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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  E04H
審判 全部申し立て 2項進歩性  E04H
管理番号 1366080
異議申立番号 異議2019-700700  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-10-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-09-05 
確定日 2020-08-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6480066号発明「機械式駐車装置の安全確認システム、機械式駐車装置、安全確認方法、及び安全確認プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6480066号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕、9、10について訂正することを認める。 特許第6480066号の請求項1、2、4ないし10に係る特許を維持する。 特許第6480066号の請求項3に係る特許についての特許異議申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6480066号の請求項1ないし10に係る特許についての出願は、平成30年7月2日に出願され、平成31年2月15日にその特許権の設定登録がされ、平成31年3月6日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和 1年 9月 5日 :特許異議申立人籾井孝文(以下「申立人」 という。)による請求項1?10に係る
特許に対する特許異議の申立て
令和 1年11月 8日付け:取消理由通知書(11月13日発送)
令和 2年 1月14日 :特許権者による意見書及び訂正請求書
の提出
令和 2年 3月 9日 :申立人による意見書の提出
令和 2年 3月27日付け:取消理由通知書<決定の予告>
(4月2日発送)
令和 2年 5月28日 :特許権者による意見書及び訂正請求書
の提出
なお、令和2年1月14日に行った訂正請求は、その後、令和2年5月28日に行った訂正請求によって、取り下げられたものとみなす。(特許法第120条の5第7項)


第2 本件訂正請求について
1 訂正の内容
令和2年5月28日に行った訂正請求(「本件訂正請求」という。)による訂正の内容(以下「本件訂正」という。)は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を、
「車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域を有する機械式駐車装置の安全確認システムであって、
前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、
前記監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部と、
前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導する誘導手段と、
前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画に配置された前記センサを有効化する制御部と、
を備える機械式駐車装置の安全確認システム。」
に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1から3のいずれか1項に記載」とあるのを「請求項1又は2に記載」と訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に、
「前記乗降領域は、前記車両の進入方向に対して前側乗降領域と奥側乗降領域とに分割されており、
前記制御部は、前記奥側乗降領域において入出庫が行われる場合に、前記奥側乗降領域に設定されたすべての前記監視区画の前記センサが有効化となった後、前記前側乗降領域における前記操作部の入力を受け付ける請求項1から4のいずれか1項に記載の機械式駐車装置の安全確認システム。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、
「車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域を有する機械式駐車装置の安全確認システムであって、
前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、
前記監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部と、
前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画に配置された前記センサを有効化する制御部と、
を備え、
前記乗降領域は、前記車両の進入方向に対して前側乗降領域と奥側乗降領域とに分割されており、
前記制御部は、前記奥側乗降領域において入出庫が行われる場合に、前記奥側乗降領域に設定されたすべての前記監視区画の前記センサが有効化となった後、前記前側乗降領域における前記操作部の入力を受け付ける機械式駐車装置の安全確認システム。」
に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1から4のいずれか1項に記載」とあるのを「請求項1、2、4のいずれか1項に記載」に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項7に、
「前記乗降領域は、前記車両の入庫及び出庫の少なくともいずれかが可能な複数の領域が横列方向に単列配置された単位列が、縦列方向に複数配置されており、
前記監視区画は、各前記単位列において、前記車両の進入方向に対して前方監視区画と奥方監視区画とを含んでおり、
前記奥方監視区画に対応する前記操作部は、前記乗降領域の内部であって、前記奥方監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置されている請求項1から4のいずれか1項に記載の機械式駐車装置の安全確認システム。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、
「車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域を有する機械式駐車装置の安全確認システムであって、
前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、
前記監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部と、
前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画に配置された前記センサを有効化する制御部と、
を備え、
前記乗降領域は、前記車両の入庫及び出庫の少なくともいずれかが可能な複数の領域が横列方向に単列配置された単位列が、縦列方向に複数配置されており、
前記監視区画は、各前記単位列において、前記車両の進入方向に対して前方監視区画と奥方監視区画とを含んでおり、
前記奥方監視区画に対応する前記操作部は、前記乗降領域の内部であって、前記奥方監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置されている機械式駐車装置の安全確認システム。」
に訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項8に「請求項1から7のいずれか1項に記載」とあるのを「請求項1、2、4から7のいずれか1項に記載」に訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項9を、
「車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域において、前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、前記監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部とを有する機械式駐車装置の安全確認方法であって、
前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導し、前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画に配置された前記センサを有効化する機械式駐車装置の安全確認方法。」
に訂正する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項10を、
「車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域において、前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、前記監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部とを有する機械式駐車装置の安全確認プログラムであって、
前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導する処理と、
前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画に配置された前記センサを有効化する処理と、
をコンピュータに実行させるための機械式駐車装置の安全確認プログラム。」
に訂正する。

2 訂正の適否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明を特定する事項である「機械式駐車装置の安全確認システム」に、「前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導する誘導手段」を加える訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項1は、上記アのとおり特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ 新規事項
本件訂正前の請求項3に「前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導する誘導手段を備える請求項1または2に記載の機械式駐車装置の安全確認システム。」と記載されていることからみて、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(2)訂正事項2
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項3の記載を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。

(3)訂正事項3
ア 訂正の目的
訂正事項3は、訂正前の請求項4が請求項1から3のいずれか1項の記載を引用するものであったところ、上記訂正事項2に伴って削除された請求項3の記載を引用しないものに改める訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張、変更及び新規事項
訂正事項3は、上記アのとおり、上記訂正事項2に伴って削除された請求項3の記載を引用しないものに改める訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。

(4)訂正事項4
ア 訂正の目的
訂正事項4は、訂正前の請求項5が請求項1から4のいずれか1項の記載を引用するものであったところ、請求項1から4のうち請求項1の記載を引用するものについて独立形式の請求項に改める訂正であるから、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張、変更及び新規事項
訂正事項4は、上記アのとおり、請求項1から4のうち請求項1の記載を引用するものについて独立形式の請求項に改める訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。

(5)訂正事項5
ア 訂正の目的
訂正事項5は、訂正前の請求項6が請求項1から4のいずれか1項の記載を引用するものであったところ、上記訂正事項2に伴って削除された請求項3の記載を引用しないものに改める訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張、変更及び新規事項
訂正事項5は、上記アのとおり、上記訂正事項2に伴って削除された請求項3の記載を引用しないものに改める訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。

(6)訂正事項6
ア 訂正の目的
訂正事項6は、訂正前の請求項7が請求項1から4のいずれか1項の記載を引用するものであったところ、請求項1から4のうち請求項1の記載を引用するものについて独立形式の請求項に改める訂正であるから、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張、変更及び新規事項
訂正事項6は、上記アのとおり、請求項1から4のうち請求項1の記載を引用するものについて独立形式の請求項に改める訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。

(7)訂正事項7
ア 訂正の目的
訂正事項7は、訂正前の請求項8が請求項1から7のいずれか1項の記載を引用するものであったところ、上記訂正事項2に伴って削除された請求項3の記載を引用しないものに改める訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張、変更及び新規事項
訂正事項7は、上記アのとおり、上記訂正事項2に伴って削除された請求項3の記載を引用しないものに改める訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。

(8)訂正事項8
ア 訂正の目的
訂正事項8は、訂正前の請求項9に係る発明を特定する事項である「機械式駐車装置の安全確認方法」に、「前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導」することを加える訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項8は、上記アのとおり特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ 新規事項
本件訂正前の請求項3に「前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導する誘導手段を備える請求項1または2に記載の機械式駐車装置の安全確認システム。」と記載されていることからみて、訂正事項8は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(9)訂正事項9
ア 訂正の目的
訂正事項9は、訂正前の請求項10に係る発明を特定する事項である「機械式駐車装置の安全確認プログラム」に、「前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導する処理」を加える訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項9は、上記アのとおり特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ 新規事項
本件訂正前の請求項3に「前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導する誘導手段を備える請求項1または2に記載の機械式駐車装置の安全確認システム。」と記載されていることからみて、訂正事項9は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(10)一群の請求項について
訂正前の請求項1?8について、請求項2?8は請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1の訂正によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1?8に対応する訂正後の請求項1?8は、一群の請求項である。

3 訂正請求のまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?8〕、9、10について訂正することを認める。


第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし10に係る発明(以下、「本件発明1」等といい、全体を「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域を有する機械式駐車装置の安全確認システムであって、
前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、
前記監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部と、
前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導する誘導手段と、
前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画に配置された前記センサを有効化する制御部と、
を備える機械式駐車装置の安全確認システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記センサを作動させること、または前記センサの検知結果を初期化することによって、前記センサを有効化する請求項1に記載の機械式駐車装置の安全確認システム。
【請求項3】(削除)
【請求項4】
前記制御部は、全ての前記センサが有効化される前に有効化された前記センサが物体を検知した場合には、物体を検知した前記センサの有効化を解除し、対応する前記監視区画の安全確認を促す請求項1又は2に記載の機械式駐車装置の安全確認システム。
【請求項5】
車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域を有する機械式駐車装置の安全確認システムであって、
前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、
前記監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部と、
前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画に配置された前記センサを有効化する制御部と、
を備え、
前記乗降領域は、前記車両の進入方向に対して前側乗降領域と奥側乗降領域とに分割されており、
前記制御部は、前記奥側乗降領域において入出庫が行われる場合に、前記奥側乗降領域に設定されたすべての前記監視区画の前記センサが有効化となった後、前記前側乗降領域における前記操作部の入力を受け付ける機械式駐車装置の安全確認システム。
【請求項6】
前記乗降領域は、前記車両の入庫及び出庫の少なくともいずれかが可能な複数の領域が横列方向に単列配置された単位列となっており、
前記監視区画は、前記単位列における前記車両の進入方向に対して前方監視区画と奥方監視区画とを含んでおり、
前記奥方監視区画に対応する前記操作部は、前記乗降領域の内部であって、前記奥方監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置されている請求項1、2、4のいずれか1項に記載の機械式駐車装置の安全確認システム。
【請求項7】
車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域を有する機械式駐車装置の安全確認システムであって、
前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、
前記監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部と、
前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画に配置された前記センサを有効化する制御部と、
を備え、
前記乗降領域は、前記車両の入庫及び出庫の少なくともいずれかが可能な複数の領域が横列方向に単列配置された単位列が、縦列方向に複数配置されており、
前記監視区画は、各前記単位列において、前記車両の進入方向に対して前方監視区画と奥方監視区画とを含んでおり、
前記奥方監視区画に対応する前記操作部は、前記乗降領域の内部であって、前記奥方監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置されている機械式駐車装置の安全確認システム。
【請求項8】
請求項1、2、4から7のいずれか1項に記載の機械式駐車装置の安全確認システムを備える機械式駐車装置。
【請求項9】
車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域において、前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、前記監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部とを有する機械式駐車装置の安全確認方法であって、
前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導し、前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画に配置された前記センサを有効化する機械式駐車装置の安全確認方法。
【請求項10】
車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域において、前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、前記監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部とを有する機械式駐車装置の安全確認プログラムであって、
前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導する処理と、
前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画に配置された前記センサを有効化する処理と、
をコンピュータに実行させるための機械式駐車装置の安全確認プログラム。」


