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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1366387
審判番号 不服2019-12504  
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-09-20 
確定日 2020-09-17 
事件の表示 特願2017-109862号「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月27日出願公開、特開2018-201810号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成29年6月2日の出願であって、平成30年10月26日に手続補正書が提出され、平成31年2月20日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月23日に意見書及び手続補正書が提出され、令和1年6月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、当審において、令和2年3月18日付けで拒絶の理由が通知(以下、通知された拒絶の理由を「当審拒絶理由」という。)され、同年5月18日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
この出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年5月18日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(なお、AないしNについては、分説するため合議体が付した。)。

「A 遊技領域が形成された遊技盤と、
B 前記遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口と、
C 前記始動入賞口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための抽選値に基づいて当否判定を実行する当否判定手段と、
D 前記当否判定の結果を示すための図柄が変動表示される図柄表示装置と、
E 前記当否判定の結果に応じて前記図柄表示装置へ停止表示させる図柄を決定する図柄決定手段と、
F 図柄の変動表示過程が定められた複数種の変動パターンから前記当否判定の結果に応じていずれかを抽選で選択する変動パターン決定手段と、
G 前記遊技領域において所定方向を狙って打球した場合に相対的に入球し易い所定位置に設けられ、前記当否判定の結果が当りであったときに開放される大入賞口と、
H 前記所定方向を狙って打球した場合に相対的に遊技球が通過し易い位置であって、前記大入賞口よりも上流側の位置に設けられた作動口と、
I 前記当否判定の結果が前記特別遊技へ移行すべき旨の結果となった場合に前記大入賞口を開放させる単位遊技を実行することにより前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
J 演出内容が表示される演出表示装置と、
K 前記演出表示装置に表示させる演出内容を決定する演出決定手段と、
L 前記演出決定手段により決定された前記演出内容を前記演出表示装置に表示させる演出表示制御手段と、を備え、
M 前記演出決定手段は、前記特別遊技の開始に伴う演出として、前記所定方向を狙って打球することを遊技者に促す案内演出を実行するとともに、前記案内演出の実行中に遊技球が前記作動口を通過したことが所定の通過検出装置により検出された場合に、前記案内演出を終了し、前記単位遊技用の演出に切り替える、
N 弾球遊技機。」

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は、概略、次のとおりである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1
・引用文献等
引用例1.特開2009-178432号公報
引用例2.特開2015-73551号公報
引用例3.特開2016-82991号公報

第4 引用例の記載及び引用発明
1 引用例1
当審拒絶理由で引用例1として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2009-178432号公報(平成21年8月13日公開)には、弾球遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。
(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技状態に応じて、遊技領域のうちの第1又は第2領域に配置された第1又は第2遊技球検出手段を狙って発射するよう報知手段に報知させる弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からパチンコ機には、遊技盤上の遊技領域の略中央部に始動口が配置され、遊技領域の右側領域に電動式の特別役物が配置されたものがある。この種のパチンコ機では、例えば、通常の遊技状態のとき始動口を狙って発射手段により発射された遊技球の到達位置を左側領域に集中させる左打ちが行われる一方、特定遊技状態(大当り遊技状態)のとき開放される特別役物を狙って発射ハンドルの回動量を増大させて遊技球を強い勢いで発射させてその到達位置を右側領域に集中させる右打ちが行われる。
【0003】
また、この種のパチンコ機においては、遊技状態に応じて遊技球を左側領域又は右側領域を狙って発射するよう指示する左打ち又は右打ち報知が行われる。特許文献1のパチンコ機には、遊技盤上の遊技領域に開閉可能な複数の変動入賞口が夫々所定位置に配置され、遊技領域の上端側部分に遊技者に遊技球の右打ち又は左打ちを指示する遊技方法表示器が設けられている。この遊技方法表示器は左打ち表示器と右打ち表示器を有し、左側領域の変動入賞口が開閉されるとき左打ち表示器が点灯表示され、右側領域の変動入賞口が開閉されるとき右打ち表示器が点灯表示される。
【0004】
特許文献2のパチンコ遊技機においては、遊技領域のうちの右側領域に大入賞口が配置され、外レールの至端部に配置された返しゴム部材の近傍に打球センサが設けられ、大当り発生時からその打球センサが打球を検知するまでの間、遊技者に右打ちすべき旨の指示がディスプレイに表示される。
・・・略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、各変動入賞口の開閉動作状態に応じて左打ち報知と右打ち報知が遊技者の遊技技量とは無関係に短時間(数秒間)で終了する場合、その報知を見逃してしまった遊技者、特に、遊技方法を知らない初心者にとっては、遊技方法が解らなくなり、遊技状態に応じた適切な右打ち又は左打ちを行うことができなくなる。その結果、遊技の興趣を著しく損ねることになる。
【0006】
特許文献2においては、通常の遊技状態から大当り遊技状態へ移行した場合、打球センサが打球を検出するまで右打ち報知が継続して行われるので、右打ちされた遊技球が打球センサで検出されずに大入賞口に入賞した場合でも報知は終了しないため、熟練した遊技技量を持つ遊技者にとっては報知が煩わしくなる。また、各入賞口(大入賞口や図柄始動入賞口など)に設けられた遊技球検出スイッチとは別個に専用の打球センサを設けたので、部品点数が増え、製作費が高価になる。
本発明の目的は、遊技者の遊技技量に応じた報知と遊技演出を実行できる弾球遊技機を提供することである。」

