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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1364744
審判番号 不服2018-16409  
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-07 
確定日 2020-07-29 
事件の表示 特願2016-256870「画像復号装置および画像復号方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 5月18日出願公開、特開2017- 85631〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、本願は、2012年(平成24年)11月21日(パリ条約による優先権主張2011年11月25日、米国)を国際出願日とする出願である特願2013-523113号の一部を、数次の分割を経て平成28年12月28日に新たな特許出願としたものであって、手続の経緯は以下のとおりである。

平成29年11月 7日付け:拒絶理由通知
平成30年 2月14日 :意見書の提出、手続補正
平成30年 7月27日付け:拒絶査定
平成30年12月 7日 :拒絶査定不服審判請求、手続補正
平成31年 2月28日付け:前置報告

第2 平成30年12月7日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成30年12月7日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
本件補正は、補正前の平成30年2月14日付けの手続補正による特許請求の範囲の請求項1ないし2を、本件補正による特許請求の範囲の請求項1ないし2に補正するものであるところ、本件補正は、請求項1に係る次の補正を含むものである。
なお、下線は補正箇所を示す。また、請求項の各構成の符号(A)?(E)は、説明のために当審において付したものであり、以下、構成A?構成Eと称する。

(補正前の請求項1)
「【請求項1】
(A)符号化ビットストリームから画像を復号する画像復号装置であって、
(B)前記符号化ビットストリームから、前記画像において隣接する2つの変換単位間にデブロッキングフィルタを適用するかどうかを判断する算出部と、
(C)前記判断においてデブロッキングフィルタが適用されると判断された場合、フィルタリング幅の異なる複数のデブロッキングフィルタから1つのデブロッキングフィルタを選択する選択部と、
(D)選択された前記デブロッキングフィルタを用いて、前記2つの変換単位が隣り合う境界をフィルタリングするフィルタ部と、
(E)フィルタリングされた前記2つの変換単位を含む再構築画像を生成する再構築部とを備え、
(B1)前記判断において、前記隣接する2つの変換単位に含まれる画素値の差分に関る値が所定の判定値より大きいか否かの結果を用いてデブロッキングフィルタを適用するかどうかを行単位で判断し、
(C1)前記選択部では、第1のフィルタが適用されるかどうかを判断し、第1のフィルタが選択されなかった場合、前記第1のフィルタよりもフィルタリング幅の狭い第2のフィルタが適用されるかどうかを判断する、
(A)画像復号装置。」
とあるのを、

(補正後の請求項1)
「【請求項1】
(A)符号化ビットストリームから画像を復号する画像復号装置であって、
(B)前記符号化ビットストリームから、前記画像において隣接する2つの変換単位間にデブロッキングフィルタを適用するかどうかを判断する算出部と、
(C)前記判断においてデブロッキングフィルタが適用されると判断された場合、フィルタリング幅の異なる複数のデブロッキングフィルタから1つのデブロッキングフィルタを選択する選択部と、
(D)選択された前記デブロッキングフィルタを用いて、前記2つの変換単位が隣り合う境界をフィルタリングするフィルタ部と、
(E)フィルタリングされた前記2つの変換単位を含む再構築画像を生成する再構築部とを備え、
(B1’)前記判断において、前記隣接する2つの変換単位に含まれる同一ライン上の画素値の差分に関する値が所定の判定値より大きいか否かの結果のみを用いてデブロッキングフィルタを適用するかどうかを行単位で判断し、
(B2)前記同一ライン上の前記2つの変換単位の一方に含まれる画素値を前記境界から近い順にP0、P1とし、前記同一ライン上の前記2つの変換単位の他方に含まれる画素値を前記境界から近い順にQ0,Q1とすると、前記画素値の差分は、P0とQ0との差分値、P1とP0の差分値、およびQ1とQ0の差分値を含み、
(C1)前記選択部では、第1のフィルタが適用されるかどうかを判断し、第1のフィルタが選択されなかった場合、前記第1のフィルタよりもフィルタリング幅の狭い第2のフィルタが適用されるかどうかを判断する、
(A)画像復号装置。」
と補正する。

2.補正の適合性
(1)補正の目的
上記補正は、請求項1の発明特定事項である「算出部」が行う「判断」について、補正前の構成B1の「前記判断において、前記隣接する2つの変換単位に含まれる画素値の差分に関る値が所定の判定値より大きいか否かの結果を用いてデブロッキングフィルタを適用するかどうかを行単位で判断し」を、構成B1’の「前記判断において、前記隣接する2つの変換単位に含まれる同一ライン上の画素値の差分に関する値が所定の判定値より大きいか否かの結果のみを用いてデブロッキングフィルタを適用するかどうかを行単位で判断し」に限定し、さらに構成B2の「前記同一ライン上の前記2つの変換単位の一方に含まれる画素値を前記境界から近い順にP0、P1とし、前記同一ライン上の前記2つの変換単位の他方に含まれる画素値を前記境界から近い順にQ0,Q1とすると、前記画素値の差分は、P0とQ0との差分値、P1とP0の差分値、およびQ1とQ0の差分値を含み」を追加するものである。
したがって、上記補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正といえ、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は変わるものではなく同一であるといえる。
よって、上記補正は、特許法第17条の2第5項第2号の規定に該当するものである。

(2)補正の範囲及び単一性について
上記補正は、願書に最初に添付した明細書の段落[0039]?[0042]の記載に基づくものである。
よって、上記補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第17条の2第3項の規定に適合するものである。
また、上記補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるから、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明とは発明の単一性の要件を満たすものといえ、特許法第17条の2第4項の規定に適合するものである。

