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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1366917
審判番号 不服2019-14170  
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-24 
確定日 2020-10-08 
事件の表示 特願2016-225105号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 5月24日出願公開、特開2018- 79215号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年11月18日の出願であって、平成30年9月25日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月28日に意見書及び手続補正書が提出され、平成31年2月1日付けで最後の拒絶の理由が通知され、平成31年4月1日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和1年7月30日付けで、平成31年4月1日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、これに対し、令和1年10月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。


第2 令和1年10月24日提出の手続補正書による補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
令和1年10月24日提出の手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正により、平成30年11月28日提出の手続補正書の特許請求の範囲における、
「【請求項1】
遊技球が始動口に入球した場合の少なくとも一部において、保留玉が表示される第一表示領域と、
前記第一表示領域に表示された前記保留玉のうち一つを消失させる又は所定の位置に表示させることを契機として演出図柄の変動が表示される第二表示領域と、
前記演出図柄の変動が表示される場合の一部において、前記保留玉とは別の表示として視認される演出アイコンを表示させる第三表示領域と、
前記第三表示領域に前記演出アイコンを表示させることを少なくとも含む前演出を実行し、前記前演出が行われた遊技より後に実行される前記演出図柄の変動の実行期間に含まれる特定期間において、前記第三表示領域から前記演出アイコンを消失させることを少なくとも含む後演出を実行する演出制御手段と、を備え、
前記後演出が実行される場合の一部において、変動している前記演出図柄が当該後演出に基づいてリーチ状態になる遊技機。
【請求項2】
前記第三表示領域に複数の前記演出アイコンが表示されている場合に行われる前記演出図柄の変動の少なくとも一部において、前記演出制御手段は、一回の前記演出図柄の変動の実行期間に前記第三表示領域から第一の演出アイコン及び第二の演出アイコンを消失させる前記後演出を実行し、
前記第一の演出アイコンが消失するタイミングが前記リーチ状態になる前であって、前記第二の演出アイコンが消失するタイミングが前記リーチ状態になった後である請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記演出制御手段は、
遊技者に認識可能な区切りから区切りまでの期間である変動サイクルを一単位として前記演出図柄の変動を表示させ、一回の遊技において複数回の前記変動サイクルを行う擬似連演出を実行可能に構成されており、
前記第三表示領域に複数の前記演出アイコンが表示されている場合に行われる前記演出図柄の変動の少なくとも一部において、一回の前記演出図柄の変動の実行期間に前記第三表示領域から第一の演出アイコン及び第二の演出アイコンを消失させる前記後演出を前記擬似連演出と共に実行し、
前記第一の演出アイコンが消失するタイミングが一の前記変動サイクル中であって、前記第二の演出アイコンが消失するタイミングが他の前記変動サイクル中である請求項1に記載の遊技機。」
は、令和1年10月24日に提出された手続補正書の特許請求の範囲における、
「【請求項1】
遊技球が始動口に入球した場合の少なくとも一部において、保留玉が表示される第一表示領域と、
前記第一表示領域に表示された前記保留玉のうち一つを消失させる又は所定の位置に表示させることを契機として演出図柄の変動が表示される第二表示領域と、
前記演出図柄の変動が表示される場合の一部において、前記保留玉とは別の表示として視認される演出アイコンを表示させる第三表示領域と、
前記第三表示領域に前記演出アイコンを表示させることを少なくとも含む前演出を実行し、前記前演出が行われた遊技より後に実行される前記演出図柄の変動の実行期間に含まれる特定期間において、前記第三表示領域から前記演出アイコンを消失させることを少なくとも含む後演出を実行する演出制御手段と、を備え、
前記前演出及び前記後演出は、前記保留玉の変化に関わらず実行される演出であり、
前記後演出が実行される場合の一部において、変動している前記演出図柄が当該後演出に基づいてリーチ状態になり、
前記後演出を開始してから当該後演出において前記演出アイコンを消失させるまでの期間の長さに応じて、当該後演出と共に実行される前記演出図柄の変動の結果として、大当りの当選が報知される期待度が変化する遊技機。」
に補正がなされた(下線は、請求項1の補正箇所を明示するために当審で付した。)。

2 補正の適否について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に、
「前記前演出及び前記後演出は、前記保留玉の変化に関わらず実行される演出であり、」との記載を追加する補正(以下、「補正事項1」という。)と、同請求項1に、
「前記後演出を開始してから当該後演出において前記演出アイコンを消失させるまでの期間の長さに応じて、当該後演出と共に実行される前記演出図柄の変動の結果として、大当りの当選が報知される期待度が変化する」
との記載を追加する補正(以下、「補正事項2」という。)を含むものである。
そこで、補正事項1が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものか(特許法17条の2第3項の規定に適合するか)について検討する。

(1)願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載
補正事項1における「前記保留玉の変化に関わらず実行される」との記載は、保留玉が何らの別の態様に変化する「保留玉の変化」を当然の前提とし、補正事項1は、前演出及び後演出が、当該保留玉の変化に関係なく実行されることを特定しているといえる。
そこで本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)をみると、補正事項1と関連する記載として以下の記載がある(下線は当審で付した。以下同じ。)。

「【背景技術】
【0002】
・・・この種の遊技機として、下記の特許文献1を例示する。
【0003】
特許文献1には、先読み判定に基づいて、保留されている乱数を模した演出画像(保留玉)を変化させる演出を行う遊技が記載されている。より具体的には、同文献には、一又は複数のキャラクターが登場し、登場するキャラクターの種別によって最終的に保留玉が変化する可能性が異なる演出が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-123350号公報」

「【0013】
演出制御手段は、前演出と、前演出より後に行われる後演出と、を実行する。本実施形態における演出制御手段は、例えば、演出制御部210によって実現される。
ここで前演出及び後演出は、上記のように時間関係が互いに前後に行われるように構成されている予告演出であり、本発明の実施において演出内容は特に制限されない。
本実施形態に係る前演出及び後演出は、例えば、それぞれムービーメール演出における受信予告及び開封予告のことである。」

「【0033】
メイン表示部81は、いわゆる保留玉を第一表示領域811に表示することができる。保留玉が表示される第一表示領域811と、演出図柄が表示される第二表示領域812とは、離間してもよいし重複してもよい。ここで保留玉とは、始動口への入球を契機として取得された乱数のうち、現時点において実行されている図柄変動ゲームに用いられた乱数又は現時点において保留されている乱数を模した画像である。保留玉は、その形状や色彩等によって特典(例えば、大当り遊技)が付与される可能性を示唆しうる。」

「【0095】
演出制御部210は、予告演出を実行する。ここで予告演出とは、その実行時より後の遊技展開を示唆する演出であり、主に特別図柄に係る図柄変動ゲームや大当り遊技に関する演出である。
演出制御部210は、予告演出を実行する場合、予告演出に係る演出表示を演出表示装置80に表示させる。特に特別図柄に係る図柄変動ゲームの実行中に関していえば、演出制御部210は、複数列の演出図柄群がスクロールした後に確定停止した演出図柄の組合せによって、大当り遊技に当選したか否かを、演出表示装置80に報知させる。
演出制御部210は、特別図柄に係る図柄変動ゲームの実行中において、演出制御部210は、図柄表示装置90による特別図柄の変動時間に合わせて、演出表示装置80による演出表示(演出図柄に係る図柄変動ゲームを含む)を実行させている。換言すれば、演出制御部210は、図柄表示装置90における一回の特別図柄に係る図柄変動ゲームと、演出表示装置80における一回の演出表示(演出図柄に係る図柄変動ゲームを含む)とを、原則として対応付けて実行する。
ただし、複数回の特別図柄に係る図柄変動ゲームにわたって連続性を有している予告演出が実行される場合や、一回の特別図柄に係る図柄変動ゲームに対して複数回の演出図柄の変動表示を含む予告演出が実行される場合もある。前者の代表例は連続演出と称される予告演出であり、後者の代表例は擬似連演出と称される予告演出である。
ここで連続演出とは、数回の遊技(特別図柄に係る図柄変動ゲーム)にわたって連続性を有する演出である。また、ここで擬似連演出とは、遊技者に認識可能な区切りから区切りまでの期間である変動サイクルにおいて一連の演出図柄群をスクロールさせ、一回の遊技(特別図柄に係る図柄変動ゲーム)において複数回の変動サイクルを含める演出である。」

