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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1365696
審判番号 不服2019-3717  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-03-19 
確定日 2020-08-31 
事件の表示 特願2017- 29222「多視点ビデオ符号化のための参照ピクチャ・リスト管理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 7月20日出願公開、特開2017-126999〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2007年10月12日(優先権主張日 2006年10月13日 米国(US))を国際出願日とする特願2009-532434号の一部を平成25年1月15日に出願した特願2013-4574号の一部を平成26年9月16日に出願した特願2014-187396号の一部を平成29年2月20日に出願したものものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成29年 3月 9日 :手続補正
平成29年12月21日付け:拒絶理由通知
平成30年 6月21日 :意見書提出および手続補正
平成30年11月13日付け:拒絶査定
令和 1年 3月19日 :拒絶査定不服審判請求

第2 本件発明
平成30年6月21日付け手続補正(以下、本件補正という)により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8は、平成29年3月9日付け手続補正された特許請求の範囲1ないし8を、本件補正による特許請求の範囲の請求項1ないし8に補正するものであり、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、本件発明という)は、請求項1により特定される次の事項を含むものである(本件補正により補正された個所を下線で示す)。
なお、本件発明の各構成の符号(A)?(E4)は、説明のために当審において付与したものであり、以下、発明特定事項A?発明特定事項E4と称する。

「【請求項1】
(A) 複数のビューに関連づけられた参照ピクチャがビデオ・ピクチャのコーディングに使用されている、多視点ベースのビデオ復号操作のための参照ピクチャ・リストの順序づけのための方法であって、
(B) ビデオ・コーダを使用して、第1の参照ピクチャがコーディングされる前記ビデオ・ピクチャの時間参照ピクチャであるかどうかを決定し、前記第1の参照ピクチャに時間参照ピクチャ・リストのために使用されるピクチャ番号を割り当てることによって、前記時間参照ピクチャ・リストにおける参照ピクチャのコーディング順序の順序づけを変更するステップであって、前記ピクチャ番号は、
(B1) 前記第1の参照ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうか、
(B2) および、コーディングされる前記ビデオ・ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうか
(B) に依存する、前記ステップと、
(C) コーディングされる前記ビデオ・ピクチャが複数の異なるビュー・ポイントからの前記複数のビューのうちのビューに関連するかどうかを決定するステップと、
(D) 第2の参照ピクチャが、コーディングされる前記ビデオ・ピクチャに関連づけられたビューとは異なるビューに関連づけられている場合に、同一のコーディング操作における、前記時間参照ピクチャ・リストとは異なるピクチャ・リストであるクロスビュー参照ピクチャ・リスト内の前記第2の参照ピクチャのコーディングの順序づけを変更して、前記第2の参照ピクチャに前記クロスビュー参照ピクチャ・リストの第2のピクチャ番号を割り当てるステップであって、前記第2のピクチャ番号は、
(D1) 前記第2の参照ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうか、
(D2) および、コーディングされる前記ビデオ・ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうか
(D) に依存する、前記ステップ、を含み、
(E1) 前記第1の参照ピクチャは、時間参照ピクチャ・リストに含まれ、
(E2) 前記第2の参照ピクチャは、クロスビュー参照ピクチャ・リストに含まれ、
(E3) 前記第1および第2の参照ピクチャは、ピクチャが対応するビューを示すビューIDを有し、
(E4) 前記第1および第2の参照ピクチャが、異なるビューIDを有するとき、前記クロスビュー参照ピクチャ・リスト内の前記第2の参照ピクチャに長期インデックスが割り当てられて、前記長期インデックスが、クロスビュー参照ピクチャ・リストにおいて、第2の参照ピクチャの順序を変更するために使用されうる、
(A)前記方法。

