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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08L
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08L
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C08L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08L
管理番号 1364914
異議申立番号 異議2019-700408  
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-09-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-05-21 
確定日 2020-07-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6426855号発明「エチレンポリマー、モノペルオキシカーボネートおよびt-アルキルヒドロペルオキシドを含む硬化性組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6426855号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?7〕について訂正することを認める。 特許第6426855号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第6426855号(平成28年2月24日を国際出願日とする特許出願、優先権主張:2015年3月23日 中国(CN))は、平成30年11月2日付けでその特許権の設定登録がされ、同年11月21日にその特許公報が発行され、その後、請求項1?7に係る特許に対して、令和元年5月21日に特許異議申立人 小池良(以下、「申立人」という。)から特許異議の申立てがなされたものである。そして、その後の経緯は以下のとおりである。

令和元年 7月22日付け:取消理由の通知
同年10月23日 :訂正の請求及び意見書の提出(特許権者)
同年11月29日 :意見書の提出(申立人)
同年12月26日付け:取消理由の通知<決定の予告>
令和2年 4月 6日 :意見書の提出(特許権者)

第2 令和元年10月23日提出の訂正請求書による訂正の可否
当審は、令和元年12月26日付けの取消理由の通知<決定の予告>において、上記訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)について、これを認める旨の判断をした。本決定においても、同旨により、本件訂正を認める。

第3 本件訂正後の請求項1?7に係る発明
本件訂正により訂正された訂正請求項1?7に係る発明(以下、「本件訂正発明1」等という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?7に記載された以下の事項によって特定されるとおりのものである。

【請求項1】
(a) 少なくとも1つのエチレンポリマー、
(b) 少なくとも1つのモノペルオキシカーボネート、
(c) 100重量部の成分(b)に対して、0.05から0.2重量部の少なくとも1つのt-アルキルヒドロペルオキシド
を含み、
エチレンポリマーが、エチレン/酢酸ビニルコポリマーである
硬化性組成物。
【請求項2】
モノペルオキシカーボネートが、OO-t-ブチル-O-2-エチルヘキシル-モノペルオキシカーボネート(TBEC)、OO-t-ブチル-O-2-イソプロピル-モノペルオキシカーボネート(TBIC)、OO-t-アミル-O-2-エチルヘキシル-モノペルオキシカーボネート(TAEC)、OO-t-アミル-O-2-イソプロピル-モノペルオキシカーボネート(TAIC)およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
t-アルキルヒドロペルオキシドが、t-ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)、t-アミルヒドロペルオキシド(TAHP)、t-ヘキシルヒドロペルオキシド(THHP)、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシド(TOHP)、パラメンタンヒドロペルオキシド(PMHP)、2,5-ジメチル-2,5-ジ-ヒドロペルオキシド(2,5-2,5)およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
100重量部の成分(b)に対して、0.1から0.2重量部の少なくとも1つのt-アルキルヒドロペルオキシドを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(a)少なくとも1つのエチレンポリマーおよび(b)少なくとも1つのモノペルオキシカーボネートを含む硬化性組成物のスコーチを防止するためのt-アルキルヒドロペルオキシドの使用であって、t-アルキルヒドロペルオキシドが、100重量部の成分(b)に対して0.05から0.2重量部であり、エチレンポリマーが、エチレン/酢酸ビニルコポリマーである、前記使用。
【請求項6】
(a)少なくとも1つのエチレンポリマーおよび(b)少なくとも1つのモノペルオキシカーボネートを含む硬化性組成物のスコーチを防止する方法であって、組成物に、少なくとも1つのt-アルキルヒドロペルオキシドを、100重量部の成分(b)に対して0.05から0.2の重量部の量で添加する工程を含み、エチレンポリマーが、エチレン/酢酸ビニルコポリマーである、前記方法。
【請求項7】
80から150℃の間の温度で請求項1から4のいずれかに記載の組成物を押出す工程を含む、太陽電池封入材料またはシーラントの製造方法。

第4 令和元年12月26日付けの取消理由について
1 取消理由の内容
当審は、令和元年12月26日付けの取消理由<決定の予告>において、本件訂正発明1?7に係る特許は、以下の理由により取り消すべきものである旨通知した。

