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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01N
管理番号 1365844
審判番号 不服2019-14469  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-30 
確定日 2020-09-29 
事件の表示 特願2017- 18706「表面欠陥検査装置および表面欠陥検査方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月24日出願公開、特開2017-146302、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年2月3日(優先権主張 平成28年2月12日)の出願であって、令和元年6月7日付けで拒絶理由が通知され、同年8月1日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同月29日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)されたところ、同年10月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は、補正前の本願請求項1-5、7に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、補正前の本願請求項6及び8に係る発明は、以下の引用文献1-4に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

引用文献等一覧
1.特開2015-064301号公報
2.国際公開第2012/005337号
3.特許第2962125号公報
4.特開平11-242005号公報

第3 審判請求時の補正について
1 審判請求時の補正
審判請求時の補正によって、請求項1に「表面欠陥検査装置」が、「前記撮像装置の視野内において、前記被検査体に対して前記撮像装置とは反対側に配置され、かつ前記被検査体の転動方向と平行に設けられた補助照明装置」「を備え」、「前記撮像装置は、前記被検査体の軸方向に沿って複数台配置されており」、「前記補助照明装置によって前記撮像装置とは反対側から照明されている前記被検査体を、所定の撮像周期で連続的に撮像し、前記補助照明装置は、一台の撮像装置につき一台の補助照明装置が視野に入るように複数配置されている」という事項が追加され、請求項6に、「撮像装置」を「前記被検査体の軸方向に沿って複数台配置」し、「前記撮像ステップは、前記撮像装置の視野内において、前記被検査体に対して前記撮像装置とは反対側に配置され、かつ前記被検査体の転動方向と平行に設けられた補助照明装置によって、前記撮像装置とは反対側から照明されている前記被検査体を撮像し、前記画像処理ステップは、前記補助照明装置によって照明されている前記被検査体の画像に基づいて、前記被検査体の位置を検出し、前記補助照明装置は、一台の撮像装置につき一台の補助照明装置が視野に入るように複数配置されている」という事項が追加された。

2 特許法第17条の2第3項について
審判請求時の補正によって追加された事項は、当初明細書の請求項6、段落【0060】及び【0061】に記載されているから、当初明細書等に記載された事項であり、新たな技術的事項を導入するものでないといえる。

3 特許法第17条の2第4項について
上記請求項1に係る発明に対する補正は、請求項1に係る発明の「表面欠陥検査装置」に必要な事項を追加するものであり、上記請求項6に係る発明に対する補正は、請求項6に係る発明の「表面欠陥検査方法」に必要な事項を追加する補正であるから、これらの補正により特別な技術的特徴が変更されたとはいえない。

4 特許法第17条の2第5項について
「前記撮像装置の視野内において、前記被検査体に対して前記撮像装置とは反対側に配置され、かつ前記被検査体の転動方向と平行に設けられた補助照明装置」「を備え」、「前記撮像装置は、前記被検査体の軸方向に沿って複数台配置されており」、「前記補助照明装置によって前記撮像装置とは反対側から照明されている前記被検査体を、所定の撮像周期で連続的に撮像し、前記補助照明装置は、一台の撮像装置につき一台の補助照明装置が視野に入るように複数配置されている」という事項を追加する補正は、請求項1に係る発明の「表面欠陥検査装置」を限定する補正である。
また、「撮像装置」を「前記被検査体の軸方向に沿って複数台配置」し、「前記撮像ステップは、前記撮像装置の視野内において、前記被検査体に対して前記撮像装置とは反対側に配置され、かつ前記被検査体の転動方向と平行に設けられた補助照明装置によって、前記撮像装置とは反対側から照明されている前記被検査体を撮像し、前記画像処理ステップは、前記補助照明装置によって照明されている前記被検査体の画像に基づいて、前記被検査体の位置を検出し、前記補助照明装置は、一台の撮像装置につき一台の補助照明装置が視野に入るように複数配置されている」という事項を追加する補正当は、請求項6に係る発明の「表面欠陥検査方法」を限定する補正である。
すると、いずれも、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

5 特許法第17条の2第6項について
「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1?6に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

6 小括
したがって、上記補正は、特許法第17条の2第3項から第6項に規定される要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1?6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明6」という。)は、令和元年10月30日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。(下線は補正部分を示す。)

