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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C23C
管理番号 1365927
審判番号 不服2019-9110  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-07-05 
確定日 2020-09-29 
事件の表示 特願2017- 95354「流れ分配器を備える輸送容器、そのような容器を含むシステム、及びそのような容器を使用する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月30日出願公開、特開2017-210683、請求項の数(26)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年 5月12日(パリ条約による優先権主張 2016年 5月12日 米国(US) 2017年 5月 4日 米国(US))を出願日とする出願であって、平成30年 6月21日付けで拒絶理由が通知され、同年12月20日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成31年 2月28日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、令和 1年 7月 5日付けで本件拒絶査定不服審判の請求がされるとともに手続補正書が提出され、令和 2年 6月 3日付けで上申書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願請求項1?26に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明26」という。)は、平成30年12月20日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?26に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
側壁、
基部、
平坦な表面を有する蓋、
インレットチューブ、
噴出口として複数の小さい開口部を含む流れ分配器であって、前記蓋に対して平行に延在する連結された中空棒、中空シャワーヘッド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される構造を有する流れ分配器、及び
前記蓋を貫通するアウトレットを備え、
前記インレットチューブが前記蓋を貫通して前記流れ分配器中に張り出し、かつ、前記流れ分配器と流体連通し、
前記噴出口が前記蓋に対して60?90°の範囲の角度で前記基部に面し、
各噴出口の等価直径が0.01インチ(0.025cm)?0.25インチ(0.64cm)の範囲である、化学前駆体を処理ツールに輸送するための容器。
【請求項2】
前記容器が、円筒状、直方体、立方体、長方形の箱、矩形六面体、直角矩形柱、矩形平行六面体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される形状を有し、前記流れ分配器の断面形状が、チューブ、円、四角、矩形、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記中空シャワーヘッドの断面形状が、チューブ、円、四角、矩形、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記流れ分配器が、連結された中空棒構造を有し、前記中空棒の等価内径が1/8インチ?1インチの範囲であり、前記中空棒の各噴出口の等価直径が0.01インチ(0.025cm)?0.05インチ(0.125cm)の範囲である、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記流れ分配器が、共通の中心にて交差し、前記共通の中心から前記蓋と平行に延在し、かつ、側面で封止された2?16本の中空棒を有し、前記流れ分配器の等価内径が1/8インチ?1インチの範囲であり、前記中空棒の各噴出口の等価直径が0.01インチ(0.025cm)?0.05インチ(0.125cm)の範囲である、請求項1に記載の容器。
【請求項6】
前記流れ分配器が、前記蓋に対して平行な前記容器の断面積の30%?90%の範囲の前記蓋に平行な断面積を有する、高さ1/8インチ?1インチの中空シャワーヘッド構造を有し、前記中空シャワーヘッドの各噴出口の等価直径が0.01インチ(0.025cm)?0.05インチ(0.125cm)の範囲である、請求項1に記載の容器。
【請求項7】
前記流れ分配器が、中空棒及び中空シャワーヘッドを有し、前記中空シャワーヘッドは1/8インチ?1インチの高さを有し、かつ、前記蓋に対して平行な前記中空シャワーヘッドから伸びた前記中空棒と共に前記流れ分配器の中心に配置されており、前記中空シャワーヘッドは前記中空棒と流体連通し、前記中空棒は1/8インチ?1インチの範囲の等価内径を有し、かつ、側面で封止されており、前記流れ分配器の各噴出口の等価直径は0.01インチ(0.025cm)?0.05インチ(0.125cm)の範囲である、請求項1に記載の容器。
【請求項8】
化学前駆体を処理ツールに輸送するためのシステムであって、
金属ハロゲン化物、金属β-ジケトネート、金属β-ジケトエステラート、金属β-ケトイミナート、金属β-ジイミナート、金属アルキル、金属カルボニル、アルキル金属カルボニル、金属シクロペンタジエニル、金属シクロペンタジエニルカルボニル、金属ピロリル、金属イミダゾリル、金属アミジナート、金属アルコキシド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される化学前駆体であって、
前記金属が、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ce、Sm、Tb、Er、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、Fe、Co、Ni、Ru、Ir、Rh、Cu、Al、Sn、Pb、Sb、Bi、Te、Cr、Mo、Ta及びWからなる群から選択される化学前駆体と、
前記化学前駆体を収容する容器であって、
側壁、
基部、
平坦な表面を有する蓋、
インレットチューブ、
噴出口として複数の小さい開口部を含む流れ分配器であって、前記蓋に対して平行に延在する連結された中空棒、中空シャワーヘッド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される構造を有する流れ分配器、及び
前記蓋を貫通するアウトレットを備え、
前記インレットチューブが前記蓋を貫通して前記流れ分配器中に張り出し、かつ、前記流れ分配器と流体連通し、
前記噴出口が、前記蓋に対して60?90°の範囲の角度で前記基部に面し、
各噴出口の先端が、前記噴出口が面している化学前駆体から0.5インチ以上の距離に設けられ、
各噴出口の等価直径が0.01インチ(0.025cm)?0.25インチ(0.64cm)の範囲である容器と
を含むシステム。
【請求項9】
