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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G07G
管理番号 1366392
審判番号 不服2019-16305  
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-12-03 
確定日 2020-09-17 
事件の表示 特願2017- 41635号「精算装置、商品登録装置、各装置のデータ処理方法、およびプログラム、ならびに、情報処理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 9月20日出願公開、特開2018-147220号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年3月6日に出願されたものであって、平成30年11月26日付けで1回目の拒絶理由が通知され、平成31年2月1日に意見書及び手続補正書が提出され、同年4月16日付けで2回目の拒絶理由が通知され、令和1年6月18日に意見書が提出され、同年8月28日付けで2回目の拒絶理由による拒絶査定がされ、同年12月3日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?13に係る発明は、平成31年2月1日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定されるものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「店員が操作を行い、購入対象の商品を登録する商品登録装置から送信される前記商品の精算情報に基づいて顧客が操作を行い、精算処理を行う精算装置であって、
前記精算処理の結果を印字するレシート用紙の残量を検出する検出手段と、
検出した前記残量が第1基準値以下になると前記精算情報の送信元となる前記商品登録装置に第1通知信号を出力する出力手段と、
を備える精算装置。」

第3 原査定の概要
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


・請求項 1、2、6、9?13
・引用文献 1?2

・請求項 3?5
・引用文献 1?3

・請求項 7、8
・引用文献 1?4

<刊行物等一覧>
引用文献1.特開2016-62353号公報
引用文献2.特開2010-182269号公報
引用文献3.特開2014-211831号公報
引用文献4.国際公開第2016/136110号

第4 引用文献の記載事項等
1 引用文献1
(1)記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には次の事項が記載されている(下線は当審で付加。以下同様。)。
(1a)「【請求項1】
少なくとも1台の商品登録装置と少なくとも1台の決済装置とをネットワークで接続してなるチェックアウトシステムにおいて、
前記商品登録装置は、
買上商品を特定する商品コードを取得し、前記買上商品の販売データを登録する登録手段と、
登録終了が指示されるまでの登録期間中に前記登録手段によって登録された前記買上商品の販売データに基づき、前記買上商品の商取引を決済するための決済情報を生成する生成手段と、
前記決済情報を前記決済装置に送信する送信手段と、
前記決済装置から呼出信号を受信したことに応じて報知動作を行う報知手段と、
を具備し、
前記決済装置は、
前記商品登録装置からの前記決済情報を受信する受信手段と、
前記決済情報に基づいて前記買上商品の商取引を決済する決済手段と、
前記買上商品の商取引を決済する処理の過程で店員の介在が必要な事象が発生すると、前記処理を止めて前記店員の呼び出し操作が行われるのを待ち受ける待受手段と、
前記呼び出し操作が行われたことに応じて前記処理を再開するとともに前記商品登録装置に対して前記呼出信号を送信する呼出手段と、
を具備したことを特徴とするチェックアウトシステム。
【請求項2】
前記呼出手段は、前記決済情報の送信元である前記商品登録装置に対して前記呼出信号を送信することを特徴とする請求項1記載のチェックアウトシステム。」

(1b)「【0001】
本発明の実施形態は、セミセルフタイプのチェックアウトシステムおよびこのシステムに用いられる決済装置並びにこの決済装置の制御プログラムに関する。」

(1c)「【0010】
商品登録装置11は、チェッカと呼ばれる役割を担った、上記店舗の店員、いわゆる店員21が、その操作者となる。決済装置12は、上記の店舗で販売する商品を購入する買物客22が、その操作者となる。ただし決済装置12は、店員21により操作される場合もある。」

(1d)「【0028】
決済装置12は、CPU12a、ROM12b、RAM12c、補助記憶ユニット12d、自動釣銭機12e、スキャナ12f、タッチパネル12g、プリンタ12h、カードリーダライタ12i、通信ユニット12jおよび伝送システム12kを含む。
・・・
【0038】
プリンタ12hは、レシート用紙に対して各種の文字列や画像などを印刷することにより、レシートを発行する。この種のプリンタとしては、例えばサーマルプリンタやドットインパクトプリンタなどを利用できる。」

(1e)「【0084】
店員呼出ボタンB13がタッチされると(Act32にてYES)、CPU12aは、登録商品テーブル31bおよび合計テーブル32bの内容に基づいて領収書の印刷データを編集する。そしてCPU12aは、プリンタ12hを動作させて、領収書40(図14を参照)を発行させる(Act33)。またCPU12aは、決済情報の送信元である商品登録装置11に対して、LAN13経由で呼出信号を送信する(Act34:呼出手段)。さらにCPU12aは、タッチパネル12gの画面の一部に呼出中画面SC7(図13を参照)を表示させる(Act35:告知手段)。」