「D (実施可能要件)本件特許は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消すべきものである。
E (サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消すべきものである。
以下、その理由を示す。

1 本件明細書の記載事項
本件発明の詳細な説明には、以下の記載がある。

2 特表2019-529630号公報の記載事項
本件出願後に本件出願人と同一の出願人により出願され、公開された特表2019-529630号公報(以下、「公報1」という。)には、以下の記載がある。

3 理由Dについて

(4)そうすると、本件発明の詳細な説明の記載からは、本件訂正発明1は本件請求項1の規定を満たしさえすれば本件訂正発明1の課題を解決することができるのか否か、理解することができない。
さらに、本件実施例と公報1の実施例とを対比すると、上記(2)で述べた「モノペルオキシカーボネート」に対する「t-アルキルヒドロペルオキシド」の配合比の相違のみならず、硬化温度(本件実施例:105℃(【0032】)、公報1の実施例:115℃及び145℃(【0082】))において相違するものである。しかし、硬化温度については本件訂正発明1には規定されておらず、本件発明の詳細な説明の記載からは、硬化温度105℃以外の条件下で本件訂正発明1の課題を解決することができるのか否か、理解することができない。
このため、本件発明の詳細な説明は、本件訂正発明1を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない。
「t-アルキルヒドロペルオキシドが、100重量部の成分(b)に対して0.05から0.2重量部」及び「t-アルキルヒドロペルオキシドを、100重量部の成分(b)に対して0.05から0.2の重量部の量で添加する」との規定がある本件訂正発明5及び6、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2?4及び7についても同様である。

(5)したがって、本件訂正発明1?7に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないものに対してなされたものであり、取り消すべきものである。

4 理由Eについて

(3)本件実施例と公報1の実施例とを対比すると、上記(2)で述べた「モノペルオキシカーボネート」に対する「t-アルキルヒドロペルオキシド」の配合比の相違のみならず、硬化温度(本件実施例:105℃(【0032】)、公報1の実施例:115℃及び145℃(【0082】))において相違するものである。
公報1の実施例の記載を勘案すると、本件発明の詳細な説明の記載からは、本件訂正発明1が、硬化温度105℃以外の条件下においても、本件実施例と同等の物性を有するものとなると解しうる根拠を見いだすことができない。
すなわち、本件発明の詳細な説明からは、本件訂正発明1が硬化温度105℃で実施したことが記載されているといえるものの、それ以外の硬化温度で実施したことが記載されているとまではいえない。
このため、本件訂正発明1は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえない。
「t-アルキルヒドロペルオキシドが、100重量部の成分(b)に対して0.05から0.2重量部」及び「t-アルキルヒドロペルオキシドを、100重量部の成分(b)に対して0.05から0.2の重量部の量で添加する」との規定がある本件訂正発明5及び6、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2?4及び7についても同様である。

(4)したがって、本件訂正発明1?7に係る特許は、本件発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないものに対してなされたものであり、取り消すべきものである。」

2 判断
(1)理由Dについて
<決定の予告>において示したとおり、公報1は本件出願後に出願されたものである。本件出願時の技術常識をもって本件訂正発明の実施可能要件について検討すると、本件発明の詳細な説明の記載事項によって本件訂正発明が実施可能と判断しうるのであれば、後願である公報1の記載事項との間に矛盾が生じているとしても、本件訂正発明が実施可能であることを覆すことができるとはいえない。
そして、本件発明の詳細な説明の記載からは、例えば実施例として硬化温度105℃の条件下でしか示されていないが、TAHP/TAECが0.09?0.20%の場合は、0.02%や0.75%以上の場合よりも、スコーチ時間(tc10)が増加したことが具体的に示されており(【表1】)、成分(c)を「100重量部の成分(b)に対して、0.05から0.2重量部」とした場合、「EVAの架橋密度を改善でき」、「架橋反応の速度を損なうことなく、…ヒドロペルオキシドのスコーチ防止効果が顕著に増大することを見出し」、「膜の均一性は満足できるものであり、実質的に気泡がない」ことを見いだし(【0012】)、「EVAのようなエチレンポリマーと上記過酸化物とを含む組成物を押出機でスコーチング無しに高速な吐出速度で加工することができる」(【0013】)との課題を解決することを理解しうる。
また、硬化温度については、本件訂正発明が実施例で用いられた温度105℃においてのみ本件訂正発明の課題を解決しうるものと解される根拠が、本件出願時において存在したと解することはできない。
このため、本件発明の詳細な説明は、本件訂正発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものでないとはいえない。

