ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 A61F 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 A61F |
---|---|
管理番号 | 1363999 |
異議申立番号 | 異議2019-700827 |
総通号数 | 248 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-08-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-10-17 |
確定日 | 2020-06-13 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6502449号発明「吸収シート及び吸収シートを含む使い捨て着用物品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6502449号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。 本件特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6502449号の請求項1?11に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成29年9月29日に出願され、平成31年3月29日にその特許権の設定登録がされ、平成31年4月17日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和1年10月17日に特許異議申立人鈴野幹夫(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、令和2年1月10日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である令和2年3月13日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)を行った。 第2 本件訂正請求について 1 訂正の内容 本件訂正請求は、本件特許の特許請求の範囲を、令和2年3月13日提出の訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?11について訂正すること(以下「本件訂正」という。)を求めるものであって、本件訂正の内容は次の訂正事項1?7のとおりである(なお、下線を付した箇所は訂正箇所である。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に 「 平面視で第1方向と角度が交差する線状又は点線状の前記抵抗部が、前記第1方向に間隔を置いて複数設けられて抵抗部列が構成され、 前記第1空間領域の内部において、前記第1方向と交差する第2方向に離れて対になった抵抗部列が形成されている請求項1記載の吸収シート。」 と記載されているのを、 「 第1シートと第2シートとの間にあって、周囲が区画された第1空間領域の内部に吸収ポリマーが設けられており、 前記第1空間領域に、第1シートと第2シートとの接合による抵抗部が形成されており、前記抵抗部は、前記第1空間領域における吸収ポリマーの重力移動の抵抗を高めているものであり、 平面視で第1方向と角度が交差する線状又は点線状の前記抵抗部が、前記第1方向に間隔を置いて複数設けられて抵抗部列が構成され、 前記第1空間領域の内部において、前記第1方向と交差する第2方向に離れて対になった抵抗部列が形成されている、ことを特徴とする吸収シート。」 に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4?6も同様に訂正する。)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項7に 「 前記第1空間領域が、前記第1空間領域における吸収ポリマーが重力移動する第1方向と交差する第2方向に、間隔を置いて複数形成されている請求項1記載の吸収シート。」 と記載されているのを、 「 第1シートと第2シートとの間にあって、周囲が区画された第1空間領域の内部に吸収ポリマーが設けられており、 前記第1空間領域に、第1シートと第2シートとの接合による抵抗部が形成されており、前記抵抗部は、前記第1空間領域における吸収ポリマーの重力移動の抵抗を高めているものであり、 前記第1空間領域が、前記第1空間領域における吸収ポリマーが重力移動する第1方向と交差する第2方向に、間隔を置いて複数形成されている、ことを特徴とする吸収シート。」 に訂正する(請求項7の記載を引用する請求項8も同様に訂正する。)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項9に 「 前記第1シートと前記第2シートとの間に、周囲の区画用部材を設け、この区画用部材内が吸収ポリマーの第1空間領域とされ、前記第1シートと前記第2シートとは、前記区画用部材を挟んで接合されている請求項1記載の吸収シート。」 と記載されているのを、 「 第1シートと第2シートとの間にあって、周囲が区画された第1空間領域の内部に吸収ポリマーが設けられており、 前記第1空間領域に、第1シートと第2シートとの接合による抵抗部が形成されており、前記抵抗部は、前記第1空間領域における吸収ポリマーの重力移動の抵抗を高めているものであり、 前記第1シートと前記第2シートとの間に、周囲の区画用部材を設け、この区画用部材内が吸収ポリマーの第1空間領域とされ、前記第1シートと前記第2シートとは、前記区画用部材を挟んで接合されている、ことを特徴とする吸収シート。」 に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項10を削除する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項11を削除する。 なお、訂正前の請求項1?11は、請求項2?11が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項1?11について請求されたものである。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1を削除するというものである。 したがって、訂正事項1は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アに記載したとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1を削除するというものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アに記載したとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2を削除するというものである。 したがって、訂正事項2は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アに記載したとおり、訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2を削除するというものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アに記載したとおり、訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項3について、その内容を変更することなく訂正前の請求項1の記載を引用しない形へと書き換える記載としたものである。 