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審決分類 審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  A41D
管理番号 1365323
審判番号 無効2017-800121  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-08-31 
確定日 2020-07-31 
事件の表示 上記当事者間の特許第4762896号発明「手袋に対するテクスチャード加工表面被覆および製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
本件に係る主な手続の経緯を以下に示す。
平成16年 6月30日 本件特許国際出願(特願2006-517837号)(パリ条約による優先権主張外国庁受理2003年7月2日、米国、2004年6月30日、米国)
平成21年12月24日付け 拒絶理由通知(甲第6号証を参照)
平成22年 4月 5日 意見書(甲第5号証を参照)、手続補正書
平成22年10月29日付け 拒絶査定(甲第8号証を参照)
平成23年 3月 1日 拒絶査定不服審判請求(甲第9号証を参照)、手続補正書
平成23年 6月17日 設定登録(特許第4762896号(以下、「本件特許」という。))
平成29年 8月31日 本件審判請求
平成30年 2月28日 答弁書
平成30年 5月21日付け 審理事項通知
平成30年 6月12日 請求人口頭審理陳述要領書
平成30年 7月 3日 被請求人口頭審理陳述要領書
平成30年 7月19日 第1回口頭審理

以下、「審判請求書」を「請求書」と略記し、「口頭審理陳述要領書」を「要領書」と略記する。また、「甲第1号証」等を「甲1」等と略記する。

第2.本件発明
本件特許の請求項1?6に係る発明(以下「本件発明1?6」という。また、これらをまとめて「本件発明」ということもある。)は、その特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定される「テクスチャード加工表面被覆手袋を製造する方法」の発明であって、以下のとおりのものである。
【請求項1】
テクスチャード加工表面被覆手袋を製造する方法であって、
(i)型を凝固剤で処理すること;
(ii)型を水性ラテックスエマルジョン中で浸漬被覆することによりラテックスの第一層を形成すること;
(iii)該凝固剤による該ラテックスエマルジョンの不安定化によりラテックスの第一層をゲル化すること;
(iv)型を水性ラテックスエマルジョン中で浸漬被覆することによりラテックスの第一層の上にラテックスの第二層を形成すること;
(v)ラテックスの第二層に離散した多面的な塩の粒子を塗布すること;
(vi)塩の粒子の形状を模写する多面的な痕がラテックスの第二層に形成されるように、塩の粒子との接触時にラテックスの第二層をゲル化し、ラテックスの第二層の中の塩の粒子の形状を固定すること;
(vii)ラテックスの第二層を熱硬化させる前に、ラテックスの第二層から離散した多面的な塩の粒子を溶解すること;
(viii)離散粒子を溶解する工程の後、形成した層を熱硬化させ、硬化した第二層を形成すること;ならびに
(ix)型から硬化したテクスチャード加工手袋を外すこと
を含み、該ラテックスが塩との接触時に即座に不安定化して湿潤ゲルを形成するものである、方法。
【請求項2】
テクスチャード加工表面被覆手袋を製造する方法であって、
(i)型に非ラテックス材料の織布第一層、またはメリヤス第一層を塗布すること;
(ii)型を水性ラテックスエマルジョン中で浸漬被覆することにより織布第一層、またはメリヤス第一層の上にラテックス第二層を形成すること;
(iii)ラテックス第二層に離散した多面的な塩の粒子を塗布すること;
(iv)塩の粒子の形状を模写する多面的な痕がラテックスの第二層に形成されるように、塩の粒子との接触時にラテックス第二層をゲル化し、ラテックスの第二層の中の塩の粒子の形状を固定すること;
(v)ラテックスの第二層を熱硬化させる前に、ラテックスの第二層から離散した多面的な塩の粒子を溶解すること;
(vi)離散粒子を溶解する工程の後、ラテックス第二層を熱硬化させ、硬化した第二層を形成すること;ならびに
(vii)型から硬化したテクスチャード加工手袋を外すこと
を含み、該ラテックスが塩との接触時に即座に不安定化して湿潤ゲルを形成するものである、方法。
【請求項3】
ラテックス第二層が発泡体である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
離散粒子が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硝酸カルシウム、硝酸亜鉛、およびそれらの組み合わせから選択される塩を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
塩の流動床の中に型を浸漬することにより、塩の離散粒子をラテックスの第二層に塗布する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
水性ラテックスエマルジョンが、天然ゴムラテックス、ポリウレタンラテックス、ニトリルラテックス、ポリクロロプレンラテックス、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1または2に記載の方法。

第3.当事者の主張の要旨及び証拠方法
1.請求人の主張の要旨及び証拠方法
(1)請求人の主張の要旨
請求人は、本件特許の請求項1?6に係る特許は無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めている。

(2)請求人が主張する無効理由
請求人が主張する無効理由は以下のとおりである。(第1回口頭審理調書 請求人欄の2を参照)

無効理由(特許法第36条第4項第1号違反)
本件特許明細書の発明の詳細な説明は、以下のア?エの点で、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえないから、その特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。

ア.本件発明は、甲11ないし甲14の検証結果からみて、被請求人が審査過程で主張した、甲1及び甲2に記載された先行技術との技術的差異に基づく効果を奏するものではないから、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件発明が前記効果を奏するべくその実施をすることができるように記載したものとはいえない点。

イ.本件特許明細書の発明の詳細な説明には、表1に示される「グリップ力」の測定方法が記載されておらず、前記「グリップ力」の測定方法は、甲5での被請求人の説明を踏まえてもなお不明であり、当業者は本件発明に係る製造方法の一工程である手袋の検査工程で当該「グリップ力」の測定検査をすることができないから、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件発明の実施をすることができるように記載したものとはいえない。

ウ.仮に、前記「グリップ力」の測定方法が不明ではないとしても、前記表1に示される「グリップ力」は、甲2に記載された先行技術に比して優れたものではないから、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件発明が先行技術に比して優れた「グリップ力」を有するという効果を奏するべくその実施をすることができるように記載したものとはいえない点。

エ.甲5の5頁に示される表に関し、被請求人の主張は技術的な妥当性を欠いており、本件発明の「グリップ力」は、甲2に記載された先行技術に比して優れたものではないから、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件発明が先行技術に比して優れた「グリップ力」を有するという効果を奏するべくその実施をすることができるように記載したものとはいえない点。

(3)証拠方法
請求人は、請求書に添付して甲1?甲15を提出した。
なお、甲1?甲15の成立について、当事者間に争いはない。(平成30年7月3日被請求人要領書5-1を参照)

甲1:特許第2639415号公報(発行日:平成9年8月13日)
甲2:特開2002-20913号公報(公開日:平成14年1月23日)
甲3:Dave Narasimhan博士の2008年11月9日付けの「デクラレーション」(デクラレーション3)の翻訳文
甲4の1:Norman Keane博士の2009年5月21日付けの「デクラレーション」(デクラレーション4)
甲4の2:デクラレーション4の翻訳文
甲5:特願2006-517837号に係る意見書、アンセル ヘルスケア プロダクツ エルエルシー、平成22年4月5日
甲6:特願2006-517837号に係る拒絶理由通知書、特許庁、平成21年12月24日付け
甲7:特開2002-249909号公報
甲8:特願2006-517837号に係る拒絶査定、特許庁、平成22年10月29日付け
甲9:特願2006-517837号拒絶査定不服審判に係る審判請求書、アンセル ヘルスケア プロダクツ エルエルシー、平成23年3月1日
甲10:特願2006-517837号拒絶査定不服審判に係る審判請求書の手続補正書、アンセル ヘルスケア プロダクツ エルエルシー、平成23年4月21日
甲11:「検証内容のI 塩粒の近傍だけをゲル化させることの可能性検証」、古賀信義、2017年1月6日
甲12:「検証内容のII 先行技術A,Bによるゴム手袋表面加工方法(塩⇒熱硬化⇒水洗除去)での表面凹凸形状についての検証」、古賀信義、2017年1月6日
甲13:「検証内容のIII 本件特許の方法(塩⇒ゲル化⇒水洗除去⇒熱硬化)における表面凹凸形状についての検証」、古賀信義、2017年1月6日
甲14:「検証内容のIV」、古賀信義、2017年1月6日
甲15:特開昭59-95135号公報

2.被請求人の主張の要旨
被請求人は、本件特許無効審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めている。
また、被請求人は以下を主張している。
請求人は、本件特許について、上記第3(2)に示される無効理由を主張するが、本件特許に、そのような無効理由は存在しない。

