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審決分類 審判 全部申し立て 特29条の2  F21V
管理番号 1366957
異議申立番号 異議2019-701063  
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-11-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-12-26 
確定日 2020-08-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6537391号発明「発光ユニットおよび発光ユニットを備える照明装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6537391号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?5〕について訂正することを認める。 特許第6537391号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6537391号の請求項1?5に係る特許についての出願は、平成27年7月30日に出願され、令和1年6月14日にその特許権の設定登録がされ、同年7月3日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許の請求項1?5について、同年12月26日に特許異議申立人岸本忠昭(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、令和2年2月21日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である同年4月24日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、同年5月19日付けで申立人に対し訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)を行い意見を求めたが、その指定期間内に意見書の提出はなかった。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和2年4月24日付けの訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子が実装される発光素子基板と、
前記複数の半導体発光素子の電力供給源である電源部と、
前記半導体発光素子の発光に関する制御を行う制御部と、
前記発光素子基板が取り付けられる第1面と、当該第1面の反対面である第2面であって、前記電源部および前記制御部が設けられる第2面とを有する支持部材と、を備え、
前記制御部は、
信号を受信するアンテナと、前記アンテナで受信した信号に応じて前記電源部から供給される電力を制御する無線制御部とを有し、
前記無線制御部は基板状であり、前記アンテナは前記無線制御部の基板に実装されており、
前記無線制御部は、前記第2面に設けられ、かつ前記電源部と離間している、
発光ユニット。」
と記載されているのを、
「造営材に取り付けられた器具本体に取り付けられる発光ユニットであって、
複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子が実装される発光素子基板と、
前記複数の半導体発光素子の電力供給源である電源部と、
前記半導体発光素子の発光に関する制御を行う制御部と、
前記器具本体に前記発光ユニットを取り付けるための一対の発光ユニット側取付部材と、
前記発光素子基板が取り付けられる第1面と、当該第1面の反対面である第2面であって、前記一対の発光ユニット側取付部材、前記電源部および前記制御部が設けられる第2面とを有する支持部材と、を備え、
前記制御部は、
信号を受信するアンテナと、前記アンテナで受信した信号に応じて前記電源部から供給される電力を制御する無線制御部とを有し、
前記無線制御部は基板状であり、前記アンテナは前記無線制御部の基板に実装されており、
前記無線制御部は、前記第2面に設けられ、かつ前記電源部と離間し、
前記無線制御部および前記電源部は、前記一対の発光ユニット側取付部材間に配置されている、
発光ユニット。」
に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2?5も同様に訂正する)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「前記無線制御部の基板面方向は、前記支持部材の前記第1面方向に沿っている、
請求項1に記載の発光ユニット。」
と記載されているのを、
「前記無線制御部の基板面方向は、前記支持部材の前記第1面方向に沿っており、
前記無線制御部および前記電源部は、前記器具本体を前記造営材に取り付けるための吊りボルトと干渉しない位置に配置されている、
請求項1に記載の発光ユニット。」
に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3?5も同様に訂正する)。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に
「前記無線制御部の基板面方向は、前記支持部材の前記第1面方向と平行である
請求項2に記載の発光ユニット。」
と記載されているのを、
「前記無線制御部の基板面方向は、前記支持部材の前記第1面方向と平行であり、
前記電源部は、前記器具本体の端子台と電気的に接続され、
前記無線制御部は、前記電源部を基準にして前記端子台と反対側に配置されている、
請求項2に記載の発光ユニット。」
に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4?5も同様に訂正する)。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に
「前記支持部材が金属製である場合に、前記無線制御部は、前記支持部材と離間している
請求項1?3のいずれか1項に記載の発光ユニット。」
と記載されているのを、
「前記支持部材が金属製である場合に、前記無線制御部は、前記支持部材と離間し、
前記無線制御部の基板は、前記支持部材に取り付けられる筐体内に収容されている、
請求項1?3のいずれか1項に記載の発光ユニット。」
に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する)。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に
「請求項1から4のいずれか1項に記載の発光ユニットと、前記発光ユニットが取り付けられる器具本体とを備える照明装置であって、
前記器具本体は、造営材に取り付けられる取付部材を有する、
照明装置。」
と記載されているのを、
「請求項1から4のいずれか1項に記載の発光ユニットと、前記発光ユニットが取り付けられる前記器具本体とを備える照明装置であって、
前記器具本体は、前記造営材に取り付けられる器具側取付部材を有する、
照明装置。」
に訂正する。

