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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
管理番号 1365287
審判番号 不服2018-17032  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-21 
確定日 2020-08-11 
事件の表示 特願2017-506859「端末装置能力報告方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月11日国際公開、WO2016/019581、平成29年 8月24日国内公表、特表2017-524305〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2014年(平成26年)8月8日を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯の概略は以下のとおりである。

平成29年 3月 9日 :手続補正書の提出
平成30年 4月 6日付け:拒絶理由通知書
平成30年 7月12日 :意見書,手続補正書の提出
平成30年 8月17日付け:拒絶査定
平成30年12月21日 :拒絶査定不服審判の請求,手続補正書の提

令和 1年11月13日付け:拒絶理由通知書(当審)
令和 2年 2月10日 :意見書,手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1-14に係る発明は,令和2年2月10日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-14に記載された事項により特定されるところ,その請求項7に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,以下のとおりのものと認める。

「 基地局によって送信された端末能力問合せメッセージを端末装置によって受信するステップであって,前記端末能力問合せメッセージは,デバイス間(D2D)能力報告要求情報を含み,前記D2D能力報告要求情報は,前記端末装置に,D2D能力情報を報告するように指示するために使用される,ステップと,
前記端末装置が前記基地局によって送信された前記端末能力問合せメッセージを受信した場合にのみ,前記端末装置のD2D能力情報を,前記端末装置によって取得するステップであって,前記端末装置の前記D2D能力情報は,前記端末装置がD2D通信およびキャリアアグリゲーションの両方をサポートする能力情報を含み,前記端末装置がD2D通信をサポートする能力情報は,D2D検出能力,D2Dブロードキャスト通信能力,D2Dポイントツーポイント伝送能力,D2Dマルチキャスト通信能力,またはD2Dリレー通信能力を含む,ステップと,
前記D2D能力報告要求情報に従って,前記D2D能力報告要求情報に対応する,前記端末装置の前記D2D能力情報を,前記端末装置によって前記基地局に送信するステップとを備える,端末装置能力報告方法。」

第3 拒絶の理由
令和1年11月13日付けで当審が通知した拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)の概要は,
「3.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」
というものであり,本願発明に対応する請求項9について,以下の引用例1,4,5,6が引用されている。

引用例1:D2D capability for multi-carrier capable UE[online],
3GPP TSG-RAN WG2♯86 R2-142634,インターネット
<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_86/
Docs/R2-142634.zip>,掲載日2014年 5月19日
引用例4:国際公開第2013/163595号
引用例5:特開2012-204910号公報
引用例6:特開2014-022847号公報

第4 当審の判断

1 引用発明
(1)引用発明1
当審拒絶理由に引用された国際公開第2013/163595号(引用例4)には,以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

「[0308] The network may obtain WTRU's D2D capability information. For example, this may be achieved by adding a new field of UE-D2D- Capability in ue-CapabilityRequest carried in WTRUCapability Enquiry message to trigger the WTRU to return the WTRU D2D radio access capability.
[0309] A D2D capable WTRU may inform the network about its D2D capabilities, for example, using WTRUCapabilitylnformation message by including a UE-D2D-Capability IE that is similar to UE-EUTRA- Capability IE in the UE- Capability RAT- ContainerList to carry over a WTRU's D2D radio access capabilities. The WTRU capability information may include in- band/out-of-band carrier frequencies that the D2D capable WTRU is able to operate in. The WTRU capability information may include whether the D2D WTRU is capable of operating using a single RAT (e.g., 3GPP RAT) and any associated restrictions on the RAT or if it capable of operating on a different RATs (e.g., non-3GPP RAT such as 802.11, Bluetooth, or the like). 3GPP RAT capabilities of D2D link may include support for FDD and/or TDD, and radio access capabilities of PHY, MAC, RLC and PDCP layers, or the like. Non- 3GPP RAT capabilities of D2D link may include, for example, which amendments of 802.11 (a, b, e, g, n, ac, ad, or the like). The WTRU capability information may also include at least one of the following: capabilities related to seamless handover support, support for aggregation across infrastructure, D2D direct-path, and/or D2D local-path, support for uni- directional D2D, ciphering and security protocols supported over D2D link, trust-zone capabilities for PCEF execution in the WTRU, support related to device discovery, maximum transmit power capability for D2D link, maximum buffering capabilities for D2D link, capabilities related to logical interface support below IP, D2D policy related preferences, support for D2D multicast, or the like.」

