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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する C07K
管理番号 1365215
審判番号 訂正2020-390047  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2020-06-16 
確定日 2020-08-14 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6668345号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6668345号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6668345号は、平成27年11月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年11月21日 米国)を国際出願日として出願され、その請求項1-13に係る発明について令和 2年 2月28日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、令和 2年 6月16日に本件の訂正審判が請求されたものである。

第2 請求の趣旨及び訂正の内容

本件審判の請求の趣旨は、特許第6668345号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1-11について訂正することを認める、との審決を求めるものであって、その訂正の内容は、下記訂正事項1及び訂正事項2のとおりである。

1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「(a)該ヒンジが配列番号129、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号130、または配列番号127のアミノ酸配列を含み;」と記載されているのを、「(a)該ヒンジが配列番号129、配列番号21、配列番号23、配列番号130、または配列番号127のアミノ酸配列を含み;」に訂正する(請求項1の記載を直接的または間接的に引用する請求項2-11も同様に訂正する)。

2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「抗体が、配列番号28、34、35、37、55、80、81、84、および159からなる群より選択される修飾された重鎖定常域を含む、請求項1に記載の抗体。」と記載されているのを、「抗体が、配列番号34、35、37、80、81、84、および159からなる群より選択される修飾された重鎖定常域を含む、請求項1に記載の抗体。」に訂正する(請求項2の記載を直接的または間接的に引用する請求項3-10も同様に訂正する)。

第3 当審の判断
1 訂正事項1について
(1) 訂正の目的について
訂正事項1による請求項1の訂正は、訂正前の請求項1にヒンジを構成するアミノ酸配列として択一的に記載されていた配列番号22を削除することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項1による請求項2-11の訂正は、当該択一的に記載されていた配列番号22を削除する訂正後の請求項1を直接的または間接的に引用することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項1の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(1)で述べたとおり、訂正事項1による請求項1の訂正は、訂正前の請求項1にヒンジを構成するアミノ酸配列として択一的に記載されていた配列番号22を削除するものであるから、「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」に記載した事項の範囲内の訂正である。請求項1を引用する請求項2-11についても同様である。
したがって、訂正事項1の訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(1)で述べたとおり、訂正事項1による請求項1の訂正は、訂正前の請求項1にヒンジを構成するアミノ酸配列として択一的に記載されていた配列番号22を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。請求項1を引用する請求項2-11についても同様である。
したがって、訂正事項1の訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4) 独立特許要件について
訂正事項1による請求項1の訂正は、上記(1)で述べたとおり訂正前の請求項1に係る発明の特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、訂正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。請求項1を引用する請求項2-11についても同様である。
したがって、訂正事項1の訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

(5) 小括
以上のとおり、訂正事項1による請求項1-11の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。

2 訂正事項2について
(1) 訂正の目的について
訂正事項2による請求項2の訂正は、訂正前の請求項2に抗体が含む修飾された重鎖定常域のアミノ酸配列として択一的に記載されていた配列番号28及び配列番号55を削除することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項2による請求項3-10の訂正は、当該択一的に記載されていた配列番号28及び配列番号55を削除する訂正後の請求項2を直接的または間接的に引用することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項2の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(1)で述べたとおり、訂正事項2による請求項2の訂正は、訂正前の請求項2に抗体が含む修飾された重鎖定常域のアミノ酸配列として択一的に記載されていた配列番号28及び配列番号55を削除するものであるから、「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」に記載した事項の範囲内の訂正である。請求項2を引用する請求項3-10についても同様である。
したがって、訂正事項2の訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(1)で述べたとおり、訂正事項2による請求項2の訂正は、訂正前の請求項2に抗体が含む修飾された重鎖定常域のアミノ酸配列として択一的に記載されていた配列番号28及び配列番号55を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。請求項2を引用する請求項3-10についても同様である。
したがって、訂正事項2の訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4) 独立特許要件について
訂正事項2による請求項2の訂正は、上記(1)で述べたとおり訂正前の請求項2に係る発明の特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、訂正後の特許請求の範囲の請求項2に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。請求項2を引用する請求項3-10についても同様である。
したがって、訂正事項2の訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

(5) 小括
以上のとおり、訂正事項2による請求項2-10の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。