前記化学前駆体が、六塩化タングステン、五塩化タングステン、五塩化タンタル、五塩化モリブデン、四塩化ハフニウム、四塩化ジルコニウム、ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン(CCTBA)、水素化シクロペンタジエニルタングステントリカルボニル(CpW(CO)_(3)H))、二水素化ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)タングステン(iPrCp)_(2)WH_(2)、二水素化ビス(アルキルシクロペンタジエニル)タングステン(RCp)WH_(2)、Ni(II)N,N’-ジ-ターシャリー-ブチルアミジナート(Ni(II)(tBu-AMD)_(2))、Ni(II)N,N’-ジ-イソプロピルアミジナート(Ni(II)(iPr-AMD)_(2))、Ni(II)N,N’-ジ-エチルアミジナート(Ni(II)(Et-AMD)_(2))、Ni(II)N,N’-ジ-メチルアミジナート(Ni(II)(Me-AMD)_(2))、Co(II)N,N’-ジ-ターシャリー-ブチルアミジナート(Co(II)(tBu-AMD)_(2))、Co(II)N,N’-ジ-イソプロピルアミジナート(Co(II)(iPr-AMD)_(2))、テトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム(TDMAH)、tert-ブチルイミノ-トリス(ジエチルアミノ)タンタル(TBTDET)、tert-ブチルイミド-トリス(メチルエチルアミノ)タンタル(TBTEMT)、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(ジメチルアミノ)タングステン(BTBMW)、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(ジエチルアミノ)タングステン、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(エチルメチルアミノ)タングステン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ストロンチウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記化学前駆体が、五塩化タングステン、ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン(CCTBA)、五塩化タンタル、六塩化タングステン、五塩化モリブデン、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記容器の形状が、円筒状、直方体、立方体、長方形の箱、矩形六面体、直角矩形柱、矩形平行六面体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記流れ分配器の断面形状が、チューブ、四角、矩形、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記中空シャワーヘッドの断面形状が、チューブ、円、四角、矩形、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記流れ分配器が、前記蓋に対して平行に延在する連結された中空棒を有し、
前記中空棒の等価内径が1/8インチ?1インチの範囲であり、前記中空棒が、任意選択的に共通の中心にて交差し、前記共通の中心から前記蓋と平行に延在し、かつ、側面で封止されており、
前記中空棒の各噴出口の等価直径は0.01インチ(0.025cm)?0.05インチ(0.125cm)の範囲であり、
前記化学前駆体が、五塩化タングステン、ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン(CCTBA)、五塩化タンタル、六塩化タングステン、五塩化モリブデン、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記流れ分配器が、チューブ、円、四角、矩形、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される断面形状を有する、高さ1/8インチ?1インチの中空シャワーヘッドを有し、
前記中空シャワーヘッドが、前記蓋に対して平行な前記容器の断面積の30%?90%の範囲の前記蓋に対して平行な断面積を有し、
前記中空シャワーヘッドの各噴出口の等価直径が0.01インチ(0.025cm)?0.05インチ(0.125cm)の範囲であり、
前記化学前駆体が、五塩化タングステン、ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン(CCTBA)、五塩化タンタル、六塩化タングステン、五塩化モリブデン、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
前記流れ分配器が、中空棒及び中空シャワーヘッドの組み合わせを有し、前記中空シャワーヘッドは前記蓋に対して平行な前記中空シャワーヘッドから伸びた前記中空棒と共に前記流れ分配器の中心に配置され、前記中空シャワーヘッドは1/8インチ?1インチの高さを有し、かつ、前記中空棒と流体連通し、前記中空棒は1/8インチ?1インチの範囲の等価内径を有し、かつ、側面で封止されており、前記流れ分配器の各噴出口の等価直径は0.01インチ(0.025cm)?0.05インチ(0.125cm)の範囲であり、
前記化学前駆体が、五塩化タングステン、ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン(CCTBA)、五塩化タンタル、六塩化タングステン、五塩化モリブデン、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のシステム。
【請求項16】
化学前駆体を処理ツールに輸送するための方法であって、
金属ハロゲン化物、金属β-ジケトネート、金属β-ジケトエステラート、金属β-ケトイミナート、金属β-ジイミナート、金属アルキル、金属カルボニル、アルキル金属カルボニル、金属シクロペンタジエニル、金属シクロペンタジエニルカルボニル、金属ピロリル、金属イミダゾリル、金属アミジナート、金属アルコキシド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される化学前駆体であって、
前記金属が、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ce、Sm、Tb、Er、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、Fe、Co、Ni、Ru、Ir、Rh、Cu、Al、Sn、Pb、Sb、Bi、Te、Cr、Mo、Ta及びWからなる群から選択される化学前駆体を提供することと、
前記化学前駆体を収容する容器であって、
側壁、
基部、
平坦な表面を有する蓋、
インレットチューブ、
噴出口として複数の小さい開口部を含む流れ分配器であって、前記蓋に対して平行に延在する連結された中空棒、中空シャワーヘッド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される構造を有する流れ分配器、及び
前記蓋を貫通するアウトレットを備え、
前記インレットチューブが前記蓋を貫通して前記流れ分配器中に張り出し、かつ、前記流れ分配器と流体連通し、
前記噴出口が、前記蓋に対して60?90°の範囲の角度で前記基部に面し、
各噴出口の先端が、前記噴出口が面している化学前駆体から0.5インチ以上の距離に設けられ、
各噴出口が0.01インチ(0.025cm)?0.25インチ(0.64cm)の範囲の等価直径を有する容器を提供することと、