(3)独立特許要件
以上のように、本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とする請求項1に係る補正を含むものであるので、本件補正後の請求項1に記載された発明が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(3-1)補正発明
本件補正により補正された請求項1に係る発明(以下、「補正発明」という。)は、上記の「1.本件補正の内容」の(補正後の請求項1)に示したとおりのものである。

(3-2)引用文献に記載される発明及び技術
(3-2-1)引用文献2
ア.引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由において、本件出願の請求項1及び請求項2に係る発明の新規性及び進歩性を否定する証拠として引用された引用文献2である特開2004-180248号公報には、「符号化歪除去方法、動画像符号化方法、動画像復号化方法、およびそれらを実現する装置、プログラム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は強調のために当審で付したものである。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像信号を符号化した際に発生する符号化歪を除去する符号化歪除去方法、および符号化歪除去方法を用いて圧縮率をより高めることができる符号化方法ならびに復号化方法と、それをソフトウェアで実施するためのプログラムが記録された記録媒体である。」

(イ)「【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、説明する。
(実施の形態1)
図1の復号化方法を用いた画像復号化装置のブロック図において、可変長復号化部52は符号化信号Strを可変長復号化し、周波数符号成分DCoefを出力する。逆ジグザグスキャン部54は周波数符号成分DCoefの周波数成分を2次元のブロックに並べ替えて、ブロック単位の周波数成分である周波数成分FCoefを出力する。逆コサイン変換部56は周波数成分FCoefを逆量子化および逆DCTを行い、差分画像DifCoefとして出力する。
【0037】
一方、動き補償部60は、外部から入力される動きベクトルMVによって示される位置の画素をメモリ64に蓄積された参照画像Refから動き補償画像MCpelとして出力すると共に、動き補償ブロックの大きさを示す動き補償ブロックサイズMcsizeを出力する。加算部58は、差分画像DifCoefと動き補償画像MCpelを加算し、再生画像Coefとして出力する。デブロックフィルタ62は再生画像Coef、動き補償ブロックサイズMCsize、差分画像DifCoefを受け、符号化歪除去を行い、復号画像信号Voutを出力する。再生画像Coefはメモリ64に格納されて、後続の画像復号化で参照画像Refとして使用される。
【0038】
図2は本発明の符号化歪除去方法を用いたデブロックフィルタ(符号化歪除去部とも言う)62のブロック図である。このデブロックフィルタ62はITU-T H.26LのTML 8に記載されているデブロックフィルタの内容を参照して本願発明者が発明したものである。
フィルタ対象画素数決定部4は入力される再生画像Coef毎に、符号化歪を含む画素位置を決定し、フィルタ対象画素数FtrPelとして出力する。すなわち、フィルタ対象画素数FtrPelはフィルタ処理をすべきと判断した画素位置を示す。フィルタ係数決定部6はフィルタ対象画素数FtrPelと再生画像Coefの画素値を用いて、当該画素の符号化歪除去に適切なフィルタの係数(フィルタのタップ数も含む)を決定し、フィルタ係数FtrTapとして出力する。フィルタ処理部8は、フィルタ係数FtrTapで示すフィルタの係数で再生画像Coefに符号化歪を除去するフィルタ処理を行い、復号画像信号Voutを出力する。
【0039】
動き補償ブロック境界判定部2は差分画像DifCoefと動き補償ブロックサイズMCsizeを入力とし、当該処理対象ブロックの差分画像DifCoefが所定値以下であるか、例えば0であるかどうかを判定すると共に、動き補償ブロックの境界であるかどうかを判定し、動き補償ブロック境界フラグIsEdgeを出力する。
(中略)
【0043】
従って、動き補償ブロック境界判定部2は、当該処理対象ブロックの差分画像DifCoefが0であり且つ動き補償ブロックの境界でない場合は選択部10a、10bをOFF(実線で示す)とし、選択部10bから再生画像Coefを復号画像信号Voutとして出力する。この選択部の切り替えは、動き補償ブロック境界フラグIsEdgeで選択する。これによりフィルタ対象画素数決定部4、フィルタ係数決定部6、フィルタ処理部8の処理を省略することができる。なお、上記以外の場合は、選択部10a、10bをON(点線で示す)とし、選択部10bからフィルタ処理部8の出力を復号画像信号Voutとして出力する。この選択部の切り替えは動き補償ブロック境界フラグIsEdgeで選択する。
【0044】
以上のように、本実施の形態によれば、動き補償ブロック境界フラグIsEdgeでフィルタ対象画素数決定部4、フィルタ係数決定部6、フィルタ処理部8の処理を省略する仕組みを導入することで、処理削減による高速化および処理に必要な電力削減効果が得られる。
なお、本実施の形態では、単純に符号化歪除去処理を行わない例を示したが、符号化歪除去処理を行わない代わりに簡単な処理の符号化歪除去処理を使用し、複雑な処理が必要な符号化歪除去処理と4×4画素単位で切り替えてもよい。」

