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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 G06F 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G06F 審判 全部申し立て 2項進歩性 G06F |
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管理番号 | 1363989 |
異議申立番号 | 異議2019-700346 |
総通号数 | 248 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-08-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-04-25 |
確定日 | 2020-05-18 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6413895号発明「インデックスマッチング層を有する積層体およびその製造方法、ならびにインデックスマッチング層形成用硬化性組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6413895号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕、〔7-9〕について訂正することを認める。 特許第6413895号の請求項1-5、7-9に係る特許を取り消す。 特許第6413895号の請求項6に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6413895号(以下、「本件特許」という。)の請求項1-9に係る特許についての出願は、平成27年3月31日に出願され、平成30年10月12日にその特許権の設定登録がされ、平成30年10月31日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 平成31年 4月25日 特許異議申立人1(前田 洋志)による特 許異議の申立て 令和 元年 5月 7日 特許異議申立人2(阿部 紀子)による特 許異議の申立て 令和 元年 8月 7日付け 取消理由通知書 令和 元年10月 8日 特許権者による意見書及び訂正請求書(以 下、この訂正請求書による訂正を、「本件 訂正」という。)の提出 令和 元年11月21日 特許異議申立人1による意見書の提出 令和 元年12月24日付け 取消理由通知書(決定の予告) 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正の内容は、以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示し、「//」は、改行を示す。)。 (1) 請求項1-6 ア 訂正事項1 請求項1-2の「透明基板と、インデックスマッチング層と、透明電極層とがこの順に積層されており、」との記載を、「透明基板と、インデックスマッチング層と、透明電極層とがこの順に積層されており、// 透明基板とインデックスマッチング層との間に、紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層をさらに有し、」と訂正する(請求項1又は2の記載を引用する請求項3-5も同様に訂正する。)。 イ 訂正事項2 請求項1の「(B1)光重合開始剤以外の化合物であって、波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物と、ここで当該化合物が重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であり、//(C)重合性基を有する、前記(B1)以外の化合物と//を含有する硬化性組成物から形成された層である//ことを特徴とする積層体」との記載を、「(B1)光重合開始剤以外の化合物であって、波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物と、ここで当該化合物が重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であり、//(C)重合性基を有する、前記(B1)以外の化合物と//を含有する硬化性組成物から形成された層であり、// 前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であり、//【化1】 (b1)//[式(b1)中、// R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく;// R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり;// mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり;// pおよびqは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり;// aおよびbは、それぞれ独立に1?4の整数である。]、// 前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であり、//【化2】 (b2)//[式(b2)中、// R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく;// R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり;// mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり;// pおよびqは、それぞれ独立に0または1?5の整数である。]、// 前記硬化性組成物において、化合物(B1)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B1)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である//ことを特徴とする積層体」と訂正する(請求項1の記載を引用する請求項3-5も同様に訂正する。)。 ウ 訂正事項3 請求項2の「(B2)1分子中に2個以上のベンゼン核を有する、光重合開始剤以外の化合物と、ここで当該化合物が重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であり、//(C)重合性基を有する、前記(B2)以外の化合物と//を含有する硬化性組成物から形成された層である//ことを特徴とする積層体」との記載を、「(B2)1分子中に2個以上のベンゼン核を有する、光重合開始剤以外の化合物と、ここで当該化合物が重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であり、//(C)重合性基を有する、前記(B2)以外の化合物と//を含有する硬化性組成物から形成された層であり、// 前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であり、//【化3】 (b1)//[式(b1)中、// R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく;// R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり;// mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり;// pおよびqは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり;// aおよびbは、それぞれ独立に1?4の整数である。]、// 前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であり、//【化4】 (b2)//[式(b2)中、// R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく;// R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり;// mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり;// pおよびqは、それぞれ独立に0または1?5の整数である。]、// 前記硬化性組成物において、化合物(B2)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B2)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である//ことを特徴とする積層体」と訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3-5も同様に訂正する。)。 エ 訂正事項4 請求項6を削除する。 (2) 請求項7-9 ア 訂正事項1 請求項7-8の「インデックスマッチング層形成用硬化性組成物」との記載を、「透明基板と、インデックスマッチング層と、透明電極層とがこの順に積層されており、透明基板とインデックスマッチング層との間に、紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層をさらに有する積層体におけるインデックスマッチング層形成用硬化性組成物」と訂正する(請求項7又は8の記載を引用する請求項9も同様に訂正する。)。 イ 訂正事項2 請求項7の「(B1)光重合開始剤以外の化合物であって、波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物と、ここで当該化合物が重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であり、//(C)重合性基を有する、前記(B1)以外の化合物と//を含有することを特徴とする」との記載を、「(B1)光重合開始剤以外の化合物であって、波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物と、ここで当該化合物が重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であり、//(C)重合性基を有する、前記(B1)以外の化合物と//を含有し、// 前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であり、//【化5】 (b1)//[式(b1)中、// R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく;// R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり;// mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり;// pおよびqは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり;// aおよびbは、それぞれ独立に1?4の整数である。]、// 前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であり、//【化6】 (b2)//[式(b2)中、// R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく;// R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり;// mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり;// pおよびqは、それぞれ独立に0または1?5の整数である。]、// 化合物(B1)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B1)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である//ことを特徴とする」と訂正する(請求項7の記載を引用する請求項9も同様に訂正する。)。 ウ 訂正事項3 請求項8の「(B2)1分子中に2個以上のベンゼン核を有する、光重合開始剤以外の化合物と、ここで当該化合物が重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であり、//(C)重合性基を有する、前記(B2)以外の化合物と//を含有することを特徴とする」との記載を、「(B2)1分子中に2個以上のベンゼン核を有する、光重合開始剤以外の化合物と、ここで当該化合物が重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であり、//(C)重合性基を有する、前記(B2)以外の化合物と//を含有し、// 前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であり、//【化7】 (b1)//[式(b1)中、// R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく;// R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり;// mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり;// pおよびqは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり;// aおよびbは、それぞれ独立に1?4の整数である。]、// 前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であり、//【化8】 (b2)//[式(b2)中、// R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく;// R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり;// mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり;// pおよびqは、それぞれ独立に0または1?5の整数である。]、// 化合物(B2)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B2)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である//ことを特徴とする」と訂正する(請求項8の記載を引用する請求項9も同様に訂正する。)。 エ 訂正事項4 請求項9の「透明基板」との記載を、「紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層が形成された透明基板」と訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1) 請求項1-6 ア 訂正事項1 訂正事項1に係る請求項1-2についての訂正は、「積層体」について、「透明基板とインデックスマッチング層との間に、紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層をさらに有」することを特定することにより、限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、「積層体」が、「透明基板とインデックスマッチング層との間に、」「接着剤層をさらに有」することは、訂正前の請求項6に記載されており、「接着剤層」が、「紫外線による分解を受ける化合物を含む」ことは、明細書の段落【0053】に記載されているから、訂正事項1に係る請求項1-2についての訂正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものである。 イ 訂正事項2 訂正事項2に係る請求項1についての訂正は、「重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物」について、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であ」ることを特定し、請求項1の「重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物」について、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であ」ることを特定し、請求項1の「化合物(B1)」について、「前記硬化性組成物において、化合物(B1)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B1)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である」ことを特定することにより、請求項1の「重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物」、「前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物」及び「化合物(B1)」をそれぞれ限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、「重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物」が、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であ」ることは、明細書の段落【0055】、【0057】-【0059】に記載されており、「重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物」が、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であ」ることは、明細書の段落【0055】、【0066】-【0068】に記載されており、「前記硬化性組成物において、化合物(B1)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B1)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である」ことは、明細書の段落【0081】に記載されているから、訂正事項2に係る請求項1についての訂正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 ウ 訂正事項3 