第4.無効理由についての当審の判断
1.本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載事項
本件特許明細書の発明の詳細な説明には、以下の事項が記載されている。
(1)「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、テクスチャード加工表面を伴う手袋および該手袋を製造する方法に関する。」
(2)「【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
無保護(Unsupported)手袋は、手のような形状の手袋の型を液体ラテックスおよび混合化学薬品のタンクの中に浸漬することにより製造される。・・・
【0003】
保護(Supported)手袋は、手袋の型に装着した保護(supporting)裏地を浸漬被覆することにより製造される。・・・」
(3)「【0004】
ラテックスの滑らかな層は、特に湿っている場合、着用者の物体グリップ能力に問題をもたらす。先行技術には、着用者のグリップを改良するようにデザインされた型押し模様を有する型を用いて製造された無保護(unsupported)手袋が含まれている。これらの模様は完成した手袋製品上にデザインをもたらすが、しかし、それらはグリップを改良するのに役立たず、主として美観に関する。さらに、先行技術は、洗浄によるラテックスからの残余界面活性剤を除去するための手袋の後加工は、湿潤グリップを少しばかり改良し得ることを示している。あるいは、塩素のようなハロゲンによる表面処理は、界面活性剤を除去するだけでなく、ラテックス表面を化学的に修飾するであろう。表面処理は、化学薬品の吸収率およびおそらく材料の劣化を遅らせるより化学的に耐性な表面を提供し、それは湿潤グリップにおけるほんの少しの改良をもたらす。保護(supported)手袋において、任意でゴムまたは無機充填剤を含んでいるポリマーラテックスの被膜は、グリップをわずかに改良するであろう。これらのプロセスはまた、手袋製造コストを増大させ、さらなる機械を必要とするであろう。」
(4)「【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ、通常の手袋製造において簡単に製造されるテクスチャード加工表面被覆を伴う手袋を得ることが望まれている。手袋の外側に取り入れられた場合、このタイプの手袋は、湿潤/油グリップのようなグリップを改良するであろう。手袋の内側に含まれた場合、テクスチャード加工表面は吸汗性を向上し、直接皮膚接触の程度を減少し、ゆえに皮膚に対するべとべとした感触を減少するであろう。それゆえテクスチャード加工表面の開細胞型の構造の発泡材料層を得ることが望まれている。」
(5)「【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明は、非ゲル化ラテックスの層に離散粒子を包埋することにより製造した無発泡ラテックスまたは発泡ラテックスのいずれかにより製造されたテクスチャード加工表面被覆を伴う手袋に関する。ラテックス層は、理想的には離散粒子に接触することでゲル化している。プロセスは手袋を乾燥および硬化することにより完了する。離散粒子は、粒子を適当な溶媒中に溶解させることにより、ゲル化または硬化後のいずれかに層から除去され得る。このプロセスは、離散粒子が包埋していた箇所に痕(impression)を残し、グリップ、より少ない直の皮膚の接触を伴う手袋内の空気循環および吸汗性の程度を改良し得るテクスチャード加工表面被覆となる。例えば、湿潤/油グリップは、本発明のテクスチャード加工手袋において改良される。発泡材料は、テクスチャード加工表面層を製造するために無発泡ラテックスの代わりに使用されてもよく、優れたグリップ、より高い吸汗性および絶縁体(insulation)の柔軟な層を提供する。
(6)「【0010】
用いられる離散粒子には、限定されないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硝酸カルシウム、硝酸亜鉛を含む様々な塩、または糖(スクロース)のような他の可溶性化合物が挙げられる。水のような溶媒に十分可溶性のある塩が好ましい。好ましい塩は、塩化ナトリウムである。塩化ナトリウムは、安価で、簡単に入手可能で、簡単に処理および再利用でき、または再生できる、という点でいくつかの利点がある。純度99%の、有用な塩化ナトリウムの市販製剤の一つは、BSS International Ltd., Peterborough, Englandから入手可能である。有用な平均粒子サイズは、約50ミクロンから約6000ミクロンの範囲に及び得る。好ましい平均粒子サイズは、約50ミクロンから約2000ミクロンの範囲に及ぶ。これらの塩のすべては同様の物理的なテクスチャード加工の様相を提供するのに用いることができるので、塩化物は、本発明のテクスチャード加工表面の湿潤/油グリップおよび化学薬品耐性における明確な改良を提供する。
(7)「【0011】
例えば、塩化ナトリウムのような塩は、本発明において用いられる液体ラテックスと接触すると、湿潤ゲルを形成するようにラテックスを即座に不安定化し、それゆえにゴムの表面に塩粒子の形を「固定する」。塩が取り除かれる時に表面テクスチャーがもたらされる。この表面テクスチャーは、塩粒子の逆像(reverse image)である。
【0012】
所望のテクスチャーは、離散粒子の選択により調節されるであろう。例えば、樹状塩(dendritic salt)は、多数の棘のある結晶なので多面的な痕(impression)を製造するであろう。異なる痕サイズは、同様に選択した粒子に由来するであろう。破砕した塩(crushed salt)は、様々なサイズの痕を製造するであろうし、一方食卓塩の微細粒子は、緻密な、より一様な分布の小さな痕を製造するであろう。粒子サイズの混合または併用が用いられ得る。離散粒子を溶解するのに用いられる溶媒は、粒子の溶解度に依存し得、そして水、酸性またはアルカリ性化合物であり得る。」
(8)「【0013】
本発明の実施態様によれば、手袋は、様々な異なる手法を用いて製造されてもよい。好ましい実施態様によれば、手袋は、非常に多数の手袋が連続して、速やかにそして常に製造される大量製造ラインにおいて製造される。このような方法は、多数の手袋の型を、手袋を製造するための一連の化学薬品溶液およびプロセスステップを経て運搬および操作する。該型は、陶材、スチールまたはプラスチックで作られる。標準の製造プロセスによれば、手袋は、1つの場所から次に運搬される型上で直接製造されてもよい。例えば、所望の特性の層を得るために、型を界面活性剤、ワックス、凝固剤および天然または合成エラストマーに浸漬する。該方法は、手袋の層を製造する成分の組成、添加の順序、および添加方法を変化させてもよい。
【0014】
手袋は、様々な物質中への多重浸漬により作り上げてもよい。例えば、型は最初にパウダーフリー剥離剤および凝固剤の組成物中に浸漬してもよい。この剥離剤および凝固剤浸漬は、その後に続く型からの完成した手袋の除去のための剥離材料を放出する。さらに、凝固剤材料はラテックス型エラストマーのようなその後に続く液体層を不安定化するであろう。」
(9)「【0015】
剥離剤/凝固剤浸漬がなされた後、型は好ましくは、ラミネート層が型に塗布される製造ラインにおける次の場所に運搬される。ラミネート層は、天然またはポリウレタン、ニトリルまたはポリクロロプレンのような合成ゴムラテックスのようなラテックスエラストマー浸漬から成ってもよい。例えば、ラテックスの様々な組合せおよび調合が用いられ得る。本発明のラテックスは、任意で発泡させてもよい。有用なニトリルラテックスの一つは、REVENEX 99G43 (Synthomer Ltd., United Kingdom)である。ラテックス材料の選択および組成を変化させることにより、ラミネート層は異なる程度の強度、快適性、柔軟性および化学薬品耐性を提供するように変化し得る。いずれにしても、型に塗布されるラテックスの内容は、好ましくは切断および磨耗からの保護、液体撥水性および化学薬品耐性を提供するように調節されるであろう。」
(10)「【0018】
本発明の一実施態様において、ラテックスの第一層を形成するために型を浸漬する。このラテックスの第一層はその後ゲル化し、非ゲル化ラテックスの第二層を形成するために型を再び浸漬する。第二層の発泡または無発泡ラテックスラテックスの粘度は、約100cpsから約2000cpsの範囲に及び得る(ブルックフィールド)。型を離散粒子の流動床に浸漬することによりまたは離散粒子を包埋する他の機械的手段、例えば、噴霧することにより、離散粒子をその後非ゲル化ラテックスの第二層に塗布する。流動床プロセスは、粒子が液体と同様の方法でふるまうように、気流中の塩粒子(NaCl)浮遊物を活用する。離散粒子は、実質的に手袋の表面を覆うテクスチャード加工表面被覆を残すように、離散粒子を塗布した後または手袋のゲル化または硬化の後に、適切な溶媒に溶解することで除去する。例えば、塩粒子は、水による洗浄または噴霧により、ゲル化した表面から除去され得る。ラテックスの粘度は、所望のテクスチャード加工効果を得るために変化させ得る1つのパラメーターである。テクスチャード加工無発泡層は、最適な耐久性および湿潤/油グリップの組合せを提供する。
【0019】
本発明の別の実施態様において、所望の数の層が得られるまで、型を1以上のラテックス層に浸漬し、各層の後にゲル化する。型をその後もう一度ラテックス中に浸漬し、型を離散粒子の流動床に浸漬することによりまたは離散粒子を包埋する他の機械的手段、例えば、噴霧することにより、離散粒子をこの最も外側のラテックスの非ゲル化層に塗布する。離散粒子は、テクスチャード加工表面被覆を残すように、手袋のゲル化または硬化の後に、適切な溶媒に溶解する。テクスチャード加工無発泡層は、最適な耐久性および湿潤/油グリップの組合せを提供する。
