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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B01J
管理番号 1364746
審判番号 不服2019-5  
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-01-04 
確定日 2020-07-29 
事件の表示 特願2016-191518「押出成形ハニカム触媒」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月30日出願公開、特開2017- 60945〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成24年(2012年)7月31日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年8月3日(DE)ドイツ連邦共和国、2012年2月8日(GB)英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)、2012年2月15日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2014-523389号の一部を平成28年9月29日に新たな特許出願としたものであって、平成29年9月22日付けで拒絶理由が通知され、平成30年3月26日に手続補正がされ、平成30年8月28日付けで拒絶査定がされ、平成31年1月4日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正がされたものである。

第2 平成31年1月4日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成31年1月4日にされた手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正について
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、補正前の請求項1に記載された
「 第1のSCR触媒活性成分を含むハニカム型で、運転中に排気ガスが流れる複数のチャネルを有する押出成形活性担体と、前記押出成形活性担体に塗布される、第2のSCR触媒活性成分を含むウォッシュコートコーティングとを含む、自動車からの排気ガスにおいて選択触媒還元(SCR)法により窒素酸化物を還元するための押出成形ハニカム触媒であって、前記第1のSCR触媒活性成分および前記第2のSCR触媒活性成分はそれぞれ独立に、
(i)触媒活性成分としてバナジウムを含むバナジウム触媒;
(ii)触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒;または
(iii)Fe-またはCu-ゼオライト触媒
から選択され、
第1のSCR触媒活性成分がCu-ゼオライト触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分が(i)触媒活性成分としてバナジウムを含むバナジウム触媒;または(ii)触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒であり;
第1のSCR触媒活性成分がFe-ゼオライト触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分が(i)触媒活性成分としてバナジウムを含むバナジウム触媒;または(ii)触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒であり;
第1のSCR触媒活性成分が混合型酸化物触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分が(iii)Fe-もしくはCu-ゼオライト触媒であり;並びに
第1のSCR触媒活性成分がバナジウム触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分が(iii)Fe-もしくはCu-ゼオライト触媒である、
ハニカム触媒。」
から、
「 第1のSCR触媒活性成分を含むハニカム型で、運転中に排気ガスが流れる複数のチャネルを有する押出成形活性担体と、前記押出成形活性担体に塗布される、第2のSCR触媒活性成分を含むウォッシュコートコーティングとを含む、自動車からの排気ガスにおいて選択触媒還元(SCR)法により窒素酸化物を還元するための押出成形ハニカム触媒であって、
第1のSCR触媒活性成分がCu-ゼオライト触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分が触媒活性成分としてバナジウムを含むバナジウム触媒;または触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒であり;
第1のSCR触媒活性成分がFe-ゼオライト触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分が触媒活性成分としてバナジウムを含むバナジウム触媒;または触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒であり;
第1のSCR触媒活性成分が混合型酸化物触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分がFe-もしくはCu-ゼオライト触媒であり;並びに
第1のSCR触媒活性成分がバナジウム触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分がFe-もしくはCu-ゼオライト触媒である、
ハニカム触媒。」
に補正された。(下線部は、補正箇所である。)

2 補正の適否について
本件補正のうち、補正前の請求項1に記載された「前記第1のSCR触媒活性成分・・・は・・・(ii)触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒;・・・から選択され」との発明特定事項を削除することは、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「第1のSCR触媒活性成分が混合型酸化物触媒である場合」における「混合酸化物触媒」が「触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒」であることについて、直列的に記載された発明特定事項の一部を削除するものであるから、特許法第17条の2第5項各号のいずれを目的とするものでもない。

3 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明
平成31年1月4日の手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?20に係る発明は、平成30年3月26日の手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1?20に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものであると認める。

「【請求項1】
第1のSCR触媒活性成分を含むハニカム型で、運転中に排気ガスが流れる複数のチャネルを有する押出成形活性担体と、前記押出成形活性担体に塗布される、第2のSCR触媒活性成分を含むウォッシュコートコーティングとを含む、自動車からの排気ガスにおいて選択触媒還元(SCR)法により窒素酸化物を還元するための押出成形ハニカム触媒であって、前記第1のSCR触媒活性成分および前記第2のSCR触媒活性成分はそれぞれ独立に、
(i)触媒活性成分としてバナジウムを含むバナジウム触媒;
(ii)触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒;または
(iii)Fe-またはCu-ゼオライト触媒
から選択され、
第1のSCR触媒活性成分がCu-ゼオライト触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分が(i)触媒活性成分としてバナジウムを含むバナジウム触媒;または(ii)触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒であり;
第1のSCR触媒活性成分がFe-ゼオライト触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分が(i)触媒活性成分としてバナジウムを含むバナジウム触媒;または(ii)触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒であり;
第1のSCR触媒活性成分が混合型酸化物触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分が(iii)Fe-もしくはCu-ゼオライト触媒であり;並びに
第1のSCR触媒活性成分がバナジウム触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分が(iii)Fe-もしくはCu-ゼオライト触媒である、
ハニカム触媒。」

