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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D
管理番号 1364662
審判番号 不服2019-9194  
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-07-09 
確定日 2020-07-27 
事件の表示 特願2015- 93193「包装箱及びブランクシート」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月15日出願公開、特開2016-210428〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、平成27年4月30日を出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 2月 7日付け:拒絶理由通知書
平成30年 4月16日 :意見書及び手続補正書の提出
平成30年 8月29日付け:拒絶理由通知書
平成30年11月 2日 :意見書及び手続補正書の提出
平成31年 4月 5日付け:拒絶査定
令和 1年 7月 9日 :審判請求書の提出、同時に手続補正書の提

令和 1年 7月23日 :手続補正書(方式)の提出
令和 2年 1月22日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 3月24日 :意見書及び手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項7に係る発明(以下「本願発明」という)は、令和2年3月24日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項7に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項7】
一対の互いに対向する第1側壁と、前記一対の第1側壁の上端からスコアを介して伸びる一対の第1天板と、前記一対の第1側壁と異なる方向に互いに対向する一対の第2側壁と、前記一対の第2側壁の上端からスコアを介して伸びる一対の第2天板とを有する包装箱用ブランクシートであって、
前記第1側壁に、前記スコア上の始端から、前記スコア上でかつ前記始端から離間して位置する終端まで延在する第1切り込み線と、前記第1天板に、前記始端および終端のそれぞれからスコアを越えて第1天板に伸びる第2切り込み線とによって輪郭が画定される把持用ピースを、備え、
前記一対の第1天板と前記一対の第2天板とを前記包装箱から全て取り除くことができるように、前記一対の第1側壁と前記一対の第1天板との境界における前記把持用ピースを除いた部分の全部及び、前記一対の第2側壁と前記一対の第2天板との境界の全部に、破断用の切り込み線が形成されており、
前記包装箱を構成する壁や板は、前記第1側壁のうち前記第1切り込み線が形成されている部分とオーバーラップしないような位置に配置されるように構成されていることを特徴とするブランクシート。」

第3 当審が通知した令和2年1月22日付け拒絶理由
当審が通知した令和2年1月22日付け拒絶理由の概要は以下のとおりである。

1.本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
2.本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由1(明確性)
(1)請求項1の「前記包装箱を構成する壁や板は、前記第1側壁のうち前記第1切り込み線および/または前記第2切り込み線が形成されている部分とオーバーラップしないような位置に配置されるように構成されている」の記載は、「前記第1側壁のうち前記第1切り込み線および/または前記第2切り込み線が形成されている部分」がどの部分を特定しているのかが明確でなく、上記記載がどのような構成を特定しているのかが不明確となっている。
よって、請求項1及び請求項1を引用する請求項2?6に係る発明は不明確である。
同様に、請求項7及び請求項7を引用する請求項8?10に係る発明は不明確である。

(2)請求項3の「前記第1側壁上の把持用ピースの前記第2天板の対向方向における長さである幅は、前記粘着テープの同方向における
長さである幅とほぼ同じである」の記載は、「ほぼ同じ」とはどの程度の範囲まで許容されるのかが不明であって、発明を明確に特定できない。
よって、請求項3及び請求項3を引用する請求項4?6に係る発明は不明確である。

●理由2(進歩性)
請求項1?10に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、又は、引用文献1に記載された発明及び引用文献3に記載された事項に基いて、当業者であれば容易に想到し得たものである。

<引用文献等一覧>
1.米国特許第3302857号明細書
2.米国特許第5957294号明細書
3.米国特許第6189780号明細書

第4 当審が通知した令和2年1月22日付け拒絶理由についての判断

1 理由2(進歩性)について
(1)引用文献の記載事項
ア 引用文献1の記載事項及び引用発明
当審の拒絶の理由に引用した引用文献1、すなわち、米国特許第3302857号明細書には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は理解の便宜のために当審が付したものである。引用文献の摘記においては以下同様。)

