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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C08G
管理番号 1366111
異議申立番号 異議2020-700404  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-10-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-06-11 
確定日 2020-09-29 
異議申立件数
事件の表示 特許第6620273号発明「エポキシ樹脂組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6620273号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6620273号(請求項の数6。以下、「本件特許」という。)は、令和1年8月22日(優先権主張:令和1年8月21日、日本国(JP))を国際出願日とする出願であって、令和1年11月22日に設定登録されたものである(特許掲載公報の発行日は、令和1年12月11日である。)。
その後、令和2年6月11日に、本件特許の請求項1?6に係る特許に対して、特許異議申立人である三谷富子(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。

第2 特許請求の範囲の記載
特許第6620273号の特許請求の範囲の記載は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1?6に記載される以下のとおりのものである。(以下、請求項1?6に記載された事項により特定される発明を「本件発明1」?「本件発明6」といい、まとめて「本件発明」ともいう。また、本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。)

「【請求項1】
エポキシ樹脂組成物であって、下記成分(A)?(E):
(A)少なくとも1種の、チオール基を3つ以上有する多官能チオール化合物を含むチオール系硬化剤;
(B)少なくとも1種の多官能エポキシ樹脂;
(C)少なくとも1種の単官能エポキシ樹脂を含む架橋密度調節剤(ただし、シランカップリング剤ではない);
(D)硬化触媒;及び
(E)平均粒径が0.1μm以上5.0μm以下のシリカフィラー
を含み、
前記成分(B)及び(C)についてのエポキシ官能基当量の合計の、前記成分(A)についてのチオール官能基当量に対する比(〔エポキシ官能基当量〕/〔チオール官能基当量〕)が、0.70以上、1.10以下であり、
前記成分(C)の量(mol)が、前記成分(B)の量(mol)と前記成分(C)の量(mol)の合計の25?70%であり、
30℃での粘度が100mPa・s以上2000mPa・s以下である、エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
成分(E)の含有量が、エポキシ樹脂組成物の総重量に対し15?50質量%である、
請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
成分(C)が芳香族単官能エポキシ樹脂を含む、請求項1又は2記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1?3のいずれか1項記載のエポキシ樹脂組成物を含む封止材。
【請求項5】
請求項1?3のいずれか1項記載のエポキシ樹脂組成物、又は請求項4に記載の封止材を硬化させることにより得られる硬化物。
【請求項6】
請求項5記載の硬化物を含む電子部品。」

第3 申立理由の概要及び証拠方法
申立人がした申立ての理由の概要は、以下に示すとおりである。
1 申立理由の概要
(1)申立理由1
本件発明1?6は、本件出願前に頒布された以下の刊行物である甲第1号証に記載された発明及び甲第2?16号証に記載された技術的事項に基づいて、または、甲第14号証に記載された発明及び甲第1、5、8?10、14?22号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、本件発明1?6の特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。

2 証拠方法
甲第1号証:国際公開第2018/229583号
甲第2号証:Cardura^(TM) E10P Glycidyl Esterのカタログ、HEXION社のウエブページに掲載、令和2年6月9日(印刷日)(https://www.hexion.com/docs/default-source/versatic-acids/epcd-hxn-526.pdf?sfvrsn=8e4a9fa_9)
甲第3号証:エポキシ樹脂用硬化剤(潜在性硬化剤)フジキュアー 固形タイプ、株式会社T&K TOKAのウエブページ、令和2年6月9日(印刷日)(https://www.tk-toka.co.jp/product/jushi/epoxy/detail/files/fujicure_solid.pdf)
甲第4号証:Advanced Materials High Performance Componentsのカタログ、HUNTSMAN社のウエブページに掲載、令和2年6月9日(印刷日)(https://www.huntsman.com/advanced_materials/Media%20Library/global/files/2015%20US%20High%20Performance%20Components%20Brochure.pdf)
甲第5号証:THIOCURE^(R)(原文は○の中にR)のカタログ、BRUNO BOCK THIOCHEMICALS社のウエブページに掲載、令和2年6月9日(印刷日)(https://chemie.worlee.de/uploads/chemistry/attachments/THI0CURE%20Brochure%2004-2016_2_5b698b603bbcf.pdf)
甲第6号証:特開2004-79214号公報
甲第7号証:特開2017-171804号公報
甲第8号証:再公表特許WO2008/069178号
甲第9号証:特開2017-66256号公報
甲第10号証:特開2017-145357号公報
甲第11号証:特開2018-117002号公報
甲第12号証:特開2018-115297号公報
甲第13号証:中国特許出願公開第103571418号明細書
甲第14号証:特表2002-509178号公報
甲第15号証:特開2013-221091号公報
甲第16号証:特開2015-131772号公報
甲第17号証:JEREMY LEE TACK著、THERMODYNAMIC AND MECHANICAL PROPERTIES OF EPON 862 WITH CURING AGENT DETDA BY MOLECULAR SIMULATION、Semantic Scholarのウエブページに掲載、Dec.2006、令和2年6月9日(印刷日)(https://pdfs.semanticscholar.org/Oc40/25a09b854166d29f82614d6264dab18706da.pdf?_ga=2.83041683.429594735.1589778737-1898226324.1589778737)
甲第18号証:潜在性硬化剤・硬化促進剤「アミキュア」、味の素ファインテクノ株式会社のウエブページ、令和2年6月9日(印刷日)(https://www.aft-website.com/chemistry/ajicure)
甲第19号証:フュームドシリカ アエロジル^(R)(原文は○の中にR)の基本特性、日本アエロジル株式会社のウエブページに掲載、令和2年6月9日(印刷日)(https://www.aerosil.com/product/aerosil/downloads/tb-11-basic-characteristics-of-aerosil-fumed-silica-jp.pdf)
甲第20号証:沿革、三菱ケミカル株式会社のウエブページ、令和2年6月9日(印刷日)(http://www.mcc-epoxy.jp/company/enkaku.html)
甲第21号証:製品ラインナップ、三菱ケミカル株式会社のウエブページ、令和2年6月9日(印刷日)(http://www.mcc-epoxy.jp/products/index.html)
甲第22号証:エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社のウエブページ、令和2年6月9日(印刷日)(http://www.mcc-epoxy.jp/products/epoxy_jer.html#01)
以下、「甲第1号証」等を「甲1」等という。

第4 特許異議申立の理由についての当審の判断
1 申立理由1について
(1)各甲号証の記載
ア 甲1
甲1には以下の事項が記載されている。なお、甲1の記載は、申立人が提出したその日本語訳である甲1の訳文に基づいて当審が作成した。
(1a)「請求項1
1分子あたり少なくとも2つのエポキシド基を有するエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂成分と、少なくとも2つの1級チオール基を有するポリチオール化合物を含むチオール成分と、下記一般式(II)を有するシラン官能化接着促進剤と:
(X)_(m)-Y-(Si(R^(2))_(3))_(m)
式中、
Xはエポキシまたはチオール基であり、
Yは脂肪族基であり、
mおよびnは独立して1?3であり、
各R^(2)は独立してアルコキシ基である、
エポキシ樹脂を硬化させるための窒素含有触媒と、
を含み、前記エポキシ樹脂成分および/または前記チオール成分は、円筒形マンドレル曲げ試験によってクラックを生じない、および/または引張弾性率および伸長試験によって少なくとも100%の引張伸長を有する硬化ポリマー材料を提供するように選択される、硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物。」(特許請求の範囲の請求項1)

(1b)「概要
本開示は、硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物を提供する。硬化性エポキシ/チオール系は、硬化するとシリコーン表面への良好な接着性、および特定の実施形態では良好な可撓性を有する硬化したポリマー材料(例えば、接着性ポリマー材料)を提供する。」(第1頁下から第10?6行)

(1c)「したがって、本開示の硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物は、温度に敏感な接着用途、特に電子産業、例えば、携帯電話の組み立ておよびプラスチックと金属部品の接着における使用に適している。また、自動車や航空宇宙産業など、部品の接着に使用することもできる。」(第9頁第11?15行)

(1d)「したがって、硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物から調製された硬化ポリマー材料は、シリコーン上のコーティングなどの可撓性コーティングとして機能することができる。例えば、硬化したポリマー材料は、感圧性シリコーン接着剤のバリアコートとして機能することができる。特に、硬化したポリマー材料は、シリコーンテープ(例えば、シリコーンマスキングテープ)中のシリコーンバッキング層と感圧性シリコーン接着剤との間の結合層として有効であり得る。硬化した高分子材料は、シリコーン基板への優れた接着性と、感圧性シリコーン接着剤からの可塑剤の移動に対する優れたバリア特性を示す。」(第9頁下から第4行?第10頁第4行)

(1e)「特定の実施形態では、好ましいエポキシ樹脂成分は柔軟である。これにより、エポキシ樹脂成分は、チオール成分(柔軟であるかどうかにかかわらず)と組み合わされて硬化すると、円筒形マンドレル曲げ試験によってクラックが発生しないか、および/または引張弾性率および伸長試験によって少なくとも1 0 0 %の引張伸長を有する硬化ポリマー材料を提供する。このような柔軟性は、柔軟性のあるエポキシ化合物および/または反応性の単官能希釈剤によって提供することができる。柔軟なエポキシ化合物には、線状または環状の脂肪族骨格構造に基づくものが含まれる。また、エポキシ化合物の柔軟性は、反応部位間の側鎖長および/または分子量を増加させることによって増加させることができる。
線状または環状脂肪族構造に基づくエポキシ化合物は柔軟性を提供し、HEMOXY 71、EPON 872、およびEPONEX 1510(すべて Momentive SpecialityChemicals, Inc.(オハイオ州コロンバス))の商品名で入手可能なものを含む。これらには、ポリエーテルのジグリシジルエーテルが含まれる。その例としては、Olin Epoxy Co.(ミズーリ州セントルイス)から商品名 DER 732およびDER 736で入手可能なもの、Momentive SpecialityChemicals, Inc. から入手可能なHELOXY84、EMS- Griltech(Domat/Ems、スイス)から入手可能なGRILONIT F 713 が含まれる。カシューナッツオイルやその他の天然油をベースにしたエポキシも柔軟性を提供する。その例としては、Cardolite(Monmouth Junction、ニュージャージー)からNC513およびNC514の商品名で入手可能なものや、Momentive Speciality Chemicals, Inc.から入手可能な HELOXY 505がある。ペンダント脂肪族基を有するビスフェノールAのジグリシジルエーテルに基づくエポキシも柔軟性を提供できる。その一例は、ハンツマン(テキサス州ザ ウッドランズ)から商品名 ARALDITE PY 4122 で入手可能なビスフェノールAのアルキル官能化ジグリシジルエーテルである。」(第16頁第17行?第17頁第6行)

