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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06Q
管理番号 1364026
異議申立番号 異議2020-700261  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-04-15 
確定日 2020-07-09 
異議申立件数
事件の表示 特許第6591571号発明「プログラム、情報処理方法及び情報処理装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6591571号の請求項1?7に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6591571号の請求項1?7に係る特許についての出願は,平成30年1月10日に出願され,令和元年9月27日にその特許権の設定登録がされ,令和元年10月16日に特許掲載公報が発行された。その後,その特許に対し,令和2年4月15日に特許異議申立人河井清悦(以下,「申立人」という。)は特許異議の申立てを行った。


2 本件発明
特許第6591571号の請求項1?7の特許に係る発明(以下,それぞれ「本件発明1」?「本件発明7」という。)は,それぞれ,その特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

【請求項1】
プロセッサに,
広告に接する領域を示す広告情報を取得させ,
ユーザが所在した施設を示す所在情報を取得させ,
前記ユーザの座標を示す位置情報を取得させ,
前記所在情報,前記位置情報及び前記広告情報に基づいて,前記ユーザが前記広告に接したか判定させるプログラムであって,
前記判定処理は,前記位置情報に基づいて,前記ユーザが所在した2つの施設の間の移動経路を特定し,前記移動経路の少なくとも一部が前記領域に含まれる場合,前記ユーザが前記広告に接したと判定する,
プログラム。
【請求項2】
前記移動経路は,前記広告に対応する2つのルート施設の間の移動経路である,
前記請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記プロセッサに,
前記広告に接したと判定された前記ユーザのクラスタを生成させ,
前記クラスタのサブクラスタを生成させる,
前記請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記ユーザは,前記広告に対応するコンバージョンを完了したユーザである,
前記請求項1乃至3の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記施設は,駅である,
前記請求項1乃至4の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
プロセッサが実行する情報処理方法であって,
広告に接する領域を示す広告情報を取得し,
ユーザが所在した施設を示す所在情報を取得し
前記ユーザの座標を示す位置情報を取得し,
前記所在情報,前記位置情報及び前記広告情報に基づいて,前記ユーザが前記広告に接したか判定する情報処理方法であって,
前記判定処理は,前記位置情報に基づいて,前記ユーザが所在した2つの施設の間の移動経路を特定し,前記移動経路の少なくとも一部が前記領域に含まれる場合,前記ユーザが前記広告に接したと判定する,
情報処理方法。
【請求項7】
広告に接する領域を示す広告情報を格納する記憶部と,
ユーザが所在した施設を示す所在情報を取得し
前記ユーザの座標を示す位置情報を取得し,
前記所在情報,前記位置情報及び前記広告情報に基づいて,前記ユーザが前記広告に接したか判定する,
制御部と,を備え,
前記判定処理は,前記位置情報に基づいて,前記ユーザが所在した2つの施設の間の移動経路を特定し,前記移動経路の少なくとも一部が前記領域に含まれる場合,前記ユーザが前記広告に接したと判定する,
情報処理装置。


3 申立理由の概要
申立人は,主たる証拠として特開2009-187329号公報(甲第1号証。以下「文献1」という。)及び従たる証拠として特開2016-71069号公報(甲第2号証。以下「文献2」という。),特開2011-243023号公報(甲第3号証。以下「文献3」という。),特開2010-146412号公報(甲第4号証。以下「文献4」という。),特開2009-245364号公報(甲第5号証。以下「文献5」という。),特開2008-112401号公報(甲第6号証。以下「文献6」という。)を提出し,請求項1?7に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから,請求項1?7に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。


4 文献の記載
(1)文献1記載事項
ア 文献1には次の事項が記載されている(下線は,当審が付与した。)。

「 【0001】
本発明は鉄道利用者に対して情報配信を行う技術に関する。その中でも特に,鉄道事業者の管理するスペース(改札・コンコース・ホーム等の駅構内および電車内など)において鉄道利用者が接触した可能性のある広告等のコンテンツを特定し,特定したコンテンツに関連した情報を提供する技術に関する。」

「 【0004】
しかしながら,特許文献1においては,駅の入出場時を基点とした情報配信しか考慮されていない。従って,鉄道利用者の移動経路に基づいて,鉄道事業者の管理するスペース(改札・コンコース・ホーム等の駅構内および電車内など)において鉄道利用者が接触した可能性のある広告等のコンテンツを特定し,特定したコンテンツに関連した情報を提供することについては考慮されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで,本発明では,鉄道利用者のICカード乗車券に格納された改札機の入出場情報,駅構内における商品等の購買情報,およびデータベースに格納された駅構内における標準移動時間に基づき,鉄道利用者の移動経路を特定する。このためにまず,入場駅と出場駅から特定される複数の移動経路の候補の中から,ICカード乗車券の改札機の入出場情報に基づき,移動経路の候補を絞り込む。次に,ICカード乗車券の購買情報に基づき,更に移動経路の候補を絞り込む。更に,移動経路における駅構内の標準異動時間に基づき移動経路の候補を絞り込むことで鉄道利用者の移動経路を推定し,推定した経路を鉄道利用者の移動経路として特定する。
【0006】
そして,特定した移動経路から特定される滞在時間と駅構内に設置された広告等のコンテンツの表示スケジュールとに基づいて,鉄道利用者が接触した可能性のあるコンテンツを特定し,特定したコンテンツに関連する情報を提供する。もしくは,利用者の接触したコンテンツを推定する。」

「【発明の効果】
【0011】
本発明によれば,鉄道利用者がICカード改札機を通った記録(入出場記録)および駅構内の売店などのICカード精算機で金銭の入出金を行った記録(商品購入記録,金銭チャージ記録,合わせて金銭入出金記録と呼ぶ。)を使用することで,鉄道事業者が管理するスペース(改札・コンコース・ホーム等の駅構内および電車内など)において,鉄道利用者(すなわち視聴者)が当該スペースで視聴した可能性のある広告などのコンテンツを推定することができるので,当該コンテンツに関連する情報を効率よく提供することができる。」

