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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06K
管理番号 1365947
審判番号 不服2017-11744  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-07 
確定日 2020-09-12 
事件の表示 特願2015-227211「グローバル電子シャッター制御を持つイメージ読み取り装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 7月14日出願公開、特開2016-129009〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2006年(平成18年)3月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年3月11日(以下,「優先権主張日」という。),米国)を国際出願日とする出願である特願2008-500844号の一部を平成25年1月11日に新たな特許出願とした特願2013-003616号の一部を平成26年3月10日に新たな特許出願とした特願2014-046409号の一部を平成27年11月20日に新たな特許出願としたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年10月19日付け 拒絶理由通知書
平成29年 3月24日 意見書,手続補正書の提出
平成29年 4月 5日付け 拒絶査定
平成29年 8月 7日 審判請求書,手続補正書の提出
平成30年 1月12日付け 拒絶理由通知書
平成30年 7月13日 意見書,手続補正書の提出
平成30年 9月14日付け 拒絶理由通知書
平成31年 1月18日 意見書,手続補正書の提出

第2 本願発明について
本願の請求項に係る発明は,平成31年1月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし42に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,その請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。

「バーコードを読み取る際に使用するための装置であって、該装置が、
2次元イメージセンサアレイであって、前記2次元イメージセンサアレイは相補型金属酸化物半導体からなり、前記2次元イメージセンサアレイは行のピクセルを包含する、2次元イメージセンサアレイと、
前記2次元イメージセンサアレイに光を焦点合わせする撮像レンズと、
サポートアセンブリであって、前記サポートアセンブリは前記撮像レンズをサポートするためのレンズホルダーを包含する、サポートアセンブリと、
照明パターンを投射するのに使用するための照明光源であって、前記照明光源が、発光ダイオードからなる、照明光源と、
露光期間中に同時に、前記2次元イメージセンサアレイの複数の行のピクセルを露光するように配置されたグローバル電子シャッター制御モジュールであって、2次元イメージセンサアレイにおける複数の行のピクセルの露光が同時に開始されるように、グローバル電子シャッター制御モジュールが2次元イメージセンサアレイを制御するように構成される、グローバル電子シャッター制御モジュールと
を有し、
該装置が、照明期間の間に、前記発光ダイオードを同時に駆動することができ、露光期間と照明期間との間の調整が少なくとも部分的に時間がオーバーラップする照明期間と露光期間とによって特徴づけられることを特徴とする装置。」

第3 拒絶の理由
平成30年9月14日の当審が通知した拒絶理由は,次のとおりのものである。

本願発明は,その優先権主張日前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その優先権主張日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.特開2003-132301号公報
引用文献2.米国特許出願公開第2005/0001035号明細書
引用文献3.特開平10-198754号公報
引用文献4.特開平11-345278号公報
引用文献5.特開2003-87148号公報
引用文献6.特開2002-240913号公報
引用文献7.特開2005-22802号公報
引用文献8.特開2001-357345号公報
引用文献9.特開2003-260822号公報
引用文献10.特開平8-181887号公報
引用文献11.特開昭59-40630号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
(1) 引用文献1には,以下の事項が記載されている(下線は,当審で付した。以下同じ。)

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バーコード読み取り技術に関し、特にイメージセンサによるバーコード読み取り技術に関するものである。」

