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審決分類 審判 一部申し立て 5項独立特許用件  H01L
審判 一部申し立て 2項進歩性  H01L
審判 一部申し立て 特29条の2  H01L
管理番号 1366949
異議申立番号 異議2019-700821  
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-11-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-10-11 
確定日 2020-08-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6508975号発明「配列用マスク及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6508975号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 特許第6508975号の請求項1,3,4に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第第6508975号の請求項1-6に係る特許についての出願は、平成27年2月26日に出願され、平成31年4月12日にその特許権の設定登録がされ、令和元年5月8日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許について、令和元年10月11日に特許異議申立人角田朗により特許異議の申立てがされ、当審は、令和2年2月14日(起案日)に取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である同年4月20日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)を行い、当審は、その訂正の請求に対し、同年5月7日(起案日)に特許異議申立人角田朗に訂正の請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)をし、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許異議申立人角田朗は応答しなかった。

2 訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。
ア 訂正事項1
請求項1に係る「前記通孔(12)からなるパターン領域が多数形成されたマスク本体(10)と、前記マスク本体(10)の前記ワーク(3)との対向面側に設けられた突起部(15)とを備え、」を、
「前記通孔(12)からなるパターン領域が多数形成されたマスク本体(10)と、前記マスク本体(10)の前記ワーク(3)との対向面側に下方に向かって突設された突起部(15)とを備え、
突起部(15)は、下方に向かって先窄まりとなるテーパー状、或いは下方に向かって先拡がりとなるテーパー状とされており、」に訂正する。(請求項1を引用する請求項2-4についても同様に訂正する。)
本件訂正請求は、一群の請求項〔1-4〕に対して請求されたものである。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び一群の請求項について
ア 一群の請求項について
訂正前の請求項1-4について、訂正事項1を含む請求項1の記載を、請求項2-4がそれぞれ引用しているものであるから、訂正後の請求項1-4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

イ 訂正の適否
(ア)訂正事項1
a 訂正の目的
訂正前の請求項1に係る特許発明では、「突起部(15)」について、「前記マスク本体(10)の前記ワーク(3)との対向面側に設けられた」ことのみを規定していた。
これに対して、訂正事項1は、請求項1において、「前記マスク本体(10)の前記ワーク(3)との対向面側に下方に向かって突設された突起部(15)とを備え、
突起部(15)は、下方に向かって先窄まりとなるテーパー状、或いは下方に向かって先拡がりとなるテーパー状とされており、」と,突起部について限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(a)明細書には、以下のように記載されている。(下線は合議体が付加した。以下同じ。)
「【0013】
マスク本体10(マスク1)の下面側、すなわちワーク3との対向面側には、下方向に突出状の突起部15を設けることができる。詳しくは、図2及び図3に示すように、パターン領域間(パターン領域の外周)にこのパターン領域を囲むように突起部15(桟15a)を設けることができる。この突起部15(桟15a)は、図3のような連続的に設けたものでなくても良く、断片的に設けても良い。また、図4に示すように、パターン領域内の通孔12が形成されていない位置に突起部15(支柱15b)を設けることができる。また、隣り合うパターン領域間(パターン領域の外周)にパターン領域を囲むようにして設ける突起部15の形状としては、桟15aに限らず、図5に示すように、支柱15cであっても良い。係る突起部15を設けていれば、配列作業時において、ワーク3の上面に当接してマスク本体10とワーク3との対向間隙を確保できる。各々の突起部15(桟15a、支柱15b)においては、図3および図5に示すように、マスク本体10の下面から突起部15の先端に向かって先窄まるように形成されていることが好ましく、円錐台状を呈している。」

「【0028】
なお、係る構成のマスク1において、通孔12及び突起部15の形状はストレート状としてもテーパ状としても良い。ここで、通孔12や突起部15をテーパ状とする場合について具体的に説明すると、通孔12においては、マスク本体10のワーク3との対向面側に向かって先窄まり状のテーパを設けることで、半田ボール2を通孔12内に誘い込みやすくなり、マスク本体10のワーク3との対向面側に向かって先拡がり状のテーパを設けることで、マスク本体10のワーク3との対向面側における通孔12周縁にフラックスが付着されることを防止できる。また、突起部15においては、マスク本体10のワーク3との対向面側に向かって先窄まり状のテーパを設けることで、ワーク3上へのマスクの載置をしっかりとすることができ、マスク本体10のワーク3との対向面側に向かって先拡がり状のテーパを設けることで、ワーク3の電極6が狭ピッチに配列された場合であっても、突起部15の強度を確保しつつ、ワーク3上への突起部15の当接をしっかりと対応することができる。かかる形状は、フォトレジスト層31・36の感光度や露光条件を変更することによって容易に得られる。」

(b)上記の段落【0013】には、「突起部15」は、「マスク本体10(マスク1)の下面側、すなわちワーク3との対向面側に」、「下方向に突出状」に設けられることが、具体的に開示されている。また、段落【0028】には、「突起部15」は、「マスク本体10のワーク3との対向面側に向かって先窄まり状のテーパを設けること」と、「マスク本体10のワーク3との対向面側に向かって先拡がり状のテーパを設けること」が、具体的に開示されている。

(c)したがって、訂正事項1は、「突起部(15)」を下位概念化する訂正であって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるといえるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

c 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、訂正後の請求項1に係る発明及び訂正後の請求項1を引用する訂正後の請求項2-4に係る発明の技術的範囲を狭めるものであるにとどまり、それらのカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
(a)本件特許異議の申立てにおいては、本件訂正前の請求項1、3、4に係る発明の特許に対して特許異議の申立がされているので、本件訂正前の請求項1、3、4に対応する本件訂正後の請求項1、3、4については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の規定は適用されない。

(b)本件特許異議の申立てにおいて、本件訂正前の請求項2に対して特許異議の申立てはされておらず、上記aのとおり、本件訂正前の請求項2に係る訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、訂正事項1による本件訂正後の請求項2については、前記特許法第126条第7項の規定が適用される。
そこで、本件訂正後の請求項2に係る発明が前記特許法第126条第7項の規定に適合するか否かについて検討すると、後記「3 訂正後の本件発明」から「6 むすび」で述べるとおり、本件訂正後の請求項2が引用する本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すべき理由は発見されず、また、他に本件訂正前の請求項2に係る特許を取り消すべき理由も発見しないから、本件訂正後の請求項2に係る発明が、独立して特許を受けることができるものであることは明らかである。よって、本件訂正後の請求項2に係る発明は、前記特許法第126条第7項の規定に適合する。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定並びに同法第120条第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。