「 【請求項1】
円筒状または円柱状の被検査体を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された複数の画像の輝度変化に基づいて前記被検査体の表面欠陥を検出する画像処理装置と、
を備える表面欠陥検査装置において、
製造ライン上に設けられ、前記被検査体を所定の傾斜に沿って転動させながら搬送する搬送装置と、
前記搬送装置と前記撮像装置との間に配置され、前記被検査体を照明する間接照明装置と、
前記撮像装置の視野内において、前記被検査体に対して前記撮像装置とは反対側に配置され、かつ前記被検査体の転動方向と平行に設けられた補助照明装置と、
を備え、
前記撮像装置は、
前記被検査体の軸方向に沿って複数台配置されており、
前記搬送装置によって搬送されており、前記間接照明装置によって照明されており、かつ前記補助照明装置によって前記撮像装置とは反対側から照明されている前記被検査体を、所定の撮像周期で連続的に撮像し、
前記補助照明装置は、一台の撮像装置につき一台の補助照明装置が視野に入るように複数配置されていることを特徴とする表面欠陥検査装置。
【請求項2】
前記間接照明装置は、
凹面側が光の反射面となる半円筒状の反射材と、
前記反射材の反射面側に配置された光源と、
を備え、
前記光源からの光を前記反射材の反射面で反射することにより、前記搬送装置によって搬送されている前記被検査体を照明することを特徴とする請求項1に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項3】
前記反射材は、その軸方向が前記被検査体の軸方向と平行になるように配置され、
前記反射材においてその軸方向と直交する方向の幅は、前記被検査体の周長よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項4】
前記光源は、前記反射材の軸方向に線状に設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項5】
前記撮像装置は、前記反射材の軸方向および幅方向の中心に配置されたエリアセンサカメラであることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項6】
円筒状または円柱状の被検査体を、前記被検査体の軸方向に沿って複数台配置された撮像装置によって所定の撮像周期で連続的に撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップにおいて撮像された複数の画像の輝度変化に基づいて前記被検査体の表面欠陥を検出する画像処理ステップと、
を含む表面欠陥検査方法において、
前記撮像ステップは、製造ライン上に設けられた搬送装置によって、所定の傾斜に沿って転動しながら搬送され、かつ間接照明装置によって照明されている前記被検査体を撮像し、
前記撮像ステップは、前記撮像装置の視野内において、前記被検査体に対して前記撮像装置とは反対側に配置され、かつ前記被検査体の転動方向と平行に設けられた補助照明装置によって、前記撮像装置とは反対側から照明されている前記被検査体を撮像し、
前記画像処理ステップは、前記補助照明装置によって照明されている前記被検査体の画像に基づいて、前記被検査体の位置を検出し、
前記補助照明装置は、一台の撮像装置につき一台の補助照明装置が視野に入るように複数配置されていることを特徴とする表面欠陥検査方法。」

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審にて付した。以下同様である。)

(引1a)「【0026】
図1は、この発明の実施の形態にかかる表面欠陥検査装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、この表面欠陥検査装置1は、円筒体または円柱体の一例として円筒体の鋼管2を検査対象としている。表面欠陥検査装置1は、鋼管2の軸に垂直な方向に滑らずに転動させつつ鋼管2を搬送する斜面が形成された斜路10と、斜路10の撮像領域E上の鋼管2に光を照射する線状光源11,12と、撮像領域E上の鋼管2を連続撮像する撮像部13と、鋼管2が撮像領域Eに進入したか否かを検出する進入検出部としての近接センサS1と、鋼管2が撮像領域Eに進入した後、鋼管2の進入から退出までの間、撮像部13による鋼管2の連続撮像を制御する撮像制御部14と、撮像制御部14が撮像した連続画像をもとに鋼管2の表面欠陥を検出する画像処理を行う画像処理部15と、画像処理部15による検査結果を表示出力する表示部16とを有する。
【0027】
斜路10の表面は、撮像画像上において鋼管2との識別を容易にするため、鋼管2の表面と色調が異なり、かつ反射を抑えた材質が好ましい。例えば、艶消しの白色、または黒色に塗装し、あるいは黒いゴム板で覆うことが好ましい。
【0028】
図2は、表面欠陥検査装置の平面図である。図1及び図2に示すように、一対の線状光源11,12は、斜路10の上方に設けられ、斜路10上を転動する鋼管2に光を照射する。特に、線状光源11,12は、斜路10上の撮像領域Eに均一な光を照射する。線状光源11,12は、蛍光灯やライトガイド、あるいは配列されたLED素子によって実現される。
【0029】
また、撮像部13は、斜路10の上方で、線状光源11,12間に設けられ、一対の線状光源11,12によって照射された撮像領域Eを転動する鋼管2の表面の画像を連続撮像する。撮像部13は、たとえばCCDあるいはCMOSのエリアセンサカメラによって実現され、鋼管2の軸方向に沿って4つの撮像部13-1?13-4が配列される。」