【0020】
さらに本発明の別の実施態様において、ラテックスの第一層を形成するために型を浸漬する。このラテックスの第一層はその後ゲル化し、そして第二層を形成するために型を発泡材料に再び浸漬する。型を離散粒子の流動床に浸漬することによりまたは他の機械的手段、例えば、噴霧することにより、離散粒子をその後、図3に示すように発泡材料の非ゲル化層に塗布する。離散粒子は、テクスチャード加工表面被覆を残すように、手袋の加工の後に、適切な溶媒に溶解する。このプロセスは、離散粒子が発泡体をゲル化しそしてゆえに細胞型の構造をとらえるので、開細胞型の構造を保持するテクスチャード加工表面発泡層被覆をもたらす。さらに離散粒子の逆像(reverse image)は、適切な溶媒によるそれらの除去を受けテクスチャード加工表面層が残るので表面層にとらえられる。
【0021】
別の実施態様において、単テクスチャード加工層が本発明の原理に基づいて調製され得る。つまり、第二のテクスチャード加工層の調製の前に、第一またはラミネート層を調製しない。この実施態様において、無発泡または発泡層を型に塗布する。型を離散粒子の流動床に浸漬することによりまたは他の機械的手段、例えば、噴霧することにより、離散粒子をその後無発泡または発泡材料の非ゲル化層に塗布する。離散粒子は、テクスチャード加工表面層を残すように、手袋の加工の後に、適切な溶媒に溶解する。
(11)「【0022】
本発明の別の実施態様には、ラテックス被浸(overdip)の外側の層に離散粒子を包埋することにより製造されたテクスチャード加工表面被覆を伴う非ラテックス材料の断片が含まれる。この実施態様のために、型は、土台として適用された非ラテックス材料の層、例えば織布または綿くずを有し、発泡または無発泡ラテックスの層に浸漬され得る。有用な織布の例は、メリヤス裏地である。型を離散粒子の流動床に浸漬することによりまたは離散粒子を包埋する他の機械的手段、例えば、噴霧することにより、離散粒子をその後発泡材料の層に塗布する。材料の一部はその後、ゲル化または硬化し、離散粒子は、テクスチャード加工表面被覆を残すように、適切な溶媒に溶解する。この材料はその後切り離され、断片は、改良したグリップまたは汗吸収性を提供するために、様々な手袋の部分に縫い付けられ得る。ラテックス被覆がメリヤス裏地の上になされる保護(supported)手袋の実施態様において、第一または次のラテックス層に、テクスチャー化(texturing)がなされ得る。」
(12)「【0025】
ラテックス技術分野において、成分の分量は、ゴム重量の100重量部に対する重量部(「phr」)において表される。本発明の実施態様において、促進剤は約0.5phrから約1.5phrの間の範囲で、個々に、または組み合わせて(ここで部分の合計は、好ましくは該範囲を超えてはいけない)用いられ得る。好ましい実施態様は、今さらに以下の実施例において詳述されるであろう。
【実施例】
【0026】
実施例1:ステップ1.以下の凝固剤溶液を調合する:
硝酸カルシウム、 水溶液濃度35容量%
TRITON X 100 約0.1容量%
DEFOAMER 1512M 約0.5容量%
凝固剤溶液を30から40℃に加熱する。清浄な陶材の手袋の型は、凝固剤溶液中に浸漬することによりその表面を均一に被覆する。浸漬速度はおよそ1.5cm/秒、滞留時間は5から10秒、そして抽出速度はおよそ0.75cm/秒である。
【0027】
ステップ2.凝固剤を被覆した型は、指を立てた状態に反転しそして暖かく穏やかな気流中(30から40℃)で2から2.5分間乾燥する。
【0028】
ステップ3.乾燥した凝固剤被覆型は、指を下に向けた状態に再反転しそしてニトリルラテックス化合物に浸漬する:
REVENEX 99G43 100phr
硫黄 0.5phr
酸化亜鉛 3.0phr
ZMBT 0.7phr
pHを9.0に調節する(アンモニアまたは水酸化カリウムを用いて)。ラテックスの粘度は通常20から40cps(ブルックフィールド粘度計モデルDV1+、スピンドル# 2 @ 30 rpm)である。ラテックスは20から25℃に保持する。浸漬速度はおよそ1.5cm/秒、ラテックス中の滞留時間は所望の壁厚に依存し30から90秒、そして抽出速度はおよそ1.2cm/秒である。
【0029】
ステップ4.ゲル化ニトリルラテックス被覆型は、指先の滴の分散を助けるために指を立てた状態に反転する(滞留時間周囲温度で最低30秒)。
【0030】
ステップ5.ゲル化ニトリルラテックス被覆型(ここでは、ニトリル手袋殻(shell))は、指を下に向けた状態に再反転し、残余の表面シネレシス生成物を除去するために40から60℃に加熱した水中に浸漬する(滞留時間60から80秒)。
【0031】
ステップ6.ニトリル手袋殻(shell)は、指の滴の分散を助けるために指を立てた状態に反転し、その後ゲルの表面および指先の残余の水を除去するために部分的に乾燥する。
【0032】
ステップ7.ニトリル手袋殻(shell)は、指を下に向けた状態に反転し、以下のニトリルラテックスの第二層で手首まで(またはあるいは腕周りまで完全に)過浸漬する:
REVENEX 99G43 100phr
硫黄 0.5phr
酸化亜鉛 3.0phr
ZMBT 0.7phr
このラテックスのpHは9.0に調節されており(アンモニアまたは水酸化カリウムを用いて)、ラテックスの粘度はポリアクリル酸アンモニウムを用いて500cps(ブルックフィールド粘度計モデル DV1+、スピンドル# 2 @ 30 rpm)に調節されている。ラテックスは20から25℃に保持する。浸漬速度はおよそ1から3cm/秒、ラテックス中の滞留時間はおよそ10から30秒、そして抽出速度はおよそ2cm/秒である。
【0033】
ステップ8.今やニトリルラテックス過浸漬の液体第二層を有するニトリル手袋殻(shell)は、指の滴を分散するために指を立てた状態に反転し、その後即座に再反転して指を下に向けた状態に戻す。塩化ナトリウムの粒子(純度99%、平均粒子サイズ400ミクロン)を、Campbell Coutts Ltd., Southampton, Englandから入手した流動床装置中でラテックスの第二層に塗布する。手袋殻(shell)は常温に保持する。流動床への浸漬速度はおよそ2cm/秒、流動床中の滞留時間は5から10秒、そして抽出速度はおよそ2cm/秒である。ステップ8の別形において、滞留時間の間流動床は、ラテックス層の中によりはっきりとした/より深い痕を得るために止めてもよい。型の抽出の間、流動床を再び作動する。
【0034】
ステップ9.塩被覆殻(shell)は、ここで、ゲル化表面に残っている塩化ナトリウムを除去するために常温にて水で洗浄する。
【0035】
ステップ10.ゲル化手袋製品は、その後およそ40℃の温水中でおよそ15分間溶脱する。
【0036】
ステップ11.ゲル化手袋製品は、130℃の従来の循環熱風炉内でおよそ60分間乾燥および硬化処理する。
【0037】
ステップ12.硬化した手袋を冷却し、その後裏返しに型を剥ぎ取る。ステップ12の別形において、内側の裏地(例えば綿くず粉)を付着してもよい。
【0038】
ステップ13.完成した、硬化した手袋はその後、テクスチャード加工表面が手袋の外側になるように、裏返しにする。」
(13)「【0039】
磨き上げた表面を有し油圧オイルおよび潤滑油の混合物で覆われたスチールの重量を持ち上げるのに必要なグリップ力を測定するために、つまみ力試験が開発された。実施例1により調製した手袋(「テクスチャード加工手袋」)、および同様の構成の既知のニトリル手袋、しかしテクスチャード加工表面被覆を有していないもの、すなわちAnsell SOLVEX 37-676およびAnsell SOLKNIT 39-122、を含む様々な手袋が試験された。
【0040】
試験装置は、Applied Instruments Ltd., United Kingdomより入手したモデルPPS-6 Kg質量秤を、直接秤の平らなステンレススチール負荷皿の反対側に、ステンレススチールの細長い一片をその下側に取り付けて改変したものを使用した。装置全体は、床の方を向いている間重力の力に逆らって手袋をした手でグリップできるように、試験のための側面を向ける。ステンレススチール表面は、以下の試験のために油圧オイルおよび潤滑油の混合物で覆った。つまみ力試験は以下のように実行した。
1.ボランティアの試験者が試験手袋を着用する。
2.試験者は、親指および第一指(または第二指)のみを用いて、各向かい合った表面上の1本の指は床に向かって表面に沿っておよそ4cmの点で、接触点として指および親指の指腹の先のみを用いて、表面に対して直角に装置をグリップする。
3.試験者は、装置を強く握り持ち上げようと試み、それから滑らずに静止して保持するのに十分な力で装置を保持する。
4.即時グリップ力が、質量秤を読み取った質量単位で記録される。
5.最初のグリップおよび持ち上げの後、定常グリップ力がおよそ5から10秒後に記録される。
6.グリップは、装置がグリップからすべるように徐々に緩められる。
7.最小グリップ力がすべりの時点で記録される。
8.さらなる重量が続いて装置に加えられ、そしてステップ1-7が繰り返される。
【0041】
表1に示される我々の試験データは、テクスチャード加工表面は、実施例1で調製されたようなニトリル手袋(または任意のラテックス手袋)の表面として用いられ、それから湿潤または油の付いた物体を扱うのに用いる場合、非常に優れた使用者のグリップおよびコントロール結果を提供するということを示す。
【0042】
【表1】