第4 取消理由の概要
請求項1、2、4、6、8?10に係る特許に対して、当審が令和2年3月27日付けの取消理由通知書<決定の予告>において特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

「本件発明1は、甲第1号証、甲第2号証または甲第3号証に記載された発明であるか、甲第1号証、甲第2号証または甲第3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明2は、甲第1号証、甲第2号証または甲第3号証に記載された発明であるか、または、甲第1号証、甲第2号証または甲第3号証に記載された発明、及び甲第5号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明4は、甲第1号証または甲第2号証に記載された発明であるか、または、甲第1号証または甲第2号証に記載された発明、及び甲第5号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明6は、甲第1号証及び甲第3号証に記載された発明、及び甲第5号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明8は、甲第1号証、甲第2号証または甲第3号証に記載された発明であるか、もしくは、甲第1号証、甲第2号証または甲第3号証に記載された発明、及び甲第5号証に記載の技術事項に基いて、または、甲第1号証及び甲第3号証に記載された発明、及び甲第5号証に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明9、10は、甲第1号証、甲第2号証または甲第3号証に記載された発明であるか、甲第1号証、甲第2号証または甲第3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
甲第1号証:特開2016-102343号公報
甲第2号証:特開2017-14841号公報
甲第3号証:特開2016-56512号公報
甲第5号証:特開2018-53663号公報」

なお、特許異議申立書で提示された甲第4号証(2015-48595号公報)及び甲第6号証(特開2013-30038号公報)は引用していない。


第5 証拠の記載
上記の甲第1号証ないし甲第6号証には、以下の事項が記載されている。
(1)甲第1号証
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、立体駐車装置の無人確認システム、この無人確認システムを備える立体駐車装置、及び、立体駐車装置の無人確認方法に関するものである。」

イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した立体駐車装置は、駐車装置内の無人確認を、装置の操作者自身の判断により目視で行うのが現状である。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、立体駐車装置内の無人確認の負担を軽減すると共に、より確実に無人確認を行うことにある。」

ウ 「【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、図面の全体にわたって、同一部分は同一符号で示している。又、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の無人確認システム10と、この無人確認システム10を備えた立体駐車装置30との構成の一例を示している。なお、図1において、一点鎖線で囲まれた部位が、立体駐車装置の無人確認システム10に含まれる部位である。又、図2、図3は、無人確認システム10を備えた立体駐車装置30の構造の一例を示している。
【0027】
まず、図1?図3を参照して、立体駐車装置30について概略的に説明すると、立体駐車装置30は、複数の支柱42a?42hと複数の梁44とによって構成された略矩形の構造体に、複数の可動式パレット32が移動可能に支持された構造である。図2の例では、立体駐車装置30は、地上4段3連基(図2中上下方向に4段、左右方向に3列)の構造であり、複数の可動式パレット32として、9基の可動式パレット32a?32iを備えている。更に、立体駐車装置30は、開閉ゲート34、操作盤36、装置制御部38、駆動部40を備えている。
【0028】
・・・
【0029】
続いて、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の無人確認システム10について説明する。図1及び図2に示すように、立体駐車装置の無人確認システム10は、複数のセンサ12、複数の入力操作部16、システム制御部18を含んでいる。複数のセンサ12は、車両を入出庫する高さにある各可動式パレット32の周辺の物体を検知するものである。図2の例では、車両を入出庫する高さにある3基の可動式パレット32a?32cの周辺に、複数のセンサ12として、各々が投光部と受光部との組から成る複数の光電センサが設置されている。更に、無人確認システム10は、ゲート前面センサ20及びゲート後面センサ22を含んでおり、これらのセンサも、投光部と受光部との組の光電センサで構成されている。
【0030】
・・・
【0031】
・・・
【0032】
又、複数の入力操作部16の各々は、入力を促す表示が可能な表示部14を備えており、詳しくは後述するが、立体駐車装置30内の少なくとも一部についての無人確認済入力操作が行われるものである。又、後述するシステム制御部18の制御によって表示部14が表示状態にされ、無人確認済入力操作が行われると表示部14が非表示状態になる。・・・
【0033】
・・・
【0034】
・・・
【0035】
まず、図6(a)の平面イメージ図に示す構成を含む、無人確認システム10及び立体駐車装置30の構成を説明する。本説明における立体駐車装置30は、図6中左右方向に8基の可動式パレット32を収容する8連基の構造(高さ方向の段数は任意)であり、図6(a)では、8基の可動式パレット32A?32Hが車両を入出庫する高さに位置した状態である。更に、開閉ゲート34は各連ゲートであり、車両を入出庫する高さにある8基の可動式パレット32A?32Hに対して、8つの開閉ゲート34a?34hが設置されている。又、立体駐車装置30の周囲には、駐車装置30内への人の侵入等を制限する高さで、柵Fが設けられている。一方、このような立体駐車装置30に設置されている無人確認システム10は、複数の入力操作部16として、8基の可動式パレット32A?32Hの側部に対応する位置に、9つの入力操作部16a?16iを備えている。又、複数のセンサ12として、8基の可動式パレット32A?32Hの後部を検知する後部センサ24と、8基の可動式パレット32A?32Hの側部を検知する9つの側部センサ50?58とを備えている。又、図6、図7では、後部センサ24及び側部センサ50?58による検知範囲24s及び50s?58sを、矢印で図示している。なお、図6、図7では、駐車装置30の使用者や、駐車装置30に立ち入っている人を、符号Hで示している。
【0036】
以下、図4のフロー図に示す工程毎に説明する。
・・・
【0037】
・・・
【0038】
S40(開閉ゲート開):上記S20で呼び出された可動式パレット32xが、車両を入出庫可能な位置まで移動した後に、装置制御部38により駆動部40を制御して、開閉ゲート34を上昇させ、可動式パレット32xに車両を入出庫できる状態にする。例えば、図6(a)に示した可動式パレット32Cが、上記S20で呼び出した可動式パレットである場合は、可動式パレット32Cの前方(図6(a)中下方)にある開閉ゲート34cを上昇させて、図6(b)に示すように、可動式パレット32Cに車両を入出庫できる状態にする。
なお、開閉ゲート34cが開けられた時点で、可動式パレット32Cの側部に対応する位置に設置されている2つの入力操作部16c、16dの表示部14が、システム制御部18の制御により表示状態(ハッチングで示す)にされる(図5のS210及びS230参照)。
【0039】
S50(車両の入出庫):立体駐車装置30の使用者Hにより、車両が入出庫可能な状態にある可動式パレット32Cに対して、車両を入出庫する。
S60(無人確認実施、無人確認済入力操作):立体駐車装置30内の無人確認と、無人確認済入力操作とを行う。すなわち、上記S40において開閉ゲート34cが開けられた状態では、立体駐車装置30内に人が立ち入っていることが考えられ、又、入庫した車両から人が降りて立体駐車装置30内に残っていることが考えられる。このため、複数の入力操作部16a?16iの表示部14の表示・非表示状態に基づいて、使用者Hにより立体駐車装置30内の無人確認を行う。
【0040】
例えば、図6(b)に示すように、複数の入力操作部16a?16iのうち、入力操作部16c、16dの表示部14が表示状態である場合には、入力操作部16c、16dの間にある可動式パレット32Cに、人が立ち入っている可能性があるため、使用者Hは、入力操作部16c、16dの近傍まで移動して、可動式パレット32Cの位置を中心に、立体駐車装置30内の無人確認を行う。そして、可動式パレット32Cの近傍に、人が立ち入っていないことを確認したら、無人確認を行ったことを示す入力操作を、表示部14が表示状態である入力操作部16c、16dに対して行う。このような無人確認と無人確認済入力操作とを、表示部14が表示状態にされた入力操作部16の数だけ繰り返し行う。
なお、表示部14が表示状態である入力操作部16に対して、無人確認済入力
操作が行われると、表示状態であった入力操作部16の表示部14が非表示状態
になる(図5のS240及びS250参照)。
【0041】
S70(表示状態判定):システム制御部18により、表示部14が表示状態にされた全ての入力操作部16の、表示部14が非表示状態にされたか否かを判定する。例えば、図6(b)に示すように、2つの入力操作部16c、16dの表示部14が表示状態にされていた状態では、上記S60を経て、2つの入力操作部16c、16dの双方の表示部14が非表示状態にされたか否かを判定する。そして、表示部14が表示状態にされた全ての入力操作部16の表示部14が非表示状態にされたと判定した場合(YES)には、S80へ移行し、表示部14が表示状態にされた全ての入力操作部16の表示部14が非表示状態にされていないと判定した場合(NO)には、S60へ復帰する。すなわち、表示部14が表示状態にされた全ての入力操作部16の表示部14が、上記S60を経て非表示状態にされるまで、次の処理S80への移行を待機する状態となる。
【0042】
S80(無人状態判断):上記S70において、表示部14が表示状態にされた全ての入力操作部16の表示部14が非表示状態にされたと判定した場合には、表示部14が表示状態にされた全ての入力操作部16に対して、無人確認済入力操作が行われたことを示している。このため、人が立ち入っている可能性のある全ての可動式パレット32を中心に、使用者Hによって立体駐車装置30内の無人確認が行われたものとして、システム制御部18により、立体駐車装置30内が無人状態であると判断する。
【0043】
S90(開閉ゲート閉操作):立体駐車装置30の使用者Hにより、操作盤36に対して、上記S40において開かれた開閉ゲート34cを閉じるための入力操作、例えば、タッチパネル式の入力操作が行われる。
なお、図4では、無人状態判断S80が行われた後に、開閉ゲートの閉操作S90が行われる順序で示しているが、無人状態判断S80が行われる前に、開閉ゲートの閉操作S90が行われることも想定される。この場合には、開閉ゲート34cの閉操作が入力されても、開閉ゲート34cの閉動作(S100)を実行させずに、システム制御部18による立体駐車装置30内が無人状態であるとの判断を、すなわち、表示部14が表示状態にされた全ての入力操作部16の表示部14が非表示状態にされることを待機する状態となる。
更に、後述する図5のフロー図の説明と併せて確認できるように、無人状態判断S80から下記の開閉ゲート閉動作S100までの処理の間に、複数のセンサ12(後部センサ24、側部センサ50?58)の何れかが物体を検知し、検知したセンサに関連付けられた入力操作部16の表示部14が表示状態にされた場合は、上記S60へ復帰する。なお、図4では、図示の便宜上、この復帰処理を、S80?S100からの1本の矢印でまとめて示している。
【0044】
S100(開閉ゲート閉):立体駐車装置30内が無人状態であると判断された後に、開閉ゲート34cの閉操作が入力された場合には、装置制御部38により駆動部40を制御して、開閉ゲート34cを下降させて閉じる。
S110(電源「切」操作):立体駐車装置30の電源を切る。この操作は、立体駐車装置30の使用者Hにより、例えば、操作盤36に対して電源「切」の鍵操作が行われることによって実行される。ここまでの工程により、立体駐車装置30に対して車両を入出庫する際の、無人確認システム10を利用した立体駐車装置30の無人確認方法を含む一連の主工程が終了となる。」