(2)理由Eについて
上記(1)で検討したことと同様、後願である公報1の記載事項との間に、スコーチを効果的に防止できるTAHP/TAECの比の点で矛盾が生じているとしても、実施例で用いられた温度105℃以外の温度条件下で本件訂正発明が所望の性質を有し得ないと解される根拠が、本件出願時において存在したと解することはできない。
このため、本件訂正発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないとはいえない。

3 まとめ
したがって、本件訂正発明1?7に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないものとも、本件発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないものともいうことができない。
よって、上記<決定の予告>で示した取消理由D及びEには、理由がない。

第5 異議申立理由について
事案に鑑み、異議申立理由について先に検討し、次いで令和元年7月22日付け取消理由について検討する。

1 異議申立理由の概要
異議申立理由は、概要以下のとおりである。
甲第1号証:特許第5407877号公報
甲第2号証:日油株式会社「EVA封止材におけるスコーチ防止」と題する
技術資料、2010年2月
甲第3号証:P.Posadas, et al.,Polymer International, 62 909-918
(2013)
甲第4号証:D.K.Hyslop, et al.,Macromolecules, 45 8147-8154 (2012)
甲第5号証:D.L.Marshall, et al.,Organic & Biomolecular Chemistry,
9 4936-4947 (2011)
甲第6号証:E.C.McLaughlin, et al., Journal of Organic Chmistry,
74 730-738 (2009)
(以下、甲第1?6号証を「甲1」?「甲6」という。)

・申立ての理由1
本件発明1?3、5?7は、甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、同項の規定に違反して特許されたものである。
よって、本件発明1?3、5?7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
・申立ての理由2
本件発明1?3、5?7は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、同項の規定に違反して特許されたものである。
よって、本件発明1?3、5?7に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
・申立ての理由3
本件発明1?3、5?7は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、同項の規定に違反して特許されたものである。
よって、本件発明1?3、5?7に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
・申立ての理由4
本件発明1?7は、特許法第36条第6項第1号及び同条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、同項の規定に違反して特許されたものである。
よって、本件発明1?7に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
・申立ての理由5
本件発明4は、甲1に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。
よって、本件発明4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

2 申立ての理由1及び5について
(1)甲1の記載事項
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸ビニルより形成される構造単位を15?40質量%有するエチレン-酢酸ビニル共重合体である成分(a)と、該成分(a)を架橋させる架橋反応成分とを含有するエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物であって、
前記架橋反応成分は、パーオキシモノカーボネート、パーオキシケタール又はパーオキシエステルであって鎖状又は脂環状の有機過酸化物である成分(b)及び鎖状又は脂環状のハイドロパーオキサイドである成分(c)で構成されていることを特徴とするエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物。
【請求項2】
前記架橋反応成分である成分(b)及び成分(c)の総量が成分(a)エチレン-酢酸ビニル共重合体100質量部に対して0.5?10質量部であり、かつ成分(b)100質量部に対する成分(c)の含有量が4?50質量部である請求項1に記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物。」

イ 「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物の形成時におけるスコ-チを効果的に防止し、架橋物を生産性良く製造可能なエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物、特に太陽電池封止材の製造に好適に用いられるエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物に関する。さらに、適用材料に対する密着性に優れると共に、着色が抑制され、太陽電池用封止材に適した架橋物に関する。」

ウ「【0014】

<成分(b):有機過酸化物>
成分(b)の有機過酸化物は、成分(a)を架橋させる架橋反応成分であり、パーオキシモノカーボネート、パーオキシケタール又はパーオキシエステルであって鎖状又は脂環状の有機過酸化物である。…