(2)「【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、パチンコ機1は、矩形枠状の外枠2と、この外枠2に開閉自在に枢着された前枠3とを有し、カード式球貸し機(図示略)をサンドイッチ状に挟持する状態で、外枠2が島構造体(図示略)に着脱自在に装着されている。前枠3の前側から遊技盤4が着脱自在に装着され、遊技盤4の前側に対応させて開閉可能な開閉扉5が設けられている。開閉扉5の前面には、遊技盤4が視認可能な窓部6と、複数のカラーLEDを装備した複数の装飾ランプ7と、複数のスピーカ8と、発射用の遊技球Pや入賞球を貯留する貯留皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。
【0014】
図2に示すように、鉛直な盤面を形成する遊技盤4には、ガイドレール11がほぼ環状に設けられ、ガイドレール11の内側に遊技領域12が形成され、遊技者の発射ハンドル10の回動操作により発射された遊技球Pが遊技領域12に案内される。遊技領域12は、その上端側部分以外の部分が上下に連続的に一列に配置された複数の障害釘13を境界として右側領域(第1領域)14と左側領域(第2領域)15とに区分けされている。これら障害釘13の間隔は、遊技球Pが通過不可能な間隔、即ち、遊技球Pの径よりも小さく形成してある。尚、図示した複数の障害釘13以外の複数の障害釘については図示を省略する。
【0015】
右側領域14には、普通図柄始動ゲート16と、開閉可能な第1特別図柄始動入賞口17と、特別図柄表示部18と、普通図柄ランプ表示部19と、大入賞口20とが、夫々所定位置に配置されている。また、左側領域15には、液晶ディスプレイ21と、常時開状態の第2特別図柄始動口22と、複数の普通入賞口23とが、夫々、所定位置に配置されている。尚、普通図柄始動ゲート16、第1,第2特別図柄始動入賞口17,22、大入賞口20、普通入賞口23が遊技球検出手段に相当する。
【0016】
遊技開始後、通常の遊技状態において、遊技者が発射ハンドル10を回動操作して、複数の普通入賞口23や第2特別図柄始動入賞口22への入賞を狙って左側領域15に発射された遊技球Pは、複数の障害釘(図示略)や風車24に当たって方向を換えながら落下していき、普通入賞口23、第2特別図柄始動入賞口22の何れかに入賞するか、最下端まで落下して球排出口25から排出される。
【0017】
第2特別図柄始動入賞口22に入賞した遊技球Pを検出した場合、特別図柄表示部18において7セグメント表示装置で表示される特別図柄の変動表示が開始され、この特別図柄の変動表示に連動して、液晶ディスプレイ21の表示画面において、リーチや大当りに対する遊技者の期待感を喚起する為に演出目的で表示される複数の図柄列からなる演出図柄の変動表示が開始される。そして、特別図柄の変動停止タイミングに合わせて演出図柄も変動停止するので、遊技者は、演出図柄の停止態様を見て特別図柄表示部の特別図柄の停止態様が当りか否かを認識することができる。例えば、特別図柄が大当り態様で停止したとき、演出図柄の停止図柄も大当り態様(例えば、「777」や「444」)で表示される。また、液晶ディスプレイの表示画面には、演出図柄の変動表示に連動して、変動停止後の特別図柄の図柄態様を予告する予告演出画像や背景画像などが表示される。
【0018】
特別図柄の変動開始後、変動停止時の図柄態様が大当り態様(例えば、「777」や「444」)で停止したとき、遊技状態が、通常の遊技状態から大当り遊技状態へ移行する。大当り遊技状態に移行すると、大入賞口20が開閉され、大入賞口20は最大で15ラウンド開閉動作を繰り返す。大入賞口20の各開放は、大入賞口20に遊技球Pが10個入球するか、その開放時から30秒経過するまで維持される。遊技者は、大入賞口20への遊技球Pの入賞を狙うため、発射ハンドル10の回動量を増大させ遊技球Pを強い勢いで連続的に発射させ、その到達位置を遊技領域12の右側領域14へ集中させる右打ちを行う。そして、右側領域14に到達した遊技球Pは、左側領域15の第2特別図柄始動入賞口22に入賞又は入賞し難いように複数の障害釘13でブロックされつつ落下して、普通図柄始動ゲート16を通過するか、又は、第1特別図柄始動入賞口17や大入賞口20へ入賞するか、最下端まで落下して球排出口25から排出される。」