2 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1?20に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献1に記載された発明及び下記引用文献2?5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明とすることができたものであり、あるいは、下記引用文献6に記載された発明及び下記引用文献2?5、7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
(引用文献一覧)
引用文献1 特開2010-229012号公報
引用文献2 特表2011-509826号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3 国際公開第2010/099395号
引用文献4 特開2011-89521号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5 特表2007-527314号公報(周知技術を示す文献)
引用文献6 特開平9-220468号公報
引用文献7 特開昭55-3872号公報

3 引用文献について
(1)引用文献1の記載事項(下線は当審が付した。以下同様。)
ア 「【請求項1】
ゼオライトおよび無機バインダを含み、長手方向に沿って、第1の端面から第2の端面に延伸する複数のセルがセル壁によって区画された柱状のハニカムユニットから構成されるハニカム構造体であって、
前記ハニカムユニットは、見かけの体積あたり、250g/Lを超えるゼオライトを含み、
前記セル壁の厚さの中心部分には、ゼオライトが存在し、
前記セル壁の表面は、前記セル壁の厚さの中心部分よりもゼオライトの割合が高いことを特徴とするハニカム構造体。」
イ 「【0002】
自動車排ガスの浄化に関しては、多くの技術が開発されているが、交通量の増大もあって、まだ十分な排ガス対策がとられているとは言い難い。日本国内においても、世界的にも自動車排ガス規制は、さらに強化されていく方向にある。その中でも、ディーゼル排ガス中のNOx規制については、非常に厳しくなってきている。従来は、エンジンの燃焼システムの制御によってNOx低減を図ってきたが、それだけでは対応しきれなくなってきた。このような課題に対応するディーゼルNOx浄化システムとして、アンモニアを還元剤として用いるNOx還元システム(SCRシステムと呼ばれている。)が提案されている。このようなシステムに用いられる触媒担体として、ハニカム構造体が知られている。」
ウ 「【0004】
一般に、このようなハニカム構造体のセル壁は、コージェライトで構成され、このセル壁には、触媒として、例えばゼオライト(鉄または銅等でイオン交換されたもの)が担持される。この他、セル壁にゼオライトを使用し、ハニカム構造体を形成することが提案されている(例えば特許文献1)。」
エ 「【0025】
ハニカム構造体100は、例えば、図2に示す柱状のセラミック製ハニカムユニット130を、接着層150を介して複数個(図1の例では、縦横4列ずつ16個)接合させた後、外周側を所定の形状(図1の例では、円柱状)に沿って切削加工することにより構成される。
【0026】
図2に示すように、ハニカムユニット130は、該ハニカムユニットの長手方向に沿って一端から他端まで延伸し、両端面で開口された複数のセル(貫通孔)121と、該セルを区画するセル壁123とを有する。なお、ハニカムユニット130は、SCRシステムとして、NOx浄化に寄与するゼオライトを含む。従って、本発明によるハニカム構造体を、NOx浄化用の触媒担体として使用する場合、セル壁に、必ずしも貴金属触媒を担持する必要はない。ただし、セル壁には、さらに貴金属触媒を担持しても良い。
【0027】
このように構成されたハニカム構造体100は、例えば、尿素タンクを有する尿素SCRシステムの触媒担体として使用される。この尿素SCRシステムに、排ガスが流通されると、尿素タンクに収容されている尿素が排ガス中の水と反応して、アンモニアが生じる。

CO(NH_(2))_(2)+H_(2)O → 2NH_(3)+CO_(2) 式(1)

このアンモニアが、NOxを含む排ガスとともに、ハニカム構造体100の一方の端面(例えば端面110)から、各セルに流入した場合、セル壁に含まれているゼオライト上で、この混合ガスの間で、以下の反応が生じる。