(当審仮訳:
[0308] ネットワークは,WTRUのD2D能力情報を得ることができる。例えば,これは,WTRUCapability Enquiryメッセージ中で搬送されるue-CapabilityRequest中のUE-D2D-Capabilityの新しいフィールドを追加して,WTRU D2D無線アクセス能力を返すようWTRUをトリガするようにすることによって,達成することができる。
[0309] D2D対応WTRUは,そのD2D能力についてネットワークに通知することができ,これは例えば,WTRUCapabilityInformationメッセージを使用して,UE-CapabilityRAT-ContainerList中のUE-EUTRA-Capability IEと同様のUE-D2D-Capability IEを含めて,WTRUのD2D無線アクセス能力を搬送することによって,行うことができる。WTRU能力情報は,D2D対応WTRUが動作できる帯域内/帯域外キャリア周波数を含んでよい。WTRU能力情報は,D2D WTRUが単一RAT(例えば3GPP RAT)を使用して動作できるかどうか,及びRATに対するいずれかの関連する制限,又は,異なるRAT(例えば,802.11やBluetoothなどの非3GPP RAT)上で動作できるかどうかを含んでよい。D2Dリンクの3GPP RAT能力は,FDD及び/又はTDDに対するサポート,並びに,PHY,MAC,RLC,及びPDCPレイヤの無線アクセス能力などを含んでよい。D2Dリンクの非3GPP RAT能力は,例えば,802.11のどの改正か(a,b,e,g,n,ac,adなど)を含んでよい。WTRU能力情報はまた,以下のうちの少なくとも1つを含んでよい。すなわち,シームレスなハンドオーバサポートに関係する能力;インフラストラクチャ,D2D直接パス,及び/又はD2Dローカルパスにわたるアグリゲーションに対するサポート;単方向D2Dに対するサポート;D2Dリンクを介してサポートされる暗号化及びセキュリティプロトコル;WTRU中でのPCEF実行のための信頼ゾーン能力;デバイス発見に関係するサポート;D2Dリンクについての最大送信電力能力;D2Dリンクについての最大バッファリング能力;IPの下の論理インタフェースサポートに関係する能力;D2Dポリシに関係する選好;D2Dマルチキャストに対するサポートなどである。)

上記の記載,並びに当業者の技術常識を考慮すると,以下のことがいえる。

ア [0308]には,WTRUCapability Enquiryメッセージは,ue-CapabilityRequestを含み,ue-CapabilityRequest中のUE-D2D-Capabilityの新しいフィールドを追加することによって,D2D無線アクセス能力を返すようWTRUをトリガすることが記載されているといえる。
また,[0308]の「ネットワークは,WTRUのD2D能力情報を得ることができる。例えば,これは,WTRUCapability Enquiryメッセージ中で搬送される(中略)新しいフィールドを追加して,WTRU D2D無線アクセス能力を返すようWTRUをトリガする」との記載から,ネットワークがWTRUCapability EnquiryメッセージをWTRUに送信し,ネットワークから送信されたWTRUCapability EnquiryメッセージをWTRUが受信し,受信したWTRUCapability EnquiryメッセージによってWTRUがD2D無線アクセス能力を返すようにトリガされていることは明らかである。
よって,引用例4には,「ネットワークから送信されたWTRUCapability EnquiryメッセージをWTRUが受信すること,WTRUCapability Enquiryメッセージは,ue-CapabilityRequestを含み,ue-CapabilityRequest中のUE-D2D-Capabilityの新しいフィールドを追加することによって,D2D無線アクセス能力を返すようWTRUをトリガすること」が記載されていると認める。

イ [0309]には,WTRU能力情報は,D2D対応WTRUが動作できる帯域内/帯域外キャリア周波数を含むことが記載されている。また,[0309]の「WTRU能力情報は,D2DWTRUが単一RAT(例えば3GPP RAT)を使用して動作できるかどうか」との記載から,単一RATとして,3GPP RATを想定していることは明らかである。更に,3GPP RATを使用してユーザ端末(WTRU)がD2D動作を行うことは,本願の国際出願日の時点において技術常識といえる。そうすると,[0309]の記載によれば,WTRU能力情報は,3GPP RATを使用してD2Dの動作ができるかどうかを含むといえる。
また,[0309]の記載によれば,WTRU能力情報のうち,D2D無線アクセスに関するものは,D2D無線アクセス能力に含まれることは自明である。そして,D2D対応WTRUが動作できる帯域内/帯域外キャリア周波数,及び3GPP RATを使用してD2Dの動作ができるかどうかは,いずれもD2D無線アクセスに関するものであるから,D2D無線アクセス能力に含まれるといえる。
よって,引用例4には,「D2D無線アクセス能力は,D2D対応WTRUが動作できる帯域内/帯域外キャリア周波数,及び3GPP RATを使用してD2Dの動作ができるかどうかを含むこと」が記載されていると認める。

ウ [0309]の記載によれば,引用例4には,「WTRUがD2D無線アクセス能力をネットワークに通知すること」が記載されていると認める。

エ 上記「ア」?「ウ」から,引用例4には,「WTRUがD2D無線アクセス能力を通知する方法」が記載されていると認める。

以上を総合すると,引用例4には以下の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認める。

「 ネットワークから送信されたWTRUCapability EnquiryメッセージをWTRUが受信すること,WTRUCapability Enquiryメッセージは,ue-CapabilityRequestを含み,ue-CapabilityRequest中のUE-D2D-Capabilityの新しいフィールドを追加することによって,D2D無線アクセス能力を返すようWTRUをトリガすること,
D2D無線アクセス能力は,D2D対応WTRUが動作できる帯域内/帯域外キャリア周波数,及び3GPP RATを使用してD2Dの動作ができるかどうかを含むこと,
WTRUがD2D無線アクセス能力をネットワークに通知すること,
を含むWTRUがD2D無線アクセス能力を通知する方法。」