キャリアガスが前記噴出口を通過すること、及び化学前駆体の表面に衝突することにより、キャリアガスと混合される化学前駆体の蒸気を製造して前駆体を含む流体ストリームを形成することと、
前駆体を含む流体ストリームを前記容器の前記アウトレットを通して処理ツールに移動させて、化学前駆体の高い昇華速度を与えることとを含み、
前記噴出口の先端が、化学前駆体の表面から0.5インチ以上の距離に設けられ、
昇華速度が、前記容器内の前駆体格納レベルが初期の充填高さから初期の充填高さの20%に減少した際に、<25%減少するか、または増加する方法。
【請求項17】
前記化学前駆体が、六塩化タングステン、五塩化タングステン、五塩化タンタル、五塩化モリブデン、四塩化ハフニウム、四塩化ジルコニウム、ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン(CCTBA)、水素化シクロペンタジエニルタングステントリカルボニル(CpW(CO)_(3)H))、二水素化ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)タングステン(iPrCp)_(2)WH_(2)、二水素化ビス(アルキルシクロペンタジエニル)タングステン(RCp)WH_(2)、Ni(II)N,N’-ジ-ターシャリー-ブチルアミジナート(Ni(II)(tBu-AMD)_(2))、Ni(II)N,N’-ジ-イソプロピルアミジナート(Ni(II)(iPr-AMD)_(2))、Ni(II)N,N’-ジ-エチルアミジナート(Ni(II)(Et-AMD)_(2))、Ni(II)N,N’-ジ-メチルアミジナート(Ni(II)(Me-AMD)_(2))、Co(II)N,N’-ジ-ターシャリー-ブチルアミジナート(Co(II)(tBu-AMD)_(2))、Co(II)N,N’-ジ-イソプロピルアミジナート(Co(II)(iPr-AMD)_(2))、テトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム(TDMAH)、tert-ブチルイミノ-トリス(ジエチルアミノ)タンタル(TBTDET)、tert-ブチルイミド-トリス(メチルエチルアミノ)タンタル(TBTEMT)、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(ジメチルアミノ)タングステン(BTBMW)、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(ジエチルアミノ)タングステン、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(エチルメチルアミノ)タングステン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ストロンチウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記化学前駆体が、五塩化タングステン、ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン(CCTBA)、五塩化タンタル、六塩化タングステン、五塩化モリブデン、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記容器の形状が、円筒状、直方体、立方体、長方形の箱、矩形六面体、直角矩形柱、矩形平行六面体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記流れ分配器の断面形状が、チューブ、円、四角、矩形、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記中空シャワーヘッドの断面形状が、チューブ、円、四角、矩形、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記流れ分配器が、前記蓋に対して平行に延在する連結された中空棒を有し、前記中空棒の等価内径が1/8インチ?1インチの範囲であり、前記中空棒が、任意選択的に共通の中心にて交差し、前記共通の中心から前記蓋と平行に延在し、かつ、側面で封止されており、
前記中空棒の各噴出口の等価直径は0.01インチ(0.025cm)?0.05インチ(0.125cm)の範囲であり、
前記化学前駆体が、五塩化タングステン、ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン(CCTBA)、五塩化タンタル、六塩化タングステン、五塩化モリブデン、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
昇華速度が、前記容器内の前駆体格納レベルが減少した際に<5%減少する、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
昇華速度が、前記容器内の前駆体格納レベルが減少した際に<3%減少する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記流れ分配器が、チューブ、円、四角、矩形、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される断面形状を有する、高さ1/8インチ?1インチの中空シャワーヘッドを有し、
前記中空シャワーヘッドが、1/8インチ?1インチの高さ、及び前記蓋に対して平行な前記容器の断面積の30%?90%の範囲の前記蓋に対して平行な断面積を有し、
前記中空シャワーヘッドの各噴出口の等価直径が0.01インチ(0.025cm)?0.05インチ(0.125cm)の範囲であり、
前記化学前駆体が、五塩化タングステン、ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチルアセチレン(CCTBA)、五塩化タンタル、六塩化タングステン、五塩化モリブデン、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
昇華速度が、前記容器内の前駆体格納レベルが減少した際に<5%減少する、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
昇華速度が、前記容器内の前駆体充填レベルが減少した際に<3%減少する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記流れ分配器が、中空棒及び中空シャワーヘッドの組み合わせを有し、前記中空シャワーヘッドは前記蓋に対して平行な中空シャワーヘッドから均等に伸びた前記中空棒と共に前記流れ分配器の中心に配置され、前記中空シャワーヘッドは1/8インチ?1インチの高さを有し、かつ、前記中空棒と流体連通し、前記中空棒は1/8インチ?1インチの範囲の等価内径を有し、かつ、側面で封止されており、前記流れ分配器の各噴出口の等価直径は0.01インチ(0.025cm)?0.05インチ(0.125cm)の範囲であり、
前記化学前駆体が、五塩化タングステン、ジコバルトヘキサカルボニルtert-ブチ
ルアセチレン(CCTBA)、五塩化タンタル、六塩化タングステン、五塩化モリブデン、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
昇華速度が、前記容器内の前駆体格納レベルが減少した際に<5%減少する、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
昇華速度が、前記容器内の前駆体格納レベルが減少した際に<3%減少する、請求項25に記載の方法。」