(ア)「As is noted in FIGURE 4 of the drawings, the container A includes a side wall panel 10, an end wall panel 11, a side wall panel 12, and an end wall panel 13 which are connected along parallel fold lines 14, 15, and 16. A stitch flap or glue flap 17 is connected to an edge of the blank by a fold line 19. The flap 17 is shown connected to an edge of the sidewall panel 10 and is designed to be stitched or glued in overlapping relation with an edge of the end wall 13.
Bottom closure flaps 20, 21, 22, and 23 are foldably connected to the lower edges of the panels 10, 11, 12, and 13 along a fold line 24. Top closure flaps 25, 26, 27 and 29 are foldably connected to the upper edges of the panels 10, 11, 12, and 13 along a fold line 30. A weakened line of separation 31 is provided in spaced relation to the end edges 32 and 33 of the side wall closure flaps 25 and 27, the distance between the weakened lines 31 and the end edges of the flaps being at least equal to one half the width of the tape which will be used to close the container. The weakened lines 31 may extend also across the end wall closure flaps 26 and 29 if the weakened line is formed as a part of the corrugating operation. In the particular form illustrated, the corrugated board includes an inner liner 34, an outer liner 35, and a corrugated medium 36 between the liners, and the weakened lines are formed by slitting the inner liner 34. However, the weakened lines may be formed by perforating the corrugated board if this is desired.
The container end walls 11 and 13 are provided with removable areas 39 which will underlie the tape when the tape is applied thereto. A pair of perforated lines 40 and 41 are provided at generally right angular relation to the fold line 30 and intersect this fold line to extend slightly into the closure flaps 26 and 29. The upper ends of the perforated lines 40 and 41 are connected by a transverse weakened line 42. V-shaped cut lines including outwardly diverging portions 43 and 44 and inwardly converging cut lines 45 and 46 are provided in the end walls 11 and 13 with the diverging cut lines 43 and 44 communicating with the lower ends of the weakened lines 40 and 41. Transverse cut lines 47 extend between the V-shaped cut lines extending from the juncture of the cut lines 43 and 45 to the juncture of the cut lines 44 and 46. A fold line 49 extends between the lower ends of the V-shaped cut lines described.
The area defined by the cut lines 45, 46, 47, and the fold line 49 thus forms a trapezoidal tab or flap which may be forced inwardly slightly to permit the insertion of the fingers inwardly of the removable area of the end walls above the cut line 47.
After the container A has been filled, the end wall closure flaps 26 and 29 are folded down into a common plane, and the side wall closure flaps 25 and 27 are folded to overlie the flaps 26 and 29. A strip of tape 50 is then applied over the abutting edges of the flaps 25 and 27, the ends such as 51 of the tape extending down over the end walls 11 and 13 and adhered to there movable areas 37 and 39 of these end walls. The container and contents are shipped to its destination in this form.
When it is desired to open the container, the trapezoidal flap 52 of one end wall is pressed inwardly and the lower end of the removable area 37 or 39 is grasped. By pulling outwardly, the removable area is removed together with the end portion 51 of the tape strip which is attached thereto. By pulling the tape upwardly as indicated in FIGURE 1 of the drawings, the end portions of the closure flaps 25 and 27 are detached along the weakened lines 31, freeing these flaps. By continuing the pull, the removable area of the other end wall may also be removed.」