(3)「【図2】




(4)「【0021】
大当り遊技状態へ移行されると、図3に示すように、液晶ディスプレイの表示画面に、「右打ちして下さい!」旨の文字情報による視覚的な報知が行われる(第1報知に相当する)。遊技者は、発射ハンドル10の回動操作位置を調整して、大入賞20への遊技球Pの入賞を狙って右側領域14に遊技球Pを発射させる。また、報知してから所定時間経過後も、大入賞口20への遊技球Pの入賞が検出されず、遊技者が左側領域15を狙った左打ちを行っていると予測し、前記の視覚的な報知と共に、スピーカ8から「右打ちして下さい」旨の音声による聴覚的な報知とが行われる(第2報知に相当する)。」

(5)「【図3】




(6)「【0023】
図4に示すように、主制御基板26には、普通図柄始動ゲート16に設けた普通図柄始動ゲートSW30、第1特別図柄始動入賞口17に設けた第1特別図柄始動入賞口SW31、第2特別図柄始動入賞口22に設けた第2特別図柄始動入賞口SW32、普通入賞口23に設けた普通入賞口SW33、大入賞口20に設けた大入賞口SW34、大入賞口20の開閉SOL35、第1特別図柄始動入賞口17の開閉SOL36、払出制御基板27、演出制御基板28、特別図柄表示基板37、普通図柄表示基板38が接続されている。尚、SWはスイッチを意味し、SOLはソレノイドアクチュエータのことである。普通図柄始動ゲートSW30、第1特別図柄始動入賞口SW31、第2特別図柄始動入賞口SW32、普通入賞口SW33、大入賞口SW34、が遊技球検出スイッチに相当する。
・・・略・・・
【0028】
演出制御基板28には、スピーカ(音声発生手段)8、装飾ランプ7、液晶表示制御基板29が接続されている。演出制御基板28上に装備された演出制御手段28aは、主制御手段26aから受信した複数の制御コマンドに基づいてスピーカ8からの遊技効果音や音声の出力や装飾ランプ7の点灯又は点滅表示を直接的に制御すると共に、液晶表示制御基板29の液晶表示制御手段29aに表示指令コマンドを送信しての液晶ディスプレイ21を間接的に制御する。尚、スピーカ8と液晶ディスプレイ21が報知手段に相当する。
【0029】
液晶表示制御基板29上に装備された液晶表示制御手段29aは、演出制御手段28aから受信した制御コマンドに応じて液晶ディスプレイ21を有する液晶ディスプレイユニットへ駆動制御信号を出力して、液晶ディスプレイ21の表示画面から演出図柄の変動態様、変動停止後の演出図柄態様、予告演出画像、背景画像や、文字情報などが表示される。」

(7)「【0035】
次に、実施例のパチンコ機1の作用効果について説明する。
遊技者が発射ハンドル10を操作して、第2特別図柄始動入賞口22に遊技球Pが入賞して特別図柄の変動後の停止態様が大当りの場合、通常の遊技状態から大当り遊技状態へ移行される。大当り遊技状態が開始されると、液晶ディスプレイ21の表示画面に「右打ちして下さい!」と遊技者に右打ちを指示する第1報知が開始される。この第1報知の開始後予め設定された所定時間(5秒間)が経過するまでに大入賞口20への遊技球Pの入賞が大入賞口SW34により検出されると、報知を終了する。熟練した遊技技量を持つ遊技者にとっては1回の報知で且つ短時間で報知が終了するため、報知を煩わしいと感じることがない。
【0036】
一方、第1の報知の報知時間が経過するまでに大入賞口SW34から遊技球Pが検出されなかった場合、入賞口SW34から遊技球Pが検出されるまで、第1報知による視覚的な報知と、「右打ちして下さい」旨の音声をスピーカ8から出力する聴覚的な報知とによる第2報知が行われる。そのため、遊技者、特に初心者にとっては、2回の報知でもって遊技状態が大当り遊技状態であることを見逃すことがなく、確実に大当り遊技に応じた適切な遊技を行うことできる。
【0037】
また、大入賞口SW34を有効に活用することで、遊技領域12に遊技球Pの到達位置を検出する為の専用のスイッチを設ける必要がなく、簡単且つ容易に遊技者が右打ち又は左打ちを行っているかを特定することが可能である。
【0038】
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1〕実施例の発射位置報知制御では、大入賞口SW34からの遊技球Pの検出の有無に基づいて第1,第2報知が実行されたが、普通図柄始動ゲートSW30からの遊技球Pの検出の有無に基づいて第1,第2報知を実行するように構成してもよい。」