「【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施形態によるバーコード読み取り装置のブロック構成図である。
【0016】図1において、1は一般的な被写体像や、白黒のパターンで記載されたバーコードの被写体像をセンサー面に結像するためのレンズ部である。2から5はバーコードを照明するための赤色発光ダイオード(LED)で、イメージセンサー1の周囲に撮影対象物を十分な光量で均一に照らすために、高輝度型のものを上、下、右、左、各4個ずつ合計16個配置してある。6は撮像素子部であり、光電変換により2次元画像を生成するためのCMOS型のイメージセンサーを用いる。7はイメージセンサー6に駆動クロックを供給するタイミング信号発生器(TG)で、システム制御部8で演算された露光時間の情報を受け、それに従ってイメージセンサー6の露光時間を可変する。10は、イメージセンサー6の画像出力信号を増幅する増幅度可変の増幅器(AGC)で、システム制御部8で演算された増幅度の情報を受け、それに従って増幅度を可変する。増幅器10で増幅された画像信号は11のA/D変換器で量子化されて、12の信号処理部(回路)に入る。ここでは、バーコード信号の2値化、解読などを行うと共に画像信号の平均値を演算し、そのしきい値をシステム制御部8に送る。システム制御部8はLED駆動部9を通してLEDのオン、オフを制御し、また信号処理部12からのしきい値により、タイミング信号発生部に送る光電変換時間の情報と増幅器に送る増幅度情報を決定する。また露光時間の初期設定や、システム制御部8の初期設定はROM18に格納されている。次に13は信号処理のための画像メモリである。またこれらの解読が終わった状態でその情報を外部のパーソナルコンピュータ(パソコン)14に伝えたり、またモニター15に表示したり、解読終了や解読ミスを伝えるためのブザー16に伝える。また記録媒体17を用意し、今までの解読した情報を蓄えることも可能である。
【0017】図3は本実施形態におけるCMOS型のイメージセンサーのブロック図で、センサはm行×n列の画素S11?Smnから成るが、m行×n列に限定されるものではない。
【0018】図4は画素の詳細図で、この図で光信号電荷を発生するフォトダイオードPDはアノード側が接地されている。フォトダイオードPDのカソード側は、電荷転送スイッチTXを介して、増幅MOSトランジスタM3のゲートに接続されている。また、上記増幅MOSトランジスタM3のゲートには、これをリセットするためのリセットMOSトランジスタM1のソースが接続され、リセットMOSトランジスタM1のドレインは、リセット電圧VRに接続されている。さらに、上記増幅MOSトランジスタM3のドレインは、動作電圧VDDを供給するための行選択MOSトランジスタM2に接続されている。
【0019】次に、本実施形態の固体撮像装置の駆動方法を図3、図4と、図5のタイミング図で説明する。
【0020】図3の転送MOSトランジスタTXのゲートを一行目からm行目までの全ての画素について同時に選択する信号TXaが、各行ごとに全ての画素を選択する信号の転送パルスTX1?TXnとのOR回路を通して各転送MOSトランジスタTXに接続されている。また、全ての画素の増幅MOSトランジスタM3のゲートを同時にリセットするために、一行目からm行目までの全ての画素のリセットMOSトランジスタM1のゲートを同時に選択する信号RESaが、各行ごとに全ての画素をリセットするパルスRES1?RESnとのOR回路を通して各リセットMOSトランジスタM1に接続されている。
【0021】このイメージセンサにおいて、まずリセットMOSトランジスタM1のゲートへのパルスφRESa、転送MOSトランジスタTXのゲートパルスφTXaおよび、垂直信号線リセットMOSトランジスタM8のゲートへのパルスφVRESがハイレベルとなる。これによって、増幅MOSトランジスタM3のゲートとフォトダイオードPDが電圧VRに、垂直信号線V1?Vnが電圧VVRにリセットされる(図5のt2まで)。
【0022】次に、φTXaがローレベルになりフォトダイオードPDには光に応じた電荷の発生が可能になる(t2)。LEDを点灯するモードではt2に先行して、制御信号φLEDがハイレベルになりLEDを点灯する(t1)。続いて、リセットMOSトランジスタM1のゲートへのパルスφRESa、垂直信号線リセットMOSトランジスタM8のゲートパルスφVRES、がローレベルとなり、M1のゲートと垂直信号線のリセットが解除される(t3)。時刻t3から所定の時間後、φTXaを再度ハイレベルにしてフォトダイオードPDの電荷を増幅MOSトランジスタM3のゲートに転送する(t4)。
【0023】転送に十分な時間を経て、φTXaを再度ローレベルにしてフォトダイオードPDの電荷転送を終了する(t5)。このとき、t2からt5の間が光電変換時間となる。LEDを点灯するモードでは、転送終了後にLEDを消灯する(t6)。次に、選択MOSトランジスタM2のゲートパルスφSEL1および、光信号転送MOSトランジスタM5のゲートパルスφTSがハイレベルとなる(t7)。これによって光信号電圧が光信号保持容量CTSに読み出される(t7?t8)。容量CTSに読み出した後、リセットMOSトランジスタM1のゲートへのパルスφRES1、垂直信号線リセットMOSトランジスタM8のゲートパルスφVRESがハイレベルとなり、M1のゲートと垂直信号線がリセットされる(t9)。続いてφRES1とφVRESがローレベルとなり(t10)、M1のゲートと垂直信号線のリセットが解除された後、選択MOSトランジスタM2のゲートパルスφSEL1および、ノイズ信号転送MOSトランジスタM4のゲートパルスφTNがハイレベルとなる(t11)。これによってノイズ電圧が光信号保持容量CTNに読み出される(t11?t12)。この後、水平走査回路ブロックHSRからの信号H1?Hnによって、各列の水平転送スイッチM6、M7のゲートが順次ハイレベルとなり(t14?t15)、ノイズ保持容量CTNと光信号保持容量CTSに保持されていた電圧が順次差動回路ブロックに読み出される。差動回路ブロックでは、光信号とノイズ信号との差がとられ、出力端子VOUTに順次出力される。
【0024】以上で、第1行目に接続された画素セルの読み出しが完了する。この後、第2行目の読み出しに先立って、ノイズ信号保持容量CTNおよび光信号保持容量CTSのリセットスイッチM9、M10のゲートへのφCTRがハイレベルとなり、VRCTにリセットされる。
【0025】以下同様に、垂直走査回路ブロックVSRからの信号によって、第2行目?第m行目に接続された画素セルC21?Cmnの信号が順次読み出され、全画素セルの読み出しが完了する。
【0026】以上の動作説明から、このようなCMOSイメージセンサは、センサのスリープ状態から復帰する時に、一画面分の走査を必要とせず、一括リセットのみで立ち上がり完了となり、高速なパルスを必要とすることなく、低消費電力駆動が可能となり、なおかつバーコード読み取りまでのセンサの早期立ち上げを可能とする。」

