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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06K
管理番号 1365969
審判番号 不服2019-6126  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-10 
確定日 2020-09-29 
事件の表示 特願2015-151481「情報コード読取システム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月 9日出願公開、特開2017- 33215、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由
第1 手続きの経緯
本願は,平成27年7月31日の出願であって,平成30年10月29日付けで拒絶理由通知がされ,平成31年1月7日に意見書が提出されたものの,同年2月1日付けで拒絶査定(以下,「原査定」という。)がされ,これに対し,令和1年5月10日付けで拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,令和2年5月20日付けで拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由通知」という。)がされ,同年7月20日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成31年2月1日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-7に係る発明は,以下の引用文献A,Bに基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

[引用文献等一覧]
A.特開2009-151699号公報
B.特開2014-144349号公報

第3 当審拒絶理由通知の概要
当審拒絶理由通知の概要は次のとおりである。

本願請求項1,3-7に係る発明は,以下の引用文献1-4に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

[引用文献等一覧]
1.特開2002-351765号公報 (当審において新たに引用した文献)
2.特開2006-024191号公報 (当審において新たに引用した文献)
3.特開2004-046781号公報 (当審において新たに引用した文献)
4.特開2009-151699号公報 (拒絶査定時の引用文献A)

第4 本願発明
本願請求項1-6に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は,令和2年7月20日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
情報コードを撮像可能な情報処理端末と、前記情報処理端末と通信可能なサーバとを備える情報コード読取システムであって、
前記情報コードには、所定の情報に加えて当該情報コードを他の情報コードと識別するためのコード識別情報が記録されており、
前記情報処理端末は、
他の情報処理端末と識別するための端末識別情報が記憶される記憶手段と、
前記情報コードを撮像する撮像手段と、
前記サーバと通信する通信手段と、
前記撮像手段により前記情報コードを撮像することで得られる取得情報と前記端末識別情報とをデコードリクエストとして前記通信手段により前記サーバに送信し、この送信に応じて前記通信手段により前記サーバから受信した情報に基づく処理を行う制御手段と、
を備え、
前記サーバは、
前記情報処理端末からの情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記取得情報から前記コード識別情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記コード識別情報に関連付けられる複数の処理のうちから、前記受信手段による受信により得られた一組の前記端末識別情報およびコード識別情報に基づいて1つの処理を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された処理に関する選択情報を含めた情報をデコードレスポンスとして前記情報処理端末に送信する送信手段と、
を備え、
前記取得手段は、前記受信手段により受信された前記取得情報を利用して前記情報コードから前記所定の情報および前記コード識別情報を解読する解読手段であって、
前記送信手段は、前記情報処理端末に対して、前記選択情報に加えて前記解読手段により解読された前記所定の情報を含めた情報を送信することを特徴とする情報コード読取システム。」

本願発明2-6は,本願発明1を減縮した発明である。

第5 引用文献,引用発明等

1 引用文献1について

ア 当審による令和2年5月20日付けの拒絶の理由(以下,「当審拒絶理由」という。)に引用された引用文献1(特開2002-351765号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