(1f)「【0099】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。例えば前記実施形態では、呼出指令画面SC6を表示させた状態で、CPU12aが店員呼出ボタンB13のタッチ操作を待機したが(Act32)、併せて領収書ボタンB15が再度タッチ操作されるのを待機してもよい。すなわちCPU12aは、Act32の処理において、店員呼出ボタンB13または領収書ボタンB15がタッチ操作されるのを待機する。そしていずれか一方のボタンB13、B15がタッチ操作されると、CPU12aは、Act33以降の処理を実行する。このような構成にしても、領収書40の発行の際には必ず店員21を呼び出すので、前記実施形態の作用効果を奏し得る。なおこの実施形態の場合、店員呼出ボタンB13を省略してもよいのは言うまでもないことである。」

(1g)「【0102】
また前記実施形態では、呼出指令画面SC6を表示するタイミングを、領収書の発行が指令されたときとした。しかし、決済装置12において、店員の呼び出しが必要となる事象は、領収書の発行指令に限定されるものではない。例えば代金の支払い方法として商品券が選択された場合というように、他の事象であっても、店員の呼び出しが必要な場合には、呼出指令画面SC6を表示させて、店員の呼び出し操作がなされるまで処理を止めてもよい。」

(2)引用発明
上記(1)(特に(1a)?(1c))より、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「少なくとも1台の店員が操作者となる商品登録装置と少なくとも1台の買物客が操作者となる決済装置とをネットワークで接続してなるセミセルフタイプのチェックアウトシステムの決済装置において、
前記商品登録装置は、
買上商品を特定する商品コードを取得し、前記買上商品の販売データを登録する登録手段と、
登録終了が指示されるまでの登録期間中に前記登録手段によって登録された前記買上商品の販売データに基づき、前記買上商品の商取引を決済するための決済情報を生成する生成手段と、
前記決済情報を前記決済装置に送信する送信手段と、
前記決済装置から呼出信号を受信したことに応じて報知動作を行う報知手段と、
を具備し、
前記決済装置は、
前記商品登録装置からの前記決済情報を受信する受信手段と、
前記決済情報に基づいて前記買上商品の商取引を決済する決済手段と、
前記買上商品の商取引を決済する処理の過程で店員の介在が必要な事象が発生すると、前記処理を止めて前記店員の呼び出し操作が行われるのを待ち受ける待受手段と、
前記呼び出し操作が行われたことに応じて前記処理を再開するとともに前記商品登録装置に対して前記呼出信号を送信する呼出手段と、
を具備し、
前記呼出手段は、前記決済情報の送信元である前記商品登録装置に対して前記呼出信号を送信するチェックアウトシステムの決済装置。」

2 引用文献2
(1)記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。
(2a)「【0023】
本発明の実施形態に係るレジシステムにおいては、店員レジ10?12と、セルフレジ13、14と、携帯端末15、16とが通信可能に接続されている。セルフレジ13、14において所定のエラーが発生すると、セルフレジ13、14がエラー情報を店員レジ10?12、携帯端末15、16に送信するようになっている。ここで、上述の所定のエラーの例としては、(1)セルフレジ13、14において酒類又はたばこなどの商品登録時における年齢認証が必要な場合に発せられる年齢認証確認エラー、(2)セルフレジ13、14においてレシート用紙がなくなった又はなくなりかけている場合に発せられるレシート用紙切れエラー、(3)セルフレジ13、14においてつり銭がなくなった又はなくなりかけている場合に発せられるつり銭不足エラー、(4)顧客によってセルフレジ13、14の所定箇所に投入された小銭又は紙幣が、保管場所において入りきらなくなっている又は入りきらなくなる直前である場合に発せられる保管金銭過剰エラー、(5)セルフレジ13、14の操作エラーなどが挙げられる。なお、店員レジ10?12、携帯端末15、16は、セルフレジ13、14から上記エラーの情報を受信すると、所定の条件に従って当該エラーを店員に報知するようになっている。以下、これらを詳細に説明する。」

(2b)「【0045】
(レシート用紙切れエラー)
セルフレジ13においてレシート用紙がなくなった又はなくなりかけの場合、セルフレジ13における制御部30のCPU31は、記憶部32に記憶されたプログラムに従い、通信部33を介してレシート用紙切れエラーの情報をストアコントローラ20に送信する。続いて、ストアコントローラ20から店員レジ10、11、12及び携帯端末15、16にレシート用紙切れエラーの情報を送信する。そして、店員レジ10、11、12においては、他の顧客と取引中でない店員レジのディスプレイにのみレシート用紙切れエラーの情報を表示し、セルフレジ13においてレシート用紙の補充が必要又はレシート用紙がなくなりかけているので注意するということを店員に報知する。なお、携帯端末15、16においては、通信部53で受信すると同時にレシート用紙切れエラーの情報をCPU51によってディスプレイ61に表示させ、セルフレジ13においてレシート用紙の補充が必要又はレシート用紙がなくなりかけているので注意するということを店員に報知する。」