第3 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、本願発明1?26は、引用文献1に記載された発明及び引用文献1?2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2012-251179号公報
引用文献2:特開昭63-14856号公報

第4 当審の判断
1 各引用文献の記載事項等
(1)引用文献1の記載事項及び引用文献1に記載された発明
(ア)引用文献1には、以下(1a)?(1f)の記載がある(当審注:下線は当審が付与した。また、「…」は記載の省略を表す。以下、同様である。)。
(1a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の固体の原料から原料ガスを発生させる原料ガス発生装置において、
前記原料ガスを搬送するためのキャリアガスを前記容器内に導入する導入部材と、
前記原料の上方において、前記容器内に導入された前記キャリアガスを拡散し、拡散した前記キャリアガスを開口部から鉛直下方向に噴出する拡散部材と、
前記原料ガスを前記キャリアガスとともに前記原料の上方から前記容器の外に排出する排出部材と
を備えることを特徴とする原料ガス発生装置。」

(1b)「【0027】
<1.第1の実施の形態>
[原料ガス発生装置101の構成例]
図3は、本発明を適用した原料ガス発生装置の第1の実施の形態である原料ガス発生装置101の構成例を模式的に示す断面図である。
【0028】
原料ガス発生装置101は、容器111内に入れた固体原料102を加熱し、CVD加工用の原料ガスを発生させる装置である。固体原料102は、例えば、金属カルボニルなど、室温から50℃付近で、1hPa程度の比較的高い飽和蒸気圧を持つ粉末状の物質からなる。
【0029】
原料ガス発生装置101は、円筒形の容器111、円板上の蓋112、通気管113,バルブ114、ガス拡散部材115、通気管116、および、バルブ117を含むように構成される。
【0030】
容器111は、図示せぬ加熱手段により、適切な温度に設定され、容器111の熱により固体原料102が昇華し、原料ガスが発生する。
【0031】
蓋112は、容器111に対して着脱自在であり、例えば、容器111内に固体原料102を充填するときに、容器111から取り外される。また、容器111と蓋112が接触する部分には、容器111内のガスが外に漏れ出さないように気密シールが施されている。
【0032】
また、蓋112には、垂直方向に貫通するように通気管113および通気管116が設けられている。
【0033】
通気管113は、原料ガスを搬送するためのキャリアガスを容器111内に導入するために用いられる。なお、キャリアガスには、例えば、アルゴンガスなどの不活性ガスが用いられる。
【0034】
また、通気管113には、バルブ114が設けられており、キャリアガスを流したり、遮断したりすることができる。
【0035】
さらに、通気管113の先端には、ガス拡散部材115が設けられている。このガス拡散部材115は、拡散体131および枠132により構成される。
【0036】
拡散体131は、例えば、焼結金属により構成され、通気管113の先端の開口部113Aを塞ぐように設けられている。従って、通気管113の開口部113Aから排出されたキャリアガスは、全て拡散体131に流入し、拡散体131により拡散される。
【0037】
また、拡散体131は、上面の通気管113の開口部113Aを塞ぐ部分、および、下面以外は枠132に覆われている。従って、拡散体131により拡散されたキャリアガスは、拡散体131の下面から排出され、枠132により形成されるガス拡散部材115の開口部115Aから、鉛直下方向に噴出する。
【0038】
通気管116は、気密継ぎ手等によりCVD加工を行うレーザ加工装置(不図示)に接続されており、原料ガスおよびキャリアガス(すなわち、供給ガス)を、容器111から搬出し、レーザ加工装置に供給する。また、通気管116には、バルブ117が設けられており、供給ガスを流したり、遮断したりすることができる。
【0039】
[原料ガス発生装置101におけるガスの流れ]
ここで、原料ガス発生装置101におけるガスの流れについて説明する。
【0040】
通気管113を介して容器111内に導入されたキャリアガスは、通気管113の開口部113Aから排出された後、ガス拡散部材115の拡散体131を通過することにより拡散され、開口部115Aから鉛直下方向に噴出される。ガス拡散部材115から噴出されたキャリアガスは、固体原料102の表面までほぼ鉛直下方向に下降し、固体原料102の表面に吹き付けられて、固体原料102の表面を容器111の内壁方向に拡散する。そして、キャリアガスは、容器111の内壁に沿って上昇する。
【0041】
このキャリアガスの流れにより、固体原料102から発生する原料ガスが、通気管116の開口部116Aまで搬送され、キャリアガスとともに通気管116に流入する。そして、原料ガスおよびキャリアガス(すなわち、供給ガス)は、通気管116を介してCVD加工装置に供給される。

【0049】
<2.第2の実施の形態>
[原料ガス発生装置201の構成例]
図5は、本発明を適用した原料ガス発生装置の第2の実施の形態である原料ガス発生装置201の構成例を模式的に示す断面図である。なお、図中、図3と対応する部分には、同じ符号を付してある。
【0050】
原料ガス発生装置201は、図3の原料ガス発生装置101と比較して、通気管113およびガス拡散部材115の配置が異なる。すなわち、原料ガス発生装置201では、通気管113およびガス拡散部材115が、容器111の水平方向の略中央に配置されている。
【0051】
なお、原料ガス発生装置201におけるガスの流れは、ガス拡散部材115から噴出されたキャリアガスが、固体原料102の表面のほぼ中央に吹き付けられる以外は、原料ガス発生装置101とほぼ同じである。従って、原料ガス発生装置201では、固体原料102の消費に伴い、図6に示されるように、固体原料102の表面のほぼ中央に凹みが生じる。

【0054】
従って、原料ガス発生装置201の方が、原料ガス発生装置101と比較して、固体原料102の消費が進んだ時点において、固体原料102の表面積が大きくなるため、原料ガスの濃度の低下を抑制することができる。」