(第2欄第15行?第3欄第13行、当審仮訳:図4で言及されるように、包装箱Aは平行な折り線14、15、および16で接続される、側壁パネル10、端壁パネル11、側壁パネル12、および端壁パネル13を含む。縫合フラップ又は接着フラップ17は折り線19でブランクの縁部に接続されている。フラップ17は側壁パネル10の縁部に接続されていることが示されており、端壁パネル13の縁部に重ねられて縫合又は接着されるよう設計されている。
底部閉鎖フラップ20、21、22、および23は、折り線24に沿って折り畳み可能にパネル10、11、12及び13の下端縁に接続されている。頂部閉鎖フラップ25、26、27、および29は、折り線30に沿って折り畳み可能にパネル10、11、12及び13の上端縁に接続されている。分離用の弱め線31は側壁閉鎖フラップ25と27に、その端縁32と33から間隔を空けて配置され、弱め線31とフラップの端縁との距離は少なくとも包装箱を閉じるために使用されるテープの幅の二分の一と同じになっている。もし弱め線が波形付け操作の一部として形成されるならば、弱め線31は端壁閉鎖フラップ26と29を横切って延在してもよい。示されている特定の形態では、内側ライナー34、外側ライナー35、ライナーの間にある中芯を含み、弱め線は内側ライナー34を切ることによって形成される。しかし、弱め線は、望まれれば、段ボールにミシン目を入れることにより形成されてもよい。
包装箱の端壁11と13には、そこにテープが貼られるときにテープの下に位置する取り外し可能な区域39が設けられている。一対のミシン目線40と41は折り線30に対しておおむね直角に配置され、この折り線を横切って閉鎖フラップ26と29にわずかに延在している。ミシン目線40と41の上端は横方向の弱め線42によりつながっている。外向きに広がっている部分43と44、内向きに近づいている部分45と46を含むV字形の切断線が端壁11と13に配置されており、外向きに広がっている部分43と44が弱め線40と41の下端とつながっている。横方向の切断線47が、切断線43と45の接合点から切断線44と46の接合点にかけてV字形の切断線の間に伸びている。折り線49がV字形の切断線の下端の間に伸びている。
切断線45、46、47と折り線49で境界が定められた区域はこうして台形タブ又はフラップを形成し、切断線47の上方の端壁の取り外し可能な区域の内側への指の挿入を可能にするためにわずかに内側に強制される。
包装箱Aが満たされた後に、端壁閉鎖フラップ26と29は下方に折り畳まれて共通の平面を形成し、側壁閉鎖フラップ25と27は折り畳まれてフラップ26と29の上に置かれる。そして、テープ50の一片がフラップ25と27の接している縁部の上に貼られ、テープの端51は端壁11と13まで伸びて、それらの端壁の取り外し可能な区域37と39に接着される。包装箱とその中身はこの形態で目的地に出荷される。
包装箱を開けるときには、端壁の台形フラップ52が内側に押圧されて、取り外し可能な区域37または39の下端が手でつかまれる。外側に引っ張ることによって、取り外し可能な区域はそこに貼着されているテープの端部51と共に取り除かれる。図1に示されているように、テープを上方に引っ張ることによって、閉鎖フラップ25と27の端部は弱め線31に沿って切り離され、それらのフラップを解放する。引っ張ることを続けることによって、もう一方の端壁の取り外し可能な区域も取り除くことができる。)

(イ)「

」(FIG.1)

(ウ)「

」(FIG.4)

(エ)引用文献1のFIG.1、FIG.4から、「フラップ17」は「端壁パネル13」の「一対のミシン目線40と41」、「外向きに広がっている部分43と44」、及び、「横方向の切断線47」が形成されている部分とオーバーラップすることはなく、他の「パネル」や「フラップ」も、当該部分とオーバーラップしていないことが看取できる。

(オ)上記(ア)?(エ)の事項をまとめると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
[引用発明]
「平行な折り線14、15、および16で接続される、側壁パネル10、端壁パネル11、側壁パネル12、および端壁パネル13を含み、フラップ17が側壁パネル10の縁部に接続されていて、端壁パネル13の縁部に重ねられて縫合又は接着されるよう設計され、底部閉鎖フラップ20、21、22、および23が、折り線24に沿って折り畳み可能にパネル10、11、12及び13の下端縁に接続されており、頂部閉鎖フラップ25、26、27、および29が、折り線30に沿って折り畳み可能にパネル10、11、12及び13の上端縁に接続されている段ボールからなる包装箱用のブランクであって、
一対のミシン目線40と41が折り線30に対しておおむね直角に配置され、この折り線30を横切って頂部閉鎖フラップ26と29にわずかに延在しており、ミシン目線40と41の上端は横方向の弱め線42によりつながっていて、外向きに広がっている部分43と44、内向きに近づいている部分45と46を含むV字形の切断線が端壁11と13に配置されており、外向きに広がっている部分43と44がミシン目線40と41の下端とつながっていて、横方向の切断線47が、切断線43と45の接合点から切断線44と46の接合点にかけてV字形の切断線の間に伸びていて、折り線49がV字形の切断線の下端の間に伸びていて、それらにより取り外し可能な区域37または39が設けられており、包装箱を開けるときには、端壁の台形フラップ52が内側に押圧されて、取り外し可能な区域37または39の下端が手でつかまれるものであって、
フラップ25と27の接している縁部の上に貼られるテープを上方に引っ張ることによって閉鎖フラップ25と27の端部が切り離され、それらのフラップを解放することができるように、分離用の弱め線31が側壁閉鎖フラップ25と27に、その端縁32と33から間隔を空けて配置され、
包装箱を構成するパネルやフラップは、端壁パネル13の一対のミシン目線40と41、外向きに広がっている部分43と44、及び、横方向の切断線47が形成されている部分とオーバーラップしていない包装箱用のブランク。」

