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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06K
管理番号 1366653
審判番号 不服2019-17336  
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-12-23 
確定日 2020-10-13 
事件の表示 特願2016-182531「光学的情報読取装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月29日出願公開、特開2018- 49309、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成28年9月20日の出願であって,令和元年6月7日付けで拒絶理由通知がされ,同年8月9日付けで手続補正がされ,同年9月19日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,令和元年12月23日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,令和2年2月26日に前置報告がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和元年9月19日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.本願請求項1-9に係る発明は,以下の引用文献1-3に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特表2000-515655号公報
2.特開2004-318304号公報
3.特開2010-282469号公報

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は,特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって請求項1に「前記第1の読取口は,前記載置部にて載置された載置型の読取状態で利用する読取口として構成され」という事項(以下,「事項A」という。)及び「前記第2の読取口は,前記把持部が把持された携帯型の読取状態で利用する読取口として構成され」という事項(以下,「事項B」という。)を追加する補正は,補正前の発明特定事項である「第1の読取口」が「前記載置部にて載置された載置型の読取状態で利用する読取口として構成され」ることを限定し,「第2の読取口」が「前記把持部が把持された携帯型の読取状態で利用する読取口として構成され」ることを限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また,上記事項A及び事項Bは,明細書の段落0023,0035?0038等に記載された事項から自明であるから,当初明細書等に記載された事項であり,新規事項を追加するものではないといえる。
そして,「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように,補正後の請求項1-9に係る発明は,独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1-9に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明9」という。)は,令和元年12月23日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
第1面に第1の読取口が形成され,前記第1面に対して反対側となる第2面に第2の読取口が形成され,把持部及び載置部が形成される筐体と,
光学的情報からの反射光を前記第1の読取口又は前記第2の読取口を介して受光する受光手段と,
を備え,
前記把持部は,前記第1の読取口及び前記第2の読取口を有する読取部と前記載置部との間に配置されて,前記第1の読取口側の作業者から見て前記読取部に近づくほど前記作業者から遠ざかるように,前記載置部に対して傾斜するように形成され,
前記第1の読取口は,前記載置部にて載置された載置型の読取状態で利用する読取口として構成され,
前記第2の読取口は,前記把持部が把持された携帯型の読取状態で利用する読取口として構成されることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記把持部には,前記受光手段にて前記第1の読取口を介して受光する状態から前記第2の読取口を介して受光する状態に切り替える際に操作されるトリガボタンが配置されることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記受光手段は,常時,前記光学的情報からの反射光を前記第1の読取口及び前記第2の読取口を介して受光可能に制御されることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記載置部が載置面から離されたことを検出する検出手段を備え,
前記検出手段の検出結果に応じて,前記受光手段にて前記第1の読取口を介して受光する状態と前記第2の読取口を介して受光する状態とを切り替えることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記筐体には,前記第1の読取口の周囲の少なくとも一部から前記光学的情報に向かうように延出する延出部が設けられ,
前記延出部は,その延出端部が前記第1の読取口を介した前記受光手段による受光範囲の外縁を覆うように形成されることを特徴とする請求項1?4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
前記延出部は,前記第1の読取口の周囲のうち前記把持部側の部位を除いて延出するように形成されることを特徴とする請求項5に記載の光学的情報読取装置。
【請求項7】
前記延出部は,前記延出端部の前記把持部側が前記受光手段の受光範囲の外縁のうち前記把持部から最も離れた縁に沿うように形成されることを特徴とする請求項6に記載の光学的情報読取装置。
【請求項8】
前記第1の読取口は,当該第1の読取口を介した前記受光手段の受光範囲が前記第2の読取口を介した前記受光手段の受光範囲よりも大きくなるように形成されることを特徴とする請求項5?7のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項9】
前記受光手段は,受光範囲が,前記載置部にて載置されたときの上下方向の長さが左右方向の長さよりも長くなるように設定されることを特徴とする請求項1?8のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。」

第5 引用文献,引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている。

「背景
本発明はスキャナやバーコードリーダ装置等のデータリーダに関する。特に,定置操作と手持ち操作で異なる光学的走査パターンを利用することにより定置式と手持ち式の走査の両方に用いることのできるバーコードリーダが本願で説明される。各走査パターンはそれぞれの操作モードに対して最適化され,これにより,1つの走査パターンを両方の操作モードに用いる場合に必然的に生じる性能低下の問題を解消するものである。」(5頁3?9行)

