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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1365258
審判番号 不服2018-9376  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-07-06 
確定日 2020-08-12 
事件の表示 特願2016-533931「奥行き知覚が増強されている観察器」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月19日国際公開、WO2015/022427、平成29年 1月12日国内公表、特表2017-501435〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、2014年(平成26年)8月15日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2013年8月15日 英国(GB))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年 4月11日 :翻訳文の提出
平成29年 5月16日 :手続補正書の提出
平成29年 6月20日付け :拒絶理由通知書
平成29年12月27日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 2月28日付け :拒絶査定(以下、「原査定」という。)
平成30年 7月 6日 :審判請求書の提出
令和 元年 7月26日付け :審尋
令和 2年 1月30日 :回答書の提出

第2 本件発明
本件出願の請求項1?43に係る発明は、平成29年12月27日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?43に記載された事項により特定されるものであるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
拡大されている物体を観察するための観察器であって、
前記観察器は、
対物面に位置する物体の像を生成するための、開口絞りによって規定される径方向範囲を有する対物レンズと、
前記対物レンズからミラー装置へと光が透過することを許容し、前記ミラー装置から返ってくる光の反射を提供する部分透過型反射器と、
前記部分透過型反射器から光成分を受け取り、前記物体の合焦像が前記ミラー装置において生成され、前記ミラー装置によって受け取られる光が前記部分透過型反射器へと反射され、中継されて前記物体の像が生成されるように配置されているミラー装置と、
観察面にある射出瞳において観察者によって観察可能である前記物体の光学像を生成するための観察用レンズ装置と
を備え、
前記対物レンズは、前記対物レンズの光軸が前記対物面に交わる点からの一定の角度であり、前記対物面から前記対物レンズへの前記光軸に沿った距離および前記開口絞りの径方向範囲によって規定されるものとしてのビーム路程角(α)を有し、
前記観察器は、前記ミラー装置の光軸における前記ミラー装置上の一点からの一定の角度であり、前記ミラー装置から前記観察面への前記光軸に沿った距離および前記観察面にある前記射出瞳の径方向範囲によって規定されるものとしての観察角(β)を有し、
前記観察器は、前記ビーム路程角(α)と前記観察角(β)との変位比が少なくとも3:1であるように構成されており、それによって、前記観察者には、前記観察者の頭部の変位の範囲に対して、観察されている前記物体の奥行き知覚のより大きな変化がもたらされる、観察器。」

第3 原査定の理由
原査定の拒絶の理由は、本件発明は、本件出願の優先権主張の日前に、日本国内又は外国において、頒布された刊行物である下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、本件出願の優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
引用文献1:特表平7-501161号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された本件出願の優先権主張の日前に、日本国内又は外国において、頒布された刊行物である特表平7-501161号公報(以下、同じく「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(当合議体注:下線は当合議体が付したものである。下記(1)の「請求の範囲」及び下記(2)の「光学拡大装置」の下線は、元から存在したものである。)。
(1) 2頁左上欄?2頁右上欄
「請求の範囲
1. 観察されるべき物体(10)からの光を受取る対物レンズ(11)を備える光学拡大装置において,前記対物レンズ(11)から出現する光を受取り、該出現する光の第1部分を第1光学要素(13)へ向けかつ該出現する光の第2部分を第2光学要素(17)へ向ける光線分割装置(12)を備え,該第1光学要素が第1鏡を含みかつ該第2光学要素が第2鏡を含み,観察される前記物体(10)の焦点の合わされた第1及び第2の像(14,18)が該第1及び第2の鏡上の夫々に前記対物レンズ(11)によって形成される様に、該第1及び第2の光学要素が配置され,更に観察者の目(16,19)による知覚のため該物体の拡大された像を形成する様に該第1及び第2の像を構成しかつ該第1及び第2の鏡によって反射される光を受取る様に配置される観察レンズ(5)を備えることを特徴とする光学拡大装置。
2. 請求の範囲第1項に記載の光学拡大装置において,前記光線分割装置(12)が半鍍銀の平坦な鏡を含むことを更に特徴とする光学拡大装置。
3. 請求の範囲第1項または第2項に記載の光学拡大装置において,前記第1及び第2の光学要素(13,17)が第1及び第2の凹面鏡を夫々含むことを更に特徴とする光学拡大装置。
4. 請求の範囲第2項または第3項に記載の光学拡大装置において,前記第1の鏡(13)が前記対物レンズ(11)からの前記半鍍銀の光線分割用鏡(12)を通過する光を受取る様に配置されて、前記第1の像(14)からの光が該半鍍銀の鏡(12)へ逆に反射されかつ前記観察レンズ(5)へ該半鍍銀の鏡によって反射される様に方向づけられ,前記第2の鏡(17)が該対物レンズ(11)からの該半鍍銀の鏡(12)によって反射される光を受取る様に配置されて、前記第2の像(18)からの光が該半鍍銀の鏡へ逆に反射されかつ該観察レンズ(5)へ該半鍍銀の鏡を通過する様に方向づけられることを更に特徴とする光学拡大装置。
5. 前述の請求項のいずれかに記載の光学拡大装置において,前記第1及び第2の鏡の置き替えられる瞳孔の中心が観察者の目(16,19)の瞳孔間間隔に相当する方向に間隔を置かれる様に、該第1及び第2の鏡(13,17)が相互に対して角度的に方向づけられることを更に特徴とする光学拡大装置。
6.請求の範囲第5項に記載の光学拡大装置において,前記観察者が非立体的像を知覚する様に、前記置き替えられる瞳孔の間隔が該観察者の目の前記瞳孔間間隔に適合することを更に特徴とする光学拡大装置。
7.請求の範囲第5項に記載の光学拡大装置において,前記観察者が立体的な像を知覚する様に、前記置き替えられる瞳孔の間隔が該観察者の目の前記瞳孔間間隔とは異なることを更に特徴とする光学拡大装置。
8.請求の範囲第5項、第6項または第7項のいずれか1つの項に記載の光学拡大装置において,前記第1及び第2の鏡(13,17)の相対的な角度の方向づけを変更する装置を備えることを更に特徴とする光学拡大装置。」

