1には記載も示唆もされておらず、自動耕作システムに関する技術分野における周知・慣用技術であるとも認められない。また、この点については、拒絶査定において引用された引用文献2に記載された技術的事項を参酌しても、容易に発明をすることができたともいえない。
したがって、上記相違点1及び2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用技術的事項、上記慣用技術及び拒絶査定において引用された引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-5について
本願発明2-5は、本願発明1を引用し、本願発明1の全ての構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用技術的事項、上記慣用技術及び拒絶査定において引用された引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-07-01 
出願番号 特願2015-135498(P2015-135498)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A01F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 後藤 慎平  
特許庁審判長 森次 顕
特許庁審判官 袴田 知弘
住田 秀弘
発明の名称 作業車連携システム  
代理人 矢野 寿一郎  
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