「 【0020】
ICカード乗車券連携個人情報データベース1212には,広告効果解析に利用可能な個人情報として,性別121203や年齢121204や職業121205などの個人情報を追加登録可能とすることもできる。」

「 【0022】
鉄道利用者がICカード乗車券1101を利用して改札内に入場する際に通過するICカード改札機(入場駅)1103は,ICカード乗車券1101からICカード乗車券ID122301を読み取るとともに,ICカード改札機(入場駅)1103において入場駅122302,入場改札122312,入場日時122303を情報として取得し,ICカード乗車券データ管理センター1200の利用データ管理装置1220の入場登録機能1221に送信し,入出場記録データベース1223に各データとして記録する。」

「 【0025】
鉄道利用者がICカード乗車券1101を利用して改札内から出場する際に通過するICカード改札機(出場駅)1104は,ICカード乗車券1101からICカード乗車券ID122301を読み取るとともに,ICカード改札機(出場駅)1104において出場駅122304,出場改札122314,出場日時122305を情報として取得し,ICカード乗車券データ管理センター1200の利用データ管理装置1220の出場登録機能1222に送信する。出場登録機能1222は,送信されたICカード乗車券ID122301で入出場記録データベース1223を検索し,検索された入出場記録レコードのうち,入場日時が最新の入出場記録レコードの出場駅カラム122304,出場改札カラム122314,出場日時カラム122305に送信された情報を記録する。」

「 【0034】
広告表示装置1310は,広告配信スケジュール1311に従い,鉄道事業者が管理するスペース(改札・コンコース・ホーム等の駅構内および電車内など)に設置された映像モニタ等の表示装置に対して広告コンテンツ1312を配信するとともに,広告コンテンツの表示履歴を広告コンテンツ表示履歴データベース1314に記録する。
【0035】
広告コンテンツ表示履歴データベース1314は,図2(a)に示す広告コンテンツ表示履歴データテーブル131400により構成される。本実施例では,広告コンテンツが表示された履歴情報が格納されているが,履歴情報ではなく,広告コンテンツを表示するスケジュール情報が格納されているとしてもよい。」

「 【0041】
図1の広告コンテンツ連携情報提供装置1400において,移動経路及び接触コンテンツ解析機能1410により,まず初めに利用データ管理装置1220の入出場記録データベース1223と金銭入出金記録データベース1225から鉄道利用者の鉄道および駅構内の施設・サービス利用情報を取得し,それらの情報を元データとして鉄道利用者の移動経路を推定し,その推定結果と広告表示装置1310の広告コンテンツ表示履歴データベース1314から取得したデータに基づき,接触コンテンツを特定して接触コンテンツリストデータベース1420に出力する。」

「 【0049】
次に,図3(a),(b)のフローチャートに基づいて,図1の広告コンテンツ連携情報提供装置1400の各部の動作を説明する。」

「 【0051】
図1の移動経路及び接触コンテンツ解析機能1410では,鉄道利用者の移動経路を推定し,推定された移動経路を元に,鉄道利用者が移動中に接触したと推定される広告コンテンツを特定する処理を行う。」

「 【0053】
まず,鉄道利用者毎の処理対象期間における鉄道利用状況を取得するため,利用データ管理装置1220の入出場記録データベース1223から,ICカード乗車券ID122301をキーとして,入場日時122302と出場日時122305の両方が,処理対象期間に含まれる入出場記録レコードを取得する(ステップ4020)。」

「 【0055】
次に,ステップ4020で取得された入出場記録レコードの入場駅122302,入場日時122303,出場駅122304,出場日時122305をもとに,当該入出場記録レコードのICカード乗車券ID122301の鉄道利用者が利用可能な全ての移動経路パターン2102を路線情報(乗換情報)データベース2101から抽出し,移動経路パターンデータテーブル210200を作成する。(ステップ4030)。」

「 【0058】
ステップ4030で抽出された移動経路パターン2102が1以上所定数以下の場合,マッチングパターンに特定し,後述するステップ6010へ移行する。本実施例では,所定数を1とした場合を例に説明するが,所定数は1以外であってもよい。ステップ4030で抽出された移動経路パターン2102がない場合,マッチングパターン無しとし,以降の処理を終了する。ステップ4030で抽出された移動経路パターン2102が2つ以上の場合,移動経路パターン2102をさらに絞り込む必要があるためステップ5010へ移行する(ステップ4040)。」

「 【0061】
次に,鉄道利用者が利用したと思われる複数存在している移動経路パターン2102を絞り込むために,鉄道利用者の金銭入出金記録データベース1225から参考情報を取得する。まず,金銭入出金記録データベース1225を処理対象となっている入出場記録レコードのICカード乗車券ID122301で検索し,検索された金銭入出金記録レコードの入出金日時122505が,処理対象の入出場記録レコード1223の入場日時122303と出場日時122305の間の日時であり,かつ入出金エリア122503が改札内である金銭入出金記録レコードを取得する(ステップ5010)。」

