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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61K
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
管理番号 1366952
異議申立番号 異議2019-700411  
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-11-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-05-21 
確定日 2020-09-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6427270号発明「カルシフェジオール軟カプセル剤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6427270号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?13〕について訂正することを認める。 特許第6427270号の請求項1、4?13に係る特許を維持する。 特許第6427270号の請求項2、3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由
第1 手続の経緯

特許第6427270号(以下「本件特許」という。)についての特許出願(特願2017-525563号)は、2016年2月5日(パリ条約による優先権主張 2015年2月6日、欧州特許庁(EP))を国際出願日として出願され、平成30年11月2日に設定の登録(請求項の数:13)がなされ、同年11月21日に特許掲載公報が発行された。
令和1年5月21日に、特許異議申立人 大隅庸平(以下「申立人」という。)は、本件特許の請求項1?13に係る発明の特許に対して、特許異議の申立てをした。
その後の主な手続の経緯は、次のとおりである。

令和 1年 9月 4日付け: 取消理由通知
令和 1年12月 9日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の
提出
令和 2年 1月17日 : 申立人による意見書の提出
令和 2年 2月28日付け: 取消理由通知(決定の予告)
令和 2年 6月 1日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の
提出

なお、令和2年2月28日付け取消理由通知(決定の予告)(以下、日付は省略する。)は、令和1年12月9日に提出された訂正請求書による訂正の請求(以下「先の訂正請求」という。)により特許請求の範囲が訂正されたことから、新たに生じた、特許異議申立書に記載された申立ての理由ではない取消理由のみを通知したものであり、申立人には、既に先の訂正請求に対する意見書の提出の機会が与えられており、令和2年6月1日に提出された訂正請求書による訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)により、特許請求の範囲が相当程度減縮され、本件特許異議申立事件において提出された全ての証拠及び意見等を踏まえて更に審理を進めたとしても、特許を維持すべきとの結論になると合議体は判断したため、申立人に本件訂正請求に対する意見書を提出する機会を与えなかった。

第2 訂正の適否

1 訂正の内容

本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正しようとするものであって、その内容は、以下のとおりである(訂正箇所には、当審が下線を付した。)。
なお、訂正前の請求項1?13について、請求項2?13が、訂正事項1及び2によって訂正される請求項1の記載を、それぞれ直接的に又は間接的に引用する関係にあるから、本件訂正は特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である請求項1?13について請求されたものである。
また、先の訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「a)軟カプセルシェルであって、
・40?80重量%のゼラチンと、
・10?50重量%の、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、およびそれらの混合物からなる群より選択される可塑剤と
を含むものであり、
ここで、重量ベースの量は、該軟カプセルシェルの総重量に対する割合として表される、軟カプセルシェル;」
と記載されているのを、
「a)軟カプセルシェルであって、
・60?70重量%のゼラチンと、
・15?25重量%のグリセロール、および5?15重量%のソルビトールからなる可塑剤と
を含むものであり、
ここで、重量ベースの量は、該軟カプセルシェルの総重量に対する割合として表される、軟カプセルシェル;」
に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項4?13も同様に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に
「b)以下を含む医薬組成物:
・カルシフェジオール、
・中鎖脂肪酸トリグリセリド、ミリスチン酸イソプロピル、C_(14)?C_(18)アルキルアルコール、C_(14)?C_(18)アルケニルアルコール、ラノリンアルコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される油状成分、および
・エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒;」
と記載されているのを、
「b)以下を含む医薬組成物:
・0.01?0.1重量%のカルシフェジオール、
・95?99.9重量%の、中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびミリスチン酸イソプロピルからなる群より選択される油状成分、および
・0.5?1.5重量%の、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒、
ここで、前記の重量ベースの量は、該医薬組成物中に存在するカルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の総重量に対する割合として表され、前記カルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の前記重量ベースの量は合計で100重量%である;」
に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項4?13も同様に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1?3のいずれか一項に記載の」と記載されているのを、「請求項1に記載の」に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1?4のいずれか一項に記載の」と記載されているのを、「請求項1または4に記載の」に訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1?5のいずれか一項に記載の」と記載されているのを、「請求項1、4、5のいずれか一項に記載の」に訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1?6のいずれか一項に記載の」と記載されているのを、「請求項1、4?6のいずれか一項に記載の」に訂正する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項8に「請求項1?7のいずれか一項に記載の」と記載されているのを、「請求項1、4?7のいずれか一項に記載の」に訂正する。

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項9に「請求項1?8のいずれか一項に記載の」と記載されているのを、「請求項1、4?8のいずれか一項に記載の」に訂正する。

(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1?9のいずれか一項に記載の」と記載されているのを、「請求項1、4?9のいずれか一項に記載の」に訂正する。

(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項11に「請求項1?10のいずれか一項に記載の」と記載されているのを、「請求項1、4?10のいずれか一項に記載の」に訂正する。

(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項13に「請求項1?10のいずれか一項に記載の」と記載されているのを、「請求項1、4?10のいずれか一項に記載の」に訂正する。

(14)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項13に「b)ゼラチン;可塑剤;水;ならびに場合により、薬学的に許容される乳白剤および/または薬学的に許容される着色剤を含む混合物を調製する工程と、」と記載されているのを、「b)ゼラチン;グリセロールおよびソルビトールの混合物からなる可塑剤;水;ならびに場合により、薬学的に許容される乳白剤および/または薬学的に許容される着色剤を含む混合物を調製する工程と、」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、及び、特許請求の範囲の
拡張・変更の存否

(1)訂正事項1について

訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の段落【0038】の
「別の特定の実施形態において、当該軟カプセルシェルは、
・60?70重量%のゼラチン、
・15?25重量%のグリセロール、および
・5?15重量%のソルビトール、
を含み、ここで、重量ベースの量は、当該シェルの総重量に対して表される。」
という記載に基づき、訂正前の請求項1に記載されている軟カプセルシェルの成分及び量について、「40?80重量%のゼラチン」を、訂正前の量の範囲内である「60?70重量%のゼラチン」に限定し、「10?50重量%」の「可塑剤」を、訂正前の量の範囲内であり訂正前に選択肢として列記された成分の中から、「15?25重量%のグリセロール、および5?15重量%のソルビトールからなる可塑剤」に限定するものである。
したがって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について

訂正事項2は、訂正前の請求項1に、
「b)以下を含む医薬組成物:
・カルシフェジオール、
・中鎖脂肪酸トリグリセリド、ミリスチン酸イソプロピル、C_(14)?C_(18)アルキルアルコール、C_(14)?C_(18)アルケニルアルコール、ラノリンアルコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される油状成分、および
・エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒」
と記載されているのを、
「b)以下を含む医薬組成物:
・0.01?0.1重量%のカルシフェジオール、
・95?99.9重量%の、中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびミリスチン酸イソプロピルからなる群より選択される油状成分、および
・0.5?1.5重量%の、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒、
ここで、前記の重量ベースの量は、該医薬組成物中に存在するカルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の総重量に対する割合として表され、」
に訂正するとともに(以下「訂正事項2a」という。)、さらに、
「前記カルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の前記重量ベースの量は合計で100重量%である」
という記載を追加するものである(以下「訂正事項2b」という。)。

訂正事項2aは、本件明細書の段落【0050】の
「別の特定の実施形態において、本発明の軟カプセル剤の医薬組成物は、
・0.01?0.1重量%のカルシフェジオール、
・95?99.9重量%の、中鎖脂肪酸トリグリセリド(好ましくはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)およびミリスチン酸イソプロピルからなる群より選択される油状成分、好ましくは中鎖脂肪酸トリグリセリド(例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドなど)、および
・0.5?1.5重量%の、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒、好ましくはエタノール、
を含み、ここで、重量ベースの量は、当該医薬組成物中に存在するカルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の総重量に対して表される。」
という記載に基づき、訂正前の請求項1に記載されている医薬組成物の成分及び量について、訂正前は量の特定がされていない「カルシフェジオール」を、「0.01?0.1重量%のカルシフェジオール」に限定し、訂正前は特定されていない「油状成分」の量を、「95?99.9重量%」に限定するとともに、「油状成分」の選択肢を、訂正前の列記された成分の中から、「中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびミリスチン酸イソプロピルからなる群」に限定し、訂正前は特定されていない「有機溶媒」の量を、「0.5?1.5重量%」に限定するとともに、「有機溶媒」の選択肢を、訂正前の列記された成分の中から、「エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群」に限定するものである。
したがって、訂正事項2aは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

訂正事項2bは、後記「第4」の「1」に概要を示す、取消理由通知(決定の予告)により通知された、先の訂正請求による訂正後の本件発明1、4?13は明確でないから、該訂正後の請求項1、4?13の記載は、特許法第36条第6項第2号に適合しないという「取消理由2」に対応するための訂正事項であり、訂正前の請求項1に記載されている医薬組成物の成分及び量を、前記訂正事項2aによる訂正と併せて、明瞭に定義するものである。
また、本件明細書等には、「前記カルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の前記重量ベースの量は合計で100重量%である」という事項は、文言として明示はないが、「重量%」という用語が、複数の成分の重量を合計した全体の重量を100とした場合の各成分の重量の比率を意味することは明らかであり、前記した段落【0050】における「ここで、重量ベースの量は、当該医薬組成物中に存在するカルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の総重量に対して表される。」という記載における「重量ベースの量」は、「総重量」を100とした場合の「重量%」を意味することは自明である。
したがって、訂正事項2bは、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3及び4について

訂正事項3及び4は、それぞれ請求項2及び3を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(4)訂正事項5?13について

訂正事項5?13は、訂正事項3及び4により請求項2及び3を削除することに伴い、請求項4?13において、それぞれ引用する請求項の数を減少するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5)訂正事項14について

訂正事項14は、本件明細書の段落【0034】の
「一つの実施形態において、当該軟カプセルシェルは、ゼラチン、ならびにグリセロール、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、およびそれらの混合物からなる群より選択される可塑剤;好ましくは、グリセロール、ソルビトール、およびそれらの混合物からなる群より選択される可塑剤を含む。」
という記載に基づき、
訂正前の請求項13に記載されている「軟カプセルシェル」を形成するための混合物を調製する「工程b)」により調製される「混合物」が含む成分のうちの「可塑剤」を、「グリセロールおよびソルビトールの混合物からなる可塑剤」として、その成分を好ましいとされるものに具体的に特定して限定するものである。
したがって、訂正事項14は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3 特許出願の際に独立して特許を受けることができること

本件特許異議申立事件においては、訂正前の全ての請求項である請求項1?13に対して特許異議の申立てがされているので、訂正事項1?14については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する要件(独立特許要件)は課されない。