エ 図6は以下のとおり。



オ 上記アないしエからみて、甲第1号証には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認める。
「開閉ゲート34、操作盤36、装置制御部38、駆動部40を備え、左右方向に8基の可動式パレット32を収容する8連基の構造であり、車両を入出庫する高さにある8基の可動式パレット32A?32Hに対して、8つの開閉ゲート34a?34hが設置されている、立体駐車装置30の無人確認システム10であって、
無人確認システム10は、複数のセンサ12、複数の入力操作部16、システム制御部18を含んでおり、複数の入力操作部16として、8基の可動式パレット32A?32Hの側部に対応する位置に、9つの入力操作部16a?16iを備え、複数のセンサ12として、8基の可動式パレット32A?32Hの後部を検知範囲24sとして検知する後部センサ24と、8基の可動式パレット32A?32Hの側部を検知範囲50s?58sとして検知する9つの側部センサ50?58とを備えており、
前方にある開閉ゲート34cを上昇させた可動式パレット32Cの側部に対応する位置に設置されている2つの入力操作部16c、16dの表示部14が、システム制御部18の制御により表示状態にされ、
使用者Hにより、可動式パレット32Cに対して、車両を入出庫し、
使用者Hは、入力操作部16c、16dの近傍まで移動して、可動式パレット32Cの位置を中心に、立体駐車装置30内の無人確認を行って、人が立ち入っていないことを確認したら、入力操作を、表示部14が表示状態である入力操作部16c、16dに対して行って、表示状態であった入力操作部16の表示部14が非表示状態になり〔無人確認実施、無人確認済入力操作ステップ〕、
システム制御部18により、表示部14が表示状態にされた全ての入力操作部16の、表示部14が非表示状態にされたか否かを判定し、
表示部14が非表示状態に判定した場合には、システム制御部18により、立体駐車装置30内が無人状態であると判断し〔無人状態判断ステップ〕、
使用者Hにより、操作盤36に対して、開閉ゲート34cを閉じるための入力操作が行われ、装置制御部38により駆動部40を制御して、開閉ゲート34cを下降させて閉じる〔開閉ゲート閉動作ステップ〕ものであって、
上記〔無人状態判断ステップ〕から上記〔開閉ゲート閉動作ステップ〕までの処理の間に、複数のセンサ12(後部センサ24、側部センサ50?58)の何れかが物体を検知し、検知したセンサに関連付けられた入力操作部16の表示部14が表示状態にされた場合は、上記〔無人確認実施、無人確認済入力操作ステップ〕へ復帰する、
立体駐車装置30の無人確認システム10。」

(2)甲第2号証
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車設備の入出庫部内の安全を確認して運転盤による運転操作のロックを解除する安全確認装置に関する。」

イ 「【0010】
そこで、本発明は、運転盤を操作する者が異なる場合でも適切に安全確認を行って入出庫操作を行うことができる機械式駐車設備の安全確認装置を提供することを目的とする。」

ウ 「【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、機械式駐車設備1としてパレット式の駐車設備を例にして、入出庫部3に安全確認操作部としての安全確認ボタン20,21を備えさせた例を説明する。また、認定取扱者の認証を、「暗証番号」とした例で説明する。この「認定取扱者」は「登録者」でもあり、「利用者」でもある。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における前後左右方向の概念は、図1に示す入出庫扉5に向かった状態における前後左右方向の概念と一致するものとする。また、車両Vを矩形状枠として示す。
【0022】
[安全確認装置の構成]
図1は、この実施形態の機械式駐車設備1の入出庫部3を示す平面図であり、矩形状に形成された駐車塔2の正面側に入出庫口4が設けられ、この入出庫口4には入出庫扉5が備えられている。この入出庫口4の側方(図では右方)には、機械式駐車設備1の運転操作を行う運転盤7が設けられている。この実施形態では、この運転盤7と制御装置8が一体となった例を示している。制御装置8には、機械式駐車設備1の取扱いに関し、教育・訓練を受けて管理責任者から操作権限を与えられた認定取扱者が登録者として記憶されている。また、運転盤7は、認証装置も兼ねている。
【0023】
この機械式駐車設備1に備えられた安全確認装置10には、物体を検知する複数のセンサが設けられている。車両Vを入出庫させる車両配置部であるパレット6の左側方に左部センサ11が設けられ、右側方に右部センサ12が設けられている。また、パレット6の前方には、入出庫部3の左右方向全長で物体を検知する前部センサ13が設けられ、パレット6の前後方向の中間部分には、車両Vの有無を検知するための車両検知センサ16が設けられている。さらに、パレット6と入出庫扉5との間には、入出庫部3の左右方向全長で物体を検知する後部センサ14が設けられ、入出庫口4の部分には、入出庫扉5の外側で物体を検知する入出庫扉外センサ15が設けられている。
【0024】
そして、この実施形態では、上記入出庫部3であって、上記車両検知センサ16の前方の左右位置に、左安全確認ボタン20と、右安全確認ボタン21とが設けられている。これらの安全確認ボタン20,21は、車両Vが停車した状態で入出庫部3の全体を見渡せる位置に設ければよく、二点鎖線で示すように、入出庫口4の左位置に左安全確認ボタン20を設け、右位置に右安全確認ボタン21を設けるようにしてもよい。これらの安全確認ボタン20,21の配置は、入出庫部3の全体が見渡せる位置であれば、他の位置でもよい。安全確認ボタン(安全確認操作部)20,21は、IDカード確認器、IDリモコン確認器など、利用者が操作できるものであればよい。
【0025】
・・・
【0026】
さらに、上記左部センサ11及び右部センサ12と安全確認ボタン20,21とは、左部センサ11が検知したら、左安全確認ボタン20を有効にし、右部センサ12が検知したら右安全確認ボタン21を有効にするようにしてもよい。この「有効」とは、押すことにより「無効」状態に切り替えられる状態で、有効な安全確認ボタン20,21が存在する限り操作機能のロック及び運転操作のロックは解除できない状態を指す。「操作機能のロック」とは、運転操作、及び運転操作を許可するための第2認証の受付を禁止した状態をいう。ロック中でも、管理やメンテナンスのための特別な認証のみ受け付けられるようにしておくことができる。「有効」な安全確認ボタン20(21)を押すことにより、全て「無効」にすることで安全確認ボタン20(21)によるロックを解除できる。安全確認ボタン(安全確認操作部)20,21は、有効な状態か無効な状態かを目や耳で確認できるように、位置変化、発光色変化、ディスプレイによる文字や画像表示、音などで明示する機能を有していてもよい。
【0027】
両方の安全確認ボタン20,21が有効になる場合、有効状態A(それぞれ個別に押す必要がある)となる。但し、出庫時は、車両Vが入出庫部3から出て全体が目視可能となるため、有効状態B(どちらか一方を押せばよい)とする。入出庫部3の奥の前部センサ13が検知すると、左安全確認ボタン20及び右安全確認ボタン21を有効にする。但し、それまでに安全確認ボタン20,21のいずれか1方のみ有効になっていた場合は、有効状態Bとなる。既に安全確認ボタン20,21の両方が有効になっていた場合や、前部センサ13が検知後に、左部センサ11の組と、右部センサ12の組の検知していなかった方が検知した場合、有効状態Aに変わる。
【0028】
なお、駐車塔2の内部を見渡すことができる場合や、カメラとモニタによって確認できる場合、又は鏡等により直接目視できない部分を間接的に視認できるようになっている場合は、安全確認ボタン20,21を1つとしてもよいし、複数の安全確認ボタン20,21が有効な時でも、視認や確認が可能な安全確認ボタン20(21)を押すことで他の安全確認ボタン21(20)を合せて無効にできるようにしてもよい。
【0029】
また、安全確認ボタン20(21)を押した利用者が退出するまでに、左部センサ11又は右部センサ12、及び車両検知センサ16(出庫時のみ)が検知しても、再びこれらのセンサが有効にならないようにできる。例えば、一方の安全確認ボタン20(21)のみ有効の場合、一定の時間(例えば10秒?20秒)を経過していない、及び後部センサ14が検知した後、入出庫扉外センサ15の順に検知して、利用者の退出を検知していない、の両方を満足している間は、左部センサ11又は右部センサ12及び車両検知センサ16が利用者を検知しても無効にすることができる。この場合、押された安全確認ボタン20(21)の配置位置から、入出庫口4までの経路上に位置するセンサ11,(12),16のみを無効にしてもよい。
【0030】
なお、この間に入出庫扉外センサ15から後部センサ14の順に検知した場合は、入出庫部3に人が居ると判断して、左部センサ11又は右部センサ12の検知している側が再び有効になる。出庫時の、両方の安全確認ボタン20,21が有効状態Bで有効になっている場合も、これに準じる。
【0031】
また、同様に、両方の安全確認ボタン20,21が有効状態Aで有効な場合、安全確認ボタン20(21)を押した人を退出するまでに検知して再びこれらが有効とならないように、先に押された安全確認ボタン20(21)に対応する側の左部センサ11又は右部センサ12を、一定の時間(例えば10秒?20秒)を経過していない、及びその利用者の車両反対側ヘの移動を前部センサ13又は後部センサ14が検知していない、の両方の条件を満足している間は、利用者を検知しても無視するようにできる。この場合、押された安全確認ボタン20(21)の配置位置から、入出庫口4までの経路上に位置するセンサ11,(12),16のみを無効にしてもよい。この後は、上記の、一方の安全確認ボタン20(21)が有効な状態と同様に処理する。
【0032】
その後、安全確認ボタン20(21)が押され、すべての安全確認ボタン20(21)が無効となった状態で、後部センサ14が検知した後、入出庫扉外センサ15が順に検知して、その利用者の退出を検知することで、操作機能のロックが解除され、運転盤7に備えられた認証装置が有効となって第2認証を行い、その後、運転盤7に備えられた最終確認ボタン22が有効となる。この認証装置が「有効」とは、認証操作を受け付けることができる状態で、操作機能がロックされた状態では原則として無効となっている。最終確認ボタン22が「有効」とは、運転操作のロックを解除するための最終確認入力を受け付けることができる状態で、押して無効にすることにより運転操作のロックを解除できる状態をいう。そして、この最終確認ボタン22を押すことにより「運転操作のロック」が解除されて運転盤7から入出庫扉5の閉鎖操作などを行うことができる。
【0033】
・・・
【0034】
・・・
【0035】
さらに、安全確認ボタン20,21は、入出庫部3内(実線位置)又は入出庫口4の部分(二点鎖線位置)のどちらか一方又は両方に備えてもよい。また、入出庫部3の場合でも、車両検知センサ16よりも入出庫口4に近い位置でもよい。」