(1f)「エポキシ樹脂成分は、多くの場合、材料の混合物である。例えば、エポキシ樹脂は、硬化前に所望の粘度または流動特性を提供する混合物であるように選択することができる。例えば、エポキシ樹脂のなかには、単官能性または特定の多官能性エポキシ樹脂を含む反応性希釈剤があり得る。反応性希釈剤は、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂の粘度よりも低い粘度を有するはずである。通常、反応性希釈剤の粘度は250mPa・s未満である必要がある。反応性希釈剤は、エポキシ/チオール樹脂組成物の粘度を低下させる傾向があり、飽和した分岐骨格または飽和または不飽和の環状骨格のいずれかをしばしば有する。好ましい反応性希釈剤は、様々なモノグリシジルエーテルのように、ただ1つの官能基(すなわち、オキシラン基)を有する。
いくつかの例示的な単官能性エポキシ樹脂としては、(C6-C28)アルキルグリシジルエーテル、(C6-C28)脂肪酸グリシジルエステル、(C6-C28)アルキルフェノールグリシジルエーテル、およびそれらの組み合わせが挙げられる。単官能性エポキシ樹脂が反応性希釈剤である場合、そのような単官能性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂成分の合計に基づいて最大50部の量で使用されるべきである。そのような希釈剤の例は、Hexion Inc. (オハイオ州コロンバス)からカージュラ ElOPグリシジルエステルの商品名で入手可能な、高度に分岐したClO異性体の合成飽和モノカルボン酸であるバーサチック酸10のグリシジルエステルである。エポキシ樹脂中のこのような単官能希釈剤成分を使用して、本開示の硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物から製造される硬化材料の柔軟性を高めることができる。」(第17頁第12行?最下行)

(1g)「チオール成分
チオールは、炭素結合スルフヒドリルまたはメルカプト(-C-SH)基を含む有機硫黄化合物である。適切なポリチオールは、1分子あたり2つ以上のチオール基を有し、エポキシ樹脂の硬化剤として機能する多種多様な化合物から選択される。
適切なポリチオールの例としては、トリメチロールプロパントリス(ベーターメルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(ベーターメルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールポリ(ベーターメルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(ベーターメルカプトプロピオネート)、(Cl-C12)アルキルポリチオール(例えば、ブタン-1, 4-ジチオールおよびヘキサン-1, 6-ジチオール)、(C6-Cl2)芳香族ポリチオール(例えば、p-キシレンジチオールおよび1, 3, 5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン)が挙げられる。必要に応じて、ポリチオールの組み合わせを使用できる。」(第18頁第10?21行)

(1h)「硬化性組成物は、随意に、例えば、のような化学的発泡剤を含む充填剤(例えば、アルミニウム粉末、カーボンブラック、ガラス気泡、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、溶融シリカのようなシリカ、ケイ酸塩、ガラスビーズ、及び雲母)、顔料、可塑剤、反応性希釈剤、非反応性希釈剤、難燃剤、帯電防止剤、熱及び/又は電気伝導性粒子、及び発泡剤のような1つ以上の従来の添加剤を含有してもよい。」(第27頁第21?30行)

(1i)「実施例
・・・
材料

・・・
」(第43頁第11行?第45頁中段)

(1j)「硬化阻害剤の溶解性
硬化阻害剤の溶解性は、BYK Gardner (ミッドランド州シルバースプリング)のBYK GARDNER HAZE-GARD PLUSを使用して、光透過率および透明度によって評価した。測定中、装置は空気に対して参照された。未硬化の樹脂の透過率および透明度を測定するために、平均厚さが0.039インチ(0.99mm)の2つのきれいなガラス顕微鏡スライドの間にテフロンスペーサーを取り付け、スペーサーが光学測定領域の外側でおよそ0.072インチ(1.83 mm)のギャップを生じさせ、当該ギャップに硬化阻害剤を含む樹脂が配置されるようにした。また、測定領域の外側に取り付けられたクランプを使用して、ガラス片をスペーサーにしっかりと固定し、ギャップの間隔がスペーサーの厚さに制限されるようにした。透過率、ヘイズ、透明度について、各サンプルを5回ずつ独立して測定した。平均透過率および平均透明度が報告された。透明度については、80%、85%、90%、さらには95%以上の値を持つことが望ましい。透過率については、80%、85%、さらには90%以上の値を持つことが望ましい。」(第47頁第13行?27行)

(1k)「実施例
硬化阻害剤の溶解性の評価
硬化阻害剤であるl-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸(BPBA)の溶解特性を次のように評価した。表Aに示す材料および量(重量部)および以下の手順を使用して、混合物を調製した。材料をFlacktekInc.(ランドラム、SC)のMAX 60SPEEDMIXER カップに追加し、Flacktek Inc. (ランドラム、SC) の DAC 600 FVZ SPEEDMIXERを使用して、毎分2,250回転(rpm)で30秒間混合し、続いて1,000 ワットの市販の電子レンジで20秒間加熱した。次に、サンプルをDAC 600 FVZ SPEEDMIXERで2,250rpmで2分間再混合し、FlackTek Inc.のDAC 600.2 VAC-P SPEEDMIXERを使用して脱気した。脱気サイクルは次のとおりである。1)サンプルを大気圧、1,000rpm で20秒間混合する。2)真空引きして最終圧力を30 Torr (4キロパスカル)に下げながら、サンプルを1,500rpmで2分間混合する。3)大気圧に排気しながら、サンプルを1,000rpmで20秒間混合する。得られたサンプルについて、上記の「硬化阻害剤の溶解性」試験方法で説明したように、透過率および透明度を評価した。結果を下記の表Aに示す。さらに、不溶性物質の存在について、サンプルを肉眼で評価した。


高い透過率および透明度の値は、不溶性成分のない均一溶液であることを示している。上記の表Aの結果は、置換バルビツール酸誘導体が5重量%もの高いレベルで、示されている樹脂組成物に可溶であったことを示している。比較すると、非置換のバルビツール酸サンプルは、視認可能な不溶性物質を含むことに加えて、透過率および透明度が有意に低下していた。」(第48頁第4行?第49頁第5行)

(1l)「エポキシ樹脂組成物AおよびB、並びに比較エポキシ樹脂組成物A (CR-A)
以下の表1に示される材料および量を使用して、一液型エポキシ樹脂接着組成物を調製した。FXR 1081を除く材料を、FlackTek, Inc.(Landrum、SC) 製のMAX60 SPEEDMIXERカップに入れ、Fla ckTek, Inc.(Landrum、SC)製のDAC 600 FVZ SPEEDMIXERを使用して、1,500rpmで1分間混合した。次に、各混合物にFXR1081を加え、さらに1,500rpmで1分間混合して、未硬化のエポキシ樹脂接着剤組成物を得た。



実施例1-4と比較例1(CE-1)
様々なシリコーンゴム及び硬化エポキシ樹脂組成物AおよびB、ならびに硬化比較エポキシ樹脂組成物Aとの間の剥離接着強度を、上記の試験方法「T剥離接着強さ」に従って評価した。結果を以下の表2に示す。
表2:剥離接着強度


強化剤、シラン官能化接着促進剤、可撓性エポキシ成分を含んだ実施例2-4は、最も高い剥離接着強さを示した。これらの結果は、様々なシリコーンゴム基材の上で観察された。シラン官能化接着促進剤を含有し強化剤を含有しない実施例1は、強化剤またはシラン官能化接着促進剤を含有しない比較例1と比較して有意に高い剥離接着強さを示した。

実施例1、2および比較例1は、上述した「引張弾性率及び伸び率」および「円筒形マンドレル曲げ試験」の試験方法に従って引張弾性率と耐クラック性について評価した。結果を以下の表3に示す。比較例1は、シリコン表面からの膜の剥離によるマンドレル試験に不合格であった。
表3:引張弾性率及びマンドレル屈曲特性

」(第49頁第6行?第50頁下から3行)

イ 甲2
甲2には以下の事項が記載されている。なお、甲2の記載は申立人が提出した訳文によった。
(2a)「カージュラ^(TM) E10P グリシジルエステル」(表題)

(2b)「カージュラ E10P モノマー
カージュラE10Pは、10個の炭素原子を含む高度に分岐したカルボン酸であるバーサチック(商標)酸10のグリシジルエステルである。
カージュラE10Pモノマーは嵩高く疎水性の中間体であり、反応性エポキシ基を介して容易に樹脂中に導入される。
特性:
・およそのエポキシ基含量:4170mmol/kg
・沸点の範囲:251?278℃(5-95%)
・低粘度(23℃):7mPa・s」(第1頁左欄第1?14行)

ウ 甲8
甲8には以下の事項が記載されている。
(8a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも(a)熱硬化性樹脂成分及び(b)その硬化剤成分を含んでなる封止材料 であって、硬化後の該封止材料のガラス転移点(Tg)を含む温度範囲にて、昇温しながら貯蔵弾性率(E)を測定した場合に、温度変化(ΔΤ)に対する貯蔵弾性率の変化(ΔE)の割合(ΔE/ΔΤ)として0. 5MPa/℃?30MPa/℃の範囲の値を示すことを特徴とする封止材料。」

(8b)「【0003】
電子部品及び/又は半導体装置を回路基板上に実装する方法として、回路基板上の所定の位置に電子部品及び/又は半導体装置を、それぞれ対応する電極が接触するように配置し、接続すべき電極どうしの間にハンダ材料又は導電性接着剤を供給し、これをリフロー炉等に入れることによって電子部品及び/又は半導体装置と回路基板との電極どうしを接合し、更に、その接合操作と並行して又は前後して、接合部の周囲を含めて電子部品及び/又は半導体装置と回路基板との間を樹脂により封止するという方法が一般に行われている。この樹脂封止は、その後にヒートサイクルや高温多湿の環境に曝された場合であっても、電子部品及び/又は半導体装置を回路基板に接着して固定するため、並びに電子部品及び/又は半導体装置と回路基板との接合部を高い信頼性で保護するために重要である。
・・・
【0011】
この出願は、上記従来の課題を解決するものであって、比較的脆弱な電子部品及び/又は半導体装置を実装するに際して、その接合部並びに電子部品及び/又は半導体装置を低応力で封止することができるという特性を具備する封止材料の発明を提供することを1つの目的とする。その封止材料は、封止後に不適合品と認定された電子部品及び/又は半導体装置のみを容易にリペアすることができるという好適なリペア性を具備することがより好ましい。」

