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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03F
管理番号 1365427
審判番号 不服2019-5708  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-26 
確定日 2020-08-19 
事件の表示 特願2016-501748「平坦化された極端紫外線リソグラフィブランク及びそのための製造及びリソグラフィシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 9日国際公開、WO2014/165295、平成28年 5月19日国内公表、特表2016-514288〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年3月12日(パリ条約による優先権主張2013年3月12日、米国、パリ条約による優先権主張2013年12月23日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成30年1月26日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、平成30年7月31日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年12月20日付けで拒絶査定がなされ、同査定の謄本は平成30年12月27日に請求人に送達された。これに対して、平成31年4月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?29に係る発明は、平成31年4月26日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?29に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項18に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである。

「【請求項18】
基板と、
基板の表面に関連する欠陥を補償するための平坦な上面を有する平坦化層と、
平坦化層上の多層スタックを含み、
平坦化層は、平坦化層の下にある欠陥を有する表面よりも平坦性の高い流動性化学蒸着膜の平坦化層の上面を形成している極端紫外線ブランク。」

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、
本願発明は、本願優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、引用文献2、5に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、
というものを含んでいる。

引用文献2 米国特許出願公開第2003/0194615号明細書
引用文献5 特開2003-084419号公報

第4 引用例に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先日前に頒布された引用例は、次のとおりである。

引用例1 原査定の上記引用文献2
引用例2 原査定の上記引用文献5

1 引用例1
(1)引用例1に記載の事項
引用例1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審にて付与。以下同様。)。

ア 「[0001] 1. Field of the Invention
[0002] The present invention relates generally to a reticle ormask used in a lithography process, and, more particularly, to fabricating areticle or mask for use in an extreme ultra-violet lithography process.」
(審決仮訳;[0001] 1 発明の分野
[0002]本発明は、一般に、リソグラフィ工程で使用されるレチクル又はマスクに関するものであり、特に、極端紫外(EUV)リソグラフィプロセスで使用するためのレチクルまたはマスクを製造することに関する。)

イ 「[0007] In order to achieve the desired accuracy and precision of EUV lithography, a surface of the substrate of the EUV reticle must be optically flat or free of defects. If the substrate surface is not flat, the defects may be propagated into the reflective layers and ultimately transferred to the photoresist layer of the semiconductor wafer. In other words, these defects may substantially degrade the image fidelity produced by the reflective layers. Defects on the substrate cause local perturbations in the reflective layers that will generate a phase difference in the light that is reflected atthat point.・・・」
(審決仮訳;[0007]EUVリソグラフィの所望の正確性と精密性を達成するために、EUVレチクルの基板の表面は、光学的に平坦なまたは欠陥のないものでなければならない。基板表面が平面でない場合、欠陥は、反射層に伝搬され、最終的に半導体ウェハのフォトレジスト層に転写される。換言すれば、これらの欠陥は、反射層によって生成された画像の忠実度を実質的に悪化させる。基板上の欠陥は、その点で反射された光に位相差を発生させる反射層の局所的な摂動を生じさせる。・・・)

ウ 「[0019] As shown in FIG.1 , the EUV reticle 2 comprises, in ascending order, a substrate 4, a planarizing layer 6 , and areflective layer 8 . Even though reflective layer 8 is shown as a single layer for the sake of clarity of description, reflective layer 8 is actually a multilayer structure, as known in the art. Reflective layer 8 comprises more than one layer, which is represented by the dashed line in FIG. 1 . For example, reflective layer 8 comprises multiple layers of Mo/Si or Mo/Be, with individual layers ofthe reflective layer 8 alternating between Mo and Si or Be. The individual layers may exhibit substantial differences in their refractive indices, with reflective layer 8 comprising a low refractive index layer and a high refractive index layer. ・・・」
(審決仮訳;[0019]図1に示すように、EUVレチクル2は、下から順に、基板4、平坦化層6、及び反射層8から成る。反射層8は、説明の明瞭さのために単一の層として示されているが、反射層8は、実際には、従来技術において知られているように多層構造である。反射層8は、図1において破線により表されるように1層以上から成る。例えば、反射層8は、MoとSi、またはBeとの交互の個々の層を有する、Mo/SiまたはMo/Beの多層から成る。個々の層は、その屈折率に実質的な差を示し、低屈折率層と高屈折率層を含む反射層8であってもよい。・・・)