3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1、3、4に係る発明(以下、順に「本件発明1」、「本件発明3」、「本件発明4」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1、3、4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
所定の配列パターンに対応した通孔(12)内に半田ボール(2)を振り込むことで、ワーク(3)上の所定位置に前記半田ボール(2)を搭載する配列用マスクであって、
前記通孔(12)からなるパターン領域が多数形成されたマスク本体(10)と、前記マスク本体(10)の前記ワーク(3)との対向面側に下方に向かって突設された突起部(15)とを備え、
突起部(15)は、下方に向かって先窄まりとなるテーパー状、或いは下方に向かって先拡がりとなるテーパー状とされており、
前記マスク本体(10)下面、前記突起部(15)表面、および前記通孔(12)内面に、フラックスの付着を防止できるコーティング層(50)が形成されていることを特徴とする配列用マスク。」

「【請求項3】
前記コーティング層(50)は、前記マスク本体(10)上面に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の配列用マスク。
【請求項4】
前記コーティング層(50)は、1μm以下の厚さで形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の配列用マスク。」

4 取消理由通知に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
訂正前の請求項1、3、4に係る特許に対して、当審が令和2年2月14日に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
ア(拡大先願)請求項1、3、4に係る発明は、本件特許出願の優先日前の特許出願であって、本件特許出願後に出願公開公報の発行がされた特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(甲第1号証:特開2015-106680号公報)に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者が本件特許出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の優先日の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないから、請求項1、3、4に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

(2)甲号証の記載
ア 甲第1号証の記載と先願発明
甲第1号証は、本件特許に係る優先日前の特許出願(以下「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「先願明細書等」という。)を示すものである。
先願明細書等には,以下のように記載されている。
「【請求項1】
所定の配列パターンで電気接続部材を被搭載体に搭載する電気接続部材搭載用マスクであって、
前記被搭載体と対向する第1の面と、
前記第1の面と対向して前記電気接続部材が供給される第2の面と、
前記第1の面及び前記第2の面に開口する複数の貫通孔と、
少なくとも前記第2の面に形成された非晶質炭素膜と、を備え、
前記電気接続部材は、固形または固体の電気接続部材である電気接続部材搭載用マスク。」

「【請求項3】
前記第1の面には、非晶質炭素膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気接続部材搭載用マスク。
【請求項4】
前記第1の面の一部の領域には、非晶質炭素膜が形成されていないことを特徴とする請求項3に記載の電気接続部材搭載用マスク。
【請求項5】
前記非晶質炭素膜が形成されていない領域は、前記複数の貫通孔の開口部の周辺領域であることを特徴とする請求項4に記載の電気接続部材搭載用マスク。」

「【請求項7】
前記貫通孔を囲む壁面には、非晶質炭素膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電気接続部材搭載用マスク。」

「【請求項11】
前記第1の面に形成される非晶質炭素膜は、撥油性材料を含む非晶質炭素膜であることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の電気接続部材搭載用マスク。」

「【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係るマスク10を模式的に表す模式図であり、図2はマスク10をワークWに位置決めした状態の断面図である。なお、図1及び図2は、本発明の一実施形態におけるマスク10の構成を模式的に表すものであり、その寸法は必ずしも正確に図示されていない点に留意されたい。一実施形態におけるマスク10は、図示するように、アルミニウムやスチール材料よりなる枠体12と、枠体12に張られたメッシュ14と、メッシュ14にて支持され枠体12の概ね中央部に配置される基材16と、基材16に形成された複数の貫通孔18と、基材16の表面に形成された非晶質炭素膜20と、を備えている。一実施形態に係る基材16の構造としては、枠体12に貫通口や凹凸パターンの形成された板や箔を固定したもの、パターンの形成された箔または板状の基材16を直接印刷機やボール搭載機(球状はんだ接合材料搭載機)という機械にチャッキングしたもの、またはテンプレート状のもので位置決めピンなどを介して人が操作するもの、などとすることができるがこれらに限定されることはない。」

「【0026】
一実施形態の基材16は、被搭載体としてのワークWと対向する第1の面16Aと、第1の面16Aと対向する第2の面16Bを有しており、第2の面16B上に非晶質炭素膜20が形成されている。一実施形態の基材16には、第1の面16A及び第2の面16Bに開口する貫通孔18が複数設けられている。
【0027】
一実施形態に係る基材16は、半導体及び半導体パッケージ等の電子部品をワークWに実装するための球状はんだ接合材料(はんだボール)等の電気接続部材Bを収容可能な貫通孔18を有するものであればその材質や形状、大きさの如何にかかわらず適用することが可能である。一実施形態では、基材16は薄膜状に形成され、または薄板(テンプレート)状に形成される。さらに、前記貫通孔18部分に於いて、基材16の板や箔の厚みをエッチィング等(ハーフエッチィングなど)で他の部分より薄くしたものや、前記貫通孔18部分が孔の一端から他端までの間で開口径や開口形状の異なる複数の形状の孔を連続的に形成し1つの孔としたものでも良い。基材16の形状は、用途、用法に応じた様々な形状とすることが可能である。」

「【0034】
一実施形態の複数の貫通孔18は、ワークWの所望の位置に球状はんだ接合材料である電気接続部材Bを搭載可能なパターンで形成されている。一実施形態では、基材16の厚みが30μm?40μmである場合、直径50μm前後の微細な貫通孔18を20μm程度のリブを介して(残して)狭隣接で配列される。そのため1つの基材16には、数万個?数十万個、場合によっては百万個を超える貫通孔18からなる微細開口パターンが形成され得る。一実施形態では、このような微細開口パターンを有する基材16は、UV光などの光線にて感光するレジストなどでパターニングした(フォトリソグラフィー法など)母型に、メッキ法にて板や箔を析出させる方法で形成する。
【0035】
一実施形態における非晶質炭素膜20は、プラズマCVD法、直流CVD法等の公知のCVD法、プラズマスパッタリング法等のプラズマPVD法、大気圧、準大気圧プラズマ法等の各種の方法によって、基材16の表面に直接または中間層などを介して間接的に形成することができる。一実施形態における非晶質炭素膜20は、例えば、真空装置の中に基材16を配置した後、真空減圧した状態で、原料ガスとなるエチレン、アセチレン、メタンなどの炭化水素ガスを導入した後、原料ガスに電圧を印加して原料ガスをプラズマ化し、炭素と水素より成る非晶質炭素膜20を形成すればよい。一実施形態における非晶質炭素膜20は、プラズマPVD法で形成されうる。プラズマPVD法では、スパッタリング装置内に基材16などを配置し、炭素ターゲットを基材16に対向させて配置した後、Arなどのスパッタリングガスをプラズマ化して炭素をスパッタリングすればよい。」