(8)【0015】及び【0023】の記載を踏まえて、パチンコ遊技機の遊技盤の正面図である図2を参照すると、右側領域14には、大入賞口20よりも上流側の位置に、普通図柄始動ゲートSW30が設けられた普通図柄始動ゲート16が配置されていることが看取できる。

(9)上記(1)ないし(8)からみて、引用例1には、実施形態として、次の発明が記載されている。なお、aないしnについては本願発明のAないしNに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a 遊技領域12が形成された遊技盤4(【0014】)を備え、
b-f 遊技領域12は、右側領域14と左側領域15とに区分けされ(【0014】)、右側領域14には、普通図柄始動ゲート16と、開閉可能な第1特別図柄始動入賞口17と、特別図柄表示部18と、大入賞口20とが、夫々所定位置に配置され、左側領域15には、液晶ディスプレイ21と、常時開状態の第2特別図柄始動口22とが、夫々所定位置に配置され(【0015】)、
第2特別図柄始動入賞口22に入賞した遊技球Pを検出した場合、特別図柄表示部18において7セグメント表示装置で表示される特別図柄の変動表示が開始され、この特別図柄の変動表示に連動して、液晶ディスプレイ21の表示画面において、リーチや大当りに対する遊技者の期待感を喚起する為に演出目的で表示される複数の図柄列からなる演出図柄の変動表示が開始され(【0017】)、
変動停止時の図柄態様が大当り態様(例えば、「777」や「444」)で停止したとき、遊技状態が、通常の遊技状態から大当り遊技状態へ移行し(【0018】)、
g、i 大当り遊技状態に移行すると、大入賞口20が開閉され、大入賞口20は最大で15ラウンド開閉動作を繰り返し(【0018】)、
h 右側領域14には、大入賞口20よりも上流側の位置に、普通図柄始動ゲートSW30が設けられた普通図柄始動ゲート16が配置され(【0015】、【0023】、図2、上記(8))、
j 液晶ディスプレイ21の表示画面に、演出図柄の変動表示に連動して、変動停止後の特別図柄の図柄態様を予告する予告演出画像や背景画像などを表示させ(【0017】)、
k 主制御手段26aから受信した複数の制御コマンドに基づいてスピーカ8からの遊技効果音や音声の出力や装飾ランプ7の点灯又は点滅表示を直接的に制御すると共に、液晶表示制御基板29の液晶表示制御手段29aに表示指令コマンドを送信しての液晶ディスプレイ21を間接的に制御する演出制御手段28a(【0028】)と、
l 演出制御手段28aから受信した制御コマンドに応じて液晶ディスプレイ21を有する液晶ディスプレイユニットへ駆動制御信号を出力して、液晶ディスプレイ21の表示画面に、演出図柄の変動態様、変動停止後の演出図柄態様、予告演出画像、背景画像や、文字情報などを表示させる液晶表示制御手段29a(【0029】)と、をさらに備え、
m 大当り遊技状態へ移行されると、液晶ディスプレイ21の表示画面に、「右打ちして下さい!」旨の文字情報による視覚的な報知(第1報知に相当する)が行われ、報知してから所定時間経過後も、大入賞口20への遊技球Pの入賞が検出されず、遊技者が左側領域15を狙った左打ちを行っていると予測し、前記の視覚的な報知と共に、スピーカ8から「右打ちして下さい」旨の音声による聴覚的な報知とが行われ(第2報知に相当する)(【0021】、図3)、第1報知の開始後予め設定された所定時間(5秒間)が経過するまでに大入賞口20への遊技球Pの入賞が大入賞口SW34により検出されると、報知を終了するものであり(【0035】)、
大入賞口SW34からの遊技球Pの検出の有無に基づいて第1,第2報知が実行されるが、普通図柄始動ゲートSW30からの遊技球Pの検出の有無に基づいて第1,第2報知を実行するように構成してもよい(【0038】)、
n パチンコ機1(【0013】)。」(以下「引用発明」という。)

2 引用例2
当審拒絶理由で引用例2として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-73551号公報(平成27年4月20日公開)には、弾球遊技台(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。
(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機(パチンコ機)、回胴遊技機(スロットマシン)、封入式遊技機あるいはメダルレススロットマシンに代表される遊技台に関する。」