【0043】
表1に示すように、実施例1により製造したテクスチャード加工手袋は、改良されたグリップコントロールおよびすべりが起った場合の信頼を示す。従来のニトリル手袋と比較した場合、テクスチャード加工手袋は、装置によって確定した3つの重量を持ち上げるために最も低いグリップ力を要する。テクスチャード加工手袋は、SOLVEX 37-676手袋と比較して1番目の重量および2番目の重量を持ち上げるために、それぞれ、29%および31%低い即時グリップ力を要し;そしてSOLVEX 37-676手袋と比較して2番目の重量を保持するのに20%低い定常グリップ力を要した。テクスチャード加工手袋は、SOLKNIT 39-122手袋と比較して1番目の重量および2番目の重量を持ち上げるために、それぞれ、24%および44%低い即時グリップ力を要し;そしてSOLKNIT 39-122手袋と比較して1番目の重量および2番目の重量を保持するために、それぞれ、19%および49%低い定常グリップ力を要した。特筆すべきは、従来の手袋を用いると、突然の、強烈な滑りが起り得るということである。対照的に、テクスチャード加工手袋は、滑りが起った場合でさえ滑りのコントロールを提供する。」

2.各甲号証の記載事項
(1)甲1(特許第2639415号公報)の記載事項
甲1には以下の記載がある。
「〔発明の構成〕
即ち本発明は、製品の表面となる未固化状態の液状樹脂組成物の表面に、その固化した樹脂組成物の溶解しない溶液に溶ける粉粒物を付着させてから、その液状樹脂組成物を固化することにより、その樹脂組成物の形成する表皮に凹凸を付けることを特徴とする。
表皮は、所要の製品を象った金型(形材)に液状樹脂組成物溶液に浸漬・引き揚げ、金型の表面に液状樹脂組成物溶液を垂れ流し或は吹き付ける等して形成される。
液状樹脂組成物としてはエマルジョンラテックス、ペーストレジン、樹脂溶解溶液等が適用され、そのエマルジョンラテックスの場合を例にとって具体的に説明するに、ゲル化乃至乾燥せずに未固化状態にあるエマルジョンラテックスの表面に、塩や糖の如く水溶性の粉粒物を付着させ、好ましくは、塩の如くエマルジョンラテックスのゲル化を促すものを使用する。
エマルジョンラテックスのゲル化を促す水溶性の粉粒物を具体的に例示するに、塩化ナトリウム、硫酸バンド、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、ケイフッ化ナトリウム、硫酸アルミニウム、第二鉄塩硫酸亜鉛、塩化カリウム、蓚酸、硼酸、シクロヘキシルアミン塩等があり、粉粒物はこれらを増量剤に配合してそれを一部に含有するものであってもよい。
これらの粉粒物は、液状樹脂組成物の皮膜が固化してから水洗除去される。
〔発明の効果〕
本発明によると、未固化状態の液状樹脂組成物の表面に粉粒物を付着させると、それらの粉粒物が液状樹脂組成物の中に食い込み、その液状樹脂組成物が固化してから、樹脂組成物の溶解しない溶液、例えばエマルジョンラテックスの樹脂皮膜に対しては水を用いて塩や糖の粉粒物を洗浄除去するとき、それらの粉粒物の食い込んだ付着痕としての凹部が、粉粒物の形状に応じて細かく樹脂表皮に形成される。
そして特に、塩の如く潮解性とゲル化促進機能を有するものでは、エマルジョンラテックス中の水分を吸収する様に液状樹脂組成物の表面に食い込んで溶解し、そこに水滴の如き粒状溶液として細かく介在し、その接する周囲の液状樹脂組成物を他の部分に先がけて固化し、その後、液状樹脂組成物全体が固化するとき、その粉粒物が角張ったものであっても、その食い込んだ塩の痕跡は半球形の綺麗な凹部となる。
それと共に、それが付着すると同時に周囲の固化を促すから液状樹脂組成物の内部へと余り深くは食い込まず、従って内部は液状樹脂組成物だけの層となるから、凹凸を有するも非通気性非透水性の表皮が形成され、表面が滑り難い製品が得られる。
〔実施例〕
液状樹脂組成物を次の通り調製した。
SBRラテックス(樹脂分60%)…… 100.0重量部
老化防止剤(パーマナックスWSO、
バルナックス社)…… 1.0重量部
アニオン界面活性剤…… 0.5重量部
消泡剤(テヒドラン1227、ヘンケル社) 0.4重量部
増粘剤(パナカヤックAG、日本化薬(株)) 1.2重量部
合計 103.1重量部
上記の組成のラテックス組成物中にゴム手袋金型を浸漬し取り上げて金型の表面にラテックス組成物の塗膜11を形成し、その未固化状態のラテックス塗膜11の上に、粒径30メッシュの食塩12を散布付着させ、そのまま120℃にて40分間加熱して塗膜11を加硫し、その後食塩を水洗除去した。
その結果、表面に細かい凹凸13があり非通気性非透水性ゴム皮膜11によるゴム手袋を得た。」(第2頁第3欄第11行?同頁第4欄第32行)

(2)甲2(特開2002-20913号公報)の記載事項
甲2には以下の記載がある。
ア.「【請求項6】手袋本体の表面に滑り止め層用の皮膜を形成し、当該皮膜が乾燥、硬化しないうちにその表面に溶解性微粒子を埋め込んだ後、前記皮膜を加硫、乾燥させ、次いで、前記溶解性微粒子を溶解、抽出することを特徴とする、請求項1記載の手袋の製造方法。
【請求項7】前記溶解性微粒子が、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項6記載の手袋の製造方法。」
イ.「【0011】上記本発明の手袋は、後述する、本発明に係る手袋の製造方法において示すように、前記微小凹部が、前記滑り止め層中に埋め込まれた溶解性微粒子を溶解、抽出して形成されたものであることを特徴とする。本発明に係る手袋の製造方法は、上記本発明に係る手袋の製造方法であって、手袋本体の表面に滑り止め層用の皮膜を形成し、当該皮膜が乾燥、硬化しないうちにその表面に溶解性微粒子を埋め込んだ後、前記皮膜を加硫、乾燥させ、次いで、前記溶解性微粒子を溶解、抽出することを特徴とする。
【0012】上記製造方法によれば、手袋体に貫通孔を生じさせることなく、手袋体の表面に多数の、かつ微細な凹部を簡易な操作によって形成することができる。上記本発明の製造方法において、前記溶解性微粒子は、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。」
ウ.「【0035】
【実施例】次に、実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。
〔手袋の製造〕
実施例1
(1) 前加硫ラテックスの調製
天然ゴムラテックス〔NRラテックス,ゴム固形分濃度(TSC)60%〕のゴム固形分100重量部に対して、亜鉛華(ZnO)1重量部、加硫促進剤BZ(ジブチルカルバミン酸亜鉛)1重量部および硫黄1重量部を添加し、50℃で5時間加熱(前加硫)することにより、前加硫NRラテックスを得た。
【0036】(2) 手袋本体の形成
陶器製の手型を、あらかじめ調製された凝固液(硝酸カルシウム水溶液,濃度25重量%)に浸漬し、引き上げて乾燥した。次いで、この手型を前記前加硫NRラテックスに20秒間浸漬して、当該手型の表面にゴム皮膜(手袋本体)を形成した。このゴム皮膜は、50℃の温風で15分間乾燥させた。
【0037】(3) 滑り止め層の形成
乾燥後、表面に上記ゴム皮膜を有する手型の、各指の指先から親指の付け根部分までを、前記前加硫NRラテックスに再度浸漬した。この浸漬は10秒間行い、ラテックスから手型を引き上げた後、直ちに(ゴム膜が乾燥しないうちに)、平均粒径300μmの塩化ナトリウム粒子(溶解性微粒子)をゴム膜中に埋め込んだ。なお、塩化ナトリウムの埋め込み作業は、塩化ナトリウム粒子を散布した板上に、未乾燥のゴム膜を設けた手型を押し当てることによって行った。
【0038】(4) 加硫・粒子の抽出
塩化ナトリウム粒子をゴム皮膜中に埋め込んだ後、当該皮膜を100℃のオーブンで40分間加熱し、加硫、乾燥させた。さらに、加硫・乾燥後、手型を水中に浸漬して、ゴム膜に埋め込まれた上記塩化ナトリウム粒子を溶解、抽出して、70℃の乾燥機にて30分間乾燥させた。こうして、図1に示すような、手袋本体10と、当該手袋本体10の表面に設けられた、表面に多数の微小凹部14を有する滑り止め層12とからなる手袋を得た。なお、手袋本体10と滑り止め層12とは同一の前加硫NRラテックスを用いて形成されたものであることから、両層は区別がつかない程度に一体化していた。」
エ.「【0042】実施例2
(1) 前加硫ラテックスの調製および手袋本体の形成
実施例1と同様にして「前加硫ラテックスの調製」と「手袋本体の形成」とを行った。
(2) 滑り止め層用DPNRラテックスの調製
蛋白質の除去処理を施したいわゆる脱蛋白天然ゴムラテックス〔DPNRラテックス,ゴム固形分濃度(TSC)50%〕のゴム固形分100重量部に対して、亜鉛華(ZnO)1重量部、加硫促進剤BZ(ジブチルカルバミン酸亜鉛)1重量部および硫黄1重量部を添加し、50℃で5時間加熱(前加硫)することにより、滑り止め層用DPNRラテックスを得た。
【0043】(3) 滑り止め層の形成
上記手袋本体を手型に取り付けたままの状態で使用し、その各指の指先から親指の付け根部分までを上記(2) で得られた滑り止め層用DPNRラテックスに浸漬した。この浸漬は10秒間行い、ラテックスから手型を引き上げた後、直ちに(ゴム膜が乾燥しないうちに)、平均粒径300μmの塩化ナトリウム粒子(溶解性微粒子)をゴム膜中に埋め込んだ。なお、塩化ナトリウムの埋め込み作業は、DPNR皮膜を設けた手型を15秒で1回転の速さで回転させつつ、上部から塩化ナトリウム粒子を30秒間散布することによって行った。
【0044】(4) 加硫・粒子の抽出
塩化ナトリウム粒子をゴム皮膜中に埋め込んだ後、当該皮膜を100℃のオーブンで40分間加熱し、加硫、乾燥させた。さらに、加硫・乾燥後、手型を水中に浸漬して、ゴム膜に埋め込まれた上記塩化ナトリウム粒子を溶解、抽出して、70℃の乾燥機にて30分間乾燥させた。こうして、図1に示すような、手袋本体10と、当該手袋本体10の表面に設けられた、表面に多数の微小凹部14を有する滑り止め層12とからなる手袋を得た。」