イ 引用文献2の記載事項
当審の拒絶の理由に引用した引用文献2、すなわち、米国特許5957294号明細書には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「Reference is now made to a preferred embodiment of the invention illustrated in FIGS. 1, 1A, 2, and 3 showing a shipping/display container assembly 10 in its fully assembled/closed state. The container 10 has multiple side panels 12 integrally attached to one another as shown, and which includes a first side panel 14, a second side panel 16, a third side panel 18, and a fourth side panel 20. Each of the multiple side panels 12 has a top edge 22, a bottom edge 24, and an inner face 26 facing the interior of the container 10. The container side panels are attached to one another at corners 28a, 28b, 28c and 28d, the third and fourth side panels 18 and 20 being secured together with a glue tab 30 using an adhesive such as glue as known in the art.
A removable display panel 32 is formed in the first side panel 14. It has an upper edge 34 defined by at least a portion of the top edge 22 of the first wall panel 14, and is further defined at its bottom and side ends by a separation line 36 extending from opposite sides 23a, 23b of the top edge 22 of the first side panel 14, to divide the first side panel 14 into two sections--the display panel 32, and the remainder 38.
The separation line 36 is curved to form the display panel 32 having the desired shape and size. The separation line 36 forms a line of relative weakness in the container 10 allowing easy tearing or separation of the various sections. The separation line 36 preferably comprises a series of perforations 40 or cuts through the panel 14, with uncut lengths between each perforation. Perforations of about one-half inch in length, with uncut lengths in between the perforation of about three-sixteenths of an inch are preferable. The perforations can be curved as shown. Any suitably dimensioned perforation may be used, as well as any suitable type of separation line. A hand opening 42 is provided for easy grasping and removal of the display panel 32 as further described below.
A container top 44 includes a first top flap 46, a second top panel 48, a third top flap 50 and a fourth top flap 52, each being integrally attached to the upper edge 22 of respective side panels 14, 16, 18 and 20.
A removable top section 54 allows access through the top of the container 10 as seen in FIG. 2. The removable top 54 includes at least a portion of the first top flap 46 and is integrally attached to the upper edge 34 of the display panel 32. In the present embodiment, the removable top section 54 includes the entire first top flap 46 and further includes the second, third and fourth top flaps, 48, 50 and 52. (See FIG. 2). A second separation line 56 is positioned between each of the second, third, and fourth top flaps 48, 50, 52 and the side panels 16, 18 and 20 to which they are attached. The top flaps 48, 50, 52 are separable from the container 10 along the separation line 56. It is seen that the second separation line 56 extends around the top edges 22 of the second, third and fourth side panels 16, 18, 20 and has end portions 76a, 76b joining the first separation line 36. The separation line 36 preferably comprises a series of perforations as previously described above.
When the container assembly 10 is in its fully assembled and closed state as shown in FIG. 1, the first, second, third, and fourth flaps 46, 48, 50, 52 have been folded and glued to one another as known in the art to form a closed container top 58 as seen in FIG. 1. As seen in FIG. 2, the display panel 32 and the closed container top 58, integrally connected along the upper edge 34 of the display panel 32, is separable from the container 10 as a single unit 60 along the first and second separation lines 36, 56. To accomplish this, the display panel 32 is grasped at the opening 42 and pulled upward away from the container 10, tearing the container along the first separation line 36. The container top 58 is then pulled back to tear the container along the second separation line 56.」