エ 「[0021] The planarizing layer 6 may be formed over the substrate 4 and, therefore, is positioned between the substrate 4 and the reflective layer 8. The planarizing layer 6 may comprise a material known in the art that provides superior surface flatness and has low thermal expansion characteristics, such as an anti-reflective material, dielectric material, or polymer. Preferably, the planarizinglayer 6 is spin-coated onto the substrate 4, which requires that the material of the planarizing layer be suspended or dissolved in a solvent to facilitate deposition on the substrate 4. The solvent is then evaporated away via a hotplate or like source. Depending on the choice of material and solvent, the desired surface flatness of the planarizing layer maybe readily achieved. The planarizing layer 6 may also be formed by CVD orphysical vapor deposition (“PVD”). However, these techniques are less preferable because they require subsequent planarization steps. In addition, these techniques deposit the material conformally, which may propagate any defects in the substrate 4 into the planarizing layer 6.」
(審決仮訳;平坦化層6は、基板4上に形成することができるので、基板4と反射層8との間にある。平坦化層6は、反射防止材料、誘電体材料、またはポリマーのような、優れた表面平坦性を提供し、低熱膨張特性を有している、当該分野で公知の材料から成る。好ましくは、平坦化層6は、基板4上に、平坦化層の材料が、基板4上への堆積を促進するために溶媒中に懸濁または溶解されることが要求されるスピンコーティングがなされる。溶媒は、ホットプレート等を介して留去される。材料および溶媒の選択に依存して、平坦化層の所望の平坦性は容易に実現することができる。平坦化層6は、CVDまたは物理蒸着法(PVD)によって形成することができる。しかしながら、これらの技術には、後続の平坦化ステップを必要とするので、好適ではない。さらに、これらの技術は、基板4中の欠陥を平坦化層6に伝播させるかもしれず、当該材料を同じように堆積する。)

オ Fig.1は以下のとおりである。


(2)引用例1に記載の発明の認定
上記(1)に記載された事項からみて、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

引用発明
「極端紫外(EUV)リソグラフィプロセスで使用するためのレチクルに関するものであり、
基板表面が平面でない場合、欠陥は、反射層に伝搬され、最終的に半導体ウェハのフォトレジスト層に転写され、換言すれば、これらの欠陥は、反射層によって生成された画像の忠実度を実質的に悪化させるものであり、
EUVレチクル2は、下から順に、基板4、平坦化層6、及び反射層8から成り、
反射層8は、多層構造であり、
平坦化層6は、反射防止材料、誘電体材料、またはポリマーのような、優れた表面平坦性を提供し、低熱膨張特性を有している、当該分野で公知の材料から成り、基板4上に、スピンコーティングがなされるか、CVDまたは物理蒸着法(PVD)によって形成することができる、
レチクル。」

2 引用例2
引用例2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0036】平坦化絶縁層26は、段差被覆性が優れた流動性絶縁体から形成される。具体的には、平坦化絶縁層26は、塗布法あるいは流動性CVD法によって形成された、酸化シリコン層あるいはそれ以外の低誘電率絶縁層で構成できる。ここで、「低誘電率絶縁層」とは、比誘電率が典型的には3.0以下の値を有する層をいう。
【0037】流動性絶縁体から形成される酸化シリコン層としては、塗布法によって得られるSOGと、流動性CVDによって得られる酸化シリコンとに大別される。平坦化絶縁層26の材質は、SOGあるいは流動性CVD法によって形成された酸化シリコンのいずれであってもよいが、簡便な設備での成膜が可能であって経済性が高いことから、SOGを好ましく用いることができる。
【0038】SOGあるいは流動性CVDによる酸化シリコンとしては、特に限定されず、一般的に用いられているものを適用することができる。
【0039】SOGは、絶縁膜材料を有機溶媒に溶解したものをウェハ上に回転塗布し、塗布後の熱処理工程により形成することができる。一般的な熱処理工程は、乾燥,およびベイクと呼ばれる溶媒を除去するための熱処理と、キュアと呼ばれる熱硬化を行うための熱処理とからなる。SOGは、無機SOGと有機SOGに大別され、無機SOGとしては、シリケート系,アルコキシシリケート系およびポリシラザン系などが挙げられる。
【0040】流動性CVDにおいては、基体上に流動性を有する反応中間体を堆積させ、その後熱処理などにより反応中間体を完全な酸化膜に変化させる。このような流動性CVDとしては、以下に示すようないくつかの方法が知られている。
【0041】(a)TEOSとO_(3)の熱CVD(温度;400℃程度)
(b)Si(CH_(3))_(4)とO_(2)のプラズマ反応(基板温度;-20?-40℃)
(c)TEOSとH_(2)Oのプラズマ反応(基板温度;60?120℃)
(d)SiH_(4)とO_(2)のプラズマ反応(基板温度;-80℃以下)
(e)SiH_(4)とH_(2)O_(2)の減圧下での熱処理反応(基板温度;0℃付近)
流動性絶縁体から形成される平坦化絶縁層26は、SOGにおいては流体の状態で、流動性CVDにおいては流動性を有する反応中間体の状態で、それぞれ基体上に層が形成されることから、非常に優れた段差被覆性を有する。その結果、たとえば0.13μm世代以下のデザインルールの最小間隔で配置された密パターン領域14aの配線層12a,12aの相互間においても、ボイドを発生することなく良好な埋め込み性を有する絶縁層を形成することができる。また、配線層12の相互間のみならず、配線層12と応力緩和層22との間、あるいは応力緩和層22の相互間においても優れた埋め込み性を有する絶縁層を形成することができる。」

