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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1366902
審判番号 不服2019-3297  
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-03-08 
確定日 2020-10-08 
事件の表示 特願2018- 30045「電子機器、制御方法およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月29日出願公開、特開2019-144955〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年2月22日に出願された特願2018-30045号であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
平成30年 4月24日付け:拒絶理由通知書
平成30年 7月 2日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 9月 3日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
平成30年11月 8日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年12月 3日付け:平成30年11月8日の手続補正について
の補正却下の決定、拒絶査定
平成31年 3月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 2年 4月28日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 6月 5日 :意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明
令和2年6月5日の手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項3(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。(下線は、当該手続補正によって補正された箇所)

「 【請求項3】
光を照射して反射光を受光することによって自機器に触れないジェスチャを検出するジェスチャセンサと、自機器に触れるタッチを検出するタッチセンサと、を備える電子機器の制御方法であって、
前記ジェスチャセンサによって検出されるジェスチャに基づく基本操作あたりの画面の第1移動量が、前記タッチセンサによって検出されるタッチに基づく基本操作あたりの画面の第2移動量よりも大きくなるように設定するステップと、
前記タッチセンサによってタッチが検出されずに前記ジェスチャセンサによってジェスチャが検出される場合、前記第1移動量の移動を行うステップと、
前記ジェスチャセンサによってジェスチャが検出されずに前記タッチセンサによってタッチが検出される場合、前記第2移動量の移動を行うステップと、を含み、
前記画面の第1移動量及び前記画面の第2移動量は、動画再生における早送り時間である、制御方法。」

第3 拒絶の理由
令和2年4月28日付けで当審が通知した拒絶理由は、次のとおりのものである。
本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2012-133525号公報
引用文献2:特開2013-12150号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明

1 引用文献1の記載
引用文献1には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。

「【発明を実施するための形態】
【0012】
[撮像装置の構成例]
図1は、本発明を適用した画像表示制御装置の一実施形態としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【0013】?【0015】(略)
【0016】
デジタル信号処理部15にはまた、表示部17と記録デバイス19が接続されている。表示部17の画像表示面にはタッチパネル16が設けられ、タッチパネル16と表示部17とによりタッチスクリーン18が構成されている。表示部17は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等で構成される。
【0017】(略)
【0018】
CPU(Central Processing Unit)23は、撮像装置1全体を制御する。このため、CPU23には、アナログ信号処理部13、A/D変換部14、デジタル信号処理部15、モータドライバ21、TG(Timing Generator)22、操作部24、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)25、プログラムROM(Read Only Memory)26、RAM(Random Access Memory)27、およびタッチパネル16が接続されている。
【0019】
タッチパネル16は、例えば、静電容量方式のタッチパネルであり、ユーザの指によるタッチパネル16上へのタップ(接触)を検出し、タップされたタッチパネル16上の位置をCPU23に出力する。また、タッチパネル16は、その静電容量の変化(レベル)から、ユーザの指がタッチパネル16に接触はしてないが、所定の距離内に近づいていること(以下、適宜、近接という。)も検出することができる。タッチパネル16が近接を検出できる距離は、例えば、画面から約20mm以内の距離であり、10mm以内の距離であれば、近接されたタッチパネル16上の位置も認識できる。なお、タッチパネル16が接触や近接を検出できる対象は、ユーザの指に限らず、それと同様の導電物体であればよいが、以下では、ユーザの指の検出として説明する。
【0020】
ユーザは、タッチパネル16に接触または近接して、ドラッグ操作やフリック操作を行うことができる。タッチパネル16からの信号を取得するCPU23は、それらのユーザの操作を検出することができる。
【0021】
ドラッグ操作とフリック操作は、いずれも、タッチパネル16と平行な面上をなぞる操作である点は同一である。ただし、ドラッグ操作が、面上から離れる瞬間(直前)の指の速度が遅い(所定値以下である)のに対し、フリック操作は、弾くような動作であるため、離れる瞬間の指の速度が速い(所定値より大である)点が異なる。換言すれば、ドラッグ操作は、なぞった指の移動を止め、なぞった面から上方に離す動作であり、フリック操作は、なぞった指の移動を、その速度を保ったまま横方向に離す動作である。」