「【0040】
一実施形態に係る非晶質炭素膜20は、その組成や形成方法にも依存するが、絶縁体であり、体積電気抵抗率が10^(6)?10^(12)Ω・cm程度である。そのため、非晶質炭素膜20がマスク10の表層に厚付けされると、マスク10の表層をボールやスキージ、特に樹脂性のスキージなどの摺動体が摺動する際に発生する静電気を、マスク10の枠体12を構成する金属材料などを通じて除去することができなくなる場合がある。発生した静電気が非晶質炭素膜20に蓄積された状態になると、直径が数十μm?数百μm以下と非常に小さく質量の軽いはんだボール等の電気接続部材Bは、静電気によってマスクに電気的に吸着されて動きにくくなったり、自己凝集して動きにくくなる場合がある。そのため一実施形態の非晶質炭素膜20の膜厚は、球状はんだ接合材料等の電気接続部材Bの大きさや装填方法及びマスク10の材質にも依存するものではあるが、1.5μm?1μm以下が望ましく、好ましくは500nm以下程度、さらに好ましくは200nm以下の厚さに形成され、発生する静電気を例えば導電性の基材16にアースできるようにする。非晶質炭素膜20の膜厚下限は特に無く、基材16の表面が平滑な場合は数nm程度から形成可能ではあるが、非晶質炭素膜の面としての連続性を確保するために50nm以上、理想的には100nm以上であることが望ましい。」

「【0051】
一実施形態に係る非晶質炭素膜20は、電気接続部材Bが供給される基材16の第2の面16Bに形成される。非晶質炭素膜20によって第2の面16Bに電気接続部材が付着することが抑制されるので、電気接続部材がマスクに残留して電気接続部材の搭載不良が生じることを抑制できる。
【0052】
電気接続部材Bを搭載する前処理として、予備フラックスがワークWに印刷塗布されている場合がある。この予備フラックスの印刷塗布の工程では、ワークWに液状フラックスのニジミや飛び散りなどにより液状のフラックスが飛散して第1の面16Aに付着する場合がある。非晶質炭素膜20は、フラックスや油性インクとの濡れ性及び親和性が高く、離型性が悪いので、第1の面16Aに非晶質炭素膜20が形成されていると、多くのフラックスが非晶質炭素膜20に付着する。また、フラックスは粘着性が高いので、付着したフラックスにさらにフラックスが付着して、基材16の貫通孔18に達するまでフラックスの付着が広がる。そのため、貫通孔18を通過する電気接続部材Bがフラックスに付着してしまい、ワークWに搭載できずに供給不良を起こす場合が発生する。さらに、基材16の不必要な部分に付着したフラックスは、粘性が高いため、ワークWと基材16を引き離す際に接着剤のように作用し、基材16のワークWからの版離れ性を阻害する。また、電気接続部材Bを複数のワークWに連続して搭載する場合には、次に電気接続部材Bが搭載されるワークWにフラックスが転写されて、ワークWの品質を阻害する原因になる場合がある。
【0053】
そのため、一実施形態では、非晶質炭素膜20は、基材16の第1の面16Aには形成されない。さらに一実施の形態では、非晶質炭素膜20は、貫通孔18を囲む壁面Sには形成されない。一実施の形態では、フラックスの付着が問題となる部分以外に非晶質炭素膜20が形成されうる。例えば一実施形態では、貫通孔18を囲む壁面Sに非晶質炭素膜20が形成されうる。一実施形態では、貫通孔18の開口部の周辺領域を除く第1の面の一部の領域に、非晶質炭素膜が形成されうる。一実施の形態では、基材16の第1の面16B及び貫通孔18を囲む壁面Sにのみ非晶質炭素膜20が形成されうる。一実施形態では、フラックスの付着が問題となる部分に、フラックスとの濡れ性の悪い撥水、撥油機能を備えた非晶質炭素膜20が形成されうる。基材16との間に、フラックスの付着が生じない十分な間隔を確保できる一実施の形態では、基材16の第1の面16Aにフラックスとの親和性(濡れ性)の大きな非晶質炭素膜を形成しうる。」

「【0057】
一実施形態では、予備フラックスの印刷塗布の工程で生じるフラックスが基材16の第1の面16Aに形成した非晶質炭素膜20に付着することを抑制するために、第1の面16AとワークWとの間に所定の間隔をあけるスペーサDをさらに備える。一実施形態でのスペーサDは、第1の面16Aに設けられた支持用突起である。
【0058】
一実施形態の第1の面16Aに形成される非晶質炭素膜20は、撥油性材料を含む非晶質炭素膜である。一実施形態の第1の面16Aの非晶質炭素膜20は、撥油性材料が表面に露出している。撥油性材料は、フッ素含有カップリング剤からなり、フラックスとの親和性が低く、フラックスが付着しても濡れが広がらず、簡単に除去することができる。そのため予備フラックスをワークWに印刷塗布する前処理においても、撥油性材料が表面に露出していると、フラックスが付着しにくく、また簡単に付着したフラックスを除去することができる。前述したように、一実施形態におけるSiやTiを含む非晶質炭素膜20は、一般に脱水縮合反応により化学結合で固定されるフッ素を含むカップリング剤との接着性が高いため、フッ素を含有するカップリング剤を確実に保持することができる。そのため、一実施形態の撥油性材料は、フッ素を含有する。なお撥油性材料は、前述のように非晶質炭素膜に強固に固定されているものが望ましいが、SiO_(X)やTiO_(X)など、他の薄膜や、液体状の密着用プライマー層を介したもの、基材と物理結合するものでもよい。」