4 訂正の適否についての小括

以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の特許請求の範囲の減縮又は同第3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。また、本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないから、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、本件特許の特許請求の範囲を、令和2年6月1日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?13〕について訂正することを認める。

第3 本件訂正後の本件発明

前記「第2」のとおり、本件訂正は認められたので、本件訂正後の請求項1?13に係る発明は、令和2年6月1日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下、請求項の番号の順に、それぞれ「本件発明1」?「本件発明13」といい、これらを総称して「本件発明」ということがある。なお、訂正箇所には当審が下線を付した。)。

「【請求項1】
a)軟カプセルシェルであって、
・60?70重量%のゼラチンと、
・15?25重量%のグリセロール、および5?15重量%のソルビトールからなる可塑剤と
を含むものであり、
ここで、重量ベースの量は、該軟カプセルシェルの総重量に対する割合として表される、軟カプセルシェル;および
b)以下を含む医薬組成物:
・0.01?0.1重量%のカルシフェジオール、
・95?99.9重量%の、中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびミリスチン酸イソプロピルからなる群より選択される油状成分、および
・0.5?1.5重量%の、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒、
ここで、前記の重量ベースの量は、該医薬組成物中に存在するカルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の総重量に対する割合として表され、前記カルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の前記重量ベースの量は合計で100重量%である;
を含んでなる軟カプセル剤であって、
前記軟カプセルシェルが前記医薬組成物を封入してなり、かつ
前記医薬組成物がワックスを含まないものである、軟カプセル剤。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記油状成分が、中鎖脂肪酸トリグリセリド、好ましくはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドであり、および/または前記薬学的に許容される有機溶媒が、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物からなる群より選択されるもの、好ましくはエタノールである、請求項1に記載の軟カプセル剤。
【請求項5】
界面活性剤を含まない、請求項1または4に記載の軟カプセル剤。
【請求項6】
前記医薬組成物が、カルシウムイオンまたはその薬学的に許容される誘導体をさらに含んでなる、請求項1、4、5のいずれか一項に記載の軟カプセル剤。
【請求項7】
前記医薬組成物が、鉄イオンまたはその薬学的に許容される誘導体、ビタミンB12、ビタミンB9、レボメフォリック酸またはその薬学的に許容される塩、および/または必須不飽和脂肪酸、またはそれらの混合物をさらに含んでなる、請求項1、4?6のいずれか一項に記載の軟カプセル剤。
【請求項8】
前記医薬組成物が、ビスホスホネートをさらに含んでなる、請求項1、4?7のいずれか一項に記載の軟カプセル剤。
【請求項9】
前記軟カプセルシェルが、薬学的に許容される乳白剤および/または薬学的に許容される着色剤をさらに含んでなる、請求項1、4?8のいずれか一項に記載の軟カプセル剤。
【請求項10】
200?180000IUのカルシフェジオールを含んでなる、請求項1、4?9のいずれか一項に記載の軟カプセル剤。
【請求項11】
ビタミンD欠乏症、脱塩、例えば、低カルシウム血症および低リン酸塩血症など、腎性骨ジストリフィー、クル病、骨粗しょう症、骨減少症、骨関節炎、変形性関節症、骨軟化症、副甲状腺機能低下症、および炎症性腸疾患からなる群より選択される疾患の治療および/または予防のための、請求項1、4?10のいずれか一項に記載の軟カプセル剤を含んでなる、医薬組成物。
【請求項12】
前記軟カプセル剤が、3ヶ月に一回、2ヶ月に一回、1ヶ月に一回、3週間に1回、2週間に1回、1週間に1回、または1日1回の投与用である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
請求項1、4?10のいずれか一項に記載の軟カプセル剤を製造する方法であって、
a)カルシフェジオール;油状成分;および薬学的に許容される有機溶媒;ならびに場合により、カルシウムイオンまたはその薬学的に許容される誘導体、鉄イオンまたはその薬学的に許容される誘導体、ビタミンB12、ビタミンB9、レボメフォリック酸またはその薬学的に許容される塩、必須不飽和脂肪酸、および/またはビスホスホネートを含む混合物を調製する工程と、
b)ゼラチン;グリセロールおよびソルビトールの混合物からなる可塑剤;水;ならびに場合により、薬学的に許容される乳白剤および/または薬学的に許容される着色剤を含む混合物を調製する工程と、
c)工程b)の混合物からシェルを形成する工程と、
d)工程a)の混合物で前記シェルを満たす工程と、
e)工程d)において得られたカプセル剤を乾燥させる工程と
を少なくとも含んでなることを特徴とする方法。」

第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について

1 取消理由の概要

先の訂正請求により訂正された請求項1、4?13に係る特許について、当審が取消理由通知(決定の予告)により特許権者に通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。
なお、ここでいう「本件訂正」は、取り下げられたものとみなされる先の訂正請求による訂正のことであり、先の訂正請求による訂正は、前記「第2の2(2)」に示した「訂正事項2b」を含まないことを除いて、本件訂正請求による訂正と同じ内容である。また、上記取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由は、以下の「取消理由2」のみであって、ここに示していない「取消理由1」とは、令和1年9月4日付け取消理由通知(以下「先の取消理由通知」という。)により特許権者に通知した取消理由である。

『[取消理由2](明確性)
請求項1、4?13に係る本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。



本件訂正後の請求項1には、本件発明1の「軟カプセル剤」を構成する「軟カプセルシェル」に封入される「医薬組成物」について、「カルシフェジオール」、「油状成分」及び「有機溶媒」の3つの成分を、それぞれ「0.01?0.1重量%」、「95?99.9重量%」及び「0.5?1.5重量%」の量で含むものであって、この「重量ベースの量」は、「医薬組成物中に存在するカルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の総重量に対する割合として表される」ことが記載されており、上記「重量ベースの量」の規定に基づけば、上記3つの成分の含有量は、合計で100重量%になる必要があると解される。
しかしながら、「油状成分」の含有量を、その下限値である「95重量%」とした場合には、他の2つの成分である「カルシフェジオール」及び「有機溶媒」について、それぞれの含有量の上限値である「0.1重量%」及び「1.5重量%」を加えても、それらの合計値は「96.6重量%」となり、100重量%に到達し得ない。
その一方、「油状成分」の含有量を、その上限値である「99.9重量%」とした場合には、他の2つの成分である「カルシフェジオール」及び「有機溶媒」について、それぞれの含有量の下限値である「0.01重量%」及び「0.5重量%」としても、それらの合計値は「100.41重量%」となり、100重量%を超過することになる。
そのため、本件発明1の「軟カプセル剤」を構成する「軟カプセルシェル」に封入されてなる「医薬組成物」は、その成分組成の定義が技術的に矛盾することになり、「カルシフェジオール」、「油状成分」及び「有機溶媒」の3つの成分の各含有量の上限値及び下限値について、本件訂正後の請求項1に記載された数値のとおりに理解することができない結果、本件発明1を明確に把握することができない。
また、この点については、本件訂正後の請求項1を引用し、上記の3つ成分の各含有量を明確に定義していない、本件訂正後の請求項4?13も同様である。
したがって、本件発明1、4?13は明確でないから、本件訂正後の請求項1、4?13の記載は、特許法第36条第6項第2号に適合しない。』

2 取消理由についての当審の判断

(1)
本件訂正後の請求項1には、先の訂正請求後の請求項1と同様、本件発明1の「軟カプセル剤」を構成する、「軟カプセルシェル」に封入される「医薬組成物」について、「カルシフェジオール」、「油状成分」及び「有機溶媒」の3つの成分を、それぞれ「0.01?0.1重量%」、「95?99.9重量%」及び「0.5?1.5重量%」の量で含むものであって、この「重量ベースの量」は、「医薬組成物中に存在するカルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の総重量に対する割合として表される」ことが記載されている(以下、この要件を「要件a」という。)。
これに加えて、本件訂正後の請求項1には、「前記カルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の前記重量ベースの量は合計で100重量%である」という事項が記載されている(以下、この要件を「要件b」という。)。
そのため、本件発明1における「医薬組成物」に含まれる「カルシフェジオール」、「油状成分」及び「有機溶媒」のそれぞれの含有量は、上記「要件a」だけでなく、上記「要件b」も充足しなければならないものとして定義されていることになる。

(2)
その結果、「油状成分」の含有量を、その下限値である「95重量%」とした場合には、他の2つの成分である「カルシフェジオール」及び「有機溶媒」を、それぞれ含有量の範囲内の「0.01?0.1重量%」及び「0.5?1.5重量%」とした組成は、上記「要件a」を充足するが、「カルシフェジオール」及び「有機溶媒」を、それぞれ含有量の上限値である「0.1重量%」及び「1.5重量%」としても、3つの成分の量の合計は、「96.6重量%」となって、「100重量%」に到達せず、上記「要件b」を充足しないから、そのような組成を有するものが本件発明1に包含されないことは明らかである。
同様に、「油状成分」の含有量を、その上限値である「99.9重量%」とした場合にも、他の2つの成分である「カルシフェジオール」及び「有機溶媒」を、それぞれ含有量の範囲内の「0.01?0.1重量%」及び「0.5?1.5重量%」とした組成は、上記「要件a」を充足するが、「カルシフェジオール」及び「有機溶媒」を、それぞれ含有量の下限値である「0.01重量%」及び「0.5重量%」としても、3つの成分の量の合計は「100.41重量%」となり、「100重量%」を超過し、上記「要件b」を充足しないから、そのような組成を有するものも本件発明1に包含されないことは明らかである。
そうすると、本件発明1における「油状成分」の含有量については、下限値の「95重量%」も上限値の「99.9重量%」も採り得ないことになるが、当該含有量を両者の値の間の数値範囲内として、他の2つの成分である「カルシフェジオール」及び「有機溶媒」の含有量を、それぞれ「0.01?0.1重量%」及び「0.5?1.5重量%」の範囲内とし(即ち、上記「要件a」を充足し)、かつ、3つの成分の量の合計を「100重量%」とした(即ち、上記「要件b」も充足する)ものは、本件発明1に該当するのに対して、上記「要件a」を充足しても、上記「要件b」を充足しないものは、本件発明1には該当しないことは、本件訂正後の請求項1の記載に接した当業者ならば、容易に理解し得るといえる。