(2)引用発明2
当審拒絶理由に引用された特開2012-204910号公報(引用例5)には,以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

「【0104】
図8は本実施形態における移動局装置の処理能力の通知・管理方法を示すシーケンスチャートである。まず,基地局装置2は,移動局装置1に対して周波数帯域毎の処理能力を照会する移動局装置能力照会メッセージを送信する(ステップS81)。照会メッセージには,どの通信システム(RAT; Radio Access technology)に関する通知を要求するか,および基本情報か追加情報のどちらを要求するかの情報が含まれる。前記メッセージを受信した移動局装置1は要求されたRATに関する自局の処理能力のうち,基本情報(Basic Info)の要求であれば周波数帯域毎の処理能力を,追加情報(Additional Info)の要求であれば周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を抽出し(ステップS82),移動局装置能力情報メッセージで基地局装置2へ通知する(ステップS83)。基地局装置2は移動局装置1と接続されたRRC_CONNECTED状態の間,該移動局装置1の処理能力を保持する。また,基地局装置2は,移動局装置能力情報通知メッセージで該移動局装置1を管理するMMEに対して該移動局装置1の処理能力のうち基本情報を通知する(ステップS84)。該移動局装置1の処理能力は,MMEと接続された状態(ECM_Connected)の間,MMEに保持される(ステップS85)。
(中略)
【0106】
以上のように,本実施形態におけるMMEは,移動局装置1のサポートする周波数帯域毎の処理能力のみを基本情報として保持し,基地局装置2は複数周波数帯域を用いたキャリア・アグリゲーションを行う場合にのみ基本情報以外の処理能力を移動局装置1から取得することで,MMEにおける記憶容量の軽減と基地局装置2との通信負荷の軽減,さらに移動局装置能力照会で基本情報と追加情報を分離することで,不必要な処理能力の通知による無線リソースの浪費や移動局装置1の電力消費を軽減することが可能となる。
(中略)
【0109】
また,本実施形態における移動局装置能力照会メッセージは基本情報の要求,追加情報のみを要求,すべての情報を要求の3つを識別できるように設計してもよい。この場合,基地局装置2が移動局装置1に関する処理能力を保持していなければ,すべての情報を要求するメッセージを移動局装置1に送信して,取得した処理能力のうち基本情報をMMEに通知してもよいし,基本情報を要求するメッセージを移動局装置1に送信して,取得した処理能力をMMEに通知し,キャリア・アグリゲーションに追加情報が必要である場合のみに追加情報を要求するメッセージを移動局装置1に送信することも可能である。」

上記の記載,並びに当業者の技術常識を考慮すると,以下のことがいえる。

ア 【0109】によれば,所定の処理(キャリア・アグリゲーション)を行う場合に,移動局装置の処理能力に関して,基地局装置は,追加情報が必要である場合のみに追加情報を要求する移動局装置能力照会メッセージを移動局装置に送信することが記載されているといえる。
また,【0104】によれば,追加情報を要求する移動局装置能力照会メッセージを受信した移動局装置は,追加情報を抽出し,移動局装置能力情報メッセージで追加情報を基地局装置に通知することが記載されているといえる。
また,【0106】によれば,基地局装置は,通信負荷の軽減,不必要な処理能力の通知による無線リソースの浪費や移動局装置の電力消費を軽減するために,追加情報が必要である場合のみに追加情報を要求する移動局装置能力照会メッセージを移動局装置に送信しているといえる。そうすると,通信負荷を軽減し,不必要な処理能力の通知による無線リソースの浪費や移動局装置の電力消費を軽減するために,移動局装置は,基地局装置から追加情報を要求されていない場合,追加情報を基地局装置に通知せず,移動局装置が,追加情報を要求する移動局装置能力照会メッセージを受信した場合にのみ,要求された追加情報を抽出する処理を行い,追加情報を基地局装置へ通知していることは自明である。

以上を総合すると,引用例5には以下の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されていると認める。

「 通信負荷の軽減,不必要な処理能力の通知による無線リソースの浪費や移動局装置の電力消費を軽減するために,移動局装置の処理能力に関して,移動局装置が,追加情報を要求する移動局装置能力照会メッセージを受信した場合にのみ,追加情報を抽出する処理を行い,追加情報を基地局装置へ通知する方法。」

(3)引用発明3
当審拒絶理由に引用された,D2D capability for multi-carrier capable UE[online], 3GPP TSG-RAN WG2♯86 R2-142634,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_86/Docs/R2-142634.zip>,掲載日2014年 5月19日(引用例1)には,以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

「Proposal 1 UE may support D2D operation only on serving frequency or also on non-serving frequency, depending on its capabilities.