「【図1】




「【図2】




段落【0052】の「ワークWに液状フラックスのニジミや飛び散りなどにより液状のフラックスが飛散して第1の面16Aに付着する場合がある」という記載に照らすと、フラックスの付着が問題となる部分の一つは「第1の面16A」であると理解される。また、段落【0053】には、「フラックスの付着が問題となる部分に、フラックスとの濡れ性の悪い撥水、撥油機能を備えた非晶質炭素膜20が形成されうる」ことが記載されている。そして、段落【0058】には、フラックスとの濡れ性の悪い撥油機能を備えた非晶質炭素膜20は、「第1の面16A」に形成されることが記載されている。
したがって、段落【0052】、段落【0053】、及び段落【0058】の記載に照らすと、これらの段落には、
基材16の第1の面16Aに対するフラックスの付着を抑制するために、基材16の第1の面16Aに、フラックスとの濡れ性の悪い撥水、撥油機能を備えた非晶質炭素膜20を形成すること、
が記載されていると認められる。
また、段落【0057】の「第1の面16AとワークWとの間に所定の間隔をあけるスペーサDをさらに備える。一実施形態でのスペーサDは、第1の面16Aに設けられた支持用突起である。」という記載と、図2を参照すると、スペーサDは下方に向かって設けられることが見てとれる。

以上のことから、先願明細書等には、次の「先願発明」が記載されているといえる。
「ワークWに位置決めされたマスク10であって、
枠体12と、基材16と、基材16に形成された複数の貫通孔18と、基材16の表面に形成された非晶質炭素膜20と、を備え、
基材16は、ワークWと対向する第1の面16Aと、第1の面16Aと対向する、前記表面の第2の面16Bを有し、第2の面16B上に非晶質炭素膜20が形成され、基材16には、第1の面16A及び第2の面16Bに開口する貫通孔18が複数設けられ、
基材16は、電子部品をワークWに実装するための球状はんだ接合材料(はんだボール)等の電気接続部材Bを収容可能な前記貫通孔18を有するものであり、
複数の貫通孔18は、ワークWの所望の位置に電気接続部材Bを搭載可能なパターンで形成され、
非晶質炭素膜20は、スパッタリング装置内に基材16などを配置し、炭素ターゲットを基材16に対向させて配置した後、Arなどのスパッタリングガスをプラズマ化して炭素をスパッタリングするプラズマPVD法で形成され、
非晶質炭素膜20の膜厚は、200nm以下の厚さに形成され、
電気接続部材Bを搭載する前処理として、予備フラックスがワークWに印刷塗布されている場合があり、
フラックスと濡れ性の悪い撥水、撥油機能を備えた非晶質炭素膜20が、基材16の第1の面16Aに形成され、
予備フラックスの印刷塗布の工程で生じるフラックスが基材16の第1の面16Aに形成した非晶質炭素膜20に付着することを抑制するために、第1の面16AとワークWとの間に所定の間隔をあけ、支持用突起であるスペーサDをさらに備え、
スペーサDは下方に向かって設けられ、
基材16の第2の面16Bに形成される非晶質炭素膜20によって、第2の面16Bに電気接続部材Bが付着することが抑制される、
マスク10。」

(3)当審の判断
ア 拡大先願(特許法第29条の2)について
(ア)本件発明1について
a 対比
(a)先願発明の「ワークW」、「球状はんだ接合材料(はんだボール)」は、本件発明1の「ワーク(3)」、「半田ボール(2)」にそれぞれ相当する。

(b)先願発明の「ワークWの所望の位置に電気接続部材Bを搭載可能なパターンで形成され」た「複数の貫通孔18」は、本件発明1の「所定の配列パターンに対応した通孔(12)」に相当する。

(c)先願発明の「マスク10」は、「ワークWの所望の位置に電気接続部材Bを搭載可能なパターンで形成され」た「複数の貫通孔18」を用いて、球状はんだ接合材料をワークW上に配列するものであるから、本件発明1の「所定の配列パターンに対応した通孔(12)内に半田ボール(2)を振り込むことで、ワーク(3)上の所定位置に前記半田ボール(2)を搭載する配列用マスク」に相当する。

(d)先願発明の「ワークWの所望の位置に電気接続部材Bを搭載可能なパターンで形成され」た「複数の貫通孔18」を備える「基材16」は、本件発明1の「前記通孔(12)からなるパターン領域が多数形成されたマスク本体(10)」に相当する。

(e)先願発明の「基材16」の「第1の面16AとワークWとの間に所定の間隔をあけ」、「支持用突起」であり、「下方に向かって設けられ」る「スペーサD」は、本件発明1の「前記マスク本体(10)の前記ワーク(3)との対向面側に下方に向かって突設された突起部(15)」に相当する。

(f)先願発明の「基材16の第1の面16Aに形成され」、「フラックスと濡れ性の悪い撥水、撥油機能を備えた非晶質炭素膜20」は、本件発明1の「前記マスク本体(10)下面」に形成された「フラックスの付着を防止できるコーティング層(50)」に相当する。

(g)以上のことから、本件発明1と先願発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「所定の配列パターンに対応した通孔(12)内に半田ボール(2)を振り込むことで、ワーク(3)上の所定位置に前記半田ボール(2)を搭載する配列用マスクであって、
前記通孔(12)からなるパターン領域が多数形成されたマスク本体(10)と、前記マスク本体(10)の前記ワーク(3)との対向面側に下方に向かって突設された突起部(15)とを備え、
前記マスク本体(10)下面に、フラックスの付着を防止できるコーティング層(50)が形成されていることを特徴とする配列用マスク。」

<相違点>
(相違点1)
本件発明1は、「突起部(15)表面」に、「フラックスの付着を防止できるコーティング層(50)」が形成されるのに対して、先願発明はこの点について特定されていない点。

(相違点2)
本件発明1は、「通孔(12)内面」に、「フラックスの付着を防止できるコーティング層(50)」が形成されるのに対して、先願発明はこの点について特定されていない点。

(相違点3)
本件発明1は、「突起部(15)」は、「下方に向かって先窄まりとなるテーパー状、或いは下方に向かって先拡がりとなるテーパー状とされて」いるのに対して、先願発明は「スペーサD」についてこのような特定はなされていない点。

b 判断
(a)相違点3について
事案に鑑み、先ず、相違点3について検討する。
先願発明の「スペーサD」を「下方に向かって先窄まりとなるテーパー状、或いは下方に向かって先拡がりとなるテーパー状」にすることは、当該技術分野における周知・慣用技術であるとは認められない。
したがって、相違点3は実質的なものである。

(b)判断のまとめ
したがって、相違点1、2について検討するまでもなく、本件発明1と先願発明とが実質的に同一であるということはできない。

(イ)本件発明3、4について
本件発明3、4は、本件発明1を引用する発明であり、本件発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本件発明1と同じ理由により、本件発明3、4は先願発明と実質的に同一であるということも、甲第1号証に記載された発明であるということもできない。