(3)
このことは、本件明細書の記載とも整合している。
即ち、本件明細書の段落【0084】?【0091】には、「軟カプセル剤の調製方法」と題する項目の記載があり、段落【0085】には、軟カプセル剤を調製する方法に、
「a)カルシフェジオール;油状成分;および薬学的に許容される有機溶媒;ならびに場合によりカルシウムまたはその薬学的に許容される誘導体、鉄またはその薬学的に許容される誘導体、ビタミンB12、ビタミンB9、レボメフォリック酸またはその薬学的に許容される塩、必須不飽和脂肪酸、および/またはビスホスホネートを含む混合物を調製する工程」(下線は当審が付した。)
という「工程a)」が含まれることが記載されており、これに続く段落【0086】には、
「工程a)は、当該軟カプセルシェルによって封入される医薬組成物中に存在するであろう原料成分、すなわち、カルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒、を含む混合物を調製する工程を含む。・・・。好ましくは、当該混合物は、カルシフェジオールを薬学的に許容される有機溶媒に溶解させ、次いで結果として得られる溶液を油状成分に加えることによって調製され、ここで、当該医薬組成物中に存在するであろう任意の追加の原料成分も、当該油状成分に加えられる。」(下線は当審が付した。)
と記載されている。
上記段落【0086】の記載も参照して本件訂正後の請求項1の記載に接した当業者ならば、本件発明1における「医薬組成物」について、有効成分である「カルシフェジオール」を、まず「有機溶媒」に溶解させて溶液を得た後、次いで、当該溶液に、場合により任意の追加の原料成分も加えた「油状成分」を加え、混合物を調製して得られた態様を含むこと、換言すると、「油状成分」については、「有機溶媒」に溶解した「カルシフェジオール」の溶液を介して、有効成分である「カルシフェジオール」の含有量を「0.01?0.1重量%」に調節して「医薬組成物」を調製する際の「バランス(残部)」としての役割を果たしていることを、理解し得るといえる。

(4)
したがって、「油状成分」の含有量が、その数値範囲の下限値も上限値も採り得ないことは、一見、整合性に欠けるものの、本件訂正後の請求項1の記載は、当業者において、本件明細書を参照して理解すれば、その技術的範囲は明確であり、第三者に対して不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
このことは、本件発明1を直接的に又は間接的に引用し、「医薬組成物」における「カルシフェジオール」、「有機溶媒」及び「油状成分」の含有量の要件が本件発明1と共通する、本件発明4?13についても同様である。

3 取消理由についての小括

以上のとおり、本件発明1?13における「医薬組成物」の「カルシフェジオール」、「有機溶媒」及び「油状成分」の含有量の要件は明確であり、本件訂正によって、前記「1」に示した取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由が解消したことは明らかである。

第5 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立
理由について

申立人は、令和1年5月21日に提出した特許異議申立書において、本件請求項1?13に係る特許を取り消すべき理由として、後記「1」に概要を示す申立理由1?3を主張するととともに、証拠方法として、後記「2」に示す甲第1?16号証(以下、それぞれの番号順に「甲1」?「甲16」ということがある。)を提出している。
上記申立理由1?3のうち、申立理由1については、先の取消理由通知において採用し、「取消理由1」として特許権者に通知したが、先の訂正請求がなされた後の取消理由通知(決定の予告)においては、いずれの申立理由も採用しなかった。これらの申立理由1?3について、後記「4」?「6」で検討する。

1 申立ての理由の概要

(1)申立理由1(甲1を主引例とした進歩性欠如)
本件発明1?13は、甲1及び甲6に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1?13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)申立理由2(甲2を主引例とした進歩性欠如)
本件発明1?13は、甲2、甲1及び甲6に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1?13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(3)申立理由3(甲3を主引例とした進歩性欠如)
本件発明1?13は、甲3、甲1及び甲6に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1?13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

2 申立人が提出した証拠方法

<特許異議申立書に添付して提出>
・甲第1号証 : 特表2010-525078号公報
・甲第2号証 : 特表2009-525985号公報
・甲第3号証 : PHYSICIANS' DESK REFERENCE,
46 EDITION, 1992, PP.1635-1636
・甲第4号証 : 特表2011-529081号公報
・甲第5号証 : Remington The Science and Practice of Pharmacy,
21st Edition, 2005, p.923
・甲第6号証 : Encyclopedia of PHARMACEUTICAL TECHNOLOGY,
3rd Edition, Volume 1, 2007,pp.419-430
・甲第7号証 : Journal of Pharmaceutical Sciences,
Vol.99, No.10, 2010, pp.4107-4148
・甲第8号証 : Food Chemistry, Vol.172, 2015,pp.155-160
(Available online 16 September 2014)
・甲第9号証 : 本件対応欧州特許出願(EP16702960.2)の審査過程で
出願人が提出した2018年4月3日付けの書面
・甲第10号証: 本件対応欧州特許出願(EP16702960.2)の審査過程で
出願人が提出した2019年2月6日付けの書面

<令和2年1月17日に提出した意見書に添付して提出>
・甲第11号証: International Journal of Pharmaceutical Sciences
Review and Research, Vol.10, No.1, 2011, pp.20-24
・甲第12号証: Pharmaceutical Capsules, 2nd edition, 2004,
pp.201-212
・甲第13号証: Formulating Poorly Water Soluble Drugs, 2012,
pp.190-194
・甲第14号証: Theory and Practice of Contemporary Pharmaceutics,
2005, pp.321-323
・甲第15号証: 「RAYALDEE」添付文書, 2016
・甲第16号証: 本件対応欧州特許出願(EP16702960.2)の審査過程で
匿名の第三者が提出した2019年6月13日付けの書面

3 刊行物の記載事項

甲1?甲16のうち、上記申立理由1?3の判断に必要なものについて、記載事項を摘記する。なお、下線は、特に言及がない限り全て当審が付したものである。また、外国語で記載された刊行物については、当審による和訳で摘記した。

(1)甲1の記載事項

甲1には、以下の(1a)?(1j)の事項が記載されている。

(1a)(段落【0019】?【0020】)
「【0019】
現在利用可能な経口ビタミンDサプリメントは、最適な血中25-ヒドロキシビタミンD濃度を達成しかつ維持するための理想からかけ離れている。これらの調合物は、典型的には、400IU?5,000IUのビタミンD_(3)または50,000IUのビタミンD_(2)を含有し、消化管での急速または即放用に製剤化される。ビタミンDの充足にしばしば必要とされるような慢性的高投与量で投与する場合、これらの製品は、下記に要約する重要でしばしば厳しい制約を有する。
【0020】
高投与量の即放性ビタミンDサプリメントは、血中ビタミンD濃度の著しい急増を引き起こし、それによって、(a)脂肪組織中へのビタミンDの貯蔵(このことは、貯蔵されたビタミンDが後程の肝臓での25-ヒドロキシビタミンDへの転化にあまり利用できないので、望ましくない)、(b)肝臓でのビタミンDの代謝産物への異化(このことは、24-および/または26-ヒドロキシル化により血中25-ヒドロキシビタミンD濃度を上昇させるのにあまり有用でないか、あるいはもはや有用ではない)、および(c)ビタミンDの過剰な細胞内24-または25-ヒドロキシル化(このことは、高カルシウム尿症、高カルシウム血症および高リン血症のリスク増大につながる)を促進する。」

(1b)(【請求項1】、段落【0031】)
「【請求項1】
製剤を摂取する対象の消化管中でのビタミンD化合物の制御放出のための製剤であって、ワックス状制御放出性担体物質、類脂質性物質、ビタミンD化合物用油性ビヒクル、およびビタミンD化合物を含む固体または半固体のワックス状混合物を含有する製剤。」
「【課題を解決するための手段】
【0031】
本開示の一態様は、該製剤を摂取する対象の消化管中でのビタミンD化合物の制御放出のための、固体または半固体のワックス状医薬製剤を提供する。該製剤は、ワックス状制御放出性担体物質、類脂質性物質(lipoidic agent)、ビタミンD化合物のための油性ビヒクル、およびビタミンD化合物を含有する。該製剤は、その中に組み込まれるビタミンD化合物の制御放出を提供する。・・・。」

(1c)(段落【0057】?【0064】、【0070】)
「【0057】
ワックス状制御放出性担体は、室温で固体または半固体、および体温で固体、半固体または液体、好ましくは体温で半固体または液体である製剤を提供する。使用するのに適した担体の例には、合成ワックス、微結晶ワックス、パラフィンワックス、カルナウバワックスおよび蜜蝋などのワックス;ポリエトキシル化ヒマシ油誘導体、水素化植物油、モノ-、ジ-またはトリベヘン酸グリセリル:ステアリルアルコール、セチルアルコールおよびポリエチレングリコールなどの長鎖アルコール;ならびにこれらの任意の混合物が含まれる。硬質パラフィンワックスなどの非消化性ワックス状物質が好ましい。
・・・
【0059】
類脂質性物質は、被治療対象の消化管中での製剤からのビタミンD化合物の放出を提供する。・・・。
・・・
【0063】
好ましい類脂質性物質は、グリセリドおよびその誘導体から選択される。好ましいグリセリドは、中鎖または長鎖グリセリド、カプリロカプロイルマクロゴールグリセリド、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0064】
好ましい中鎖グリセリドには、限定はされないが、中鎖モノグリセリド、中鎖ジグリセリド、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリド、モノラウリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、(カプリル酸/カプリン酸)グリセリド、モノカプリル酸グリセリル、モノジカプリル酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/リノール酸)グリセリド、およびトリ(カプリル酸/カプリン酸/コハク酸)グリセリドが含まれる。」
「【0070】
低融点の多くの固体類脂質性組成物は、該組成物中に医薬として活性な成分を該活性成分のそれぞれの融点を約0℃?約50℃上回る温度で組み込み、次いで溶融物(溶液および/または分散液)を動物性または植物性ゼラチンカプセル中に充填する手段を提供する。溶融物は、室温まで冷却するとカプセル内部で固化する。」

(1d)(段落【0072】)
「【0072】
本明細書に記載の製剤中へ組み込むためには、予防的および/または療的使用に適した任意のビタミンD化合物、およびそれらの組合せが考えられる。ビタミンD、25-ヒドロキシビタミンD、1,25-ジヒドロキシビタミンD、およびビタミンDの他の代謝産物および類似体も、医薬組成物中の活性成分として有用である。具体例には、限定はされないが、ビタミンD_(3)(コレカルシフェロール)、ビタミンD_(2)(エルゴカルシフェロール)、25-ヒドロキシビタミンD_(3)、25-ヒドロキシビタミンD_(2)、1α,25-ジヒドロキシビタミンD_(3)、1α,25-ジヒドロキシビタミンD2、1α,25-ジヒドロキシビタミンD_(4)、および1,25-ジヒドロキシ-19-ノル-ビタミンD_(2)および1α-ヒドロキシビタミンD_(3)を含むビタミンD類似体(すべてのヒドロキシおよびジヒドロキシ形態を含む)が含まれる。・・・。」