本件訂正請求は、一群の請求項〔1?5〕に対して請求されたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1において、発光ユニットの取り付け関する特定がなかったのを、「発光ユニット」が「造営材に取り付けられた器具本体に取り付けられる」ものであり、「前記器具本体に前記発光ユニットを取り付けるための一対の発光ユニット側取付部材」という事項と、「前記無線制御部および前記電源部は、前記一対の発光ユニット側取付部材間に配置されている」という事項と、「支持部材」の「第2面」に設けられる部材として「前記一対の発光ユニット側取付部材」をさらに付加する事項とを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1は、願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)の段落【0029】の「照明装置1は、照明装置用器具本体(以下、器具本体と記載する)10と、発光ユニット20とを備える。器具本体10は、例えば天井又は壁等の被取付面に取り付けられる。発光ユニット20は、器具本体10に取り付けられる。照明装置1は、直付タイプである。」(下線は当審で付加。以下同様。)との記載、同【0037】の「底板部114は、天井や壁等の造営材の被取付面と対向しており、照明装置1を被取付面に取り付けるための吊りボルト用孔部15や、電力供給ケーブルを照明装置1内に引き込むための電力供給ケーブル用孔部16等を備えている。」、同【0065】の「すなわち、バネ部13(第1バネ部13a及び第2バネ部13b)とバネ受部27(第1バネ受部27a及び第2バネ受部27b)は、取付部材11に発光ユニット20を取り付けた状態を維持する取付状態維持部として機能する。」、同【0102】の「無線モジュールは、発光素子支持部材24の上面24bに設けられ、かつ、ボルト30、電源部28、端子台14、バネ部13などの構造物と干渉しない位置に設けられることが照明装置の薄型化の観点から好ましい。」との記載、及び、【図8】、【図13】における「第1バネ受部27a」、「第2バネ受部27b」、「電源部28」、「無線モジュール50」の配置位置の記載等からみて、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項2において、訂正事項1によって、請求項1に「器具本体」、「造営材」が特定されたことに伴い、さらに、「前記無線制御部および前記電源部は、前記器具本体を前記造営材に取り付けるための吊りボルトと干渉しない位置に配置されている」という事項を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項2は、本件特許明細書の段落【0046】の「吊りボルト用孔部15は、図4(A)及び図4(B)に示す吊りボルト30により天井又は壁等の被取付面に器具本体10を取り付けるために、吊りボルト30が挿通するために設けられた孔部である。」、同【0102】の「無線モジュールは、発光素子支持部材24の上面24bに設けられ、かつ、ボルト30、電源部28、端子台14、バネ部13などの構造物と干渉しない位置に設けられることが照明装置の薄型化の観点から好ましい。」との記載、及び、【図4】における「吊りボルト30」、「電源部28」、「無線モジュール50」の配置位置の記載等からみて、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項3において、発光ユニットと端子台との関係について特定がなかったのを、「前記電源部は、前記器具本体の端子台と電気的に接続され、前記無線制御部は、前記電源部を基準にして前記端子台と反対側に配置されている」という事項を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項3は、本件特許明細書の段落【0045】の「端子台14には、後述する電力供給ケーブル40が接続される。具体的には、天井又は壁等の被取付面から導出された電力供給ケーブル40は、端子台14を介して、後述する電源部28に電気的に接続される。端子台14は、例えばネジ等により取付部材11に取り付けられる。」