(第3欄第22行?第4欄第26行、当審仮訳:ここで、完全に組み立てられた/閉じられた状態の出荷/陳列用容器組立体10を示す、図1、図1A、図2および図3に示される本発明の好ましい実施形態を参照する。容器10は、図示のように、第1のサイドパネル14、第2のサイドパネル16、第3のサイドパネル18、及び第4のサイドパネル20を含む互いに一体的に取り付けられた複数のサイドパネル12を有している。複数のサイドパネル12の各々は、上縁22、下縁24、および容器10の内部に面した内面26を有している。容器のサイドパネルは、角部28a、28b、28c及び28dで互いに連結され、第3及び第4のサイドパネル18及び20は、当技術分野で公知の糊などの接着剤を用いて、接着タブ30と一緒に固定されている。
第1のサイドパネル14には、取り外し可能な表示パネル32が形成されている。それは、第1の壁パネル14の上縁22の少なくとも一部によって画定される上方縁34を有し、第1のサイドパネル14の上縁22の、対向する側部23a、23bから延びる分離線36によって、第1のサイドパネル14を表示パネル32と残り38との2つのセクションに分割する。
分離線36は、所望の形状および大きさの表示パネル32を形成するために湾曲している。分離線36は、容器10内に相対的に脆弱な線を形成し、種々の部分の容易な引裂きまたは分離を可能にする。分離線36は、好ましくは、パネル14を貫通する一連のミシン目40または切断部を含み、各ミシン目の間は切断されない長さを有する。ミシン目の長さは約1/2インチであり、ミシン目の間の切断されない長さは約3/16インチが好ましい。ミシン目は、図示のように湾曲することができる。任意の適切な寸法のミシン目、ならびに任意の適切なタイプの分離線を使用することができる。以下にさらに説明するように、表示パネル32の把持および取り外しを容易にするために開口部42が設けられる。
容器の上部44は、第1の上部フラップ46、第2の上部パネル48、第3の上部フラップ50および第4の上部フラップ52を備え、各々は、それぞれのサイドパネル14、16、18及び20の上縁22に一体的に取り付けられている。
第2の分離線56は、第2、第3及び第4の上部フラップ48、50、552と、それらが取り付けられるサイドパネル16、18及び20との間に配置される。上部フラップ48、50、52は分離線56に沿って容器10から分離可能である。第2の分離線56は、第2、第3および第4のサイドパネル16、18、20の上縁22の周囲に延び、第1の分離線36を接合する端部76a、76bを有することがわかる。分離線36は、上述したような一連のミシン目を含むことが好ましい。
取り外し可能な上部54は、図2に見られるように、容器10の上部を通るアクセスを可能にする。取り外し可能な上部54は、第1の上部フラップ46の少なくとも一部を含み、表示パネル32の上縁部34に一体的に取り付けられる。本実施形態では、取り外し可能な上部54は、第1の上部フラップ46全体を含み、さらに、第2、第3及び第4の上部フラップ48、50及び52を含む(図2を参照のこと)。容器アセンブリ10が図1に示されるように完全に組み立てられて閉じられた状態にあるとき、図1に見られるように、第1、第2、第3及び第4のフラップ46、48、50及び52が折り畳まれ、互いに接着されて、閉じられた容器の上部58を形成する。図2に示すように、表示パネル32と閉じられた容器の上部58とは、表示パネル32の上方縁34に沿って一体に接続され、第1および第2分離線36、56に沿って単一のユニット60として容器10から分離可能である。これを達成するために、表示パネル32は、開口部42で把持され、容器10から離れるように引き上げられ、第1の分離線36に沿って容器を引き裂く。次いで、容器の上部58は引き上げられ、第2の分離線56に沿って容器が引き裂かれる。)