エ 「【0061】
また、この出庫制御の説明でも、入出庫部3の2箇所に安全確認ボタン20,21を設けた例としているが、安全確認ボタン20,21を、入出庫扉5の近傍の1箇所と、入出庫部3の対角線上に離れた複数箇所(例えば、前側と奥側の2箇所以上)とに設け、以下のように、条件に応じて使い分けるようにしてもよい。この使い分けとしては、通常時は入出庫扉5の近傍に設けた安全確認ボタンの入力のみで安全確認を行い、入出庫扉5の閉め忘れと推測される場合には、入出庫部3の対角線上に設けた安全確認ボタン20(21)を入力後、最後に入出庫扉5の近傍で安全確認ボタンを入力して退出するようにしてもよい。その後、運転盤7で最終確認ボタン22を押して暗証番号を入力(暗証番号を入力後、最終確認ボタン22を押してもよい)することで、入出庫扉5を閉鎖することができる。なお、「入出庫扉5の閉め忘れ」とは、上記入庫制御で説明しているため、説明は省略する。」

オ 図1は以下のとおり。



カ 上記アないしオからみて、甲第2号証には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認める。

「矩形状に形成された駐車塔2の正面側に入出庫口4が設けられ、この入出庫口4には入出庫扉5が備えられ、この入出庫口4の側方には、機械式駐車設備1の運転操作を行う運転盤7が制御装置8と一体で設けられた、機械式駐車設備1の入出庫部3において、
車両Vを入出庫させる車両配置部であるパレット6に対して、左側方に左部センサ11が、右側方に右部センサ12が、前方には、入出庫部3の左右方向全長で物体を検知する前部センサ13が、前後方向の中間部分には、車両Vの有無を検知するための車両検知センサ16が設けられ、さらに、パレット6と入出庫扉5との間には、入出庫部3の左右方向全長で物体を検知する後部センサ14が、入出庫口4の部分には、入出庫扉5の外側で物体を検知する入出庫扉外センサ15が設けられた、機械式駐車設備1に備えられた安全確認装置10であって、
入出庫部3には、上記車両検知センサ16の前方の左右位置であって、車両Vが停車した状態で入出庫部3の全体を見渡せる位置に、左安全確認ボタン20と、右安全確認ボタン21とが設けられており、
安全確認ボタン(安全確認操作部)20,21は、有効な状態か無効な状態かを目や耳で確認できるように、位置変化、発光色変化、ディスプレイによる文字や画像表示、音などで明示する機能を有しており、
さらに、上記左部センサ11及び右部センサ12と安全確認ボタン20,21とは、左部センサ11が検知したら、左安全確認ボタン20を有効にし、右部センサ12が検知したら右安全確認ボタン21を有効にするものであって、
「有効」な安全確認ボタン20(21)を押すことにより、全て「無効」にすることで安全確認ボタン20(21)によるロックを解除し、その後、運転盤7に備えられた最終確認ボタン22が有効となって、この最終確認ボタン22を押すことにより「運転操作のロック」が解除されて運転盤7から入出庫扉5の閉鎖操作などを行うことができるものであって、
両方の安全確認ボタン20,21が有効状態A(それぞれ個別に押す必要がある)で有効な場合、安全確認ボタン20(21)を押した人を退出するまでに検知して再びこれらが有効とならないように、先に押された安全確認ボタン20(21)に対応する側の左部センサ11又は右部センサ12を、一定の時間を経過していない、及びその利用者の車両反対側ヘの移動を前部センサ13又は後部センサ14が検知していない、の両方の条件を満足している間は、利用者を検知しても無視するようにでき、
また、安全確認ボタン20,21を、入出庫扉5の近傍の1箇所と、入出庫部3の対角線上に離れた複数箇所(例えば、前側と奥側の2箇所以上)とに設け、通常時は入出庫扉5の近傍に設けた安全確認ボタンの入力のみで安全確認を行い、入出庫扉5の閉め忘れと推測される場合には、入出庫部3の対角線上に設けた安全確認ボタン20(21)を入力後、最後に入出庫扉5の近傍で安全確認ボタンを入力して退出するようにしてもよい、
機械式駐車設備1に備えられた安全確認装置10。」

(3)甲第3号証
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車設備の駐車室に人が居ないことなどを確認して運転ロックを解除する安全確認装置に関する。」

イ 「【0010】
そこで、本発明は、機械式駐車設備の駐車室内における安全確認を、状況に応じて適切かつ迅速に行うことができる安全確認装置と、それを備えた機械式駐車設備を提供することを目的とする。」

ウ 「【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、駐車室の一面に入出庫口が設けられ、駐車室内に車両を駐車した場合、車両の左右位置に利用者が移動するエリアがある例を説明する。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における前後左右方向の概念は、図1に示す駐車室2の入出庫口3に向かった状態における前後左右方向の概念と一致するものとする。
【0036】
また、以下の実施形態では、安全確認操作部として安全確認ボタンを例にし、この安全確認ボタンを押す操作を例に説明する。安全確認操作部としては、引く操作、レバー式のように傾ける操作の操作部であってもよく、押す操作に限定されるものではない。
【0037】
図1に示すように、この実施形態の機械式駐車設備1における駐車室2は、一面に設けられた入出庫口3から車両V(以下の図では、四角で示す)を入出庫させ、中央部に設けられた車両配置部(例えば、パレット)5に停車させるようになっている。入口扉4が設けられた入出庫口3の一側方には、操作盤6が設けられており、この操作盤6によって入出庫操作が行なわれる。この実施形態では、操作盤6と制御装置7とが一体となった例としている。
【0038】
そして、この機械式駐車設備1の以下に説明する安全確認装置10?16には、上記駐車室2の内部に設定された複数の検知エリア20?23と、それぞれの検知エリア20?23毎に設けられた物体を検知するセンサ30?33(34?37)と、運転ロックを解除するために設けられた複数の安全確認ボタン50,51(52?54)とが備えられている。
【0039】
<第1実施形態>
図1に示す第1実施形態の安全確認装置10は、車両Vを入庫させる車両配置部5の左側方に左検知エリア20が設定され、右側方に右検知エリア21が設定されている。また、車両配置部5の奥側である前部に前部検知エリア22が設定され、入出庫口3と車両配置部5との間の後部に後部検知エリア23が設定されている。このように車両配置部5の周囲である左右位置と、前後位置に複数の検知エリア20?23が設定されている。
【0040】
上記左検知エリア20には、左部センサ30が設けられ、右検知エリア21には右部センサ31が設けられている。この例では、左部センサ30及び右部センサ31として2本のセンサがそれぞれ設けられている。左部センサ30及び右部センサ31は、いずれか1本でも検知可能である。また、前部検知エリア22には、駐車室2の左右方向全長で物体を検知する前部センサ32が設けられている。さらに、入口側の後部検知エリア23には、駐車室2の左右方向全長で物体を検知する後部センサ33が設けられている。この実施形態では、入出庫口3の部分に、入出庫口センサ34が設けられている。なお、この実施形態を含む以下の実施形態の入出庫口センサ34は、入口扉4付近の安全も確認するように入口扉4の外側に配置されているが、入口扉4の内側に配置しても、入口扉4の閉鎖時当り面に埋め込むようにしてもよい。また、車両配置部5には、車両Vの有無を検知するための車両検知センサ35が設けられている。
【0041】
そして、この実施形態では、入出庫口3付近の左位置に左安全確認ボタン50が設けられ、右位置に右安全確認ボタン51が設けられている。左安全確認ボタン50は、車両Vが停車した状態でも車両Vの左側方の左検知エリア20を見渡せる位置に設けられている。右安全確認ボタン51は、車両Vが停車した状態でも車両Vの右側方の右検知エリア21を見渡せる位置に設けられている。これら複数の安全確認ボタン50,51の配設位置は、他の安全確認ボタン51(又は50)の位置から死角になりうる検知エリアを補うように、それぞれの検知エリア20,21を見渡せる位置に配設されている。
【0042】
このように、車両配置部5の左右位置で車両Vから降りる人などを検知する位置にセンサ30,31が設けられ、入出庫口3付近で車両配置部5の左右位置への通路を通る人を検知する位置にセンサ33,34が設けられている。そして、安全確認ボタン50,51を入出庫口3付近の左右各々に配設し、左側の左部センサ30が検知したら左側の左安全確認ボタン50を有効にし、右側の右部センサ31が検知したら右側の右安全確認ボタン51を有効にするようにしている。これらの安全確認ボタン50,51は、上記車両検知センサ35の車両検知(実車検知)又は未検知により、左部センサ30の検知に対応して左安全確認ボタン50を、右部センサ31の検知に対応して右安全確認ボタン51を、それぞれ独立して有効にするか、一方のセンサ30,31の検知によって両方を有効にするようにしてもよい。
【0043】
このような安全確認装置10によれば、上記複数の検知エリア20?23においてセンサ30?34のいずれかが人(以下、「利用者」ともいう)などの物体を検知すると運転ロックがかかり、入口扉4の閉鎖操作や呼び操作が不可能になる。これにより、安全確認ボタン50,51の一方又は両方が有効になる。複数の安全確認ボタン50,51は、運転ロックがかかるといずれかの安全確認ボタン50,51又は両方の安全確認ボタン50,51が有効になる。各々の安全確認ボタン50,51は、そのボタンを押すと無効になる。上記センサ30?34による複数の検知エリア20?23における人などの検知状態に応じて、上記複数の安全確認ボタン50,51を有効にし、有効な安全確認ボタン50,51の全てが押されて無効になることで運転ロックが解除されて、入口扉4の閉鎖操作や呼び操作が可能になる。これらの、検知エリアにおける物体検知に応じて各々の安全確認ボタン50,51を有効にし、有効な安全確認ボタン50,51が操作されるとその安全確認ボタン50,51を無効にし、全ての安全確認ボタン50,51が無効になると運転ロックを解除する制御は、制御装置7によって制御されている。詳細な制御の説明は後述する。」

エ 「【0050】
そして、利用者が駐車室2内から出ることで、全てのセンサ34,33が未検知(OFF)となる(S5)。この状態で、有効となっている安全確認ボタン50,51の表示切替えが行なわれる(S6)。安全確認ボタン50,51の表示切替えとしては、例えば、有効な安全確認ボタン50,51の点灯部(例えば、「ランプ」などであり、以下、「ランプ」ともいう)を点灯等させる。この安全確認ボタン50,51の表示切替えとしては、押しても他の安全確認ボタンが有効で運転ロックが解除しない場合と、押したら運転ロックが解除する場合とで、表示方法を変えることができる。表示方法を変える例としては、1つでは運転ロックが解除しない安全確認ボタンはランプの点灯や黄色ランプとすることができる。また、1つで運転ロックが解除する安全確認ボタンはランプの点滅や緑色ランプとすることができる。」