(2) 2頁左下欄?3頁右上欄
「 明細書
光学拡大装置
本発明は観察者による観察のための物体の拡大された像を形成する光学拡大装置(optical magnifying apparatus)に関し、特に物体の拡大された両眼用像または立体的な像を形成する該装置に関する。
周知の単一レンズの拡大鏡は、例えば物体の2倍までの低い拡大率を与え得るが、該拡大鏡は、例えば4倍から10倍までの範囲の一層高い拡大率は与え得ない。更に該単一レンズの拡大鏡によって与えられる出口瞳孔直径(exit pupil diameters)は小さく、従って拡大される像を観察する観察者の目の位置が制限される。また両眼で立体的に物体の拡大された像を観察することが所望されるとき、それぞれの目による観察角度と拡大された像の関係は不正確になる傾向があり、観察者を困惑させる。
本発明による光学拡大装置は観察されるべき物体からの光を受取る対物レンズと,該対物レンズから出現する光を受取って該出現する光の第1部分を第1光学要素へ向けかつ該出現する光の第2部分を第2光学要素へ向ける光線分割装置(beam splitting means)とを備え,該第1光学要素が第1鏡を含みかつ該第2光学要素が第2鏡を含み,観察される物体の焦点の合わされた第1及び第2の像が該第1及び第2の鏡上に対物レンズによって夫々形成される様に該第1及び第2の光学要素が配置され,更に観察者の目による知覚のために前記物体の拡大された像を形成する様に該第1及び第2の像を構成しかつ該第1及び第2の鏡によって反射される光を受取る様に配置される観察レンズを備えている。
次に本発明の一実施例を本発明による光学拡大装置の光学要素の斜視図を参照し例として記載する。
図面を参照すると物体10からの光は対物レンズ11によって集められて光線分割用鏡12へ向けられる。光線分割用鏡12は好ましくは半鍍銀の平坦な鏡(half silvered planar mirror)を含む。対物レンズ11からの光の一部は光線分割用鏡を通過して第1凹面鏡13に当る。鏡13は、物体10の焦点の合わされた第1の像14が鏡13の表面に作られる様に対物レンズ11の焦点距離に対応して対物レンズ11から所定の距離に配置される。鏡13によって受取られた光は光線分割用鏡12へ逆に反射され、該鏡でその光は反射されて観察レンズ15を通って観察者の第1の目16へ向けられる。対物レンズ11からの光の残りは光線分割用鏡12によって第2凹面鏡17へ反射され、物体10の焦点の合わされた第2の像18が鏡17の表面に形成される。第2凹面鏡17に受取られた光は逆に反射されて光線分割用鏡12を通過し、それから観察レンズ15を通って観察者の第2の目19へ向けられる。凹面鏡の曲率は観察レンズ15に組合わされる該鏡が対物レンズ11のバックストップ(backstop)の像を観察者の目に形成するようになっている。
凹面鏡13及び17の光学軸が該鏡に入射する光の光学軸に整合される様に方向づけられれば、夫々光線分割用鏡によって反射されたり通過したりした後に鏡13及び17によって反射される光は整合されて物体の単一の像を形成することが認められる。従って観察者の夫々の2つの目による観察のために相互に変位される像を形成するため、鏡13,17の光学軸は、鏡13及び17の2つの置き替えられる瞳孔(two relayed pupils)が観察者の平均瞳孔間間隔にほぼ等しい距離によって水平に分離される様に、相対的に偏位される。所望により、装置は、観察者の瞳孔間間隔に適合するように鏡の置き替えられる瞳孔の間隔の調節を可能にするため、鏡13,17の光学軸の相対的な傾斜を変更するように設けられてもよい。
鏡13,17の瞳孔の間隔が観察者の瞳孔間間隔に正確に適合すれば、観察者は物体10の立体的ではないが両眼用の拡大された像を知覚する。物体10の立体的に拡大された眺めとして知覚される像を形成することを所望であれば、鏡13,17の光学軸は、小さな不適合が鏡13,17の置き替えられる瞳孔の中心の間隔と観察者の瞳孔間間隔との間に生じる様に、相互に対して方向づけられる。そのような置き替えられる瞳孔の中心の間隔と観察者の瞳孔間間隔との間の不適合により、物体に対する観察の角度とそれぞれの目によって知覚される角度は異なり、従って物体10の立体的な観察に必要な視差(parallax)が与えられる。所望により凹面鏡の光学軸の相対的な方向づけは、鏡の置き替えられる瞳孔の間隔が物体の逆の立体的な像を観察者に知覚させる様になり得る。
対物レンズ11によって鏡13,17上に夫々形成される像14,18は逆であり、従って観察者によって知覚される像が物体と同一の方向性を有するために、像反転モジュール20が対物レンズ11と光線分割用鏡12の間の光の光線通路に配置される。
前述の実施例では凹面鏡13及び17が設けられて像13(当合議体注:「像13」は、「像14」の誤記であると認められる。)及び18が観察レンズ15によって観察者に知覚される様に該鏡上に作られる。しかしながら、所望により凹面鏡13,17は鏡に組合わされる凸レンズ要素(positive lens elements)よって置換えられてもよい。」

(3) 3頁右上欄


(当合議体注:符号「5」は、符号「15」の誤記である。)


2 引用発明
(1) 上記1(2)の記載からみて、引用文献1でいう「本発明」は、「観察者による観察のための物体の拡大された立体的な像を形成する光学拡大装置」に関するものである。

(2) 引用文献1の「鏡13及び17の2つの置き替えられる瞳孔(two relayed pupils)」との記載(上記1(2))から、「置き替えられる瞳孔」は、「置き替えられる瞳孔(relayed pupil)」に対応していると理解できる。

(3) 上記(1)、(2)と、上記1(3)の「光学拡大装置の光学要素の斜視図」及び上記1(2)の「本発明の一実施例」についての記載から、引用文献1には、「光学拡大装置の光学要素の斜視図」に示された引用文献1の「本発明の一実施例」を前提として、「観察者による観察のための物体の拡大された立体的な像を形成する光学拡大装置」の発明として、以下の発明が記載されているものと認められる(以下、「引用発明」という。)。
「観察者による観察のための物体の拡大された立体的な像を形成する光学拡大装置であって、
物体10からの光は対物レンズ11によって集められて光線分割用鏡12へ向けられ、
対物レンズ11からの光の一部は光線分割用鏡12を通過して第1凹面鏡13に当り、第1凹面鏡13は、物体10の焦点の合わされた第1の像14が第1凹面鏡13の表面に作られる様に対物レンズ11の焦点距離に対応して対物レンズ11から所定の距離に配置され、第1凹面鏡13によって受取られた光は光線分割用鏡12へ逆に反射され、該光線分割用鏡12でその光は反射されて観察レンズ15を通って観察者の第1の目16へ向けられ、
対物レンズ11からの光の残りは光線分割用鏡12によって第2凹面鏡17へ反射され、物体10の焦点の合わされた第2の像18が第2凹面鏡17の表面に形成され、第2凹面鏡17に受取られた光は逆に反射されて光線分割用鏡12を通過し、それから観察レンズ15を通って観察者の第2の目19へ向けられ、
凹面鏡の曲率は観察レンズ15に組合わされる該凹面鏡が対物レンズ11のバックストップ(backstop)の像を観察者の目に形成するようになっていて、
第1凹面鏡13及び第2凹面鏡17が設けられて第1の像14及び第2の像18が観察レンズ15によって観察者に知覚される様に該第1凹面鏡13上及び第2凹面鏡17上に作られ、
第1凹面鏡13,第2凹面鏡17の光学軸は、小さな不適合が第1凹面鏡13,第2凹面鏡17の置き替えられる瞳孔(relayed pupil)の中心の間隔と観察者の瞳孔間間隔との間に生じる様に、相互に対して方向づけられ、そのような置き替えられる瞳孔(relayed pupil)の中心の間隔と観察者の瞳孔間間隔との間の不適合により、物体に対する観察の角度とそれぞれの目によって知覚される角度は異なり、物体10の立体的な観察に必要な視差が与えられて、物体10の立体的に拡大された眺めとして知覚される像を形成し、
対物レンズ11によって第1凹面鏡13,第2凹面鏡17上に夫々形成される第1の像14,第2の像18は逆であり、観察者によって知覚される像が物体と同一の方向性を有するために、像反転モジュール20が対物レンズ11と光線分割用鏡12の間の光の光線通路に配置される、
光学拡大装置。」
(当合議体注:「鏡13」との表記を「第1凹面鏡13」とするなど、用語及び符号を統一して記載している。また、「置き替えられる瞳孔」との表記を、上記(2)より、「置き替えられる瞳孔(relayed pupil)」としている。)