第3 原査定の理由
原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものであるといえる。
「平成29年12月21日付け拒絶理由通知書の理由1(2)の観点について、平成30年6月21日付け手続補正書においても、ピクチャ番号が、「前記第1の参照ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうか」に依存することは、請求項に記載されたままであるが、当該事項は当初明細書等には記載されていないという点、
また、平成29年12月21日付け拒絶理由通知書の理由1(7)の観点について、同様に、平成30年6月21日付け手続補正書においても、第2のピクチャ番号が「前記第2の参照ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうか」に依存することは、請求項に記載されたままであるが、当該事項は当初明細書等には記載されていないという点、
において、平成30年6月21日付け手続補正書でした補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。」

ここで、平成29年12月21日付け拒絶理由通知において通知された拒絶理由は、以下の理由を含むものである。

「1.(新規事項)平成29年3月9日付け手続補正書でした補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。


(2)請求項1について、ピクチャ番号が、「前記第1の参照ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうか」に依存することは、当初明細書等には記載されていない。

(7)請求項1について、第2のピクチャ番号が「前記第2の参照ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうか」に依存することは、当初明細書等には記載されていない。」

すなわち、原査定の理由は、本件発明における、
発明特定事項Bの「ビデオ・コーダを使用して、第1の参照ピクチャがコーディングされる前記ビデオ・ピクチャの時間参照ピクチャであるかどうかを決定し、前記第1の参照ピクチャに時間参照ピクチャ・リストのために使用されるピクチャ番号を割り当てることによって、前記時間参照ピクチャ・リストにおける参照ピクチャのコーディング順序の順序づけを変更するステップ」に関して、
「前記第1の参照ピクチャは時間参照ピクチャ・リストに含まれ」る(発明特定事項E1)ときに、
ピクチャ番号が、「前記第1の参照ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうか」に依存する(発明特定事項B1)ことは、当初明細書等には記載されていない、及び、
発明特定事項Dの「コーディングされる前記ビデオ・ピクチャのビューおよび第2の参照ピクチャを表す対応するビュー・ポイントが、コーディングされる前記ビデオ・ピクチャに関連づけられたビューとは異なるビューに関連づけられている場合に、同一のコーディング操作における、前記時間参照ピクチャ・リストとは異なるピクチャ・リストであるクロスビュー参照ピクチャ・リスト内の前記第2の参照ピクチャのコーディングの順序づけを変更して、前記第2の参照ピクチャに前記クロスビュー参照ピクチャ・リストの第2のピクチャ番号を割り当てるステップ」に関して、
「前記第2の参照ピクチャは、クロスビュー参照ピクチャ・リストに含まれ」る(発明特定事項E2)ときに、
第2のピクチャ番号が「前記第2の参照ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうか」に依存する(発明特定事項D1)ことは、当初明細書等には記載されていない
というものである。

第4 当審の判断
本件発明において、発明特定事項BかつE1である時に、発明特定事項B1が本願出願当初の明細書若しくは図面(以下、「当初明細書等」という)に記載された事項の範囲内であるかどうかについて、及び、発明特定事項DかつE2である時に、発明特定事項D1が当初明細書等に記載された事項の範囲内であるかどうかについて、以下に検討する。

1 当初明細書等に記載された事項
当初明細書等には、符号化動作を実行するコーダ205が、参照ピクチャにピクチャ番号を割り当てること及び参照ピクチャのピクチャ番号の順序付けを変更することについて、並びに参照ピクチャの並び替えについて、以下の記載がある。(下線は、強調のため当審で付したものである。)