A「【0014】
【発明の実施の形態】===ネットワーク構成===
図1は、本発明の実施例におけるWebコンテンツ受け渡し方法が適用されるネットワーク構成を示している。インターネット100には不特定多数の利用者が使用するパーソナルコンピュータ20がブラウザ端末として接続されている。また、移動体通信網30がゲートウエイサーバー32を介してプロトコルの異なるインターネット100と相互接続し、無線基地局31を介して移動体通信網30に接続した携帯電話機1もブラウザ端末としてインターネット100を介してデータ通信を行う。そして、これらのブラウザ端末1,20に種々の情報サービスを提供するコンピュータがホストコンピュータ10であり、ブラウザ端末からのHTTPリクエストに対して適宜なHTTPレスポンスを返送するホストコンピュータがWebサーバー10bである。本発明の要件であるコンテンツURL通知装置10aも基本的にはWebサーバーとして機能する。
【0015】ここで、携帯電話機1をブラウザ端末とし、携帯電話機1の利用者がインターネット100上のWebサーバー10bからあるWebコンテンツを取り寄せようとする。本発明の実施例として、コンテンツURL通知装置10aがこのWebコンテンツの取り寄せ経路に介在して、携帯電話機1が加入する移動体通信事業者に応じたWebコンテンツを受け渡すための処理や通信手順などを以下に説明する。
【0016】===バーコードリーダーの構成===
携帯電話機1は、本発明の方法によってWebコンテンツを取り寄せるために、バーコードリーダーを接続する。図2(A)(B)は、本実施例に適用されるバーコードリーダーの概略を示しており、(A)は携帯電話機1との接続状態であり、(B)は機能ブロック図である。
【0017】バーコードリーダー40は、一方の端部にコネクタ41が配設され、このコネクタ41を携帯電話機1の端部に配設されているデータ入出力用コネクタに接続して使用する。他端はバーコードの読み取り部42であり、ここにバーコードを押し当てて読み取る。内部構成としては、CPU・RAM・ROMの機能を集約した中央制御部43を主制御部として、LEDなどを発光素子とした発光部44、発光素子の駆動回路などを含む発光制御部45、フォトダイオードなどを受光素子とした受光部46、受光部46が読み取ったバーコード60の線幅や明暗に相当する信号を「0」「1」のデジタルデータ(コード)に変換するためのコード生成部47、携帯電話機1のデータ入出力用コネクタを介して相互にデータ通信を行うための通信インタフェース48、利用者による操作入力を受け付けるための操作キー49、そのキー49の押圧状態を検知してその信号を中央制御部43に転送するための操作制御部50などを含んで構成されている。なお、上記各構成要素は個々の集積回路や素子によって形成されるとは限らない。例えば、発光/受光素子・操作キー以外の構成要素の機能を一つのワンチップ・マイクロコンピュータに集約することもできる。
【0018】===特定URL・ブラウザ仕様リストなど===
上記実施例のバーコードリーダー40は、中央制御部43のROMにコンテンツURL通知装置10aを介してWebコンテンツを携帯電話機1に受け渡すためのプログラム(制御プログラム)を格納している。また、コンテンツURL通知装置10aを同定する特定URLと、携帯電話機1の機種毎にブラウザを操作する手順(ブラウザ仕様情報)を対応付けしたブラウザ仕様リストもこのROMに格納されている。また、このバーコードリーダーに固有のリーダー端末IDも記憶されている。なお、本実施例において、特定URLはコンテンツURL通知装置10aに実装されている所定のCGIを同定している。
【0019】図3はブラウザ仕様リストの概略構造を示している。周知の通り、携帯電話機1には個々を識別するための端末コードが付与されている。端末コードは複数桁の英数字からなる文字列であり、この文字列中の一部文字列が機種を識別するための機種コードとなっている。ブラウザ仕様リストは、この機種コードにブラウザ仕様情報として携帯電話機1のキーを押す順番(キーボードマクロ)を対応付けしている。
【0020】===バーコード===
本実施例におけるバーコードリーダー40が読み込み対象としているバーコード60は、取り寄せ対象のWebコンテンツのURLではなく、例えば、Webコンテンツについてどのような内容であるのかを解説した雑誌などに付記され、各Webコンテンツに唯一付与されるコンテンツIDを表現している。すなわち、中身が同じWebコンテンツについて、携帯電話機1の通信事業者に応じて異なるURLを指定する場合でも、各URLに対応して複数のバーコードが並記されることはない。
【0021】===HTTPリクエスト===
本実施例のバーコードリーダー40は、バッテリーを内蔵し、携帯電話機1と通信インタフェース48を介して接続すると起動するようになっている。また、操作キー49もボタンが一つ配設されているだけであり、利用者は適宜な操作機会にそのボタンを押すだけで所定の処理が実行される。
【0022】バーコードリーダー40はその起動時に、まず接続相手の携帯電話機1と通信し、携帯電話機1が記憶している機種コードを取得してRAMに格納する。あるWebコンテンツに該当するバーコード60に受光部46を押し当て操作キー49を押すと、バーコードが読み取られてコード生成部47を介して中央制御部43に転送される。中央制御部43は、転送されてきたコードをコンテンツIDとして取得し、RAMに格納する。
【0023】さらに中央制御部43は、携帯電話機1の機種コードをブラウザ仕様リストに照会し、対応するブラウザ操作情報(操作手順)にしたがって、携帯電話機1のキーがつぎつぎに押下されるのに相当する制御データを順次携帯電話機1に転送していく。そして、最終的にブラウザを起動し、ROMに記憶している特定URLに読み込んだコンテンツIDとこのバーコードリーダーのリーダー端末IDとをパラメータとして付加したURLを作成し、このURLをHTTPリクエストとして移動体通信網30に送出する。なお、この例では、バーコードを読み取る直前にボタンを一回押すと後の一連の処理が自動実行されることとしているが、HTTPリクエストを送付する際に再度ボタンを押すなど、適宜な処理機会毎に操作を行うこととしてもよい。もちろん、実行させたい処理毎に異なるボタンをバーコードリーダーに配設するなど、操作環境は適宜に変更することができる。
【0024】===コンテンツURL通知装置===
携帯電話機1より送出されたHTTPリクエストは、コンテンツURL通知装置10aの所定のCGIに送達される。コンテンツURL通知装置10aは、本実施例のWebコンテンツ受け渡し方法によって携帯電話機1に送達される全Webコンテンツについて、携帯電話機1の機種に応じて指定すべきURL(コンテンツURL)を対応付けした機種別URLリストを記憶している。図4にその機種別URLリストの概略構造図を示した。
【0025】本実施例は、同じ内容のWebコンテンツが移動体通信事業者毎に用意されている場合を想定しており、リーダー端末IDをブラウザ端末を特定するための情報としている。すなわち、携帯電話機の通信インタフェースが移動体通信事業者毎に異なるため、リーダー端末IDによってバーコードリーダーに接続されている携帯電話機の通信事業者が特定できるのである。
【0026】そして前記CGIは、送達されたHTTPリクエスト中のコンテンツIDとリーダー端末IDとをこのURLリストに照会し、該当のコンテンツURLを特定するとともに、このコンテンツURLを含んだHTTPレスポンスを携帯電話機1に宛ててインターネット100に送出する処理を実行する。
【0027】===Webコンテンツの受け渡し===
携帯電話機1にコンテンツURL通知装置10aからのHTTPレスポンスが送達されると、ブラウザはこのレスポンス中に記載されているコンテンツURLを表示出力する。周知のごとく、携帯電話機1のブラウザは、HTTPレスポンス中にURLの記載形式に基づいた文字列があると、この文字列部分にハイパーリンクを設定する。すなわち、利用者が携帯電話機1を操作して、画面表示されているコンテンツURLの記載部分を指示し、そのURLを送出する旨のキー操作を行うと、ブラウザがこのコンテンツURLをHTTPリクエストとして送出する。それによって、該当のWebコンテンツが携帯電話機1に送達される。なお、上述した本実施例のWebコンテンツの受け渡し方法における処理や通信手順を図5に整理して示した。
【0028】===その他の実施例===
本発明に適用されるブラウザ端末は、携帯電話機に限るものではない。ブラウザを実装したパーソナルコンピュータにバーコードリーダーを接続し、上記実施例と同様の通信経路によってWebコンテンツを受け渡すことは容易である。パーソナルコンピュータが実装するブラウザは、ブラウザの種類(User-Agent)をHTTPリクエストに含める。そこで、このブラウザの種類をブラウザ端末特定情報とし、コンテンツURL通知装置の機種別URLリスト中に一般ブラウザ向けのWebコンテンツの所在(URL)も対応付けしておけば、そのURLをHTTPレスポンスとしてパーソナルコンピュータに返送することができる。
【0029】また、バーコードリーダーがブラウザ端末から取得した機種コードをブラウザ端末特定情報とすることもできる。そして、コンテンツURL通知装置にコンテンツID毎に機種コードとコンテンツURLとを対応付けした機種別URLリストを用意しておけば、通信事業者だけでなく、ディスプレイの表示色や画素数・着信メロディの和音数など、機種毎の仕様に応じてWebコンテンツが用意されている場合にも対応することができる。
【0030】周知の通り、携帯電話機からのHTTPリクエストがコンテンツURL通知装置に送達されるのであれば、ゲートウエイサーバーが、HTTPリクエストの送付元として、携帯電話機に固有の端末IDをこのゲートウエイサーバーのIPアドレス(ドメイン名)に変換する。そこで、送達されたHTTPリクエストの送付元IPアドレスをブラウザ端末特定情報とし、IPアドレスにコンテンツURLを対応付けした機種別URLリストをコンテンツURL通知装置に用意しておけば、コンテンツURL通知装置は、どの移動体通信事業者に加入している携帯電話機からのHTTPリクエストであるかを認知し、HTTPレスポンスとして返送すべきコンテンツURLを特定することができる。
【0031】また、バーコードリーダーが特定URLにコンテンツIDを付加してHTTPリクエストを送付する際、セキュリティの保護などを目的としてこの付加情報を暗号化することも考えられる。この場合、ブラウザ端末の通信事業者など機種に応じて暗号化方法を変えれば、この暗号化方法自体もブラウザ端末特定情報として使用できる。」

