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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B32B 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 B32B 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 B32B |
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管理番号 | 1366940 |
異議申立番号 | 異議2019-700046 |
総通号数 | 251 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-11-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-01-24 |
確定日 | 2020-08-18 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6362620号発明「使い捨てパウチの壁面のためのコンタクト層、コア層、及び外層を含む多層膜」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6362620号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-18〕について訂正することを認める。 特許第6362620号の請求項1?18に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6362620号(以下「本件特許」という。)の請求項1?18に係る特許についての出願は、平成26年1月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年1月18日(EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成30年7月6日にその特許権の設定登録(特許掲載公報発日:平成30年7月25日)がされたものであり、その特許について、平成31年1月24日に特許異議申立人高島茂誉(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成31年4月24日付けで取消理由を通知し、その指定期間内である令和元年8月2日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)がされ、令和元年9月7日に申立人より意見書の提出がされ、令和元年11月12日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、その指定期間内である令和2年2月12日に特許権者から意見書が提出され、令和2年4月3日付けで申立人に審尋を通知し、令和2年5月8日に申立人から回答書が提出されたものである。 第2 訂正の請求について 1 訂正の内容 本件訂正請求は、「特許第6362620号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?18について訂正することを求める」ものであり、その訂正の内容は、本件特許に係る願書に添付した特許請求の範囲を、次のように訂正するものである。なお、それぞれの訂正事項について、訂正箇所に下線を付して示す。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「前記コンタクト層が、(A)0.870g/cm^(3)?0.910g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレン及びα-オレフィンの共重合体を単独、又は(B)0.910g/cm^(3)?0.940g/cm^(3)の範囲の密度を有するポリオレフィンとの混合物で含み、」とあるのを、「前記コンタクト層が、(A)0.870g/cm^(3)?0.910g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレン及びα-オレフィンの共重合体と(B)0.910g/cm^(3)?0.940g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレンのホモポリマーとの混合物で含み、」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3に「前記ポリオレフィン(B)が、エチレンのホモポリマー、特にエチレンの低密度ポリマーである、請求項1又は2に記載の多層膜。」とあるのを、「前記エチレンのホモポリマー(B)が、エチレンの低密度ポリマーである、請求項1又は2に記載の多層膜。」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項14に「前記コンタクト層が、γ照射に対して、細胞増殖を減速し若しくは遅らせ得る分解化合物を放出し得る添加剤を0.06wt%以下含有する、請求項1?13の何れか1項に記載の多層膜。」とあるのを、「前記コンタクト層が、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)を0.06wt%以下含有する、請求項1?13の何れか1項に記載の多層膜。」に訂正する。 