(イ)「Illustrated in FIG. 5 is a blank 80 for forming the container assembly 10 having the knock-down state 70 as shown in FIG. 4 and the fully assembled state as shown in FIG. 1. The blank 80 is a die-cut unitary piece of corrugated paperboard having integrally attached first, second, third and fourth side panels 14, 16, 18 and 20 and first, second, third and fourth top flaps 46, 48, 50 and 52 integrally attached to respective side panels as shown. The side panels 14, 16, 18 and 20 are separated by fold lines 82. Bottom flaps 59a, 59b, 59c and 59d are integrally attached to respective side wall panels as shown and separated therefrom by fold lines 82.
The first separation line 36 comprising perforations as shown is formed into the first side panel 14. The second separation line 56 is formed along the second, third and fourth side panels 16, 18 and 20 as shown. The hand opening 42 is cut into the blank 80.
The insert panel 62 (as seen in FIG. 3) is formed separately from a piece of corrugated paperboard and secured to the inner face 26 of the first side panel 14. It is seen that in the present embodiment, the insert panel 62 is substantially the same width (W) and height (H) as the first side panel 14 to which it is secured, although slightly less in dimension to fit in the inside of the assembled container 10.」

(第5欄第50行?第6欄第5行、当審仮訳:図5に示すのは、図1に示すノックダウン状態70と、図4に示す完全組立状態とを有する容器組立体10を形成するためのブランク80である。ブランク80は、図示のように、それぞれ側部パネルに一体に取り付けられた第1、第2、第3及び第4のサイドパネル14、16、18及び20と第1、第2、第3及び第4の上部フラップ46、48、50及び52とを一体に取り付けた段ボールの打ち抜き単一片である。サイドパネル14、16、18及び20は、折り畳み線82によって区切られている。底部フラップ59a、59b、59c及び59dは、図示のようにそれぞれのサイドパネルに一体的に取り付けられ、折り畳み線82によって区切られている。
図示のようなミシン目を含む第1の分離線36は、第1のサイドパネル14形成される。第2の分離線56は、図示のように、第2、第3及び第4のサイドパネル16、18及び20に沿って形成される。開口部42はブランク80に切り込まれている。
インサートパネル62は(図3にみられるように)、段ボールピースとは別個に形成され、第1のサイドパネル14の内面26に固定される。本実施形態では、インサートパネル62の寸法は、組み立てられた容器10の内部の寸法よりわずかに小さいが、第1サイドパネル14と実質的に同じ幅(W)と高さ(H)である。)

(ウ)「

」(Fig.1)

(エ)「

」(Fig.2)

(オ)「



」(Fig.5)

(カ)引用文献2のFig.1、Fig.4、FIG.5から、「サイドパネル14」と「上部フラップ46」との境界には、「分離線36」が、「表示パネル32」を除いた部分の全部に形成され、「サイドパネル18」と「上部フラップ50」との境界の全部、「サイドパネル16」と「上部フラップ48」との境界の全部、「サイドパネル20」と「上部フラップ52」との境界の全部に「分離線56」が形成されていることが看取できる。

(キ)上記(ア)?(カ)の事項をまとめると、引用文献2には、以下の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。
[引用文献2記載事項]
「サイドパネル14とサイドパネル18、それらの上端から伸びる上部フラップ46と上部フラップ50、サイドパネル14及びサイドパネル18と異なる方向に互いに対向するサイドパネル16とサイドパネル20、それらの上端から伸びる上部フラップ48と上部フラップ52、を有する包装箱10のブランク80において、上部フラップ46と上部フラップ50と上部フラップ48と上部フラップ52とを包装箱10から全て取り除くことができるように、サイドパネル14と上部フラップ46との境界における表示パネル32を除いた部分の全部、サイドパネル18と上部フラップ50との境界の全部、サイドパネル16と上部フラップ48との境界の全部、サイドパネル20と上部フラップ52との境界の全部に分離線を形成する技術。」

(2)対比
本願発明と引用発明とを対比する。

引用発明の「端壁パネル11」と「端壁パネル13」は本願発明の「第1側壁」に相当し、同様に、「頂部閉鎖フラップ26」と「頂部閉鎖フラップ29」は「第1天板」に相当し、「側壁パネル10」と「側壁パネル12」は「第2側壁」に相当し、「頂部閉鎖フラップ25」と「頂部閉鎖フラップ27」は「第2天板」に相当する。