イ 上記Aの記載内容からすると,引用文献1には,次のとおりの発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「Webコンテンツ受け渡し方法が適用されるネットワーク構成であって,携帯電話機は,バーコードリーダーを接続し,インターネットにはパーソナルコンピュータがブラウザ端末として接続されており,携帯電話機もブラウザ端末としてインターネットを介してデータ通信を行い,ブラウザ端末に種々の情報サービスを提供するコンピュータがホストコンピュータであり,コンテンツURL通知装置も基本的にはWebサーバーとして機能し,バーコードリーダーが読み込み対象としているバーコードは,取り寄せ対象のWebコンテンツのURLではなく,各Webコンテンツに唯一付与されるコンテンツIDを表現しており,
バーコードリーダーは,一方の端部にコネクタが配設され,このコネクタを携帯電話機の端部に配設されているデータ入出力用コネクタに接続して使用し,バーコードリーダーはその起動時に,接続相手の携帯電話機と通信し,携帯電話機が記憶している機種コードを取得してRAMに格納し,操作キーを押すと,バーコードが読み取られてコード生成部を介して中央制御部に転送され,中央制御部は,転送されてきたコードをコンテンツIDとして取得し,中央制御部は,制御データを順次携帯電話機に転送していき,最終的にブラウザを起動し,特定URLに読み込んだコンテンツIDとこのバーコードリーダーのリーダー端末IDとをパラメータとして付加したURLを作成し,このURLをHTTPリクエストとして移動体通信網に送出するものであって,バーコードリーダーが特定URLにコンテンツIDを付加してHTTPリクエストを送付する際,セキュリティの保護などを目的としてこの付加情報を暗号化することも考えられ,
携帯電話機より送出されたHTTPリクエストは,コンテンツURL通知装置の所定のCGIに送達され,コンテンツURL通知装置は,携帯電話機に送達される全Webコンテンツについて,携帯電話機の機種に応じて指定すべきURL(コンテンツURL)を対応付けした機種別URLリストを記憶しており,本実施例は,リーダー端末IDをブラウザ端末を特定するための情報としており,バーコードリーダーがブラウザ端末から取得した機種コードをブラウザ端末特定情報とすることもでき,コンテンツID毎に機種コードとコンテンツURLとを対応付けした機種別URLリストを用意しておけば,機種毎の仕様に応じてWebコンテンツが用意されている場合にも対応することができ,前記CGIは,送達されたHTTPリクエスト中のコンテンツIDとリーダー端末IDとをこのURLリストに照会し,該当のコンテンツURLを特定するとともに,このコンテンツURLを含んだHTTPレスポンスを携帯電話機に宛ててインターネットに送出する処理を実行し,
携帯電話機にコンテンツURL通知装置からのHTTPレスポンスが送達されると,ブラウザはこのレスポンス中に記載されているコンテンツURLを表示出力し,利用者が携帯電話機を操作して,画面表示されているコンテンツURLの記載部分を指示し,そのURLを送出する旨のキー操作を行うと,ブラウザがこのコンテンツURLをHTTPリクエストとして送出する,
ネットワーク構成。」

2 引用文献2について

ア 当審拒絶理由に引用された引用文献2(特開2006-024191号公報)には,関連する図面とともに,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

B 「【0054】
第1実施形態では、図5(a)に示すように、2次元コード27として、サービスサーバ10への接続に必要なURL(通信プロトコル名及びサービスサーバ10のドメイン名を含む)の平文に対して、画像識別情報idの暗号文が付加されて、写真プリント26に記録される。また、写真プリント26の配布先ユーザの携帯電話30が2次元コード27を読み取ってサービスサーバ10にアクセスするときには、URLの平文と、画像識別情報idの暗号文と、携帯電話30に予め記憶された自己の携帯電話番号とが、サービスサーバ10に送信される。」