第5 対比、判断
1 対比
本願発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「基板4」は、本願発明の「基板」に相当する。

(2)引用発明の「反射層8は、多層構造であ」るから、当該構成は、本願発明の「平坦化層上の多層スタック」に相当する。

(3)本願明細書において「【0058】・・・照明システム606は、(図1のマスクブランク104の完全に処理されたバージョンである)レチクル612にEUV光を提供し、レチクル612は、投影光学系614を介してウェハ616上にEUV光を反射する。」と記載されていること、及び技術常識から見ても、レチクルとはマスクブランクを処理してマスクとしたものを指すことは明らかであるから、引用発明の「極端紫外(EUV)リソグラフィプロセスで使用するためのレチクル」と本願発明の「極端紫外線ブランク」は、「極端紫外線用部材」の点で共通する。

(4)引用発明は「基板表面が平面でない場合、欠陥は、反射層に伝搬され、最終的に半導体ウェハのフォトレジスト層に転写され、換言すれば、これらの欠陥は、反射層によって生成された画像の忠実度を実質的に悪化させるものであ」るとの前提に立って、「平坦化層6」を設けていることは明らかであるから、引用発明の「平坦化層6」は、本願発明の「基板の表面に関連する欠陥を補償するための平坦な上面を有する平坦化層」に相当する。

(5)引用発明の「平坦化層6は、・・・優れた表面平坦性を提供し、・・CVD・・・によって形成することができる」ので、引用発明は、本願発明の「平坦な上面を有する平坦化層」、「化学蒸着膜の平坦化層の上面を形成している」との構成を有している。
また、引用発明の「平坦化層6」は、上記(4)でも説示したように、「基板表面が平面でない場合、欠陥は、反射層に伝搬され、最終的に半導体ウェハのフォトレジスト層に転写され、換言すれば、これらの欠陥は、反射層によって生成された画像の忠実度を実質的に悪化させるものであ」るとの前提に立って設けられているものであり、基板の欠陥を吸収するものであることは明らかであるから、本願発明のように「平坦化層の下にある欠陥を有する表面よりも平坦性の高い」平坦化層の上面を形成しているといえる。

(6)上記(1)?(5)から、本願発明と引用発明とは、 以下の一致点、相違点を有する。
(一致点)
「基板と、
基板の表面に関連する欠陥を補償するための平坦な上面を有する平坦化層と、
平坦化層上の多層スタックを含み、
平坦化層は、平坦化層の下にある欠陥を有する表面よりも平坦性の高い化学蒸着膜の平坦化層の上面を形成している極端紫外線用部材。」

(相違点1)
化学蒸着膜について、本願発明が「流動性」化学蒸着膜であるのに対し、引用発明はそのような構成を採用していない点。

(相違点2)
極端紫外線用部材について、本願発明が「ブランク」であるのに対し、引用発明は「レチクル」である点。

2 判断
(1)相違点1について
平坦化層を形成するにあたって、SOGや流動性CVDを用いることは、引用例2に記載されている。引用発明、引用例2はともにマスクを用いた半導体デバイスの製造に関する技術分野に属するものであり、引用発明においても、平坦化層はスピンコーティング(SOG)やCVDで形成されていることから、平坦化層の形成手段として、流動性CVDを採用することは当業者が適宜選択しうる程度のことにすぎない。

(2)相違点2について
レクチルは、上記1(3)で説示したように、マスクブランクを処理してマスクとしたものであると解され、引用発明のレクチルの層構成などはマスクブランクの構成と同じであることは明らかであるから、相違点2は実質的な相違点であるとはいえない。