(ウ)「
【図1】



(エ)「
【図2】



(オ)「【0045】
(実施の形態2)
本実施の形態では、符号化歪除去方法を簡単に実現する具体的な処理手順を説明する。まず、図4は符号化歪除去方法を示すフローチャートである。
ステップS18で対象ブロックが符号化歪除去対象ブロックか否かを判定する。符号化歪除去対象ブロックであればステップS19に進み、対象ブロックで無ければステップS24に進む。
ステップS19では適切な符号化歪除去フィルタ選択し、ステップS20では選択したフィルタで符号化歪除去処理を行って、ステップS21で対象画素を当該ブロックの未処理画素に変更する。ステップS22で当該ブロックに未処理画素が存在しない場合は、ステップS24に進み、未処理画素が存在すればステップ19以降を繰り返す。
【0046】
ステップS24では当該画面に未処理ブロックが存在するか否かを判定する。未処理ブロックがあればステップS23に進み、当該画面に未処理ブロックが無ければ当該画面の符号化歪除去処理を終了する。
ステップS23では対象ブロックを未処理ブロックに変更して、ステップS18以下の処理を繰り返す。」

(カ)「
【図4】



(キ)【0047】
図6は本発明の符号化歪除去方法におけるフィルタ対象画素数決定のフローチャートであり、図2に示すフィルタ対象画素数決定部4の動作の一例である。また図6は動き補償ブロックが図8(a)に示す場合を示す。また、符号化歪除去対象画素値を、図8(b)に示すように、
p3、p2、p1、p0、q0、q1、q2、q3
とし、符号化歪除去済画素値を
P3、P2、P1、P0、Q0、Q1、Q2、Q3
とする。ここで、各画素値は画素の位置の並びの順番に記号を付したものであり、p0?p3とP0?P3は同じブロックの対応する画素、q0?q3とQ0?Q3は同じブロックの対応する画素を示す。
(中略)
【0050】
ここで、
dif1 = p0 q0
dif2 = p1 q1
dif1a = |dif1|
dif2a = |dif2|とする。即ち、図6の本発明の符号化歪除去方法におけるフィルタ対象画素数決定のフローチャートは、表1をもとにまとめたものである。
【0051】
ステップS27は符号化歪除去処理で繰り返し計算されるパラメータである画素差分値DifPelを計算する。画素差分値DifPelはステップS27で計算されたdif1aとdif2aのことである。
【0052】
ステップS28ではdif1aとπを比較し、dif1aがπを超えていればステップS29でn=0(即ち符号化歪除去処理をしない)として処理を終了する。dif1aがπ以下であればステップS30に進む。
【0053】
ステップS30ではdif2aをΩと比較し、dif2aがΩ未満であればステップS31でn=2(即ち隣り合う各ブロックにおいてブロック境界から2つ目の画素までを符号化歪除去処理する)として処理を終了する。dif2aがΩ以上であればステップS32に進む。
ステップS32ではdif2aを2×Ωと比較し、dif2aが2×Ω未満であればステップS33でn=1(即ち隣り合う各ブロックにおいてブロック境界から1つ目の画素までを符号化歪除去処理する)として処理を終了する。dif2aが2×Ω以上であればステップS34でn=0(即ち符号化歪除去処理をしない)として処理を終了する。dif2は境界近傍の画素値の差分の絶対値であり、この差分値が小さいほど境界近傍で高周波数成分が少ないと考えられるため、dif2が小さいほど符号化歪除去処理を行う画素数を増加することで、効率よく境界部の符号化歪を除去できる。」

(ク)「
【図6】



(ケ)「
【図8】



イ.引用文献2に記載された発明
引用文献2に記載された発明を以下に認定する。

(ア)上記ア(ア)【0001】、(イ)【0036】によれば、引用文献2には、「画像信号を符号化した際に発生する符号化歪を除去する符号化歪除去方法を用いる復号化方法を用いた画像復号化装置」が記載されている。

(イ)上記ア(イ)【0038】、【0043】及び(エ)【図2】によれば、引用文献2記載の「デブロックフィルタ62」は、選択部10a、10bが実線の場合には、フィルタ対象画素数決定部4、フィルタ係数決定部6、フィルタ処理部8の処理を省略すること、選択部10a、10bが点線の場合には、選択部10bからフィルタ処理部8の出力を復号画像信号Voutとして出力することが記載されているといえる。

(ウ)上記ア(オ)、(カ)【図4】には、実施の形態2として「符号化歪除去方法を実現する処理手順」が示されているから、引用文献2に記載された発明として、実施の形態2に記載された処理手順を用いて認定する。

(エ)上記ア(キ)【0047】、(ケ)【図8】(b)には、引用文献2に記載された「フィルタ対象画素数決定部4」の動作における符号化歪除去対象画素値について記載されており、【図8】(b)の4分割された4つの四角形で示される各々がブロックであり、上側の2つの隣接するブロックにおける同一ライン上の符号化歪除去対象画素値は、ブロックの境界に近い順で、一方のブロックに含まれる画素値がp0、p1、p2、p3、他方のブロックに含まれる画素値がq0、q1、q2、q3であるといえる。
また、(キ)【0050】、(ケ)【図6】s27によれば、dif1a=|p0-q0|、dif2a=|p1-q1|といえる。
よって、引用文献2には、ブロック及び符号化歪除去対象画素値について、以下のとおり記載されているといえる。
「2つの隣接するブロックにおける同一ライン上の符号化歪除去対象画素値は、ブロックの境界に近い順で、一方のブロックに含まれる画素値がp0、p1、p2、p3、他方のブロックに含まれる画素値がq0、q1、q2、q3であり、dif1a=|p0-q0|、dif2a=|p1-q1|」である。」