(1e)
(段落【0098】、【0100】)
「【0098】
製剤は、当業者に周知の方法によって調製できる。典型的には、医薬として許容し得るワックス、類脂質性物質およびオイルを、必要なら溶融して流動性液体を準備し、それによって均一混合物を得るのをより容易にする。このようにして得られた液状担体に、無水エタノールなどのアルコールに例えば溶解されたビタミンD化合物を添加し、成分を混合して均一混合物を準備する。混合物を、冷却、貯蔵し、その後、充填ゼラチンカプセルなどの単位剤形に分割できる。」
「【0100】
製剤は、好ましくは、治療を必要とする患者に投与するのに先立ってカプセル中に充填される。このようなカプセルは、硬質または軟質でよいが、軟質カプセルが好ましい。・・・。」

(1g)(段落【0102】)
「【0102】
・・・、実施形態の一類型において、製剤は、さらに、酸化防止剤などの保存剤を含む。ブチル化ヒドロキシルトルエン(BHT)が好ましい。」

(1h)(段落【0109】?【0110】)
「【0109】
(実施例1)
調節放出性製剤
下表3に従って、確認された成分を示した量で均一に混合すること、およびその混合物を硬質ゼラチンカプセル中に充填することによって、9種の経口ビタミンD製剤を調製した。製剤9は、従来技術による即放性製剤であり、ここで、MIGLYOL812Nは、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリドの商品名であり、米国ニュージャージー州CranfordのCONDEA Chemie GmbHから入手できる。製剤を、ユカタンミニブタ(約10kg)の群に250μgの25-ヒドロキシビタミンD_(3)に相当する単回投与で投与した。各群は5頭の動物を含んでいた。・・・。
【0110】

【表3】



(1i)(段落【0112】、【図7】)
「【0112】
図1?図8には、群1?8に関する最初の24時間にわたる血清中25-ヒドロキシビタミンD_(3)濃度の変化を表示する。さらに、図7には、群7と共に群9の即放性対照に関するデータも表示する。濃度プロフィールは、本発明による群7の製剤が、(a)最初の24時間にわたって血清中25-ヒドロキシビタミンD_(3)濃度の漸増的かつ継続的上昇をもたらし、かつ(b)25-ヒドロキシビタミンD_(3)濃度の急増を回避したことを示している。」
「【図7】



(1j)(段落【0151】)
「【0151】
(実施例7)
ステージ4のCKD、およびビタミンDの不足に付随する二次性副甲状腺機能亢進症を有する患者での効力研究
血清中総25-ヒドロキシビタミンDを最適濃度(>30ng/mL)まで戻す上での経口即放性および調節放出性25-ヒドロキシビタミンD_(3)の有効性を、ステージ4のCKD、およびビタミンDの不足に付随する二次性副甲状腺機能亢進症を有する成人の男性および女性患者での6カ月間の研究で調べる。研究では2種の製剤を使用する。製剤の1つ(製剤#1)は、調節放出性製剤中に40μgの25-ヒドロキシビタミンD_(3)を含有する軟質ゼラチンカプセルである。第2の製剤(製剤#2)は、即放性製剤中に40μgの25-ヒドロキシビタミンD_(3)を含有する軟質ゼラチンカプセルである。・・・。」

(2)甲2の記載事項

甲2には、以下の(2a)?(2e)の事項が記載されている。

(2a)(段落【0001】、【0004】?【0005】)
「【0001】
25-ヒドロキシビタミンD_(2)及び25-ヒドロキシビタミンD_(3)(“25-ヒドロキシビタミンD”と総称される)として知られるビタミンD代謝産物は、・・・、血流におけるカルシウム及びリンの正常値の維持に貢献する。プロホルモン25-ヒドロキシビタミンD_(2)は、ビタミンD_(2)(エルゴカルシフェロール)から産生され及び25-ヒドロキシビタミンD_(3)は、主に、肝臓に存在する1以上の酵素により、ビタミンD_(3)(コレカルシフェロール)から産生される。2つのプロホルモンは、また、肝臓においてみられる酵素と同一又は類似する酵素を含む、ある種の細胞、例えば、腸細胞におけるビタミンD_(2)及びビタミンD_(3)(“ビタミンD”と称される)から肝臓の外部に産生され得る。・・・。
・・・
【0004】
・・・。
現在入手可能な経口ビタミンDサプリメントは、最適な血中25-ヒドロキシビタミンD濃度を達成及び維持するための理想からはかけ離れている。これらの製剤は、典型的には、400?5000IUのビタミンD_(3)又は50000IUのビタミンD_(2)を含み及び消化管における迅速又は即時放出用に配合される。ビタミンDの充実のために必要とされることが多いように、慢性的高用量で投与される場合、これらの生成物には、有意であり及び深刻なものであることが多い制限があり、これらは以下に概要する。
【0005】
高用量の即時放出ビタミンDサプリメントは、血中ビタミンD濃度の顕著な急増をもたらし、それにより、以下のものが促進される:(a)貯蔵ビタミンDは25-ヒドロキシビタミンDへの後の転化のための利用性が低いので望ましくない、脂肪組織におけるビタミンDの貯蔵;(b)24-及び/又は26-ヒドロキシル化を介して、血中25-ヒドロキシビタミンD濃度を高めるための有用性が少ないか又はもはや全くない代謝産物へのビタミンDの異化;高カルシウム尿症、高カルシウム血症及び高リン血症(VDRへ結合する質量-作用(mass-action)を介する)の上昇されたリスクをもたらす、ビタミンDの過剰な細胞内24-又は25-ヒドロキシル化。・・・。」

(2b)(段落【0007】、【0015】?【0016】)
「【0007】」
発明の概要
・・・。
本発明の実施態様においては、所定量の(an amount of)25-ヒドロキシビタミンD_(2)及び/又は25-ヒドロキシビタミンD_(3)が、制御放出製剤に含まれ及び治療を必要とするヒト又は動物に対して経口的に連日投与される。・・・。」
「【0015】
・・・。
上で説明したように、25-ヒドロキシビタミンD_(2)及び/又は25-ヒドロキシビタミンD_(3)の制御放出を提供する手段は、ワックスマトリックスシステム及びオイドラギトRS/RLシステム(独国ワイターシュタットのロームファーマ社製)を含む、約4時間以上かかる、活性成分の、知られた制御放出デリバリーシステムのいずれかより選ぶことができる。
【0016】
ワックスマトリックスシステムは、脂溶性マトリックスを提供する。ワックスマトリックスシステムでは、蜜ろう、白ろう、カチャロットワックス又は類似の組成物を利用し得る。活性成分は、腸液においてゆっくりと崩壊して、漸進的に、活性物質を放出するワックスバインダー中に分散させる。25-ヒドロキシビタミンD_(2)及び/又は25-ヒドロキシビタミンD_(3)を含浸したワックスバインダーを、部分的に架橋したソフトゼラチンカプセル中に充填する。ワックスマトリックスシステムにより、体温で軟化し及び腸液においてゆっくりと崩壊して、活性成分を漸進的に放出するワックスバインダー中に活性成分が分散される。・・・。エタノール中に溶解した、望ましい量の25-ヒドロキシビタミンD_(2)及び/又は25-ヒドロキシビタミンD_(3)を、溶融マトリックス中に均一に分配し、及びマトリックスをソフトゼラチンカプセルに充填する。充填カプセルは、アルデヒド、例えば、アセトアルデヒドを含有する溶液で、適切な時間処理して、カプセルシェル中のゼラチンを部分的に架橋させる。ゼラチンシェルは、数週間にわたり次第に架橋され及びそれにより、胃及び腸上部の内容物における溶解に対する抵抗性が高まる。正確に構成した場合、このゼラチンシェルは、経口投与後、漸進的に溶解し及び回腸に到達する時までに(十分な崩壊なしに)十分多孔性のものとなって、25-ヒドロキシビタミンD_(2)及び/又は25-ヒドロキシビタミンD_(3)が、ワックスマトリックスから下部小腸の内容物中にゆっくりと拡散することが可能となる。」

(2c)(段落【0021】)
「【0021】
実施例1
経口投与用の制御放出製剤の1つの実施態様
精製した蜜ろう及びヤシ油を、1:1の比で組み合わせ及び均一な混合物が得られるまで連続的に混合しながら75℃に加熱した。ワックス混合物を、約45℃に冷却しながら連続的に均質化した。1:1の比での25-ヒドロキシビタミンD_(2)及び25-ヒドロキシビタミンD_(3)を無水エタノール中に溶解し及びエタノール溶液を、連続的均質化を伴って、溶融ワックス混合物に添加した。添加したエタノールの量は、1?2v/v%の範囲内のものであった。混合を、混合物が均一になるまで継続した。均一混合物をソフトゼラチンカプセル中に充填した。カプセルを、直ちにリンスして、加工潤滑剤(processing lubricant)を除去し及びアセトアルデヒド水溶液中に簡単に含浸させて、ゼラチンシェルを架橋した。・・・。」

(2d)(段落【0023】)
「【0023】
実施例3
犬において試験する薬物動態
20匹の雄性ビーグル犬を2つの比較群にランダムに分け及び30日間補足的ビタミンDを与えなかった。この期間の終わりに、群#1の犬の各々に、実施例1において記載したものと類似する、制御放出製剤で製造した、25mcgの25-ヒドロキシビタミンD_(2)を含有する単一ソフトゼラチンカプセルを与えた。他の群(群#2)の犬の各々に、中鎖脂肪酸トリグリセリド油中に溶解した、25mcgの25-ヒドロキシビタミンD_(2)を含有する単一即時放出ソフトゼラチンカプセルを与えた。・・・。群#1の犬では、25-ヒドロキシビタミンDの平均血中濃度について、群#2の犬のものより、より緩やかな上昇及びより低い最大値(Cmax)が観察された。・・・。」