(8c)「【0015】
この発明において、(a)熱硬化性樹脂成分は、エポキシ樹脂組成物、ウレタン樹脂組成物、フエノール樹脂組成物及びアクリル樹脂組成物の群から選択することができる。この中で、吸湿性、熱膨張性及び硬化収縮性などの特性の点から、エポキシ樹脂組成物が好ましい。
・・・
【0019】
この発明に用いる(b)硬化剤成分としては、使用する(a)熱硬化性樹脂成分を硬化させるために好適なものが用いられる。上述したエポキシ樹脂を (a)熱硬化性樹脂成分として使用する場合には、アミン化合物、イミダゾール化合物、変性アミン化合物、変性イミダゾール化合物、ポリフェノール化合物及び含硫黄化合物の群から選ばれる化合物を(b)硬化剤成分として使用することが好ましい。
・・・
【0027】
この発明の封止材料は、(c)絶縁性フイラ一成分として、アルミナ、シリカ、アルミナ、ボロンナイトライド、窒化アルミニウム、窒化珪素、マグネシア、マグネシウムシリケート、タルク、炭酸カルシウム、及び水酸化カルシウム等からなる群から選ばれる1種又はそれ以上の化合物を用いることができる。絶縁性フィラー成分は、主として粘度及び流動性を調節及び/又は適正化するという役割を果たす目的で配合される。絶縁性フィラー成分は、また、熱膨張率、流動性、接着性の制御を果たす目的でも配合される。本発明の封止材料は、所望により更に添加剤を含むことができる。そのような添加剤には、硬化促進剤(ポリアミン等)、染料、顔料等が挙げられる。
【0028】
この発明の封止材料は、上述したような組成を有しており、硬化後の封止材料のガラス転移点(Tg)を含む温度範囲にて、温度を上昇させながら貯蔵弾性率(E)を測定した場合に、温度変化(ΔT)に対する貯蔵弾性率の変化(ΔE)の割合(ΔE/ΔT)として、30MPa/℃以下であって、0. 5MPa/℃以上の範囲の値を示すことを 特徴とする。この貯蔵弾性率の変化の割合(ΔΕ/ΔΤ)(以下、本願明細書において貯蔵弾性率の変化率とも称する)は、好ましくは10MPa/℃以下、特に好ましくは1MPa/℃以下であってよい。また、貯蔵弾性率の変化率は、20MPa/℃以上、例えば 25MPa/℃以上であることが好ましい場合もある。貯蔵弾性率の変化率がこの範囲にある場合には、温度を横軸にとり、貯蔵弾性率を縦軸にとって、温度の上昇に対応して測定した貯蔵弾性率(E)の値をプロットしてグラフを描くと、低温側から高温側へ向かって直線的に緩やかに降下する勾配を有するグラフが得られる。このグラフにおいて、貯蔵弾性率の変化率は直線の傾きとして表されていると表現することができる。例えば、封止材料を用いて基板に電子部品を一旦取り付けた後、リペアすることが必要になった場合には、所定温度に加熱しながら、対象となる電子部品を封止している封止材料と基板との境界付近にコテなどの治具を当てて、封止材料を基板から剥がす操作を行う。このリペア操作の際に、封止材料が本発明のように緩やかな勾配を示す封止材料であれば、短時間で大きな応力を加えることなぐ即ち衝撃的な力若しくは過度の力を加えることなぐ必要最小限の大きさの力で治具を押し当てることによって、基板から封止材料を剥がすことができる。従って、本発明の封止材料を用いれば、リペア操作の際に、いわゆる基材破壊を生じることなぐいわゆる界面破壊のようにして封止材料と基板とを分離することができる。従って、封止材料を犠牲にする一方で、基板及び/若しくは電子部品及び/若しくは半導体装置を実質的に損傷することなく回収することができる。このように実質的に無傷で回収した基板等は、必要に応じて処理を行った後、リサイクル(またはリユース)することができる。貯蔵弾性率の変化率が30MPa/℃を越えると、低応力での封止という特性を十分に発揮することができない。一方、貯蔵弾性率の変化率が0. 5MPa/℃を下回ると、弾性を有する封止材料として十分な信頼性が得られない。」

(8d)「【0058】
[実施例1]
(a)熱硬化性樹脂成分としてビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量部、これに対応する(b)硬化剤成分としてジシアンジアミド8重量部、(c)絶縁性フイラ一成分として50%平均粒径5μmのアルミナフィラー0.10重量部、(d)反応性希釈剤(架橋調整剤)成分としてアルキルグリシジルエーテル10重量部、更に前記熱硬化性樹脂 成分及び硬化剤成分の組合せに好適な硬化促進剤1重量部を混合して、封止材料を調製した。混合直後の粘度は 28000mPa・sであった。
【0059】
得られた封止材料を、上述したような封止操作の条件に付して硬化させて、硬化後の封止材料のガラス転移点 (Tg)及び貯蔵弾性率Eを測定した。ガラス転移点(Tg) は?48℃であった。また、温度T1 (50℃)から温度T2 (200℃)へ昇温しながら貯蔵弾性率Eを測定し、温度を横軸にとり、対数目盛りで示す貯蔵弾性率Eを縦軸にとってプロットしたところ、図2に示すようにS字形状に変曲するグラフが得られた。即ち、温度T1 (50℃)以下の温度領域及び温度T2 (200℃)以上の温度領域では、温度の変化に対して貯蔵弾性率Eは実質的に変化を示さなかったが、温度T1(50℃)から温度T2(200℃)までの間のガラス転移点(Tg)を含む温度領域において、図示するように比較的大きな変化を示した。このグラフ変曲点付近における接線の傾きに対応する、温度変化に対する貯蔵弾性率の変化率(ΔΕ/ΔΤ)は0.8であった。」

エ 甲9
甲9には以下の事項が記載されている。
(9a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ樹脂、
(B)有効成分として、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(1,4-diazabicyclo[2.2.2]octane(DABCO))を含む、イソシアネートアダクト型マイクロカプセル化硬化剤、
(C)無機充填剤
を含み、前記(A)成分100質量部に対し、前記(B)成分中のDABCOの量が0.75?2.5質量部であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。」

(9b)「【0002】
エポキシ樹脂は、優れた電気絶縁性、機械強度、耐熱性、耐湿性、密着性等の材料特性を有していることから、エポキシ樹脂を主剤とし、該エポキシ樹脂の硬化剤および/または硬化促進剤を含むエポキシ樹脂組成物がアンダーフィル等の封止材や電子部品用接着剤として広く使用されている。上記の目的で使用されるエポキシ樹脂の硬化剤としては、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤などがある。一方、上記の目的で使用されるエポキシ樹脂の硬化促進剤としては、イミダゾール類などがある。
特許文献1,2では、エポキシ樹脂の硬化剤として、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を用いることで、優れた低温硬化性と貯蔵安定性を両立している。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した従来技術の問題点を解決するため、80℃以下の低温硬化が可能であり、さらに接着強度やポットライフに優れたエポキシ樹脂組成物の提供を目的とする。」

(9c)「【0018】
(C)成分:無機充填剤
(C)成分の無機充填剤により、エポキシ樹脂組成物の線膨張係数を制御することができる。(C)成分の無機充填剤としては、コロイダルシリカ、疎水性シリカ、微細シリカ、ナノシリカ等のシリカフィラー、アクリルビーズ、ガラスビーズ、ウレタンビーズ、ベントナイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。また、(C)成分の無機充填剤の平均粒径(粒状でない場合は、その平均最大径)は、特に限定されないが、0.01?50μmであることが、エポキシ樹脂組成物中に充填剤を均一に分散させるうえで好ましく、また、エポキシ樹脂組成物をアンダーフィル等の液状封止材として使用した際の注入性に優れる等の理由から好ましい。0.01μm未満だと、エポキシ樹脂組成物の粘度が上昇して、アンダーフィル等の液状封止材として使用した際に注入性が悪化するおそれがある。50μm超だと、エポキシ樹脂組成物中に充填剤を均一に分散させることが困難になるおそれがある。また、硬化後のエポキシ樹脂組成物の熱ストレスから、銅製ワイヤーを保護する観点から、(C)成分の平均粒径は、0.6?10μmであると、より好ましい。市販品としては、アドマテックス製高純度合成球状シリカ(品名:SO-E5、平均粒径:2μm;品名:SO-E2、平均粒径:0.6μm)、龍森製シリカ(品名:FB7SDX、平均粒径:10μm)、マイクロン製シリカ(品名:TS-10-034P、平均粒径:20μm)等が挙げられる。ここで、無機充填剤の平均粒径は、動的光散乱式ナノトラック粒度分析計により測定する。(C)成分の無機充填剤は、単独でも2種以上を併用してもよい。」

(9d)「【0030】
・・・
【実施例】
【0031】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
(エポキシ樹脂組成物の調製)
下記表に示す配合で各成分を混合してエポキシ樹脂組成物を調製した。なお、下記表において、(A)成分?(D)成分の配合割合を示す数字は、すべて質量部を示している。
表中の各成分は、以下の通りである。
・・・
(C)成分
SOE5:シリカフィラー(D50=2μm)(株式会社アドマテックス製)
SOE2:シリカフィラー(D50=0.6μm)(株式会社アドマテックス製)
・・・
【0035】
【表1】



オ 甲10
甲10には以下の事項が記載されている。
(10a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ樹脂、(B)アミン系硬化剤、および(C)一般式(1):
【化4】

(式中、nは1?200である)で表されるジメチルポリシロキサンを含み、
(C)成分が、(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、0.01?0.30質量部であることを特徴とする、液状エポキシ樹脂組成物。」

(10b)「【0001】
本発明は、液状エポキシ樹脂組成物、半導体封止剤、および半導体装置に関し、特に、クリーピング抑制に優れる液状エポキシ樹脂組成物、この液状エポキシ樹脂組成物を用いる半導体封止剤、および半導体装置に関する。
・・・
【0009】
本発明は、エポキシ樹脂のTgを高くし、耐湿性、耐サーマルサイクル性に優れるアミン系硬化剤を使用し、かつクリーピングを抑制することができる液状エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。」

(10c)「【0029】
樹脂組成物は、さらに、(E)無機充填剤を含むと好ましい。(E)成分により、樹脂組成物の線膨張係数を制御することができる。(E)成分としては、コロイダルシリカ、疎水性シリカ、微細シリカ、ナノシリカ等のシリカフィラー、アクリルビーズ、ガラスビーズ、ウレタンビーズ、ベントナイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が、挙げられる。また、(E)成分の平均粒径(粒状でない場合は、その平均最大径)は、特に限定されないが、0.05?50μmであることが、樹脂組成物中に充填剤を均一に分散させるうえで好ましく、また、樹脂組成物を半導体封止剤として使用する際に、注入性に優れる等の理由から好ましい。0.01μm未満だと、樹脂組成物の粘度が上昇して、半導体封止剤として使用した際に注入性が悪化するおそれがある。50μm超だと、樹脂組成物中に充填剤を均一に分散させることが困難になるおそれがある。(E)成分の平均粒径は、0.1?30μmであると、より好ましい。市販品としては、アドマテックス製高純度合成球状シリカ(品名:SO-E5、平均粒径:2μm;品名:SO-E2、平均粒径:0.6μm;SE2200-SEE、平均粒径:0.6μm)、デンカ製シリカ(品名:FB7SDX、平均粒径:7μm)、龍森製シリカ(品名:MSV-25G、平均粒径:29μm)等が、挙げられる。ここで、充填剤の平均粒径は、動的光散乱式ナノトラック粒度分析計により測定する。(E)成分は、単独でも2種以上を併用してもよい。」

(10d)「【0040】
・・・
【実施例】
【0041】
本発明について、実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、部、%はことわりのない限り、質量部、質量%を示す。
【0042】
実施例、比較例では、
・・・
(E)成分として、アドマテックス製シリカフィラー(品名:アドマファインSE2200-SEE、平均粒径:0.6μm)を、
使用した。
【0043】
〔実施例1?4、比較例1〕
表1に示す配合で原料を混合した後、室温で3本ロールミルを用いて分散し、液状エポキシ樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」という)を作製した。作製した樹脂組成物は、すべて液状であった。
・・・
【0046】



カ 甲11
甲11には以下の事項が記載されている。
(11a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
室温での粘度が3mPa・s未満のモノアクリレートと、
最大粒径3μm未満のフィラーと、
を含むインクジェット用樹脂組成物。」

(11b)「【0010】
本発明の目的は、インクジェット方式で塗布可能であり、塗布後の形状を維持することができ、且つ硬化後のボイド発生を低減可能なインクジェット用樹脂組成物、そのインクジェット用樹脂組成物の硬化物を有する電子部品、及び電子部品の製造方法を提供することにある。」