(2)「<ターボボタン報知/実施例3-2>
【1018】
図128は、実施例3-2に係るターボボタン報知の一例を時系列で示した図である。本例は、大当り開始インターバル時にチュートリアル報知を行う例を示している。
【1019】
同図(a)に示す状態は、通常状態における特図の停止表示中であり、続く同図(b)に示す状態は、大当り遊技の開始を待っている大当り開始インターバル状態である。
【1020】
第1副制御部400は、大当り開始インターバル状態に移行したことを条件として、装飾図柄表示装置208を用いて、ターボボタン804gの使用方法を報知するチュートリアル報知を行う。
【1021】
本例では、チュートリアル報知として、同図(c)のタイミングで、装飾図柄表示装置208を用いて、ターボボタン804gの配置場所の説明(本例では、「押して」という文字表示と、ターボボタン804gを指し示す矢印の画像表示)、ターボボタン804gによる右打ちで狙う入賞口の説明(本例では、「入れろ!」という文字表示と、第2可変入賞口235を指し示す矢印の画像表示)を行うアニメーション表示を行っている。なお、本例では、大当り開始インターバル状態の直後に大当り遊技が開始され、第2可変入賞口235の開放制御が行われるため、同図(c)に示すタイミング(第2可変入賞口235が開いていない状態)で第2可変入賞口235に関連する説明を行っても、直後に第2可変入賞口235が開くため、遊技者が著しく不利になることはない。
【1022】
また、同図(d)に示す状態は、チュートリアル報知を終了した状態である。第1副制御部400は、大当り遊技が開始されたこと(大当り開始インターバル状態が終了したこと)を条件として、チュートリアル報知を終了する。」

(3)「【図128】




3 引用例3
当審拒絶理由で引用例3として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-82991号公報(平成28年5月19日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。
(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の異常検知を実行可能な遊技機に関する。」

(2)「【0680】
まず、図54を参照しながら、比較のために、通常演出モードにおける大当たり遊技画像について説明する。なお、図54は、時短付き8R当たりが発生した場合を例としている。
【0681】
図54に示すように、各ラウンドにおいてラウンド数の表示を行うラウンド表示画像P61を表示する。ここでは、「ラウンド1」?「ラウンド8」のように表示するラウンド表示画像P61をラウンドごとに順次表示する。
【0682】
大当たりになることで、最初に、オープニングの表示が行われる。図54の例では、「大当たり!!」の文字によって抽選結果が大当たりであること、および、遊技領域114の右半分側に向けて遊技球を発射することを遊技者に伝えるために「右打ち」の指示情報を報知する情報画像P62を表示する。」

(3)「【図54】




(4)「【0690】
図55は、特別演出モードにおいて大当たり遊技状態に移行した場合の表示画像を説明するための説明図である。図55は、例えば、特別演出モードに移行しているときに大当たり(長当たり)遊技状態となり、大当たり(長当たり)演出を行う場合を示している。
【0691】
まず、オープニング演出において、情報画像P62は、「大当たり!!」の文字によって抽選結果が大当たりであることを報知する。また、情報画像P62は、遊技領域114の右半分側に向けて遊技球を発射することを遊技者に伝えるために「右打ち」の情報を提示する。
【0692】
これらのオープニング演出の情報画像P62は、大当たり遊技状態であり大入賞口120が開放されること、また、遊技領域114の右側に位置する大入賞口120に向けて遊技球を発射するという、遊技者にとって出球の数を左右する情報を含むものである。そのため、情報画像P62は、メイン液晶表示装置108において全体的に大きく表示する。一方、楽曲公演演出画像P48は、縮小させて情報画像P62に重畳させて表示する。
【0693】
なお、このオープニング演出において、発生した大当たりの種類や大当たりの名称を表示するようにしてもよい。
なお、オープニング演出が開始されるまでに、まだ特別演出モードに移行していない(公演告知演出又は楽曲公演演出が実行されていない)場合は、図54に示したオープニング演出が表示される。
【0694】
オープニング演出に続いて、長開放ラウンド演出中は、各ラウンドにおいてラウンド中ラウンド表示画像P61の表示が行われる。ラウンド表示画像P61は、大入賞口120が開放するラウンド数を示すものであり、遊技者にとって出球の数を左右する情報を含むものである。従って、ラウンド表示画像P61は、メイン液晶表示装置108に表示させる。」

(5)「【図55】




第5 対比
本願発明と引用発明を対比する(見出し(a)ないし(n)は、本願発明の特定事項AないしMに対応する。)。

(a)引用発明の「遊技領域12」及び「遊技盤4」は、それぞれ本願発明の「遊技領域」及び「遊技盤」に相当するから、引用発明の「a 遊技領域12が形成された遊技盤4」は、本願発明の「A 遊技領域が形成された遊技盤」に相当する。