【0016】
該有機過酸化物として具体的には、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート(炭素数13)、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート(炭素数14)、…t-ブチルパーオキシ-イソプロピルモノカーボネート(炭素数8)、t-アミルパーオキシ-イソプロピルモノカーボネート(炭素数9)、…等のパーオキシモノカーボネート類、…が例示される。これらの有機過酸化物から選択される1種又は2種以上が使用される。
【0017】
これらの有機過酸化物の中では低温硬化タイプ、すなわち有機過酸化物として10時間半減期温度が低く、低温でも架橋効率の高い有機過酸化物が、架橋物を生産性良く製造できる点で好ましい。そのような有機過酸化物としては、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート(10時間半減期温度:99.0℃)、…が挙げられる。

【0018】

<成分(c):ハイドロパーオキサイド>

【0019】
ハイドロパーオキサイドとして具体的には、t-ブチルハイドロパーオキサイド(炭素数4)、t-アミルハイドロパーオキサイド(炭素数5)、t-ヘキシルハイドロパーオキサイド(炭素数6)、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド(炭素数8)、p-メンタンハイドロパーオキサイド(炭素数10)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ハイドロパーオキシ)ヘキサン(炭素数8)等が例示される。これらのハイドロパーオキサイドの中では、単位質量当たりのスコーチ防止効果が大きい点からt-ブチルハイドロパーオキサイドが好ましい。

【0021】
加えて、スコーチを一層効果的に防止しながら架橋物を生産性良く成形できるという観点から、成分(b)100質量部に対する成分(c)の含有量は4?50質量部が好ましく、4?20質量部がさらに好ましい。成分(c)の含有量が50質量部を上回る場合には、架橋反応性が低下し、架橋度の高い架橋物を効率良く得ることが難しくなる。一方、成分(c)が4質量部を下回る場合には、スコーチ防止効果が低下し、スコーチが生じ易くなる。」

エ 「【0024】

<エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物の成形方法>
次に、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物の代表的な成形方法について説明する。
【0025】
まず、成分(a)のエチレン-酢酸ビニル共重合体を加熱したカレンダーロールによりシート化又はフィルム化する。続いて、成分(b)の有機過酸化物及び成分(c)のハイドロパーオキサイドを添加して5分間切り返しながら混練する。このときの温度は、架橋剤が熱により分解しない或いはほとんど反応しない温度範囲に制御し、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物の未架橋物を成形する。
【0026】
前記混練の手段としては公知の方法が全て利用可能であるが、Tダイ押出機、カレンダーロール機等を用いる方法が好ましい。さらに、前記エチレン-酢酸ビニル共重合体のシート又はフィルムの表面は、べたつき防止や脱気効果を上げるために、エンボス模様等の凹凸を形成させることができる。
〔エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物の架橋物〕
次に、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物の架橋物について説明する。
【0027】
前記エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物の成形方法で得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物の未架橋物を加熱して架橋させることにより、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物の架橋物が得られる。この架橋物は、前記エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物の性質に基づいて適用材料に対する密着性が優れると共に、透明性が優れている。該架橋物は特に太陽電池用封止材の各素子に対する密着性に優れると同時に、着色が抑制されているため、太陽電池用封止材の用途には好適である。
〔実施形態における効果のまとめ〕
(1) 実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物は、エチレン-酢酸ビニル共重合体である成分(a)と、該成分(a)を架橋させる架橋反応成分とを含有し、架橋反応成分が前述の有機過酸化物である成分(b)及び前述のハイドロパーオキサイドである成分(c)で構成されている。従って、重合禁止剤や架橋助剤を用いることなく、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物の形成時におけるスコ-チを効果的に防止することができ、架橋物を生産性良く製造することができる。」