「【0116】
<本発明に係るムービーメール演出に係る演出パターンについて>
次に、本発明に係る演出図柄の変動表示について、図9から図18を用いて説明する。・・・
【0120】
まず、図11のパターンAに係るタイムチャートが示す演出パターンについて説明する。
この演出パターンは、まず開始時(0秒時)において、第二表示領域812には三列にわたる演出図柄群のスクロールが表示される(図12参照)。・・・
【0122】
第一表示領域811には、現時点で保留されている保留玉(上限4個)と現在実行中の遊技に係る乱数を模した保留玉とが表示され、最大で5個の保留玉が表示されうる。
なお、図12から図19における第一表示領域811には、一律で5個の保留玉が表示されている様が描かれているが、ここで描かれている保留玉の数は説明上のために示すものであり、実際には状況に応じて変化するものである。
【0123】
第一表示領域811における保留玉の表示位置は、左端から順に「保0」「保1」「保2」「保3」「保4」とも称される。なお、「保0」に表示される保留玉が、現在実行中の遊技に係る乱数を模した保留玉である。また、「保1」「保2」「保3」「保4」に表示される保留玉は、表示位置が左側であるほど(若い数字が割り当てられている数字が若いほど)早い時期に保留された乱数に対応している。
「保0」に係る保留玉は現在実行中の遊技に対応するものであるため、他の保留玉とは識別可能に表示されることが好ましい。
・・・
【0125】
次に、0秒経過時から4秒経過時にかけて第三表示領域813にメールアイコンD1が表示される受信予告が実行される(図13参照)。
なお、図13における第一表示領域811において、「保1」の保留玉が網掛け表示になっているが、これは当該保留玉が模している乱数が、図13において描かれている受信予告の契機となった乱数(第一判定の対象になった乱数)であることを表すものである。この網掛け表示は、説明の便宜上のものであって、本発明の実施において当該保留玉と他の保留玉とを識別可能である必要はない。この網掛け表示の意味合いについては、図14、図15及び図19においても同様である。
・・・
【0129】
次に、図11のパターンBに係るタイムチャートが示す演出パターンについて説明する。
この演出パターンは、まず開始時(0秒時)において、第二表示領域812には三列にわたる演出図柄群のスクロールが表示される(図12参照)。即ち、第二表示領域812には、複数列において一連の演出図柄群がスクロールする演出動画が表示される。
次に、0秒経過時から9秒経過時にかけて第三表示領域813からメールアイコンD1が消失して、第三表示領域813の外部領域においてメールアイコンD1が開封される様が表示される開封予告が実行される(図16参照)。より具体的には、本実施形態に係る開封予告は、メールアイコンD1に添付されている動画ファイルをダウンロードしていることを遊技者に想起させる文字表示D2がメールアイコンD1に付随して表示される。例えば、図16における文字表示D2は、ダウンロードした動画ファイルの容量が53%であるかのように遊技者に想起させる。なお、本実施形態における文字表示D2として表示されている数字は0(零)%から100%まで段階的に増加するように表示されるものとする。
【0130】
なお、図16における第一表示領域811において、「保0」の保留玉が網掛け表示になっているが、これは当該保留玉が模している乱数が、図16において描かれている開封予告の契機となった乱数(第一判定の対象になった乱数)であることを表すものである。この網掛け表示は、説明の便宜上のものであって、本発明の実施において当該保留玉と他の保留玉とを識別可能である必要はない。また、この網掛け表示の意味合いについては、図17及び図18においても同様である。」

「【0135】
次に、図11のパターンCに係るタイムチャートが示す演出パターンについて説明する。当該タイムチャートは、上記の擬似連演出を演出パターンに含んでおり、一回目の変動サイクルにおいて受信予告を実行し、二回目の変動サイクルにおいて成功パターンの開封予告を実行するものとして、以下説明する。
なお、パターンCに係るタイムチャートにおいて、一回目の変動サイクルはパターンAやパターンBに係る「通常変動」と同じ表示態様(図12参照)で開始されるため「通常変動(擬似1)」と表記し、二回目の変動サイクルを「擬似2」と表記する。
【0136】
本実施形態に係る遊技機10において、上記のように一回の遊技において受信予告及び成功パターンの開封予告の双方を実行する演出パターンは、MM入球時処理部112によって第一判定が肯定された場合には発生しない。なぜならば、ムービーメールフラグの設定中において、第二判定が肯定される遊技(第一判定の対象となった乱数を模した保留玉が「保1」に表示される遊技)と、第三判定が肯定される遊技(第一判定の対象となった乱数を模した保留玉が「保0」に表示される遊技)とが異なるように構成されているからである。
従って、パターンCは、MM変動時処理部125による第四判定が肯定された場合に発生しうる演出パターンである。
【0137】
但し、本実施形態に係る遊技機10は、後述するパターンDのように、一回の遊技において受信予告及びガセパターンの開封予告の双方を実行する演出パターンは、実行しうる構成になっている。
【0138】
この演出パターンは、0秒経過時から4秒経過時にかけて第三表示領域813にメールアイコンD1が表示される受信予告が実行される(図13参照)。受信予告の終了時(4秒経過時)には、第三表示領域813は元の表示位置に戻り、第三表示領域813の中にはメールアイコンD1が表示された状態が維持される(図15参照)。
即ち、パターンAにおける受信予告と同じ演出態様で、パターンCに係る受信予告も実行される。このような態様は、パターンAの実行に対して設定される受信予告フラグとパターンCの実行に対して設定される受信予告フラグとの共通化を図ることによっても実現可能である。
【0139】
図11に示すように、パターンCに係るタイムチャートは、受信予告が終わった後に、左列、右列及び中央列が順に仮停止する点においても、パターンAに係るタイムチャートと共通している。
しかしながら、パターンCに係るタイムチャートは、中央列が仮停止した後に、二回目の変動サイクルが開始される(再変動する)点において、パターンAに係るタイムチャートと相違している。
なお、パターンCにおいて、中央列が仮停止する場合には、二回目の変動サイクルの実行を示唆するチャンス目が第二表示領域812に表示されてもよい。
【0140】
二回目の変動サイクルにおいて、即ち、パターンCに係るタイムチャートにおける10秒経過以降に、第三表示領域813からメールアイコンD1が消失して、第三表示領域813の外部領域においてメールアイコンD1が開封される様が表示される開封予告が実行される(図16参照)。そして、当該開封予告は、メールアイコンD1の開封が成功する成功パターンであって、文字表示D2が100%に到達するとダウンロードが成功したことを示す表記に変化する(図17参照)。更に、成功パターンの開封予告が終了すると、メイン表示部81にはムービー予告に関する特典映像D3が表示される(図18参照)。
即ち、パターンBにおける開封予告とパターンCに係る開封予告とは、実行タイミングが異なるが、演出内容としては共通化を図ることができる。」

【図12】


【図13】


【図15】



【図16】




【図17】




【図18】




(2) 当審の判断
当初明細書等の【0033】の「保留玉は、その形状や色彩等によって特典(例えば、大当り遊技)が付与される可能性を示唆しうる。」との記載からは、保留玉の形状や色彩等によって特典が付与される可能性を示唆しうることは記載されているものの、「保留玉の変化」について記載されているということはできない。
また、上記図13、図15-18からは、第一表示領域811において、「保0」または「保1」の保留玉が網掛け表示になっている態様を一応看て取ることができる。しかし、当初明細書等の【0125】、【0130】の記載によれば、この網掛け表示は、当該保留玉が模している乱数が、受信予告または開封予告の契機となった乱数であることを表すものであって、説明の便宜上のものである。
そうすると、本願の当初明細書等には、そもそも「保留玉の変化」について記載されているということはできないのだから、当初明細書等には、補正事項1における「前記前演出及び前記後演出は、前記保留玉の変化に関わらず実行される」との事項が記載されていたということもできない。
さらに、本願の願書に最初に添付した明細書の【0003】に記載されるように、先行技術文献として提示された特許文献1に、保留されている乱数を模した演出画像(保留玉)を変化させる演出を行うことが記載されていることをもって、本願の出願時において「保留玉の変化」が当業者にとって自明の演出であったということができたとしても、補正事項1の「前記前演出及び前記後演出」が「前記保留玉の変化に関わらず実行される演出であ」ることまで、当業者にとって自明の構成ということはできない。

なお、審判請求人は、審判請求書において、上記補正事項の1の補正の根拠として、
「前記前演出及び前記後演出は、前記保留玉の変化に関わらず実行される演出であり、」との発明特定事項を追加する補正は、当初明細書等において「前演出」及び「後演出」に相当するムービーメール演出に係る受信予告及び開封予告が、保留玉の変化とは独立した実行される態様が記載されていること(特に、図13、図16及び図17)を根拠とするものです。」
と主張している。しかし、本願の図13、図16及び図17については上記説示のとおりであって、審判請求書における上記補正の根拠の主張をもって、上記補正事項1が、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものということはできない。

したがって、補正事項1を含む本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないので、同法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により、補正事項2について検討するまでもなく却下すべきものである。

3 独立特許要件について
本件補正の適否についての当審の判断は、上記「2 補正の適否について」「(2) 当審の判断」のとおりであるが、仮に、上記補正事項1が当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとして、以下に検討する。

(2) 本件補正は、形式上は本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前演出」及び「後演出」について「前記保留玉の変化に関わらず実行される演出であ」るものに限定するとともに、
同「後演出」について、「前記後演出を開始してから当該後演出において前記演出アイコンを消失させるまでの期間の長さに応じて、当該後演出と共に実行される前記演出図柄の変動の結果として、大当りの当選が報知される期待度が変化する」ものに限定し、
本件補正前の特許請求の範囲の請求項2-3を削除したものである。

さらに、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正のうち請求項1にした補正は、形式上は特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると一応いうことができる。
そして、本件補正の補正事項2については、本願の願書に最初に添付した明細書の【0134】等に基づいたものであり、新規事項を追加するものではないから、本件補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすことになる。

そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、令和1年10月24日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものとし、その請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(3) 本願補正発明
本願補正発明は、上記「1 補正の内容」においても示した次のとおりのものである(A?Hは、当審で分説して付与した。)。

(本願補正発明)
「【請求項1】
A 遊技球が始動口に入球した場合の少なくとも一部において、保留玉が表示される第一表示領域と、
B 前記第一表示領域に表示された前記保留玉のうち一つを消失させる又は所定の位置に表示させることを契機として演出図柄の変動が表示される第二表示領域と、
C 前記演出図柄の変動が表示される場合の一部において、前記保留玉とは別の表示として視認される演出アイコンを表示させる第三表示領域と、
D 前記第三表示領域に前記演出アイコンを表示させることを少なくとも含む前演出を実行し、前記前演出が行われた遊技より後に実行される前記演出図柄の変動の実行期間に含まれる特定期間において、前記第三表示領域から前記演出アイコンを消失させることを少なくとも含む後演出を実行する演出制御手段と、を備え、
E 前記前演出及び前記後演出は、前記保留玉の変化に関わらず実行される演出であり、
F 前記後演出が実行される場合の一部において、変動している前記演出図柄が当該後演出に基づいてリーチ状態になり、
G 前記後演出を開始してから当該後演出において前記演出アイコンを消失させるまでの期間の長さに応じて、当該後演出と共に実行される前記演出図柄の変動の結果として、大当りの当選が報知される期待度が変化する
H 遊技機。」