「 【0075】
ステップ5070の結果,残った移動経路パターン2102が1つの場合は,当該パターンをマッチングパターンに特定し,後述するステップ6010へ移行し,残った移動経路パターン2102がない場合は,マッチングパターン無しとし,以降の処理を終了し,残った移動経路パターン2102が2つ以上の場合は,マッチングパターン特定不可とし,後述するステップ6020へ移行する(ステップ5080)。
【0076】
ここまでの処理により,絞り込まれた移動経路パターン2102をもとに,鉄道利用者が利用したと思われる入場駅,乗換駅,出場駅,乗車列車について,推定移動経路情報データベース2302を作成する。推定移動経路情報データベース2302は,図2に示す,推定入場駅情報データテーブル300100,推定乗換駅情報データテーブル300200,推定出場駅情報データテーブル300300,推定乗車列車情報データテーブル300400から構成される。
【0077】
まず,ここまでの処理の結果,移動経路パターン2102が一つに絞り込まれ,マッチングパターンが特定できた場合について説明する。
【0078】
推定入場駅情報データテーブル300100は,各カラムのデータを次の通り取得する。ICカード乗車券ID300101,入場駅300102,入場駅改札300103入場日時300105は,処理対象の入出場記録レコードから同一カラム名のデータを取得する。
【0079】
駅構内標準移動時間300106は,入場駅300102の入場改札300103から乗車ホーム300113までの標準移動時間220104を駅構内標準移動時間情報データベース2201から取得する。同じレコードから経由場所220112も合わせて取得する。
【0080】
推定駅構内滞在日時300107は,入場日時300105の時刻から駅構内標準移動時間300106が経過した時刻とする。
【0081】
利用路線1 300109,方面300110,乗車日時300111,乗車ホーム300113は,ここまでの処理で一つに絞り込まれた移動経路パターン2102の同一カラム名のデータを取得する。
【0082】
推定ホーム滞在日時300112は,推定駅構内滞在日時300107から乗車日時300111までとするが,推定ホーム滞在日時300112は上限10分間とし,10分以上時間が余る場合は,推定駅構内滞在日時300107に加算する。
【0083】
改札広告掲出先ID300104,コンコース広告掲出先ID300108,ホーム広告掲出先ID300114は,駅構内情報データベース2301から広告掲出先IDを取得したい場所の駅名で検索し,検索されたレコードをさらに広告掲出場所で検索し,検索されたレコードの広告掲出先IDを取得する(ステップ6011)。
【0084】
ここで駅構内情報データベース2301は,図2に示す駅構内情報データテーブル230100から構成される。
【0085】
推定乗換駅情報データテーブル300200は,各カラムのデータを次の通り取得する。
【0086】
ICカード乗車券ID300201のカラムは,処理対象の入出場記録レコード1223から同一カラム名のデータを取得する。乗換駅300202,利用路線1300103,方面300204,降車日時300205,降車ホーム300206,利用路線300210,方面300211,乗車日時300212,乗車ホーム300214は,ここまでの処理で一つに絞り込まれた移動経路パターン2102の同一カラム名のデータを取得する。駅構内標準移動時間300207は,乗換駅の降車ホーム300206から乗車ホーム300214までの標準移動時間220104および経由場所220112を駅構内標準移動時間情報データテーブル2201から取得する。推定駅構内滞在日時は,降車日時300205の時刻から駅構内標準移動時間300207が経過した時刻とする。推定ホーム滞在日時300213は,推定駅構内滞在日時300208から乗車日時300212までとする。コンコース広告掲出先ID300209,ホーム広告掲出先ID300215は,駅構内情報データベース2301から広告掲出先IDを取得したい場所の駅名で検索し,検索されたレコードをさらに広告掲出場所で検索し,検索されたレコードの広告掲出先ID230103を取得する(ステップ6012)。
【0087】
推定出場駅情報データテーブル300300は,各カラムのデータを次の通り取得する。ICカード乗車券ID300101,出場駅300302,出場駅改札300303,出場日時300305のカラムは,処理対象の入出場記録レコード1223から同一カラム名のデータを取得する。駅構内標準移動時間300306は,出場駅300302の出場改札300303から降車ホーム300312までの推定移動時間を駅構内標準移動時間情報データテーブル2201から取得する。推定駅構内滞在日時300307は,降車日時300311の時刻から駅構内標準移動時間300306が経過した時刻とする。利用路線2 300309,方面300310,降車日時300311,降車ホーム300312は,ここまでの処理で一つに絞り込まれた移動経路パターン2102の同一カラム名のデータを取得する。改札広告掲出先ID300304,コンコース広告掲出先ID300308,ホーム広告掲出先ID300313は,駅構内情報データベース2301から広告掲出先IDを取得したい場所の駅名で検索し,検索されたレコードをさらに広告掲出場所で検索し,検索されたレコードの広告掲出先ID230103を取得する(ステップ6013)。
【0088】
推定乗車列車情報データテーブル300400は,各カラムのデータを次の通り取得する。ICカード乗車券ID300401は,処理対象の入出場記録レコードから同一カラム名のデータを取得する。利用路線300402,方面300403,乗車駅300404,乗車日時300405,降車駅300406,降車日時300407は,ここまでの処理で一つに絞り込まれた移動経路パターン2102の同一カラム名のデータを取得する。一つに絞り込まれた移動経路パターン2102に乗換データが含まれる場合は,乗車列車別にレコードを作成する。推定車内滞在時間300408は,乗車日時300405から降車日時300407までとする。車内広告掲出先IDは,列車内情報データベース2401から広告掲出先IDを取得したい路線名で検索し,検索されたレコードをさらに方面で検索し,検索されたレコードの広告掲出先ID240103を取得する(ステップ6014)。」