ア 参照ピクチャにピクチャ番号を割り当てることについて
「【0020】
図2をまた参照すると、コーダ205が(AVCおよびMVCの下で)、動画像が符号化される符号化動作を実行する場合、符号化されたピクチャは、いくつかの異なる値に関連づけられ、そのような値は、コーダ205によってピクチャ・ヘッダ(例えば、スライス・ヘッダ)内に配置される。pic_num(ピクチャ番号)と呼ばれる第1の値は、コーディングされたビデオ・ピクチャの系列内における、コーディングされた際の、ピクチャの順序を示す。例えば、系列内の第1のピクチャは、「1」の値を有し、コーディングされた第4のピクチャは、「4」の値を有する。
【0021】
ピクチャは、コーディングされたピクチャが最終的に復号される場合に、それが表示される順序を決定する、ピクチャ順序カウント(POC:picture order count)と呼ばれる値も有する。これは、コーディングされたピクチャが、そのピクチャに関連づけられたPOC番号とは異なるフレーム番号を有することが可能であることを意味する。
【0022】
多視点ビデオ符号化は、ピクチャのために併せて使用できる、第3の値を導入する。view_id値は、ピクチャが対応するビューを示す。例えば、ビューS3に関連するピクチャは、「3」に等しいview_idを有し、一方、ビューS5に対応するピクチャは、「5」に等しいview_idを有する。そのような値の使用は、コーダがpic_numおよびPOCを異なるビュー間で分離することを可能にし、そのことが、同じpic_numおよび/またはPOCを有する参照ピクチャを保存するDPB215を提供するので、そのことからも、view_id番号は有用である。したがって、(同じPOCまたはpic_numを有する)そのようなピクチャは、view_id値を使用することによって、互いに区別される。
【0023】
上述された値は、(他の番号、変数名、およびハッシュ・テーブルなどを使用する)異なる方法で実施されてよいことを理解されたい。
【0024】
(http://www.rgu.ac.uk/files/avc_picmanagement_draft1.pdfにおいて見出される、Iain G Richardsonによる「Frame and Picture Management」において説明されるように)参照ピクチャをDPB215に保存する場合、そのようなピクチャは、メモリ・ステータスを割り当てられ、メモリ・ステータスは、参照ピクチャを、(PicNumまたはPicOrderCountによって参照される)短期参照ピクチャとして、または(LongTermPicインデックスにおける番号を表すLongTermPicNumによって参照される)長期参照ピクチャとして標識づける。参照ピクチャのステータスは、(例えば、AVCにおいて知られるような、メモリ管理コマンド演算子の使用によって)短期と長期の間で変更でき、または参照ピクチャが最終的にDPB215から取り去られる「not a reference」として知られるステータスにさえも変更できることを理解されたい。
【0025】
参照ピクチャの編成は、1つまたは2つのリストの中に順序よく配置され、それらのリストは、ピクチャ(スライス)をコーディングする前に使用される。Pピクチャのための参照は、ピクチャのリストを1つ(リスト0)使用し、一方、Bピクチャは、リストを2つ(リスト0およびリスト1)使用する。ピクチャ・リスト内のピクチャのデフォルト編成は、コーディングされる現ピクチャがPピクチャである場合は復号順序(PicNum)に依存し、コーディングされる現ピクチャがBピクチャである場合は表示順序に依存する。長期参照ピクチャとして指示された参照ピクチャは一般に、LongTermPicNumを割り当てられ、短期ピクチャよりも長い時間にわたってピクチャが保持されるように、参照リスト内のある位置に配置される。」

イ 参照ピクチャのピクチャ番号の順序付けを変更することについて
「【0026】
AVCは、コーダ205が、ピクチャ・スライスをコーディングする場合に、リスト0(およびBピクチャ(スライス)についてはリスト1)内の参照ピクチャのデフォルト順序を変更することを可能にする。すなわち、コーダは、(リスト内の)1つの参照ピクチャが、参照リスト内で指示された参照ピクチャよりも良好な参照ピクチャとなり得ることを認識することができる。これは、コーディングされる現ピクチャとの相関性がより高い参照ピクチャに、コーディングされるピクチャとの相関性がより低い参照ピクチャよりもインデックスが小さい(より近い)参照リスト上の位置を占めさせることによって、コーディング効率上の助けとなる。したがって、参照ピクチャ・リスト並べ替え(RPLR:Reference Picture List Reordering)コマンドとして知られるコマンドが、そのような参照ピクチャの順序を動かすために使用され、図3に示されている。」