(オ)まとめ
上記アで摘記した記載事項及び上記(ア)ないし(エ)によると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、請求項の各構成は、各構成に付した符号(a)?(e4)を用いて、以下、構成a?構成e4と称する。

(引用発明)
(a)画像信号を符号化した際に発生する符号化歪を除去する符号化歪除去方法を用いる復号化方法を用いた画像復号化装置であって、
(b)画像復号化装置は、
(b1)可変長復号化部52は符号化信号Strを可変長復号化し、周波数符号成分DCoefを出力し、
(b2)逆ジグザグスキャン部54は周波数符号成分DCoefの周波数成分を2次元のブロックに並べ替えて、ブロック単位の周波数成分である周波数成分FCoefを出力し、
(b3)逆コサイン変換部56は周波数成分FCoefを逆量子化および逆DCTを行い、差分画像DifCoefとして出力し、
(b4)動き補償部60は、動き補償画像MCpelとして出力すると共に、動き補償ブロックの大きさを示す動き補償ブロックサイズMcsizeを出力し、
(b5)加算部58は、差分画像DifCoefと動き補償画像MCpelを加算し、再生画像Coefとして出力し、
(b6)デブロックフィルタ62は再生画像Coef、動き補償ブロックサイズMCsize、差分画像DifCoefを受け、符号化歪除去を行い、復号画像信号Voutを出力し、
(c)デブロックフィルタ62は、
(c1)フィルタ対象画素数決定部4は入力される再生画像Coef毎に、符号化歪を含む画素位置を決定し、フィルタ対象画素数FtrPelとして出力し、フィルタ対象画素数FtrPelはフィルタ処理をすべきと判断した画素位置を示し、
(c2)フィルタ係数決定部6はフィルタ対象画素数FtrPelと再生画像Coefの画素値を用いて、当該画素の符号化歪除去に適切なフィルタの係数(フィルタのタップ数も含む)を決定し、フィルタ係数FtrTapとして出力し、
(c3)フィルタ処理部8は、フィルタ係数FtrTapで示すフィルタの係数で再生画像Coefに符号化歪を除去するフィルタ処理を行い、復号画像信号Voutを出力し、
(c4)動き補償ブロック境界判定部2は差分画像DifCoefと動き補償ブロックサイズMCsizeを入力とし、当該処理対象ブロックの差分画像DifCoefが所定値以下であるか、例えば0であるかどうかを判定すると共に、動き補償ブロックの境界であるかどうかを判定し、動き補償ブロック境界フラグIsEdgeを出力し、
(c4a)処理対象ブロックの差分画像DifCoefが0であり且つ動き補償ブロックの境界でない場合は選択部10a、10bをOFFとし、選択部10bから再生画像Coefを復号画像信号Voutとして出力し、
(c4b)上記以外の場合は、選択部10a、10bをONとし、選択部10bからフィルタ処理部8の出力を復号画像信号Voutとして出力し、
(c4c)選択部の切り替えは、動き補償ブロック境界フラグIsEdgeで選択し、選択部10a、10bが実線の場合には、フィルタ対象画素数決定部4、フィルタ係数決定部6、フィルタ処理部8の処理を省略すること、選択部10a、10bが点線の場合には、選択部10bからフィルタ処理部8の出力を復号画像信号Voutとして出力し、
(d)符号化歪除去方法を実現する処理手順は、
(d1)ステップS18で対象ブロックが符号化歪除去対象ブロックか否かを判定し、符号化歪除去対象ブロックであればステップS19に進み、対象ブロックで無ければステップS24に進み、
(d2)ステップS19では適切な符号化歪除去フィルタ選択し、ステップS20では選択したフィルタで符号化歪除去処理を行って、ステップS21で対象画素を当該ブロックの未処理画素に変更し、
(d3)ステップS22で当該ブロックに未処理画素が存在しない場合は、ステップS24に進み、未処理画素が存在すればステップ19以降を繰り返し、
(d4)ステップS24では当該画面に未処理ブロックが存在するか否かを判定し、未処理ブロックがあればステップS23に進み、当該画面に未処理ブロックが無ければ当該画面の符号化歪除去処理を終了し、ステップS23では対象ブロックを未処理ブロックに変更して、ステップS18以下の処理を繰り返し、
(e)符号化歪除去方法におけるフィルタ対象画素数決定を行うフィルタ対象画素数決定部4の動作は、
(e1)ステップS28ではdif1aとπを比較し、dif1aがπを超えていればステップS29でn=0(即ち符号化歪除去処理をしない)として処理を終了し、dif1aがπ以下であればステップS30に進み、
(e2)ステップS30ではdif2aをΩと比較し、dif2aがΩ未満であればステップS31でn=2(即ち隣り合う各ブロックにおいてブロック境界から2つ目の画素までを符号化歪除去処理する)として処理を終了し、dif2aがΩ以上であればステップS32に進み、
(e3)ステップS32ではdif2aを2×Ωと比較し、dif2aが2×Ω未満であればステップS33でn=1(即ち隣り合う各ブロックにおいてブロック境界から1つ目の画素までを符号化歪除去処理する)として処理を終了し、dif2aが2×Ω以上であればステップS34でn=0(即ち符号化歪除去処理をしない)として処理を終了し、
(e4)2つの隣接するブロックにおける同一ライン上の符号化歪除去対象画素値は、ブロックの境界に近い順で、一方のブロックに含まれる画素値がp0、p1、p2、p3、他方のブロックに含まれる画素値がq0、q1、q2、q3であり、dif1a=|p0-q0|、dif2a=|p1-q1|である、
(a)画像復号化装置。