第5 対比
本件発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりとなる。
1 「対物レンズ」
(1) 引用発明においては、「物体10からの光は対物レンズ11によって集められ」、「対物レンズ11の焦点距離に対応して対物レンズ11から所定の距離に配置され」た「第1凹面鏡13の表面に」、「物体10の焦点の合わされた第1の像14が」「作られ」、「第1凹面鏡13によって受取られた光は光線分割用鏡12へ逆に反射され、該光線分割用鏡12でその光は反射されて観察レンズ15を通って観察者の第1の目16へ向けられ」、「第1凹面鏡13」「が設けられて第1の像14」「が観察レンズ15によって観察者に知覚される」。

(2) 上記(1)より、引用発明の「対物レンズ11」は、「物体10からの光」を「集め」るものである。
そうすると、引用発明の「対物レンズ11」は、本件発明 の「対物レンズ」に相当する。

(3) 上記(1)で挙げた光学的な関係からみて、引用発明の「対物レンズ11」は、「物体10からの光」を「集め」て、「対物レンズ11」の対物面に位置する「物体10」の像(「焦点の合わされた第1の像14」)を作り、「観察レンズ15によって観察者に知覚される」「物体10」の像(「焦点の合わされた第1の像14」)を作成しているということができる(当合議体注:引用文献1の「光学拡大装置の光学要素の斜視図」(上記1(3)参照)からも把握できることである。)。
そうすると、引用発明の「物体10」は、本件発明の「物体」に相当し、引用発明の「物体10の焦点の合わされた第1の像14」は、本件発明の「物体の像」に相当する。
また、引用発明の「対物レンズ11」は、本件発明の「対物レンズ」の「対物面に位置する物体の像を生成するための」との要件を具備する。

2 「部分透過型反射器」及び「ミラー装置」
(1) 引用発明においては、「対物レンズ11からの光の一部は光線分割用鏡12を通過して第1凹面鏡13に当り」、「第1凹面鏡13によって受取られた光は光線分割用鏡12へ逆に反射され、該光線分割用鏡12でその光は反射され」る。
上記の光学的な関係からみて、引用発明の「光線分割用鏡12」は、「対物レンズ11」から「第1凹面鏡13」へと光が透過することを許容しているということができる。また、上記の光学的な関係からみて、引用発明の「光線分割用鏡12」は、「第1凹面鏡13」により「光線分割用鏡12へ逆に反射され」た「第1凹面鏡13によって受取られた光」の反射を提供しているということができる(当合議体注:以上のことは、引用文献1の「光学拡大装置の光学要素の斜視図」(上記1(3)参照)からも把握できることである。)。
)
(2) 引用発明においては、「対物レンズ11からの光の一部は光線分割用鏡12を通過して第1凹面鏡13に当り」、「第1凹面鏡13は、物体10の焦点の合わされた第1の像14が第1凹面鏡13の表面に作られる様に対物レンズ11の焦点距離に対応して対物レンズ11から所定の距離に配置され」、「第1凹面鏡13によって受取られた光は光線分割用鏡12へ逆に反射され」、「該光線分割用鏡12でその光は反射されて観察レンズ15を通って観察者の第1の目16へ向けられ」、「第1凹面鏡13」「が設けられて第1の像14」「が観察レンズ15によって観察者に知覚される様に該第1凹面鏡13上」「に作られ」る。
上記の光学的な関係からみて、引用発明の「第1凹面鏡13」は、「光線分割用鏡12を通過し」た光を受け取るものである。同様に、引用発明の「第1凹面鏡13」は、その上に、「物体10の焦点の合わされた第1の像14」が「作られ」るものである。
また、上記の光学的な関係からみて、引用発明の「第1凹面鏡13」は、「第1凹面鏡13によって受取られ」る「光」が、「光線分割用鏡12へ」と「反射され」、中継されて、「物体10」の像(「焦点の合わされた第1の像14」)が生成されるように配置されているということができる(当合議体注:以上のことは、引用文献1の「光学拡大装置の光学要素の斜視図」(上記1(3)参照)からも把握できることである。)。

(3) 上記(1)と(2)で挙げた光学的な関係や、「光線分割用鏡12」及び「第1凹面鏡13」の機能・配置からみて、引用発明の「光線分割用鏡12」及び「第1凹面鏡13」は、それぞれ本件発明の「部分透過型反射器」及び「ミラー装置」に相当する。
また、引用発明の「物体10」の「焦点の合わされた第1の像14」は、本件発明の「合焦像」に相当する。
そうすると、上記(1)より、引用発明の「光線分割用鏡12」は、本件発明の「部分透過型反射器」の「前記対物レンズからミラー装置へと光が透過することを許容し」、「前記ミラー装置から返ってくる光の反射を提供する」との要件を具備する。
また、上記(2)より、引用発明の「第1凹面鏡13」は、本件発明の「ミラー装置」の「前記部分透過型反射器から光成分を受け取り」、「前記物体の合焦像が前記ミラー装置において生成され」、「前記ミラー装置によって受け取られる光が前記部分透過型反射器へと反射され、中継されて前記物体の像が生成されるように配置されている」との要件を具備する。

3 「観察用レンズ装置」
(1) 引用発明においては、「第1凹面鏡13」「が設けられて第1の像14」「が観察レンズ15によって観察者に知覚される様に該第1凹面鏡13上に作られ」る。

(2) 上記(1)で挙げた光学的な関係からみて、引用発明の「観察レンズ15」は、「観察者」によって観察可能な「物体10」の光学像を生成しているということができる。
引用発明の「観察レンズ15」により生成される「観察者」によって観察可能な「物体10」の光学像は、本件発明の「物体の光学像」に相当する。
そうすると、引用発明の「観察レンズ15」は、本件発明の「観察用レンズ装置」に相当し、引用発明の「観察レンズ15」は、本件発明の「観察用レンズ装置」の「観察者によって観察可能である前記物体の光学像を生成するための」との要件を具備する。