(11c)「【0025】
(フィラー)
本実施形態に係るフィラーは、ワイヤーボンディング時の弾性率を50MPa以上に確保するために添加される。フィラーを含む硬化物の200℃での熱時弾性率が50MPa以上であると、ワイヤーボンディング時のチップシフトを防ぐことができ好ましい。フィラーは、たとえば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等の絶縁性のものを用いる。
【0026】
本実施形態に係るフィラーは、最大粒径3μm未満である。最大粒径が3μmを超えると、インクジェットの吐出性が悪くなる、或いはフィラーが沈降しやすくなる。本明細書において、最大粒径は、レーザー回折・散乱法によって測定した、体積基準での粒度分布における最大の粒径である。最大粒径は、例えば、レーザー散乱回析法粒度分布測定装置:LS13320(ベックマンコールター社製、湿式)により測定できる。
【0027】
また、フィラーの平均粒径は、0.1μm?2μmであることが好ましい。フィラーの平均粒径が0.1μmより小さいと樹脂組成物の粘度が高くなり、インクジェット方式に使用できない。また、フィラーの平均粒径が2μmよりも大きいと樹脂組成物中でフィラーが沈降し、樹脂組成物を収容するタンク内やインクジェットヘッド内でフィラーと樹脂成分が分離し易くなる。従って、均質な樹脂組成物を塗布することができない。本明細書において、平均粒径は、レーザー回折・散乱法によって測定した、体積基準での粒度分布における積算値50%での粒径である。平均粒径は、例えば、レーザー散乱回析法粒度分布測定装置:LS13320(ベックマンコールター社製、湿式)により測定できる。」

キ 甲12
甲12には以下の事項が記載されている。
(12a)「【特許請求の範囲】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)環状骨格を有する光重合性単官能モノマーと、(B)25℃における粘度が100mPa・s以下の光重合性2官能モノマーと、(C)25℃における粘度が500mPa・s以下であり3官能以上の光重合性多官能モノマーと、(D)光重合開始剤と、を含むことを特徴とするインクジェット用硬化性組成物。」

(12b)「【0005】
本発明は、上記の問題を有効に解決するものであり、インクジェット印刷法で塗膜を形成し、硬化させたときの表面硬化性が良好であると共に、密着性が良好なインクジェット用硬化性組成物、これを用いた硬化物、およびプリント配線板を提供することを目的とする。」

(12c)「【0034】
また、硬化性組成物中に含まれる粒子の最大粒径が0.1?5μm以下であることが好ましく、0.1?1μmであることがより好ましい。最大粒径が0.1μm以上であれば、粒子の凝集力が高くなりすぎるということがなく、5μm以下であれば、インクジェット印刷時のノズル詰りなどの問題が発生する可能性が低くなる為好ましい。
組成物中に含まれる粒子の最大粒径は、粒度分布計により測定することができ、そのD100値を最大粒径とする。」

ク 甲14
甲14には以下の事項が記載されている。
(14a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)1分子当り2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物;
(b)1分子当り2以上のチオール基を有するポリチオール化合物;
(c)潜在硬化剤;及び
(d)室温で、上記(a)、(b)、(c)の混合物中に基本的に不溶性である、少なくとも1つの固体有機酸を有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
・・・
【請求項19】 (i)少なくとも1つのエポキシ化合物を有するエポキシ化合物;
(ii)潜在硬化剤成分、及び
(iii)チキソトロピイ授与成分、及び、
(iv)固体有機酸成分を有し、
該固体有機酸成分は、時間経過に対しての降伏点メンテナンスと粘度メンテナンスを向上することを特徴とする改良されたレオロジー特性を有する硬化性の、1-部分のエポキシ樹脂組成物。」

(14b)「【0021】
【発明の簡単な説明】
本発明の第1局面において、向上した貯蔵安定性を有し、更に、長い機能時間及び比較的に低い温度での比較的に短い硬化時間を有するエポキシ/ポリチオール組成物が供される。これらの組成物は、基本的にゲル時間に悪影響を与えずに、ポット寿命を長くすることにより、安定性増大を与えるものである。
【0022】
更に、詳細には、本発明の第1局面において、エポキシ樹脂組成物は、次のものを含有する:
(a)1分子に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、
(b)1分子に2以上のチオール基を有するポリチオール化合物、
(c)潜在硬化剤、
(d)室温において、上記の(a)、(b)、(c)の混合物中で基本的に不溶性である、少なくとも1つの固体有機酸。」

(14c)「【0028】
本発明の第2の局面において、次の成分を有する、硬化性の、1-部分の、エポキシ樹脂組成物が提供される。
(i)少なくとも1つのエポキシ化合物を有するエポキシ成分:
(ii)潜在硬化剤成分:
(iii)チキソトロピイ授与成分;及び、
(iv)固体有機酸成分。」

(14d)「【0037】
[発明の詳細な説明]
本発明のエポキシ樹脂組成物の検討
本発明の第1局面は、1分子当り2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、1分子当り2以上のチオール基を有するポリチオール化合物、潜在硬化剤及び、エポキシ化合物、ポリチオール及び潜在硬化剤の混合物中に基本的に不溶性の、少なくとも1つの固体有機酸を含むエポキシ樹脂組成物を提供する。
【0038】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、向上した室温貯蔵安定性と長い室温活動寿命を示す。ポリチオール化合物を有する、組成物の第1局面の組成物は、成分(e)、チキソトロピイ授与成分を添加した場合でも、例えば、80?85℃のような、良好な低温硬化性を保持する。この組成物は、従って、組合された所望の特性;低温硬化性;貯蔵安定性及びレオロジイ安定性を有する。」

(14e)「【0039】
本発明の第2局面は、1分子当り2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、潜在硬化剤、チキソトロピイ授与剤及び、エポキシ化合物及び潜在硬化剤の混合物中に基本的に不溶性の、少なくとも1つの固体有機酸を含むエポキシ樹脂組成物を提供する。
【0040】
本発明の第2局面のエポキシ樹脂組成物は、約100?180℃の範囲の温度に、約0.5?60分間加熱することにより、通常、硬化できる。然し乍ら、一般的に、組成物を適用した後、約125℃で、約3分間の硬化時間は、組成物を仕上げるに十分であり、その温度で、約10?15分間後には、完全な硬化が見られる。勿論、この硬化プロフィルは、選択された温度とエンドユーザーにより、詳細な要求に依存して、変えることができる。」

(14f)「【0042】
本発明の第1局面のエポキシ樹脂組成物は、以下の実施例1?49に示される方法により製造される。それは、固体有機酸、潜在硬化剤、エポキシ、ポリチオールそして、任意に、チキソトロピイ授与成分を混合するものである。望ましくは、固体有機酸は、潜在硬化剤の添加の前に、組成物に添加されるべきである。
【0043】
本発明の第2局面のエポキシ樹脂組成物は、以下の区分VとVIに示される方法により製造される。望ましくは、酸成分は、チキソトロピイ授与成分の添加の前に、エポキシ化合物と組合される。」

(14g)「【0052】
ポリチオール成分の検討
本発明の第1局面の組成物のためのポリチオール化合物は、トリメチロールプロパン トリス(β-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトール テトラキス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトール テトラキス(β-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトール ポリ(β-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコール ビス(β-メルカプトプロピオネート)のような、分子当り、2以上のチオール基を有するメルカプト化合物、ブタン-1,4-ジチオール、ヘキサン-1,6-ジチオールのようなアルキルポリチオール類、p-キシレンジチオール及び1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼンのような芳香族ポリチオール類から選択される。ポリチオール類は、組成物の全重量に基づいて、約25?50%の量で、また、約33?40%の量で添加される。
【0053】
好適には、組成物中のエポキシ組成物対ポリチオール化合物の比率は、チオール等量に対するエポキシ等量の比率が、約0.5:1?約1.5:1、約0.75:1?約1.3:1になるようなものである。
【0054】
上記のポリチオール成分は、本発明の第2局面の組成物中に任意に含まれる。本発明に使用されるに適する、ポリチオール化合物は、米国特許第5,430,112号に参照されるべきである。」

(14h)「【0055】
潜在硬化剤成分の検討:
・・・
【0057】
潜在硬化剤の他のタイプのものは、(i)多官能性エポキシ化合物、(ii)2-エチル-4-メチルイミダゾゾールのようなイミダゾゾール化合物及び(iii)フタール酸無水物の反応生成物である。多官能性エポキシ化合物は、米国特許第4,546,155号に開示されるような、分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物であり、その開示は、本明細書の参照文献になる。このタイプノ硬化剤は、味の素社から、商標:AJICURE N-23の下で市販され、それは、EPON 828(シェルケミカル社から市販される、ビスフェノール タイプのエポキシ樹脂エポキシ等価物184?194、2-エチル-4-メチルイミダゾゾール及びフタノール酸無水物のアダクトであると思われる。
・・・
【0095】
チキソトロピイ授与成分の検討
本発明の第1アスペクトの組成物の任意の成分”(e)”であり、本発明の第2アスペクトの組成物の成分”(iii)”である、チキソトロピイ授与成分は、溶融シリカ或いはヒュームドシリカのような補強シリカを含有し、そして、その表面の化学的特性を変えるように非処理或いは処理される。従って、補強する、溶融或いはヒュームドシリカが使用される。
【0096】
このような処理されたヒュームドシリカの例は、ポリジメチルシロキサン-処理シリカ及びヘキサメチルジシラザン-処理シリカを含有する。そのような処理シリカは、例えば、Cabot Corporationから、CAB-O-SIL ND-TSの商標で、そして、Degussa Corporationから、AEROSILとしての商標で例えば、AEROSIL R805で商業的に入手できるものである。
【0097】
非処理シリカのものでは、非晶質及び含水性シリカが用いられる。例えば、市販の非晶質シリカは、約7nmの第1次粒子の平均粒径を持つAEROSIL 300、約12nmの第1次粒子の平均粒径を持つAEROSIL 200、約16nmの第1次粒子の平均粒径を持つAEROSIL 130であり、そして、市販の含水性シリカは、約1.5nmの第1次粒子の平均粒径を持つNIPSIL E150、約2.0nmの第1次粒子の平均粒径を持つNIPSIL E200A及び1.0nmの第1次粒子の平均粒径を持つNIPSIL E220A(日本のシリカ工業社で製造)を含む。」

(14i)「【0222】
IV.ポリチオール及びチキソトロピイ授与成分の両方を含有する組成物に関する実験データ
表10aと10bは、更に、粒径の、2つの成分のポット寿命と、これらの組成物を用いて形成した結合の剪断強度への影響を示す。表10cは、組成物のレオロジイ特性を示す。そのデータは、図4Aと4Bにプロットされた。
【0223】
製造
以下に説明される組成物を製造し、テストした。
組成物1(表10a/b)は、100重量部のエポキシ樹脂EP828及び75重量部のトリメチロールプロパン トリス(b-メルカプトプロピオネート)を混合することにより、製造された。次に、0.50重量部のバルビタール酸を添加し、分散させた。15.6重量部のチキソトロピー授与成分エアロジル202(AEROSIL202)を、組成物に添加した。最後に、25重量部の潜在硬化剤を添加した。
・・・
【0228】
【表21】