(1c)「【0057】
<3.第3の実施の形態>
[原料ガス発生装置301の構成例]
図8は、本発明を適用した原料ガス発生装置の第3の実施の形態である原料ガス発生装置301の構成例を模式的に示す断面図である。なお、図中、図5と対応する部分には、同じ符号を付してある。
【0058】
原料ガス発生装置301は、図5の原料ガス発生装置201と比較して、通気管113の先端に、ガス拡散部材115の代わりにガス拡散部材311が設けられている点が異なる。
【0059】
ガス拡散部材311は、ガス拡散部材115と比較して、拡散体の数が異なっている。具体的には、ガス拡散部材311は、拡散体331a乃至331d(ただし、拡散体331bおよび331dは不図示)、および、枠332により構成される。
【0060】
図9は、ガス拡散部材311を下から見た図である。ガス拡散部材311の下面には、中心軸Cを中心に略対称になるように、枠332により形成される開口部311A乃至311Dが設けられている。従って、ガス拡散部材311が容器111の水平方向の略中央に配置されているので、開口部311A乃至311Dは、容器111の水平方向の中央を中心に略対称に配置されることになる。また、図9では図示していないが、開口部311A乃至311Dの上部には、拡散体331a乃至331dがそれぞれ設けられている。
【0061】
また、枠332は、通気管113の開口部113Aから排出されたキャリアガスが、拡散体331a乃至331dの上面に流入し、下面から排出される経路を形成している。従って、ガス拡散部材311に流入したキャリアガスは、拡散体331a乃至331dにより拡散され、拡散体331a乃至331dの下面から排出され、開口部311A乃至311Dから、鉛直下方向に噴出する。
【0062】
これにより、原料ガス発生装置301では、原料ガス発生装置101および原料ガス発生装置201と比較して、キャリアガスが固体原料102の表面に、より均等に吹き付けられる。そのため、固体原料102の表面に生じる凹みの大きさおよび深さが小さくなる。
【0063】
従って、固体原料102の表面で発生した原料ガスを、より効率よくキャリアガスにより通気管116の開口部116Aまで搬送することができ、容器111内の上下方向の原料ガスの濃度の差を小さくすることができる。その結果、供給原料ガス濃度の低下をより効果的に抑制することができる。
【0064】
なお、開口部311A乃至311Dおよび拡散体331a乃至331dの位置は、ガス拡散部材115の中心軸Cを中心に略対称になるような他の配置にすることができる。
【0065】
例えば、図10に示されるように、開口部311Aをガス拡散部材311の中心軸C上に配置し、開口部311B乃至311Dおよび拡散体331a乃至331d(不図示)を、中心軸Cを中心に略対称となるように配置するようにしてもよい。
【0066】
また、開口部(拡散体)の数は、1または4に限定されるものではなく、任意の数に設定することができる。なお、開口部(拡散体)を複数設ける場合には、図9および図10の例のように、ガス拡散部材の中心軸を中心に略対称に配置するようにすることが望ましい。
【0067】
さらに、ガス拡散部材の開口部の口径および数量は、キャリアガスの流量、容器111の大きさ等に基づいて最適な値に設定することが望ましい。」

(1d)「



(1e)「



(1f)「



(イ)前記(ア)(1a)によれば、引用文献1には、容器内の固体の原料から原料ガスを発生させる「原料ガス発生装置」が記載されており、同(1b)?(1f)、特に第3の実施の形態に注目すると、当該「原料ガス発生装置」は、円筒形の容器、円板上の蓋、通気管113(以下、「第1の通気管」という。)、バルブ114(以下、「第1のバルブ」という。)、ガス拡散部材、通気管116(以下、「第2の通気管」という。)、および、バルブ117(以下、「第2のバルブ」という。)を含むように構成され、固体原料を加熱し、CVD加工用の原料ガスを発生させるものであり、固体原料は、例えば、金属カルボニルなど、室温から50℃付近で、1hPa程度の比較的高い飽和蒸気圧を持つ粉末状の物質からなるものである。
また、前記「原料ガス発生装置」の容器は、加熱手段により適切な温度に設定され、容器の熱により固体原料が昇華し、原料ガスが発生するものであり、蓋は、容器に対して着脱自在であり、また、蓋には、垂直方向に貫通するように第1の通気管および第2の通気管が設けられており、第1の通気管は、原料ガスを搬送するためのキャリアガスを容器内に導入するために用いられ、第2の通気管は、気密継ぎ手等によりCVD加工を行うレーザ加工装置に接続されており、原料ガスおよびキャリアガスを、容器から搬出し、レーザ加工装置に供給するものである。
そして、第1の通気管を介して容器内に導入されたキャリアガスは、当該第1の通気管の開口部から排出された後、ガス拡散部材の拡散体を通過することにより拡散され、開口部から鉛直下方向に噴出されるものであり、ガス拡散部材から噴出されたキャリアガスは、固体原料の表面までほぼ鉛直下方向に下降し、固体原料の表面に吹き付けられて、固体原料の表面を容器の内壁方向に拡散し、内壁に沿って上昇するものであり、このキャリアガスの流れにより、固体原料から発生する原料ガスが、第2の通気管の開口部まで搬送され、キャリアガスとともに第2の通気管に流入し、原料ガスおよびキャリアガスは、第2の通気管を介してCVD加工装置に供給されるものである。
更に、第1の通気管の先端にはガス拡散部材が設けられており、当該ガス拡散部材は、拡散体および枠により構成され、ガス拡散部材の下面には、中心軸を中心に略対称になるように、枠により形成される開口部が設けられ、ガス拡散部材が容器の水平方向の略中央に配置されているので、開口部は、容器の水平方向の中央を中心に略対称に配置されるものであり、開口部の上部には、拡散体がそれぞれ設けられ、枠は、第1の通気管の開口部から排出されたキャリアガスが、拡散体の上面に流入し、下面から排出される経路を形成しており、従って、ガス拡散部材に流入したキャリアガスは、拡散体により拡散され、拡散体の下面から排出され、開口部から、鉛直下方向に噴出するものである。