(3-2-2)引用文献3
ア.引用文献3の記載事項
平成31年2月28日付け前置報告において新たに引用された米国特許出願公開第2008/0025632号明細書以下「引用文献3」という。)には、「DEBLOCKING FILTER」(発明の名称、仮訳:デブロッキングフィルタ)に関し、次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は強調のために当審で付したものである。括弧内に当審で作成した仮訳を添付する。

(ア)「[0016] The present invention discloses a method in video decoding for reducing blocking artifacts between a first and a second block in a block wise coded video picture by performing a test on pixel lines crossing a boundary and/or an extension of the boundary between the first and the second block and executing a de-blocking filter operation on boundary neighboring pixels if the test indicates artifacts, wherein the method further includes performing the test on a subset of the pixel lines only, and if the test indicates artifacts, executing a de-blocking filter operation on the boundary neighboring pixels in each of the pixel lines crossing the boundary.」
([0016]本発明は、1番目と2番目のブロックの間の境界および/または境界の延長を横切る画素ラインでテストを実行し、テストがアーティファクトを示した場合、境界近傍画素にデブロッキングフィルタ操作を実行することによって、ブロックごとに符号化されたビデオ画像における第1および第2のブロック間のブロッキングアーティファクトを低減するためのビデオ復号化における方法を開示する。この方法は、画素ラインのサブセットのみでテストを実行し、テストがアーティファクトを示した場合、境界を横切る各画素ラインの境界近傍画素にデブロッキングフィルタ操作を実行することをさらに含む。)

(イ)「[0025] In FIG. 3, an edge between two picture blocks is shown. The letters c and d denotes two adjacent pixel positions on each side of the edge, and the other letters denotes the 6 horizontal pixel positions closest to the two first-mentioned pixels. According to H.264/AVC, pixels b c d e may be modified based on the value of each of the pixels and on the characterization of the edge itself. This modification is for equalizing the above-mentioned artifacts. The modification is therefore carried out only when artifacts are likely to occur.
[0026] Similar filter operations are performed on all the lines a, b, c, d, e, f. In the following description, the letters will be used without the numbering 0-7.」
([0025]図3には、2つの画像ブロック間のエッジが示されている。文字cおよびdは、エッジの両側にある2つの隣接する画素位置を示し、他の文字は、最初に言及した2つの画素に最も近い6つの水平画素位置を示す。H.264/AVCによれば、画素bcdeは、各画素の値とエッジ自体の特性に基づいて変更できる。この変更は、上記のアーティファクトを均等化するためのものです。したがって、変更はアーティファクトが発生する可能性がある場合にのみ実行される。
[0026]同様のフィルタ操作がすべての行のa、b、c、d、e、fで実行される。以下の説明では、文字は、0-7の番号なしで使用される。)

(ウ)「



(エ)「[0031] Furthermore, to each 4×4 block a Quantization Parameter (QP) is assigned. The QP representing the edge is the maximum value of the QPs representing the 2 blocks.
[0032] Several QP dependant threshold parameters are used:
[0033] α(QP)
[0034] β(QP)
[0035] γ(QP, Str)
[0036] α, β and γ are found in the look-up tables shown in FIG. 4. Table 1 is the look-up table for determining α, β and table 2 is the look-up table for determining γ, which is a clipping value. Here, indexA and indexB denotes QP, and bS=1, 2, 3 corresponds to criteria c, b, a, respectively, which are listed above. Consequently, the deciding criteria a, b, c, also state the boundary characteristics.
[0037] Based on these values, a main test is performed determining whether de-blocking filtering is to be carried out or not.
[0038] Filtering is performed only if:
|c-d|<α(QP) and |b-c|<β(QP) and |d-e|<β(QP)」
([0031]さらに、4×4ブロック毎に量子化パラメータ(QP)が割り当てられる。エッジを表すQPは、2つのブロックを表すQPの最大値である。
[0032]幾つかのQPに依存するしきい値パラメータが使用される。
[0033]α(QP)
[0034]β(QP)
[0035]γ(QP、Str)
[0036]α、βおよびγは、図4に示されるルックアップテーブルに見出される。テーブル1は、α、βを決定するためのルックアップテーブルであり、テーブル2は、クリッピング値であるγを決定するためのルックアップテーブルである。ここで、indexAとindexBはQPを表し、bS=1、2、3は、それぞれ上記した基準c、b、aに対応する。したがって、決定基準a、b、cも境界特性を示す。
[0037]これらの値に基づいて、デブロッキングフィルタリングを実行するか否かを決定するメインテストが実行される。
[0038]フィルタリングは、下記の場合にのみ実行される。
|c-d|<α(QP)および|b-c|<β(QP)および|d-e|<β(QP))

イ.引用文献3に記載される技術
引用文献3に記載された技術を以下に認定する。

(ア)上記ア(ア)に示されるように、引用文献3には、「1番目と2番目のブロックの間の境界および/または境界の延長を横切る画素ラインでテストを実行し、テストがアーティファクトを示した場合、境界近傍画素にデブロッキングフィルタ操作を実行することによって、ブロックごとに符号化されたビデオ画像における第1および第2のブロック間のブロッキングアーティファクトを低減するためのビデオ復号化における方法」に関する技術が記載されている。