5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許法第29条第2項について
ア 甲号証について
(ア)甲第2号証の記載と引用発明
甲第2号証(特開2008-177264号公報)には、以下の記載がある。
「【請求項1】
微小なボールを所定のパターンで被配列体に搭載するボール振込み用マスクにおいて、前記パターンに対応し前記ボールが挿通可能な複数の開口部を有し、少なくとも前記被配列体と当接する面には低粘着質部が形成されているボール振込み用マスク。」

「【0012】
以下、本発明について、その実施態様に係るボール振込み用マスク(以下マスクと称する場合がある。)及びボール搭載装置に基づいて説明する。
以下の実施態様では、図5に示すように、導電性ボールである半田ボールを、被配列体であるウエハー3に所定のパターンで形成された電極31に配列する場合を例にして説明する。ここで、ウエハー3は、シリコン、樹脂又はセラミックなど周知の導電性材料、非導電性材料又はそれらの積層体などを用いた円板状のものであり、多数の半導体チップ32が切出される。通常、多数の半導体チップ32を効率的に製造するため、ウエハー3の内部には多数のチップ32が規則的にかつ密接して配置される。各チップ32には電極31が所定パターンで形成されるため、電極31もウエハー3の表面上の所定の区域内に集合している。以下の説明では、電極31が集合したウエハー3の表面上の区域をボール搭載領域34と言う。また、電極31の上面には、粘着性を有するフラックス(図示せず)が所定の厚みで塗布されている。
なお、以下の実施態様では被配列体としてウエハー3を例として説明するが、本発明は実施態様に限定されることなく、被配列体としては樹脂基板、セラミックス基板等の電子部材若しくは当該基板等にボールを搭載する搭載装置の部材なども含まれる。また、被配列体に搭載するボールとして導電性ボールである半田ボール2を例として説明するが、本発明は実施態様に限定されることなく例えば銅ボールその他の金属製ボール、樹脂ボール若しくはセラミックスボールその他の導電性を有しないボール又は金属が表面に被覆されたボール等に適用することができる。」

「【0016】
1-3.マスク マスク22について図2?4を参照しつつ説明する。図2は、水平面内でウエハー3に位置決めされ、鉛直方向においてウエハー3の表面に当接された状態のマスク22を示す断面図、図3は本発明の一態様であるマスク22を底面側(マスク22のウエハー3との当接面側)から見た斜視図、図3は本発明の別の態様であるマスク42を底面側から見た斜視図である。なお、図3及び図4中において破線3aは、マスク22・42がウエハー3に位置決めされたときに対応するウエハー3の外周縁部を示している。マスク22は、図2、3に示すように、平板状の基体部132と、基体部132の一面に形成された支持部133とを備えている。基体部132には、ウエハー3の電極31の配列パターンに対応し半田ボール2が挿通可能な貫通孔状の開口部131が形成されている。
支持部133の鉛直方向における構成について説明する。支持部133は、図2、3に示すように、その底面がウエハー3の表面と当接して基体部132をウエハー3から所定隙間tだけ隔てるために設けられており、マスク22においては基体部132の底面から見てtの高さを有する突起状に形成されている。ここで、支持部133の高さtは、基体部132にフラックスが付着しないように調整されることが好ましい。このように、基体部132の下面と電極31上面までの距離を確保することで、通常の状態ではフラックスが基体部132に付着することは防止される。なお、上記支持部133の高さを含むマスク22の厚みTは、電極31の上に半田ボール2が搭載されたときに当該半田ボール2の頂部とマスク22の上面とがほぼ一致するように構成されている。
次に、支持部133の平面方向における構成について説明する。支持部133は、マスク22の開口部131がウエハー3の電極31に一致するようマスク22をウエハー3に位置合わせし、マスク22の底面(支持部133の底面)をウエハー3の上面に当接した時、支持部133が電極31に触れないように電極31を避けた箇所に形成されている。」

「【0019】
ここで、マスク22は、磁石315の磁力で吸引されウエハー3に密接されるので、支持部133とウエハー3の材質の組合せによっては支持部133の底面がウエハー3の上面に過度に密着して、マスク取外し時に、マスク22がウエハー3から離れ難くなる場合がある。このため、この密着力が大きくならないよう、支持部133の底面側には粘着性を低減する処理がなされ、低粘着質部138が形成されている。かかる低粘着質部138を形成するためには支持部133の底面に固体潤滑材をコーティングすればよく、更に固体潤滑材としては撥水性が良好なもの程好ましい。そのような固体潤滑材としては、例えばフッ素系樹脂、二硫化モリブデン、グラファイト、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、シリコン樹脂などを使用することができる。なお、強い密着はウエハー3と比較的大きな面積で密接する周辺部136で起こりやすい。したがって、周辺部136の少なくともウエハー3との当接面(図3、4にハッチングで示した部位)に低粘着質部138を形成しておくことが好ましい。突出部135は密着する面積が小さいので密着力が小さく、必ずしも低粘着質部138は形成されていなくてもよい。以上のようにマスク22を構成することにより、マスク取外し時に、マスク22はウエハー3から容易に離れるので、たわみ変形せず平面状態を維持して離版させることができる。」

以上の記載から、甲第2号証には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「微小な半田ボール2を所定のパターンでウエハー3に搭載するボール振込み用マスク22であって、
そのパターンに対応し、半田ボール2が挿通可能な複数の貫通孔状の開口部131が形成された平板状の基体部132と、
その底面がウエハー3の表面と当接して基体部132をウエハー3から所定隙間tだけ隔てるために設けられ、基体部132の底面から見てtの高さを有する突起状に形成された支持部133と、
ウエハー3の電極31の上面に所定の厚みで塗布され、粘着性を有するフラックスと、
支持部133の底面側及び周辺部136の少なくともウエハー3との当接面に形成され、固体潤滑材として、例えばフッ素系樹脂、二硫化モリブデン、グラファイト、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、シリコン樹脂などがコーティングされ、粘着性を低減する低粘着質部138と、
からなるボール振込み用マスク22。」

(イ)甲第3号証の記載
甲第3号証(特開2008-205169号公報)には、以下の記載がある。
「【請求項1】
基板と対向するように配置され、かつ基板の一面に形成された複数の端子領域に導電性ボールを落とし込むための複数の貫通孔が形成された薄板状のマスクであって、
マスクの表面には、基板と対向したときに基板のエッジから内側であって、かつ前記複数の貫通孔が形成された領域よりも外側に、マスクの長手方向および短手方向に延びるスリットが形成されている、マスク。」