2 訂正の適否 (1)訂正事項1 訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1の「コンタクト層」について、「(A)0.870g/cm^(3)?0.910g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレン及びα-オレフィンの共重合体を単独、又は(B)0.910g/cm^(3)?0.940g/cm^(3)の範囲の密度を有するポリオレフィンとの混合物」を含むものを、「(A)0.870g/cm^(3)?0.910g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレン及びα-オレフィンの共重合体と(B)0.910g/cm^(3)?0.940g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレンのホモポリマーとの混合物」を含むものに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、訂正事項1の「エチレンのホモポリマー」との事項は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲(以下「本件特許明細書」という。)の請求項3に「前記ポリオレフィン(B)が、エチレンのホモポリマー、特にエチレンの低密度ポリマーである、請求項1又は2に記載の多層膜。」と記載されていることから、訂正事項1は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 さらに、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項3の「ポリオレフィン(B)」について、「エチレンのホモポリマー、特にエチレンの低密度ポリマー」であるものを、「エチレンの低密度ポリマー」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、訂正事項2は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 さらに、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項3 訂正事項3は、当審よりの記載不備に係る取消理由の通知に対応して、特許請求の範囲の請求項14の「γ照射に対して、細胞増殖を減速し若しくは遅らせ得る分解化合物を放出し得る添加剤」を、具体的な添加剤の化合物名を示して「亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)」と訂正するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項3の「亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)」という事項は、本件特許明細書の段落【0029】の「1つの実施形態において、コンタクト層は、γ照射に対して、細胞増殖を減速し若しくは遅らせ得る分解化合物を放出可能な、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)のような添加剤を含まないか、又は限られた量、好ましくは0.10wt%未満、より好ましくは0.07wt%未満含有する」と記載されていることから、訂正事項3は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 さらに、訂正事項3は「γ照射に対して、細胞増殖を減速し若しくは遅らせ得る分解化合物を放出し得る添加剤」が、本件特許明細書の段落【0054】の表1に示された抗酸化剤のいずれかを意味していたと解すると、そのうちの「亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)」に特定するものであるから、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 なお、訂正事項3は、「γ照射に対して、細胞増殖を減速し若しくは遅らせ得る分解化合物を放出し得る添加剤」との事項を削除して、「亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)」との事項を加えるものであるが、「亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)」は、「γ照射に対して、細胞増殖を減速し若しくは遅らせ得る分解化合物を放出し得る」以外の機能を含み得るものであり、また、「亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)」以外の「γ照射に対して、細胞増殖を減速し若しくは遅らせ得る分解化合物を放出し得る添加剤」の含有を排除しないことともなり得るものである。 しかし、「亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)」が「γ照射に対して、細胞増殖を減速し若しくは遅らせ得る分解化合物を放出し得る」以外の機能を有することについて、また、「亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)」以外の「γ照射に対して、細胞増殖を減速し若しくは遅らせ得る分解化合物を放出し得る添加剤」も含有することにより、コンタクト層が「亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)」と併せて「γ照射に対して、細胞増殖を減速し若しくは遅らせ得る分解化合物を放出し得る添加剤」を0.06wt%を超えて含有し得ることについて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるとする証拠はなく、更に、この点について、申立人の審尋により意見を求めたが、格別、証拠を示して回答されなかった。 3 一群の請求項 訂正前の請求項2?18は、訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する、一群の請求項ごとにされたものである。 