(3)甲3(デクラレーション3の翻訳文)の記載事項
甲3には、本件特許の関連米国出願における2008年11月9日付けのDave Narasimhan博士のデクラレーション(デクラレーション3)において、「JP2002-20913の翻訳文(審決注:甲2に対応)に記載された、洗浄工程が乾燥工程の前に行われる場合に得られた手袋は、テクスチャーを欠くために、意図されたとおりに使用し得ない」旨及び「JP2002-20913の翻訳文(審決注:甲2に対応)に記載された方法は、塩の粒子によっては凝固し得ない非常に安定化されたラテックスを提示し、塩は微小凹部形成するが、かかる部分は多面的ではなく、根本的に異なっている」旨が陳述されたことが記載されている。

(4)甲4の1(デクラレーション4)及び甲4の2(デクラレーション4の翻訳文)の記載事項
甲4の1及び甲4の2には、本件特許の関連米国出願における2009年5月21日付けのNorman Keane博士のデクラレーション(デクラレーション4)において、「本件特許の方法、すなわち、JP2002-20913の翻訳文(審決注:甲2に対応)に記載された、硬化工程と洗浄工程の順序を逆にすることによって製造された手袋は、グリップ試験において予想以上に優れた性能を示し、本件特許の方法により、グリップの向上と相関する明らかに異なる構造を有するつかみ面のテクスチャーが製造される」旨が陳述されたことが記載されている。

(5)甲5(特願2006-517837号に係る意見書)の記載事項
甲5には、被請求人が、本件特許の出願にかかる平成21年12月24日付け拒絶理由通知書の理由2(特許法第29条第2項違反)に対して「Dave Narasimhan博士のデクラレーション(審決注:甲3に対応)及びNorman Keane博士のデクラレーション(審決注:甲4の1及び甲4に対応)を踏まえると、本件発明は引用文献1(審決注:甲2に対応)に記載のものに対して進歩性を有する」旨及び同書の理由3及び4に対して「本件特許明細書の段落【0040】の記載から、当業者であれば「即時グリップ力」の技術的意味や測定方法は理解し得るものである」旨を主張したことが記載されている。

(6)甲6(特願2006-517837号に係る拒絶理由通知書)の記載事項
甲6には、「本件特許の出願にかかる平成19年6月13日付けでした手続補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない(理由1)」旨、「前記手続補正で補正された請求項1?5、7?16に記載された発明は、引用文献1(審決注:甲2に対応)、引用文献5(審決注:甲1に対応)、引用文献2?4、6?7に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない(理由2)」旨及び「「即時グリップ力」なる用語の技術的な意味が不明であり、また、発明の詳細な説明には、「即時グリップ力」の測定方法が記載されていないため、どのようにして「即時グリップ力」を上記補正された請求項7?9に記載された数値限定範囲に製造すればよいか不明であるから、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第6項第2項及び同条第4項第1号に規定する要件を満たしていない(理由3及び理由4)」旨が記載されている。

(7)甲7(特開2002-249909号公報)の記載事項
甲7には以下の記載がある。
ア.「【要約】
【課題】 発泡スポンジ断面層のような凹構造を皮膜表面に均一かつ密に有した手袋およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 手袋基材の表面をポリ塩化ビニル樹脂材料またはゴム材料で被覆し、被覆した材料の半ゲル化時にワックスを散布し、その後に加熱処理して成膜し、膜面のワックスを洗浄除去することにより、微細な凹部を表面に有した皮膜を前記手袋基材上に形成する。」
イ.「【特許請求の範囲】
【請求項1】 手袋基材の表面をポリ塩化ビニル樹脂材料またはゴム材料で被覆し、被覆した材料の半ゲル化時にワックスを散布し、その後に加熱処理して成膜し、膜面のワックスを洗浄除去することにより、微細な凹部を表面に有した皮膜を前記手袋基材上に形成することを特徴とする凹表面構造の手袋の製造方法。
【請求項2】 ポリ塩化ビニル樹脂材料が、ポリ塩化ビニル樹脂とポリ塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体のいずれか一方、または両者の混合物であることを特徴とする請求項1記載の凹表面構造の手袋の製造方法。
【請求項3】 ゴム材料が、天然ゴム、イソプレン、クロロプレン、アクリル酸エステル、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ウレタンの内の1種、または数種の混合物であることを特徴とする請求項1記載の凹表面構造の手袋の製造方法。
【請求項4】 手袋基材上に、ポリ塩化ビニル樹脂材料またはゴム材料よりなり、半ゲル化時に散布されたワックスにより表面に微細な凹部が生じた皮膜を有したことを特徴とする凹表面構造の手袋。」

(8)甲8(特願2006-517837号に係る拒絶査定)の記載事項
甲8には、「本件特許に係る出願は、平成21年12月24日付け拒絶理由通知書(審決注:甲6に対応)に記載した理由1及び理由2により、拒絶をすべきものである」旨が記載されている。

(9)甲9(特願2006-517837号拒絶査定不服審判に係る審判請求書)の記載事項
甲9には、被請求人は、甲8の拒絶査定に対して、「原査定を取り消す。本願の発明は特許すべきものとする、との審決を求める」旨が記載されている。

(10)甲10(特願2006-517837号拒絶査定不服審判に係る審判請求書の手続補正書)の記載事項
甲10には、被請求人が、「本件発明は、引用文献1(審決注:甲2に対応)、引用文献5(審決注:甲1に対応)及び引用文献2?4、6、7に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない」旨を主張したことが記載されている。

(11)甲11(「検証内容のI 塩粒の近傍だけをゲル化させることの可能性検証」)の記載事項
甲11には以下の記載がある。
「<目的>塩粒の近傍だけが凝固して、隣接する塩粒の近傍との間に未凝固のラテックスを存在させることが可能かどうかを調べる。

<結果>塩粒がNBRラテックス配合液に接触するとすぐにゲル化し、その範囲が拡大していく様子が観察され、塩粒の近傍だけが凝固して、隣接する塩粒の近傍との間に未凝固のラテックスを存在させることは困難だった。」

(12)甲12(「検証内容のII 先行技術A,Bによるゴム手袋表面加工方法(塩⇒熱硬化⇒水洗除去)での表面凹凸形状についての検証」)の記載事項
甲12には以下の記載がある。
「<目的>先行技術A、Bの方法で、本件特許で主張するチャンネルが出来るかどうかの検証。

<結果>塩粒と塩粒との間にチャンネルができた。これは下層の未ゲル化ラテックスが流れ去ったものではないことは確実で、塩粒によりゲル化したラテックスが塩粒の重量や熱硬化作用により押されて形成したものと思われる。」

(13)甲13(「検証内容のIII 本件特許の方法(塩⇒ゲル化⇒水洗除去⇒熱硬化)における表面凹凸形状についての検証」)の記載事項
甲13には以下の記載がある。
「<目的>本件特許の方法で、塩粒間が流出してチャンネルができるかどうかの検証。
<結果>塩粒と塩粒の間にチャンネルができたが、塩粒でゲル化したラテックス表面は、複数の隣接する塩粒から押されて隆起形成したものと思われる。塩粒間に未ゲル化ラテックスを残すことができなかった。」