との記載、及び、【図4】、【図8】の「電源部28」、「無線モジュール50」、「端子台14」の配置位置の記載等からみて、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項4において、無線制御部の基板の収容について特定がなかったのを、「前記無線制御部の基板は、前記支持部材に取り付けられる筐体内に収容されている」という事項を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項4は、本件特許明細書の段落【0083】の「無線モジュール50は、信号を受信するアンテナ60と、アンテナ60で受信した信号に応じて電源部28から発光素子21へ供給される電力を制御する無線制御回路513(無線制御部に相当する)が実装される無線制御基板51と、発光素子支持部材24に取り付けられる筐体本体56と、無線制御基板51を内部に配置するように、筐体本体56に取り付けられる筐体カバー55とを有する。」との記載等からみて、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(5)訂正事項5について
訂正事項5は、訂正事項1によって、請求項1に「器具本体」、「造営材」が特定されたことに伴い、訂正前の請求項5において、「器具本体」、「造営材」と記載されているのを「前記器具本体」、「前記造営材」とし、さらに、訂正事項1によって、請求項1に「発光ユニット側取付部材」が特定されていることに伴い、当該発光ユニット側取付部材と異なるものであることを明らかにするため、訂正前の請求項5において、「取付部材」と記載されているのを「器具側取付部材」とするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項5は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?5〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1?5に係る発明(以下「本件発明1」?「本件発明5」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
造営材に取り付けられた器具本体に取り付けられる発光ユニットであって、
複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子が実装される発光素子基板と、
前記複数の半導体発光素子の電力供給源である電源部と、
前記半導体発光素子の発光に関する制御を行う制御部と、
前記器具本体に前記発光ユニットを取り付けるための一対の発光ユニット側取付部材と、
前記発光素子基板が取り付けられる第1面と、当該第1面の反対面である第2面であって、前記一対の発光ユニット側取付部材、前記電源部および前記制御部が設けられる第2面とを有する支持部材と、を備え、
前記制御部は、
信号を受信するアンテナと、前記アンテナで受信した信号に応じて前記電源部から供給される電力を制御する無線制御部とを有し、
前記無線制御部は基板状であり、前記アンテナは前記無線制御部の基板に実装されており、
前記無線制御部は、前記第2面に設けられ、かつ前記電源部と離間し、
前記無線制御部および前記電源部は、前記一対の発光ユニット側取付部材間に配置されている、
発光ユニット。
【請求項2】
前記無線制御部の基板面方向は、前記支持部材の前記第1面方向に沿っており、
前記無線制御部および前記電源部は、前記器具本体を前記造営材に取り付けるための吊りボルトと干渉しない位置に配置されている、
請求項1に記載の発光ユニット。
【請求項3】
前記無線制御部の基板面方向は、前記支持部材の前記第1面方向と平行であり、
前記電源部は、前記器具本体の端子台と電気的に接続され、
前記無線制御部は、前記電源部を基準にして前記端子台と反対側に配置されている、
請求項2に記載の発光ユニット。」
【請求項4】
前記支持部材が金属製である場合に、前記無線制御部は、前記支持部材と離間し、
前記無線制御部の基板は、前記支持部材に取り付けられる筐体内に収容されている、
請求項1?3のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の発光ユニットと、前記発光ユニットが取り付けられる前記器具本体とを備える照明装置であって、
前記器具本体は、前記造営材に取り付けられる器具側取付部材を有する、
照明装置。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1?5に係る特許に対して、当審が令和2年2月21日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願の日前の特許出願(以下「先願」という。)であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。