(引1b)「【0036】
図4は、撮像制御部14の制御のもとに撮像部13が撮像した撮像画像の一例を示す図である。図4に示すように、撮像部13は、撮像領域E内で、鋼管2が所定幅W´分、移動する毎に撮像し、n個(例えば22個)の撮像画像I1?Inを取得する。撮像領域Eの搬送方向周長距離LCは、周長に相当するため、鋼管2の欠陥部21は、撮像画像I3上の均一照射部位2aのみで撮像され、重複撮像されない。また、欠陥部21の画像は、撮像部13に対して傾いた画像でないため、欠陥部21の大きさを過小評価することがない。撮像制御部14は、この取得された撮像画像I1?Inを画像処理部15に出力する。なお、近接センサS1が鋼管2を検出する搬送方向位置は、撮像画像I1で検出される鋼管2の位置であることが好ましい。この場合、近接センサS1による鋼管2の検出が、撮像部13による撮像開始タイミングのトリガとなる。なお、近接センサS1は、非接触で鋼管2が接近したことを検出するものであるが、この実施の形態での近接センサS1は、LED透過光方式のメタル検出器である。
【0037】
画像処理部15は、各撮像画像I1?Inに対してシェーディング補正や2値化処理などの周知の欠陥抽出処理を行い、画像内の輝度変化部分を欠陥部21として抽出する。また、画像処理部15は、抽出された欠陥部21の種類や発生位置を算出する。この欠陥部21の種類は、例えば、予め求められる欠陥特徴量をもとに判定することができる。また、欠陥部21の軸方向位置は、撮像画像内の欠陥部21の水平方向位置によって求めることができる。また、欠陥部21の周方向位置は、連続撮影されたn個の撮像画像のうちのどの撮像画像で検出されたかという搬送方向の順序位置と、欠陥部21が検出された撮像画像内の垂直方向位置とをもとに求めることができる。なお、欠陥部21の周方向位置は、シーム位置等を撮像画像によって検出できる場合、このシーム位置からの相対周方向位置として求めることができる。」

(引1c)「【0040】
この実施の形態では、鋼管2の製造ライン上に上述した表面欠陥検査装置1を設け、上述した鋼管2の表面欠陥検査を行いつつ、鋼管2を搬送するようにしているので、鋼管2の搬送効率の低下を抑えることができる。この結果、鋼管2の製造ラインの生産性低下を防ぐことができる。」

(引1d)図1「



(2)引用文献1に記載された発明
ア 上記(引1d)より、「線状光源11,12」は、「撮像部13」と同じ側から、「鋼管2」に光を直接照明する点が見て取れる。

イ 上記アを踏まえると、上記(引1a)?(引1d)より、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「円筒体の鋼管2を検査対象とする表面欠陥検査装置1は、
鋼管2の軸に垂直な方向に滑らずに転動させつつ鋼管2を搬送する斜面が形成された斜路10と、
斜路10の撮像領域E上の鋼管2に撮像部13と同じ側から光を直接照射する線状光源11,12と、
撮像領域E上の鋼管2を連続撮像する撮像部13と、
鋼管2が撮像領域Eに進入したか否かを検出する進入検出部としての近接センサS1と、
鋼管2が撮像領域Eに進入した後、鋼管2の進入から退出までの間、撮像部13による鋼管2の連続撮像を制御する撮像制御部14と、
撮像制御部14が撮像した連続画像をもとに鋼管2の表面欠陥を検出する画像処理を行う画像処理部15と、
画像処理部15による検査結果を表示出力する表示部16とを有し、
撮像部13は、
鋼管2の軸方向に沿って4つの撮像部13-1?13-4が配列され、
撮像領域E内で、鋼管2が所定幅W´分、移動する毎に撮像し、n個の撮像画像I1?Inを取得し、
画像処理部15は、画像内の輝度変化部分を欠陥部21として抽出する、
鋼管2の製造ライン上に設けられた
表面欠陥検査装置1。」

2 引用文献2について
(1)引用文献2に記載された事項について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

(引2a)「[0025] このような間接照明装置1を用いた物品検査システムでは、カメラCが筺体2の外側に設置され、筺体2の中心位置近傍に配置された物品Mを撮像して検査することができる。すなわち、照明灯3を点灯すると、照明灯3の直接光の一部は、反射面2aによって反射され、その反射された光(間接光)は物品Mにいろいろな方向から照射される。それにより、物品Mの表面では、光の映り込みが少なく、陰影が生じ難いうえに、従来例で述べたような検視孔による不要な陰影パターンが生じることもない。物品Mから反射された光は、一部が筺体2の反射面2aを透過していき、カメラCに入力され画像として捉えられる。このようにして、物品Mの検査において、より精細な検査がし易くなる。」