C 「【0087】
次に、第1実施形態において、写真プリント26の配布先の携帯電話30に対して画像の付加情報を配信する際の処理の流れについて説明する。
【0088】
写真プリント26の配布先ユーザは、その携帯電話30を2次元コードの読取モードにして、携帯電話30に写真プリント26上の2次元コード27を読み取らせる(S121)。この2次元コード27が携帯電話30でデコードされて、デコード結果としてアクセス情報が得られる。
【0089】
アクセス情報は、第1実施形態において、サービスサーバ10にネットワーク60を通じて接続するのに必要なURLの平文と、画像識別情報idの暗号文とを含む。ここで、アクセス情報は、例えば「http://oto.jp?id=xyz」である。
【0090】
携帯電話30は、携帯電話30の自己の携帯電話番号をその携帯電話30の不揮発性メモリ348から読み出す(S122)。
【0091】
そして、携帯電話30は、アクセス情報を用いて、サービスサーバ10にアクセスする(S123)。このとき、携帯電話30は、URLの平文、画像識別情報idの暗号文、及び、携帯電話30の自己の携帯電話番号を、サービスサーバ10に送信する。
【0092】
なお、携帯電話30の自己の携帯電話番号は、第1の変数である画像識別情報idの暗号文に付加して、第2の変数としてサービスサーバ10に送信する態様と、画像識別情報idの暗号文とは別にしてサービスサーバ10に送信する態様がある。
【0093】
携帯電話30からアクセスされたサーバ10は、画像識別情報idの暗号文を復号化し(S124)、復号化した画像識別情報idに関連付けられたアクセス許可の携帯電話番号telをデータベース101mから検索し(S125)、検索したアクセス許可の携帯電話番号telと、アクセス元の携帯電話30が送信した携帯電話番号とを照合する(S126)。
【0094】
サービスサーバ10は、照合により両携帯電話番号が一致した場合には、画像識別情報idに対応する画像の付加情報(音情報、テキスト情報、撮影位置情報など)をデータベース101mから取り出して、アクセス元の携帯電話30にネットワーク60を通じて送信する(S127)。
【0095】
アクセス元の携帯電話30に送信された付加情報は、その携帯電話30で出力される(S128)。例えば、写真プリント26上の画像に関連する音情報が携帯電話30のスピーカ343によって再生される。また、例えば、写真プリント26上の画像に関連するテキスト情報が、携帯電話30のLCD344に表示される。また、ユーザが携帯電話30の操作パネル345によって画面の切替操作を行うと、撮影位置を示す地図が携帯電話30のLCD344に表示される。
【0096】
以上、プリント注文時にアクセス許可の携帯電話番号telをプリント注文ユーザの携帯電話40で入力した場合を例に説明したが、プリント注文ユーザが不特定多数の者に写真プリントを配布して不特定多数の者のアクセスを許可する選択をした場合には、アクセス許可の携帯電話番号telは入力されず、図5(d)に示すように、URLの平文及び画像識別情報idの暗号文とともに、アクセス許可の携帯電話番号telの指定がないこと(「telなし」)を示す情報が2次元コード27に組み込まれて写真プリント26に記録され、写真プリント26の配布先ユーザの携帯電話30からは自己の携帯電話番号がサーバ10に通知されず、URLの平文と画像識別情報idの暗号文がサービスサーバ10に送信される(S123)。そして、サービスサーバ10では、画像識別情報idの復号化を行った後(S124)、アクセス許可の携帯電話番号telの検索(S125)、携帯電話番号の照合(S126)を行わないで、画像識別情報idに対応する付加情報をダウンロードする(S127)。ただし、携帯電話30から「telなし」が通知されたとしても、データベース101mに該当する画像識別情報idに対応するアクセス許可の携帯電話番号telが登録されていた場合には、携帯電話30のアクセスを拒否する。」

3 引用文献3について

ア 当審拒絶理由に引用された引用文献3(特開2004-046781号公報)には,関連する図面とともに,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