オ 「【0072】
<第2実施形態>
次に、図4に基づいて、第2実施形態に係る安全確認装置11を説明する。この実施形態の安全確認装置11は、上記第1実施形態の安全確認装置10に備えられた左安全確認ボタン50及び右安全確認ボタン51に加え、操作盤6に最終安全確認ボタン52が設けられた例である。なお、上記図1に示す第1実施形態と同一の構成には、同一符号を付して、それらの説明は省略する。」

カ 「【0077】
<第3実施形態>
次に、図6に基づいて、第3実施形態に係る安全確認装置12を説明する。この実施形態の安全確認装置12は、駐車室2の前部(奥部)でも安全確認をするようにしている。なお、上記第1実施形態と同一の構成、及び上記第2実施形態と同一の構成には、同一符号を付して、それらの説明は省略する。
【0078】
図示するように、第3実施形態の安全確認装置12には、上記第2実施形態の安全確認装置11の構成に加え、左検知エリア20の前部に左前部安全確認ボタン53が設けられ、右検知エリア21の前部に右前部安全確認ボタン54が設けられている。
【0079】
図7は、図6に示す安全確認装置12の制御の一部分を示すフロー図である。なお、この実施形態は、一点鎖線Eで示す部分が第1実施形態と異なる部分であり、図示する記号「A」と「B」は上記第1実施形態の図2Aに示す記号「A」と「B」に連続した部分を示している。
【0080】
図示するように、この実施形態の場合、前部検知エリア22において前部センサ32が人などを検知すると(S60)、運転ロックがかかり(S61)、左前部安全確認ボタン53及び右前部安全確認ボタン54が有効になる(S62)。なお、先に有効状態2となっている場合には、有効状態2が解除される(S63)。
【0081】
その後、利用者が前部検知エリア22から移動することで前部センサ32はOFFとなり(S64)、有効となっている左前部安全確認ボタン53又は右前部安全確認ボタン54の表示切替えが行なわれる(S65)。この安全確認ボタン53,54の表示切替えとしては、例えば、有効な安全確認ボタン53,54のランプを点灯等させるなどが行なわれる。上記した例と同一であるため、説明は省略する。
【0082】
そして、左前部安全確認ボタン53又は右前部安全確認ボタン54が押されることで(S66)、左前部安全確認ボタン53及び右前部安全確認ボタン54が無効となる(S67)。この例では、前部検知エリア22を左側方と右側方の両方から確認できるため、左前部安全確認ボタン53又は右前部安全確認ボタン54のいずれか一方が押されることで、両方が無効となるようにしている。
【0083】
その後は、図2Aに示すように、入出庫口3で安全確認ボタン50,51を押すことで全ての安全確認ボタン50,51,53,54が無効となり(S9)、運転ロックが解除される(S10)。そして、入口扉閉鎖ボタン(図示略:操作盤6)が押されることで(S11)、入口扉4が閉鎖して作業完了となる(S12)。
【0084】
なお、この例では、駐車室2内の前部で左右の行き来が困難な場合などのために、両側に前部安全確認ボタン53,54を設置したが、左右の行き来が可能な場合は安全確認ボタン53,54はどちらか一方にのみ設置してもよい。また、鏡等で目視できるエリアを補うことで、一方にのみ前部安全確認ボタンを設置するようにしてもよい。
【0085】
さらに、上記左前部安全確認ボタン53と右前部安全確認ボタン54は、左部センサ30又は右部センサ31が検知した場合に有効とするようにしてもよい。この場合、左前部安全確認ボタン53又は右前部安全確認ボタン54を押した人が退出するまでの一定時間、又はその人が後部センサ33及び入出庫口センサ34を通過して退出したことを検知するまでは、左部センサ30及び右部センサ31を無効化して再び検知しないように制御すればよい。」

キ 図6は以下のとおり。



ク 上記アないしキからみて、甲第3号証には次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているものと認める。
「一面に設けられた入出庫口3から車両Vを入出庫させ、中央部に設けられた車両配置部(パレット)5に停車させるようになっており、入口扉4が設けられた入出庫口3の一側方には、制御装置7と一体となった操作盤6が設けられており、この操作盤6によって入出庫操作が行なわれる、駐車室2を備えた機械式駐車設備1において、
上記駐車室2の内部に設定された複数の検知エリア20?23と、それぞれの検知エリア20?23毎に設けられた物体を検知するセンサ30?33(34?37)と、運転ロックを解除するために設けられた複数の安全確認ボタン50,51(52?54)とが備えられている、安全確認装置10?16であって、
安全確認装置10は、車両Vを入庫させる車両配置部5の左側方に左検知エリア20が設定され、右側方に右検知エリア21が設定され、また、車両配置部5の奥側である前部に前部検知エリア22が設定され、入出庫口3と車両配置部5との間の後部に後部検知エリア23が設定されており、
上記左検知エリア20には、左部センサ30が設けられ、右検知エリア21には右部センサ31が設けられ、また、前部検知エリア22には、駐車室2の左右方向全長で物体を検知する前部センサ32が設けられ、さらに、入口側の後部検知エリア23には、駐車室2の左右方向全長で物体を検知する後部センサ33が設けられ、車両配置部5には、車両Vの有無を検知するための車両検知センサ35が設けられており、
入出庫口3付近の左位置であって車両Vの左側方の左検知エリア20を見渡せる位置に左安全確認ボタン50が設けられ、右位置であって車両Vの右側方の右検知エリア21を見渡せる位置に右安全確認ボタン51が設けられ、
左側の左部センサ30が検知したら左側の左安全確認ボタン50を有効にし、右側の右部センサ31が検知したら右側の右安全確認ボタン51を有効にするようにしており、
有効となっている安全確認ボタン50,51の表示切替えとしては、有効な安全確認ボタン50,51の点灯部(ランプ)を点灯させるものであり、
上記センサ30?34による複数の検知エリア20?23における人などの検知状態に応じて、上記複数の安全確認ボタン50,51を有効にし、有効な安全確認ボタン50,51の全てが押されて無効になることで運転ロックが解除されて、入口扉4の閉鎖操作や呼び操作が可能になるものであって、
駐車室2の前部(奥部)でも安全確認をするようにするには、左検知エリア20の前部に左前部安全確認ボタン53が設けられ、右検知エリア21の前部に右前部安全確認ボタン54が設けられ、
前部検知エリア22において前部センサ32が人などを検知すると、運転ロックがかかり、左前部安全確認ボタン53及び右前部安全確認ボタン54が有効になり、そして、左前部安全確認ボタン53又は右前部安全確認ボタン54が押されることで、左前部安全確認ボタン53及び右前部安全確認ボタン54が無効となり、
全ての安全確認ボタン50,51,53,54が無効となると、運転ロックが解除され、入口扉閉鎖ボタン(操作盤6)が押されることで、入口扉4が閉鎖して作業完了となる、
機械式駐車設備1の安全確認装置10?16。」

(4)甲第4号証
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置及び機械式駐車装置の制御方法に関するものである。」

イ 「【0039】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0040】
図1は、本第1実施形態に係る機械式駐車装置10(立体駐車場)の外観図である。
【0041】
機械式駐車装置10は、車両12を乗入階14から入出庫させる。そして、機械式駐車装置10は、車両12を載置したパレット16を乗入階14と車両12を格納する格納庫18との間で昇降させる。なお、本第1実施形態に係る機械式駐車装置10の構成は、一例であり、乗入階14を格納庫18よりも上層とする等、他の構成であってもよい。
【0042】
乗入階14には、格納庫18へ搬送されるパレット16に車両12が載置され、車両12の運転者が車両12に乗降可能な乗降室20が設けられている。
【0043】
また、乗降室20(乗入階14)の外側には、機械式駐車装置10の操作盤22が設けられる。
操作盤22は、機械式駐車装置10の利用者が操作可能なように、例えば、スイッチ、タッチパネル、ICカード、リモコン装置等を介して各種操作(入庫又は出庫の指示等)の入力を受け付ける。また、操作盤22は、文字や画像等を表示する液晶ディスプレイ装置、表示ランプ等の表示装置、音声合成装置による音声、警報音を出すスピーカーによって、種々の情報を利用者のために提供する。
【0044】
図2は、乗降室20の構成を示した上面図である。
【0045】
車両12及び運転者等は、入出庫口30から乗降室20へ出入りする。入出庫口30には、入出庫扉32が設けられ、乗降室20の略中央には、車両12が載置されるパレット16が配置される。
【0046】
乗降室20内には、安全確認の実施位置の近辺に配置され、人による安全確認の実施状態が入力される入力手段である確認ボタン34A,34Bが備えられる。確認ボタン34A,34Bは、人によって押圧されるボタン(押ボタン)である。
本第1実施形態では、確認ボタン34A,34Bは、パレット16(車両12)を挟んだ位置、図2の例では左右の壁面35に備えられる。より具体的には、図2の例では、右奥(車両12右側前方)の壁面35に確認ボタン34Aが備えられ、左手前(車両12左側後方)の壁面35に確認ボタン34Bが備えられる。
なお、以下の説明において、各確認ボタン34を区別する場合は、符号の末尾にA,Bの何れかを付し、各確認ボタン34を区別しない場合は、A,Bを省略する。
【0047】
確認ボタン34は、入力が行われていない場合に入力を促す機能を有する。例えば、確認ボタン34は、入力が行われていない状態、すなわち押圧されていない状態で明滅する。具体的には、確認ボタン34の内部にLED(Light Emitting Diode)又は電球等の照明装置が設けられ、この照明装置が明滅する。なお、入力を促す機能は、明滅の他に、単に点灯するだけでもよい。
そして、確認ボタン34は、押圧されると消灯する。これにより、本第1実施形態に係る機械式駐車装置10は、確認ボタン34への押圧(入力)忘れや押圧(入力)ミスを防止できる。
【0048】
入出庫口30には、人の乗降室20への入退室を検知する入退室検知センサ36が設けられる。入退室検知センサ36は、一例として、センサ36Aが入出庫口30の内側に設けられ、センサ36Bが入出庫口30の外側に設けられる。
入退室検知センサ36は、センサ36Bからセンサ36Aの順で人を検知した場合、乗降室20へ人が入室したと検知し、センサ36Aからセンサ36Bの順で人を検知した場合、乗降室20から人が退室したと検知する。
【0049】
また、乗降室20は、人に音声で情報を報知するためのスピーカー38を備える。
【0050】
乗降室20外の操作盤22には、人に操作されることでパレット16の搬送の許可が入力される最終確認ボタン40が備えられている。」