(4) 引用文献に記載された事項
これに対して、原査定の拒絶の理由及び令和1年7月30日付け補正の却下の決定の理由に引用された特開2015-92940号公報(以下、「引用文献」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審で付した)。

ア 「【0006】
この発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、特定画像を用いた演出の演出効果を向上させることができる遊技機の提供を目的とする。
・・・
【0017】
(6)上記(5)の遊技機において、
前記第1特定演出実行手段は、表示された前記複数の特定画像(例えば、3つのプレゼントボックス画像)を前記事前判定手段による判定の対象となった識別情報の可変表示中(例えば、図39に示す特別図柄の可変表示中)の異なるタイミング(例えば、変動パターンが変動パターンPB3-3、PB2-3である場合、可変表示開始から25秒後、35秒後、65秒後といったタイミングなど)で前記特殊画像に変化させ、
前記第2特定演出実行手段は、表示された前記複数の特定画像(例えば、3つのプレゼントボックス画像)を前記可変表示制御手段による一回の識別情報の可変表示中の異なるタイミング(例えば、変動パターンが変動パターンPB3-3、PB2-3である場合、可変表示開始から25秒後、35秒後、65秒後といったタイミングなど)で前記特殊画像に変化させる、
ことを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、特定画像を特殊画像に変化させる演出にメリハリをつけることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
・・・
【0028】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。
・・・
【0031】
遊技盤2における遊技領域の中央付近には、画像表示装置5が設けられている。画像表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。画像表示装置5の画面上では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図の可変表示や第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図の可変表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の可変表示部となる飾り図柄表示エリアにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である飾り図柄が可変表示される。この飾り図柄の可変表示も、可変表示ゲームに含まれる。
【0032】
一例として、画像表示装置5の画面上には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアが配置されている。そして、特図ゲームにおいて第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図の変動と第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図の変動のうち、いずれかが開始されることに対応して、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにおいて飾り図柄の変動(例えば上下方向のスクロール表示)が開始される。その後、特図ゲームにおける可変表示結果として確定特別図柄が停止表示されるときに、画像表示装置5における「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにて、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄(最終停止図柄)が停止表示される。なお、確定飾り図柄は、可変表示中に表示される飾り図柄とは異なるものであってもよい。例えば、スクロール表示される飾り図柄以外の飾り図柄が確定飾り図柄となってもよい。
・・・
【0034】
画像表示装置5の画面上には、始動入賞記憶表示エリア5Hが配置されている。始動入賞記憶表示エリア5Hでは、特図ゲームに対応した可変表示の保留数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示(「保留表示」ともいう)が行われる。ここで、特図ゲームに対応した可変表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口に、遊技球が進入(例えば、通過)することによる始動入賞に基づいて発生する。すなわち、特図ゲームや飾り図柄の可変表示といった可変表示ゲームを実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件に基づく可変表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、可変表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する可変表示の保留が行われる。
【0035】
この実施の形態では、保留記憶表示を、保留されている可変表示と同じ個数の図柄(以下、保留表示図柄ともいう。)を表示することによって行う。1つの保留表示図柄は、保留されている1つの可変表示に対応している。始動入賞記憶表示エリア5Hのおける保留記憶表示は、第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生したものであるか、第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生したものであるかに応じて、その表示態様(例えば表示色や形状)を異ならせてもよい。例えば、第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生した保留記憶表示を丸型の青色表示とし、第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生した保留記憶表示を丸型の赤色表示としてもよい。
【0036】
例えば、第1始動入賞口に遊技球が進入する第1始動入賞の発生により、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームの始動条件(第1始動条件)が成立したときに、当該第1始動条件の成立に基づく第1特図を用いた特図ゲームを開始するための第1開始条件が成立しなければ、第1特図保留記憶数が1加算(インクリメント)され、第1特図を用いた特図ゲームの実行が保留される。また、第2始動入賞口を遊技球が進入する第2始動入賞の発生により、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームの始動条件(第2始動条件)が成立したときに、当該第2始動条件の成立に基づく第2特図を用いた特図ゲームを開始するための第2開始条件が成立しなければ、第2特図保留記憶数が1加算(インクリメント)され、第2特図を用いた特図ゲームの実行が保留される。これに対して、第1特図を用いた特図ゲームの実行が開始されるときには、第1特図保留記憶数が1減算(デクリメント)され、第2特図を用いた特図ゲームの実行が開始されるときには、第2特図保留記憶数が1減算(デクリメント)される。」

イ 「【0093】
リーチ演出における演出動作としては、互いに動作態様(演出態様)が異なる複数種類の演出パターン(「リーチパターン」ともいう)が、予め用意されていればよい。そして、それぞれのリーチ演出における演出態様に応じて、「大当り」となる可能性(「信頼度」あるいは「大当り信頼度」、「期待度」あるいは「大当り期待度」ともいう)が異なる。すなわち、複数種類のリーチ演出のいずれが実行されるかに応じて、可変表示結果が「大当り」となる可能性を異ならせることができる。この実施の形態では、一例として、ノーマル、スーパーA、スーパーBといったリーチ演出が予め設定されている。そして、スーパーAやスーパーBといったスーパーリーチのリーチ演出が実行された場合には、ノーマルのリーチ演出が実行された場合に比べて、可変表示結果が「大当り」となる可能性(大当り期待度)が高くなる。また、スーパーリーチのリーチ演出のうちでも、スーパーBといった特定のリーチ演出が実行された場合には、スーパーAのリーチ演出が実行された場合に比べて、大当り期待度が高くなる。
・・・
【0096】
「擬似連」の可変表示演出では、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて、例えば予め定められた複数種類の擬似連チャンス目のうちいずれかを構成する飾り図柄が、所定表示結果として一旦は仮停止表示される。その後に、擬似連変動(再変動)が行われる。この実施の形態では、「擬似連」の可変表示演出において、擬似連変動(再変動)が1回?3回行われることにより、第1開始条件あるいは第2開始条件が1回成立したことに基づき、飾り図柄の可変表示があたかも2回?4回続けて開始されたかのように見せることができる。なお、「擬似連」の可変表示演出における擬似連変動(再変動)の回数は、例えば4回や5回といった、1回?3回よりも多くの回数まで実行できるようにしてもよい。「擬似連」の可変表示演出では、擬似連変動(再変動)の回数が多くなるに従って、可変表示結果が「大当り」となる可能性が高くなるように設定されていればよい。これにより、遊技者は、擬似連チャンス目のいずれかが仮停止表示されることにより、「擬似連」の可変表示演出が行われることを認識でき、擬似連変動の回数が多くなるに従って、可変表示結果が「大当り」となる期待感が高められる。
【0097】
大当り期待度は、例えば、(大当り時にその演出が実行される確率)×(大当りになる確率)/{(大当り時にその演出が実行される確率)×(大当りになる確率)+(大当り時以外にその演出が実行される確率)×(大当りにならない確率)}によって算出される(大当り期待度が「1」になる場合には、可変表示結果は必ず「大当り」になる。以下、大当り期待度について同じ。)。
・・・
【0100】
この実施の形態では、先読み予告演出として第1プレゼント演出が実行される。第1プレゼント演出は、予告対象(先読みの対象やターゲットともいう)である可変表示の変動パターンや可変表示結果に基づいて、複数回実行される飾り図柄の可変表示に亘ってプレゼントボックス画像を表示し、予告対象の可変表示においてプレゼントボックス画像をプレゼント画像に変化させることにより、予告対象の可変表示結果が「大当り」となる可能性や、例えば、擬似連の可変表示演出やリーチ演出などといった可変表示中に実行される演出を示唆する演出である。具体的には、予告対象の可変表示が実行される前に実行される可変表示において、可変表示毎にプレゼントボックス画像を1つずつ、最大で3つまで表示していく。なお、予告対象の可変表示において最後のプレゼントボックス画像(例えば、全部で3つのプレゼントボックス画像を表示する場合には3つ目のプレゼントボックス画像)を表示してもよい。そして、予告対象の可変表示の実行中に、表示された1?3つのプレゼントボックス画像を異なるタイミングで、例えば、「擬似連」や「スーパーリーチ」、「チャンス」などといったプレゼント画像に変化させる。」

ウ 「【0127】
図7は、入賞時乱数値判定処理として、図4のステップS211にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この実施の形態において、特別図柄や飾り図柄の可変表示が開始されるときには、後述する特別図柄通常処理(図3のステップS110、図10)において、特図表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否かの決定が行われる。また、後述する変動パターン設定処理(図3のステップS111、図12)において、飾り図柄の可変表示態様に対応した変動パターンの決定などが行われる。他方、これらの決定とは別に、遊技球が始動入賞口(第1始動入賞口または第2始動入賞口)にて検出された始動入賞タイミングで、CPU103がステップS211の入賞時乱数値判定処理を実行することにより、乱数値MR1が特図表示結果として大当り図柄を導出すると決定される乱数値MR1の範囲内であるか否かの判定や、飾り図柄の可変表示態様が特定の表示態様となるか否かの判定などを行う(所謂「先読み」)。これにより、始動入賞口に進入した遊技球の検出に基づく特別図柄や飾り図柄の可変表示が開始されるより前に、特図表示結果が「大当り」となることや、飾り図柄の可変表示態様が特定の表示態様となることなどを予測し、この予測結果に基づいて、演出制御基板12の側で演出制御用CPU120などにより、第1プレゼント演出を実行するか否かなどを決定することができる。」