(14)甲14(「検証内容のIV」)の記載事項
甲14には以下の記載がある。
「前述と同じ検証を塩量を変えて行った。」

(15)甲15(特開昭59-95135号公報)の記載事項
甲15には以下の記載がある。
「1.発明の名称
すべり止め表面
2.特許請求の範囲
・・・
15、(a)第1の選択工程において、繊維の不織ウェブ、織成ウェブ、および編成ウェブから成る群より選ばれた1員である基材を選択し、
(b)第2選択工程において、前記第1選択工程からの前記基材の1つの表面にフォーム層として適用すべき材料を選択し、
(c)前記第2選択工程から選択された前記員を、約10?65%のの範囲内の空気含量に発泡させ、
(d)前記発泡工程からの前記員を前記基材の前記1つの表面に適用し、そして
(e)前記適用工程からの前記発泡された員を硬化させる、
工程を特徴とする、耐摩耗性服飾品、床カバーなどに、すべり止め油グリップ表面を提供するとき有用なラミネートを製造する方法。
・・・
18、(a)前記第2選択工程からの員は、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル、天然ゴム、合成ゴムおよびそれらの程合物から成る群より選ばれる、
ことをさらに特徴とする、特許請求の範囲第15項記載の方法。
・・・
20、(a)前記第1選択工程において選択された前記量は、手袋のライナーであり、そして
(b)前記適用は前記手袋のライナーを前記発泡工程からの材料中に浸漬することにより施する、
ことをさらに特徴とする、特許請求の範囲第15項記載の方法。」

3.無効理由(特許法第36条第4項第1号違反)について
(1)本件特許明細書の記載が、実施可能要件を満たすかについて
本件発明は、上記第2で示したとおり、「テクスチャード加工表面被覆手袋を製造する方法」であって、その発明のカテゴリーは、「物を生産する方法の発明」である(特許法第2条第3項第3号)。
請求人が主張する無効理由は、上記第3の1(2)で示したとおり、特許法第36第4項1号に規定する要件、すなわち、「願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の記載が、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)がその実施をすることができる程度に明確且つ十分に記載したものであること」という要件(いわゆる、実施可能要件)を満たしていないというものであるところ、「物を生産する方法の発明」の実施可能要件とは、その方法により物を生産できることが可能となるように、本件特許明細書が記載されていなければならない(特許・実用新案 審査基準第II部第1章第1節実施可能要件、特許庁)と解される。
具体的には、以下の二つの要件を満たすことで、物を生産する方法の発明の実施可能要件を満たすといえる。
<要件1>「物を生産する方法の発明」について明確に記載されていること
一の請求項から発明が把握でき、その発明が発明の詳細な説明の記載から読み取れること。
<要件2>「その方法により物を生産できる」ように記載されていること
明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づき当業者がその物を生産できるように、原則として、(i)原材料、(ii)その処理工程、(iii)生産物が、記載されていること。

そこで、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載が、実施可能要件を満たすかについて検討する。
ア.<要件1>(「物を生産する方法の発明」について明確に記載されていること)について
本件発明は、上記第2で示したように、その特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定される「テクスチャード加工表面被覆手袋を製造する方法」の発明であり、各請求項に係る発明は、各請求項に記載された事項から、明確に把握できるものである。
そして、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、本件発明の(ア)技術分野、(イ)背景技術、(ウ)解決すべき課題、(エ)発明特定事項の技術的な意味及び(オ)作用効果について、以下のように説明されていることを踏まえると、本件発明は、発明の詳細な説明の記載から読み取れるものといえる。
ゆえに、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は上記<要件1>を満たしている。

(ア)技術分野について
本件発明は、「テクスチャード加工表面を伴う手袋および該手袋を製造する方法」の技術分野に関する発明であると説明されている(上記第4の1(1)を参照)。

(イ)背景技術について
本件発明は、手のような形状の手袋の型を液体ラテックスおよび混合化学薬品のタンクの中に浸漬することにより製造され、型押し模様を有する型を用いて製造された無保護(Unsupported)手袋、手袋の型に装着した保護(supporting)裏地を浸漬被覆することにより製造される保護(Supported)手袋、洗浄によるラテックスからの残余界面活性剤を除去するための後加工や塩素のようなハロゲンによる表面処理を施した手袋、任意でゴムまたは無機充填剤を含んでいるポリマーラテックスの被膜を施した手袋を背景技術としているところ、これらのものでは、グリップの改良が不十分だったり、製造コストの増大させるものであった旨が説明されている(上記第4の1(2)及び(3)を参照)。

(ウ)解決すべき課題について
本件発明は、湿潤/油グリップのようなグリップを改良するであろう、テクスチャード加工表面被覆を伴う手袋を、通常の手袋製造において簡単に製造されるようにすることを解決すべき課題である旨が説明されている(上記第4の(4)を参照)。

(エ)本件発明の発明特定事項の技術的な意味について
a.本件発明1について
本件発明1における「(i)型を凝固剤で処理すること」については、「・・・例えば、所望の特性の層を得るために、型を界面活性剤、ワックス、凝固剤および天然または合成エラストマーに浸漬する。・・・この剥離剤および凝固剤浸漬は、その後に続く型からの完成した手袋の除去のための剥離材料を放出する。・・・」(上記第4の1(8)を参照)と、その技術的な意味について説明されている。
同様に、本件発明1における「(ii)型を水性ラテックスエマルジョン中で浸漬被覆することによりラテックスの第一層を形成すること 」、「(iii)該凝固剤による該ラテックスエマルジョンの不安定化によりラテックスの第一層をゲル化すること」、「(iv)型を水性ラテックスエマルジョン中で浸漬被覆することによりラテックスの第一層の上にラテックスの第二層を形成すること」、「(v)ラテックスの第二層に離散した多面的な塩の粒子を塗布すること」、「(vi)塩の粒子の形状を模写する多面的な痕がラテックスの第二層に形成されるように、塩の粒子との接触時にラテックスの第二層をゲル化し、ラテックスの第二層の中の塩の粒子の形状を固定すること」、「(vii)ラテックスの第二層を熱硬化させる前に、ラテックスの第二層から離散した多面的な塩の粒子を溶解すること」、「(viii)離散粒子を溶解する工程の後、形成した層を熱硬化させ、硬化した第二層を形成すること」、「(ix)型から硬化したテクスチャード加工手袋を外すこと」及び「該ラテックスが塩との接触時に即座に不安定化して湿潤ゲルを形成するものである」ことについては、「ラテックスの第一層を形成するために型を浸漬する。このラテックスの第一層はその後ゲル化し、非ゲル化ラテックスの第二層を形成するために型を再び浸漬する。・・・型を離散粒子の流動床に浸漬することによりまたは離散粒子を包埋する他の機械的手段、例えば、噴霧することにより、離散粒子をその後非ゲル化ラテックスの第二層に塗布する。流動床プロセスは、粒子が液体と同様の方法でふるまうように、気流中の塩粒子(NaCl)浮遊物を活用する。離散粒子は、実質的に手袋の表面を覆うテクスチャード加工表面被覆を残すように、離散粒子を塗布した後または手袋のゲル化または硬化の後に、適切な溶媒に溶解することで除去する。例えば、塩粒子は、水による洗浄または噴霧により、ゲル化した表面から除去され得る。・・・テクスチャード加工無発泡層は、最適な耐久性および湿潤/油グリップの組合せを提供する。」(上記第4の1(10)を参照)及び「例えば、塩化ナトリウムのような塩は、本発明において用いられる液体ラテックスと接触すると、湿潤ゲルを形成するようにラテックスを即座に不安定化し、それゆえにゴムの表面に塩粒子の形を「固定する」。塩が取り除かれる時に表面テクスチャーがもたらされる。この表面テクスチャーは、塩粒子の逆像(reverse image)である。」(上記第4の1(7)を参照)と、その技術的な意味について説明されている。

b.本件発明2について
本件発明2の「(i)型に非ラテックス材料の織布第一層、またはメリヤス第一層を塗布すること」、「(ii)型を水性ラテックスエマルジョン中で浸漬被覆することにより織布第一層、またはメリヤス第一層の上にラテックス第二層を形成すること」、「(iii)ラテックス第二層に離散した多面的な塩の粒子を塗布すること」、「(iv)塩の粒子の形状を模写する多面的な痕がラテックスの第二層に形成されるように、塩の粒子との接触時にラテックス第二層をゲル化し、ラテックスの第二層の中の塩の粒子の形状を固定すること」、「(v)ラテックスの第二層を熱硬化させる前に、ラテックスの第二層から離散した多面的な塩の粒子を溶解すること」、「(vi)離散粒子を溶解する工程の後、ラテックス第二層を熱硬化させ、硬化した第二層を形成すること」、「(vii)型から硬化したテクスチャード加工手袋を外すこと」及び「該ラテックスが塩との接触時に即座に不安定化して湿潤ゲルを形成するものである」ことについては、「本発明の別の実施態様には、ラテックス被浸(overdip)の外側の層に離散粒子を包埋することにより製造されたテクスチャード加工表面被覆を伴う非ラテックス材料の断片が含まれる。この実施態様のために、型は、土台として適用された非ラテックス材料の層、例えば織布または綿くずを有し、発泡または無発泡ラテックスの層に浸漬され得る。有用な織布の例は、メリヤス裏地である。型を離散粒子の流動床に浸漬することによりまたは離散粒子を包埋する他の機械的手段、例えば、噴霧することにより、離散粒子をその後発泡材料の層に塗布する。材料の一部はその後、ゲル化または硬化し、離散粒子は、テクスチャード加工表面被覆を残すように、適切な溶媒に溶解する。この材料はその後切り離され、断片は、改良したグリップまたは汗吸収性を提供するために、様々な手袋の部分に縫い付けられ得る。ラテックス被覆がメリヤス裏地の上になされる保護(supported)手袋の実施態様において、第一または次のラテックス層に、テクスチャー化(texturing)がなされ得る。」(上記第4の1(11)を参照)と、その技術的な意味について説明されている。