(イ)上記ア(イ)[0025]及び(ウ)Figure 3によれば、Figure 3の4つに分割されたそれぞれの区画で示されるものがブロックであり、左右のブロックの間のラインがブロックの境界であり、左右に隣接する2つのブロックにおける同一ライン上の画素に関して、「2つの隣接するブロックの同一ライン上の画素は、ブロックの境界に近い順で、一方のブロックに含まれる画素がc、b、a、他方のブロックに含まれる画素がd、e、fである」ことが記載されているといえる。

(ウ)上記ア(エ)によれば、「4×4ブロック毎に量子化パラメータ(QP)が割り当てられ、QPに依存するしきい値パラメータα(QP)、β(QP)の値に基づいて、デブロッキングフィルタリングを実行するか否かを決定するメインテストが実行され、フィルタリングは、下記の場合にのみ実行し、
|c-d|<α(QP)および|b-c|<β(QP)および|d-e|<β(QP)」ことが記載されている。
また、上記ア(イ)[0026]によれば、「同様のフィルタ操作がすべての行のa、b、c、d、e、fで実行」される。

(エ)上記(ア)ないし(ウ)によると、引用文献3には、次に示す技術(文献3技術)が記載さている。

(文献3技術)
1番目と2番目のブロックの間の境界および/または境界の延長を横切る画素ラインでテストを実行し、テストがアーティファクトを示した場合、境界近傍画素にデブロッキングフィルタ操作を実行することによって、ブロックごとに符号化されたビデオ画像における第1および第2のブロック間のブロッキングアーティファクトを低減するためのビデオ復号化における方法に関する技術であり、
2つの隣接するブロックの同一ライン上の画素は、ブロックの境界に近い順で、一方のブロックに含まれる画素がc、b、a、他方のブロックに含まれる画素がd、e、fであり、
4×4ブロック毎に量子化パラメータ(QP)が割り当てられ、QPに依存するしきい値パラメータα(QP)、β(QP)の値に基づいて、デブロッキングフィルタリングを実行するか否かを決定するメインテストが実行され、フィルタリングは、下記の場合にのみ実行し、
|c-d|<α(QP)および|b-c|<β(QP)および|d-e|<β(QP)
同様のフィルタ操作がすべての行のa、b、c、d、e、fで実行される技術。

(3-3)対比
補正発明と引用発明とを対比する。

ア.補正発明の構成Aについて
引用発明の構成a及び構成bの画像復号化装置は、構成b1ないし構成b6のように、符号化信号を復号化し、復号画像信号を出力するものである。
ここで、符号化信号は、復号されて復号画像信号として出力されるものであり、一般にビットストリームとして形成されているものであるから、補正発明の「符号化ビットストリーム」に相当する。
したがって、引用発明の構成a及び構成bは、補正発明の構成Aの「符号化ビットストリームから画像を復号する画像復号装置」と一致する。

イ.補正発明の構成Dについて
引用発明の構成c4の動き補償ブロック境界判定部2は、処理対象ブロックについて動き補償ブロックの境界であるかどうかを判定し、判定結果によりフィルタ処理を行うか省略するかを決定するものであり(構成c4a、構成c4b、構成c4c)、引用発明の構成c1、構成eにおけるフィルタ対象画素数決定を行うフィルタ対象画素数決定部4の動作は、構成e4のように隣接するブロックの境界にまたがる画素を対象としてフィルタ処理を行う画素を特定するものであるから(構成e1、構成e2、構成e3)、動き補償ブロック境界判定部2及びフィルタ対象画素数決定部4は、処理対象ブロックと隣接するブロックの境界に対して、フィルタ処理をすべきかどうかを判断するものといえる。
また、フィルタ処理部8は、上記の動き補償ブロック境界判定部2及びフィルタ対象画素数決定部4が、処理対象ブロックと隣接するブロックの境界に対して、フィルタ処理をすべきであると判断した場合に、フィルタ係数決定部6により決定されたフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行うものといえる(構成c3)。
よって、処理対象ブロックと隣接するブロックの境界は、補正発明の「2つの変換単位が隣り合う境界」に相当し、決定されたフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行うことは、補正発明の「選択されたデブロッキングフィルタを用いて、フィルタリングする」ことに相当する。
したがって、引用発明のデブロックフィルタ62のフィルタ処理部8は、補正発明の構成Dの「選択されたデブロッキングフィルタを用いて、2つの変換単位が隣り合う境界をフィルタリングするフィルタ部」と一致する。

ウ.補正発明の構成Eについて
引用発明の構成b5及び構成b6は、再生画像に含まれる全ての処理対象ブロックについて行われることは明らかであり、デブロックフィルタ62により符号化歪除去が行われた再生画像は、補正発明の「フィルタリングされた再構築画像」に相当する。
したがって、引用発明の加算部58及びデブロックフィルタ62は、補正発明の構成Eの「フィルタリングされた2つの変換単位を含む再構築画像を生成する再構築部」と一致する。

エ.補正発明の構成Bについて
引用発明の処理対象ブロックに関するデータは符号化信号に含まれるものであることは明らかであり、構成c4の動き補償ブロック境界判定部2及び構成c1、構成eのフィルタ対象画素数決定部4は、処理対象ブロックと隣接するブロックの境界に対して、フィルタ処理をすべきかどうかを判断するものであることは、上記イにおいて検討したとおりである。
よって、引用発明の構成cのデブロックフィルタ62が備える動き補償ブロック境界判定部2及びフィルタ対象画素数決定部4は、符号化信号から、処理対象ブロックと隣接するブロックの境界に対して、フィルタ処理をすべきかどうかを判断するものであるから、補正発明の構成Bの「前記符号化ビットストリームから、前記画像において隣接する2つの変換単位間にデブロッキングフィルタを適用するかどうかを判断する算出部」に相当する。