請求項1?5に対して
特願2015-129469号(特開2017-16756号)
なお、上記先願は、申立人が提出した甲第1号証である。

2 先願明細書等の記載事項及び先願発明
(1)記載事項
先願明細書等には、以下の記載がある。
(1a)「【請求項1】
無線信号により発光部の発光が制御される照明器具であって、
前記無線信号を送受信するアンテナを有する通信部と、
前記通信部が配置される金属板と、
を備え、
前記金属板は、前記アンテナの近傍にスリット状の貫通孔部を有する照明器具。」

(1b)「【0010】
実施形態1.
図1は、本発明の実施形態1に係る照明器具の一例を示す斜視図である。この照明器具1は、天井に設置される照明器具の例であり、金属板の基台2の上面に電源部3が配置され、基台2の下面に発光部であるLED基板4が配置され、発光部を制御するための無線信号を受信するための無線通信部5が基台2の上面に配置されている。
【0011】
なお、電源部3と無線通信部5は、図示しない電源線および図示しない制御信号線で接続されている。ここで、この電源線および制御通信線のケーブルの長さは、該ケーブルが無線通信部5の通信する無線信号の電波で共振してしまうことを防ぐため、通信する無線信号の電波の波長の2分の1以下であることが望ましい。
【0012】
また、電源部3および無線通信部5は、金属板の基台2とは電気的に絶縁されて配置されている。なお、電源部3は、金属材料で覆われていてもよいし、覆われてなくてもよい。
【0013】
図2は、照明器具1の長手方向の断面図である。基台2の上面に電源部3および無線通信部5が配置され、下面にLED基板4が配置されている。光源であるLED素子6は、LED基板4に下面に配置されている。なお、LED基板4と電源部3とは、図示しない配線により接続されている。
【0014】
図3は、本発明の実施形態1に係る照明器具1で使用する無線通信部5である無線モジュール基板の配置図である。無線通信部5は、無線モジュール基板7、無線信号を送受信するアンテナ8、無線処理を行う回路をシールドしたシールドケース9、電源部3と電源線および制御信号線を接続するためのコネクタ10を有する。
【0015】
アンテナ8は、基板にパターンで生成されたパターンアンテナや、チップアンテナを用いている。
【0016】
図4は、本発明の実施形態1に係る照明器具1を天井に設置した場合に上方から見た平面図である。無線通信部5は、アンテナ8が配置されている面が下方となるように設置されており、無線通信部5のアンテナ8が重なる基台2には、スリット状の貫通孔部11が設けられている。」

(1c)「【0027】
アンテナ8により無線信号を受信した無線通信部5は、無線信号を処理することにより、照明器具1を制御すための制御信号を取り出し、制御信号線に接続された電源部3へ送る。
【0028】
電源部3は、受けた制御信号により、光源であるLED素子6を点灯や消灯、調光したりする。」(当審注;段落【0027】の「制御すための」は「制御するための」の誤記と認める。)

(1d)「【0031】
図7は、照明器具にカバー12が付いた場合の短手方向の断面図を示している。カバー12は、ポリカーボネートやアクリルなどの透明または光拡散材を含んだ透光性樹脂で一体成形されている。
【0032】
カバー12は、爪部12aを有し、爪部12aを弾性変形させ広げて、基台2の側面板2aに係合させる。また、カバー12は、基台当接部12bを有し、基台2のLED基板4が設置される面に基台当接部12bは当接して、カバー12は、基台2に固定される。」

(1e)【図1】?【図3】、【図7】は次のとおりである。




(2)認定事項
上記(1)の各記載事項に加え、次の事項が認定できる。
(1f)記載事項(1e)の【図2】より、「LED素子6」は複数であることが看取できる。

(1g)記載事項(1e)の【図1】、【図2】より、「無線通信部5」と「電源部3」は離間していることが看取できる。

(1h)記載事項(1d)及び記載事項(1e)の【図7】より、「基台2」、「電源部3」、「LED基板4」、「無線通信部5」、「LED素子6」を組み合わせたものに対し、「カバー12」を付けるため、当該組み合わせたものは「発光ユニット」であることが明らかであり、また、その「発光ユニット」に「カバー12」を付けていることも明らかである。
そして、当該「発光ユニット」は「照明器具」に用いられるものである。

(3)先願発明
上記(1)、(2)より、先願明細書等には、次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されているものと認める。
「天井に設置される照明器具に用いられる発光ユニットであって、
金属板の基台2の上面に電源部3が配置され、基台2の下面に発光部であるLED基板4が配置され、発光部を制御するための無線信号を受信するための無線通信部5が基台2の上面に配置され、
電源部3および無線通信部5は、金属板の基台2とは電気的に絶縁されて配置され、
光源である複数のLED素子6は、LED基板4の下面に配置され、
無線通信部5は、無線モジュール基板7、無線信号を送受信するアンテナ8、無線処理を行う回路をシールドしたシールドケース9、電源部3と電源線および制御信号線を接続するためのコネクタ10を有し、
アンテナ8により無線信号を受信した無線通信部5は、無線信号を処理することにより、照明器具1を制御するための制御信号を取り出し、制御信号線に接続された電源部3へ送り、
電源部3は、受けた制御信号により、光源であるLED素子6を点灯や消灯、調光したりし、
アンテナ8は、チップアンテナを用い、
無線通信部5と電源部3は離間しており、
無線通信部5は、アンテナ8が配置されている面が下方となるように設置されており、無線通信部5のアンテナ8が重なる基台2には、スリット状の貫通孔部11が設けられ、カバー12を付けることができる照明器具1の発光ユニット。」