訂正事項3に係る請求項2についての訂正は、「重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物」について、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であ」ることを特定し、請求項2の「前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物」について、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であ」ることを特定し、請求項2の「化合物(B2)」について、「前記硬化性組成物において、化合物(B2)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B2)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である」ことを特定することにより、請求項2の「重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物」、「前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物」及び「化合物(B2)」をそれぞれ限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、「重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物」が、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であ」ることは、明細書の段落【0055】、【0057】-【0059】に記載されており、「前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物」が、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であ」ることは、明細書の段落【0055】、【0066】-【0068】に記載されており、「前記硬化性組成物において、化合物(B2)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B1)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である」ことは、明細書の段落【0081】に記載されているから、訂正事項3に係る請求項2についての訂正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 エ 訂正事項4 訂正事項4に係る請求項6についての訂正は、請求項6を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (2) 請求項7-9 ア 訂正事項1 訂正事項1に係る請求項7-8についての訂正は、「インデックスマッチング層形成用硬化性組成物」について、「透明基板と、インデックスマッチング層と、透明電極層とがこの順に積層されており、透明基板とインデックスマッチング層との間に、紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層をさらに有する積層体における」ものであることを特定することにより、限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、「インデックスマッチング層形成用硬化性組成物」が、「透明基板と、インデックスマッチング層と、透明電極層とがこの順に積層されており、透明基板とインデックスマッチング層との間に、紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層をさらに有する積層体における」ものであることは、訂正前の請求項1、6及び明細書の段落【0022】、【0027】、【0053】に記載されているから、訂正事項1に係る請求項7-8についての訂正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 イ 訂正事項2 訂正事項2に係る請求項7についての訂正は、「前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物」について、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であ」ることを特定し、請求項7の「前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物」について、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であ」ることを特定し、請求項7の「化合物(B1)」について、「化合物(B1)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B1)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である」ことを特定することにより、請求項7の「前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物」、「前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物」及び「化合物(B1)」をそれぞれ限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、「前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物」が、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であ」ることは、明細書の段落【0055】、【0057】-【0059】に記載されており、「前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物」が、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であ」ることは、明細書の段落【0055】、【0066】-【0068】に記載されており、「化合物(B1)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B1)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である」ことは、明細書の段落【0081】に記載されているから、訂正事項2に係る請求項7についての訂正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 ウ 訂正事項3 訂正事項3に係る請求項8についての訂正は、「前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物」について、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であ」ることを特定し、請求項8の「前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物」について、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であ」ることを特定し、請求項8の「化合物(B2)」について、「化合物(B2)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B2)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である」ことを特定することにより、請求項8の「前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物」、「前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物」及び「化合物(B2)」をそれぞれ限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、「前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物」が、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であ」ることは、明細書の段落【0055】、【0057】-【0059】に記載されており、「前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物」が、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であ」ることは、明細書の段落【0055】、【0066】-【0068】に記載されており、「化合物(B2)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B1)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である」ことは、明細書の段落【0081】に記載されているから、訂正事項3に係る請求項8についての訂正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 エ 訂正事項4 訂正事項4に係る請求項9についての訂正は、「透明基板」について、「紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層が形成された」ものであることを特定することにより、限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、「透明基板」が、「紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層が形成された」ものであることは、明細書の段落【0027】、【0053】、【0103】に記載されているから、訂正事項4に係る請求項9についての訂正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正の請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合する。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕、〔7-9〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正の請求により訂正された請求項1-5、7-9に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」-「本件発明5」、「本件発明7」-「本件発明9」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1-5、7-9に記載された事項により特定される発明であり、本件発明1-5、7-9は、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 透明基板と、インデックスマッチング層と、透明電極層とがこの順に積層されており、 透明基板とインデックスマッチング層との間に、紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層をさらに有し、 インデックスマッチング層が、 (A)屈折率が1.7以上の金属酸化物粒子と、 (B1)光重合開始剤以外の化合物であって、波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物と、ここで当該化合物が重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であり、 (C)重合性基を有する、前記(B1)以外の化合物と を含有する硬化性組成物から形成された層であり、 前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であり、 【化1】 (b1) [式(b1)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; aおよびbは、それぞれ独立に1?4の整数である。]、 前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であり、 【化2】 (b2) [式(b2)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?5の整数である。]、 前記硬化性組成物において、化合物(B1)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B1)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である ことを特徴とする積層体。 【請求項2】 透明基板と、インデックスマッチング層と、透明電極層とがこの順に積層されており、 透明基板とインデックスマッチング層との間に、紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層をさらに有し、 インデックスマッチング層が、 (A)屈折率が1.7以上の金属酸化物粒子と、 (B2)1分子中に2個以上のベンゼン核を有する、光重合開始剤以外の化合物と、ここで当該化合物が重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であり、 (C)重合性基を有する、前記(B2)以外の化合物と を含有する硬化性組成物から形成された層であり、 前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であり、 【化3】 (b1) [式(b1)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; aおよびbは、それぞれ独立に1?4の整数である。]、 前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であり、 【化4】 (b2) [式(b2)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?5の整数である。]、 前記硬化性組成物において、化合物(B2)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B2)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である ことを特徴とする積層体。 【請求項3】 インデックスマッチング層の屈折率が、1.59?1.80である請求項1または2に記載の積層体。 【請求項4】 インデックスマッチング層を形成する硬化性組成物が、 (D)光重合開始剤 をさらに含有する請求項1?3のいずれか1項に記載の積層体。 【請求項5】 前記化合物(C)が、多官能(メタ)アクリレートである請求項1?4のいずれか1項に記載の積層体。」 「【請求項7】 (A)屈折率が1.7以上の金属酸化物粒子と、 (B1)光重合開始剤以外の化合物であって、波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物と、ここで当該化合物が重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であり、 (C)重合性基を有する、前記(B1)以外の化合物と を含有し、 前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であり、 【化5】 (b1) [式(b1)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; aおよびbは、それぞれ独立に1?4の整数である。]、 前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であり、 【化6】 (b2) [式(b2)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?5の整数である。]、 化合物(B1)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B1)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である ことを特徴とする、 透明基板と、インデックスマッチング層と、透明電極層とがこの順に積層されており、透明基板とインデックスマッチング層との間に、紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層をさらに有する積層体におけるインデックスマッチング層形成用硬化性組成物。 【請求項8】 (A)屈折率が1.7以上の金属酸化物粒子と、 (B2)1分子中に2個以上のベンゼン核を有する、光重合開始剤以外の化合物と、ここで当該化合物が重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であり、 (C)重合性基を有する、前記(B2)以外の化合物と を含有し、 前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であり、 【化7】 (b1) [式(b1)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; aおよびbは、それぞれ独立に1?4の整数である。]、 前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であり、 【化8】 (b2) [式(b2)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?5の整数である。]、 化合物(B2)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B2)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である ことを特徴とする、 透明基板と、インデックスマッチング層と、透明電極層とがこの順に積層されており、透明基板とインデックスマッチング層との間に、紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層をさらに有する積層体におけるインデックスマッチング層形成用硬化性組成物。 【請求項9】 紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層が形成された透明基板上に、請求項7または8に記載のインデックスマッチング層形成用硬化性組成物の塗膜を形成する工程、前記塗膜に活性エネルギー線を照射してインデックスマッチング層を形成する工程、および前記インデックスマッチング層上に透明電極層を形成する工程を有する、積層体の製造方法。」 