(引2b)「[0031] 次に、本発明の第2の実施形態に係る間接照明装置1’を説明する。この間接照明装置1’は、図1(b)及び図3に示すように、筺体2’と、筐体2’の下部内方に設けられた照明灯3’と、を備えている。筺体2’は、内方側に、照明灯3’の直接光を筺体2’の中心位置近傍に反射する反射面2a’を有している。反射面2a’は、天頂部2aa’から連続している。この筺体2’の中心位置近傍に物品Mが配置されると、反射面2a’により反射されてきた間接光が物品Mに照射される。
[0032] 筺体2’は、外観形状が略半円筒状をなしており、その反射面2a’は、凹曲面となっている。筺体2’の反射面2a’は、先の実施形態の反射面2aと同様のマジックミラー機能を有して形成されている。また、筺体2’には、端部側壁2b’、2b’が設けてあり、その略中央付近に出入口2ba’、2ba’が設けてある。
[0033] 照明灯3’は、筺体2’の下部内方に、直線状のものが略半円筒状の筺体2’の軸線(長尺方向に延びる中心線)に対して対称に配設されている。そして、この照明灯3’も、先の実施形態の照明灯3と同様に、LEDで構成するのが最適であり、また、2列以上に隣接したLEDを直線状のものとして配置することも可能である。
[0034] また、図において、符号4’はLEDを実装する配線基板、符号5’は配線基板4’を固定するための台座であり、符号6’は筺体2’の中心位置近傍に配置され検査される物品Mに照明灯3’の直接光が当たるのを阻む遮蔽板である。
[0035] この間接照明装置1’は、間接照明装置1を用いた前述の物品検査システムと同様な物品検査システムを構成することができ、同様な利点を得ることができる。なお、間接照明装置1’では、ベルトコンベア等で運搬されて一方の出入口2ba’から筺体2’の内部に入った物品Mは、筺体2’の中心位置近傍で検査され、もう一方の出入口2ba’から外部に出るようになっている。また、間接照明装置1における光拡散体7と同様に、筺体2’の反射面2a’と照明灯3’の間に光を拡散する光拡散体7’を設けることが好ましい。」

(引2c)「



(2)引用文献2に記載された技術事項
ア 上記(引2c)より、「間接照明装置1’」は、「カメラC」と「物品M」との間にある点が見て取れる。

イ 上記(引2b)より、引用文献2の「間接照明装置1’は、間接照明装置1を用いた前述の物品検査システムと同様な物品検査システムを構成することができ」るから、上記(引2a)の「照明灯3を点灯」し、「照明灯3の直接光の一部」を、「反射面2aによって反射」し、「その反射された光(間接光)」を「物品Mにいろいろな方向から照射」することにより「カメラCが筺体2の外側に設置され、筺体2の中心位置近傍に配置された物品Mを撮像して検査する」「間接照明装置1を用いた物品検査システム」は、「間接照明装置1’」を用いた場合は、「照明灯3’を点灯し、照明灯3’の直接光の一部を、反射面2a’によって反射し、その反射された光(間接光)を、物品Mにいろいろな方向から照射することによりカメラCが筺体2’の外側に設置され、筺体2’の中心位置近傍に配置された物品Mを撮像して検査する間接照明装置1’を用いた物品検査システム」となる。

ウ 上記ア及びイを踏まえると、上記(引2a)?(引2c)より、引用文献2には、以下の技術事項(以下「技術事項2」という。)が記載されている。

「外観形状が略半円筒状の筺体2’と、筐体2’の下部内方に設けられた照明灯3’と、を備え、
筺体2’は、内方側に、照明灯3’の直接光を筺体2’の中心位置近傍に反射する反射面2a’ を有し、
筺体2’の中心位置近傍に物品Mが配置されると、反射面2a’により反射されてきた間接光が物品Mに照射され、
照明灯3’を点灯し、照明灯3’の直接光の一部を、反射面2a’によって反射し、その反射された光(間接光)を、物品Mにいろいろな方向から照射することによりカメラCが筺体2’の外側に設置され、筺体2’の中心位置近傍に配置された物品Mを撮像して検査するカメラCと物品Mとの間に配置された間接照明装置1’を用いた物品検査システム。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

(引3a)「【0009】集光ライト8は、図2にも示すように、ランプハウス8aに取り付けられたハロゲンランプや蛍光灯などからなる光源8bと、該光源8bの後方に設けられた円弧状鏡面8cとを有し、光源8bから発する光が鏡面8cにより反射されて、鋼管1の側縁部1bを集中的に照明することができる。
【0010】また、光源8bは、鋼管1の軸心Oに沿って長く延びているから、鋼管1の側縁部1bを広範囲にわたって照明することができ、図3に示すように、テレビ受像機5に映しだされた鋼管1の側縁部1bの全体をほぼ均等に明るく照らすことができる。
【0011】上記構成において、鋼管1の表面の傷痕6などの有無を検査する場合には、回転ローラ2を回転駆動することにより鋼管1をその軸心Oを中心に回転させ、該鋼管1を照明装置3及び集光ライト8で照明する。つまり、照明装置3は上方から鋼管1を少なくとも径方向において全体的に照明し、集光ライト8は光源8bのハロゲンランプから発する光を鏡面により反射させて集中的に照射することにより、鋼管1の側縁部1bを斜め上方から照明する。この状態で鋼管1をテレビカメラ4で撮影し、該テレビカメラ4及び画像処理装置(図示せず)を介してテレビ受像機5に映し出された画像に基づいて鋼管1の表面の傷痕6などの有無を検査すればよい。
【0012】この場合、集光ライト8で鋼管1の側縁部1bを集中的に照明しており、テレビ受像機5に映し出された鋼管1の頂部1a及び側縁部1bの輝度をほぼ均等にして、その頂部1aのハレーション及び側縁部1bの暗色を消すことができるから、画像処理装置による画像処理時間を大幅に短縮して、鋼管1の表面の傷痕6などの有無を能率的に検査することができる。」