4 小括 上記のとおり、訂正事項1?3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-18]について訂正することを認める。 第3 特許異議申立てについて 1 本件特許発明 上記のとおり、本件訂正請求は認められるから、本件特許の請求項1?18に係る発明(以下、「本件発明1」?「本件発明18」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?18に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 パウチの製造に用いる多層膜であって、前記多層膜が コンタクト層、 コア層、及び 外層を含み、 前記コンタクト層及び前記コア層が第一の接合層により一体化され、 前記外層及び前記コア層が第二の接合層により一体化され、 前記コンタクト層が、(A)0.870g/cm^(3)?0.910g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレン及びα-オレフィンの共重合体と(B)0.910g/cm^(3)?0.940g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレンのホモポリマーとの混合物で含み、 前記コア層が、(C’)25?48mol%の範囲のエチレンを含有する耐屈曲亀裂性エチレンビニルアルコール共重合体、又は(C)25?48mol%の範囲のエチレンを含有するエチレンビニルアルコール共重合体、及び(D)アイオノマー酸エチレン共重合体の混合物を含み、 前記外層が、(E)0.910g/cm^(3)?0.940g/cm^(3)の範囲の密度を有するポリオレフィンを単独、又は(F)0.870g/cm^(3)?0.910g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレン及びα-オレフィンの共重合体との混合物で含み、 前記第一の接合層及び前記第二の接合層が、互いに独立して、(G)カルボン酸若しくはカルボン酸無水物でグラフト化されたポリオレフィンの共重合体を単独、又は(H)ポリオレフィンの共重合体との混合物で含む多層膜。 【請求項2】 前記エチレン及びα-オレフィンの共重合体(A)が、4?8個の炭素原子を有するポリオレフィンプラストマー、特にメタロセン触媒を利用する処理から生成されたエチレン及び1-オクテンの直鎖状低密度共重合体である、請求項1に記載の多層膜。 【請求項3】 前記エチレンのホモポリマー(B)が、エチレンの低密度ポリマーである、請求項1又は2に記載の多層膜。 【請求項4】 前記エチレンビニルアルコール共重合体(C)が耐屈曲亀裂性である、請求項1?3の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項5】 前記共重合体(D)が、エチレンアイオノマーのアクリル酸共重合体であり、 カルボキシレート基が亜鉛カチオンを伴う、請求項1?4の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項6】 前記ポリオレフィン(E)が、4?8個の炭素原子を有する1以上のオレフィンとエチレンとの共重合体、特にエチレン及びヘキセンの直鎖状低密度共重合体である、請求項1?5の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項7】 前記共重合体(F)が、4?8個の炭素原子を有するポリオレフィンプラストマー、特にメタロセン触媒を利用する処理から生成されたエチレン及び1-オクテンの直鎖状低密度共重合体である、請求項1?6の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項8】 前記共重合体(G)が、無水マレイン酸でグラフト化されたエチレンの共重合体である、請求項1?7の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項9】 前記共重合体(H)が、4?8個の炭素原子を有するポリオレフィンプラストマー、特にメタロセン触媒を利用する処理から生成されたエチレン及び1-オクテンの直鎖状低密度共重合体である、請求項1?8の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項10】 前記コンタクト層が、質量比(B)/(A)が95/5以下、好ましくは5/95?95/5の範囲、より好ましくは0.2?5の範囲、なお一層好ましくは0.2?2の範囲である(A)及び(B)の混合物を含む、請求項1?9の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項11】 前記コア層が、質量比(C)/(D)が95/5?55/45の範囲、好ましくは10?19の範囲、より好ましくは15?19の範囲である、(C)25?48mol%の範囲のエチレンを含有するエチレンビニルアルコール共重合体、及び(D)アイオノマー酸エチレン共重合体の混合物を含む、請求項1?10の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項12】 前記外層が、質量比(E)/(F)が5/95以上、好ましくは5/95?100/0の範囲、より好ましくは1?5の範囲、なお一層好ましくは1?2.5の範囲である(E)及び(F)の混合物を含む、請求項1?11の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項13】 前記第一の接合層及び前記第二の接合層が、互いに独立して、質量比(H)/(G)が95/5以下、好ましくは5/95?95/5の範囲、より好ましくは0.2?5の範囲、なお一層好ましくは0.2?2.5の範囲である(G)及び(H)の混合物を含む、請求項1?12の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項14】 前記コンタクト層が、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)を0.06wt%以下含有する、請求項1?13の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項15】 前記多層膜の任意の層の2つの間に、1つ又は複数の中間層をさらに含む、請求項1?13の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項16】 前記コンタクト層、前記第一の接合層、前記コア層、前記第二の接合層、及び前記外層を共押出する工程を含む、請求項1?15の何れか1項に記載の多層膜の製造方法。 