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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A47B
管理番号 1364022
異議申立番号 異議2020-700325  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-05-07 
確定日 2020-07-10 
異議申立件数
事件の表示 特許第6600880号発明「天板昇降式デスク」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6600880号の請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6600880号の請求項1、2に係る特許についての出願は、平成26年10月31日に出願され、令和1年10月18日にその特許権の設定登録がされ、令和1年11月6日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和2年5月7日に特許異議申立人恒川元志(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。


2 本件発明
特許第6600880号の請求項1、2の特許に係る発明(以下、「本件発明1」等といい、全体を「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
((A)?(H)は、申立人の主張のとおり付した。)
「【請求項1】
(A)上面に作業面を有する天板と、
前記天板を、少なくとも利用者が座った状態で使用可能な位置から立った状態で使用可能な位置まで上下方向に昇降可能に支持する昇降機構ユニットを備えた脚体と、を備え、
(B)前記天板は、
前記作業面と、
利用者が対向する前記天板の前側の端部の上側に、前方に向かって下方に傾斜する上部傾斜部と、
前記天板の前端を形成する前端面と、が一体に連続して形成され、
(C)前記天板は、
前記作業面と、前記上部傾斜部と、前記前端面とに沿った形状を有する鋼製の支持材と、
前記支持材の表面を被覆する被覆材と、を一体に備え、
(D)前記支持材のうち、前記上部傾斜部と前記前端面とに囲まれた部分に、前記支持材を下方から支持する前部補強材が配置され、
(E)前記天板は、前記端部の下側に、下方に向かって後方に傾斜する下部傾斜部を有し、
(F)前記下部傾斜部の後方であって、前記前部補強部材の下面に、前記昇降機構ユニットの昇降動作を操作する操作部が設けられていることを特徴とする
(G)天板昇降式デスク。
【請求項2】
(H)前記脚体は、前記天板の前記端部と、前記端部と反対側の端部とを結ぶ前後方向の中間部に支柱を有していることを特徴とする請求項1に記載の天板昇降式デスク。」


3 申立理由の概要
申立人は、主たる証拠として甲第1号証(又は、甲第2号証、甲第10号証)及び従たる証拠として甲第3号証?甲第9号証、甲第11号証、甲第12号証を提出し、請求項1、2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1、2に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
〔証拠〕
甲第1号証:特表2005-510331号公報
甲第2号証:国際公開第2013/037072号パンフレット
甲第3号証:特開2005-102912号公報
甲第4号証:特開平10-155554号公報
甲第5号証:特開平10-155551号公報
甲第6号証:実願昭55-64320号(実開昭56-163936号)
のマイクロフィルム
甲第7号証:実願平3-11072号(実開平6-33525号)
のCD-ROM
甲第8号証:実願平3-38927号(実開平4-123123号)
のマイクロフィルム
甲第9号証:実願平3-88042号(実開平5-29431号)
のCD-ROM
甲第10号証:米国特許第6062148号明細書
甲第11号証:米国特許第5322025号明細書
甲第12号証:米国特許第5394809号明細書


4 文献の記載
(1)甲第1号証
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、相互に入れ子式に配置された筒材から成る昇降支柱、好ましくは高さ調節可能なテーブル用の昇降支柱に関する。また、本発明はそのような支柱を製造する方法にも関する。」

イ 「【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を添付図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0018】
図1に示した机は各端に昇降支柱を備えている。昇降支柱1は2つの筒材2a、2bを備え、外側筒材2aの下端が足3に強固に取り付けられ、さらに上端が横材4と相互接続される。天板5は、昇降支柱の内側筒材2bの上端に取り付けられる。昇降支柱は、電源付き制御ボックス6に接続された電動モータによって駆動される組込みスピンドル/ナット装置を介して作動する。また、制御ボックスはテーブルの前縁に配置された制御パネル7によって起動される制御装置をも含む。筐体15が内側筒材2bの端に設けられ、この筐体は電動モータおよび歯車のみならず、一般的に停止リミットスイッチをも収容する。
【0019】
スチール型材からなる昇降支柱の2つの筒材2a、2bは実質的に矩形の断面を有する。外側筒材2aの上端にはカラー9を備える滑り部材8が固定されており、この滑り部材はカラーにより筒材2aの上縁に載置されて、2つの筒材2a、2bの間の間隙を覆う上枠としても機能も果たす。滑り部材8は、筒材2aの穴11内に着座するボス10により固定される。内側筒材2bはボスが着座したフラップの内面に対して摺動するように、ボス10は穴内で定位置に維持される。
【0020】
滑り部材8が取り付けられ、内側筒材2bが滑り部材8を介して外側筒材2a内に挿入されるときに、予め定められた力で外側筒材2aの対向する幅狭面13に対して外側から変形が施される。この変形は、滑り部材8のそれぞれのフラップ状壁部分12に、この壁部分12が図4に示すように内側筒材2bの外面にしっかりと押し付けられるように配置された2組の玉状圧痕14として施すことができる。この変形は、止め子のようなコアツ
ールを使用することなく自由変形として施され、圧痕は、2つのスチール型材間で滑り部材の弾性付勢力が生じるような大きさである。これにより、摩耗を補償するのと同時に、遊びの無い最適な状態を確保される。」