ウ 「【0064】
図4は、安全確認処理を行う場合に、制御装置50によって実行される安全確認プログラムの流れを示すフローチャートである。安全確認プログラムは、HDD58の所定領域に予め記憶されている。
なお、安全確認プログラムは、車両12がパレット16に載置された後に、開始される。また、安全確認プログラムの開始と共に、確認ボタン34の明滅が開始される。また、最終確認ボタン40に対する操作は、安全確認プログラムの開始時には無効とされている。
【0065】
まず、ステップ100では、一つめの確認ボタン34、例えば確認ボタン34Aが押圧されたか否かをボタン制御部64によって判定する。確認ボタン34Aへの押圧は、確認ボタン34A近辺での安全確認の実施終了の入力を確認ボタン34Aが受け付けたこととなる。肯定判定の場合はステップ101へ移行する。
確認ボタン34Aは、押圧されるまでは明滅しているが、押圧された後、消灯する。
【0066】
ステップ101では、入退室検知センサ36が乗降室20内への人の入室を検知したか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ112へ移行し、否定判定の場合はステップ102へ移行する。
【0067】
ステップ102では、二つめの確認ボタン34、例えば確認ボタン34Bが押圧されたか否かをボタン制御部64によって判定する。確認ボタン34Bへの押圧は、確認ボタン34B近辺での安全確認の実施終了の入力を確認ボタン34Bが受け付けたこととなる。肯定判定の場合はステップ103へ移行する。
確認ボタン34Bは、押圧されるまでは明滅しているが、押圧された後、消灯する。」

エ 「【0080】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0081】
本第2実施形態に係る機械式駐車装置10は、車両12の運転席側に対して反対側に配置された入力手段である確認ボタン34への入力を促す機能を備える。
【0082】
図5は、本第2実施形態に係る乗降室20の上面図である。なお、図5における図2と同一の構成部分については図2と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0083】
本第2実施形態に係る機械式駐車装置10は、パレット16に対して車幅が広すぎる車両12のパレット16への載置を規制するために、車両12の車幅を検知する車幅規制センサ70を備える。
車幅規制センサ70は、一例として、車両12の両側に、光線を照射する照射部70A及び光線を受光する受光部70Bとを一対備えている。照射部70Aは、例えばパレット16に載置される車両12の前方に配置され、受光部70Bは照射部70Aに対向するように車両12の後方に配置される。そして、一対の照射部70A及び受光部70Bは、パレット16に載置可能な車両12の最大車幅に相当する間隔で配置される。
すなわち、照射部70Aから照射された光線が受光部70Bで受光されない場合は、パレット16に載置しようとする車両12の車幅が、最大車幅を超えている場合である。このような車両12をパレット16に載置しても、パレット16は搬送されない。
【0084】
図6は、本第2実施形態に係る機械式駐車装置10の制御装置50の電気的構成を示すブロック図である。
【0085】
車幅規制センサ70の受光部70Bによる光線の受光状態を示すセンサ信号が、センサ信号受信部62を介してCPU52へ入力される。
【0086】
本第2実施形態に係るCPU52は、最大車幅内の車幅の車両12がパレット16に載置された後に、受光部70Bによる光線の受光状態に基づいて、車両12の運転席側を判定する。
具体的には、パレット16に載置された車両12から運転者が降りる場合、開かれるドア、又は降車する運転者によって照射部70Aからの光線が遮られる。従って、運転席は、光線を受光しなくなった受光部70Bが配置されている側であると判定される。
【0087】
そして、CPU52は、車両12の運転席側に対して反対側に配置された確認ボタン34を明滅させることによって、その確認ボタン34への入力を運転者へ促す。すなわち、運転席が車両12の右側であると判定された場合は、確認ボタン34Bが明滅し、運転席が車両12の左側であると判定された場合は、確認ボタン34Aが明滅する。
これにより、車両12の運転者が運転席側から車両12の反対側まで移動することとなり、乗降室20内の安全確認がより広い範囲で行われる。
【0088】
なお、車両12の両側の光線が遮られたと判定された場合は、運転席側を判定できないため、確認ボタン34A,34B共に明滅する。」

オ 図2は以下のとおり。


(5)甲第5号証
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、動体検知に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2には、機械式駐車設備において、車両内の動体を検知する技術が開示されている。」

イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、車両内の動体を検知する場合には、その検知精度の向上が望まれる。
【0007】
そこで、本発明は上述の問題に鑑みて成されたものであり、機械式駐車設備での車両内の動体の検知精度を向上することが可能な技術を提供することを目的とする。」

ウ 「【0028】
図5は、駐車設備1が備える、車外判定及び車内判定に関する構成の一例を主に示すブロック図である。図5に示されるように、駐車設備1は、制御装置11と、車外判定用の複数の検知センサ120を備える検知センサ群12と、車内判定を行う複数の動体検知装置13とを備えている。駐車設備1は、例えば、2つの動体検知装置13を備えている。2つの動体検知装置13は、互いに独立して車内判定を行う。制御装置11は、検知センサ群12を用いて車外判定を行う。」

エ 「【0043】
2つの動体検知装置13は、乗降室5において、車両10よりも奥側に配置されている。2つの動体検知装置13は互いに離れて配置されている。2つの動体検知装置13の検知エリア230は部分的に重なっている。2つの動体検知装置13の検知エリア230は、乗降室5で停車する車両10内の空間の大部分をカバーしている。
【0044】
一方の動体検知装置13の検知エリア230は、奥向きで停車する車両10内の空間のうち、主に、前列の運転席から、前列の助手席の後方の部分をカバーしている。よって、一方の動体検知装置13は、車内判定(車両内動体検知)において、運転席に存在する人や、助手席の後方の席に存在する人などを主に検知することが可能である。一方の動体検知装置13は、車両10内の他の部分に存在する人も検知することが可能である。
【0045】
他方の動体検知装置13の検知エリア230は、奥向きで停車する車両10内の空間のうち、主に、前列の助手席から、前列の運転席の後方の部分をカバーしている。よって、他方の動体検知装置13は、車内判定(車両内動体検知)において、助手席に存在する人や、運転席の後方の席に存在する人などを主に検知することが可能である。他方の動体検知装置13は、車両10内の他の部分に存在する人も検知することが可能である。」

オ 「【0136】
安全確認ボタンは、運転操作盤4が有する複数の操作ボタン42に含まれている。安全確認ボタンは、操作者が、乗降室5内の無人を確認したことを駐車設備1に通知するためのボタンである。駐車設備1が、安全確認ボタンに対する操作を受け付けることが可能な状態となると、駐車設備1は、乗降室5内の無人を確認することと、乗降室5内の無人を確認した後に安全確認ボタンを操作することとを操作者に通知する。例えば、図17に示されるように、運転操作盤4の表示部40には、乗降室5内の無人を確認することを通知する通知情報410と、乗降室5内の無人を確認した後に安全確認ボタンを操作することを通知する通知情報411とが表示される。」

カ 「【0138】
ステップs20の後、ステップs21において、操作者が安全確認ボタンを操作すると、図11に示されるように、ステップs22において、制御装置11は、各動体検知装置13に車内判定を開始させる。車内判定が開始すると、各動体検知装置13は、上述の図9に示される車内判定を繰り返し実行する。」

(6)甲第6号証
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車場に係り、特に車両の入庫時および出庫時に、該車両のユーザー(ドライバー)自身が入出庫扉を開閉操作するように構成された機械式駐車場の制御装置、制御方法、およびこの制御方法により制御される機械式駐車場に関するものである。」

イ 「【0137】
[第2実施形態]
図15は、本発明の第2実施形態を示す機械式駐車場の平面図である。この機械式駐車場91では、2つの乗入室5A,5Bが前後に繋がっており、手前側の乗入室5Aの入出庫口3Aに入出庫扉12Aが設けられ、奥側の乗入室5Bの入出庫口3Bに入出庫扉12Bが設けられた、従来から周知の縦列乗入式のものである。奥側の乗入室5Bに入出庫する車両は、手前側の乗入室5Aと奥側の入出庫口3B(入出庫扉12B)を通過して乗入室5Bに出入りする。」

ウ 図15は以下のとおり。



第6 当審の判断
1 取消理由通知<決定の予告>に記載した取消理由について
(1)甲第1号証を主引用例として検討
ア 本件発明1
(ア)対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
a 甲1発明は、「8基の可動式パレット32A?32Hの側部を検知範囲50s?58sとして検知する9つの側部センサ50?58とを備え」るものであって、また、「使用者Hは、入力操作部16c、16dの近傍まで移動して、可動式パレット32Cの位置を中心に、立体駐車装置30内の無人確認を行って、人が立ち入っていないことを確認したら、入力操作を、表示部14が表示状態である入力操作部16c、16dに対して行」うものである。してみると、甲1発明の「検知範囲」52s、53sは、可動式パレット32Cの側部にあって、「側部センサ」52、53によって検知され、「入力操作部16c、16d」に入力操作が行われるものであるから、甲1発明の「検知範囲」52s、53sは、本件発明1の「乗降領域に予め設定された複数の監視区画」に相当し、以下同様に、「側部センサ」52、53は、「対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサ」に、「入力操作部16c、16d」は、「対応する前記監視区画の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部」に、それぞれ相当する。

b また、甲1発明の「側部センサ」52、53は、「入力操作部16c、16d」の入力操作の前の状態の特定はないが、〔無人確認実施、無人確認済入力操作ステップ〕の「入力操作部16c、16d」の入力操作の後、〔無人状態判断ステップ〕以降において、「側部センサ50?58」「の何れかが物体を検知し、検知したセンサに関連付けられた入力操作部16の表示部14が表示状態にされ」ることから、上記「入力操作部16c、16d」の入力操作により、「側部センサ」52、53は、「入力操作部16c、16d」の「表示部14」を表示状態とすることができるという関係において、実質的に有効な状態になったといえる。よって、甲1発明も、本件発明1の「前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画の配置された前記センサを有効化する制御部」を備えている。
さらに、甲1発明の「無人監視システム10」は、本件発明1の「安全確認システム」に相当する。

c 以上のことから、本件発明1と甲1発明とは、
「車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域を有する機械式駐車装置の安全確認システムであって、
前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、
前記監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部と、
前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導する誘導手段と、
前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画に配置された前記センサを有効化する制御部と、
を備える機械式駐車装置の安全確認システム。」で一致する(以下「一致点」という。)ものの、本件発明1が備える「前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導する誘導手段」を、甲1発明が備えていない点(以下「相違点1」という。)で相違している。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、実質的な相違点が存在するから、本件発明1は甲1発明と同一ではない。