4 「観察器」
引用発明は、「観察者による観察のための物体の拡大された立体的な像を形成する光学拡大装置」である。
そうすると、引用発明は、「拡大された」「物体」の「観察のための」「光学拡大装置」であるということができる。
また、上記1?3より、引用発明の「光学拡大装置」は、本件発明の「観察器」に相当する。
そうしてみると、引用発明の「光学拡大装置」は、本件発明の「観察器」の「拡大されている物体を観察するための」との要件を具備する。また、上記1?3より、引用発明の「光学拡大装置」は、「本件発明」の「観察器」における、「前記観察器は」、「対物レンズと」、「部分透過型反射器と」、「ミラー装置と」、「観察用レンズ装置と」「を備え」という要件を具備する。

5 以上の対比結果を踏まえると、本件発明と、引用発明は、
「拡大されている物体を観察するための観察器であって、
前記観察器は、
対物面に位置する物体の像を生成するための対物レンズと、
前記対物レンズからミラー装置へと光が透過することを許容し、前記ミラー装置から返ってくる光の反射を提供する部分透過型反射器と、
前記部分透過型反射器から光成分を受け取り、前記物体の合焦像が前記ミラー装置において生成され、前記ミラー装置によって受け取られる光が前記部分透過型反射器へと反射され、中継されて前記物体の像が生成されるように配置されているミラー装置と、
観察者によって観察可能である前記物体の光学像を生成するための観察用レンズ装置と
を備えた、観察器。」である点において一致し、以下の相違点で相違、あるいは一応相違する。
(相違点1-1)
本件発明は、「対物レンズ」が「開口絞りによって規定される径方向範囲を有」しているのに対して、
引用発明は、「対物レンズ11」がそのようなものであるのかどうか一応不明な点。

(相違点1-2)
本件発明は、「観察用レンズ装置」が、「観察面にある射出瞳において」「観察者によって観察可能である前記物体の光学像を生成する」のに対して、
引用発明は、「観察レンズ15」がそのようなものであるのかどうか一応不明な点。

(相違点1-3)
本件発明は、[A]「前記対物レンズは、前記対物レンズの光軸が前記対物面に交わる点からの一定の角度であり、前記対物面から前記対物レンズへの前記光軸に沿った距離および前記開口絞りの径方向範囲によって規定されるものとしてのビーム路程角(α)を有し」、[B]「前記観察器は、前記ミラー装置の光軸における前記ミラー装置上の一点からの一定の角度であり、前記ミラー装置から前記観察面への前記光軸に沿った距離および前記観察面にある前記射出瞳の径方向範囲によって規定されるものとしての観察角(β)を有し」、[C]「前記観察器は、前記ビーム路程角(α)と前記観察角(β)との変位比が少なくとも3:1であるように構成されており、それによって、前記観察者には、前記観察者の頭部の変位の範囲に対して、観察されている前記物体の奥行き知覚のより大きな変化がもたらされる」ものであるのに対して、
引用発明は、上記[A]及び[B]の点が、一応、明らかでなく、また、[C]の構成を具備するとは特定されていない点。

第6 判断
上記相違点1-1?1-3について検討する。
1 相違点1-1について
引用発明は、「対物レンズ11のバックストップ(backstop)」を具備する。また、「対物レンズ11のバックストップ(backstop)」は、必ずしも慣用句とはいえないものであるが、技術常識を心得た当業者ならば、これを対物レンズの観察側にある絞り、すなわち、「開口絞り」を意味すると理解可能である。そして、「開口絞り」を備えることにより、光束が通過するレンズの径方向範囲が規定されることは技術常識である。
そうしてみると、上記相違点1-1は、実質的な相違点ではない。
仮にそうでないとしても、引用発明の対物レンズ11の観察側に開口絞りを設けて明瞭な観察像が得られるようにすることは、引用文献1の「凹面鏡の曲率は観察レンズ15に組合わされる該鏡が対物レンズ11のバックストップ(backstop)の像を観察者の目に形成するようになっている。
」という記載に接した当業者、あるいは、顕微鏡等の対物レンズを備える光学拡大装置に関する技術常識を心得る当業者が想到し得る範囲内の事項にすぎない。

2 相違点1-2について
(1) 引用発明においては、「凹面鏡の曲率は観察レンズ15に組合わされる該凹面鏡が対物レンズ11のバックストップ(backstop)の像を観察者の目に形成するようになっていて」、「第1凹面鏡13」「が設けられて第1の像14」「が観察レンズ15によって観察者に知覚される様に該第1凹面鏡13上」「に作られ」ている。

(2) また、引用発明においては、「第1凹面鏡13,第2凹面鏡17の光学軸は、小さな不適合が第1凹面鏡13,第2凹面鏡17の置き替えられる瞳孔(relayed pupil)の中心の間隔と観察者の瞳孔間間隔との間に生じる様に、相互に対して方向づけられ、そのような置き替えられる瞳孔(relayed pupil)の中心の間隔と観察者の瞳孔間間隔との間の不適合により、物体に対する観察の角度とそれぞれの目によって知覚される角度は異なり、物体10の立体的な観察に必要な視差が与えられて、物体10の立体的に拡大された眺めとして知覚される像を形成し」ている。
幾何光学の技術常識を心得る当業者は、引用発明の「置き替えられる瞳孔(relayed pupil)」について、「中継(relay)」されれた「瞳」を意味すると理解する。
そうすると、引用発明においては、「第1凹面鏡13」の光学軸の方向が、「中継」された「瞳」の位置と、観察者の目(瞳孔)の位置とが対応するようになっていると理解できる。
(当合議体注:引用文献1の「該単一レンズの拡大鏡によって与えられる出口瞳孔直径(exit pupil diameters)は小さく、従って拡大される像を観察する観察者の目の位置が制限される。」との記載について、「exit pupil」は、「射出」「瞳」を意味すると当業者は理解する。また、上記記載から、当業者は、「射出瞳」の範囲内(直径内)に観察者の目を位置させることにより、拡大された像を観察できると理解する。)

(3) 上記(1)及び(2)で示した光学的な関係より、当業者は、引用発明においては、「第1凹面鏡13」及び「観察レンズ15」とからなるレンズ系により、観察者の目の位置(観察面)に、「対物レンズ11」の「バックストップ(backstop)」(開口絞り(上記1より))の像が、射出「瞳」として形成されること、また、射出「瞳」の範囲内に「観察者の目」を位置させることにより、「バックストップ(backstop)」(開口絞り)を通過した光束が「観察者の目」に入射し、観察者が「観察レンズ15」を介して「第1凹面鏡13」上に形成された「第1の像14」(「物体10」の像)を観察していると理解する。

(4) そうすると、上記(3)より、引用発明の「観察レンズ15」は、観察面にある射出瞳において「観察者」によって観察可能である「物体10」の光学像を生成するためのものということができる。
そうしてみると、上記相違点1-2は、実質的な相違点ではない。