4NH_(3)+4NO+O_(2) → 4N_(2)+6H_(2)O 式(2-1)
8NH_(3)+6NO_(2) → 7N_(2)+12H_(2)O 式(2-2)
2NH_(3)+NO+NO_(2) → 2N_(2)+3H_(2)O 式(2-3)

その後、浄化された排ガスは、ハニカム構造体100の他方の端面(例えば端面115)から排出される。このように、ハニカム構造体100内に排ガスを流通させることにより、排ガス中のNOxを処理することができる。また、ここでは、尿素水を加水分解して、NH_(3)を供給する方法を示したが、その他の方法でNH_(3)を供給しても良い。」
オ 「【0079】
以下、実施例により本発明を詳しく説明する。
(実施例1)
まず、Feゼオライト粒子(平均粒子径2μm)2250重量部、アルミナ粒子(平均粒子径2μm)550重量部、アルミナゾル2600重量部(固形分20wt%)、アルミナ繊維(平均繊維長100μm、平均繊維径6μm)780重量部、メチルセルロース410重量部に、可塑剤および潤滑剤(ユニルーブ)を混合、混練して混合組成物を得た。Feゼオライト粒子は、ゼオライト重量に対して3wt%の分がFeでイオン交換されたものである。次に、この混合組成物を押出成形機により押出成形を行い、ハニカムユニット成形体を得た。
【0080】
次に、マイクロ波乾燥機および熱風乾燥機を用いてこれらの成形体を十分乾燥させ、400℃で2時間保持して脱脂した。その後、700℃で2時間保持して焼成を行い、ハニカムユニット(縦35mm×横35mm×全長150mm)を得た。セル壁の厚さは、0.15mmであり、セル密度は、78個/cm^(2)であり、開口率は、75%であった。また、ハニカムユニットに含まれるゼオライトの重量濃度C1は、54.9wt%であった。
【0081】
次に、以下の方法により、高濃度ゼオライト部を形成した。
【0082】
まず、Feゼオライト粒子(平均粒子径2μm)を80wt%、アルミナゾルを20wt%(固形分20wt%)の割合で混合し、さらに固形分が35wt%となるように水を加えて、コーティングペーストを調製した。次に、前述のハニカムユニットをこのコーティングペースト中に含浸させた後、ハニカムユニットを引き上げた。次に、ハニカムユニットを500℃で2時間保持し、ハニカムユニットのセル壁の表面全体に、高濃度ゼオライト部を形成した。高濃度ゼオライト部の厚さθは、約50μmであった。高濃度ゼオライト部に含まれるゼオライト濃度C2は、95.2wt%であった。」

(2)引用文献1に記載された発明
引用文献1には、上記(1)アの記載によれば、「ゼオライトを含み、長手方向に沿って複数のセルがセル壁によって区画された柱状のハニカムユニットから構成されるハニカム構造体であって、前記セル壁の厚さの中心部分には、ゼオライトが存在し、前記セル壁の表面は、前記セル壁の厚さの中心部分よりもゼオライトの割合が高いハニカム構造体」が記載され、さらに、上記(1)オの実施例1の記載によれば、「ハニカムユニット」は、Feゼオライト粒子を含む混合組成物を押出成形した後に焼結したものであり、「セル壁の表面」の「ゼオライトの割合が高い」部分は、前記ハニカムユニットを、Feゼオライト粒子を含むコーティングペースト中に含浸させた後に引き上げて形成した「高濃度ゼオライト部」であることも記載されている。
また、引用文献1には、上記(1)イ?エの記載によれば、「ハニカム構造体」は、自動車の排ガス中のNOxを還元するシステム(SCRシステム)に用いられる触媒担体であって、ハニカム構造体の複数のセルに排ガスを流通させることにより、排ガス中のNOxを処理するものであり、また、「Feゼオライト粒子」は、SCR触媒であることが記載されている。
これら記載を、実施例1の「ハニカム構造体」に注目して整理すると、引用文献1には、
「SCR触媒であるFeゼオライト粒子を含み、自動車の排ガスが流れる複数のセルを有する押出成形されたハニカムユニットと、前記ハニカムユニットを、SCR触媒であるFeゼオライト粒子を含むコーティングペースト中に含浸させた後に引き上げて形成した高濃度ゼオライト部とを含む、自動車の排ガス中のNOxを還元するSCRシステムに用いられる触媒担体であるハニカム構造体。」
の発明(以下、「引用1発明」という。)が記載されているといえる。