「 【0097】
推定移動経路情報データベース2302の推定入場駅情報データテーブル300100,推定乗換駅情報データテーブル300200,推定出場駅情報データテーブル300300,推定乗車列車情報300400のそれぞれには鉄道利用者が通過もしくは滞在した改札・コンコース・ホームなどに設定された広告コンテンツを表示する映像モニタ等の広告掲出先IDと,鉄道利用者が映像モニタ等の広告掲出先を通過もしくは滞在した日時が含まれており,鉄道利用者は,改札・コンコース・ホームなどを通過もしくは滞在した日時に,そこに設置された映像モニタ等に表示された広告コンテンツを目にしていると考えることが出来る。一方,広告コンテンツ表示履歴データベース1314は,改札・コンコース・ホームなどに設置された映像モニタ等の広告掲出先に表示された広告コンテンツと広告コンテンツの表示日時を含むデータベースである。従い,この推定移動経路情報データベース2302と広告コンテンツ表示履歴データベース1314を用いて,鉄道利用者が移動中に接触したと思われる広告コンテンツを特定することが出来る。接触したと思われる広告コンテンツは,鉄道利用者を識別するICカード乗車券IDをキーとして接触コンテンツリストデータベース1420とする。接触コンテンツリストデータベース1420は,図2に示す接触コンテンツリストデータテーブル142000から構成される。
【0098】
具体的には,推定移動経路情報データベース2302の推定入場駅情報データテーブル300100,推定乗換駅情報データテーブル300200,推定出場駅情報データテーブル300300,推定乗車列車情報300400のそれぞれに含まれる広告掲出先IDと同一の広告掲出先IDの広告コンテンツ表示履歴レコードを広告コンテンツ表示履歴データベース1314から抽出する(ステップ7010)。
【0099】
次に,鉄道利用者が,広告掲出先を通過もしくは滞在した日時を示す入場日時300105,出場日時300305,推定駅構内・推定ホーム・推定車内の各滞在日時と抽出された広告コンテンツ表示履歴レコードの表示開始日時131404から表示終了日時131405までの日時が,重複しているレコードを抽出する(ステップ7020)。
【0100】
ステップ7020で抽出された広告コンテンツ表示履歴レコードが,鉄道利用者が移動中に通過もしくは滞在した改札・コンコース・ホーム等それぞれの場所で接触したと思われる広告コンテンツである。これを鉄道利用者を識別するICカード乗車券IDをキーとして接触コンテンツリストデータベース1420を作成する(ステップ7030)。」

【図2(d)】

イ 上記アから,文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているといえる。

広告コンテンツ連携情報提供装置1400が実行する方法であって,
広告コンテンツ連携情報提供装置1400において,移動経路及び接触コンテンツ解析機能1410により,まず初めに利用データ管理装置1220の入出場記録データベース1223と金銭入出金記録データベース1225から鉄道利用者の鉄道および駅構内の施設・サービス利用情報を取得し,それらの情報を元データとして鉄道利用者の移動経路を推定し,その推定結果と広告表示装置1310の広告コンテンツ表示履歴データベース1314から取得したデータに基づき鉄道利用者が移動中に接触したと推定される広告コンテンツを特定する処理を行うものであり(【0041】【0051】),
鉄道事業者が管理するスペース(改札・コンコース・ホーム等の駅構内および電車内など)に設置された映像モニタ等の表示装置に対して広告コンテンツ1312を配信することで,広告コンテンツの表示履歴を広告コンテンツ表示履歴データベース1314に記録され(【0034】),
鉄道利用者がICカード乗車券1101を利用して改札内から入場又は出場することで,入場駅122302,入場改札122312,入場日時122303,又は,出場駅122304,出場改札122314,出場日時122305が送信される利用データ管理装置1220の入出場記録データベース1223から,ICカード乗車券ID122301をキーとして,入場日時122302と出場日時122305の両方が,処理対象期間に含まれる入出場記録レコードを取得し,取得された入出場記録レコードの入場駅122302,入場日時122303,出場駅122304,出場日時122305をもとに,当該入出場記録レコードのICカード乗車券ID122301の鉄道利用者が利用可能な全ての移動経路パターン2102を路線情報(乗換情報)データベース2101から抽出し,移動経路パターンデータテーブル210200を作成し(【0023】【0025】【0053】【0055】),
鉄道利用者が利用したと思われる複数存在している移動経路パターン2102を絞り込み(【0061】),
残った移動経路パターン2102が1つの場合は,絞り込まれた移動経路パターン2102をもとに,鉄道利用者が利用したと思われる入場駅,乗換駅,出場駅,乗車列車について,推定入場駅情報データテーブル300100,推定乗換駅情報データテーブル300200,推定出場駅情報データテーブル300300,推定乗車列車情報データテーブル300400から構成される推定移動経路情報データベース2302を作成し(【0075】【0076】),
推定入場駅情報データテーブル300100の改札広告掲出先ID300104,コンコース広告掲出先ID300108,ホーム広告掲出先ID300114は,駅構内情報データベース2301から広告掲出先IDを取得したい場所の駅名で検索し,検索されたレコードをさらに広告掲出場所で検索し,検索されたレコードの広告掲出先IDを取得し(【0083】【図2(d)】),
推定乗換駅情報データテーブル300200のコンコース広告掲出先ID300209,ホーム広告掲出先ID300215は,駅構内情報データベース2301から広告掲出先IDを取得したい場所の駅名で検索し,検索されたレコードをさらに広告掲出場所で検索し,検索されたレコードの広告掲出先ID230103を取得し(【0086】【図2(d)】)
推定出場駅情報データテーブル300300の改札広告掲出先ID300304,コンコース広告掲出先ID300308,ホーム広告掲出先ID300313は,駅構内情報データベース2301から広告掲出先IDを取得したい場所の駅名で検索し,検索されたレコードをさらに広告掲出場所で検索し,検索されたレコードの広告掲出先ID230103を取得し(【0087】【図2(d)】),
推定乗車列車情報データテーブル300400の車内広告掲出先IDは,列車内情報データベース2401から広告掲出先IDを取得したい路線名で検索し,検索されたレコードをさらに方面で検索し,検索されたレコードの広告掲出先ID240103を取得し(【0088】【図2(d)】),
推定移動経路情報データベース2302の推定入場駅情報データテーブル300100,推定乗換駅情報データテーブル300200,推定出場駅情報データテーブル300300,推定乗車列車情報300400のそれぞれには鉄道利用者が通過もしくは滞在した改札・コンコース・ホームなどに設定された広告コンテンツを表示する映像モニタ等の広告掲出先IDと,鉄道利用者が映像モニタ等の広告掲出先を通過もしくは滞在した日時が含まれており,鉄道利用者は,改札・コンコース・ホームなどを通過もしくは滞在した日時に,そこに設置された映像モニタ等に表示された広告コンテンツを目にしていると考えることが出来る(【0097】),
具体的には,
推定移動経路情報データベース2302の推定入場駅情報データテーブル300100,推定乗換駅情報データテーブル300200,推定出場駅情報データテーブル300300,推定乗車列車情報300400のそれぞれに含まれる広告掲出先IDと同一の広告掲出先IDの広告コンテンツ表示履歴レコードを広告コンテンツ表示履歴データベース1314から抽出し(【0098】),
抽出された広告コンテンツ表示履歴レコードが,鉄道利用者が移動中に通過もしくは滞在した改札・コンコース・ホーム等それぞれの場所で接触したと思われる広告コンテンツであるとする(【0100】),
方法。