Such UE capabilities should be known to network such that network can properly take care of the UE to ensure the continuity of D2D operations: when UE supports D2D operation on a specific band or band combination, if network configures the UE to operate on a band/band combination where D2D operation is not possible, the D2D operation will be suspended.

As indicated in the example in the above paragraph, the most essential UE capabilities related to D2D operation is supported D2D band/band combination information. Since the D2D operation should coexist whenever in network coverage, the D2D band/band combination capabilities shall take into account the existing band/band combination capabilities for cellular communication. This means that the supported D2D band/band combination needs to be appended to the existing capability signaling such that the meaning of existing band/band combination signaling is still effective when introducing the extended capability signaling which allow for signaling supported D2D band/band combination information from UE, Then upon receiving the extended capability signaling from UE, network can easily identify the supported band/band combination that take both cellular and D2D operation jointly into account.
(中略)
Proposal 3 UE indicates supported D2D band combinations as part of UE capability signaling.

2.2 Signaling of D2D capabilities
Assuming that UE capability signaling is used, the next question is how UE express its capabilities related to D2D operation together with conventional band/band combination signaling.

A. UE supporting a single band for D2D operation concurrently running together with cellular communication
For UE supporting a single band for D2D operation concurrently running together with cellular communication, the straightforward way is to simply introduce a new element indicating a D2D supported band into each entry of existing band/band combination. For example, let us assume that UE support 2 DL+1UL CA band combination and thus indicates the following band combination entries as part of its capability signaling:

・ {{DL_X, DL_Y}, UL_X} indicating that UE supports 2DL (X and Y) +1UL CA (band X)
・ {{DL_X, DL_Y}, UL_Y} indicating that UE supports 2DL (X and Y) +1UL CA (band Y)

Then, the supported band for D2D operation can be simply added as the new element into each entry as follows:
For 2DL (X and Y) +1UL CA (band X) combination, assuming the following band combinations are supported,

・ {{DL_X, DL_Y}, UL_X, D2D_X} indicating that UE supports 2DL (X and Y) +1UL CA (band X) with D2D on band X, where the concurrent D2D operation on indicated band together with cellular communication on indicated band combination is supported.
(中略)
Proposal 4 New element is added into each existing band/band combination entry, where the new element indicates the supported band for D2D operation which can simultaneously run with cellular communication expressed by the existing band/band combination entry.

Proposal 5 When a new element for indication of supported band for D2D operation, no separate capability signaling for reception and for transmission is introduced. That is, if UE indicates via the new element a band_A as part of supported band for D2D operation together with existing band (and band combination) signaling, it shall support a simultaneous operation of D2D reception on band_A with cellular communication expressed by the conventional band/band combination signaling, and it shall also support a simultaneous operation of D2D transmission on the band_A with cellular communication expressed by the conventional band/band combination signaling. 」

(当審仮訳:
提案1 UEは,その能力に応じて,サービング周波数でのみ,又は非サービング周波数でもD2D動作をサポートできます。

そのようなUE能力は,ネットワークがUEを適切に処理してD2D動作の連続性を保証するためにネットワークに認識される必要があります:UEが特定のバンド又はバンドコンビネーションでD2D動作をサポートする場合,ネットワークが,D2D動作が可能でないバンド/バンドコンビネーションで動作するようにUEを構成する場合,D2D動作は中断されます。

上記の段落の例で示したように,D2D動作に関連する最も重要なUE能力は,D2Dバンド/バンドコンビネーション情報をサポートしています。 D2D動作はネットワークカバレッジ内にある場合は常に共存する必要があるため,D2Dバンド/バンドコンビネーション能力は,セルラー通信の既存のバンド/バンドコンビネーション能力を考慮に入れる必要があります。これは,サポートされるD2Dバンド/バンドコンビネーション情報を既存の能力シグナリングに追加して,UEからのサポートされるD2Dバンド/バンドコンビネーション情報をシグナリングできる拡張能力シグナリングを導入するときに,既存のバンド/バンドコンビネーションシグナリングの意味が依然として有効である必要があることを意味します。拡張能力シグナリングをUEから受信すると,ネットワークは,セルラーとD2Dの両方の動作を同時に考慮に入れた,サポートされているバンド/バンドコンビネーションを簡単に識別できます。
(中略)
提案3 UEは,サポートされているD2DバンドコンビネーションをUE能力シグナリングの一部として示します。

2.2 D2D能力のシグナリング
UE能力シグナリングが使用されると仮定すると,次の問題は,UEがどのようにD2D動作に関連する能力を既存のバンド/バンドコンビネーションのシグナリングと共に表現するかです。

A. セルラー通信と同時に実行されるD2D動作のための単一バンドをサポートするUE
セルラー通信と同時に実行されるD2D動作のための単一バンドをサポートするUEの場合,簡単な方法は,D2Dをサポートするバンドを示す新しいエレメントを,既存のバンド/バンドコンビネーションの各エントリにシンプルに導入することです。 例えば,UEが2 DL+1UL CAバンドコンビネーションをサポートしており,その能力シグナリングの一部として次のバンドコンビネーションエントリを示していると仮定します。

