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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04L |
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管理番号 | 1365335 |
審判番号 | 不服2018-17262 |
総通号数 | 250 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-10-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-12-26 |
確定日 | 2020-08-12 |
事件の表示 | 特願2017-518491「ソフトバッファ管理のためのUEカテゴリー処理」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月14日国際公開,WO2016/057337,平成29年12月 7日国内公表,特表2017-536732〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,2015年(平成27年)10月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年10月8日,米国,2015年10月1日,米国)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年 1月29日 :手続補正書 平成30年 3月20日付け:拒絶理由通知 平成30年 7月 3日 :意見書,手続補正書 平成30年 8月17日付け:拒絶査定 平成30年12月26日 :審判請求 令和 1年10月 2日付け:拒絶理由通知(当審) 令和 2年 1月 8日 :意見書,手続補正書 第2 本願発明 本願の請求項1ないし28に係る発明は,令和2年1月8日にした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし28に記載された事項により特定されるものであり,そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,次のとおりのものである。 「【請求項1】 ユーザ機器(UE)によって制限付きバッファレートマッチング(LBRM)を実行するための方法であって, 発展型ノードB(eNB)に複数のUEカテゴリーを報告することと, 前記複数のUEカテゴリーに関するシグナリングが前記eNBから受信されたかどうかを決定することと, 前記複数のUEカテゴリー内に最も高いUEカテゴリーが含まれ,前記シグナリングを受信する場合,最も高いUEカテゴリーを選択することと, 前記複数のUEカテゴリー内に最も高いUEカテゴリーが含まれない,および/または前記シグナリングを受信しない場合,前記最も高いUEカテゴリー以外の1つのUEカテゴリーを選択することと, 前記選択されたUEカテゴリーに基づいて,前記UEにおいてLBRMのために使用するためのソフトチャネルビットの総数を決定することと, ソフトチャネルビットの前記決定された総数に基づいてLBRMを実行することと を備える,方法。」 第3 当審による拒絶理由 当審が令和1年10月2日付けで通知した拒絶理由のうちの理由1の概要は,本願の請求項1に係る発明は,本願出願前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載された事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。 引用文献1:特表2014-510461号公報 引用文献2:Huawei, HiSilicon,Discussion on UE category with introduction of 256QAM[online], 3GPP TSG-RAN WG1♯76 R1-140036,2014年2月 引用文献3:特開2014-168224号公報 第4 引用文献の記載及び引用発明 1 引用文献1の記載及び引用発明 (1)引用文献1の記載 引用文献1には,以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。) ア 「【0015】 現在,LTEシステムでは,端末が自分の無線通信能力を‘端末カテゴリー’を通じてネットワークに通知し,ネットワークは,これによって当該端末の能力に合わせてサービスを提供する。下記の表1は,‘端末カテゴリー’が有する情報を示す。 【0016】 【表1】 【0017】 表1で‘端末が1つのTTI(1ms)内に受信可能な最大ビット数’に1000を乗算すれば,システムの秒当たり最大伝送率に換算可能である。 【0018】 表1で,‘ソフトチャネルビット総個数’は,端末のバッファーサイズと関連があると共に,レートマッチング動作に影響を与える。‘ソフトチャネルビット総個数’をN_(soft)とし,‘伝送ブロックソフトバッファーサイズ’をN_(IR)とし,‘コードブロックソフトバッファーサイズ’をN_(cb)とすれば,次の関係がある。 【0019】 【0020】 ここで,K_(MIMO)は,伝送モードによって2または1の値を有し,min(M_(DL_HARQ),M_(limit))値は,一般的に8の値を有する。また,Cは,コードブロックの数であり,K_(W)は,循環バッファーの長さを示し,K_(W)=3K_(n)の関係を有し,K_(n)は,サブブロックのインターリーバサイズであって,6144ビットの長さを有する。