「本発明の構成
本発明は,異なる操作モードに対して最適化される走査パターン発生光学器を備えた,バーコードスキャナ等のデータリーダに関する。好ましい実施形態においては,スキャナハウジングにある異なる窓から異なるパターンが照射され,内1つは手持ち操作用に最適化された走査パターンであり,もう1つは定置操作用に最適化された走査パターンである。」(8頁1?6行)

「図1及び2は多モード用のデータ読取り装置(本実施形態ではバーコードスキャナ100)の好ましい実施形態を示す。バーコードスキャナ100は,上部102と下部101を有する。スキャナ100はベースユニット105上に配置される。第1の読取り窓104はバーコードスキャナ100の正面部103にあり,この窓104を介して第1の走査パターン106が第1の読取り窓104前方の第1の走査領域Cに投射される。第2の読取り窓108はバーコードスキャナ100の上部102に配置され,この窓108を介して第2の走査パターン110が第2の読取り窓108前方の第2の走査領域Dに投射される。
バーコードスキャナ100はベースユニット105に配置され,このベースユニット105は定置操作モードにおいてスキャナ100を支持する。定置モードの操作においては,読取り窓104前方の走査領域C内を定置式で走査するために,走査パターン106が最適化される。定置モード走査パターン106は,定置式での走査に適した比較的読取り視角の大きな多次元すなわち複合走査パターン(例えばアスタリスクパターンやホースカラーパターン)であるのが好ましい。走査パターン106の密度は,読取り窓104前方の走査領域C内を通過するか又は配置される物体上の様々な方向に向いたバーコードをうまく読取るのに十分稠密であるのが好ましい。
携帯用の操作モードを希望する際に,作業者はベースユニット105からバーコードスキャナ100を取上げることができる。第2の窓108を通過する走査線からなる走査パターン110が携帯操作に対し最適化される。携帯用の操作モードにおいては,作業者は走査パターン110がバーコードを横切るようにバーコードスキャナ100の向きを定める。携帯モード走査パターン110は,定置モード走査パターン106と比較して読取り深度が大きく,読取り視角が小さな1本又は2,3本の走査線(例えば,2,3本の平行又は僅かに重なった走査線)からなるパターンであるのが好ましい。手持ちモード走査パターン110によって,ユーザは走査パターンを特定のバーコード(例えば物体に取付けられたいくつかのバーコードの中の1つ)に向けることができ,所望の1つのバーコードのみを読取ることができる。
読取り窓104及び108の配置場所は,本願で説明される所望の多方式の操作特性を維持しつつかなり変えることができる。バーコードスキャナ100の他の実施形態では,読取り窓108を装置のどの側面に配置してもよいし,装置の下部に配置しても構わない。どの状況でどの装置を用いるかを人間工学の見地から考慮することで,読取り窓104及び108をスキャナ100のどこに配置するのが最適かが決定される。」(10頁14行?11頁19行)

「図7は,手持ち用の第2の窓378がハウジング372の後方上面に配置されているスキャナ370の斜視図である。第2の窓378を介して発生させた走査パターン380は,一般に僅かに上方に傾いた後方に向けられる。第1の窓374(図の点線部)は正面に配置されており,定置操作モードではこの窓374を介して一般に高密度の走査パターン376が走査領域Cに到達する。」(20頁17?21行)



」(【図1】)



」(【図7】)

したがって,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「多モード用のデータ読取り装置(バーコードスキャナ100)であって,
バーコードスキャナ100は,上部102と下部101を有し,
スキャナハウジングにある異なる窓から異なるパターンが照射され,内1つは手持ち操作用に最適化された走査パターンであり,もう1つは定置操作用に最適化された走査パターンであり,
第1の読取り窓104はバーコードスキャナ100の正面部103にあり,この窓104を介して第1の走査パターン106が第1の読取り窓104前方の第1の走査領域Cに投射され,
第2の読取り窓108はバーコードスキャナ100の上部102に配置され,この窓108を介して第2の走査パターン110が第2の読取り窓108前方の第2の走査領域Dに投射され,
バーコードスキャナ100はベースユニット105に配置され,このベースユニット105は定置操作モードにおいてスキャナ100を支持するものであり,
定置モードの操作においては,第1の読取り窓104前方の第1の走査領域C内を定置式で走査するために,走査パターン106が最適化され,
携帯用の操作モードを希望する際に,作業者はベースユニット105からバーコードスキャナ100を取上げることができ,第2の読取り窓108を通過する走査線からなる走査パターン110が携帯操作に対し最適化され,
どの状況でどの装置を用いるかを人間工学の見地から考慮することで,読取り窓104及び108をスキャナ100のどこに配置するのが最適かが決定され,
手持ち用の第2の読取り窓108はハウジングの後方上面に配置されてもよい,
バーコードスキャナ100。」