「【0048】
撮像装置1は、再生モードにおいて、ユーザの指をタッチスクリーン18に接触させてなぞる操作(ドラッグ操作およびフリック操作)を行うことで、記録デバイス19から読み出されて表示部17に表示されている撮像画像をスクロールさせることができる。また、撮像装置1は、ユーザの指をタッチスクリーン18に近接させてなぞる操作を行うことで、接触してなぞる操作と同様に、撮像画像をスクロールさせることができる。
【0049】
[第1の表示制御による画面例]
図3は、再生モードにおいてタッチスクリーン18に、ユーザが指を近接させている様子を示している。
【0050】
再生モードの表示画面では、画面中央に撮像画像P1が表示され、その両脇の画面左端と画面右端の領域には、メニューボタンM1、カレンダー表示ボタンM2、一覧表示ボタンM3、スライドショーボタンM4、削除ボタンM5、ワイドズームボタンM6、撮影モードボタンM7(の画像)が表示されている。ユーザが指をタッチスクリーン18に近接させただけでは、表示画面に変化はない。
【0051】
図4は、ユーザが図3のようにタッチスクリーン18に近接させた指を、近接状態を保ったまま、横(右)方向に移動させたときの表示画面を示している。
【0052】
撮像装置1(CPU23)は、近接を検出したユーザの指が、一定距離以上動いたことを検出する。そして、撮像装置1は、表示画面中央に配置していた撮像画像P1を、指の移動に合わせてスクロールさせる。図4のように、撮像画像P1を右方向にスクロールさせたとき、撮像画像P1に左側には、次に表示する画像である撮像画像P2の一部が表示される。
【0053】
撮像画像P1と撮像画像P2との関係について説明する。記録デバイス19には、撮像装置1で撮像されて得られた複数の撮像画像が記録されている。撮像装置1は、再生モードにおいて、撮像された日付順、ファイル名(英数字)の順、記録デバイス19内の配置されている順、などの所定の順番で1枚ずつ、順送りまたは逆送りに撮像画像を表示する。撮像画像P2は、順送りまたは逆送りに撮像画像を表示する順番で、撮像画像P1の次に表示される撮像画像である。
【0054】
図5は、ユーザが図4に示した状態から指をさらに移動させ、移動の速度を落とすことなくタッチスクリーン18からユーザの指が離れた後の表示画面を示している。即ち、図5は、ユーザが、近接させた指でフリック操作(近接フリック操作)を行った後の表示画面を示している。」

「【0070】
以上のように、本発明の第1の表示制御によれば、ユーザは、指をタッチスクリーン18に近接させてなぞる操作(ドラッグ操作またはフリック操作)を行うことで、接触して行うときと同様の撮像画像のスクロール表示を行うことができる。この場合、タッチスクリーン18に触らなくても良いので、軽快な操作感を得ることができる。また、タッチスクリーン18に触わる必要がないので、ユーザの操作の失敗率を低減させることができ、接触して操作することによる指紋や汚れの付着も防止することができる。
【0071】
なお、上述した例では、撮像装置1は、近接させてなぞる操作により、接触してなぞる操作と同じスクロールアニメーションを行うようにした。しかし、近接操作と接触操作で、スクロールアニメーションの効果を異なる(スクロールの態様を切り替える)ようにしてもよい。例えば、スクロールの速度や画像送りの枚数を近接操作と接触操作で変えるようにしてもよい。より具体的には、例えば、近接操作のスクロール速度を接触操作のときよりも速くしたり、画像送りの枚数を、接触操作は1枚ごと、近接操作は数枚ごと、などのようにすることができる。近接操作と接触操作で異なる挙動をすることができるので、操作の幅が広がる。」