(2e)(段落【0024】)
「【0024】
実施例4
健常ボランティアにおいて試験する薬物動態
18?24才の健常な非肥満性成人16人が、11週の薬物動態学的研究の被験者となり、その中においては、被験者に、25-ヒドロキシビタミンD_(2)の2つの製剤を、連続的に及び二重盲式で与えた。一方の製剤(製剤#1)は、実施例1において記載したものと類似する、制御放出製剤で製造した、100mcgの25-ヒドロキシビタミンD_(2)を含有するソフトゼラチンカプセルであった。他方の製剤(製剤#2)は、中鎖脂肪酸トリグリセリド油中に溶解した、100mcgの25-ヒドロキシビタミンD_(2)を含有する、外観が同一の、即時放出ソフトゼラチンカプセルであった。・・・。製剤#1では、製剤#2より、25-ヒドロキシビタミンDの平均血中濃度が緩やかに上昇し及びそのCmaxがより低いことが分かった。しかしながら、製剤#1では、また、製剤#2と比較して、観察されたCmaxがより低いという事実にもかかわらず、25-ヒドロキシビタミンD_(2)の平均血中濃度の上昇がより長期化した。平均AUCは、製剤#1の投与後、25-ヒドロキシビタミンDについて実質的により高かった。これらの処置により、健常成人に対する、本発明の製剤中の25-ヒドロキシビタミンD_(2)の投与により、(中鎖脂肪酸トリグリセリド油における)即時放出用に配合した同量の25-ヒドロキシビタミンD_(2)を投与した後のものより、非常に高い漸進性で上昇し及び安定性がより高いままである、25-ヒドロキシビタミンDの血中濃度が生じることが証明された。・・・。」

(3)甲3の記載事項

甲3には、以下の(3a)及び(3b)の事項が記載されている。

(3a)(1635頁右欄4?9行)
「経口投与用のCalderol(登録商標)は、2種類の分量(20μgのカルシフェジオールを含む白色のカプセル及び50μgのカルシフェジオールを含むオレンジ色のカプセル)で市販されている。
20μg及び50μgのカプセルは、それぞれ、不活性成分として、ゼラチン、グリセリン、コーン油、メチレンプロピルパラベン、精製水、及び二酸化チタンを含む。」

(3b)(1636頁中央欄19?25頁)
「Calderol(登録商標)(カルシフェジオール・カプセル、USP)は、以下の分量及びパッケージ・サイズで市販されている。」
分量 パッケージ NDC番号
20μg 60のボトル 0052-0472-60
(白色、軟質弾性カプセル)
50μg 60のボトル 0052-0474-60
(オレンジ色、軟質弾性カプセル)


(4)甲4の記載事項

甲4には、以下の(4a)の事項が記載されている。

(4a)(段落【0060】?【0062】)
「【0060】
例となる実施態様では、経口剤形は、0.6mg?6mgの25-(OH)D_(3)を含有するカプセルである。・・・。たとえば、それは、0.1mL?1mLの消化できる油に25-(OH)D_(3 )を含有する軟質ゲルのカプセルであってもよい。・・・。
・・・。
【0062】
本明細書で使用されるとき、経口剤形には、・・・、液体充填型カプセル(たとえばソルビトール若しくはグリセリンのようなポリオールの添加によって可塑化される可溶性のゼラチン外殻に薬剤が内包される固形剤形であるので、硬質外殻カプセルより幾分粘度が高く;通常、有効成分は液体ビヒクルに溶解されるか、又は懸濁される)、・・・などが挙げられる。」

(5)甲5の記載事項

甲5には、以下の(5a)の事項が記載されている。

(5a)(923頁「SOFTELASTIC CAPSULES」の項目)
「軟質弾性カプセル(SEC)は、硬質ゼラチンカプセルよりもやや厚い軟質の球状のゼラチンシェルである。ゼラチンは、グリセリン、ソルビトール、又は類似のポリオールの添加により可塑化される。・・・。懸濁ビヒクル又は溶媒が油であり得る場合には、軟質ゼラチンカプセルは便利で高度に許容される剤形を提供する。・・・。バイオアベイラビリティの問題を有する水に溶けにくい薬物について、経口SEC剤形の使用が研究されている。」

(6)甲6の記載事項

甲6には、以下の(6a)?(6f)の事項が記載されている。

(6a)(419頁左欄「INTRODUCTION」の項目)
「軟質ゼラチンカプセル(ソフトゲル)は、固体経口剤形で液体を送達する可能性を提供する。バイオアベイラビリティを高めるソフトゲルの能力は、水溶性が低いためにバイオアベイラビリティが低い新しい化学物質に適した剤形とするだけでなく、ライフサイクルの延長を目的とした市販薬の再製剤化のための剤形とする。」

(6b)(419頁左欄「BACKGROUND」の項目)
「軟質ゼラチンカプセル(軟質弾性ゼラチンカプセル、リキゲル(Liqui-Gels)、又はソフトゲルとも呼ばれる)は、錠剤、硬質シェルカプセル、及び液体等の従来の剤形よりも優れた明確な利点を提供できる独自の薬物送達システムである。」

(6c)(420頁右欄「ShellFormulation」の項目)
「歴史的に、ソフトゲルは、シェルのためのポリマー基剤としてゼラチンを必要としてきた。」

(6d)(421頁左欄「Gelatin」の項目)
「ゼラチンベースのソフトゲルについては、典型的には、湿潤ゲル配合物の40?50%が、タイプA(酸処理)又はタイプB(アルカリ処理)のゼラチンのいずれかであり得る。」

(6e)(421頁左欄「Plasticizers」の項目)
「・・・。可塑剤は、一般に湿潤ゲル配合物の20?30%を占めており、通常、グリセリン、ソルビトール、又はプロピレングリコールの、個々又は組合せである。」

(6f)(421頁左欄「Water」の項目)
「水は、通常、湿潤ゲル配合物の30?50%を占めており、ゲル調製及びソフトゲルのカプセル化の際の適切な処置を確実にするために決定的に重要である。カプセル化の後には、制御乾燥によってソフトゲルから過剰の水が除去され、平衡含水量を典型的には10%未満とする。」

(7)甲7の記載事項

甲7には、以下の(7a)?(7e)の事項が記載されている。

(7a)(4108頁左欄18?21,33?44行)
「化合物が薬学的に許容される非水性ビヒクル中で十分な溶解性を示す場合には、軟質ゼラチンカプセルは、溶液を固形剤形として送達するのに理想的であり得る。・・・。ソフトゲルに封入された難溶性化合物の吸収は、充填製剤中の化合物の可溶化だけでなく、充填賦形剤が誘導するP糖タンパク質媒介薬物の阻害及び胃腸管の内腔における化合物の流出と酵素触媒による分解の減少のために、他の従来の剤形からの吸収と比較してより高い。ソフトゲルはまた、超低用量を必要とする治療薬(例えば、強心配糖体、ビタミンD類似体)を正確に送達するという利点を提供する。」

(7b)(4125頁右欄6?8行)
「ソフトゲルシェル製剤は、典型的には、ゼラチン等のフィルム形成材料、水分散性又は水溶性可塑剤、及び水で構成される。」

(7c)(4127頁左欄下15行?右欄1行)
「ソフトゲルシェル製剤に使用される典型的な可塑剤には、グリセリン、ソルビトール、・・・、マンニトール、プロピレングリコール、低分子量プロピレングリコール、又はそれらのブレンドが含まれる。シェル製剤における可塑剤の種類とその濃度(可塑剤対ゼラチン比、P/Gで表される)の選択は、ゼラチンの種類、充填製剤の組成、及び充填剤に含まれる成分との相溶性により決定される。可塑剤は典型的には、封入時にシェル製剤の全湿質量の約15?30%w/wで使用される。

(7d)(4127頁右欄9?12行)
「研究された様々な可塑剤の中で、グリセリンが、シェル製剤に使用されるゼラチンの種類に関係なく、最も効果的で実用的な可塑剤であることが報告されている。」

(7e)(4128頁左欄19?22行)
「時には、ソルビトールとグリセリンとをブレンドすると有利であり、その結果、ソフトゲルの鞘の全体的な水分含有量をより適切に制御できる。」

(8)甲12の記載事項

甲12には、以下の(12a)及び(12b)の事項が記載されている。

(12a)(201頁右欄下16?14行、同頁同欄下8?1行)
「軟質ゼラチンカプセルのシェルは、ゼラチン、単独又は複数の組み合わせの可塑剤及び水からなる。・・・。
水は、溶媒として機能し、60?70℃で流動可能な粘度の溶解したゼラチン塊を作る。乾燥ゼラチンに対する水の重量比(W/G)は、0.7から1.3までの間で変動し、これは使用するゼラチンの粘度に依存する。カプセル形成後、大部分の水は乾燥によって除去され、最終的なカプセルは4?10%の含水量となる。」

(12b)(203頁右欄18?22、26?32、35?48行)
「軟質カプセルの形成には、水に加えて、不揮発性の可塑剤の使用が必要である。これは、機械的安定性、即ち、乾燥工程の間及び後のカプセルシェルの弾性を保証するためである。・・・。
実際には、少数の可塑剤、即ち、多価アルコールが使用される。・・・。グリセロール(85%及び95%w/w)、特級の非結晶性水性ソルビトール及びソルビトール/ソルビタンの水溶液、及び、これらの組み合わせが、最も使用される。・・・。
シェルの可塑剤の種類と濃度は、充填物の組成、即ち、起こり得る充填物との相互作用、カプセルの大きさと形、製品の最終的な用途、及び想定される保存状態、と関係する。乾燥ゼラチンに対する可塑剤の重量比(P/G)は、シェルの強度を決定し、通常は0.3と1.0の間である。ゼラチン/可塑剤の組み合わせについての適切なシェルの処方の選択は、製造及び保存の間のカプセルの物理的安定性にとって決定的に重要である。したがって、合理的なシェルのデザインには、性能に関する試験パラメータの評価を可能とする分析ツールが必要である。」

(9)甲13の記載事項

甲13には、以下の(13a)の事項が記載されている。

(13a)(191頁下11?7行、同頁下4行?192頁1行)
「様々なブルーム強度のゼラチンを使用して軟質ゼラチンカプセルシェルを製造することができる。カプセルシェルの可塑剤として、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコールが、単独で又は組み合わせて使用される。可塑剤の選択は、充填剤との適合性及び最終製品の望ましい特性(例えば、硬度及び外観)に基づく。・・・。グリセリンは、軟質ゼラチンカプセルの最も一般的な可塑剤である。しかし、グリセリンを過剰に含むカプセルシェルは、ゼラチンの吸湿性のために粘着性となり得る。カプセルを低湿度条件で保管すると、ソルビトールがカプセルから析出する可能性が高い。グリセリンとソルビトールとの混合物が最も一般的に使用される。

(10)甲14の記載事項

甲14には、以下の(14a)の事項が記載されている。

(14a)(321頁下6?2行)
「硬質ゼラチンシェルと同様、軟質ゼラチンシェルの基本成分はゼラチンである。しかし、そのシェルは、グリセリン、ソルビトール、又はプロピレングリコールの添加により可塑化されている。・・・。乾燥可塑剤対乾燥ゼラチンの比率は、シェルの硬さを決定し、非常に硬いシェルの場合の0.3?1.0まで変動し得る。」