(14j)「【0237】
VI.エポキシ-ベースの組成物の製造
本発明の第2の観点に従って、組成物を製造した。そして、降伏点や時間経過の粘度のような観察されたレオロジイ特性を比較するために、既知のエポキシ樹脂組成物を製造した。報告された情報のほとんどは、室温での観察から取られたもので、一方、その情報のいくつかは、促進されたエイジング条件(約40℃の温度で)、接着剤組成物が市場で、どのようなことが起こるかのガイダンスを供するものである。
・・・
【0250】
一定の高いスピード分散適用において、チップ結合接着剤は、約150?450Paの範囲内に降伏点を有するべきである。(以下の表15、組成物No.106と107を参照)
【0251】
意図の適用において、2つの付加的な組成物を、これらの組成物(及び量)により、製造された、以下に各々示されるレオロジイを有する。
【0252】
【表28】

【0253】
【表29】

【0254】
表17において、2つの組成物が示され、その1つは、固体有機酸成分として、フマール酸(組成物no.108)を含有し、他の1つ(組成物no.109)は、そのような固体有機酸は含有しなく、比較のために提供され、時間経過において、降伏点保持がないことが示される。
【0255】
【表30】

【0256】
【表31】



ケ 甲17
甲17には以下の事項が記載されている。なお、甲17の記載は申立人が提出した訳文によった。
(17a)「分子シミュレーションによる硬化剤DETDAを伴ったEPON862の熱力学的特性及び機械的特性」(第1頁表題)

(17b)「図3に示すように、EPON862とDETDAとの硬化反応では、DETDAのアミン基の水素原子がEPON862のエポキシドと反応する。あと3つの水素原子が2つのアミン基に残るため、得られる分子は次いで、あと3つまでのエポキシド基と反応し得る。図4は、EPON862とDETDAとの間の架橋の開始を示す。この分子はエポキシドおよびアミン基との反応を続け、全方位に広がってゆく。

」(第4頁下から6行?第5頁上段の図3)

(2)甲号証に記載された発明
ア 甲1に記載された発明
甲1には、その特許請求の範囲の請求項1に、「1分子あたり少なくとも2つのエポキシド基を有するエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂成分と、少なくとも2つの1級チオール基を有するポリチオール化合物を含むチオール成分と、下記一般式(II)を有するシラン官能化接着促進剤と:
(X)_(m)-Y-(Si(R^(2))_(3))_(m)
式中、
Xはエポキシまたはチオール基であり、
Yは脂肪族基であり、
mおよびnは独立して1?3であり、
各R^(2)は独立してアルコキシ基である、
エポキシ樹脂を硬化させるための窒素含有触媒と、
を含み、前記エポキシ樹脂成分および/または前記チオール成分は、円筒形マンドレル曲げ試験によってクラックを生じない、および/または引張弾性率および伸長試験によって少なくとも100%の引張伸長を有する硬化ポリマー材料を提供するように選択される、硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物。」が記載され(摘記(1a))、その具体例として、実施例のエポキシ樹脂組成物Aは、材料として、PY4122を53.00重量%、Z6040を2.00重量%、BPBA溶液を3.00重量%、CE10Pを8.00重量%、FXR1081を7.00重量%及びTMPMPを27.00重量%からなることが記載されている(摘記(1l))。

そうすると、甲1には、実施例のエポキシ樹脂組成物Aに着目すると、以下の発明が記載されていると認められる。
「PY4122を53.00重量%、Z6040を2.00重量%、BPBA溶液を3.00重量%、CE10Pを8.00重量%、FXR1081を7.00重量%及びTMPMPを27.00重量%からなる硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物」(以下「甲1発明」という。)

イ 甲14に記載された発明
甲14には、その特許請求の範囲の請求項1に、「(a)1分子当り2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物;(b)1分子当り2以上のチオール基を有するポリチオール化合物;(c)潜在硬化剤;及び(d)室温で、上記(a)、(b)、(c)の混合物中に基本的に不溶性である、少なくとも1つの固体有機酸を有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。」が記載され(摘記(14a))、請求項1?18、23?25は、エポキシ化合物、ポリチオール化合物、潜在硬化剤及び固体有機酸を有することが明示されたエポキシ樹脂組成物が記載されているといえる。また、同請求項19に、「(i)少なくとも1つのエポキシ化合物を有するエポキシ化合物;(ii)潜在硬化剤成分、及び(iii)チキソトロピイ授与成分、及び、(iv)固体有機酸成分を有し、該固体有機酸成分は、時間経過に対しての降伏点メンテナンスと粘度メンテナンスを向上することを特徴とする改良されたレオロジー特性を有する硬化性の、1-部分のエポキシ樹脂組成物。」が記載され(摘記(14a))、請求項19?22及び26は、エポキシ化合物、潜在硬化剤、チキソトロピイ授与成分及び固体有機酸を有することが明示されたエポキシ樹脂組成物が記載され、これらの請求項にはポリチオール化合物を有することは明示されていない。
そして、段落【0037】及び【0038】には、エポキシ化合物、ポリチオール化合物、潜在硬化剤及び固体有機酸を含むエポキシ樹脂組成物である本発明の第1局面は、向上した室温貯蔵安定性と長い室温活動寿命を示すことが記載され(摘記(14d))、段落【0042】には、本発明の第1局面のエポキシ樹脂組成物は、以下の実施例1?49に示される方法により製造されることが記載されている(摘記(14f))。一方、段落【0039】及び【0040】には、エポキシ化合物、潜在硬化剤、チキソトロピイ授与剤及び固体有機酸を含むエポキシ樹脂組成物である本発明の第2局面は、約100?180℃の範囲の温度に約0.5?60分間加熱することにより硬化できることが記載され(摘記(14e))、段落【0043】には、本発明の第2局面のエポキシ樹脂組成物は、以下の区分VとVIに示される方法により製造されることが記載されている(摘記(14f))。このように、本発明の第1局面と本発明の第2局面とは、エポキシ樹脂組成物を構成する成分と作用効果は互いの異なるものであると解することができる。

ここで、段落【0237】には、
「VI.エポキシ-ベースの組成物の製造
本発明の第2の観点に従って、組成物を製造した。」と記載されており(摘記(14j))、本発明の第2局面のエポキシ樹脂組成物の具体例が記載されているといえるところ、ここには、組成物No.101?No.109が記載されている。

そうすると、甲14には、本発明の第2局面の具体例として、組成物No.106である、エポキシ化合物としてEPON862を100重量部及びCARDURA E10を50重量部、潜在硬化剤成分としてAJICURE PN-23を42.36重量部、チキソトロピイ授与成分としてAEROSIL 202を19.26重量部、固体有機酸成分としてバルビタール酸を1重量部及び顔料としてSTANTONE28EPX01 Redを4.32重量部からなるエポキシ樹脂組成物が記載されている。

また、組成物No.108について、表30には、固体有機酸としてバルビタール酸の記載がある。一方、段落【0254】には、「固体有機酸成分として、フマール酸(組成物no.108)を含有し」と記載されており、その記載からすれば、組成物No.106及び107における固体有機酸成分として配合しているバルビタール酸に代えてフマール酸を用いた例であるといえ、表30の記載と段落【0254】の記載は異なっているが、表30の記載に従えば、組成物No.108は組成物No.106と全く同じ成分を有する具体例となり、両者は同じ具体例であるにもかかわらず、性質である降伏点(Pa)と粘度(Pa・s)の値が異なる(表29及び表31を参照)。そうすると、表30の記載は誤りであり、段落【0254】の記載が正しいと解することが自然である。
以上のとおりであるので、甲14には、組成物No.108である、エポキシ化合物としてEPON862を100重量部及びCARDURA E10を50重量部、潜在硬化剤成分としてAJICURE PN-23を42.36重量部、チキソトロピイ授与成分としてAEROSIL 202を19.26重量部、固体有機酸成分としてフマール酸を1重量部及び顔料としてSTANTONE28EPX01 Redを4.32重量部からなるエポキシ樹脂組成物が記載されている。

さらに、組成物No.109である、エポキシ化合物としてEPON862を100重量部及びCARDURA E10を50重量部、潜在硬化剤成分としてAJICURE PN-23を42.6重量部、チキソトロピイ授与成分としてAEROSIL 202を23重量部及び顔料としてSTANTONE28EPX01 Redを4.32重量部からなるエポキシ樹脂組成物が記載されている。

そうすると、甲14には、組成物No.106、No.108及びNo.109に着目すると、以下の発明が記載されていると認められる。

「エポキシ化合物としてEPON862を100重量部及びCARDURA E10を50重量部、潜在硬化剤成分としてAJICURE PN-23を42.36重量部、チキソトロピイ授与成分としてAEROSIL 202を19.26重量部、固体有機酸成分としてバルビタール酸を1重量部及び顔料としてSTANTONE28EPX01 Redを4.32重量部からなるエポキシ樹脂組成物」(以下「甲14発明1」という。)

「エポキシ化合物としてEPON862を100重量部及びCARDURA E10を50重量部、潜在硬化剤成分としてAJICURE PN-23を42.36重量部、チキソトロピイ授与成分としてAEROSIL 202を19.26重量部、固体有機酸成分としてフマール酸を1重量部及び顔料としてSTANTONE28EPX01 Redを4.32重量部からなるエポキシ樹脂組成物」(以下「甲14発明2」という。)

「エポキシ化合物としてEPON862を100重量部及びCARDURA E10を50重量部、潜在硬化剤成分としてAJICURE PN-23を42.6重量部、チキソトロピイ授与成分としてAEROSIL 202を23重量部及び顔料としてSTANTONE28EPX01 Redを4.32重量部からなるエポキシ樹脂組成物」(以下「甲14発明3」という。)

(3)対比・判断
ア 甲1発明を主引用発明とした場合の対比・判断
(ア)本件発明1について
a 対比
(a)エポキシ樹脂組成物の成分について
甲1発明のPY4122は、大部分(少なくとも60重量%)が2,2'-[(1-メチルエチリデン)ビス[4,1-フェニレンオキシ[1-(ブトキシメチル)エチレン)]オキシメチレン]ビスオキシランである、柔軟な二官能性ビスフェノールAベースのエポキシ樹脂であることが記載されている(摘記(1i))から、本件発明1の(B)多官能エポキシ樹脂に相当する。
甲1発明のBPBAは、1-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸であり、EPON 828中の5重量%溶液として用いたと記載されている(摘記(1i))から、残りの95重量%は、EPON828であるといえる。PBPAのうちのEPON828は、二官能性ビスフェノールA/ エピクロロヒドリン由来の液体エポキシ樹脂であると記載されている(摘記(1i))から、本件発明1の(B)多官能エポキシ樹脂に相当する。
甲1発明のCE10Pは、高度に分岐したClO異性体合成飽和モノカルボン酸であるバーサチック酸のグリシジルエステルであることが記載され(摘記(1i))、単官能エポキシ樹脂であり、シランカップリング剤ではないことは明らかであるから、本件発明1の(C)単官能エポキシ樹脂(ただし、シランカップリング剤ではない)との限りにおいて一致する。
甲1発明のFXR1081は、潜在的なエポキシ硬化剤および硬化促進剤でありと記載されており(摘記(1i))、エポキシ硬化剤はエポキシ樹脂の硬化触媒であることは明らかであるから、本件発明1の(D)硬化触媒に相当する。
甲1発明のTMPMPは、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)であり三官能性ポリチオール硬化剤と記載されているから(摘記(1i))、本件発明1の(A)チオール基を3つ以上有する多官能チオール化合物を含むチオール系硬化剤に相当する。