ウ 参照ピクチャの並べ替えについて
「【0137】
図7は、多視点コーディング環境のための参照ピクチャの並べ替えに適用されるような、本発明の原理を表す、ブロック図700を提示している。このフローチャートの動作のためには、参照ピクチャがすでにDPB215内に存在することが仮定される。しかし、参照ピクチャは、異なるビュー用のものでもよい。
【0138】
ステップ705において、方法は、コーディングされる現ピクチャが、多視点ピクチャ(MVCおよびAVC)が使用される環境内にあるかどうか、それともコーディング環境が、単に時間的なもの(すなわちAVC)であるかどうかについて検討する。
【0139】
現ピクチャのコーディングに関連して使用される参照ピクチャが多視点コーディングとは関係がない場合、ステップ710は、AVCなどのコーディング規格に関連して知られた原理を適用して、参照ピクチャ・リストを並べ替えるように動作する。しかし、コーディングされるピクチャが多視点ピクチャと関係があり、ピクチャ間のクロスビューが考慮されなければならないこともあり得る場合、ステップ715が選択される。
【0140】
上述されたように、ピクチャの並べ替えを実際にどのように実行するかに関して、いくつかの異なる応用が存在する。(ステップ715に適用される)上で提示されたいくつかの実施形態は、コーディングされる現ピクチャが参照ピクチャと何らかのクロスビュー関係を有するかどうかについて検討するために比較が行われる、環境について説明する。いくつかの実施形態では、ピクチャ・リストの並べ替えは、すべてのビューに関連する参照ピクチャを並べ替える。他の実施形態では、参照ピクチャの並べ替えは、最初にすべてのクロスビューについて実行され、次に、コーディングされるピクチャと同じビューを有する参照ピクチャについて実行される。
【0141】
ステップ720は、コーディングされるピクチャが、参照ピクチャと時間的関係を有するかどうかについて検討する。上述されたように、Pピクチャは、参照リストを1つ使用するが、Bピクチャは、2つの参照リストの使用を必要とすることがある。したがって、(本発明の様々な実施形態において説明される)リストが並べ替えられる方法は、そのような時間的関係に依存する。
【0142】
ステップ725は、参照ピクチャ・リストの実際の並べ替えである。そのような操作を実行する様々な方法は、またしても、ステップ715およびステップ720の結果に依存し、上述された原理および実施形態と併せて適用される。」

2 発明特定事項B1に関する検討

上記1のアのとおり、当初明細書等には、【0020】、【0021】に次の事項が記載されているといえる。

(ア) 符号化されたピクチャは、いくつかの異なる値に関連づけられ、そのような値は、ピクチャヘッダ内に配置されるものであり、pic_num(ピクチャ番号)と呼ばれる第1の値は、コーディングされたビデオ・ピクチャの系列内における、コーディングされた際の、ピクチャの順序を示すものであり、ピクチャは、コーディングされたピクチャが最終的に復号される場合に、それが表示される順序を決定する、ピクチャ順序カウント(POC:picture_order_count)と呼ばれる値も有するものであり、コーディングされたピクチャが、そのピクチャに関連づけられたPOC番号とは異なるフレーム番号を有することが可能であること。

また、当初明細書等には、【0022】に次の事項が記載されているといえる。

(イ) 多視点ビデオ符号化は、ピクチャのために併せて使用できる、第3の値を導入するものであり、view_id値は、ピクチャが対応するビューを示すものであり、そのような値の使用は、コーダがpic_numおよびPOCを異なるビュー間で分離することを可能にし、(同じPOCまたはpic_numを有する)そのようなピクチャは、view_id値を使用することによって、互いに区別されること。

次に、当初明細書等には、【0024】に次の事項が記載されているといえる。

(ウ) 参照ピクチャを保存する場合、そのようなピクチャは、メモリ・ステータスを割り当てられ、メモリ・ステータスは、参照ピクチャを、(PicNumまたはPicOrderCountによって参照される)短期参照ピクチャとして、または(LongTermPicインデックスにおける番号を表すLongTermPicNumによって参照される)長期参照ピクチャとして標識づけること。