3 相違点1-3について
(1) 結像の倍率に関して、[A]物体の高さhと像の高さh’の比「m」(=h’/h)を「横倍率(transverse magnification)」とし、軸上物点(x=0)を出た光線に対する物体空間における光線の角度uと像空間における光線の角度u’の比「γ」(=u’/u)を「角倍率(angular magnification)」としたとき、「mγ=1」の関係が成立すること、あるいは、言い換えると、[B]「hu=h’u’」(「ヘルムホルツ・ラグランジュの不変式(Helmholtz-Lagrange invariant)」が成立することは、幾何光学における技術常識である(下記の参考文献1?3等を参照。)。
(参考文献)
参考文献1:黒田 和男、「光学 第3章 幾何光学」、1?18頁(特に、9,10頁「9結像関係式と倍率」「9.2 倍率」、10頁「ヘルムホルツ・ラグランジュの不変式」等)、[online]、2012年9月21日(作成日)、[令和2年3月3日検索]、インターネット<URL:http://qopt.iis.u-tokyo.ac.jp/optics/3lensU_A4.pdf>
参考文献2:黒田 和男、「光学 第3章 幾何光学」、1?39頁(特に、27?29頁)、[online]、2012年10月5日(作成日、更新日)、[令和2年3月3日検索]、インターネット<URL:http://qopt.iis.u-tokyo.ac.jp/optics/3lensK.pdf>
参考文献3:松居 吉哉、「結像光学入門 光学系取扱いの基礎」、第1版第8刷(図1-13更新)、(社)日本オプトメカトロニクス協会、2007年6月10日、26?28頁(「2.4 横倍率とヘルムホルツ-ラグランジュの不変量」)

(2) 引用発明の光学系の構成より、引用発明においては、対物面上の「物体10」の光軸上の一点から出射し、「対物レンズ11」の「バックストップ(backstop)」を通過し、光軸と最大の角度「u_(1)」をなす光線Xは、[A]「対物レンズ11」に入射し、屈折され、「対物レンズ11」の「バックストップ(backstop)」を通過し、[B]「光線分割用鏡12」を経て、[C]「第1凹面鏡13」上の光軸上の一点に向かい、[D]「第1凹面鏡13」上の光軸上の一点に入射(「第1凹面鏡13」上の「物体10」の「第1の像14」の結像に寄与)した後、「第1凹面鏡13」により反射され、「第1凹面鏡13」上の光軸上の一点から出射する光線となり、[E]「光線分割用鏡12」を経て、[F]「観察レンズ15」に入射し、屈折され、「射出瞳」(「exit pupil」)を通過する、「第1凹面鏡13」の光軸と、最大の角度「u_(2)」をなす光線Yとなることが理解できる。

(3) そうすると、上記(1)で挙げた技術常識及び(2)で挙げた引用発明における光学的な関係より、引用発明においては、m(横倍率)×u_(2)/u_(1)=1、すなわち、u_(1):u_(2)=m(横倍率):1の関係が成立することになる。

(4) 引用発明は、その光学系の構成からみて、「対物レンズ11」により拡大した「物体10」の「第1の像14」を、観察レンズ15により、さらに拡大された虚像として観察するものである。そうすると、引用発明は、引用文献1において「周知の単一レンズの拡大鏡」として記載された従来技術(以下、「従来技術」という。)の単一レンズからなる拡大鏡と比較して、大きな拡大率を得るのに適した構成であることは明らかである(当合議体注:引用発明の光学系が、対物レンズ及び接眼レンズからなり高倍率・高拡大率が得られる顕微鏡の光学系と同様であることからも明らかである。顕微鏡の光学系について下記参考文献5を参照。あるいは、参考文献8の66頁の「4.4 顕微鏡」欄の1?11行の記載を参照。)。
また、従来技術である単一レンズによる拡大鏡と同様、引用発明の「光学拡大装置」は、観察レンズ15により、観察に適した見かけ上の明視距離(distance of distinct vision)に「物体10」の「第1の像14」の拡大された虚像が形成されるように設計されるものである(当合議体注:「明視距離」とは、観察者が、物体を疲労なく、はっきりと観察することができる距離のこと。代表的には、250mmであること、年齢、個人差により、250?1000mmまでの範囲内の値をとり得ることが、技術常識である。明視距離について下記参考文献4?8等を参照。)。
(参考文献)
参考文献4:黒田 和男、「光学 第4章 光学機器」、1?14頁(特に、1頁「2 単レンズ」「2.1 拡大鏡」(拡大鏡における明視距離について)、5頁「3 顕微鏡」「3.1 光学系」(対物レンズ、接眼レンズについて、図7等)を参照。)、[online]、2012年10月16日(作成日)、[令和2年3月3日検索]、インターネット<URL:http://qopt.iis.u-tokyo.ac.jp/optics/4opticalDevicesU_A4.pdf>
参考文献5:米国特許第4636866号明細書(図1、第2欄第46?65行等)
参考文献6:米国特許出願公開第2013/0201378号明細書([0007]等)
参考文献7:米国特許第5712649号明細書(8欄第3?7行等)
参考文献8:會田軍太夫・横田英嗣・山崎正之共著、「光学機器入門」、第1版、東海大学出版会、2001年6月5日、63?69頁、「4.3 拡大鏡」、「4.4 顕微鏡」