「【0022】
次に、マイクロボール搭載装置に用いられる振込みマスクについて説明する。図3(a)は、本実施例の振込みマスクの上面図、図3(b)はそのB-B線断面図、図4は、振込みマスクの裏面図である。振込みマスク200は、基板100の外形より1回り大きな矩形状の外形を有し、その長手方向は、約600mm、短手方向は、約550mmである。振込みマスク200は、図3(b)に示すように、例えば、ステンレス(SUS)またはニッケル合金等から成る金属層210とその下面に形成されたアクリル又はエポキシ等から成る樹脂層220の2層構造から構成される。金属層210の厚さは、約140ミクロン、樹脂層220の厚さは約60ミクロンである。金属層210は、振込みマスクに一定の強度すなわち張力を与える。樹脂層220は、基板の端子領域に形成されたフラックスやはんだペースト等が金属層210へ付着するのを防止する。ここで、振込みマスク200の厚さはマイクロボールの約1.1倍程度が好ましく、また、振込みマスク200の樹脂層220の厚さは、マイクロボールの横ずれを防止する観点から、マイクロボール270の約1/3程度が好ましい。図3の例の場合、振込みマスク200の厚さが約200ミクロン程度であることから、マイクロボールの径は約180ミクロン程度が好ましい。」

以上の記載から、甲第3号証には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
a 基板と対向するように配置され、かつ基板の一面に形成された複数の端子領域に導電性ボールを落とし込むための複数の貫通孔が形成された薄板状の振込みマスクであって、
貫通孔242が複数形成されたステンレスまたはニッケル合金等から成る金属層210と、
金属層210の下面の基板100との対向面側に設けられた突起部である樹脂層220とを有する、
振込みマスクにおいて、
樹脂層220は、基板100の端子領域108に形成されたフラックスやはんだペースト等が金属層210へ付着するのを防止すること。

(ウ)甲第4号証の記載
甲第4号証(実願昭55-170398号(実開昭57-93169号公報)のマイクロフィルム)には、以下の記載がある。
「形成すべき所望のパターンに対応して開口部を有し、該開口部を通してインクを被印刷物表面に塗布するスクリーン印刷法に使用されるスクリーン版において、上記開口部内壁を含むスクリーン版の全面に撥水性被膜を形成してなることを特徴とするスクリーン版。」(実用新案登録請求の範囲)

「コーティングの厚さは1μm程度でよい。」(明細書第4頁第18行)

以上の記載から、甲第4号証には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
a 形成すべき所望のパターンに対応して開口部を有し、該開口部を通してインクを被印刷物表面に塗布するスクリーン印刷方に使用されるスクリーン版であって、
金属泊5の下面、開口部4内壁面を含む全面に、印刷ペーストの付着を防止できる撥水性被膜(コーティング材)3を形成してなること。

b コーティング材3の厚さは1μm程度であること。

(エ)甲第5号証の記載
甲第5号証(特開2001-301353号公報)には、以下の記載がある。
「【請求項1】印刷用マスク材に所定の印刷パターンからなる開口が形成された印刷用マスクを被印刷体に対向配置し、該印刷用マスクの開口内にペーストを充填した後、該印刷用マスクを被印刷体から剥離することによって、該印刷用マスクの開口を通して該開口内に充填したペーストを被印刷体上に印刷する印刷用マスクであって、
上記印刷用マスクの開口の内壁面に、ペルフルオロ(4-ビニルオキシ-1-ブテン)重合物からなるフッ素系樹脂をトリス(パーフルオロブチル)アミンからなる希釈液に溶解した撥水処理剤で、コーティング膜を形成したことを特徴とする印刷用マスク。」

「【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した印刷用マスクの実施形態について説明する。本実施形態に係る印刷用マスク1は、図1に示すように、該印刷用マスク1の開口1aの内壁面1cに、コーティング膜6が形成されている。ここで、上記コーティング膜6は、ペルフルオロ(4-ビニルオキシ-1-ブテン)重合物からなるアモルファスフッ素系樹脂がトリス(パーフルオロブチル)アミンからなる希釈液に溶解された撥水処理剤を塗布・乾燥することにより形成される。」

「【0034】そこで、上記印刷用マスク1としては、図2に示すように、その開口1aの内壁面1cのほか、該印刷用マスク1の被印刷体2との対向面(ここでは、下面)にも、上記コーティング膜6を形成したものであってもよい。この印刷用マスク1は、その被印刷体2との対向面の撥水性(表面エネルギー)が高く、ペースト4の開口周縁部1bへの滲み出しを低減できるので、被印刷体2へのペースト4の印刷品質を向上させることができる。」

「【0036】そこで、上記印刷用マスク1としては、図3(a)に示すように、該印刷用マスク1の開口1aの内壁面1cと、該印刷用マスク1の被印刷体2との非対向面(上面)とに、上記コーティング膜6を形成したもの、または、図3(b)に示すように、該印刷用マスク1の開口1aの内壁面1c、及び、該印刷用マスク1の被印刷体2との対向面(下面)と、該印刷用マスク1の被印刷体2との非対向面(上面)とに、上記コーティング膜6を形成したものであってもよい。この印刷用マスク1においては、該印刷用マスク1の被印刷体との非対向面のペースト4に対する撥水性が向上されるので、該印刷用マスク1の被印刷体2との非対向面に付着したペースト4の除去やスキージングを容易に行えるようになる。」

以上の記載から、甲第5号証には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
a 印刷用マスク材に所定の印刷パターンからなる開口1aが形成された印刷用マスク1において、印刷用マスク1の被印刷体2との対向面(ここでは、下面)、開口1aの内壁面1cに、ペルフルオロ(4-ビニルオキシ-1-ブテン)重合物がトリス(パーフルオロブチル)アミンに溶解された撥水処理剤で、コーティング膜6を形成すること。

b 印刷用マスク1の開口1aの内壁面1cと、印刷用マスク1の被印刷体2との非対向面(上面)とに、コーティング膜6を形成すること。

(オ)甲第6号証の記載
甲第6号証(特開2001-339148号公報)には、以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント基板に、ペースト状の半田を印刷するときに使用する半田マスク板に関する。」