さらに、当初明細書等には、【0025】に次の事項が記載されているといえる。

(エ) Pピクチャのための参照は、ピクチャのリストを1つ使用し、一方、Bピクチャは、リストを2つ(リスト0およびリスト1)使用するものであり、ピクチャ・リスト内のピクチャのデフォルト編成は、コーディングされる現ピクチャがPピクチャである場合は復号順序(PicNum)に依存し、コーディングされる現ピクチャがBピクチャである場合は表示順序に依存すること。

上記1のイのとおり、当初明細書等には、【0026】に次の事項が記載されているといえる。

(オ) ピクチャ・スライスをコーディングする場合に、リスト0(およびBピクチャ(スライス)についてはリスト1)内の参照ピクチャのデフォルト順序を変更することを可能にするものであり、コーダは、(リスト内の)1つの参照ピクチャが、参照リスト内で指示された参照ピクチャよりも良好な参照ピクチャとなり得ることを認識することができ、コーディングされる現ピクチャとの相関性がより高い参照ピクチャに、コーディングされるピクチャとの相関性がより低い参照ピクチャよりもインデックスが小さい(より近い)参照リスト上の位置を占めさせること。

上記1のウのとおり、当初明細書等には、【0138】?【0140】に次の事項が記載されているといえる。

(カ) コーディングされる現ピクチャが、多視点ピクチャが使用される環境内にあるかどうか、それともコーディング環境が、単に時間的なものであるかどうかについて検討することで、現ピクチャのコーディングに関連して使用される参照ピクチャが多視点コーディングとは関係がない場合、参照ピクチャ・リストを並べ替えるように動作し、コーディングされるピクチャが多視点ピクチャと関係があり、ピクチャ間のクロスビューが考慮されなければならないこともあり得る場合、コーディングされる現ピクチャが参照ピクチャと何らかのクロスビュー関係を有するかどうかについて検討するために比較が行われ、いくつかの実施形態では、ピクチャ・リストの並べ替えは、すべてのビューに関連する参照ピクチャを並べ替え、他の実施形態では、参照ピクチャの並べ替えは、最初にすべてのクロスビューについて実行され、次に、コーディングされるピクチャと同じビューを有する参照ピクチャについて実行されること。

加えて、当初明細書等には、【0141】?【0142】に次の事項が記載されているといえる。

(キ) コーディングされるピクチャが、参照ピクチャと時間的関係を有するかどうかについて検討し、Pピクチャは参照リストを1つ使用し、Bピクチャは2つの参照リストの使用を必要とすることがあり、リストが並べ替えられる方法は、そのような時間的関係に依存するものであり、参照ピクチャ・リストの実際の並べ替えが行われること。

上記(ア)から、
(ク) 符号化されたピクチャはコーディングされた際のピクチャの順序を示すピクチャ番号や、コーディングされたピクチャが最終的に復号される場合に表示される順序を決定するPOC番号や、フレーム番号を有することが可能であることが、
上記(ウ)から、
(ケ) 参照ピクチャをPicNumまたはPicOrderCountまたはLongTermPicNumにより参照される参照ピクチャとして標識づけることが、
上記(エ)(キ)から、
(コ) Pピクチャのための参照は、ピクチャのリストを1つ使用し、ピクチャ・リスト内のピクチャの編成は、符号化されるピクチャがPピクチャである場合は復号順序(PiCNum)に依存すること、Bピクチャのための参照は、ピクチャのリストを2つ使用し、ピクチャ・リスト内のピクチャの編成は、符号化されるピクチャがBピクチャである場合は表示順序に依存することが、
上記(オ)(カ)から、
(サ) リスト0およびリスト1内の参照ピクチャの順序を変更し、現ピクチャとの相関性がより高い参照ピクチャに、相関性が低い参照ピクチャよりもインデックス、すなわち、参照ピクチャを参照するための番号、が小さい参照リスト上の位置を占めさせることが、
当初明細書等にはそれぞれ記載されているといえる。