第4 むすび
したがって、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。

よって、結論のとおりに審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾された重鎖定常領域を含む抗体であって、該修飾された重鎖定常領域が、N末端からC末端の順にCH1ドメイン、ヒンジ、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含み、ここで
(a)該ヒンジが配列番号129、配列番号21、配列番号23、配列番号130、または配列番号127のアミノ酸配列を含み;
(b)該CH1ドメインが配列番号7のアミノ酸配列を含み;
(c)該CH2が配列番号4のアミノ酸配列または配列番号24のアミノ酸配列を含み;かつ
(d)該CH3ドメインが配列番号5またはアミノ酸置換E356DおよびM358Lを有する配列番号5のアミノ酸配列を含むか、または
ここで、(a)、(b)、(c)および(d)で規定されるCH1ドメイン、ヒンジ、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含む、修飾された重鎖定常域が、C末端GKまたはKを欠く、
抗体。
【請求項2】
抗体が、配列番号34、35、37、80、81、84、および159からなる群より選択される修飾された重鎖定常域を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
(i)共刺激受容体に特異的に結合する;(ii)細胞表面分子に特異的に結合し、細胞表面分子の抗体介在性内在化を誘発する;(iii)阻害受容体に特異的に結合する;(iv)細胞表面分子に特異的に結合し、細胞内シグナル伝達を誘発する;(v)細胞表面分子に特異的に結合し、高分子量の抗体-細胞表面分子複合体の形成を誘発する;または(vi)細胞表面分子に特異的に結合し、細胞表面分子のクラスター化またはオリゴマー化を誘発する、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項4】
共刺激受容体が、GITR、OX40、4-1BB、CD28、ICOS、CD40L、CD27、または任意の他のTNFRスーパーファミリーのメンバーであり;細胞表面分子がCD73であり;阻害受容体が、CTLA-4、PD-1、LAG-3、TIM-3、ガレクチン9、CEACAM-1、BTLA、CD69、ガレクチン-1、TIGIT、CD113、GPR56、VISTA、2B4、CD48、GARP、PD1H、LAIR1、TIM-1およびTIM-4であり;または細胞内シグナル伝達がアゴニスト活性、アンタゴニスト活性、細胞表面分子の内在化、またはADCCを仲介する、請求項3に記載の抗体。
【請求項5】
同じ可変領域および軽鎖を有するが、IgG1重鎖定常領域を含む抗体と比べて、増強されたか、または改変されたアゴニスト活性を示す;
同じ可変領域および軽鎖を有するが、IgG1重鎖定常領域を含む抗体と比べて、増強されたか、または改変された内在化特性を有する;
IgG1重鎖定常領域を有する同じ抗体と比べて、より強力な、または改変されたアンタゴニスト活性を示すか、または新たな活性を付与する;
同じ可変領域および軽鎖を有するが、IgG1重鎖定常領域を含む抗体と比べて、より強力な細胞内シグナル伝達を誘発する;
同じ可変領域および軽鎖を有するが、IgG1重鎖定常領域を含む抗体と比べて、高分子量複合体の形成を誘発する;または
同じ可変領域および軽鎖を有するが、IgG1重鎖定常領域を含む抗体と比べて、細胞表面分子のよりクラスター化またはオリゴマー化を誘発する、
請求項1-4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項6】
第二の結合特異性を有する分子に連結された、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗体を含む二重特異性分子。
【請求項7】
第二の薬剤に連結された、請求項1から6のいずれか一項に記載の抗体を含む免疫複合体。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の抗体、二重特異性抗体もしくは免疫複合体および担体を含む、組成物。
【請求項9】
1つ以上のさらなる治療剤をさらに含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載の抗体、二重特異性抗体もしくは免疫複合体を含む、対象を治療するための医薬組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の抗体の製造方法であって、以下の工程:
(a)IgG2ヒンジおよび/またはIgG2 CH1ドメインではない、ヒンジおよび/またはCH1ドメインを含む抗体を提供する工程;
(b)該ヒンジおよび/またはCH1ドメインを、それぞれIgG2ヒンジおよび/またはIgG2 CH1ドメインで置換する工程
を含む、方法。
【請求項12】
細胞による抗体の内在化を増大させる方法であって、
(a)IgG2ヒンジまたはIgG2 CH1ドメインではない、ヒンジおよびCH1ドメインを含む抗体を提供する工程;
(b)該ヒンジおよびCH1ドメインを、それぞれIgG2ヒンジおよびIgG2 CH1ドメインで置換する工程
を含む、方法。
【請求項13】
抗体のアゴニスト活性を増大させる方法であって、
(a)IgG2ヒンジまたはIgG2 CH1ドメインではない、ヒンジおよびCH1ドメインを含む抗体を提供する工程;
(b)該ヒンジおよびCH1ドメインを、それぞれIgG2ヒンジおよびIgG2 CH1ドメインで置換する工程
を含む、方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2020-07-16 
結審通知日 2020-07-22 
審決日 2020-08-04 
出願番号 特願2017-527319(P2017-527319)
審決分類 P 1 41・ 851- Y (C07K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 清野 千秋  
特許庁審判長 田村 聖子
特許庁審判官 山本 晋也
森井 隆信
登録日 2020-02-28 
登録番号 特許第6668345号(P6668345)
発明の名称 修飾された重鎖定常領域を含む抗体  
代理人 稲井 史生  
代理人 稲井 史生  
代理人 山尾 憲人  
代理人 笹倉 真奈美  
代理人 冨田 憲史  
代理人 山尾 憲人  
代理人 笹倉 真奈美  
代理人 冨田 憲史  

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