第4 対比・判断
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と先願発明とを対比する。
ア 後者の「天井」は後者の「造営材」に相当し、以下同様に、「LED素子6」は「半導体発光素子」に、「LED基板4」は「発光素子基板」に、「電源部3」は「電源部」に、「基台2」は「支持部材」に、「下面」は「第1面」に、「上面」は「第2面」に、「アンテナ8」は「アンテナ」に、「照明器具1の発光ユニット」は「発光ユニット」にそれぞれ相当する。
また、後者の「無線通信部5」における「無線処理を行う回路」は、前者の「無線制御部」に相当し、同様に、「無線通信部5」における「無線モジュール基板7」は、「無線制御部の基板」に相当する。そして、前者の「制御部」は、「アンテナ」と「無線制御部」を有し、「半導体素子の発光に関する制御を行う」ものであるところ、後者の「無線通信部5」は、「アンテナ8」と「無線処理を行う回路」を有し、「発光部を制御するための無線信号を受信するための」ものであり、「照明器具1を制御するための制御信号を取り出し、制御信号線に接続された電源部3へ送」るものであるから、「LED素子6」の発光に関する制御を行うことは明らかであるので、後者の「無線制御部5」は、前者の「無線制御部」に相当するといえる。
さらに、後者の「電源部3」は、「受けた制御信号により、光源であるLED素子6を点灯や消灯、調光したり」するものであるから、当該「電源部3」は、「複数のLED素子6」の電力供給源であり、「アンテナ8」で受信した信号に応じて「電源部3」から供給される電力を制御するものといえる。

イ 上記「ア」を踏まえると、後者の 「天井に設置される照明器具に用いられる発光ユニットであって」ということと、前者の「造営材に取り付けられた器具本体に取り付けられる発光ユニットであって」ということとは、「造営材に取り付けられる発光ユニットであって」ということにおいて共通するといえる。

ウ 上記「ア」を踏まえると、後者の
「金属板の基台2の上面に電源部3が配置され、基台2の下面に発光部であるLED基板4が配置され、発光部を制御するための無線信号を受信するための無線通信部5が基台2の上面に配置され、
電源部3および無線通信部5は、金属板の基台2とは電気的に絶縁されて配置され、
光源である複数のLED素子6は、LED基板4に下面に配置され、」
及び
「無線通信部5は、無線モジュール基板7、無線信号を送受信するアンテナ8、無線処理を行う回路をシールドしたシールドケース9、電源部3と電源線および制御信号線を接続するためのコネクタ10を有し、
アンテナ8により無線信号を受信した無線通信部5は、無線信号を処理することにより、照明器具1を制御するための制御信号を取り出し、制御信号線に接続された電源部3へ送り、
電源部3は、受けた制御信号により、光源であるLED素子6を点灯や消灯、調光したり」
することと、前者の
「複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子が実装される発光素子基板と、
前記複数の半導体発光素子の電力供給源である電源部と、
前記半導体発光素子の発光に関する制御を行う制御部と、
前記器具本体に前記発光ユニットを取り付けるための一対の発光ユニット側取付部材と、
前記発光素子基板が取り付けられる第1面と、当該第1面の反対面である第2面であって、前記一対の発光ユニット側取付部材、前記電源部および前記制御部が設けられる第2面とを有する支持部材と、を備え、
前記制御部は、
信号を受信するアンテナと、前記アンテナで受信した信号に応じて前記電源部
から供給される電力を制御する無線制御部とを有し」
ていることとは、
「複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子が実装される発光素子基板と、
前記複数の半導体発光素子の電力供給源である電源部と、
前記半導体発光素子の発光に関する制御を行う制御部と、
前記発光素子基板が取り付けられる第1面と、当該第1面の反対面である第2面であって、前記電源部および前記制御部が設けられる第2面とを有する支持部材と、を備え、
前記制御部は、
信号を受信するアンテナと、前記アンテナで受信した信号に応じて前記電源部
から供給される電力を制御する無線制御部とを有し」
ていることにおいて共通するといえる。