c.本件発明3について
本件発明3の「ラテックス第二層が発泡体である」ことについては、「さらに本発明の別の実施態様において、ラテックスの第一層を形成するために型を浸漬する・・・そして第二層を形成するために型を発泡材料に再び浸漬する。・・・このプロセスは、離散粒子が発泡体をゲル化しそしてゆえに細胞型の構造をとらえるので、開細胞型の構造を保持するテクスチャード加工表面発泡層被覆をもたらす。」(上記第4の1(10)を参照)と、その技術的な意味について説明されている。

d.本件発明4について
本件発明4の「離散粒子が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硝酸カルシウム、硝酸亜鉛、およびそれらの組み合わせから選択される塩を含む」ことについては、「用いられる離散粒子には、限定されないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硝酸カルシウム、硝酸亜鉛を含む様々な塩、または糖(スクロース)のような他の可溶性化合物が挙げられる。水のような溶媒に十分可溶性のある塩が好ましい。好ましい塩は、塩化ナトリウムである。塩化ナトリウムは、安価で、簡単に入手可能で、簡単に処理および再利用でき、または再生できる、という点でいくつかの利点がある。・・・これらの塩のすべては同様の物理的なテクスチャード加工の様相を提供するのに用いることができるので、塩化物は、本発明のテクスチャード加工表面の湿潤/油グリップおよび化学薬品耐性における明確な改良を提供する。」(上記第4の1(6)を参照)と、その技術的な意味について説明されている。

e.本件発明5について
本件発明5の「塩の流動床の中に型を浸漬することにより、塩の離散粒子をラテックスの第二層に塗布する」ことについては、「型を離散粒子の流動床に浸漬することにより・・・、離散粒子をその後非ゲル化ラテックスの第二層に塗布する。流動床プロセスは、粒子が液体と同様の方法でふるまうように、気流中の塩粒子(NaCl)浮遊物を活用する。」(上記第4の1(10)を参照)及び「型を離散粒子の流動床に浸漬することによりまたは離散粒子を包埋する他の機械的手段、例えば、噴霧することにより、離散粒子をその後発泡材料の層に塗布する。」(上記第4の1(11)を参照)と、その技術的な意味について説明されている。

f.本件発明6について
本件発明6の「水性ラテックスエマルジョンが、天然ゴムラテックス、ポリウレタンラテックス、ニトリルラテックス、ポリクロロプレンラテックス、またはこれらの組み合わせを含む」ことについては、「・・・ラミネート層は、天然またはポリウレタン、ニトリルまたはポリクロロプレンのような合成ゴムラテックスのようなラテックスエラストマー浸漬から成ってもよい。例えば、ラテックスの様々な組合せおよび調合が用いられ得る。本発明のラテックスは、任意で発泡させてもよい。・・・ラテックス材料の選択および組成を変化させることにより、ラミネート層は異なる程度の強度、快適性、柔軟性および化学薬品耐性を提供するように変化し得る。いずれにしても、型に塗布されるラテックスの内容は、好ましくは切断および磨耗からの保護、液体撥水性および化学薬品耐性を提供するように調節されるであろう。」(上記第4の1(9)を参照)と、その技術的な意味について説明されている。

(オ)作用効果について
本件発明1?6の発明特定事項に従って手袋を製造したことが、実施例1として説明されており(上記第4の(12)を参照)、さらに製造された手袋は、上記背景技術(上記第4の3(1)ア(イ)を参照)に示された手袋としての「既知のニトリル手袋、しかしテクスチャード加工表面被覆を有していないもの、すなわちAnsell SOLVEX 37-676およびAnsell SOLKNIT 39-122」と比較して、湿潤/油グリップのようなグリップが改良された旨が説明されている(上記第4の1(13)を参照)。

イ.<要件2>(「その方法により物を生産できる」ように記載されていること)について
既に示したように、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、本件発明は、「テクスチャード加工表面被覆手袋」を製造対象、すなわち、生産物とするものであることが記載されている(上記第4の1(1)を参照)。
そして、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、本件発明は、「凝固剤」(上記第4の1(8)を参照)、「水性ラテックスエマルジョン」(上記第2の【請求項6】及び第4の1(9)を参照)、「離散した多面的な塩の粒子」(上記第4の1(6)を参照)を、上記「テクスチャード加工表面被覆手袋」を製造するための原材料とし、本件発明1の(i)?(ix)の処理工程(上記第4の1(10)を参照)、または、本件発明2の(i)?(vii)の処理工程(上記第4の1(11)を参照)を経ることにより、上記「テクスチャード加工表面被覆手袋」を製造することが可能であることが記載されている。
さらに、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、本件発明1の(i)?(ix)の処理工程に従って、手袋を製造したことが、実施例1として説明されており(上記第4の(12)を参照)、さらに製造された手袋は、上記背景技術(上記第4の3(1)ア(イ)を参照)に示された手袋としての「既知のニトリル手袋、しかしテクスチャード加工表面被覆を有していないもの、すなわちAnsell SOLVEX 37-676およびAnsell SOLKNIT 39-122」と比較して、湿潤/油グリップのようなグリップが改良された旨(上記第4の1(13)を参照)、すなわち、目的とする生産物たる、湿潤/油グリップのようなグリップが改良された「テクスチャード加工表面被覆手袋」を生産できた旨が、記載されている。
ゆえに、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件発明により、「テクスチャード加工表面被覆手袋」が生産できるように記載されているといえるから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、上記<要件2>をも満たしている。

ウ.まとめ
以上のとおり、本件特許明細書の発明の詳細な記載は、上記<要件1>及び<要件2>を満たしているから、「物を生産する方法の発明」についての実施可能要件を満たしているといえる。

(2)上記第3の1(2)アについて
本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、上記第3の1(1)で示したように、「物を生産する方法の発明」についての実施可能要件を満たしているといえるものである。
すなわち、本件特許明細書の発明の詳細な記載は、背景技術(上記第4の3(1)ア(イ)を参照)に示された手袋と比較して、湿潤/油グリップのようなグリップが改良された「テクスチャード加工表面被覆手袋」を生産できるように記載されているといえるものである。
一方、本件特許の優先日前に公知となっていた甲1及び甲2の記載事項(上記第4の2(1)及び(2)を参照)からみて、「ラテックス組成物中に手袋成形用の型を浸漬し取り上げて型の表面にラテックス組成物の皮膜を形成し、その未固化状態のラテックス皮膜の上に、塩化ナトリウム等粒子を散布付着させ、加熱して皮膜を加硫し、その後前記塩化ナトリウム等の粒子を除去する、表面に細かい凹部があるゴム手袋の製造方法」(以下、「甲1及び2記載製造方法」という。)が、また、同じく、本件特許の優先日前に公知となっていた甲7の記載事項(上記第4の2(7)を参照)からみて、「手袋基材の表面をポリ塩化ビニル樹脂材料またはゴム材料で被覆し、被覆した材料の半ゲル化時にワックスを散布し、その後に加熱処理して成膜し、膜面のワックスを洗浄除去することにより、微細な凹部を表面に有した皮膜を前記手袋基材上に形成する、手袋の製造方法」(以下、「甲7記載製造方法」という。)が、本件特許の優先日前に公知であったといえる。
しかし、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、そもそも、甲1及び2記載製造方法や甲7記載製造方法についての記載がないばかりでなく、本件発明は、前記甲1及び2記載製造方法や甲7記載製造方法を含む本件特許の優先日前に公知であった全ての手袋製造方法により製造された手袋に比して、湿潤/油グリップのようなグリップが改良された「テクスチャード加工表面被覆手袋」の製造方法である旨の記載もない。
また、甲3?甲6及び甲8?甲15をみても、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明が、前記甲1及び2記載製造方法や甲7記載製造方法を含む本件特許の優先日前に公知であった全ての手袋製造方法により製造された手袋に比して、湿潤/油グリップのようなグリップが改良された「テクスチャード加工表面被覆手袋」の製造方法であると説明していると解すべき理由は見いだせない。
これに関し、請求人は、「甲1、甲2及び甲7は、本件特許明細書の段落【0004】に記載されていないが、本件特許明細書には、ラテックス手袋について具体的に限定する記載がないから、本件発明は甲1、甲2及び甲7に比して優れた効果を奏するものでなくてはならない」旨を主張する(第1回口頭審理調書 請求人欄の3を参照)が、本件発明の製造方法が目的とする生産物である「テクスチャード加工表面被覆手袋」が「湿潤/油グリップのようなグリップが改良された」とする比較対象の手袋は、本件特許明細書の段落【0004】等に記載された背景技術(上記第4の3(1)ア(イ)を参照)で示された手袋であるから、上記「本件特許明細書には、ラテックス手袋について具体的に限定する記載がない」とはいえず、これを前提とする請求人の上記主張は、その前提を失しているから、採用できない。
したがって、仮に、本件発明は、甲1、甲2及び甲7に記載された先行技術との技術的差異に基づく効果を奏するものではないとしても、このことを理由として、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たしていないとはいえない。