【図1】

【図3】

【図4】

【図5】

(2)上記(1)から,引用文献1には,以下の事項が記載されている。
ア 引用文献1の「次に、φTXaがローレベルになりフォトダイオードPDには光に応じた電荷の発生が可能になる(t2)。」(段落【0022】)の記載,及び,【図3】における信号「φTXa」に対応する「TXa」が,OR回路を通じて全ての「画素S11?Smn」に入力される構成の記載から,引用文献1では,【図5】のt2の時点において,全ての「画素S11?Smn」で,【図4】に示された「画素部構成部」の「電荷転送スイッチTX」はオフとなり,「フォトダイオードPD」のカソード側に「光信号電荷」が蓄積される。
イ そして,引用文献1の「リセットMOSトランジスタM1のゲートへのパルスφRESa、垂直信号線リセットMOSトランジスタM8のゲートパルスφVRES、がローレベルとなり、M1のゲートと垂直信号線のリセットが解除される(t3)。」(段落【0022】)の記載,及び,【図3】における信号「φRESa」に対応する「RESa」は,OR回路を通じて全ての「画素S11?Smn」に入力される構成の記載から,引用文献1では,【図5】のt3の時点において,全ての「画素S11?Smn」で,【図4】に示された「画素部構成部」の「リセットMOSトランジスタM1」がオフとなって,リセットが解除される。
ウ その後,「時刻t3から所定の時間後、φTXaを再度ハイレベルにしてフォトダイオードPDの電荷を増幅MOSトランジスタM3のゲートに転送する(t4)。」(段落【0022】)の記載,「光信号電荷を発生するフォトダイオードPD」(段落【0018】)の記載,及び,【図3】の上記「ア」に記載された構成から,引用文献1では,【図5】のt4の時点において,全ての「画素S11?Smn」で,【図4】に示された「画素部構成部」の「電荷転送スイッチTX」はオンとなり,「フォトダイオードPD」のカソード側に蓄積された「光信号電荷」が,「増幅MOSトランジスタM3」のゲートに転送される。
エ 「転送に十分な時間を経て、φTXaを再度ローレベルにしてフォトダイオードPDの電荷転送を終了する(t5)。」(段落【0023】)の記載,及び,【図3】の上記「ア」に記載された構成から,引用文献1では,【図5】のt5の時点において,全ての「画素S11?Smn」で,【図4】に示された「画素部構成部」の「電荷転送スイッチTX」はオフとなり,「フォトダイオードPD」のカソード側に蓄積された「光信号電荷」の「増幅MOSトランジスタM3」のゲートへの転送が終了する。
オ 上記ア?エで示したように,引用文献1では,【図5】のt2?t5の「光電変換時間」(段落【0023】)の間,全ての「画素S11?Smn」において,t2の時点で同時に,「フォトダイオードPD」のカソード側に「光信号電荷」が蓄積され,その後,蓄積された「光信号電荷」が,t3の時点から同時に「増幅MOSトランジスタM3」のゲートに転送され,その後,t5の時点で同時に「光信号電荷」の「増幅MOSトランジスタM3」のゲートへの転送が終了する構成が記載されているといえる。
カ 「選択MOSトランジスタM2のゲートパルスφSEL1および、光信号転送MOSトランジスタM5のゲートパルスφTSがハイレベルとなる(t7)。これによって光信号電圧が光信号保持容量CTSに読み出される(t7?t8)。」(段落【0023】)の記載,及び,【図3】における信号「φSEL1」に対応する「SEL1」が,一行目の画素である「S11?S1n」に入力される構成の記載から,引用文献1には,【図5】のt7の時点において,一行目の画素「S11?S1n」で【図4】に示された「画素部構成部」の「選択MOSトランジスタM2」がオンとなり,一行目の各画素(S11?S1n)の「増幅MOSトランジスタM3」のゲートに転送された「光信号電荷」に応じた信号が,「光信号電圧」として「増幅MOSトランジスタM3」のドレイン側から出力され,「光信号保持容量CTS」に蓄積されて,読み出される構成が記載されているといえる。
キ 【図1】及び段落【0016】の記載から,「タイミング信号発生部」は,「タイミング信号発生器(TG)」を備えているものと認められる。
ク なお,段落【0023】の「光信号保持容量CTN」及び「ノイズ保持容量CTN」は,段落【0024】の「ノイズ信号保持容量CTN」の誤記であり,段落【0025】の「画素セルC21?Cmn」は「画素セルS21?Smn」の誤記であると認められる。