(5) 上記(4)より、引用発明においては、見かけ上の明視距離に形成される拡大虚像が大きいほど、すなわち、対物レンズ11及び観察レンズ15による「横倍率」が大きいほど、「光学拡大装置」として大きい拡大率が得られる。
ここで、引用発明の「光学拡大装置」の従来技術である単一の凸レンズからなる拡大鏡において、「被観察物の拡大虚像の大きさ/被観察物の大きさ」により定義される、拡大鏡の倍率(拡大率)(凸レンズによる「横倍率」に対応する)として、3以上の値は普通のものである。
(当合議体注:参考文献8の63?66頁の「4.3 拡大鏡」には、1枚の凸レンズでできる拡大鏡(magnifier)について、[A]「明視の距離まで近づいてもまだ見ることができないような細かい部分を、眼に負担をかけることなく、拡大して観察できるようにする装置」の中で最も単純なものであること、[B]「レンズL_(i)の物空間焦点Fiの位置よりも少しレンズよりのところに物体ABを置き、凸レンズL_(i)によって拡大した正立の虚像A’B’を作り、この像を像から距離Dだけ離れたところからながめる方法」が使われること、[C]凸レンズL_(i)を拡大鏡として使った時の倍率は、「眼のレンズeと像A’B’の間の距離」を「D」、「凸レンズL_(i)を使って物体ABをながめたときのみかけの大きさ」を「A’B’/D」、「物体から距離Dだけ離れて肉眼で直接ながめたときのみかけの大きさ」を「AB/D」として、(A’B’/D)/(AB/D)=A’B’/ABとなり、この比A’B’/ABは凸レンズL_(i)の「横倍率」に他ならないこと、[D]凸レンズLiを拡大鏡として使ったときの倍率は、(A’B’/D)/(AB/D)=A’B’/AB≡mi=(f_(i)’-d-D)/f_(i)’(ここで、「f_(i)’」は「凸レンズL_(i)の像空間焦点距離」、「d」は「眼のレンズeと凸レンズL_(i)の間の距離」)となること、[E]一般には、d=f_(i)’として使用され、拡大鏡の倍率m_(i)は、m_(i)=-D/f_(i)’になること、[F]D(眼のレンズeと像A’B’の間の距離)を明視の距離(-25cm)にすると、倍率m_(i)は、m_(i)=25/f_(i)’となり、これが拡大鏡の倍率となること、[F]市販されている拡大鏡では、最高倍率は20倍位であること、が記載されている。参考文献8の上記記載から、拡大して観察できるようにする装置(拡大鏡)において、拡大率(拡大鏡の倍率)である、明視距離(25cm)において観察される物体の拡大虚像(のみかけ)の大きさ/物体(のみかけ)の大きさを20倍程度としたもの、あるいは、凸レンズの横倍率を20倍程度としたものまでは普通である。そうすると、3倍、4倍程度、あるいは10倍程度など3倍以上の拡大鏡の倍率(拡大率)、あるいは3倍以上の凸レンズの横倍率あるいはその設計も普通のことと理解できる。)
そうすると、上記(4)のとおり、引用発明は、単一レンズからなる拡大鏡と比較して大きな拡大率を得るのに適した構成であるところ、引用発明において、明視距離における拡大された第1の像14の虚像の大きさ/物体10の大きさ」として定義される倍率(拡大率)、すなわち対物レンズ11及び観察レンズ15による「横倍率」が、3倍以上の値、例えば、4倍程度あるいは10倍程度となる設計とすることは、当業者の設計上のことである。
そして、引用発明において、上記設計事項を施したものにおいては、上記(3)より、u_(1):u_(2)(=m(横倍率):1)が3:1以上となる(例えば、横倍率が4倍であれば、4:1となる。)。
また、引用発明において、上記設計事項(あるいは、加えて上記1の上記相違点1-1に係る設計変更)を施したものにおいては、対物面上の「物体10」の光軸上の一点から出射し、「対物レンズ11」の「バックストップ(backstop)」(「開口絞り」)を通過する光線Xと、光軸との最大角度「u_(1)」は、「対物レンズ11」の光軸が対物面に交わる点からの一定の角度であるということができる。さらに、当該最大角度「u_(1)」は、対物面から「対物レンズ11」への光軸に沿った距離及び「バックストップ(backstop)」(「開口絞り」)の径方向範囲によって規定される角度であるということができる。
加えて、「物体10」の「第1の像14」の拡大された虚像の見かけ上の位置の光軸上の一点から出射し、「射出瞳」を通過する光線Yと、光軸との最大の角度「u_(2)」は、(見かけ上の)「第1の凹面鏡13」から(「射出瞳」が形成される位置にある)観察面への「第1の凹面鏡13」の光軸に沿った距離及び観察面にある「射出瞳」の径方向範囲によって規定される、「第1の凹面鏡13」の光軸における「第1の凹面鏡13」上の1点からの一定の角度であるということができる。
そうすると、「u_(1)」及び「u_(2)」が、本件発明における「対物レンズ」が有する「ビーム路程角(α)」及び「観察器」が有する「観察角(β)」にそれぞれ相当し、α:βが3:1以上である、すなわち、ビーム路程角(α)と観察角(β)との変位比が少なくとも3:1であるような構成が得られる。
そうしてみると、引用発明において、上記の設計変更(あるいは、加えて上記1の上記相違点1-1に係る設計変更)を施したものは、上記相違点1-3に係る本件発明の、上記[A]「前記対物レンズは、前記対物レンズの光軸が前記対物面に交わる点からの一定の角度であり、前記対物面から前記対物レンズへの前記光軸に沿った距離および前記開口絞りの径方向範囲によって規定されるものとしてのビーム路程角(α)を有し」、上記[B]「前記観察器は、前記ミラー装置の光軸における前記ミラー装置上の一点からの一定の角度であり、前記ミラー装置から前記観察面への前記光軸に沿った距離および前記観察面にある前記射出瞳の径方向範囲によって規定されるものとしての観察角(β)を有し」との構成、及び上記[C]の構成のうち前半の「前記観察器は、前記ビーム路程角(α)と前記観察角(β)との変位比が少なくとも3:1であるように構成されており」との構成を備えるということができる。
そして、引用発明において、「横倍率」を3倍以上としてなるもの(α:βを3:1以上としてなるもの)は、当該構成により、上記[C]の後半の「それによって、前記観察者には、前記観察者の頭部の変位の範囲に対して、観察されている前記物体の奥行き知覚のより大きな変化がもたらされる」との効果あるいは構成が得られるものと認められる。

(6) 仮に、上記(5)で示したとおりでないとしても、引用発明の光学拡大装置は、上記(4)のとおり、従来技術の単一レンズからなる拡大鏡と比較して、大きな拡大率を得るのに適した構成である。また、引用文献1には、「周知の単一レンズの拡大鏡は、例えば物体の2倍までの低い拡大率を与え得るが、該拡大鏡は、例えば4倍から10倍までの範囲の一層高い拡大率は与え得ない。」との課題が示されている。
そうしてみると、引用発明において、「高い拡大率」が得られるように、明視距離に形成される拡大虚像の大きさを、「物体10」の3倍以上(例えば、4倍程度等)とする、すなわち、「対物レンズ11」と「観察レンズ15」からなる光学系による「横倍率」を3倍以上(例えば、4倍程度等)とすることは、当業者の設計上のことである(当合議体注:参考文献8の66頁「4.4. 顕微鏡」欄の記載から理解されるように、引用発明の光学系の全体の倍率Mは、対物レンズ11による横倍率m_(0)と、観察レンズ15による横倍率m_(e)(観察レンズ15の拡大率)との積m_(0)×m_(e)となることから、大きい横倍率を得ることが容易である。そうすると、観察レンズの大きさ・焦点距離、対物レンズの大きさ・焦点距離、射出瞳の大きさ、作業距離(ワーキングディスタンス)等を考慮する全体的な設計が必要であるとしても、対物レンズ11及び観察レンズ15による横倍率が4倍程度となる光学設計は困難なことではない。)。
そして、引用発明において、上記の設計事項(あるいは、加えて上記相違点1-1に係る設計変更)を施し、「横倍率」を3倍以上としてなるものにおいては、ビーム路程角(α)と観察角(β)との変位比が少なくとも3:1であるような構成が得られ、上記相違点1-3に係る[A]乃至[C]の本件発明の構成を備えるということができることは、上記(5)において述べたとおりである。

(7) 以上のとおりであるから、引用発明において、上記相違点1-3に係る本件発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