エ 「【0223】
次に、演出制御用CPU120は、表示個数Pに0をセットする(ステップS620)。表示個数Pは、表示中のプレゼントボックス画像の数を示している。従って、表示個数Pが0のときは、第1プレゼント演出においてプレゼントボックス画像が1つも表示されていない状態である。そして、演出制御用CPU120は、合算保留記憶数が3以上であるか否かを判定する(ステップS621)。ステップS621にて合算保留記憶数が3以上であると判定された場合(ステップS621;Yes)、演出制御用CPU120は、最大プレゼント数Pmaxに3をセットする(ステップS622)。最大プレゼント数Pmaxは、第1プレゼント演出において表示するプレゼント画像の数を示している。ステップS621にて合算保留記憶数が3以上でないと判定された場合(ステップS621;No)、演出制御用CPU120は、合算保留記憶数が2であるか否かを判定する(ステップS623)。ステップS623にて合算保留記憶数が2であると判定された場合(ステップS623;Yes)、演出制御用CPU120は、最大プレゼント数Pmaxに2をセットする(ステップS624)。ステップS623にて合算保留記憶数が2でないと判定された場合(ステップS623;No)、演出制御用CPU120は、最大プレゼント数Pmaxに1をセットする(ステップS625)。
【0224】
ステップS622、S624、S625の処理を実行した後、演出制御用CPU120は、変動パターン種別と最大プレゼント数Pmaxとに応じた内容のプレゼント画像を表示するための設定を行う(ステップS626)。図21は、変動パターン種別と最大プレゼント数Pmaxとに応じたプレゼント内容の設定例を示している。この実施の形態では、例えば、変動パターン種別が、擬似連及びスーパーリーチを伴う変動パターンが含まれる変動パターン種別(CA3-4、CA2-4)であるか、スーパーリーチのみを伴う変動パターンが含まれる変動パターン種別(CA3-3、CA2-3)であるかに応じて、最大プレゼント数Pmaxに対応してプレゼント1?3のプレゼント内容が予め定められている。」

【図21】




「【0225】
一例として、変動パターン種別がCA3-4又はCA2-4で、最大プレゼント数Pmaxが3の場合、プレゼント1は「擬似連」、プレゼント2は「スーパーリーチ」、プレゼント3は「未設定」となっている。なお、プレゼント3は、後述するステップS629の処理において設定される(以下、「未設定」となるプレゼントにおいて同じ。)。変動パターン種別がCA3-4又はCA2-4で、最大プレゼント数Pmaxが2の場合、プレゼント1は「擬似連」、プレゼント2は「スーパーリーチ」となっている。なお、最大プレゼント数Pmaxが2の場合には、プレゼント3は設定されない。変動パターン種別がCA3-4又はCA2-4で、最大プレゼント数Pmaxが1の場合、プレゼント1は「擬似連」となっている。なお、最大プレゼント数Pmaxが1の場合には、プレゼント2、3は設定されない。
【0226】
また、変動パターン種別がCA3-3又はCA2-3で、最大プレゼント数Pmaxが3の場合、プレゼント1は「スーパーリーチ」、プレゼント2、3は「未設定」となっている。変動パターン種別がCA3-3又はCA2-3で、最大プレゼント数Pmaxが2の場合、プレゼント1は「スーパーリーチ」、プレゼント2は「未設定」となっている。なお、最大プレゼント数Pmaxが2の場合には、プレゼント3は設定されない。変動パターン種別がCA3-3又はCA2-3で、最大プレゼント数Pmaxが1の場合、プレゼント1は「スーパーリーチ」となっている。なお、最大プレゼント数Pmaxが1の場合には、プレゼント2、3は設定されない。」

オ 「【0281】
図33は、可変表示中演出処理として、図18のステップS172にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図33に示す可変表示中演出処理において、演出制御用CPU120は、まず、例えば演出制御プロセスタイマ値などに基づいて、変動パターンに対応した可変表示時間が経過したか否かを判定する(ステップS551)。一例として、ステップS551の処理では、演出制御プロセスタイマ値を更新(例えば1減算)し、更新後の演出制御プロセスタイマ値に対応して演出制御パターンから終了コードが読み出されたときなどに、可変表示時間が経過したと判定すればよい。
【0282】
ステップS551にて可変表示時間が経過していない場合には(ステップS551;No)、演出制御用CPU120は、第1プレゼント演出実行期間であるか否かを判定する(ステップS552)。第1プレゼント演出実行期間は、例えば図23に示すステップS530の処理により設定された演出制御パターンにおいて、予め定められていればよい。ステップS552にて第1プレゼント演出実行期間であると判定されたときには(ステップS552;Yes)、演出制御用CPU120は、第1プレゼント演出を実行するための第1プレゼント演出動作制御処理を行う(ステップS553)。
・・・
【0284】
ステップS672の処理を実行した後や、ステップS671にてプレゼントボックス画像表示時間でないと判定された場合(ステップS671;No)、演出制御用CPU120は、ストック表示タイマのタイマ値を1減算し(ステップS672a)、ストック表示タイマTがタイムアウトしたか否かを判定する(ステップS672b)。ステップS672bにてストック表示タイマTがタイムアウトしたと判定された場合(ステップS672b;Yes)、演出制御用CPU120は、プレゼントボックス画像をストック表示する(ステップS672c)。ステップS672cでは、演出制御用CPU120は、例えば、プレゼントボックス画像を画像表示装置5の表示領域に設けられたストック表示領域に移動させてストック表示する。」

カ 「【0306】
次に、第1プレゼント演出におけるプレゼント画像を表示するタイミングについて図38を参照して説明する。図38では、第1プレゼント演出の予告対象である可変表示が開始された時点からの経過時間に応じた、特別図柄の変動の開始/停止と、プッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間の開始/停止とを示している。なお、図38では、第1プレゼント演出において3つのプレゼントボックス画像を表示している場合における各タイミングを示している。
【0307】
図38(A)は、擬似連及びスーパーリーチを伴う変動パターンPB3-3又はPB2-3である場合のプレゼント画像を表示するタイミングを示している。図38(A)に示すように、t=0にて特別図柄の可変表示を開始する。そして、1回目の再変動、2回目の再変動が終わり、3回目の再変動が開始される直前の時間であるt=T1(25秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了する。この有効期間中には、例えば図42(B)に示すように遊技者へプッシュボタン31Bの操作を促すためのボタン図柄を画像表示装置5に表示する。そして、有効期間中に遊技者によるプッシュボタン31Bの操作があったときや、有効期間を経過したときに、1つ目のプレゼント画像として「擬似連」を表示する。次に、スーパーリーチAのリーチ演出が開始される直前の時間であるt=T2(35秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了する。有効期間中に遊技者によるプッシュボタン31Bの操作があったときや、有効期間を経過したときに、2つ目のプレゼント画像として「スーパーリーチ」を表示する。次いで、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄が停止表示される直前の時間であるt=T3(65秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了する。有効期間中に遊技者によるプッシュボタン31Bの操作があったときや、有効期間を経過したときに、3つ目のプレゼント画像として「チャンス」、「キャラクタA」及び「キャラクタB」のいずれかを表示する。
【0308】
図38(B)は、スーパーリーチAのみを伴う変動パターンPA3-2又はPA2-2である場合のプレゼント画像を表示するタイミングを示している。図38(B)に示すように、t=0にて特別図柄の可変表示を開始する。そして、スーパーリーチAのリーチ演出が開始される直前の時間であるt=T1(10秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了する。有効期間中に遊技者によるプッシュボタン31Bの操作があったときや、有効期間を経過したときに、1つ目のプレゼント画像として「スーパーリーチ」を表示する。次に、スーパーリーチAのリーチ演出中の時間であるt=T2(25秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了する。有効期間中に遊技者によるプッシュボタン31Bの操作があったときや、有効期間を経過したときに、2つ目のプレゼント画像として「チャンス」、「キャラクタA」及び「キャラクタB」のいずれかを表示する。次いで、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄が停止表示される直前の時間であるt=T3(40秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了する。有効期間中に遊技者によるプッシュボタン31Bの操作があったときや、有効期間を経過したときに、3つ目のプレゼント画像として「チャンス」、「キャラクタA」及び「キャラクタB」のいずれかを表示する。
【0309】
図38(C)は、スーパーリーチBのみを伴う変動パターンPA3-3又はPA2-3である場合のプレゼント画像を表示するタイミングを示している。図38(C)に示すように、t=0にて特別図柄の可変表示を開始する。そして、t=T1(12秒)、t=T2(30秒)、及び、t=T3(40秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間がそれぞれ開始され、2秒後に有効期間がそれぞれ終了する。有効期間中に遊技者によるプッシュボタン31Bの操作があったときや、有効期間を経過したときに、1つ目、2つ目、又は、3つ目のプレゼント画像を表示する。
・・・
【0311】
次に、第1プレゼント演出が実行されたときの主な演出画面を図39?図41を参照して説明する。なお、ターゲットの可変表示の変動パターンが、擬似連及びスーパーリーチを伴う変動パターンPB3-3又はPB2-3であり、2つのプレゼントボックス画像を表示する場合について説明する。
【0312】
この実施の形態では、一例として、図39(A)に示すように画像表示装置5にキャラクタCHが常時表示されている。飾り図柄の可変表示が開始されてから所定時間(この実施の形態では1秒)経過すると、図39(B)に示すようにプレゼントボックスPBを持った状態のキャラクタCHが表示されるとともに、「プレゼントあげるよ!」といった画像が表示される。ストック表示タイマによる計測時間が経過すると、図39(C)に示すようにキャラクタCHが持っているプレゼントボックスPBが、ストック表示領域PBHに移動する。そして、図39(D)に示すように確定飾り図柄が停止表示される。次いで、図40(A)に示すように始動入賞記憶表示エリア5Hに表示されている保留表示図柄5Zが1つ消去されるとともに次の飾り図柄の可変表示が開始される。そして、所定時間経過すると、図40(B)に示すようにプレゼントボックスPBを持った状態のキャラクタCHが表示されるとともに、「プレゼントあげるよ!」といった画像が表示される。ストック表示タイマによる計測時間が経過すると、図40(C)に示すようにキャラクタCHが持っているプレゼントボックスPBが、ストック表示領域PBHに移動する。これによりストック表示領域PBHには2つのプレゼントボックスPBが表示される。このように飾り図柄の可変表示毎にプレゼントボックス画像を1つずつ表示していくので、図40(B)?(D)、図41(A)?(B)に示すように最終的に2つのプレゼントボックス画像が同時に表示される。なお、プレゼントボックス画像を最大3つまで表示する場合には、最終的に3つのプレゼントボックス画像が同時に表示されることになる。そして、図40(D)に示すように確定飾り図柄が停止表示される。」