(3)引用文献3の記載事項
ア 「[0004] The present disclosure relates to catalysts and catalyst bodies, for example extruded honeycomb catalyst bodies, such as for use in engine exhaust systems, and their manufacture.」
(当審仮訳:[0004]本開示は、触媒及び触媒成形体、例えば、エンジン排気システムで使用するための押出成形ハニカム触媒体、並びに、これらの製造に関する。)
イ 「[0006] In another aspect, the present disclosure relates to catalyst structures comprised of a first oxide selected from the group consisting of tungsten oxides, vanadium oxides, and combinations thereof, a second oxide selected from the group consisting of cerium oxides, lanthanum oxides, zirconium oxides, and combinations thereof, and a zeolite. The catalyst structure can comprise a body such as an extruded honeycomb catalyst body. In at least some embodiments, the walls of the body are substantially comprised of a first oxide selected from the group consisting of tungsten oxides, vanadium oxides, and combinations thereof, a second oxide selected from the group consisting of cerium oxides, lanthanum oxides, zirconium oxides, and combinations thereof, and a zeolite. In some embodiments, the body comprises one or more layers, such as an external layer; in some of these embodiments, the layer can be the zeolite, or the layer can be a mixture of the first and second oxides, or a mixture of the first and second oxides and the zeolite; and the body may comprise an internal layer of zeolite, a mixture of the first and second oxides, or a mixture of the first and second oxides and the zeolite.」
(当審仮訳:別の態様において、本開示は、酸化タングステン、酸化バナジウム、及びこれらの組合せからなる群から選択された第1の酸化物、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化ジルコニウム、及びこれらの組合せからなる群から選択される第2の酸化物、並びに、ゼオライトを含む触媒構造物に関する。触媒構造体は、押出成形ハニカム触媒体などの本体を含むことができる。少なくともいくつかの実施形態では、本体の壁は、酸化タングステン、酸化バナジウム、及びこれらの組合せからなる群から選択された第1の酸化物、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化ジルコニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2の酸化物、並びにゼオライトから実質的になる。いくつかの実施形態では、本体は、外層などの1つ又は複数の層を含み、いくつかの実施形態では、層はゼオライトとすることができ、層は第1及び第2の酸化物の混合物、または、第1及び第2の酸化物並びにゼオライトとの混合物とすることができ、本体は、ゼオライト、第1及び第2の酸化物の混合物、または、第1及び第2の酸化物並びにゼオライトとの混合物の内部層を含んでいてもよい。)
ウ 「[0020] The first and second oxides and zeolite are stable at automobile exhaust temperatures, exhibit selective catalytic reduction ("SCR"), and can be used with urea injection. These catalysts have NH_(3) adsorption, NOx adsorption, and NOx oxidation sites for optimum NOx reduction performance. Adsorbed NH_(3) on the surface interacts with adjacent adsorbed NOx. The NOx is accordingly reduced to nitrogen and H_(2)O. The zeolite and the first and second oxides exhibit SCR activity of NOx, however, in different temperature ranges. The zeolite (e.g. H-ZSM-5) converts a substantial percentage of NOx at a higher temperature region (e.g. above 400℃, or 500℃, or even 600℃) while the first and second oxides convert a substantial percentage of NOx at a lower temperature region (e.g. below 350℃, or 300℃, or even 250℃). In another aspect, the HC and ammonia gases are also catalytically reduced by the catalyst body.
[0021] Combining zeolite with the first and second oxides widens the effective NOx conversion or reducing temperature window. At least certain embodiments have exhibited an operating temperature window of 200℃ to 600℃ for the effective reduction of NOx gas. In contrast, the lower temperature conversion window limit of HZSM-5 zeolite alone is approximately 325℃. Extending the lower window conversion temperature limit may be particularly advantageous for treating engine exhaust such as diesel exhaust gas.
[0022] The first and second oxides typically have high surface area (ranging from 20 m^(2)/g to 200 m^(2)/g). One exemplary redox oxide containing both first and second oxides is represented by composition as WO_(3)-CeO_(2)-ZrO_(2).」
(当審仮訳:[0020]第1及び第2の酸化物並びにゼオライトは、自動車の排ガス温度で安定であり、選択触媒還元(SCR)を示し、尿素注入と共に使用することができる。これらの触媒は、最適なNOx還元性能のために、NH_(3)吸着、NOx吸着及びNOx酸化サイトを有する。表面上に吸着されたNH_(3)は、隣接する吸着されたNOxと相互作用する。それによってNOxは窒素およびH_(2)Oに還元される。ゼオライト並びに第1及び第2の酸化物は、異なる温度範囲において、NOxのSCR活性を示す。ゼオライト(例えば、H-ZSM-5)は、より高い温度領域(例えば、400℃、500℃、さらには600℃以上)でNOxの相当な割合を変換し、一方で、第1及び第2の酸化物は、より低い温度領域(例えば、350℃、300℃、さらには250℃未満)でNOxの相当な割合を変換する。別の態様において、HC及びアンモニアガスも、触媒体によって接触還元される。
[0021]ゼオライトと第1及び第2の酸化物を組み合わせることにより、有効なNOx転化率又は還元温度を増大させることができる。少なくとも特定の実施形態では、NOxガスの効果的な低減のために、200℃から600℃の動作温度ウィンドウを示した。対照的に、HZSM-5ゼオライト単独の変換温度ウィンドウの最下限値は約325℃である。変換温度ウィンドウの最下限値を広げることは、ディーゼル排気ガスのようなエンジン排気を処理するのに特に有利であり得る。
[0022]第1及び第2の酸化物は、典型的には、大きな表面積(20m^(2)/gから200m^(2)/gの範囲)を有する。第1及び第2の酸化物の両方を含む1つの例示的なレドックス酸化物はWO_(3)-CeO_(2)-ZrO_(2)との組成で表される。)