【請求項17】 使い捨てパウチであって、前記使い捨てパウチの壁面が請求項1?15の何れか1項に記載の多層膜を含む使い捨てパウチ。 【請求項18】 請求項17に記載の使い捨てパウチを含むバイオリアクター。」 2 取消理由の概要 本件訂正請求で訂正された請求項1?18に係る特許に対して、令和元年11月12付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 理由2(進歩性)本件特許の請求項1?18に係る発明は、本件特許優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1?18に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 記 <引用文献等一覧> 引用文献1:特開平10-29283号公報 (甲第1号証) 引用文献3:特表2010-527388号公報 (甲第3号証) 引用文献5:特開2003-155059号公報 (甲第5号証) 引用文献7:特開2004-315680号公報 (甲第7号証) 引用文献9:特開2002-310385号公報 (甲第9号証) 引用文献12:特開2011-174017号公報 引用文献13:特開2012-20784号公報 引用文献14:特表2000-505371号公報 引用文献15:特開2008-212142号公報 引用文献16:「住友(登録商標)EPPEの特徴と用途展開」、 住友化学2006(2)、2006年11月30日、 p.12?19 引用文献1、3、5、7及び9は,特許異議申立書に添付された甲第1、3、5、7及び9号証である。 引用文献12?15は、当審の職権調査で発見した文献である。 引用文献16は、申立人の令和元年9月7日の意見書に添付された文献である。 3 当審の判断 以下、理由2(進歩性)について検討する。 (1)本件発明1について ア 引用文献1に記載された事項、引用発明 (ア)「本発明は、種々の物品を包装するために使用可能なヒートシール性(heat sealable)フィルムに関する。」(段落【0001】) (イ)「該第1のポリマーは好ましくは、少なくとも0.925g/ccの密度をもつエチレンポリマー、ポリプロピレン及び/又はプロピレン/エチレンコポリマーである。これらの材料のブレンドを使用してもよい。エチレンコポリマーは好ましくはC^(4)?C^(10)コモノマーを含むエチレン/α-オレフィンコポリマー、より好ましくは線状中密度ポリエチレンである。コア層は高密度ポリエチレンから構成してもよい。少なくとも0.926g/cc、例えば0.927、0.928、0.929及び0.930g/ccの密度をもつエチレンポリマーが挙げられる。少なくとも0.931g/cc、例えば0.935g/ccの密度をもつ材料が好適である。第2のポリマーは好ましくは0.916g/cc未満の密度をもつエチレンポリマーである。0.916g/cc未満の密度をもつエチレンポリマーフィルムは好ましくはC4 ?C10コモノマーを含むエチレン/α-オレフィン、例えば極低密度ポリエチレンである。メタロセン触媒ポリマー等の単一位置触媒ポリマー(single-site catalyzed polymer)を使用してもよい。第2のポリマーに好適な密度は0.915g/cc未満、例えば0.914、0.913、0.912及び0.911g/cc未満である。0.910g/cc未満の密度、例えば0.905、0.904、0.903、0.902、0.901及び0.900g/cc未満、例えば0.890及び0.880g/cc未満の密度が含まれる。第1及び第2のポリマーと場合により併用し得る第3のポリマーはエチレン/不飽和エステルを含み、好ましくはエチレン/ビニルエステルコポリマー(例えばエチレン/ビニルアセテートコポリマー)、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー(例えばエチレン/ブチルアクリレートコポリマー)、又は0.916?0.924g/ccの密度をもつエチレンポリマー(例えば線状低密度ポリエチレン)である。」(段落【0019】?【0021】) (ウ)「 」(段落【0033】) (エ)「PE2=LMDPE,0.935g/ccの密度と2.5%のオクテン-1コモノマー含量をもつエチレン/1-オクテンコポリマー。」(段落【0035】) (オ)「PE11=0.915g/ccの密度と7.5重量%のオクテン-1含量をもつ単一位置触媒エチレン/1-オクテンコポリマー。」(段落【0044】) (カ)「PE12=0.908g/ccの密度と9.5重量%のオクテン-1含量をもつ単一位置触媒エチレン/1-オクテンコポリマー。」(段落【0045】) (キ)「AD2=エチレン/ブテンコポリマー中の無水物グラフトポリオレフィン。」(段落【0049】) (ク)「OB1=エチレン/ビニルアルコールコポリマー(44モル%エチレン)。」(段落【0054】) (ケ)「PA1=ナイロン6,12コポリマー。」(段落【0055】) (コ)「表4は、別の5種の本発明の5層フィルム構造と1種の対照フィルム(C3)を示す。