(3)上記(1)及び(2)からみて,引用文献1には,以下の発明が記載されている(以下,「引用発明」という。)。

「バーコード読み取り装置であって,
光電変換により2次元画像を生成するためのCMOS型のイメージセンサーであって,m行×n列の画素S11?Smnから成る撮像素子部のイメージセンサー6と,
被写体像をセンサー面に結像するためのレンズ部1と,
撮影対象物を十分な光量で均一に照らすための赤色発光ダイオード(LED)2?5と,
タイミング信号発生部に送る光電変換時間の情報を決定するシステム制御部8と,
イメージセンサー6に駆動クロックを供給するタイミング信号発生部のタイミング信号発生器(TG)7と,
を有し,
各画素の増幅MOSトランジスタM3のゲートとフォトダイオードPDが電圧VRに,垂直信号線V1?Vnが電圧VVRにリセットされ,
LEDを点灯し(t1),
全ての画素S11?Smnにおいて,同時に,フォトダイオードPDのカソード側に光信号電荷が蓄積され,その後,蓄積された光信号電荷が,同時に増幅MOSトランジスタM3のゲートに転送され,その後,同時に光信号電荷の増幅MOSトランジスタM3への転送が終了し(t2?t5),
電荷転送終了後にLEDを消灯し(t6),
第1行目の画素S11?S1nの光信号電圧が光信号保持容量CTSに読み出され(t7?t8),
ノイズ電圧がノイズ信号保持容量CTNに読み出され(t11?t12),
ノイズ信号保持容量CTNと光信号保持容量CTSに保持されていた電圧が順次差動回路ブロックに読み出され,光信号とノイズ信号との差がとられ,出力端子VOUTに順次出力され(t14?t15),
以下同様に,垂直走査回路ブロックVSRからの信号によって,第2行目?第m行目に接続された画素S21?Smnの信号が順次読み出され,全画素の読み出しが完了する装置。」

2 引用文献2の記載
(1) 引用文献2には,以下の事項が記載されている。

「[0002] This invention relates generally to optical readers and specifically to an optical reader configured to take pictures.」
(当審訳:本発明は、一般的には光学読取装置に関し、特定的には、写真を撮影するように構成された光学読取り装置に関するものである。)