2 引用発明
上記1からみて、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

〈引用発明〉
「表示部17の画像表示面にはタッチパネル16が設けられ、タッチパネル16と表示部17とによりタッチスクリーン18が構成され、
CPU(Central Processing Unit)23は、撮像装置1全体を制御し、CPU23には、タッチパネル16が接続され、
タッチパネル16は、例えば、静電容量方式のタッチパネルであり、ユーザの指によるタッチパネル16上へのタップ(接触)を検出し、
また、タッチパネル16は、その静電容量の変化(レベル)から、ユーザの指がタッチパネル16に接触はしてないが、所定の距離内に近づいていること(近接)も検出することができ、
ユーザは、タッチパネル16に接触または近接して、ドラッグ操作やフリック操作を行うことができ、タッチパネル16からの信号を取得するCPU23は、それらのユーザの操作を検出することができる、
撮像装置1の制御方法であって、
撮像装置1は、再生モードにおいて、ユーザの指をタッチスクリーン18に接触させてなぞる操作(ドラッグ操作およびフリック操作)を行うことで、記録デバイス19から読み出されて表示部17に表示されている撮像画像をスクロールさせることができ、
また、撮像装置1は、ユーザの指をタッチスクリーン18に近接させてなぞる操作を行うことで、接触してなぞる操作と同様に、撮像画像をスクロールさせることができ、
ユーザは、指をタッチスクリーン18に近接させてなぞる操作(ドラッグ操作またはフリック操作)を行うことで、接触して行うときと同様の撮像画像のスクロール表示を行うことができ、
この場合、タッチスクリーン18に触らなくても良いので、軽快な操作感を得ることができ、
また、タッチスクリーン18に触わる必要がないので、ユーザの操作の失敗率を低減させることができ、接触して操作することによる指紋や汚れの付着も防止することができ、
近接操作と接触操作で、スクロールアニメーションの効果を異なる(スクロールの態様を切り替える)ようにしてもよく、
例えば、スクロールの速度や画像送りの枚数を近接操作と接触操作で変えるようにしてもよく、
より具体的には、例えば、近接操作のスクロール速度を接触操作のときよりも速くしたり、画像送りの枚数を、接触操作は1枚ごと、近接操作は数枚ごと、などのようにすることができ、
近接操作と接触操作で異なる挙動をすることができるので、操作の幅が広がる、
撮像装置の制御方法。」

3 引用文献2の記載
引用文献2には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

「(2)第2の実施形態
本実施形態は、第1の実施形態の構成および動作を具体化した例である。
【0021】
図2を参照すると、本実施形態の入力装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、記憶部102と、入力制御部103と、表示制御部104と、出力制御部105と、近接センサ106と、タッチパネル107と、表示部108と、振動デバイス109と、スピーカ110と、を有している。
【0022】
本実施形態においては、近接センサ106とタッチパネル107との2つが、入力指示手段Pの位置を検出する。
【0023】
図3を参照すると、タッチパネル107は、表示部108のXY軸の同軸上面に配置される。近接センサ106は、例えば、赤外線センサであり、タッチパネル107の上方数cmの範囲に検知領域が形成されるように、タッチパネル107の近傍に配置される。
【0024】
ここで、近接センサ106の検知領域内に入力指示手段Pが入った状態、すなわち、入力指示手段Pがタッチパネル107に近接している状態では、近接センサ106が入力指示手段PのXYZ軸方向の位置を検出する。
【0025】
また、入力指示手段Pがタッチパネル107に軽く接触した状態から強く押し付けられた状態では、タッチパネル107が入力指示手段PのXYZ軸方向の位置を検出する。」