オ 「【実施例】
【0031】
以下、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
各実施例及び比較例で使用した成分(a)のエチレン-酢酸ビニル共重合体、成分(b)の有機過酸化物及び成分(c)のハイドロパーオキサイドの略号を以下に示す。
【0032】
EVA:エチレン-酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル構造単位の含有量28%)
BuE:t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキシルモノカーボネート(純度98%)
25B:2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(純度92%)
HC:1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(純度70%)
B355::t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート
(純度98%)
BZ:t-ブチルパーオキシベンゾエート(純度99%)
TBHP:t-ブチルハイドロパーオキサイド(純度96%)
TAHP:t-アミルハイドロパーオキサイド(純度90%)
THHP:t-ヘキシルハイドロパーオキサイド(純度98%)
TOHP:1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド(純度97%)
25H:2,5-ジメチル-2,5-ジ(ハイドロパーオキシ)ヘキサン(純度98%)
PMH:p-メンタンハイドロパーオキサイド(純度99%)
CHP:クメンハイドロパーオキサイド(純度96%)
また、スコーチ時間、最大トルク及び着色性の評価は次に示す方法により行った。
(1)スコーチ時間
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物の形成時(混練時)におけるスコーチ時間を測定した。即ち、JSRトレーディング(株)製のキュラストメータV型を用いて上型及び下型の温度を設定し、±1°の振幅角度でトルク測定を行った。このときのトルク値が0.07N・mに達するまでの時間をスコーチ時間とした。
(2)最大トルク
エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物から架橋物を形成したときの最大トルクを測定した。即ち、JSRトレーディング(株)製のキュラストメータV型を用いて上型及び下型の温度を有機過酸化物の種類に応じて所定の温度に設定し、トルクが最大となる点を最大トルクとした。
(3)着色性
JSRトレーディング(株)製のキュラストメータV型を用いて最大トルクを測定した後、得られた架橋物を次の2段階の評価基準で判定した。
【0033】
○:透明感がある。
×:着色ないし不透明感がある。

【0035】

(実施例4?8及び比較例2)
EVA、BuE及びTBHPを表2に記載した組成で混練してエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物を形成した。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体組成物を加熱して太陽電池用封止材に適した架橋物を得た。実施例4?8で得られた架橋物は、適用材料に対する密着性に優れると共に、前述した着色性の評価方法に基づく着色性に優れていた。そして、スコーチ時間と最大トルクを前記方法にて下記の条件下に測定し、それらの結果を表2に示した。
【0036】
スコーチ時間:キュラストメータの上型、下型共に130℃に設定した。
最大トルク:キュラストメータの上型、下型共に150℃に設定した。
【0037】
【表2】

表2に示したように、実施例4?8では、成分(c)のTBHPをEVA100質量部に対して0.01?0.5質量部の範囲で添加したことから、最大トルクを実用性のある範囲内に維持しながら、TBHPを添加しない比較例2に比べてスコーチ時間を改善できることが明らかとなった。」

(2)甲1に記載された発明との対比及び判断
ア 本件訂正発明1
(ア)甲1の実施例4(上記(1)オ)から、甲1には、以下の甲1発明が記載されていると認められる。
「(a) エチレン/酢酸ビニルコポリマー、
(b) BuE:t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキシルモノカーボネート(純度98重量%)、
(c) 2.5重量部の成分(b)に対して、0.01重量部のTBHP:t-ブチルハイドロパーオキサイド(純度96重量%)
を含む、
架橋反応性の組成物。」

(イ)甲1発明の「BuE:t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキシルモノカーボネート」と「TBHP:t-ブチルハイドロパーオキサイド」は、それぞれ本件訂正発明1の「モノペルオキシカーボネート」と「t-アルキルヒドロペルオキシド」に相当する。
また、甲1発明の「架橋反応性」は、本件訂正発明1でいう「硬化性」に相当する。
そうすると、本件訂正発明1と甲1発明とは以下の点で一致する。
「(a) 少なくとも1つのエチレンポリマー、
(b) 少なくとも1つのモノペルオキシカーボネート、
(c) 少なくとも1つのt-アルキルヒドロペルオキシド
を含み、
エチレンポリマーが、エチレン/酢酸ビニルコポリマーである
硬化性組成物。」
そして、両者は以下の点で相違する。
相違点:本件訂正発明1は「100重量部の成分(b)に対して、0.05から0.2重量部」の成分(c)を含むのに対し、甲1発明は「2.5重量部の成分(b)に対して、0.01重量部」の「純度96重量%」の成分(c)を含む点。