D 「【0166】
[F.第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態について説明する。なお、本実施形態において用いられる携帯電話機は、第5実施形態において説明した携帯電話機55と同じハードウェア構成を有するので、同一の符号を使用し、その説明を省略するものとする。
【0167】
第6実施形態においてコンテンツプロバイダは、例えば、書籍や店頭に貼られるポスターなどに2次元バーコードを印刷するが、この2次元バーコードには、書籍やポスターに掲載された情報に関して、より詳細な情報を提供するサイト(コンテンツサーバ)のURLと、この2次元バーコードのバーコードIDとが記録されている。また、コンテンツプロバイダは、上記URLにより指定されるコンテンツサーバを用いて、書籍やポスターに掲載された情報に関する、より詳細な情報(コンテンツデータ)を提供する。
【0168】
次に、コンテンツサーバに記憶されているコンテンツデータについて説明する。コンテンツサーバは、例えば、携帯電話機55から同じ2次元バーコードの読み取りに基づくアクセスがあった場合でも、携帯電話機55が2次元バーコードの読み取りなどを行った時間帯に応じて異なるコンテンツデータを提供するため、図26に示すように、同一のバーコードIDに対して各時間帯毎に別々のコンテンツデータを記憶している。同様に、コンテンツサーバは、例えば、携帯電話機55が2次元バーコードの読み取りなどを行ったときに位置している場所に応じて、同じ2次元バーコードであっても異なるコンテンツデータを提供するため、図27に示すように、同一のバーコードIDに対して各地域毎に別々のコンテンツデータを記憶している。
【0169】
なお、コンテンツサーバは、上述した時間帯や地域の他に、ユーザIDや携帯電話機55の機種についても同様に、ユーザID毎あるいは携帯電話機55の機種毎に別々のコンテンツデータを記憶し、携帯電話機55から同じ2次元バーコードの読み取りに基づくアクセスがあった場合でも、携帯電話機55を使用しているユーザや携帯電話機55の機種に応じて異なるコンテンツデータを提供する。
【0170】
次に、図28は、本実施形態に係る携帯電話機55およびコンテンツサーバの動作を説明するシーケンスチャートである。まず、携帯電話機55は、ユーザの操作に応じて2次元バーコードを読み取り、コンテンツサーバのURLと、この2次元バーコードのバーコードIDとをデコードする(ステップS541)。なお、この2次元バーコードには、携帯電話機55がコンテンツサーバへアクセスする際に必要となる付加情報の種類を指定する指定情報が含まれている。
【0171】
ここで、付加情報とは、例えば、携帯電話機55が2次元バーコードの読み取りを行ったときの時刻や、2次元バーコードの読み取りを行ったときの携帯電話機55の位置、携帯電話機55を使用しているユーザのユーザID、携帯電話機55の機種などを示す情報であり、バーコードIDとともにコンテンツサーバへ送信される情報である。なお、携帯電話機55が2次元バーコードの読み取りを行ったときの時刻の代りに、携帯電話機55がコンテンツサーバへアクセスするときの時刻を用いてもよい。また、携帯電話機55の位置は、2次元バーコードの読み取りを行ったときの位置ではなく、携帯電話機55がコンテンツサーバへアクセスするときの位置を用いてもよい。
【0172】
次いで、CPU505は、2次元バーコードからデコードした指定情報により指定される付加情報を取得する(ステップS542)。例えば、指定情報が、2次元バーコードの読み取りを行った時刻を指定している場合、CPU505は、内部クロックにより計時されている現在時刻を取得する。勿論、移動パケット通信網40から提供される、より高精度な現在時刻情報を付加情報として用いてもよい。
【0173】
また、指定情報が、2次元バーコードの読み取りを行ったときの携帯電話機55の位置を指定している場合、CPU505は、基地局ID格納領域520bから読み出した基地局IDを付加情報として用いる。勿論、携帯電話機55がGPS機能を有している場合は、GPS機能を用いて測位した携帯電話機55の位置情報を付加情報として用いてもよい。また、CPU505は、上記第5実施形態において説明した位置情報サービスサーバや測位センタを利用して得た位置情報(緯度経度情報や住所)を付加情報として用いることもできる。
【0174】
また、指定情報が、携帯電話機55を使用しているユーザのユーザIDを指定している場合、CPU505は、液晶画面にユーザIDの入力を促すメッセージを表示し、この表示に応じて入力されたユーザIDを付加情報として用いる。また、指定情報が、携帯電話機55の機種を指定している場合、CPU505は、機種情報格納領域520aから読み出した当該携帯電話機55の機種情報を付加情報として用いる。
【0175】
この後、CPU505は、2次元バーコードからデコードしたURLを用いてコンテンツサーバにコンテンツ取得要求を送信する(ステップS543)。このコンテンツ取得要求には、読み取られた2次元バーコードのバーコードIDと、上記ステップS542において取得した付加情報(時刻情報、位置情報、ユーザID、機種情報のいずれか1以上)とが含まれている。このコンテンツ取得要求は、移動パケット通信網40およびインターネット20を介してコンテンツサーバへ送信される。
【0176】
コンテンツサーバは、コンテンツ取得要求を受信すると、このコンテンツ取得要求に含まれているバーコードIDおよび付加情報に対応するコンテンツデータをメモリから読み出して(ステップS544)、このコンテンツデータを携帯電話機55へ送信する(ステップS545)。そして、携帯電話機55は、コンテンツサーバから受信したコンテンツデータを液晶画面に表示する(ステップS546)。
【0177】
例えば、コンテンツサーバのメモリに図26に示した構成で各コンテンツデータが記憶されており、携帯電話機55から受信したコンテンツ取得要求に、バーコードID“BC000001231”と、時刻情報“11:35”とが含まれている場合、コンテンツサーバは、“10:00?13:59”に対応するコンテンツデータを携帯電話機55へ送信し、このコンテンツデータが携帯電話機55の液晶画面に表示される。
【0178】
また、コンテンツサーバのメモリに図27に示した構成で各コンテンツデータが記憶されており、携帯電話機55から受信したコンテンツ取得要求に、バーコードID“BC00005497”と、東京都内に設置されている基地局の基地局IDとが含まれている場合、コンテンツサーバは、例えば、受信した基地局IDを位置情報サービスサーバに送信して緯度経度情報や住所などを得て、携帯電話機55が関東地区に位置していることを割り出し、“関東地区”に対応するコンテンツデータを携帯電話機55へ送信する。そして、このコンテンツデータが携帯電話機55の液晶画面に表示される。なお、コンテンツサーバが、基地局IDを緯度経度情報や住所に変換に変換する機能を有している場合などは、位置情報サービスサーバを利用する必要はない。
【0179】
このようにコンテンツサーバは、同じ2次元バーコードの読み取りに基づく携帯電話機55からのアクセスであっても、携帯電話機55が2次元バーコードの読み取りを行ったときの時刻や、2次元バーコードの読み取りを行ったときの携帯電話機55の位置、携帯電話機55を使用しているユーザ、携帯電話機55の機種などに応じて、提供するコンテンツを適宜異ならせることができる。また、携帯電話機55が読み取った2次元バーコードに応じたコンテンツをサーバから提供するので、コンテンツを2次元バーコードに記録情報として含ませてユーザに提供していた第5実施形態の場合に比べ、ユーザに提供するコンテンツのデータ量を飛躍的に増やせるので、例えば、動画像データやプログラムなども容易に提供可能である。
【0180】
さらに、コンテンツサーバにおいて、各携帯電話機55からのコンテンツ取得要求に含まれているバーコードIDおよび付加情報の集計・分析処理を行なうようにすれば、2次元バーコードの読み取りに基づいてコンテンツサーバへアクセスしてきたユーザについて、2次元バーコードの読み取りを行った時間帯や地域、携帯電話機55の機種など、コンテンツビジネスを行う上で有益な情報を得ることができる。
【0181】
なお、以上説明した第6実施形態では、2次元バーコード内に、携帯電話機55がコンテンツサーバへアクセスする際に必要となる付加情報(時刻、位置、ユーザID、機種)の種類を指定する指定情報が含まれている場合について説明した。しかしながら、2次元バーコード内に上述した指定情報を含まず、時刻や位置、機種やユーザID等の付加情報を携帯電話機55が自主的にコンテンツサーバへ送信する形態であってもよい。」