「[0030] An imaging module 50 which may be incorporated into a reader housing to form an optical reader is described with reference to FIGS. 3a-3d. Imaging module 50 may be an IT 4000 imaging module of the type available from Hand Held Products, Inc. of Skaneateles Falls, N.Y. IT4000 imaging modules available from Hand Held Products, Inc. are available with associated decode circuits which may be actuated to decode a decodable indicia, such as bar code indicia, within a captured image. Imaging module 50 can be at IT4200 imaging module with an associated decode-out circuit, also available from Hand Held Products, Inc. Imaging module 50 includes a support 80 having a containment 81 containing image sensor 32 incorporated on chip 182, and a retainer section 82 retaining a lens assembly 40 provided by a lens barrel. Lens assembly 40 includes a lens or lenses which focus images from a substrate (as seen in FIG. 3b) onto image sensor 32. In one embodiment, lens assembly 40 is configured so that module 50 has a fixed best focus receive distance of less than two feet (e.g., 3 inches, 5 inches, 7 inches, 15 inches). Configuring lens assembly 40 so that module 50 has a best focus receive distance of less than two feet allows module 50 to capture high resolution images at short range, from which decodable indicia can readily be decoded. Module 5 can also be configured so that module 50 has a best focus distance of several feet such as 5 feet or more as is described in U.S. application Ser. No. 10/252,484, filed Sep. 23, 2002, entitled "Long Range Optical Reader," incorporated by reference. Module 50, can also include an adjustable lens assembly for providing an adjustable best focus receive distance.」
(当審訳:光学読取装置を形成する為に読み取り装置ハウジングに組み込まれる撮像モジュール50を,図3a-3dを参照して説明する。撮像モジュール50は,N.Y.州Skaneateles Fallsのハンドヘルドプロダクツ社から入手可能なタイプのIT 4000 撮像モジュールであってもよく,ハンドヘルドプロダクツ社から入手可能なIT 4000 撮像モジュールは,撮像された画像内に,バーコード標識のような,復号可能な標識を復号するように作動することができる関連したデコード回路を利用可能である。撮像モジュール50に関連するデコード回路も,同じくハンドヘルドプロダクツ社から入手可能なIT4200撮像モジュールとすることができる。撮像モジュール50は,チップ182に内蔵された画像センサ32を含む収容部81と,レンズバレルによって提供されるレンズアセンブリ40を保持する保持部82とを有する支持体80を備えている。レンズアセンブリ40は,(図3bに見られるように)基板から画像センサ32上に,画像の焦点を合わせるための1つまたは複数のレンズを備えている。一実施形態において,レンズアセンブリ40は,モジュール50が2フィート未満(例えば,3インチ,5インチ,7インチ,15インチ)の固定された最良の焦点距離を有するように構成されている。レンズアセンブリ40のモジュール50は,2フィートよりも短い最良の焦点距離を有するように,モジュール50が復号可能な標識を容易に複合可能な高解像度の画像を捕捉することを可能にする。また,米国特許出願第No. 10/252,484, filed Sep. 23, 2002, entitled "Long Range Optical Reader,"に記載されているように,モジュール5は,モジュール50を数フィートから5フィートまたはそれ以上などの最良の焦点距離を有するように構成することができる。モジュール50は,また,調整可能な最良の焦点距離を提供するための調節可能なレンズアセンブリを含むことができる。)


(2)上記(1)より,引用文献2にはバーコードを読み取る光学読取装置として,以下の事項が記載されている(以下,「引用文献2記載事項」という。)。

「バーコード標識を復号可能な撮像モジュール50は,チップ182に内蔵された画像センサ32を含む収容部81と,レンズバレルによって提供される1つまたは複数のレンズを備えるレンズアセンブリ40を保持する保持部82とを有する支持体80を備えた,バーコードを読み取る光学読取装置。」

第5 対比
本願発明と引用発明を対比すると,以下のとおりとなる。
1 引用発明の「バーコード読み取り装置」及び「撮影対象物を十分な光量で均一に照らすための赤色発光ダイオード(LED)2?5」は,それぞれ本願発明の「バーコードを読み取る際に使用するための装置」及び「照明パターンを投射するのに使用するための照明光源であって、前記照明光源が、発光ダイオードからなる、照明光源」に相当する。

2 引用発明の「イメージセンサ6」は,「光電変換により2次元画像を生成するためのCMOS型のイメージセンサーであって,m行×n列の画素S11?Smnから成る」ものであり,引用発明の「イメージセンサー6」が「CMOS型のイメージセンサーであ」ることは,本願発明の「前記2次元イメージセンサアレイは相補型金属酸化物半導体からな」ることに相当し,また,引用発明の「イメージセンサー6」が「m行×n列の画素S11?Smnから成る」ことは,本願発明の「前記2次元イメージセンサアレイは行のピクセルを包含する」ことに相当する。
そうすると,引用発明の「イメージセンサー6」は,本願発明の「2次元イメージセンサアレイ」に相当する。また,引用発明の「被写体像をセンサー面に結像するためのレンズ部」は,「前記2次元イメージセンサアレイに光を焦点合わせるす撮像レンズ」に相当する。