(b)エポキシ樹脂組成物の成分の割合について
ここでは、便宜上、エポキシ樹脂組成物を100gとした場合における各種官能基当量及び量(mol)を算出することにより、甲1発明における下記の〔エポキシ官能基当量〕/〔チオール官能基当量〕及び成分(B)の量(mol)と成分(C)の量(mol)の合計に対する成分(C)の量の割合を算出する。

i 成分(B)及び(C)についてのエポキシ官能基当量の合計の、成分(A)についてのチオール官能基当量に対する比(〔エポキシ官能基当量〕/〔チオール官能基当量〕)について

(i) 成分(B)のエポキシ官能基当量について
上記(a)で述べたとおり、甲1発明のPY4122及びPBPAのうちのEPON828は、本件発明1の成分(B)に相当する。それぞれのエポキシ官能基当量を検討する。
(あ)PY4122について
PY4122は、エポキシ当量が313?390であることが記載され(摘記(1i))、甲1発明を100gとした場合に、53g(=100g×0.53)配合されているから、PY4122のエポキシ官能基当量は、0.136?0.169(=53g/390?53g/313)と算出される。
(い)EPON828について
まず、EPON828の配合量を算出する。
甲1発明を100gとした場合に、BPBAは3g(=100g×0.03)配合され、EPON828は、そのBPBAのうち95重量%含むから、2.85g(=3×0.95)と算出される。
次に、EPON828のエポキシ官能基当量を算出する。
EPON828は、エポキシ当量が185?192であると記載されているから(摘記(1i))、EPON828のエポキシ官能基当量は、0.0148?0.0154(=2.85g/192?2.85g/185)と算出される。
(う)甲1発明の成分(B)のエポキシ官能基当量について
上記(あ)及び(い)から、甲1発明における成分(B)のエポキシ官能基当量は、0.151?0.184(=(0.136?0.169)+(0.0148?0.0154))と算出される。

(ii) 成分(C)のエポキシ官能基当量について
上記(a)で述べたとおり、甲1発明のCE10Pは、本件発明1の成分(C)に対応するから、甲1発明のCE10Pのエポキシ官能基当量を検討する。CE10Pは、甲2にエポキシ基含量が4170mmol/kgであると記載されている(摘記(2b))から、1kg当たりのエポキシ当量は、240g/当量(=1000g/4.17mol)と算出される。また、甲1発明を100gとした場合のCE10Pの重量は、8g(=100g×0.08)であるから、CE10Pのエポキシ官能基当量は、0.033(=8g/240)と算出される。

(iii) (B)及び(C)のエポキシ官能基当量の合計について
上記(i)及び(ii)から、(B)及び(C)のエポキシ官能基当量は、0.184?0.217(=(0.151?0.184)+0.033)と算出される。

(iv) 成分(A)のチオール官能基当量について
上記(a)で述べたとおり、甲1発明のTMPMPは、本件発明1の成分(A)に相当するから、甲1発明のTMPMPのチオール官能基当量を検討する。TMPMPは、分子量が399である3官能チオール化合物と記載され(摘記(1i))、甲1発明を100gとした場合に、27g(=100g×0.27)配合されているから、TMPMPのチオール官能基当量は、0.203(=27g÷(399/3)と算出される。

(v) 甲1発明の成分(B)及び(C)についてのエポキシ官能基当量の合計の、成分(A)についてのチオール官能基当量に対する比(〔エポキシ官能基当量〕/〔チオール官能基当量〕)について
上記(iii)及び(iv)から、甲1発明における成分(B)及び(C)についてのエポキシ官能基当量の合計の、成分(A)についてのチオール官能基当量に対する比(〔エポキシ官能基当量〕/〔チオール官能基当量〕)は、0.91?1.07(=0.184/0.203?0.217/0.203)であると算出される。

このように、甲1発明の成分(B)及び(C)についてのエポキシ官能基当量の合計の、成分(A)についてのチオール官能基当量に対する比(〔エポキシ官能基当量〕/〔チオール官能基当量〕)は、本件発明1と一致する。

ii 成分(B)の量(mol)と成分(C)の量(mol)の合計に対する成分(C)の量(mol)の割合について

(i) 成分(B)の量(mol)について
上記(a)で述べたとおり、甲1発明のPY4122及びPBPAのうちのEPON828は、本件発明1の成分(B)に相当する。それぞれの量(mol)を検討する。
(あ)PY4122について
PY4122は、エポキシ当量が313?390である2価のエポキシ化合物であることが記載され(摘記(1i))、甲1発明を100gとした場合に、53g(=100g×0.53)配合されているから、PY4122の量(mol)は、0.0679?0.0847(=53g/390×2?53g/313×2)と算出される。
(い)EPON828について
まず、EPON828の配合量を算出するが、上記i(i)(い)で述べたとおり、2.85gと算出される。
次に、EPON828の量(mol)を算出する。
EPON828は、エポキシ当量が185?192である2価のエポキシ樹脂であることが記載されているから(摘記(1i))、EPON828の量(mol)は、0.0074?0.0077(=2.85g/192×2?2.85g/185×2)と算出される。
(う)甲1発明の成分(B)の量(mol)について
上記(あ)及び(い)から、甲1発明における成分(B)の量(mol)は、0.0753?0.0924(=(0.0679?0.0847)+(0.0074?0.0077))と算出される。

(ii) 成分(C)の量(mol)について
上記(a)で述べたとおり、甲1発明のCE10Pは、本件発明1の成分(C)に対応するから、甲1発明のCE10Pの量(mol)を検討する。CE10Pは、甲2にエポキシ基含量が4170mmol/kgであるモノエポキシ化合物と記載されている(摘記(2b))から、1kg当たりのエポキシ当量は、240g/当量(=1000g/4.17mol)と算出される。また、甲1発明を100gとした場合のCE10Pの重量は、8g(=100g×0.08)であるから、CE10Pの量(mol)は、0.033(=8g/240)と算出される。

(iii) 成分(B)の量(mol)と成分(C)の量(mol)の合計に対する成分(C)の量(mol)の割合について

上記(i)及び(ii)から、甲1発明における成分(B)の量(mol)と成分(C)の量(mol)の合計に対する成分(C)の量(mol)の割合は、0.26?0.30(=0.033/(0.0924+0.033)?0.033/(0.0753+0.033))であると算出され、26%?30%であるといえる。

このように、甲1発明の成分(B)の量(mol)と成分(C)の量(mol)の合計に対する成分(C)の量(mol)の割合は、本件発明1と一致する。

そうすると、本件発明1と甲1発明とでは、
「 エポキシ樹脂組成物であって、下記成分(A)?(D):
(A)少なくとも1種の、チオール基を3つ以上有する多官能チオール化合物を含むチオール系硬化剤;
(B)少なくとも1種の多官能エポキシ樹脂;
(C)少なくとも1種の単官能エポキシ樹脂を含む架橋密度調節剤(ただし、シランカップリング剤ではない);
(D)硬化触媒;を含み、
前記成分(B)及び(C)についてのエポキシ官能基当量の合計の、前記成分(A)についてのチオール官能基当量に対する比(〔エポキシ官能基当量〕/〔チオール官能基当量〕)が、0.70以上、1.10以下であり、
前記成分(C)の量(mol)が、前記成分(B)の量(mol)と前記成分(C)の量(mol)の合計の25?70%である、エポキシ樹脂組成物」で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)成分(C)である単官能エポキシ樹脂(ただし、シランカップリング剤ではない)が、本件発明1では、架橋密度調節剤であるとしているのに対して、甲1発明ではこのような特定がされていない点

(相違点2)エポキシ樹脂組成物が、本件発明1では、(E)平均粒径が0.1μm以上5.0μm以下のシリカフィラーを含むのに対して、甲1発明では、含まない点

(相違点3)エポキシ樹脂組成物の30℃での粘度が、本件発明1では、100mPa・s以上2000mPa・s以下であるのに対して、甲1発明では、明らかでない点

b 判断
事案に鑑み、まず相違点2を検討する
本件発明1は、低粘度であり、低温条件下でも短時間で硬化して、硬化後のガラス転移点(T_(g))が低く、シェア強度に優れることを発明の課題とし(本件明細書の段落【0011】参照)、上記「第2」で示したとおり、概略、成分(A)?(E)を含むエポキシ樹脂組成物であり、成分(E)を含むことにより、硬化物の線膨張係数が減少する、即ちサーマルサイクルによる硬化物の膨張・収縮が抑制されるためエポキシ硬化物の耐サーマルサイクル性が向上することが記載され(本件明細書の段落【0045】)、成分(E)であるシリカフィラーの平均粒径が0.1μm以上5.0μm以下であることについて、平均粒径が5.0μm超であると、シリカフィラーが沈降しやすくなること、ジェットディスペンサーのノズルが摩耗し領域外へ飛散しやすくなること、一方、平均粒径が0.1μm未満であると、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなりやすいことが記載されている(本件明細書の段落【0046】)。
そして、本件明細書の段落【0061】以降に記載された具体例においては、成分(E)であるシリカフィラーの平均粒径が5.5μmである、すなわち、5.0μm超である比較例1は、粗粒が存在しジェットディスペンサーによる適用には適さないことが記載されている(本件明細書の段落【0074】の【表2】及び【0076】)。
このように、本件発明1において、成分(E)である平均粒径が0.1μm以上5.0μm以下のシリカフィラーを配合することにより、粘度が高くならないという課題を解決できることが記載され、ジェットディスペンサーにより適切に適用できることが記載されている。

一方、甲1発明は、硬化した材料は、シリコーン表面への良好な接着性、および良好な可撓性を有することを課題とし(摘記(1b)参照)、甲1には、これらの課題が解決できたことが具体的なデータとともに記載されている(摘記(1l)参照)。ここで、甲1には、硬化性組成物には、随意に、充填剤(例えば、アルミニウム粉末、カーボンブラック、ガラス気泡、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、溶融シリカのようなシリカ、ケイ酸塩、ガラスビーズ、及び雲母)を含有してもよいことが記載され、例示の一つとしてシリカが記載されているが、その平均粒径については記載がない。

ここで、甲8には、特許請求の範囲の請求項1に、概略、(a)熱硬化性樹脂成分及び(b)その硬化剤成分を含んでなる封止材料であって、温度変化(ΔΤ)に対する貯蔵弾性率の変化(ΔE)の割合(ΔE/ΔΤ)として0. 5MPa/℃?30MPa/℃の範囲の値を示すことを特徴とする封止材料が記載され(摘記(8a))、電子部品等を低応力で封止できるという特性を具備し、封止後に不適合品と認定された電子部品等のみを容易にリペアすること、短時間に大きな応力を加えなくても、基板から封止材料を剥がすことができることが記載されている(摘記(8b)の段落【0011】、摘記(8c)の段落【0028】を参照。)。甲8には、このような封止材料に含む(c)絶縁性フィラーとして、アルミナ、シリカなどが例示されており、粘度及び流動性を調節するという目的のため配合されることが記載されており(摘記(8c)の段落【0027】)、具体例として、実施例1では、熱硬化性樹脂成分としてエポキシ樹脂が用いられ、50%平均粒径が5μmのアルミナフィラーを配合したことが記載されている。