(2c)「【0071】
また、セルフレジ13、14と、店員レジ10?12及び携帯端末15、16とが、無線LANで直接通信可能に接続されていてもよい。」

(2)引用文献2に記載された技術的事項
記載事項(2c)より、引用文献2には、セルフレジから店員レジにストアコントローラを介さずエラーの情報を送信するものも記載されていることが明らかである。
そうすると、上記(1)より、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているものと認める。
「セルフレジにおいてレシート用紙がなくなりかけの場合、セルフレジから店員レジにレシート用紙切れエラーの情報を送信する技術。」

第5 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)後者の「店員」は、前者の「店員」に相当し、以下同様に、「商品登録装置」は、「商品登録装置」に、「買物客」は、「顧客」に、「決済装置」は、「精算装置」に、「買上商品」は、「商品」に、「決済情報」は、「精算情報」に、それぞれ相当する。

(2)後者の「買上商品を特定する商品コードを取得し、前記買上商品の販売データを登録する登録手段と、登録終了が指示されるまでの登録期間中に前記登録手段によって登録された前記買上商品の販売データに基づき、前記買上商品の商取引を決済するための決済情報を生成する生成手段と、前記決済情報を前記決済装置に送信する送信手段」を具備する「店員が操作者となる商品登録装置」は、上記(1)も踏まえると、前者の「店員が操作を行い、購入対象の商品を登録する商品登録装置」に相当するといえる。

(3)後者の「前記商品登録装置からの前記決済情報を受信する受信手段と、前記決済情報に基づいて前記買上商品の商取引を決済する決済手段」を具備する「買物客が操作者となる決済装置」は、上記(1)も踏まえると、前者の「商品登録装置から送信される前記商品の精算情報に基づいて顧客が操作を行い、精算処理を行う精算装置」に相当するといえる。

(4)前者において、「レシート用紙の残量を検出」しているのは、本願明細書の段落【0056】の「これにより、用紙切れを起こして精算処理が停滞してしまう前に店員により適切な対処を行うことができる。」というためのものであるから、「検出した前記残量が第1基準値以下になる」状態は、店員の介在が必要な事象となった場合であるといえる。
そして、後者の「呼出手段」は「呼出信号を送信する」ものであるから、前者の「出力手段」に相当するといえる。また、後者の「呼出信号」は通知をするものであることは明らかであり、前者の「第1通知信号」については、通知信号が1つのみである場合も含むものであるから(本願明細書の段落【0020】?【0056】に記載される「第1の実施形態」参照。)、後者の「呼出信号」は、前者の「第1通知信号」に相当するといえる。
そうすると、上記(1)も踏まえると、後者の「前記買上商品の商取引を決済する処理の過程で店員の介在が必要な事象が発生すると、前記処理を止めて前記店員の呼び出し操作が行われるのを待ち受ける待受手段と、前記呼び出し操作が行われたことに応じて前記処理を再開するとともに前記商品登録装置に対して前記呼出信号を送信する呼出手段と、を具備し、前記呼出手段は、前記決済情報の送信元である前記商品登録装置に対して前記呼出信号を送信する」ことと、前者の「前記精算処理の結果を印字するレシート用紙の残量を検出する検出手段と、検出した前記残量が第1基準値以下になると前記精算情報の送信元となる前記商品登録装置に第1通知信号を出力する出力手段」とは、「店員の介在が必要な事象となった場合、前記精算情報の送信元となる前記商品登録装置に第1通知信号を出力する出力手段」である点で共通するといえる。

(5)以上のことから、本願発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりと認める。
〔一致点〕
「店員が操作を行い、購入対象の商品を登録する商品登録装置から送信される前記商品の精算情報に基づいて顧客が操作を行い、精算処理を行う精算装置であって、
店員の介在が必要な事象となった場合、前記精算情報の送信元となる前記商品登録装置に第1通知信号を出力する出力手段と、
を備える精算装置。」

〔相違点〕
「店員の介在が必要な事象となった場合」に関して、本願発明が「前記精算処理の結果を印字するレシート用紙の残量を検出する検出手段と」を備え、「検出した前記残量が第1基準値以下になる」と第1通知信号を出力するものであるのに対し、引用発明は、レシート用紙の残量に係る事項の特定がなく、商取引を決済する処理の過程で「店員の呼び出し操作」が行われたことに応じて呼出信号(第1通知信号)を送信(出力)するものである点。