第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 当審が令和元年12月24日に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 (理由1)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (理由2)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (理由3)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消すべきものである。 記 ●理由 1-2(その2) ・請求項 1-9 ・刊行物 3 本件特許の請求項1-9に係る発明は、刊行物3に記載された発明と同一であり、また、刊行物3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 ●理由 2(その1) ・請求項 1-9 ・刊行物 1、3-4、6-8 本件特許の請求項1-9に係る発明は、刊行物1に記載された発明、及び、刊行物3-4、6-7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件特許の請求項6に係る発明は、刊行物1に記載された発明、及び、刊行物3-4、7-8に記載された技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 刊行物1 国際公開第2014/035018号 (特許異議申立書01(特許異議申立人1)の甲第1号証) 刊行物2 特表2015-535859号公報 (刊行物1のファミリー文献) (特許異議申立書01の甲第2号証) 刊行物3 国際公開第2013/038718号 (特許異議申立書01の甲第3号証、特許異議申立書02( 特許異議申立人2)の甲第1号証) 刊行物4 特開2014-119475号公報 (特許異議申立書01の甲第5号証) 刊行物5 特開2013-095796号公報 (特許異議申立書01(「3.申立ての理由」の(4-3- 2))において挙げられている文献) 刊行物6 国際公開第2007/138946号 (特許異議申立書01の甲第4号証) 刊行物7 国際公開第2012/176481号 (特許異議申立書01の甲第6号証) 刊行物8 特開2014-224894号公報 (特許異議申立書01の甲第7号証) 刊行物9 特許第5490954号公報 (特許異議申立書02の甲第2号証) 刊行物10 特開2008-094987号公報 (特許異議申立書02の甲第3号証) ●理由 3(その3) ・請求項 1-9 本件発明1-9では、インデックスマッチング層に含まれる特定化合物(B1)又は特定化合物(B2)の構造及び含有量が特定されていないため、本件特許の出願時の技術常識に照らしても、請求項1-9に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 2 理由1-2(その2)について (1) 刊行物3について 刊行物3には、以下の記載がある(下線は当審が付した。以下、同じ。)。 ア 請求項1 「[請求項1] 基材フィルム上に、屈折率が1.61?1.80である高屈折率層、SiO_(2)膜、およびパターン化された透明導電膜をこの順に有し、前記高屈折率層の厚みが30nm以上であり、かつ前記高屈折率層の光学厚みと前記SiO_(2)膜の光学厚みとの合計が(1/4)λである、透明導電性フィルム。 但し、λは380?780nmである。」 イ 請求項4 「[請求項4] 前記高屈折率層が、活性エネルギー線硬化性樹脂と金属酸化物を含む組成物をウェットコーティングし、硬化して形成されたものである、請求項1?3のいずれかの透明導電性フィルム。」 ウ 請求項9 「[請求項9] 前記基材フィルムとハードコート層との間に易接着層を有する、請求項8の透明導電性フィルム。」 エ 請求項12 「[請求項12] 請求項1?11のいずれかの透明導電性フィルムを備えたタッチパネル。」 オ 段落[0009] 「[0009] 従って、本発明の目的は、透明導電膜パターンの視認(骨見え)が十分に抑制された透明導電性フィルムを提供することにある。また、本発明の他の目的は、透明導電膜パターンの視認(骨見え)が十分に抑制された透明導電性フィルムを備えたタッチパネルを提供することにある。」 カ 段落[0012] 「[0012] 本発明によれば、骨見え現象が十分に抑制された透明導電性フィルムを提供することができる。本発明の透明導電性フィルムは、タッチパネルに好適に用いられ、特に静電容量式のタッチパネルに好適に用いられる。」 キ 段落[0018]-[0044] 「[0018] さらに高屈折率層は、樹脂と金属酸化物を含む組成物、高屈折率樹脂を含む組成物、もしくは金属酸化物と高屈折率樹脂を含む組成物をウェットコーティングし、硬化して形成された層であることが好ましい。即ち、高屈折率層は少なくとも樹脂を含む組成物をウェットコーティングし、硬化して形成された層であることが好ましい。特に樹脂と金属酸化物を含む組成物をウェットコーティングし、硬化して形成された層であることが好ましい。 ・・・(中略)・・・ [0020] 以下、樹脂と金属酸化物を含む層を形成するための組成物について説明する。 [0021] 樹脂としては、熱硬化性樹脂あるいは活性エネルギー線硬化性樹脂が好ましく、活性エネルギー線硬化性樹脂がより好ましい。 [0022] このような活性エネルギー線硬化性樹脂は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線で硬化する樹脂であり、分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有するモノマーやオリゴマーが好ましく用いられる。ここで、エチレン性不飽和基としては、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。 [0023] 上記モノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシ(メタ)アクリレート等の単官能アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)トリアクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、トリメチロールプロパン安息香酸エステル等の多官能アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネート等のウレタンアクリレート等を挙げることができる。 ・・・(中略)・・・ [0025] 上記した、モノマーやオリゴマーは、単独もしくは複数混合して使用してもよいが、3官能以上の多官能モノマーを用いることが好ましい。 [0026] 金属酸化物としては、屈折率が1.65以上の金属酸化物微粒子が好ましく、屈折率が1.7?2.8の金属酸化物微粒子がより好ましく用いられる。このような金属酸化物微粒子としては、チタン、ジルコニウム、亜鉛、錫、アンチモン、セリウム、鉄、インジウム等の金属酸化物粒子が挙げられる。金属酸化物微粒子の具体例としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化鉄、アンチモン酸亜鉛、酸化錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、リンドープ酸化錫、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ酸化錫等が挙げられ、これらの金属酸化物微粒子は単独で用いてもよいし、複数併用してもよい。上記金属酸化物微粒子の中でも、特に酸化チタンおよび酸化ジルコニウムが、透明性を低下させずに高屈折率層の屈折率を高めることができるので好ましい。 ・・・(中略)・・・ [0029] 組成物は、光重合開始剤を含むことが好ましい。かかる光重合開始剤の具体例としては、例えばアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォルメート、p-イソプロピル-α-ヒドロキシイソブチルフェノン、α-ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。 ・・・(中略)・・・ [0031] 高屈折率樹脂を含む層を形成するための組成物について説明する。 [0032] 高屈折率樹脂としては、 ・・・(中略)・・・ 芳香族環を含む樹脂(例えばフルオレン骨格を含む樹脂、フェニル基を含む樹脂等)が挙げられる。これらの樹脂は透明性を有するものであればよく、公知または市販のものを使用することができ、また他の樹脂と併用することもできる。 ・・・(中略)・・・ [0037] 芳香族環を含む樹脂としては、9,9-ビスフェノキシフルオレン骨格を有するアクリル樹脂、ビフェニル基を有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。例えば新中村化学社製9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(NKエステルA-BPEF)、o-フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート(NKエステル401P)、ヒドロキシエチル化o-フェニルフェノールアクリレート(NKエステルA-LEN-10)、JFEケミカル社製9,9-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(BCF)、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEF)、大阪ガスケミカル社製ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル(BPFG)、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル(BPEFG)、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート(BPEF-A)、オグソールPGシリーズ、オグソールEGシリーズ、オグソールEAシリーズ、オグソールEA-Fシリーズ、長瀬産業社製オンコートEXシリーズ、共栄社化学社製HIC-Gシリーズ、ADEKA社製RF(X)シリーズ等を用いることができる。 [0038] 高屈折率樹脂としては、上記で例示したように、アクリル基やエポキシ基等の重合性基を含む重合性モノマーまたは重合性オリゴマーであることがより好ましい。 [0039] 組成物は、高屈折率樹脂に加えて、前述した樹脂と金属酸化物を含む層を形成するための組成物に用いられる樹脂成分(好ましくは活性エネルギー線硬化性樹脂)を含むことが好ましい。この樹脂成分の含有量は、高屈折率樹脂100質量部に対して、5?50質量部の範囲が好ましく、10?40質量部の範囲がより好ましい。 ・・・(中略)・・・ [0041] 組成物はさらに、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤の含有量は、組成物の固形分総量100質量%に対して0.1?10質量%の範囲が適当であり、0.5?8質量%の範囲が好ましい。 [0042] 次に、金属酸化物と高屈折率樹脂を含む層を形成するための組成物について説明する。この組成物は、前述の金属酸化物と高屈折率樹脂を組み合わせて使用するものである。金属酸化物と高屈折率樹脂の含有比率(質量比)は、金属酸化物:高屈折率樹脂=9:1?1:9の範囲が好ましく、8:2?2:8の範囲がより好ましく、特に7:3?3:7の範囲が好ましい。 [0043] 組成物は、さらに前述した樹脂と金属酸化物を含む層を形成するための組成物に用いられる樹脂成分(好ましくは活性エネルギー線硬化性樹脂)を含むことが好ましい。この樹脂成分の含有量は、組成物の固形分総量100質量%に対して、5?50質量%の範囲が好ましく、10?40質量%の範囲がより好ましく、20?40質量%の範囲が特に好ましい。 [0044] 組成物はさらに、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤の含有量は、組成物の固形分総量100質量%に対して0.1?10質量%の範囲が適当であり、0.5?8質量%の範囲が好ましい。」 ク 段落[0067] 「[0067] [易接着層] 基材フィルムは、高屈折率層や後述するハードコート層との密着力を強化するための易接着層が積層されていることが好ましい。」 ケ 段落[0119] 「[0119] [実施例1] 下記の要領で透明導電性フィルムを作製した。 ・・・(中略)・・・ <易接着層の積層> 屈折率1.65で厚み125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)の両面に、PETフィルムの製膜工程内(インライン)で上記の易接着層塗布組成物1aを乾燥厚みが90nmとなるようにウェットコーティング法(バーコート法)により積層して、PETフィルム上に易接着層を積層した。 ・・・(中略)・・・ <高屈折率層の積層> PETフィルムのハードコート層が積層されている面とは反対面の易接着層上に高屈折率層の塗布組成物2aをウェットコーティング法(グラビアコート法)により硬化後の厚みが70nmとなるように塗布し、乾燥し、紫外線を照射し硬化させて、高屈折率層を形成した。 ・・・(中略)・・・ <透明導電膜の積層> 上記のSiO_(2)膜に、透明導電膜としてITO膜(屈折率2.00)を厚みが33nmとなるようにスパッタリング法で積層した。 ・・・(後略) 」 よって、上記各記載事項(下線部に着目。)によれば、刊行物3には、次の発明(以下、「刊行物3発明」という。)が記載されているといえる。 「 基材フィルム上に、屈折率が1.61?1.80である高屈折率層、およびパターン化された透明導電膜をこの順に有する透明導電性フィルムを備えたタッチパネルにおける、透明導電膜パターンの視認(骨見え)が十分に抑制された透明導電性フィルムであって、 高屈折率層は、樹脂と金属酸化物を含む組成物、高屈折率樹脂を含む組成物、もしくは金属酸化物と高屈折率樹脂を含む組成物をウェットコーティングし、硬化して形成された層であることが好ましく、 樹脂と金属酸化物を含む層を形成するための組成物は、 樹脂として、活性エネルギー線硬化性樹脂である、分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有するモノマーが好ましく用いられ、ここで、モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート等の単官能アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート等を挙げることができ、 金属酸化物として、屈折率が1.7?2.8の金属酸化物微粒子が好ましく用いられ、 高屈折率樹脂を含む層を形成するための組成物は、 高屈折率樹脂として、芳香族環を含む樹脂である、9,9-ビスフェノキシフルオレン骨格を有するアクリル樹脂、ビフェニル基を有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の、例えば新中村化学社製9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(NKエステルA-BPEF)、ヒドロキシエチル化o-フェニルフェノールアクリレート(NKエステルA-LEN-10)を用いることができ、 金属酸化物と高屈折率樹脂を含む層を形成するための組成物は、 前述の金属酸化物と高屈折率樹脂を組み合わせて使用するものであり、 金属酸化物と高屈折率樹脂の含有比率(質量比)が、金属酸化物:高屈折率樹脂=9:1?1:9の範囲が好ましく、特に7:3?3:7の範囲が好ましく、 さらに前述した樹脂と金属酸化物を含む層を形成するための組成物に用いられる樹脂(好ましくは活性エネルギー線硬化性樹脂)を含むことが好ましく、 樹脂の含有量が、組成物の固形分総量100質量%に対して、5?50質量%の範囲が好ましく、20?40質量%の範囲が特に好ましく、 基材フィルムに、高屈折率層との密着力を強化するための易接着層が積層されていることが好ましい、 透明導電性フィルム。」 (2) 本件発明1について ア 対比 本件発明1と刊行物3発明とを対比すると、次のことがいえる。 (なお、本件発明1を、令和元年11月21日に特許異議申立人1により提出された意見書(3.(2))に記載されているように、以下の特定要件(A)-(J)、(N)、(S)-(V)に分説する。 (A) 透明基板と、 (B) インデックスマッチング層と、 (C) 透明電極層とが (D) この順に積層されており、 (N) 透明基板とインデックスマッチング層との間に、接着剤層をさらに有し、 (S) 接着剤層が、紫外線による分解を受ける化合物を含み、 (E) インデックスマッチング層が、 (F) (A)屈折率が1.7以上の金属酸化物粒子と、 (G) (B1)光重合開始剤以外の化合物であって、波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物と、ここで当該化合物が重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であり、 (H) (C)重合性基を有する、前記(B1)以外の化合物とを (I) ((A)と、(B1)と、(C)とを)含有する硬化性組成物 (E) (硬化性組成物)から形成された層であり、 (T) 前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であり、 【化1】 (b1) [式(b1)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; aおよびbは、それぞれ独立に1?4の整数である。]、 (U) 前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であり、 【化2】 (b2) [式(b2)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?5の整数である。]、 (V) 前記硬化性組成物において、化合物(B1)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B1)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である (J) ことを特徴とする積層体。) 刊行物3発明は、「基材フィルム」と、「屈折率が1.61?1.80である高屈折率層」と、「パターン化された透明導電層」とが「この順に」積層された積層体であり、この積層体が「タッチパネル」の「透明導電性フィルム」として用いられ、また、発明の目的が、「透明導電膜パターンの視認(骨見え)」を「十分に抑制」することであることからすると、刊行物3発明の「高屈折率層」が本件発明1の「インデックスマッチング層」に相当することは、当業者に自明である。また、刊行物3発明の「基材フィルム」、「パターン化された透明導電層」が、それぞれ、本件発明1の「透明基板」、「透明電極層」に相当することも、自明である。 