また、甲9には、特許請求の範囲の請求項1に、概略、(A)エポキシ樹脂、(B)有効成分として、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(1,4-diazabicyclo[2.2.2]octane(DABCO))を含む、イソシアネートアダクト型マイクロカプセル化硬化剤、(C)無機充填剤を含むエポキシ樹脂組成物が記載され(摘記(9a))、80℃以下の低温硬化が可能であり、接着強度やポットライフに優れたエポキシ樹脂組成物を提供することを課題とすることが記載され(摘記(9b)の段落【0005】)、無機充填剤として、コロイダルシリカ、疎水性シリカ、微細シリカ、ナノシリカ等のシリカフィラーが例示の一つとして記載され、この無機充填剤の平均粒径は、0.01?50μmであることが、エポキシ樹脂組成物中に充填剤を均一に分散させるうえで好ましく、また、エポキシ樹脂組成物をアンダーフィル等の液状封止材として使用した際の注入性に優れる等の理由から好ましいことが記載されており(摘記(9c))、具体例として、実施例では、D50が2μmまたは0.6μmのシリカフィラーを配合したことが記載されている(摘記(9d))。

さらに、甲10には、特許請求の範囲の請求項1に、概略、(A)エポキシ樹脂、(B)アミン系硬化剤、および(C)ジメチルポリシロキサンを含む液状エポキシ樹脂組成物が記載され(摘記(10a))、エポキシ樹脂のTgを高くし、耐湿性、耐サーマルサイクル性に優れるアミン系硬化剤を使用し、かつクリーピングを抑制することができる液状エポキシ樹脂組成物を提供することを課題とすることが記載されている(摘記(19b)の段落【0009】)。甲10には、この液状エポキシ樹脂組成物に配合する(E)無機充填剤として、コロイダルシリカ、疎水性シリカ、微細シリカ、ナノシリカ等のシリカフィラーが例示の一つとして記載され、この無機充填剤の平均粒径は、0.05?50μmであることが、エポキシ樹脂組成物中に充填剤を均一に分散させるうえで好ましく、また、樹脂組成物を半導体封止剤として使用する際に、注入性に優れる等の理由から好ましいことが記載されており(摘記(10c))、具体例として、実施例では、平均粒径が0.6μmのシリカフィラーを配合したことが記載されている(摘記(10d))。

このように、甲8には、エポキシ樹脂を含む封止材料にアルミナ、シリカを配合することは記載されているが、電子部品等を低応力で封止でき、簡単にリペアできることを課題とした封止材料であって、粘度及び流動性を調節するためにアルミナ、シリカを配合することが記載されているのであって、甲1発明とは、発明の課題を異にするものである。
また、甲9には、エポキシ樹脂組成物に無機充填剤を配合することが記載され、実施例では、平均粒径が2.0μm又は0.6μmのシリカフィラーを用いているところ、甲9に記載されたエポキシ樹脂組成物は、80℃以下の低温硬化が可能であり、接着強度やポットライフに優れるということを課題とするものであって、甲1発明とは、発明の課題を異にするものである。さらに、甲9には、無機充填剤の平均粒径は、エポキシ樹脂組成物中に均一に分散できるため、注入性に優れるために特定されていることが記載されているだけであり、本件発明1の効果を示唆するものではない。
加えて、甲10には、液状エポキシ樹脂組成物を含む液状エポキシ樹脂組成物に無機充填剤を配合することが記載され、実施例では、平均粒径が0.6μmのシリカフィラーを用いているところ、甲10に記載された液状エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂のTgを高くし、耐湿性、耐サーマルサイクル性に優れるアミン系硬化剤を使用し、かつクリーピングを抑制することができるということを課題とするものであって、甲1発明とは、発明の課題を異にするものである。また、甲10には、無機充填剤の平均粒径は、エポキシ樹脂組成物中に均一に分散できるため、また、注入性に優れるために特定されていることが記載されているだけであり、本件発明1の効果を示唆するものではない。

そうすると、いくら甲8?10に、エポキシ樹脂組成物にシリカを配合することが記載され、その平均粒径が、本件発明1で特定される範囲であることが記載されていたとしても、甲1発明において、甲8?10に記載された技術的事項を適用する動機づけがあるとはいえない。

そして、本件発明1は、平均粒径が0.1μm以上5.0μm以下であるシリカフィラーを配合することにより、粘度が高くならないという課題を解決でき、ジェットディスペンサーにより適切に適用できるという効果を奏することが記載されているところ、甲1や甲8?10には、このような効果に関する記載はないから、本件発明1は、甲1及び甲8?10の記載と比較して予測できない作用効果を奏するということができる。
よって、相違点2を構成することは、当業者が容易になし得たとはいえない。

c 申立人の主張について
(a)申立人の主張
申立人は、本件発明1の効果は、甲11及び甲12の記載から予測することができる旨の主張をする(特許異議申立書第50頁第9行?第52頁第9行)。

(b)申立人の主張の検討
甲11には、室温での粘度が3mPa・s未満のモノアクリレートと、最大粒径3μm未満のフィラーとを含むインクジェット用樹脂組成物が記載され(摘記(11a))、インクジェット方式で塗布可能であり、塗布後の形状を維持することができ、且つ硬化後のボイド発生を低減可能なインクジェット用樹脂組成物を提供することを課題とすることが記載されている(摘記(11b))。インクジェット用樹脂組成物に含まれる最大粒径3μm未満のフィラーに関しては、最大粒径が3μmを超えると、インクジェットの吐出性が悪くなることが記載され、また、フィラーの平均粒径は、0.1μm?2μmであることが好ましく、フィラーの平均粒径が0.1μmより小さいと樹脂組成物の粘度が高くなり、インクジェット方式に使用できないことが記載されている。
甲12には、(A)環状骨格を有する光重合性単官能モノマーと、(B)25℃における粘度が100mPa・s以下の光重合性2官能モノマーと、(C)25℃における粘度が500mPa・s以下であり3官能以上の光重合性多官能モノマーと、(D)光重合開始剤と、を含むインクジェット用硬化性組成物が記載され(摘記(12a))、インクジェット印刷法で塗膜を形成し、硬化させたときの表面硬化性が良好であると共に、密着性が良好なインクジェット用硬化性組成物を提供することを課題とすることが記載されている(摘記(12b))。また、インクジェット用樹脂組成物に含むことができる粒子は、粒子の最大粒径が0.1?5μm以下であることが好ましくことが記載され、最大粒径が0.1μm以上であれば、粒子の凝集力が高くなりすぎるということがなく、5μm以下であれば、インクジェット印刷時のノズル詰りなどの問題が発生する可能性が低くなるため好ましいことが記載されている(摘記(12c))。

しかしながら、甲11には、上記の甲11に記載された課題を解決するために、室温での粘度が3mPa・s未満のモノアクリレートに配合するフィラーとして、最大粒径3μm未満であるインクジェット用樹脂組成物が記載されており、この上で、最大粒径が3μmを超えると、インクジェットの吐出性が悪くなること、また、フィラーの平均粒径が0.1μmより小さいと樹脂組成物の粘度が高くなり、インクジェット方式に使用できないことが記載されているだけであり、樹脂成分はモノアクリレートであって、エポキシ樹脂とは異なるものである。また、甲12には、上記の甲12に記載された課題を解決するために、成分(A)?(C)で特定されるモノマーを配合したインクジェット用硬化性組成物が記載されており、この上で、この組成物に配合できる粒子として、粒子の凝集力が高くなりすぎないことやインクジェット印刷時のノズル詰りが発生する可能性が高くならないということから、粒子の最大粒径が0.1?5μm以下であることが記載されているだけであり、甲12には、モノマーとしてエポキシ樹脂は例示されていない。
このように、甲11及び12に記載された樹脂成分は甲1発明と異なっており、硬化する樹脂の種類が2官能性エポキシ樹脂と3官能性チオール化合物を含有する樹脂組成物である場合においても、平均粒径が0.1μm以上5.0μm以下のシリカフィラーを含めば、甲11及び12に記載された効果が、同様に奏すると直ちにいうことはできない。また、このことが技術常識であるともいえない。
以上のとおりであるから、申立人の主張は採用できない。

d 小括
よって、相違点1及び3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明及び他の甲号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(イ)本件発明2?6について
本件発明2?6は、本件発明1を直接的又は間接的に引用して限定した発明であるから、本件発明2?6は、上記「(ア)」で示した理由と同じ理由により、甲1に記載された発明及び他の甲号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

(ウ)まとめ
以上のとおりであるから、甲1発明を主引用発明とした場合によっては、本件発明1?6に係る特許を取り消すことはできない。

イ 甲14に記載された発明を主引用発明とした場合の対比・判断
(ア)本件発明1について
a 甲14発明1との対比
甲14発明1のEPON862は、甲17の記載(摘記(17b))によれば、2価のエポキシ樹脂であるから、本件発明1の(B)多官能エポキシ樹脂に相当する。
甲14発明1のAJICURE PN-23は、潜在硬化剤であり、潜在硬化剤はエポキシ樹脂の硬化触媒であることは明らかであるから、本件発明1の(D)硬化触媒に相当する。

そうすると、本件発明1と甲14発明1とでは、
「 エポキシ樹脂組成物であって、下記成分(B)及び(D):
(B)少なくとも1種の多官能エポキシ樹脂及び
(D)硬化触媒を含む、エポキシ樹脂組成物。
」で一致し、次の点で相違する。

(相違点4)本件発明1は、(A)少なくとも1種の、チオール基を3つ以上有する多官能チオール化合物を含むチオール系硬化剤を含み、成分(B)及び(C)についてのエポキシ官能基当量の合計の、成分(A)についてのチオール官能基当量に対する比(〔エポキシ官能基当量〕/〔チオール官能基当量〕)が、0.70以上、1.10以下であるのに対して、甲14発明1は、チオール硬化剤を含まず、成分(B)及び(C)についてのエポキシ官能基当量の合計の、成分(A)についてのチオール官能基当量に対する比(〔エポキシ官能基当量〕/〔チオール官能基当量〕)が明らかでない点

(相違点5)本件発明1は、(C)少なくとも1種の単官能エポキシ樹脂を含む架橋密度調節剤(ただし、シランカップリング剤ではない)を含み、成分(C)の量(mol)の、成分(B)の量(mol)と成分(C)の量(mol)の合計に対する割合が25?70%であるのに対して、甲14発明1は、CARDURA E10を含み、成分(C)の量(mol)の、成分(B)の量(mol)と成分(C)の量(mol)の合計に対する割合が明らかでない点

(相違点6)本件発明1は、(E)平均粒径が0.1μm以上5.0μm以下のシリカフィラーを含むのに対して、甲14発明1は、チキソトロピイ授与成分としてAEROSIL 202を含む点

(相違点7)エポキシ樹脂組成物が、本件発明1では、30℃での粘度が100mPa・s以上2000mPa・s以下であるのに対して、甲14発明1では、明らかでない点

b 甲14発明2との対比
甲14発明2のEPON862は、上記aで述べたように、本件発明1の(B)多官能エポキシ樹脂に相当する。
甲14発明2のAJICURE PN-23は、上記aで述べたように、本件発明1の(D)硬化触媒に相当する。