4 引用文献4(原査定における引用文献A)について

ア 原査定における拒絶の理由,及び当審拒絶理由に引用された引用文献4(特開2009-151699号公報)には,関連する図面とともに,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

E 「【0038】
さて、ステップS200にて、ローカルバーコードリーダ3(単に、バーコードリーダ3と呼ぶこともある。)は、ユーザの操作に応答して、バーコード7をスキャン及びデコードして、バーコード情報を取得する。そして、ステップS202にて、バーコードリーダ3は、コマンド、センタサーバ1のURL(Uniform Resource Locator)、自身に割り当てられているシリアル番号(例えば、1547121番)及びバーコード情報を端末5に送信する。
【0039】
ステップS204にて、端末5は、バーコードリーダ3が与えたコマンドに応答して、ブラウザを起動し、バーコードリーダ3が与えたURLに基づいて、センタサーバ1にアクセスして、バーコード情報及びシリアル番号をセンタサーバ1に送信する。
【0040】
センタサーバ1は、バーコード情報とシリアル番号とを関連付けたコードデータベース9を有している。ステップS206にて、センタサーバ1は、受信したバーコード情報をコードデータベース9から検索する。
【0041】
そして、センタサーバ1は、検索したバーコード情報にシリアル番号が関連付けて登録されており、かつ、そのシリアル番号が受信したシリアル番号と一致する場合、又は、検索したバーコード情報にシリアル番号が関連付けて登録されていない場合、バーコード7がオリジナルであるとみなし、本システムによるサービスを提供すべく、次のステップS208へ進む。
【0042】
一方、センタサーバ1は、検索したバーコード情報にシリアル番号が関連付けて登録されており、かつ、そのシリアル番号が受信したシリアル番号と不一致の場合、バーコード7がオリジナルの複製であるとみなし、本システムによるサービスを拒絶すべく、端末5へエラーメッセージを返す。
【0043】
センタサーバ1は、シリアル番号とコンテンツサーバC-0?C-MのURL(www.yyy0.or.jp?www.yyyM.or.jp)とを関連付けたURLデータベース11を有している。ステップS208では、センタサーバ1は、URLデータベース11から、端末5が送信したシリアル番号(例えば、1547121番)が割り当てられたURL(例えば、www.yyy0.or.jp)を検索する。そして、ステップS210にて、センタサーバ1は、検索したURLを端末5から受信したバーコード情報と共に、端末5に送信する。」

5 原査定における引用文献Bについて

ア 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献B(特開2014-144349号公報)には,関連する図面とともに,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

F「【0086】
次に、ゲームサーバ20のCPU21は、エントリーデータに記録されたユーザIDに対応するユーザのうち、通信端末10が、野球の試合(イベント)の試合時間帯(イベント期間内)にスタジアム(所定領域)に存在するユーザを抽出する(ステップS230)。具体的に説明すると、CPU21は、エントリーデータに記録されたユーザIDごとに、現在位置データ内の当該ユーザIDに対応する最新の位置情報の緯度及び経度がスタジアム内に含まれ、且つ、当該ユーザIDに対応する最新の位置情報の取得日時が野球の試合時間帯に含まれるか否かを判別する。ここで、CPU21は、最新の位置情報の緯度及び経度がスタジアム内に含まれ、且つ、最新の位置情報の取得日時が野球の試合時間帯に含まれる場合、当該ユーザIDに対応するユーザの通信端末10が試合時間帯にスタジアム内に存在すると判別する。そして、CPU21は、試合時間帯にスタジアム内に存在すると判別された通信端末10に対応するユーザIDをエントリーデータから抽出する。
【0087】
次いで、CPU21は、抽出したユーザの仲間の数に応じて、当選確率を変動する(ステップS240)。具体的に説明すると、CPU21は、ステップS230にて抽出したユーザIDのユーザデータを参照し、当該ユーザIDに対応する仲間ユーザの数を取得する。そして、CPU21は、抽選制御データを参照して当該ユーザIDに対応するユーザの当選確率の調整値を決定する。そして、CPU21は、決定した当選確率の調整値を、エントリーデータ内の当該ユーザIDに対応する当選確率の値に加算する。
【0088】
次に、CPU21は、エントリーデータに記録されたユーザIDに対応するユーザごとに、抽選処理を行う(ステップS250)。なお、抽選処理における抽選方法は、上述したとおりである。この場合、CPU21は、エントリーデータのユーザIDに対応する当選確率にデフォルト値(図11の例では30%)以外の値が設定されている場合には、記録された値に基づいて当選確率を調整した上で抽選処理を行う。
【0089】
そして、CPU21は、抽選に当選したユーザに対して特典を付与する(ステップS260)。例えば、所定量の強化ポイントが特典として付与される場合、CPU21は、付与対象となるユーザのユーザIDのユーザデータにおける強化ポイントを書き換える処理
(所定量の強化ポイントを加算する処理)を行ってよい。
また、CPU21は、抽選にエントリーしたユーザに抽選結果を通知するためのウェブページを表示するためのHTMLデータを生成し、抽選にエントリーした全てのユーザの通信端末10宛に送信する(ステップS270)。ここで、CPU21は、抽選に当選したユーザに対して抽選結果を通知する場合、通知用のウェブページには、例えば「おめでとうございます。抽選に当選しましたので、プレゼントを贈ります。」などのメッセージが含まれてもよい。一方、CPU21は、抽選に当選しなかったユーザに対して抽選結果を通知する場合、通知用のウェブページには、例えば「ごめんなさい。残念ですが抽選に外れてしまいました。」などのメッセージが含まれてもよい。また、CPU21は、例えば抽選にエントリーしたことに対する報酬として、抽選に当選しなかったユーザに対して所定量のポイントやアイテムなどを付与してもよい。」