すなわち,上記数式から明らかなように,N_(soft)値がN_(IR)値に影響を与え,N_(IR)/C値がK_(W)より小さい場合,言い換えれば,高速データ送信が進行する場合には,N_(IR)値がN_(cb)の値に影響を及ぼすことが分かる。N_(cb)の値がパンクチャリング(puncturing)/繰り返し(repetition)パターンが影響を与えるので,もし,端末とENB間のN_(soft)値が誤って理解される場合には,誤った動作に影響を与えることが分かる。 【0021】 表1で‘ダウンリンク最大支援可能レイヤ個数’は,送/受信側で複数個のアンテナを使用する場合のMIMO(Multi-Input and Multi-Output)技術で端末の能力を意味する。 【0022】 また,表1で,Category 6及びCategory 7は,同一のダウンリンク最大伝送率を有するが,アップリンク最大伝送流において75Mbps及び150Mbpsであって,それぞれ差がある。また,Category 6及び7は,それぞれ6,6’そして7,7’の2つの種類があり,6,7は,キャリア併合(carrier aggreagation)が使用される場合を意味し,6’,7’は,MIMOで4レイヤを支援する場合を意味する。 【0023】 一方,Rel-8/9システム(または,第1バージョンネットワーク,以下同一)では,‘端末カテゴリー’で1番から5番のみを支援し,6番から8番まではRel-10システム(または第2バージョンネットワーク,以下同一)で最初導入された。したがって,Rel-8/9ネットワークは,‘端末カテゴリー’6番から8番までは何の意味なのか解釈することができない。また,現在LTEシステムでは,端末が現在ネットワークのリリース(Release)番号(すなわちネットワークバージョン情報)を把握することができず,したがって,Rel-10 UEがネットワークに接続するときは,‘端末カテゴリー’6番-8番ではない,Rel-8/9も理解することができる追加的なシグナリングが必要である。前記カテゴリー1番から5番までを第1端末カテゴリー(‘first UE category’)と言い,カテゴリー6番から8番までを‘second UE category’と定義すれば,端末は,Rel-8/9ネットワークと通信するためには,どんなカテゴリーグループを使用しなければならないか不明確であるという問題点がある。 【0024】 本発明は,前述したような問題点を解決するためになされたもので,上位バージョンのリリース(Release)端末がネットワークに接続するとき,ネットワークのリリースバージョンに合致するように端末カテゴリーを通知し,端末とネットワークが円滑に通信することができる方法を提供する。 【0025】 図1は,本発明の実施形態によるメッセージフローを示すフローチャートである。 【0026】 REL-10あるいは以後リリースの端末のうちREL-9以前基地局(release 8あるいはrelease 9基地局)が理解しないカテゴリーの端末101は,109段階で,電源がオン(on)になる。そして,端末101は,111段階で,ネットワーク103,107に所定の制御メッセージを用いて複数のカテゴリーを通知する。前記制御メッセージは,端末の無線通信能力に関する情報を含む端末能力報告メッセージ(UE capability)でありうる。 【0027】 この端末カテゴリーは,前述したように,Rel-9以前基地局が理解することができる第1端末カテゴリー(カテゴリー1番-5番)のカテゴリーのうち選択されたいずれか1つのカテゴリーと,Rel-10以後基地局が理解することができる第2端末カテゴリーのカテゴリー(カテゴリー6番-8番)のうち選択されたいずれか1つのカテゴリーを含む。そして,本発明の実施形態によれば,端末101は,第1端末カテゴリーを,前記端末能力報告メッセージの‘ue-Category’フィールドを通じて伝送し,第2端末カテゴリーを,前記端末能力報告メッセージの‘ue-Category-v10xy’(xyは,バージョン情報に変わることができる)フィールドを通じて伝送する。そして,端末101は,追加的に端末の性能と関連した情報,例えば2階層の端末のバッファーサイズ及び支援する周波数帯域などを前記端末能力報告メッセージに含んで伝送する。 【0028】 参照として,端末101は,複数の端末カテゴリーを報告することができるが,category 1?5の間では,ただ1つの端末カテゴリーだけを報告することができ,category 6?8の間でも,ただ1つの端末カテゴリーだけを報告することができる。すなわち本発明において,端末101が複数の端末カテゴリーを伝送するということは,互いに異なるバージョンのネットワークで使用される互いに異なる端末カテゴリーを伝送することができることを意味するものであって,同一のバージョンのネットワークで使用される複数個の端末カテゴリーを伝送することができることを意味するものではない。 【0029】 一方,前記端末101が下位バージョンの端末である場合には,第1端末カテゴリーのみを含む端末能力報告メッセージをネットワークに伝送するようになる。 【0030】 前記端末101が伝送した制御メッセージ,すなわち端末能力報告メッセージ(‘UE capability’)は,サービングENB 103を経て移動性管理エンティティー(Mobility Management Entity,MME:ネットワーク内で移動性などを担当するユニット,以下,MMEという)107に伝送される。この際,前記サービングENB 103は,端末が伝送した‘UE capability’を解釈することなく,MME 107に伝達する。 