(ウ)前記(イ)によれば、引用文献1には、以下の発明が記載されているといえる(以下、「引用発明1」という)。
「円筒形の容器、円板上の蓋、第1の通気管、第1のバルブ、ガス拡散部材、第2の通気管、および、第2のバルブを含むように構成され、固体原料を加熱し、CVD加工用の原料ガスを発生させる原料ガス発生装置において、
前記原料ガス発生装置の容器は、加熱手段により適切な温度に設定され、容器の熱により固体原料が昇華し、原料ガスが発生するものであり、蓋は、容器に対して着脱自在であり、また、蓋には、垂直方向に貫通するように第1の通気管および第2の通気管が設けられており、第1の通気管は、原料ガスを搬送するためのキャリアガスを容器内に導入するために用いられ、第2の通気管は、気密継ぎ手等によりCVD加工を行うレーザ加工装置に接続されており、原料ガスおよびキャリアガスを、容器から搬出し、レーザ加工装置に供給するものであり、
第1の通気管を介して容器内に導入されたキャリアガスは、当該第1の通気管の開口部から排出された後、ガス拡散部材の拡散体を通過することにより拡散され、開口部から鉛直下方向に噴出されるものであり、ガス拡散部材から噴出されたキャリアガスは、固体原料の表面までほぼ鉛直下方向に下降し、固体原料の表面に吹き付けられて、固体原料の表面を容器の内壁方向に拡散し、内壁に沿って上昇するものであり、このキャリアガスの流れにより、固体原料から発生する原料ガスが、第2の通気管の開口部まで搬送され、キャリアガスとともに第2の通気管に流入し、原料ガスおよびキャリアガスは、第2の通気管を介してCVD加工装置に供給されるものであり、
第1の通気管の先端にはガス拡散部材が設けられており、当該ガス拡散部材は、拡散体および、枠により構成され、ガス拡散部材の下面には、中心軸を中心に略対称になるように、枠により形成される開口部が設けられ、ガス拡散部材が容器の水平方向の略中央に配置されているので、開口部は、容器の水平方向の中央を中心に略対称に配置されるものであり、
開口部の上部には、拡散体がそれぞれ設けられ、枠は、第1の通気管の開口部から排出されたキャリアガスが、拡散体の上面に流入し、下面から排出される経路を形成しており、従って、ガス拡散部材に流入したキャリアガスは、拡散体により拡散され、拡散体の下面から排出され、開口部から、鉛直下方向に噴出する、原料ガス発生装置の容器。」

(2)引用文献2の記載事項
引用文献2には、以下(2a)?(2c)の記載がある。
(2a)「…
(2)アルミナ等の耐火物粉末と炭化物、窒化物、炭窒化物または固溶体形成元素を含む金属またはこれらの合金粉末とからなる処理剤の流動層中において被処理材の表面に表面処理層を形成させるための炉本体と、該炉本体に併設した加熱炉とからなるとともに、該炉本体内には上記流動層の下方に開口する多数の孔を有するハロゲン化物ガス噴出用管を配置し、該ハロゲン化物ガス噴出用管は炉本体外部に連通させたハロゲン化物供給用管に接続してなることを特徴とする表面処理用装置。」(特許請求の範囲)

(2b)「実施例1
第1図に示す流動層式炉を用いて,本発明の炭化物被覆処理を行った。流動層式炉は,炉本体1の下部に,流動化用アルゴンガスのガス供給通路11が開口し,開口部の直上に,炉内を二つに仕切るガス分散板12が設けられている。炉本体1の頂部には,取りはずし自在の蓋5がかぶせられ,蓋5の一部には,廃ガスをトラップするスクラバーに結給したガス排出通路51が開口している。

上記流動層式炉のガス分散板12上には,処理剤粉末1Kgを置いた。その処理剤中の各成分の配合割合は,60%のアルミナ粉末(80?100メッシュ),40%のフェロバナジウム粉末(70%バナジウム含有,100?200メッシュ)であった。ついで,流動化ガスとしてアルゴンガスを圧力1.5Kg/cm^(2),流速140cm/分で上記ガス供給通路11より炉本体1内に送入した。これにより,処理剤粉末は流動化し,流動層4が形成された。この流動層内の下部には,ガス分散板上部に第2図,第3図に示したような,8本の活性剤ガス噴出用管7が活性剤供給用管6と接続して設けられている。活性剤の供給用管6の内径は9mmであり,活性剤ガス噴出用管7の内径は3mmである。また,夫々のガス噴出用管7の下面には直径0.5mmのガス噴出用小孔71が3ヶ所に開けられている。」(5頁左下欄12行?右下欄最終行)