4 相違点1-1?相違点1-3をまとめて検討したとしても、同様である。

5 本件発明の効果について
(1) 本件出願の明細書には、本件発明の効果として、「発明の効果」として明示された記載はないものの、本件出願の明細書の【背景技術】欄における、「本発明者は、単眼視または立体視観察装置(mono or stereo viewing apparatus)において、すべて観察者の奥行き知覚に対する解釈に寄与することができる合焦、視差および重ね合わせの効果を利用するように装置を構成することによって、観察者に、大幅に増強した奥行き知覚をもたらすことが可能であることを認めている。」(【0003】)との記載、「第1の実施形態」に関しての、「したがって、観察者には、観察者の頭部の非常に小さい変位から非常に明白な奥行き知覚がもたらされ、観察者には、観察されている像の部分への合焦を失うことなく、あたかも頭部が大きく変位することが必要とされる場合に起こり得るような、顕著な奥行きの知覚がもたらされる。」(【0063】)との記載が、本件発明の効果として理解可能である。

(2) しかしながら、上記(1)で本件発明の効果として挙げた事項は、引用発明において、「横倍率」を3倍以上としてなるものが奏する効果にすぎない。

6 請求人の主張について
(1) 請求人は、平成30年7月6日提出の審判請求書の「3.本願発明が特許されるべき理由」「(1) 第1発明について」「(1-1) 第1発明の内容」において、「第1発明は、請求項1に記載されたとおりの特徴を有しており、特に、『前記対物レンズは、前記対物レンズの光軸が前記対物面に交わる点からの一定の角度であり、前記対物面から前記対物レンズへの前記光軸に沿った距離および前記開口絞りの径方向範囲によって規定されるものとしてのビーム路程角(α)を有し、前記観察器は、前記ミラー装置の光軸における前記ミラー装置上の一点からの一定の角度であり、前記ミラー装置から前記観察面への前記光軸に沿った距離および前記観察面にある前記射出瞳の径方向範囲によって規定されるものとしての観察角(β)を有し、前記観察器は、前記ビーム路程角(α)と前記観察角(β)との変位比が少なくとも3:1であるように構成されており、それによって、前記観察者には、前記観察者の頭部の変位の範囲に対して、観察されている前記物体の奥行き知覚のより大きな変化がもたらされる』という従来に無い構成を備えている。」、「第1発明は、このような構成を備えることにより、『観察者には、観察者の頭部の非常に小さい変位から非常に明白な奥行き知覚がもたらされ、観察者には、観察されている像の部分への合焦を失うことなく、あたかも頭部が大きく変位することが必要とされる場合に起こり得るような、顕著な奥行きの知覚がもたらされる』という従来に無い作用効果を奏することができる(本願明細書段落[0063]等)。」旨主張している。
また、同審判請求書の「 (1-3) 対比検討」において、「引用文献1及び2には、第1発明の特徴、特に、『ビーム路程角(α)と前記観察角(β)との変位比が少なくとも3:1であるように構成されており、それによって、前記観察者には、前記観察者の頭部の変位の範囲に対して、観察されている前記物体の奥行き知覚のより大きな変化がもたらされる』という構成については、何ら記載も示唆もされておらず、それゆえ、第1発明特有の作用効果を奏することができないと思料する。」、「第1発明は、所定の倍率下において物体を観察するための観察器ではあるものの、それだけではなく、『物体の奥行き知覚のより大きな変化がもたらされる』ものであり、そのために、ビーム路程角α(対物面から対物レンズまでの距離と、開口絞りの径方向範囲とによって規定される角度)と、観察角β(ミラー装置から観察面に向かう光軸に沿った距離と、観察面にある射出瞳の径方向範囲とによって規定される角度)との変位比が『少なくとも3:1である』という構成を採用したものである。このような構成は、従来には無い全く新しい構成であると思料する。」、「この点に関し、本拒絶査定では、『光学装置の技術分野において、開口絞りを設けることは、当業者が適宜設計し得る事項である。また、ビーム路程角(α)と前記観察角(β)との変位比について、引用文献1には『周知の単一レンズの拡大鏡は、例えば物体の2倍までの低い拡大率を与え得るが、該拡大鏡は、例えば4倍から10倍までの範囲の一層高い拡大率は与え得ない。』などと記載されていることから、引用文献1に記載された上記光学拡大装置は、少なくとも3倍程度の拡大率は有している蓋然性が高く、結果的に、ビーム路程角(α)と前記観察角(β)との変位比は少なくとも3:1となっていると認められるし、そのようにすることは当業者が容易に想到し得ることである』と認定されている。」、「しかしながら、第1発明における『観察者には、前記観察者の頭部の変位の範囲に対して、観察されている前記物体の奥行き知覚のより大きな変化がもたらされる』という作用は、単純に対物面や対物レンズ等の相対距離により規定される拡大率の設定によってもたらされるものではなく、第1発明で規定されたような光学的な特別な配置、特に開口絞りの規定された配置が要求されるものである」、「そして、引用文献1には、観察されている物体の拡大された立体的な像を形成する光学拡大装置については記載されているものの、第1発明において規定されたような、観察角に対する奥行き知覚の変化を増加させるための上述した構成については、何ら記載も示唆もされておらず、また、引用文献1の光学拡大装置は、実際に、『ビーム路程角α』と、『観察角β』との変位比が『少なくとも3:1である』という第1発明特有の構成を備えていないと思料する。」、「従来、三次元観察システムは、ユーザが同様の奥行き知覚を有する視野を超えてエッジや他の三次元的特徴を観察できるようにするために、一定の奥行き知覚をもたらすよう構成されることが、本願の出願時における技術常識であり、このため、この種の三次元観察システムでは、焦点が合った観察像を維持し、かつ、観察者に中継される像の一部に大きな変化を伴わないよう構成されることが通常であると思料する。そして、このような従来の三次元観察システムでは、物体を拡大することができるとしても、観察角に対する奥行き知覚の大きな変化をもたらすことはできない。」、「このため、いかに当業者であっても、このような技術常識に反して、ビーム路程角(α)と観察角(β)との変位比が少なくとも3:1という第1発明特有の構成を引用文献1に記載の光学拡大装置に採用することの動機付けが存在しないと思料する。」、「第1発明は、・・・略・・・特に、『前記ビーム路程角(α)と前記観察角(β)との変位比が少なくとも3:1であるように構成されており、それによって、前記観察者には、前記観察者の頭部の変位の範囲に対して、観察されている前記物体の奥行き知覚のより大きな変化がもたらされる』という従来に無い構成を備えることによってはじめて、『観察者には、観察者の頭部の非常に小さい変位から非常に明白な奥行き知覚がもたらされ、観察者には、観察されている像の部分への合焦を失うことなく、あたかも頭部が大きく変位することが必要とされる場合に起こり得るような、顕著な奥行きの知覚がもたらされる』という従来に無い作用効果を奏することができるのであって、引用文献1及び2にはこのような第1発明の具体的な構成について何ら記載も示唆もされていない以上、いかに当業者であっても、引用文献1及び2に基づいて第1発明を想起することは容易ではない。」旨主張している。