【図38】




【図39】




【図40】




「【0313】
図41(A)に示すようにターゲットである飾り図柄の可変表示が開始され、開封タイマによる計測時間が経過すると、図41(B)に示すように画像表示装置5にボタン図柄が表示される。遊技者によるプッシュボタン31Bの操作があったり、プッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間を経過したりしたときには、図41(C)に示すようにプレゼント画像として「擬似連」が表示される。この「擬似連」のプレゼント画像が表示されることによって、擬似連の可変表示演出が実行されることが示唆される。その後、図41(D)に示すように擬似連チャンス目を構成する飾り図柄が仮停止表示され、図41(E)に示すように擬似連の可変表示演出における再変動が行われる。そして、開封タイマによる計測時間が経過すると、図41(F)に示すように画像表示装置5にボタン図柄が再度表示される。遊技者によるプッシュボタン31Bの操作があったり、プッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間を経過したりしたときには、図41(G)に示すようにプレゼント画像として「スーパーリーチ」が表示される。この「スーパーリーチ」のプレゼント画像が表示されることによって、スーパーリーチのリーチ演出が実行されることが示唆される。その後、図41(H)に示すようにスーパーリーチAのリーチ演出が開始される。」

【図41】




キ 「【0324】
上記実施の形態に係るパチンコ遊技機1によれば、例えば第1プレゼント演出において3つのプレゼントボックス画像を同時に表示した場合、変動パターンが擬似連及びスーパーリーチを伴う変動パターンPB3-3又はPB2-3であれば、図38(A)に示すようにターゲットの可変表示開始から25秒後、35秒後、65秒後といったタイミングでプレゼントボックス画像をプレゼント画像に変化させる。また、第2プレゼント演出において3つのプレゼントボックス画像を同時に表示した場合、変動パターンが擬似連及びスーパーリーチを伴う変動パターンPB3-3又はPB2-3であれば、可変表示開始から25秒後、35秒後、65秒後といったタイミングでプレゼントボックス画像をプレゼント画像に変化させる。このように可変表示中の異なるタイミングで変化させることで、プレゼントボックス画像をプレゼント画像に変化させる演出にメリハリをつけることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
・・・
【0330】
例えば、先読み予告として保留表示予告を実行してもよい。保留表示予告は、保留記憶表示によって表示している保留表示図柄のうち、予告対象(ターゲット)となる可変表示に対応する保留表示図柄を、例えば丸印といった通常態様の保留表示図柄から、例えば、星印といった特定態様の保留表示図柄に変更することによって、その変更した保留表示図柄に対応する可変表示(予告対象の可変表示)において「大当り」となる可能性などを示唆する演出である。なお、保留表示予告の予告対象となるための条件は、上記実施の形態における第1プレゼント演出の予告対象となるための条件と同じ条件であってもよいし、異なる条件であってもよい。一例として、保留表示予告の予告対象となるための条件を、可変表示結果が大当りになることとすればよい。
・・・
【0336】
上記実施の形態においては、図22や図27のプレゼント決定テーブルに示すように、プレゼントを、「チャンス」、「キャラクタA」及び「キャラクタB」としたが、プレゼントはこれらのものに限定されない。プレゼントを、例えば、「アツイ」や「激アツ」などとしてもよい。図21や図26のプレゼントの設定例に示すように、プレゼントを、「擬似連」及び「スーパーリーチ」としたが、プレゼントはこれらのものに限定されない。プレゼントを、例えば、「擬似連1回」、「擬似連2回」、「擬似連3回」などとし、擬似連の可変表示演出における再変動の回数に対応して、各再変動の直前のタイミングでプレゼント画像を表示するようにしてもよい。また、プレゼントを、例えば、「ノーマルリーチ」、「スーパーリーチA」、「スーパーリーチB」などとしてもよく、擬似連の可変表示演出やリーチ演出以外の演出を示唆する態様(例えば、予告演出としてボタン演出を示唆する場合には「ボタン」など)としてもよい。また、第1プレゼント演出におけるプレゼント画像又は第2プレゼント演出におけるプレゼント画像に、共通しないプレゼント画像を含めてもよい。」

ク 図41(A)には、ストック表示領域PBHにプレゼントボックスPBが2つ表示された態様が看取できる。
また、図41(C)には、ストック表示領域PBHのプレゼントボックスPBが1つ、ストック表示領域PBHの外に移動し、プレゼントボックスが開いてプレゼント画像として「擬似連」が表示された態様が看取できる。
また、図41(G)には、ストック表示領域PBHのプレゼントボックスPBが1つ、ストック表示領域PBHの外に移動し、プレゼントボックスが開いてプレゼント画像として「スーパーリーチ」が表示されて、ストック表示領域PBHからプレゼントボックスPBがなくなる態様が看取できる。
また、図41(H)には、プレゼント画像としての「スーパーリーチ」が消えてリーチ演出が開始された態様を看取できる。

そして、上記記載事項ア?キ、及び、図面から看て取ることができる事項クを総合すると、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?hは、本願補正発明のA?Hに対応させて当審にて付与した。また、丸括弧内に示された段落番号は、引用文献における引用箇所を示す。)。

(引用発明)
「a パチンコ遊技機1は、遊技盤2と、遊技機用枠3とから構成され(【0028】)、
遊技盤2には、画像表示装置5が設けられ(【0031】)、
画像表示装置5の画面上には、始動入賞記憶表示エリア5Hが配置され、
特図ゲームに対応した可変表示の保留は、第1始動入賞口や第2始動入賞口に、遊技球が進入することによる始動入賞に基づいて発生し(【0034】)、
始動入賞記憶表示エリア5Hでは、特図ゲームに対応した可変表示の保留数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示(「保留表示」)が行われ(【0034】)、
第1始動入賞口及び第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生した保留記憶表示を丸型の表示とし(【0035】)、

b 画像表示装置5の画面上には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアが配置され(【0032】)、
特図ゲームにおいて第1特図の変動と第2特図の変動のうち、いずれかが開始されることに対応して、各飾り図柄表示エリアにおいて飾り図柄の変動が開始され(【0032】)、
第1特図を用いた特図ゲームの実行が開始されるときには、第1特図保留記憶数が1減算(デクリメント)され、第2特図を用いた特図ゲームの実行が開始されるときには、第2特図保留記憶数が1減算(デクリメント)され(【0036】)、

cdf 画像表示装置5の表示領域に設けられたストック表示領域にプレゼントボックス画像をストック表示し(【0284】)、先読み予告演出として、予告対象である可変表示の変動パターンや可変表示結果に基づいて、複数回実行される飾り図柄の可変表示に亘ってプレゼントボックスPB画像を表示し(【0100】)、予告対象の可変表示が実行される前に実行される可変表示において、可変表示毎にプレゼントボックスPB画像を1つずつ、最大で3つまで表示していき、予告対象の可変表示の実行中に、表示された1?3つのプレゼントボックスPB画像を異なるタイミングで、プレゼント画像に変化させる、第1プレゼント演出を実行するか否かを演出制御用CPU120により決定し(【0100】、【0127】)、
演出制御用CPU120は、第1プレゼント演出を実行するための第1プレゼント演出動作制御処理を行い(【0282】)、
変動パターン種別が、擬似連及びスーパーリーチを伴う変動パターンが含まれる変動パターン種別である場合、最大プレゼント数Pmaxに対応してプレゼント1?3のプレゼント内容が予め定められ(【0224】、図21)、
最大プレゼント数Pmaxが3の場合、プレゼント1は「擬似連」、プレゼント2は「スーパーリーチ」となり、プレゼント3は「チャンス」、「キャラクタA」及び「キャラクタB」のいずれかとなり(【0225】、【0307】)、
最大プレゼント数Pmaxが2の場合、プレゼント1は「擬似連」、プレゼント2は「スーパーリーチ」となり(【0225】)、
最大プレゼント数Pmaxが1の場合、プレゼント1は「擬似連」となり(【0225】)、
「スーパーリーチ」のプレゼント画像が表示されることによって、スーパーリーチのリーチ演出が実行されることが示唆され、その後、リーチ演出が開始され(【0313】、図41(H))、
ターゲットの可変表示の変動パターンが、擬似連及びスーパーリーチを伴う変動パターンで2つのプレゼントボックスPB画像を表示する場合の第1プレゼント演出では(【0311】)、
飾り図柄の可変表示が開始されてから、プレゼントボックスPBを持った状態のキャラクタCHが表示されるとともに、「プレゼントあげるよ!」といった画像が表示され(図39(B))、キャラクタCHが持っているプレゼントボックスPBが、ストック表示領域PBHに移動し(図39(C))、確定飾り図柄が停止表示され(図39(D)、【0312】)、
飾り図柄の可変表示毎にプレゼントボックスPB画像を1つずつ表示していき、確定飾り図柄が停止表示され(図40(D)、【0312】)、
ターゲットである飾り図柄の可変表示が開始されストック表示領域PBHにプレゼントボックスPBが表示され(図41(A))、開封タイマによる計測時間が経過し、プッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間を経過したときには、ストック表示領域PBHのプレゼントボックスPBが1つ、ストック表示領域PBHの外に移動し、プレゼント画像として「擬似連」が表示され、(【0313】、図41(C))、
その後、擬似連の可変表示演出における再変動が行われ(図41(D)、(E))、開封タイマによる計測時間が経過し(図41(F))、プッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間を経過したときには、ストック表示領域PBHのプレゼントボックスPBが1つ、ストック表示領域PBHの外に移動しプレゼント画像として「スーパーリーチ」が表示されて、ストック表示領域PBHからプレゼントボックスPBがなくなり(【0313】、図41(G))、
その後、プレゼント画像としての「スーパーリーチ」が消えてリーチ演出が開始され(【0314】、図41(H))、