4 申立理由1(甲1を主引例とした進歩性欠如)についての当審の判断

(1)甲1に記載された発明

甲1には、従来の高投与量で即放用に製剤化された経口ビタミンDサプリメントが、血中ビタミンD濃度の著しい急増を引き起こし、それにより様々な望ましくない症状を促進することが記載され(1a)、当該課題の解決手段として、消化管中でのビタミンD化合物の制御放出のための「ワックス状医薬製剤」が記載され(1b)、当該制御放出のための製剤の具体例(実施例)及び比較例として、9種の経口ビタミンD製剤を製造したことが記載されており(1h)(実施例1)、そのうち「製剤9」は、比較のための「従来技術による即放性製剤」であり(1h)(【表3】の「9」)、対照である「製剤9」からの25-ヒドロキシビタミンD_(3)の即放性を確認した試験の結果も記載されている(1i)(【図7】「群9」)。
上記「製剤9」において、「硬質ゼラチンカプセル」中に充填された混合物の成分は、「25-(OH)-ビタミンD_(3)」が0.12重量%(カプセルあたり0.25mg)、「MIGLYOL812N」が97.54重量%(カプセルあたり199.96mg)、「エタノール」が2.32重量%(カプセルあたり4.75mg)、「BHT」が0.02重量%(カプセルあたり0.04mg)である(1h)。ここで、「BHT」は酸化防止剤であり(1g)、製剤1?8(実施例)に含まれる「カルナウバワックス」や「硬質パラフィン」等の「ワックス」は、「製剤9」には含まれていない。
そして、「硬質ゼラチンカプセル」が、「ゼラチン」を含むものであることは明らかであり、このカプセルに充填された上記「製剤9」の成分は、活性成分としての「25-ヒドロキシビタミンD_(3)」(【表3】では「25-(OH)-ビタミンD_(3)」と表記)を含み、均一に混合された混合物として準備された医薬組成物であり、その後、ゼラチンカプセルの単位剤形に分割されたものであり(1h)(1d)(1e)、この医薬組成物を充填したカプセルの殻は「シェル」に該当するものであるといえる。
また、上記「製剤9」の医薬組成物に含まれる「BHT」以外の各成分の、「BHT」以外の成分の総重量に対する重量ベースの割合を換算すると、それぞれ、「25-(OH)-ビタミンD_(3)」が0.12重量%、「MIGLYOL812N」が97.56重量%、「エタノール」が2.32重量%となり、これら3成分の重量ベースの量は合計で100重量%となる。

そうすると、甲1には、「製剤9」として、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

≪甲1発明≫
「a)硬質カプセルシェルであって、
・ゼラチン、
を含むものである、硬質カプセルシェル;および
b)以下を含む医薬組成物:
・ 0.12重量%の25-ヒドロキシビタミンD_(3)、
・97.56重量%のMIGLYOL812N、および
・ 2.32重量%のエタノール、
ここで、前記の重量ベースの量は、該医薬組成物中に存在する25-ヒドロキシビタミンD_(3)、MIGLYOL812N、およびエタノールの総重量に対する割合として表され、前記25-ヒドロキシビタミンD_(3)、MIGLYOL812N、およびエタノールの前記重量ベースの量は合計で100重量%である;
を含んでなる硬質カプセル剤であって、
前記硬質カプセルシェルが前記医薬組成物を充填してなり、かつ
前記医薬組成物がワックスを含まないものである、硬質カプセル剤。」

(2)本件発明1について

ア 対比

本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明における「25-ヒドロキシビタミンD_(3)」は、本件明細書の段落【0002】に「カルシフェジオール」の別名として知られていることが記載されたものであるから、本件発明1における「カルシフェジオール」に該当する。
甲1発明における「MIGLYOL812N」は、「トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリド」の商品名であって(1h)、製剤からのビタミンD化合物の放出を提供する成分とされる「類脂質性物質」の具体例に該当し(1c)、当該「トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリド」は、本件明細書の段落【0024】において好ましい「中鎖脂肪酸トリグリセリド」として記載された「カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド」(Miglyol(登録商標)812または810)に該当し、甲1発明における「97.56重量%」は、本件発明1における「95?99.9重量%」の範囲に含まれるから、甲1発明における「97.56重量%のMIGLYOL812N」は、本件発明1における「95?99.9重量%の、中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびミリスチン酸イソプロピルからなる群より選択される油状成分」との要件を満たしている。
甲1発明における「エタノール」は、本件発明1における「エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒」に該当する。
甲1発明における「充填」は、本件発明1における「封入」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点1>
「a)カプセルシェルであって、
・ゼラチン、
を含むものである、カプセルシェル;および
b)以下を含む医薬組成物:
・カルシフェジオール、
・95?99.9重量%の、中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびミリスチン酸イソプロピルからなる群より選択される油状成分、および
・エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒、
ここで、前記の重量ベースの量は、該医薬組成物中に存在するカルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の総重量に対する割合として表され、前記カルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の前記重量ベースの量は合計で100重量%である;
を含んでなるカプセル剤であって、
前記カプセルシェルが前記医薬組成物を封入してなり、かつ
前記医薬組成物がワックスを含まないものである、カプセル剤。」

<相違点1-1>
本件発明1は、「軟カプセル剤」であって、カプセルシェルが、
「a)軟カプセルシェルであって、
・60?70重量%のゼラチンと、
・15?25重量%のグリセロール、および5?15重量%のソルビトールからなる可塑剤と
を含むものであり、
ここで、重量ベースの量は、該軟カプセルシェルの総重量に対する割合として表される、軟カプセルシェル」
であるのに対し、甲1発明は、「硬質カプセル剤」であって、カプセルシェルが、
「a)硬質カプセルシェルであって、
・ゼラチン、
を含むものである、硬質カプセルシェル」
である点。

<相違点1-2>
「医薬組成物」が含む「カルシフェジオール」及び「薬学的に許容される有機溶媒」のそれぞれの量が、本件発明1では「0.01?0.1重量%」及び「0.5?1.5重量%」であるのに対して、甲1発明では「0.12重量%」及び「2.32重量%」である点。

イ 判断

(ア)相違点1-1について

前記「(1)」でも指摘したように、甲1発明である「製剤9」は、甲1において、ワックス状制御放出性担体を含む実施例の製剤1?8との比較のための「従来技術による即放性製剤」として記載されており(1h)、25-ヒドロキシビタミンD_(3)(即ちカルシフェジオール)の即放性は否定的なものとして位置付けられていることから(1a)(1i)、そのような甲1の記載に接した当業者にとって、そもそも甲1発明について、更なる改変を行い、即放性を向上させるという動機付けがあるとはいえない。
なお、甲1には、製剤のカプセルについて、「硬質または軟質でよいが、軟質カプセルが好ましい」(1e)と記載されており、また、そのカプセルシェルの組成は不明ではあるが、「即放性製剤中に40μgの25-ヒドロキシビタミンD_(3)を含有する軟質ゼラチンカプセル」の比較例も記載されており(1j)、25-ヒドロキシビタミンD_(3)(即ちカルシフェジオール)の軟カプセル剤は、市販のものも含めて幾つかの例が既に知られていて(3a)(3b)(4a)、軟カプセルシェルは、主成分がゼラチンであり、可塑剤としてはグリセリン(グリセロールと同義である)及びソルビトールが一般的に使用されることは、本件優先日当時の技術常識であって(5a)(6a)?(6e)(7a)?(7e)(12b)(13a)(14a)、グリセリン及びソルビトールの混合物が最も一般的で有利であることも、本件優先日当時に周知である(7e)(13a)。
しかしながら、上記相違点1-1に係る、
「a)軟カプセルシェルであって、
・60?70重量%のゼラチンと、
・15?25重量%のグリセロール、および5?15重量%のソルビトールからなる可塑剤と
を含むものであり、
ここで、重量ベースの量は、該軟カプセルシェルの総重量に対する割合として表される、軟カプセルシェル」
という特定の成分と含有量の条件を満たす軟カプセルシェルは、申立人が提出した本件優先日前に頒布された刊行物である甲号証(特に、甲1?甲7、甲12?甲14)のいずれにも具体的には記載されておらず、シェルの可塑剤の種類及び濃度は充填物の組成(起こり得る相互作用)にも関係するところ(12b)、上記の特定の条件を満たす軟カプセルシェルを、カルシフェジオールの軟カプセル剤に用い得ることが知られていたとも認められない。
そうすると、甲1において比較例の従来技術として記載された甲1発明の「硬質カプセル剤」について、その「硬質カプセルシェル」を、実際に既に知られていた成分・組成を有するものでもない、相違点1-1に係る特定の条件を満たす「軟カプセルシェル」に変更し、「軟カプセル剤」とすることは、当業者であっても容易になし得たことであるとはいえない。

(イ)相違点1-2について

甲1発明の「医薬組成物」が含む「カルシフェジオール」及び「薬学的に許容される有機溶媒」の量は、本件発明1と比較すると、「カルシフェジオール」は、本件発明1で規定する上限値よりも「0.02重量%」超過し、「薬学的に許容される有機溶媒」は、本件発明1で規定する上限値を「0.82重量%」超過しているが、前記「(1)」のとおり、甲1発明である「製剤9」は、甲1において、比較のための「従来技術による即放性製剤」として記載されたものであるから、「カルシフェジオール」及び「薬学的に許容される有機溶媒」の含有量や比率を敢えて減じるような変更を行う動機付けがあるとはいえない。
したがって、上記相違点1-2に係る構成の採用は、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

(ウ)効果について

本件明細書の段落【0011】に、「本発明の著者らは、先行技術の液体カルシフェジオール即時放出性経口製剤(すなわち、Hidroferol(登録商標))と比べて、向上したバイオアベイラビリティを有するカルシフェジオール即時放出性経口製剤を見出した。」と記載され、段落【0099】?【0108】及び【図1】には、本件発明1の条件の全てを満たす、段落【0092】?【0093】に記載の「医薬組成物1」を含む「実施例1」の「カルシフェジオール軟カプセル剤」が、比較対象とされた「実施例2」の「レファレンスのカルシフェジオール製剤」と比べて、Cmax及びAUC_(0?72)が高い値を示したという、薬物動態研究の試験結果が示されている(「実施例3」)。
したがって、本件明細書には、上記相違点1-1及び1-2に係る構成を備えた本件発明1の軟カプセル剤が、カルシフェジオールの向上したバイオアベイラビリティ及び即時放出の効果を奏することが記載されているといえる。