C3はC1と同一の組成及び構造とした。実施例11?15は同時押出し、実施例12のフィルムを実施例11のフィルムよりも高い線量で照射した以外は、各々実施例1?6と同一のA/B/C/B/A構造、厚さ、各層の厚さの比、照射及び延伸度をもつものとした。」(段落【0080】) (サ)「実施例14のフィルムのA層は30%PE2、40%PE11及び30%PE12のブレンドとした。合計配合ブレンドの約6%のスリップ剤と粘着防止剤を配合した。フィルムのB層はAD2とした。フィルムのC層は90%OB1+10%PA1とした。」(段落【0083】?【0086】) 引用文献1の実施例14に着目し、上記記載事項を総合すると、引用文献1には次の引用発明1が記載されていると認められる。 「種々の物品を包装するために使用可能なヒートシール性の5層フィルムであって、 A/B/C/B/A構造をもつものであり、 A層は、30%のPE2(LMDPE、0.935g/ccの密度と2.5%のオクテン-1コモノマー含量をもつエチレン/1-オクテンコポリマー)と、40%のPE11(0.915g/ccの密度と7.5重量%のオクテン-1含量をもつ単一位置触媒エチレン/1-オクテンコポリマー)と、30%のPE12(0.908g/ccの密度と9.5重量%のオクテン-1含量をもつ単一位置触媒エチレン/1-オクテンコポリマー)とのブレンドであり、 B層は、AD2(製造業者Dupontの商品名Bynel^(TM)CXA 4104を材料として使用した、エチレン/ブテンコポリマー中の無水物グラフトポリオレフィン)であり、 C層は、90%のOB1(製造業者Evalcaの商品名E-151を材料として使用した、44モル%エチレンのエチレン/ビニルアルコールコポリマー)と、10%のPA1(ナイロン6、12コポリマー)である、 5層フィルム。」 イ 対比 本件発明1と引用発明1とを対比する。 引用発明1の「PE12(0.908g/ccの密度と9.5重量%のオクテン-1含量をもつ単一位置触媒エチレン/1-オクテンコポリマー)」は、本件発明1の「(A)0.870g/cm^(3)?0.910g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレン及びα-オレフィンの共重合体」又は「(F)0.870g/cm^(3)?0.910g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレン及びα-オレフィンの共重合体」に相当する。^( ) 引用発明1の「PE11(0.915g/ccの密度と7.5重量%のオクテン-1含量をもつ単一位置触媒エチレン/1-オクテンコポリマー)」は、本件発明1の「(E)0.910g/cm^(3)?0.940g/cm^(3)の範囲の密度を有するポリオレフィン」に相当する。 そうすると、両者は相違点1-1?1-4で相違し、その余の点で一致する。 <相違点1-1> 本件発明1は、多層膜が、パウチの製造に用いるものであって、コンタクト層及び外層を含むものであるのに対し、引用発明1は、5層フィルムについて、パウチの製造に用いるものと特定されておらず、コンタクト層及び外層を含むものとも特定されていない点。 <相違点1-2> 本件発明1は、コア層が(C’)25?48mol%の範囲のエチレンを含有する耐屈曲亀裂性エチレンビニルアルコール共重合体を含むのに対し、引用発明1は、C層がOB1(製造業者Evalcaの商品名E-151を材料として使用した、44モル%エチレンのエチレン/ビニルアルコールコポリマー)を含むものの、OB1について耐屈曲亀裂性とは特定されていない点。 <相違点1-3> 本件発明1は、第一の接合層及び第二の接合層が、互いに独立して、(G)カルボン酸若しくはカルボン酸無水物でグラフト化されたポリオレフィンの共重合体を単独で含むのに対し、引用発明1は、B層が、AD2(製造業者Dupontの商品名BynelTMCXA 4104を材料として使用した、エチレン/ブテンコポリマー中の無水物グラフトポリオレフィン)であるものの、無水物がカルボン酸無水物であるとは特定されていない点。 <相違点1-4> コンタクト層が(A)0.870g/cm^(3)?0.910g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレン及びα-オレフィンの共重合体の混合物として含むものとして、本件発明1は、(B)0.910g/cm^(3)?0.940g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレンのホモポリマーを含むのに対し、引用発明1は、30%のPE2(LMDPE、0.935g/ccの密度と2.5%のオクテン-1コモノマー含量をもつエチレン/1-オクテンコポリマー)と、40%のPE11(0.915g/ccの密度と7.5重量%のオクテン-1含量をもつ単一位置触媒エチレン/1-オクテンコポリマー)と、を含む点。 ウ 判断 (ア)相違点1-1について 引用発明1の「A/B/C/B/A構造を持つ」「5層フィルム」は、「種々の物品を包装するために使用可能なヒートシール性(heat sealable)フィルムに関する」(段落【0001】)ものであり、当該フィルムは、「非常に良好なヒートシール性を必要とする最終用途ではフィルム、特にBDF-2050のような熱収縮性材料を使用することが望まし」く、「例えば、発泡ポリスチレントレーに食品を載せて上包みする用途では、インパルスヒートシールを使用することが多い」(段落【0005】)ものである。 一方、本件発明1の「多層膜」は、「細胞培地若しくは細胞培養液を調製、保管、又は運搬するのに使用できる使い捨てパウチの壁面(wall)」(段落【0001】)のためのものである。