なお、甲11?甲14には、各々、「塩粒の近傍だけが凝固して、隣接する塩粒の近傍との間に未凝固のラテックスを存在させることが可能かどうかを検証した結果、塩粒がNBRラテックス配合液に接触するとすぐにゲル化し、その範囲が拡大していく様子が観察され、塩粒の近傍だけが凝固して、隣接する塩粒の近傍との間に未凝固のラテックスを存在させることは困難だった」旨、「先行技術A、Bの方法で、本件特許で主張するチャンネルが出来るかどうかの検証した結果、塩粒と塩粒との間にチャンネルができたが、これは下層の未ゲル化ラテックスが流れ去ったものではないことは確実で、塩粒によりゲル化したラテックスが塩粒の重量や熱硬化作用により押されて形成したものと思われる」旨、「本件特許の方法で、塩粒間が流出してチャンネルができるかどうかを検証した結果、塩粒と塩粒の間にチャンネルができたが、塩粒でゲル化したラテックス表面は、複数の隣接する塩粒から押されて隆起形成したものと思われ、塩粒間に未ゲル化ラテックスを残すことができなかった」旨、「前述と同じ検証を塩量を変えて行った」旨が記載されている(上記第4の2(11)?(14)を参照)。
しかし、甲11?甲14は、いずれも、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載に基いて、本件発明の実施ができなかったこと、すなわち、本件特許の請求項1に記載された(i)?(ix)や請求項2に記載された(i)?(vii)の工程を、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載に基いて、実行した結果、上記目的とする生産物たる、湿潤/油グリップのようなグリップが改良された「テクスチャード加工表面被覆手袋」を製造することができなかったことを示すものではない。
したがって、甲11?甲14をみても、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載が、実施可能要件を満たしていないとはいえない。

(3)上記第3の1(2)イについて
本件発明1?6は、上記第2で示したように、その特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定される発明であるところ、各発明は、手袋の検査工程を発明特定事項とはしていない。
ゆえに、「当業者は本件発明に係る製造方法の一工程である手袋の検査工程で当該「グリップ力」の測定検査をすることができない」ことを理由に、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載が、実施可能要件を満たしていないとは、そもそもいえない。
また、「グリップ力」とは、その名称から、対象物をグリップするのに必要な力であると解するのが自然であるところ、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、「グリップ力」の測定に関し、
「磨き上げた表面を有し油圧オイルおよび潤滑油の混合物で覆われたスチールの重量を持ち上げるのに必要なグリップ力を測定するために、つまみ力試験が開発された。」、
「試験装置は、Applied Instruments Ltd., United Kingdomより入手したモデルPPS-6 Kg質量秤を、直接秤の平らなステンレススチール負荷皿の反対側に、ステンレススチールの細長い一片をその下側に取り付けて改変したものを使用した。」、
「つまみ力試験は以下のように実行した。
1.ボランティアの試験者が試験手袋を着用する。
2.試験者は、親指および第一指(または第二指)のみを用いて、各向かい合った表面上の1本の指は床に向かって表面に沿っておよそ4cmの点で、接触点として指および親指の指腹の先のみを用いて、表面に対して直角に装置をグリップする。
3.試験者は、装置を強く握り持ち上げようと試み、それから滑らずに静止して保持するのに十分な力で装置を保持する。
4.即時グリップ力が、質量秤を読み取った質量単位で記録される。
5.最初のグリップおよび持ち上げの後、定常グリップ力がおよそ5から10秒後に記録される。
6.グリップは、装置がグリップからすべるように徐々に緩められる。
7.最小グリップ力がすべりの時点で記録される。
8.さらなる重量が続いて装置に加えられ、そしてステップ1-7が繰り返される。」と記載されている(上記第4の1(13)を参照)。
上記記載から、試験装置は、「直接秤の平らなステンレススチール負荷皿の反対側に、ステンレススチールの細長い一片をその下側に取り付け」ることができるような「質量秤」であり、いわゆる「天秤秤」が具備する皿(分銅を載せる皿)のうちの一方の皿の下側に「ステンレススチールの細長い一片」を「取り付け」たものであることが理解できる。
ここで、上記記載中の手順2.は、「試験者は、親指および第一指(または第二指)のみを用いて」、「床に向かって」いることが明らかである、上記「ステンレススチールの細長い一片」の「表面に沿っておよそ4cmの点で、接触点として指および親指の指腹の先のみを用いて、表面に対して直角に」グリップすることを説明しようとする記載であり、上記手順3.は、【表1】の「持ち上げ重量:1番目の重量=1.9kg^(*)」、「持ち上げ重量:2番目の重量=2.7kg^(**)」及び「持ち上げ重量:3番目の重量=3.5kg^(**)」との記載を踏まえると、試験装置である「質量秤」の「ステンレススチールの細長い一片」が取り付けられていない方の皿に、所定の重量(例えば、前記1番目の重量)がかかるように分銅等を載せ、「試験者は」、「滑らずに静止して保持するのに十分な力で」、上記手順2.で説明される要領で「グリップ」を実行することを説明しようとする記載であると解される。
また、上記手順5.の「最初のグリップおよび持ち上げの後、定常グリップ力がおよそ5から10秒後に記録される。」との記載を踏まえると、上記手順4.の「即時グリップ力」とは、上記手順3.の「滑らずに静止して保持するのに十分な力で装置を保持」した直後に測定される「グリップ力」、すなわち、上記「ステンレススチールの細長い一片」をグリップするのに必要な力であって、質量単位、すなわち、kgやg等で記録されるものであり、上記手順5.の「定常グリップ」とは、上記「即時グリップ」の測定時点から「およそ5から10秒後に」測定される「グリップ力」であることが理解され、上記手順7.の「最小グリップ力」とは、上記手順6.の「装置がグリップからすべるように徐々に緩められ」、「すべり」が発生した「時点」で測定される「グリップ力」であることが理解される。
そして、【表1】の「即時グリップ力(kg)」欄、「定常グリップ力(kg)」欄、「最小グリップ力(kg)」欄の各々に記載されている値は、本件発明を実施により得られた「テクスチャード加工手袋」、「既知のニトリル手袋、しかしテクスチャード加工表面被覆を有していないもの」、すなわち、本件発明の背景技術で得られた「Ansell SOLVEX 37-676」や「Ansell SOLKNIT 39-122」について、上記手順1.?8.で測定された、「即時グリップ力」、「定常グリップ力」、「最小グリップ力」であると理解することができる。
よって、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、当業者が「グリップ力」を測定できる用にするための記載(上記第4の1(13)を参照)、すなわち、「グリップ力」の測定方法の記載があるといえる。
以上のとおり、本件発明は、手袋の検査工程を発明特定事項とはしていないから、「当業者は本件発明に係る製造方法の一工程である手袋の検査工程で当該「グリップ力」の測定検査をすることができない」ことを理由に、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載が、実施可能要件を満たしていないとはいえない。
しかも、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、「グリップ力」の測定方法が記載されているといえるから、「本件特許明細書の発明の詳細な説明には、表1に示される「グリップ力」の測定方法が記載されておらず」とのことを理由として、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たしていないともいえない。

(4)上記第3の1(2)ウ及びエについて
上記第4の3(2)で示したことと同様に、仮に、本件発明の「グリップ力」が、甲2に記載された先行技術に比して優れたものではないとしても、このことを理由として、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たしていないとはいえない。

(5)小括
以上のとおり、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしており、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当しないから、請求人が主張する無効理由には、理由がない。

第5.むすび
以上のとおり、請求人が主張する無効理由によっては、本件発明1?6に係る特許を無効にすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-08-31 
結審通知日 2018-09-04 
審決日 2018-09-19 
出願番号 特願2006-517837(P2006-517837)
審決分類 P 1 113・ 536- Y (A41D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西本 浩司久島 弘太郎  
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 井上 茂夫
渡邊 豊英
登録日 2011-06-17 
登録番号 特許第4762896号(P4762896)
発明の名称 手袋に対するテクスチャード加工表面被覆および製造方法  
代理人 水原 博久  
代理人 市川 泰央  
代理人 酒巻 順一郎  
代理人 松尾 憲一郎  
代理人 熊谷 祥平  
代理人 池田 成人  
代理人 吉住 和之  
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