ウ 図1は以下のとおりである。


エ 上記アないしウからみて、甲第1号証には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認める。
「各端に昇降支柱1を備え、
昇降支柱1は2つの筒材2a、2bを備え、内側筒材2bが滑り部材8を介して外側筒材2a内に挿入され、
外側筒材2aの下端が足3に強固に取り付けられ、内側筒材2bの上端には天板5が取り付けられ、
昇降支柱1は、電源付き制御ボックス6に接続された電動モータによって駆動される組込みスピンドル/ナット装置を介して作動するものであって、
制御ボックス6はテーブルの前縁に配置された制御パネル7によって起動される制御装置をも含む、机。」

(2)甲第2号証
ア 「Figuren 1A bis 1C
Der Arbeitstisch besteht im wesentlichen aus einem Untergestell 1, auf dem eine Tischplatte 3 ruht, die eine Oberseite 30 und eine Unterseite 31 besitzt, und einem an der Tischplattenunterseite 31 befestigten Sammelbehaltnis 2. An der Tischplatte 3 ist ein Screen 4 angebracht, der hier uber Eck positioniert ist. In der Tischplatte 3 sind Steckdoseneinsatze 75 angeordnet, an denen ein Stutzbalken 6 befestigt ist. Das Untergestell 1 hat zwei parallel zueinander beabstandete Bodenausleger 100, von denen sich jeweils zentrisch ein Bein 10 senkrecht nach oben erstreckt.」(明細書8頁5?13行)
(ウムラウトは省略。以下同様。)

(申立人による訳文は以下のとおり。)
「図1Aから1C
作業台は、基本的に上面30と下面31を有するテーブルトップ3が載るベースフレーム1とテーブルトップの下面31に固定された収集容器2とからなる。コーナーが配置されます。テーブルトップ3にはソケットインサート75が配置され、その上にサポートビーム6が取り付けられている。ベースフレーム1は、互いに平行に間隔を空けられた2つのフロアブラケット100を有し、その一方の脚部10は、中央で垂直に上方に延びている。」

イ 「Figuren 10A bis 10F
In dieser Figurenfolge wird die Funktion der an einem Bein 10 eines Arbeitstischs montierten Kabelfuhrung 8 bei verschiedenen Hoheneinstellungen des Arbeitstischs illustriert. Beispielhaft geht die Kabelfuhrung 8 am unteren Ende des Beins 10 im Bogen als Abgangsabschnitt 88 auf den Bodenausleger 100 uber. Von hierverlaufen die Stromversorgungs- und/oder Kommunikationskabel zum Netz.」(明細書15頁19?25行)

(申立人による訳文は以下のとおり。)
「図10Aから10F
この一連の図では、作業台の異なる高さ設定で作業台の脚10に取り付けられたケーブルガイド8の機能が示されている。一例として、アーク内の脚部10の下端のケープルガイド8は、出ロセクション88としてフロアブラケット100と融合する。ここから、電源や通信ケーブルがネットワークに接続されます。」

ウ 「Bei einer mittleren Hoheneinstellung des Arbeitstischs (s. Figuren 10C, 10D) - Sammelbehaltnis 2, Trager 14, Tischplatte 3, Ankerpunkt 5 und die beiden Saulenrohre 12,13 sind etwas nach oben gefahren - ist der uber das erste Saulenrohr 11 hinausragende Vorratsabschnitt 84 nur mehr mittelmassig gestaucht. Die gesamte Lange des Vorratsabschnitts 84 zwischen Ankerpunkt 5 und Anbindung am ersten Saulenrohr 11 ist in einer sich aufweitenden S-Form wenigerzusammengedrangt.」(明細書16頁1?7行)