「【0038】
以下、本実施形態の入力装置100の動作について説明する。
【0039】
本実施形態においては、入力指示手段Pの状態をZ軸方向の位置に応じて分類し、分類した入力指示手段Pの状態毎に、入力装置100が異なる動作を行う。
【0040】
そこで、以下では、図4に示す、入力指示手段Pの状態を分類した状態テーブルを参照して、入力装置100の動作を説明する。
【0041】
図4において、状態Aは、入力指示手段Pがタッチパネル107と非接触で、かつ、タッチパネル107に近接していない状態である。状態Aでは、近接センサ106およびタッチパネル107の双方が入力指示手段Pを検知していないため、CPU101は、ユーザへの報知を行われない。
【0042】
状態Bは、入力指示手段Pがタッチパネル107と非接触であるが、タッチパネル107に近接している状態である。近接センサ106が状態Bへの状態変化を検知した場合、CPU101は、これをユーザに報知するため、スピーカ110から鳴動音を鳴らすか、振動デバイス109を振動させるか、表示部108にデータを表示させる。
【0043】
状態Cは、入力指示手段Pがタッチパネル107と軽く接触している状態である。タッチパネル107が状態Cへの状態変化を検知した場合、CPU101は、これをユーザに報知するため、スピーカ110から別の鳴動音を鳴らすか、振動デバイス109を別の振動パターンで振動させるか、表示部108に別のデータを表示させる。
【0044】
状態Dは、入力指示手段Pがタッチパネル107に強く押し付けられている状態である。タッチパネル107が状態Dへの状態変化を検知した場合、CPU101は、これをユーザに報知するため、スピーカ110からさらに別の鳴動音を鳴らすか、振動デバイス109をさらに別の振動パターンで振動させるか、表示部108にさらに別のデータを表示させる。
【0045】
上述のように本実施形態においては、入力指示手段PのZ軸方向の位置に応じた報知を行うため、ユーザに対し、入力指示手段PのXY軸方向への操作前に、Z軸方向の位置を知覚させ、XY軸方向への操作時にどのような作用が働くかをユーザに予め認識させることで、誤操作を防ぎ、快適な操作感を与えることができ、操作性が向上する。
【0046】
また、入力装置100が携帯電話機やスマートフォンなどの携帯端末である場合、入力指示手段PのZ軸方向の位置に応じた報知を振動で行うことにより、ユーザの持ち手側に振動を伝達させることができ、聴力や視力の弱いユーザに対しても、入力指示手段PのZ軸方向の位置を知覚させることができる。
【0047】
ここで、図4に示すように、状態テーブルにおいては、状態A,B,C,D毎に、入力指示手段PのXY軸方向への操作に対する作用が割り当てられており、状態A,B,C,Dのいずれかの状態で入力指示手段PがXY軸方向へ操作された場合、CPU101は、その操作に割り当てられた作用に応じた処理を行う。また、上記の作用のパターンとして、3つの作用例イ、ロ、ハのうち任意の作用例を設定することができる。
【0048】
作用例イでは、状態A,Bには何らの作用も割り当てられず、状態Cには「スクロール」が割り当てられている。そのため、状態Cの時に、ユーザが入力指示手段PをXY軸方向へ移動させると、その移動をタッチパネル107が検出し、CPU101が画面の表示内容を移動させるスクロール動作を行う。また、状態Dには「ドラッグ&ドロップ」が割り当てられている。そのため、状態Dの時に、ユーザが入力指示手段PをXY軸方向へ移動させると、その移動をタッチパネル107が検出し、CPU101がアイコンなどのオブジェクトを移動させ、そのオブジェクトを移動後に離すドラッグ&ドロップ動作を行う。
【0049】
作用例ロでは、作用例イと比較すると、状態Bにも「スクロール」が割り当てられている。そのため、状態Bの時に、ユーザが入力指示手段PをXY軸方向へ移動させると、その移動を近接センサ106が検出し、CPU101がスクロール動作を行う。これにより、ユーザは、タッチパネル107の表面に触れることなくスクロール操作を行うことができ、タッチパネル107の表面を傷める機会を減らすことができる。」

第5 対比
本願発明と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。

(ア)引用発明の「指をタッチスクリーン18に接触させてなぞる操作(ドラッグ操作またはフリック操作)」、「指をタッチスクリーン18に近接させてなぞる操作(ドラッグ操作またはフリック操作)」は、それぞれ、本願発明の「自機器に触れるタッチ」、「自機器に触れないジェスチャ」に相当する。
(イ)引用発明の「タッチパネル16」は、「静電容量方式のタッチパネルであり、ユーザの指によるタッチパネル16上へのタップ(接触)を検出し」、「タッチパネル16と表示部17とによりタッチスクリーン18が構成され」ていることからみて、「タッチパネル16」は「指をタッチスクリーン18に接触させてなぞる操作(ドラッグ操作またはフリック操作)を検出するタッチ検出手段」といえるから、本願発明の「自機器に触れるタッチを検出するタッチセンサ」に相当する。
(ウ)引用発明の「タッチパネル16」は、「その静電容量の変化(レベル)から、ユーザの指がタッチパネル16に接触はしてないが、所定の距離内に近づいていること(近接)も検出することができ」、「タッチパネル16と表示部17とによりタッチスクリーン18が構成され」ていることからみて、「タッチパネル16」は「指をタッチスクリーン18に近接させてなぞる操作(ドラッグ操作またはフリック操作)を検出するジェスチャ検出手段」ともいえる。
そうしてみると、本願発明と引用発明は、「自機器に触れないジェスチャを検出するジェスチャ検出手段」を備える点で共通する。
(エ)引用発明は、「スクロールの速度や画像送りの枚数を近接操作と接触操作で変えるようにしてもよく、より具体的には、例えば、近接操作のスクロール速度を接触操作のときよりも速くしたり、画像送りの枚数を、接触操作は1枚ごと、近接操作は数枚ごと、などのようにすることができ」、ここで「スクロール速度」や「画像送りの枚数」は「画面の移動量」といえるから、本願発明と引用発明は、「前記ジェスチャ検出手段によって検出されるジェスチャに基づく基本操作あたりの画面の第1移動量が、前記タッチセンサによって検出されるタッチに基づく基本操作あたりの画面の第2移動量よりも大きくなるように設定し」、「前記タッチセンサによってタッチが検出されずに前記ジェスチャ検出手段によってジェスチャが検出される場合、前記第1移動量の移動を行い」、「前記ジェスチャ検出手段によってジェスチャが検出されずに前記タッチセンサによってタッチが検出される場合、前記第2移動量の移動を行う」という一連の制御ステップを含む点で共通するといえる。
(オ)引用発明の「撮像装置」は、本願発明の「電子機器」に相当するといえる。