これらのことから、刊行物3発明は、本件発明1の特定要件(A)-(D)、(J)を満たすものである。 また、刊行物3発明は、「高屈折率層」が、「高屈折率樹脂」と、「高屈折率樹脂」以外の「樹脂」と、「金属酸化物」を含有する硬化性組成物であり、「金属酸化物」が、「屈折率が1.7?2.8の金属酸化物微粒子」であり、また、「高屈折率樹脂」として、「芳香族環を含む樹脂である、9,9-ビスフェノキシフルオレン骨格を有するアクリル樹脂、ビフェニル基を有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂等」、すなわち、重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物を用いるものであり、さらに、「高屈折率樹脂」以外の「樹脂」として、「メチル(メタ)アクリレート等」の単官能(メタ)アクリレート又は「ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等」の多官能(メタ)アクリレート等の、重合性基を有する化合物を用いるものである。 これらのことからすると、刊行物3発明は、本件発明1の特定要件(E)-(F)、(H)-(I)も満たし、さらに、特定要件(G)の「光重合開始剤以外の化合物であ」ること、「重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合吐基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であ」ることも満たすものである。 また、本件発明1の特定要件(T)、(U)に関して、刊行物3発明は、「金属酸化物と高屈折率樹脂を含む層を形成するための組成物」が、「前述の金属酸化物と高屈折率樹脂を組み合わせ」たもの、すなわち、「屈折率が1.7?2.8の金属酸化物微粒子」と、「新中村化学社製9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(NKエステルA-BPEF)、ヒドロキシエチル化o-フェニルフェノールアクリレート(NKエステルA-LEN-10)」とを組み合わせたものである。 次いで、本件発明1の特定要件(V)に関して、刊行物3発明は、「金属酸化物と高屈折率樹脂を含む層を形成するための組成物」が、さらに「活性エネルギー線硬化性樹脂」を含むものである。 また、刊行物3発明は、「金属酸化物と高屈折率樹脂の含有比率(質量比)が、金属酸化物:高屈折率樹脂=9:1?1:9の範囲」であるとともに、「樹脂の含有量が、組成物の固形分総量100質量%に対して、5?50質量%の範囲」であるものであるから、「金属酸化物と高屈折率樹脂」及び「活性エネルギー線硬化性樹脂」「を含む層を形成するための組成物」における、「高屈折率樹脂」の含有量が、「金属酸化物と高屈折率樹脂」及び「活性エネルギー線硬化性樹脂」の合計量を100質量%とした場合、5?85.5質量%であり、本件発明1の特定要件(V)の範囲と重複する。 よって、本件発明1の特定要件(V)に関して、刊行物3発明は、本件発明1に対して実質的な相違点を有するものではない。 さらに、本件発明1の特定要件(N)、(S)に関して、刊行物3発明は、「基材フィルムに、高屈折率層との密着力を強化するための易接着層が積層され」たものである。 ここで、刊行物3発明では、「易接着層」として特殊な接着層を用いることが明確に特定されていない以上、刊行物3発明の「易接着層」が一般的な接着層であると解するのが、自然である。 そして、紫外線の照射によって化合物が分解する現象は、よく知られている一般的な技術常識である。例えば、有機物におけるC-C、C-H、C-O、C-N等の原子同士の結合が紫外線の照射によって切断されて有機物が分解することなどは化学分野における周知技術であり、また、紫外線の照射により金属酸化物、ハロゲン化物等の分解が起きることも一般的によく知られた事象である。 よって、刊行物3発明の「易接着層」が、紫外線により分解する化合物を含むことは、明らかである。 このように、刊行物3発明は、本件発明1の特定要件(A)-(F)、(G)の一部、(H)-(J)、(N)、(S)-(V)を満たすものである(一致点)。 しかし、刊行物3発明では、本件発明1の特定要件(G)の「重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物」、「重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物」が「波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物」であることについては特定されていない(相違点)。 イ 相違点についての判断 上記相違点について検討する。 刊行物3には、高屈折率樹脂として、9,9-ビスフェノキシフルオレン骨格を有するアクリル樹脂、ビフェニル基を有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂が用いられること、また、これらに該当するものとして、多数の化合物が挙げられており(上記(1)キの段落[0032]、[0037]を参照。)、例示された化合物中には、本件特許明細書の実施例で用いられているABPEF(新中村化学工業(株)製)及びA-LEN-10(商品名、新中村化学工業(株)製)と同じ化合物である、新中村化学社製9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(NKエステルA一BPEF)、ヒドロキシエチル化o-フェニルフェノールアクリレート(NKエステルA-LEN-10)が挙げられ、さらに、高屈折率樹脂として具体的に例示されている他の化合物も、本件特許明細書の段落【0057】-【0065】あるいは段落【0066】-【0070】において、化合物(B)として例示されている式(B1)で表される化合物、式(B2)で表される化合物、及び、これらの式に該当するものとして具体的に例示されている化合物に該当するものであることからすると、刊行物3に記載されている9,9-ビスフェノキシフルオレン骨格を有するアクリル樹脂、ビフェニル基を有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂は、本件発明1の化合物(B1)の「重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物」、「重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物」に該当するものである。 そして、刊行物3に記載されている9,9-ビスフェノキシフルオレン骨格を有するアクリル樹脂、ビフェニル基を有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂が、本件発明1の化合物(B1)の「重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物」、「重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物」として具体的に挙げられている化合物と同じものであることからすると、これらの化合物が、本件発明1の化合物(B1)の「波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない」との要件を満たすものであることは明らかであり、この点で両者に差異があるものではない。 してみれば、刊行物3には、「波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物」である点も含め、本件発明1の特定要件(G)は実質的に記載されている。 よって、刊行物3発明は、本件発明1の特定要件(A)-(J)、(N)、(S)-(V)のいずれも満たすものとなるから、本件発明1は刊行物3発明と同一の発明である。 なお、インデックスマッチング層と透明基板との密着性、UV耐性は、接着剤層の素材としてどのようなものを用いるかによって、その効果が大きく異なることは、当業者に周知、自明のことであるが、本件特許明細書においては、「接着剤層」との記載はあるものの、それ以上の開示はない。したがって、どのような組成の接着剤を用いた場合に上記特性が改善されるのか、本件特許明細書の記載から不明であることからすると、インデックスマッチング層と透明基板との密着性及びUV耐性が単に接着剤層を設けたことによってのみ奏される効果といえるものでもない。 さらに、本件特許明細書の比較例1の密着性は、本件発明の実施例と同じである。 これらのことからすると、本件発明1の化合物(B1)を用いることにより、格別の効果が奏されるといえるものではない。 刊行物3には、高屈折率層を、高屈折率樹脂を含まない組成物や、9,9-ビスフェノキシフルオレン骨格を有するアクリル樹脂、ビフェニル基を有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂でない高屈折率樹脂を含む組成物で形成してもよいことも記載されている(上記(1)キの段落[0018]、[0032]、[0037]を参照。)が、刊行物3発明において、高屈折率層を形成する組成物として、本件発明1の化合物(B1)に該当する、9,9-ビスフェノキシフルオレン骨格を有するアクリル樹脂、ビフェニル基を有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂を用いた組成物を選択、使用することに何ら困難性が存在するものでなく、また、上述したように、化合物(B1)は、刊行物3に記載のビフェニル基を有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂と同じであり、「波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物」を含め、化合物(B1)の限定に格別の技術的意義が存在するものでないことも併せ考えると、本件発明1は、刊行物3発明と異なるものではなく、仮に、そうでないとしても、刊行物3発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。 ウ 小括 したがって、本件発明1は、刊行物3発明と同一であり、仮に、そうでないとしても、刊行物3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3) 本件発明2について 本件発明2と本件発明1とを対比すると、本件発明2の特定要件(G’)において、本件発明1の特定要件(G)の「(B1)光重合開始剤以外の化合物であって、波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物」が、「(B2)1分子中に2個以上のベンゼン核を有する、光重合開始剤以外の化合物」とされている点、及び、本件発明2の特定要件(H’)において、本件発明1の特定要件(H)の「前記(B1)以外の化合物」が「前記(B2)以外の化合物」とされている点で異なるが、他の点では両者同一である。 したがって、刊行物3には、本件発明2の特定要件(A)-(F)、(I)-(J)、(N)、(S)-(V)、及び、特定要件(G’)のうち、「当該化合物が重合吐基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であり」は記載されている。 そこで、本件発明2の特定要件(G’)の「(B2)1分子中に2個以上のベンゼン核を有する、光重合開始剤以外の化合物」について検討するに、刊行物3に記載の9,9-ビスフェノキシフルオレン骨格を有するアクリル樹脂、ビフェニル基を有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂は、いずれも本件発明2の特定要件(G’)の「1分子中に2個以上のベンゼン核を有する、光重合開始剤以外の化合物」に該当するものである。 また、刊行物3に記載の高屈折率樹脂以外の樹脂は、「重合性基を有する、前記(B2)以外の化合物」である。 したがって、刊行物3には、本件発明2の特定要件のすべてが記載されており、本件発明2は、刊行物3発明と同一である。 また、仮に、そうでないとしても、本件発明2は、刊行物3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4) 本件発明3について 本件発明3は、本件発明1又は2において、インデックスマッチング層の屈折率が、1.59-1.80であることを特徴とするものである。 これに対し、刊行物3(上記(1)ア)には、高屈折率層(インデックスマッチング層)の屈折率が、本件発明3の特徴点の屈折率の範囲に包含される1.61-1.80であることが記載されているから、上記本件発明3の特徴点は、刊行物3発明との対比において相違点とはならない。 したがって、本件発明3は、本件発明1-2と同様の理由で、刊行物3発明と同一の発明であり、仮に、そうでないとしても、刊行物3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5) 本件発明4について 本件発明4は、本件発明1-3において、インデックスマッチング層を形成する硬化性組成物が、(D)光重合開始剤をさらに含有することを特徴とするものである。 これに対し、刊行物3(上記(1)キの段落[0044])には、高屈折率層(インデックスマッチング層)を形成する硬化性組成物に光重合開始剤を含ませることが記載されているから、上記本件発明4の特徴点は、刊行物3発明との対比において相違点とはならない。 したがって、本件発明4は、本件発明1-3と同様の理由で、刊行物3発明と同一の発明であり、仮に、そうでないとしても、刊行物3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6) 本件発明5について 本件発明5は、本件発明1-4において、化合物(C)が、多官能(メク)アクリレートであることを特徴とするものである。 これに対し、刊行物3には、高屈折率層(インデックスマッチング層)を形成する硬化性組成物に含まれる高屈折率樹脂以外の樹脂として、単官能アクリレート、多官能アクリレートが例示され(上記(1)キの段落[0021]-[0023]を参照。)、多官能モノマーを用いることが好ましいことが記載されている(上記(1)キの段落[0025]を参照。)から、上記本件発明5の特徴点は、刊行物3発明との対比において相違点とはならない。 したがって、本件発明5は、本件発明1-4と同様の理由で、刊行物3発明と同一の発明であり、仮に、そうでないとしても、刊行物3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (7) 本件発明7-8について 本件発明7-8は、本件発明1又は2において、インデックスマッチング層を形成するために用いられる硬化性組成物を、それぞれインデックスマッチング層形成用硬化性組成物として記載したものである。 しかし、上記(2)イ、(3)に記載したように、これらインデックスマッチング層形成用硬化性組成物は、刊行物3に記載されたものと同一のものである。 したがって、本件発明7-8は、本件発明1又は2と同様の理由で、刊行物3発明と同一の発明であり、仮に、そうでないとしても、刊行物3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (8) 本件発明9について 本件発明9は、本件発明1又は2の積層体を、積層体の製造方法として記載したものである。 これに対し、刊行物3には、「高屈折率層との密着力を強化するための」一般的な「易接着層が積層され」た(上記(2)ア(32ページ下から3行-33ページ11行)を参照。)基材フィルム(透明基板)上に、金属酸化物と高屈折率樹脂と高屈折率樹脂でない樹脂を含む組成物(インデックスマッチング層形成用硬化性組成物)(上記(1)キの段落[0018]、[0020]-[0021]、[0042]-[0043]を参照。)をウェットコーティングし、硬化することにより高屈折率層を形成し(上記(1)キの段落[0018]を参照。)、さらに高屈折率層上に透明電極層を形成すること(上記(1)ア、ケを参照。)が記載されている。そして、硬化性組成物はウェットコーティングされるから、硬化性組成物の塗膜が形成されること、また、硬化性組成物には活性エネルギー線硬化樹脂や光重合開始剤が含まれること(上記(1)キの段落[0042]-[0044]を参照。)から、硬化が活性エネルギー線の照射によることは、自明であるし、また実施例では、紫外線を照射することにより塗膜を硬化することが記載されている(上記(1)ケを参照。)。 さらに、特定要件(O)の「請求項7または8に記載のインデックスマッチング層形成用硬化性組成物」については、上記(7)に記載したように、刊行物3に記載されている。 したがって、本件発明9は、刊行物3発明と同一の発明であり、仮に、そうでないとしても、刊行物3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 理由2(その1)について (1) 刊行物1について 刊行物1には、図面(特に、Fig. 1)とともに、以下の記載がある(原文は省略。訳文は、ファミリー文献である刊行物2を参照した。)。 ア 段落[2](刊行物2の段落【0002】を参照。以下、同じ。) (当審仮訳: [2] タッチパネルには、位置検出の方法に応じて光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などがある。抵抗膜方式のタッチパネルは、透明導電性フィルムと、透明導電体層が付着したガラスとがスペーサーを介して対向・配置されており、透明導電性フィルムに電流を流し、透明導電体層が付いたガラスにおける電圧を計測する構造になっている。一方、静電容量方式のタッチパネルは、基材上に透明導電層を有することを基本的構成とし、可動部分がないことが特徴であり、高耐久性及び高透過率を有するので、車載用途などにおいて適用されている。) イ 段落[31]-[45](段落【0030】-【0044】) (当審仮訳: [31] 本発明の一具現例において、アクリレート樹脂、フルオレン誘導体樹脂及び金属酸化物粒子を含む高屈折層コーティング用組成物を提供する。 ・・・(中略)・・・ [34] 前記高屈折層コーティング用組成物は、アクリレート樹脂を含んでもよく、前記アクリレート樹脂は光硬化型であってもよい。また、前記高屈折層コーティング用組成物は、紫外線や電子線などの活性エネルギー線によって硬化し、耐久性及び高温・高湿の外部環境に対する耐性を付与し、さらに、屈折率を調節する目的で使用されてもよい。 [35] このとき、前記アクリレート(当審注:「前記アクリレート樹脂」の原文誤記と認める。)として、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレングリコール(メタ)アクリレート、カルボキシル基及び不飽和二重結合含有(メタ)アクリル系化合物、水酸基含有(メタ)アクリル系化合物、窒素含有(メタ)アクリル系化合物などを含んでもよい。また、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどのアクリル系オリゴマーを含んでもよい。 [36] 具体的に、前記アクリレート樹脂は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、トリメタノールプロパントリアクリレート、1,6?ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、トリエチレングリコールアクリレート、テトラエチレングリコールアクリレート、ヘキサエチレングリコールアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、2?エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルジアクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールAジアクリレート、2?フェノキシエチルアクリレート及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたいずれか一つであってもよい。 ・・・(中略)・・・ [38] 前記高屈折層コーティング用組成物は、フルオレン誘導体樹脂を含んでもよく、前記フルオレン誘導体樹脂は、光硬化型樹脂であってもよい。前記フルオレン誘導体樹脂は、芳香族炭化水素であるフルオレンを中心に誘導された化合物を含むものであって、有機物の低い屈折率を向上させ、耐熱性、基材接着性、無機物との相溶性を高めるために使用される。また、前記フルオレン誘導体樹脂は、分子構造的に高い密度の低い溶解性を解決し、金属酸化物粒子表面と化学的に結合できるようにヒドロキシグループを含んでもよい。 [39] 具体的に、前記フルオレン誘導体樹脂は、フルオレン、フルオレノン、2?アセトアミドフルオレン、2?アセチルフルオレン、2?アセトアミノフルオレン、9?ブロモフルオレン、9?ブロモ?9?フェニルフルオレン、2,7?ジアミノ?フルオレン、2,7?ジ(アセトアミド)フルオレン、2,7?ジアセチルフルオレン、9,9?ビス[4?(2?ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9?ビス(3,4?ジカルボキシフェニル)フルオレンアンハイドライド、9,9?ビス(3?メチル?4?ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9?ビス(4?ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9?ビス(4?アミノフェニル)フルオレン、9,9?ビス(4?ヒドロキシ?3?メチルフェニル)フルオレン、9,9?ビス[4?(2?アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9?ビス[4?(2?ヒドロキシ?3?アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9?ビス(4?ヒドロキシフェニル)フルオレン、2?プロペン酸、1,1’?[9H?フルオレン?9?イリデンビス[4,1?フェニレンオキシ(2?ヒドロキシ?3,1?プロパンチル)]]エステル及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたいずれか一つであってもよい。 ・・・(中略)・・・ [41] 前記高屈折層コーティング用組成物は、金属酸化物粒子を含んでもよい。金属酸化物粒子は、金属元素及び酸素元素のみからなる化合物を粒子状に示したものであって、導電性を示すことができるが、前記高屈折層コーティング用組成物は、金属酸化物粒子を含むにもかかわらず、導電性を帯びていない。 [42] このとき、前記金属酸化物粒子は、TiO_(2)、ZrO_(2)、Al_(2)O_(3)、SnO_(2)、ITO(indium?tinoxide)、Sb_(2)O_(5)、Nb_(2)O_(3)、Y_(2)O_(3)、SiO_(2)及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたいずれか一つであってもよい。 ・・・(中略)・・・ [45] 前記高屈折層コーティング用組成物は、アクリレート樹脂、フルオレン誘導体樹脂及び金属酸化物粒子以外に、光開始剤をさらに含んでもよい。前記光開始剤は、光硬化反応が起こり、高屈折層コーティング用組成物が形成されるようにするために使用される。具体的に、前記光開始剤は、総固形分100重量部に対して約1重量部?約15重量部含むことによって、光硬化反応を促進することができる。) ウ 段落[48]-[52](段落【0046】-【0050】) (当審仮訳: [48] 本発明の更に他の具現例において、アクリレート樹脂、フルオレン誘導体樹脂及び金属酸化物粒子を含む高屈折層コーティング用組成物を用いて形成された高屈折層を含む透明導電性フィルムを提供する。 [49] 図1は、本発明の一実施例に係る透明伝導性フィルムの断面を概略的に示した図である。図1を参照すると、前記透明導電性フィルム10は、透明基材1、ハードコーティング層2、高屈折層3、低屈折層4及び導電層5の積層構造である。 ・・・(中略)・・・ [52] 前記高屈折層の屈折率は、約1.6?約1.8であってもよい。前記高屈折層の形成にアクリレート樹脂、フルオレン誘導体樹脂及び金属酸化物粒子を含む高屈折層コーティング用組成物を用いた結果、屈折率を約1.6?約1.8に調節でき、透明伝導性フィルムの全体的な視認性及び全光線透過率が向上し得る。) エ 段落[59]-[62](段落【0056】-【0057】) (当審仮訳: [59] 製造例1?高屈折層コーティング用組成物 [60] 紫外線硬化型アクリレート樹脂、紫外線硬化型フルオレン誘導体樹脂及び金属酸化物ナノ粒子を下記の表1に記載した構成及び含量で含むことによって、高屈折層コーティング用組成物を製造した。 [61] 表1 [Table1] [62] *フルオレン誘導体:9,9?Bis[4?(2?Acryloyloxyethoxy)phenyl]fluorine) オ 段落[69]-[70](段落【0060】-【0061】) (当審仮訳: [69] 製造例2で製造したハードコーティング層組成物を、メイヤーバー(Meyerbar)を用いて125μmのPETフィルム上に乾燥膜の厚さが1.5μmになるように塗布し、180Wの高圧水銀灯で300mJの紫外線を照射して硬化させることによってフィルムを製作した。前記の製作したフィルムの反対面に前記と同一の方法で製造例2で製造したハードコーティング層組成物を乾燥膜の厚さが1.5μmになるように塗布して硬化させ、両面にハードコーティング層を含むフィルムを製作した。 [70] その後、両面にハードコーティング層を含むフィルムの一面に、製造例1?1で製造された高屈折層コーティング用組成物を乾燥膜の厚さが50nmになるように塗布し、180Wの高圧水銀灯で300mJの紫外線を照射して硬化させることによって高屈折層を形成した。その後、前記高屈折層に、製造例3で製造された低屈折層コーティング液組成物を乾燥膜の厚さが20nmになるように塗布し、150℃のオーブンで1分間硬化させることによって低屈折層を形成した。このとき、インジウム:スズ=95:5のITOターゲットを用いて低屈折層に膜厚20nmのITO層を形成し、透明導電性フィルムを製作した。) よって、上記各記載事項を関連図面に照らし、下線部に着目すれば、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されているといえる。 「 アクリレート樹脂、フルオレン誘導体樹脂及び金属酸化物粒子を含む高屈折層コーティング用組成物であって、 アクリレート樹脂として、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレングリコール(メタ)アクリレート、カルボキシル基及び不飽和二重結合含有(メタ)アクリル系化合物、水酸基含有(メタ)アクリル系化合物、窒素含有(メタ)アクリル系化合物などを含んでもよく、また、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどのアクリル系オリゴマーを含んでもよく、 フルオレン誘導体樹脂は、9,9?ビス[4?(2?アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9?ビス[4?(2?ヒドロキシ?3?アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]フルオレン及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたいずれか一つであってもよく、 金属酸化物粒子は、TiO_(2)、ZrO_(2)、Nb_(2)O_(3)からなる群から選ばれたいずれか一つであってもよい、 高屈折層コーティング用組成物を用いて形成された高屈折層を含む透明導電性フィルムであって、 透明基材1、高屈折層3及び導電層5の積層構造である、 透明導電性フィルム。」 (2) 刊行物3について 刊行物3には、以下の記載がある。 ア 段落[0006]-[0010] 「[0006] 透明導電膜パターンの骨見えを抑制することが提案されている(例えば特許文献1?6)。 先行技術文献 特許文献 [0007]特許文献1:特開2011-84075号公報 特許文献2:特開2010-228295号公報 特許文献3:特開2009-76432号公報 特許文献4:特開2006-301510号公報 特許文献5:特許第4364938号公報 特許文献6:特許第4661995号公報 発明の概要 発明が解決しようとする課題 [0008] しかしながら、特許文献1?6に開示されている技術では、透明導電膜パターンの骨見えの抑制効果が十分に満足するまでに至らない。特に、静電容量式のタッチパネルにおいては、透明導電膜が光の入射表面側に用いられているため、上記の骨見え現象は表示装置としての品質を低下させることから、更なる改善が求められている。 [0009] 従って、本発明の目的は、透明導電膜パターンの視認(骨見え)が十分に抑制された透明導電性フィルムを提供することにある。また、本発明の他の目的は、透明導電膜パターンの視認(骨見え)が十分に抑制された透明導電性フィルムを備えたタッチパネルを提供することにある。 課題を解決するための手段 [0010] 上記課題を達成できる本発明の透明導電性フィルムは、基材フィルム上に、屈折率が1.61?1.80である高屈折率層、SiO_(2)膜、およびパターン化された透明導電膜をこの順に有し、前記高屈折率層の厚みが30nm以上であり、かつ前記高屈折率層の光学厚みと前記SiO_(2)膜の光学厚みとの合計が(1/4)λの透明導電性フィルムである。 但し、λは380?780nmである。」 イ 段落[0017] 「[0017] 高屈折率層は、樹脂と金属酸化物を含む層、高屈折率樹脂を含む層、もしくは金属酸化物と高屈折率樹脂を含む層であることが好ましく、樹脂と金属酸化物を含む層であることがより好ましい。」 ウ 段落[0032] 「[0032] 高屈折率樹脂としては、フッ素以外のハロゲン原子を含む樹脂(例えば臭素原子を含む樹脂、塩素原子を含む樹脂、ヨウ素原子を含む樹脂)、硫黄原子を含む樹脂、窒素原子を含む樹脂、燐原子を含む樹脂、芳香族環を含む樹脂(例えばフルオレン骨格を含む樹脂、フェニル基を含む樹脂等)が挙げられる。これらの樹脂は透明性を有するものであればよく、公知または市販のものを使用することができ、また他の樹脂と併用することもできる。」 エ 段落[0037] 「[0037] 芳香族環を含む樹脂としては、9,9-ビスフェノキシフルオレン骨格を有するアクリル樹脂、ビフェニル基を有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。例えば新中村化学社製9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(NKエステルA-BPEF)、o-フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート(NKエステル401P)、ヒドロキシエチル化o-フェニルフェノールアクリレート(NKエステルA-LEN-10)、JFEケミカル社製9,9-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(BCF)、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEF)、大阪ガスケミカル社製ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル(BPFG)、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル(BPEFG)、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート(BPEF-A)、オグソールPGシリーズ、オグソールEGシリーズ、オグソールEAシリーズ、オグソールEA-Fシリーズ、長瀬産業社製オンコートEXシリーズ、共栄社化学社製HIC-Gシリーズ、ADEKA社製RF(X)シリーズ等を用いることができる。」 オ 段落[0067] 「[0067] [易接着層] 基材フィルムは、高屈折率層や後述するハードコート層との密着力を強化するための易接着層が積層されていることが好ましい。」 カ 段落[0095] 「[0095] 本発明の透明導電性フィルムの好ましい構成例の幾つかを以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。なお、下記構成例において、透明導電膜はパターン化された透明導電膜であり、透明導電膜以外の他の層はパターン化されていない。 a)基材フィルム/易接着層/高屈折率層/SiO_(2)膜/透明導電膜 b)ハードコート層/易接着層/基材フィルム/易接着層/高屈折率層/SiO_(2)膜/透明導電膜 c)基材フィルム/易接着層/ハードコート層/高屈折率層/SiO_(2)膜/透明導電膜 d)ハードコート層/易接着層/基材フィルム/易接着層/ハードコート層/高屈折率層/SiO_(2)膜/透明導電膜 e)透明導電膜/SiO_(2)膜/高屈折率層/易接着層/基材フィルム/易接着層/高屈折率層/SiO_(2)膜/透明導電膜 f)透明導電膜/SiO_(2)膜/高屈折率層/ハードコート層/易接着層/基材フィルム/易接着層/ハードコート層/高屈折率層/SiO_(2)膜/透明導電膜。」 キ 段落[0119] 「[0119] [実施例1] 下記の要領で透明導電性フィルムを作製した。この透明導電性フィルムは、「ハードコート層/易接着層/基材フィルム(PETフィルム)/易接着層/高屈折率層/SiO_(2)膜/透明導電膜」の構成である。 <易接着層の積層> 屈折率1.65で厚み125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)の両面に、PETフィルムの製膜工程内(インライン)で上記の易接着層塗布組成物1aを乾燥厚みが90nmとなるようにウェットコーティング法(バーコート法)により積層して、PETフィルム上に易接着層を積層した。 <ハードコート層の積層> PETフィルムの一方の面の易接着層上にハードコート層の塗布組成物をウェットコーティング法(グラビアコート法)により塗布し、乾燥し、紫外線を照射し硬化して、厚みが2μmのハードコート層を積層した。 <高屈折率層の積層> PETフィルムのハードコート層が積層されている面とは反対面の易接着層上に高屈折率層の塗布組成物2aをウェットコーティング法(グラビアコート法)により硬化後の厚みが70nmとなるように塗布し、乾燥し、紫外線を照射し硬化させて、高屈折率層を形成した。 <SiO_(2)膜の積層> 上記の高屈折率層上に、厚みが10nmとなるようにSiO_(2)膜(屈折率1.46)をスパッタリング法により積層した。 <透明導電膜の積層> 上記のSiO_(2)膜に、透明導電膜としてITO膜(屈折率2.00)を厚みが33nmとなるようにスパッタリング法で積層した。 <透明導電膜のパターン化> 上記で得られた積層体の透明導電膜のみをストライプ状にパターン加工(エッチング処理)して、透明導電性フィルムを得た。」 (3) 刊行物4について 刊行物4には、以下の記載がある。 ア 段落【0005】 「【0005】 例えば、透明導電膜の色調(色味)を調整するために、基材フィルム上に光学機能層を積層したベースフィルムが提案されており(特許文献1?3)、またパターン化された透明導電膜のパターンが視認される現象(いわゆる「骨見え」)を抑制するために、基材フィルム上に屈折率調整層を積層したベースフィルムとして知られている(特許文献4?8)。」 イ 段落【0015】 「【0015】 本発明において、高屈折率層と低屈折率層の積層構成は、透明導電膜の色調を調整するための光学機能層あるいはパターン化された透明導電膜の骨見えを抑制するための屈折率調整層として機能を有する。特に、本発明において、高屈折率層と低屈折率層の積層構成は、パターン化された透明導電膜の骨見えを抑制するのに好適である。」 ウ 段落【0024】 「【0024】 [易接着層] 本発明の基材フィルムは、少なくとも高屈折率層および低屈折率層を積層する側の面に易接着層が設けられていることが好ましい。易接着層は基材フィルムの両面に積層されていることがより好ましい。」 エ 段落【0038】 「【0038】 高屈折率樹脂としては、例えばフッ素以外のハロゲン原子を含む樹脂(例えば臭素原子を含む樹脂、塩素原子を含む樹脂)、硫黄原子を含む樹脂、窒素原子を含む樹脂、燐原子を含む樹脂、珪素原子を含む樹脂、芳香族環を含む樹脂(例えばフルオレン骨格を含む樹脂、フェニル基を含む樹脂等)が挙げられる。」 オ 段落【0046】 「【0046】 芳香族環を含む樹脂としては、9,9-ビスフェノキシフルオレン骨格を有するアクリル樹脂、ビフェニル基を有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。例えば新中村化学社製9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(NKエステルA-BPEF)、o-フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート(NKエステル401P)、ヒドロキシエチル化o-フェニルフェノールアクリレート(NKエステルA-LEN-10)、JFEケミカル社製9,9-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(BCF)、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEF)、大阪ガスケミカル社製ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル(BPFG)、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル(BPEFG)、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート(BPEF-A)、オグソールPGシリーズ、オグソールEGシリーズ、オグソールEAシリーズ、オグソールEA-Fシリーズ、長瀬産業社製オンコートEXシリーズ、共栄社化学社製HIC-Gシリーズ、ADEKA社製RF(X)シリーズ等を用いることができる。」 