【0031】 端末能力報告メッセージを伝達されたMME 107は,113段階で,前記‘UE capability’情報のうちUEのカテゴリー情報を含んでサービングENB 103が知るべき関連情報をサービングENB 103に伝達する。この場合,MME 107は,端末101及びサービングENB 103のネットワークバージョン情報を既に知っている。これにより,MME 107は,端末101及びサービングENB 103のバージョン情報によって相互間互換が可能になるように端末101及びサービングENB 103が使用すべき端末カテゴリー情報をサービングENB 103に伝達する。図1では,Rel-10以後の端末101がRel-10以後のサービングENB 103に接続した場合を例示したので,MME 107は,113段階で,第1端末カテゴリーと第2端末カテゴリー情報を含む端末能力応答メッセージをサービングENB 110に伝達する。 【0032】 もし,サービングENB 110がRel-8/9のENBなら,MME 107は,第1カテゴリー情報のみを含む端末能力応答メッセージをサービングENBに伝達するようになる。 【0033】 そして,サービングENB 103は,前記端末101に対してどんなカテゴリーを使用するかを選択する。 【0034】 もし,サービングENB 103がRel-8/9基地局の場合,サービングENB 103は,第2端末カテゴリーのカテゴリーは無視し,端末101に使用する端末カテゴリーを別に指示しない。 【0035】 一方,もし,サービングENB 103がRel-10以後基地局の場合,第2端末カテゴリーを理解することができる。これにより,サービングENB 103は,第2端末カテゴリーのN_(soft)値を使用するために,第2端末カテゴリーの使用を選択して,117段階で,RRC連結再設定(RRC CONNECTION RECONFIGURATION)メッセージを使用して,どんなN_(soft)が使用されたかに関する情報を含む使用する端末カテゴリー情報を含んで前記端末に指示する。 【0036】 ‘second UE category’のカテゴリーの使用を指示する方法には,端末が使用するカテゴリーを直接指定する方法,あるいはRel-10システムに新規に追加された機能のうち所定の機能が設定された場合‘second UE category’のカテゴリーを使用するものと判断する方法がある。Rel-10システムに新規に追加された機能のうち‘second UE category’のカテゴリーと関連した所定の機能は,以下のうちの1つの場合に確認されうる。 【0037】(略) 【0038】 ‘second UE category’のカテゴリーが直接指定されるか,所定の機能が設定された場合(例えば,伝送モード9が設定された場合),端末101は,119段階で,指定した‘second UE category’のカテゴリーを使用してN_(soft)及びN_(IR)を導く。そして,端末101は,前記導かれた値を利用して,121段階で,ネットワークとデータを通信する。 【0039】 一方,本発明の一実施形態によれば,端末101は,これを指示される前までは,あるいは指示されなかった端末(すなわち伝送モード9が設定されない端末)は,115段階及び123段階のように,第1端末カテゴリーあるいは端末自分が報告した端末カテゴリーのうち最も低いカテゴリーを使用してN_(soft)及びN_(IR)を導き,データを送受信する。その後,任意の時点に端末がハンドオーバーをしなければならない場合,サービングENB 103は,125段階で,ターゲットENB 105とハンドオーバー手続を行う。 【0040】 ターゲットENB 105は,125段階で,端末101がターゲットENB 105にハンドオーバーした後に適用する設定情報をサービングENB 103に伝達する。そして,サービングENB 103は,127段階で,前記設定情報を含むハンドオーバー命令(RRCCONNECTIONRE CONFIGURATION with mobility control info)を端末に伝送する。 【0041】 この際,ターゲットENB 105が旧型ENB(Rel-8/9基地局)の場合,前記設定情報には,使用する端末カテゴリー情報(またはN_(soft))情報が含まれない。一方,ターゲットENB 105が新型ENB(Rel-10以後基地局)であり,第2端末カテゴリーのカテゴリーを適用しようとすれば,前記設定情報に,使用する端末カテゴリー情報が含まれるか,または含まれないとしても,Rel-10で新規に追加された所定の機能が設定されて伝送される。新規に追加された所定の機能は,以下のうち1つの場合において確認されうる。」 イ 「【0047】 図2は,本発明の実施形態による端末の動作手順を示すフローチャートである。図2で記述される端末は,Rel-10以後の端末であることを仮定する。 【0048】 端末のカテゴリーは,201段階のように,端末の生産段階で決定され,内部メモリなどに記憶されていてもよい。この場合,第2端末カテゴリーに属するカテゴリー6?8の間のカテゴリーに属する端末には,今後旧型基地局と接続されるときに備えて,旧型基地局が認知することができるカテゴリーをもう1つ割り当てることができる。 【0049】 その後,203段階で,端末の電源がオンとされれば,セルサーチ動作などを通じて‘キャンプオン(camp on)’する適切なセルを選択し,端末は,前記セルを通じてネットワーク接続過程を行う。この際,端末は,ネットワークが第1端末カテゴリー(のN_(soft))に属することを仮定し,ダウンリンクデータ通信を行う。