(2c)「



2 対比・判断
(1)本願発明1について
(1-1)対比
(ア)本願発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1における「原料ガス発生装置の容器」は、「円筒形の容器」であって、「加熱手段により適切な温度に設定され、容器の熱により固体原料が昇華し、原料ガスが発生」し、「CVD加工装置に供給」するものであるから、本願発明1における、「側壁、基部」「を備え」る、「化学前駆体を処理ツールに輸送するための容器」に相当し、引用発明1における「円板上の蓋」、「第1の通気管」及び「蓋」に「垂直方向に貫通するように」設けられた「第2の通気管」は、ぞれぞれ、本願発明1における「平坦な表面を有する蓋」、「インレットチューブ」及び「前記蓋を貫通するアウトレット」に相当する。
また、引用発明1において、「ガス拡散部材」の下面に、中心軸を中心に略対称になるように、「枠」により形成される「開口部」は、本願発明1における「噴出口」としての「複数の小さい開口部」に相当し、引用発明1における「枠」の、「第1の通気管の開口部から排出されたキャリアガスが、拡散体の上面に流入し、下面から排出される経路を形成」する構造は、本願発明1における、「中空シャワーヘッド」の「構造」に相当し、引用発明1における「ガス拡散部材」は、本願発明1における、「噴出口として複数の小さい開口部を含む流れ分配器であって、前記蓋に対して平行に延在する連結された中空棒、中空シャワーヘッド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される構造を有する流れ分配器」に相当する。
更に、引用発明1において、「蓋には、垂直方向に貫通するように第1の通気管および第2の通気管が設けられており、第1の通気管は、原料ガスを搬送するためのキャリアガスを容器内に導入するために用いられるものであり」、「第1の通気管を介して容器内に導入されたキャリアガスは、当該第1の通気管の開口部から排出された後、ガス拡散部材の拡散体を通過することにより拡散され、開口部から鉛直下方向に噴出される」、との構成は、本願発明1において、「前記インレットチューブが前記蓋を貫通して前記流れ分配器中に張り出し、かつ、前記流れ分配器と流体連通し、前記噴出口が前記蓋に対して60?90°の範囲の角度で前記基部に面」する、との構成に相当する。

(イ)すると、本願発明1と引用発明1とは、
「側壁、基部、平坦な表面を有する蓋、インレットチューブ、噴出口として複数の小さい開口部を含む流れ分配器であって、前記蓋に対して平行に延在する連結された中空棒、中空シャワーヘッド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される構造を有する流れ分配器、及び前記蓋を貫通するアウトレットを備え、前記インレットチューブが前記蓋を貫通して前記流れ分配器中に張り出し、かつ、前記流れ分配器と流体連通し、前記噴出口が前記蓋に対して60?90°の範囲の角度で前記基部に面する、化学前駆体を処理ツールに輸送するための容器。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
・相違点1:本願発明1は、「化学前駆体を処理ツールに輸送するための容器」における「流れ分配器」の「各噴出口の等価直径が0.01インチ(0.025cm)?0.25インチ(0.64cm)の範囲である」、との発明特定事項を有するのに対して、引用発明1は、前記発明特定事項を有することが記載されていない点。

(1-2)判断
(ア)以下、前記(1-1)(イ)の相違点1について検討すると、引用発明1は、固体原料を加熱し、CVD加工用の原料ガスを発生させるものであって、前記1(1)(ア)(1c)(【0067】)によれば、引用発明1においては、「流れ分配器」の「噴出口」としての「複数の小さい開口部」の口径および数量は、キャリアガスの流量、容器の大きさ等に基づいて最適な値に設定することが望ましいものである。

(イ)一方、引用発明1における「噴出口」としての「複数の小さい開口部」は、「中空シャワーヘッド」の構造を有する「流れ分配器」の「枠により形成される」ものである。
そして、前記1(1)(ア)(1b)?(1f)によれば、前記「枠」は、キャリアガスの全てが流入して拡散される「拡散体」の、上面の「インレットチューブ」の開口部を塞ぐ部分、および、下面以外を覆うことで、「拡散体」により拡散されたキャリアガスが、「拡散体」の下面から排出されて、「噴出口」としての「複数の小さい開口部」から、鉛直下方向に噴出するようにするものであり、前記「噴出口」としての「複数の小さい開口部」は、それぞれ、概略、前記「拡散体」と同程度の等価直径を有するべきものといえる。
ところが、前記(1b)、(1d)、(1e)によれば、前記「拡散体」は、第1の実施の形態、第2の実施の形態のように、「インレットチューブ」の先端の開口部を塞ぐように設けることを想定したものであり、「インレットチューブ」の先端の開口部の直径を「0.01インチ(0.025cm)?0.25インチ(0.64cm)」まで小さくすることは技術常識からみて考え難いので、前記「拡散体」の等価直径を「0.01インチ(0.025cm)?0.25インチ(0.64cm)」まで小さくすることは、そもそも想定されない。
更に、前記(1c)、(1f)によれば、引用発明1における「拡散体」は、第1の実施の形態、第2の実施の形態と比較して、その数及び配置が異なるに過ぎず、「拡散体」として、特段、第1の実施の形態、第2の実施の形態とは異なるものを用いるものではないから、引用発明1においても、第1の実施の形態、第2の実施の形態と同様、その等価直径を「0.01インチ(0.025cm)?0.25インチ(0.64cm)」まで小さくすることがそもそも想定されない「拡散体」が用いられると解するのが妥当である。
してみれば、引用発明1における「流れ分配器」の「噴出口」としての「複数の小さい開口部」の口径および数量は、キャリアガスの流量、容器の大きさ等に基づいて最適な値に設定することが望ましいものであるとしても、引用発明1において、等価直径を「0.01インチ(0.025cm)?0.25インチ(0.64cm)」まで小さくすることがそもそも想定されない「拡散体」と同程度の等価直径を有するべきものである「各噴出口の等価直径」を「0.01インチ(0.025cm)?0.25インチ(0.64cm)の範囲」とすることは、当業者が容易になし得るものとはいえないのであり、このことは、引用文献2の記載事項に左右されるものではない。