カ 段落【0112】 「【0112】 (7)低屈折率層表面の平均粗さ(Ra)の測定 下記の原子力間顕微鏡(AFM)および解析ソフトを用いて測定した。測定範囲は1μm平方である。 <原子力間顕微鏡> Bruker Corporation製の「DIMENSION icon with Scan Asyst」 <解析ソフト> Bruker Corporation製の「Nano Scope Analysis(version1.40)」 [原料] <易接着層形成用塗布液(水分散体)> 固形分質量比で、Tg(ガラス転移温度)が120℃のポリエステル樹脂aを26質量%、Tgが80℃のポリエステル樹脂bを54質量%、メラミン系架橋剤を18質量%、粒子を2質量%混合して水分散塗布液を調製した。 ・ポリエステル樹脂a;2,6-ナフタレンジカルボン酸43モル%、5-ナトリウムスルホイソフタル酸7モル%、エチレングリコールを含むジオール成分50モル%を共重合して得られたポリエステル樹脂。 ・ポリエステル樹脂b;テレフタル酸38モル%、トリメリット酸12モル%、エチレングリコールを含むジオール成分50モル%を共重合して得られたポリエステル樹脂。 ・メラミン系架橋剤;メチロール基型メラミン架橋剤(三和ケミカル(株)製の「ニカラックMW12LF」) ・粒子;平均粒子径190nmのコロイダルシリカ。」 キ 段落【0121】-【0127】 「【0121】 [実施例1] 下記の要領でベースフィルムを作製した。 【0122】 <易接着層積層PETフィルムの作製> 屈折率1.65で厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)の両面に、それぞれ樹脂層をPETフィルムの製造工程内でインラインコーティングした。つまり、長手方向に一軸延伸されたPETフィルムの両面にそれぞれ易接着層形成用塗布液をバーコート法で塗布し100℃で乾燥後、引き続き幅方向に二軸延伸し、230℃で20秒間加熱処理を施し熱硬化させて、両面に樹脂層が積層されたPETフィルムを作製した。樹脂層の屈折率は1.59、厚みは90nmであった。 【0123】 <ハードコート層の積層> 上記で作製した易接着層積層PETフィルムの一方の面(以下、「B面」と称することがある)に組成物A2を、ウェットコーティング法(グラビアコート法)により塗布して、90℃で乾燥後、紫外線を照射し硬化させてハードコート層(裏面ハードコート層)を形成した。このハードコート層は、厚み2μmm、屈折率が1.52であった。 【0124】 次いで、易接着層積層PETフィルムの他方の面(以下、「A面」と称することがある)に組成物A1を、ウェットコーティング法(グラビアコート法)により塗布して、90℃で乾燥後、紫外線を照射し硬化させてハードコート層を形成した。このハードコート層は、厚み2μmm、屈折率が1.52であった。 【0125】 <高屈折率層の積層> 上記の組成物A1を用いて形成したハードコート層の上に、組成物B1をウェットコーティング法(グラビアコート法)により塗布し、90℃で乾燥後、紫外線を照射し硬化させて高屈折率層を形成した。この高屈折率層の屈折率は1.65、厚みは50nmであった。 【0126】 <低屈折率層の積層> 上記高屈折率層の上に、組成物C1をウェットコーティング法(グラビアコート法)により塗布し、90℃で乾燥し、紫外線を照射し硬化させて低屈折率層を形成して、ベースフィルムを作成した。この低屈折率層の屈折率は1.45、厚みは40nmであった。 【0127】 <透明導電性フィルムの作成> 上記で作成したベースフィルムの低屈折率層の上に、透明導電膜としてITO膜を厚みが20nmとなるようにスパッタリング法で積層し、次にこのITO膜のみを格子状にパターン加工(エッチング処理)して、透明導電性フィルムを得た。」 (4) 刊行物5について 刊行物5には、図面とともに、段落【0008】に、以下の記載がある。 「【0008】 本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねたところ、高屈折率で現像性を有するカルド樹脂と、同じく高屈折率のモノマーとを組み合わせ、これに更に、金属またはその酸化物の微粒子を所定のPV比で添加することにより、絶縁層及び/又は保護層としての屈折率を大幅に向上してITOとの屈折率差を小さくすることができ、これによってITOパターンがタッチ面側から透けて見えてしまうことを効果的に防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。」 (5) 刊行物6について 刊行物6には、以下の記載がある。 ア 段落[0009] 「[0009] 本発明に係る金属酸化物組成物は、下記一般式(1)で表される分散剤(A)、及び平均一次粒子径が5?100nmの金属酸化物を含有するものであり、二種類以上の金属酸化物及び二種類以上の分散剤(A)をそれぞれ含んでも良い。 一般式(1): [化3] (式中、R^(1)?R^(4)は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、R^(5)?R^(8)は、それぞれ独立に非置換もしくは置換の、直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基またはアルキレンオキシアルキレン基を示し、R^(9)は、4価の芳香族基または脂肪族基を示す。)」 イ 段落[0011] 「[0011] 上記式(1)において、R^(9)の4価の芳香族基としては、具体的にフェニル骨格、ベンゾフェノン骨格、ビフェニル骨格、フェニルエーテル骨格、ジフェニルスルホン骨格、ジフェニルスルフィド骨格、ペリレン骨格、フルオレン骨格、テトラヒドロナフタレン骨格及びナフタレン骨格などが挙げられる。なかでも、R^(9)がビフェニル骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、及びテトラヒドロナフタレン骨格からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。」 (6) 刊行物7について 刊行物7には、以下の記載がある。 ア 段落[0030] 「[0030] 第1層は易接着層としての機能を有していることが好ましい。つまり、第1層は、基材フィルムと第1層より上方の層(例えば第2層、第3層、および透明導電膜)との密着性(接着性)を強化するための易接着層としての役目を有していることが好ましい。従って、第1層は基材フィルム上に直接に設けられていることが好ましい。」 イ 段落[0052] 「[0052] 高屈折率樹脂としては、フッ素以外のハロゲン原子を含む樹脂(例えば臭素原子を含む樹脂、塩素原子を含む樹脂、ヨウ素原子を含む樹脂)、硫黄原子を含む樹脂、窒素原子を含む樹脂、燐原子を含む樹脂、芳香族環を含む樹脂(例えばフルオレン骨格を含む樹脂、フェニル基を含む樹脂等)が挙げられる。これらの樹脂は透明性を有するものであればよく、公知または市販のものを使用することができ、また他の樹脂との併用も可能である。」 ウ 段落[0056] 「[0056] 芳香族環を含む樹脂としては、9,9-ビスフェノキシフルオレン骨格を有するアクリル樹脂、ビフェニル基を有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。例えば新中村化学社製9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(NKエステルA-BPEF)、o-フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート(NKエステル401P)、ヒドロキシエチル化o-フェニルフェノールアクリレート(NKエステルA-LEN-10)、JFEケミカル社製9,9-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(BCF)、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEF)、大阪ガスケミカル社製ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル(BPFG)、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル(BPEFG)、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート(BPEF-A)、オグソールPGシリーズ、オグソールEGシリーズ、オグソールEAシリーズ、オグソールEA-Fシリーズ、長瀬産業社製オンコートEXシリーズ、共栄社化学社製HIC-Gシリーズ、ADEKA社製RF(X)シリーズ等を用いることができる。」 (7) 刊行物8について 刊行物8には、図面とともに、段落【0059】に、以下の記載がある。 「【0059】 透明導電層は、直接基材フィルムに積層されても良いが、易接着層及び/又は種々の他の層を介して積層することが出来る。他の層としては、例えば、ハードコート層、インデックスマッチング(IM)層、及び低屈折率層等を挙げることができる。代表的な透明導電性フィルムの積層構造としては、次の6パターンを挙げることが出来るが、これらに限定されるわけではない。 (1)基材フィルム/易接着層/透明導電層 (2)基材フィルム/易接着層/ハードコート層/透明導電層 (3)基材フィルム/易接着層/IM(インデックスマッチング)層/透明導電層 (4)基材フィルム/易接着層/ハードコート層/IM(インデックスマッチング)層/透明導電層 (5)基材フィルム/易接着層/ハードコート層(高屈折率でIMを兼ねる)/透明導電層 (6)基材フィルム/易接着層/ハードコート層(高屈折率)/低屈折率層/透明導電性薄膜」 (8) 本件発明1について ア 対比 本件発明1(なお、分説は、令和元年11月21日に特許異議申立人1により提出された意見書における特定要件(A)-(J)、(N)、(S)-(V)を採用した。)と刊行物1発明とを対比すると、次のことがいえる。 (ア) 刊行物1発明の「透明導電性フィルム」は、「透明基材1、高屈折層3及び導電層5の積層構造である」から、刊行物1発明の「透明基材1」は、本件発明1の「透明基板」に相当し、刊行物1発明の「高屈折層3」、「導電層5」は、それぞれ、本件発明1の「インデックスマッチング層」、「透明電極層」に対応する。 そして、刊行物1発明の「透明基材1、高屈折層3及び導電層5」が「積層」されていることは、本件発明1の「透明基板と、インデックスマッチング層と、透明電極層とがこの順に積層されて」いることに対応する。 また、刊行物1発明の「透明導電性フィルム」は、本件発明1の「積層体」に対応する。 (イ) 刊行物1には、導電層5が透明な導電層であることは明記されていない。 しかしながら、導電層5は、透明導電性フィルムを構成するものであるから、当然、透明であると解される。 また、刊行物1には、「静電容量方式のタッチパネルは、基材上に透明導電層を有することを基本的構成とし、」と記載されており(上記(1)アを参照。)、実施例として、導電層として周知の透明導電層であるITO層を形成した透明導電性フィルムが記載されている(上記(1)オの段落[70]を参照。)。 よって、刊行物1発明の「導電層5」は、本件発明1の「透明電極層」に相当する。 (ウ) 本件特許明細書には、「本発明において、「インデックスマッチング層」とは、タッチパネル等の表示装置等に用いられる積層体を構成する層であって、透明基板と透明電極層との間に、透明基板上の透明電極層を有する部分と透明電極層を有さない部分との光学特性の差を小さくすることを目的として設けられる層のことをいう。」(段落【0028】)、「IM層の屈折率は、好ましくは1.59?1.80、より好ましくは1.60?1.75である。」(段落【0098】)、「IM層は、上記範囲の屈折率を有するため、 ・・・ 透明電極層を有する部分と透明電極層を有さない部分との、光学特性の差を低減することができる。」(段落【0099】)と記載されている。 また、透明基板と透明電極層との間に高い屈折率を有する層を設けることにより、透明電極層を有する部分と透明電極性を有さない部分との光学特性の差(いわゆる「骨見え」)を抑制できることは、周知技術である(例えば、刊行物3(上記(2)ア)、刊行物4(上記(3)のア-イ)、及び、刊行物5(上記(4))を参照。)。 そして、刊行物1発明の「透明導電性フィルム」は、「透明基材1、高屈折層3及び」透明な「導電層5の積層構造であ」って、タッチパネルに適用されるものである。 また、刊行物1(上記(1)ウの段落[52])には、高屈折層の屈折率が約1.6-約1.8であってもよい旨記載されているところ、刊行物1発明の「高屈折層3」は、本件発明1の「インデックスマッチング層」に相当する。 (エ) 刊行物1発明の「高屈折層3」は、「アクリレート樹脂、フルオレン誘導体樹脂及び金属酸化物粒子を含む高屈折層コーティング用組成物であって、」「金属酸化物粒子は、TiO_(2)、ZrO_(2)、Nb_(2)O_(3)からなる群から選ばれたいずれか一つであってもよい、高屈折層コーティング用組成物を用いて形成された」ものであるから、刊行物1発明の「高屈折層コーティング用組成物」は、本件発明1の「硬化性組成物」に対応する。 また、TiO_(2)、ZrO_(2)、Nb_(2)O_(3)の屈折率が、1.7以上であることは、技術常識である。 したがって、刊行物1発明の、「TiO_(2)、ZrO_(2)、Nb_(2)O_(3)からなる群から選ばれたいずれか一つであ」る「金属酸化物粒子」は、本件発明1の「屈折率が1.7以上の金属酸化物粒子」に相当する。 (オ) 刊行物1発明の「高屈折層3」は、「フルオレン誘導体樹脂は、9,9?ビス[4?(2?アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9?ビス[4?(2?ヒドロキシ?3?アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]フルオレン及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたいずれか一つであってもよ」いものであるところ、「フルオレン誘導体樹脂」として「9,9?ビス[4?(2?アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン」を含むものである。 ここで、刊行物1において、高屈折層コーティング用組成物に含まれるフルオレン誘導体樹脂が、本件発明1の特定要件(G)の「波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない」との特定の吸収特性を有するか否かを明らかにする記載はない。 しかしながら、本件特許明細書の段落【0056】において、好ましい「フルオレン骨格を有する化合物」として記載された化合物の多くが、刊行物1(上記(1)イの段落[39])において、フルオレン誘導体樹脂の具体例として重複して記載されている。 特に、刊行物1の製造例1において、高屈折層コーティング用組成物の製造に用いた「9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン」は、本件発明1の実施例1-12において、成分(B)として用いた「B-1:ABPEF(商品名、新中村化学工業(株)製)」と同一の化合物である(本件特許の出願(特願2015-073130号)に係る平成30年6月1日付け意見書、刊行物3(上記(2)エ)、刊行物4(上記(3)オ)を参照。)。 したがって、刊行物1発明の「9,9?ビス[4?(2?アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン」が、本件発明1の特定要件(G)の「化合物」と同様に、「波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物」であることは、明らかである。 よって、刊行物1発明の、「9,9?ビス[4?(2?アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン」である「フルオレン誘導体樹脂」は、本件発明1の「光重合開始剤以外の化合物であって、波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物」であって、「重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であ」る「化合物」と、「光重合開始剤以外の化合物であって、波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物」であって、「重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物であ」る「化合物」である点で共通する。 さらに、刊行物1発明の、「9,9?ビス[4?(2?アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン」である「フルオレン誘導体樹脂」は、本件発明1の、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であ」る、「前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物」 「【化1】 (b1) [式(b1)中、R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; aおよびbは、それぞれ独立に1?4の整数である。]」に相当する。 (カ) 刊行物1発明の「高屈折層3」は、「アクリレート樹脂として、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレングリコール(メタ)アクリレート、カルボキシル基及び不飽和二重結合含有(メタ)アクリル系化合物、水酸基含有(メタ)アクリル系化合物、窒素含有(メタ)アクリル系化合物などを含んでもよく、また、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどのアクリル系オリゴマーを含んでもよ」いものであるから、刊行物1発明の「アルキル(メタ)アクリレート、アルキレングリコール(メタ)アクリレート、カルボキシル基及び不飽和二重結合含有(メタ)アクリル系化合物、水酸基含有(メタ)アクリル系化合物、窒素含有(メタ)アクリル系化合物」、「エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどのアクリル系オリゴマー」の少なくとも1つである「アクリレート樹脂」は、「重合性基を有する、前記(B1)以外の化合物」、すなわち、「光重合開始剤以外の化合物であって、波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物」であって、「重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であ」る「化合物」「以外の化合物」に相当する。 