(ウ)この相違点について検討する。
甲1発明におけるBuEとTBHPの配合比は、BuEの純度が98%、TBHPの純度が96%であることを勘案すると、BuE100重量部に対してTBHP0.39重量部となる。
そして、TBHPの配合量をBuE100重量部に対して「0.05から0.2重量部」とすることは、甲1のいずれの記載からも示唆されない。
このため、本件発明1は甲1発明であるということはできない。

(エ)また、甲1には、本件発明1の成分(b)に相当する「パーオキシモノカーボネート、パーオキシケタール又はパーオキシエステルであって鎖状又は脂環状の有機過酸化物である成分(b)」、及び、本件発明1の成分(c)に相当する「鎖状又は脂環状のハイドロパーオキサイドである成分(c)」において、「成分(b)100質量部に対する成分(c)の含有量が4?50質量部である」(【請求項2】:上記(1)ア)、「スコーチを一層効果的に防止しながら架橋物を生産性良く成形できるという観点から、成分(b)100質量部に対する成分(c)の含有量は4?50質量部が好ましく、4?20質量部がさらに好ましい。成分(c)の含有量が50質量部を上回る場合には、架橋反応性が低下し、架橋度の高い架橋物を効率良く得ることが難しくなる。一方、成分(c)が4質量部を下回る場合には、スコーチ防止効果が低下し、スコーチが生じ易くなる。」(【0021】:上記(1)ウ)と記載されていることに鑑みると、甲1発明において、成分(c)を「100重量部の成分(b)に対して、0.05から0.2重量部」含むようにすることは、当業者が容易に想到し得ることということはできない。
このため、本件発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

イ 本件訂正発明2?3、5?7
本件訂正発明2?3、5?7は、いずれも本件訂正発明1を引用し、更に限定するものである。そして、上記アに示したことと同様の理由により、本件訂正発明2?3、5?7は、甲1発明であるとも、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいうことはできない。

ウ 本件訂正発明4
本件訂正発明4は、本件訂正発明1を引用し、更に限定するものである。
そして、上記アで示した相違点である、TBHPすなわち成分(c)の配合量をBuEすなわち成分(b)100重量部に対して「0.05から0.2重量部」とすることは、甲1のいずれの記載からも、また、いずれの技術常識からも、当業者が容易に想到しうるものとはいえない。
このため、その余の相違点の如何に関わらず、本件訂正発明4は、甲1発明から当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

エ まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正発明1?3、5?7に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものとはいえず、また、本件訂正発明4に係る特許は、同条第2項の規定に違反してされたものとはいえない。
よって、申立ての理由1及び5には、理由がない。

3 申立ての理由2について
申立ての理由2は、要するに、請求項1、5、6の成分(c)の添加量の規定の上限に「未満」との文言があるため、係る添加量の数値限定が不明確である、というものである。
しかし、本件訂正により、請求項1、5、6からは「未満」との規定はなくなった。
よって、申立ての理由2には、理由がない。

4 申立ての理由3について
申立ての理由3に関し、申立人は以下のとおり主張する。
「…実施例には、TAHP(成分(c))がTAEC(成分(b))に対して0.75重量%より低い実施例では,0.20重量%の実施例しかなく、0.20重量%超?0.75重量%未満におけるスコーチ時間は空白となっている。

以上の記載を踏まえると、「成分(c)の添加量が0.4重量%未満になるとスコーチ時間が顕著に延びる」という根拠は本特許明細書に存在しない。実際、成分(c)の添加量が0.4重量%の場合とか0.39重量%の場合にスコーチ時間がどうなっているのかは記載がないのでわからないし、実施例では「0.75重量%に達するとスコーチ時間が長くなる」としか記載されていないのである。
ゆえに、本特許の請求項1?3、5?7の各発明は明細書の記載によって十分にサポートされておらず、特許法第36条第6項第1号の記載に反する。」(申立書14頁15行?15頁6行)
しかし、本件訂正により、成分(c)の添加量の規定の上限は「0.2重量%」となった。したがって、上記主張には、その根拠がない。
よって、申立ての理由3には、理由がない。