4 対比
本願発明と引用1発明を対比すると、引用1発明の「セル」、「押出成形されたハニカムユニット」、「NOxを還元するSCRシステムに用いられる触媒担体であるハニカム構造体」は、それぞれ、本願発明の「チャネル」、「ハニカム型」の「押出成形活性担体」、「選択触媒還元(SCR)法により窒素酸化物を還元するための押出成形ハニカム触媒」に相当する。
また、引用1発明の「ハニカムユニットを」「コーティングペースト中に含浸させた後に引き上げて形成した高濃度ゼオライト部」は、担体をコーティングペーストに含浸させて引き上げて皮膜を形成することをウォッシュコートと称するとの技術常識を踏まえると、本願発明の「押出成形活性担体に塗布される」「ウォッシュコートコーティング」に相当する。
そして、引用1発明の「SCR触媒であるFeゼオライト粒子」は、本願発明の「第1のSCR触媒活性成分」であって、「前記第1のSCR触媒活性成分」として「(iii)Fe-またはCu-ゼオライト触媒」が「選択され」ることに相当する。
したがって、本願発明は、引用1発明と、
「第1のSCR触媒活性成分を含むハニカム型で、運転中に排気ガスが流れる複数のチャネルを有する押出成形活性担体と、前記押出成形活性担体に塗布されるウォッシュコートコーティングとを含む、自動車からの排気ガスにおいて選択触媒還元(SCR)法により窒素酸化物を還元するための押出成形ハニカム触媒であって、前記第1のSCR触媒活性成分は、
(i)触媒活性成分としてバナジウムを含むバナジウム触媒;
(ii)触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒;または
(iii)Fe-またはCu-ゼオライト触媒
から選択された、ハニカム触媒」の点で一致し、以下の点で相違している。
(相違点)
本願発明では、ウォッシュコートコーティングには、「第2のSCR触媒活性成分」を含有しており、「前記第2のSCR触媒活性成分」は、
「(i)触媒活性成分としてバナジウムを含むバナジウム触媒;
(ii)触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒;または
(iii)Fe-またはCu-ゼオライト触媒
から選択され、
第1のSCR触媒活性成分がCu-ゼオライト触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分が(i)触媒活性成分としてバナジウムを含むバナジウム触媒;または(ii)触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒であり;
第1のSCR触媒活性成分がFe-ゼオライト触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分が(i)触媒活性成分としてバナジウムを含むバナジウム触媒;または(ii)触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒であり;
第1のSCR触媒活性成分が混合型酸化物触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分が(iii)Fe-もしくはCu-ゼオライト触媒であり;並びに
第1のSCR触媒活性成分がバナジウム触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分が(iii)Fe-もしくはCu-ゼオライト触媒である」のに対して、
引用1発明では、ウォッシュコートコーティング(高濃度ゼオライト部)には、「SCR触媒であるFeゼオライト粒子」を含有している点。