よって、本件発明1と刊行物1発明との一致点・相違点は、次のとおりであるといえる。 [一致点] 「 透明基板と、インデックスマッチング層と、透明電極層とがこの順に積層されており、 インデックスマッチング層が、 (A)屈折率が1.7以上の金属酸化物粒子と、 (B1)光重合開始剤以外の化合物であって、波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物と、ここで当該化合物が重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物であり、 (C)重合性基を有する、前記(B1)以外の化合物と を含有する硬化性組成物から形成された層であり、 前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物である 【化1】 (b1) [式(b1)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; aおよびbは、それぞれ独立に1?4の整数である。]、 積層体。」 [相違点1](本件発明1の特定要件(N)、(S)) 本件発明1は、「透明基板とインデックスマッチング層との間に、紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層をさらに有し、接着剤層が、紫外線による分解を受ける化合物を含」むのに対して、刊行物1発明は、そのような特定がされていない点。 [相違点2](本件発明1の特定要件(G)) 「(B1)光重合開始剤以外の化合物であって、波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物」が、本件発明1では、「重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であ」るのに対して、刊行物1発明では、「9,9?ビス[4?(2?アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン」である「フルオレン誘導体樹脂」である点。 [相違点3](本件発明1の特定要件(U)) 本件発明1では、「前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であ」る 「【化2】 (b2) [式(b2)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?5の整数である。]、のに対して、刊行物1発明では、そもそも、 「(B1)光重合開始剤以外の化合物であって、波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物」が、「前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物」ではない点。 [相違点4](本件発明1の特定要件(V)) 本件発明1では、「前記硬化性組成物において、化合物(B1)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B1)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である」のに対して、刊行物1発明では、そのような特定がされていない点。 イ 相違点についての判断 上記相違点1-4について検討する。 (ア) 上記相違点1について タッチパネル等の表示装置が属する技術分野において、積層構造を有する光学部材における異なる層間の密着性の向上は、自明な課題にすぎない。また、刊行物1(上記(1)イの段落[38])には、「前記高屈折層コーティング用組成物は、フルオレン誘導体樹脂を含んでもよく、 ・・・ 。前記フルオレン誘導体樹脂は、 ・・・ 、有機物の低い屈折率を向上させ、耐熱性、基材接着性、無機物との相溶性を高めるために使用される。」と、基材接着性が高屈折層を有する透明導電性フィルムにおける課題の一つであったことが記載されている。 そして、タッチパネル等の表示装置に含まれる光学部材において、密着性の向上を目的として透明基板と他の層との間に接着剤層を設けることは、本件発明の属する技術分野における技術常識にすぎない。例えば、刊行物3(上記(2)のオ-キ)、刊行物4(上記(3)のウ、カ-キ)、刊行物7(上記(6)ア)、及び、刊行物8(上記(7))等に、密着性向上を目的として、透明基材の少なくとも高屈折層側の面に接着剤層を設けた構成を有する光学部材が開示されている。 よって、刊行物1発明の透明導電性フィルムにおいて、密着性の向上という課題を解決する目的で、透明基材と高屈折層との間に接着剤層を設けることは、技術常識に基づいて、当業者が容易に想到し得たことにすぎない。 また、接着剤に含まれる化合物が、紫外線により(例えば、長期にわたり、紫外線にさらされることで)分解し、接着剤の接着力が低下することは、技術常識であり、一般的な接着剤層が、紫外線により分解する化合物を含むことは、明らかである。 (イ) 上記相違点2について 例えば、刊行物3(上記(2)のイ-エ)、刊行物4(上記(3)のエ-オ)、刊行物6(上記(5))及び刊行物7(上記(6)のイ-ウ)には、光学部材を構成する高屈折率層に含まれる高屈折率樹脂として、フルオレン骨格および重合性基を有する樹脂とともに、ビフェニル骨格および重合性基を有する樹脂を使用し得ることが記載されている。 よって、刊行物1発明の透明導電性フィルムにおいて、刊行物1に記載のフルオレン誘導体樹脂に代えて又は加えて、刊行物3-4、6-7に記載のビフェニル骨格及び重合性基を有する樹脂を使用することは、当業者にとって容易に想到し得たことにすぎない。 (ウ) 上記相違点3について 刊行物3には、上記2(2)アに記載したように、「金属酸化物と高屈折率樹脂を含む層を形成するための組成物」が、「前述の金属酸化物と高屈折率樹脂を組み合わせ」たもの、すなわち、「屈折率が1.7?2.8の金属酸化物微粒子」と、「新中村化学社製9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(NKエステルA-BPEF)、ヒドロキシエチル化o-フェニルフェノールアクリレート(NKエステルA-LEN-10)」とを組み合わせたものであることが記載されている。 よって、刊行物1発明の透明導電性フィルムに、刊行物3に記載された技術的事項を適用して、上記相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (エ) 上記相違点4について 刊行物1発明は、「高屈折層コーティング用組成物」が、「光硬化型」の「アクリレート樹脂」を含むものである。 また、刊行物3には、上記2(2)アに記載したように、「金属酸化物と高屈折率樹脂の含有比率(質量比)が、金属酸化物:高屈折率樹脂=9:1?1:9の範囲」であるとともに、「樹脂の含有量が、組成物の固形分総量100質量%に対して、5?50質量%の範囲」であることが記載されており、当該記載によれば、「金属酸化物と高屈折率樹脂」及び「活性エネルギー線硬化性樹脂」「を含む層を形成するための組成物」における、「高屈折率樹脂」の含有量は、「金属酸化物と高屈折率樹脂」及び「活性エネルギー線硬化性樹脂」の合計量を100質量%とした場合、5?85.5質量%であり、本件発明1の特定要件(V)の範囲と重複する。 よって、刊行物1発明の透明導電性フィルムに、刊行物3に記載された技術的事項を適用して、上記相違点4に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 ウ 小括 したがって、本件発明1は、刊行物1発明、刊行物3-4、6-7に記載された技術的事項、及び、刊行物3-4、7-8に記載された技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (9) 本件発明2-5、7-9について ア 刊行物1発明の構成(g1)-(i1)は、上記(8)アのとおりであるから、それぞれ、本件発明2、7-8の特定要件(G’)-(I’)(なお、分説については、本件発明1と同様に、令和元年11月21日に特許異議申立人1により提出された意見書を参照されたい。)に相当する。 イ 刊行物1発明の以下の構成(k1)-(m1)、(o1)-(r1)は、それぞれ、本件発明3-5、7-9の特定要件(K)-(M)、(O)-(R)に相当する。 ・高屈折層の屈折率は、約1.6?約1.8であってもよい。(k1)(上記(1)ウの段落[52]を参照。) ・高屈折層コーティング用組成物は、光開始剤をさらに含んでもよい。(l1)(上記(1)イの段落[45]を参照。) ・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、トリメタノールプロパントリアクリレート、1,6?ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルジアクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールAジアクリレート(m1)(上記(1)イの段落[36]を参照。) ・両面にハードコーティング層を含むフィルムの一面に、製造例1?1で製造された高屈折層コーティング用組成物を乾燥膜の厚さが50nmになるように塗布し、(o1)180Wの高圧水銀灯で300mJの紫外線を照射して硬化させることによって高屈折層を形成した。(p1)その後、前記高屈折層に、」「低屈折層を形成した。このとき、インジウム:スズ=95:5のITOターゲットを用いて低屈折層に膜厚20nmのITO層を形成し、(q1)透明導電性フィルムを製作した。(r1)(上記(1)オの段落[70]を参照。) ウ 刊行物1発明の透明導電性フィルムにおいて、「化合物(B1)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B1)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である」(本件発明7の特定要件(V’))ようにすること、及び、「化合物(B2)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B2)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である」(本件発明8の特定要件(V’))ようにすることは、本件発明1の特定要件(V)と同様の理由により、刊行物1発明、及び、刊行物3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易になし得たことである。 エ 刊行物1発明の透明導電性フィルムにおいて、「透明基材1」に「接着剤層が形成され」(本件発明9の特定要件(N’))るようにすることは、本件発明1の特定要件(N)と同様の理由により、刊行物1発明及び技術常識に基づいて、当業者が容易になし得たことである。 したがって、本件発明2-5、7-9は、刊行物1発明、刊行物3-4、6-7に記載された技術的事項、及び、刊行物3-4、7-8に記載された技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 理由3(その3)について (1) 本件発明1について ア 本件発明1は、インデックスマッチング(IM)層が、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物である」との特定要件(T)で規定された「重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物」、並びに、「重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物である」との特定要件(U)で規定された「重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物」から選ばれる少なくとも1種である化合物(B1)(以下、「特定化合物(B1)」ともいう。)を有する積層体に特定されている。しかしながら、依然として、本件発明1において規定された特定化合物(B1)は、本件特許明細書の実施例において特定化合物(B1)に含まれる化合物に相当する化合物B-1(ABPEF(商品名、新中村化学工業(株)製、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン)、及び、化合物B-2(A-LEN-10(商品名、新中村化学工業(株)製)、エトキシ化o-フェニルフェノールアクリレート)よりも広い範囲の化合物が含まれる。 また、本件発明1は、硬化性組成物における特定化合物(B1)の含有量は、「金属酸化物粒子(A)、化合物(B1)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である」と規定されている(特定要件(V))。しかしながら、本件特許明細書の実施例では、金属酸化物粒子(A)、特定化合物(B1)及び化合物(C)の合計量に対する特定化合物(B1)の含有量が、2.4質量%(実施例10)?22.7質量%(実施例12)である硬化性組成物が使用されているに過ぎない。 一方、令和元年10月8日に特許権者により提出された意見書(以下、「特許権者意見書」ともいう。)の6-7ページには、取消理由通知書の理由3(その3)について、 「 本件発明1及び2では、化合物(B1)及び化合物(B2)について、それぞれの構造及び含有量が規定されている。すなわち、化合物(B1)及び化合物(B2)において、重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物が式(b1)で表される化合物に減縮され、重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物が式(b2)で表される化合物に減縮され、重合性基数が規定され、さらに硬化性組成物中における化合物(B1)及び化合物(B2)の含有量も規定されている。 ・・・ したがって、前記取消理由は解消したものと考える。」 と述べている。 しかしながら、特許権者意見書には、取消理由通知書の43-45ページにおいて指摘された取消理由(理由3(その3))、特に、取消理由通知書の45ページにおける「本件特許明細書からは、種々の官能基及び構造を有する特定化合物(B1)又は特定化合物(B2)をあらゆる含有量で含有する硬化性組成物を用いて作製されたあらゆるインデックスマッチング層が、「積層体を製造する際に照射される紫外線等を充分に吸収し、透明基板とインデックスマッチング層との間に設けた接着剤層に到達する紫外線量を低減する」ことによって、透明基板とインデックスマッチング層との間の密着性及びUV耐性の向上という本件特許発明の課題を解決し得ることを、当業者が認識できるように記載されているということはできない。」という指摘事項が解消された理由について、具体的な説明は一切記載されていない。 このように、取消理由が解消された理由について具体的に説明することなく、特定化合物(B1)の構造及び含有量を規定したことのみに基づいて「前記取消理由は解消したものと考える。」と主張したとしても、その主張は、到底、取消理由通知書により指摘された取消理由(理由3(その3))に対する回答となるものではない。 以上より、取消理由通知書の43-45ページに記載されているように、出願時の技術常識に照らしても、本件発明1により規定される範囲にまで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 イ 特定化合物(B1)の含有量(特定要件(V))について 上記アで述べたように、本件特許明細書の実施例では、硬化性組成物における特定化合物(B1)の含有量について、金属酸化物粒子(A)、特定化合物(B1)及び化合物(C)の合計量に対して2.4?22.7質量%である硬化性組成物しか使用されていない。 特に、上記特定要件(U)で規定された式(b2)で表される化合物については、本件特許明細書の実施例13において、金属酸化物粒子(A)、特定化合物(B1)及び化合物(C)の合計量に対する特定化合物(B1)の含有量が6.4質量%である硬化性組成物が使用されているに過ぎない。 それに対して、取消理由通知書の44-45ページに記載されているように、IM層が特定化合物(B1)に該当する化合物を含有する場合であっても、当該化合物の含有量によって、IM層における紫外線吸収特性が変化し、積層体における接着剤層の密着性のUV耐性に影響し得ることは、当業者であれば容易に理解できる。 実際に、本件特許明細書の段落【0137】の【表1】では、特定化合物(B1)として化合物B-1を使用し、金属酸化物粒子(A)、特定化合物(B1)及び化合物(C)の合計量に対する特定化合物(B1)の含有量が約6.4質量%である実施例1等で作製された硬化膜のUV耐性の評価が「BB」であったのに対して、特定化合物(B1)として同じ化合物B-1を使用し、金属酸化物粒子(A)、特定化合物(B1)及び化合物(C)の合計量に対する特定化合物(B1)の含有量が約2.4質量%である実施例10で作製された硬化膜のUV耐性の評価が「CC」であったことが示されている。すなわち、本件特許明細書の実施例には、硬化性組成物における特定化合物(B1)の含有量によって、硬化膜のUV耐性が変化することが示されている。 よって、本件特許明細書は、特定化合物(B1)を本件特許明細書の実施例において使用された硬化性組成物に含まれる2.4質量%よりも下回る量含む組成物を用いて作製されたIM層が、透明基板とIM層との間にUV分解化合物を含む接着剤層を有する積層体において、透明基板とIM層との密着性がUV照射により低下するという課題(以下、「本件課題」ともいう。)を解決し得ることを、当業者が認識できるように記載されているということはできない。 一方、特定化合物(B1)の含有量が約2.4質量%である実施例10や特定化合物(B1)の含有量が約6.4質量%である実施例1等で作製された硬化膜の密着性の評価が「AA」であるのに対し、特定化合物(B1)の含有量が約13.7質量%である実施例11や特定化合物(B1)の含有量が約22.7質量%である実施例12で作製された硬化膜の密着性の評価が「BB」であったことが示されている。すなわち、本件特許明細書の実施例には、硬化性組成物における特定化合物(B1)の含有量によって、硬化膜の密着性が変化することが示されている。なお、硬化膜の密着性は、最も基本的な要求性能であり、本件特許明細書において「発明が解決しようとする課題」として記載されている技術的課題である。 よって、本件特許明細書は、特定化合物(B1)を本件特許明細書の実施例において使用された硬化性組成物に含まれる22.7質量%よりも上回る量で含む組成物を用いて作製されたIM層が上記の課題を解決し得ることを、当業者が認識できるように記載されているということはできない。 