そして、当該「多層膜」は「コンタクト層」、「コア層」、「外層」を含むものであり、それぞれ「コンタクト層」は、「膜及び生物製剤製品の分解が引き起こされることなく、生物製剤製品と接触でき」(段落【0040】)、「それ自身で密封可能でなければならない」(段落【0041】)もの、「コア層」は「酸素、二酸化炭素のような気体の通過を妨げる」(段落【0063】)もの、「外層」は「高い機械的応力に耐えるのに十分可撓性がなければならないが、製品で満たされる際に、パウチの変形を防ぐために伸縮し過ぎてはならず、すなわち十分に剛性がなければならない」(段落【0079】)ものである。 そのため、例えば発泡ポリスチレントレーに食品を載せて上包みするヒートシール性を必要とする熱収縮性材料を使用する引用発明1の「A/B/C/B/A構造を持つ」「5層フィルム」を、本件発明1の細胞培地若しくは細胞培養液を調製、保管、又は運搬に使用する「コンタクト層」、「コア層」、「外層」を含む「パウチ」の製造に敢えて用いる動機付けの記載も示唆もないし、他にこのことを示す証拠もない。 よって、本件発明1の上記相違点1-1は、引用発明1に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 申立人は、令和2年5月8日の回答書(3.3「ご指摘」に対して)において、甲第12号証(特開2000-272060号公報)、甲第13号証(特開平07-067936号公報)、および甲第14号証(特開平07-304139号公報)を示しつつ「そもそも、ヒートシール性を有する多層フィルムを引用文献1に記載するような上包の蓋材や本件発明のようなパウチに使用することは、それらの間に何ら技術的な障壁はありません。当業者であれば容易に転用可能である。」と主張する。 しかしながら、上記甲第12号証?甲第14号証からしても、引用発明1の「5層フィルム」を、本件発明1の「パウチ」の製造に敢えて用いる動機付けはないし、仮に、引用発明1の「5層フィルム」を、本件発明1の「パウチ」の製造に用いたとしても、引用発明1の「A/B/C/B/A構造」を、本件発明1の細胞培地若しくは細胞培養液を調製、保管、又は運搬に使用するために必須の機能を有した層構造である「コンタクト層」、「コア層」、「外層」にすることは、当業者といえども容易に想到できるとはいえない。 よって、申立人の主張は採用できない。 以上により、本件発明1は、上記相違点1-2?相違点1-4を検討するまでもなく、引用発明1に基いて、当業者が容易になし得たものではない。 (2)本件発明2?18について 本件発明2?18は、本件発明1の発明特定事項を、直接的又は間接的にすべて含むものであるところ、上記(1)のとおり、本件発明1は、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1の発明特定事項をすべて含む本件発明2?18も、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)小活 本件発明1?18は、特許法第29条第2項の規定に違反するものではないから、本件発明1?18に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すべきものではない。 4 平成31年4月24日付け取消理由について 平成31年4月24日付けで特許権者に通知した取消理由は、上記第3の2に示した取消理由のほか、 理由1(新規性)本件特許の請求項1、3?5、7?9、12、16及び17に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、3?5、7?9、12、16及び17に係る特許は,特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 理由2(進歩性)本件特許の請求項1?18に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1?18に係る特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 記 <引用文献等一覧> 引用文献2:特開平11-91045号公報(甲第2号証) 引用文献3:特表2010-527388号公報(甲第3号証) 引用文献5:特開2003-155059号公報(甲第5号証) 引用文献7:特開2004-315680号公報(甲第7号証) 引用文献15:特開2008-212142号公報 引用文献2、3、5及び7は,特許異議申立書に添付された甲第2、3、5及び7号証である。 引用文献15は、当審の職権調査で発見した文献である。 理由3(明確性)本件特許は,特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 請求項14には「前記コンタクト層が、γ照射に対して、細胞増殖を減速し若しくは遅らせ得る分解化合物を放出し得る添加剤を0.06wt%以下含有する」との記載がされているが,この記載が「コンタクト層」をどのように特定しようとするものであるのかが不明確である。請求項14を引用する請求項16及び17についても不明確である。 というものである。 上記理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について検討する。 本件発明1と平成31年4月24日付け取消理由通知にて示した引用発明2とを比較すると、相違点2-1の他に、次の相違点でも相違する。 <相違点2-2> 本件発明1は、コンタクト層が、(A)0.870g/cm^(3)?0.910g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレン及びα-オレフィンの共重合体と(B)0.910g/cm^(3)?0.940g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレンのホモポリマーとの混合物で含むのに対し、引用発明2は、ポリオレフィン層(B)が、分子量分布(Mw/Mn)が1.5、密度0.910g/cm^(3)である低密度ポリエチレン(LLDPE 1)である点。 