5 判断
引用文献3には、上記3(3)ア?ウの記載によれば、エンジン排気システムで使用するための押出成形ハニカム触媒体に関して、ゼオライトは高温領域で安定な選択触媒還元(SCR)を示し、酸化タングステン、酸化バナジウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の酸化物、並びに、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化ジルコニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2の酸化物は、低温領域で安定な選択触媒還元(SCR)を示し、第1及び第2の酸化物並びにゼオライトを組み合わせることにより、有効な温度領域を増大させることができることが記載されており、さらに、1つの実施形態として、押出成形ハニカム触媒体の本体に設けられた外層を第1及び第2の酸化物並びにゼオライトとの混合物とすることや、第1及び第2の酸化物として、WO_(3)-CeO_(2)-ZrO_(2)を用いることも記載されている。
ここで、引用文献3の「WO_(3)-CeO_(2)-ZrO_(2)」は、酸化セリウム及び酸化ジルコニウムを含み、選択触媒還元(SCR)を示すことから、本願発明の「(ii)触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒」からなる「第2のSCR触媒活性成分」に相当するものといえる。
そして、当該技術分野において、選択触媒還元の温度領域を増大させることは自明の課題であるから、引用文献3に記載された上記技術的事項を適用して、引用1発明の高濃度ゼオライト部(ウォッシュコートコーティング)に、Feゼオライト粒子に加えて、「WO_(3)-CeO_(2)-ZrO_(2)」を更に含有させることで、本願発明の「第2のSCR触媒活性成分を含むウォッシュコートコーティング」であって、「第1のSCR触媒活性成分がFe-ゼオライト触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分が」「(ii)触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒であ」るとの特定事項をなすことは、当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 請求人の主張に対する検討
請求人は、「本願請求項に係る触媒は、第1のSCR触媒活性成分がCu-ゼオライト触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分が触媒活性成分としてバナジウムを含むバナジウム触媒;または触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒であり;第1のSCR触媒活性成分がFe-ゼオライト触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分が触媒活性成分としてバナジウムを含むバナジウム触媒;または触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒であり;第1のSCR触媒活性成分が混合型酸化物触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分がFe-もしくはCu-ゼオライト触媒であり;並びに第1のSCR触媒活性成分がバナジウム触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分がFe-もしくはCu-ゼオライト触媒である。
しかし、引用文献2-5は、上述した本願請求項に係る触媒の特徴を開示も示唆もしていない。
更に、本願請求項に係る触媒は、押出成形活性担体及びウォッシュコートコーティングがFe-ゼオライト触媒から形成されている触媒ではなく、押出成形活性担体及びウォッシュコートコーティングがCu-ゼオライト触媒から形成されている触媒でもない。従って、引用文献1は、本願請求項に係るバナジウム触媒及び混合型酸化物触媒を開示しておらず、引用文献2-5の記載を引用文献1に係る発明にいかに組み合わせたとしても本願請求項に係る発明を容易に想到することができなかったものと思料する。」ことを主張している(審判請求書第5頁末行?第6頁第20行)。
この点について検討するに、本願発明は、「第1のSCR触媒活性成分を含むハニカム型で、運転中に排気ガスが流れる複数のチャネルを有する押出成形活性担体と、前記押出成形活性担体に塗布される、第2のSCR触媒活性成分を含むウォッシュコートコーティングとを含む、自動車からの排気ガスにおいて選択触媒還元(SCR)法により窒素酸化物を還元するための押出成形ハニカム触媒」を特定事項として含むものであり、「第1のSCR触媒活性成分を含む」「押出成形活性担体」も、「第2のSCR触媒活性成分を含むウォッシュコートコーティング」も、他のSCR触媒活性成分を含む場合を包含するものである。
そして、上記5で検討したとおり、引用1発明の高濃度ゼオライト部(ウォッシュコートコーティング)に、Feゼオライト粒子に加えて、WO_(3)-CeO_(2)-ZrO_(2)(混合型酸化物触媒からなる第2のSCR触媒活性成分)を更に含有させることで、本願発明の「第2のSCR触媒活性成分を含むウォッシュコートコーティング」であって、「第1のSCR触媒活性成分がFe-ゼオライト触媒である場合、第2のSCR触媒活性成分」を「触媒活性成分として酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タングステンの1種もしくは複数種を含む混合型酸化物触媒」とすることは、当業者が容易に想到し得ることであるから、請求人の上記主張は採用できない。

第4 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2020-02-28 
結審通知日 2020-03-03 
審決日 2020-03-16 
出願番号 特願2016-191518(P2016-191518)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B01J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西山 義之吉野 涼  
特許庁審判長 服部 智
特許庁審判官 宮澤 尚之
後藤 政博
発明の名称 押出成形ハニカム触媒  
代理人 園田・小林特許業務法人  

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