「【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の半田マスク板は、半田マスク板に穿設した開口部及び半田マスク板の裏面に合成樹脂層が形成してあるので、ペースト状の半田は半田マスク板に残らず、プリント基板上に開口部の形状として印刷される。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図を参照して説明すると、図1(A)は半田マスク板の断面図である。半田マスク板1は、厚み100?250μmのステンレス製の板であり、この半田マスク板1には、プリント基板4の半田付け処理をする箇所に対応して開口部2が形成してある。又、この半田マスク板1の裏面(プリント基板4と密着する面)と前記開口部2の内面には、3?25μm程度の厚みの合成樹脂層3が形成してある。
【0007】尚、前記合成樹脂は撥水性を有する合成樹脂であればよく、フッソ化合物のテフロン(登録商標)等が好適である。即ち、ペースト状の半田が、開口部2に付着せず、連続印刷が可能になる樹脂層を形成可能なものであればよい。」

以上の記載から、甲第6号証には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
a プリント基板にペースト状の半田を印刷するときに使用する半田マスク板において、
プリント基板4の半田付け処理をする箇所に対応して開口部2が形成され、
半田マスク板1に穿設した開口部2及び半田マスク板1の裏面に、撥水性を有する、例えば、フッ素化合物のテフロン(登録商標)等の合成樹脂層3を形成すること。

イ 対比・判断
(ア) 本件発明1について
a 対比
本件発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(a)引用発明における「そのパターンに対応し、半田ボール2が挿通可能な複数の貫通孔状の開口部131が形成された平板状の基体部132」は、本件発明1の「前記通孔(12)からなるパターン領域が多数形成されたマスク本体(10)」に相当する。

(b)引用発明における「その底面がウエハー3の表面と当接して基体部132をウエハー3から所定隙間tだけ隔てるために設けられ、基体部132の底面から見てtの高さを有する突起状に形成された支持部133」は、本件発明1の「前記マスク本体(10)の前記ワーク(3)との対向面側に下方に向かって突設された突起部(15)」に相当する。

(c)引用発明における「微小な半田ボール2を所定のパターンでウエハー3に搭載」し、「そのパターンに対応し、半田ボール2が挿通可能な複数の貫通孔状の開口部131が形成された平板状の基体部132」と「その底面がウエハー3の表面と当接して基体部132をウエハー3から所定隙間tだけ隔てるために設けられ、基体部132の底面から見てtの高さを有する突起状に形成された支持部133」とを有する「ボール振込み用マスク22」は、本件発明1の「配列用マスク」と、「所定の配列パターンに対応した通孔(12)内に半田ボール(2)を振り込むことで、ワーク(3)上の所定位置に前記半田ボール(2)を搭載」し、「前記通孔(12)からなるパターン領域が多数形成されたマスク本体(10)と、前記マスク本体(10)の前記ワーク(3)との対向面側に下方に向かって突設された突起部(15)とを備え」る点で一致する。

(d)引用発明の「支持部133の底面側及び周辺部136の少なくともウエハー3との当接面に形成され、固体潤滑材として、例えばフッ素系樹脂、二硫化モリブデン、グラファイト、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、シリコン樹脂などがコーティングされ、粘着性を低減する低粘着質部138」は、本件発明1の「コーティング層(50)」と後記相違点2で相違するものの、「フラックスの付着を防止」し、「前記マスク本体(10)下面」に形成される点で一致する。

したがって、本件発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点>
「所定の配列パターンに対応した通孔(12)内に半田ボール(2)を振り込むことで、ワーク(3)上の所定位置に前記半田ボール(2)を搭載する配列用マスクであって、
前記通孔(12)からなるパターン領域が多数形成されたマスク本体(10)と、
前記マスク本体(10)の前記ワーク(3)との対向面側に設けられた突起部(15)とを備え、
前記マスク本体(10)下面にフラックスの付着を防止できるコーティング層(50)が形成されている
配列用マスク。」

<相違点>
(相違点1)「突起部(15)」について、本件発明1は「下方に向かって先窄まりとなるテーパー状、或いは下方に向かって先拡がりとなるテーパー状」であるのに対して、引用発明は「支持部133」についてこのような特定はなされていない点。

(相違点2)「コーティング層(50)」について、本件発明1は「前記突起部(15)表面、および前記通孔(12)内面に」形成されるのに対して、引用発明は「低粘着質部138」についてこのような特定はなされていない点。

b 相違点についての判断
(a)事案に鑑み、まず相違点2について検討する。
本件特許明細書の、「しかしながら、近年では電子機器の小型化に伴い、バンプの微小化が進んできている。つまり、バンプの微小化に伴って、マスクにおける通孔間隔寸法やパターン領域間隔寸法が狭くなり、通孔間やパターン領域間(パターン領域外周)に配される突起部自身の外形寸法も小さくなる傾向にあるため、マスクとワークとの対向間隔が狭まり、ワークの電極上に配されたフラックスがマスクに付着しやすくなる。特に、マスク本体の下面や通孔内面にフラックスが付着してしまうと、半田ボールの搭載不良が生じやすくなってしまう。本発明の目的は、バンプの微小化に伴って、突起部自身の外形寸法を小さくした場合でも、半田ボールを不良なく搭載できる配列用マスク及びその製造方法を提供することにある。」(段落【0005】)という記載に照らすと、本件発明1の課題は、マスク本体にフラックスが付着することを防止することで、半田ボールを不良なく搭載することであると理解できる。
一方、甲第2号証の明細書の「しかしながら、マスクの被配列体と接触する面が鏡面状になっていたり、被配列体の表面(被配列体の導電性ボールを搭載する面)が軟質樹脂材のようにマスクとなじみ易い材質の場合には、マスクと被配列体との接触している部分が真空状態になる等して部分的にマスクと被配列体が密着してしまうことがある。このような場合、図9に示すように、マスク82の全体が被配列体3から均一に離れないため、密着部分829を支点にしてマスク82はたわみ変形しながら移動する。そうすると、開口部821の壁面は垂直方向のみならず水平方向にも移動するため、導電性ボール2は壁面で横向きに押され、電極31から脱落することがある。特に、導電性ボールの直径が100μm以下と微小な場合には、それに応じボールを配列するマスクの厚みも薄く構成されるので、マスクはたわみ変形し易い。このような剛性の低いマスクは、被配列体から離れた瞬間に弦のように振動する。更に、導電性ボールが微小な場合には、粘着剤はマスクへの付着を避けるように薄く塗布されるので、粘着剤による導電性ボールの保持力は小さい。そのため、導電性ボールは弦のように振動するマスクによって弾き飛ばされて電極から脱落してしまうことがある。
本発明は、上記従来技術の問題を本願発明者らが鋭意検討のうえなされたものであり、微小なボールを所定のパターンで被配列体に搭載するボール振込み用マスクにおいて、マスクの開口部に振込まれ被配列体に一旦所定パターンで搭載された導電性ボールが、マスクを被配列体から取外す時に、位置ずれすることを解消可能なボール振込み用マスク及びこれを用いたボール搭載装置を提供することを目的としている。」(段落【0009】)という記載に照らすと、引用発明の課題はマスクと被配列体が密着してしまうことで、マスク82の全体が被配列体3から均一に離すことができず、導電性ボールが位置ずれを起こしてしまうことに鑑み、当該位置ずれを解消することであると理解できる。
そして引用発明は、マスクと被配列体が密着する部分、すなわち、支持部(133)の底面側に、撥水性が良好であって、マスクとの粘着性を低減する低粘着質部(138)を形成することで当該課題を解決するものである。
このように、引用発明は、マスクと被配列体の粘着性を低減するために、マスクと被配列体が密着する部分に低粘着質部(138)を形成することで、発明の課題を解決するものである。一方、マスクと被配列体が接触しない突出部(本件発明1の「突起部(15)」にあたる。)の表面、及び、開口部131(本件発明1の「通孔(12)」にあたる。)の内面では、マスクと被配列体が離れていることから、上記の粘着性の問題は起こり得ないことに照らすと、引用発明において、それらの部分に低粘着質部(138)を形成する動機付けはないというべきである。