また、引用発明の「折り線30」と本願発明の「スコア」とは、折り線という限りにおいて一致する。

また、引用発明の「平行な折り線14、15、および16で接続される、側壁パネル10、端壁パネル11、側壁パネル12、および端壁パネル13を含み、フラップ17が側壁パネル10の縁部に接続されていて、端壁パネル13の縁部に重ねられて縫合又は接着されるよう設計され、底部閉鎖フラップ20、21、22、および23が、折り線24に沿って折り畳み可能にパネル10、11、12及び13の下端縁に接続されており、頂部閉鎖フラップ25、26、27、および29が、折り線30に沿って折り畳み可能にパネル10、11、12及び13の上端縁に接続されている」という態様は、「端壁パネル11」と「端壁パネル13」とが互いに対向しており、「端壁パネル11」と「端壁パネル13」の上端から「折り線30」を介して「頂部閉鎖フラップ26」と「頂部閉鎖フラップ29」が伸びており、「端壁パネル11」と「端壁パネル13」とは異なる方向に「側壁パネル10」と「側壁パネル12」が互いに対向しており、「側壁パネル10」と「側壁パネル12」の上端から「折り線30」を介して「頂部閉鎖フラップ25」と「頂部閉鎖フラップ27」が伸びている態様であるから、本願発明の「一対の互いに対向する第1側壁と、前記一対の第1側壁の上端からスコアを介して伸びる一対の第1天板と、前記一対の第1側壁と異なる方向に互いに対向する一対の第2側壁と、前記一対の第2側壁の上端からスコアを介して伸びる一対の第2天板とを有する」という態様と、一対の互いに対向する第1側壁と、前記一対の第1側壁の上端から折り線を介して伸びる一対の第1天板と、前記一対の第1側壁と異なる方向に互いに対向する一対の第2側壁と、前記一対の第2側壁の上端から折り線を介して伸びる一対の第2天板とを有するという限りにおいて一致する。

また、引用発明の「一対のミシン目線40と41」の、「折り線30を横切って頂部閉鎖フラップ26と29に」「延在して」いない部分、「外向きに広がっている部分43と44」、及び、「横方向の切断線47」で構成される線は、本願発明の「第1切り込み線」に相当し、引用発明の「一対のミシン目線40と41」の、「折り線30を横切って頂部閉鎖フラップ26と29に」「延在して」いる部分、及び、「横方向の弱め線42」は、本願発明の「第2切り込み線」に相当する。

また、引用発明の「取り外し可能な区域37または39」は、「横方向の弱め線42」、「一対のミシン目線40と41」、「外向きに広がっている部分43と44」、及び、「横方向の切断線47」によって輪郭が画定されており、その下端が手でつかまれるものであるから、本願発明の「把持用ピース」に相当する。

また、引用発明の「包装箱を構成するパネルやフラップは、端壁パネル13の一対のミシン目線40と41、外向きに広がっている部分43と44、及び、横方向の切断線47が形成されている部分とオーバーラップしていない」態様は、本願発明の「前記包装箱を構成する壁や板は、前記第1側壁のうち前記第1切り込み線が形成されている部分とオーバーラップしないような位置に配置されるように構成されている」態様に相当する。

また、引用発明の「包装箱用のブランク」は、本願発明の「包装箱用ブランクシート」に相当する。

以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

[一致点]
「一対の互いに対向する第1側壁と、前記一対の第1側壁の上端から折り線を介して伸びる一対の第1天板と、前記一対の第1側壁と異なる方向に互いに対向する一対の第2側壁と、前記一対の第2側壁の上端から折り線を介して伸びる一対の第2天板とを有する包装箱用ブランクシートであって、
前記第1側壁に、前記折り線上の始端から、前記折り線上でかつ前記始端から離間して位置する終端まで延在する第1切り込み線と、前記第1天板に、前記始端および終端のそれぞれから折り線を越えて第1天板に伸びる第2切り込み線とによって輪郭が画定される把持用ピースを、備え、
前記包装箱を構成する壁や板は、前記第1側壁のうち前記第1切り込み線が形成されている部分とオーバーラップしないような位置に配置されるように構成されているブランクシート。」