(2)文献2記載事項
文献2には,次の事項が記載されている(以下「文献2記載事項」という。)。
「 【0013】
<ユーザ端末10>
図1及び図2に示されるように,ユーザ端末10は,端末表示部11,端末入力部12,端末処理部13,端末通信部14および端末記憶部15等を備え,これらはバスを介して電気的に相互に接続される。端末通信部14は,GPS衛星80と接続して端末の現在位置に関する情報(以下,「位置情報」と呼ぶ)を取得することが可能である。位置情報の具体例としては緯度情報及び経度情報等が挙げられるがこれに限られず,端末の現在位置に関する情報であればどのような形式でもよい。」

「 【0019】
<位置情報管理サーバ40>
一方,位置情報管理サーバ40も,図3に示される広告配信サーバ20と同様の構成を備えている。即ち,図示しない,処理部,メインメモリ,外部メモリ,ユーザインタフェース,通信部およびディスクドライブ等を備え,これらはバスを介して電気的に相互に接続されている。本実施の形態における位置情報管理サーバ40は,ユーザ端末10から位置情報を受信する。
【0020】
<データベース50>
データベース50は,位置情報管理サーバ40に接続され,受信した位置情報は,例えば図4に示されるように,ユーザ端末10毎に集計され,データベース50に記録される。
【0021】
<具体的な情報処理>
図1及び図5を参照して本実施の形態による処理を概略すると,広告配信サーバ20は,屋外広告表示装置60に広告に関するコンテンツデータを送信する。また,広告配信サーバ20は,位置情報管理サーバ40から,図4に示されるような個人端末毎の位置情報を取得し,位置情報を参照することにより,広告対象エリア120に滞在していた端末利用者(即ち,広告対象エリア内において位置登録があった端末の利用者)の当該エリア内における滞在時間を集計する。
【0022】
具体的には,図5に示されるように,ある端末利用者が広告対象エリア120内に進入してから退出するまで軌跡Pに示される移動及び「×」で示した点において位置登録がされた場合,当該位置登録のうち,T1地点における位置登録の時刻からT2地点における位置登録の時刻までの間,当該端末利用者は広告対象エリア内に滞在したと判定する。なお,T1の決定条件は連続する前後の位置登録状況から広告対象エリア内において初めて位置登録がされたときであり,T2の決定条件は連続する前後の位置登録状況から広告対象エリア内において最後に位置登録がされたときである。広告配信サーバは,各端末毎にT1?T2がされた時刻情報及び滞在時間情報を集計し,1日の時間帯を所定の時間幅(例えば,1時間)に区切って滞在人数,総滞在時間(秒),平均滞在時間(秒)を算出する(図6参照)。なお,例えば,位置登録の回数が少ない場合(1回?数回程度)には誤差として集計から外すこととしても良い。」

(3)文献3記載事項
文献3には,次の事項が記載されている(以下「文献3記載事項」という。)。
「 【0017】
携帯端末10は,利用者が街頭広告を見た際に操作する端末であり,位置情報を取得する機能を有する。」

「 【0021】
携帯端末10の位置情報の例として,GPS(Global Positioning System)位置情報を想定している。但し,実際には,GPS位置情報に限定されない。例えば,最寄の中継装置や基地局(base station)の識別情報もしくは位置情報でも良い。」

「 【0086】
<第5実施形態>
以下に,本発明の第5実施形態について説明する。
第4実施形態を基に,携帯端末10が位置情報を取得した時間に関する情報(時間情報)を,複数のタイミングで取得し,位置情報と対応付けるようにすると更に好適である。
【0087】
例えば,最初に携帯端末10が位置情報と時間情報を取得した後,一定時間おきに複数の回数(5秒おきに3回等)で,位置情報と時間情報を取得する。これにより,その後の「移動速度」を把握することができる。
【0088】
例えば,移動中の車内から見た街道沿いの広告(道路広告)や,列車内の広告(車内広告)については,広告を見た後も絶えず現在位置が移動している場合が多いため,位置情報だけでは広告を特定できない可能性もある。しかし,携帯端末10の位置情報と,その位置情報を取得した後の移動速度情報がわかれば,位置情報を取得した際の状況(車・列車で移動中)や,道路・路線の特定が可能になり,利用者が見た広告を,ある程度は特定/推定することが可能になる。
【0089】
本実施形態では,携帯端末10は,利用者の操作・行動ごとに,一定の回数,位置情報と時間情報を取得し,位置情報と時間情報を対応付けて保持する。この場合,施設内センサー20や事業者サーバ30は,携帯端末10から位置情報と共に時間情報を受信する。事業者サーバ30や広告効果測定サーバ40は,複数存在する位置情報と時間情報から,移動速度を算出する。或いは,事業者サーバ30は,位置情報と共に時間情報を対応付けたログを作成し,このログを広告効果測定サーバ40に通知するようにしても良い。なお,実際には,携帯端末10自体が,位置情報と時間情報から,移動速度を算出するようにしても良い。すなわち,事業者サーバ30や広告効果測定サーバ40は,携帯端末10の位置情報と,携帯端末10が位置情報を取得した際の時間情報と,その後の移動速度情報を受信するようにしても良い。」

(4)文献4記載事項
文献4には,次の事項が記載されている(以下「文献4記載事項」という。)。
「 【0034】
ステップ130) 視聴可能性算出部108は,街頭ディスプレイ方向記録部111に格納されている街頭ディスプレイの方向と移動方向を用いて,端末ID毎にその携帯端末を持ち歩いている人が街頭ディスプレイ20を視聴可能かどうかを判定する。視聴可能性計算部108は,携帯端末ID毎の視聴可能性判定結果を視聴ターゲット特性記録部110に記録してもよい。以下の説明では,視聴可能性判定結果を記録するものとして説明する。」