・ {{DL_X, DL_Y}, UL_X}は,UEが,2DL (X and Y) +1UL CA (band X)をサポートすることを示します。
・ {{DL_X, DL_Y}, UL_Y}は,UEが,2DL (X and Y) +1UL CA (band Y)をサポートすることを示します。

そして,以下に示すように,D2D動作をサポートするバンドを,新しいエレメントとして各エントリに簡単に追加することができます。
2DL (X and Y) +1UL CA (band X)コンビネーションの場合,次のバンドコンビネーションがサポートされていると仮定します。

・ {{DL_X,DL_Y},UL_X,D2D_X}は,UEが,バンドXでのD2Dと,2DL (X and Y) +1UL CA (band X)をサポートすることを示します。これは,示されたバンドコンビネーションでのセルラー通信と示されたバンドでの同時D2D動作がサポートされています。
(中略)
提案4 新しいエレメントは,既存の各バンド/バンドコンビネーションエントリに追加されます。新しいエレメントは,既存のバンド/バンドコンビネーションエントリで表されるセルラー通信と同時に実行できるD2D動作をサポートするバンドを示します。

提案5 D2D動作をサポートするバンドを示す新しいエレメントが追加された場合,受信用と送信用の個別の能力シグナリングは導入されません。つまり,UEが新しいエレメントを介して,既存のバンド(及びバンドコンビネーション)シグナリングとともに,D2D動作をサポートするバンドの一部としてband_Aを示す場合,既存のバンド/バンドコンビネーションシグナリングによって示されるセルラー通信と,band_AでのD2D受信の同時動作をサポートするものとします。また,既存のバンド/バンドコンビネーションシグナリングによって示されるセルラー通信と,band_AでのD2D送信の同時動作もサポートするものとします。)

上記の記載,並びに当業者の技術常識を考慮すると,以下のことがいえる。

ア 「・ {{DL_X,DL_Y},UL_X,D2D_X}は,UEが,バンドXでのD2Dと,2DL (X and Y) +1UL CA (band X)をサポートすることを示します。これは,示されたバンドコンビネーションでのセルラー通信と示されたバンドでの同時D2D動作がサポートされています。」との記載に関して,「2DL (X and Y) +1UL CA (band X)」とは,バンドXとバンドYの2つのバンドを用いたDL(ダウンリンク)を行い,バンドX を用いたUL(アップリンク)を行うCA(キャリアアグリゲーション)を示していることは明らかである。してみれば,「{{DL_X,DL_Y},UL_X,D2D_X}」が,示されたバンドコンビネーションでのキャリアアグリゲーションと示されたバンドでの同時D2D動作をサポートすることを示していることは明らかである。
また,「提案 3」の記載によれば,「{{DL_X,DL_Y},UL_X,D2D_X}」は,「UE能力シグナリング」に含まれるといえる。
また,「提案 5」の記載によれば,「同時D2D動作」は,band_AでのD2D受信とband_AでのD2D送信を含むものといえる。
よって,引用例1には,「示されたバンドコンビネーションでのキャリアアグリゲーションと示されたバンドでの同時D2D動作をサポートすることを示し,同時D2D動作はband_AでのD2D受信とband_AでのD2D送信を含む,UE能力シグナリング」が記載されていると認める。

イ 「提案 1」の「UEは,その能力に応じて,サービング周波数でのみ,又は非サービング周波数でもD2D動作をサポートできます。」との記載,「そのようなUE能力は,ネットワークがUEを適切に処理してD2D動作の連続性を保証するためにネットワークに認識される必要があります」との記載から,UE能力(D2D動作をサポートする周波数)は,D2D動作の連続性を保証するためにネットワークに認識される必要があるものといえる。
また,「提案 3」の「UEは,サポートされているD2DバンドコンビネーションをUE能力シグナリングの一部として示します。」との記載によればUE能力シグナリングは,サポートされているD2Dバンドコンビネーションを含むといえる。更に,「サポートされているD2Dバンドコンビネーション」は,上述したUE能力(D2D動作をサポートする周波数),すなわちD2D動作の連続性を保証するためにネットワークに認識される必要があるUE能力を含むことは明らかである。
してみると,引用例1には,UE能力シグナリングは「D2D動作の連続性を保証するためにネットワークに認識される必要があるUE能力を含む」ものであることが記載されていると認める。

以上を総合すると,引用例1には以下の発明(以下,「引用発明3」という。)が記載されていると認める。

「 D2D動作の連続性を保証するためにネットワークに認識される必要があるUE能力を含むUE能力シグナリングであって,示されたバンドコンビネーションでのキャリアアグリゲーションと示されたバンドでの同時D2D動作をサポートすることを示し,同時D2D動作はband_AでのD2D受信とband_AでのD2D送信を含む,UE能力シグナリング。」