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

(引4a)「【0005】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態では、被検査物品搬送ライン上の被検査物品の上部にストロボ照明光を照射してカメラで撮影した映像を画像処理システムで処理し、異物混入、付着を検出して不良品或いは欠陥品の識別が流れ作業ででき、しかも光源からの照明光を被写体の被検査物品に上下両方から当てて陰影や光斑が発生することなく、被検査物品間の隙間も光を受けて異物検査が最適な映像となり、高い精度で安定した信頼性ある検査を確保し、また物品面ばかりでなく周囲の異物をも容易に検出し、検査項目の拡大化と、被検査物品の多様化にも容易に対応する検査ができ各検査作業性の高能率化をはかることができる。
【0006】
【実施例】本発明の実施例を図1乃至図3の例で説明すると、ストロボなどの光源1と、ドーム状反射板2とからなる照明機構3と、画像処理システム5に接続されるカメラ4、例えばビデオカメラ或いはCCDカメラとからなり、前記照明機構の光源1からの照明光の照射により被検査物品Aの映像をカメラ4で取って画像処理する物品外観検査装置であって、被検査物品A上に配置されるカメラ4のレンズ4_(1 )の直下同心円上に円筒状反射板2を配備してある。即ち、被検査物Aを載置移送する無端状の透光性搬送ベルト9と、該透光性搬送ベルト9上の被検査物品Aに上方から照明光を照射し、かつ被検査物品上に配備されるカメラ4の直下同心円上にドーム状反射板2を備えた上部照明機構3と、前記透光性搬送ベルト9の下方より透光性搬送ベルト9を介して被検査物品Aに照明光を照射する下部照明機構10とを設けて物品外観検査装置としてある。
【0007】前記上部照明機構3としては、頂面中央で前記カメラ4のレンズ4_(1 )に対向部位に50%透光性のハーフミラー7を備えてもよく、集光性を良好として光斑がなく被検査物品Aの被写体全体が暗くならないで均等に光が当るように考慮してあり、必要に応じ光源1の下方に中心透孔12のある拡散プレート6を備える。
また、前記光源1としては、ストロボ照明を用いてあるが、蛍光燈、ハロゲン灯などを用いてもよく、いずれにしても被写体に当る直接光は光量全体の約40%以下とし透過光を含む間接光を主として図2に示すように被検査物品Aの上部に均等に当るように反射面を配慮し、反射板2の頂面部と光源1の配置を透孔12との関係で選んである。
【0008】なお、前記透光性搬送ベルト9は、透光率30?60%好ましくは45?60%の透光性搬送ベルトであって、無端状に動輪13に架装されて走行するものを用いて流れ作業の搬送行程中に検査ができるようにしてあり、供給部14から搬入される被検出物Aを連続的に検査し、搬出受部15に搬送されると共に、異物などは除去回収される。また、前記上下照明機構3,10が調光可能の光源1,11を備えたものであって、上部照明機構3と、下部照明機構10との照明輝度を50?70:100好ましくは60:70/100とし、錠剤や粒状物体中の異物検査に対して最適状態とするのがよい。また、被検査物がシート包装品の場合には60?70:100に調光するのがよいし、さらに被検査物品の色彩、例えば黄色、ピンク色、若しくは白色、スカイブルーなどの色に合わせて調光するのがよい。
【0009】さらに、前記上部照明機構3は、リング状蛍光管の光源を備え、面発光照明光源11からなる下部照明に対設してあり、頂面中央に透孔を有し、頂面から下方に屈折する反射光が生ずるドーム状反射板2と、該反射板内周下方にリング状蛍光管1とから構成され、前記ドーム状反射板2は、取付枠体8で搬送ラインの透光性ベルト9上で高速で走行される検査位置に間隔をあけてスタンド、その他の固定フレームに固定されて配備されるが、自動搬送行程後或いは検査台上の取付場所にセットとして被検査物品Aの粒状面或いは錠面やその周囲のシール不良、シート異物を検査するようにしてある。」