e 先読み予告として、保留記憶表示によって表示している保留表示図柄のうち、予告対象(ターゲット)となる可変表示に対応する保留表示図柄を、丸印といった通常態様の保留表示図柄から、星印といった特定態様の保留表示図柄に変更することによって、その変更した保留表示図柄に対応する可変表示(予告対象の可変表示)において「大当り」となる可能性などを示唆する演出である、保留表示予告を実行してもよく(【0330】)、
保留表示予告の予告対象となるための条件は、第1プレゼント演出の予告対象となるための条件と異なる条件であってもよく(【0330】)、

g t=0にて特別図柄の可変表示を開始し、3回目の再変動が開始される直前の時間であるt=T1(25秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了し、次に、スーパーリーチAのリーチ演出が開始される直前の時間であるt=T2(35秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了し、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄が停止表示される直前の時間であるt=T3(65秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了し、擬似連及びスーパーリーチを伴う変動パターンである場合のプレゼント画像を表示するタイミングは有効期間中に遊技者によるプッシュボタンの操作があったときや、有効期間を経過したときである(【0307】、図38(A))、

h パチンコ遊技機1(【0028】)。」

(5) 対比
本願補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する(対比の見出しとしての(a)?(h)は、引用発明の分説構成と対応させた。)。

(a) 引用発明の構成aの、「第1始動入賞口及び第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)すること」、「丸型の表示と」された「保留記憶表示(「保留表示」)が行われ」ること、「始動入賞記憶表示エリア5H」は、それぞれ本願補正発明の構成Aの「遊技球が始動口に入球した場合」、「保留玉が表示される」こと、「第一表示領域」に相当する。
また、引用発明において、「始動入賞記憶表示エリア5H」(第一表示領域)「が配置され」るのは、「画像表示装置5の画面上」であり、当該「画像表示装置5」は、「パチンコ遊技機1」を構成する「遊技盤2」に「設けられ」たものであるから、「始動入賞記憶表示エリア5H」(第一表示領域)を備えるのは、パチンコ遊技機である。
そうすると、引用発明の構成aにおいて、「特図ゲームに対応した可変表示の保留数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示(「保留表示」)が行われ、」「第1始動入賞口及び第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生した保留記憶表示を丸型の表示と」する「始動入賞記憶表示エリア5Hが配置され」ることは、本願補正発明の構成Aの「遊技球が始動口に入球した場合の少なくとも一部において、保留玉が表示される第一表示領域と、」「を備え」ることに相当する。
よって、引用発明における構成aは、本願補正発明における構成Aに相当する。

(b) 引用発明の構成bの「飾り図柄表示エリア」は、本願補正発明の構成Bの「第二表示領域」に相当する。
また、引用発明の構成aによれば、「保留記憶表示(「保留表示」)」は「可変表示の保留数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する」ものなのだから、引用発明の構成bにおいて「第1特図保留記憶数が1減算(デクリメント)され」、又は「第2特図保留記憶数が1減算(デクリメント)され」れば、同構成aの「丸型の表示と」された「保留記憶表示(「保留表示」)」(保留玉)も1つ消失するものである。よって、引用発明の構成bの「第1特図保留記憶数が1減算(デクリメント)され」たこと、及び「第2特図保留記憶数が1減算(デクリメント)され」たことは、いずれも本願補正発明の構成Bの「第一表示領域に表示された前記保留玉のうち一つを消失させる」ことに相当する。
そうすると、引用発明の構成bにおいて、「第1特図を用いた特図ゲームの実行が開始されるときには、第1特図保留記憶数が1減算(デクリメント)され、第2特図を用いた特図ゲームの実行が開始されるときには、第2特図保留記憶数が1減算(デクリメント)され、」「第1特図の変動と第2特図の変動のうち、いずれかが開始されることに対応して、」「飾り図柄の変動が開始され」る「飾り図柄表示エリアが配置され」ることは、本願補正発明の構成Bの
「前記第一表示領域に表示された前記保留玉のうち一つを消失させる」「ことを契機として演出図柄の変動が表示される第二表示領域と、」「を備え」ることに相当する。
よって、引用発明における構成bは、本願補正発明における構成Bに相当する。

(c) 引用発明の構成cdfの「プレゼントボックスPB」は、本願補正発明の構成Cの「保留玉とは別の表示として視認される演出アイコン」に相当する。
また、引用発明の構成cdfの「予告対象の可変表示の実行」がされることは、本願補正発明の構成Cの「演出図柄の変動が表示」されることに相当することから、引用発明の構成cdfの「予告対象の可変表示の実行中に、」「1?3つのプレゼントボックスPB画像」を「表示」することは、「表示された1?3つのプレゼントボックスPB画像」については「プレゼント画像に変化させ」て、「その後、リーチ演出が開始され」ることからして、「予告対象の可変表示の実行」(演出図柄の変動の表示)の一部の期間であることから、本願補正発明の構成Cの「演出図柄の変動が表示される場合の一部」に相当する。
したがって、引用発明の構成cdfの「予告対象の可変表示の実行中に、」「1?3つのプレゼントボックスPB画像」を「表示」することは、本願補正発明の構成Cの「演出図柄の変動が表示される場合の一部において、前記保留玉とは別の表示として視認される演出アイコンを表示させる」ことに相当する。
よって、引用発明における構成cdfは、本願補正発明における構成Cに相当する。

なお、上記説示は、本願補正発明の構成Cの「演出図柄の変動が表示される場合の一部」との事項を、「演出図柄の変動が表示される場合」の変動表示中での一部の期間のことを指すものとしてしたものであるが、仮に、本願の明細書の【0034】、【0061】、【0125】等の記載を踏まえ、本願補正発明の構成Cの「演出図柄の変動が表示される場合の一部」とは、「演出図柄の変動が表示される場合」の中での一部の場合(割合)のことを指していると解して対比をする。
すると、引用発明の構成cdfの「プレゼントボックスPBを表示」「させる、第1プレゼント演出」は、
「先読み予告演出として予告対象である可変表示の変動パターンや可変表示結果に基づいて、」「実行され」るものであって、「演出制御用CPU120により、第1プレゼント演出を実行するか否かを決定」するものである。そうすると、引用発明の構成cdfにおいて「プレゼントボックスPBを表示」すること(前記保留玉とは別の表示として視認される演出アイコンを表示させること)は、引用発明の構成cdfにおける「飾り図柄の可変表示」(本願補正発明の構成Dの「演出図柄の変動が表示される場合」に相当)の中での一部の場合に実行されるものといえるから、引用発明の構成cdfにおいて、「先読み予告演出として予告対象である可変表示の変動パターンや可変表示結果に基づいて、複数回実行される飾り図柄の可変表示に亘って」「表示」する「プレゼントボックス画像をストック表示」する「ストック表示領域」は、本願補正発明の構成Cの「前記演出図柄の変動が表示される場合の一部において、前記保留玉とは別の表示として視認される演出アイコンを表示させる第三表示領域」に相当する。
してみると、仮に上記解釈をしても、引用発明における構成cdfは、本願補正発明における構成Cに相当する。

(d) 引用発明の構成cdfの「プレゼントボックスPBを持った状態のキャラクタCHが表示されるとともに、「プレゼントあげるよ!」といった画像が表示され、」「ターゲットの可変表示の変動パターンが、擬似連及びスーパーリーチを伴う変動パターンで」「ターゲットである飾り図柄の可変表示が開始されストック表示領域PBHにプレゼントボックスPBが表示され」ることは、本願補正発明の構成Dの「前記第三表示領域に前記演出アイコンを表示させることを少なくとも含む前演出を実行」することに相当する。
また、引用発明の構成cdfの「ストック表示領域PBHからプレゼントボックスPBがなくな」ることは、本願補正発明の構成Dの「前記第三表示領域から前記演出アイコンを消失させること」に相当するとともに、引用発明の構成cdfの「ストック表示領域PBHのプレゼントボックスPBが1つ、ストック表示領域PBHの外に移動し」てから「ストック表示領域PBHからプレゼントボックスPBがなくな」り、「プレゼント画像」「が表示されて」「その後、プレゼント画像」「が消え」ることは、本願補正発明の構成Dの、「前記第三表示領域から前記演出アイコンを消失させることを少なくとも含む後演出」に相当する。
また、引用発明の構成cdfの「ターゲットである飾り図柄の可変表示が開始されストック表示領域PBHにプレゼントボックスPBが表示され」た後に「プッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間を経過したりしたとき」から、「その後、プレゼント画像」「が消え」るまでは、本願補正発明の構成Dの「前演出が行われた遊技より後に実行される前記演出図柄の変動の実行期間に含まれる特定期間」に相当する。
また、引用発明の構成cdfでは、「ターゲットの可変表示の変動パターンが、擬似連及びスーパーリーチを伴う変動パターンで」「ターゲットである飾り図柄の可変表示が開始されストック表示領域PBHにプレゼントボックスPBが表示され」ること(前演出)及び「ストック表示領域PBHのプレゼントボックスPBが1つ、ストック表示領域PBHの外に移動し」、「ストック表示領域PBHのすべてのプレゼントボックスPBがストック表示領域PBHの外に移動して表示され、ストック表示領域PBHからプレゼントボックスPBがなくな」り、「プレゼント画像」「が表示されて」「その後、プレゼント画像」「が消え」ること(後演出)は、「第1プレゼント演出が実行されたとき」の演出なのだから、引用発明の構成cdfにおいて、「第1プレゼント演出を実行するか否かを決定し、」「第1プレゼント演出を実行するための第1プレゼント演出動作制御処理を行」う「演出制御用CPU120」は、本願補正発明の構成Dの「前演出を実行し、」「後演出を実行する演出制御手段」に相当する。
よって、引用発明における構成cdfは、本願補正発明における構成Dに相当する。