一方、特許異議申立人角田朗は、甲第3号証から甲第6号証の記載事項に照らせば、コーティング層を通孔(12)内面に形成することは、当業者に一般的に知られている技術(周知技術、慣用技術)、又は経験則から明らかな事項であるから、本件発明1は、引用発明及び当業者に一般的に知られている周知・慣用技術(甲3記載事項?甲6記載事項)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張する。
甲第4号証から甲第6号証に記載された技術的事項は、接続バンプの方式として、半田や銅などの導電材を含んだペーストを電子部品の電極に印刷するペースト方式が採用されている。また、この方式を用いた場合、液状の印刷ペーストがマスク板の開口部に付着し、開口部の精度が低下するおそれがあることから、撥水性を有するコーティング層を開口部の内面に形成することで、そのような精度の低下を防ぐことも記載されている。(甲第4号証の第2頁6行?17行、甲第5号証の段落【0009】、甲第6号証の段落【0004】)
一方、引用発明では、接続バンプの方式として、固体である導電性ボールを電極に搭載する導電性ボール方式が採用されているから、甲第4号証から甲第6号証のペースト方式を用いたもののように、液状の印刷ペーストが開口部に付着する事象は起こり得ない。したがって、甲第4号証から甲第6号証の事項を、甲第2号証に記載の発明に適用する動機付けはないというべきである。
したがって、特許異議申立人角田朗のかかる主張を、採用することはできない。

以上のとおりであるから、引用発明において甲第3-6号証を参酌しても、上記相違点2に係る本件発明1の構成とすることを、当業者が容易になし得たとはいえない。

(b)よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は当業者であっても引用発明、及び甲第3-6号証に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
したがって、本件発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。

(イ) 本件発明3、4について
本件発明3、4は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものであるから、本件発明1が、引用発明及び甲第3-6号証に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえないことから、本件発明3、4も、引用発明及び甲第3-6号証に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、本件発明3,4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。

6 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正を認め、また、取消理由通知に記載した上記取消理由及び特許異議申立人が主張する申立理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1、3、4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1、3、4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の配列パターンに対応した通孔(12)内に半田ボール(2)を振り込むことで、ワーク(3)上の所定位置に前記半田ボール(2)を搭載する配列用マスクであって、
前記通孔(12)からなるパターン領域が多数形成されたマスク本体(10)と、前記マスク本体(10)の前記ワーク(3)との対向面側に下方に向かって突設された突起部(15)とを備え、
突起部(15)は、下方に向かって先窄まりとなるテーパー状、或いは下方に向かって先拡がりとなるテーパー状とされており、
前記マスク本体(10)下面、前記突起部(15)表面、および前記通孔(12)内面に、フラックスの付着を防止できるコーティング層(50)が形成されていることを特徴とする配列用マスク。
【請求項2】
前記マスク本体(10)と前記突起部(15)とが別体で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配列用マスク。
【請求項3】
前記コーティング層(50)は、前記マスク本体(10)上面に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の配列用マスク。
【請求項4】
前記コーティング層(50)は、1μm以下の厚さで形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の配列用マスク。
【請求項5】
通孔(12)からなるパターン領域が多数形成されたマスク本体(10)と、前記マスク本体(10)のワーク(3)との対向面側に設けられた突起部(15)とを備え、前記マスク本体(10)下面、前記突起部(15)表面、および前記通孔(12)内面に、フラックスの付着を防止できるコーティング層(50)が形成された配列用マスクの製造方法であって、
母型(40)上に、レジスト体(41a)を有する一次パターンレジスト(41)を形成する工程と、
前記レジスト体(41a)を用いて、前記母型(40)上に、一次電着層(42)を形成する工程と、
前記一次パターンレジスト(41)を除去する工程と、
前記一次電着層(42)上に、レジスト体(44a)を有する二次パターンレジスト(44)を形成する工程と、
前記一次電着層(42)の前記二次パターンレジスト(44)が形成された側の表面、前記二次パターンレジスト(44)の表面、および前記一次電着層(42)の前記レジスト体(41a)と接していた面に、前記コーティング層(50)を形成する工程とを有することを特徴とする配列用マスクの製造方法。
【請求項6】
前記コーティング層(50)を形成する工程においては、前記一次電着層(42)の前記二次パターンレジスト(44)が形成された側とは反対側の表面に前記コーティング層(50)を形成することを特徴とする請求項5に記載の配列用マスクの製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-08-12 
出願番号 特願2015-36180(P2015-36180)
審決分類 P 1 652・ 575- YAA (H01L)
P 1 652・ 16- YAA (H01L)
P 1 652・ 121- YAA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平野 崇今井 聖和  
特許庁審判長 恩田 春香
特許庁審判官 西出 隆二
小田 浩
登録日 2019-04-12 
登録番号 特許第6508975号(P6508975)
権利者 マクセルホールディングス株式会社
発明の名称 配列用マスク及びその製造方法  
代理人 森本 聡  
代理人 森本 聡  

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