そうすると、本件発明1と甲14発明2とでは、
「 エポキシ樹脂組成物であって、下記成分(B)及び(D):
(B)少なくとも1種の多官能エポキシ樹脂及び
(D)硬化触媒を含む、エポキシ樹脂組成物。
」で一致し、次の点で相違する。

(相違点8)本件発明1は、(A)少なくとも1種の、チオール基を3つ以上有する多官能チオール化合物を含むチオール系硬化剤を含み、成分(B)及び(C)についてのエポキシ官能基当量の合計の、成分(A)についてのチオール官能基当量に対する比(〔エポキシ官能基当量〕/〔チオール官能基当量〕)が、0.70以上、1.10以下であるのに対して、甲14発明2は、チオール硬化剤を含まず、成分(B)及び(C)についてのエポキシ官能基当量の合計の、成分(A)についてのチオール官能基当量に対する比(〔エポキシ官能基当量〕/〔チオール官能基当量〕)が明らかでない点

(相違点9)本件発明1は、(C)少なくとも1種の単官能エポキシ樹脂を含む架橋密度調節剤(ただし、シランカップリング剤ではない)を含み、成分(C)の量(mol)の、成分(B)の量(mol)と成分(C)の量(mol)の合計に対する割合が25?70%であるのに対して、甲14発明2は、CARDURA E10を含み、成分(C)の量(mol)の、成分(B)の量(mol)と成分(C)の量(mol)の合計に対する割合が明らかでない点

(相違点10)本件発明1は、(E)平均粒径が0.1μm以上5.0μm以下のシリカフィラーを含むのに対して、甲14発明2は、チキソトロピイ授与成分としてAEROSIL 202を含む点

(相違点11)エポキシ樹脂組成物が、本件発明1では、30℃での粘度が100mPa・s以上2000mPa・s以下であるのに対して、甲14発明2では、明らかでない点

c 甲14発明3との対比
甲14発明3のEPON862は、上記aで述べたように、本件発明1の(B)多官能エポキシ樹脂に相当する。
甲14発明3のAJICURE PN-23は、上記aで述べたように、本件発明1の(D)硬化触媒に相当する。

そうすると、本件発明1と甲14発明3とでは、
「 エポキシ樹脂組成物であって、下記成分(B)及び(D):
(B)少なくとも1種の多官能エポキシ樹脂及び
(D)硬化触媒を含む、エポキシ樹脂組成物。
」で一致し、次の点で相違する。

(相違点12)本件発明1は、(A)少なくとも1種の、チオール基を3つ以上有する多官能チオール化合物を含むチオール系硬化剤を含み、成分(B)及び(C)についてのエポキシ官能基当量の合計の、成分(A)についてのチオール官能基当量に対する比(〔エポキシ官能基当量〕/〔チオール官能基当量〕)が、0.70以上、1.10以下であるのに対して、甲14発明3は、チオール硬化剤を含まず、成分(B)及び(C)についてのエポキシ官能基当量の合計の、成分(A)についてのチオール官能基当量に対する比(〔エポキシ官能基当量〕/〔チオール官能基当量〕)が明らかでない点

(相違点13)本件発明1は、(C)少なくとも1種の単官能エポキシ樹脂を含む架橋密度調節剤(ただし、シランカップリング剤ではない)を含み、成分(C)の量(mol)の、成分(B)の量(mol)と成分(C)の量(mol)の合計に対する割合が25?70%であるのに対して、甲14発明3は、CARDURA E10を含み、成分(C)の量(mol)の、成分(B)の量(mol)と成分(C)の量(mol)の合計に対する割合が明らかでない点

(相違点14)本件発明1は、(E)平均粒径が0.1μm以上5.0μm以下のシリカフィラーを含むのに対して、甲14発明3は、チキソトロピイ授与成分としてAEROSIL 202を含む点

(相違点15)エポキシ樹脂組成物が、本件発明1では、30℃での粘度が100mPa・s以上2000mPa・s以下であるのに対して、甲14発明3では、明らかでない点

d 判断
上記a?cで述べたように、相違点4、8及び12は同じであり、相違点5、9及び13は同じであり、相違点6、10及び14は同じであり、並びに相違点7、11及び15は同じであるから、ここでは、同じ相違点をまとめて検討する。まず、相違点4、8及び12について検討する。
(a)相違点4、8及び12について
本件発明1は、低粘度であり、低温条件下でも短時間で硬化して、硬化後のガラス転移点(T_(g))が低く、シェア強度に優れることを発明の課題とし(本件明細書の段落【0011】参照)、上記「第2」で示したとおり、概略、成分(A)?(E)を含むエポキシ樹脂組成物であり、成分(A)は、多官能エポキシ樹脂(成分(B))や架橋密度調節剤(成分(C))中のエポキシ基と反応するチオール基を3つ以上有する多官能チオール化合物を少なくとも1種含むと記載されている(本件明細書の段落【0022】)。そして、成分(B)及び(C)についてのエポキシ官能基当量の合計の、成分(A)についてのチオール官能基当量に対する比(〔エポキシ官能基当量〕/〔チオール官能基当量〕)が、0.70以上、1.10以下であることについては、この比が0.70未満であると、エポキシ基に対しチオール基が過剰であるため、未反応のまま硬化物中に残るチオール基が多くなり、そのようなチオール基間の反応に伴う硬化物のTg上昇が抑制されにくくなる。一方、前記の比が1.10超であると、チオール基に対しエポキシ基が過剰であるため、エポキシ基とチオール基の間の反応に加え、過剰なエポキシ基間の反応(ホモ重合)が進行する。この結果、得られる硬化物にはこれら両方の反応による分子間架橋が形成されるので、架橋密度が高くなりすぎ、Tgが上昇する。あるいは、80℃で1時間といった、低温硬化が困難となるとの記載がされている(本件明細書段落【0042】)。
そして、本件明細書の段落【0061】以降に記載された具体例においては、この比が0.6である、すなわち、0.7未満である比較例2は、エポキシ樹脂組成物の粘度が高いことが具体的なデータとともに記載され、また、硬化物は熱可塑性を示し、70℃以上での使用は困難であると考えられたと記載され、また、この比が1.3である、すなわち、1.10超である比較例3は、硬化物が脆く試験片を作成できないことが記載されている(本件明細書の段落【0074】の【表2】及び【0076】)。
このように、本件発明1において、成分(A)であるチオール基を3つ以上有する多官能チオール化合物を特定割合で含むことにより、エポキシ樹脂組成物を低粘度で維持でき、低温条件下でも短時間で硬化することを可能とする課題を解決できることが記載され、適切な物性を有する硬化物が得られることが記載されている。

一方、甲14には、上記(2)イで述べたように、本発明の第1局面と本発明の第2局面とが記載されており、甲14発明1?3は、本発明の第2局面の具体例であるといえる。
ここで、甲14には、その段落【0052】に、「ポリチオール成分の検討」と題し、本発明の第1局面の組成物のためのポリチオール化合物の具体例が記載されており(摘記(14g))、その記載に続く同【0054】には、「上記のポリチオール成分は、本発明の第2局面の組成物中に任意に含まれる。」との記載がされており(摘記(14g))、本発明の第2局面の具体例である甲14発明1?3には、任意の成分としてポリチオール成分を配合することが記載されているといえる。
しかしながら、本発明の第2局面の組成物に関しては、ポリチオールのエポキシ化合物に対する配合割合は記載されていない。

そうすると、いくら甲14に、任意の成分としてポリチオール成分を配合することが記載されていたとしても、甲14発明1?3において、ポリチオールを〔エポキシ官能基当量〕/〔チオール官能基当量〕の比として0.70以上、1.10以下配合する動機づけがあるとはいえない。

そして、本件発明1は、(A)少なくとも1種の、チオール基を3つ以上有する多官能チオール化合物を含むチオール系硬化剤を含み、成分(B)及び(C)についてのエポキシ官能基当量の合計の、成分(A)についてのチオール官能基当量に対する比(〔エポキシ官能基当量〕/〔チオール官能基当量〕)が、0.70以上、1.10以下であるとすることにより、エポキシ樹脂組成物を低粘度で維持でき、低温条件下でも短時間で硬化することを可能とする課題を解決することができ、適切な物性を有する硬化物が得られるという効果を奏することが記載されているところ、甲14には、このような効果に関する記載はないから、本件発明1は、甲14の記載と比較して予測できない作用効果を奏するということができる。
よって、相違点4、8及び12を構成することは、当業者が容易になし得たとはいえない。

e 申立人の主張について
(a)申立人の主張
申立人は、甲14の段落【0053】には、好適には、組成物中のエポキシ組成物対ポリチオール化合物の比率は、チオール等量に対するエポキシ等量の比率が、約0.5:1?約1.5:1、約0.75:1?約1.3:1になる旨の記載がされ、甲14の組成物1は、エポキシ樹脂であるEP828を100重量部に対して、ポリチオールであるTMPTを72重量部配合していることから換算して、ポリチオールを本件発明1で特定する比率で配合することは当業者が容易に想到することができる旨を主張する(特許異議申立書第71頁下から5行?第73頁第18行)。

(b)申立人の主張の検討
上記(2)イで述べたとおり、甲14には、本発明の第1局面と本発明の第2局面がそれぞれ記載されており、甲14発明1?3は、本発明の第2局面の具体例であるといえる一方、申立人が引用した段落【0053】は、本発明の第1局面の説明であるといえ、本発明の第2局面の具体例である甲14発明1?3において、本発明の第1局面の説明をそのまま引用することはできない。また、申立人が引用した甲14に記載の組成物1は、「【0222】IV.ポリチオール及びチキソトロピイ授与成分の両方を含有する組成物に関する実験データ」の具体例であるといえる(摘記(14i))一方、甲14には、本発明の第2局面のエポキシ樹脂組成物は、以下の区分VとVIに示される方法により製造されることが記載されており(摘記(14f)の段落【0043】)、組成物1は、本発明の第2局面の具体例ではないから、本発明の第2局面の具体例である甲14発明1?3において、本発明の第2局面の具体例でない記載をそのまま引用することはできない。
以上のとおりであるから申立人の主張は採用できない。

f 小括
よって、相違点5、9及び13、相違点6、10及び14、並びに相違点7、11及び15について検討するまでもなく、本件発明1は、甲14に記載された発明及び他の甲号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(イ)本件発明2?6について
本件発明2?6は、本件発明1を直接的又は間接的に引用して限定した発明であるから、本件発明2?6は、上記「(ア)」で示した理由と同じ理由により、甲14に記載された発明及び他の甲号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(ウ)まとめ
以上のとおりであるから、甲14発明を主引用発明とした場合によっては、本件発明1?6に係る特許を取り消すことはできない。

第5 むすび
したがって、特許異議申立ての理由によっては、本件発明1?6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2020-09-14 
出願番号 特願2019-546417(P2019-546417)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (C08G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中村 英司  
特許庁審判長 杉江 渉
特許庁審判官 安田 周史
佐藤 健史
登録日 2019-11-22 
登録番号 特許第6620273号(P6620273)
権利者 ナミックス株式会社
発明の名称 エポキシ樹脂組成物  
代理人 特許業務法人 津国  

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