すなわち,端末は,第1端末カテゴリーのN_(soft)を適用してHARQ動作を行う。 【0050】 ネットワーク接続を行った端末は,205段階で,端末の無線通信能力に関する情報を含む端末能力報告メッセージ(UE capability)をMMEに伝送する。この際,端末は,第1端末カテゴリー(‘first UE category’)と第2端末カテゴリー(‘second UE category’)をそれぞれ前記端末能力報告メッセージの‘ue-Category’フィールドと‘ue-Category-v10xy’フィールドを使用して一緒に報告する。 【0051】 そして,端末は,基地局がRRC連結再設定(RRC CONNECTION RECOFNIGURATION)を命令するまでRRC連結セットアップ(RRC CONNECTION SETUP)過程に設定された設定を維持しながら通常の動作を行う。 【0052】 その後,端末は,207段階で,RRC連結再設定(RRC CONNECTION RECOFNIGURATION)メッセージを受信する。そして,端末は,209段階で,前記受信したRRC連結再設定(RRC CONNECTION RECOFNIGURATION)メッセージに,使用する端末カテゴリー情報が含まれているか,あるいは所定のRel-10の新規機能が設定されているかを確認する。前記所定のRel-10の新規機能が確認されるのは,次のうちの1つの場合でありうる。。 【0053】(略) 【0054】 もし,前記RRC連結再設定メッセージに,使用する端末カテゴリー情報がないか,または所定のRel-10新規機能が設定されなければ(例えばTM9が設定されなければ),端末は,211段階に進行し,第1端末カテゴリーに該当する(あるいは最も最近に報告した最も旧型リリースUE categoryに該当する,あるいはCAT 1?5の間で端末が最も最近に報告したカテゴリーに該当する)N_(soft)を使用してダウンリンクデータ通信を行う。本発明の実施形態において任意のカテゴリーに該当するN_(soft)を使用してダウンリンクデータ通信を行うということは,前記N_(soft)を利用してN_(IR)を算出し,前記N_(IR)でレートマッチングを行い,HARQ IR動作を行うことを意味する。そして,端末は,新しいRRC連結再設定(RRC CONNECTION RECONFIGURATION)メッセージを受信するまで211段階の動作を持続する。 【0055】 一方,209段階の判断結果,前記RRC連結再設定メッセージに所定のRel-10機能が設定されているか,または第2端末カテゴリーの使用を指示する情報が含まれていれば,端末は,213段階に進行し,指示された‘second UE category’に該当するN_(soft)を使用してダウンリンクデータ通信を行う。 【0056】 端末は,新しいRRC連結再設定(RRC CONNECTION RECONFIGURATION)メッセージを通じて第1端末カテゴリーが指示されるか,または所定のRel-10機能が解除されるまで213段階の動作を持続する。」 ウ 図1は以下のとおり。 エ 図2は以下のとおり。 (2)引用発明 上記(1)の記載からみて,引用文献1には以下の事項が記載されていると認められる。 ア 引用文献1には,Rel-10以降の端末のネットワーク接続後の動作手順を図2のフローチャートに沿ってみてみると, 205段階で,「端末の無線通信能力に関する情報を含む端末能力報告メッセージをMMEに伝送」し,「この際,端末は,第1端末カテゴリーと第2端末カテゴリーをそれぞれ前記端末能力報告メッセージの‘ue-Category’フィールドと‘ue-Category-v10xy’フィールドを使用して一緒に報告」し(【0050】), 207段階で,「基地局がRRC連結再設定を命令する」(【0051】)ものである「RRC連結再設定メッセージを受信」し(【0052】), 209段階で,「前記受信したRRC連結再設定メッセージに,使用する端末カテゴリー情報が含まれているか,あるいは所定のRel-10の新機能が設定されているかを確認」し(【0052】), 「もし,前記RRC連結再設定メッセージに,使用する端末カテゴリー情報がないか,または所定のRel-10新規機能が設定されなければ,端末は,211段階に進行し,第1端末カテゴリーに該当するN_(soft)を使用してダウンリンクデータ通信を行」い(【0054】), 「一方,209段階の判断の結果,前記RRC連結再設定メッセージに所定のRel-10機能が設定されているか,または第2端末カテゴリーの使用を指示する情報が含まれていれば,端末は,213段階に進行し,指示された‘second UE category’に該当するN_(soft)を使用してダウンリンクデータ通信を行う」(【0055】), 方法,すなわち,「端末がN_(soft)を使用してダウンリンクデータ通信を行う方法」が記載されているといえ,【0018】より,「N_(soft)」は「ソフトチャネルビット総個数」のことである。 イ ここで,上記アの205段階で端末が報告する「第1端末カテゴリー」及び「第2端末カテゴリー」について,【0027】に「Rel-9以前基地局が理解することができる第1端末カテゴリー(カテゴリー1番-5番)のカテゴリーのうち選択されたいずれか1つのカテゴリーと,Rel-10以後基地局が理解することができる第2端末カテゴリーのカテゴリー(カテゴリー6番-8番)のうち選択されたいずれか1つのカテゴリーを含む」と記載され,また,端末能力報告メッセージをMMEに伝送することは,【0030】の「前記サービングENB 103は,端末が伝送した‘UE capability’を解釈することなく,MME 107に伝達する」の記載より,端末がサービングENBに端末能力報告メッセージを伝送し,該サービングENBがMMEに伝達することである。