2 対比・判断
本願発明と引用発明1とを対比する。

(1)引用発明1の「WTRU」は,本願発明の「端末装置」に相当する。また,WTRUがネットワークと通信を行う場合に,ネットワーク側の装置として,WTRUと通信する基地局が含まれることは自明である。
また,引用発明1の「WTRUCapability Enquiryメッセージ」は,本願発明の「端末能力問合せメッセージ」に相当する。
また,引用発明1の「D2D無線アクセス能力」は,本願発明の「D2D能力情報」に対応する。そして,本願発明の「D2D能力情報を報告するように指示する」ことと,引用発明1の「D2D無線アクセス能力を返すようWTRUをトリガする」ことは,双方とも,D2Dの能力情報を基地局(ネットワーク)に対して通知するように端末装置を動作させることといえる。してみると,引用発明1の「D2D無線アクセス能力を返すようWTRUをトリガすること」は,本願発明の「D2D能力情報を報告するように指示する」ことに相当する。
また,引用発明1の「ue-CapabilityRequest」は,「WTRUCapability Enquiryメッセージ」に含まれるものである。そして,引用発明1の「ue-CapabilityRequest」は,「D2D無線アクセス能力を返すようWTRUをトリガする」ために使用されるものであることは明らかである。してみると,引用発明1の「ue-CapabilityRequest」は,本願発明の「デバイス間(D2D)能力報告要求情報」に相当する。

したがって,引用発明1の「ネットワークから送信されたWTRUCapability EnquiryメッセージをWTRUが受信すること,WTRUCapability Enquiryメッセージは,ue-CapabilityRequestを含み,ue-CapabilityRequest中のUE-D2D-Capabilityの新しいフィールドを追加することによって,D2D無線アクセス能力を返すようWTRUをトリガすること」は,本願発明の「基地局によって送信された端末能力問合せメッセージを端末装置によって受信するステップであって,前記端末能力問合せメッセージは,デバイス間(D2D)能力報告要求情報を含み,前記D2D能力報告要求情報は,前記端末装置に,D2D能力情報を報告するように指示するために使用される,ステップ」に相当する。

(2)引用発明1の「WTRU」は,「ネットワークから送信されたWTRUCapability Enquiryメッセージ」を受信した場合に,D2D無線アクセス能力を返すようトリガされるものである。そうすると,D2D無線アクセス能力を返す,すなわちD2D無線アクセス能力をネットワークに通知するために,何らかの方法を用いてD2D無線アクセス能力を取得していることは自明である。
してみると,本願発明の「前記端末装置が前記基地局によって送信された前記端末能力問合せメッセージを受信した場合にのみ,前記端末装置のD2D能力情報を,前記端末装置によって取得するステップ」は,引用発明の「ネットワークから送信されたWTRUCapability EnquiryメッセージをWTRUが受信すること,WTRUCapability Enquiryメッセージは,ue-CapabilityRequestを含み,ue-CapabilityRequest中のUE-D2D-Capabilityの新しいフィールドを追加することによって,D2D無線アクセス能力を返すようWTRUをトリガすること」と,「前記端末装置が前記基地局によって送信された前記端末能力問合せメッセージを受信した場合に,前記端末装置のD2D能力情報を,前記端末装置によって取得」する点で共通する。

(3)引用発明1の「3GPPRATを使用してD2Dの動作ができるかどうか」は,D2Dにより端末間で情報の伝送ができるかどうか,すなわち,D2Dによるポイントツーポイント伝送能力を含むことは明らかである。そうすると,引用発明1の「3GPP RATを使用してD2Dの動作ができるかどうか」は,本願発明の「D2Dポイントツーポイント伝送能力」に含まれる。
そして,「または」は択一的であることを意味するから,本願発明の「前記端末装置がD2D通信をサポートする能力情報は,D2D検出能力,D2Dブロードキャスト通信能力,D2Dポイントツーポイント伝送能力,D2Dマルチキャスト通信能力,またはD2Dリレー通信能力を含む」ことは,「前記端末装置がD2D通信をサポートする能力情報は,D2Dポイントツーポイント伝送能力を含む」ことを含む。
してみると,本願発明の「前記端末装置の前記D2D能力情報は,前記端末装置がD2D通信およびキャリアアグリゲーションの両方をサポートする能力情報を含み,前記端末装置がD2D通信をサポートする能力情報は,D2D検出能力,D2Dブロードキャスト通信能力,D2Dポイントツーポイント伝送能力,D2Dマルチキャスト通信能力,またはD2Dリレー通信能力を含む」ことは,引用発明1の「D2D無線アクセス能力は,D2D対応WTRUが動作できる帯域内/帯域外キャリア周波数,及び3GPP RATを使用してD2Dの動作ができるかどうかを含むこと」と,「端末装置の前記D2D能力情報は,D2Dポイントツーポイント伝送能力を含」む点で共通する。