2.引用文献2について
また,原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0056】
(実施の形態2)
本実施の形態において実施の形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図10と図11はCMOS6に結像する光学的情報からの光の光路を説明するための図である。光学的読取装置33は,ピストル型の形状をしており,読み取り光学系を内蔵する頭部34と頭部34の後方下側に伸びた操作者が把持するグリップ部35からなる。頭部34前面には読み取り口36があり,読み取り口36の後方に読み取り光学系が内蔵されている。第1のレンズである結像レンズ5は,光学的情報からの光を撮像素子であるCMOS6の受光面上に結像させる。第2のレンズであるテレコンバージョンレンズ12は結像レンズ5の光軸と同軸上に固定されている。実施の形態1と同様の構成で移動可能な第1のミラー17は,テレコンバージョンレンズ12と結像レンズ5の間に出没自在な移動可能に配置されている。第2のミラー37は固定されている。」



」(【図10】)



」(【図11】)

3.引用文献3について
また,原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0022】
本体部2は,図1に示すように,情報コードを読み取るための読取口5を備えている。この読取口5はケース4の端部において開口部として構成されており,ケース4内に収容された照明光源21(図2:後述)からの照明光を導出し,情報コードが付された読取対象からの反射光を導入する光導出入口として機能している。」



」(【図1】)



」(【図3】)

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。

引用発明の「バーコードスキャナ100」及び「スキャナハウジング」は,それぞれ,本願発明1の「光学的情報読取装置」及び「筐体」に対応する。
引用発明の「正面部103」側の「面」は,「定置モードの操作において」「第1の走査パターン106」が走査される「第1の読取り窓104前方の第1の走査領域C」の側の「面」であるから,本願発明1の「第1面」に相当する。
そうすると,引用発明の「バーコードスキャナ100の正面部103にあ」る「第1の読取り窓104」は本願発明1の「第1面に」「形成され」る「第1の読取口」に相当する。
引用発明の「第2の読取り窓108」は「携帯用の操作モード」において「最適化され」る「走査パターン110」が通過する「窓」であるから,本願発明1の「第2の読取口」に相当する。
引用発明の「第2の読取り窓108」が配置される「バーコードスキャナ100の上部102」または,「手持ち用の第2の読取り窓」が配置される「ハウジングの後方上面」は,「正面部103」側の「面」とは異なる「面」であるから,本願発明1の「前記第1面に対して反対側となる第2面」とは,「前記第1面とは異なる面」である点で共通する。
引用発明は,「携帯用の操作モードを希望する際に,作業者はベースユニット105からバーコードスキャナ100を取上げることができ」るから,「スキャナハウジング」には,作業者が把持するための「把持部」が形成されているといえる。
引用発明の「スキャナ100」は「ベースユニット105に配置され」るから,スキャナ100の「下部101」は,「スキャナハウジング」に形成された「載置部」といえる。
以上のことから,引用発明と本願発明1とは,後記する点で相違するものの「第1面に第1の読取口が形成され,前記第1面とは異なる面に第2の読取口が形成され,把持部及び載置部が形成される筐体」を備える点で共通する。

引用発明の「定置モード」は本願発明1の「前記載置部にて載置された載置型の読取状態」に相当する。
そして,引用発明の「第1の読取り窓104」は,「定置モードの操作において」,その「前方の第1の走査領域C内を定置式で走査するために」「最適化され」る「走査パターン106」が「投射され」る「窓」であるから,本願発明1の「前記載置部にて載置された載置型の読取状態で利用する読取口として構成され」る「前記第1の読取口」に相当する。