「 【0037】
統計処理の際,携帯端末10が,端末IDと共に携帯端末保有者の性別,年齢,興味を持つ分野を示す情報についても送受信部103に送信し,属性取得部105によってメモ106に蓄積されている場合,視聴ターゲット特性記憶部110から街頭ディスプレイ20を視聴可能な端末IDを取得し,さらに,街頭ディスプレイ20を視聴可能な端末IDに対応する性別,年齢,興味を持つ分野を示す情報をメモリ106から取得して統計処理を行う方法もある。統計処理の結果は,図4に示す場所特性蓄積部130に格納する。図4に示す場所特性蓄積部130のデータは,街頭ディスプレイ20毎に場所IDを付与し,この街頭ディスプレイ20を視聴可能と判定された端末IDが4個の場合の例である。同図において,「時間帯」とは,1日の時間を予め1個以上の時間帯に分割しておき,計測時刻がどの時間帯に含まれるのかを示す情報である。「性別」には,例えば男性を"0",女性を"1"としてコード化して記録する。「年代」には,年齢を予め1個以上の年代に分割しておき,端末IDに対応付けられた年齢情報が予め分割された年代の中のどの年代に含まれるのかを示す情報を記録する。「興味」には,予め興味の分野をいくつか定めておき,更に,各分野を示すコード番号についても予め定めておき(例:0はスポーツ,1は音楽,3はファッションに興味があることを示す),端末IDに基づいて送信された興味を持つ分野を示す情報が含まれる分野の番号を記録する。」

(5)文献5記載事項
文献5には,次の事項が記載されている(以下「文献5記載事項」という。)。
「 【0026】
広告効果メモリ223は,出力装置1に表示された広告を認識した広告認識者の属性(性別及び年齢層)と,その認識日時と,を格納する。
測定広告効果DB224は,広告効果メモリ223に格納された情報に基づき,測定された広告効果を格納する。」

(6)文献6記載事項
文献6には,次の事項が記載されている(以下「文献6記載事項」という。)。
「 【0014】
認識情報処理部13は,画像認識情報生成部12により生成された顔画像の認識情報である人物の視線方向と人物のエリアにおける座標位置情報に基づき,広告表示装置2の表示部21に表示されている広告コンテンツを視聴している人数を計測することで,表示部21に複数表示されている広告コンテンツの中のある広告コンテンツの広告効果を測定する。」


5 当審の判断
(1)本件発明6について
本件発明6と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の広告コンテンツ連係情報提供装置1400は,コンピュータでありプロセッサが情報処理をすることは明らかであるから,引用発明の「広告コンテンツ連携情報提供装置1400が実行する方法」は,後述する相違点は別にして,本件発明6の「プロセッサが実行する情報処理方法」に相当する。

イ 引用発明の「推定入場駅情報データテーブル300100の改札広告掲出先ID300104,コンコース広告掲出先ID300108,ホーム広告掲出先ID300114は,駅構内情報データベース2301から広告掲出先IDを取得したい場所の駅名で検索し,検索されたレコードをさらに広告掲出場所で検索し,検索されたレコードの広告掲出先IDを取得し」,「推定乗換駅情報データテーブル300200のコンコース広告掲出先ID300209,ホーム広告掲出先ID300215は,駅構内情報データベース2301から広告掲出先IDを取得したい場所の駅名で検索し,検索されたレコードをさらに広告掲出場所で検索し,検索されたレコードの広告掲出先ID230103を取得し」,「推定出場駅情報データテーブル300300の改札広告掲出先ID300304,コンコース広告掲出先ID300308,ホーム広告掲出先ID300313は,駅構内情報データベース2301から広告掲出先IDを取得したい場所の駅名で検索し,検索されたレコードをさらに広告掲出場所で検索し,検索されたレコードの広告掲出先ID230103を取得し」,「推定乗車列車情報データテーブル300400の車内広告掲出先IDは,列車内情報データベース2401から広告掲出先IDを取得したい路線名で検索し,検索されたレコードをさらに方面で検索し,検索されたレコードの広告掲出先ID240103を取得」することについて,「広告掲出先ID」は,鉄道事業者が管理するスペース(改札・コンコース・ホーム等の駅構内および電車内など)に設置された映像モニタ等のIDであって,日時情報と広告掲出先IDで特定される広告が表示されるモニタ等により,広告を特定することのできる情報であって,この「広告掲出先ID」は広告情報それ自体ではなく,広告情報に関連付けられている情報であるという点で,本件発明6の「広告に接する領域を示す広告情報」と,「広告関連情報」で概念を共通にし,引用発明において,広告掲出先IDを取得することは,本件発明6の「広告に接する領域を示す広告情報を取得し」と,「広告を特定する広告関連情報を取得し」で共通する。

ウ 引用発明の「鉄道利用者」,「利用駅」は,それぞれ,本件発明6の「ユーザ」,「施設」に相当し,引用発明の「鉄道利用者がICカード乗車券1101を利用して改札内に入場又は改札内から出場することで,入場駅122302,入場改札122312,入場日時122303,又は,出場駅122304,出場改札122314,出場日時122305が送信される利用データ管理装置1220の入出場記録データベース1223から,ICカード乗車券ID122301をキーとして,入場日時122302と出場日時122305の両方が,処理対象期間に含まれる入出場記録レコードを取得」することは,ICカード乗車券ID122301で特定される鉄道利用者が,入出場を行った利用駅とその駅の入場又は出場に関する情報を取得するものであり,これにより,取得した入出場を行った利用駅とその駅の入場又は出場に関する情報から利用駅により所在地を一義的に特定できるから,本件発明6の「ユーザが所在した施設を示す所在情報を取得し」に相当する。