(b)引用発明の「『第1特別図柄始動入賞口17』又は『第2特別図柄始動口22』」は、本願発明の「始動入賞口」に相当する。引用発明において、遊技領域12には、第1特別図柄始動入賞口17と、第2特別図柄始動口22とが、夫々所定位置に配置されているのであるから、引用発明は、本願発明の「B 前記遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口」を備える。

(c)(d)引用発明の「『特別図柄表示部18』又は『液晶ディスプレイ21』」及び「大入賞口20」は、それぞれ本願発明の「図柄表示装置」及び「大入賞口」に相当する。
また、引用発明は、第2特別図柄始動入賞口22(始動入賞口)に入賞した遊技球Pを検出した場合、特別図柄表示部18(図柄表示装置)において7セグメント表示装置で表示される特別図柄の変動表示が開始され、この特別図柄の変動表示に連動して、液晶ディスプレイ21(図柄表示装置)の表示画面において、リーチや大当りに対する遊技者の期待感を喚起する為に演出目的で表示される複数の図柄列からなる演出図柄の変動表示が開始され、変動停止時の図柄態様が大当り態様で停止したとき、遊技状態が、通常の遊技状態から大当り遊技状態(特別遊技)へ移行するものである。
そうすると、引用発明は、技術常識からみて、大当りにするか否かの当否判定を実行していることは明らかであるから、本願発明の「C 前記始動入賞口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための抽選値に基づいて当否判定を実行する当否判定手段」と、「D 前記当否判定の結果を示すための図柄が変動表示される図柄表示装置」と、を備える。

(e)(f)引用発明は、リーチや大当りに対する遊技者の期待感を喚起する為に演出目的で表示される複数の図柄列からなる演出図柄の変動表示がなされており、技術常識からみて、非リーチハズレ、リーチハズレ及び大当りのいずれかに応じ決定された変動パターンを経て所定の図柄で変動停止することが決定されているといえ、図柄停止表示させる図柄の決定手段、及び、複数種の変動パターンのうち特定の変動パターンを決定する手段を有していることが自明であるから、引用発明は、本願発明の「E 前記当否判定の結果に応じて前記図柄表示装置へ停止表示させる図柄を決定する図柄決定手段」と、「F 図柄の変動表示過程が定められた複数種の変動パターンから前記当否判定の結果に応じていずれかを抽選で選択する変動パターン決定手段」と、を備える。

(g)(i)引用発明は、右側領域14には、大入賞口20が配置されているのであるから、該大入賞口20は、所定方向を狙って打球、すなわち右打ちをした場合に、相対的に遊技球が通過し易い位置に設けられたものといえ、大当り遊技状態(特別遊技)に移行すると、右側領域14に配置されている大入賞口20が開閉され、大入賞口20は最大で15ラウンド開閉動作を繰り返すものであり、「15ラウンド」のうちのそれぞれのラウンドが本願発明の「単位遊技」に相当するから、引用発明は、本願発明の「G 前記遊技領域において所定方向を狙って打球した場合に相対的に入球し易い所定位置に設けられ、前記当否判定の結果が当りであったときに開放される大入賞口」と、「H 前記当否判定の結果が前記特別遊技へ移行すべき旨の結果となった場合に前記大入賞口を開放させる単位遊技を実行することにより前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段」と、を備える。

(h)引用発明の「普通図柄始動ゲート16」は、本願発明の「作動口」に相当する。
そして、引用発明は、右側領域14には、大入賞口20よりも上流側の位置に、普通図柄始動ゲートSW30が設けられた普通図柄始動ゲート16(作動口)が配置されているのであるから、該普通図柄始動ゲート16(作動口)は、所定方向を狙って打球、すなわち右打ちをした場合に、相対的に遊技球が通過し易い位置であって、大入賞口20よりも上流側の位置に設けられたものといえる。
そうすると、引用発明は、本願発明の「H 前記所定方向を狙って打球した場合に相対的に遊技球が通過し易い位置であって、前記大入賞口よりも上流側の位置に設けられた作動口」を備える。