したがって、訂正事項3は、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アに記載したとおり、訂正事項3は、訂正後の請求項3において、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項3の内容を変更するものではないから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アに記載したとおり、訂正事項3は、訂正後の請求項3において、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項3の内容を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的について 訂正事項4は、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項7について、その内容を変更することなく訂正前の請求項1の記載を引用しない形へと書き換える記載としたものである。 したがって、訂正事項4は、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アに記載したとおり、訂正事項4は、訂正後の請求項7において、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項7の内容を変更するものではないから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アに記載したとおり、訂正事項4は、訂正後の請求項7において、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項7の内容を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (5)訂正事項5について ア 訂正の目的について 訂正事項5は、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項9について、その内容を変更することなく訂正前の請求項1の記載を引用しない形へと書き換える記載としたものである。 したがって、訂正事項5は、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アに記載したとおり、訂正事項5は、訂正後の請求項9において、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項9の内容を変更するものではないから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アに記載したとおり、訂正事項5は、訂正後の請求項9において、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項9の内容を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (6)訂正事項6について ア 訂正の目的について 訂正事項6は、特許請求の範囲の請求項10を削除するというものである。 したがって、訂正事項6は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アに記載したとおり、訂正事項6は、特許請求の範囲の請求項10を削除するというものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アに記載したとおり、訂正事項6は、特許請求の範囲の請求項10を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (7)訂正事項7について ア 訂正の目的について 訂正事項7は、特許請求の範囲の請求項11を削除するというものである。 したがって、訂正事項7は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アに記載したとおり、訂正事項7は、特許請求の範囲の請求項11を削除するというものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アに記載したとおり、訂正事項7は、特許請求の範囲の請求項11を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?11について訂正することを認める。 第3 特許異議の申立てについて 申立人は、本件特許の請求項1、2、10、11に係る特許について特許異議の申立てをしているところ、本件訂正の訂正事項1、2、6、7により請求項1、2、10、11は削除されたことから、申立ての対象が存在しないものとなった。 したがって、本件特許異議の申立ては、不適法な特許異議の申立てであって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8第1項で準用する特許法第135条の規定によって却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】(削除) 【請求項2】(削除) 【請求項3】 第1シートと第2シートとの間にあって、周囲が区画された第1空間領域の内部に吸収ポリマーが設けられており、 前記第1空間領域に、第1シートと第2シートとの接合による抵抗部が形成されており、前記抵抗部は、前記第1空間領域における吸収ポリマーの重力移動の抵抗を高めているものであり、 平面視で第1方向と角度が交差する線状又は点線状の前記抵抗部が、前記第1方向に間隔を置いて複数設けられて抵抗部列が構成され、 前記第1空間領域の内部において、前記第1方向と交差する第2方向に離れて対になった抵抗部列が形成されている、ことを特徴とする吸収シート。 【請求項4】 一方の抵抗部列の抵抗部の一方の先端と他方の抵抗部列の抵抗部の対向する他方の先端が、前記第1方向に交互に位置して配置され、かつ、一方の抵抗部列の抵抗部の先端と他方の抵抗部列の抵抗部の他方の先端部との間に、吸収ポリマーが通過可能な離間部を有する請求項3記載の吸収シート。 【請求項5】 前記抵抗部列における前記抵抗部と、前記第1空間領域の区画部との間に吸収ポリマーが通過可能な離間部を有する請求項3記載の吸収シート。 【請求項6】 前記抵抗部列における前記抵抗部の先端に鈎部を有する請求項3記載の吸収シート。 【請求項7】 第1シートと第2シートとの間にあって、周囲が区画された第1空間領域の内部に吸収ポリマーが設けられており、 前記第1空間領域に、第1シートと第2シートとの接合による抵抗部が形成されており、前記抵抗部は、前記第1空間領域における吸収ポリマーの重力移動の抵抗を高めているものであり、 前記第1空間領域が、前記第1空間領域における吸収ポリマーが重力移動する第1方向と交差する第2方向に、間隔を置いて複数形成されている、ことを特徴とする吸収シート。 【請求項8】 前記第1空間領域の群の前記第2方向の離間部に、周囲が区画された第2空間領域が形成され、前記第2空間領域は、前記第1方向に複数区画されており、各区画領域内に吸収ポリマーが設けられている請求項7記載の吸収シート。 【請求項9】 第1シートと第2シートとの間にあって、周囲が区画された第1空間領域の内部に吸収ポリマーが設けられており、 前記第1空間領域に、第1シートと第2シートとの接合による抵抗部が形成されており、前記抵抗部は、前記第1空間領域における吸収ポリマーの重力移動の抵抗を高めているものであり、 前記第1シートと前記第2シートとの間に、周囲の区画用部材を設け、この区画用部材内が吸収ポリマーの第1空間領域とされ、前記第1シートと前記第2シートとは、前記区画用部材を挟んで接合されている、ことを特徴とする吸収シート。 【請求項10】(削除) 【請求項11】(削除) |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2020-06-03 |
出願番号 | 特願2017-189906(P2017-189906) |
審決分類 |
P
1
652・
121-
XA
(A61F)
P 1 652・ 113- XA (A61F) |
最終処分 | 決定却下 |
前審関与審査官 | 姫島 卓弥 |
特許庁審判長 |
井上 茂夫 |
特許庁審判官 |
石井 孝明 横溝 顕範 |
登録日 | 2019-03-29 |
登録番号 | 特許第6502449号(P6502449) |
権利者 | 大王製紙株式会社 |
発明の名称 | 吸収シート及び吸収シートを含む使い捨て着用物品 |
代理人 | 特許業務法人永井国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人永井国際特許事務所 |