5 申立ての理由4について
(1)申立人は、甲2?6を引用しつつ、「本発明実施例における…現象は、既存のラジカル捕捉剤で確認されるようなスコーチ性能がラジカル捕捉剤添加量に依存する挙動とは全く異なっている。また、この挙動は、ラジカル捕捉剤の反応機構では説明できない。
ゆえに、本特許発明は当業者が容易に実施できるものではなく、また明細書によって十分にサポートされていない。」(申立書30頁18?23行)と主張する。
しかし、甲3?6に記載されたラジカル反応の反応機構は、本件訂正発明の「モノペルオキシカーボネート」と「t-アルキルヒドロペルオキシド」とを用いたものではない。そして、甲3?6に記載された反応の傾向が、本件訂正発明の「モノペルオキシカーボネート」と「t-アルキルヒドロペルオキシド」とを用いた反応系においても同等に生じると解される根拠を見いだすことができない。
また、甲2のいずれの記載にも、「本発明実施例における…現象は、既存のラジカル捕捉剤で確認されるようなスコーチ性能がラジカル捕捉剤添加量に依存する挙動とは全く異なっている」ことと解しうる根拠は見いだせない。
したがって、上記主張は採用できない。

(2)次に、申立人は、「かりに特許明細書のTAHP(成分(c)=ラジカル捕捉剤)の添加量を変更した実施例および比較例が示されているのだが、TAHP以外の成分(c)を用いた実験データは一切存在しない。
この状況では、かりに特許明細書のTAHPを用いた実験結果が正しいものであると仮定した場合には、少量(すなわち0.4%未満あるいは0.20%以下)のTAHPには、当業者には未知のきわめて異例なスコーチ防止機構が存在するということになる。これとともに、TAHPを0.2重量%超添加した場合には、スコーチ防止作用が急激に消滅し、かつペルオキシドによるラジカル架橋反応が事実上停止するという、当業者には未知のきわめて異例な架橋機構が存在することになる。
このような発明を、成分(c)がTAHP以外の場合まで拡大させることについては、当業者が容易に実施できるものではなく、また明細書に十分なサポートがあるとは言い難い。」(申立書31頁7?16行)と主張する。
しかし、本件発明の詳細な説明に示された実施例で得られたデータに何らかの疑義が存在することは、本件発明の詳細な説明並びに本件出願時における技術常識からは何ら伺い知ることはできない。
また、【0022】には「本発明による組成物の第3の成分はt-アルキルヒドロペルオキシドであり、それは、例えば、t-ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)、t-アミルヒドロペルオキシド(TAHP)、t-ヘキシルヒドロペルオキシド(THHP)、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシド(TOHP)、パラメンタンヒドロペルオキシド(PMHP)、2,5-ジメチル-2,5-ジ-ヒドロペルオキシド(2,5-2,5)およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。好ましくは、t-アルキルヒドロペルオキシドはTAHPである。」と記載されており、これらの成分を用いた反応系が、TAHPを用いた際と同等の挙動を示さないと解しうる技術常識は見当たらない。
したがって、上記主張は採用できない。

(3)以上のことから、申立ての理由4には、理由がない。

6 まとめ
以上検討したとおり、申立人が主張する申立ての理由1?5には、いずれも理由がなく、これらの理由によって、本件訂正発明1?7の特許を取り消すことはできない。

第6 令和元年7月22日付け取消理由について
当審は令和元年7月22日付け取消理由通知において、概要以下のとおりの取消理由を通知した。
「A (新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
B (進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
C (明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消すべきものである。

引用例1:特許第5407877号公報(甲第1号証)

2 理由A、Bについて

(3)まとめ
したがって、本件発明1?3、5?6は引用例1に記載された発明であるから特許法第29条第1項第3号に該当する。そうでないとしても、本件発明2?3、5?6は引用例1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。また、本件発明7は引用例1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件発明1?3、5?7に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