オ.補正発明の構成B1’及び構成B2について
引用発明の構成c1のフィルタ対象画素数決定部4は、構成e1及び構成e4によれば、隣接する動き補償ブロックの一方のブロックの画像値p0と他方のブロックの画素値q0の差分の絶対値がπより大きいか否かにより、符号化歪除去処理を行うか否かを判断するものであり、画素値p0と画素値q0は、同一ライン上の画素値である。
そして、このフィルタ対象画素数決定部4の同一ライン上の画素値に基づいて符号化歪除去処理を行うか否かを判断する処理は、ブロックにおいてライン毎、すなわち行単位に、符号化歪除去処理を行うか否かの判断を行うものといえる。
したがって、引用発明の構成c1は、補正発明の構成B1’と、「前記判断において、前記隣接する2つの変換単位に含まれる同一ライン上の画素値の差分に関する値が所定の判定値より大きいか否かの結果を用いてデブロッキングフィルタを適用するかどうかを行単位で判断」するものである点で一致する。
ただし、補正発明は、前記隣接する2つの変換単位に含まれる同一ライン上の画素値の差分に関する値が所定の判定値より大きいか否かの結果「のみ」を用いてデブロッキングフィルタを適用するかどうかを判断するものであるのに対し、引用発明は、上記エにおいて検討したように動き補償ブロック境界判定部2及びフィルタ対象画素数決定部4の2つの判断により、デブロッキングフィルタを適用するかどうかを判断するものである点で、両者は相違する。

引用発明の構成e4によれば、2つの隣接するブロックにおける同一ライン上の符号化歪除去対象画素値は、ブロックの境界に近い順で、一方のブロックに含まれる画素値がp0、p1、他方のブロックに含まれる画素値がq0、q1である。
よって、引用発明のフィルタ対象画素数決定部4の判断処理は、補正発明の構成B2と「前記同一ライン上の前記2つの変換単位の一方に含まれる画素値を前記境界から近い順にP0、P1とし、前記同一ライン上の前記2つの変換単位の他方に含まれる画素値を前記境界から近い順にQ0,Q1とすると、前記画素値の差分は、P0とQ0との差分値を含み」というものである点で一致する。
ただし、補正発明は、前記画素値の差分が、「P0とQ0との差分値」に加え、さらに「P1とP0の差分値、およびQ1とQ0の差分値」を含むものであるのに対し、引用発明は、前記画素値の差分が、画像値p0と画素値q0との差分値を含むものの、「P1とP0の差分値、およびQ1とQ0の差分値」を含むものではない点で、両者は相違する。

カ.補正発明の構成C及び構成C1について
引用発明のフィルタ対象画素数決定部4は、上記エにおいて検討したように、処理対象ブロックと隣接するブロックの境界に対して、フィルタ処理をすべきかどうかを判断するものであり、その動作において、構成e2及び構成e3のn=2(即ち隣り合う各ブロックにおいてブロック境界から2つ目の画素までを符号化歪除去処理する)と判断することは、フィルタリング幅の広い第1のフィルタを選択することいえ、n=2としない場合には、n=1(即ち隣り合う各ブロックにおいてブロック境界から1つ目の画素までを符号化歪除去処理する)と判断することは、フィルタリング幅の狭い第2のフィルタを選択することといえる。
よって、引用発明のフィルタ対象画素数決定部4は、補正発明の構成Cの「前記判断においてデブロッキングフィルタが適用されると判断された場合、フィルタリング幅の異なる複数のデブロッキングフィルタから1つのデブロッキングフィルタを選択する選択部」に相当し、構成C1の「前記選択部では、第1のフィルタが適用されるかどうかを判断し、第1のフィルタが選択されなかった場合、前記第1のフィルタよりもフィルタリング幅の狭い第2のフィルタが適用されるかどうかを判断する」ことに相当する。

キ.まとめ
上記アないしカの対比結果をまとめると、補正発明と引用発明との[一致点]と[相違点]は以下のとおりである。

[一致点]
(A)符号化ビットストリームから画像を復号する画像復号装置であって、
(B)前記符号化ビットストリームから、前記画像において隣接する2つの変換単位間にデブロッキングフィルタを適用するかどうかを判断する算出部と、
(C)前記判断においてデブロッキングフィルタが適用されると判断された場合、フィルタリング幅の異なる複数のデブロッキングフィルタから1つのデブロッキングフィルタを選択する選択部と、
(D)選択された前記デブロッキングフィルタを用いて、前記2つの変換単位が隣り合う境界をフィルタリングするフィルタ部と、
(E)フィルタリングされた前記2つの変換単位を含む再構築画像を生成する再構築部とを備え、
(B1’)’前記判断において、前記隣接する2つの変換単位に含まれる同一ライン上の画素値の差分に関する値が所定の判定値より大きいか否かの結果を用いてデブロッキングフィルタを適用するかどうかを行単位で判断し、
(B2)’前記同一ライン上の前記2つの変換単位の一方に含まれる画素値を前記境界から近い順にP0、P1とし、前記同一ライン上の前記2つの変換単位の他方に含まれる画素値を前記境界から近い順にQ0,Q1とすると、前記画素値の差分は、P0とQ0との差分値を含み、
(C1)前記選択部では、第1のフィルタが適用されるかどうかを判断し、第1のフィルタが選択されなかった場合、前記第1のフィルタよりもフィルタリング幅の狭い第2のフィルタが適用されるかどうかを判断する、
(A)画像復号装置。