3 引用発明のt2?t5の期間は,引用文献1の段落【0023】に「t2からt5の間が光電変換時間となる。」と記載されていることから,本願発明の「露光期間」に相当する。そして,引用発明では,「全ての画素S11?Smnにおいて,同時に,フォトダイオードPDのカソード側に光信号電荷が蓄積され,その後,蓄積された光信号電荷が,同時に増幅MOSトランジスタM3のゲートに転送され,その後,同時に光信号電荷の増幅MOSトランジスタM3への転送が終了」することから,全ての画素S11?Smnは,「露光期間」に同時に露光されるので,引用発明も「露光期間中に同時に、前記2次元イメージセンサアレイの複数の行のピクセルを露光する」ものであるといえる。
また,引用発明の「全ての画素S11?Smn」はt2時点で同時に露光が開始されることになるので,引用発明も「2次元イメージセンサアレイにおける複数の行のピクセルの露光が同時に開始される」ものであるといえる。

4 引用発明の「全ての画素S11?Smnにおいて,同時に,フォトダイオードPDのカソード側に光信号電荷が蓄積され,その後,蓄積された光信号電荷が,同時に増幅MOSトランジスタM3のゲートに転送され,その後,同時に光信号電荷の増幅MOSトランジスタM3への転送が終了」とは,全画素において,同時に露光が開始され,かつ,同時に露光が終了することになるので,引用発明もグローバルシャッターを実現しているものと認められる。
そうすると,引用発明の「タイミング信号発生部に送る光電変換時間の情報を決定するシステム制御部8と,イメージセンサー6に駆動クロックを供給するタイミング信号発生部のタイミング信号発生器(TG)7」は,引用発明の光信号電荷が蓄積及び転送を制御することで上記のグローバルシャッターを実現する制御部を構成しているといえるので,引用発明の「タイミング信号発生器(TG)7」及び「システム制御部8」は,本願発明の「グローバル電子シャッター制御モジュール」に相当する。

5 引用発明の「赤色発光ダイオード(LED)2?5」は,光信号電荷の蓄積を開始するt2時点より前のt1時点に点灯し,光信号電荷の蓄積が終了するt5時点より後のt6時点に消灯しており,引用発明の「露光期間」(t2?t5)と部分的に重なるから,引用発明も,本願発明の「照明期間の間に、前記発光ダイオードを同時に駆動することができ、露光期間と照明期間との間の調整が少なくとも部分的に時間がオーバーラップする照明期間と露光期間」と同様の期間を有していると認められる。

6 したがって,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致し,又相違する。

[一致点]
「バーコードを読み取る際に使用するための装置であって,該装置が,
2次元イメージセンサアレイであって,前記2次元イメージセンサアレイは相補型金属酸化物半導体からなり,前記2次元イメージセンサアレイは行のピクセルを包含する,2次元イメージセンサアレイと,
前記2次元イメージセンサアレイに光を焦点合わせする撮像レンズと,
照明パターンを投射するのに使用するための照明光源であって,前記照明光源が,発光ダイオードからなる,照明光源と,
露光期間中に同時に,前記2次元イメージセンサアレイの複数の行のピクセルを露光するように配置されたグローバル電子シャッター制御モジュールであって,2次元イメージセンサアレイにおける複数の行のピクセルの露光が同時に開始されるように,グローバル電子シャッター制御モジュールが2次元イメージセンサアレイを制御するように構成される,グローバル電子シャッター制御モジュールと
を有し,
該装置が,照明期間の間に,前記発光ダイオードを同時に駆動することができ,露光期間と照明期間との間の調整が少なくとも部分的に時間がオーバーラップする照明期間と露光期間とによって特徴づけられることを特徴とする装置。」

[相違点]
本願発明が「サポートアセンブリであって、前記サポートアセンブリは前記撮像レンズをサポートするためのレンズホルダーを包含する、サポートアセンブリ」を有しているのに対して,引用発明は対応する構成を備えているのか定かでない点。