3 理由Cについて
本件発明2に関し、請求項2には、「例えば」、「好ましくは」との文言に続く規定が存在するが、これは係る規定が本件発明2の構成の一部であるのか否か確定できない。
本件発明3についても同様である。
したがって、本件発明2、3、及びこれらのいずれかを引用する本件発明4、7は、明確でない。
よって、本件発明2?4、7に係る特許は、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。」

1 理由A及びBについて
本件訂正発明1?3、5?6については、上記第5 2の申立ての理由1と同旨により、理由がない。
本件訂正発明7については、上記第5 2(2)アで示した相違点は、同ウで示したとおり、当業者が容易に想到しうるものとはいえない。このため、本件訂正発明7に係る理由Bは、理由がない。

2 理由Cについて
本件訂正により、請求項2及び3には、「例えば」、「好ましくは」との文言に続く規定が存在しないものとなった。このため、上記理由Cには理由がない。

3 まとめ
以上検討したとおり、令和元年7月22日付け取消理由A?Cには、いずれも理由がなく、これらの理由によって、本件訂正発明1?7の特許を取り消すことはできない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、異議申立ての理由及び当審からの取消理由によっては、請求項1?7に係る特許を取り消すことはできない。また、他に当該特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 少なくとも1つのエチレンポリマー、
(b) 少なくとも1つのモノペルオキシカーボネート、
(c) 100重量部の成分(b)に対して、0.05から0.2重量部の少なくとも1つのt-アルキルヒドロペルオキシド
を含み、
エチレンポリマーが、エチレン/酢酸ビニルコポリマーである
硬化性組成物。
【請求項2】
モノペルオキシカーボネートが、OO-t-ブチル-O-2-エチルヘキシル-モノペルオキシカーボネート(TBEC)、OO-t-ブチル-O-2-イソプロピル-モノペルオキシカーボネート(TBIC)、OO-t-アミル-O-2-エチルヘキシル-モノペルオキシカーボネート(TAEC)、OO-t-アミル-O-2-イソプロピル-モノペルオキシカーボネート(TAIC)およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
t-アルキルヒドロペルオキシドが、t-ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)、t-アミルヒドロペルオキシド(TAHP)、t-ヘキシルヒドロペルオキシド(THHP)、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシド(TOHP)、パラメンタンヒドロペルオキシド(PMHP)、2,5-ジメチル-2,5-ジ-ヒドロペルオキシド(2,5-2,5)およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
100重量部の成分(b)に対して、0.1から0.2重量部の少なくとも1つのt-アルキルヒドロペルオキシドを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(a)少なくとも1つのエチレンポリマーおよび(b)少なくとも1つのモノペルオキシカーボネートを含む硬化性組成物のスコーチを防止するためのt-アルキルヒドロペルオキシドの使用であって、t-アルキルヒドロペルオキシドが、100重量部の成分(b)に対して0.05から0.2重量部であり、エチレンポリマーが、エチレン/酢酸ビニルコポリマーである、前記使用。
【請求項6】
(a)少なくとも1つのエチレンポリマーおよび(b)少なくとも1つのモノペルオキシカーボネートを含む硬化性組成物のスコーチを防止する方法であって、組成物に、少なくとも1つのt-アルキルヒドロペルオキシドを、100重量部の成分(b)に対して0.05から0.2重量部の量で添加する工程を含み、エチレンポリマーが、エチレン/酢酸ビニルコポリマーである、前記方法。
【請求項7】
80から150℃の間の温度で請求項1から4のいずれかに記載の組成物を押出す工程を含む、太陽電池封入材料またはシーラントの製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-06-25 
出願番号 特願2017-549664(P2017-549664)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (C08L)
P 1 651・ 536- YAA (C08L)
P 1 651・ 113- YAA (C08L)
P 1 651・ 537- YAA (C08L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 水野 明梨  
特許庁審判長 近野 光知
特許庁審判官 大熊 幸治
橋本 栄和
登録日 2018-11-02 
登録番号 特許第6426855号(P6426855)
権利者 アルケマ フランス
発明の名称 エチレンポリマー、モノペルオキシカーボネートおよびt-アルキルヒドロペルオキシドを含む硬化性組成物  
代理人 特許業務法人川口國際特許事務所  
代理人 特許業務法人川口國際特許事務所  

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