(申立人による訳文は以下のとおり。)
「作業台の平均高さ調整により(図10C、10Dを参照)、収集容器2、サポート14、テーブルトップ3、アンカーポイント5、2本のカラムチューブ12、13が少し上に移動しました。最初のカラムチューブ11を超えて突出する保管セクション84はより適度に圧縮されます。アンカーポイント5と第1のカラムチューブ11への接続部との間の貯蔵セクション84の全長は、拡張S字形で混雑しにくい。」

エ Fig.1A、Fig.10C、Fig.10Eは以下のとおり。




Fig.10E


(3)甲第3号証
ア 「【0050】
天板2は、スチール製(金属板製)の基板59と、その上面に接着したメラミン化粧板60と、基板59の下面に重なって左右方向に延びる複数の補強フレーム70と、左右のサイドエッジ62とを備えている。補強フレーム61はスチール製であり、基板69に溶接されている。従って、基板69と各補強フレーム61は電気的に導通している。サイドエッジ62は合成樹脂製である。なお、図6では補強フレーム61の形状と配置箇所は簡略して表示している。」

イ 図8、図9は以下のとおり。
【図8】


【図9】


(4)甲第4号証
ア 「【0011】先ず、図2?図7に基づいて、天板1と袖部2との取付構造を説明する。先ず、前記天板1はその下面の後縁部に補強部材7を横設し、前縁部に補強部材8を横設し、更に奥行方向の中間部にも二本の補強部材9,9を横設している。尚、各補強部材の位置関係を明確にするために、「後」「前」「中」を付けて区別する。また、机には右袖タイプ、左袖タイプ及び両袖タイプがあり、天板1に対する袖部2の取付けは左右どちらの側でも行えるように、前記天板1は左右対称な構造となっている。そして、天板1の下面には前記係止金具5及び係着具6を仮止め状態で取付けることができるようになっている。」

イ 図7は以下のとおり。


(5)甲第5号証
ア 「【0010】本発明は、前記補助天板5の下面5Aに連結金具6の前部を取付け、該補助天板5の後縁よりも後方へ突出した連結金具6の後部であって両側後端部に後向きフック7,7を形成するとともに、それよりも前方の両側に取付孔8,8を有する水平な固定板9,9を形成し、前記後向きフック7,7を天板1の下面10の奥行方向中間部に横設した中補強部材11の前面12に形成した係止孔13,13に嵌合係止するとともに、前記両固定板9,9を天板下面10の前縁に横設した前補強部材14の下面15に前記取付孔8,8を用いてネジ16,16にて締着してなることを要旨としている。」

イ 図3は以下のとおり。


(6)甲第6号証
ア 「塩化ビニール鋼板等表面を特殊加工した鋼板でなる前後をU字形に曲げた上面板1に断面杓形の補強2を上面板に接する面に両面テープ等接着剤を貼付し上面板と固着させ、」(明細書1頁下から5?末行)

イ 第2図は以下のとおり。


(7)甲第7号証
ア 「【0007】
【実施例】
左右の袖箱(1)(1)の上面に載置固着されている天板(2)の下面には、後方から、断面がおおむね正方形で、左右方向を向く樋状方形補強杆(3)と、前後方向に広幅の樋状の広幅補強杆(4)と、適数の樋状方形補強杆(5)が、適宜の間隔をもって付設されている。
【0008】
広幅補強杆(4)の底壁(4a)の前後方向の中間部には、左右方向を向く上向凹溝(6)が形成されている。
上向凹溝(6)には、側面形が逆U状をなすダクト本体(7)の頂壁の中間部から上向突設した左右方向を向く前後の係合突片(8)(8)が、ややきつ目に嵌合している。」

イ 図2は以下のとおり。


(8)甲第8号証
ア 「【0002】
【従来の技術】
従来、この種の保護縁装置は、例えば図8に示すようなものであった。
即ち、机天板100 を構成する天鋼板101 の端部を折曲して外向きに突出する段部102 を形成し、この突出段部102 の前面103 と上面104 とに沿って天板100 端部の長さ方向に連続する長尺のアルミニウム製固定部材110 を所定間隔毎にネジ120 にて突出段部102 に螺着し、この固定部材110 の表面を、これも前記固定部材110 と同様に天板長さ方向に連続する合成樹脂製保護縁部材130 にて被覆するとともに、該保護縁部材130 の下端に設けた係止突条131 を前記固定部材110 下端に設けた係止溝111 へ係止する一方、固定部材110 の上部に突設した係止辺112 へ保護縁部材130 の上部に設けた係止溝132 を係止することにより、保護縁部材130 を固定部材110 に取り付けてなり、また、前記固定部材110 の表面に設けた緩衝突条113 を保護縁部材130 の内面に当接してなるものである。尚、図中105 は天板100 の補強部材であり、また、106 は表面板である。」