(e) 引用発明の構成eの「保留記憶表示によって表示している保留表示図柄のうち、予告対象(ターゲット)となる可変表示に対応する保留表示図柄を、丸印といった通常態様の保留表示図柄から、星印といった特定態様の保留表示図柄に変更する」「保留表示予告」は、本願補正発明の構成Eの「保留玉の変化」に相当する。
そして、引用発明の「保留表示予告を実行してもよ」いとの構成は、「保留表示予告」(保留玉の変化)をさせないことを前提とした上で、「変化させる」態様を許容したものといえる。
また、引用発明の構成eにおいて「保留表示予告を実行」する場合の「保留表示予告の予告対象となるための条件は、第1プレゼント演出の予告対象となるための条件と異なる条件であ」ることから、引用発明の構成cdfの「ターゲットの可変表示の変動パターンが、擬似連及びスーパーリーチを伴う変動パターンPB3-3又はPB2-3で」「ターゲットである飾り図柄の可変表示が開始されストック表示領域PBHにプレゼントボックスPBが表示され」ること(前演出)及び「ストック表示領域PBHのプレゼントボックスPBが1つ、ストック表示領域PBHの外に移動し」、「ストック表示領域PBHのすべてのプレゼントボックスPBがストック表示領域PBHの外に移動して表示され、ストック表示領域PBHからプレゼントボックスPBがなくな」り、「その後、プレゼント画像としての「スーパーリーチ」が消え」ること(後演出)は、いずれも「保留玉の」の態様の「変化に関わらず実行される演出」に相当するものである。
してみると、引用発明における構成cdf、eは、本願補正発明における構成Eに相当する。

(f)ア 引用発明の構成cdfの「「スーパーリーチ」のプレゼント画像が表示されること」ことは、上記(d)を踏まえると本願補正発明の構成cdfの「後演出」の一部であり、引用発明の構成cdfの「リーチ演出が開始され」ることは、本願補正発明の構成Fの「変動している前記演出図柄が」「リーチ状態にな」ることに相当する。
そして、引用発明の構成cdfは、「ストック表示領域PBHのプレゼントボックスPBが1つ、ストック表示領域PBHの外に移動し」てから「ストック表示領域PBHからプレゼントボックスPBがなくな」り、「プレゼント画像」「が表示されて」「その後、プレゼント画像」「が消え」ること(後演出が実行されること)において「「スーパーリーチ」のプレゼント画像が表示される」場合には、「スーパーリーチのリーチ演出が実行されることが示唆され、その後、リーチ演出が開始され」るのだから、引用発明の構成cdfの、「ストック表示領域PBHのプレゼントボックスPBが1つ、ストック表示領域PBHの外に移動し」てから「ストック表示領域PBHからプレゼントボックスPBがなくな」り、「プレゼント画像」「が表示されて」「その後、プレゼント画像」「が消え」ること(後演出が実行されること)において「「スーパーリーチ」のプレゼント画像が表示されることによって、スーパーリーチのリーチ演出が実行されることが示唆され、その後、リーチ演出が開始され」ることは、本願補正発明の構成Fの「変動している前記演出図柄が当該後演出に基づいてリーチ状態にな」ることに相当する。

イ また、引用発明の構成cdfの、「変動パターン種別が、」「スーパーリーチを伴う変動パターンが含まれる」場合の、
・「最大プレゼント数Pmaxが3の場合、プレゼント1は「擬似連」、プレゼント2は「スーパーリーチ」、プレゼント3として「チャンス」、「キャラクタA」及び「キャラクタB」のいずれかを表示」する演出(以下、「プレゼント数3演出」という。)、
・「最大プレゼント数Pmaxが2の場合、プレゼント1は「擬似連」、プレゼント2は「スーパーリーチ」とな」る演出(以下、「プレゼント数2演出」という。)、
・「最大プレゼント数Pmaxが1の場合、プレゼント1は「擬似連」とな」る演出(以下、「プレゼント数1演出」という。)
は、「ストック表示領域PBHのプレゼントボックスPBが1つ、ストック表示領域PBHの外に移動し」てから「ストック表示領域PBHからプレゼントボックスPBがなくな」り、「プレゼント画像」「が表示されて」「その後、プレゼント画像」「が消え」る演出(後演出)として実行される演出であるから、いずれも本願補正発明の構成Fの「後演出」に相当するものである。
上記プレゼント数1演出乃至プレゼント数3演出のうち、プレゼント数2演出及びプレゼント数3演出は、プレゼントとして「スーパーリーチ」を含んでおり、プレゼント数1演出は、プレゼントとして「スーパーリーチ」を含んでいない。
そうすると、引用発明の構成cdfにおけるプレゼント数1乃至3演出は、いずれも本願補正発明の構成Fの「後演出」に相当するものであり、そのうちプレゼント数2演出及びプレゼント数3演出は、プレゼントとして「「スーパーリーチ」を含んでいるから本願補正発明の「変動している前記演出図柄が当該後演出に基づいてリーチ状態にな」る「後演出」に相当するものの、プレゼント数1演出は、プレゼントとして「「スーパーリーチ」を含んでいないから、「変動している前記演出図柄が当該後演出に基づいてリーチ状態にな」る「後演出」ではない。

ウ 上記ア及びイより、引用発明の構成cdfの
「変動パターン種別が、擬似連及びスーパーリーチを伴う変動パターンが含まれる変動パターン種別(CA3-4、CA2-4)である場合、」に「最大プレゼント数Pmaxに対応してプレゼント1?3のプレゼント内容が予め定められ」、
「最大プレゼント数Pmaxが3の場合、プレゼント1は「擬似連」、プレゼント2は「スーパーリーチ」、プレゼント3として「チャンス」、「キャラクタA」及び「キャラクタB」のいずれかを表示し、
最大プレゼント数Pmaxが2の場合、プレゼント1は「擬似連」、プレゼント2は「スーパーリーチ」となり、
最大プレゼント数Pmaxが1の場合、プレゼント1は「擬似連」とな」り、
「「スーパーリーチ」のプレゼント画像が表示されることによって、スーパーリーチのリーチ演出が実行されることが示唆され、その後、スーパーリーチAのリーチ演出が開始され」ることは、本願補正発明の構成Fの「前記後演出が実行される場合の一部において、変動している前記演出図柄が当該後演出に基づいてリーチ状態にな」ることに相当する。
よって、引用発明における構成cdfは、本願補正発明における構成Fに相当する。

(g) 引用発明の構成gでは、「t=T1(25秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了し、」「次に、」「t=T2(35秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了し、」「t=T3(65秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了し、擬似連及びスーパーリーチを伴う変動パターンである場合のプレゼント画像を表示するタイミングは有効期間中に遊技者によるプッシュボタンの操作があったときや、有効期間を経過したときであ」り、引用発明の構成cdfによれば、「プレゼントボックスPB画像」(演出アイコン)が「プレゼント画像に変化」するのだからから、引用発明の構成cdf、gにおける
・「最大プレゼント数Pmaxが3の場合、プレゼント1は「擬似連」、プレゼント2は「スーパーリーチ」、プレゼント3として「チャンス」、「キャラクタA」及び「キャラクタB」のいずれかを表示」する演出(プレゼント数3演出)における、「プレゼント画像を表示するタイミング」である「t=T1(25秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了し、」「次に、」「t=T2(35秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了し、」「t=T3(65秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了する」までの期間(合計42秒)、
・「最大プレゼント数Pmaxが2の場合、プレゼント1は「擬似連」、プレゼント2は「スーパーリーチ」とな」る演出(プレゼント数2演出)における「プレゼント画像を表示するタイミング」である「t=T1(25秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了し、」「次に、」「t=T2(35秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了」するまでの期間(合計12秒)、及び
・「最大プレゼント数Pmaxが1の場合、プレゼント1は「擬似連」とな」る演出(プレゼント数1演出)における「プレゼント画像を表示するタイミング」である「t=T1(25秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了」するまでの期間(合計2秒)は、いずれも本願補正発明の構成Gの「前記後演出を開始してから当該後演出において前記演出アイコンを消失させるまでの期間」に相当する。
よって、引用発明の構成cdf、gと本願補正発明の構成Gは、「前記後演出を開始してから当該後演出において前記演出アイコンを消失させるまでの期間」が所定期間に亘って行われる点において共通する。


(h) 引用発明の構成hの「パチンコ遊技機1」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。
よって、引用発明における構成hは、本願補正発明における構成Hに相当する。

そうすると、本願補正発明と引用発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。
(一致点)
A 遊技球が始動口に入球した場合の少なくとも一部において、保留玉が表示される第一表示領域と、
B 前記第一表示領域に表示された前記保留玉のうち一つを消失させる又は所定の位置に表示させることを契機として演出図柄の変動が表示される第二表示領域と、
C 前記演出図柄の変動が表示される場合の一部において、前記保留玉とは別の表示として視認される演出アイコンを表示させる第三表示領域と、
D 前記第三表示領域に前記演出アイコンを表示させることを少なくとも含む前演出を実行し、前記前演出が行われた遊技より後に実行される前記演出図柄の変動の実行期間に含まれる特定期間において、前記第三表示領域から前記演出アイコンを消失させることを少なくとも含む後演出を実行する演出制御手段と、を備え、
E 前記前演出及び前記後演出は、前記保留玉の変化に関わらず実行される演出であり、
F 前記後演出が実行される場合の一部において、変動している前記演出図柄が当該後演出に基づいてリーチ状態になり、
G′ 前記後演出を開始してから当該後演出において前記演出アイコンを消失させるまでの期間が所定期間に亘って行われる
H 遊技機。」