(3)作用効果について
本願発明の作用効果について、引用発明及び引用例2に記載された事項から、当業者が予測しうる程度のものにすぎない。

(4)したがって、本願発明は、引用発明及び引用例2に記載された事項から当業者が容易に想到しうる程度のことにすぎない。

3 請求人の主張について
請求人は、平成31年4月26日付け請求書において、
「5.特許法第29条第1項第3号及び同条第2項に関する主張
・・・
引用文献2(審決注;審決の引用例1に相当)には、スピンコーティング法によって平坦化層を堆積している。PVD法又はCVD法により平坦化層を形成することにも言及しているが、これらの堆積法では下地の凹凸形状をそのまま維持するコンフォーマルな膜が得られるため、追加の平坦化工程が必要になり、あまり好ましくない(less preferable)と記載されている。
・・・
引用文献5(審決注;審決の引用例2に相当)には、本願の平坦化層が有する0.5nmRMS以下の表面平滑性と比較して3桁大きい0.18?0.22μmオーダーの配線層の凹凸を埋めるための平坦化手段として流動性CVD法を用いることにより、平坦化絶縁層を形成する方法が記載されている。しかし、この時に得られた平坦化層の表面凹凸を十分に埋めるために、流動性CVDの後に、キャップ絶縁層を堆積させて化学機械研磨(CMP)を実施している(段落0044、0075)。
本願発明は、「第1堆積システムは、平坦化層の下にある表面よりも高い平坦性を有する平坦化層の上面を形成するために、流動性化学蒸着膜の平坦化層を堆積させる(請求項1)」、「極端紫外線レチクルは、平坦化層の下にある表面よりも高い平坦性を有する流動性化学蒸着膜の平坦化層を有する(請求項9)」、及び、「平坦化層は、平坦化層の下にある欠陥を有する表面よりも平坦性の高い流動性化学蒸着膜の平坦化層の上面を形成している(請求項18)」という構成を有するが、このような構成について、引用文献1?5には何らの記載がない。
引用文献5は流動性CVDを0.18?0.22μmオーダーの配線層の凹凸を埋めるための平坦化手段として用いているが、この結果として得られる平坦化層の表面凹凸を十分に埋めるために、流動性CVDの後に、キャップ絶縁層を堆積させて化学機械研磨(CMP)を実施しており、流動性CVD後の表面の凹凸は半導体装置配線の絶縁層表面として不十分であることが示唆されている。
したがって、引用文献5に記載された技術事項を読んでも、3桁オーダーの小さい0.5nmRMS以下の表面平滑性を求める課題に流動性CVDを適用しようとは思えず、この技術と、引用文献1?4の記載事項を適宜、組み合わせることも想到し得ない。」
と主張している。
当該主張について検討するに、引用例1には、レチクルの平坦化層の形成手段としてCVDを用いることが言及されており、「好適ではない」(less preferable)とはされているものの、CVDを用いることが否定されているわけではなく、採用しうる手段としてあげられているから、引用例1にはレチクルの平坦化層の形成手段としてCVDを用いることが開示されているといえる。
また、引用例2には、平坦化層の形成手段として、流動性CVDが例示されており、上記2で説示したとおり、引用発明において、当該例示された手段を採用することは、当業者が容易に想到しうる程度のことにすぎない。
請求人が主張する、本願発明と引用例2における表面平滑性のオーダーの違いについては、本願発明に係る請求項18の記載において、表面平滑性に係る数値は限定されておらず、0.5nmRMS以下の表面平滑性が求められているとの主張は、特許請求の範囲の記載に基づくものとはいえない。
また、本願発明が極端紫外線用ブランクであることから、一定以上の表面平滑性が求められるものであるとしても、本願発明において、流動性化学蒸着という用語は特段の限定なく用いられており、本願明細書を参酌しても、何か特別な流動性化学蒸着を意味しているとは認められず、さらに、本願明細書の「【0062】・・・この平滑化は、CMP、化学研磨、イオンビーム研磨、又はアニーリングを含むがこれらに限定されない多様な研磨方法によって行うことができる。これらの技術はまた、更なる平滑化が必要な場合は、流動性CVD膜に適用することもできる。」の記載を参酌すると、本願発明において、引用例1、2に記載されているような(流動性)化学蒸着後に更なる平滑化作業を行うような態様も含んでいると解されるから、そのような観点からも、引用例2における流動性CVDを採用することに阻害要因はないというべきである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1、2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2020-03-19 
結審通知日 2020-03-24 
審決日 2020-04-07 
出願番号 特願2016-501748(P2016-501748)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長谷 潮  
特許庁審判長 瀬川 勝久
特許庁審判官 井上 博之
近藤 幸浩
発明の名称 平坦化された極端紫外線リソグラフィブランク及びそのための製造及びリソグラフィシステム  
代理人 安齋 嘉章  

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