ウ まとめ

したがって、本件発明1は、甲1及び甲6に記載された発明、並びに本件優先日前の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)本件発明4?13について

本件発明4?13は、本件発明1を直接的に又は間接的に引用するものであり、本件発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件発明1と同様に、甲1及び甲6に記載された発明、並びに本件優先日当時の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)申立人の主張について

上記相違点1-1に関して、申立人は、令和2年1月17日に提出した意見書において、カルシフェジオール等の化合物の薬物製剤用のソフトゼラチンカプセルを製剤する際に、特にグリセロールとソルビトールの組み合せを使用することに、当業者には強い動機付けがあり、さらに、ゼラチン及び可塑剤の量を最適化して特定の薬物製剤との最適な組み合わせを決定することは、当業者が適宜実施できることであると主張している。
しかしながら、前記「(2)イ(ア)」で説示したとおり、本件発明1と甲1発明との相違点1に係る、特定の成分と含有量の条件を満たす軟カプセルシェルの構成は、申立人が提出した本件優先日前に頒布された刊行物である甲号証のいずれにも具体的に記載されていない。そして、そもそも甲1に比較例として記載されたものである甲1発明について、更なる改変を行って即放性を向上させるという動機付けがあるとはいえないから、ゼラチン及び可塑剤の量を検討して特定の薬物製剤との適切な組み合わせを決定することは、当業者が適宜実施し得ることであるといえない。

また、上記相違点1-2に関して、申立人は、上記意見書において、先の訂正請求による訂正後の本件発明1では、「カルシフェジオール」、「油状成分」、「薬学的に許容される有機溶媒」の3成分の含有量は、上記3成分のみの中での割合として規定されているに過ぎないから、当該訂正後の本件発明1は、医薬組成物として上記3成分以外の他の成分を、上記3成分の総重量に対して圧倒的に多量で含む態様をも包含することを許容するものであり、特定の種類の有機溶媒の特定の含有量範囲の記載に基づいて、何らかの技術的意義を見いだすことは不可能である旨も主張している。
しかしながら、前記「(2)イ(イ)」に示したように、甲1発明における「薬学的に許容される有機溶媒」の量は、本件発明1で規定する上限値を「0.82重量%」超過しているところ、申立人は、甲1発明における有機溶媒の含有量を低減して、本件発明1で規定する「0.5?1.5重量%」の範囲内のものとなるよう変更することを、当業者が容易になし得たとする根拠については何も示していない。

したがって、申立人の上記主張は、いずれも採用できない。

(5)申立理由1についての判断の小括

以上のとおりであるから、本件発明1、4?13は、いずれも、甲1及び甲6に記載された発明、並びに本件優先日当時の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、申立人が主張する申立理由1は、理由がない。

5 申立理由2(甲2を主引例とした進歩性欠如)についての当審の判断

(1)甲2に記載された発明

甲2には、従来の高投与量で即放用に製剤化された経口ビタミンDサプリメントが、血中ビタミンD濃度の著しい急増を引き起こし、それにより様々な望ましくない症状を促進することが記載されており(2a)、当該課題の解決手段として、「ワックスマトリックスシステム」等を含む、25-ヒドロキシビタミンD_(2)及び/又は25-ヒドロキシビタミンD_(3)の制御放出製剤が記載され(2b)、当該制御放出のための製剤の具体例(実施例1の制御放出製剤及び実施例3?4の「群#1」の制御放出製剤)、並びに、比較例(実施例3及び4の「群#2」の、中鎖脂肪酸トリグリセリド油中に溶解した25mcg又は100mcgの25-ヒドロキシビタミンD_(2)を含有する即時放出ソフトゼラチンカプセル)が記載されている(2c)(2d)。
上記実施例3及び4の「群#2」の即時放出ソフトゼラチンカプセルは、甲2の段落【0016】及び実施例1の記載も参照すると、中鎖脂肪酸トリグリセリド油中に溶解した25mcg又は100mcgの25-ヒドロキシビタミンD_(2)を含む混合物を、ソフトゼラチンカプセルシェルに充填したものと認められ、実施例1の制御放出製剤及び実施例3?4の「群#1」の制御放出製剤に含まれる「ワックス混合物」は含まないと認められる。

そうすると、甲2には、「群#2」の即時放出ソフトゼラチンカプセルとして、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。

≪甲2発明≫
「a)ソフトゼラチンカプセルシェルであって、
・ゼラチン、
を含むものである、ソフトゼラチンカプセルシェル;および
b)以下を含む混合物:
・25mcg又は100mcgの25-ヒドロキシビタミンD_(2)、
・中鎖脂肪酸トリグリセリド油;
を含んでなるソフトゼラチンカプセルであって、
前記ソフトゼラチンカプセルシェルが前記混合物を充填してなり、かつ
前記混合物がワックスを含まないものである、ソフトゼラチンカプセル。」

(2)本件発明1について

ア 対比

本件発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明における「ソフトゼラチンカプセルシェル」及び「ソフトゼラチンカプセル」は、本件発明1における「軟カプセルシェル」及び「軟カプセル剤」に、それぞれ相当する。
甲2発明における「25-ヒドロキシビタミンD_(2)」は、本件明細書の段落【0002】に「カルシフェジオール」の別名として知られていることが記載されている「25-ヒドロキシビタミンD_(3)」とともに、「25-ヒドロキシビタミンD」と総称されるものであるから(2a)、本件発明1における「カルシフェジオール」と、「25-ヒドロキシビタミンD」である点において共通する。
甲2発明におけるカプセルシェルに充填される「混合物」は、本件発明1における「医薬組成物」に相当する。
甲2発明における「中鎖脂肪酸トリグリセリド油」は、本件発明1における「中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびミリスチン酸イソプロピルからなる群より選択される油状成分」に相当する。
甲2発明における「充填」は、本件発明1における「封入」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲2発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点2>
「a)軟カプセルシェルであって、
・ゼラチン、
を含むものである、軟カプセルシェル;および
b)以下を含む医薬組成物:
・25-ヒドロキシビタミンD、
・中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびミリスチン酸イソプロピルからなる群より選択される油状成分;
を含んでなる軟カプセル剤であって、
前記カプセルシェルが前記医薬組成物を封入してなり、かつ
前記医薬組成物がワックスを含まないものである、カプセル剤。」

<相違点2-1>
カプセルシェルを構成する成分及び組成について、本件発明1は、
「・60?70重量%のゼラチンと、
・15?25重量%のグリセロール、および5?15重量%のソルビトールからなる可塑剤と
を含むものであり、
ここで、重量ベースの量は、該軟カプセルシェルの総重量に対する割合として表される」
と規定しているのに対し、甲2発明は、単に「ゼラチン」を含むものであることしか規定していない点。

<相違点2-2>
「医薬組成物」が含む成分が、本件発明1では、
「 ・0.01?0.1重量%のカルシフェジオール、
・95?99.9重量%の、中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびミリスチン酸イソプロピルからなる群より選択される油状成分、および
・0.5?1.5重量%の、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒、
ここで、前記の重量ベースの量は、該医薬組成物中に存在するカルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の総重量に対する割合として表され、前記カルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の前記重量ベースの量は合計で100重量%である」
と規定されているのに対し、甲2発明では、
「 ・25mcg又は100mcgの25-ヒドロキシビタミンD_(2)、
・中鎖脂肪酸トリグリセリド油」
とされている点。

イ 判断

(ア)相違点2-1について

前記「(1)」で指摘したように、甲2発明である「即時放出ソフトゼラチンカプセル」は、甲2において、「ワックスマトリックスシステム」等を含む25-ヒドロキシビタミンD_(2)及び/又は25-ヒドロキシビタミンD_(3)の制御放出製剤の実施例との比較のために記載されたものであり、25-ヒドロキシビタミンD_(2)の即放性は否定的なものとして位置付けられていることから(2d)(2e)、そのような甲2の記載に接した当業者にとって、そもそも甲2発明について、更なる改変を行い即放性を向上させるという動機付けがあるとはいえない。
そして、上記相違点2-1に係る、
「・60?70重量%のゼラチンと、
・15?25重量%のグリセロール、および5?15重量%のソルビトールからなる可塑剤と
を含むものであり、
ここで、重量ベースの量は、該軟カプセルシェルの総重量に対する割合として表される」
という特定の成分と含有量の条件を満たす軟カプセルシェルは、申立人が提出した本件優先日前に頒布された刊行物である甲号証(特に、甲1?甲7、甲12?甲14)のいずれにも具体的には記載されておらず、シェルの可塑剤の種類及び濃度は充填物の組成(起こり得る相互作用)にも関係するところ(12b)、上記の特定の条件を満たす軟カプセルシェルを、25-ヒドロキシビタミンDの軟カプセル剤に用い得ることが知られていたとも認められない。
そうすると、甲2に比較例として記載された甲2発明の「即時放出ソフトゼラチンカプセル」について、その「ソフトゼラチンカプセルシェル」を、実際に既に知られていた成分・組成を有するものでもない、相違点2-1に係る特定の条件を満たす「軟カプセルシェル」に変更することは、当業者であっても容易になし得たことであるとはいえない。

(イ)相違点2-2について

甲2において、25-ヒドロキシビタミンD_(3)(即ちカルシフェジオール)は25-ヒドロキシビタミンD_(2)と同等のものとして並列して扱われているが(2a)(2b)、前記「(1)」のとおり、甲2発明である「即時放出ソフトゼラチンカプセル」は、甲2において、比較例として記載されたものであるから、甲2発明における「25-ヒドロキシビタミンD_(2)」を、敢えて「25-ヒドロキシビタミンD_(3)」(即ちカルシフェジオール)に変更する動機付けがあるとはいえない。
また、甲2発明におけるカプセルシェルに充填された混合物にエタノール等の有機溶媒が含まれるか否かは不明であり、仮に有機溶媒が含まれ得るとしても、25-ヒドロキシビタミンD_(2)及び中鎖脂肪酸トリグリセリド油との含有量の比が不明であるから、甲2発明において、「医薬組成物」の成分及び組成を、上記相違点2-2に係る特定の条件を満たすものとすることは、当業者であっても容易になし得たことであるとはいえない。

(ウ)効果について

本件明細書における本件発明1の効果に関する記載は、前記「4(2)イ(ウ)」に示したとおりである。

ウ まとめ

したがって、本件発明1は、甲2、甲1及び甲6に記載された発明、並びに本件優先日当時の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)本件発明4?13について