第6 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

ア 本願発明1と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「バーコード」,「携帯電話機」は,それぞれ,本願発明1の「情報コード」,「情報処理端末」に相当する。また,引用発明の「携帯電話機もブラウザ端末としてインターネットを介してデータ通信を行い」との記載,「コンテンツURL通知装置も基本的にはWebサーバーとして機能し」との記載,及び,「携帯電話機より送出されたHTTPリクエストは,コンテンツURL通知装置の所定のCGIに送達され」との記載から,引用発明の「コンテンツURL通知装置」は,携帯電話機と通信可能なサーバであるといえる。そして,引用発明の「バーコードリーダーは,接続相手の携帯電話機と通信し,」「操作キーを押すと,バーコードが読み取られて」「中央制御部に転送され,」「中央制御部は,転送されてきたコードをコンテンツIDとして取得し,」との記載,「携帯電話機より送出されたHTTPリクエストは,コンテンツURL通知装置の所定のCGIに送達され」との記載,及び,「前記CGIは,送達されたHTTPリクエスト中のコンテンツID」「を」「照会し」との記載から,引用発明の「携帯電話機」及び「コンテンツURL通知装置」は,情報コードの読み取りのためのシステムにおける要素であるといえる。
してみると,引用発明と本願発明1とは,後記する点で相違するものの,“情報処理端末と,前記情報処理端末と通信可能なサーバとを備える情報コード読取システム”である点で共通する。

(イ)引用発明の「バーコードは,取り寄せ対象のWebコンテンツのURLではなく,各Webコンテンツに唯一付与されるコンテンツIDを表現しており」との記載,及び上記(ア)の検討内容を踏まえると,引用発明のバーコードは,情報コードといえるものであるところ,当該情報コードを他の情報コードと識別するためのコード識別情報が記録されているものであるといえる。
してみると,引用発明と本願発明1とは,後記する点で相違するものの,“情報コードには,当該情報コードを他の情報コードと識別するためのコード識別情報が記録されて”いる点で共通する。

(ウ)引用発明の「バーコードリーダー」は,本願発明1の「情報コードを撮像する撮像手段」に相当する。また,引用発明の「バーコードリーダーは,コネクタが配設され,このコネクタを携帯電話機の端部に配設されているデータ入出力用コネクタに接続して使用し」との記載から,引用発明の携帯電話機は,そのデータ入出力用コネクタに,バーコードを撮像する撮像手段を備えているといえる。
さらに,引用発明の「携帯電話機が記憶している機種コード」との記載,及び,「機種コードをブラウザ端末特定情報とすることもでき」との記載から,引用発明の「機種コード」は,携帯電話機が備えるRAMに記憶される,当該携帯電話機を他の携帯電話機と識別するための端末識別情報であるといえる。
加えて,引用発明の「バーコードリーダーは,接続相手の携帯電話機と通信し,」「操作キーを押すと,バーコードが読み取られて」「中央制御部に転送され,」「中央制御部は,転送されてきたコードをコンテンツIDとして取得し,」との記載から,引用発明の「コンテンツID」は,撮像手段によりバーコードを撮像することで得られる取得情報であるといえる。
そして,引用発明の「携帯電話機より送出されたHTTPリクエストは,コンテンツURL通知装置の所定のCGIに送達され」との記載,「前記CGIは,送達されたHTTPリクエスト中のコンテンツIDとリーダー端末IDとをこのURLリストに照会し,該当のコンテンツURLを特定するとともに,このコンテンツURLを含んだHTTPレスポンスを携帯電話機に宛ててインターネットに送出する処理を実行し」との記載,「本実施例は,リーダー端末IDをブラウザ端末を特定するための情報としており」「バーコードリーダーがブラウザ端末から取得した機種コードをブラウザ端末特定情報とすることもでき」との記載,「携帯電話機にコンテンツURL通知装置からのHTTPレスポンスが送達されると,ブラウザはこのレスポンス中に記載されているコンテンツURLを表示出力し」との記載から,引用発明の携帯電話機は,コンテンツURL通知装置と通信する通信手段と,撮像手段によりバーコードを撮像することで得られる取得情報と機種コードとを前記通信手段によりコンテンツURL通知装置に送信し,この送信に応じて前記通信手段により前記コンテンツURL通知装置から受信した情報に基づく処理を行う制御手段と,を備えているといえる。
してみると,上記(ア)の検討内容を踏まえると,引用発明と本願発明1とは,後記する点で相違するものの,“情報処理端末は,他の情報処理端末と識別するための端末識別情報が記憶される記憶手段と,前記情報コードを撮像する撮像手段と,前記サーバと通信する通信手段と,前記撮像手段により前記情報コードを撮像することで得られる取得情報と前記端末識別情報とを前記通信手段により前記サーバに送信し,この送信に応じて前記通信手段により前記サーバから受信した情報に基づく処理を行う制御手段と,を備え”ている点で共通する。

(エ)引用発明の「コンテンツURL通知装置は,携帯電話機に送達される全Webコンテンツについて,携帯電話機の機種に応じて指定すべきURL(コンテンツURL)を対応付けした機種別URLリストを記憶しており」との記載,「コンテンツID毎に機種コードとコンテンツURLとを対応付けした機種別URLリスト」との記載から,引用発明の「コンテンツURL通知装置」は,携帯電話機からの情報を受信する受信手段と,前記受信手段により受信された取得情報からコード識別情報を取得する取得手段と,前記取得手段により取得された前記コード識別情報に関連付けられる複数の処理のうちから,前記受信手段による受信により得られた一組の端末識別情報およびコード識別情報に基づいて1つの処理を選択する選択手段と,前記選択手段により選択された処理に関する選択情報を含めた情報を前記携帯電話機に送信する送信手段と,を備えているといえる。
してみると,上記(ア)ないし(ウ)の検討内容を踏まえると,引用発明と本願発明1とは,後記する点で相違するものの,“サーバは,情報処理端末からの情報を受信する受信手段と,前記受信手段により受信された取得情報からコード識別情報を取得する取得手段と,前記取得手段により取得された前記コード識別情報に関連付けられる複数の処理のうちから,前記受信手段による受信により得られた一組の端末識別情報およびコード識別情報に基づいて1つの処理を選択する選択手段と,前記選択手段により選択された処理に関する選択情報を含めた情報を前記情報処理端末に送信する送信手段と,を備え”ている点で共通する。