第6 判断
1 [相違点]について
バーコードを読み取る光学読取装置は,そもそもレンズを介してイメージセンサーにバーコードの画像を撮像するものであるから,光学読取装置においてレンズを保持する構成を備えていることは自明である。そして,バーコードを読み取る光学読取装置のレンズを保持する具体的構成として,引用文献2に「バーコードを復号可能な撮像モジュール50は,チップ182に内蔵された画像センサ32を含む収容部81と,レンズバレルによって提供される1つまたは複数のレンズを備えるレンズアセンブリ40を保持する保持部82と有する支持体80を備えたバーコードを読み取る光学読取装置。」が記載されているように,複数のレンズを保持するものとして「レンズアセンブリ40」を備え,レンズアセンブリ40を包含するものとして「保持部82と有する支持体80」を備えることで,撮像レンズをサポートするためのレンズホルダー及びレンズホルダーを包含するサポートアセンブリを備えことは公知の技術と認められる。
そうすると,「バーコード読み取り装置」である引用発明においても,「レンズ部1」のレンズを保持するための構成は必要であることから,該保持するための構成として引用文献2記載事項にある公知の技術を採用して,[相違点]に係る構成を備えるようにすることは,当業者が適宜為し得る事項である。

2 請求人の主張について
(1) 請求人は平成31年1月18日提出の意見書において
「4-3-2.本願発明1に対する引用文献1及び2の組合せによる進歩性欠如の論理付けの非妥当性について
審判官殿は、拒絶理由通知書において、引用文献1には、「撮像レンズをサポートするためのレンズホルダーを包含するサポートアセンブリ」に係る構成を除き、その余の構成は開示されていると指摘されている。
しかしながら、審判官殿の御指摘には、承服できるものではない。以下、その理由を詳述する。
引用文献1には、少なくとも、本願発明1の構成要件Fの『露光期間中に同時に、前記2次元イメージセンサアレイの複数の行のピクセルを露光するように配置されたグローバル電子シャッター制御モジュールであって、2次元イメージセンサアレイにおける複数の行のピクセルの露光が同時に開始されるように、グローバル電子シャッター制御モジュールが2次元イメージセンサアレイを制御するように構成される、グローバル電子シャッター制御モジュール』に係る構成は開示されていない。
即ち、引用文献1の図5及び関連する明細書の段落〔0020〕?〔0025〕には概略以下のような記載がある(下線付加)。
『〔0020〕図3の転送MOSトランジスタTXのゲートを一行目からm行目までの全ての画素について同時に選択する信号TXaが、各行ごとに全ての画素を選択する信号の転送パルスTX1?TXnとのOR回路を通して各転送MOSトランジスタTXに接続されている。また、全ての画素の増幅MOSトランジスタM3のゲートを同時にリセットするために、一行目からm行目までの全ての画素のリセットMOSトランジスタM1のゲートを同時に選択する信号RESaが、各行ごとに全ての画素をリセットするパルスRES1?RESnとのOR回路を通して各リセットMOSトランジスタM1に接続されている。
〔0021〕このイメージセンサにおいて、まずリセットMOSトランジスタM1のゲートへのパルスφRESa、転送MOSトランジスタTXのゲートパルスφTXaおよび、垂直信号線リセットMOSトランジスタM8のゲートへのパルスφVRESがハイレベルとなる。これによって、増幅MOSトランジスタM3のゲートとフォトダイオードPDが電圧VRに、垂直信号線V1?Vnが電圧VVRにリセットされる(図5のt2まで)。
〔0022〕次に、φTXaがローレベルになりフォトダイオードPDには光に応じた電荷の発生が可能になる(t2)。LEDを点灯するモードではt2に先行して、制御信号φLEDがハイレベルになりLEDを点灯する(t1)。続いて、リセットMOSトランジスタM1のゲートへのパルスφRESa、垂直信号線リセットMOSトランジスタM8のゲートパルスφVRES、がローレベルとなり、M1のゲートと垂直信号線のリセットが解除される(t3)。時刻t3から所定の時間後、φTXaを再度ハイレベルにしてフォトダイオードPDの電荷を増幅MOSトランジスタM3のゲートに転送する(t4)。
〔0023〕転送に十分な時間を経て、φTXaを再度ローレベルにしてフォトダイオードPDの電荷転送を終了する(t5)。このとき、t2からt5の間が光電変換時間となる。LEDを点灯するモードでは、転送終了後にLEDを消灯する(t6)。次に、選択MOSトランジスタM2のゲートパルスφSEL1および、光信号転送MOSトランジスタM5のゲートパルスφTSがハイレベルとなる(t7)。これによって光信号電圧が光信号保持容量CTSに読み出される(t7?t8)。容量CTSに読み出した後、リセットMOSトランジスタM1のゲートへのパルスφRES1、垂直信号線リセットMOSトランジスタM8のゲートパルスφVRESがハイレベルとなり、M1のゲートと垂直信号線がリセットされる(t9)。続いてφRES1とφVRESがローレベルとなり(t10)、M1のゲートと垂直信号線のリセットが解除された後、選択MOSトランジスタM2のゲートパルスφSEL1および、ノイズ信号転送MOSトランジスタM4のゲートパルスφTNがハイレベルとなる(t11)。これによってノイズ電圧が光信号保持容量CTNに読み出される(t11?t12)。この後、水平走査回路ブロックHSRからの信号H1?Hnによって、各列の水平転送スイッチM6、M7のゲートが順次ハイレベルとなり(t14?t15)、ノイズ保持容量CTNと光信号保持容量CTSに保持されていた電圧が順次差動回路ブロックに読み出される。差動回路ブロックでは、光信号とノイズ信号との差がとられ、出力端子VOUTに順次出力される。
〔0024〕以上で、第1行目に接続された画素セルの読み出しが完了する。この後、第2行目の読み出しに先立って、ノイズ信号保持容量CTNおよび光信号保持容量CTSのリセットスイッチM9、M10のゲートへのφCTRがハイレベルとなり、VRCTにリセットされる。
〔0025〕以下同様に、垂直走査回路ブロックVSRからの信号によって、第2行目?第m行目に接続された画素セルC21?Cmnの信号が順次読み出され、全画素セルの読み出しが完了する。』
審判官殿は、期間t2?t5に全てのピクセルの露光が行われる旨指摘されている。その一方で、期間t7?t15において、ピクセルの第1行のみの読出しがなされ、その後、順次、第2行以降の読出しがなされる旨、指摘されている。
しかしながら、審判官殿は、少なくとも期間t7?t15がピクセルの第1行にのみ適用されることや、図5に示されるピクセルの第2行?第m行に対する相応するタイミングが全く示されていないことを認める一方で、アレイ中の全てのピクセルに対し、図5に係る記述をどのように適用し得るのか(或いは、ピクセルの全てが、どのように同時に動作することが示されているといい得るのか)、説明してはいない。
したがって、引用文献1が本願発明1と同様の露光動作を行うとの審判官殿の御指摘は妥当なものとはいえない。
以上のとおりであるから、本願発明1は、引用文献1及び2に記載の発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではなく、特許法第29条第2項に該当しないものである。」
旨主張している。