(イ)判断
次に、上記相違点1について検討する。
a 上記相違点1に係る構成は、申立人が提示するその他の証拠には、記載も示唆もないことから、甲1発明において、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。

b 上記相違点1に係る構成は、訂正前の請求項3に記載された構成であるところ、申立人は、甲第2号証、甲第3号証又は甲第4号証は上記相違点1に係る構成を開示又は示唆している旨、主張する。
しかしながら、甲第2号証には、安全確認ボタン20,21が、有効か無効か明示する手段を備えることが記載されているが、それらを順に明示するかどうか不明であり、甲第3号証には、左右前部安全確認ボタン53,54と、入出庫口3付近の左右安全確認ボタン50,51は点滅等することが記載されているが、それらが順に点滅等するかどうかは不明であり、甲第4号証には、確認ボタン34A,34Bが明滅することが記載されているが、それらが順に明滅するかどうか不明であるから、上記相違点1に係る構成は、甲第2号証?甲第4号証には記載されていない。
よって、申立人の主張は採用できない。

(ウ)小括
以上の通り、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明ではなく、さらに、甲第1号証に記載された発明(加えて甲第2号証ないし甲第6号証に記載された発明)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明2
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記アで示した理由と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明ではなく、さらに、甲第1号証に記載された発明(加えて甲第2号証ないし甲第6号証に記載された発明)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

ウ 本件発明4
本件発明4は、本件発明1又は2の発明特定事項をすべて含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記ア又はイで示した理由と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明ではなく、さらに、甲第1号証に記載された発明(加えて甲第2号証ないし甲第6号証に記載された発明)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

エ 本件発明6
本件発明6は、本件発明1、2、4のいずれかの発明特定事項をすべて含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記ア、イ又はウで示した理由と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明(加えて甲第2号証ないし甲第6号証に記載された発明)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

オ 本件発明8
本件発明8は、本件発明1、2、4?7のいずれかの発明特定事項をすべて含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記ア、イ、ウ又はエで示した理由と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明ではなく、さらに、甲第1号証に記載された発明(加えて甲第2号証ないし甲第6号証に記載された発明)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

カ 本件発明9
本件発明9は、本件発明1の「機械式駐車装置の安全確認システム」の発明を、「機械式駐車装置の安全確認方法」の発明に表現を変えたものであって、本件発明9は実質的に本件発明1と同じ発明である。
よって、上記アで説示した理由と同様の理由により、本件発明9は、甲第1号証に記載された発明ではなく、さらに、甲第1号証に記載された発明(加えて甲第2号証ないし甲第6号証に記載された発明)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

キ 本件発明10
甲1発明の「無人確認システム10」は「システム制御部18」を含んでいることから、甲1発明の「システム制御部18」は、「無人確認システム10」を動作させるプログラムを備えていることは明らかである。
よって、本件発明10は、実質的に本件発明1と同一の発明であるから、上記アで説示した理由と同様の理由により、本件発明10は、甲第1号証に記載された発明ではなく、さらに、甲第1号証に記載された発明(加えて甲第2号証ないし甲第6号証に記載された発明)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

ク まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1、2、4、8?10は、甲第1号証に記載された発明ではなく、本件発明1、2、4、6、8?10は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)甲第2号証を主引用例として検討
ア 本件発明1
(ア)対比
本件発明1と甲2発明を対比する。
a 甲2発明の「安全確認装置10」において、「車両Vを入出庫させる車両配置部であるパレット6に対して、左側方に左部センサ11が、右側方に右部センサ12が、」「前後方向の中間部分には、車両Vの有無を検知するための車両検知センサ16が設けられ」、「入出庫部3には、上記車両検知センサ16の前方の左右位置」に、「左安全確認ボタン20と、右安全確認ボタン21とが設けられており、」そして、「車両Vが停車した状態で入出庫部3の全体を見渡せる位置に、左安全確認ボタン20と、右安全確認ボタン21とが設けられて」いるので、左安全確認ボタン20及び右安全確認ボタン21は、それぞれ、車両Vの左側及び右側の空間を視認可能な位置に配置され、左部センサ11及び右部センサ12は、それぞれ車両Vの左側及び右側の空間について検知するものである。
また、「上記左部センサ11及び右部センサ12と安全確認ボタン20,21とは、左部センサ11が検知したら、左安全確認ボタン20を有効にし、右部センサ12が検知したら右安全確認ボタン21を有効にする」ことから、左部センサ11と左安全確認ボタン20とが対応し、右部センサ12と右安全確認釦21とが対応しているといえる。
よって、甲2発明の車両Vの左側及び右側の空間は、本件発明1の「乗降領域に予め設定された複数の監視区画」に相当し、以下同様に、「左部センサ11及び右部センサ12」は、「対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサ」に、「左安全確認ボタン20及び右安全確認ボタン21」は、「対応する前記監視区画の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部」に、それぞれ相当する。

b 甲2発明の「左部センサ11」及び「右部センサ12」は、「『有効』な安全確認ボタン20(21)を押す」前の状態の特定はないが、「『有効』な安全確認ボタン20(21)を押すことにより、全て『無効』にする」ものであって、「左部センサ11が検知したら、左安全確認ボタン20を有効にし、右部センサ12が検知したら右安全確認ボタン21を有効にする」ことからみて、「安全確認ボタン20(21)を押す」ことによって、「左部センサ11」及び「右部センサ12」は、「左安全確認ボタン20」及び「右安全確認ボタン21」を有効にできるという関係において、実質的に有効な状態になったといえる。よって、甲2発明も、本件発明1の「前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画の配置された前記センサを有効化する制御部」を備えている。
さらに、甲2発明の「安全確認装置10」は、本件発明1の「安全確認システム」に相当する。

c 以上のことから、本件発明1と甲2発明とは、
「車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域を有する機械式駐車装置の安全確認システムであって、
前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、
前記監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部と、
前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画に配置された前記センサを有効化する制御部と、
を備える機械式駐車装置の安全確認システム。」で一致する(以下「一致点」という。)ものの、本件発明1が備える「前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導する誘導手段」を、甲2発明が備えていない点(以下「相違点2」という。)で相違している。
したがって、本件発明1と甲2発明とは、実質的な相違点が存在するから、本件発明1は甲2発明と同一ではない。

(イ)判断
次に、上記相違点2について検討する。
a 上記相違点2に係る構成は、申立人が提示するその他の証拠には、記載も示唆もないことから、甲2発明において、上記相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。

b 上記相違点2に係る構成は、訂正前の請求項3に記載された構成であるところ、申立人は、甲第2号証、甲第3号証又は甲第4号証には上記相違点2に係る構成が開示又は示唆されている旨、主張する。
しかしながら、甲第2号証には、安全確認ボタン20,21が、有効か無効か明示する手段を備えることが記載されているが、それらを順に明示するかどうか不明であり、甲第3号証には、左右前部安全確認ボタン53,54と、入出庫口3付近の左右安全確認ボタン50,51は点滅等することが記載されているが、それらが順に点滅等するかどうかは不明であり、甲第4号証には、確認ボタン34A,34Bが明滅することが記載されているが、それらが順に明滅するかどうか不明であるから、上記相違点2に係る構成は、甲第2号証?甲第4号証には記載されていない。
よって、申立人主張は採用できない。

(ウ)小括
以上のとおり、本件発明1は、甲第2号証に記載された発明ではなく、甲第2号証に記載された発明(加えて甲第1号証、甲第3号証ないし甲第6号証に記載された発明)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明2
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記アで示した理由と同様の理由により、甲第2号証に記載された発明ではなく、甲第2号証に記載された発明(加えて甲第1号証、甲第3号証ないし甲第6号証に記載された発明)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

ウ 本件発明4
本件発明4は、本件発明1又は2の発明特定事項をすべて含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記ア又はイで示した理由と同様の理由により、甲第2号証に記載された発明ではなく、甲第2号証に記載された発明(加えて甲第1号証、甲第3号証ないし甲第6号証に記載された発明)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ 本件発明8
本件発明8は、本件発明1、2、4?7のいずれかの発明特定事項をすべて含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記ア、イ又はウで示した理由と同様の理由により、甲第2号証に記載された発明ではなく、甲第2号証に記載された発明(加えて甲第1号証、甲第3号証ないし甲第6号証に記載された発明)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ 本件発明9
本件発明9は、本件発明1の「機械式駐車装置の安全確認システム」の発明を、「機械式駐車装置の安全確認方法」の発明に表現を変えたものであって、本件発明9は実質的に本件発明1と同じ発明である。
よって、上記アで説示した理由と同様の理由により、本件発明9は、甲第2号証に記載された発明ではなく、甲第2号証に記載された発明(加えて甲第1号証、甲第3号証ないし甲第6号証に記載された発明)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

カ 本件発明10
甲2発明において、「安全確認装置10」を備えた「機械式駐車設備1」の「入出庫部3」には、「機械式駐車設備1の運転操作を行う運転盤7が制御装置8と一体で設けられ」ていることから、甲2発明の「制御装置8」は、「安全確認装置10」の動作を制御するプログラムを備えていることは明らかである。
よって、本件発明10は、実質的に本件発明1と同一の発明であるから、上記アで説示した理由と同様の理由により、本件発明10は、甲第2号証に記載された発明ではなく、甲第2号証に記載された発明(加えて甲第1号証、甲第3号証ないし甲第6号証に記載された発明)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

キ まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1、2、4、8?10は、甲第2号証に記載された発明ではなく、甲第2号証、甲第1号証、甲第3号証ないし甲第6号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)甲第3号証を主引用例として検討
ア 本件発明1
(ア)対比
本件発明1と甲3発明を対比する。
a 甲3発明の「安全確認装置12」において、「入出庫口3付近の左位置であって車両Vの左側方の左検知エリア20を見渡せる位置に左安全確認ボタン50が設けられ、同右位置であって車両Vの右側方の右検知エリア21を見渡せる位置に右安全確認ボタン51が設けられ」ていることから、甲3発明の「左検知エリア20」及び「右検知エリア21」は、本件発明1の「乗降領域に予め設定された複数の監視区画」に相当し、同じく「左安全確認ボタン20」及び「右安全確認ボタン21」は、「対応する前記監視区画の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部」に相当する。
また、「上記左検知エリア20には、左部センサ30が設けられ、右検知エリア21には右部センサ31が設けら」ていることから、甲3発明の「左部センサ30」及び「右部センサ31」は、本件発明1の「対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサ」に相当する。

b 甲3発明の「左部センサ11」及び「右部センサ12」は、「有効な安全確認ボタン50,51の全てが押され」る前の状態の特定はないが、「有効な安全確認ボタン50,51の全てが押されて無効となる」ものであって、「左側の左部センサ11が検知したら左側の左安全確認ボタン20を有効にし、右側の右部センサ12が検知したら右側の右安全確認ボタン21を有効にする」ことからみて、「安全確認ボタン50,51を押」すことによって、「左部センサ11」及び「右部センサ12」は、「左安全確認ボタン20」及び「右安全確認ボタン21」を有効にすることができるという関係において、実質的に有効な状態になったといえる。よって、甲3発明も、本件発明1の「前記操作部が操作される度に、前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画の配置された前記センサを有効化する制御部」を備えている。
なお、特許権者は、「甲第3号証の段落0085には、『左前部安全確認ボタン53又は右前部安全確認ボタン54を押した人が退出するまでの一定時間又はその人が後部センサ33及び入出庫口センサ34を通過して退出したことを検知するまでは、左部センサ30及び右部センサ31を無効化して再び検知しないように制御すればよい。』と記載されており、ここに「操作部が操作される度に、操作が行われた操作部に対応する監視区画に配置されたセンサを有効化する」との訂正発明1と相対する技術思想が開示されています。」(意見書6頁14?22行)と主張する。しかしながら、本件発明1は、センサを有効化することが即座に行われるとの特定はない。そして、甲3発明は、センサの有効化まで多少の時間があったり、その他のセンサの検知を条件とするとしても、少なくとも、安全確認ボタンを押すことによってそれらの制御がなされることから、「安全確認ボタン50,51を押」すことによって、センサを有効化することに変わりはない。
甲3発明の「安全確認装置10」は、本件発明1の「安全確認システム」に相当する。

c 以上のことから、本件発明1と甲3発明とは、
「車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域を有する機械式駐車装置の安全確認システムであって、
前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、
前記監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部と、
前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画に配置された前記センサを有効化する制御部と、
を備える機械式駐車装置の安全確認システム。」で一致する(以下「一致点」という。)ものの、本件発明1が備える「前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導する誘導手段」を、甲3発明が備えていない点(以下「相違点3」という。)で相違している。
したがって、本件発明1と甲3発明には、実質的な相違点が存在するから、本件発明1は甲3発明と同一ではない。