イ 以上から,本願発明1と引用発明とは,以下の点で一致し,また,以下の点で相違する。

(一致点)

情報処理端末と,前記情報処理端末と通信可能なサーバとを備える情報コード読取システムであって,
情報コードには,当該情報コードを他の情報コードと識別するためのコード識別情報が記録されており,
前記情報処理端末は,他の情報処理端末と識別するための端末識別情報が記憶される記憶手段と,
前記情報コードを撮像する撮像手段と,
前記サーバと通信する通信手段と,
前記撮像手段により前記情報コードを撮像することで得られる取得情報と前記端末識別情報とを前記通信手段により前記サーバに送信し,この送信に応じて前記通信手段により前記サーバから受信した情報に基づく処理を行う制御手段と,
を備え,
前記サーバは,
前記情報処理端末からの情報を受信する受信手段と,
前記受信手段により受信された前記取得情報から前記コード識別情報を取得する取得手段と,
前記取得手段により取得された前記コード識別情報に関連付けられる複数の処理のうちから,前記受信手段による受信により得られた一組の前記端末識別情報およびコード識別情報に基づいて1つの処理を選択する選択手段と,
前記選択手段により選択された処理に関する選択情報を含めた情報を前記情報処理端末に送信する送信手段と,
を備えることを特徴とする情報コード読取システム。

(相違点1)

本願発明1が,「情報コードを撮像可能な情報処理端末」を備えるものであるのに対し,引用発明の「携帯電話機」は,データ入出力用コネクタに,バーコードを撮像する撮像手段を備えているものであるが,携帯電話機自体でバーコードを撮像することができることについてまでは明記されていない点。

(相違点2)

本願発明1が,「情報コードには、所定の情報に加えて当該情報コードを他の情報コードと識別するためのコード識別情報が記録されて」いるものであるのに対し,引用発明の「バーコード」は,「当該情報コードを他の情報コードと識別するためのコード識別情報が記録され」るものであるといえるが,「当該情報コードを他の情報コードと識別するためのコード識別情報」が,「所定の情報に加えて」記録されるものではない点。

(相違点3)

本願発明1が,「取得情報」と「端末識別情報」とを「デコードリクエストとして」「通信手段」により「サーバ」に送信し,「選択情報を含めた情報を」「デコードレスポンスとして」「情報処理端末に送信する」ものであるのに対し,引用発明は,コンテンツURL通知装置への情報の送信を「デコードリクエストとして」行うことや,携帯電話機への情報の送信を「デコードレスポンスとして」行うことについてまでは明記されていない点。

(相違点4)

本願発明1が,「前記取得手段は、前記受信手段により受信された前記取得情報を利用して前記情報コードから前記所定の情報および前記コード識別情報を解読する解読手段であって」,「前記送信手段は、前記情報処理端末に対して、前記選択情報に加えて前記解読手段により解読された前記所定の情報を含めた情報を送信する」ものであるのに対し,引用発明の「コンテンツURL通知装置」は,そのような特定がなされていない点。

(2)判断

事案に鑑みて,上記相違点4について先に検討する。相違点4に係る本願発明1の「前記取得手段は、前記受信手段により受信された前記取得情報を利用して前記情報コードから前記所定の情報および前記コード識別情報を解読する解読手段であって」,「前記送信手段は、前記情報処理端末に対して、前記選択情報に加えて前記解読手段により解読された前記所定の情報を含めた情報を送信する」という構成は,上記引用文献1-4,Bには記載されておらず,本願の出願日前において周知技術であるともいえない。
したがって,引用発明に基づいて,相違点4に係る本願発明1の構成とすることは,当業者が容易になし得ることであるとはいえない。

(3)小括

したがって,本願発明1は,他の相違点を検討するまでもなく,当業者であっても引用発明,引用文献2-4,Bに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2-6について

本願発明2-6は,直接・間接に本願発明1を引用するものであり,本願発明1の「前記取得手段は、前記受信手段により受信された前記取得情報を利用して前記情報コードから前記所定の情報および前記コード識別情報を解読する解読手段であって」,「前記送信手段は、前記情報処理端末に対して、前記選択情報に加えて前記解読手段により解読された前記所定の情報を含めた情報を送信する」ことと同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同様の理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2-4,Bに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 原査定についての判断
令和2年7月20日付けの補正により,補正後の請求項1-6は,「前記取得手段は、前記受信手段により受信された前記取得情報を利用して前記情報コードから前記所定の情報および前記コード識別情報を解読する解読手段であって」,「前記送信手段は、前記情報処理端末に対して、前記選択情報に加えて前記解読手段により解読された前記所定の情報を含めた情報を送信する」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は,引用文献A(当審拒絶理由における引用文献4),Bには記載されておらず,本願出願日前における周知技術でもないので,本願発明1-6は,当業者であっても,原査定における引用文献A,Bに基づいて,容易に発明できたものではない。したがって,原査定を維持することはできない。

第8 むすび

以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

 
審決日 2020-09-01 
出願番号 特願2015-151481(P2015-151481)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 梅沢 俊  
特許庁審判長 田中 秀人
特許庁審判官 山崎 慎一
小林 秀和
発明の名称 情報コード読取システム  
代理人 田下 明人  

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