[相違点1]
本願発明は「第1側壁」と「第1天板」との境界の折り線及び「第2側壁」と「第2天板」との境界の折り線をスコアで形成しているのに対して、引用発明の「折り線」がスコアか否か不明である点。

[相違点2]
本願発明は、「前記一対の第1天板と前記一対の第2天板とを前記包装箱から全て取り除くことができるように、前記一対の第1側壁と前記一対の第1天板との境界における前記把持用ピースを除いた部分の全部及び、前記一対の第2側壁と前記一対の第2天板との境界の全部に、破断用の切り込み線が形成されて」いるのに対して、引用発明は、「フラップ25と27の接している縁部の上に貼られるテープを上方に引っ張ることによって閉鎖フラップ25と27の端部が切り離され、それらのフラップを解放することができるように、分離用の弱め線31が側壁閉鎖フラップ25と27に、その端縁32と33から間隔を空けて配置されている」ものの、「端壁パネル11」、「端壁パネル13」と「頂部閉鎖フラップ26」、「頂部閉鎖フラップ29」との境界における「取り外し可能な区域37」、「取り外し可能な区域39」を除いた部分の全部及び、「側壁パネル10」、「側壁パネル12」と「頂部閉鎖フラップ25」、「頂部閉鎖フラップ27」との境界の全部には、「分離用の弱め線31」が形成されていない点。

(3)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
スコアとは段ボールの段(フルート)に直角に入れたけい線のことであるから、本願発明において第1側壁と第1天板との境界の折り線及び第2側壁と第2天板との境界の折り線をスコアで形成しているということは、本願発明1の包装箱用のブランクは段ボールからなり、段(フルート)の方向が包装箱の高さ方向であることを意味していると理解できる。
一方、引用発明の包装箱用のブランクは段ボールからなるものであるが、その段(フルート)の方向は不明である。しかし、段ボール箱の高さ方向の耐荷重を高くするため段(フルート)の方向を高さ方向とすることは慣用的に行われていることである。
よって、引用発明において、段ボールの段(フルート)の方向を高さ方向として本願発明の上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について
引用発明と引用文献2記載事項とは、いずれも、包装箱から内容物を取り出すための破断用の切り込み線が形成されたブランクであるという点で共通するものであるから、引用発明において、閉鎖フラップ25と27に配置される分離用の弱め線31によりフラップを解放する構成に代えて、さらに取り出し性を向上すべく、引用文献2記載事項の、サイドパネル14と上部フラップ46との境界における表示パネル32を除いた部分の全部、サイドパネル18と上部フラップ50との境界の全部、サイドパネル16と上部フラップ48との境界の全部、サイドパネル20と上部フラップ52との境界の全部に分離線を形成することで、上部フラップ46と上部フラップ50と上部フラップ48と上部フラップ52とを包装箱10から全て取り除くことができるようにする構成を採用することで、本願発明の上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2記載事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

なお、出願人は令和2年3月24日提出の意見書において、引用文献2に記載のcontainer 10において、first separation line 36とオーバーラップするようにinsert panel 62が配置されている目的とは、審判官殿も述べられている通り、firstseparation line 36が形成されているfirst side panel 14を補強することであり、当該目的を達成するための構成については引用文献2および3に記載の発明にとって不可欠な構成であり、(α)side panel 14にfirst separation line 36が設けられている構成と、(β)first separation line 36とオーバーラップするようにinsertpanel 62が配置されている構成の2つの構成は一体不可分であって、これらの構成のうち1つの構成だけを抜き出して、引用文献1に記載の発明に適用することはできない旨主張している。
しかしながら、上記(1)イ(イ)に摘記したように、insert panel 62はcontainer 10(容器10)とは別個に形成されるものであり、blank 80(ブランク80)を構成する要素ではないから、上記出願人の主張は採用できない。

(4)むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第5 まとめ
以上のとおり、本願の請求項7に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-05-13 
結審通知日 2020-05-19 
審決日 2020-06-03 
出願番号 特願2015-93193(P2015-93193)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長谷川 一郎  
特許庁審判長 石井 孝明
特許庁審判官 高山 芳之
中村 一雄
発明の名称 包装箱及びブランクシート  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  

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