(4)本願発明の「前記D2D能力報告要求情報に従って,前記D2D能力報告要求情報に対応する,前記端末装置の前記D2D能力情報を,前記端末装置によって前記基地局に送信するステップ」と,引用発明1の「ue-CapabilityRequest中のUE-D2D-Capabilityの新しいフィールドを追加することによって,D2D無線アクセス能力を返すようWTRUをトリガすること」及び「WTRUがD2D無線アクセス能力をネットワークに通知すること」は,いずれもD2D能力報告要求情報(ue-CapabilityRequest)に従って,D2D能力報告要求情報に対応する端末装置のD2D能力情報を,端末装置によって基地局に送信するものといえる。
したがって,引用発明1の「ue-CapabilityRequest中のUE-D2D-Capabilityの新しいフィールドを追加することによって,D2D無線アクセス能力を返すようWTRUをトリガすること」及び「WTRUがD2D無線アクセス能力をネットワークに通知すること」は,本願発明の「前記D2D能力報告要求情報に従って,前記D2D能力報告要求情報に対応する,前記端末装置の前記D2D能力情報を,前記端末装置によって前記基地局に送信するステップ」に相当する。

(5)引用発明1の「WTRUがD2D無線アクセス能力を通知する方法」は,WTRUの能力を報告する方法であるから,本願発明と同様に「端末装置能力報告方法」を示すものといえる。

(6)本願発明の「前記端末装置がD2D通信をサポートする能力情報は,D2D検出能力,D2Dブロードキャスト通信能力,D2Dポイントツーポイント伝送能力,D2Dマルチキャスト通信能力,またはD2Dリレー通信能力を含む」ことに関して,「または」は択一的であることを意味するから,引用発明1が「D2D検出能力,D2Dブロードキャスト通信能力,D2Dマルチキャスト通信能力,またはD2Dリレー通信能力」との事項を有しないことは,相違点とはならない。

以上を総合すると,本願発明と引用発明1とは,以下の点で一致し,また,相違している。

(一致点)
「 基地局によって送信された端末能力問合せメッセージを端末装置によって受信するステップであって,前記端末能力問合せメッセージは,デバイス間(D2D)能力報告要求情報を含み,前記D2D能力報告要求情報は,前記端末装置に,D2D能力情報を報告するように指示するために使用される,ステップと,
前記端末装置が前記基地局によって送信された前記端末能力問合せメッセージを受信した場合に,前記端末装置のD2D能力情報を,前記端末装置によって取得し,
端末装置の前記D2D能力情報は,D2Dポイントツーポイント伝送能力を含み,
前記D2D能力報告要求情報に従って,前記D2D能力報告要求情報に対応する,前記端末装置の前記D2D能力情報を,前記端末装置によって前記基地局に送信するステップ,
を含む端末装置能力報告方法。」

(相違点1)
「端末能力問合せメッセージを受信した場合に,前記端末装置のD2D能力情報を,前記端末装置によって取得」することについて,本願発明は「端末能力問合せメッセージを受信した場合にのみ,前記端末装置のD2D能力情報を,前記端末装置によって取得する」ものであるのに対し,引用発明1は,WTRUCapability EnquiryメッセージをWTRUが受信した場合,D2D無線アクセス能力をWTRUが取得するものであるが,WTRUCapability EnquiryメッセージをWTRUが受信した場合にのみ,D2D無線アクセス能力をWTRUが取得するとは特定されていない点。

(相違点2)
「端末装置の前記D2D能力情報は,D2Dポイントツーポイント伝送能力を含」むことについて,本願発明は「前記端末装置の前記D2D能力情報は,前記端末装置がD2D通信およびキャリアアグリゲーションの両方をサポートする能力情報を含み,前記端末装置がD2D通信をサポートする能力情報は,D2Dポイントツーポイント伝送能力を含む」ものであるのに対し,引用発明1は「D2D無線アクセス能力は,D2D対応WTRUが動作できる帯域内/帯域外キャリア周波数,及び3GPP RATを使用してD2Dの動作ができるかどうかを含む」ものであるが,「前記端末装置の前記D2D能力情報は,前記端末装置がD2D通信およびキャリアアグリゲーションの両方をサポートする能力情報を含み,前記端末装置がD2D通信をサポートする能力情報は,D2Dポイントツーポイント伝送能力を含む」ことについては,特定されていない点。

以下,上記相違点について検討する。

(相違点1)
上記「第4 当審の判断」の項中の「1 引用発明」の項中の「(2)引用発明2」で認定したとおり,
「 通信負荷の軽減,不必要な処理能力の通知による無線リソースの浪費や移動局装置の電力消費を軽減するために,移動局装置の処理能力に関して,移動局装置が,追加情報を要求する移動局装置能力照会メッセージを受信した場合にのみ,追加情報を抽出する処理を行い,追加情報を基地局装置へ通知する方法。」との引用発明2は公知である。
そして,通信負荷の軽減,不必要な処理能力の通知による無線リソースの浪費や移動局装置の電力消費を軽減するという課題は一般的な課題である。してみると,当該一般的課題を解決するために,引用発明1に引用発明2の構成を採用することは格別困難なことではない。
したがって,引用発明1に引用発明2を適用して,引用発明1において,WTRUCapability EnquiryメッセージをWTRUが受信した場合にのみ,D2D無線アクセス能力をWTRUが取得し,基地局(ネットワーク)に対して通知するようにすることは,当業者が容易に想到しうることである。