本件発明4?13は、本件発明1を直接的に又は間接的に引用するものであり、本件発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件発明1と同様に、甲2、甲1及び甲6に記載された発明、並びに本件優先日当時の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)申立理由2についての判断の小括

以上のとおりであるから、本件発明1、4?13は、いずれも、甲2、甲1及び甲6に記載された発明、並びに本件優先日当時の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、申立人が主張する申立理由2は、理由がない。

6 申立理由3(甲3を主引例とした進歩性欠如)についての当審の判断

(1)甲3に記載された発明

摘記(3a)(3b)によれば、甲3には、「Calderol(登録商標)」との製品名で市販されている軟質弾性カプセルとして、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。

≪甲3発明≫
「・20μg又は50μgのカルシフェジオールを含み、
不活性成分として、
・ゼラチン
・グリセリン
・コーン油
・メチレンプロピルパラベン
・精製水
・二酸化チタン
を含み、
ワックスを含まないものである、軟質弾性カプセル。」

(2)本件発明1について

ア 対比

本件発明1と甲3発明とを対比する。
甲3発明における「軟質弾性カプセル」は、本件発明1における「軟カプセル剤」に相当する。そして、例えば、摘記(5a)(6a)(7a)等によれば、軟カプセル剤は、通常、ゼラチンを含むシェル(本件発明1における「軟カプセルシェル」に相当)と、それに充填(封入)される薬剤を含む非水性ビヒクル等の液体(本件発明1における「医薬組成物」)と、からなることは、当業者に周知であるから、甲3発明における不活性成分のうち、「ゼラチン」は、少なくともシェルに含まれると解され、「コーン油」は、少なくともシェルに封入される液体に含まれると解され、本件発明1における「中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびミリスチン酸イソプロピルからなる群より選択される油状成分」と、「油状成分」である点で共通する。
また、「グリセリン」は、軟カプセル剤において最も使用される可塑剤であるから(7d)(13a)、甲3発明における不活性成分のうち、「グリセリン」は、少なくともシェルに含まれるものと解される。
そうすると、本件発明1と甲3発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点3>
「a)軟カプセルシェルであって、
・ゼラチン、
を含むものである、軟カプセルシェル;および
b)以下を含む医薬組成物:
・カルシフェジオール、
・油状成分;
を含んでなる軟カプセル剤であって、
前記カプセルシェルが前記医薬組成物を封入してなり、かつ
前記医薬組成物がワックスを含まないものである、カプセル剤。」

<相違点3-1>
カプセルシェルを構成する成分及び組成について、本件発明1は、
「・60?70重量%のゼラチンと、
・15?25重量%のグリセロール、および5?15重量%のソルビトールからなる可塑剤と
を含むものであり、
ここで、重量ベースの量は、該軟カプセルシェルの総重量に対する割合として表される」
と規定しているのに対し、甲3発明は、単に「ゼラチン」を含むものであることしか規定していない点。

<相違点3-2>
「医薬組成物」が含む成分が、本件発明1では、
「 ・0.01?0.1重量%のカルシフェジオール、
・95?99.9重量%の、中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびミリスチン酸イソプロピルからなる群より選択される油状成分、および
・0.5?1.5重量%の、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒、
ここで、前記の重量ベースの量は、該医薬組成物中に存在するカルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の総重量に対する割合として表され、前記カルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の前記重量ベースの量は合計で100重量%である」
と規定されているのに対し、甲3発明では、
「 ・20μg又は50μgのカルシフェジオール、
・コーン油」
とされている点。

イ 判断

(ア)相違点3-1について

上記相違点3-1に係る、
「・60?70重量%のゼラチンと、
・15?25重量%のグリセロール、および5?15重量%のソルビトールからなる可塑剤と
を含むものであり、
ここで、重量ベースの量は、該軟カプセルシェルの総重量に対する割合として表される」
という特定の成分と含有量の条件を満たす軟カプセルシェルは、申立人が提出した本件優先日前に頒布された刊行物である甲号証(特に、甲1?甲7、甲12?甲14)のいずれにも具体的には記載されておらず、シェルの可塑剤の種類及び濃度は充填物の組成(起こり得る相互作用)にも関係するところ(12b)、上記の特定の条件を満たす軟カプセルシェルを、カルシフェジオールの軟カプセル剤に用い得ることが知られていたとも認められない。
そうすると、市販されている製品である甲3発明の「軟質弾性カプセル」について、その「カプセルシェル」を、実際に既に知られていた成分・組成を有するものでもない、相違点3-1に係る特定の条件を満たす「軟カプセルシェル」に敢えて変更することは、積極的な動機付けがあるとはいえず、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

(イ)相違点3-2について

市販されている製品である甲3発明の「軟質弾性カプセル」においては、シェルに封入された「医薬組成物」は、エタノール等の有機溶媒を含まず、コーン油がカルシフェジオールを懸濁する油状成分として特に問題なく機能しているものと推定されるところ、その成分・組成を、上記相違点3-2に係る特定の条件を満たすものに敢えて変更とすることは、積極的な動機付けがあるとはいえず、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

(ウ)効果について

本件明細書における本件発明1の効果に関する記載は、前記「4(2)イ(ウ)」に示したとおりである。

ウ まとめ

したがって、本件発明1は、甲3、甲1及び甲6に記載された発明、並びに本件優先日当時の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)本件発明4?13について

本件発明4?13は、本件発明1を直接的に又は間接的に引用するものであり、本件発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件発明1と同様に、甲3、甲1及び甲6に記載された発明、並びに本件優先日当時の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)申立理由3についての判断の小括

以上のとおりであるから、本件発明1、4?13は、いずれも、甲3、甲1及び甲6に記載された発明、並びに本件優先日当時の技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、申立人が主張する申立理由3は、理由がない。

第6 むすび

以上のとおり、本件請求項1、4?13に係る特許については、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由、又は、特許異議申立書に記載された申立ての理由によっては、取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、4?13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件請求項2及び3は、前記「第2」のとおり訂正の請求により削除された。これにより、申立人による本件請求項2及び3についての特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)軟カプセルシェルであって、
・60?70重量%のゼラチンと、
・15?25重量%のグリセロール、および5?15重量%のソルビトールからなる可塑剤と
を含むものであり、
ここで、重量ベースの量は、該軟カプセルシェルの総重量に対する割合として表される、軟カプセルシェル;および
b)以下を含む医薬組成物:
・0.01?0.1重量%のカルシフェジオール、
・95?99.9重量%の、中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびミリスチン酸イソプロピルからなる群より選択される油状成分、および
・0.5?1.5重量%の、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒、
ここで、前記の重量ベースの量は、該医薬組成物中に存在するカルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の総重量に対する割合として表され、前記カルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の前記重量ベースの量は合計で100重量%である;
を含んでなる軟カプセル剤であって、
前記軟カプセルシェルが前記医薬組成物を封入してなり、かつ
前記医薬組成物がワックスを含まないものである、軟カプセル剤。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記油状成分が、中鎖脂肪酸トリグリセリド、好ましくはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドであり、および/または前記薬学的に許容される有機溶媒が、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物からなる群より選択されるもの、好ましくはエタノールである、請求項1に記載の軟カプセル剤。
【請求項5】
界面活性剤を含まない、請求項1または4に記載の軟カプセル剤。
【請求項6】
前記医薬組成物が、カルシウムイオンまたはその薬学的に許容される誘導体をさらに含んでなる、請求項1、4、5のいずれか一項に記載の軟カプセル剤。
【請求項7】
前記医薬組成物が、鉄イオンまたはその薬学的に許容される誘導体、ビタミンB12、ビタミンB9、レボメフォリック酸またはその薬学的に許容される塩、および/または必須不飽和脂肪酸、またはそれらの混合物をさらに含んでなる、請求項1、4?6のいずれか一項に記載の軟カプセル剤。
【請求項8】
前記医薬組成物が、ビスホスホネートをさらに含んでなる、請求項1、4?7のいずれか一項に記載の軟カプセル剤。
【請求項9】
前記軟カプセルシェルが、薬学的に許容される乳白剤および/または薬学的に許容される着色剤をさらに含んでなる、請求項1、4?8のいずれか一項に記載の軟カプセル剤。
【請求項10】
200?180000IUのカルシフェジオールを含んでなる、請求項1、4?9のいずれか一項に記載の軟カプセル剤。
【請求項11】
ビタミンD欠乏症、脱塩、例えば、低カルシウム血症および低リン酸塩血症など、腎性骨ジストリフィー、クル病、骨粗しょう症、骨減少症、骨関節炎、変形性関節症、骨軟化症、副甲状腺機能低下症、および炎症性腸疾患からなる群より選択される疾患の治療および/または予防のための、請求項1、4?10のいずれか一項に記載の軟カプセル剤を含んでなる、医薬組成物。
【請求項12】
前記軟カプセル剤が、3ヶ月に一回、2ヶ月に一回、1ヶ月に一回、3週間に1回、2週間に1回、1週間に1回、または1日1回の投与用である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
請求項1、4?10のいずれか一項に記載の軟カプセル剤を製造する方法であって、
a)カルシフェジオール;油状成分;および薬学的に許容される有機溶媒;ならびに場合により、カルシウムイオンまたはその薬学的に許容される誘導体、鉄イオンまたはその薬学的に許容される誘導体、ビタミンB12、ビタミンB9、レボメフォリック酸またはその薬学的に許容される塩、必須不飽和脂肪酸、および/またはビスホスホネートを含む混合物を調製する工程と、
b)ゼラチン;グリセロールおよびソルビトールの混合物からなる可塑剤;水;ならびに場合により、薬学的に許容される乳白剤および/または薬学的に許容される着色剤を含む混合物を調製する工程と、
c)工程b)の混合物からシェルを形成する工程と、
d)工程a)の混合物で前記シェルを満たす工程と、
e)工程d)において得られたカプセル剤を乾燥させる工程と
を少なくとも含んでなることを特徴とする方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-08-18 
出願番号 特願2017-525563(P2017-525563)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A61K)
P 1 651・ 537- YAA (A61K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 井関 めぐみ横山 敏志  
特許庁審判長 藤原 浩子
特許庁審判官 井上 典之
前田 佳与子
登録日 2018-11-02 
登録番号 特許第6427270号(P6427270)
権利者 ファエス・ファルマ・ソシエダッド・アノニマ
発明の名称 カルシフェジオール軟カプセル剤  
代理人 伊藤 武泰  
代理人 井波 実  
代理人 田村 慶政  
代理人 井波 実  
代理人 紺野 昭男  
代理人 伊藤 武泰  
代理人 紺野 昭男  
代理人 田村 慶政  

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