(m)引用発明の「「右打ちして下さい!」旨の文字情報による視覚的な報知」は、本願発明の「前記所定方向を狙って打球することを遊技者に促す案内演出」に相当する。
そして、引用発明は、大当り遊技状態(特別遊技)へ移行されると、液晶ディスプレイ21の表示画面に、「右打ちして下さい!」旨の文字情報による視覚的な報知(案内演出)が行われ、大入賞口20への遊技球Pの入賞が大入賞口SW34により検出されると、報知(案内演出)を終了するものである。
そうすると、引用発明のmと、本願発明の「M 前記演出決定手段は、前記特別遊技の開始に伴う演出として、前記所定方向を狙って打球することを遊技者に促す案内演出を実行するとともに、前記案内演出の実行中に遊技球が前記作動口を通過したことが所定の通過検出装置により検出された場合に、前記案内演出を終了し、前記単位遊技用の演出に切り替える、」とは、「M’『前記演出決定手段は、前記特別遊技の開始に伴う演出として、前記所定方向を狙って打球することを遊技者に促す案内演出を実行するとともに、前記案内演出の実行中に遊技球が』前記所定方向を狙って打球されたことを示す所定状態が『検出された場合に、前記案内演出を終了』する、」点で共通する。

(n)引用発明の「パチンコ機1」は、本願発明の「弾球遊技機」に相当する。

そうすると、本願発明と引用発明とは、
「A 遊技領域が形成された遊技盤と、
B 前記遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口と、
C 前記始動入賞口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための抽選値に基づいて当否判定を実行する当否判定手段と、
D 前記当否判定の結果を示すための図柄が変動表示される図柄表示装置と、
E 前記当否判定の結果に応じて前記図柄表示装置へ停止表示させる図柄を決定する図柄決定手段と、
F 図柄の変動表示過程が定められた複数種の変動パターンから前記当否判定の結果に応じていずれかを抽選で選択する変動パターン決定手段と、
G 前記遊技領域において所定方向を狙って打球した場合に相対的に入球し易い所定位置に設けられ、前記当否判定の結果が当りであったときに開放される大入賞口と、
H 前記所定方向を狙って打球した場合に相対的に遊技球が通過し易い位置であって、前記大入賞口よりも上流側の位置に設けられた作動口と、
I 前記当否判定の結果が前記特別遊技へ移行すべき旨の結果となった場合に前記大入賞口を開放させる単位遊技を実行することにより前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
J 演出内容が表示される演出表示装置と、
K 前記演出表示装置に表示させる演出内容を決定する演出決定手段と、
L 前記演出決定手段により決定された前記演出内容を前記演出表示装置に表示させる演出表示制御手段と、を備え、
M’前記演出決定手段は、前記特別遊技の開始に伴う演出として、前記所定方向を狙って打球することを遊技者に促す案内演出を実行するとともに、前記案内演出の実行中に遊技球が前記所定方向を狙って打球されたことを示す所定状態が検出された場合に、前記案内演出を終了する、
N 弾球遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点1(特定事項M)
「前記案内演出を終了」した後に切り替えて実行される「演出」に関し、
本願発明では、「前記案内演出を終了し、前記単位遊技用の演出に切り替える」のに対し、
引用発明では、「右打ちして下さい!」旨の文字情報による視覚的な報知(案内演出)を終了し、ラウンド(単位遊技)に関する演出に切り替えて実行させるのか否かが明らかでない点。

・相違点2(特定事項M)
「遊技球が前記所定方向を狙って打球されたことを示す所定状態が検出された場合」とは、
本願発明では、「前記作動口を通過したことが所定の通過検出装置により検出された場合」であるのに対し、
引用発明では、大入賞口20への遊技球Pの入賞が大入賞口SW34により検出される場合であり、普通図柄始動ゲート16(作動口)を通過したことが普通図柄始動ゲートSW30(通過検出装置)からの遊技球Pの検出がある場合でもあるといえるか否かが不明である点。

第6 判断
1 相違点1について
(1)パチンコ遊技機において、大当り遊技状態へ移行した際に右打ち報知を実行し、その後、右打ち報知を終了させて単位遊技用の演出に切り替えることは本願出願前に周知(以下「周知技術1」という。例.引用例2(特に【1018】ないし【1022】、図128参照。)、引用例3(特に【0680】ないし【0682】、【0690】ないし【0694】、図54、図55参照。))である。当該周知技術1は、本願発明のMのうち、「前記演出決定手段は、前記特別遊技の開始に伴う演出として、前記所定方向を狙って打球することを遊技者に促す案内演出を実行」し、その後、「前記案内演出を終了し、前記単位遊技用の演出に切り替える」との構成を備えるといえる。

(2)引用発明と周知技術1とは、大当り遊技状態へ移行した際に右打ち報知を実行するパチンコ遊技機であることで技術分野が共通し、遊技興趣の向上という課題でも共通するから、引用発明において、「右打ちして下さい!」旨の文字情報による視覚的な報知(案内演出)を終了した後、ラウンド(単位遊技)に関する演出に切り替えて実行させることは、周知技術1を考慮すれば、当業者にとって格別困難なことではない。

(3)以上のとおり、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項となすことは当業者が周知技術1に基づいて適宜なし得たことである。