ウ 特定化合物(B1)の構造(特定要件(T)及び(U))について 本件特許明細書の実施例には、特定化合物(B1)のうち式(b1)で表される化合物としては、化合物B-1(9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン)しか使用されていない。 この化合物B-1は、式(b1)において、m、n、p及びqがいずれも0であって、置換基R^(1)を有さず、a及びbがいずれも1であって、R^(2)が、本件特許明細書の段落【0061】-【0062】に記載の式(g1)で表され、Rが水素原子であり、Aがエチレン基であり、nが1である基である化合物に相当する。 一方、訂正後の請求項1では、式(b1)中の置換基R^(1)として官能基が特定されているものの、アルキル基等の炭化水素含有基の炭素数は規定されていないため、多種多様な置換基が含まれることになる。また、置換基R^(1)の個数も最大で16となり得る(p、q、m及びnがいずれも4である場合)。したがって、例えば、式(b1)で表され、R^(1)がブチル基(-C_(4)H_(9))であり、R^(1)の個数が16(m、n、p及びqがいずれも4)であり、R^(2)が化合物B-1と同じ2-アクリロイルオキシエトキシ基であり、a及びbがいずれも1であるフルオレン化合物(以下、「化合物b1-1」ともいう)も、特定要件(T)を満たす化合物である。 ここで、式(b1)の構造から、化合物の紫外線吸収特性に寄与し、硬化膜にUV耐性の効果をもたらす構造が、フルオレン骨格にあると考えられる。そこで、式(b1)で表される化合物におけるフルオレン骨格含有率(化合物の分子量に対するフルオレン骨格を構成する原子の合計質量)を計算すると、分子量が約546である化合物B-1では、フルオレン骨格含有率が約30質量%と算出される一方、分子量が約1460である化合物b1-1では、フルオレン骨格含有率は、約11質量%と算出される。本件発明1において、式(b1)中の置換基R^(1)が表すアルキル基等の炭素数が限定されていないことに鑑みれば、上記化合物b1-1は、決して、極端な化合物の例を挙げたものではない。それにもかかわらず、式(b1)で表され、特定要件(T)を満たす点で同じ化合物であっても、UV耐性の効果に寄与し得ると考えられるフルオレン骨格の含有率は、本件特許明細書の実施例で使用した化合物B-1に対して、上記化合物b1-1では約3分の1程度にまで低減することになる。 式(b1)中の置換基R^(2)についても、同様のことがいえる。すなわち、訂正後の請求項1では、式(b1)中の置換基R^(2)は「重合性不飽和二重結合を有する基」としか規定されておらず、重合性不飽和二重結合を有する限りあらゆる基が式(b1)中の置換基R^(2)となり得、さらに、置換基R^(2)の個数も最大で8となり得る(a及びbがいずれも4である場合)。したがって、例えば、式(b1)で表され、m、n、p及びqがいずれも0であってR^(1)を有さず、a及びbがいずれも4であり、R^(2)がいずれも上記式(g1)で表され、Rがメチル基であり、Aがブチレン基であり、nが12であるフルオレン化合物(以下、「化合物b1-2」ともいう。)も、特定要件(T)を満たす化合物である。この化合物b1-2の分子量は約7900であるから、化合物b1-2におけるフルオレン骨格含有率は約2.1質量%と算出される。すると、式(b1)で表され、特定要件(T)を満たす点で同じ化合物であっても、UV耐性の効果に寄与し得ると考えられるフルオレン骨格の含有率は、本件特許明細書の実施例で使用した化合物B-1に対して、上記化合物b1-2では約6.9質量%にまで低減することになる。 また、上記の式(b1)で表される化合物とフルオレン骨格の含有率の関係と同様のことは、式(b2)で表される化合物に対しても当てはまる。 すなわち、式(b2)の構造から、化合物の紫外線吸収特性に寄与し、硬化膜にUV耐性の効果をもたらす構造がビフェニル骨格にあると考えられる。一方、本件特許明細書の実施例において、特定化合物(B1)のうち式(b2)で表される化合物としては、化合物B-2(エトキシ化o-フェニルフェノールアクリレート)しか使用されていない。この化合物B-2については、本件特許に係る出願(特願2015-73130号)に係る平成30年6月1日付け意見書における「化合物(B)のうち、・・・、B-2はエトキシ化o-フェニルフェノールアクリレートであり(以上http://www.shin-nakamura.com/products/index.htmlを参照。)」と記載されている。上記URLを有するウェブサイトに掲載された情報に基づけば、化合物B-2は、分子量が268であり、式(b2)において、m及びnがいずれも0であって、置換基R^(1)を有さず、a及びbがいずれも1であって、R^(2)が、2-アクリロイルオキシエトキシ基である化合物に相当する。 他方、式(b2)で表され、R^(1)がブチル基であり、R^(1)の個数が8(m及びnがいずれも4)であり、R^(2)が化合物B-2と同じ2-アクリロイルオキシエトキシ基であり、pが1であり、qが0であるビフェニル化合物(以下、「化合物b2-1」ともいう。)も、特定要件(U)を満たす。 式(b2)の構造から、UV耐性の効果に寄与し得る構造の1つとしてビフェニル骨格が考えられるところ、化合物B-2における゛ビフェニル骨格含有率(化合物B-2の分子量に対するビフェニル骨格を構成する原子の合計質量)を計算すると、約58質量%(=155/268)と算出され、分子量が約717である化合物b2-1ではビフェニル骨格の含有率は約22質量%と算出される。したがって、特定要件(U)を満たす点で同じ化合物であっても、UV耐性の効果に寄与し得ると考えられるビフェニル骨格の含有率は、本件特許明細書の実施例で使用した化合物B-2に対して、上記化合物b2-1では38%程度にまで低減する。 また、訂正後の請求項1では、式(b2)中の置換基R^(2)も「重合性不飽和二重結合を有する基」としか規定されておらず、重合性不飽和二重結合を有する限りあらゆる基が式(b2)中の置換基R^(2)となり得、さらに、置換基R^(2)の個数も最大で10となり得る(p及びqがいずれも5である場合)。したがって、例えば、式(b2)で表され、m及びnがいずれも0であってR^(1)を有さず、p及びqがいずれも5であり、R^(2)がいずれも上記式(g1)で表され、Rがメチル基であり、Aがブチレン基であり、nが12であるビフェニル化合物(以下、「化合物b2-2」ともいう。)も、特定要件(U)を満たす化合物である。この化合物b2-2の分子量は約9645であるから、化合物b2-2におけるビフェニル骨格含有率は約1.6質量%と算出される。すると、同じ特定要件(U)を満たす化合物であっても、UV耐性の効果に寄与し得ると考えられるビフェニル骨格の含有率は、本件特許明細書の実施例で使用した化合物B-2に対して、上記化合物b2-2では2.8%程度にまで低減することになる。 ここで、上記イに記載のように、本件特許明細書の実施例1等と実施例10との比較から、硬化性組成物における特定化合物(B1)の含有量の低減によって、硬化膜のUV耐性が劣化することが明らかにされている。このことと、特定化合物(B1)がUV吸収特性を有する構造としてフルオレン骨格又はビフェニル骨格を有することを鑑みれば、特定要件(T)又は(U)を満たすという点では同じ特定化合物(B1)を同じ含有量で使用したとしても、特定化合物(B1)中のフルオレン骨格又はビフェニル骨格の含有率の低下によって、IM層において紫外線吸収特性を実際に発揮する部位の含有量が大きく低下し、結果として、積層体における接着剤層のUV耐性が劣化することは、当業者であれば容易に理解できる。 よって、特定化合物(B1)について、本件特許明細書の実施例において使用された化合物B-1及びB-2以外の上記特定要件(T)又は(U)を満たす化合物を使用する場合においても、化合物B-1及びB-2と同様に本件課題を解決し得ることが明らかであるとはいえない。 したがって、出願時の技術常識に照らしても、本件発明1により規定される範囲にまで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。よって、本件特許明細書は、透明基板とIM層との間にUV分解化合物を含む接着剤層を有する積層体における密着性に関するUV耐性の課題について、本件発明1が解決できると当業者が認識できるように記載されているとはいえない。 (2) 本件発明2-5、7-9について 本件発明2-5、7-9はいずれも、特定要件(S)、(T)及び(U)を備える。よって、本件発明1について述べた上記(1)と同様、本件特許明細書は、本件発明2-5、7-9が本件課題を解決し得ることについて、当業者が認識できるように記載されているはいえない。 第5 当審の判断 令和元年12月24日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは応答がなかった。 そして、上記の取消理由(決定の予告)は妥当なものと認められるので、訂正後の本件請求項1-5、7-9に係る特許は、この取消理由(決定の予告)によって取り消すべきものである。 第6 むすび 以上のとおりであるから、訂正後の本件請求項1-5、7-9に係る特許は、特許法第29条第1項第3号及び第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 また、訂正後の本件請求項1-5、7-9に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 なお、本件請求項6についての特許異議の申立ては、本件請求項6が訂正により削除され、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 透明基板と、インデックスマッチング層と、透明電極層とがこの順に積層されており、 透明基板とインデックスマッチング層との間に、紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層をさらに有し、 インデックスマッチング層が、 (A)屈折率が1.7以上の金属酸化物粒子と、 (B1)光重合開始剤以外の化合物であって、波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物と、ここで当該化合物が重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であり、 (C)重合性基を有する、前記(B1)以外の化合物と を含有する硬化性組成物から形成された層であり、 前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であり、 【化1】 [式(b1)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; aおよびbは、それぞれ独立に1?4の整数である。]、 前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であり、 【化2】 [式(b2)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?5の整数である。]、 前記硬化性組成物において、化合物(B1)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B1)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である ことを特徴とする積層体。 【請求項2】 透明基板と、インデックスマッチング層と、透明電極層とがこの順に積層されており、 透明基板とインデックスマッチング層との間に、紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層をさらに有し、 インデックスマッチング層が、 (A)屈折率が1.7以上の金属酸化物粒子と、 (B2)1分子中に2個以上のベンゼン核を有する、光重合開始剤以外の化合物と、ここで当該化合物が重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であり、 (C)重合性基を有する、前記(B2)以外の化合物と を含有する硬化性組成物から形成された層であり、 前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であり、 【化3】 [式(b1)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; aおよびbは、それぞれ独立に1?4の整数である。]、 前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であり、 【化4】 [式(b2)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?5の整数である。]、 前記硬化性組成物において、化合物(B2)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B2)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である ことを特徴とする積層体。 【請求項3】 インデックスマッチング層の屈折率が、1.59?1.80である請求項1または2に記載の積層体。 【請求項4】 インデックスマッチング層を形成する硬化性組成物が、 (D)光重合開始剤 をさらに含有する請求項1?3のいずれか1項に記載の積層体。 【請求項5】 前記化合物(C)が、多官能(メタ)アクリレートである請求項1?4のいずれか1項に記載の積層体。 【請求項6】(削除) 【請求項7】 (A)屈折率が1.7以上の金属酸化物粒子と、 (B1)光重合開始剤以外の化合物であって、波長300nmにおいて吸収を有し、かつ波長400nmにおいて吸収を有さない化合物と、ここで当該化合物が重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であり、 (C)重合性基を有する、前記(B1)以外の化合物と を含有し、 前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であり、 【化5】 [式(b1)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; aおよびbは、それぞれ独立に1?4の整数である。]、 前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であり、 【化6】 [式(b2)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?5の整数である。]、 化合物(B1)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B1)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である ことを特徴とする、 透明基板と、インデックスマッチング層と、透明電極層とがこの順に積層されており、透明基板とインデックスマッチング層との間に、紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層をさらに有する積層体におけるインデックスマッチング層形成用硬化性組成物。 【請求項8】 (A)屈折率が1.7以上の金属酸化物粒子と、 (B2)1分子中に2個以上のベンゼン核を有する、光重合開始剤以外の化合物と、ここで当該化合物が重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物、並びに重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であり、 (C)重合性基を有する、前記(B2)以外の化合物と を含有し、 前記重合性基及びフルオレン骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b1)で表される化合物であり、 【化7】 [式(b1)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; aおよびbは、それぞれ独立に1?4の整数である。]、 前記重合性基及びビフェニル骨格を有する化合物が、重合性基数が1?15であって、かつ、式(b2)で表される化合物であり、 【化8】 [式(b2)中、 R^(1)は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、N,N-ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基であり、2つのカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく; R^(2)は、それぞれ独立に、重合性不飽和二重結合を有する基であり; mおよびnは、それぞれ独立に0または1?4の整数であり; pおよびqは、それぞれ独立に0または1?5の整数である。]、 化合物(B2)の含有量が、金属酸化物粒子(A)、化合物(B2)及び化合物(C)の合計量を100質量%とした場合、1?50質量%である ことを特徴とする、 透明基板と、インデックスマッチング層と、透明電極層とがこの順に積層されており、透明基板とインデックスマッチング層との間に、紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層をさらに有する積層体におけるインデックスマッチング層形成用硬化性組成物。 【請求項9】 紫外線による分解を受ける化合物を含む接着剤層が形成された透明基板上に、請求項7または8に記載のインデックスマッチング層形成用硬化性組成物の塗膜を形成する工程、前記塗膜に活性エネルギー線を照射してインデックスマッチング層を形成する工程、および前記インデックスマッチング層上に透明電極層を形成する工程を有する、積層体の製造方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2020-04-07 |
出願番号 | 特願2015-73130(P2015-73130) |
審決分類 |
P
1
651・
113-
ZDA
(G06F)
P 1 651・ 121- ZDA (G06F) P 1 651・ 537- ZDA (G06F) |
最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 星野 裕 |
特許庁審判長 |
▲吉▼田 耕一 |
特許庁審判官 |
白井 亮 稲葉 和生 |
登録日 | 2018-10-12 |
登録番号 | 特許第6413895号(P6413895) |
権利者 | 荒川化学工業株式会社 |
発明の名称 | インデックスマッチング層を有する積層体およびその製造方法、ならびにインデックスマッチング層形成用硬化性組成物 |
代理人 | 特許業務法人SSINPAT |
代理人 | 特許業務法人SSINPAT |