エ 引用発明の「鉄道利用者の移動経路を推定し,推定された移動経路を元に,鉄道利用者が移動中に接触したと推定される広告コンテンツを特定する処理を行うものであり」,「推定移動経路情報データベース2302の推定入場駅情報データテーブル300100,推定乗換駅情報データテーブル300200,推定出場駅情報データテーブル300300,推定乗車列車情報300400のそれぞれには鉄道利用者が通過もしくは滞在した改札・コンコース・ホームなどに設定された広告コンテンツを表示する映像モニタ等の広告掲出先IDと,鉄道利用者が映像モニタ等の広告掲出先を通過もしくは滞在した日時が含まれており,鉄道利用者は,改札・コンコース・ホームなどを通過もしくは滞在した日時に,そこに設置された映像モニタ等に表示された広告コンテンツを目にしていると考えること」は,推定された移動経路に基づき,推定された移動経路に関する推定移動経路情報データベース2302に含まれる,駅名又は路線名で検索された鉄道利用者が通過もしくは滞在した,すなわちユーザが所在した改札・コンコース・ホームなどに設定された広告コンテンツを表示する映像モニタ等の広告掲出先IDと,鉄道利用者が映像モニタ等の広告掲出先を通過もしくは滞在した日時に基づきそこに設置された映像モニタ等に表示された広告コンテンツを目にしていると考えるとして,鉄道利用者が広告コンテンツに接したことを推定するものである。
そうすると,引用発明の「鉄道利用者の移動経路を推定し,推定された移動経路を元に,鉄道利用者が移動中に接触したと推定される広告コンテンツを特定する処理を行うものであり」,「推定移動経路情報データベース2302の推定入場駅情報データテーブル300100,推定乗換駅情報データテーブル300200,推定出場駅情報データテーブル300300,推定乗車列車情報300400のそれぞれには鉄道利用者が通過もしくは滞在した改札・コンコース・ホームなどに設定された広告コンテンツを表示する映像モニタ等の広告掲出先IDと,鉄道利用者が映像モニタ等の広告掲出先を通過もしくは滞在した日時が含まれており,鉄道利用者は,改札・コンコース・ホームなどを通過もしくは滞在した日時に,そこに設置された映像モニタ等に表示された広告コンテンツを目にしていると考えること」は,位置情報を含まないものの,本件発明6の「前記所在情報,前記位置情報及び前記広告情報に基づいて,前記ユーザが前記広告に接したか判定する情報処理方法」と,「前記所在情報,前記広告関連情報に基づいて,前記ユーザが前記広告に接したか推定する情報処理方法」で共通する。

オ 引用発明の「推定移動経路情報データベース2302の推定入場駅情報データテーブル300100,推定乗換駅情報データテーブル300200,推定出場駅情報データテーブル300300,推定乗車列車情報300400のそれぞれに含まれる広告掲出先IDと同一の広告掲出先IDの広告コンテンツ表示履歴レコードを広告コンテンツ表示履歴データベース1314から抽出し」,「抽出された広告コンテンツ表示履歴レコードが,鉄道利用者が移動中に通過もしくは滞在した改札・コンコース・ホーム等それぞれの場所で接触したと思われる広告コンテンツであるとする」ことは,推定された移動経路に推定移動経路情報データベース2302に,広告関連情報である広告掲出先IDが含まれると,広告コンテンツに接触したと思われると推定ものであることから,本件発明6の「移動経路の少なくとも一部が前記領域に含まれる場合,前記ユーザが前記広告に接したと判定する」と,「移動経路の少なくとも一部に所定の情報が含まれる場合,前記ユーザが前記広告に接したと推定する」で共通する。

カ 一致点・相違点
上記ア?オから,本件発明6と引用発明とは,次の点で一致又は相違する。

<一致点>
プロセッサが実行する情報処理方法であって,
広告を特定する広告関連情報を取得し,
ユーザが所在した施設を示す所在情報を取得し,
前記所在情報,前記広告関連情報に基づいて,前記ユーザが前記広告に接したか推定する情報処理方法であって,
移動経路の少なくとも一部に所定の情報が含まれる場合,前記ユーザが前記広告に接したと推定する
情報処理方法。

<相違点>
(相違点1)
広告関連情報が,本件発明6は「広告に接する領域を示す広告情報」であるのに対し,引用発明は,鉄道事業者が管理するスペース(改札・コンコース・ホーム等の駅構内および電車内など)に設置された映像モニタ等の「広告掲載先ID」である点。

(相違点2)
本件発明6は,「前記ユーザの座標を示す位置情報を取得」するのに対し,引用発明はそのような構成を有していない点。

(相違点3)
本件発明6は,「前記所在情報,前記位置情報及び前記広告情報に基づいて,前記ユーザが前記広告に接したか判定する」のに対し,引用発明は,推定された移動経路に関する推定移動経路情報データベース2302に含まれる,駅名又は路線名で検索された鉄道利用者が通過もしくは滞在した改札・コンコース・ホームなどに設定された広告コンテンツを表示する映像モニタ等の広告掲出先IDに基づいて,鉄道利用者が映像モニタ等の広告掲出先を通過もしくは滞在した日時に基づきそこに設置された映像モニタ等に表示された広告コンテンツを目にしていると考える点。

(相違点4)
本件発明6は,「前記位置情報に基づいて,前記ユーザが所在した2つの施設の間の移動経路を特定」するのに対し,引用発明は,利用データ管理装置1220の入出場記録データベース1223と金銭入出金記録データベース1225から鉄道利用者の鉄道および駅構内の施設・サービス利用情報を取得し,それらの情報を元データとして鉄道利用者の移動経路を推定する点。

(相違点5)
本件発明6は,「前記移動経路の少なくとも一部が前記領域に含まれる場合,前記ユーザが前記広告に接したと判定する」のに対し,引用発明は,推定された移動経路に推定移動経路情報データベース2302に含まれる広告掲出先IDに基づき広告コンテンツに接触したとする点。