2 相違点2について
(1)パチンコ遊技機において、遊技盤の遊技領域の右側領域に、大入賞口と、該大入賞口の上流側の位置にゲートを配置し、該ゲートに遊技球が通過したことを検知することにより、遊技者が右打ちしているものとすることは本願出願前に周知(以下「周知技術2」という。例.特開2017-42286号公報(【0001】、【0074】、図2参照。)、特開2017-86500号公報(【0001】、【0869】ないし【0871】、図1、図83参照。)、特開2016-29984号公報(【0001】、【0027】ないし【0029】、図2参照。))である。当該周知技術2は、本願発明における、Hの「所定方向を狙って打球した場合に相対的に遊技球が通過し易い位置であって、前記大入賞口よりも上流側の位置に設けられた作動口」に関し、Mの「前記作動口を通過したことが所定の通過検出装置により検出された場合」を備えるといえる。

(2)引用発明は、大入賞口SW34からの遊技球Pの検出の有無に基づいて第1,第2報知が実行されるか、普通図柄始動ゲートSW30からの遊技球Pの検出の有無に基づいて第1,第2報知を実行するものであるが、具体的に、普通図柄始動ゲートSW30からの遊技球Pの検出が有った場合、如何にして第1報知及び第2報知を実行するのかが不明である。
しかしながら、引用発明は、大入賞口SW34からの遊技球Pの検出に換えて、普通図柄始動ゲートSW30からの遊技球Pの検出を用いるとも読み取れないわけではないこと、及び、遊技領域の右側領域に配置されたゲートによる遊技球の通過検知により遊技者の右打ちを把握する周知技術2を念頭におけば、引用発明は、液晶ディスプレイ21の表示画面に、「右打ちして下さい!」旨の文字情報による視覚的な報知である第1報知が行われ、普通図柄始動ゲート16(作動口)への遊技球Pの入賞が普通図柄始動ゲートSW30(所定の通過検出装置)により検出されると、第1報知を終了するものであるものと解することができる。
そうすると、上記相違点2は実質的な相違点ではない。

(3)仮に上記相違点2が実質的な相違点であるとしても、引用発明と周知技術2とは、遊技者の右打ちに関連するパチンコ遊技機であることで技術分野が共通するから、周知技術2を引用発明に適用し、液晶ディスプレイ21の表示画面に、「右打ちして下さい!」旨の文字情報による視覚的な報知である第1報知が行われ、普通図柄始動ゲート16(作動口)への遊技球Pの入賞が普通図柄始動ゲートSW30(所定の通過検出装置)により検出されると、第1報知を終了するものとなすこと、すなわち、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項となすことは当業者が適宜なし得たことである。

3 本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、周知技術1及び2の奏する効果から、予測することができた程度のものである。

4 請求人の主張について
請求人は、令和2年5月18日提出の意見書において、「(3-1)発明特定事項における相違 本願発明においては、「前記特別遊技の開始に伴う演出として、前記所定方向を狙って打球することを遊技者に促す案内演出を実行するとともに、前記案内演出の実行中に遊技球が前記作動口を通過したことが所定の通過検出装置により検出された場合に、前記案内演出を終了し、前記単位遊技用の演出に切り替える」ことを主な特徴の一つとしますが、そのような本願の発明特定事項は、引用文献1?3のいずれにも開示されていません。」(「3.本願発明が特許されるべき理由」の「(3)本願発明と引用発明の対比」)等と縷々主張する。
しかしながら、本願発明の「前記特別遊技の開始に伴う演出として、前記所定方向を狙って打球することを遊技者に促す案内演出を実行するとともに、前記案内演出の実行中に遊技球が前記作動口を通過したことが所定の通過検出装置により検出された場合に、前記案内演出を終了し、前記単位遊技用の演出に切り替える」との事項は、上記2のとおり、引用発明から読み取れる事項であるか、仮に読み取れる事項でないとしても周知技術2から当業者が適宜なし得た事項であるから、引用発明において、上記の「前記特別遊技の開始に伴う演出として、前記所定方向を狙って打球することを遊技者に促す案内演出を実行するとともに、前記案内演出の実行中に遊技球が前記作動口を通過したことが所定の通過検出装置により検出された場合に、前記案内演出を終了し、前記単位遊技用の演出に切り替える」ようにすることは当業者が容易に想到し得たものである。
したがって、上記主張は採用できない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明、周知技術1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-07-08 
結審通知日 2020-07-14 
審決日 2020-07-28 
出願番号 特願2017-109862(P2017-109862)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 河本 明彦  
特許庁審判長 ▲吉▼川 康史
特許庁審判官 伊藤 昌哉
鉄 豊郎
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 村田 雄祐  
代理人 森下 賢樹  
代理人 三木 友由  

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