エ 後者の「アンテナ8は、チップアンテナを用い」ているということは、基板及びアンテナの技術常識を考慮すれば、「アンテナ8」は「無線モジュール基板7」に実装されていることが明らかといえる。
また、前者の「前記無線制御部は基板状であり」ということは、本件特許明細書及び図面を参酌すると、その段落【0083】の「無線制御回路513(無線制御部に相当する)が実装される無線制御基板51」及び【図20】の記載より、「無線制御部」は「基板」に実装されている程度のことを意味するものと解される。
そうすると、上記「ア」をも踏まえると、後者の「アンテナ8は、チップアンテナを用い」、「基台2の上面に」「無線通信部5が配置され」、「無線通信部5と電源部3は離間しており」ということは、前者の「前記無線制御部は基板状であり、前記アンテナは前記無線制御部の基板に実装されており、前記無線制御は、前記第2面に設けられ、かつ前記電源部と離間し」ていることに相当するといえる。

オ 以上のことから、本件発明1と先願発明との一致点、相違点は次のとおりと認める。
〔一致点」〕
「造営材に取り付けられる発光ユニットであって、
複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子が実装される発光素子基板と、
前記複数の半導体発光素子の電力供給源である電源部と、
前記半導体発光素子の発光に関する制御を行う制御部と、
前記発光素子基板が取り付けられる第1面と、当該第1面の反対面である第2面であって、前記電源部および前記制御部が設けられる第2面とを有する支持部材と、を備え、
前記制御部は、
信号を受信するアンテナと、前記アンテナで受信した信号に応じて前記電源部
から供給される電力を制御する無線制御部とを有し、
前記無線制御部は基板状であり、前記アンテナは前記無線制御部の基板に実装されており、
前記無線制御は、前記第2面に設けられ、かつ前記電源部と離間している、
発光ユニット。」

〔相違点〕
発光ユニットの造営材への取り付けに関し、本件発明1が「造営材に取り付けられた器具本体に取り付けられる」ものであり、さらに、「前記器具本体に前記発光ユニットを取り付けるための一対の発光ユニット側取付部材と」を備え、「支持部材」の「第2面」に「前記一対の発光ユニット側取付部材」が設けられ、「前記無線制御部および前記電源部は、前記一対の発光ユニット側取付部材間に配置されている」のに対し、先願発明は、具体的な天井への設置手段が明らかでなく、したがって、「発光ユニット側取付部材」に係る事項を有しているのかも明らかでない点。

(2)判断
先願明細書等には、「器具本体」、「発光ユニット側取付部材」に相当するものについての明示がないものの、天井に設置する照明装置において、天井に取り付けられた器具本体に発光ユニットを取付け、器具本体に発光ユニットを取り付けるための発光ユニット側取付部材を有するものは、特段文献を示すまでもなく周知・慣用の技術である。
そうすると、先願発明において、上記相違点に係る事項のうち、発光ユニットの造営材への取り付けに関し、「造営材に取り付けられた器具本体に取り付けられる」ものであり、さらに、「前記器具本体に前記発光ユニットを取り付けるための発光ユニット側取付部材と」を備えることまでは、単なる周知・慣用技術の付加であって、課題解決のための具体化手段における微差にすぎないともいえる。
しかしながら、その場合であったとしても、「発光ユニット側取付部材」を「一対」のものとし、その上で「支持部材」の「第2面」に「前記一対の発光ユニット側取付部材」が設けられ、「前記無線制御部および前記電源部は、前記一対の発光ユニット側取付部材間に配置されている」という事項を備えるものとして、「無線制御部」、「電源部」、「発光ユニット側取付部材」とを特定の位置関係とすることまでは、単なる周知・慣用技術の付加であるということはできない。
したがって、本件発明1は先願発明と実質的に同一の発明であるとはいえない。