(相違点)(構成G)
本願補正発明は、「後演出を開始してから当該後演出において前記演出アイコンを消失させるまでの期間の長さに応じて、当該後演出と共に実行される前記演出図柄の変動の結果として、大当りの当選が報知される期待度が変化する」のに対し、引用発明の
・「最大プレゼント数Pmaxが3の場合、プレゼント1は「擬似連」、プレゼント2は「スーパーリーチ」、プレゼント3として「チャンス」、「キャラクタA」及び「キャラクタB」のいずれかを表示」する演出(プレゼント数3演出)における、「プレゼント画像を表示するタイミング」である「t=T1(25秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了し、」「次に、」「t=T2(35秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了し、」「t=T3(65秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了する」までの期間(合計42秒)
・「最大プレゼント数Pmaxが2の場合、プレゼント1は「擬似連」、プレゼント2は「スーパーリーチ」とな」る演出(プレゼント数2演出)における「プレゼント画像を表示するタイミング」である「t=T1(25秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了し、」「次に、」「t=T2(35秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了」するまでの期間(合計12秒)、及び
・「最大プレゼント数Pmaxが1の場合、プレゼント1は「擬似連」とな」る演出(プレゼント数1演出)における「プレゼント画像を表示するタイミング」である「t=T1(25秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了」するまでの期間(合計2秒)
(いずれも、後演出を開始してから当該後演出において前記演出アイコンを消失させるまでの期間の長さ)は、それに応じて、当該後演出と共に実行される前記演出図柄の変動の結果として、大当りの当選が報知される期待度が変化するものではない点。


相違点の検討
演出図柄の変動中に行われる特殊演出において、演出を開始してから演出を終了するまでの期間の長さに応じて、大当りの当選が報知される期待度が変化することは、例えば特開2014-183939号公報(以下、「周知例1」という。)(特に【0089】の「飾り図柄の可変表示中には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rそれぞれの各飾り図柄が変動している期間中に、・・・トンネルに突入した態様の画像が表示される演出(トンネル突入演出)が行われることがある。」、及び【0146】の「トンネル突入演出の時間が長いほど、大当り期待度が高くなる。」等の記載を参照。)や、特開2016-2424号公報(以下、「周知例2」という。)(特に【0409】の「特殊演出は、・・・たとえば、画面をブラックアウトする態様により実行される可能性がある特定演出を予告するブラックアウト演出であってもよいし、実行される可能性がある特定演出を段階的に遊技者に予告するステップアップ演出であってもよいし、実行される可能性がある特定演出をムービーで遊技者に予告するムービー演出であってもよく」、【0418】の「たとえば、特殊演出の実行時間が長いほど大当りになり易いようにしてもよい。」等の記載を参照。)や、特開2016-2426号公報(以下、「周知例3」という。)(特に【0409】の「特殊演出は、・・・たとえば、画面をブラックアウトする態様により実行される可能性がある特定演出を予告するブラックアウト演出であってもよいし、実行される可能性がある特定演出を段階的に遊技者に予告するステップアップ演出であってもよいし、実行される可能性がある特定演出をムービーで遊技者に予告するムービー演出であってもよく」、及び【0418】の「たとえば、特殊演出の実行時間が長いほど大当りになり易いようにしてもよい。」との記載等を参照。)にみられるように従来より周知の技術である。
そして、引用発明における「ストック表示領域PBHのプレゼントボックスPBが1つ、ストック表示領域PBHの外に移動し」てから「ストック表示領域PBHからプレゼントボックスPBがなくな」り、「プレゼント画像」「が表示されて」「その後、プレゼント画像」「が消え」る演出(本願補正発明の「後演出」に相当)と周知の特殊演出は、いずれも所定期間に亘る演出である点で共通するとともに、引用発明と周知の特殊演出は、いずれも「興趣の向上」を課題とするものである(引用文献については、【0018】の「このような構成によれば、・・・遊技の興趣を向上させることができる」との記載を参照。周知例1については【0006】の「・・・遊技興趣を向上させることができる遊技機を提供することを目的とする。」との記載や【0008】の「遊技興趣が向上する。」との記載を参照。周知例2については【0008】の「本発明は、・・・興趣を高めることができる遊技機を提供することを目的とする。」との記載や【0017】の「特殊演出の興趣を向上させることができる。」との記載を参照。周知例3については【0008】の「興趣を高めることができる遊技機を提供することを目的とする。」との記載や【0017】の「特殊演出の興趣を向上させることができる。」との記載を参照。)。
さらに、引用文献には、引用発明における「ストック表示領域PBHのプレゼントボックスPBが1つ、ストック表示領域PBHの外に移動し」てから「ストック表示領域PBHからプレゼントボックスPBがなくな」り、「プレゼント画像」「が表示されて」「その後、プレゼント画像」「が消え」る演出(後演出)において、演出内容によって大当りの当選が報知される期待度を変化させることが記載されている(引用文献の【0229】の「・・・これにより、プレゼント内容における大当りに対する信頼度は、「チャンス」が最も高く、次に「キャラクタA」が高く、「キャラクタB」が最も低い。」との記載を参照。)
これらのことを考慮すると、引用発明に上記周知の技術を適用して、引用発明の構成cdf、gにおいて、
・「最大プレゼント数Pmaxが3の場合」における「プレゼント画像を表示するタイミング」である「t=T1(25秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了し、」「次に、」「t=T2(35秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了し、」「t=T3(65秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了する」までの期間(合計42秒)、
・「最大プレゼント数Pmaxが2の場合」における「プレゼント画像を表示するタイミング」である「t=T1(25秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了し、」「次に、」「t=T2(35秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了」するまでの期間(合計12秒)、及び
・「最大プレゼント数Pmaxが1の場合」における「プレゼント画像を表示するタイミング」である「t=T1(25秒)にてプッシュボタン31Bへの操作を受け付ける有効期間が開始され、その2秒後に有効期間が終了」するまでの期間(合計2秒)
(本願補正発明の「後演出を開始してから当該後演出において前記演出アイコンを消失させるまでの期間」に相当)の長さに応じて、当該後演出と共に実行される前記演出図柄の変動の結果として、大当りの当選が報知される期待度が変化するようにし、もって上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到することである。

(7) 審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書の「3.本願発明が特許されるべき理由」の「
3-2.本件補正によって拒絶理由を解消したことについて」において、
「本件補正によって、請求項1に係る発明における「前記前演出及び前記後演出は、前記保留玉の変化に関わらず実行される演出」であり、「前記後演出を開始してから当該後演出において前記演出アイコンを消失させるまでの期間の長さに応じて、当該後演出と共に実行される前記演出図柄の変動の結果として、大当りの当選が報知される期待度が変化する」ことが明らかになりました。以下、前段に述べた発明特定事項を発明特定事項(イ)と称し、後段に述べた発明特定事項を発明特定事項(ロ)と称します。
・・・
しかしながら、引用文献1には発明特定事項(ロ)については、開示も示唆もございません。」
と主張する。
しかし、本願補正発明における審判請求人の主張する構成は、上記のとおり引用発明及び周知の技術から、当業者が容易に想到する構成であって、審判請求人の上記主張は採用することができない。

(6) まとめ
以上のように、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

4 補正の却下の決定についてのむすび
上記「2 補正の適否について」より、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないので、同法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。
仮に、本件補正が特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしているとしても、上記「3 独立特許要件について」より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1-3に係る発明のうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成30年11月28日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A?Hは、本願補正発明の分説を踏まえ、本願発明を分説するために当審で付した)。

(本願発明)
「【請求項1】
A 遊技球が始動口に入球した場合の少なくとも一部において、保留玉が表示される第一表示領域と、
B 前記第一表示領域に表示された前記保留玉のうち一つを消失させる又は所定の位置に表示させることを契機として演出図柄の変動が表示される第二表示領域と、
C 前記演出図柄の変動が表示される場合の一部において、前記保留玉とは別の表示として視認される演出アイコンを表示させる第三表示領域と、
D 前記第三表示領域に前記演出アイコンを表示させることを少なくとも含む前演出を実行し、前記前演出が行われた遊技より後に実行される前記演出図柄の変動の実行期間に含まれる特定期間において、前記第三表示領域から前記演出アイコンを消失させることを少なくとも含む後演出を実行する演出制御手段と、を備え、
F 前記後演出が実行される場合の一部において、変動している前記演出図柄が当該後演出に基づいてリーチ状態になる
H 遊技機。」

2 拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、
1 この出願の請求項1-3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、
2 この出願の請求項1-3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献 特開2015-92940号公報
(上記「3 独立特許要件について」「(4) 引用文献に記載された事項
」にて示した引用文献と同じ)
というものである。

3 引用文献に記載された事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献の記載事項及び引用発明については、上記第2 「3 独立特許要件について」「(4) 引用文献に記載された事項」に示したとおりである。

4 対比
本願発明は、本願補正発明の構成Fの「前演出」及び「後演出」についての、「前記前演出及び前記後演出は、前記保留玉の変化に関わらず実行される演出であ」るとの限定を外すとともに、本願補正発明の「後演出」について、本願補正発明の構成Gの「前記後演出を開始してから当該後演出において前記演出アイコンを消失させるまでの期間の長さに応じて、当該後演出と共に実行される前記演出図柄の変動の結果として、大当りの当選が報知される期待度が変化する」との限定を外したものである。
一方、本願補正発明と引用発明は、「2 補正の適否について」「(5) 対比」にて説示のとおり、上記構成Gを除いて一致しているのだから、本願補正発明から構成F及び構成Gを外した本願発明は、引用発明である。

5 むすび
以上のとおり、本願発明は引用発明であり特許法第29条第1項第3号に該当するものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-07-22 
結審通知日 2020-07-28 
審決日 2020-08-18 
出願番号 特願2016-225105(P2016-225105)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 木村 隆一道祖土 新吾  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 石井 哲
伊藤 昌哉
発明の名称 遊技機  
代理人 右田 俊介  

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