引用発明の「携帯用の操作モード」は本願発明1の「前記把持部が把持された携帯型の読取状態」に相当する。
そして,引用発明の「第2の読取り窓108」は,「携帯用の操作モード」において,「携帯操作に対し最適化され」る「走査パターン110」が「投射され」る「窓」であるから,本願発明1の「前記把持部が把持された携帯型の読取状態で利用する読取口として構成される」「前記第2の読取口」に相当する。

したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)
「第1面に第1の読取口が形成され,前記第1面とは異なる面に第2の読取口が形成され,把持部及び載置部が形成される筐体を備え,
前記第1の読取口は,前記載置部にて載置された載置型の読取状態で利用する読取口として構成され,
前記第2の読取口は,前記把持部が把持された携帯型の読取状態で利用する読取口として構成されることを特徴とする光学的情報読取装置。」

(相違点)
(相違点1)本願発明1は,第2の読取口が「前記第1面に対して反対側となる第2面」に形成されるのに対して,引用発明は「バーコードスキャナ100の上部102に配置され」ている点。

(相違点2)本願発明1は「光学的情報からの反射光を前記第1の読取口又は前記第2の読取口を介して受光する受光手段」を備えているのに対して,引用発明は,「受光手段」が明示的に特定されていない点。

(相違点3)本願発明1は,「前記把持部が」,「前記第1の読取口及び前記第2の読取口を有する読取部と前記載置部との間に配置されて,前記第1の読取口側の作業者から見て前記読取部に近づくほど前記作業者から遠ざかるように,前記載置部に対して傾斜するように形成され」ているのに対して,引用発明は,そのような構成となっていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み,上記相違点3について先に検討する。
上記第5の2.及び3.の記載から,引用文献2及び引用文献3には,ピストル型の形状をした光学的情報読取装置が記載されていると認められる。
また,上記第5の2.の記載から,引用文献2には,ピストル型の形状をした光学的情報読取装置において,操作者が把持するグリップ部35が読み取り口36を有する頭部34から後方の下側に延びるほど,操作者に近づくように傾斜する構成が記載されていることが読み取れる。
そうすると,光学的情報読取装置の形状をピストル型の形状とすること,及び,ピストル型の形状をした光学的情報読取装置において,把持部が読取部から下側に延びるほど,操作者に近づくように傾斜する構成とすることは,本願の出願日前に当該技術分野における周知技術であったと認められる。
他方で,引用発明は,作業者が携帯用の操作モードを希望する際に,作業者はベースユニット105からバーコードスキャナ100を取上げるものではあるものの,その形状は,ピストル型の形状ではない。また,引用文献2の光学的読取装置は,作業者側の方向に読取口が設けられておらず,光学的読取装置を載置して使用する使用態様を想定したものではない。
そうすると,ピストル型の構成ではなく,かつ,作業者側の方向に読取口が設けられ,光学的読取装置を載置して使用する使用態様を想定した引用発明に,ピストル型の形状であって,作業者側の方向に読取口が設けられておらず,光学的読取装置を載置して使用する使用態様を想定したものではない光学的読取装置における周知技術を適用することに動機付けはなく,引用発明に引用文献2に記載された周知技術を適用して上記相違点3に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
したがって,上記相違点1,2について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても引用発明及び引用文献2,3に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-9について
本願発明2-9は,本願発明1を直接・間接に引用するものであり,上記相違点3に係る構成と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び引用文献2,3に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定について
1.理由1(特許法第29条第2項)について
審判請求時の補正により,本願発明1-9は,上記相違点3に係る「前記把持部は,前記第1の読取口及び前記第2の読取口を有する読取部と前記載置部との間に配置されて,前記第1の読取口側の作業者から見て前記読取部に近づくほど前記作業者から遠ざかるように,前記載置部に対して傾斜するように形成され,」という事項を有するものとなっており,当業者であっても,拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて,容易に発明できたものとはいえない。したがって,原査定の理由1を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

 
審決日 2020-09-23 
出願番号 特願2016-182531(P2016-182531)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 梅沢 俊  
特許庁審判長 田中 秀人
特許庁審判官 山崎 慎一
須田 勝巳
発明の名称 光学的情報読取装置  
代理人 田下 明人  

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