そうすると、「コーディングされた際や復号される場合に、参照ピクチャがコーディングされるないし復号される前記ビデオ・ピクチャの時間参照ピクチャであるかどうかを決定し、参照ピクチャに時間参照ピクチャ・リストのために使用されるピクチャ番号を割り当てることによって、前記時間参照ピクチャ・リストにおける参照ピクチャのコーディング順序ない復号順序の順序づけを変更する」場合、現ピクチャがPピクチャであるか、Bピクチャであるかによって、参照のためのピクチャのリスト内のピクチャの編成が復号順序(PicNum)に依存するか、表示順序に依存するかがわかるといえるから、ピクチャ番号が、コーディングないし復号されるピクチャがPピクチャであるか、Bピクチャであるかどうかに依存すること、は当初明細書等に記載されているといえる。

しかしながら、参照ピクチャに付される番号である、フレーム番号や、ピクチャ番号(pic_num)、ピクチャ順序カウント(POC)、上記PicNum、PicOrderCount、さらにはLongTermPicNumが、「第1の参照ピクチャ」すなわち「時間参照ピクチャ」がIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうかに依存すること、については、記載も示唆もない。
また、他にピクチャに付される番号についての記載は当初明細書等には見当たらない。

以上のことから、本件発明において、発明特定事項Bのステップにおいて、発明特定事項E1を満たし、発明特定事項B1の「ピクチャ番号が、前記第1の参照ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうかに依存する」こと、すなわち、「時間参照ピクチャ・リストに含まれるピクチャのピクチャ番号が、Iピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうかに依存する」こと、は、当初明細書等には記載も示唆もなく、当初明細書等の記載から自明に導き出せる事項であるともいえず、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものである。

したがって、本件発明は、依然として、上記原査定の理由のうち、「ピクチャ番号が、「前記第1の参照ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうか」に依存することは、当初明細書等には記載されていない」ことが解消されたものではない。

3 発明特定事項D1に関する検討
上記2における(ク)?(サ)に加えて、上記2の(イ)から、
(シ) 多視点ビデオ符号化は、ピクチャが対応するビューを示すview_id値を使用することによって、同じPOCまたはpic_numを有するピクチャが互いに区別されることが、
上記2の(カ)から、
(ス) 符号化されるピクチャが多視点ピクチャと関係があり、ピクチャ間のクロスビューが考慮される場合、すべてのビューに関連する参照ピクチャを並び替えるか、または、全てのクロスビューについて参照ピクチャの並べ替えが実行され、次に、コーディングされるピクチャと同じビューを有する参照ピクチャについて並び替えが実行されることが、
当初明細書にはそれぞれ記載されているといえる。

しかしながら、クロスビュー参照を行う場合に、参照ピクチャに付される番号である、フレーム番号や、ピクチャ番号(pic_num)、ピクチャ順序カウント(POC)、上記PicNum、PicOrderCount、さらにはLongTermPicNum、上記view_id番号が「第2の参照ピクチャ」すなわち「クロスビュー参照ピクチャ」がIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうか、復号される前記ビデオ・ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうか」については、記載も示唆もない。
また、クロスビュー参照を行う場合に、他にピクチャに付される番号についての記載は当初明細書等には見当たらない。