したがって,引用文献1には,端末は,「サービングENBにRel-9以前基地局が理解することができる第1端末カテゴリー(カテゴリー1番-5番)のカテゴリーのうち選択されたいずれか1つのカテゴリーと,Rel-10以降基地局が理解することができる第2端末カテゴリーのカテゴリー(カテゴリー6番-8番)のうち選択されたいずれか1つのカテゴリーを含む端末能力報告メッセージを報告すること」が記載されているといえる。 ウ 上記アの207段階で端末は,「RRC連結再設定メッセージ」を,上記イで端末能力報告メッセージを伝送したサービングENBから受信する(【0035】,【図1】)。そして,上記アの209段階では,「前記RRC連結再設定メッセージに使用する端末カテゴリー情報が含まれているか,あるいは所定のRel-10の新機能が設定されているかを確認」し,「前記RRC連結再設定メッセージに所定のRel-10機能が設定されているか,または第2端末カテゴリーの使用を指示する情報が含まれてい」(【0055】)るかどうかが判断される。そうすると,引用文献1には,「前記サービングENBからRRC連結再設定メッセージを受信し,前記RRC連結再設定メッセージに所定のRel-10機能が設定されているか,または第2端末カテゴリーの使用を指示する情報が含まれているかどうかを判断すること」が記載されているといえる。 エ 上記アの209段階の判断の結果及び213段階について,引用文献1には,「前記RRC連結再設定メッセージに所定のRel-10機能が設定されているか,または第2端末カテゴリーの使用を指示する情報が含まれていれば,」「第2端末カテゴリーに該当するN_(soft)を使用してダウンリンクデータ通信を行うこと」が記載されているといえる。 オ 上記エと同様に上記アの209段階の判断の結果及び211段階について,引用文献1には,「前記RRC連結再設定メッセージに,使用する端末カテゴリー情報がないか,または所定のRel-10新規機能が設定されなければ,」「第1端末カテゴリーに該当するN_(soft)を使用してダウンリンクデータ通信を行うこと」が記載されているといえる。 カ 上記エ及びオの「N_(soft)を使用してダウンリンクデータ通信を行うこと」は,段落【0054】より,「前記N_(soft)を利用してN_(IR)を算出し,前記N_(IR)でレートマッチングを行い,HARQ IR動作を行うことを意味する」(【0054】)ものであり,「N_(IR)」は,【0018】より,「伝送ブロックソフトバッファーサイズ」のことである。 以上より,引用文献1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。 (引用発明) 「端末がソフトチャネルビット総個数を使用してダウンリンクデータ通信を行う方法であって, サービングENBにRel-9以前基地局が理解することができる第1端末カテゴリー(カテゴリー1番-5番)のカテゴリーのうち選択されたいずれか1つのカテゴリーと,Rel-10以降基地局が理解することができる第2端末カテゴリーのカテゴリー(カテゴリー6番-8番)のうち選択されたいずれか1つのカテゴリーを含む端末能力報告メッセージを報告することと, 前記サービングENBからRRC連結再設定メッセージを受信し,前記RRC連結再設定メッセージに所定のRel-10機能が設定されているか,または第2端末カテゴリーの使用を指示する情報が含まれているかどうかを判断すること, 前記RRC連結再設定メッセージに所定のRel-10機能が設定されているか,または第2端末カテゴリーの使用を指示する情報が含まれていれば,第2端末カテゴリーに該当するソフトチャネルビット総個数を使用してダウンリンクデータ通信を行うことと, 前記RRC連結再設定メッセージに,使用する端末カテゴリー情報がないか,または所定のRel-10新規機能が設定されなければ,第1端末カテゴリーに該当するソフトチャネルビット総個数を使用してダウンリンクデータ通信を行うことと,を備え, 前記ソフトチャネルビット総個数を使用してダウンリンクデータ通信を行うことは,前記ソフトチャネルビット総個数を利用して伝送ブロックソフトバッファーサイズを算出し,前記伝送ブロックソフトバッファーサイズでレートマッチングを行い,HARQ IR動作を行うことを意味する方法。」 2 引用文献2 引用文献2には,以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。) (1)「1 Introduction (略) In this contribution, we will provide the analysis and discussion on UE category with introduction of 256QAM. (仮訳:1 イントロダクション (略) 本稿では,256QAMの導入に伴うUEカテゴリーについての分析とディスカッションを提供する。)」 (2)「2 Discussion (略) ・A UE indicating category A shall also indicate category 4 and category 6/7. A UE indicating category B shall also indicate category 5 and category 8. Since the limited buffer rate matching(LBRM)[4] pattern can be different for each category, UE needs to know which LBRM pattern size is assumed at the eNB side. For support of category A and B, a straightforward solution, which is similar as Release 10[5][6], is described as follows: Where Kc=3/2 is used to ensure that in 2-CC transmission, eNB assumes 300kb buffer size for each transport block(N_(IR)) so that 4-layer transmission with maximum TBS is available in each carrier. where: If the UE signals ue-Category-v12xx, and is configured with 256QAM for the DL cell, N_(soft) is the total number of soft channel bits according to the UE category indicated by ue-Category-v12xx, else if the UE signals ue-Category-v1020, and is configured with transmission mode 9 or transmission mode 10 for the DL cell, N_(soft) is the total number of soft channel bits according to the UE category indicated by ue-Category-v1020. Otherwise, N_(soft) is the total number of soft channel bits according to the UE category indicated by ue-Category. (仮訳:2 ディスカッション (略) ・カテゴリー Aを示しているUEは,カテゴリー 4及びカテゴリー 6/7も示すものとする。カテゴリー Bを示しているUEは,カテゴリー 5及びカテゴリー 8も示すものとする。 制限付きバッファレートマッチング(LBRM)パターンは,それぞれのカテゴリーで異なり得るから,UEは,どのLBRMパターンサイズがeNBで想定されているかを知る必要がある。カテゴリー A及びBのサポートのための簡単な解決策は,Release 10[5][6]と同様に,以下のとおり示される。 Kc=3/2を使用すると,2-CC伝送においてeNBが各トランスポートブロック(N_(IR))に対して300kbのバッファサイズを想定することで,最大TBSでの4レイヤ伝送が各キャリアで利用できるようになることを保証する。 ここで: UEがue-Category-v12xxをシグナリングし,DLセルが256QAMに設定されている場合は,N_(soft)はue-Category-v12xxにより示されたUEカテゴリーに従うソフトチャネルビットの総個数であり,UEがue-Category-v1020をシグナリングし,DLセルのために伝送モード 9又は伝送モード 10に設定されている場合は,N_(soft)はue-Category-v1020により示されたUEカテゴリーに従うソフトチャネルビットの総個数である。そうでなければ,N_(soft)は,ue-Categoryにより示されたUEカテゴリーに従うソフトチャネルビットの総個数である。)」 第5 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「端末」及び「サービングENB」は,それぞれ本願発明の「ユーザ機器(UE)」及び「発展型ノードB(eNB)」に相当する。 イ 引用発明の「第1端末カテゴリー」及び「第2端末カテゴリー」は,いずれも本願発明の「UEカテゴリー」といえるから,引用発明の「サービングENBにRel-9以前基地局が理解することができる第1端末カテゴリーと,Rel-10以後基地局が理解することができる第2端末カテゴリーを含む端末能力報告メッセージを報告すること」は,本願発明の「発展型ノードB(eNB)に複数のUEカテゴリーを報告すること」に相当する。 ウ 引用発明の「RRC連結再設定メッセージ」は本願発明の「シグナリング」の1つであるところ,両発明はこれらを「前記eNB」(前記サービングENB)から受信する点で共通する。 また,引用文献1の【0036】には,サービングENBが端末に第2端末カテゴリーのカテゴリーの使用を指示する方法として,「端末が使用するカテゴリーを直接指定する方法,あるいは,Rel-10システムに新規に追加された機能のうち所定の機能が設定された場合,第2端末カテゴリ-を使用するものと判断する方法がある」旨記載されているから,引用発明の,「所定のRel-10機能が設定されている」,または,「第2端末カテゴリーの使用を指示する情報が含まれてい」る「RRC連結再設定メッセージ」は,いずれも「第2端末カテゴリーに関する」ものといえる。 そうすると,引用発明の「前記サービングENBからRRC連結再設定メッセージを受信し,前記RRC連結再設定メッセージに所定のRel-10機能が設定されているか,または第2端末カテゴリーの使用を指示する情報が含まれているかどうかを判断すること」は,端末が報告した第2端末カテゴリーに関するRRC連結再設定メッセージが受信されたかどうかを判断することといえるから,本願発明の「前記複数のUEカテゴリーに関するシグナリングが前記eNBから受信されたかどうかを決定すること」に相当する。 