2 判断
(1)相違点について
上記相違点について検討する。
まず、引用文献1において、「店員の介在が必要な事象となった場合」に関し、実施例として具体的に説明されているのは「領収書の発行指令」であるが、それに限らないことが記載されている(記載事項(1g)参照。)。 ここで、引用文献2には、セミセルフではなく、セルフレジにおけるものであるが、「セルフレジにおいてレシート用紙がなくなりかけの場合、セルフレジから店員レジにレシート用紙切れエラーの情報を送信する技術。」(上記「第4 2(2)」参照。)が記載されている。
引用発明の「決済装置」においても、レシート用紙を用いるものであるから(記載事項(1d)参照。)、引用発明においてレシート用紙切れの課題を内包していることは、当業者であれば当然に想定し得ることである。
したがって、当該課題に対応すべく、引用文献2に記載された技術的事項を参考に、引用発明において、「店員の介在が必要な事象」としての「レシート用紙がなくなりかけの場合」に、買物客が操作者となる「決済装置」(精算装置)から、店員が操作者となる「商品登録装置」(商品登録装置)へレシート用紙切れエラーの情報を送信する技術を採用する動機付けは十分にあるといえる。ここで、レシート用紙のなくなりかけをどのように判定しているのか、引用文献2には具体的な記載がないが、残量を検出する検出手段を用いて、検出した残量が基準値以下となることにより判定するようにすることは、レシート用紙のプリンタの技術分野における本願出願前の周知技術(例えば、特開2016-162108号公報(特に段落【0104】参照。)、特開2012-63981号公報(特に段落【0017】参照。)、特開2001-18469号公報(特に段落【0016】参照。)等。)といえることから、そのように判定するようになすことは、上記採用にあたり当業者であれば所望により適宜なし得た程度のことにすぎない。そして、引用文献2に記載された技術は、人為的な操作を行わず、いわば自動的にレシート用紙切れエラーの情報を送信するものであるところ、操作の自動化は分野を問わず一般的な課題であることから、引用発明において、「店員の介在が必要な事象」として、引用文献2に記載された技術的事項を参考にして「レシート用紙がなくなりかけの場合」を採用した際に、「検出した前記残量が第1基準値以下になると第1通知信号を出力するもの」とすることは、当業者が容易に想定し得る事項である。

そして、本願発明の作用効果について検討しても、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に対し、当業者が予測できないような格別のものはない。

よって、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明することができたものである。

(2)請求人の主張について
請求人は審判請求書の(3.2)において、
「引用文献1は買物客が店員を呼び出す仕組みを提供する発明、引用文献2はセルフレジで発生したエラーを他の装置へ報知する発明であって、それぞれ課題も解決手段も全く異なっております。したがって、これらの文献を組み合わせる動機づけがあるとは到底言えず、また、組み合わせる発想自体容易に得られるものではないと思料します。
さらには、引用文献1の課題を鑑みると、引用文献1において決済装置に店員呼出ボタンを備えることは必須の構成です。しかし、引用文献2はレシート用紙切れを検知し自動で店員に通知する構成であるため、引用文献1と2を組み合わせると店員呼出ボタンが必要無くなってしまい、引用文献1の課題を解決できなくなります。
従いまして、当業者が引用文献1と2を組み合わせることには阻害要因があり、これら文献記載の技術を組み合わせること自体が容易ではないと考えます。」
と主張する。
しかしながら、組み合わせる動機付けが存在するといえることは、上記(1)で述べたとおりである。
また、引用文献1において「店員呼出ボタン」が必須であり組み合わせに阻害要因がある旨も主張するが、引用文献1には「店員呼出ボタン」が必須ではないことが記載されており(記載事項(1f))、要するに、「店員呼出ボタン」をなくしても、「商取引決済する処理の過程で店員の介在が必要な事象が発生する」とき(記載事項(1f)の変形の実施形態では「領収書ボタン」をタッチ操作したとき)に「商品登録装置」に「呼出信号」を送信できればよいことが示唆されているといえる。そして、レシート用紙の残量が少なくなったときには、顧客が店員を呼出す操作をするよりも引用文献2に記載された技術的事項のように自動で行う方が利便性が高いのは自明のことであって、利便性の高い構成を採用しようとするのは自然なことであり、技術的にみても阻害要因があるとはいえない。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-07-07 
結審通知日 2020-07-14 
審決日 2020-07-28 
出願番号 特願2017-41635(P2017-41635)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G07G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 毛利 太郎  
特許庁審判長 佐々木 一浩
特許庁審判官 藤井 昇
一ノ瀬 覚
発明の名称 精算装置、商品登録装置、各装置のデータ処理方法、およびプログラム、ならびに、情報処理システム  
代理人 速水 進治  

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