そして、相違点2-2について検討すると、引用発明2の分子量分布(Mw/Mn)が1.5、密度0.910g/cm^(3)である低密度ポリエチレン(LLDPE 1)であるポリオレフィン層(B)を、本件発明1の(A)0.870g/cm^(3)?0.910g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレン及びα-オレフィンの共重合体と(B)0.910g/cm^(3)?0.940g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレンのホモポリマーとの混合物で含むコンタクト層に換える動機付けの記載も示唆もないし、他にこのことを示す証拠もない。 よって、本件発明1は引用発明2ではないし、また、上記相違点2-2は、引用発明2に基いて、当業者が容易になし得たものでもない。 また、上記理由3の(明確性)についても、「亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)」が「γ照射に対して、細胞増殖を減速し若しくは遅らせ得る分解化合物を放出し得る添加剤」が、本件特許明細書の段落【0054】の表1に示された抗酸化剤のいずれかを意味していたと解すると、その「抗酸化剤」に特定するものであり、また、令和元年8月2日提出の意見書に「添加剤を一切含有しない場合を含むものではありません。すなわち、ごく微量であっても添加剤を含有する場合を含むことを意味するものです。」と記載されている以上、添加物を一切含有していない場合は排除しているものだから、本件発明14は理解し得るものといえる。 したがって、本件発明1?18は、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、及び特許法第36条第6項第2号の何れの規定に違反するものではないから、本件発明1?18に係る特許は、特許法第113条第2号及び第4号に該当せず、取り消すべきものではない。 5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立て理由について (1)甲第1号証による特許法第29条第1項第3号の規定違反について 申立人は、本件発明1?4、6?10、12、および14?17は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであると申し立てている。 しかしながら、上記第3の3で示したとおり、本件発明1は甲第1号証に記載された発明と対比すると相違点を有するものであり、且つ、相違点について当業者が容易に想到しえないものでもあるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものでない。 (2)記載不備に係る申立ての理由 申立人は、本件発明2?3、6?7、9は、「特に」の文言とともに任意付加的事項が記載されているため、発明の範囲が不明確である、本件発明10、12?13は、「好ましくは」、「より好ましくは」および「なお一層好ましくは」の文言とともに任意付加的事項が記載されているため、発明の範囲が不明確である、本件発明11は、「好ましくは」および「より好ましくは」の文言とともに任意付加的事項が記載されているため、発明の範囲が不明確である、また、本件発明2?3、6?7、9?13の少なくともいずれかを引用する本件発明4、8、14?18も発明の範囲が不明確であるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしいていないと申し立てている。 しかしながら、「特に」、「好ましくは」、「より好ましくは」および「なお一層好ましくは」の文言とともに任意付加的事項が記載されているからといって発明が不明確とまではいえないため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとまではいえない。 6 むすび 以上のとおりであるから、本件発明1?18に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由、及び特許異議申立書に記載した特許異議申立て理由によっては取り消すことはできない。 また、他に本件発明1?18に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 パウチの製造に用いる多層膜であって、前記多層膜が コンタクト層、 コア層、及び 外層を含み、 前記コンタクト層及び前記コア層が第一の接合層により一体化され、 前記外層及び前記コア層が第二の接合層により一体化され、 前記コンタクト層が、(A)0.870g/cm^(3)?0.910g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレン及びα-オレフィンの共重合体と(B)0.910g/cm^(3)?0.940g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレンのホモポリマーとの混合物で含み、 前記コア層が、(C’)25?48mol%の範囲のエチレンを含有する耐屈曲亀裂性エチレンビニルアルコール共重合体、又は(C)25?48mol%の範囲のエチレンを含有するエチレンビニルアルコール共重合体、及び(D)アイオノマー酸エチレン共重合体の混合物を含み、 前記外層が、(E)0.910g/cm^(3)?0.940g/cm^(3)の範囲の密度を有するポリオレフィンを単独、又は(F)0.870g/cm^(3)?0.910g/cm^(3)の範囲の密度を有するエチレン及びα-オレフィンの共重合体との混合物で含み、 前記第一の接合層及び前記第二の接合層が、互いに独立して、(G)カルボン酸若しくはカルボン酸無水物でグラフト化されたポリオレフィンの共重合体を単独、又は(H)ポリオレフィンの共重合体との混合物で含む多層膜。 