[相違点]
(相違点1)
補正発明は、前記隣接する2つの変換単位に含まれる同一ライン上の画素値の差分に関する値が所定の判定値より大きいか否かの結果「のみ」を用いてデブロッキングフィルタを適用するかどうかを判断するもの(構成B1’)であるのに対し、引用発明は、動き補償ブロック境界判定部2及びフィルタ対象画素数決定部4の2つの判断により、デブロッキングフィルタを適用するかどうかを判断するものである点。

(相違点2)
補正発明は、前記画素値の差分が、「P0とQ0との差分値」に加え、さらに「P1とP0の差分値、およびQ1とQ0の差分値」を含むもの(構成B2)であるのに対し、引用発明は、前記画素値の差分が、画像値p0と画素値q0との差分値を含むものの、「P1とP0の差分値、およびQ1とQ0の差分値」を含むものではない点。

(3-4)相違点の判断
ア.相違点1について
上記(3-2-2)の「イ.引用文献3に記載される技術」に示したように、引用文献3には、上記文献3技術が記載されている。
当該文献3技術は、復号化における1番目のブロックと2番目のブロックの間のブロッキングアーティファクトを低減する技術であり、1番目と2番目のブロックの間の境界を横切る画素ラインにおいて、隣接するブロックの画素値の差分の値に関するテストを実行し、そのテストがアーティファクトを示すものである場合にのみ、境界近傍画素にデブロッキングフィルタ操作を実行する技術であるから、引用発明の構成c4ないし構成c4cの動き補償ブロック境界判定部2が行うような、動き補償ブロックの差分画像の値に基づいた動き補償ブロックの境界であるかどうかの判断をすることなく、引用発明の構成c1及び構成eないし構成e4のフィルタ対象画素数決定部4が行う判断と同様の判断のみによって、デブロッキングフィルタを適用するか否かを判断するものである。
そして、引用発明に当該文献3技術を適用することにより、引用発明の動き補償ブロック境界判定部2及びフィルタ対象画素数決定部4による2つの判断のうち、動き補償ブロック境界判定部2による判断を省略して、フィルタ対象画素数決定部4による判断のみに基づいて、デブロッキングフィルタを適用するかどうかを判断するものとすることは、当業者が容易に相当し得る。
よって、相違点1に係る前記隣接する2つの変換単位に含まれる同一ライン上の画素値の差分に関する値が所定の判定値より大きいか否かの結果「のみ」を用いてデブロッキングフィルタを適用するかどうかを判断することは、引用発明に文献3技術を適用することにより当業者が容易になし得ることである。

イ.相違点2について
文献3技術は、境界近傍画素にデブロッキングフィルタ操作を実行するか否かを判断する画素ラインでのテストは、|c-d|<α(QP)および|b-c|<β(QP)および|d-e|<β(QP)であり、2つの画像ブロック間のエッジの両側にある2つの隣接する画素の、一方のブロックに含まれるc、b及び他方のブロックに含まれるd、eは、引用発明のp0、p1、q0、q1に対応する。
そして、引用発明に文献3技術を適用することにより、各行のブロックの境界にフィルタ処理をすべきかどうかの判断を、画素ラインで|c-d|<α(QP)および|b-c|<β(QP)および|d-e|<β(QP)とする発明を創意することは、当業者にとって容易になしえることであるが、この発明により同一ライン上の2つのブロックの一方に含まれる画素値を境界から近い順にP0、P1とし、他方に含まれる画素値を境界から近い順にQ0,Q1とした場合の、P0とQ0との差分値、P1とP0の差分値、およびQ1とQ0の差分値を用いてデブロッキングフィルタを適用するかどうかを判断すること、すなわち、相違点2に係るデブロッキングフィルタを適用するかどうかの判断に用いる画素値の差分が、「P0とQ0との差分値」に加え、さらに「P1とP0の差分値、およびQ1とQ0の差分値」を含むものとなる。

(3-5)効果等について
補正発明の構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、補正発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える格別顕著なものがあるとは認められない。

(3-6)まとめ
以上のように、補正発明は、引用文献2に記載された発明及び引用文献3に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反してなされたものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成30年12月7日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成30年2月14日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載した事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の「1.本件補正の内容」に示した(補正前の請求項1)に記載された事項により特定されるとおりのものである。

2.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2に記載された発明(引用発明)は、上記第2の2(3-2-1)の「イ.引用文献2に記載される発明」に認定したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記第2の2の「(1)補正の目的」で示した、補正発明に追加された限定事項を省いたものである。
そして、上記第2の2の「(3-3)対比」における検討を援用すると、上記対比における補正発明と引用発明の相違点1及び相違点2は、本件補正により追加された限定事項に関するもののみであり、当該限定事項が省略される本願発明は、引用発明と相違する点は存在しない。
よって、本願発明の特定事項は引用発明と全て一致するものであるから、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。

第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。


 
別掲
 
審理終結日 2020-02-27 
結審通知日 2020-03-03 
審決日 2020-03-16 
出願番号 特願2016-256870(P2016-256870)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 113- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀井 啓明  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 川崎 優
清水 正一
発明の名称 画像復号装置および画像復号方法  
代理人 新居 広守  
代理人 寺谷 英作  
代理人 道坂 伸一  

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