(ウ)なお、前記(1b)(【0036】)によれば、前記「拡散体」は、例えば焼結金属により構成されるものであり、当該「拡散体」も「噴出口」としての「複数の小さい開口部」を有するものといえ、前記「拡散体」における「各噴出口の等価直径」を「0.01インチ(0.025cm)?0.25インチ(0.64cm)の範囲」とする余地がないとはいえない。
ところが、本願発明1における「流れ分配器」は「中空シャワーヘッド」の構造を有するものである一方、前記「拡散体」は「中空シャワーヘッド」の構造を有するものではなく、前記「拡散体」における「噴出口」としての「複数の小さい開口部」は、「中空シャワーヘッド」の構造を有する「流れ分配器」における「噴出口」としての「複数の小さい開口部」には相当しない。
すると、仮に、前記「拡散体」における「各噴出口の等価直径」を「0.01インチ(0.025cm)?0.25インチ(0.64cm)の範囲」とする余地がないとはいえないとしても、前記「拡散体」における「噴出口」としての「複数の小さい開口部」は、「中空シャワーヘッド」の構造を有する「流れ分配器」における「噴出口」としての「複数の小さい開口部」には相当しないから、引用発明1において、「中空シャワーヘッド」の構造を有する「流れ分配器」の「各噴出口の等価直径」を「0.01インチ(0.025cm)?0.25インチ(0.64cm)の範囲」とすることを、当業者が容易になし得るとはいえない。

(エ)前記(イ)?(ウ)によれば、引用発明1において、「化学前駆体を処理ツールに輸送するための容器」における「流れ分配器」の「各噴出口の等価直径が0.01インチ(0.025cm)?0.25インチ(0.64cm)の範囲である」、との前記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を有するものとすることを、引用文献1?2に記載された事項に基いて当業者が容易になし得るとはいえないから、本願発明1を、引用文献1に記載された発明及び引用文献1?2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(2)本願発明2?7について
本願発明2?7は、いずれも本願発明1を引用するものであって、本願発明2?7と引用発明1とを対比した場合、少なくとも前記(1)(1-1)(イ)の相違点1の点で相違する。
そうすると、前記(1)(1-2)(エ)に記載したのと同様の理由により、本願発明2?7を、引用文献1に記載された発明及び引用文献1?2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(3)本願発明8?15について
本願発明8及び本願発明8を引用する本願発明9?15は、いずれも、本願発明1に係る「容器」の発明特定事項を全て有する「化学前駆体を処理ツールに輸送するためのシステム」に係るものである。
一方、前記1(1)(ア)(1a)?(1f)によれば、引用文献1には、引用発明1の発明特定事項を全て有する「原料ガス発生装置」に係る発明が記載されているといえ、前記(1)(1-1)(ア)と同様にして、本願発明8?15に係る「化学前駆体を処理ツールに輸送するためのシステム」と引用文献1に記載された「原料ガス発生装置」とを対比した場合、いずれの場合であっても、少なくとも前記(1)(1-1)(イ)の相違点1と同じ点で相違する。
そうすると、前記(1)(1-2)(エ)に記載したのと同様の理由により、本願発明8?15を、引用文献1に記載された発明及び引用文献1?2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(4)本願発明16?26について
本願発明16及び本願発明16を直接的又は間接的に引用する本願発明17?26は、本願発明1に係る「容器」の発明特定事項を全て有する「化学前駆体を処理ツールに輸送するための方法」に係るものである。
一方、前記1(1)(ア)(1a)?(1f)によれば、引用文献1には、引用発明1の発明特定事項を全て有する「原料ガス発生方法」に係る発明が記載されているといえ、前記(1)(1-1)(ア)と同様にして、本願発明16?26に係る「化学前駆体を処理ツールに輸送するための方法」と引用文献1に記載された「原料ガス発生方法」とを対比した場合、いずれの場合であっても、少なくとも前記(1)(1-1)(イ)の相違点1と同じ点で相違する。
そうすると、前記(1)(1-2)(エ)に記載したのと同様の理由により、本願発明16?26を、引用文献1に記載された発明及び引用文献1?2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(5)小括
したがって、本願発明1?26を、引用文献1に記載された発明及び引用文献1?2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえないので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないということはできない。
なお、本願優先日当時の周知技術を示す文献である特開2016-36011号公報(【0037】?【0041】、【図1】?【図2】)、特開2003-197542号公報(請求項1、【図1】?【図2】)によれば、中空シャワーはガスを拡散、噴出させる器具として本願優先日当時に周知のものといえるが、前記(1)(1-2)(イ)?(ウ)の事項は係る周知技術にも左右されないので、同(エ)に記載したのと同様の理由により、本願発明1?26を、引用文献1に記載された発明、引用文献1?2に記載された事項及び本願優先日当時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-09-01 
出願番号 特願2017-95354(P2017-95354)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (C23C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 神▲崎▼ 賢一  
特許庁審判長 日比野 隆治
特許庁審判官 金 公彦
村岡 一磨
発明の名称 流れ分配器を備える輸送容器、そのような容器を含むシステム、及びそのような容器を使用する方法  
代理人 三橋 真二  
代理人 胡田 尚則  
代理人 木村 健治  
代理人 南山 知広  
代理人 鶴田 準一  
代理人 青木 篤  
代理人 渡辺 陽一  
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