(引4b)「



第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「表面欠陥検査装置1」、「撮像部13」、「画像処理部15」は、それぞれ、本願発明1の「表面欠陥検査装置」、「撮像装置」、「画像処理装置」に相当する。

イ 引用発明の「鋼管2」は、「検査対象」であって、「円筒体」であるから、引用発明の「検査対象」である「円筒体の鋼管2」は、本願発明1の「円筒状または円柱状の被検査体」に相当する。そして、引用発明の「撮像部13」は、「撮像領域E上の鋼管2を連続撮像する」ものであるから、引用発明の「撮像領域E上の鋼管2を連続撮像する撮像部13」は、本願発明1の「円筒状または円柱状の被検査体を撮像する撮像装置」に相当する。

ウ 引用発明の「撮像制御部14」は「撮像部13による鋼管2の連続撮像を制御するものであるから、「撮像制御部14が撮像した連続画像」は、「撮像制御部14が」「撮像部13による鋼管2の連続撮像を制御する」ことにより「撮像した」ものであるから、「撮像部13」が「鋼管2」を「連続撮像」したものであるといえる。そして、引用発明の「画像処理部15」は、「撮像部13による鋼管2の連続撮像を制御する撮像制御部14」が「撮像した連続画像をもとに鋼管2の表面欠陥を検出する画像処理を行う」ものであって、「画像処理部15」は、「画像内の輝度変化部分を」検出される「表面欠陥」である「欠陥部21として抽出する」ものであるから、引用発明の「撮像部13による鋼管2の連続撮像を制御する撮像制御部14」が「撮像した連続画像をもとに」「画像内の輝度変化部分を欠陥部21として」、「鋼管2の表面欠陥を検出する画像処理を行う」「画像処理部15」は、本願発明1の「前記撮像装置によって撮像された複数の画像の輝度変化に基づいて前記被検査体の表面欠陥を検出する画像処理装置」に相当する。

エ 引用発明の「表面欠陥検査装置1」は、「鋼管2の製造ライン上に設けられ」、「斜路10」は、「表面欠陥検査装置1」にあるものであるから、引用発明の「斜路10」は、「鋼管2の製造ライン上に設けられ」たものであるといえる。そして、引用発明の「斜路10」は、「鋼管2の軸に垂直な方向に滑らずに転動させつつ鋼管2を搬送する斜面が形成された」ものであるから、引用発明の「鋼管2の製造ライン上に設けられ」た「鋼管2の軸に垂直な方向に滑らずに転動させつつ鋼管2を搬送する斜面が形成された斜路10」は、本願発明1の「製造ライン上に設けられ、前記被検査体を所定の傾斜に沿って転動させながら搬送する搬送装置」に相当する。

オ 引用発明の「鋼管2に光を直接照射する線状光源11,12」は、本願発明1の「間接照明装置」と、「照明装置」である点で共通する。そして、引用発明の「線状光源11,12」は、「斜路10の撮像領域E上の鋼管2に撮像部13と同じ側から光を直接照射する」ものであるから、引用発明の「斜路10の撮像領域E上の鋼管2に撮像部13と同じ側から光を直接照射する線状光源11,12」と、本願発明1の「前記搬送装置と前記撮像装置との間に配置され、前記被検査体を照明する間接照明装置」とは、「前記搬送装置に対して前記撮像装置と同じ側に配置され、前記被検査体を照明する照明装置」である点で共通する。

カ 引用発明の「撮像部13」は、「鋼管2の軸方向に沿って4つの撮像部13-1?13-4が配列され」ているから、引用発明の「撮像部13」と、本願発明1の「撮像装置」とは、「前記被検査体の軸方向に沿って複数台配置されて」いる点で一致する。

キ 引用発明の「撮像部13」は、「撮像領域E内で、鋼管2が所定幅W´分、移動する毎に撮像し、n個の撮像画像I1?Inを取得し」ており、この「取得」された「n個の撮像画像I1?In」は、「撮像領域E内で、鋼管2が所定幅W´分、移動する毎に撮像」されたものであることから、引用発明の「撮像部13」は、「鋼管2」を所定の撮像周期で連続的に撮像しているといえる。
そうすると、引用発明の「撮像部13」と、本願発明1の「撮像装置」とは、「前記被検査体を、所定の撮像周期で連続的に撮像し」ている点で一致する。

ク 引用発明の「鋼管2」は、「斜面が形成された斜路10」によって「搬送」され、「線状光源11,12」によって「光」が「直接照射」されているから、引用発明の斜面が形成された斜路10」によって「搬送」され、「線状光源11,12」によって「光」が「直接照射」される「鋼管2」と、本願発明1の「前記搬送装置によって搬送されており、前記間接照明装置によって照明されており、かつ前記補助照明装置によって前記撮像装置とは反対側から照明されている前記被検査体」とは、「前記搬送装置によって搬送されており、前記照明装置によって照明されている前記被検査体」である点で共通する。