イ 図8は以下のとおり。


(9)甲第9号証
ア 「【0002】
【従来の技術】
従来、この種の保護縁装置は、例えば図6に示すように、机等の天板100 の側縁部に外向きに突出する段部101 を形成し、この突出段部101 の前面102 と上面103 とにわたってアルミニウム製固定部材110 をネジ120 にて螺着し、この固定部材110 の表面を合成樹脂製の保護縁部材130 にて被覆するとともに、該保護縁部材130 下端に設けた係止片131 を前記固定部材110 下端111 へ係止する一方、保護縁部材130 の上端部に設けた係止片132 を固定部材110 の上部に設けた係止部112 へ係止することにより保護縁部材130 を固定部材110 に取り付けてなり、また、前記固定部材110 の表面に設けた緩衝突条113 を保護縁部材130 の内面に当接してなるものであった。」

イ 図6は以下のとおり。


(10)甲第10号証
ア 「・・・ a first end 66 is connected to a release lever 68 (see also FIG. 3) that is mounted to the underside of the worksurface 3. Actuation of the release lever 68 causes the first end 66 of the release cable 61 to move in the direction of the arrow "E", and moves a second end 67 of the release cable 61 in the direction of arrow "F"(FIG. 9).」(9欄20?25行)

(申立人による訳文は以下のとおり。)
「第1の端部66は、作業面3の下面に取り付けられたリリースレバー68(図3も参照)に接続されている。リリースレバー68の作動により、リリースケーブル61の第1の端部66は、矢印「E」の方向に移動し、リリースケーブル61の第2の端部67は、矢印「F」の方向に移動する(図9)。」

イ Fig.1?Fig.3は以下のとおり。




5 当審の判断
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明を対比すると、両者は、
「(A)’上面に作業面を有する天板と、
前記天板を、上下方向に昇降可能に支持する昇降機構ユニットを備えた脚体と、を備える、
(G)天板昇降式デスク。」で一致するものの、
昇降機構ユニットについて、本件発明1は、「少なくとも利用者が座った状態で使用可能な位置から立った状態で使用可能な位置まで」昇降するのに対し、甲1発明は、どのような状態で使用可能な位置の範囲で昇降するのか不明な点(以下「相違点1」という。)、及び
本件発明1の「(B)前記天板は、
前記作業面と、
利用者が対向する前記天板の前側の端部の上側に、前方に向かって下方に傾斜する上部傾斜部と、
前記天板の前端を形成する前端面と、が一体に連続して形成され、
(C)前記天板は、
前記作業面と、前記上部傾斜部と、前記前端面とに沿った形状を有する鋼製の支持材と、
前記支持材の表面を被覆する被覆材と、を一体に備え、
(D)前記支持材のうち、前記上部傾斜部と前記前端面とに囲まれた部分に、前記支持材を下方から支持する前部補強材が配置され、
(E)前記天板は、前記端部の下側に、下方に向かって後方に傾斜する下部傾斜部を有し、
(F)前記下部傾斜部の後方であって、前記前部補強部材の下面に、前記昇降機構ユニットの昇降動作を操作する操作部が設けられている」構成を、甲1発明が備えていない点(以下「相違点2」という。)で相違する。

イ 判断
(ア)事案に鑑み、まず相違点2について検討する。
申立人は、甲第1号証に加えて、甲第2号証ないし甲第12号証を提示するが、いずれの文献も、本件発明1の「(D)前記支持材のうち、前記上部傾斜部と前記前端面とに囲まれた部分に、前記支持材を下方から支持する前部補強材が配置され、」「(F)前記下部傾斜部の後方であって、前記前部補強部材の下面に、前記昇降機構ユニットの昇降動作を操作する操作部が設けられている」構成を備えていない。
そして、本件発明1は、構成要件B?Fを備えることにより、「天板の端部の下側に下部傾斜部を形成しない構成に比較し、天板の下方空間への視野が広まる。また、支持体の端部を薄く見せることができ、天板の見栄えを向上させることができる。」(本件特許明細書の段落【0007】)との効果に加えて、「天板4の前端部4aは、その下側に前端下部湾曲面F4が形成されているので、前端部4aの下側を垂直面によって形成した場合に比較し、天板4の下方空間内に位置する操作部7が視認しやすくなっている。」(同段落【0030】)との効果を奏するものである。
よって、甲1発明において、周知技術を適用することにより、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。