(イ)判断
次に、上記相違点3について検討する。
a 上記相違点3に係る構成は、申立人が提示するその他の証拠には、記載も示唆もないことから、甲3発明において、上記相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。

b 上記相違点3に係る構成は、訂正前の請求項3に記載された構成であるところ、申立人は、甲第2号証、甲第3号証又は甲第4号証には上記相違点に係る構成が開示又は示唆されている旨、主張する。
しかしながら、甲第2号証には、安全確認ボタン20,21が、有効か無効か明示する手段を備えることが記載されているが、それらを順に明示するかどうか不明であり、甲第3号証には、左右前部安全確認ボタン53,54と、入出庫口3付近の左右安全確認ボタン50,51は点滅等することが記載されているが、それらが順に点滅等するかどうかは不明であり、甲第4号証には、確認ボタン34A,34Bが明滅することが記載されているが、それらが順に明滅するかどうか不明であるから、上記相違点3に係る構成は、甲第2号証?甲第4号証には記載されていない。
よって、申立人主張は採用できない。

(ウ)小括
以上の通り、本件発明1は、甲第3号証に記載された発明ではなく、甲第3号証に記載された発明(加えて甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証ないし甲第6号証に記載された発明)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明2
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記アで示した理由と同様の理由により、甲第3号証に記載された発明ではなく、甲第3号証に記載された発明(加えて甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証ないし甲第6号証に記載された発明)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

ウ 本件発明8
本件発明8は、本件発明1、2、4?7のいずれかの発明特定事項をすべて含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記ア又はイで示した理由と同様の理由により、甲第3号証に記載された発明ではなく、甲第3号証に記載された発明(加えて甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証ないし甲第6号証に記載された発明)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ 本件発明9
本件発明9は、本件発明1の「機械式駐車装置の安全確認システム」の発明を、「機械式駐車装置の安全確認方法」の発明に表現を変えたものであって、本件発明9は実質的に本件発明1と同じ発明である。
よって、上記アで説示した理由と同様の理由により、本件発明9は、甲第3号証に記載された発明ではなく、甲第3号証に記載された発明(加えて甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証ないし甲第6号証に記載された発明)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ 本件発明10
甲3発明の「駐車室2を備えた機械式駐車設備1」において、「制御装置7と一体となった操作盤6が設けられており、この操作盤6によって入出庫操作が行われる」ことから、甲3発明の「制御装置7」は、「機械式駐車設備1の無人確認装置10?16」の動作を制御するプログラムを備えていることは明らかである。
よって、本件発明10は、実質的に本件発明1と同一の発明であるから、上記アで説示した理由と同様の理由により、本件発明10は、甲第3号証に記載された発明ではなく、甲第3号証に記載された発明(加えて甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証ないし甲第6号証に記載された発明)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

カ まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1、2、8?10は、甲第3号証に記載された発明ではなく、甲第3号証、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証ないし甲第6号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。


2 取消理由通知<決定の予告>において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)申立人は、特許異議申立書において、以下ア?オの点も主張している。
ア 訂正前の請求項5に記載された構成について、甲第6号証には、前後に繋がった2つの乗入室5A、5Bを備える機械式駐車場が記載され、甲第2?4号証には、出口から遠い順に安全確認を行うことが教示されており、甲第1?4号証に記載された発明に甲第6号証に記載された構成を適用し、出口から遠い奥側の乗入室5B、出口に近い乗入室5Aの順に安全確認を行うようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 訂正前の請求項7に記載された構成について、甲第1号証には、左右に配置された複数の可動式パレット32A?32Hが記載され、甲第6号証には、前後に繋がった2つの乗入室5A、5Bを備える機械式駐車場が記載され、甲第1号証及び甲第6号証から、「前記乗降領域は、前記車両の入庫及び出庫の少なくともいずれかが可能な複数の領域が横列方向に単列配置された単位列が、縦列方向に複数配置されており、」との構成は、容易に想到し得る。
ウ 本件発明5は、甲第2号証を主引用例として、当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 本件発明4、5は、甲第3号証を主引用例として、当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 本件発明1、2、4、5、8?10について、甲第4号証を主引用例として、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)上記(1)の主張ア?オについて検討する。
ア 甲第1号証ないし甲第3号証は、前後方向に1つしかない乗降領域での安全確認の手段が記載されているに過ぎず、仮に、甲第6号証に記載の乗降領域を前後2つに分割した乗降領域に対して、甲第1号証ないし甲第3号証に記載の手段を適用したとしても、前後2つに分割した乗降領域のそれぞれに、該手段を適用する程度であるから、訂正前の請求項5に記載した構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。
よって、本件発明5は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 甲第1号証には、乗降領域が左右方向に一列並んだものが記載され、甲第6号証には、前後方向に2室並んだものが記載されているが、それらを寄せ集めて、訂正前の、請求項7に記載されたような、複数の領域が横列方向に単列配置された単位列が、縦列方向に複数配置されたものとすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
よって、本件発明7は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 上記アで検討したとおり、本件発明5は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、甲第2号証を主引用例としても当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ 上記1(3)ア及び上記アで検討したとおりであるから、本件発明4、5は、甲第3号証を主引用例としても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ 上記1(1)ないし(3)で検討したとおり、本件発明1、2、4、6、8?10は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、上記ア及びイで検討したとおり、本件発明5、7は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、甲第4号証を主引用例として検討したとしても、本件発明1、2、4?10を容易に発明をすることができたとはいえない。


6 むすび
したがって、取消理由通知<決定の予告>に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、請求項1、2、4?10に係る特許を取り消すことはできない。
さらに、他に請求項1、2、4?10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

また、請求項3に係る特許は、上記第2のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項3に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。

よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域を有する機械式駐車装置の安全確認システムであって、
前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、
前記監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部と、
前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導する誘導手段と、
前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画に配置された前記センサを有効化する制御部と、
を備える機械式駐車装置の安全確認システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記センサを作動させること、または前記センサの検知結果を初期化することによって、前記センサを有効化する請求項1に記載の機械式駐車装置の安全確認システム。
【請求項3】(削除)
【請求項4】
前記制御部は、全ての前記センサが有効化される前に有効化された前記センサが物体を検知した場合には、物体を検知した前記センサの有効化を解除し、対応する前記監視区画の安全確認を促す請求項1又は2に記載の機械式駐車装置の安全確認システム。
【請求項5】
車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域を有する機械式駐車装置の安全確認システムであって、
前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、
前記監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部と、
前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画に配置された前記センサを有効化する制御部と、
を備え、
前記乗降領域は、前記車両の進入方向に対して前側乗降領域と奥側乗降領域とに分割されており、
前記制御部は、前記奥側乗降領域において入出庫が行われる場合に、前記奥側乗降領域に設定されたすべての前記監視区画の前記センサが有効化となった後、前記前側乗降領域における前記操作部の入力を受け付ける機械式駐車装置の安全確認システム。
【請求項6】
前記乗降領域は、前記車両の入庫及び出庫の少なくともいずれかが可能な複数の領域が横列方向に単列配置された単位列となっており、
前記監視区画は、前記単位列における前記車両の進入方向に対して前方監視区画と奥方監視区画とを含んでおり、
前記奥方監視区画に対応する前記操作部は、前記乗降領域の内部であって、前記奥方監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置されている請求項1、2、4のいずれか1項に記載の機械式駐車装置の安全確認システム。
【請求項7】
車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域を有する機械式駐車装置の安全確認システムであって、
前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、
前記監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部と、
前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画に配置された前記センサを有効化する制御部と、
を備え、
前記乗降領域は、前記車両の入庫及び出庫の少なくともいずれかが可能な複数の領域が横列方向に単列配置された単位列が、縦列方向に複数配置されており、
前記監視区画は、各前記単位列において、前記車両の進入方向に対して前方監視区画と奥方監視区画とを含んでおり、
前記奥方監視区画に対応する前記操作部は、前記乗降領域の内部であって、前記奥方監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置されている機械式駐車装置の安全確認システム。
【請求項8】
請求項1、2、4から7のいずれか1項に記載の機械式駐車装置の安全確認システムを備える機械式駐車装置。
【請求項9】
車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域において、前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、前記監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部とを有する機械式駐車装置の安全確認方法であって、
前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導し、前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画に配置された前記センサを有効化する機械式駐車装置の安全確認方法。
【請求項10】
車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域において、前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、前記監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置され、前記人により前記監視区画の安全が確認された後に操作される操作部とを有する機械式駐車装置の安全確認プログラムであって、
前記乗降領域における人の出口に対して最も遠い位置の前記監視区画から順に安全確認を行うよう前記人を誘導する処理と、
前記操作が行われた前記操作部に対応する前記監視区画に配置された前記センサを有効化する処理と、
をコンピュータに実行させるための機械式駐車装置の安全確認プログラム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-07-27 
出願番号 特願2018-126169(P2018-126169)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (E04H)
P 1 651・ 113- YAA (E04H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小池 俊次  
特許庁審判長 秋田 将行
特許庁審判官 土屋 真理子
住田 秀弘
登録日 2019-02-15 
登録番号 特許第6480066号(P6480066)
権利者 三菱重工機械システム株式会社
発明の名称 機械式駐車装置の安全確認システム、機械式駐車装置、安全確認方法、及び安全確認プログラム  
代理人 三苫 貴織  
代理人 藤田 考晴  
代理人 川上 美紀  
代理人 三苫 貴織  
代理人 川上 美紀  
代理人 藤田 考晴  

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