(相違点2)
上記「第4 当審の判断」の項中の「1 引用発明」の項中の「(3)引用発明3」で認定したとおり,
「 D2D動作の連続性を保証するためにネットワークに認識される必要があるUE能力を含むUE能力シグナリングであって,示されたバンドコンビネーションでのキャリアアグリゲーションと示されたバンドでの同時D2D動作をサポートすることを示し,同時D2D動作はband_AでのD2D受信とband_AでのD2D送信を含む,UE能力シグナリング。」との引用発明3は公知である。
ここで,引用発明1の「D2D対応WTRUが動作できる帯域内/帯域外キャリア周波数」と,引用発明3の「示されたバンドコンビネーションでのキャリアアグリゲーションと示されたバンドでの同時D2D動作をサポートすること」は,いずれもD2Dが動作できる,すなわち,D2Dによる通信ができる周波数バンドに関する能力情報を含むものである。更に,引用発明1の「3GPP RATを使用してD2Dの動作ができるかどうか」と,引用発明3の「同時D2D動作はband_AでのD2D受信とband_AでのD2D送信を含む」ことは,いずれもD2Dにより端末間で情報の伝送ができるかどうか,すなわち,D2Dポイントツーポイント伝送能力を含むものである。そして,D2D動作の連続性を保証するという課題は一般的な課題である。してみると,当該一般的課題を解決するために,引用発明1に引用発明3の構成を採用することは格別困難なことではない。
したがって,引用発明1に,引用発明3を適用して,相違点2の構成を採用することは,当業者が容易に想到しうることである。

そして,本願発明の作用効果も,引用発明1,引用発明2及び引用発明3に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。
したがって,本願発明は,引用発明1,引用発明2及び引用発明3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。

(請求人の主張について)
請求人は令和2年2月10日に提出された意見書の「2.理由3(進歩性)について」の「(2)本願発明と引例発明との差異について」において,「しかしながら,引例1には,D2D通信がサポートされる帯域を示す要素が,D2D検出能力,D2Dブロードキャスト通信能力,D2Dポイントツーポイント伝送能力,D2Dマルチキャスト通信能力,またはD2Dリレー通信能力を含むことは明示的に開示されていません。従って,引例1には,本願発明の上記特徴は,明示的に開示されていません。(中略)しかしながら,WTRU能力情報が,端末装置がD2D通信およびキャリアアグリゲーションの両方をサポートする能力情報を含むことは明示的に開示されていません。すなわち,引例4には,本願発明の上記特徴は,明示的に開示されていません。」と主張している。
しかしながら,上述したとおり,引用例1には,
「 D2D動作の連続性を確保するためにネットワークに認識される必要があるUE能力を含むUE能力シグナリングであって,示されたバンドコンビネーションでのキャリアアグリゲーションと示されたバンドでの同時D2D動作をサポートすることを示し,同時D2D動作はband_AでのD2D受信とband_AでのD2D送信を含む,UE能力シグナリング。」が記載されている。
そして,引用例1の「同時D2D動作はband_AでのD2D受信とband_AでのD2D送信を含む」ことは,D2Dにより端末間で情報の伝送ができるかどうか,すなわち,D2Dによるポイントツーポイント伝送能力を含むことは明らかである。
更に,「2 対比・判断」の項中の(6)で検討したとおり,本願発明の「前記端末装置がD2D通信をサポートする能力情報は,D2D検出能力,D2Dブロードキャスト通信能力,D2Dポイントツーポイント伝送能力,D2Dマルチキャスト通信能力,またはD2Dリレー通信能力を含む」に関して,「または」は択一的であることを意味するから,引用発明1(あるいは引用発明3)が「D2D検出能力,D2Dブロードキャスト通信能力,D2Dマルチキャスト通信能力,またはD2Dリレー通信能力」との事項を有しないことは,相違点とはならない。
したがって,請求人の上記主張を採用することはできない。

第5 むすび
本願発明は,当業者が引用例4,引用例5,及び引用例1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は,他の請求項について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2020-03-10 
結審通知日 2020-03-16 
審決日 2020-03-27 
出願番号 特願2017-506859(P2017-506859)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04W)
P 1 8・ 537- WZ (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 望月 章俊  
特許庁審判長 岩間 直純
特許庁審判官 山本 章裕
相澤 祐介
発明の名称 端末装置能力報告方法および装置  
代理人 実広 信哉  
代理人 木内 敬二  

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