エ 引用発明の「Rel-10以降基地局が理解することができる第2端末カテゴリー」は,「Rel-9以前基地局が理解することができる第1端末カテゴリー」より高い端末カテゴリーであるから,2つの端末カテゴリーの中で「最も高い端末カテゴリー」ということができる。 そうすると,引用発明の「前記RRC連結再設定メッセージに所定のRel-10機能が設定されているか,または第2端末カテゴリーの使用を指示する情報が含まれてい」る場合は,上記ウも考慮すると,本願発明の「前記複数のUEカテゴリー内に最も高いUEカテゴリーが含まれ,前記シグナリングを受信する場合」に相当する。 また,その場合に引用発明が「第2端末カテゴリーに該当するソフトチャネルビット総個数を使用」することは,端末が使用する端末カテゴリーについて,第2端末カテゴリー,すなわち最も高い端末カテゴリーを選択することであるから,この点で本願発明の「最も高いUEカテゴリーを選択すること」に相当する。 オ 本願発明の「前記複数のUEカテゴリー内に最も高いUEカテゴリーが含まれない,および/または前記シグナリングを受信しない場合,前記最も高いUEカテゴリー以外の1つのUEカテゴリーを選択すること」における「前記シグナリング」は,「前記複数のUEカテゴリーに関するシグナリング」である。そして,引用発明の「使用する端末カテゴリー情報がないか,または所定のRel-10新規機能が設定されな」い「RRC連結再設定メッセージ」は,端末がサービングeNBに報告した第1端末カテゴリー及び第2端末カテゴリーに関する情報が含まれていないから,本願発明の「前記複数のUEカテゴリーに関するシグナリング」に該当しない。また,引用発明の「第1端末カテゴリー」は,上記エより「最も高い端末カテゴリー以外の1つの端末カテゴリー」ということができる。そこで,上記エも考慮すると,引用発明の「前記RRC連結再設定メッセージに,使用する端末カテゴリー情報がないか,または所定のRel-10新規機能が設定されなければ,第1端末カテゴリーに該当するソフトチャネルビット総個数を使用」することと,本願発明の「前記複数のUEカテゴリー内に最も高いUEカテゴリーが含まれない,および/または前記シグナリングを受信しない場合,前記最も高いUEカテゴリー以外の1つのUEカテゴリーを選択すること」とは,「前記シグナリングを受信しない場合,前記最も高いUEカテゴリー以外の1つのUEカテゴリーを選択すること」である点で共通する。 カ 引用発明の「第2端末カテゴリーに該当するソフトチャネルビット総個数を使用してダウンリンクデータ通信を行うこと」及び「第1端末カテゴリーに該当するソフトチャネルビット総個数を使用してダウンリンクデータ通信を行うこと」について,ともに選択した端末カテゴリーに基づいてソフトチャネルビット総個数を決定するといえ,引用発明では,「ソフトチャネルビット総個数を使用してダウンリンクデータ通信を行うこと」が「前記ソフトチャネルビット総個数を利用して伝送ブロックソフトバッファーサイズを算出し,前記伝送ブロックソフトバッファーサイズでレートマッチングを行い,HARQ IR動作を行うことを意味する」から,端末は,レートマッチングのためにソフトチャネルビット総個数を決定するものといえ,決定したソフトチャネルビット総個数に基づいてレートマッチングを実行するものといえる。ここで,引用発明の「レートマッチング」と本願発明の「制限付きバッファレートマッチング(LBRM)」とは,「所定のレートマッチング」である点で共通する。 そうすると,引用発明の「第2端末カテゴリーに該当するソフトチャネルビット総個数を使用してダウンリンクデータ通信を行うこと」及び「第1端末カテゴリーに該当するソフトチャネルビット総個数を使用してダウンリンクデータ通信を行うこと」と,本願発明の「前記選択されたUEカテゴリーに基づいて,前記UEにおいてLBRMのために使用するためのソフトチャネルビットの総数を決定することと,ソフトチャネルビットの前記決定された総数に基づいてLBRMを実行すること」とは,「前記選択されたUEカテゴリーに基づいて,前記UEにおいて所定のレートマッチングのために使用するためのソフトチャネルビットの総数を決定することと,ソフトチャネルビットの前記決定された総数に基づいて所定のレートマッチングを実行すること」である点で共通する。 キ 引用発明の「端末がソフトチャネルビット総個数を使用してダウンリンクデータ通信を行う方法」と,本願発明の「ユーザ機器(UE)によって制限付きバッファレートマッチング(LBRM)を実行するための方法」とは,上記カを考慮すると,「ユーザ機器(UE)によって所定のレートマッチングを実行するための方法」である点で共通する。 上記アないしキより,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また相違する。 (一致点) 「ユーザ機器(UE)によって所定のレートマッチングを実行するための方法であって, 発展型ノードB(eNB)に複数のUEカテゴリーを報告することと, 前記複数のUEカテゴリーに関するシグナリングが前記eNBから受信されたかどうかを決定することと, 前記複数のUEカテゴリー内に最も高いUEカテゴリーが含まれ,前記シグナリングを受信する場合,最も高いUEカテゴリーを選択することと, 前記シグナリングを受信しない場合,前記最も高いUEカテゴリー以外の1つのUEカテゴリーを選択することと, 前記選択されたUEカテゴリーに基づいて,前記UEにおいて所定のレートマッチングのために使用するためのソフトチャネルビットの総数を決定することと, ソフトチャネルビットの前記決定された総数に基づいて所定のレートマッチングを実行することと を備える,方法。 (相違点1) 「所定のレートマッチング」について,本願発明では「制限付きバッファレートマッチング(LBRM)」であると特定されているのに対し,引用発明ではこの点が特定されていない点。 (相違点2) 本願発明では,「前記複数のUEカテゴリー内に最も高いUEカテゴリーが含まれない,および/または前記シグナリングを受信しない場合,前記最も高いUEカテゴリー以外の1つのUEカテゴリーを選択すること」を備えるのに対し,引用発明では,「前記複数のUEカテゴリー内に最も高いUEカテゴリーが含まれない」場合について,特定されていない点。 第6 判断 1 相違点1について 無線通信システムにおいて,例えば引用文献2に示唆されているように「制限付きバッファレートマッチング(LBRM)」は周知事項であるから,引用発明において,レートマッチングを「制限付きバッファレートマッチング(LBRM)」とすることは,当業者が適宜になし得ることである。 2 相違点2について 相違点2に係る構成は,そもそも「前記複数のUEカテゴリー内に最も高いUEカテゴリーが含まれない,および/または前記シグナリングを受信しない場合,前記最も高いUEカテゴリー以外の1つのUEカテゴリーを選択すること」であって,「または」で選択される一方の構成,すなわち,本願発明と引用発明の共通事項である「前記シグナリングを受信しない場合,前記最も高いUEカテゴリー以外の1つのUEカテゴリーを選択すること」を含むから,相違点とはならない。 さらに,「または」で選択される他方の構成の「前記複数のUEカテゴリー内に最も高いUEカテゴリーが含まれない」場合について,「前記複数のUEカテゴリー」とは,ユーザ機器(UE)が「発展型ノードB(eNB)に」「報告する」「複数のUEカテゴリー」のことである。そして,引用文献1には,「前記端末101が下位バージョンの端末である場合には,第1端末カテゴリーのみを含む端末能力報告メッセージをネットワークに伝送するようになる。」(段落【0029】)と記載され,ネットワークでは,「MME 107は,端末101及びサービングENB 103のバージョン情報によって相互間互換が可能になるように端末101及びサービングENB 103が使用すべき端末カテゴリー情報をサービングENB 103に伝達する」(段落【0031】)から,引用発明において,端末が第2端末カテゴリーを報告しない場合には,端末で第2端末カテゴリー以外の端末カテゴリー,すなわち,最も高いUEカテゴリー以外のカテゴリーを選択することは,当業者にとって自明のことである。 なお,この点は,引用文献2の「UEがue-Category-v12xxをシグナリングし,DLセルが256QAMに設定されている場合は,N_(soft)はue-Category-v12xxにより示されたUEカテゴリーに従うソフトチャネルビットの総個数であり,UEがue-Category-v1020をシグナリングし,DLセルのために伝送モード 9又は伝送モード 10に設定されている場合は,N_(soft)はue-Category-v1020により示されたUEカテゴリーに従うソフトチャネルビットの総個数である。そうでなければ,N_(soft)は,ue-Categoryにより示されたUEカテゴリーに従うソフトチャネルビットの総個数である。」の記載からも明らかである。 3 審判請求人が令和2年1月8日に提出した意見書の主張について 上記意見書において,「引用文献1は,RRC連結再設定メッセージを必ず受信することを開示しており,シグナリングをeNBから受信されたかどうかを決定することを開示していません。当然,引用文献1は,シグナリングを受信したか否かに応じてUEカテゴリーを選択することも開示も示唆もしていません。」と主張しているが,請求項1の「前記シグナリングを受信しない場合」は,意見書でいう「シグナリング」そのものを受信しない場合ではなく,「前記」が示すように「前記複数のUEカテゴリーに関するシグナリングを受信しない場合」と解されるから,意見書の主張は,請求項1の記載に基づくものではない。 よって,審判請求人の主張は採用できない。 4 小括 よって,本願発明は,引用発明及び引用文献2に記載された周知事項に基づいて,当業者が容易に発明することができたものである。 第7 むすび 以上のとおり,本願発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された周知事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2020-03-16 |
結審通知日 | 2020-03-17 |
審決日 | 2020-03-30 |
出願番号 | 特願2017-518491(P2017-518491) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H04L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 谷岡 佳彦 |
特許庁審判長 |
吉田 隆之 |
特許庁審判官 |
富澤 哲生 中野 浩昌 |
発明の名称 | ソフトバッファ管理のためのUEカテゴリー処理 |
代理人 | 中丸 慶洋 |
代理人 | 福原 淑弘 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 井関 守三 |
代理人 | 岡田 貴志 |