2 本件発明2?5について
本件発明2?5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えたものであるから、上記「1」と同様の理由により、先願発明と実質的に同一の発明であるとはいえない。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、本件請求項5に係る特許異議申立理由として、本件請求項5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と実質的に同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであるので、本件請求項5に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、特許を取り消すべきものであるとしている。
そして、申立人は、特許異議申立書の第18頁第2?15行において、本件発明5は、申立人がいう「甲1発明5」と実質的に同一である旨主張する。
しかしながら、申立人がいう「甲1発明5」(同第14頁第13?26行)の認定の根拠箇所は、同第11頁第4?12行に記載されるとおり、甲第1号証(先願明細書等)の段落【0037】、【0038】であるが、それは「実施形態2」を説明する箇所であり、当該「実施形態2」のものは、甲第1号証の段落【0038】及び【図8】に示されるように、「発光ユニット21」と「電源ユニット22」とが別に配置されるものである。
すなわち、当該「実施形態2」のものは、本件請求項5が引用する請求項1において特定する構成(特に「前記発光素子基板が取り付けられる第1面と、当該第1面の反対面である第2面であって、前記一対の発光ユニット側取付部材、前記電源部および前記制御部が設けられる第2面とを有する支持部材」)をそもそも有さないものである。
したがって、申立人のかかる主張は採用することができない。
よって、本件請求項5に係る特許異議申立理由により、本件請求項5に係る特許を取り消すことはできない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
造営材に取り付けられた器具本体に取り付けられる発光ユニットであって、
複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子が実装される発光素子基板と、
前記複数の半導体発光素子の電力供給源である電源部と、
前記半導体発光素子の発光に関する制御を行う制御部と、
前記器具本体に前記発光ユニットを取り付けるための一対の発光ユニット側取付部材と、
前記発光素子基板が取り付けられる第1面と、当該第1面の反対面である第2面であって、前記一対の発光ユニット側取付部材、前記電源部および前記制御部が設けられる第2面とを有する支持部材と、
を備え、
前記制御部は、
信号を受信するアンテナと、前記アンテナで受信した信号に応じて前記電源部から供給される電力を制御する無線制御部とを有し、
前記無線制御部は基板状であり、前記アンテナは前記無線制御部の基板に実装されており、
前記無線制御部は、前記第2面に設けられ、かつ前記電源部と離間し、
前記無線制御部および前記電源部は、前記一対の発光ユニット側取付部材間に配置されている、
発光ユニット。
【請求項2】
前記無線制御部の基板面方向は、前記支持部材の前記第1面方向に沿っており、
前記無線制御部および前記電源部は、前記器具本体を前記造営材に取り付けるための吊りボルトと干渉しない位置に配置されている、
請求項1に記載の発光ユニット。
【請求項3】
前記無線制御部の基板面方向は、前記支持部材の前記第1面方向と平行であり、
前記電源部は、前記器具本体の端子台と電気的に接続され、
前記無線制御部は、前記電源部を基準にして前記端子台と反対側に配置されている、
請求項2に記載の発光ユニット。
【請求項4】
前記支持部材が金属製である場合に、前記無線制御部は、前記支持部材と離間し、
前記無線制御部の基板は、前記支持部材に取り付けられる筐体内に収容されている、
請求項1?3のいずれか1項に記載の発光ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の発光ユニットと、前記発光ユニットが取り付けられる前記器具本体とを備える照明装置であって、
前記器具本体は、前記造営材に取り付けられる器具側取付部材を有する、
照明装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-08-11 
出願番号 特願2015-150980(P2015-150980)
審決分類 P 1 651・ 16- YAA (F21V)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田中 友章  
特許庁審判長 氏原 康宏
特許庁審判官 一ノ瀬 覚
出口 昌哉
登録日 2019-06-14 
登録番号 特許第6537391号(P6537391)
権利者 アイリスオーヤマ株式会社
発明の名称 発光ユニットおよび発光ユニットを備える照明装置  
代理人 奥山 裕治  
代理人 原田 淳司  
代理人 原田 淳司  
代理人 奥山 裕治  
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