(2)判断
ア 相違点4,5について
事案に鑑み,相違点4及び5から検討をする。
文献2には,上記文献2記載事項のとおり,個人端末毎の位置情報を取得し,広告対象エリア120内に進入してから退出するまで軌跡Pに示される移動及び「×」で示した点において位置登録がされた場合,当該位置登録のうち,T1地点における位置登録の時刻からT2地点における位置登録の時刻までの間,当該端末利用者は広告対象エリア内に滞在したと判定するものであって,本件発明6の「前記位置情報に基づいて,前記ユーザが所在した2つの施設の間の移動経路を特定」し,「前記移動経路の少なくとも一部が前記領域に含まれる場合,前記ユーザが前記広告に接したと判定する」ことは,記載も示唆もされていない。
また,文献3には,上記文献3記載事項のとおり,最初に携帯端末10が位置情報と時間情報を取得した後,一定時間おきに複数の回数(5秒おきに3回等)で,位置情報と時間情報を取得することで,「移動速度」を把握し,移動速度情報がわかれば,位置情報を取得した際の状況(車・列車で移動中)や,道路・路線の特定が可能になり,利用者が見た広告を,ある程度は特定/推定することを可能とするものであって,本件発明6の「前記位置情報に基づいて,前記ユーザが所在した2つの施設の間の移動経路を特定」し,「前記移動経路の少なくとも一部が前記領域に含まれる場合,前記ユーザが前記広告に接したと判定する」ことは,記載も示唆もされていない。
文献4?6には,本件発明6の「前記位置情報に基づいて,前記ユーザが所在した2つの施設の間の移動経路を特定」し,「前記移動経路の少なくとも一部が前記領域に含まれる場合,前記ユーザが前記広告に接したと判定する」ことは,記載も示唆もされておらず,本願出願当時の技術常識でもない。
また,文献1は,「【0011】本発明によれば,鉄道利用者がICカード改札機を通った記録(入出場記録)および駅構内の売店などのICカード精算機で金銭の入出金を行った記録(商品購入記録,金銭チャージ記録,合わせて金銭入出金記録と呼ぶ。)を使用することで,鉄道事業者が管理するスペース(改札・コンコース・ホーム等の駅構内および電車内など)において,鉄道利用者(すなわち視聴者)が当該スペースで視聴した可能性のある広告などのコンテンツを推定することができるので,当該コンテンツに関連する情報を効率よく提供することができる。」とするものであって,ICカードの利用履歴から,改札機の入出場情報から,鉄道利用者の移動経路を推定することで,改札・コンコース・ホームなどに設置された映像モニタ等の広告コンテンツを視聴したと「考えることができる」とし,改札機の入場に基づき出場が特定されると,その間の鉄道利用者の移動経路の推定が容易であるとする,鉄道事業者が管理するスペース(改札・コンコース・ホーム等の駅構内および電車内など)における広告の視聴の推定に特有のものである。このため,推定した移動経路に関する情報として,推定される入場駅,推定される乗換駅,推定される出場駅及び推定される乗車列車(路線名)が特定されれば,その駅名及び路線名に基づき,鉄道利用者が視聴したであろう広告を推定することができるとするものである。
このため,文献1において,位置情報に基づいて,ユーザが所在した2つの施設の間の移動経路を特定しようとする動機はなく,むしろ,移動経路を特定するために位置情報を用いることには阻害要因がある。
そして,本件発明6は,当該相違点4及び5の構成とすることで,「より正確にユーザが広告に接したかを判定することができる。」(本件明細書【0008】参照)という特有の効果を奏するものである。
よって,相違点4及び5の構成とすることは,当業者が容易に想到することができたものではない。

イ 相違点1,2について
上記アのとおり,推定した移動経路に関する情報として,推定される入場駅,推定される乗換駅,推定される出場駅及び推定される乗車列車(路線名)が特定されれば,その駅名及び路線名に基づき,鉄道利用者が視聴したであろう広告を推定することができるとするものであるから,引用発明において,広告に関する情報を「広告に接する領域を示す広告情報」にしようとする動機はなく(相違点1の判断),位置情報に基づいて,ユーザが所在した2つの施設の間の移動経路を特定しようとする動機はなく,むしろ,移動経路を特定するために位置情報を用いることには阻害要因があるから,位置情報を取得する構成にする動機はない(相違点2の判断)。
よって,相違点1,2の構成とすることは,当業者が容易に想到することができたものではない。

ウ 相違点3について
相違点3は,実質的に相違点4及び5の上位概念の相違点であり,上記アのとおりであるから,当業者が容易に想到することができたものではない。

エ 小括
したがって,本件発明6は,当業者であっても引用発明及び文献2?6記載事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(3)本件発明1?5,7について
本件発明1,7について,本件発明1は,本件発明6に対応するプログラムの発明であり,本件発明7は,本件発明6に対応する情報処理装置の発明であり,本件発明1及び7は「前記位置情報に基づいて,前記ユーザが所在した2つの施設の間の移動経路を特定」し,「前記移動経路の少なくとも一部が前記領域に含まれる場合,前記ユーザが前記広告に接したと判定する」に対応する構成を備えるものであるから,本件発明6と同様の理由により,当業者であっても,引用発明及び文献2?6記載事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
また,本件発明2?5は,本件発明1の「前記位置情報に基づいて,前記ユーザが所在した2つの施設の間の移動経路を特定」し,「前記移動経路の少なくとも一部が前記領域に含まれる場合,前記ユーザが前記広告に接したと判定する」に関する構成と同一の構成を備えるものであるから,本件発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び文献2?6記載事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

6 むすび
本件発明1?7に係る特許は,特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。
また,他に本件発明1?7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。

 
異議決定日 2020-06-30 
出願番号 特願2018-1886(P2018-1886)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G06Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 永野 一郎宮地 匡人  
特許庁審判長 佐藤 聡史
特許庁審判官 速水 雄太
松田 直也
登録日 2019-09-27 
登録番号 特許第6591571号(P6591571)
権利者 デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社
発明の名称 プログラム、情報処理方法及び情報処理装置  
代理人 井上 正  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 峰 隆司  
代理人 野河 信久  
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