【請求項2】 前記エチレン及びα-オレフィンの共重合体(A)が、4?8個の炭素原子を有するポリオレフィンプラストマー、特にメタロセン触媒を利用する処理から生成されたエチレン及び1-オクテンの直鎖状低密度共重合体である、請求項1に記載の多層膜。 【請求項3】 前記エチレンのホモポリマー(B)が、エチレンの低密度ポリマーである、請求項1又は2に記載の多層膜。 【請求項4】 前記エチレンビニルアルコール共重合体(C)が耐屈曲亀裂性である、請求項1?3の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項5】 前記共重合体(D)が、エチレンアイオノマーのアクリル酸共重合体であり、 カルボキシレート基が亜鉛カチオンを伴う、請求項1?4の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項6】 前記ポリオレフィン(E)が、4?8個の炭素原子を有する1以上のオレフィンとエチレンとの共重合体、特にエチレン及びヘキセンの直鎖状低密度共重合体である、請求項1?5の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項7】 前記共重合体(F)が、4?8個の炭素原子を有するポリオレフィンプラストマー、特にメタロセン触媒を利用する処理から生成されたエチレン及び1-オクテンの直鎖状低密度共重合体である、請求項1?6の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項8】 前記共重合体(G)が、無水マレイン酸でグラフト化されたエチレンの共重合体である、請求項1?7の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項9】 前記共重合体(H)が、4?8個の炭素原子を有するポリオレフィンプラストマー、特にメタロセン触媒を利用する処理から生成されたエチレン及び1-オクテンの直鎖状低密度共重合体である、請求項1?8の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項10】 前記コンタクト層が、質量比(B)/(A)が95/5以下、好ましくは5/95?95/5の範囲、より好ましくは0.2?5の範囲、なお一層好ましくは0.2?2の範囲である(A)及び(B)の混合物を含む、請求項1?9の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項11】 前記コア層が、質量比(C)/(D)が95/5?55/45の範囲、好ましくは10?19の範囲、より好ましくは15?19の範囲である、(C)25?48mol%の範囲のエチレンを含有するエチレンビニルアルコール共重合体、及び(D)アイオノマー酸エチレン共重合体の混合物を含む、請求項1?10の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項12】 前記外層が、質量比(E)/(F)が5/95以上、好ましくは5/95?100/0の範囲、より好ましくは1?5の範囲、なお一層好ましくは1?2.5の範囲である(E)及び(F)の混合物を含む、請求項1?11の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項13】 前記第一の接合層及び前記第二の接合層が、互いに独立して、質量比(H)/(G)が95/5以下、好ましくは5/95?95/5の範囲、より好ましくは0.2?5の範囲、なお一層好ましくは0.2?2.5の範囲である(G)及び(H)の混合物を含む、請求項1?12の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項14】 前記コンタクト層が、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)を0.06wt%以下含有する、請求項1?13の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項15】 前記多層膜の任意の層の2つの間に、1つ又は複数の中間層をさらに含む、請求項1?13の何れか1項に記載の多層膜。 【請求項16】 前記コンタクト層、前記第一の接合層、前記コア層、前記第二の接合層、及び前記外層を共押出する工程を含む、請求項1?15の何れか1項に記載の多層膜の製造方法。 【請求項17】 使い捨てパウチであって、前記使い捨てパウチの壁面が請求項1?15の何れか1項に記載の多層膜を含む使い捨てパウチ。 【請求項18】 請求項17に記載の使い捨てパウチを含むバイオリアクター。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2020-08-07 |
出願番号 | 特願2015-553103(P2015-553103) |
審決分類 |
P
1
651・
537-
YAA
(B32B)
P 1 651・ 121- YAA (B32B) P 1 651・ 113- YAA (B32B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 河島 拓未、中川 裕文 |
特許庁審判長 |
井上 茂夫 |
特許庁審判官 |
杉山 悟史 森藤 淳志 |
登録日 | 2018-07-06 |
登録番号 | 特許第6362620号(P6362620) |
権利者 | サルトリアス ステディム エフエムティー エスエーエス |
発明の名称 | 使い捨てパウチの壁面のためのコンタクト層、コア層、及び外層を含む多層膜 |
代理人 | 正林 真之 |
代理人 | 岩池 満 |
代理人 | 正林 真之 |
代理人 | 岩池 満 |
代理人 | 林 一好 |
代理人 | 林 一好 |