(2) また、請求人は、令和2年1月30日提出の回答書において、上記審判請求書の主張に加えて、「今般の審尋より、審判長殿は、特定の拡大率(例えば3倍の拡大率)が、対応する変位比(例えば3:1)を実質的に生み出すものとご理解されていると思料致します。」、「また、その上で、審判長殿は、本出願人により出願された先願である特表平7-501161号の光学システムを、少なくとも3倍の拡大率を有するように設計変更することで、本願発明で規定している「変位比が少なくとも3:1」という構成に至るとご理解されているものと致します。」、「しかしながら、これらのご理解はいずれも誤っておりますので、以下のとおり、ご説明をさせて頂きます。」、「理解を容易にするために、本願の図1に図示された実施形態に係る光学システムと光学的に同等な光学システムを以下の説明図1に示します。説明図1は、本願の図1に図示された実施形態に係る光学システムから半透鏡11を除去すると共に、各構成要素が直線状に配されるように改めたものです。
【説明図1】

」、「上記説明図1において、拡大率(M)は、像の角サイズ(μ1)と、光学系が存在しないと仮定した場合にユーザによって観察される物体の角サイズ(μ2)との比であり、二点鎖線で示しております。」、「換言すれば、この拡大率(M)は、光学系の結果として、ユーザに認識される物体がどれだけ大きくなるかということを意味しております。」、「上述した拡大率とは対照的に、変位比は、開口絞り(5)を介して観察されることができる物体上の点における角度範囲(α)と、光学システムの射出瞳を介して観察されることができる物体における角度範囲(β)との比であり、上記説明図1において一点鎖線で示しております。」、「換言すれば、この変位比は、開口絞り(5)及び対物レンズ(3)が(他の光学系無しで)存在すると仮定した場合に物体を観察することができる場所と、(全ての光学系を考慮して)観察面(VP)の射出瞳を介して像を観察することができる場所との間の比です。」、「以上の点から明らかなように、変位比は、拡大率(M)に依存するものではありません。」、「このため、開口絞り(5)のサイズや射出瞳のサイズは、拡大率(M)を変更せずに維持したまま、変更することができます。」、「また、高い変位比により、ユーザの頭部の小さな動きが、ユーザが観察することのできる物体の部分上でより大きな角度変位をもたらすことができます。」、「さらに、本願の発明者の鋭意検討により、この変位比を大きくすることで像の奥行き知覚が増強され、ユーザに対して、従来の顕微鏡よりも、大きな視差と、頭部の動きからの三次元知覚の向上とを体感させることが可能となることが明らかとなりました。」旨主張している。
また、「変位比は拡大率に依存するものではありませんので、特定の拡大率(例えば3倍の拡大率)に設定したからといって、所望の変位比(例えば3:1)を実現することはできません。」、「このため、そもそも、本出願人により出願された先願である特表平7-501161号の光学システムを、少なくとも3倍の拡大率を有するように設計変更することは容易ではないものの、仮に当該設計変更が可能であるとしても、本願発明で規定している「変位比が少なくとも3:1」という構成に至ることはありません。」旨主張している。

(3) しかしながら、引用発明において、上記相違点1-3に係る設計変更(あるいは、加えて上記相違点1-1に係る設計変更)を行ったものにおいて、物体10の光軸上の点から出て開口絞りを通過するビームの光軸に対する最大角度が、「ビーム路程角(α)」に対応すること、見かけ上の位置にある第1の凹面鏡13上の拡大された虚像である「第1の像14」の光軸上の1点から出て、射出瞳を通過するビームの光軸に対する最大角度が、「観察角(β)」に対応すること、幾何光学の「横倍率」と「角倍率」との関係(あるいは、「ヘルムホルツ・ラグランジュの不変量」)から、「横倍率(m)」と「ビーム路程角(α)」と「観察角(β)」との間には、ビーム路程角(α):観察角(β)=横倍率(m):1の関係が成立し、「横倍率(m)」を3倍以上とすれば、α:βが3:1以上となる(ビーム路程角(α)と観察角(β)との変位比が少なくとも3:1となる)ことは、上記3において既に述べたとおりである。
そして、引用文献1の「周知の単一レンズの拡大鏡は、例えば物体の2倍までの低い拡大率を与え得るが、該拡大鏡は、例えば4倍から10倍までの範囲の一層高い拡大率は与え得ない。」、「更に該単一レンズの拡大鏡によって与えられる出口瞳孔直径(exit pupil diameters)は小さく、従って拡大される像を観察する観察者の目の位置が制限される。」との記載・示唆に基づき、引用発明において、観察面に中継した所定の大きさの「射出瞳」(exit pupil)を通して「物体10」の合焦された拡大虚像を大きな「拡大率」(M)で観察できるように、見かけ上の所定の明視距離において形成される拡大虚像がなるべく大きなものとなるよう、対物レンズ11及び観察レンズ15による「横倍率(m)」(拡大虚像の大きさ/物体10の大きさ)を、3倍以上(例えば、4倍程度)とするよう設計を行うことは困難なことではない。あるいは、従来の単一の凸レンズからなる拡大鏡において、(明視距離におけるみかけの大きさに基づく)拡大率(横倍率に対応する)として、20倍程度のものまでは普通のものであるから(参考文献8等参照)、引用発明において、対物レンズ11及び観察レンズ15による「横倍率」が、例えば4倍程度等3倍以上の値となる設計とすることは、当業者の設計上のことである。そして、引用発明において、このような横倍率値の設計としたものにおいては、本件発明と同様に「観察角に対する奥行き知覚の大きな変化」が得られるということができる。

(4) また、請求人が「従来に無い構成」と主張する、本件発明の「それによって、前記観察者には、前記観察者の頭部の変位の範囲に対して、観察されている前記物体の奥行き知覚のより大きな変化がもたらされる」との事項は、α:βが3:1以上となるような構成とすることの作用・効果に係る事項であって、観察器、あるいはその光学系について何ら特定・限定するものでない。

(5) さらに、請求人が主張する本件発明の「観察者には、観察者の頭部の非常に小さい変位から非常に明白な奥行き知覚がもたらされ、観察者には、観察されている像の部分への合焦を失うことなく、あたかも頭部が大きく変位することが必要とされる場合に起こり得るような、顕著な奥行きの知覚がもたらされる」との作用・効果についても、上記5において述べたとおりである。

(6) 以上のとおりであるから、請求人の審判請求書や回答書における主張を採用することはできない。

7 小括
本件発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第7
以上のとおり、本件発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2020-03-06 
結審通知日 2020-03-10 
審決日 2020-03-31 
出願番号 特願2016-533931(P2016-533931)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬戸 息吹堀井 康司  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 関根 洋之
河原 正
発明の名称 奥行き知覚が増強されている観察器  
代理人 きさらぎ国際特許業務法人  

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