(2) そこで,上記主張について検討する。
請求人の主張は,要するに,ピクセルの第2行?第m行に対して図5にはタイミングが示されていないので,引用文献1から本願発明が同様の露出動作を行うとの判断は妥当ではないというものである。
しかしながら,本願発明には,「露光期間中に同時に、前記2次元イメージセンサアレイの複数の行のピクセルを露光するように配置されたグローバル電子シャッター制御モジュールであって、2次元イメージセンサアレイにおける複数の行のピクセルの露光が同時に開始されるように、グローバル電子シャッター制御モジュールが2次元イメージセンサアレイを制御するように構成される、グローバル電子シャッター制御モジュールとを有」することは記載されているものの,露光期間後に各行からどのように処理により露光したデータを出力するかは特定されていないことから,上記請求人の主張は請求項の記載に基づかないものである。
なお,引用文献1の段落【0025】の「以下同様に、垂直走査回路ブロックVSRからの信号によって、第2行目?第m行目に接続された画素セルC21?Cmnの信号が順次読み出され、全画素セルの読み出しが完了する。」に基づけば,ピクセルの第2行?第m行においても第1行と同様にして順次読み出されることは明らかであるから,請求人の上記主張自体も根拠がなく採用することはできない。

3 まとめ
したがって,本願発明は,引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明できたものである。

第7 むすび
以上のとおり,本願発明は,その優先権主張日前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-02-08 
結審通知日 2019-02-12 
審決日 2019-03-04 
出願番号 特願2015-227211(P2015-227211)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梅沢 俊  
特許庁審判長 飯田 清司
特許庁審判官 梶尾 誠哉
小田 浩
発明の名称 グローバル電子シャッター制御を持つイメージ読み取り装置  
代理人 中西 基晴  
代理人 山本 修  
代理人 小野 新次郎  
代理人 宮前 徹  
代理人 夫馬 直樹  

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