そうすると、「コーディングされた際や復号されるビデオ・ピクチャのビュー及び参照ピクチャを表す対応するビュー・ポイントが、コーディングないし復号されるビデオ・ピクチャに関連付けられたビューとは異なるビューに関連付けられている場合に、同一の復号操作における、前記時間参照ピクチャ・リストとは異なるピクチャ・リストであるクロスビュー参照ピクチャ・リスト内の前記第2の参照ピクチャの復号の順序づけを変更して、前記第2の参照ピクチャに前記クロスビュー参照ピクチャ・リストの第2のピクチャ番号を割り当てることによって、前記第2の参照ピクチャ・リストにおける参照ピクチャのコーディング順序ない復号順序の順序づけを変更する」場合、現ピクチャがPピクチャであるか、Bピクチャであるかによって、参照のためのピクチャのリスト内のピクチャの編成が復号順序(PicNum)に依存するか、表示順序に依存するかがわかるといえるから、ピクチャ番号が、コーディングないし復号されるピクチャがPピクチャであるか、Bピクチャであるかどうかに依存すること、は当初明細書等に記載されているといえる。

しかしながら、参照ピクチャに付される番号である、フレーム番号や、ピクチャ番号(pic_num)、ピクチャ順序カウント(POC)、上記PicNum、PicOrderCount、さらにはLongTermPicNumが、「第2の参照ピクチャ」すなわち「クロスビュー参照ピクチャ」がIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうかに依存すること、については、記載も示唆もない。
また、他にピクチャに付される番号についての記載は当初明細書等には見当たらない。

以上のことから、本件発明において、発明特定事項Dのステップにおいて、発明特定事項E2を満たし、発明特定事項D1の「ピクチャ番号が、前記第2の参照ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうかに依存する」こと、すなわち、「クロスビュー参照ピクチャ・リストに含まれるピクチャのピクチャ番号が、Iピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうかに依存する」こと、は、当初明細書等には記載も示唆もなく、当初明細書等の記載から自明に導き出せる事項であるともいえず、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものである。

したがって、本件発明は、上記原査定の理由のうち、「第2のピクチャ番号が、「前記第2の参照ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうか」に依存することは、当初明細書等には記載されていない」ことが解消されたものではない。

4 まとめ
以上の通りであるから,本件発明は、上記原査定の理由である、
ピクチャ番号が、「前記第1の参照ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうか」に依存することは、当初明細書等には記載されておらず、
第2のピクチャ番号が「前記第2の参照ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうか」に依存することは、当初明細書等には記載されていない、
という点において、本願出願時の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない、
という理由が解消されたものではない。

5 請求人の主張について
請求人は、令和1年5月9日付け審判請求書に関する手続補正書の「3.本願発明が特許査定されるべき理由」の「3.1. 理由1(特許法第17条の2第3項)および理由2(特許法第36条第6項第1項)について」において、以下のとおり主張している。

「請求項1に記載のピクチャ番号が、「前記第1の参照ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうか」に依存することは、当初明細書の段落0024-0026等に記載されており、この補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たし、当該記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしているものと思料する。
同様に、請求項1に記載の第2のピクチャ番号が、「前記第2の参照ピクチャがIピクチャ、Bピクチャ、または、Pピクチャであるかどうか」に依存することは、当初明細書の段落0024-0026等に記載されており、この補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たし、当該記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしているものと思料する。」

しかしながら、上記2?4において検討したとおり、発明特定事項BかつE1である時に、発明特定事項B1について、及び、発明特定事項DかつE2である時に、発明特定事項D1について、当初明細書等には記載も示唆もなく、当初明細書等の記載から自明に導き出せる事項であるともいえない。

以上のとおり、審判請求人の主張は採用できない。

第5 むすび
以上のとおり、平成30年6月21日付けでした手続補正は、「平成29年3月9日付けでした手続補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない」との理由を解消するものではなく、原査定の理由は解消されていない。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2020-03-30 
結審通知日 2020-03-31 
審決日 2020-04-16 
出願番号 特願2017-29222(P2017-29222)
審決分類 P 1 8・ 55- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 片岡 利延坂東 大五郎  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 鳥居 稔
川崎 優
発明の名称 多視点ビデオ符号化のための参照ピクチャ・リスト管理方法  
代理人 江口 昭彦  
代理人 内藤 和彦  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 阿部 豊隆  
代理人 大貫 敏史  
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