(イ)申立理由として、甲第2号証及び甲第10号証も主引用例となる旨、申立人は主張するが、甲第2号証及び甲第10号証には、甲1発明と同様の発明が記載されている程度であるから、本件発明1と甲第2号証及び甲第10号証に記載の発明を対比しても、上記相違点1、2で相違することでは、甲1発明と同様である。
そして、相違点2については、上記(ア)で示した理由と同様の理由により、甲第2号証または甲第10号証に記載の発明において、周知技術を適用することにより、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。

(ウ)また、申立人の主張は、以下a、bのとおり採用できない。
a 構成要件Dに関連して、「該スチール天板に上記作業面、上部傾斜部、前端面、下部傾斜部が一体に連続形成され、且つ上記前部補強材が上記部分に配置されたものである点についても、本件特許の出願当時すでに周知である(甲3?甲7)。」(特許異議申立書11頁下から5?末行)、「尚、同じく作業面と上部傾斜部と前端面とが一体的に形成されたスチール天板において、上部傾斜部と前端面とに囲まれた部分にスチール天板を下方から支持する前部補強材が配置されたものは、甲8や甲9にも記載されている。」(同13頁17?23行)と主張する。
しかしながら、甲第3号証?甲第6号証の図面をみると、甲第3号証に記載の「補強フレーム61」、甲第4号証に記載の「前補強部材8」、甲第5号証に記載の「前補強部材14」、甲第6号証に記載の「補強2」は、いずれも、その前端部が、本件発明の作業面と上部傾斜部との境目あたりに下から接触していることが看取できるものの、該上部傾斜部と前端面とに囲まれた部分には存在していないので、前部補強材が上部傾斜部と前端面とに囲まれた部分に配置されない。そして、甲第3号証?甲第6号証の明細書中にも該配置は記載されていない。
また、甲第7号証の図面をみると、天板の後端部を示したものである。
さらに、甲第8号証及び甲第9号証の図面をみると、上部傾斜部と前端面は、樹脂製の部材であって、作業面と一体の鋼製のものではない。
よって、甲第3号証?甲第9号証には、本件発明1の構成要件Dである、「支持材のうち、上部傾斜部と前端面とに囲まれた部分に、支持材を下方から支持する前部補強材を配置」することは記載されていない。

b 構成要件Fに関して、「甲1記載発明の天板に、上記周知技術のスチール天板を組み合わせる際、当業者であれば、制御パネル7(操作部)の取り付け箇所として、取付安定性の確保が容易であるスチール天板の補強部材(前部補強材)を選択することは、同じくスチール天板に机の袖部、補強天板、配線用ダクトなどを取り付ける場合に、通常、補強部材に取り付けられる(甲4、甲5、甲7)ことから明らかである。」(同14頁5?10行)と主張する。
しかしながら、甲1発明の制御パネル7は、テーブルの前縁に配置されていることからみて、制御パネル7の取り付けに際し、さらに補強を必要とされるとの課題が内在するとは認められないから、制御パネル7を他の位置に配置する動機付けは存在しない。よって、仮に、甲1発明に補強材を取り付けることが容易であったとしても、それに伴って、制御パネル7を該補強材の下面に取り付けることが容易になし得たこととはいえない。

(エ)以上のことから、上記相違点1を検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証ないし甲第12号証に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに構成を限定したものであるから、上記(1)で検討した理由と同じ理由により、甲第1号証ないし甲第12号証に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。


6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1、2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
異議決定日 2020-06-29 
出願番号 特願2014-223630(P2014-223630)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (A47B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中村 百合子  
特許庁審判長 秋田 将行
特許庁審判官 住田 秀弘
土屋 真理子
登録日 2019-10-18 
登録番号 特許第6600880号(P6600880)
権利者 株式会社オカムラ
発明の名称 天板昇降式デスク  
代理人 松沼 泰史  
代理人 鈴木 三義  
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