ケ 以上ア?クより、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点及び相違点がある。

(一致点)
「円筒状または円柱状の被検査体を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された複数の画像の輝度変化に基づいて前記被検査体の表面欠陥を検出する画像処理装置と、
を備える表面欠陥検査装置において、
製造ライン上に設けられ、前記被検査体を所定の傾斜に沿って転動させながら搬送する搬送装置と、
前記搬送装置に対して前記撮像装置と同じ側に配置され、前記被検査体を照明する照明装置と、
を備え、
前記撮像装置は、
前記被検査体の軸方向に沿って複数台配置されており、
前記搬送装置によって搬送されており、前記照明装置によって照明されている前記被検査体を、所定の撮像周期で連続的に撮像する表面欠陥検査装置。」

(相違点)前記被検査体を照明する照明装置について、本願発明1は、「前記搬送装置に対して前記撮像装置と同じ側に配置され、前記被検査体を照明する照明装置」が「前記搬送装置と前記撮像装置との間に配置され」た「間接照明装置」であり、さらに「前記撮像装置の視野内において、前記被検査体に対して前記撮像装置とは反対側に配置され、かつ前記被検査体の転動方向と平行に設けられ」、「一台の撮像装置につき一台」「が視野に入るように複数配置され」、「前記被検査体」を「前記撮像装置とは反対側から照明」する「補助照明装置」を有しているのに対し、引用発明は、「前記搬送装置に対して前記撮像装置と同じ側に配置され、前記被検査体を照明する照明装置」が「光を直接照射する線状光源11,12」であって、斜路10と撮像部13との間に配置することは特定されておらず、本願発明1の「補助照明装置」に相当する構成については何ら特定されていない点。

(2)判断
上記相違点について検討する。

ア 上記(引4b)より、引用文献4の「照明機構3」は、「前記透光性搬送ベルト9」と「カメラ4」との間に配置されている点が見て取れる。また、引用文献4の「照明機構3」は、「被写体に当る直接光は光量全体の約40%以下とし透過光を含む間接光を主として図2に示すように被検査物品Aの上部に均等に当るように反射面を配慮し」ているから、引用文献4の「照明機構3」は、本願発明1の「間接照明装置」に相当する。そして、引用発明4の「前記透光性搬送ベルト9」及び「カメラ4」は、本願発明1の「前記搬送装置」及び「前記撮像装置」に相当する。
すると、引用発明4の「前記透光性搬送ベルト9」と「カメラ4」との間に配置されている「照明機構3」は、本願発明1の「前記搬送装置と前記撮像装置との間に配置され」た「間接照明装置」に相当するといえる。
また、引用文献4の「物品外観検査装置」には、「前記透光性搬送ベルト9の下方より透光性搬送ベルト9を介して被検査物品Aに照明光を照射する下部照明機構10」が設けてあり、この「下部照明機構10」は、本願発明1の「前記被検査体に対して前記撮像装置とは反対側に配置され」、「前記被検査体」を「前記撮像装置とは反対側から照明」する「補助照明装置」に相当する。
しかしながら、この引用文献4の「物品外観検査装置」は、「光源からの照明光を被写体の被検査物品に上下両方から当てて陰影や光斑が発生することなく、被検査物品間の隙間も光を受けて異物検査が最適な映像となり、高い精度で安定した信頼性ある検査を確保し、また物品面ばかりでなく周囲の異物をも容易に検出し、検査項目の拡大化と、被検査物品の多様化にも容易に対応する検査ができ」るものであるから、引用文献4の「物品外観検査装置」に設けてある「照明機構3」及び「下部照明機構10」は、「被検査物品」を透過する光により異物を検出するためのもであるといえる。
そうすると、引用発明の「鋼管2」は、光を透過しないものであるから、引用文献4の「被検査物品」を透過する光により異物を検出する「照明機構3」及び「下部照明機構10」を、引用発明の光を透過しない「鋼管2」の欠陥検出に適用する動機付けはなく、また、阻害要因があるといえる。

イ 技術事項2の「間接照明装置1’」及び「カメラC」は、それぞれ、本願発明1の「間接照明装置」及び「撮像装置」に相当する。そして、技術事項2の「間接照明装置1’」は、「カメラCと物品Mとの間に配置」され、「物品M」は、通常搬送装置上にあるものであるから、技術事項2の「カメラCと物品Mとの間に配置された間接照明装置1’」は、本願発明1の「前記搬送装置と前記撮像装置との間に配置され」た「間接照明装置」に相当するから、技術事項2は、本願発明1の「前記搬送装置と前記撮像装置との間に配置され」た、「間接照明装置」に相当する構成を有しているといえる。しかしながら、「前記撮像装置の視野内において、前記被検査体に対して前記撮像装置とは反対側に配置され、かつ前記被検査体の転動方向と平行に設けられ」、「一台の撮像装置につき一台」「が視野に入るように複数配置され」、「前記被検査体」を「前記撮像装置とは反対側から照明」する「補助照明装置」については記載されていない。
そうすると、技術事項2は、上記相違点に係る構成を有しているとはいえない。