以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

〈一致点〉
「自機器に触れないジェスチャを検出するジェスチャ検出手段と、自機器に触れるタッチを検出するタッチセンサと、を備える電子機器の制御方法であって、
前記ジェスチャ検出手段によって検出されるジェスチャに基づく基本操作あたりの画面の第1移動量が、前記タッチセンサによって検出されるタッチに基づく基本操作あたりの画面の第2移動量よりも大きくなるように設定するステップと、
前記タッチセンサによってタッチが検出されずに前記ジェスチャ検出手段によってジェスチャが検出される場合、前記第1移動量の移動を行うステップと、
前記ジェスチャ検出手段によってジェスチャが検出されずに前記タッチセンサによってタッチが検出される場合、前記第2移動量の移動を行うステップと、を含む、
制御方法。」

〈相違点1〉
ジェスチャ検出手段が、本願発明では、「光を照射して反射光を受光することによって自機器に触れないジェスチャを検出するジェスチャセンサ」であるのに対し、引用発明では、「その静電容量の変化(レベル)から、ユーザの指がタッチパネル16に接触はしてないが、所定の距離内に近づいていること(近接)も検出するタッチパネル16」である点。

〈相違点2〉
本願発明では、「前記画面の第1移動量及び前記画面の第2移動量は、動画再生における早送り時間である」のに対し、引用発明では、「撮像画像のスクロール速度や画像送りの枚数」である点。

第6 判断
上記相違点について判断する。

(1)相違点1について
上記引用文献2には、近接センサ106とタッチパネル107との2つが、入力指示手段P(指)の位置を検出するようにしたスマートフォン等の入力装置において、近接センサ106がタッチパネル107の近傍に配置される赤外線センサ(「赤外線センサ」が、通常、光の照射部と受光部とから構成されるという技術常識を考慮すれば、本願発明の「光を照射して反射光を受光することによって自機器に触れないジェスチャを検出するジェスチャセンサ」に相当する。)であることが記載されている。
引用文献2記載の入力装置は、入力指示手段P(指)が、タッチパネル107に近接している状態で、入力指示手段P(指)をXY軸方向へ移動させると、その移動を検出し、CPU101がスクロール動作を行うというものである点で、引用発明と共通するものであるから、引用発明において、近接検出の手段を上記引用文献2に記載された赤外線センサとすることは、当業者が容易になし得ることである。
よって、上記相違点1は、当業者が容易に想到し得たものである。

(2)相違点2について
引用発明における「撮像装置」のような、所謂デジタルカメラにおいて、静止画撮影機能に加えて、動画撮影機能及び撮影された動画の再生機能を備えることは、本願出願時において例示するまでもなく周知である。
一方、例えば、特開2008-234372号公報の段落【0012】には、「前記指示手段の移動方向を前記タッチセンサから得たときに、該移動方向に応じて、前記コンテンツの進行表示あるいは後退表示の指示を出力する。例えば、コンテンツが動画のときには「巻き戻し/早送り」、電子書籍のときには「スクロール戻し/スクロールの進め」、静止画ファイルのときには「フォルダ内のファイルの先頭あるいは最後に向かって早送り」する指示である。」と記載されるように、本願出願時の技術水準を鑑みれば、「動画の早送り」と「電子書籍のスクロール」や「静止画ファイルのファイル送り」とは、コンテンツの種別に対応した同様の表示指示として同列に理解される技術思想であるといえる。
そうしてみると、引用発明における「前記画面の第1移動量及び前記画面の第2移動量」として、「撮像画像のスクロール速度や画像送りの枚数」と同様に、「動画再生における早送り時間」を制御するようにすることは、当業者が容易になし得ることである。
よって、上記相違点2は、当業者が容易に想到し得たものである。

(3)そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載された技術やこの技術分野における周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(4)したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項、この技術分野における周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-07-31 
結審通知日 2020-08-04 
審決日 2020-08-19 
出願番号 特願2018-30045(P2018-30045)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 大輔田内 幸治  
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 ▲吉▼田 耕一
小田 浩
発明の名称 電子機器、制御方法およびプログラム  
代理人 河合 隆慶  
代理人 杉村 憲司  
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