ウ 引用文献3の「該鋼管1」を「照明する」「照明装置3及び集光ライト8」は、間接照明であるとはいえないので、引用文献3には、本願発明1の「前記搬送装置と前記撮像装置との間に配置され」た、「間接照明装置」に相当する構成は記載されていないし、さらに、本願発明1の「補助照明装置」についても記載されていない。

エ 以上ア?ウより、上記相違点に係る構成は、技術事項2が有している構成又は、引用文献3に記載されている構成であるとはいえず、また、引用文献4に記載された技術事項を引用発明に適用する動機付けはなく、さらに、阻害要因があるといえるから、本願発明1は、当業者であっても引用発明、技術事項2並びに引用文献3及び4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2?5について
本願発明2?5は、本願発明1を引用するものであって、上記相違点に係る構成を有しているものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、技術事項2並びに引用文献3及び4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明6について
本願発明6は、本願発明1の「表面欠陥検査装置」を使用した「表面欠陥検査方法」であって、本願発明6の「前記画像処理ステップ」において、「補助照明装置」が「被検査体の位置を検出」する旨さらに限定したものであるから、本願発明6と引用発明とは、以下の相違点’で相違する。

(相違点’)撮像ステップ及び画像処理ステップが、本願発明6は、撮像ステップが、「間接照明装置によって照明されている前記被検査体を撮像し」、「前記撮像装置の視野内において、前記被検査体に対して前記撮像装置とは反対側に配置され、かつ前記被検査体の転動方向と平行に設けられた補助照明装置によって、前記撮像装置とは反対側から照明されている前記被検査体を撮像し」、画像処理ステップが、「前記補助照明装置によって照明されている前記被検査体の画像に基づいて、前記被検査体の位置を検出」するものであって、「前記補助照明装置は、一台の撮像装置につき一台の補助照明装置が視野に入るように複数配置されている」のに対し、引用発明は、撮像ステップが、「鋼管2に光を直接照射する線状光源11,12」により照明されている「鋼管2を連続撮像する」ものであるとともに、画像処理ステップが、「前記補助照明装置によって照明されている前記被検査体の画像に基づいて、前記被検査体の位置を検出」するものであって、「前記補助照明装置は、一台の撮像装置につき一台の補助照明装置が視野に入るように複数配置されている」旨の特定がない点。

上記(相違点’)について検討すると、上記1(2)アで検討したとおり、引用文献4の「被検査物品」を透過する光により異物を検出する「照明機構3」及び「下部照明機構10」を、引用発明の光を透過しない「鋼管2」の欠陥検出に適用する動機付けはなく、また、阻害要因があるといえる。また、上記1(2)イで検討したとおり、技術事項2は、本願発明6の「補助照明装置」に相当する構成を有しているとはいえないし、該構成は、上記1(2)ウで検討したとおり、引用文献3にも記載されているとはいえない。
そうすると、本願発明6は、当業者であっても、引用発明、技術事項2並びに引用文献3及び4に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1は、「表面欠陥検査装置」が、「前記撮像装置の視野内において、前記被検査体に対して前記撮像装置とは反対側に配置され、かつ前記被検査体の転動方向と平行に設けられた補助照明装置」「を備え」、「前記撮像装置は、前記被検査体の軸方向に沿って複数台配置されており」、「前記補助照明装置によって前記撮像装置とは反対側から照明されている前記被検査体を、所定の撮像周期で連続的に撮像し、前記補助照明装置は、一台の撮像装置につき一台の補助照明装置が視野に入るように複数配置されている」という事項を、本願発明6は、「撮像装置」を「前記被検査体の軸方向に沿って複数台配置」し、「前記撮像ステップは、前記撮像装置の視野内において、前記被検査体に対して前記撮像装置とは反対側に配置され、かつ前記被検査体の転動方向と平行に設けられた補助照明装置によって、前記撮像装置とは反対側から照明されている前記被検査体を撮像し、前記画像処理ステップは、前記補助照明装置によって照明されている前記被検査体の画像に基づいて、前記被検査体の位置を検出し、前記補助照明装置は、一台の撮像装置につき一台の補助照明装置が視野に入るように複数配置されている」という事項をそれぞれ有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1?4に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-09-14 
出願番号 特願2017-18706(P2017-18706)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中澤 真吾  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 渡戸 正義
福島 浩司
発明の名称 表面欠陥検査装置および表面欠陥検査方法  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  

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